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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】建物の壁構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/02 20060101AFI20221115BHJP
   E04B 2/90 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E06B1/02
E04B2/90
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018069179
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178567
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】桐山 伸一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 一巳
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩光
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-284647(JP,A)
【文献】特開2004-190409(JP,A)
【文献】特開2009-243187(JP,A)
【文献】実開昭52-142711(JP,U)
【文献】特開平06-173533(JP,A)
【文献】実開昭64-012821(JP,U)
【文献】実開昭54-043013(JP,U)
【文献】特開2008-121381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 1/70
E04B 2/56 - 2/70
E04B 2/88 - 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に取り付け可能であり、前記建物の外壁に形成された開口部内に配置されるサッシを支持可能なフレーム、を備える建物の壁構造であって、
前記フレームは、前記サッシの面内方向における水平方向両側の位置に平行して立設される一対の縦フレームを備え、
前記一対の縦フレームの各縦フレームは、前記面内方向における水平方向において前記サッシと隣接して配置される第1板部と、前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記サッシ側に突設され、前記サッシの面外方向において前記サッシに対して屋内側に隣接して配置される第2板部と、を備え、さらに、
前記フレームは、前記一対の縦フレーム間に架設される一対の横フレームを備え、
前記一対の縦フレーム及び前記一対の横フレームに囲まれる空間に、前記サッシが配置され、
前記一対の横フレームは、前記一対の縦フレームの鉛直方向の上端及び下端を除く鉛直方向位置における前記一対の縦フレーム間に架設されており、前記一対の縦フレームの上端及び下端の位置には前記一対の縦フレーム間に横フレームは架設されておらず、
前記壁構造は、一対の前記フレームを備え、
前記一対のフレームのうち一方のフレームの前記面内方向における水平方向の一方側の前記縦フレームの前記第1板部と、前記一対のフレームのうち他方のフレームの前記面内方向における水平方向の他方側の前記縦フレームの前記第1板部と、が近接対向して配置され、前記一対のフレームのそれぞれによって前記サッシがそれぞれ支持されることにより、前記サッシが前記面内方向における水平方向に連窓設置されており、
前記一対のフレームのうち一方のフレームの前記面内方向における水平方向の一方側の前記縦フレームの前記第2板部の屋内側の面、及び、前記一対のフレームのうち他方のフレームの前記面内方向における水平方向の他方側の前記縦フレームの前記第2板部の屋内側の面、の両面の屋内側に、前記両面を跨って覆う断熱部材が配置されていることを特徴とする壁構造
【請求項2】
前記各縦フレームは、横断面が前記第1板部及び前記第2板部から構成されるL字型形状を有しており、
前記一対のフレームそれぞれにおいて、前記一対の縦フレームのうち一方の縦フレームの前記第1板部は、前記面内方向における水平方向において、他方の縦フレームの前記第1板部と前記サッシを挟んで対向して配置され、
前記一対のフレームそれぞれにおいて、前記一方の縦フレームの前記第2板部は、前記一方の縦フレームの前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記他方の縦フレームに向かって突設されると共に、
