(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】整合回路基板及びレーダ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/50 20060101AFI20221115BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20221115BHJP
H01P 5/04 20060101ALI20221115BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01Q1/50
H01P5/08 Z
H01P5/04 603E
G01S7/03 220
(21)【出願番号】P 2018127994
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康平
(72)【発明者】
【氏名】生野 雅義
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215197(JP,A)
【文献】特開2006-135835(JP,A)
【文献】特開2001-358502(JP,A)
【文献】特開2008-160785(JP,A)
【文献】国際公開第01/045204(WO,A1)
【文献】特開2014-158297(JP,A)
【文献】特開2004-282250(JP,A)
【文献】特開2005-064632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0134376(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25-04
H01P 5/00- 5/22
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部と、前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部とのインピーダンス整合を行う整合回路基板であって、
前記基板の2つの表面に対する内層に配置され
たグラウンド部と、
前記グラウンド部を挟んで、前記アンテナ部及び前記電力供給部とは異なる層に配置され、インピーダンス整合を行う整合回路部と、
前記整合回路部と前記アンテナ部及び前記電力供給部とを電気的に接続する接続部と、
前記整合回路部に隣接して配置され、誘電率が可変である誘電率可変部と、
前記誘電率可変部の誘電率の可変制御を行う誘電率制御部と、
を備える整合回路基板。
【請求項2】
前記誘電率制御部の印加電極は、基板の前記表面に配置される
請求項1に記載の整合回路基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の前記整合回路基板と、
アンテナ部と、
前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部と、
を備えるレーダ装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の前記整合回路基板と、
アンテナ部と、
前記誘電率制御部を含み、前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部と、
を備えるレーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整合回路基板及びレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置では、アンテナ部と、アンテナ部にレーダ波の送受信に係る電力を供給する電力供給部との間でインピーダンス整合が行われる。これにより、電力供給部からアンテナ部に効率良く電力を供給することができる。例えば、特許文献1で開示された高周波基板は、アンテナ素子と、ミリ波の送受信を行うRFチップと、整合回路と、を備える。整合回路はアンテナ素子と、RFチップとの間に配置される。整合回路はアンテナ素子と、RFチップとの間で発生するインピーダンスのずれを所望の値に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、整合回路がRFチップと同じ高周波基板の表面に配置され、実装領域が広大になることが課題であった。整合回路として利用できる領域が制限されることで、好適なインピーダンス整合が実現できず、電力損失が生じることが懸念された。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、アンテナ部と、アンテナ部に電力を供給する電力供給部とのインピーダンス整合を行う整合回路基板において、実装領域の狭小化が図られ、整合回路として利用できる領域に対する制限を低減させることで、好適なインピーダンス整合を実現することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アンテナ部と、前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部とのインピーダンス整合を行う整合回路基板であって、基板の2つの表面に対する内層に配置され、インピーダンス整合を行う整合回路部と、前記整合回路部と前記アンテナ部及び前記電力供給部とを電気的に接続する接続部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0007】
