(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】コイルユニット及び固定構造
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
H01F38/14
(21)【出願番号】P 2018136730
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-06-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】地田 知明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃則
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-103036(JP,A)
【文献】特開2016-102542(JP,A)
【文献】登録実用新案第3184526(JP,U)
【文献】特開2015-216796(JP,A)
【文献】特開2016-082187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに巻き回された電力伝送用の第1コイル、及び、前記第1コイルを収容する第1筐体であって前記第1筐体の第1外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って内側に窪んだ凹部を有する第1筐体、を含んで構成される第1コイル収容器と、
前記軸線周りに巻き回された電力伝送用の第2コイル、及び、前記第2コイルを収容する第2筐体であって前記第2筐体の第2外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って外側に突出した凸部を有する第2筐体、を含んで構成される第2コイル収容器と、
前記凸部を前記凹部に嵌合した嵌合状態で前記第1筐体及び前記第2筐体を係止する係止部と、を備え、
前記第1筐体は、前記第1コイルを収容する第1低背収容部と、前記軸線に沿って前記第1低背収容部よりも高さが高く形成されている第1高背収容部とを含んで構成され、
前記第2筐体は、前記第2コイルを収容する第2低背収容部と、前記軸線に沿って前記第2低背収容部よりも高さが高く形成されている第2高背収容部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記第1筐体の本体側から前記第2筐体側に突出した第1リブと、前記第2筐体の本体側から前記第1筐体側に突出した第2リブと、を含み、前記第1リブと前記第2リブとが、前記嵌合状態で、前記軸線に沿って前記第1筐体及び前記第2筐体を係止し、
前記第1リブは、前記嵌合状態において、前記第1低背収容部の上面と協働して前記第2低背収容部を前記軸線に沿う軸線方向に沿って挟み込み、
前記第2リブは、前記嵌合状態において、前記第2低背収容部の上面と協働して前記第1低背収容部を前記軸線方向に沿って挟み込み、
前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記係止部により前記第1筐体及び前記第2筐体を係止した状態で、前記凸部が前記凹部に前記軸線周りに回動可能に嵌合され、前記第1コイル及び前記第2コイルが対向し、前記第1コイル及び前記第2コイルの間で電力を伝送可能であることを特徴とするコイルユニット。
【請求項2】
前記第1筐体は、前記第1外面に設けられ外側に突出した第1突出部、又は、前記第1外面に設けられ内側に窪んだ第1溝部の一方を有し、
前記第2筐体は、前記第2外面に設けられ外側に突出した第2突出部、又は、前記第2外面に設けられ内側に窪んだ第2溝部の他方を有し、
前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記嵌合状態で前記第1突出部を前記第2溝部に嵌合するか、又は、前記嵌合状態で前記第2突出部を前記第1溝部に嵌合することで、前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器の前記軸線周りを位置決めする請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項3】
前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記嵌合状態で互いに接触した状態で配置され、
前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記第1筐体と前記第2筐体との間に生じる摩擦力により前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器の前記軸線周りを位置決めする請求項1又は2に記載のコイルユニット。
【請求項4】
前記第1筐体は、前記第1外面により区画され前記凹部が露出した第1空間部を有し、
前記第2筐体は、前記第2外面により区画され前記凸部が露出した第2空間部を有し、
前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記嵌合状態で、前記第1筐体の少なくとも一部が前記第2空間部に位置し、且つ、前記第2筐体の少なくとも一部が前記第1空間部に位置する請求項1~3のいずれか1項に記載のコイルユニット。
【請求項5】
前記第1高背収容部の側面と第2低背収容部の側面とは、互いに接触した状態で配置される請求項1,3,4のいずれか1項に記載のコイルユニット。
【請求項6】
軸線周りに巻き回された電力伝送用の第1コイルを収容する第1筐体であって前記第1筐体の第1外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って内側に窪んだ凹部を有する第1筐体と、
