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  • 特許-管体搬送用浮体及び既設水路の更生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】管体搬送用浮体及び既設水路の更生方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20221115BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L1/028 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018170247
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020041626
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 臨
(72)【発明者】
【氏名】村上 優秀
(72)【発明者】
【氏名】鎌込 和成
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-215281(JP,A)
【文献】特開2006-240594(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101649928(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/18
F16L 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも搬送する管体の長さと同一の長さを有し、両側部に前記管体内下部の内壁面に当接する当接部を有する浮体本体と、
前記浮体本体の上面に設置された袋状のエアージャッキと
前記袋状のエアージャッキに連結された弁を制御する前記浮体本体に設置された制御部と、
前記制御部と連結され、前記袋状のエアージャッキにエアーを供給する前記浮体本体に設置されたエアー供給装置と
を備えることを特徴とする管体搬送用浮体。
【請求項2】
前記エアー供給装置は、エアータンクまたはコンプレッサーであることを特徴とする請求項に記載の管体搬送用浮体。
【請求項3】
前記袋状のエアージャッキは、2つの袋状のエアージャッキで構成され、前記2つの袋状のエアージャッキは、前記浮体本体の上面に前後方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の管体搬送用浮体。
【請求項4】
少なくとも搬送する管体の長さと同一の長さを有し、両側部に前記管体内下部の内壁面に当接する当接部を有する浮体本体と、
前記浮体本体の上面に設置された袋状のエアージャッキと、
前記浮体本体の底面の前記当接部の間に、前記浮体本体の前後方向に延びる切欠き部を備えることを特徴とする管体搬送用浮体。
【請求項5】
前記浮体本体の前端部及び後端部の幅方向の中央部に切欠き部を備えることを特徴とする請求項4に記載の管体搬送用浮体。
【請求項6】
水が存在する既設水路内に複数の管体を順次搬送して連結することにより、前記既設水路内に複数の前記管体が連結された更生管を構築する既設水路の更生方法において、
搬送される前記管体内の所定の位置に請求項1~の何れか一項に記載の管体搬送用浮体を配置する配置工程と、
前記袋状のエアージャッキに空気を供給して前記管体搬送用浮体を前記管体内に固定することにより、前記管体に対して前記既設水路内の水に浮かび得る浮力を付与する浮力付与工程と、
前記浮力が付与された前記管体を前記既設水路内の水に浮かせた状態で前記既設水路内の所定の位置まで搬送する搬送工程と、
搬送先において、前記袋状のエアージャッキ内の空気を排出させて前記管体の喫水を深くすることにより前記管体の高さ調整を行う高さ調整工程と
を含むことを特徴とする既設水路の更生方法。
【請求項7】
請求項記載の既設水路の更生方法において、
