IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッドの特許一覧

特許7176854脂肪族ポリウレタン光学的終点検出窓及びこれらを含むCMP研磨パッド
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】脂肪族ポリウレタン光学的終点検出窓及びこれらを含むCMP研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20221115BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20221115BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/24 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221115BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B24B37/24 C
B24B37/013
C08G18/75
C08G18/65 011
C08G18/22
C08G18/18
C08G18/24
C08G18/44
C08G18/32 006
C08G18/48
H01L21/304 622F
H01L21/304 622S
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018079805
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2018199212
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】15/491,610
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/910,187
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ナン-ロン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】モハマッド・ティー・イスラム
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・シー・ジェイコブ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-296333(JP,A)
【文献】特開2007-307638(JP,A)
【文献】特開2012-071416(JP,A)
【文献】特表2015-512799(JP,A)
【文献】特開2006-231429(JP,A)
【文献】特開2011-153316(JP,A)
【文献】特表2012-528487(JP,A)
【文献】特開2005-354077(JP,A)
【文献】特開2009-214275(JP,A)
【文献】特表2010-538461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0037487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
C08G 18/75
C08G 18/65
C08G 18/22
C08G 18/18
C08G 18/24
C08G 18/44
C08G 18/32
C08G 18/48
H01L 21/304
B24B 37/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を研磨するためのケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドであって、CMP研磨パッドを含み、前記CMP研磨パッドが、1つ以上の終点検出窓を有しており、前記窓が、厚さ2mmで波長325nm以下にUVカットオフを有するものであり、そして前記窓が、(A)30~56重量%の1つ以上の脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、(B)(i)平均分子量500~1,500を有する高分子ジオールと(ii)平均分子量120~320を有するトリオールとの、(B)(i)高分子ジオール対(B)(ii)トリオールの重量比が1.6:1~5.2:1に及ぶ、43~69.9999重量%のポリオール混合物、及び触媒であって、0.00001~0.1重量%の量のスズ含有触媒又は0.01~1重量%の量の第二級アミン触媒又は0.00001~0.1重量%の量のビスマス含有触媒から選択される触媒との反応混合物(全ての重量パーセントは反応混合物の全固形物重量に基づく)の生成物である、パッド。
【請求項2】
1つ以上の終点検出窓が、(B)43~57.4999重量%のポリオール混合物と、(A)42.5~55重量%の脂環式ジイソシアネートとの反応生成物である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項3】
1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~90を有し、(B)(i)高分子ジオールが、ポリカーボネートジオールから選択され、そして(B)(ii)トリオールが、トリメチロールプロパン(TMP)又は1~4個のプロポキシ基を有するプロポキシル化トリメチロールプロパンである、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項4】
1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 60~90を有し、そして(B)(i)高分子ジオール対(B)(ii)トリオールの重量比が、1.6:1~3.5:1の範囲である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項5】
1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 60~100を、及びタンデルタピークにより与えられるガラス転移温度(Tg)73~95℃を有する、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項6】
1つ以上の終点検出窓が、ショアA硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~80を有し、(B)(i)高分子ジオールが、ポリエーテルジオールから選択され、そしてトリオール(B)(ii)が、プロポキシル化トリオールである、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項7】
1つ以上の終点検出窓が、(A)脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネート中のイソシアネート基対(B)ポリオール混合物中のヒドロキシル基のモル数のモル比が0.9:1~1.10:1である反応混合物の生成物である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項8】
1つ以上の終点検出窓が、アミン硬化剤を実質的に含まない反応混合物の生成物である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項9】
触媒が、0.00001~0.1重量%の量のスズ含有触媒、又は0.01~1重量%の量の第二級アミン触媒(全ての重量パーセントは反応混合物の全固形物重量に基づく)である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【請求項10】
