(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】生体情報処理装置、生体情報処理方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
A61B5/00 ZDM
(21)【出願番号】P 2018181521
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2017198571
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷島 正巳
(72)【発明者】
【氏名】間藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】宮田 俊一
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067480(JP,A)
【文献】特開2016-202348(JP,A)
【文献】特開2017-027123(JP,A)
【文献】特開2004-248793(JP,A)
【文献】特開2011-143060(JP,A)
【文献】特開2014-006915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0122295(US,A1)
【文献】特開2011-092512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
A61B 9/00 -10/06
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備えた生体情報処理装置であって、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサにより実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者のバイタルサインに関連する少なくとも一つの第1パラメータを取得し、
前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフを前記被検者の生体情報を表示する表示装置における表示画面の第1表示領域に表示させ、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得し、
前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフ
および前記第2パラメータの閾値を示す少なくとも一つの閾値表示バーを前記表示画面の第2表示領域に表示させ、
前記第1表示領域の時間軸と前記第2表示領域の時間軸が同期するように前記第1表示領域と前記第2表示領域が並んで表示される、生体情報処理装置。
【請求項2】
前記生体情報処理装置は、
前記被検者及び/又は前記生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させる、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備えた生体情報処理装置であって、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサにより実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得し、
前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記被検者の生体情報を表示する表示装置における表示画面の第2表示領域に表示させ、
前記生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させ、
前記第2表示領域の時間軸と前記第3表示領域の時間軸が同期するように前記第2表示領域と前記第3表示領域が並んで表示され
、
前記生体情報処理装置に関連するイベント情報は、
前記生体情報処理装置の異常を示すイベント情報、又は前記生体情報処理装置と前記生体情報データを取得するように構成された外部センサとの間の装着不良を示すイベント情報を含む、
生体情報処理装置。
【請求項4】
前記被検者に関連するイベント情報は、
不整脈の発生を示すイベント情報と、
前記第1パラメータの異常を示すイベント情報と、
前記被検者に対する処置に関するイベント情報と、
のうちの少なくとも一つを含み、
前記生体情報処理装置に関連するイベント情報は、
前記生体情報処理装置の異常又は前記生体情報処理装置と前記生体情報データを取得するように構成された外部センサとの間の装着不良に関するイベント情報を含む、請求項2に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記生体情報処理装置は、
前記第2トレンドグラフと前記第2パラメータの閾値を示す少なくとも一つの閾値表示バーを前記第2表示領域に表示させる、請求項
3に記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値表示バーは、ユーザからの入力操作に応じて移動可能である、請求項
1又は5に記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの第2パラメータは、複数の第2パラメータを有し、
前記複数の第2パラメータは、
前記被検者の交感神経機能に関連する第2パラメータと、