前記既設水路内に設置された前記管体と前記既設水路の内壁との間に浮上防止固定具を設置する設置工程を更に含むことを特徴とする既設水路の更生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が存在する既設水路内において、複数の管体を順次搬送し連結することにより、既設水路内に複数の管体が連結された更生管を構築する際に用いる管体搬送用浮体及び既設水路の更生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水路、農業用水路及び電力水路などの管路内に水が存在する既設管を更生する方法として、既設管内に存在する水に新しい管体を浮かせた状態で既設管内に順次搬入し、既設管内において管体を順次連結することにより複数の管体が連結された更生管を構築する既設管の更生方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5558888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の既設管の更生方法によれば、管体内に配置された浮体の上面の管軸方向の前後2か所に支持部材である棒状のジャッキを置き、管体内上部の内壁面をジャッキで突っ張ることにより浮体を管体内に固定し、管体に浮力を付与して管体を水に浮かせた状態で既設管内に搬入している。
【0005】
しかしながら、この既設管の更生方法においては、棒状のジャッキ自体の重量が重いため、管体内に浮体を固定する際の作業性が悪いという問題があった。また管体内に配置された浮体の上面に2つの棒状のジャッキを置き管体内に浮体を固定しているため、管体同士を接続する際の芯出し時に2つの棒状のジャッキの高さを均等に変えることが必要となり作業性が悪いという問題があった。更に棒状のジャッキを用いているため管体内上部の内壁面を点で支えることになり、芯出し時にジャッキを緩めて高さ調整する際に支持が不安定になり安定性、作業性が確保できないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、管体への固定作業、搬送先での管体の連結作業及び管体からの取り外し作業の作業性を向上させた管体搬送用浮体及び該管体搬送用浮体を用いた既設水路の更生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管体搬送用浮体は、少なくとも搬送する管体の長さと同一の長さを有し、両側部に前記管体内下部の内壁面に当接する当接部を有する浮体本体と、前記浮体本体の上面に設置された袋状のエアージャッキとを備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の管体搬送用浮体は、前記浮体本体の上面に設置された前記袋状のエアージャッキに連結された弁を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明の管体搬送用浮体は、更に前記浮体本体に前記制御部と連結されたエアー供給装置を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明の管体搬送用浮体は、前記エアー供給装置がエアータンクまたはコンプレッサーであることを特徴とする。
【0011】
また本発明の管体搬送用浮体は、前記浮体本体の底面の前記当接部の間に、前記浮体本体の前後方向に延びる切欠き部を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明の管体搬送用浮体は、前記浮体本体の前端部及び後端部の幅方向の中央部に切欠き部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の既設水路の更生方法は、水が存在する既設水路内に複数の管体を順次搬送して連結することにより、前記既設水路内に複数の前記管体が連結された更生管を構築する既設水路の更生方法において、搬送される前記管体内の所定の位置に本発明の管体搬送用浮体を配置する配置工程と、前記袋状のエアージャッキに空気を供給して前記管体搬送用浮体を前記管体内に固定することにより、前記管体に対して前記既設水路内の水に浮かび得る浮力を付与する浮力付与工程と、前記浮力が付与された前記管体を前記既設水路内の水に浮かせた状態で前記既設水路内の所定の位置まで搬送する搬送工程と、搬送先において、前記袋状のエアージャッキ内の空気を排出させて前記管体の喫水を深くすることにより前記管体の高さ調整を行う高さ調整工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明の既設水路の更生方法は、前記既設水路内に設置された前記管体と前記既設水路の内壁との間に浮上防止固定具を設置する設置工程を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管体への固定作業、管体の連結作業及び搬送先での管体からの取り外し作業の作業性を向上させた管体搬送用浮体及び該管体搬送用浮体を用いた既設水路の更生方法を提供することすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る既設水路の更生方法において用いられる管体を示す図である。