触媒が、反応混合物の全固形物重量に基づいて0.00001~0.1重量%の量のビスマス含有触媒である、請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月19日に出願された米国特許出願第15/491,610号の一部継続出願である。
本発明は、1つ以上の終点検出窓を有するケミカルメカニカルポリッシング(CMP研磨)パッドに関する。更に詳しくは、本発明は、脂環式ポリイソシアネートと、(i)高分子ジオールと(ii)トリオールとの、重量比が1.6:1~5.2:1のポリオール混合物、及び0.00001~0.1重量%の量のスズ含有触媒、又は0.01~1重量%の量のアミン触媒、又は0.00001~0.1重量%の量のビスマス含有触媒から選択される触媒との反応混合物(全ての重量パーセントは反応混合物の全固形物重量に基づく)の生成物である、1つ以上の終点検出窓を有するCMP研磨パッド、好ましくは発泡ポリウレタンパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの組立において、導電材料、半導体、及び絶縁材料の複数の薄層が半導体ウェーハの表面上に堆積され、次に半導体ウェーハの表面から少なくとも部分的に除去される。材料の層が順次堆積され除去されるにつれて、ウェーハの最上面は平坦でなくなる。この後の半導体処理(例えば、メタライゼーション)は、ウェーハに平坦な表面を有することを要求するため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、望ましくない表面トポグラフィー及び表面欠陥(粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ、及び汚染層又は汚染材料など)を除去するのに有用である。
【0003】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション、又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、組立中に半導体ウェーハのような、集積回路及び他の電子デバイス基板を平坦化するために一般的に利用されてきた。従来のCMPでは、基板がキャリアアセンブリに取り付けられ、CMP装置内の研磨パッドと接触させて配置される。キャリアアセンブリは、基板をCMP研磨パッドに押し付けることにより基板に制御された圧力を加え、一方パッドは外部駆動力により基板に対して移動(例えば、回転)させる。それと同時に、ウェーハとCMP研磨パッドとの間に設けられた研磨媒体(例えば、スラリー)が作用して、パッド表面及び研磨媒体の化学的及び機械的作用により基板表面が研磨及び平坦化される。
【0004】
CMP研磨において提示される1つの課題は、いつ基板が所望の程度まで研磨されたかを決定することである。研磨終点を決定するためのインサイツ方法が開発されてきた。インサイツの光学的終点指示技術は、2つの基本的なカテゴリー:(1)レーザー光源からの光のような単一波長の反射光信号のモニタリング、又は(2)複数波長からの反射光信号のモニタリング、に分けることができる。光学的終点指示に使用される典型的な波長には、可視スペクトル(例えば、400~700nm)、紫外スペクトル(315~400nm)、及び赤外スペクトル(例えば、700~1000nm)が含まれる。光信号のモニタリングにおいて、基板表面の組成がある材料から別の材料に変化すると、基板の反射率は変化する。この反射率の変化は次に、CMP研磨終点を検出するために使用される。例えば、分光計を使用して、光スペクトルの可視範囲内の反射光の強度スペクトルを取得し、同時に全スペクトルを使用して研磨終点を検出する。これらの光学的終点測定技術に対応するために、終点検出窓を有するCMP研磨パッドが開発されている。
【0005】
半導体デバイスは、機構がより精密になり、メタライゼーション層が多くなって、ますます複雑になってきている。より短波長の光を用いた終点検出の需要は、CMP研磨応用において増加しているが、これは、半導体においてもっと薄い材料層及びもっと小さなデバイスサイズの製造を容易にするためである。この傾向は、平坦性を維持するために、及び導電線の断線又は短絡を引き起こし、半導体デバイスを機能しなくする可能性のある研磨欠陥を制限するために、研磨消耗品の性能の向上を要求する。しかしながら、従来のポリマー含有終点検出窓は、波長330~425nmを有する光に曝露されると、しばしば不適切な劣化を示す。更に、CMP研磨パッドに使用するための既知の終点検出窓材料は、波長400nm未満で低い透過率を有する。したがって、波長400nm未満で充分な透過率を有し、そのような放射線への曝露により過度に劣化しない終点検出窓材料が依然として必要とされている。
【0006】
マイクロスクラッチ又はびびりマークのような研磨欠陥を減少させるための1つのアプローチは、欠陥性能の改善を促進するために、より軟らかい研磨層材料を使用することである。しかしながら、既存の終点検出窓材料のほとんどは、耐久性のために樹脂中に少数の芳香族基を有しており、高すぎる放射波長に透過率カットオフを有する。更に、そのような従来の窓配合物は、より軟らかい研磨層材料と充分に合わせられず、しばしば研磨欠陥の増大をもたらす。
【0007】
例えば、Fukudaらの米国特許第7,927,183号は、CMP研磨パッドの少なくとも窓部分が300~400nmの全波長範囲において30%以上の光透過率を示す、研磨パッドを開示している。Fukudaの終点検出窓材料は、2重量%以下の芳香環密度を有するポリウレタン樹脂を含む。このような脂肪族イソシアネート含有ポリウレタン材料は、広い光スペクトルにわたって改善された光透過率を提供することができる。残念ながら、Fukudaに開示された脂肪族ポリウレタン終点検出窓は、厳しいCMP研磨パッド応用に要求される必須の耐久性を欠いている。
【0008】
本発明者らは、紫外線(UV)カットオフ波長325nm以下を有する、CMP研磨パッドに使用するための耐久性のある終点検出窓材料を提供しようと努めた。
【0009】
発明の説明
1. 本発明によれば、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を研磨するためのケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドは、CMP研磨パッド、好ましくは発泡ポリウレタンパッドを含み、前記CMP研磨パッドは、1つ以上の終点検出窓を有しており、前記窓は、厚さ2mmで波長325nm以下にUVカットオフを有するものであり、そして前記窓は、(A)30~56重量%の1つ以上の脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、(B)(i)平均分子量500~1,500を有する高分子ジオールと(ii)トリメチロールプロパン(TMP)、1~4個のプロポキシ基を有するプロポキシル化トリメチロールプロパン又は2~6個のプロポキシ基を有するプロポキシル化グリセロールのような、平均分子量120~320を有するトリオールとの、(B)(i)高分子ジオール対(B)(ii)トリオールの重量比が1.6:1~5.2:1、又は好ましくは2.5:1~5.2:1に及ぶ、43~69.9999重量%のポリオール混合物、及び触媒であって、0.00001~0.1重量%の量のスズ含有触媒(アルキルスズ化合物など、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ)、又は好ましくは0.01~1重量%、又は好ましくは0.05~0.5重量%の量のアミン触媒(第2級アミン又は第3級アミンなど、例えば、トリエチレンジアミン)、又は0.00001~0.1重量%の量のビスマス含有触媒(ネオデカン酸ビスマスなど)から選択される触媒との反応混合物(全ての重量パーセントは反応混合物の全固形物重量に基づく)の生成物である。
