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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】トレイ及びトレイのブランク
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65D5/22 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018095631
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019199287
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】牧内 隆文
(72)【発明者】
【氏名】東 則嘉
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳生
(72)【発明者】
【氏名】高比良 仁司
(72)【発明者】
【氏名】植月 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111176(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01209086(EP,A1)
【文献】登録実用新案第3168671(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02656591(FR,A1)
【文献】特開2016-130135(JP,A)
【文献】米国特許第03968923(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1辺と、前記第1辺と交差するように延びる第2辺とを有する底壁と、
前記第1辺に立設された単層構造の第1側壁と、
前記第2辺に立設された二層構造の第2側壁と、
前記底壁に対して前記第1側壁と前記第2側壁を立設状態に保持した保持部と
を備え、
前記第2側壁は、
前記底壁に連設された外板と、
前記底壁が延びる方向に沿って前記外板の先端から内方へ延びる縁板と、
前記縁板の先端から前記底壁に向けて延び、前記外板の内側に配置された内板と
を有し、
前記保持部は、
前記第2側壁の前記外板に連設され、前記第1側壁の外側に配置された外側保持板と、
前記第1側壁の上端を覆うように、前記外側保持板の上端から前記底壁が延びる方向に沿って内方へ延びた桟板と、
前記桟板の前記外側保持板と反対側の先端縁部から前記底壁に向けて延び、前記第1側壁に対して内側に配置された内側保持板と
を有し、
前記桟板の前記先端縁部は、前記第2側壁から離れるに従って前記第1側壁に近付くように、前記第1側壁に対して交差する方向に延び、
前記内側保持板は、前記第2側壁側の縁に連設された第1の折込板を有し、
前記第1の折込板は、前記第2側壁の前記内板と前記外板との間に配置され、
前記第1の折込板と前記内板とは、分離されている、トレイ。
【請求項2】
前記内側保持板は、前記桟板の前記先端縁部の前記第1側壁側の端から前記底壁に向けて延びる側端部を有し、
前記内側保持板の前記側端部は、前記第1側壁と接している、請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記内側保持板は、前記第1側壁から離れるように延びる前記内側保持板の法線が、前記底壁が延びる方向に沿って延びるように、前記底壁に対して直交する平面に沿って延びる、請求項1又は2に記載のトレイ。
【請求項4】
前記内側保持板は、前記第1側壁から離れるように延びる前記内側保持板の法線が、前記先端縁部から前記底壁に向かって延びるように、前記底壁に対して傾斜して延びる、請求項1又は2に記載のトレイ。
【請求項5】
前記第1側壁には、前記保持部の前記外側保持板と前記内側保持板との間に配置された支持板が連設されており、
前記支持板は、前記第1側壁の先端から前記内側保持板に向けて延びる、請求項1から4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項6】
前記第1側壁には、前記第2側壁の前記外板と前記内板との間に配置された第2の折込板が連設されており、
前記第2の折込板には、前記第2側壁の前記外板と前記内板の間に配置された、突出板が連設されており、
前記突出板は、前記第2の折込板の先端から前記内板に向けて延びる、請求項1から5のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項7】
第1辺と、前記第1辺と交差する方向に延びる第2辺とを有する底壁と、
前記第1辺に連設された第1側壁と、
前記第2辺に連設された第2側壁と、
