IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーレキャット ソシエテ アノニムの特許一覧

特許7176856循環式触媒床反応器内で硫化水素を製造する方法
<図1>
  • 特許-循環式触媒床反応器内で硫化水素を製造する方法 図1
  • 特許-循環式触媒床反応器内で硫化水素を製造する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】循環式触媒床反応器内で硫化水素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/16 20060101AFI20221115BHJP
   B01J 38/00 20060101ALI20221115BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20221115BHJP
   B01J 27/051 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C01B17/16 A
B01J38/00 301Z
B01J37/03 A
B01J27/051 M
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018086062
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2018188352
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】1753738
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512021210
【氏名又は名称】ユーレキャット ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】ピエール デュフレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ポリーヌ ガリウー
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ イタリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】エツィオ アントニーノ ヴィリャンティ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ラブリュイエール
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-192505(JP,A)
【文献】特開平01-257109(JP,A)
【文献】特開平07-000799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 17/16
B01J 38/00
B01J 37/03
B01J 27/051
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素および元素硫黄から硫化水素を製造する方法であって、以下の工程:
(a) 該硫黄を、元素周期律表の第VIB族および第VIII族からの金属より選択される、少なくとも1種の金属を含有する、金属硫化物形状にある固体触媒と、120℃~160℃の範囲の温度にて接触させる工程;
(b) 工程(a)の結果として生じる硫黄および触媒の混合物を、反応ゾーンにおいて循環させる工程であって、該混合物が、水素と接触させられ、該反応ゾーンが、150℃に等しいかまたはこれを超える該触媒の導入地点における温度、および300℃に等しいかまたはそれ未満の該触媒の放出地点における温度、および3×105 Paに等しいかまたはそれ未満の圧力を有する工程;
(c) 該触媒と、硫化水素を含むガス状流出物とを分離する工程;および
(d) 該触媒を工程(a)に再循環させる工程、
を含む前記方法。
【請求項2】
工程(a)が実施される前記温度が、130℃~150℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)中に使用される硫黄の量が、触媒の質量に対して5質量%~30質量%の硫黄相当する、請求項1または2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