前記被検者の副交感神経機能に関連する第2パラメータと、
を有し、
前記生体情報処理装置は、
前記交感神経機能に関連する第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフと前記副交感神経機能に関連する第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記第2表示領域に表示させ、
前記閾値表示バーは、前記交感神経機能に関連する第2パラメータの閾値及び前記副交感神経機能に関連する第2パラメータの閾値を示す単一の閾値表示バーである、請求項
1又は5に記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記生体情報処理装置は、
外部センサから前記生体情報データを取得し、
時間経過に応じて前記第1トレンドグラフ及び前記第2トレンドグラフを更新する、
請求項1又は2に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記生体情報処理装置は、
前記第1パラメータ及び第2パラメータのうちの少なくとも1つが異常を示す場合に、ユーザにアラートを提示する、請求項1,2及び8のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
(a)被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得するステップと、
(b)前記生体情報データに基づいて、前記被検者のバイタルサインに関連する少なくとも一つの第1パラメータを取得するステップと、
(c)前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフを表示画面の第1表示領域に表示させるステップと、
(d)前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得するステップと、
(e)前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフ
および前記第2パラメータの閾値を示す少なくとも一つの閾値表示バーを前記表示画面の第2表示領域に表示させるステップと、
を含み、
前記第1表示領域の時間軸と前記第2表示領域の時間軸が同期するように前記第1表示領域と前記第2表示領域が並んで表示される、コンピュータによって実行される生体情報処理方法。
【請求項11】
(f)前記被検者及び/又は生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させるステップをさらに含む、請求項10に記載の生体情報処理方法。
【請求項12】
前記被検者に関連するイベント情報は、
不整脈が発生したかどうかを示すイベント情報と、
前記第1パラメータの異常を示すイベント情報と、
前記
被検者に対する処置に関するイベント情報と、
のうちの少なくとも一つを含み、
前記生体情報処理装置に関連するイベント情報は、
前記生体情報処理装置の異常又は前記生体情報処理装置と前記生体情報データを取得するように構成された外部センサとの間の装着不良に関するイベント情報を含む、請求項11に記載の生体情報処理方法。
【請求項13】
(g)ユーザからの入力操作に応じて前記閾値表示バーを移動させるステップをさらに含む、請求項
10に記載の生体情報処理方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの第2パラメータは、複数の第2パラメータを有し、
前記複数の第2パラメータは、
前記
被検者の交感神経機能に関連する第2パラメータと、
前記
被検者の副交感神経機能に関連する第2パラメータと、
を有し、
前記ステップ(e)は、
前記交感神経機能に関連する第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフと前記副交感神経機能に関連する第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記第2表示領域に表示するステップを含み、
前記閾値表示バーは、前記交感神経機能に関連する第2パラメータの閾値及び前記副交感神経機能に関連する第2パラメータの閾値を示す単一の閾値表示バーである、
請求項10又は13に記載の生体情報処理方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)は、外部センサから前記生体情報データを取得するステップを含み、
前記ステップ(c)及び前記ステップ(e)では、時間経過に応じて前記第1トレンドグラフと前記第2トレンドグラフが更新される、請求項10から
14のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項16】
(a)被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得するステップと、
(b)前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得するステップと、
(c)前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを表示画面の第2表示領域に表示させるステップと、
(d)
生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させるステップと、を含み、