前記底壁に対して前記第1側壁と前記第2側壁を立設状態に保持するための保持部と
を備え、
前記第2側壁は、
前記第2辺に連設された外板と、
前記外板の先端に連設された縁板と、
前記縁板の先端に連設された内板と
を有し、
前記保持部は、
前記第2側壁の前記外板に連設され、前記第1側壁と同じ向きに延びる外側保持板と、
前記外側保持板に連設され、前記外側保持板が延びる向きに対して傾斜して延びる先端縁部を有する桟板と、
前記桟板の前記先端縁部に連設された内側保持板と
を有し、
前記内側保持板は、前記第2側壁側の縁に連設された第1の折込板を有し、
前記第1の折込板と前記内板とは、分離されている、トレイのブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ及びトレイのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、底壁の4つの辺に側壁をそれぞれ立設したトレイが開示されている。4枚の側壁のうち、互いに対向する一対の第1側壁は単層構造で構成され、互いに対向する一対の第2側壁は二層構造で構成されている。第2側壁は、外板、縁板、及び内板を有し、縁板によって外板と内板が所定間隔をあけて配置されている。また、第2側壁には、第1側壁と第2側壁を底壁に対して立設状態に保持するための保持部が連設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-127434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトレイは、第1側壁が単層構造であり、第1側壁の厚みが薄いため、トレイを積み重ねる際の安定性が低い。具体的には、下側のトレイと上側のトレイとの位置がずれると、上側のトレイが下側のトレイ内に落ち込む可能性がある。
【0005】
本発明は、トレイを積み重ねる際の安定性の向上を図れるトレイ及びトレイのブランクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、第1辺と、前記第1辺と交差するように延びる第2辺とを有する底壁と、前記第1辺に立設された単層構造の第1側壁と、前記第2辺に立設された二層構造の第2側壁と、前記底壁に対して前記第1側壁と前記第2側壁を立設状態に保持した保持部とを備え、前記第2側壁は、前記底壁に連設された外板と、前記底壁が延びる方向に沿って前記外板の先端から内方へ延びる縁板と、前記縁板の先端から前記底壁に向けて延び、前記外板の内側に配置された内板とを有し、前記保持部は、前記第2側壁の前記外板に連設され、前記第1側壁の外側に配置された外側保持板と、前記第1側壁の上端を覆うように、前記外側保持板の上端から前記底壁が延びる方向に沿って内方へ延びた桟板と、前記桟板の前記外側保持板と反対側の先端縁部から前記底壁に向けて延び、前記第1側壁に対して内側に配置された内側保持板とを有し、前記桟板の前記先端縁部は、前記第2側壁から離れるに従って前記第1側壁に近付くように、前記第1側壁に対して交差する方向に延びる、トレイを提供する。
【0007】
この構成によれば、トレイを上下に積み重ねる際に、上側のトレイの底壁が下側のトレイの桟板に支持されることで、第1側壁が単層構造であっても、上側のトレイと下側のトレイの位置のずれを許容できる。このため、トレイを上下に積み重ねる際に、上側のトレイと下側のトレイの位置が多少ずれた場合であっても、上側のトレイが下側のトレイに落ち込まないので、トレイの安定性を向上できる。
【0008】
前記内側保持板は、前記桟板の前記先端縁部の前記第1側壁側の端から前記底壁に向けて延びる側端部を有していてもよく、前記内側保持板の前記側端部は、前記第1側壁と接していてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1側壁と内側保持板の側端部とが、間隔を開けることなく配置されているため、内側保持板の側端部が第1側壁から離間して配置されている場合と比較して、側端部によってトレイの内部に収容される物品が傷付くことを抑制できる。
【0010】
前記内側保持板は、前記第1側壁から離れるように延びる前記内側保持板の法線が、前記底壁が延びる方向に沿って延びるように、前記底壁に対して直交する平面に沿って延びていてもよい。
【0011】
この構成によれば、内側保持板が底壁に対して直交する平面に沿って延びているため、トレイを上下に積み重ねる際に、トレイに加わる上下方向の荷重に対する圧縮強度を確保できる。
【0012】
前記内側保持板は、前記第1側壁から離れるように延びる前記内側保持板の法線が、前記先端縁部から前記底壁に向かって延びるように、前記底壁に対して傾斜して延びていてもよい。
【0013】