工程(b)中に、前記水素が、前記反応ゾーンの全長に渡り分布している数個の地点において導入される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水素が、硫黄(S)1モルにつき、水素(H2)1~10モルいう範囲の化学量論で導入される、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応ゾーンへの前記触媒の導入口における温度が、180℃に等しいかまたはこれを超え、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応ゾーンからの前記触媒の放出口における温度が、250℃に等しいかまたはそれ未満である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記温度が、200℃±10℃という値から290℃±10℃という値まで、前記反応ゾーンに沿って増大する、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応ゾーンの内部の圧力が、3×105 Pa未満ある、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応ゾーンが、上昇型振動式螺旋コイルからなる管状反応器を含む、請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
螺旋コイルの1以上のピッチが、ジュール効果により加熱される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応ゾーンから結果として生じる前記触媒が、工程(a)中の硫黄との接触に戻される前に冷却される、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)において使用される前記反応ゾーンの下流部分が、触媒冷却ゾーンとして使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が、1種以上の耐火性無機酸化物をベースとする支持体上に堆積された、金属硫化物の形状にある、元素周期律表の第VIBおよびVIII族からの金属(1または複数)を含、請求項1~13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応ゾーンが順流式に作動し、前記固体触媒含有する固体流および前記水素を含有するガス流が、前記反応ゾーン内で同一の方向に循環する、請求項1~14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応ゾーンが向流式に作動し、前記固体触媒含有する固体流および前記水素を含有するガス流が、前記反応ゾーン内で逆方向に循環する、請求項1~14の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、移動床(または循環床)の状態にある触媒を使用する連続法による、元素硫黄および水素からの硫化水素の製造である。
【背景技術】
【0002】
硫化水素(H2S)は、有機硫黄化合物を調製するため等の多くの工業的方法において、または例えば(および非限定的に)精製および石油化学分野における水素化精製反応において使用される触媒を硫化するため等の硫化処理において使用される化学的中間体である。
硫化水素は、それ自体公知の方法で、液体またはガス状態にある元素硫黄と水素とを、任意に水素化金属(hydrogenating metal)をベースとする触媒の存在下で、反応させることにより製造し得る。工業的方法は、とりわけ該反応が極めて高い発熱性であることが知られていることから、しばしば高温にて行われる。
硫化水素の満足な収率を達成するためには、上記反応を高圧にて実施し、および/または化学量論的に過剰量の硫黄を使用することがしばしば必要となる。
【発明の概要】
【0003】
ところで、本出願人は、上記従来法に係る幾つかの欠点の解消を可能とする、水素および硫黄から硫化水素を製造するための革新的な方法を開発した。
本発明に従う上記方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(a) 該硫黄と、元素周期律表第VIB族および第VIII族の金属から選択される、少なくとも1種の金属を含有する、金属硫化物形状にある固体触媒とを、120℃~160℃の範囲の温度にて接触させる工程;
(b) 工程(a)から結果として生じる硫黄と触媒との混合物を、反応ゾーンに循環する工程であって、該混合物が、水素と接触させられ、該反応ゾーンが、150℃に等しいかまたはこれを超える該触媒の導入地点(inlet point)における温度、および300℃に等しいかまたはそれ未満の該触媒の放出地点(outlet point)における温度、および3×105 Pa(3 bar)に等しいかまたはそれ未満の圧力を有する工程;
(c) 該触媒と、硫化水素を含むガス状流出物とを分離する工程;および
(d) 該触媒を工程(a)に再循環させる工程。
本発明に従う上記方法は、それ故に、硫黄と接触させるためのゾーン(A)と、該硫黄および水素の硫化水素への転化が行われる反応ゾーン(B)との間のループ内で、上記触媒が循環することを特徴としている。
本発明に従う上記方法は、従来技術において一般的に使用されたものよりも低い、制御された温度および圧力条件の下で、高い収率で硫化水素を製造することを可能とする。
特に、本発明の方法は、硫黄を硫化水素に転化するための反応中の温度に係る良好な制御を可能とし、および同様に、該硫黄を上記触媒と接触させるための上記ゾーンにおける該触媒の温度を制御するために、該反応中に発生する熱の活用を可能とする。
【0004】