図2】実施の形態に係る既設水路の更生方法において用いられる管体搬送用浮体を示す図である。
図3】実施の形態に係る既設水路の更生方法の各工程を示す図である。
図4】実施の形態に係る既設水路の更生方法の各工程を示す図である。
図5】実施の形態に係るエアージャッキの空気供給・排出回路を示す図である。
図6】実施の形態に係る既設水路内を搬送される管体を下流側から見た図である。
図7】実施の形態に係る既設水路の更生方法の各工程を示す図である。
図8】実施の形態に係る既設水路内に設置された管体を下流側から見た図である。
図9】実施の形態に係る既設水路の更生方法において用いられる管体搬送用浮体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る管体搬送用浮体及び既設水路の更生方法について説明する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る既設水路の更生方法において、既設水路内に設置される管体2を示す図である。管体2は強化プラスチック複合管(FRPM管)であり、FRP層、レジンモルタル層、保護層からなる多層構造管である。管体2は一定の内外径を有する直管状の管本体部2aを有し、管本体部2aの一方の端部には、該管本体部2aよりも大径の短筒状の受け口2bが形成されており、管本体部2aの他方の端部には差し口2cが形成されている。
【0019】
既設水路内における 管体2同士の連結は、先行する管体2の受け口2bに後続する管体2の差し口2cを挿入することにより行われる。管体2の受け口2bの内周面(或いは、差し口2cの外周面)には、図示しない止水ゴムが設けられており、管体2の受け口2bに他の管体2の差し口2cを挿入して連結すると、受け口2bと差し口2cとが止水ゴムを介して水密状態で連結される。
【0020】
図2は、実施の形態に係る既設水路の更生方法において、既設水路内に管体2を搬入する際に用いる管体搬送用浮体4の構成を示す図であり、図2(a)は管体搬送用浮体4の平面図、図2(b)は管体搬送用浮体4の側面図、図2(c)は管体搬送用浮体4の後端部を示す図である。管体搬送用浮体4は、所定の厚さを有する発泡スチロールをFPRコーティング等により補強した浮体本体5を備えており、浮体本体5の長さは少なくとも搬送する管体2の長さと同一の長さであり、管体2の長さより幾分長く、浮体本体5の幅は管体2の管本体部2cの内径より幾分短く形成されている。
【0021】
浮体本体5の前端部及び後端部には、浮体本体5の角を切り落としたテーパー部5aが形成されている。また浮体本体5の前端部及び後端部に形成されたテーパー部5aの幅方向の中央部にはそれぞれ切欠き部5d形成されている。また浮体本体5の右側部及び左側部には、その長さ方向にわたって、管体2における管体内下部の内壁面に当接する曲面形状を有する当接部5bがそれぞれ形成されている。更に浮体本体5の当接部5bの間、即ち底部の中央部には浮体本体5の前端部から後端部に向かって延びる切欠き部5cが形成されている。
【0022】
管体搬送用浮体4の浮体本体5の上面には、袋状のエアージャッキ6が収容される2つのエアージャッキ収容部6aが形成されるエアージャッキ設置部6bが設けられている。2つのエアーャッキ収容部6aは、浮体本体5の前後方向に並べて設置されており、エアージャッキ6は、それぞれのエアーャッキ収容部6a内に設置されている。また管体搬送用浮体4の前端部近傍には、袋状のエアージャッキ6に空気を供給するエアータンク7が設置されている。
【0023】
次に実施の形態に係る管体搬送用浮体を用いた既設水路の更生方法について説明する。この既設水路の更生方法においては、既設水路の施工区間にわたって管体2を浮かせることができる水位の水、即ち流水(または滞留水)が存在することが必要である。なお流水(または滞留水)の水位が管体2を浮かせるのに十分な水位に満たない場合は、施工区間の下流側に堰を設けて流水を堰止めるなど、何らかの手段を講じて施工区間に必要とする水位を確保する。なお、既設水路の更生方法の各工程を示す図3図4及び図7においては、エアータンク7の図示を省略する。
