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  • 特許-防災機器の構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】防災機器の構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20221115BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20221115BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221115BHJP
   H02B 1/38 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
H05K5/02 A
G08B17/00 L
G08B17/00 G
H05K5/02 P
G09F9/00 350A
G09F9/00 362
H02B1/38 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017204919
(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2019079898
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】後▲藤▼ 大祐
(72)【発明者】
【氏名】永田 智一
(72)【発明者】
【氏名】深田 達也
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-129477(JP,U)
【文献】特開平07-274317(JP,A)
【文献】特開2016-192066(JP,A)
【文献】特開2008-129742(JP,A)
【文献】特開2003-195264(JP,A)
【文献】特開平09-197383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G08B 17/00
G09F 9/00
H02B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と扉を有し、該扉に設けた開口部にパネルユニットを着脱可能に取り付けられるようにした防災機器の構造であって、
前記パネルユニットは、周辺部に複数の係止片が設けられた枠部を有し、
前記扉の開口部の内側周縁には、前記係止片が係止可能な係止部が設けられており、
前記パネルユニットを前記扉の内側から装着できるようにし、
前記係止片は前記枠部の周面と同一面上にスリットを介して設けられ、前記枠部における前記係止片が設けられた箇所の内側に前記枠部と連続する補強壁が、前記係止片との間に隙間を介して設けられていることを特徴とする防災機器の構造。
【請求項2】
本体と扉を有し、該扉に設けた開口部にパネルユニットを着脱可能に取り付けられるようにした防災機器の構造であって、
前記パネルユニットは、周辺部に複数の係止片が設けられた枠部を有し、
前記扉の開口部の内側周縁には、前記係止片が係止可能な係止部が設けられており、
前記パネルユニットを前記扉の内側から装着できるようにし、
前記扉の内側における前記開口部の周縁部に内側に向けて立設されたネジ固定ボスと、前記枠部に設けられて前記ネジ固定ボスが遊貫される孔部を有するブラケットとを設けたことを特徴とする防災機器の構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災受信機等の防災機器の構造に関し、特に本体と扉を有し該扉にパネルユニットを着脱可能に取り付けられる防災機器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
火災受信機等の防災機器には、本体と扉とを有し、扉には液晶ディスプレイ等が搭載されたパネルユニットを着脱可能に取り付けられるようにしたものがある。
このような火災受信機の例として、例えば特許文献1に扉に設けた開口部に表示操作ユニットを、嵌め込むようにして取り付けたものが開示されている。
【0003】
特許文献1では、表示操作ユニットの全周縁にフランジを設け、扉の開口部に前面側から装着して、前記開口部の前面側の縁に前記フランジを当接させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-274317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものは、表示操作ユニットの全周に設けたフランジを開口縁部に当接させるため、扉の開口部から表示操作ユニットが前面側に突出せざるを得ない。
しかし、最近では火災受信機等の防災機器においても意匠性が重要視されており、扉の前面をフラットにすることが望まれている。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、扉の前面を略フラット(略面一)にすることができ、意匠性に優れた防災機器の構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る防災機器の構造は、本体と扉を有し、該扉に設けた開口部にパネルユニットを着脱可能に取り付けられるようにした防災機器の構造であって、
前記パネルユニットは、周辺部に複数の係止片が設けられた枠部を有し、
前記扉の開口部の内側周縁には、前記係止片が係止可能な係止部が設けられており、
前記パネルユニットを前記扉の内側から装着できるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記係止片は前記枠部の周面と同一面上に設けられ、前記枠部における前記係止片が設けられた箇所の内側に前記枠部と連続する補強壁が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記係止片は板状体からなり、該板の肉厚が前記枠部の肉厚よりも薄肉に設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記扉の内側における前記開口部の周縁部に内側に向けて立設されたネジ固定ボスと、前記枠部に設けられて前記ネジ固定ボスが遊貫される孔部を有するブラケットとを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防災機器の構造においては、パネルユニットは、周辺部に複数の係止片が設けられた枠部を有し、扉の開口部の内側周縁には前記係止片が係止可能な係止部が設けられており、前記パネルユニットを前記扉の内側から装着できるようにしたことにより、周縁にフランジを設けた従来例のようにパネルユニットが扉の前面側に必然的に突出することがなく意匠性に優れたものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る火災受信機の斜視図である。
図2図1に示した扉から表示パネルユニットを外した状態の内部側から見た分解斜視図である。