更に、特定の従来技術の方法とは違って、本発明の方法は、化学量論的に過剰な硫黄の使用を必要としない。本発明の方法は、第二の接触工程を実施する必要無しに、該硫黄の完全な転化を可能とする。
上記硫黄の転化が完全であることから、上記反応器の放出口におけるガス状流出物が硫黄を含むことはない。これらは、ポリスルファン化合物(即ち、H2Sn型の化合物であり、nが2~8の範囲の数である)を、全くまたは殆ど含まない。
本発明の方法において、上記反応器の放出口における上記ガス状流出物(上記の工程(c))は、少なくとも30体積%、好ましくは少なくとも50体積%、より優先的には少なくとも75体積%、および更に一層良好には少なくとも90体積%の含有率にて硫化水素を含む。質量基準で表示すると、該ガス状流出物に係る硫化水素含有率は、有利には少なくとも88質量%である。
上記反応器の放出口における上記ガス状流出物(上記工程(c))が水を全く含まず、または極めて少量で含むことは注目すべきことである。従って、該ガス状流出物の含水率は、典型的には3体積%に等しいかまたはそれ未満、または1.5質量%に等しいかまたはそれ未満である。
具体的には、本発明の方法に係る工程(a)および(b)の実行中に水の形成は全くなく、また該ガス状流出物中に随意に存在する水は、とりわけ上記反応体中(特に、上記硫黄中)に存在する水分および周囲の水分に由来するものであり得る。
本発明は、添付図面を参照しつつ、以下においてより一層詳しく説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】触媒および水素について順流式(co-current)循環とした状態で作動する、本発明の方法に従う硫化水素製造ユニットを示す。
図2】触媒および水素について向流式(countercurrent)循環とした状態で作動する、本発明の方法に従う硫化水素製造ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、それ自体公知の反応に従って元素硫黄(Sx)および水素(H2)から硫化水素を製造することを可能とし、該反応は以下のもの:
Sx + x H2 → x H2S
であって、ここで、xは6~20の範囲の整数である。
好ましくは、上記元素硫黄は、式S8を有する。
本発明に従う上記方法は固体触媒を使用しており、該触媒は、元素周期律表の第VIB族および第VIII族からの金属より選択される少なくとも1種の金属を含む。
好ましくは、上記触媒はコバルト、ニッケル、鉄、白金、パラジウム、モリブデン、タングステンおよびクロムから選択される少なくとも1種の金属を含む。
もう一つのより好ましい態様に従えば、上記触媒は、コバルトおよびニッケルより選択される第VIII族からの少なくとも一つの金属、およびモリブデンおよびタングステンより選択される第VIB族からの少なくとも一つの金属を含む。より一層好ましくは、これは、以下の金属の組合せ:CoMo、NiMo、NiW、NiCoMoの内の一つを含む。
活性であるためには、上記触媒は、その活性化された状態で使用され、即ちその表面に存在する該金属種は、金属硫化物の状態で存在する。第VIB族および第VIII族の中の1または複数の金属の硫化物に係る含有率は、一般的に該触媒の全質量に対して、10質量%~80質量%に相当する。
上記触媒は担持されていても、または担持されていなくてもよい。
【0007】
上記触媒が担持されていない場合、それは、本質的に元素周期律表の第VIBおよびVIII族からの金属を含み、該金属は、該触媒の少なくともその表面上で硫化されている。
好ましい一態様によれば、使用される上記触媒は担持されており、即ち元素周期律表の第VIBおよびVIII族からの1または複数の金属の硫化物が、1種または2種以上の耐火性無機酸化物をベースとする支持体上に存在する。該支持体を構成する該耐火性無機酸化物は、とりわけアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、ジルコニア、チタン、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物、およびこのような酸化物の混合物から選択することができる。
担持触媒の場合において、該担持触媒の、第VIB族および第VIII族からの1種または2種以上の金属の硫化物(1または複数)に係る含有率は、一般的に該触媒の全質量に対して、10質量%と30質量%との間にある。
好ましくは、上記触媒は、小さなサイズの多孔質粒子、例えばビーズ、多少とも円柱形の粒子、押出物等の状態で存在する。これは、一般的には、BET法によって測定される、100と300 m2/gとの間の比表面積、窒素吸着により測定される、0.25~1 ml/gの範囲の細孔容積を持つ。
上記本発明の方法に係るその第一工程は、120℃~160℃の範囲の温度にて、上記硫黄を上記触媒と接触させることからなっている。
この工程は、有利には結果として反応ゾーンで生じる高温触媒を接触ゾーン(A)に循環することにより実施され、該接触ゾーンにおいて上記元素硫黄は、その固体状態で導入される。
典型的には、上記硫黄および上記触媒は、上記触媒再循環ライン内で直接的に接触させられる。