前記軸線周りに巻き回された電力伝送用の第2コイルを収容する第2筐体であって前記第2筐体の第2外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って外側に突出した凸部を有する第2筐体と、
前記凸部を前記凹部に嵌合した嵌合状態で前記第1筐体及び前記第2筐体を係止する係止部と、を備え、
前記第1筐体は、前記第1コイルを収容する第1低背収容部と、前記軸線に沿って前記第1低背収容部よりも高さが高く形成されている第1高背収容部とを含んで構成され、
前記第2筐体は、前記第2コイルを収容する第2低背収容部と、前記軸線に沿って前記第2低背収容部よりも高さが高く形成されている第2高背収容部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記第1筐体の本体側から前記第2筐体側に突出した第1リブと、前記第2筐体の本体側から前記第1筐体側に突出した第2リブと、を含み、前記第1リブと前記第2リブとが、前記嵌合状態で、前記軸線に沿って前記第1筐体及び前記第2筐体を係止し、
前記第1リブは、前記嵌合状態において、前記第1低背収容部の上面と協働して前記第2低背収容部を前記軸線に沿う軸線方向に沿って挟み込み、
前記第2リブは、前記嵌合状態において、前記第2低背収容部の上面と協働して前記第1低背収容部を前記軸線方向に沿って挟み込み、
前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記係止部により前記第1筐体及び前記第2筐体を係止した状態で、前記凸部が前記凹部に前記軸線周りに回動可能に嵌合され、前記第1コイル及び前記第2コイルが対向し、前記第1コイル及び前記第2コイルの間で電力を伝送可能であることを特徴とする固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルユニット及び固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルユニットとして、例えば、特許文献1には、トランスが開示されている。このトランスは、電力を給電する給電コイルと、給電コイルから給電された電力を受電する受電コイルと、コイル軸線に沿ったシャフトとを備えている。給電コイル及び受電コイルは、シャフトを回動中心としてそれぞれが回動可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のトランスは、シャフトを回動中心として各コイルを回動可能にしているが、各コイルをコイル軸線周りに回動させる点で更なる改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第1コイル収容器及び第2コイル収容器をコイル軸線周りに適正に回動させることができるコイルユニット及び固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコイルユニットは、軸線周りに巻き回された電力伝送用の第1コイル、及び、前記第1コイルを収容する第1筐体であって前記第1筐体の第1外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って内側に窪んだ凹部を有する第1筐体、を含んで構成される第1コイル収容器と、前記軸線周りに巻き回された電力伝送用の第2コイル、及び、前記第2コイルを収容する第2筐体であって前記第2筐体の第2外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って外側に突出した凸部を有する第2筐体、を含んで構成される第2コイル収容器と、前記凸部を前記凹部に嵌合した嵌合状態で前記第1筐体及び前記第2筐体を係止する係止部と、を備え、前記係止部は、前記第1筐体の本体側から前記第2筐体側に突出した第1リブと、前記第2筐体の本体側から前記第1筐体側に突出した第2リブと、を含み、前記第1リブと前記第2リブとが、前記嵌合状態で、前記軸線に沿って前記第1筐体及び前記第2筐体を係止し、前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記係止部により前記第1筐体及び前記第2筐体を係止した状態で、前記凸部が前記凹部に前記軸線周りに回動可能に嵌合され、前記第1コイル及び前記第2コイルが対向し、前記第1コイル及び前記第2コイルの間で電力を伝送可能であることを特徴とする。
【0007】
上記コイルユニットにおいて、前記第1筐体は、前記第1外面に設けられ外側に突出した第1突出部、又は、前記第1外面に設けられ内側に窪んだ第1溝部の一方を有し、前記第2筐体は、前記第2外面に設けられ外側に突出した第2突出部、又は、前記第2外面に設けられ内側に窪んだ第2溝部の他方を有し、前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記嵌合状態で前記第1突出部を前記第2溝部に嵌合するか、又は、前記嵌合状態で前記第2突出部を前記第1溝部に嵌合することで、前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器の前記軸線周りを位置決めすることが好ましい。
【0008】
上記コイルユニットにおいて、前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記嵌合状態で互いに接触した状態で配置され、前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器は、前記第1筐体と前記第2筐体との間に生じる摩擦力により前記第1コイル収容器及び前記第2コイル収容器の前記軸線周りを位置決めすることが好ましい。
【0009】