前記一対のフレームそれぞれにおいて、前記他方の縦フレームの前記第2板部は、前記他方の縦フレームの前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記一方の縦フレームに向かって突設されることを特徴とする、請求項1に記載の壁構造
【請求項3】
前記一対のフレームのうち前記一方のフレームの前記面内方向における水平方向の他方側の前記縦フレームの前記第1板部、及び、前記一対のフレームのうち前記他方のフレームの前記面内方向における水平方向の一方側の前記縦フレームの前記第1板部は、前記面内方向の水平方向において、前記一対のフレームそれぞれが支持する前記サッシと前記外壁との間に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の壁構造
【請求項4】
前記一対のフレームのうち前記一方のフレームの前記面内方向における水平方向の他方側の前記縦フレームの前記第2板部、及び、前記一対のフレームのうち前記他方のフレームの前記面内方向における水平方向の一方側の前記縦フレームの前記第2板部は、前記面外方向において、前記一対のフレームそれぞれが支持する前記サッシと前記外壁の屋内側に位置する断熱部材との間に配置されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の壁構造
【請求項5】
前記一対のフレームそれぞれにおいて、前記一対の縦フレームの前記第1板部の、前記一対のフレームそれぞれが支持する前記サッシと反対側の面同士の距離は、平面モジュールの整数倍となることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の壁構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム、サッシユニット及び建物の壁構造に関し、特に、建物の躯体に取り付けられ、建物の外壁に形成された開口部内に配置されるサッシを支持する、フレーム、サッシユニット及び建物の壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の外壁に開口部を形成し、この開口部周囲の強度を補強するために取り付けたフレームによって、開口部内に配置されるサッシを支持する壁構造が知られている。特許文献1には、左右の縦フレーム材に上下の横フレーム材を連結してフレーム体を構成し、このフレーム体の縦フレーム材と横フレーム材で囲まれた開口部にサッシ枠体を固着してなるパネルユニットが開示されている。また、特許文献2には、突条を有する開口部隣接部と非開口部に隣接して突条を有さない非開口部隣接部とが連なって構成される小口を有する外壁材の小口に隣接し、少なくともサッシを取り付けるための開口部フレームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-121381号公報
【文献】特開2008-255678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフレームとしてのフレーム体では、サッシ枠体の面内方向の水平方向において、サッシ枠体の外方に突出した部分を有する縦フレームとしての縦フレーム材を有するため、サッシ枠体の面内方向の水平方向において、サッシ枠体を含む複数のサッシを連窓設置(サッシを連接して設置)することが困難であるという問題がある。特許文献2に記載のフレームとしての開口部フレームにおける、縦フレームとしての開口部補強材についても同様の問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記問題に鑑み、建物の躯体に取り付け可能であると共に、サッシの面内方向の水平方向において、サッシの連窓設置が可能となるフレーム、サッシユニット及び建物の壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としてのフレームは、建物の躯体に取り付け可能であり、前記建物の外壁に形成された開口部内に配置されるサッシを支持可能なフレームであって、前記サッシの面内方向における水平方向両側の位置に平行して立設される一対の縦フレームを備え、前記一対の縦フレームの各縦フレームは、前記面内方向における水平方向において前記サッシと隣接して配置される第1板部と、前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記サッシ側に突設され、前記サッシの面外方向において前記サッシに対して屋内側に隣接して配置される第2板部と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の1つの実施形態として、前記各縦フレームは、横断面が前記第1板部及び前記第2板部から構成されるL字型形状を有しており、前記一対の縦フレームのうち一方の縦フレームの第1板部は、前記面内方向における水平方向において、他方の縦フレームの第1板部と前記サッシを挟んで対向して配置され、前記一方の縦フレームの第2板部は、前記一方の縦フレームの前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記他方の縦フレームに向かって突設されると共に、前記他方の縦フレームの第2板部は、前記他方の縦フレームの前記第1板部から前記面内方向における水平方向において前記一方の縦フレームに向かって突設されることが好ましい。