2. 前記項目1に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、(B)43~57.4999重量%、又は好ましくは44~52.9999重量%のポリオール混合物と、(A)42.5~56重量%、又は好ましくは47~56重量%の脂環式ジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど、好ましくは、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(4,4’-ジシクロヘキシル-メタンジイソシアネート))との反応生成物である、上記パッド。
3. 前記項目1又は2のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度(Shore D hardness)ASTM D2240-15 (2015) 40~90、又は好ましくは60~85を有し、(B)(i)高分子ジオールが、ポリカーボネートジオール(ポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応生成物のいずれか、例えば、ポリカプロラクトンポリオールとアルキレンカーボネートとの反応生成物など);ポリエステルポリカーボネートポリオール(エチレンカーボネートをジオール又はグリコールと反応させ、得られる反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させて得られる);及びポリカーボネートポリオール(ジオール又はポリエーテルジオール化合物とアルキレンカーボネートとのエステル交換反応により得られる)から選択され、そして(B)(ii)トリオールが、トリメチロールプロパン(TMP)、1~4個のプロポキシ基を有するプロポキシル化トリメチロールプロパン、又は2~6個のプロポキシ基を有するプロポキシル化グリセロールであり、好ましくはTMPである、上記パッド。
4. 前記項目1、2又は3のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 60~90、又は好ましくは64~85を有し、そして(B)(i)高分子ジオール対(B)(ii)トリオールの重量比が、1.6:1~3.5:1、又は好ましくは2.5:1~3.3:1の範囲である、上記パッド。
5. 前記項目1、2、3、又は4のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 60~100、又は好ましくは64~90を、及びタンデルタピークにより与えられるガラス転移温度(Tg)73~95℃、又は好ましくは77~92℃を有する、上記パッド。
6. 前記項目1に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、ショアA硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~85、又は好ましくは50~70を有し、(B)(i)高分子ジオールが、ポリエーテルジオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)など)、又はそれらのブロックコポリマー若しくは混合物から選択され、そしてトリオール(B)(ii)が、1~4個のプロポキシ基を有するプロポキシル化トリメチロールプロパン又は2~6個のプロポキシ基を有するプロポキシル化グリセロールから選択されるもののような、プロポキシル化トリオールである、上記パッド。
7. 前記項目1又は6のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、(B)(i)高分子ジオール対(B)(ii)トリオールの重量比が、3.5:1~5.2:1、又は好ましくは3.8:1~5:1である、上記パッド。
8. 前記項目1、6又は7のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、ショアA硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~85、又は好ましくは50~70を、及びタンデルタピークにより与えられるガラス転移温度(Tg)17~32℃、又は好ましくは18~28℃を有する、上記パッド。
9. 前記項目1、6、7又は8のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、(B)55~69.9999重量%、又は好ましくは60~69.4999重量%のポリオール混合物と、(A)30~45重量%、又は好ましくは30~40重量%の脂環式ジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど、好ましくはメチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート))との反応生成物である、上記パッド。
10. 前記項目1、2、3、4、5、6、7、8又は9のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、(A)脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネート中のイソシアネート基対(B)ポリオール混合物中のヒドロキシル基のモル数のモル比が0.9:1~1.10:1、又は好ましくは0.95:1~1.05:1である反応混合物の生成物である、上記パッド。
11. 前記項目1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、1つ以上の終点検出窓が、アミン硬化剤を実質的に含まない反応混合物の生成物である、上記パッド。
12. 前記項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、厚さ2mmを有する1つ以上の終点検出窓が、波長325nm以下にUVカットオフ、波長800nmで30%~85%の%透過率(DPT)、波長400nmと波長800nmとの間で20%未満の%透過率(DPT)デルタ、及び好ましくは390~800nmの波長範囲全体で窓褪色(UV曝露由来)の最大範囲0.1を有する、上記パッド。
13. 前記項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、触媒が、反応混合物の全固形物重量に基づいて0.00001~0.1重量%の量のスズ含有触媒、又は0.01~1重量%の量のアミン触媒である、上記パッド。
14. 前記項目1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のいずれか一項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、触媒が、反応混合物の全固形物重量に基づいて0.00001~0.1重量%の量のビスマス含有触媒である、上記パッド。
【0010】
別の態様において本発明は、基板を研磨するのに適した研磨層を有するケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドのための終点検出窓材料の製造方法であって、
前記項目1~12のいずれか一項に記載の反応混合物を提供する工程、
反応混合物の成分を合わせる工程、
所望の厚さ、又は所望の終点検出窓の長さ、幅、若しくは直径寸法を有する成形型を提供する工程、