上記コイルユニットにおいて、前記第1筐体は、前記第1外面により区画され前記凹部が露出した第1空間部を有し、前記第2筐体は、前記第2外面により区画され前記凸部が露出した第2空間部を有し、前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記嵌合状態で、前記第1筐体の少なくとも一部が前記第2空間部に位置し、且つ、前記第2筐体の少なくとも一部が前記第1空間部に位置することが好ましい。
上記コイルユニットにおいて、前記第1筐体は、前記第1コイルを収容する第1低背収容部と、前記軸線に沿って前記第1低背収容部よりも高さが高く形成されている第1高背収容部とを含んで構成され、前記第2筐体は、前記第2コイルを収容する第2低背収容部と、前記軸線に沿って前記第2低背収容部よりも高さが高く形成されている第2高背収容部とを含んで構成され、前記第1高背収容部の側面と第2低背収容部の側面とは、互いに接触した状態で配置されることが好ましい。
【0010】
本発明に係る固定構造は、軸線周りに巻き回された電力伝送用の第1コイルを収容する第1筐体であって前記第1筐体の第1外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って内側に窪んだ凹部を有する第1筐体と、前記軸線周りに巻き回された電力伝送用の第2コイルを収容する第2筐体であって前記第2筐体の第2外面に設けられ前記軸線上に位置し前記軸線に沿って外側に突出した凸部を有する第2筐体と、前記凸部を前記凹部に嵌合した嵌合状態で前記第1筐体及び前記第2筐体を係止する係止部と、を備え、前記係止部は、前記第1筐体の本体側から前記第2筐体側に突出した第1リブと、前記第2筐体の本体側から前記第1筐体側に突出した第2リブと、を含み、前記第1リブと前記第2リブとが、前記嵌合状態で、前記軸線に沿って前記第1筐体及び前記第2筐体を係止し、前記第1筐体及び前記第2筐体は、前記係止部により前記第1筐体及び前記第2筐体を係止した状態で、前記凸部が前記凹部に前記軸線周りに回動可能に嵌合され、前記第1コイル及び前記第2コイルが対向し、前記第1コイル及び前記第2コイルの間で電力を伝送可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコイルユニット及び固定構造は、第1筐体の凸部及び第2筐体の凹部により回動機構を構成できるので、第1コイル収容器及び第2コイル収容器をコイル軸線周りに適正に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコイルユニットの構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る送電コイル収容器の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る受電コイル収容器の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る送電コイル収容器の構成例を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコイルユニットの構成例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例に係るコイルユニットの構成例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例に係る送電コイル収容器の構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例に係る受電コイル収容器の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係るコイルユニット1及び固定構造100について説明する。
図1は、実施形態に係るコイルユニット1の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る送電コイル収容器10の構成例を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る受電コイル収容器20の構成例を示す斜視図である。
図4は、実施形態に係る送電コイル収容器10の構成例を示す分解斜視図である。
図5は、実施形態に係るコイルユニット1の構成例を示す断面図である。
図6は、
図5の一部拡大図であり、側面155aと側面258aとの間隔Wを示している。
【0015】
実施形態に係るコイルユニット1は、非接触で電力を伝送するものである。コイルユニット1は、例えば、
図1に示すように、送電コイル収容器10と、受電コイル収容器20とを備える。送電コイル収容器10は、軸線Xに沿った軸線方向において、受電コイル収容器20と対向して配置されている。送電コイル収容器10は、
図2及び
図4に示すように、基板11と、電線12と、第1コイルとしての送電コイル13と、フェライト部材14と、第1筐体15とを含んで構成される。
【0016】
基板11は、種々の電子部品(図示省略)が実装され、当該電子部品を電気的に接続する電子回路を構成するものであり、いわゆるプリント回路基板(Printed Circuit Board)である。基板11は、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、紙エポキシ樹脂やセラミック等の絶縁性の材料からなる絶縁層に銅箔等の導電性部材によって配線パターン(プリントパターン)が形成されている。基板11は、例えば、配線パターンが形成された絶縁層を複数枚積層させ多層化されたもの(つまり、多層基板)である。
【0017】
電線12は、電流を流す導電線である。電線12は、電力を供給する電力供給部(図示省略)及び基板11に接続されている。電線12は、電力供給部から流れる電流を基板11に流す。
【0018】
送電コイル13は、後述する受電コイル23(