この構成によれば、内側保持板は、内側保持板の法線が、第1側壁と反対側に向かって、底壁に向かって延びるように、底壁に対して傾斜して延びているため、物品を収容するための空間は、底壁に近付くにつれて広くなる。このため、保持部に上側保持板を設けた場合であっても、物品を収容するための空間の減少を抑制できる。
【0014】
前記第1側壁には、前記保持部の前記外側保持板と前記内側保持板との間に配置された支持板が連設されていてもよく、前記支持板は、前記第1側壁の先端から前記内側保持板に向けて延びていてもよい。
【0015】
この構成によれば、保持部の外側保持板と内側保持板の間に支持板が配置されており、支持板が内側保持板に向けて延びているため、支持板を介して内側保持板が外側保持板に支持されている。このため、支持板によって内側保持板の外側保持板に近付く方向の移動が規制されるので、外側保持板と内側保持板との間隔を保持でき、トレイ内部に物品を安定状態で収容できる。
【0016】
前記第1側壁には、前記第2側壁の前記外板と前記内板の間に配置された、突出板が連設されていてもよく、前記突出板は、前記第1側壁の先端から前記内板に向けて延びていてもよい。
【0017】
この構成によれば、第2側壁の外板と内板の間に突出板が配置されており、突出板が内板に向けて延びているため、突出板を介して内板が外板に支持されている。このため、突出板によって内板の外板に近付く方向の移動が規制され、外板と内板との間隔を保持でき、トレイ内部に物品を安定状態で収容できる。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1辺と、前記第1辺と交差する方向に延びる第2辺とを有する底壁と、前記第1辺に連設された第1側壁と、前記第2辺に連設された第2側壁と、前記底壁に対して前記第1側壁と前記第2側壁を立設状態に保持するための保持部とを備え、前記第2側壁は、前記第2辺に連設された外板と、前記外板の先端に連設された縁板と、前記縁板の先端に連設された内板とを有し、前記保持部は、前記第2側壁の前記外板に連設され、前記第1側壁と同じ向きに延びる外側保持板と、前記外側保持板に連設され、前記外側保持板が延びる向きに対して傾斜して延びる先端縁とを有する桟板と、前記桟板の前記先端縁部に連設された内側保持板とを有する、トレイのブランクを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トレイを積み重ねて配置する際の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るトレイの斜視図。
図2】第1実施形態に係るトレイの平面図。
図3図2のIII-III線断面図。
図4図2のIV-IV線断面図。
図5図1のトレイを上下に積み重ねた状態を示す斜視図。
図6図1のトレイのブランクの平面図。
図7】段ボールシートの断面図。
図8】段ボールシートに形成した汎用罫線を示す断面図。
図9】段ボールシートに形成した逆罫線を示す断面図。
図10】段ボールシートに形成した切断線を示す断面図。
図11図1のトレイを組み立てる際の一工程を示す斜視図。
図12図1のトレイを組み立てる際の他の一工程を示す斜視図。
図13図1のトレイを組み立てる際の他の一工程を示す斜視図。
図14図1のトレイを組み立てる際の他の一工程を示す斜視図。
図15】第1実施形態の変形例に係るトレイの斜視図。
図16】第2実施形態に係るトレイの斜視図。
図17】第2実施形態に係るトレイの図3と同様の断面図。
図18】第2実施形態に係るトレイの図4と同様の断面図。
図19】第2実施形態のトレイのブランクの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1から図5は、本発明の第1実施形態に係るトレイ10を示す。トレイ10は、互いに対向する一対の第1側壁16が単層構造で構成され、互いに対向する一対の第2側壁19が二層構造(二重壁)で構成されている。また、トレイ10は、第1側壁16と第2側壁19を立設状態に保持するための保持部32を備えている。本発明は、図5に示すように、トレイ10を上下に積み重ねる際に、上側のトレイ10が下側のトレイ10の内側に落ち込み難くなるように、上側保持板(桟板)35を保持部32に設けたものである。
【0023】
本実施形態のトレイ10は、図6に示すブランク10’から組み立てられる。ブランク10’は、紙製の段ボールシート1(図7から図10に示す)が周知の紙器打抜装置によって打ち抜かれることで形成される。以下の説明において、図6の上下方向及び左右方向をそれぞれブランク10’の縦方向、及び横方向という場合がある。
【0024】