【0008】
本発明の1つの実施形態としてのフレームは、前記一対の縦フレーム間に架設される一対の横フレームを備え、前記一対の縦フレーム及び前記一対の横フレームに囲まれる空間に、前記サッシが配置されることが好ましい。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記各縦フレームの前記第1板部は、前記面内方向の水平方向において、前記サッシと前記外壁との間に配置されることが好ましい。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記各縦フレームの前記第2板部は、前記面外方向において、前記サッシと前記外壁の屋内側に位置する断熱部材との間に配置されることが好ましい。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記一対の縦フレームの前記第1板部の、前記サッシと反対側の面同士の距離は、平面モジュールの整数倍となることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の態様としてのサッシユニットは、上記フレームと、前記フレームに取り付けられる前記サッシと、を備え、前記サッシの縦枠は、前記縦フレームの前記第1板部と前記第2板部とで区画される空間に格納されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第3の態様としての建物の壁構造は、前記フレームを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、建物の躯体に取り付け可能であると共に、サッシの面内方向の水平方向において、サッシの連窓設置が可能となるフレーム、サッシユニット及び建物の壁構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態としてのフレームを示す斜視図である。
図2図1に示すフレームが適用された本発明の一実施形態としての建物の壁構造を示す縦断面図である。
図3図3(a)は、図2のI-I断面図であり、及び図3(b)は図2の及びII-II断面図である。
図4図1に示すフレームを用いてサッシを連窓設置した場合の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフレーム、サッシユニット及び建物の壁構造の実施形態について、図1図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0017】
まず、本発明に係るフレーム、サッシユニット及び壁構造を適用可能な建物の一例の概要を説明する。建物は、例えば、所定の平面モジュールを有する規格化建物である。規格化建物とは、規格化(標準化)された複数の部材の組み合わせにより構築される建物である。平面モジュールとは、建築において設計上の基準となる基本寸法を意味し、建物の各部分を一定の大きさの倍数で統一するときの基準となる大きさを意味する。
【0018】
図1は、本発明に係るフレームの1つの実施形態としてのフレーム1を示す斜視図である。図1に示すように、フレーム1は、一対の縦フレーム10及び20と、この一対の縦フレーム10及び20間に架設された一対の横フレーム30及び40と、を備えている。このフレーム1は、建物の外壁に形成されるサッシ用開口部の強度低下を抑制する(開口部を補強する)ため、建物の躯体としての柱又は梁に取り付けられる、鋼製の開口補強フレームである。なお、本実施形態において「縦フレーム」とは、フレーム1が建物の躯体に取り付けられた状態で、鉛直方向に延在するフレーム材を意味し、「横フレーム」とは、フレーム1が建物の躯体に取り付けられた状態で、水平方向に延在するフレーム材を意味する。
【0019】
また、図2は、図1に示すフレーム1が適用された本発明の1つの実施形態としての建物の壁構造90を示す縦断面図である。換言すれば、図2に示す壁構造90は、フレーム1及び後述するサッシ3を含むサッシユニット60を備えている。図3(a)及び図3(b)は、図2のI-I断面図及びII-II断面図である。以下、図1図3を参照して、フレーム1及びフレーム1を適用した建物の壁構造90について、詳細に説明する。なお、本明細書において「上」、「下」とは、鉛直方向の上、下を意味し、更に、本実施形態における「左」、「右」とは、壁構造90を屋外側から屋内側に向かって見た場合の位置関係を意味している。