また、上記第1の構成の整合回路基板において、前記整合回路部に隣接して配置され、誘電率が可変の誘電率可変部と、前記誘電率可変部の誘電率の可変制御を行う誘電率制御部と、を備える構成(第2の構成)であっても良い。
【0008】
また、上記第2の構成の整合回路基板において、前記誘電率制御部の印加電極は、基板の前記表面に配置される構成(第3の構成)であっても良い。
【0009】
また、本発明に係るレーダ装置は、上記第1から第3のいずれかの構成の整合回路基板と、アンテナ部と、前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部と、を備える構成(第4の構成)である。
【0010】
また、本発明に係るレーダ装置は、上記第2または第3の構成の整合回路基板と、アンテナ部と、前記誘電率制御部を含み、前記アンテナ部に電力を供給する電力供給部と、を備える構成(第5の構成)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、インピーダンス整合を行う整合回路部が基板の内層に配置される。これにより、実装領域の狭小化が図られ、整合回路として利用できる領域に対する制限を低減させることができる。したがって、好適なインピーダンス整合を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の整合回路基板を備えるレーダ装置の一例を示す斜視図
【
図6】第2実施形態の整合回路基板の部分垂直断面図
【
図8】第3実施形態の整合回路基板の部分垂直断面図
【
図9】第4実施形態の整合回路基板の部分垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0014】
<1.第1実施形態>
<1-1.レーダ装置の全体構成>
図1は、第1実施形態の整合回路基板1を備えるレーダ装置100の一例を示す斜視図である。本実施形態のレーダ装置100は、例えば車両に搭載されるレーダ装置であって、車両自体の周囲を走査する。レーダ装置100は、例えば車両の前面、側面または背面の外装に設けられ、車両の周囲に向かってミリ波帯の送信波を送信する。また、レーダ装置100は、例えば先行車、対向車、路側設置物などといった物標によって反射された反射波を受信する構成であっても良い。
【0015】
レーダ装置100は、整合回路基板1、グラウンド部2、電力供給部3、伝送線路4及びアンテナ部5を備える。
【0016】
整合回路基板1は高周波基板であって、例えばフッ素樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂材料の誘電体基材層を含み、板状に構成される。整合回路基板1の2つの表面のうち一方の表面である第1面1aには電力供給部3及びアンテナ部5を含む不図示の部品が実装される。第1面1aに対して裏面となる他方の表面である第2面1bにも部品を実装しても良い。
【0017】
グラウンド部2は整合回路基板1の第2面1bに配置される。グラウンド部2は、例えば整合回路基板1に貼り合せられる銅箔等の金属箔であって良い。また、グラウンド部2は、例えば導電性金属の薄膜パターンとして形成されても良い。
【0018】
電力供給部3は、例えば高周波信号の発振、増幅、変調、周波数変換などといった信号処理を行う高周波集積回路を含む電子部品であって、一例としてはMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)である。電力供給部3は、例えば送信用のMMICであり、また例えば受信用のMMICである。
【0019】
電力供給部3は整合回路基板1の、アンテナ部5が配置された表面と同一の第1面1aに配置される。なお、電力供給部3は第2面1bに配置しても良い。電力供給部3は伝送線路4を介して、アンテナ部5と電気的に接続される。
【0020】
伝送線路4は整合回路基板1の第1面1aに配置される。伝送線路4は、例えば直線状に延び、電力供給部3と、アンテナ部5との間に配置される。伝送線路4は、その一端が電力供給部3に電気的に接続され、他端がアンテナ部5に電気的に接続される。
【0021】
アンテナ部5は整合回路基板1の第1面1aに配置される。アンテナ部5は線状部5a及びアンテナ素子5bを備える。線状部5aは、その一端が伝送線路4に電気的に接続され、伝送線路4に続いて例えば直線状に延びる。アンテナ素子5bは線状部5aの延伸方向に対して交差する方向の両側に、線状部5aに沿って所定間隔で複数設けられる。アンテナ部5は所定方向に向かって送信波を送信する。或いは、アンテナ部5は送信波が物標で反射された反射波を受信する。