成形型に反応混合物を充填する工程、
成形型中に10~95kPa、又は好ましくは40~85kPaの真空を作る工程、並びに
温度50~130℃、又は好ましくは60~120℃で、12~96時間、又は好ましくは16~36時間(スズ含有触媒を使用する場合)、又は好ましくは24~56時間(スズを含まない触媒又はアミン触媒を使用する場合)、又は好ましくは12~24時間(ビスマス含有触媒を使用する場合)、反応混合物を反応及び熱硬化させて、注型ポリウレタンを形成する工程、並びに
注型ポリウレタンから終点検出窓を形成する工程
を含む方法を提供する。
【0011】
特に断りない限り、温度及び圧力の条件は周囲温度及び標準圧力である。列挙された全ての範囲は包括的かつ組合せ可能である。
【0012】
特に断りない限り、括弧を含む任意の用語は、括弧が存在しないかのような用語全体及び括弧部分がない用語、並びに各選択肢の組合せのことを択一的にいう。よって、「(ポリ)イソシアネート」という用語は、イソシアネート、ポリイソシアネート、又はそれらの混合物のことをいう。
【0013】
全ての範囲は、包括的かつ組合せ可能である。例えば、「50~3000cP、又は100cP以上の範囲」という用語は、50~100cP、50~3000cP、及び100~3000cPのそれぞれを含むことになる。
【0014】
本明細書に使用されるとき、「ASTM」という用語は、ASTM International, West Conshohocken, PAの刊行物のことをいう。
【0015】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「分子量」又は「平均分子量」という用語は、その製造業者により報告された所与の材料についての式量を意味する。平均分子量とは、所与の材料中の分子の分布、例えばポリマー分布について報告された分子量のことをいう。
【0016】
本明細書に使用されるとき、反応混合物の「化学量論」という用語は、所与の反応混合物中のOH基のモル当量数に対するNCO基のモル当量の比のことをいう。
【0017】
本明細書に使用されるとき、G’、G”、及びG”/G’(これは、タンデルタ(tanδ)に対応する)は、それぞれ、剪断貯蔵弾性率、剪断損失弾性率、及び剪断損失弾性率(G”)の剪断貯蔵弾性率(G’)に対する比として定義される損失正接のことをいう。このような値は全て、動的機械分析(dynamic mechanical analysis:DMA)により決定される。試験片を幅6.3mm及び長さ36mmに切断した。ASTM D5279-13 (2013), “Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties: In Torsion.”に従って、ARES(商標)G2ねじれレオメータ又はRheometric Scientific(商標)RDA3 (両者ともTA Instruments, New Castle, DE 製)を使用した。ギャップ間隔は20mmとした。機器分析パラメーターは、予圧100g、歪み0.2%、振動速度10rad/秒、及び温度上昇速度3℃/分で-100℃から150℃までに設定した。
【0018】
本明細書に使用されるとき、「ポリイソシアネート」という用語は、3個以上のイソシアネート基(ブロック化イソシアネート基を含む)を有する任意のイソシアネート基含有分子を意味する。
【0019】
本明細書に使用されるとき、「ポリウレタン」という用語は、二官能性又は多官能性のイソシアネート、例えば、ポリエーテル尿素、ポリイソシアヌレート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、それらのコポリマー及びそれらの混合物からの重合生成物のことをいう。
【0020】
本明細書に使用されるとき、「反応混合物」という用語は、微量元素のような任意の非反応性添加剤、及び研磨パッド中のポリウレタン反応生成物の湿潤硬度(ASTM D2240-15 (2015) によるショアD又はショアA)を低下させるための任意の添加剤を含む。
【0021】
本明細書に使用されるとき、「半導体ウェーハ」という用語は、半導体基板(パターン形成されていない半導体又はパターンを有する半導体など)、半導体デバイス、種々のレベルの相互接続のための種々のパッケージ(単一チップウェーハ又はマルチチップウェーハを含む)、発光ダイオード(LED)用の基板、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリを包含することが意図される。
【0022】
本明細書に使用されるとき、「半導体基板」という用語は、半導体材料を含む任意の構造物を意味するように定義される。半導体基板は、半導体デバイス、及び半導体デバイスの能動部分又は動作可能部分を含む1つ以上の半導体層又は構造を有する任意の基板を含む。
【0023】
本明細書に使用されるとき、「半導体デバイス」という用語は、その上に少なくとも1つのマイクロ電子デバイスが組立てられた(組立てられている)半導体基板のことをいう。
【0024】
本明細書に使用されるとき、「ショアD硬度」及び「ショアA硬度」という用語は、ASTM D2240-15 (2015), “Standard Test Method for Rubber Property-Durometer Hardness”による所与の時間後に測定される所与の材料の硬度値である。硬度は、D又はAプローブをそれぞれ備えたRex Hybrid 硬度テスター(Rex Gauge Company, Inc., Buffalo Grove, IL)で測定された。4つの試料を積み重ね、各硬度測定のためにシャッフルし;そして各試験片を、試験の前に23℃で5日間、相対湿度50%に置き、そして ASTM D2240-15 (2015) に概説された方法を使用することによりコンディショニングして、硬度試験の再現性を改善した。
【0025】
本明細書に使用されるとき、「SG」又は「比重」という用語は、本発明による研磨パッド又は研磨層から切り取った矩形の重量/体積比のことをいう。
【0026】
本明細書に使用されるとき、「固形物」という用語は、その物理的状態が何であれ、使用条件において揮発しない、水又はアンモニア以外の任意の材料を意味する。よって、使用条件で揮発しない液体反応物は「固形物」と見なされる。
【0027】
本明細書に使用されるとき、「アミン硬化剤を実質的に含まない」という用語は、所与の組成物が、第1級アミン水素を有する任意のアミン硬化剤化合物を、2,000ppm以下、又は好ましくは1,000ppm含むことを意味する。
【0028】
本明細書に使用されるとき、「タンデルタ(tanδ)」という用語は、上記のDMAにより決定される所与の材料のG”/G’値を意味する。タンデルタ(tanδ)のピーク値は、所与の材料のTg、即ち、ガラス転移温度に対応する。
【0029】
本明細書に使用されるとき、所与の材料の「Tg」又は「ガラス転移温度」という用語は、その材料のタンデルタがDMA試験においてピークになる温度のことをいう。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において終点検出窓に関して使用されるとき、所与の波長における「%透過率(DPT)」又は「複光路透過率」又は「DPT」という用語は、以下の式:
DPT=(IWSi-IW)÷(IASi-IA
[式中、IWSi、IW、IASi、及びIAは、SD1024F分光器、キセノン閃光灯及び3mm光ファイバーケーブルを含むVerity SP2006分光干渉計を用いて、3mm光ファイバーケーブルの発光表面を終点検出窓の第1の面に対して(かつ垂直に)原点のところに配置して、窓の厚さTを介して光を導き、そして第1の面に実質的に平行な終点検出窓の第2の面に対して位置決めされた表面から反射して窓の厚さTを介して戻ってきた光の強度を原点で測定することにより、測定され;