【0020】
まず、フレーム1を含む壁構造90の構成について説明する。図2図3に示す壁構造90を有する建物全体としては、例えば、角形鋼管の柱8及びH型鋼の梁(不図示)により建物の躯体が構成される2層構造の住宅とすることができる。図2図3に示すように、壁構造90は、建物の躯体の周囲に連接して立設され、建物の外壁を構成する複数の外装パネル材2と、この複数の外装パネル材2間に形成された外壁の開口部X内に配置されるサッシ3と、この複数の外装パネル材2の屋内側であって、建物の柱8の屋外側に設けられる断熱部材4と、この断熱部材4の屋外側に設けられた上述のフレーム1と、建物の柱8の屋内側に設けられる内装材5と、を備えている。
【0021】
本実施形態の外装パネル材2は、軽量気泡コンクリート製のパネル(ALCパネル)であり、図3(a)、図3(b)に示すように、建物の躯体を構成する柱8の周囲に連接して立設され、建物の外壁を形成する。また、隣接する外装パネル材2を面内方向における水平方向A、又は鉛直方向に間隙を隔てて配置することにより、サッシ3が配置される外壁の開口部Xが形成される。図2図3に示す本実施形態の開口部Xは、水平方向Aの左右両側に位置する2枚の外装パネル材2である左側外装パネル材2a及び右側外装パネル材2bと、上下に位置する2枚の外装パネル材2である上側外装パネル材2c及び下側外装パネル材2dとにより区画されている。なお、本実施形態の外装パネル材2はALCパネルであるが、外装パネル材の材質はこれに限られるものではなく、例えば、木質系や金属系のサイディング等を用いることもできる。ここで、外装パネル材2及び後述するサッシ3の「面内方向」とは、外装パネル材2及びサッシ3の外面に沿う方向であり、図3(a)、図3(b)に示す「水平方向A」とは、外装パネル材2及びサッシ3の面内方向における水平方向を示している。
【0022】
サッシ3は、上述した開口部Xの縁部に沿って配置されるサッシ枠3aと、このサッシ枠3a内に納められる障子(不図示)と、を備える。本実施形態のサッシ枠3aは、方形の形状を有しており、鉛直方向に延在する左側縦枠51a及び右側縦枠51bと、水平方向に延在する上側横枠52a及び下側横枠52bとで構成されている。また、図2図3では障子を図示していないが、サッシ枠3a内に納められる障子としては、引き違いに納められる外障子及び内障子により構成されるスライド式の障子としてもよく、サッシ枠3aに対してヒンジ等により揺動自在に取り付けられたスイング式の障子としてもよい。
【0023】
フレーム1は、上述したように、一対の縦フレーム10及び20と、一対の横フレーム30及び40と、を備えている。一対の縦フレーム10及び20は、建物の各階の上梁及び下梁に、取付金具等の接続部材を介してねじ、ビス、ボルト及びナット等の締結手段を用いて取り付けられ、鉛直方向に平行して立設される。より具体的には、図3(b)に示すように、上梁及び下梁に取り付けられた一対の縦フレーム10及び20は、上述した開口部X内に配置されるサッシ3の両側の位置に平行して立設される。更に、上梁及び下梁に取り付けられた一対の縦フレーム10及び20は、開口部Xの上下に位置する2枚の上側外装パネル材2c(図2参照)及び下側外装パネル材2d(図2参照)の水平方向Aの両側の位置に平行して立設される。また、図3(a)、図3(b)に示すように、各縦フレーム10及び20は、横断面がL字型形状を有しており、水平方向Aにおいて互いに対向するように配置されている。
【0024】
一対の縦フレーム10及び20のうち、水平方向Aにおいて左側に位置する一方の縦フレーム10(左側縦フレーム10)は、水平方向Aにおいて、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の左側縦枠51aと隣接して配置される第1板部11と、この第1板部11から水平方向Aにおいてサッシ3側に突設され、外装パネル材2及びサッシ3の面外方向Bにおいて、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の左側縦枠51aに対して屋内側に隣接して配置される第2板部12と、を備えている。ここで、「面外方向B」とは、外装パネル材2及びサッシ3の外面に直交する方向であって、図3(a)、図3(b)に示す水平方向Aと直交する方向を示している。
【0025】
また、一対の縦フレーム10及び20のうち、水平方向Aにおいて右側に位置する他方の縦フレーム20(右側縦フレーム20)は、水平方向Aにおいて上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の右側縦枠51bと隣接して配置される第1板部21と、この第1板部21から水平方向Aにおいてサッシ3側に突設され、外装パネル材2及びサッシ3の面外方向Bにおいて上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の右側縦枠51bに対して屋内側に隣接して配置される第2板部22と、を備えている。