【0008】
同様に、上記触媒粒子と硫黄との間の接触を最適化するように、これらの混合性を高める目的で、任意に混合デバイスを用いることが可能である。このようなデバイスの例は、振動式ベルト、回転式ドラム、連続式ミキサまたはバッチ式ミキサである。
例えば、上記触媒の流れおよび予め秤量された上記固体硫黄の流れによる同時供給を受ける、連続式ミキサを使用することができる。このようなミキサは、一般に管状デバイスからなっており、そこでは螺旋状のニーダーが回転している。
同様に、回転式ドラムを使用することもでき、該ドラムにおいて、混合すべき固体コンパウンド(solid compounds)が予備的に秤量され、また同時に該ドラム内に導入される。後者の回転は、該固体コンパウンドの均一な混合を保証する。
このような追加の混合デバイスの使用は、あくまで任意的なことである。実際に、上記接触工程が実施される温度において、上記硫黄と循環している上記触媒粒子との間の混合は、極めて迅速に起こる。
上記第一工程が実施される上記温度は、熱電対の支援により制御し得る。該温度は、120℃~160℃、およびより優先的には130℃~150℃の範囲にある。
このような温度は、上記硫黄の迅速な溶融を可能とし、かつ中程度の粘度(典型的に、8~10 cP、即ち8~10 mPa・s)を持つ液状硫黄を得ることを可能とし、この粘度は、該液状硫黄が上記触媒の細孔内に浸入することを可能とする。
【0009】
上記硫黄を溶融するのに要する熱は、上記反応ゾーン(B)から生じる高温の触媒によって与えられる。この工程が実施される温度は、上に指定された範囲内に維持されるように調節する必要がある。該温度は、本質的に上記ゾーン(A)に導入される該触媒の温度および流量に、また同様にこの同一のゾーンに送られる硫黄の温度および流量にも依存する。該反応ゾーン(B)の放出口における該触媒の温度が高過ぎる場合、この触媒の事前の冷却を、以下に記載される如く、ゾーン(A)へのその導入に先立って行うことができる。
一般的に、導入される硫黄の量は、上記接触ゾーン(A)に導入される前に秤量することにより計量される。有利な一態様によれば、これは過剰量の硫黄なしに、硫化水素要求量によりサーボ制御される。循環している触媒の量に対する導入される硫黄の量に係る質量比は、該反応の発熱度の関数として、該反応ゾーンにおける温度が、上記所望の最高温度を超えないように調節することができる。
工程(a)中に使用される硫黄の量は、好ましくは触媒の質量に対して、5質量%~30質量%の硫黄、および好ましくは該触媒の質量に対して7質量%~20質量%の硫黄に相当する。
本発明の方法に係る工程(b)は、反応ゾーン(B)または反応器内で、工程(a)から得られる硫黄と触媒との混合物を循環させることからなり、そこで該混合物は水素と接触させられ、結果として該硫黄と水素との硫化水素への転化が行われる。
本発明の方法に係る独特の一特徴は、上記硫黄の硫化水素への転化が、移動触媒床反応器、即ち一反応器であって、そこで該触媒と硫黄との混合物が、その導入口から放出口まで流動している該反応器内で行われることにある。
【0010】
水素は、この反応ゾーンに導入される。好ましくは、該水素(H2)は、該反応器の長さに渡り分配された数カ所の連続する地点にて導入される。
上記反応器に沿った数カ所の連続する地点における水素の導入は、とりわけ以下の利点をもたらす:
・これは、局所的に化学量論的に過剰な水素を用いて操作し、該水素の硫化水素への最大の転化を保証することを可能とし;
・これは、H2Sの分圧を局部的に下げ、またそれ故に上記硫黄のH2Sへの転化に及ぼすその阻害作用を制限することを可能とし;
・これは、反応熱の発散をより長いゾーンに渡り拡げ、かつ上記反応器における温度のより良好な制御の達成を可能とする。事実、該反応は、非常に高い発熱性であり、また該反応器内部の温度が局所的に400℃を超えず、および好ましくは局所的に300℃を超えないように、該温度を正確に制御することが重要である。
分子状水素の制御された導入は、その反応の極めて正確な調節を可能とし、これは、その反応器の放出口における温度を、300℃より低くおよび好ましくは250℃より低い値に維持し、またそれ故にゾーン(A)の導入口において、該触媒が、120℃と160℃との間の温度に達し得ることを可能とする。
上記水素は、典型的に、硫黄(S)1モル当たり1~10モルの水素(H2)、好ましくは硫黄1モル当たり1~2モルの水素、および更に一層優先的には硫黄1モル当たり1~1.2モルの水素という化学量論的範囲で導入される。
【0011】
特に好ましい一態様によれば、上記水素は、化学量論的に厳密に、硫黄1モルにつき1モルを超える水素(H2)にて導入され、これは、ポリスルファンの形成という危険性を制限することを可能とする。
上記反応器内部で、2つの流れ、即ち一方の固体および他方のガスが流動する:
・該固体流は、特に触媒粒子の細孔内に存在する液状硫黄との混合物としての該触媒からなっている。該触媒が該反応器を通して前進するにつれて、該硫黄は硫化水素に転化され、また該触媒の細孔は硫黄について枯渇する;