前記第2表示領域の時間軸と前記第3表示領域の時間軸が同期するように前記第2表示領域と前記第3表示領域が並んで表示され
、
前記生体情報処理装置に関連するイベント情報は、
前記生体情報処理装置の異常を示すイベント情報、又は前記生体情報処理装置と前記生体情報データを取得するように構成された外部センサとの間の装着不良を示すイベント情報を含む、
コンピュータによって実行される生体情報処理方法。
【請求項17】
請求項10から
16のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項
17に記載のプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報処理装置及び生体情報処理方法に関する。さらに、本開示は、当該生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の自律神経の活動をモニタリングする装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、患者の自律神経の活動に基づいて生体の異常反応を予測又は判定することが可能な自律神経活動モニター装置が開示されている。患者の自律神経の活動を可視化するために、患者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)を周波数解析することで、当該心拍変動の高周波成分(HR)と高周波成分に対する低周波成分(LF)との比(LF/HF)の時間変化を示すトレンドグラフが自律神経活動モニター装置の表示画面上に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療従事者は、患者の自律神経機能(交感神経機能及び副交感神経機能)の時間変化だけでなく、患者のバイタルサインの時間変化も観察することで患者の病状をより的確に把握することができる。この場合、医療従事者は、自律神経機能の時間変化を示す自律神経活動モニター装置とバイタルサインの時間変化を示す生体情報モニター装置の別個の2つの装置を用意することが考えられる。一方、医療従事者は、自律神経機能の時間変化を示す表示画面とバイタルサインの時間変化を示す別の表示画面の両方を見る必要があるため、患者の病状を瞬時には把握しづらい。このように、上記観点から生体情報処理装置のユーザビリティを改善させる余地がある。
【0005】
本開示は、ユーザビリティが向上した生体情報処理装置を提供することを目的とする。また、本開示は、生体情報処理方法、当該生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る生体情報処理装置は、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備える。
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサにより実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者のバイタルサインに関連する少なくとも一つの第1パラメータを取得し、
前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフを前記被検者の生体情報を表示する表示装置における表示画面の第1表示領域に表示させ、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得し、
前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記表示画面の第2表示領域に表示させる。
前記第1表示領域の時間軸と前記第2表示領域の時間軸が同期するように前記第1表示領域と前記第2表示領域が並んで表示される。
【0007】
本発明の一態様に係る生体情報処理装置は、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備える。
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサにより実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得し、
前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記被検者の生体情報を表示する表示装置における表示画面の第2表示領域に表示させ、
前記被検者及び/又は前記生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させる。
前記第2表示領域の時間軸と前記第3表示領域の時間軸が同期するように前記第2表示領域と前記第3表示領域が並んで表示される。
【0008】
本発明の一態様に係る生体情報処理方法は、コンピュータにより実行され、
(a)被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得するステップと、
(b)前記生体情報データに基づいて、前記被検者のバイタルサインに関連する少なくとも一つの第1パラメータを取得するステップと、
(c)前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフを表示画面の第1表示領域に表示させるステップと、
(d)前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得するステップと、