IWSiは、原点から窓を通過し、窓の第2の面に対して配置されたシリコンブランケットウェーハの表面で反射されて、窓を通って原点に戻る光の強度の測定値であり;
IWは、原点から窓を通過し、黒体の表面で反射されて、窓を通って原点に戻る光の強度の測定値であり;
IASiは、原点から終点検出窓の厚さTに等しい空気の厚さを通過し、3mm光ファイバーケーブルの発光表面に対して垂直に配置されたシリコンブランケットウェーハの表面で反射されて、空気の厚さを通って原点に戻る光の強度の測定値であり;そして
IAは、3mm光ファイバーケーブルの発光表面における黒体で反射された光の強度の測定値である]を用いて決定される。
【0031】
本明細書に使用されるとき、「400nmでの%透過率」、即ち「DPT400」という用語は、波長400nmを有する光について終点検出窓により示される%透過率である。
【0032】
本明細書に使用されるとき、「波長400nmと800nmの間の%透過率デルタ」、即ち「ΔDPT800-400」という用語は、波長800nmを有する光と波長400nmを有する光について終点検出窓により示される複光路透過率の差であり、以下の式を用いて決定される:
ΔDPT800-400=DPT800-DPT400
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるとき、「研磨媒体」という用語は、粒子含有研磨溶液、並びに砥粒を含まない研磨溶液及び反応性液体研磨溶液のような粒子非含有研磨溶液を包含する。
【0034】
本明細書に使用されるとき、「UVカットオフ」という用語は、200nm~800nmの範囲のゼロ透過から最大透過までの段階における最大半値の波長として定義される。
【0035】
本明細書に使用されるとき、「窓褪色」という用語は、加速UV安定性測定から測定される。この測定のために、直径6mmに設定された窓材料の特定の直径領域が、365nmのピーク強度を有する高強度のUV-A光に短時間持続して曝露される。強度及び持続時間は、典型的なパッド寿命中の窓のUV曝露に対応するように選択される。例えば、曝露光の強度が330±30mW/cm(365nmで)である場合、45秒間の曝露が典型的なパッド寿命(CMP研磨に使用される閃光灯の閃光約600万回)に対応する。褪色は、分析窓のUV曝露領域の窓透過率対曝露していない窓の透過率の比から測定される。
【0036】
本明細書に使用されるとき、「重量%(wt.%)」という用語は重量パーセントを表す。
【0037】
本発明において、脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、ジオール及びトリオールのポリオール混合物との反応混合物から製造された注型ポリウレタン由来の終点検出窓は、波長400nm未満で高い%透過率を提供する。本発明の終点検出窓の特性は、反応混合物及び硬化条件を調整することにより調節することができる。この反応混合物は、ショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~90を有するパッドのような、硬質ケミカルメカニカルポリッシング(CMP研磨)パッドに使用するのに充分な耐久性を有する終点検出窓の形成を可能にする。より硬い(高Tg)終点検出窓は、より多くの脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、ポリマー鎖中に反復カーボネート基を含有する高分子ジオールとを有する、本発明の注型反応混合物から生じる。このような反応混合物は、上記項目1~5、及び10~12のいずれか一項に記載のものである。更に、この反応混合物は、ショアA硬度(ASTM D2240-15 (2015))がより良好な硬度の尺度となる軟質CMP研磨パッド用のより軟らかい(低Tg)終点検出窓の形成を可能にする。より軟らかい終点検出窓は、より少ない脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、ポリエーテルジオールを含むポリオール混合物とを有する、本発明の注型反応混合物から生じる。このような反応混合物は、上記項目1、及び6~12のいずれか一項に記載のものである。プロポキシル化トリオールを有する反応混合物は、CMP研磨中に透明性を維持するのに充分な耐久性を保持する、より軟らかい(低Tg)終点検出窓の注型を可能にする。更に、本発明の終点検出窓材料は、終点検出窓材料を変形させることなく、そのTgの直ぐ上又はTgで切断するか、スカイビングするか、又は形作ることができるように、明確なガラス転移温度(Tg)を有する。対照的に、当該分野において、高温ブレードでスカイビングすることにより終点検出窓を成形すると、窓耐久性の欠如を示す終点検出窓の窪み又は膨れが生じた。
【0038】
本発明の反応混合物は、芳香族ジイソシアネート又はポリイソシアネートを含まないか又は実質的に含まない(反応混合物の全固形物重量に基づいて10,000ppm未満)。芳香族ジイソシアネート又はポリイソシアネートは、そこから製造されたポリウレタンの波長400nm以下での%透過率を低下させる。
【0039】
本発明の反応混合物は、高分子ジオールであって、そこから製造された終点検出窓が、加工中にCMP研磨パッドから窪んだり膨らんだりしない充分な耐久性を有することを可能にする、高分子ジオールを含有する。また本発明の反応混合物は、第2級又は第3級アミンのようなスズを含まない触媒であって、それで製造された終点検出窓の耐久性又は品質を損なうことがない触媒を提供する。このようなアミン触媒は、更に好ましくは少なくとも2個のアミン基を有し、かつ脂肪族である。
【0040】
上記項目1~5、及び10~12のいずれか一項に記載される、より硬い終点検出窓を製造するための反応混合物において、高分子ジオール(B)(i)は、分子量500~1,000、又は好ましくは500~800を有するポリカーボネートジオールを含む。このように比較的低い分子量を有するポリカーボネートジオール(B)(i)は、それに由来する終点検出窓の硬度を保証するのに役立ち、こうしてショアD硬度 ASTM D2240-15 (2015) 40~90を有する硬質CMP研磨パッドに、加工中又は加工後にその表面から膨らんだり窪んだりしない終点検出窓を提供することを可能にする。
【0041】
上記項目1及び6~12のいずれか一項に記載される、より軟らかい終点検出窓を製造するための反応混合物において、高分子ジオール(B)(i)は、分子量800~1,500、又は好ましくは900~1,250を有するポリエーテルジオールを含む。このように比較的高い分子量を有するポリエーテルジオール(B)(i)は、それに由来する終点検出窓の柔軟性を保証するのに役立ち、こうしてショアA硬度(ASTM D2240-15)40~80を有する軟質CMP研磨パッドに、加工中又は加工後にその表面から膨らんだり窪んだりしない終点検出窓を提供することを可能にする。
【0042】
本発明の終点検出窓はそれ自体、成形されたCMP研磨パッド内で透明注型ポリウレタンのロッド又はプラグであってもよい。ロッド又はプラグは、CMP研磨パッド内に挿入成形されてもよく(即ち、「一体型窓(integral window)」)、又は軟質若しくは低Tgの終点検出窓の場合には、成形作業後の研磨パッドの切り欠きにはめ込まれてもよい(即ち、「差し込み型窓(plug in place window)」)。したがって、本発明の硬質終点検出窓は、好ましくは一体型窓法により製造されるが、一方で本発明の軟質終点検出窓は、一体型窓として、又は差し込み型窓として製造され得る。
【0043】