図7を参照すると、段ボールシート1は、表ライナ2及び裏ライナ3の間に波状の中しん4を配設した構成である。図8を参照すると、図6中の一点鎖線は、肉厚を圧縮するように裏ライナ3の方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図9を参照すると、図6中の二点鎖線は、肉厚を圧縮するように表ライナ2の側から罫を入れて形成した逆罫線である。図10を参照すると、図6中の実線は、表ライナ2から裏ライナ3にかけて刃を入れて形成した切断線、又は打ち抜きによる形状線(縁)である。
【0025】
図1及び図2に示すように、トレイ10は、四角形状の底壁12を備える。この底壁12の互いに対向する一対の第1辺12aには、汎用罫線からなる折曲線17を介して長方形状の第1側壁16がそれぞれ立設されている。また、底壁12の互いに対向する一対の第2辺12bには、長方形状の第2側壁19がそれぞれ立設されている。2枚の第1側壁16の上端と2枚の第2側壁19の上端とで、開口11が画定されている。底壁12に沿う方向の第1側壁16の全長は、第2側壁19の全長よりも長い。
【0026】
図6を参照すると、2枚の第1側壁16のうち、一方は底壁12からブランク10’の縦方向の一方側(図6における上向き)に突出し、他方は底壁12からブランク10’の縦方向の他方側(図6における下向き(逆向き))に突出している。また、2枚の第2側壁19のうち、一方は底壁12からブランク10’の横方向の一方側(図6における左向き)に突出し、他方は底壁12からブランク10’の横方向の他方側(図6における右向き(逆向き))に突出している。
【0027】
図1から図3を参照すると、第2側壁19は、それぞれ長方形状の外板20、縁板22、及び内板24を備える。
【0028】
図3に最も明瞭に示すように、外板20は、底壁12の第2辺12bに汎用罫線からなる折曲線21を介して連設されている。外板20は、外板20が底壁12に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線21で折り曲げられることで、底壁12に対して第1側壁16と同じ向きに突出している。折曲線21は、底壁12と第1側壁16との間の折曲線17に対して直交する方向に延びている。
【0029】
縁板22は、汎用罫線からなる折曲線23を介して外板20の上端(先端)に連設されている。縁板22は、縁板22が外板20に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線23で折り曲げられることで、底壁12が延びる方向に沿ってトレイ10の内方へ突出している。折曲線23は、底壁12と外板20の折曲線21に対して平行に延びている。
【0030】
内板24は、汎用罫線からなる折曲線25を介して縁板22の内端(先端)に連設されている。内板24は、内板24が縁板22に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線25で折り曲げられることで、外板20に対して平行に延びて外板20の内側に配置されている。折曲線25は、外板20と縁板22の間の折曲線23に対して平行に延びている。
【0031】
図3図6を併せて参照すると、底壁12側に位置する内板24の先端には、2個の係止片26,26が突設されている。底壁12には、底壁12と外板20の間の折曲線21に沿って、係止片26をそれぞれ係止する係止孔13が打ち抜きにより形成されている。ブランク10’の横方向(図6において左右方向)の係止孔13の幅は、縁板22の両側の折曲線23,25間の幅と概ね同じである。係止孔13は、トレイ10を積み重ねて配置する際の位置決め孔の機能を兼ね備える。
【0032】
図1から図3を参照すると、第2側壁19には、係止孔13に挿入される2個の位置決め突起27,27が設けられている。位置決め突起27は、折曲線25が延びる方向に直交する断面において、三角形状の外形を有しており、第2側壁19の上端(縁板22)から上側に突出している。
【0033】
図6を参照すると、本実施形態のブランク10’には、外板20から内板24にかけて設けられた平行な2本の切断線28,28が設けられており、これにより位置決め突起27が形成される。これら切断線28,28間には、縁板22の両側の折曲線23,25は形成されていない。外板20上に位置する切断線28,28の端部間と、内板24上に位置する切断線28,28の端部間には、汎用罫線からなる折曲線29,29がそれぞれ設けられている。また、切断線28,28間の中間部分には、縁板22の両側の折曲線23,25間に位置し、切断線28,28の一方から他方にかけて延びるように、汎用罫線からなる折曲線30が設けられている。
【0034】