【0026】
図3(a)、図3(b)に示すように、一方の縦フレーム10の第1板部11と、他方の縦フレーム20の第1板部21とは、水平方向Aにおいて上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3を挟んで対向して配置されている。また、図3(a)、図3(b)に示すように、一方の縦フレーム10の第2板部12は、一方の縦フレーム10の第1板部11の屋内側端部から水平方向Aにおいて他方の縦フレーム20に向かって突設されている。また、他方の縦フレーム20の第2板部22は、他方の縦フレーム20の第1板部21から水平方向Aにおいて一方の縦フレーム10に向かって突設されている。
【0027】
なお、本実施形態の一方の縦フレーム10及び他方の縦フレーム20は横断面がL字型形状であり、一方の縦フレーム10の第2板部12は第1板部11と一体成形されたものであり、第1板部11の屋内側端部から連続して延設されている。また、他方の縦フレーム20の第2板部22は第1板部21と一体成形されたものであり、第1板部21の屋内側端部から連続して延設されている。但し、各縦フレームの第1板部及び第2板部は、一体成形により成形された構成に限られるものではなく、例えば、第1板部と第2板部とを別部材で構成し、両部材をねじやビス等の締結手段により締結して一体化することにより各縦フレームを形成するようにしてもよい。
【0028】
また、各縦フレーム10及び20の第1板部11及び21は、水平方向Aにおいて、サッシ3と外壁を構成する外装パネル材2との間に配置される。具体的には、図3(a)、図3(b)に示すように、一方の縦フレーム10の第1板部11は、水平方向Aの一方側において、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の左側縦枠51aと隣接し、水平方向Aの他方側において、左側外装パネル材2aと隣接している。換言すれば、一方の縦フレーム10の第1板部11は、水平方向Aにおいて、左側外装パネル材2aと、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の左側縦枠51aと、の間の位置で、鉛直方向に立設している。
【0029】
また、図3(a)、図3(b)に示すように、他方の縦フレーム20の第1板部21は、水平方向Aの一方側において、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の右側縦枠51bと隣接し、水平方向Aの他方側において、右側外装パネル材2bと隣接している。換言すれば、他方の縦フレーム20の第1板部21は、水平方向Aにおいて、右側外装パネル材2bと、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の右側縦枠51bと、の間の位置で、鉛直方向に立設している。
【0030】
このように、一対の縦フレーム10及び20の第1板部11及び21は、左側外装パネル材2a、右側外装パネル材2b、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d等の複数の外装パネル材2により形成される外壁層内に位置するように配置され、隣接する外装パネル材2間に挟まれる納まりとなるため、座屈やねじれの発生が抑制される。
【0031】
また、本実施形態において、一対の縦フレーム10及び20の第1板部11及び21の、サッシ3と反対側の面同士の距離は、平面モジュールの整数倍となっている。このようにすることで、外壁や柱との納まりを標準化することができる。
【0032】
また、一方の縦フレーム10の第2板部12は、第1板部11の屋内側端部から上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の左側縦枠51aの屋内側の面に沿うように突設され、他方の縦フレーム20の第2板部22は、第1板部21の屋内側端部から上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d、及びサッシ3の右側縦枠51bの屋内側の面に沿うように突設される。つまり、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22は、水平方向Aにおいて、サッシ3の外方に突出していない。そのため、例えば、図2図3に示す左側外装パネル材2aの位置に、サッシ3とは異なる別のサッシを連窓設置しようとする場合に、一方の縦フレーム10の第2板部12が干渉することがないため、水平方向Aにおいて容易にサッシの連窓設置が可能となる。サッシを連窓設置した構成の詳細については後述する(図4参照)。