本発明において、一体型窓法による硬質(≧40ショアD)又は軟質(≦85ショアA)終点検出窓の形成は、以下の工程:
上記項目1~12のいずれか一項に記載される本発明による反応混合物から製造され、所望の終点検出窓の長さ及び幅寸法又は直径寸法を有する、成形された注型ポリウレタンロッド(円柱)又は矩形ブロックを提供する工程;
ポリウレタンプレポリマー及びアミン硬化剤のような、CMP研磨パッドを製造するための硬化性又は成形可能なポリマー混合物を提供する工程;
CMP研磨パッドケーキ用の型(ケーキ型)を提供する工程;
硬化性又は成形可能なポリマー混合物をケーキ型に充填する工程;
充填されたケーキ型に1つ以上の注型ポリウレタンのロッド又は円柱又はブロックを挿入して、これらをケーキの上部又は底部に垂直に配向させる工程;
注型してケーキを形成して、これをケーキ型から取り出す工程;並びに
ケーキを、注型ポリウレタンの円柱又はロッドの配向に垂直な方向に、所望のCMP研磨パッドの厚さまでスカイビングする工程
を含む。
【0044】
本発明において、スカイビングは終点検出窓材料のTg又はその近辺で行われる。
【0045】
本発明は、本発明のCMP研磨パッドの製造方法であって、
研磨表面を有するCMP研磨層を提供する工程;
これとは別に、上記1~12のいずれか一項に記載の本発明の反応混合物から終点検出窓を形成する工程;
終点検出窓を研磨層と接合させて、ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供する工程を含む方法であって、
終点検出窓が、一体型窓若しくは差し込み型窓であるか、又は所望の寸法を達成するために成形された窓である方法を提供する。
【0046】
好ましくは、差し込み型(PIP)軟質(低Tg)終点検出窓を形成するために、終点検出窓の形成は、以下の工程:
本発明の反応混合物を提供する工程;
成形する工程であって、
(i)本発明の反応混合物を成形し、次に得られた成形品を所望の厚さ0.5~3.0mm、又は好ましくは0.5~2.0mmとなるようにスカイビングするか;
(ii)所望の厚さ0.5~3.0mm、又は好ましくは0.5~2.0mmと所望の輪郭が得られるように成形するか、あるいは
(iii)所望の厚さ0.5~3.0mm、又は好ましくは0.5~2.0mmに成形し、注型ポリウレタンを所望の輪郭形状に打ち抜くか又は穴を開けるか、
のいずれかであってよい成形する工程によって、各終点検出窓を形成する工程;
これとは別に、適切なポリマー材料(ポリイソシアネートプレポリマー及び芳香族ジアミンなど)を成形してCMP研磨パッドを形成する(本発明のポリマー(ポリウレタンなど)CMP研磨パッドを形成する)工程;
終点検出窓の輪郭と同じサイズか又はわずかに大きいCMP研磨パッドに凹部領域、隙間、又は開口部を切り出すか又は形成する工程;並びに
CMP研磨パッドの凹部領域又は開口部に終点検出窓を組み込む工程
を含むことができる。
【0047】
硬質窓は、所望の厚さ0.5~3.0mm、又は好ましくは0.5~2.0mmを有する注型成形品として、窓材料を打ち抜くか又は穴を開けることを可能にするのに充分な温度、例えば、そのTg以上の温度に窓材料が加熱されれば、PIP法により形成することができる。
【0048】
一般に、本発明の終点検出窓を形成するための注型において、成形工程の前に反応混合物に真空を適用して、細孔又は気泡の形成を排除又は防止する。
【0049】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、サブパッドのような、研磨層と接合した少なくとも1つの追加の層を更に含むことができる。追加の層は、CMP研磨パッドの研磨層よりわずかに小さい開口部又は隙間を有することができるが、これは、そこに終点検出窓が静止して接合できるシェルフを提供しながら、光学的検出を可能にするために、研磨層中の穴、隙間、又は開口部と同心であるか又は同じ中心点を有する。好ましくは、研磨層は、接着剤を用いて少なくとも1つの追加の層と接合される。接着剤は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、コンタクト接着剤及びこれらの組合せから選択することができる。好ましくは、接着剤はホットメルト接着剤又は感圧接着剤である。更に好ましくは、接着剤はホットメルト接着剤である。
【0050】
本発明において、基板を研磨する方法は、以下の工程:
磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を提供する工程;
上記項目1~12のいずれか一項に記載の終点検出窓を有するケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドを提供する工程;
CMP研磨パッドの研磨層の研磨表面と基板との間に動的接触を起こして、基板の表面を研磨する工程;及び
砥粒コンディショナーにより研磨パッドの研磨表面をコンディショニングする工程
を含む。
【0051】
更に詳しくは、本発明は、基板を研磨する方法であって、
プラテン、光源及び光センサーを有するケミカルメカニカルポリッシング装置を提供する工程;
少なくとも1つの基板を提供する工程;
上記1~12のいずれか一項に記載のケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供する工程;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドをプラテン上に設置する工程;
場合により、研磨表面と基板との間の界面に研磨媒体を提供する工程;
研磨表面と基板との間に動的接触を起こし、基板から少なくとも一部の材料を除去する工程;及び
終点検出窓を通して光源から光を送り、基板の表面から反射され終点検出窓を通って戻り、光センサに入射する光を分析することによって、研磨終点を決定する工程を含む方法を提供する。
【0052】
本発明によれば、終点検出窓を使用する方法は具体的には、終点検出窓を通ってCMP研磨パッドを介して光線で基板を照射し、そして光線の反射により生成される干渉信号をモニターすることにより、研磨の終点を検出する方法である。光線としては、例えば、白色LED又は波長300~800nmのハロゲンランプ若しくは重水素ランプを用いた白色光が、一般に用いられる。このような方法では、ウェーハの表面層の厚さの変化のモニタリングにより、表面の凹凸のおよその深さを知ることにより、終点が決定される。このような厚さの変化が凹凸の厚さに等しくなると、CMP工程が終了する。したがって、終点検出窓を通して光源から光を送り、基板の表面から反射され終点検出窓を通って戻り、光センサに入射する光を分析することにより、CMP研磨終点を決定する。このような光学手段による研磨終点の検出方法及び本方法に使用される研磨パッドとしては、種々の方法及び研磨パッドが提案されている。
【0053】
研磨中、光線は窓を通ってウェーハ表面に向けられ、そこで光は反射し、窓を通って検出器(例えば、分光光度計)に戻る。戻り信号に基づいて、基板表面の特性(例えば、その上の膜の厚さ)を、終点検出のために決定することができる。
【0054】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するのに適した研磨表面を有する。好ましくは、研磨表面は、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を研磨するように適合させる。更に好ましくは、研磨表面は、半導体基板を研磨するように適合させる。