図5参照)と非接触で電力を伝送可能な導体コイルである。送電コイル13は、例えば、いわゆるスパイラル型の導体コイルによって構成されている。スパイラル型の導体コイルは、導電性を有する素線が軸線Xを中心として当該軸線X周りに渦巻状に巻き回されて形成される。なお、送電コイル13は、素線の代わりに、銅箔等の導電性部材によって配線パターン(プリントパターン)により軸線X周りに渦巻状に形成されてもよい。送電コイル13は、受電コイル23と対向した状態で、電磁誘導方式、電磁界共鳴方式等、種々の方式によって非接触で電力を送電する。
【0019】
フェライト部材14は、磁性材料を含む部材であり、例えば、酸化鉄と金属との複合酸化物である。フェライト部材14は、例えば、円形の板状に形成され、送電コイル13と同等の大きさに形成されている。フェライト部材14は、軸線方向において基板11を介して送電コイル13と対向して配置される。フェライト部材14は、送電コイル13により発生する磁束を通過させて当該磁束の損失を抑制する。
【0020】
第1筐体15は、樹脂等の絶縁性の部材により形成された収容ケースである。第1筐体15は、アッパーカバー15Aと、アンダーカバー15Bとを有する。アッパーカバー15Aは、所定の深さを有した蓋状に形成され、上面部が段差状(例えば1段の段差状)に形成されている。アンダーカバー15Bは、所定の深さを有したトレイ状に形成され、底面部159aが平面状に形成されている。アッパーカバー15A及びアンダーカバー15Bは、例えば、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却及び固化させることにより成形品を得る樹脂射出成形により形成される。第1筐体15は、アッパーカバー15A及びアンダーカバー15Bが組み合わされることにより、後述する収容部15a(
図2等参照)を形成する。収容部15aは、上述のアッパーカバー15Aの段差によって、後述する第1高背収容部151a及び第1低背収容部152aを含んで構成される。
【0021】
第1筐体15は、
図2及び
図4に示すように、収容部15aと、係止孔15bと、一対のスリット15cと、係止爪15dと、第1リブ15eと、凹部15fとを有する。収容部15aは、各構成部品を収容するものである。収容部15aは、上述したように、第1高背収容部151aと、第1低背収容部152aとを含んで構成される。第1高背収容部151aは、軸線方向から視て略矩形状に形成された部分である。第1高背収容部151aは、第1低背収容部152aよりも上述の段差の部分だけ軸線方向の高さが高く形成されている。第1高背収容部151aは、第1低背収容部152aと連通している。つまり、第1高背収容部151aは、第1低背収容部152aと内部空間が連続している。第1高背収容部151aは、当該段差部分において第1低背収容部152a側の側面155aが円弧状に形成されている。これは、受電コイル収容器20を軸線X周りに回動させるためである。なお、受電コイル収容器20は、第1高背収容部151aの側面155aの周方向の角部(端部)に当接することにより回動角度が規制される。第1高背収容部151aは、基板11、当該基板11に搭載される電子部品、及び、電線12を収容する。
【0022】
第1低背収容部152aは、軸線方向から視て略円形状に形成された部分である。第1低背収容部152aは、第1高背収容部151aよりも上述の段差の部分だけ軸線方向の高さが低く形成されている。第1低背収容部152aは、第1高背収容部151aと連通している。つまり、第1低背収容部152aは、第1高背収容部151aと内部空間が連続している。第1低背収容部152aは、基板11、送電コイル13、及び、フェライト部材14を収容する。
【0023】
係止孔15bは、係止爪15dと共に係止機構を構成する。係止孔15bは、アッパーカバー15Aの側壁156aに設けられている。係止孔15bは、例えば、アッパーカバー15Aの側壁156aの一部が貫通した貫通孔である。係止孔15bは、係止爪15dを貫通孔に係止する。
【0024】
一対のスリット15cは、係止孔15bが設けられた部分の側壁156aを弾性変形可能とするものである。一対のスリット15cは、側壁156aにおいて係止孔15bの両側が切り欠かれることにより形成されている。一対のスリット15cは、係止爪15dを係止孔15bに係止するときに、係止孔15bが設けられた部分の側壁156aを一旦外側に弾性変形可能とする。これにより、係止爪15dは、係止孔15bの縁部を乗り越えることができる。
【0025】
係止爪15dは、係止孔15bと共に係止機構を構成する。係止爪15dは、アンダーカバー15Bの側壁157aに設けられている。係止爪15dは、例えば、アンダーカバー15Bの側壁157aから外側に突出している。係止爪15dは、係止孔15bの貫通孔に係止する。係止機構は、係止爪15dを係止孔15bに係止することにより、アッパーカバー15A及びアンダーカバー15Bを係止する。
【0026】
第1リブ15eは、後述する受電コイル収容器20の第2リブ25eと共にロック機構を構成する。第1リブ15eは、第1高背収容部151aの上面154aに設けられ、当該上面154aから第1低背収容部152a側に突出している。第1リブ15eは、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20を組み付けた組み付け状態で、受電コイル収容器20の底面部259a(
図5参照)を第1低背収容部152aの上面153a側に押える。つまり、第1リブ15eは、当該組み付け状態において、第1低背収容部152aの上面153aと協働して受電コイル収容器20の第2低背収容部252aを軸線方向に沿って挟み込む。なお、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20の組み付け状態は、後述する凸部25fを凹部15fに嵌合した嵌合状態である。
【0027】