【0033】
換言すれば、サッシ3の左側縦枠51aは、一方の縦フレーム10の第1板部11と第2板部12とで区画される空間に格納されている。また、サッシ3の右側縦枠51bは、他方の縦フレーム20の第1板部21と第2板部22とで区画される空間に格納されている。このようなサッシ3及びフレーム1を備えるパネルユニット60とすれば、連窓させる場合でも各サッシの幅を最大限確保することができる。サッシを連窓設置した構成の詳細については後述する(図4参照)。
【0034】
ここで、各縦フレーム10及び20の第2板部12及び22は、面外方向Bにおいて、サッシ3のサッシ枠3aと、建物の外壁を構成する外装パネル材2の屋内側に位置する断熱部材4との間に配置される。より具体的に、一方の縦フレーム10の第2板部12は、面外方向Bにおいて、サッシ3のサッシ枠3aにおける左側縦枠51aと、断熱部材4との間に配置される。また、他方の縦フレーム20の第2板部22は、面外方向Bにおいて、サッシ3のサッシ枠3aにおける右側縦枠51bと、断熱部材4との間に配置される。
【0035】
なお、各縦フレーム10及び20の第2板部12及び22と、上側外装パネル材2c及び下側外装パネル材2dとの間に間隙が形成される場合には、図3(a)に示すように、断熱材Zを挟み込むようにしてもよく、断熱材Zを配置せずに空隙としてもよい。
【0036】
一対の横フレーム30及び40は、一対の縦フレーム10及び20間に架設され、一対の縦フレーム10及び20に対して溶接や、ねじやビス等の締結手段により接合されている。上述したサッシ3は、一対の縦フレーム10及び20、並びに一対の横フレーム30及び40に囲まれる空間に配置される。
【0037】
図1に示すように、一対の横フレーム30及び40のうち上側に位置する一方の横フレーム30(上側横フレーム30)は、上側外装パネル材2cの下端と当接する上面及びサッシ3の上側横枠52aと当接する下面を有する底板部31と、この底板部31の屋内側端部から立設し、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22と当接する起立部32と、を備えている。底板部31は、サッシ3の上側横枠52aと当接する下面部分を含む第1底板部分31aと、この第1底板部分31aの屋外側端部から上側に起立した第2底板部分31bと、この第2底板部分31bの上端から屋外側に延在し、上側外装パネル材2cの下端と当接する上面部分を含む第3底板部分31cと、この第3底板部分31cの屋外側端部から垂下する第4底板部分31dと、を備えている。
【0038】
底板部31は、鉛直方向に延在する第2底板部分31bを備え、第1底板部分31aの鉛直方向位置と、第3底板部分31cの鉛直方向位置とが異なるように構成されているため、上側外装パネル材2cと、サッシ3の上側横枠52aとの間に、ビスやボルト等の締結手段を納めることが可能な間隙が形成されている。サッシ3の上側横枠52aは、上側に向かって突設されている板状の突出部52a1を有する。図2に示すように、サッシ3の上側横枠52aは、突出部52a1を底板部31の第4底板部分31dに対して面外方向Bに重ね合わせた状態で両者をビスやボルト等の締結手段で締結することにより、横フレーム30に取り付けられている。この際に締結手段は屋外側から挿通されており、締結手段の先端側は、上述した間隙に納められている。なお、図2に示すように、上側外装パネル材2cと、サッシ3の上側横枠52aとの間には、屋外側から目地部材Yが充填又は挿入されている。これにより、シール性を確保すると共に、上述の締結手段を覆い隠すことができる。
【0039】
起立部32は、底板部31の屋内側端部である第1底板部分31aの屋内側端部から立設され、上側外装パネル材2cの屋内側の面に沿って延在する第1起立板部分32aと、この第1起立板部分32aの上端から屋外側へ向かって延在する第2起立板部分32bと、この第2起立板部分32bの屋外側端部から垂下し、上側外装パネル材2cの屋内側の面に当接する第3起立板部分32cと、を備えている。起立部32もまた、第2起立板部分32bを備えるため、第1起立板部分32aと上側外装パネル材2cの屋内側の面との間に間隙が形成され、この間隙にビスやボルト等の締結手段を納めることが可能である。
【0040】
なお、起立部32は、面外方向Bにおいて、上側外装パネル材2cと、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22との間に位置しており、第1起立板部分32aの屋内側の面は、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22の屋外側の面と当接している。
【0041】