・該ガス流は、反応しなかった水素、および形成された硫化水素(H2S)を含む。該ガス混合物中の硫化水素の濃度は、該反応器内で、その第一の水素導入地点から、そのガス状流出物の放出地点まで増大する。
上記反応ゾーン(B)は、上記反応器内で、上記触媒粒子を含有する上記固体流および上記水素を含有する上記ガス流が、夫々同一の方向または逆方向の何れで循環しているかに依存して、順流式または向流式で操作し得る。
上記反応器上の上記ガス状流出物の放出地点の位置が、上記ガス/固体系の循環方向を規定する。
上記ガス状流出物の放出地点が、上記反応ゾーン(B)への上記触媒の導入地点に近接している場合、上記循環方向は、向流式であると言われる。
上記ガス状流出物の放出地点が、上記反応ゾーン(B)からの上記触媒の放出地点と近接している場合、上記循環方向は、順流式であると言われる。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、上記反応ゾーン(B)は向流式に作用し、即ち上記触媒粒子を含有する上記固体流および上記水素を含有する上記ガス流は、上記反応器内で反対方向に循環する。
好ましい循環方向は向流式であり、その理由は、これが、上記硫黄の硫化水素への迅速な完全転化の達成を可能とすることにある。実際に、転化率が最大である高温ゾーンにおいて、水素濃度は最大であり、また硫化水素濃度は最低であり、このことは運動論的により好都合であり、その理由は生成される硫化水素が、それ自体の合成反応に係る阻害剤であるからである。
同様に、上記順流式循環方向も、本発明の観点から使用可能である。この態様は、それ程好ましいものではなく、その理由は、この構成に対して、上記硫黄の硫化水素への転化に適した上記高温ゾーンでは、硫化水素の濃度が高く、また水素濃度が低いことにある。従って、その阻害作用により、該硫化水素は、該硫黄の硫化水素への転化を減速する。しかし、該硫黄の硫化水素への転化速度における減少は、上記反応器の最も高温のゾーンにおける滞留時間の増大によって補償され得る。
上記反応の発熱性のために、上記反応器に沿って、その温度は、上記触媒の該反応器への導入地点から、該反応器からの該触媒の放出地点へと、徐々に増大する。
本発明によれば、上記反応ゾーンへの上記触媒の導入口における温度は、150℃に等しいかまたはこれを超える。好ましくは、この温度は180℃に等しいかまたはこれを超え、およびより一層優先的には200℃に等しいかまたはこれを超える。
【0013】
上記反応ゾーンからの上記触媒の放出口において、その温度は300℃に等しいかまたはそれ未満、好ましくは250℃に等しいかまたはそれ未満である。
好ましい一態様によれば、工程(b)の最中に、上記反応器内の温度は、200℃と300℃との間の値に保つように調節される。
特に有利な一つの態様によれば、上記温度は、上記反応ゾーンに沿って、200℃±10℃という値から、290℃±10℃という値まで増大する。
上記反応器内の温度は、熱電対の助けを借りて、それ自体公知の方法で測定し得る。
上記反応器内の圧力は、3×105 Pa(3 bar)未満、好ましくは2×105 Pa(2 bar)未満、およびより一層優先的には1.3×105 Pa(1.3 bar)未満の値に維持される。
意外にも、本出願人は、本発明の方法が、従来技術において一般的に利用されているものよりも穏やかな、これらの温度および圧力条件下で、上記元素硫黄の全転化収率の達成を可能としたことを観測した。
特に好ましい一態様によれば、上記反応ゾーンは、上昇型振動式螺旋コイル(ascending vibrating helical coil)からなる管状反応器を含む。従って、該反応ゾーンにおいて、触媒と硫黄との混合物は、螺旋コイルに沿って上昇する。
このような反応器は、垂直軸の回りに螺旋状に巻回され、かつ少なくとも2つのピッチを含む実質上管状の形状を持つ振動するコイルからなっている。
上記コイルの断面は、優先的に円形状であり、またこの場合において該コイルは、管である。一般的に、該管は、100と300 mmとの間の直径を持つ。これは、典型的に400 mまでの範囲であり得る展開長さを持つ。
上記螺旋コイルの高さは、5~40 m、好ましくは10~20 mの範囲であり得る。
【0014】
上記コイルの立ち上がり角度(rise angle)は、1度~10度、好ましくは1~5度、およびより一層優先的には1~4度の範囲であり得る。
上記反応器は、多数のターン(turns)を有し、該ターンの数は、好ましくは15~60、より優先的には25~40の範囲にある。
典型的に、上記ターンの数は、それが、250~6,000 kg/時、好ましくは750~3,000 kg/時の範囲であり得る上記触媒の循環速度を、典型的には10~1,000 h-1、好ましくは30~100 h-1という単位時間当たりのガス空間速度(GHSV)と共に達成する能力を与えるようなものである。該触媒は、典型的に該ターンの体積の5%~80%、好ましくは10%~50%を占める。
上記コイルは、有利には金属材料製である。好ましくは、上記振動式コイルは、金属でできた、より優先的にはスチールでできた管の形を成している。