凹部15fは、凸部25fと共に回動機構を構成する。凹部15fは、第1筐体15の外面15gに設けられる。凹部15fは、例えば、第1低背収容部152aの上面153aに設けられる。凹部15fは、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って第1低背収容部152aの内側に窪んでいる。凹部15fは、軸線方向から視た場合、略円形状に形成されている。凹部15fは、その直径が凸部25fの直径と略同等に形成されている。
【0028】
第1筐体15は、第1低背収容部152aの上方に空間部Q1を有する。空間部Q1は、第1筐体15の外面15gにより区画された空間である。空間部Q1は、例えば、第1低背収容部152aの凹部15f側の面である上面153aと、当該上面153aと交差(直交)する第1高背収容部151aの側面155aとにより区画される空間である。空間部Q1には、凹部15fが露出し、上述の嵌合状態で第2筐体25の少なくとも一部が位置する。空間部Q1には、例えば、上述の嵌合状態で受電側の第2低背収容部252aが位置する。
【0029】
次に、受電コイル収容器20について説明する。受電コイル収容器20は、
図3及び
図5に示すように、基板21と、電線22と、第2コイルとしての受電コイル23と、フェライト部材24と、第2筐体25とを含んで構成される。
【0030】
基板21は、種々の電子部品(図示省略)が実装され、当該電子部品を電気的に接続する電子回路を構成するものであり、いわゆるプリント回路基板(Printed Circuit Board)である。基板21は、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、紙エポキシ樹脂やセラミック等の絶縁性の材料からなる絶縁層に銅箔等の導電性部材によって配線パターン(プリントパターン)が形成されている。基板21は、例えば、配線パターンが形成された絶縁層を複数枚積層させ多層化されたもの(つまり、多層基板)である。
【0031】
電線22は、電流を流す導電線である。電線22は、例えば、基板21及び電力を消費する負荷部(図示省略)に接続されている。電線22は、基板21から流れる電流を負荷部に流す。
【0032】
受電コイル23は、送電コイル13と非接触で電力を伝送可能な導体コイルである。受電コイル23は、例えば、いわゆるスパイラル型の導体コイルによって構成されている。スパイラル型の導体コイルは、導電性を有する素線が軸線Xを中心として当該軸線X周りに渦巻状に巻き回されて形成される。なお、受電コイル23は、素線の代わりに、銅箔等の導電性部材によって配線パターン(プリントパターン)により軸線X周りに渦巻状に形成されてもよい。受電コイル23は、送電コイル13と対向した状態で、電磁誘導方式、電磁界共鳴方式等、種々の方式によって非接触で電力を受電する。
【0033】
フェライト部材24は、磁性材料を含む部材であり、例えば、酸化鉄と金属との複合酸化物である。フェライト部材24は、例えば、円形の板状に形成され、受電コイル23と同等の大きさに形成されている。フェライト部材24は、軸線方向において基板21を介して受電コイル23と対向して配置される。フェライト部材24は、受電コイル23により発生する磁束を通過させて当該磁束の損失を抑制する。
【0034】
第2筐体25は、樹脂等の絶縁性の部材により形成された収容ケースである。第2筐体25は、アッパーカバー25Aと、アンダーカバー25Bとを有する。アッパーカバー25Aは、所定の深さを有した蓋状に形成され、上面部が段差状(例えば1段の段差状)に形成されている。アンダーカバー25Bは、所定の深さを有したトレイ状に形成され、底面部259aが平面状に形成されている。アッパーカバー25A及びアンダーカバー25Bは、例えば、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却及び固化させることにより成形品を得る樹脂射出成形により形成される。第2筐体25は、アッパーカバー25A及びアンダーカバー25Bが組み合わされることにより、後述する収容部25aを形成する。収容部25aは、上述のアッパーカバー25Aの段差によって、後述する第2高背収容部251a及び第2低背収容部252aを含んで構成される。
【0035】
第2筐体25は、収容部25aと、係止孔25bと、一対のスリット25cと、係止爪25dと、第2リブ25eと、凸部25fとを有する。収容部25aは、各構成部品を収容するものである。収容部25aは、上述したように、第2高背収容部251aと、第2低背収容部252aとを含んで構成される。第2高背収容部251aは、軸線方向から視て略矩形状に形成された部分である。第2高背収容部251aは、第2低背収容部252aよりも上述の段差の部分だけ軸線方向の高さが高く形成されている。第2高背収容部251aは、第2低背収容部252aと連通している。つまり、第2高背収容部251aは、第2低背収容部252aと内部空間が連続している。第2高背収容部251aは、当該段差部分において第2低背収容部252a側の側面255aが円弧状に形成されている。これは、送電コイル収容器10を軸線X周りに回動させるためである。なお、送電コイル収容器10は、第2低背収容部252aの側面255aの周方向の角部(端部)に当接することにより回動角度が規制される。第2高背収容部251aは、基板21、当該基板21に搭載される電子部品、及び、電線22を収容する。
【0036】
第2低背収容部252aは、軸線方向から視て略円形状に形成された部分である。第2低背収容部252aは、第2高背収容部251aよりも上述の段差の部分だけ軸線方向の高さが低く形成されている。第2低背収容部252aは、第2高背収容部251aと連通している。つまり、第2低背収容部252aは、第2高背収容部251aと内部空間が連続している。第2低背収容部252aは、基板21、受電コイル23、及び、フェライト部材24を収容する。
【0037】