【0022】
<1-2.整合回路基板の詳細構成>
図2は、整合回路基板1の部分垂直断面図である。
図3は、整合回路基板1の部分水平断面図である。なお、
図2は、
図1における伝送線路4の配置領域周辺の、直線状に延びる伝送線路4に沿って平行な垂直断面である。または、
図3は、
図2のIII-III線における水平断面である。
【0023】
整合回路基板1は、第1基材層11、第2基材層12、整合回路部13及び接続部14を備える。
【0024】
整合回路基板1は、例えば第1基材層11と、第2基材層12とが積層された多層基板である。第1基材層11は整合回路基板1の第2面1b側に配置される。
図2における第1基材層11の下面にグラウンド部2が設けられる。第2基材層12は整合回路基板1の第1面1a側に配置される。
図2における第2基材層12の上面に電力供給部3、伝送線路4及びアンテナ部5が設けられる。
【0025】
第1基材層11と第2基材層12とは接着層15を介して貼り合せられる。接着層15は、例えば第1基材層11と第2基材層12との接着時において、シート状であるプリプレグで構成される。接着層15はプレス処理で加熱、加圧され、第1基材層11と第2基材層12とを一体化させる。
【0026】
整合回路部13は第1基材層11と第2基材層12との間に配置される。整合回路部13は第1基材層11と第2基材層12とを接着層15を介して貼り合せる前に形成される。すなわち、整合回路部13は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置される。整合回路部13はアンテナ部5と、アンテナ部5に電力を供給する電力供給部3とのインピーダンス整合を行う。
【0027】
図3に示すように、整合回路部13は接続部14に電気的に接続される。整合回路部13は、例えば接続部14から一方向に離れる方向に直線状に延びる平面視矩形で構成される。なお、整合回路部13の形状パターンは、
図3と、後述する
図4及び
図5とに示した構成に限定されるわけではなく、他の構成であっても良い。例えば、整合回路部13の形状パターンは接続部14から離間していても良い。
【0028】
接続部14は伝送線路4からグラウンド部2まで、整合回路基板1の積層方向(
図2の上下方向)に延びる。接続部14は、例えば整合回路基板1を積層方向に貫通するスルーホール(ビア)で構成される。なお、接続部14は整合回路基板1を貫通していない他の構成であっても良い。接続部14は伝送線路4とグラウンド部2とを電気的に接続する。さらに、接続部14は整合回路基板1の内層において整合回路部13に電気的に接続される。すなわち、接続部14は整合回路部13とアンテナ部5及び電力供給部3とを電気的に接続する。
【0029】
上記第1実施形態の構成によれば、インピーダンス整合を行う整合回路部13が整合回路基板1の内層に配置されるので、実装領域の狭小化が図ることができる。そして、整合回路として利用できる領域に対する制限を低減させることができる。したがって、好適なインピーダンス整合を実現することが可能になる。
【0030】
<1-3.整合回路基板の変形例>
図4は、変形例1の整合回路基板1の部分水平断面図である。変形例1の整合回路基板1は整合回路部13Aを備える。整合回路部13Aは第1実施形態と同様に、第1基材層11と第2基材層12との間であって、整合回路基板1の内層に配置される。整合回路部13Aは接続部14から互いに反対方向に離れる方向に直線状に延びる2箇所の平面視矩形で構成される。
【0031】
図5は、変形例1の整合回路基板1の部分水平断面図である。変形例2の整合回路基板1は整合回路部13Bを備える。整合回路部13Bは第1実施形態と同様に、第1基材層11と第2基材層12との間であって、整合回路基板1の内層に配置される。整合回路部13Bは接続部14から一方向に離れる方向に広がって延びる平面視扇形で構成される。
【0032】
上記実施形態の構成によれば、整合回路として利用できる領域に対する制限を低減させることができるので、変形例1の整合回路部13A及び変形例2の整合回路部13Bのように適宜任意の形状の整合回路を形成することが可能である。したがって、好適なインピーダンス整合を実現することができる。
【0033】
<2.第2実施形態>
<2-1.整合回路基板の詳細構成>
図6は、第2実施形態の整合回路基板1の部分垂直断面図である。なお、
図6は、
図1における伝送線路4の配置領域周辺の、直線状に延びる伝送線路4に沿って平行な垂直断面である。また、
図6では、説明の便宜上、後述する誘電率制御部172を整合回路基板1から離隔して記載したが、誘電率制御部172は整合回路基板1に設けられる。
【0034】
第2実施形態の整合回路基板1は、第1基材層112、第2基材層122、整合回路部132、接続部142、誘電率可変部162及び誘電率制御部172を備える。
【0035】
整合回路基板1は、例えば第2基材層122と、第1基材層112と、誘電率可変部162とが積層された多層基板である。第2基材層122は整合回路基板1の第1面1a側に配置される。