【0055】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、好ましくは、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、EPDM、及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含むポリマー材料で作られている。好ましくは、研磨層はポリウレタンを含む。当業者であれば、所与の研磨作業のためにケミカルメカニカルポリッシングパッドに使用するのに適した厚さを有する研磨層を選択することを受け容れよう。好ましくは、研磨層は、平均厚さ20~150ミル(更に好ましくは30~125ミル、最も好ましくは40~120ミル)を示す。
【0056】
好ましくは、研磨表面は、穿孔及び溝の少なくとも1つから選択されるマクロ構造を有する。穿孔は、研磨表面から研磨層の厚さの一部又は全部を通して延びることができる。好ましくは、研磨中のケミカルメカニカルポリッシングパッドの回転時に、少なくとも1つの溝が、研磨される基板の表面全体を掃引するように、溝は研磨表面に配置される。好ましくは、研磨表面は、湾曲状溝、直線状溝及びこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの溝を含むマクロ構造を有する。
【0057】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するのに適した研磨表面であって、そこに形成された溝パターンを含むマクロ構造を有する研磨表面を有する。好ましくは、溝パターンは複数の溝を含む。更に好ましくは、溝パターンは、ある溝デザインから選択される。好ましくは、溝デザインは、同心円溝(円形又は螺旋状でもよい)、湾曲状溝、斜交平行溝(例えば、パッド表面にわたってX-Y格子として配置される)、他の規則的デザイン(例えば、六角形、三角形)、タイヤ溝型パターン、不規則なデザイン(例えば、フラクタルパターン)、及びこれらの組合せからなる群より選択される。更に好ましくは、溝デザインは、ランダム溝、同心円溝、らせん溝、斜交平行溝、X-Y格子溝、六角溝、三角溝、フラクタル溝及びこれらの組合せからなる群より選択される。最も好ましくは、研磨表面には、らせん溝パターンが形成されている。溝の輪郭は、好ましくは、直線の側壁を有する矩形から選択されるか、又は溝の断面が、「V」字形、「U」字形、鋸歯、及びこれらの組合せであってもよい。
【実施例
【0058】
本発明は今や、以下の非限定的な実施例において詳細に説明される。
以下の実施例において、特に断りない限り、全ての圧力は標準圧力(101kPa)であり、そして全ての温度は周囲温度又は室温(約22~23℃)である。実施例には以下の原料を使用した:
H12MDI:メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、別名ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート;
ジオール1:平均分子量約650g/molを有する直鎖状ヒドロキシル末端脂肪族ポリカーボネートジオール、Desmophen(商標)C XP 2716として販売(Covestro AG, Leverkusen, Germany);
ジオール2:ポリエーテルジオールは、プロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させることにより製造される(ここでプロピレングリコールは開始剤として作用する)、分子量1,000(平均分子量);(Voranol(商標)220-110として販売、Dow Polyurethanes, The Dow Chemical Company, Midland, MI (Dow));
トリオール1:トリメチロールプロパン又はTMP、MW(分子量):134.17g/mol;
トリオール2:プロポキシル化トリメチロールプロパン、255MW(平均分子量);各ヒドロキシル基上のプロポキシ基の平均数、n=1、(Voranol(商標)230-660として販売(Dow Polyurethanes, Dow));
触媒1:Dabco(商標)T12 ジラウリン酸ジブチルスズ触媒、MW(分子量):631.56(Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PA);
触媒2:トリエチレンジアミン、MW(分子量):112.17(Dabco(商標)33LV Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PA);
触媒3:ネオデカン酸ビスマス、MW(分子量):722.75(Sigma Aldrich, Saint Louis, MO);
ポリイソシアネートプレポリマー:Adiprene(商標)LW 570 ポリエーテル含有ポリイソシアネートポリマーは、利用可能なイソシアネート含量(%NCO)が7.35~7.65重量%の脂肪族ジイソシアネートを用いて調製された(Chemtura Corporation, Middlebury, CT);
硬化剤:Ethacure(商標)100 アミン硬化剤は、3,5-ジエチルトルエンジアミン(Albemarle, Ltd., Baton Rouge, LA)である;そして
光安定剤:Univul(商標)3039は、シアノアクリル酸エチルヘキシルエステル(BASF Corporation, Florham Park, NJ)である。
【0059】
実施例1~5、7及び比較例6:終点検出窓を有するCMP研磨パッドの形成:以下の表1Aに示される反応混合物処方から終点検出窓を形成した。
一体型窓(IW):硬質終点検出窓(以下の表2及び3にIWとして示される)、及び幾つかの軟質終点検出窓(以下の表2において「IW」として示される)用の反応混合物を、以下の実施例1~5、7及び比較例6に示された寸法を有する円柱形又は矩形ブロック成形型で、及び成形条件下で注型した。得られた注型円柱又はブロックを、その底部及び上部の表面に垂直なケーキ型に挿入した。次に、以下の表1Bに示されるように、以下のポリイソシアネートプレポリマー及び芳香族ジアミン硬化剤のパッド形成混合物を、ケーキ型に注ぎ入れて、示される時間及び温度で示されるCMP研磨パッドを形成した。次に得られたパッドを、示される温度でステンレス鋼ブレードを用いて厚さ2mmにスカイビングした。
PIP(差し込み型窓(Plug in Place Windows)):幾つかの終点検出窓用の反応混合物から、以下の実施例1~5、7及び比較例6に示される成形条件下で、成形品を形成し、次に以下の表2に「スカイビング」と示されているように成形品をスカイビングして、所望の厚さ2.0mmを得た。これとは別に、以下の表1Bに示される時間及び温度で、ポリイソシアネートプレポリマーと芳香族ジアミン及びポリオール硬化剤とのパッド形成混合物をケーキ型中で成形して、スカイビングすることにより厚さ2mmを有する示されるCMP研磨パッドを形成した。次にCMP研磨パッドは、所望の終点検出窓寸法の隙間、穴又は開口部を形成するように打ち抜かれ、続いてその中に終点検出窓を挿入して接着する。
成形窓:以下の実施例1~5、7及び比較例6に示される幾つかの窓用の反応混合物を、以下の実施例1~5、7及び比較例6に示される条件下で厚さ2mmを有する所望の円盤形状に直接注型した。成型された円盤は、以下の表2に「円盤」として示されている。
示される数の終点検出窓を評価して、以下の表1Aに示されるように、タンデルタ及びTg(平均ピークタンデルタ)について試験した。試験した各窓又は窓を含むパッドについて示された平均UVカットオフ、%透過率及び400nm~800nmの%透過率の変化(試験回数を含む)が以下の表2に示される。更に、終点検出窓を有するCMP研磨パッドを窪み/膨れについて評価して、終点検出窓、CMP研磨パッド及びそれぞれについての試験回数によって、試験回数を含む平均結果を以下の表3に示す。