それは、例えば実質的に垂直の軸の周りの螺旋に沿って、金属製の管を付形することにより得ることができる。有利な一態様に従えば、中心のシャフトが、上記コイルによって形成された該螺旋を堅くしかつ支持することを可能とする。該コイルは、固定システムで該中心シャフトから電気的に絶縁することができる。
好ましい一態様によれば、変圧器が、50V未満の低電圧電流を、上記コイルの少なくとも一つのピッチにおいて上記螺旋形反応器に供給し、これは、上記反応器において必要とされる温度まで、ジュール効果によって該管の金属の主要部(mass)を直接加熱することを可能としている。
【0015】
特に、上記コイルの1つまたは2つ以上のピッチが、ジュール効果により、150℃と200℃との間の温度まで、特に上記反応器の底部における、触媒および硫黄の混合物の導入ゾーンにおいて加熱される。該ジュール効果の直接的な結果は、該コイルの主要部における熱の発生である。それは、熱伝達流体による間接的な加熱に比して、該コイルの中核における温度制御に関するより大きな融通性を達成することを可能とする。
上記螺旋形反応器の振動は、任意の適当なレベル、例えば上記シャフトの底部またはその上部に配置され、あるいは該コイルの回りに置かれた少なくとも一つのシステムにより引起すことができる。適当な振動システムの内でも、以下のシステムを挙げることができる:非平衡型(unbalanced)モータ、電磁バイブレータ(パルスの発生を伴って、可変サイクルにより励起される)および非平衡励起。好ましくは、該振動は、上記中心シャフト用の支持体として作用するテーブルによって生成され、および2つの非平衡型モータによって作動される。
上記触媒が、螺旋コイルの形状にある上記反応器内で上昇するにつれて、上記反応により発生する熱は、必要とされるレベルにおける該反応器の温度の維持を可能とする。同時に、該反応器の管状の壁は、該反応器に沿って該熱を均等に放出することを可能とする大きな交換領域をもたらす。
本発明の脈絡における螺旋コイル形状にある反応器の使用によってもたらされる価値ある利点の一つは、これが、本方法のパラメータの制御における極めて大きな融通性を与えるということにある。特に、上記反応の結果として生じる熱を効果的に放出することを可能とし、および/またはこれはジュール効果による該反応媒体の加熱を可能とする。従って、該反応器全体に沿った反応温度の極めて正確な制御を行って、上記元素硫黄の所望の転化度を達成することを可能とするレベルに、該温度を維持することが可能である。
【0016】
上記反応ゾーン(B)からの放出口において、上記ガス状流出物は、上記触媒粒子から分離される。これら流出物は、本質的に硫化水素から成り、また同様に、少量で水素を含む可能性がある。
この分離を改善するために、ガスと固体粒子との分離を可能とする任意の公知のデバイス、例えば1種または2種以上のサイクロン、あるいはまた1種または2種以上の静電フィルタを使用することができる。
上記反応ゾーン(B)の放出口において、その後上記触媒を上記ゾーン(A)に再循環させ、そこで該触媒を、本方法の工程(a)に従って硫黄と接触させる。
上記反応ゾーン(B)を離れる(即ち、工程(b)の終端部において)上記触媒は、一般的に最早硫黄を含まない。しかし、本発明の脈絡において、工程(b)中に達成される転化度に依存して、より多量であるいはより少量で、該触媒との混合物として硫黄が残っていることは、全く有り得ることである。この場合において、反応しなかった該残留硫黄は、硫化水素に転化されるように、本方法の工程(a)に、次いで該反応ゾーン(B)に、該触媒と共に単に再循環される。
上で論じた如く、本発明による方法は、該方法の様々な工程が行われるユニットの様々なゾーン間のループ内で上記触媒を循環することを含む。該触媒の循環速度は、典型的に250~6,000 kg/時、好ましくは500~3,000 kg/時の範囲であり得る。
本発明による方法は、有利にはこの触媒が循環するにつれて該触媒内に形成される可能性のある触媒細粒(またはダスト)を排除する工程を更に含むことができる。
【0017】
この工程は、例えば上記触媒の上記工程(a)への再循環に先立って実施することができる。これは、1または2以上のスクリーニングデバイス、例えば振動式または回転式スクリーン等に該触媒を通すことにより実施することができる。
本発明の特に有利な一態様によれば、上記反応ゾーンからの上記触媒は、工程(a)中の硫黄との接触処理に戻される前に冷却される。
事実、上記硫化水素合成反応の非常に高い発熱性のために、上記触媒によって伝達される熱量が余りに多過ぎて、上記接触ゾーン(A)の温度が160℃を超えてはならないことを考慮すれば、このゾーンへの該熱量の直接的な再導入が不可能となる。
上記触媒は、例えば熱交換器等の冷却デバイスに該触媒を通すことにより冷却することができる。このようなデバイスは、該触媒を上記硫黄と接触させるための上記ゾーン(A)と上記反応ゾーン(B)との間に設けられる。