また、図1図2に示すように、一対の横フレーム30及び40のうち下側に位置する他方の横フレーム40(下側横フレーム40)は、サッシ3の下側横枠52bと当接して支持する上面を有する天板部41と、この天板部41の屋内側端部から垂下される垂下部42と、を備えている。天板部41は、サッシ3の下側横枠52bと当接して支持する上面部分を含む第1天板部分41aと、この第1天板部分41aの屋外側端部から下側に垂下した第2天板部分41bと、この第2天板部分41bの下端から屋内側に延在する第3天板部分41cと、を備えている。サッシ3の下側横枠52bは、下側に向かって突設されている板状の突出部52b1を有する。図2に示すように、サッシ3の下側横枠52bは、突出部52b1を天板部41の第2天板部分41bに対して面外方向Bに重ね合わせた状態で両者をビスやボルト等の締結手段で締結することにより、横フレーム40に取り付けられている。この際に締結手段は屋外側から挿通されており、締結手段の先端側は、鉛直方向の第1天板部分41aと第3天板部分41cとの間の位置に納められている。なお、図2に示すように、下側外装パネル材2dと、サッシ3の下側横枠52bとの間には、屋外側から目地部材Yが充填又は挿入されている。これにより、シール性を確保すると共に、上述の締結手段を覆い隠することができる。
【0042】
垂下部42は、天板部41の屋内側端部である第1天板部分41aの屋内側端部から垂下され、下側外装パネル材2dの屋内側の面に沿って延在する第1垂下板部分42aと、この第1垂下板部分42aの下端から屋外側へ向かって延在する第2垂下板部分42bと、この第2垂下板部分42bの屋外側端部から立設され、下側外装パネル材2dの屋内側の面に当接する第3垂下板部分42cと、を備えている。
【0043】
また、垂下部42は、面外方向Bにおいて、下側外装パネル材2dと、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22との間に位置しており、第1垂下板部分42aの屋内側の面は、一対の縦フレーム10及び20の第2板部12及び22の屋外側の面と当接している。
【0044】
このように、本実施形態で示すサッシ3は、上述した下側横フレーム40の天板部41と直接当接することにより支持されるとともに、ねじやビス、ボルト等の締結手段によりサッシ3の上側横枠52aの突出部52a1とフレーム1の上側横フレーム30の底板部31の第4底板部分31dとが、また、サッシ3の下側横枠52bの突出部52b1とフレーム1の下側横フレーム40の天板部41の第2天板部分41bとが固定される構成である。
【0045】
断熱部材4は、上述したフレーム1、外装パネル材2及びサッシ3の屋内側であって、柱8の屋外側に設けられている。具体的に、断熱部材4は、フレーム1、外装パネル材2、及びサッシ3のサッシ枠3aの屋内側の面を覆うように設けられている。本実施形態のフレーム1における一対の縦フレーム10及び20並びに一対の横フレーム30及び40は、上述したように、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d及びサッシ3の外形形状の角部に沿うように配置されており、面外方向Bにおいて、外装パネル材2及びサッシ3に対して屋内側及び屋外側に突出する部分を有していない。つまり、図3に示すように、フレーム1、外装パネル材2、及びサッシ3のサッシ枠3aは、屋内側の面が略平面になるように組み立てられるため、フレーム1、外装パネル材2及びサッシ3のサッシ枠3aの屋内側の面を覆うように断熱部材4を設置することが容易となる。また、フレーム1は、面外方向Bにおいて、断熱部材4よりも屋外側のみに位置する構成となるため、断熱性の高い壁構造を実現することができる。
【0046】
本実施形態における断熱部材4は、フェノールフォーム製のソリッドなボード状断熱材を使用しているが、これに限られるものではなく、一定の外形を保持可能に成形されたソリッドな断熱材であればよく、例えば、押出発泡ポリスチレン(XPS)製、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)製などのソリッドなボード状断熱材を使用することも可能である。
【0047】
内装材5は、柱8の屋内側に立設され、壁構造90の屋内側の面を構成するものである。内装材5としては、例えば、石膏ボード等を用いることができる。なお、内装材5の柱8側の面(屋外側の面)には、内装材5を補強する木製の内装補強部材6としての補強枠や補強板が設けられている。また、サッシ3のサッシ枠3aと内装材5との間には仕上げ材となる木製の枠材7が設けられており、上述の内装材5の水平方向Aの端部は、枠材7に接合されている。なお、仕上げ材となる枠材7を用いずに、クロス巻きにより仕上げることも可能である。
【0048】