図1から図4を参照すると、第2側壁19の両端には、第1側壁16と第2側壁19を立設状態に保持するための保持部32がそれぞれ設けられている。保持部32は、第2側壁19に連設されており、第1側壁16の外側に配置された外側保持板33と、第1側壁16の上側に配置された上側保持板(桟板)35と、第1側壁16の内側に配置された内側保持板37とを備える。また、図3に示すように、保持部32は、第2側壁19の外板20と内板24の間に配置された第1の折込板40を備える。
【0035】
図1を参照すると、外側保持板33は台形状であり、汎用罫線からなる折曲線34を介して第2側壁19の外板20に連設されている。折曲線34は、底壁12が備える第1辺12a(折曲線17)と第2辺12b(折曲線21)に対して直交する方向に延びている。外側保持板33は、外側保持板33が外板20に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線34で折り曲げられることで、第1側壁16に沿うように第1側壁16の外側に配置されている。
【0036】
図6のブランクを参照すると、1枚の外板20に連設された一対の外側保持板33は、底壁12に対して第1側壁16が突出する向きと同じ向きに突出している。つまり、一対の外側保持板33のうち、一方が外板20から縦方向の一方側(図6において上向き)に突出し、他方が外板20から縦方向の他方側(図6において下向き)に突出している。
【0037】
図1図2及び図4を併せて参照すると、上側保持板35は、平面視で略三角形状であり、汎用罫線からなる折曲線36を介して外側保持板33の上端に連設されている。折曲線36は、底壁12と第1側壁16との間の折曲線17に対して平行に延びている。上側保持板35は、上側保持板35が外側保持板33に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線36で折り曲げられることで、底壁12が延びる方向に沿って内方に突出して、第1側壁16の上端を覆っている。また、上側保持板35の外側保持板33と反対側の先端縁部35aは、第2側壁19から離れるに従って、第1側壁16に近付くように、第1側壁16に対して交差する方向に延びている。
【0038】
図6のブランク10’を参照すると、上側保持板35は、折曲線36に対して交差する方向に延びている。上側保持板35の先端縁部35aは、ブランク10’の縦方向(図6における上下方向)に対して傾斜するように延びる。具体的には、上側保持板35の先端縁部35a(後述する折曲線38)は、ブランク10’の縦方向の外側かつ横方向の内側に延びている。
【0039】
図1及び図4を併せて参照すると、内側保持板37は、矩形状であり、汎用罫線からなる折曲線38を介して上側保持板35の先端縁部35aに連設されている。つまり、内側保持板37は、上側保持板35を介して、外側保持板33に連設されている。前述したように、折曲線38(上側保持板35の先端縁部35a)は、第2側壁19から離れるに従って、第1側壁16に近付くように、第1側壁16に対して交差する方向に延びている。内側保持板37は、内側保持板37が上側保持板35に対して直交するように、ブランク10’(図6に示す)が折曲線38で折り曲げられることで、底壁12に向けて延びるとともに、第1側壁16の内側に配置されている。言い換えると、図1から4に示すように、第1側壁16から離れるように延びる内側保持板37の法線Nは、底壁12が延びる方向に沿って延びている。図3の法線N1、及び図4の法線N2は、それぞれの断面における法線Nの面内成分を示す。内側保持板37は、底壁12と当接することで、上側保持板35を支持している。
【0040】
また、図1から図3を参照すると、内側保持板37は、上側保持板35の先端縁部35aの第1側壁16側の端から底壁12に向けて延びた側端部37aを有しており、側端部37aは、第1側壁16に接している。すなわち、第1側壁16と内側保持板37の側端部37aとは、間隔を開けることなく配置されており、側端部37aから第2側壁19に近付くに従って、第1側壁16と内側保持板37との間隔が広くなっている。また、図3に明瞭に示すように、本実施形態の側端部37aは、底壁12に対して直交する方向に延びている。
【0041】
内側保持板37の先端は、底壁12の上面に位置しており、この先端に係止片39が突設されている。底壁12には、係止片39を係止するための係止孔14が打ち抜きにより形成されている。
【0042】
図6を参照すると、ブランク10’において、内側保持板37は、折曲線38に対して直交する方向に、上側保持板35から外側保持板33とは反対側に向けて突出している。つまり、内側保持板37は、縦方向の外側かつ横方向の外側に向かって延びている。また、内側保持板37の側端部37aは、折曲線38に対して概ね直角に延びている。本実施形態の内側保持板37の側端部37aは、第1側壁16の全高(図1参照)と同じ寸法を有している。
【0043】