係止孔25bは、係止爪25dと共に係止機構を構成する。係止孔25bは、アッパーカバー25Aの側壁256aに設けられている。係止孔25bは、例えば、アッパーカバー25Aの側壁256aの一部が貫通した貫通孔である。係止孔25bは、係止爪25dを貫通孔に係止する。
【0038】
一対のスリット25cは、係止孔25bが設けられた部分の側壁256aを弾性変形可能とするものである。一対のスリット25cは、側壁256aにおいて係止孔25bの両側が切り欠かれることにより形成されている。一対のスリット25cは、係止爪25dを係止孔25bに係止するときに、係止孔25bが設けられた部分の側壁256aを一旦外側に弾性変形可能とする。これにより、係止爪25dは、係止孔25bの縁部を乗り越えることができる。
【0039】
係止爪25dは、係止孔25bと共に係止機構を構成する。係止爪25dは、アンダーカバー25Bの側壁256aに設けられている。係止爪25dは、例えば、アンダーカバー25Bの側壁256aから外側に突出している。係止爪25dは、係止孔25bの貫通孔に係止する。係止機構は、係止爪25dを係止孔25bに係止することにより、アッパーカバー25A及びアンダーカバー25Bを係止する。
【0040】
第2リブ25eは、上述した送電コイル収容器10の第1リブ15eと共にロック機構を構成する。第2リブ25eは、第2高背収容部251aの上面254aに設けられ、当該上面254aから第2低背収容部252a側に突出している。第2リブ25eは、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20を組み付けた組み付け状態、つまり、凸部25fを凹部15fに嵌合した嵌合状態で、送電コイル収容器10の底面部159a(
図5参照)を第2低背収容部252aの上面253a側に押える。つまり、第2リブ25eは、当該嵌合状態において、第2低背収容部252aの上面253aと協働して送電コイル収容器10の第1低背収容部152aを軸線方向に沿って挟み込む。ロック機構は、上述の嵌合状態で第1リブ15e及び第2リブ25eにより第1筐体15及び第2筐体25を係止する。
【0041】
凸部25fは、上述した凹部15fと共に回動機構を構成する。凸部25fは、第2筐体25の外面25gに設けられる。凸部25fは、例えば、第2低背収容部252aの上面253aに設けられる。凸部25fは、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って第2低背収容部252aの外側に突出している。凸部25fは、軸線方向から視た場合、略円形状に形成されている。凸部25fは、その直径が凹部15fの直径と略同等に形成されている。凸部25fは、軸線X周りに回動可能に凹部15fに嵌合される。
【0042】
第2筐体25は、第2低背収容部252aの上方に空間部Q2を有する。空間部Q2は、第2筐体25の外面25gにより区画された空間である。空間部Q2は、例えば、第2低背収容部252aの凸部25f側の面である上面253aと、当該上面253aと交差(直交)する第2高背収容部251aの側面255aとにより区画される空間である。空間部Q2には、凸部25fが露出し、上述の嵌合状態で第1筐体15の少なくとも一部が位置する。空間部Q2には、例えば、上述の嵌合状態で送電側の第1低背収容部152aが位置する。コイルユニット1は、上述の嵌合状態で、第1低背収容部152a及び第2低背収容部252aの軸線方向の高さが、第1高背収容部151a及び第2高背収容部251aの高さと同等となる。これにより、コイルユニット1は、軸線方向の高さを全体的に低背化することができる。
【0043】
第1筐体15及び第2筐体25は、上述の嵌合状態で互いに接触した状態で配置される。第1筐体15及び第2筐体25は、例えば、
図6に示すように、第1高背収容部151aの側面155aと第2低背収容部252aの側面258aとが互いに接触した状態で配置される。第1筐体15及び第2筐体25は、第1高背収容部151aの側面155aと第2低背収容部252aの側面258aとの間隔Wを適宜設定することで、各側面155a、258aの摩擦力を設定できる。コイルユニット1は、第1筐体15と第2筐体25との間に生じる摩擦力により、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20の軸線X周りが位置決めされる。つまり、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20は、凹部15f及び凸部25fにより構成される回動機構において、各側面155a、258aの摩擦力により軸線X周りが相対的に位置決めされる。
【0044】
以上のように、実施形態に係るコイルユニット1は、送電コイル収容器10と、受電コイル収容器20とを備える。送電コイル収容器10は、電力伝送用の送電コイル13、及び、送電コイル13を収容する第1筐体15を含んで構成される。送電コイル13は、軸線X周りに巻き回されている。第1筐体15は、当該第1筐体15の外面15gに設けられ、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って内側に窪んだ凹部15fを有する。受電コイル収容器20は、電力伝送用の受電コイル23、及び、受電コイル23を収容する第2筐体25を含んで構成される。受電コイル23は、軸線X周りに巻き回されている。第2筐体25は、当該第2筐体25の外面25gに設けられ、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って外側に突出した凸部25fを有する。第1リブ15e及び第2リブ25eは、凸部25fを凹部15fに嵌合した嵌合状態で第1筐体15及び第2筐体25を係止する。送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20は、第1リブ15e及び第2リブ25eにより第1筐体15及び第2筐体25を係止した状態で、凸部25fが凹部15fに軸線X周りに回動可能に嵌合され、送電コイル13及び受電コイル23が対向し、送電コイル13及び受電コイル23の間で電力を伝送可能である。