以上のような構成を有する壁構造90は、フレーム1における一対の縦フレーム10及び20が、水平方向Aにおいて、サッシ3の外方に突出しないように納められているため、サッシ3の水平方向Aにおける連窓設置が容易となる。図4は、図3(b)に示す左側外装パネル材2aに代えて、サッシ3とは別のサッシ103を連窓設置した場合を示す断面図である。図4に示すように、サッシ3の左側縦枠51aとサッシ103の右側縦枠151bとの間には、上述した一方の縦フレーム10の第1板部11と、サッシ103を支持するフレーム101における1つの縦フレーム120の第1板部121とが介在するのみであり、サッシ3とサッシ103とを水平方向Aにおいて近接させて連窓設置することができる。また、縦フレーム10及び120があるため、別途、方立を用いなくともサッシ3及びサッシ103の連窓設置が可能となる。なお、フレーム101の詳細構成、フレーム101の一対の縦フレーム間に設置される外装パネル材の詳細構成、及びサッシ103の詳細構成は、上述したフレーム1、上側外装パネル材2c、下側外装パネル材2d及びサッシ3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
また、図4では、サッシ3の左側縦枠51a、フレーム1における一方の縦フレーム10、サッシ103の右側縦枠151b、及びフレーム101における1つの縦フレーム120の屋内側に断熱部材4及び内装材5が配置されている。
【0050】
更に、上述したように、フレーム1における一方の縦フレーム10及びフレーム101における1つの縦フレーム120はいずれも、その上下端部が上梁及び下梁に固定され、上梁と下梁との間で鉛直方向に延在しているため、サッシ3及びサッシ103の上下位置は、上梁と下梁との間であれば同じ位置である必要はなく、上下方向にずらして異なる位置として、水平方向Aにおいて連窓設置することも可能である。
【0051】
このように、本実施形態のフレーム1(フレーム101も同様)によれば、鉛直方向の上下位置の違いによらず、水平方向Aにおけるサッシの連窓設置が容易となり、サッシの配置に関する設計の自由度を向上させることができる。
【0052】
また、上述したように、フレーム1における一方の縦フレーム10及びフレーム101における1つの縦フレーム120はいずれも、その上下端部が上梁及び下梁に固定されているため、縦フレーム10の第1板部11と縦フレーム120の第1板部121とを当接させる必要はなく、また、ねじやビス等の締結手段により両者を相互に固定する必要もないが、締結手段により両者を当接した状態で接合するようにしてもよい。
【0053】
本発明に係るフレーム、サッシユニット、及び、建物の壁構造は、上述の実施形態で特定されるものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の変更が可能である。例えば、図4では2つのサッシ3及び103の連窓設置を示したが、3つ以上のサッシを連窓設置することも可能である。また、図2図3では、上側外装パネル材2cと下側外装パネル材2dとの間に1つのサッシ3を配置する構成としたが、鉛直方向において3つ以上の外装パネル材2を配置し、鉛直方向において隣接する2つの外装パネル材2間の間隙を複数設け、その複数の間隙それぞれにサッシを配置する構成としてもよい。このような構成は、一対の縦フレーム間に架設される横フレームの数を、配置されるサッシの数に応じて増加させることにより容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、フレーム、サッシユニット及び建物の壁構造に関し、特に、建物の躯体に取り付けられ、建物の外壁に形成された開口部内に配置されるサッシを支持するフレーム、サッシユニット及び建物の壁構造に関する。
【符号の説明】
【0055】
1、101:フレーム
2:外装パネル材
2a:左側外装パネル材
2b:右側外装パネル材
2c:上側外装パネル材
2d:下側外装パネル材
3、103:サッシ
3a:サッシ枠
4:断熱部材
5:内装材
6:内装補強部材
7:枠材
8:柱
10:縦フレーム
11:第1板部
12:第2板部
20:縦フレーム
21:第1板部
22:第2板部
30:横フレーム
31:底板部
31a:第1底板部分
31b:第2底板部分
31c:第3底板部分
31d:第4底板部分
32:起立部
32a:第1起立板部分
32b:第2起立板部分
32c:第3起立板部分
40:横フレーム
41:天板部
41a:第1天板部分
41b:第2天板部分
41c:第3天板部分
42:垂下部
42a:第1垂下板部分
42b:第2垂下板部分
42c:第3垂下板部分
51a:左側縦枠
51b:右側縦枠
52a:上側横枠
52a1:突出部
52b:下側横枠
52b1:突出部
60:サッシユニット
90:壁構造
120:縦フレーム
121:第1板部
A:外装パネル材及びサッシの面内方向における水平方向
B:外装パネル材及びサッシの面外方向
X:開口部
Y:目地部材
Z:断熱材
図1
図2
図3
図4