図3及び図14に示すように、折込板40は、概ね底壁12の上面から第2側壁19の縁板22の下面にかけて延びる、上下方向に長い長方形状である。図14に明瞭に示すように、折込板40は、保持部32が連続する第2側壁19の方に位置する内側保持板37の縁に、逆罫線からなる折曲線41を介して連設されている。折曲線41は、外板20と外側保持板33の間の折曲線34に対して平行に延びている。
【0044】
図6のブランクを参照すると、折込板40は、折曲線41に対して交差する方向に、内側保持板37から内板24に向けて突出している。本実施形態の折込板40と内板24は、打抜部42を設けることで分離されている。また、折込板40の上側保持板35側には、縁板22、上側保持板35、及び折込板40の重なりを防ぐための打抜部43が設けられている。
【0045】
図3を参照すると、第1側壁16には、第1の折込板40の外面に位置するように、第2側壁19の外板20と内板24の間に配置された第2の折込板44が設けられている。図11に明瞭に示すように、この折込板44は概ね直角台形状であり、第1側壁16の端に汎用罫線からなる折曲線45を介して設けられている。折曲線45は、内側保持板37と折込板40の間の折曲線41(図14に示す)に対して平行に延びている。
【0046】
図6のブランクを参照すると、折込板44は、第1側壁16から保持部32の外側保持板33に向けて突出されている。本実施形態では、折込板44と外側保持板33は、打抜部46によって間隔を開けて分離されている。
【0047】
また、図3を参照すると、第1側壁16の折込板44には、第2側壁19の外板20と内板24の間に配置された突出板47が設けられている。突出板47は、第1側壁16の折込板44の端に汎用罫線からなる折曲線48を介して連設されている。突出板47は、第1側壁16の折込板44の端から内板24に向けて延びる。本実施形態の突出板47の先端は、第2側壁19の内板24と当接している。
【0048】
図6を参照すると、本実施形態のブランク10’では、突出板47は、第1側壁16から縦方向の外側に向けて突出している。ブランク10’の縦方向(図6において上下方向)の突出板47の寸法は、縁板22の幅(図6において左右方向の寸法)と略同等であることが好ましい。
【0049】
図4を参照すると、第1側壁16には、保持部32の外側保持板33と内側保持板37との間に配置された支持板49が設けられている。支持板49は、第1側壁16の端部に汎用罫線からなる折曲線50を介して連設されており、第1側壁16の端から内側保持板37に向けて延びる。本実施形態の支持板49の先端49aは、保持部32の内側保持板37と当接している。
【0050】
図6を参照すると、本実施形態のブランク10’では、支持板49は、第1側壁16から縦方向の外側向けて突出しており、上側保持板35よりも小さい相似形状であり、また、支持板49の先端49aは、縦方向の外側かつ横方向の外側に向けて延びている。具体的には、支持板49の先端49aと折曲線50とがなす角度は、折曲線36と折曲線38(上側保持板35の先端縁部35a(図2に示す))とのなす角度と概ね同じである。
【0051】
図6を併せて図1を参照すると、第2側壁19の外板20と内板24では、段ボールシート1の中しん4(段方向)が上下方向に延びるように設定されている。また、保持部32を構成する、外側保持板33、内側保持板37、及び折込板40でも、中しん4が上下方向に延びるように設定されている。これにより、トレイ10を積み重ねた際、トレイ10に加わる上下方向の荷重に対抗するための圧縮強度を確保している。
【0052】
また、本実施形態のブランク10’では、上側保持板35の形状及び大きさは、内側保持板37がブランク10’の他の部分の縦方向及び横方向の最大外形寸法(図中二点鎖線L参照)よりも大きくならないように、設定される。また、折込板40の形状及び大きさは、折込板40がブランク10’の他の部分の縦方向及び横方向の最大外形寸法よりも大きくならないように、設定される。
【0053】
このように構成されたトレイ10によれば、上側保持板35が、底壁12が延びる方向に沿って、第1側壁16の上端から内方に延びているため、トレイ10を積み重ねる際に、下側のトレイ10の上側保持板35は、上側のトレイ10の底壁12を支持できる。このため、第1側壁16が単層構造であって、第1側壁16が薄い場合であっても、上側のトレイ10と下側のトレイ10の位置のずれを許容できる。すなわち、トレイ10を上下に積み重ねる際に、上側のトレイ10と下側のトレイ10の位置が多少ずれた場合であっても、上側のトレイ10が下側のトレイ10の内側に落ち込み難いので、トレイ10の安定性を向上できる。
【0054】