(e)前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを前記表示画面の第2表示領域に表示させるステップと、を含む。
前記第1表示領域の時間軸と前記第2表示領域の時間軸が同期するように前記第1表示領域と前記第2表示領域が並んで表示される。
【0009】
本発明の一態様に係る生体情報処理方法は、コンピュータにより実行され、
(a)被検者の生体情報を示す少なくとも一つの生体情報データを取得するステップと、
(b)前記生体情報データに基づいて、前記被検者の自律神経機能に関連する少なくとも一つの第2パラメータを取得するステップと、
(c)前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフを表示画面の第2表示領域に表示させるステップと、
(d)前記被検者及び/又は生体情報処理装置に関連するイベント情報を前記表示画面の第3表示領域に表示させるステップと、を含む。
前記第2表示領域の時間軸と前記第3表示領域の時間軸が同期するように前記第2表示領域と前記第3表示領域が並んで表示される。
【0010】
前記生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザビリティが向上した生体情報処理装置を提供することができる。さらに、本発明によれば、生体情報処理方法、当該生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態(以下、単に本実施形態という。)に係る生体情報処理装置を示すハードウェア構成図である。
【
図2】本実施形態に係る生体情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3】患者の自律神経機能に関連するパラメータを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】表示装置に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図5】イベント情報を表示する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】医療従事者にアラートを提示する一例として表示画面上にポップアップ通知が表示された状態を示す図である。
【
図7】表示装置に表示される表示画面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された要素と同一の参照番号を有する要素については、説明の便宜上、その説明は省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る生体情報処理装置1のハードウェア構成図を示す。
図1に示すように、生体情報処理装置1(以下、単に処理装置1という。)は、制御部2と、記憶装置3と、ネットワークインターフェース4と、表示装置5と、入力操作部6と、センサインターフェース7とを備える。これらはバス8を介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
処理装置1は、患者P(被検者)のバイタルサインのトレンドグラフを表示するための専用装置(生体情報モニタ等)であってもよいし、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン、タブレット、操作者U(医療従事者)の身体(例えば、腕や頭等)に装着されるウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチやARグラス等)であってもよい。
【0016】
制御部2は、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されている。例えば、メモリは、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成されてもよい。また、メモリは、フラッシュメモリ等によって構成されてもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。プロセッサは、記憶装置3又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
【0017】
特に、プロセッサが後述する生体情報処理プログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で当該プログラムを実行することで、制御部2は、処理装置1の各種動作を制御してもよい。生体情報処理プログラムの詳細については後述する。
【0018】
記憶装置3は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)であって、プログラムや各種データを格納するように構成されている。記憶装置3には、生体情報処理プログラムが組み込まれてもよい。また、記憶装置3には、患者P(被検者)の生体情報を示す生体情報データ(心電図データ、血圧データ、体温データ等)が保存されてもよい。例えば、心電図センサ20によって取得された心電図データは、センサインターフェース7を介して記憶装置3に保存されてもよい。
【0019】