【0024】
まず図3(a)に示すように、既設水路20の管体搬入部に設けられた発進スペースからクレーンなどにより、管体搬送用浮体4を流水(または滞留水)10上に吊り降ろす。次に管体搬送用浮体4を一時、発進スペースの上流側または下流側に移動させ、図3(b)に示すように、管体2を受け口2aが下流側を向くようにしてクレーンなどにより吊り降ろす。次に図3(c)に示すように、管体搬送用浮体4を流水(または滞留水)10に浮かせた状態で管体2内に挿入し固定位置まで移動させる。
【0025】
次に図4(a)に示すように、事前にエアーを充填したエアータンク7から袋状のエアージャッキ6に空気を供給して袋状のエアージャッキ6を膨らませる。図5はエアージャッキ6へ空気を供給し、またはエアージャッキ6から空気を排出させる空気供給・排出回路を示す図である。図5に示すように2つのエアージャッキ6には供給管31及び空気供給弁32を介してエアータンク7が接続されており、エアータンク7には着脱可能にコンプレッサー8が接続されている。また供給管31には、空気抜き弁33が設けられている。ここでエアージャッキ6、エアータンク7、供給管31、空気供給弁32及び空気抜き弁33が浮体本体5に載置される。
【0026】
制御部30は、空気供給弁32及び空気抜き弁33により構成され、エアータンク7から供給される空気を空気供給弁32を制御して2つの袋状のエアージャッキ6に供給して、袋状のエアージャッキ6を所定の大きさに膨らませ、エアージャッキ6を管体内上部の内壁面に押付ける。これにより管体搬送用浮体4の当接部5bが管体2における管体内下部の内壁面の二箇所に押し付けられ、管体搬送用浮体4は、管体2内に固定される。従って管体2には既設水路20内の流水(または滞留水)10に浮かび得る浮力が付与される。
【0027】
この場合、管体搬送用浮体4の底部には管体搬送用浮体4の前後方向に延びる切欠き部5cが形成されているため、管体2における管体内下部の内壁面と管体搬送用浮体4の底部との間には、管体2の軸方向に貫通する隙間が形成される。
【0028】
次に図4(b)に示すように、管体2を既設水路20内の流水(または滞留水)10に浮かせた状態で、既設水路20の下流から上流側(図中の矢印方向)に向かって搬送する。管体2の搬送は、施工区間の最上流側に設置された電動ウインチ(図示せず)から延びるワイヤーロープを管体2に固定し、電動ウインチによりワイヤーロープを徐々に巻き取ることにより管体2を既設水路20内の所定の位置まで搬送する。なお管体2の搬送は人力により行ってもよい。なお図6は既設水路20内を搬送される管体2を既設水路20の下流側から見た図である。
【0029】
ここで浮体本体5の前端部及び後端部には切欠き部5dが形成されており、底部の中央部には浮体本体5の前端部から後端部に向かって延びる切欠き部5cが形成されているため、既設水路20内において管体2を搬送する際に既設水路20内の流水(または滞留水)10が切欠き部5cに沿って浮体本体5の前端部側から後端部側に向かって流れる。従って搬送時における管体2のバランスを安定させることができ、管体2が周方向へ回転すること(ローリング)が抑制される。
【0030】
次に図4(c)に示すように、管体2が所定の設置位置まで搬送されると、既設水路20の底部に管体2を下支えする支持材(図示せず)を配置し、管体2に管体搬送用浮体4を固定しているエアージャッキ6から空気を抜く。即ち制御部30は、空気抜き弁33を制御して袋状のエアージャッキ6から空気を抜き、管体搬送用浮体4を管体内下部の内壁面から浮上させて管体2の喫水を深くすることにより、管体2を沈めながら支持材上に載置する。ここで2つのエアージャッキ6には、それぞれ空気抜き弁33が接続されているため、空気抜き弁33を制御することにより2つのエアージャッキ6から同時に空気を抜くことができる。
【0031】
そして図7(a)に示すように管体2の上部に浮上防止固定具12を配置し、管体2を既設水路20の所定位置に支持固定する。管体2を支持固定した後、既設水路20内に固定された管体2から管体搬送用浮体4を撤去し管体搬送用浮体4を発進エリアに移動させる。
【0032】