内側保持板37の側端部37aは、第1側壁16に接している。すなわち、第1側壁16と内側保持板37の側端部37aとは、間隔を開けることなく配置されているため、内側保持板37の側端部37aが第1側壁16から離間して配置されている場合と比較して、トレイ10の内部に収容される物品は、傷付きにくい。
【0055】
第1側壁16から離れるように延びる内側保持板37の法線Nが、底壁12が延びる方向に沿って延びるように、内側保持板37は、底壁12に対して直交する平面に沿って延びている。このため、トレイ10を上下に積み重ねる際に、トレイ10に加わる上下方向の荷重に対する圧縮強度を確保できる。
【0056】
保持部32の外側保持板33と内側保持板37の間に支持板49が配置されており、支持板49が内側保持板37に向けて延びているため、支持板49を介して内側保持板37が外側保持板33に支持されている。このため、支持板49によって内側保持板37の外側保持板33に近付く方向の移動が規制されるので、外側保持板33と内側保持板37との間隔を保持でき、トレイ10内部に物品を安定状態で収容できる。
【0057】
また、第1側壁16の折込板44には、外板20と内板24との間に配置された突出板47が連設されており、突出板47は、内板24に向けて延びている。このため、内板24は、突出板47と折込板44とを介して外板20に支持され、突出板47と折込板44とによって外板20に向けた移動が規制されている。よって、外板20に対する内板24の間隔を保持できるため、トレイ10の内部に物品を安定状態で収容できる。
【0058】
また、本実施形態のトレイ10では、第2側壁19の外板20と内板24の間に、保持部32に形成した折込板40と、第1側壁16に形成した折込板44とが配置されている。第2側壁19の内板24は、2枚の折込板40,44を介して外板20に支持され、折込板40,44によって外板20に向けた移動が規制されている。よって、外板20に対する内板24の間隔を保持できるため、トレイ10の内部に物品を安定状態で収容できる。
【0059】
折込板40,44によって外板20と内板24の間隔、つまり第2側壁19の厚み(縁板の幅)を広くすることが可能なため、トレイ10を積み重ねて配置する際の安定性も向上できる。第1側壁16は単層構造であるが、第1側壁16の両端部分では保持部32によって三層構造になっている。また、第2側壁19の大部分は二層構造であるが、第2側壁19の両端部分では2枚の折込板40,44によって四層構造になっている。よって、底壁12に曲げや歪みが生じる方向のトレイ10の剛性を向上できる。
【0060】
次に、図11から図14を参照して、図6のブランク10’を用いて、図1に示すトレイ10を組み立てる作業について説明する。
【0061】
まず、図11に示すように、ブランク10’(図6に示す)を折曲線17で山折り(正折り)するとともに、折込板44が底壁12上に位置するように、ブランク10’を折曲線45で山折りする。ついで、図12に示すように、ブランク10’を折曲線21で山折りした後、図13に示すように、ブランク10’を折曲線34で山折りする。これにより、第2の折込板44の外側に第2側壁19の外板20が配置される。また、第1側壁16の外側に保持部32の外側保持板33が重ねて配置される。その後、ブランク10’を折曲線50で山折りする。
【0062】
次に、図14に示すように、保持部32の上側保持板35が底壁12上に位置するように、ブランク10’を折曲線36で山折りし、第1側壁16の上縁を上側保持板35によって覆う。ついで、保持部32の内側保持板37が底壁12に向かうように、ブランク10’を折曲線38で山折りし、第1側壁16の内側に内側保持板37を重ねて配置する。そして、内側保持板37の係止片39を底壁12の係止孔14に係止する。また、ブランク10’を折曲線41で谷折り(逆折り)し、第1の折込板40を第2の折込板44の内側に配置する。その後、ブランク10’を折曲線38で山折りする。
【0063】
最後に、図1に示すように、第2側壁19の縁板22が底壁12上に位置するように、ブランク10’を折曲線23で山折りした後、内板24が底壁12に向かうようにブランク10’を折曲線25で山折りする。そして、内板24の係止片26を底壁12の係止孔13に係止する。これにより、外板20の内側に内板24が配置され、これらの間に保持部32の折込板40と第1側壁16の折込板44を挟み込んだ状態で、第2側壁19が形成される。
【0064】
このように、トレイ10は、ブランクの所定部分を順番に折り曲げることで、手作業で簡単に組み立てられる。また、第1側壁16に連設された第2の折込板44が、第1の折込板40と第2側壁19の外板20との間に挟み込まれているため、第2側壁19の展開方向の移動を防止できる。しかも、トレイ10のブランクでは、単層構造の第1側壁16の横に並べて保持部32が形成されている。よって、第1側壁16も外板と内板とを有する二層構造とする場合と比べて、形成材料の面積を20%~30%削減できる。