ネットワークインターフェース4は、処理装置1を通信ネットワークに接続するように構成されている。具体的には、ネットワークインターフェース4は、通信ネットワークを介してサーバ等の外部装置と通信するための各種有線接続端子を含んでもよい。また、ネットワークインターフェース4は、外部装置と無線通信するための各種処理回路及びアンテナ等を含んでもよい。外部装置と処理装置1との間の無線通信規格は、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ZigBee(登録商標)又はLPWAである。通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネット等である。例えば、生体情報処理プログラムや生体情報データは、通信ネットワーク上に配置されたサーバからネットワークインターフェース4を介して取得されてもよい。
【0020】
表示装置5は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であってもよいし、操作者の頭に装着される透過型又は非透過型のヘッドマウントディスプレイ等の表示装置であってもよい。さらに、表示装置5は、画像をスクリーン上に投影するプロジェクターであってもよい。例えば、
図4に示す表示画面40が表示装置5に表示される。表示画面40は、GUI画面等のユーザインターフェース画面である。尚、処理装置1は、表示装置5を備えていなくてもよい。例えば、表示画面40が処理装置1と通信可能に接続されたセントラルモニタ等の外部装置の表示装置に表示されてもよい。この場合、処理装置1は、ネットワークインターフェース4又は入力インターフェース(図示せず)を介してバイタルサインに関連するトレンドグラフと自律神経機能に関連するトレンドグラフが表示された表示画面40を外部装置の表示装置に表示させてもよい。
【0021】
入力操作部6は、処理装置1を操作する操作者U(医療従事者)の入力操作を受付けると共に、当該入力操作に対応する指示信号を生成するように構成されている。入力操作部6は、例えば、表示装置5上に重ねて配置されたタッチパネル、筐体に取り付けられた操作ボタン、マウス及び/又はキーボード等である。入力操作部6によって生成された指示信号がバス8を介して制御部2に送信された後、制御部2は、指示信号に応じて所定の動作を実行する。
【0022】
センサインターフェース7は、心電図センサ20と、血圧センサ21と、体温センサ22等のバイタルセンサを処理装置1に接続するためのインターフェースである。センサインターフェース7は、これらのセンサから出力される生体情報データが入力される入力端子を含んでもよい。また、これらのセンサと無線通信するための各種処理回路及びアンテナ等を含んでもよい。心電図センサ20は、患者Pの心電図データを取得するように構成されている。心電図データは、患者Pの心電図波形を示すデータである。血圧センサ21は、患者Pの血圧データを取得するように構成されている。血圧データは、患者Pの血圧の時間変化を示すデータである。体温センサ22は、患者Pの体温データを取得するように構成されている。体温データは、患者Pの体温データの時間変化を示すデータである。心電図データ、血圧データ及び体温データは、患者Pの生体情報を示す生体情報データである。尚、本実施形態では、生体情報データの一例として、心電図データ、血圧データ及び体温データが取得されているが、SpO2(動脈血酸素飽和度)の時間変化を示すSpO2データ、CO2値(CO2濃度やCO2排出量等)の時間変化を示すCO2データ、患者の呼吸数(RR)の時間変化を示す呼吸データ、脳圧(ICP)の時間変化を示す脳圧データが生体情報データとして更に取得されてもよい。
【0023】
次に、
図2~
図4を参照することで本実施形態に係る生体情報処理方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る生体情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
図3は、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
図4は、表示装置5に表示される表示画面40(GUI画面)の一例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、ステップS1において、制御部2は、生体情報データとして血圧データ、心電図データ及び体温データを取得する。具体的には、リアルタイムに生体情報データが取得される場合、制御部2は、心電図センサ20から心電図データをリアルタイムに取得し、血圧センサ21から血圧データをリアルタイムに取得し、体温センサ22から体温データをリアルタイムに取得してもよい。一方、制御部2は、記憶装置3に保存された血圧データ、心電図データ、体温データ等の生体情報データを取得してもよい。さらに、制御部2は、通信ネットワーク上に配置されたサーバ等を介して生体情報データを取得してもよい。尚、制御部2は、心電図データのみを取得してもよい。また、制御部2は、生体情報データとしてSpO2データ、CO2データ、呼吸データ及び脳圧データのうちの少なくとも一つを取得してもよい。
【0025】
次に、ステップS2において、制御部2は、生体情報データ(心電図データ、血圧データ、体温データ)に基づいて、患者Pのバイタルサインに関連するパラメータ(第1パラメータ)を取得する。特に、制御部2は、生体情報データに基づいて、患者Pのバイタルサインに関連するパラメータの時間変化を示すデータを取得してもよい。