図6における第2基材層122の下側に、第1基材層112と、誘電率可変部162とが順に配置される。
【0036】
第2基材層122と第1基材層112とは不図示の接着層を介して貼り合せられる。第2基材層122と第1基材層112との間にはグラウンド部2が介在する。第1基材層112と、誘電率可変部162とは接着層152を介して貼り合せられる。
【0037】
整合回路部132は整合回路基板1の第1面1aに対して、第2基材層122、グラウンド部2、第1基材層112を隔てて第2面1b側に配置される。すなわち、整合回路部132は、
図6における第1基材層112の下面側に配置される。整合回路部132は接続部142に電気的に接続される。
【0038】
接続部142は伝送線路4から整合回路部132まで、整合回路基板1の積層方向(
図6の上下方向)に延びる。接続部142は伝送線路4と整合回路部132とを電気的に接続する。
【0039】
誘電率可変部162は整合回路部132よりも、整合回路基板1の第2面1b側に配置される。誘電率可変部162は整合回路部132に隣接して配置される。誘電率可変部162は、例えば第1基材層112及び第2基材層122と同様に、整合回路基板1の一面全域にわたって設けられる。
【0040】
誘電率可変部162は、例えば液晶材料で構成され、誘電率が可変である。なお、誘電率可変部162は液晶材料に限定されるわけではなく、誘電率が可変であれば他の材料であっても良い。
【0041】
整合回路部132は第1基材層112と誘電率可変部162との間に配置される。整合回路部132は第1基材層112と誘電率可変部162とを接着層152を介して貼り合せる前に形成される。すなわち、整合回路部132は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置される。
【0042】
誘電率制御部172は、例えば電源部及び制御回路を含み、その正極が印加電極172pを介して誘電率可変部162と電気的に接続され、誘電率可変部162に電圧を印加する。これにより、誘電率制御部172は誘電率可変部162の誘電率の可変制御を行う。
【0043】
上記第2実施形態の構成によれば、誘電率可変部162の誘電率を制御できるので、インピーダンス整合の整合条件を調整することが可能になる。したがって、より一層好適なインピーダンス整合を実現することが可能になる。
【0044】
誘電率制御部172の印加電極は、
図6における下側の整合回路基板1の表面に配置される。すなわち、誘電率可変部162に対して、整合回路基板1の最外層から電圧が印加される。この構成によれば、誘電率可変部162に対する電圧の印加が容易になる。なお、誘電率可変部162は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置しても良い。
【0045】
<2-2.整合回路基板の変形例>
図7は、変形例3の整合回路基板1の部分垂直断面図である。なお、
図7は、
図1における伝送線路4の配置領域周辺の、直線状に延びる伝送線路4に沿って平行な垂直断面である。また、
図7では、説明の便宜上、誘電率制御部172を整合回路基板1から離隔して記載したが、誘電率制御部172は整合回路基板1に設けられる。
【0046】
変形例3の整合回路基板1は誘電率可変部162Cを備える。誘電率可変部162Cは整合回路基板1の一面全域ではなく、整合回路部132の周辺のみに設けられる。
【0047】
整合回路部132は第1基材層112と誘電率可変部162Cとの間に配置される。整合回路部132は第1基材層112と誘電率可変部162Cとを接着層152Cを介して貼り合せる前に形成される。すなわち、整合回路部132は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置される。
【0048】
上記実施形態の構成によれば、誘電率可変部162Cを必要最低限の領域のみに設けることができる。したがって、低コスト化が図られた構成によって、好適なインピーダンス整合を実現することが可能である。
【0049】
<3.第3実施形態>
図8は、第3実施形態の整合回路基板1の部分垂直断面図である。なお、
図8は、
図1における伝送線路4の配置領域周辺の、直線状に延びる伝送線路4に沿って平行な垂直断面である。また、
図8では、説明の便宜上、誘電率制御部173を整合回路基板1から離隔して記載したが、誘電率制御部173は整合回路基板1に設けられる。
【0050】
第3実施形態の整合回路基板1は、第1基材層113、整合回路部133、接続部143、誘電率可変部163及び誘電率制御部173を備える。
【0051】
整合回路基板1は、例えば第1基材層113と、誘電率可変部163とが積層された多層基板である。第1基材層113は整合回路基板1の第1面1a側に配置される。誘電率可変部163は整合回路基板1の第2面1b側に配置される。誘電率可変部163は、例えば第1基材層113と同様に、整合回路基板1の一面全域にわたって設けられる。第1基材層113と、誘電率可変部163とは接着層153を介して貼り合せられる。