【0065】
(第1実施形態の変形例)
図15は第1実施形態のトレイ10の変形例を示す。図15に示すトレイ10では、第2側壁19に位置決め突起を設けない構成としている。このようにしても、図5のように、トレイ10を上下に積み重ねる際に、上側のトレイ10の底壁12を下側のトレイ10の上側保持板35が支持することで、上側のトレイ10が下側のトレイ10の内側に落ち込み難いため、トレイ10を上下に積み重ねる際の安定性を向上できる。また、上側のトレイ10と下側のトレイ10とが係止されていないため、トレイ10の積み降ろしの際の作業性が向上する。
【0066】
(第2実施形態)
図16から図18に第2実施形態に係るトレイ10を示す。図19は、第2実施形態にかかるトレイ10のブランク10’の平面図である。
【0067】
図16を参照すると、本実施形態の保持部32の内側保持板37は、上側保持板35の先端縁部35aから底壁12に向けて幅が狭くなるように構成された台形状である。内側保持板37は、内側保持板37が上側保持板35に対して交差するように、ブランク10’(図19に示す)が折曲線38で折り曲げられることで、底壁12に対して傾斜するように底壁12に向けて延び、第1側壁16の内側に配置されている。すなわち、図16から図18に示すように、内側保持板37の法線Nは、第1側壁16と反対側に向かって、底壁12に向かって延びている。図17の法線N1、及び図18の法線N2は、それぞれの断面における法線Nの面内成分を示す。
【0068】
言い換えれば、内側保持板37は、上側保持板35の先端縁部35aから底壁12に向けて、底壁12、第1側壁16、及び第2側壁19で画定されたトレイ10の隅に向かうように、底壁12に対して傾斜して延びている。
【0069】
図19を参照すると、ブランク10’において、本実施形態の内側保持板37の側端部37aは、横方向に対して概ね平行に延びている。本実施形態の内側保持板37の側端部37aは、第1側壁16の全高(図16参照)よりも大きな寸法を有している。
【0070】
この構成によれば、内側保持板37は、内側保持板37の法線Nが、第1側壁16と反対側に向かって、底壁12に向かって延びるように、底壁12に対して傾斜して延びており、底壁12に近付くにつれて、物品を収容するための空間が広くなる。このため、保持部32に上側保持板35を設けた場合であっても、物品を収容するための空間の減少を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態のブランク10’では、内側保持板37の側端部37aが上側保持板35の先端縁部35aに対して直交する方向に延びている場合と比較して、ブランク10’における内側保持板37の縦方向の寸法を抑制できる。このため、ブランク10’の他の部分の最大外形寸法(図中二点鎖線L参照)の範囲内で、上側保持板35の縦方向の寸法を大きくでき、上側保持板35の面積を大きくできる。これにより、トレイ10を積み重ねる際の安定性を向上できる。
【0072】
本発明のトレイ10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0073】
トレイ10は、平面視四角形状に限られず、例えば平面視八角形状としてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、紙製の段ボールシート1によってトレイ10を形成する例を挙げて説明したが、樹脂製の段ボールシートによってトレイ10を形成してもよい。また、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートによってトレイ10を形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…段ボールシート
2…表ライナ
3…裏ライナ
4…中しん
10…トレイ
10’…トレイのブランク
11…開口
12…底壁
12a…第1辺
12b…第2辺
13…係止孔
14…係止孔
16…第1側壁
17…折曲線
19…第2側壁
20…外板
21…折曲線
22…縁板
23…折曲線
24…内板
25…折曲線
26…係止片
27…位置決め突起
28…切断線
29…折曲線
30…折曲線
32…保持部
33…外側保持板
34…折曲線
35…上側保持板
35a…先端縁部
36…折曲線
37…内側保持板
37a…側端部
38…折曲線
39…係止片
40…第1の折込板
41…折曲線
42…打抜部
43…打抜部
44…第2の折込板
45…折曲線
46…打抜部
47…突出板
48…折曲線
49…支持板
49a…先端
50…折曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19