本発明の有利な一態様によれば、工程(b)で使用される上記反応器の下流部分は、触媒冷却ゾーンとして使用し得る。上昇型振動式螺旋コイルからなる反応器の場合、この目的は、その最後のターンを冷却ゾーンとして利用することにより実現し得る。該冷却は受動的なものであり得、即ちこれらのターン内を循環する該触媒および上記反応混合物は、これらを加熱しないことにより、および該熱がその管状の壁を介して散逸し得るようにこれらを断熱しないことにより、およびその中に水素を導入しないことによって、単に冷却されるままにされる。同様に、該反応器の最後のターン内で、適切なデバイスによって、例えば該ターン上に冷却流体を通すことによる能動的な冷却を、更に実施することも可能である。
【0018】
同様に、本発明に従う上記方法は、上記分離工程(c)から結果として生じるガス状流出物を精製する工程を、生成された硫化水素を精製し、かつ存在し得るその他の化合物、例えば残留硫黄等をそこから除く目的で含むこともできる。
第一の可能な選択肢は、不純物の凝縮を可能とする冷却デバイスに、上記ガス状流出物を通過させることにある。もう一つの可能な選択肢は、1または2以上の吸着デバイス、例えばアルミナまたは別の多孔質物質を含むカラムに、該ガス状流出物を通過させることにある。
上記反応ゾーンの放出口における上記ガス流の組成は、有利には、ガスクロマトグラフィーまたは分光分析法等の公知の技術によって、インラインで測定される。該流出物の組成に係るこのようなインライン測定は、リアルタイムで、上記方法に係る様々な工程における、硫黄および水素を導入するための流れの調節を可能とする。
図1は、本発明による方法の一態様を例示しており、そこで上記反応ゾーン(B)は順流式に作動する。
本図は、硫化水素製造ユニットを表しており、そこで上記触媒は、硫黄との接触のためのゾーン(A)から反応ゾーン(B)まで、次いで該触媒と該反応の流出物とをゾーン(A)に再循環する前に分離するためのゾーン(C)まで、ループ内を循環する。
ゾーン(A)はチャンバーからなり、そこには上記触媒粒子がダクト1を通して導入され、一方上記元素硫黄はダクト2を通して導入される。該チャンバー(A)において、その温度は120℃と160℃との間の値に維持される。
上記接触ゾーン(A)における上記触媒の滞留時間は、典型的には1~20分間、好ましくは3~10分間である。
【0019】
上記チャンバー(A)を出て行く触媒と溶融硫黄との混合物は、次にダクト3によって上記反応ゾーン(B)に運ばれる。このゾーンは管状反応器からなっており、該反応器は上昇型振動式螺旋コイルからなり、そこで触媒と硫黄との混合物は上昇する。
新鮮な補充触媒は、ダクト5によって上記反応器(B)の導入口にて添加し得る。
ダクト4によって搬送される水素は、ライン4a、4bおよび4cを通して上記反応器の底部に導入される。図1に例示された態様において、この導入は、該反応器(B)の3つの地点において行われる。この態様は決して限定するものではなく、水素の導入が、該反応器の1または2以上の地点において行い得ることに注意すべきである。
上記反応器(B)において、その温度は、150℃を超えるその底部における導入口温度、および300℃未満のその上部における放出口温度を維持するように制御される。該反応器の圧力は、約0.3 MPa(3 bar)未満である。
上記反応温度を十分な値に維持するために、上記反応器の上流ゾーンB1は、そのコイルの1または2以上のピッチにおいて、該ゾーンに低電圧電流(図示せず)を供給することにより、ジュール効果により加熱される。
任意的に、上記反応器(B)の下流ゾーンB2において、上記触媒および上記ガス状流出物の冷却を開始し得るように、上記コイルのターンは加熱されず、かつ最早水素の導入もない。
上記反応ゾーン(B)における上記触媒の滞留時間は、典型的には5~120分間、好ましくは10~40分間である。
【0020】
上記反応器(B)の放出口において、上記触媒および上記ガス状流出物は、該触媒および該ガス状流出物を分離するためのユニット(C)に送られる。
次に、上記触媒粒子は、ダクト7を通して随意のスクリーニングデバイス11に送られ、該デバイスは随意に存在する該触媒の細粒(またはダスト)を、上記工程から排除することを可能とし、該触媒の細粒はライン12を通して放出される。次に、該触媒は、ライン1を通して、硫黄と接触させるための上記ゾーン(A)に再循環される。
熱交換機として作用する上記ゾーンB2のターン、次いで上記セパレータ(C)および最終的に上記スクリーン11を通過する間に、上記触媒粒子は、上記接触ゾーン(A)へのその再導入を可能とする適切な温度まで徐々に冷却され、該ゾーン(A)においてその温度は、160℃を超えてはならない。
結果として上記セパレータ(C)から生じる上記ガス状流出物は、次いでライン6を通して随意の分離デバイス8、例えば固体コールドトラップ(solid cold trap)、フィルタまたはサイクロン等に送られる。
このようにして生成される硫化水素は、ライン9によって回収される。
任意的に、インライン分析デバイス10は、生成された硫化水素の量を決定し、かつその結果として、点線のフィードバックライン13および14で描写されているように、導入される水素および硫黄の各量を調節することを可能とする。
【0021】
図2は、本発明による上記方法の好ましい一態様を表しており、そこにおいてその反応ゾーン(B)は向流式に動作する。