【0060】
[実施例1]
硬質終点検出窓又は硬質終点検出窓を有する硬質パッド
以下の表1Bに示される硬度を有する、以下の表1Bに示される硬質CMP研磨パッドは、ショアD硬度(2s)約80を有する3つの終点検出窓を有するように形成された。実施例1の終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から、「IW」として以下の表2に示されるように、直径12mmの直円柱型で65℃で12時間、次に110℃で12時間注型したか、又は「円盤」として以下の表2に示されるように、厚さ2mmを有する円盤として直接注型した。ブロック又は円柱として注型した場合、次に成形品をCMP研磨パッド用のCMP研磨パッド形成混合物中に挿入し、次に注型して、IW法により、以下の表1Bに示されるショアD硬度(2s)を有する示されるCMP研磨パッドを形成した。次に、得られたパッドを温度範囲75~90℃でステンレス鋼ブレードを用いて厚さ2mmまでスカイビングした。
【0061】
[実施例2]
硬質終点検出窓又は硬質終点検出窓を有する硬質パッド
表1Bに示されるCMP研磨パッドが、ショアD硬度(2s)約79を有する3つの終点検出窓を有するように形成されたことを除いて、実施例1を繰り返した。終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から、「IW」若しくは「スカイビング」として以下の表2若しくは3に示されるように、直径18mmを有する直円柱型で80℃で16時間、次に110℃で12時間注型したか、又は「円盤」として以下の表2に示されるように、厚さ2mmを有する円盤として直接注型した。ブロック又は円柱として注型した場合、次に成形品をCMP研磨パッド用のCMP研磨パッド形成混合物中に挿入し、次に注型して、IW法により、以下の表1Bに示されるショアD硬度(2s)を有する示されるCMP研磨パッドを形成した。スカイビング温度は75~90℃の範囲であった。
【0062】
[実施例3]
軟質終点検出窓又は軟質終点検出窓を有する軟質パッド
以下の表1Bに示されるCMP研磨パッドを、以下の表1Aに示されるショアA硬度を有する終点検出窓を有するように形成された軟質パッドにより置き換えたことを除いて、実施例1を繰り返した。ショアA硬度(15s)56を有する終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から、65℃で12時間、次に110℃で12時間、注型又は成形してケーキを形成するか、又は「円盤」として以下の表2に示されるように、厚さ2mmを有する円盤として直接注型した。「IW」として以下の表2又は表3に示されるようにスカイビングされる場合、注型ケーキをスカイビング(温度範囲20~35℃で)して厚さ2mmのシートを形成して窓を形成した。
【0063】
[実施例4]
軟質終点検出窓又は軟質終点検出窓を有する軟質パッド
ショアA硬度(2s)55を有する終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から、110℃で48時間注型又は成形してケーキを形成するか、あるいは「円盤」として以下の表2に示されるように、厚さ2mmを有する円盤として直接注型した。以下の表2に示されるようにスカイビングされる場合、注型ケーキをスカイビング(温度範囲20~35℃で)して厚さ2mmのシートを形成して窓を形成した。
【0064】
[実施例5]
硬質終点検出窓又は硬質終点検出窓を有する硬質パッド
以下の表1Bに示されるCMP研磨パッドを、以下の表1Aに示されるショアD硬度を有する3つの終点検出窓を有するように形成したことを除いて、実施例1を繰り返した。以下の表2に示されるようにスカイビングされる場合、又は以下の表3のIWパッドとして使用される場合、終点検出窓を、直径12mmを有する直円柱型中の以下の表1Aに示される反応混合物から、50℃で12時間、次に110℃で12時間注型した。スカイビング温度は75~90℃の範囲であった。「円盤」として以下の表2に示される場合、反応混合物を厚さ2mmを有する円盤として直接注型した。
【0065】
[比較例6]
硬質終点検出窓又は硬質終点検出窓を有する硬質パッド
以下の表1Bに示されるCMP研磨パッドを、ショアD硬度(2s)約66を有する3つの終点検出窓を有するように形成したことを除いて、実施例1を繰り返した。終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から注型し、そして「IW」には直径12mmを有する直円柱型中で95℃で22時間注型した(以下の表2及び3を参照のこと)。スカイビング温度は75~90℃の範囲であった。厚さ2mmの円盤に直接成形される場合、得られる窓は「円盤」として以下の表2に示される。
【0066】
[実施例7]
硬質終点検出窓又は硬質終点検出窓を有する硬質パッド
表1Bに示されるCMP研磨パッドを、ショアD硬度(2s)約78を有する3つの終点検出窓を有するように形成したことを除いて、実施例1を繰り返した。終点検出窓を、以下の表1Aに示される反応混合物から、直径18mmを有する直円柱型中で80℃で2時間、次に110℃で12時間、即ち、「IW」又は「スカイビング」として以下の表2又は3に示されるように注型した。ブロック又は円柱として注型した場合、次に成形品をCMP研磨パッド用のCMP研磨パッド形成混合物中に挿入し、次に注型して、IW法により、以下の表1Bに示されるショアD硬度(2s)を有する示されるCMP研磨パッドを形成した。スカイビング温度は75~90℃の範囲であった。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
上記の表2に示されるように、窓がCMP研磨パッドに組み込まれた場合であっても、本発明の終点検出窓は全て、平均UVカットオフ波長を劇的に低下させた。全ての本発明の終点検出窓はまた、波長400nm~800nmの範囲全体で%透過率の優れた低い平均デルタを与えた。成形された終点検出窓又は円盤は、最良の総合的性能を与えた。全体に優秀とは言えない光透過性能を有する本発明の終点検出窓の唯一の例は、実施例1の硬質窓であり、これが、硬質CMP研磨パッドAにおいてスカイビングされて配置されたが、このスカイビングにより窓表面にテクスチャーが生じた。このことは、そのようなスカイビングが、わずかに(10~15℃)高い温度で行われることにより、窓表面のテクスチャーが生じるのを回避した可能性があることを示唆している。
【0071】
膨れ-窪み測定は、±0.00125mmの不確実性を有する機械的表面形状測定計(profilometer)という平坦性測定ツールを使用して実施した。厚さゲージは、窓の外周又は周囲を取り囲む4つの等間隔の点の各々における窓の縁の研磨層のレベルを測定する。実施例の窓表面は、CMP研磨パッドの研磨層の表面と同一平面上にある。よって、表面形状測定計は、隣接するパッド表面のレベルに対する窓の中央の突出部又は窪みを測定する。正の値は膨れ又は突出部を示し、そして負の値は窪みを示す。許容可能な結果は、0.05mm以下の膨れ又は窪みである。結果を以下の表3に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
上記の表3に示されるように、本発明の終点検出窓は全てスカイビングに耐え、約70~80℃のより低い温度でスカイビングすれば更に良好に機能するであろう実施例5を除いて、許容し得る膨れ/窪みの結果を与えた。実施例1の終点検出窓は最も硬く、よって最高スカイビング温度を必要とする。比較例6の窓は、その光学特性が許容できないにもかかわらず、許容し得る膨れ/窪みの結果を与えた。