図3図1に示した扉の内部側から見た斜視図である。
図4図3の矢視A-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態を、防災機器の一例として火災受信機を例に挙げて図1図4に基づいて説明する。
本実施の形態に係る火災受信機1は、図1に示すように、金属製の本体3と扉5を有し、扉5に設けた開口部7(図2参照)に液晶ディスプレイ9等を搭載した樹脂製のパネルユニット11を着脱可能に取り付けられるようにしたものである。本実施の形態の説明においては、液晶ディスプレイ9をパネルユニット11に搭載し、液晶ディスプレイ9を扉5に取り付けるための表示パネルユニット11として説明するが、パネルユニット11はスイッチ等の操作部またはプリンタを搭載しもよいし、それらの複数を搭載するようにしてもよい。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0014】
<扉>
扉5は本体3に開閉可能に取り付けられており、矩形の開口部7を有している。扉5の内面側における開口部7の左右縁と下縁には、図2に示すように、表示パネルユニット11に設けられた後述の係止片23が係止可能な係止部としての係止孔13が設けられた板状体からなる係止部材15が設けられている。
また、扉5の内面側の開口部7の上縁及び下縁のそれぞれにネジ固定ボス17がそれぞれ2本立設されている。
【0015】
<表示パネルユニット>
表示パネルユニット11は、液晶ディスプレイ9が設置される窓部19を有する矩形の樹脂製の枠部21からなり、枠部21には複数の係止片23が設けられている。
本実施の形態では、枠部21の左右辺のそれぞれに3個と、枠部21の下辺に1個の係止片23が設けられている。各係止片23は、図2の拡大図に示すように、枠部21と同じ面に、その両側と枠部21との間にスリットを介して設けられた板状の片部からなり、下部(図中右側)を基端として撓むことができる。各係止片23はその上部(図中左側)に係止爪25を有している。
また、係止片23の肉厚は、枠部21の肉厚よりも薄く設定されている。これによって、係止片23が撓みやすくなり、取り付けの際の装着を容易にできる。
【0016】
枠部21における係止片23が設けられた箇所には、係止片23を内側に迂回して枠部21と連続するように補強壁27が設けられている。
補強壁27を設けることで、枠部21と同じ面にスリットを介して係止片23を設けたとしても、枠部21の剛性を確保できる構造になっている。
補強壁27は、係止片23の内側に係止片23との間に隙間を介して設けられており、係止片23が内側に撓むのを邪魔することはない。その一方で、係止片23がある程度内側に撓むと、係止片23が補強壁27に当接するので、係止片23が撓みすぎるのを防止する機能も有している。
【0017】
係止片23の肉厚を薄く設定できたのは、補強壁27を設けることで枠部21の剛性を確保できているからであり、係止片23の肉厚は枠部21の剛性とは関係なく操作性のみに基づいて適宜設定することができる。
【0018】
表示パネルユニット11の枠部21の上辺及び下辺には、ブラケット29が設けられ、ブラケット29にはネジ固定ボス17が遊貫できる孔部31が設けられている。
【0019】
上記のように構成された表示パネルユニット11を扉5に装着する際には、扉5の内面側から表示パネルユニット11を扉5の開口部7に近づけて、各係止片23と係止孔13の位置合わせをした状態で、表示パネルユニット11を前方に押し込むようにする。これによって、係止片23が撓んで係止爪25が係止孔13に係止する(図3参照)。
このとき、ネジ固定ボス17はブラケット29の孔部31に遊貫され図3及び図4に示すように、ネジ固定ボス17と孔部31との間には所定の隙間が形成された状態になる。この状態で、図4に示すように、ネジ固定ボス17に固定ネジ33を取り付けることで装着が完了する。
【0020】
上記のように構成された本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態では、枠部21の外形状が扉5の開口部7の形状とほぼ同形状として、扉5の内側から表示パネルユニット11を装着できるようにしたので、開口部7に表示パネルユニット11が丁度嵌りこむように設置することができ、表示パネルユニット11と扉5の前面とを略面一にすることができ、意匠性に優れている。
【0021】
従来例のように、表示パネルユニットの全周にフランジがある場合には、表示パネルユニットを装着した状態で、フランジが扉の開口縁に当接する。このため、表示パネルユニットの操作時に押圧荷重が作用してもフランジが反力受けとなって表示パネルユニットが撓むことがない。
この点、本実施の形態は、フランジを有しておらず、操作時の荷重を受けるのは枠部21となるため、荷重によって枠部21が撓み、係止片23に荷重が集中することが考えられる。しかし、本実施の形態のように、補強壁27を設けて枠部21が全周に亘って連続する構造にしていることで、枠部21の剛性が確保されて撓みにくくなっているので、係止片23に荷重が集中することなく係止が外れることがない。
つまり、表示パネルユニット11を扉5の内側から装着が可能な構造にしたことで、フランジを無くする必要があるが、フランジを無くしたことによる枠部21の剛性の低下を、補強壁27を設けることで補うようにしていると言える。
【0022】
また、補強壁27を設けることで、係止片23には自身による枠の剛性確保の必要がなくなったため、係止片23の板厚を薄くすることができ、表示パネルユニット11の装着の際の動作がスムーズになっている。
【0023】
さらに、ブラケット29とネジ固定ボス17によってネジ固定するようにしたことで、操作等で火災受信機1の正面に大きな力が作用したときに表示パネルユニット11が外れることがない。
また、ブラケット29の孔部31とネジ固定ボス17との間には隙間があるので、温度変化で金属製の扉5の変形(膨張や収縮)よりも、樹脂製の表示パネルユニット11のほうが大きく変形したとしても、ネジ固定ボス17と孔部31は面内(扉5の開口部7を有する面と水平)での移動が可能になっているので、ネジ固定ボス17を起点として変形することを防止できる。このため、例えば扉5側に係合している係止片23が収縮により、ネジ固定ボス17側に引き寄せられて外れてしまうことを防止することができる。
なお、図4に示すように、表示パネルユニット11に段部35を設け、表示パネルユニット11が扉5の内側で扉5の開口部7よりも大きくすることで、温度変化により収縮変形したとしても、段部35により開口部7との隙間が生じることなく、扉5の内側が見えるというおそれがない。
【符号の説明】
【0024】
1 火災受信機
3 本体
5 扉
7 開口部
9 液晶ディスプレイ
11 パネルユニット(表示パネルユニット)
13 係止孔
15 係止部材
17 ネジ固定ボス
19 窓部
21 枠部
23 係止片
25 係止爪
27 補強壁
29 ブラケット
31 孔部
33 固定ネジ
35 段部
図1
図2
図3
図4