本図は、硫化水素の製造ユニットを表しており、そこにおいてその触媒は、硫黄との接触のためのゾーン(A)から反応ゾーン(B)までのループ内で循環する。
この方法の説明は図1に関するものと同一であり、その参照番号は同一の要素を示す。
これらの間の違いは、以下の通りである:
ダクト4'により搬送される水素は、上記反応器の上部に、そのライン4'a、4'bおよび4'cを通して導入される。
上記触媒および上記反応流出物の分離は、上記反応器の底部において、その分離ゾーン(C’)内で行われる。硫化水素は、ライン6’を通して回収され、かつライン9’により放出される。
精製用8'、分析用10'、および水素13’および硫黄14’の量をフィードバックするための随意のデバイスは、図1について記載された、対応するデバイス8、10,13および14と同一である。

本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕水素および元素硫黄から硫化水素を製造する方法であって、以下の工程:
(a) 該硫黄を、元素周期律表の第VIB族および第VIII族からの金属より選択される、少なくとも1種の金属を含有する、金属硫化物形状にある固体触媒と、120℃~160℃の範囲の温度にて接触させる工程;
(b) 工程(a)の結果として生じる硫黄および触媒の混合物を、反応ゾーンにおいて循環させる工程であって、該混合物が、水素と接触させられ、該反応ゾーンが、150℃に等しいかまたはこれを超える該触媒の導入地点における温度、および300℃に等しいかまたはそれ未満の該触媒の放出地点における温度、および3×10 5 Paに等しいかまたはそれ未満の圧力を有する工程;
(c) 該触媒と、硫化水素を含むガス状流出物とを分離する工程;および
(d) 該触媒を工程(a)に再循環させる工程、
を含む前記方法。
〔2〕工程(a)が実施される前記温度が、130℃~150℃の範囲にある、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕工程(a)中に使用される硫黄の量が、触媒の質量に対して5質量%~30質量%の硫黄、好ましくは触媒の質量に対して7質量%~20質量%の硫黄に相当する、前記〔1〕または〔2〕の何れかに記載の方法。
〔4〕工程(b)中に、前記水素が、反応器の全長に渡り分布している数個の地点において導入される、前記〔1〕~〔3〕の何れか1項に記載の方法。
〔5〕前記水素が、硫黄(S)1モルにつき、水素(H 2 )1~10モル、好ましくは硫黄1モルにつき水素1~2モル、更に一層優先的には硫黄1モルにつき水素1~1.2モルという範囲の化学量論で導入される、前記〔1〕~〔4〕の何れか1項に記載の方法。
〔6〕前記反応ゾーンへの前記触媒の導入口における温度が、180℃に等しいかまたはこれを超え、より一層優先的には200℃に等しいかまたはこれを超える、前記〔1〕~〔5〕の何れか1項に記載の方法。
〔7〕前記反応ゾーンからの前記触媒の放出口における温度が、250℃に等しいかまたはそれ未満である、前記〔1〕~〔6〕の何れか1項に記載の方法。
〔8〕前記温度が、200℃±10℃という値から290℃±10℃という値まで、前記反応ゾーンに沿って増大する、前記〔1〕~〔7〕の何れか1項に記載の方法。
〔9〕前記反応器内部の圧力が、3×10 5 Pa未満、好ましくは2×10 5 Pa未満、更に一層優先的には1.3×10 5 Pa未満である、前記〔1〕~〔8〕の何れか1項に記載の方法。
〔10〕前記反応ゾーンが、上昇型振動式螺旋コイルからなる管状反応器を含む、前記〔1〕~〔9〕の何れか1項に記載の方法。
〔11〕前記反応器の前記コイルの1以上のピッチが、ジュール効果により加熱される、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記反応ゾーンから結果として生じる前記触媒が、工程(a)中の硫黄との接触に戻される前に冷却される、前記〔1〕~〔11〕の何れか1項に記載の方法。
〔13〕工程(b)において使用される前記反応器の下流部分が、触媒冷却ゾーンとして使用される、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記触媒が、1種以上の耐火性無機酸化物をベースとする支持体上に堆積された、金属硫化物の形状にある、元素周期律表の第VIBおよびVIII族からの金属(1または複数)を含み、第VIBおよびVIII族からの1または複数の金属の硫化物(1または複数)の含有率が、好ましくは、該触媒の全質量に対して10質量%と30質量%との間にある、前記〔1〕~〔13〕の何れか1項に記載の方法。
〔15〕前記反応ゾーンが順流式に作動し、前記触媒粒子を含有する固体流および前記水素を含有するガス流が、前記反応器内で同一の方向に循環する、前記〔1〕~〔14〕の何れか1項に記載の方法。
〔16〕前記反応ゾーンが向流式に作動し、前記触媒粒子を含有する固体流および前記水素を含有するガス流が、前記反応器内で逆方向に循環する、前記〔1〕~〔14〕の何れか1項に記載の方法。
図1
図2