【0052】
整合回路部133は第1基材層113と誘電率可変部163との間に配置される。整合回路部133は第1基材層113と誘電率可変部163とを接着層153を介して貼り合せる前に形成される。すなわち、整合回路部133は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置される。なお、誘電率可変部163は整合回路部133に隣接して配置される。
【0053】
誘電率制御部173は、例えば電源部及び制御回路を含む。誘電率制御部173に関して、正極端子173p及び負極端子173nが誘電率可変部163の表面に配置される。誘電率制御部173は、その正極が正極端子173pを介して誘電率可変部163と電気的に接続され、さらに負極が負極端子173nを介して誘電率可変部163と電気的に接続される。誘電率制御部173は誘電率可変部163に電圧を印加し、誘電率可変部163の誘電率の可変制御を行う。
【0054】
上記第3実施形態の構成によれば、誘電率可変部163の誘電率を制御できるので、インピーダンス整合の整合条件を調整することが可能になる。したがって、より一層好適なインピーダンス整合を実現することができる。
【0055】
<4.第4実施形態>
図9は、第4実施形態の整合回路基板1の部分垂直断面図である。なお、
図9は、
図1における伝送線路4の配置領域周辺の、直線状に延びる伝送線路4に沿って平行な垂直断面である。
【0056】
第4実施形態の整合回路基板1は、第1基材層114、整合回路部134、接続部144、誘電率可変部164及び誘電率制御部174を備える。
【0057】
整合回路基板1は、例えば第1基材層114と、誘電率可変部164とが積層された多層基板である。第1基材層114は整合回路基板1の第1面1a側に配置される。誘電率可変部164は整合回路基板1の第2面1b側に配置される。誘電率可変部164は、例えば第1基材層114と同様に、整合回路基板1の一面全域にわたって設けられる。第1基材層114と、誘電率可変部164とは接着層154を介して貼り合せられる。
【0058】
整合回路部134は第1基材層114と誘電率可変部164との間に配置される。整合回路部134は第1基材層114と誘電率可変部164とを接着層154を介して貼り合せる前に形成される。すなわち、整合回路部134は整合回路基板1の2つの表面に対する内層に配置される。なお、誘電率可変部164は整合回路部134に隣接して配置される。
【0059】
誘電率制御部174は、例えば電源部及び制御回路を含む。そして、誘電率制御部174は電力供給部3に含まれる。すなわち、電力供給部3は誘電率制御部174を含み、アンテナ部5に電力を供給する。
【0060】
誘電率制御部174に関して、正極端子174p及び負極端子174nが誘電率可変部164の表面に配置される。誘電率制御部174は、その正極が正極端子174pを介して誘電率可変部164と電気的に接続され、さらに負極が負極端子174nを介して誘電率可変部164と電気的に接続される。誘電率制御部174は誘電率可変部164に電圧を印加し、誘電率可変部164の誘電率の可変制御を行う。
【0061】
上記第4実施形態の構成によれば、誘電率可変部164の誘電率を制御できるので、インピーダンス整合の整合条件を調整することが可能になる。さらに、電力供給部3が誘電率制御部174を含むことで、誘電率制御部174を整合回路基板1に設ける必要がなく、実装領域の狭小化を向上させることができる。
【0062】
<5.その他>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、上記の複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施しても良い。
【0063】
例えば、レーダ装置100で用いられる電波(送信波、反射波)は一例であり、「光波」や「超音波」であっても良い。
【0064】
また、第2、第3及び第4実施形態において、インピーダンスのずれを自動的に調整する回路を設けることにしても良い。この場合、反射波の検波器、フィードバック回路等を設け、反射波に係る電圧を検出して誘電率制御部にフィードバックし、誘電率可変部の誘電率の可変制御を行う。これにより、外部環境要因によりインピーダンスの不整合が生じても、その不整合を補正するよう制御することが可能になる。したがって、レーダ装置における検出性能を好適に維持することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 整合回路基板
1a 第1面
1b 第2面
2 グラウンド部
3 電力供給部
4 伝送線路
5 アンテナ部
11、112、113、114 第1基材層
12、122 第2基材層
13、13A、13B、132、133、134 整合回路部
14、142、143、144 接続部
15、152、153、154 接着層
100 レーダ装置
162、162C、163、164 誘電率可変部
172、173、174 誘電率制御部
172p 印加電極