図4に示すように、バイタルサインに関連するパラメータは、例えば、心拍数(HR)、血中酸素飽和度 (SpO2)、体温(TEMP)、脈圧変動(PPV)、平均血圧値(ART_M)、最高血圧値(ART_S)及び/又は呼吸数(RR)である。また、バイタルサインに関連するパラメータとして、CO2値や脳圧(ICP)が取得されてもよい。生体情報データがリアルタイムに取得される場合、制御部2は、所定の期間の間に生体情報データを取得した後に、ステップS2の処理を実行してもよい。
【0026】
次に、ステップS3において、制御部2は、生体情報データ(心電図データ、血圧データ)に基づいて、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータ(第2パラメータ)を取得する。特に、制御部2は、生体情報データに基づいて、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータの時間変化を示すデータを取得してもよい。
図3を参照して患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得する処理について以下に説明する。
【0027】
図3に示すように、ステップS30において、制御部2は、心電図データに基づいて複数のRR間隔を取得する。ここで、RR間隔は、所定の心拍波形(QSR波形)のR波と当該所定の心拍波形に隣接する心拍波形のR波との間の間隔である。例えば、制御部2は、心電図データから複数のR波のピーク点の時刻を特定することで、複数のRR間隔を特定してもよい。次に、制御部2は、患者Pの心拍変動(HRV)に対して周波数解析を行う(ステップS31)。具体的には、制御部2は、RR間隔の時間変動を示すRR間隔データを周波数解析(例えば、ウェーブレット解析又は高速フーリエ変換(FFT)等)する。ここで、RR間隔データは、各時間の複数のRR間隔を含んでもよい。また、RR間隔データは、複数の心拍番号n(nは自然数)と、各々が複数の心拍番号nの一つに関連付けられた複数のRR間隔R
nを含んでもよい。例えば、n番目のRR間隔R
nは、n番目の心拍波形W
nのR波と(n+1)番目の心拍波形W
n+1のR波との間の間隔によって規定される。
【0028】
次に、制御部2は、心拍変動(HRV)の低周波成分(LF)に関連するパラメータを取得する(ステップS32)。例えば、制御部2は、低周波数帯(例えば、0.05Hz~0.15Hz)におけるRR間隔データのパワースペクトルのピーク強度又は強度の積分値を心拍変動の低周波成分(LF)に関連するパラメータ(以下、LFパラメータという。)として特定してもよい。制御部2は、時刻t1からt2(t1<t2)の間におけるRR間隔データを周波数解析することで、時刻t1(又は時刻t2)におけるLFパラメータを取得してもよい。
【0029】
次に、制御部2は、心拍変動(HRV)の高周波成分(HF)に関連するパラメータを取得する(ステップS33)。例えば、制御部2は、高周波数帯(例えば、0.15Hz~0.40Hz)におけるRR間隔データのパワースペクトルのピーク強度又は強度の積分値を心拍変動の高周波成分(HF)に関連するパラメータ(以下、HFパラメータという。)として特定してもよい。制御部2は、時刻t2からt3(t2<t3)の間におけるRR間隔データを周波数解析することで、時刻t2(又は時刻t3)におけるHFパラメータを取得してもよい。HFパラメータは、患者Pの副交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定の期間の間、HFパラメータの値が所定の閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの副交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0030】
次に、制御部2は、心拍変動の高周波成分(HF)に対する心拍変動の低周波成分(LF)の比率(LF/HF)を取得する(ステップS34)。具体的には、制御部2は、HFパラメータに対するLFパラメータの比率をLF/HFパラメータとして取得する。LF/HFパラメータは、患者Pの交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定の期間の間、LF/HFパラメータの値が所定の閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0031】
このように、制御部2は、心電図データから患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得することができる。特に、制御部2は、心電図データから患者Pの副交感神経機能を示すHFパラメータおよび患者Pの交感神経機能を示すLF/HFパラメータを取得することができる。
【0032】
尚、制御部2は、血圧データから患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得してもよい。この場合、制御部2は、血圧データを取得した上で、患者Pの最高血圧の変動(BPV)に対して周波数解析を行う。具体的には、制御部2は、患者Pの最高血圧の時間変動を示す最高血圧データを取得した上で、最高血圧データを周波数解析(例えば、ウェーブレット解析又は高速フーリエ変換(FFT)等)する。その後、制御部2は、最高血圧の変動(BPV)の低周波成分(LF)に関連するパラメータを取得する。例えば、制御部2は、低周波数帯における最高血圧データのパワースペクトルのピーク強度又は強度の積分値をBPVの低周波成分(LF)に関連するパラメータ(以下、BPV_LFパラメータという。)として特定する。BPV_LFパラメータは、患者Pの交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定の期間の間、BPV_LFパラメータの値が所定の閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0033】