【0045】
この構成により、コイルユニット1は、第1筐体15の凸部25f及び第2筐体25の凹部15fにより回動機構を構成できる。これにより、コイルユニット1は、送電コイル13及び受電コイル23の中心を同一の軸線X上に位置させ、且つ、送電コイル13及び受電コイル23の軸線方向における間隔を一定に保った状態で、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20を相対的に回動させることができる。この結果、コイルユニット1は、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20を軸線X周りに適正に回動させることができ、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20を軸線X周りに適正に位置決めすることができる。
【0046】
ここで、従来例に係るコイルユニットは、例えば、金属のシャフトを回動中心として給電コイル及び受電コイルを回動可能に設けていた。このため、従来例に係るコイルユニットは、磁力線が通る箇所に金属部材を設けることができないため、金属のシャフトを囲うように磁性体を設けることで磁力線をシャフトから遠ざけていた。しかしながら、従来例に係るコイルユニットは、給電コイル及び受電コイルの内側にシャフトと磁性体とを設ける必要があるため、コイルユニットが大型化していた。また、従来例に係るコイルユニットは、回動中心としてシャフトを設ける必要があるので部品点数が増加していた。これに対して、実施形態に係るコイルユニット1は、第1筐体15の凹部15f及び第2筐体25の凸部25fにより回動機構を構成するので、シャフトのような回動軸及びシャフトを囲う磁性体を不要とすることができる。これにより、コイルユニット1は、コイルユニット1の大型化を抑制することが可能となり部品点数の増加を抑制することができるので、製造工程及び製造コストを抑制できる。回動中心として金属のシャフトの代わりに樹脂のシャフトを使用した場合には、強度を保つために樹脂のシャフトを太くする必要があり、コイルユニットが大型化する傾向がある。また、実施形態に係るコイルユニット1は、軸線方向において凹部15f及び凸部25fの面接触により回動機構を実現するので、回動機構にかかる力を分散することができる。これにより、コイルユニット1は、材料への要求を緩和することができ、製造コストを抑制できる。また、コイルユニット1は、凹部15f及び凸部25fにより回動機構を実現するので、回転軸が送電コイル13及び受電コイル23を貫通しないので、限られたスペースにおいてコイルの巻き数を相対的に増加することができる。
【0047】
上記コイルユニット1において、第1筐体15及び第2筐体25は、上述の嵌合状態で互いに接触した状態で配置される。送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20は、第1筐体15と第2筐体25との間に生じる摩擦力により送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20の軸線X周りを位置決めする。この構成により、コイルユニット1は、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20の軸線X周りの相対位置を適正に定めることができる。
【0048】
上記コイルユニット1において、第1筐体15は、外面15gにより区画され凹部15fが露出した空間部Q1を有する。第2筐体25は、外面25gにより区画され凸部25fが露出した空間部Q2を有する。第1筐体15及び第2筐体25は、上述の嵌合状態で、第1筐体15の少なくとも一部が空間部Q2に位置し、且つ、第2筐体25の少なくとも一部が空間部Q1に位置する。この構成により、コイルユニット1は、上述の嵌合状態で、第1筐体15及び第2筐体25の軸線方向の高さが高くなることを抑制できる。これにより、コイルユニット1は、軸線方向の高さを全体的に低背化することができる。
【0049】
実施形態に係る固定構造100は、第1筐体15と、第2筐体25とを備える。第1筐体15は、軸線X周りに巻き回された電力伝送用の送電コイル13を収容する。第1筐体15は、当該第1筐体15の外面15gに設けられ、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って内側に窪んだ凹部15fを有する。第2筐体25は、軸線X周りに巻き回された電力伝送用の受電コイル23を収容する。第2筐体25は、当第2筐体25の外面25gに設けられ、軸線X上に位置し、当該軸線Xに沿って外側に突出した凸部25fを有する。第1リブ15e及び第2リブ25eは、凸部25fを凹部15fに嵌合した嵌合状態で、第1筐体15及び第2筐体25を係止する。第1筐体15及び第2筐体25は、第1リブ15e及び第2リブ25eにより第1筐体15及び第2筐体25を係止した状態で、凸部25fが凹部15fに軸線X周りに回動可能に嵌合され、送電コイル13及び受電コイル23が対向し、送電コイル13及び受電コイル23の間で電力を伝送可能である。この構成により、固定構造100は、上述したコイルユニット1と同等の効果を奏することができる。
【0050】
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。
図7は、実施形態の変形例に係るコイルユニット1Aの構成例を示す斜視図である。
図8は、実施形態の変形例に係る送電コイル収容器10Aの構成例を示す斜視図である。