先頭の管体2を施工区間の始端に支持固定した後、同様にして後続する管体2を既設水路20内に搬入し、その差し口2cを先頭の管体2の受け口2bに挿入する。この際、既設水路20に支持固定された先行する管体2の高さ(固定位置)は、流水(または滞留水)10に浮いた状態の後続する管体2の高さ(浮上位置)より低い位置にある。そのため各管体2同士を連結する際に、後続する管体2を先行する管体2の高さまで下げる高さ調整(芯出し)を行う必要がある。この高さ調整は、図7(b)に示すように、後続する管体2において、管体2内に管体搬送用浮体4を固定しているエアージャッキ6内の空気を徐々に抜くことにより行う。即ち制御部30により空気抜き弁33を制御して袋状のエアージャッキ6から空気を抜き、管体搬送用浮体4を管体内下部の内壁面から浮上させて管体2の喫水を徐々に深くする。
【0033】
先行する管体2と後続する管体2の連結は、レバーホイストにより先行する管体2に対して後続する管体2を強制的に引き寄せ、先行する管体2の受け口2aに後続する管体2の差し口2bを連結する。後続する管体2を先行する管体2に連結した後、図7(c)に示すように管体2から管体搬送用浮体4を撤去し、管体搬送用浮体4を発進エリアまで移動させる。
【0034】
以下同様にして、複数個の管体2を施工区間にわたって連結し、支持固定して更生管を構築する。その後上流側末端の管体2の外周面に、既設水路20と管体2との間隙を閉塞する間仕切壁(図示せず)を形成する。また下流側末端の管体2の端部に、少なくとも既設水路20と管体2との間隙下半部を閉塞する間仕切壁(図示せず)を形成する。そして下流側に形成した間仕切壁の上方の開放部からポンプ(図示せず)を差し入れ、既設水路20と更生管との間隙に滞留する残水を揚水する。またこの残水の揚水作業と並行して、既設水路20と更生管との間隙にエアーモルタルを注入する。残水の揚水後、排水ポンプを取り出し既設水路20と管体2との間隙全面を閉塞する。
【0035】
本実施の形態に係る管体搬送用浮体4によれば、管体2内に固定する際にエアージャッキ6を用いるため、管体搬送用浮体4の重量を軽くすることができ、管体搬送用浮体4による浮力を最大化することができる。また管体搬送用浮体4の重量を軽くすることができるため管体搬送用浮体4の組み立てや、吊り降ろしの作業性を向上させることができる。
【0036】
また管体2内にエアージャッキ6により管体搬送用浮体4に固定しているため、管体上部内壁面に対する支持を面で行うことができる。従って管体上部内壁面に対する支持を点や線で行うサポートジャッキ等に比較して支持安定性を確保することができ、作業性を向上させることができる。
【0037】
また制御部30による空気供給弁32及び空気抜き弁33の操作のみで2つのエアージャッキ6の高さを均等に変更することができるため、作業を簡便化することができ作業性を向上させることができる。
【0038】
なお上述の実施の形態においては、エアージャッキ6を浮体本体5の前後方向に2つ並べて配置しているが、エアージャッキ6は1つでもよい。この場合袋状のエアージャッキは、球形ではなく浮体本体5の前後方向が長手方向となる直方体形状であることが好ましい。更にエアージャッキ6を浮体本体5の前後方向に3つ以上並べて配置してもよい。
【0039】
また上述の実施の形態においては、発進エリアを既設水路20の下流側に設けているが、発進エリアを既設水路20の上流側に設け、既設水路20の上流側から既設水路20内に管体2を搬入してもよい。
【0040】
また図8に示すように、既設水路20に管体2を固定する際に、上部だけでなく両側面も浮上防止固定具12により固定してもよい。
【0041】
また空気抜き弁33を制御してエアージャッキ6毎に排出させる空気の量を制御することができる。従って管体2の傾きを微調整しながら芯出しを行うことができる。
【0042】
また図9に示すようにエアータンク7を2つのエアージャッキ6の間に設置して管体搬送用浮体4の前後方向にバランスを安定させるようにしてもよい。この場合には、例えば操作性を向上させるために操作部7aを浮体本体5の後端側に設置してもよい。
【0043】
また上述の実施の形態尾においては、空気供給装置としてエアータンク7を用いているが、空気供給装置としてバッテリーの付属したコンプレッサーを用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2…管体、4…管体搬送用浮体、5…浮体本体、5b…当接部、5c,5d…切欠き部、6…エアージャッキ、7…エアータンク、8…コンプレッサー、10…流水(または滞留水)、12…浮上防止固定具、20…既設水路、30…制御部、32…空気供給弁、33…空気抜き弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9