図2に戻ると、ステップS4において、制御部2は、患者Pのバイタルサインに関連するパラメータ(例えば、心拍数(HR))の時間変化を示すトレンドグラフ(第1トレンドグラフ)を表示画面40の表示領域42(第1表示領域)に表示させる(
図4参照)。
図4に示すように、心拍数、体温、脈圧変動、平均血圧値、最高血圧値及び呼吸数のトレンドグラフが表示領域42に表示されてもよい。
【0034】
次に、ステップS5において、制御部2は、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータの時間変化を示すトレンドグラフ(第2トレンドグラフ)を表示画面40の表示領域43(第2表示領域)に表示させる。
図4に示すように、制御部2は、患者Pの副交感神経機能に関連するHFパラメータのトレンドグラフ及び患者Pの交感神経機能に関連するLF/HFパラメータのトレンドグラフを表示領域43に表示してもよい。
【0035】
尚、LF/HFパラメータに代えて、BPV_LFパラメータのトレンドグラフが交感神経機能に関連するパラメータのトレンドグラフとして表示領域43に表示されてもよい。この場合、操作者Uの入力操作に従って、LF/HFパラメータのトレンドグラフとBPV_LFパラメータのトレンドグラフとの間の表示切替えが行われてもよい。尚、LH/HFパラメータのトレンドグラフからBPV_LFパラメータのトレンドグラフへの表示切替えが行われた際には、BPV_LFパラメータのトレンドグラフに応じてスケールの値や閾値が変更されてもよい。
【0036】
また、
図4に示すように、表示領域42の時間軸と表示領域43の時間軸が同期するように表示領域42と表示領域43が並んで表示されている。換言すれば、表示領域42に表示されているバイタルサインのトレンドグラフの時間軸と表示領域43に表示されている自律神経機能のトレンドグラフの時間軸が互いに一致している(つまり、これら2つのトレンドグラフは、一つの時間軸を共有している。)。このように、操作者U(医療従事者)は、表示画面40上に表示された患者Pのバイタルサインと自律神経機能の時間変化を視認することで、患者の病状をより的確且つ迅速に把握することが可能となる。特に、操作者Uは、患者Pの病状の変化や不整脈の発生リスク等を把握することができる。このように、ユーザビリティが向上した処理装置1を提供することができる。
【0037】
また、生体情報データ(心電図データ、血圧データ、体温データ)がセンサからリアルタイムに取得される場合には、ステップS4,S5において、制御部2は、時間経過に応じてバイタルサインのトレンドグラフ(第1トレンドグラフ)と自律神経機能のトレンドグラフ(第2トレンドグラフ)を更新してもよい。この場合、
図2に示す一連の処理は、所定の周期で繰り返し実行されてもよい。表示画面40の右端に示されたトレンドグラフの値が最新値となる一方、表示画面40の左端に示されたトレンドグラフの値が最古値となる。
【0038】
このように、時間経過に応じてバイタルサインのトレンドグラフと自律神経機能のトレンドグラフが更新される場合、医療従事者は、表示画面40上においてリアルタイムに更新されるこれらのトレンドグラフを視認することで、リアルタイムに患者の状態を把握することができる。このように、処理装置1のユーザビリティをさらに向上させることが可能となる。
【0039】
さらに、
図4に示すように、交感神経機能に関連するLF/HFパラメータの閾値Vth1及び副交感神経機能に関連するHFパラメータの閾値Vth2を示す閾値表示バー46が表示領域43に表示される。閾値表示バー46は、患者Pの交感神経機能の異常及び/又は副交感神経の異常を判定するために使用される。例えば、LF/HFパラメータの閾値Vth1が10(msec/Hz
1/2)である一方、HFパラメータの閾値Vth2が1(msec/Hz
1/2)であるものとする。この場合、LF/HFパラメータに対する表示領域43の縦軸の目盛間隔K1が10(msec/Hz
1/2)である一方、HFパラメータに対する表示領域43の縦軸の目盛間隔K2が1(msec/Hz
1/2)である場合に、単一の閾値表示バー46を表示領域43に表示可能となる。つまり、以下の関係式(1)が成立する場合に、単一の閾値表示バー46を表示領域43に表示可能となる。
Vth1/Vth2=K1/K2・・・(1)
【0040】
本実施形態によれば、閾値表示バー46が表示領域43に表示されるので、操作者Uは、自律神経機能のトレンドグラフと閾値表示バー46を視認することで、患者Pの自律神経機能に異常があるかどうかを瞬時に把握することができる。例えば、操作者Uは、2つのパラメータの閾値を示す単一の閾値表示バー46を視認することで、患者Pの交感神経機能の異常及び/又は副交感神経機能に異常があるかどうかを直感的に把握することができる。臨床的には、医療従事者は、LH/HFパラメータのトレンドグラフの値及びHFパラメータのトレンドグラフの値が閾値表示バー46よりも小さい場合に、患者Pの脳幹機能が低下していると判断してもよい。また、医療従事者は、不整脈(AF,VT)発生の予兆や、敗血症、低体温療法、破傷風等の自律神経に影響のある予後観察等において、患者Pの状態を直感的に把握することもできる。このように、処理装置1のユーザビリティを向上させることができる。