図9は、実施形態の変形例に係る受電コイル収容器20Aの構成例を示す斜視図である。変形例に係るコイルユニット1Aは、摩擦力の代わりに突出部15hを溝部25hに嵌合することにより、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aの軸線X周りの位置決めを行う点で実施形態に係るコイルユニット1と異なる。なお、変形例では、実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
変形例に係るコイルユニット1Aは、
図7に示すように、送電コイル収容器10Aと、受電コイル収容器20Aとを備える。送電コイル収容器10Aは、基板11と、電線12と、送電コイル13と、フェライト部材14と、第1筐体15とを含んで構成される。第1筐体15は、
図8に示すように、第1突出部としての突出部15hを有する。突出部15hは、外面15gに設けられ、例えば、第1高背収容部151aの側面155aに設けられている。突出部15hは、棒状に形成され軸線方向に沿って延在し、側面155aから第2筐体25側に向けて外側に突出している。
【0052】
受電コイル収容器20Aは、基板21と、電線22と、受電コイル23と、フェライト部材24と、第2筐体25とを含んで構成される。第2筐体25は、
図9に示すように、突出部15hに係合される溝部25hを有する。溝部25hは、外面25gに設けられ、例えば、第2低背収容部252aの側面258aに設けられ内側に窪んでいる。溝部25hは、溝状に形成され軸線方向に沿って延在し、側面258aの周方向に沿って複数設けられている。送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aは、凸部25fを凹部15fに嵌合した嵌合状態で、突出部15hを溝部25hに嵌合することで送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aの軸線X周りの位置決めを行う。
【0053】
以上のように、変形例に係るコイルユニット1Aにおいて、第1筐体15は、外面15gに設けられ、外側に突出した突出部15hを有する。第2筐体25は、外面25gに設けられ、内側に窪んだ溝部25hを有する。送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aは、上述の嵌合状態で突出部15hを溝部25hに嵌合することで、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aの軸線X周りを位置決めする。この構成により、コイルユニット1Aは、溝部25hに嵌合する突出部15hの位置に応じて、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Bの軸線X周りの相対位置を適正に定めることができる。
【0054】
なお、上記説明において、コイルユニット1Aは、突出部15hを第1筐体15の外面15gに設け、溝部25hを第2筐体25の外面25gに設ける例について説明したが、これに限定されない。コイルユニット1Aは、例えば、突出部15hを第2筐体25の外面25gに設け、溝部25hを第1筐体15の外面15gに設けてもよい。例えば、コイルユニット1Aは、突出部15hを第2低背収容部252aの側面258aに設け、溝部25hを第1高背収容部151aの側面155aに設けてもよい。
【0055】
また、コイルユニット1Aは、突出部15hを第1リブ15eの内側に設け、溝部25hを第2低背収容部252aの背面に設け、上述の嵌合状態で突出部15hを溝部25hに嵌合することで、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aの軸線X周りの位置決めを行ってもよい。また、コイルユニット1Aは、突出部15hを第1低背収容部152aの上面153に設け、溝部25hを第2低背収容部252aの上面253aに設け、上述の嵌合状態で突出部15hを溝部25hに嵌合することで、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Aの軸線X周りの位置決めを行ってもよい。
【0056】
また、係止部は、第1リブ15e及び第2リブ25eを例に挙げて説明したがこれに限定されず、第1筐体15及び第2筐体25を係止可能な構成であれば、その他の構成でもよい。
【0057】
また、送電コイル収容器10A及び受電コイル収容器20Bは、突出部15h及び溝部25hの嵌合による軸線X周りの位置決めと、各側面155a、258aの摩擦力による軸線X周りの位置決めとを併用してもよい。
【0058】
また、送電コイル収容器10及び受電コイル収容器20は、各側面155a、258aの摩擦力により軸線X周りの位置決めを行ったが、その他の面の摩擦力により軸線X周りの位置決めを行ってもよい。
【0059】
また、実施形態では、第1コイル収容器を送電コイル収容器10とし、第2コイル収容器を受電コイル収容器20としたが、これに限定されず、第1コイル収容器を受電コイル収容器20とし、第2コイル収容器を送電コイル収容器10としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1A コイルユニット
10、10A 送電コイル収容器(第1コイル収容器)
13 送電コイル(第1コイル)
15 第1筐体
15e 第1リブ(係止部)
15f 凹部
15g 外面(第1外面)
15h 突出部(第1突出部)
151a 第1高背収容部
152a 第1低背収容部
153a 上面(第1上面)
155a 側面(第1側面)
20、20A 受電コイル収容器(第2コイル収容器)
23 受電コイル(第2コイル)
25 第2筐体
25e 第2リブ(係止部)
25f 凸部
25g 外面(第2外面)
25h 溝部(第2溝部)
251a 第2高背収容部
252a 第2低背収容部
253a 上面(第2上面)
255a 側面(第2側面)
X 軸線
Q1 空間部(第1空間部)
Q2 空間部(第2空間部)
100 固定構造