【0041】
また、閾値表示バー46は、操作者Uからの入力操作に応じて移動可能であってもよい。例えば、マウスを用いて閾値表示バー46をドラッグ&ドロップすることで閾値表示バー46を移動してもよい。また、入力操作部6が操作者Uからの入力操作を受付けるタッチパネルを含む場合、操作者Uの手指のタッチ操作によって閾値表示バー46を移動してもよい。
【0042】
このように、閾値表示バー46が移動可能である場合、患者毎または医療機関毎に自律神経機能の異常を判定するための閾値表示バー46(つまり、自律神経機能に関連するパラメータの閾値)を設定することが可能となる。したがって、処理装置1のユーザビリティをさらに向上させることができる。
【0043】
尚、LF/HFパラメータの閾値Vth1は、例えば、5~10(msec/Hz1/2)の範囲内で変更されることが好ましい。さらに、HFパラメータの閾値Vth2は、例えば、0.5~1(msec/Hz1/2)の範囲内で変更されることが好ましい。また、LF/HFパラメータの代わりにBPV_LFパラメータが使用される場合、BPV_LFパラメータの閾値は、0.5~1(msec/Hz1/2)の範囲内で変更されることが好ましい。
【0044】
尚、本実施形態では、2つのパラメータの閾値を示す単一の閾値表示バー46が表示領域43に表示されているが、LF/HFパラメータの閾値Vth1を示す閾値表示バーとHFパラメータの閾値Vth2を示す閾値表示バーの2つの閾値表示バーが表示領域43に表示されてもよい。
【0045】
また、
図4に示すように、時刻表示バー47が表示画面40に表示されてもよい。時刻表示バー47は、操作者Uからの入力操作に応じて移動可能である。このように、時刻表示バー47を用いることで、患者Pの病状の変化をより正確に把握することができる。例えば、操作者Uは、時刻表示バー47を任意の位置へ移動させることで、移動後の位置に対応する計測値を確認することができたり、移動後の位置に対応するトレンドグラフの一部を拡張表示することができる。このように、操作者Uは、患者Pの状態を直感的に把握することが可能となる。
【0046】
次に、
図4及び
図5を参照することでイベント情報を表示する処理の一例について以下に説明する。
図5は、イベント情報を表示する処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部2は、ステップS10において、患者P及び/又は処理装置1に関連するイベントが発生したかどうかを判定する。
【0047】
ステップS10の判定結果がYESである場合、制御部2はステップS11の処理を実行する。一方、ステップS10の判定結果がNOである場合、制御部2はイベントが発生するまで待機する。次に、制御部2は、患者P及び/又は処理装置1に関連するイベント情報を生成する(ステップS11)。その後、制御部2は、イベント情報を表示画面40の表示領域45(第3表示領域)に表示させる(ステップS12)。
【0048】
図4に示すように、表示領域45の時間軸と、表示領域43の時間軸と、表示領域42の時間軸が同期するように、表示領域45と表示領域43と表示領域42が並んで表示されている。換言すれば、表示領域42の時間軸と、表示領域43の時間軸と、表示領域45の時間軸は互いに一致しており、表示領域42,43,45は、1つの時間軸を共有している。また、表示領域45は、複数の部分領域45a~45dを有する。
【0049】
イベント情報は、患者Pに関連するイベント情報及び/又は処理装置1に関連するイベント情報を含む。患者Pに関連するイベント情報は、不整脈の発生を示すイベント情報と、患者Pのバイタルサインに関連するパラメータ(第1パラメータ)の異常を示すイベント情報と、患者Pに対する処置に関するイベント情報のうちの少なくとも一つを含んでもよい。処理装置1に関連するイベント情報は、処理装置1の異常又は処理装置1と心電図センサ20等の外部センサとの間の装着不良に関するイベント情報を含んでもよい。
【0050】
図5を参照して不整脈の発生を示すイベント情報を表示する処理について以下に説明する。
図5に示すように、制御部2は、ステップS10において、心電図データに基づいて不整脈が発生したかどうかを発生する。例えば、制御部2は、少なくともRR間隔の変動(HRV)に基づいて不整脈が発生したかどうかを自動的に判定してもよい。
【0051】
ステップS10の判定結果がYESである場合、制御部2は、不整脈の発生を示すイベント情報を生成した上で(ステップS11)、当該イベント情報を表示領域45の部分領域45aに表示させる(ステップS12)。例えば、不整脈が時刻t4からt5の期間に発生した場合、部分領域45aの時刻t4からt5の期間に対応する部分にイベント表示バーEがイベント情報として表示されてもよい。
【0052】
イベント表示バーEの横幅は、不整脈が発生している期間に応じて調整されてもよい。例えば、不整脈が発生している期間が長い程、イベント表示バーEの横幅が大きくなってもよい。また、図示されていないが、イベント表示バーEの色はイベントの深刻度に応じて変化してもよい。例えば、イベント表示バーEの色が三色(赤色、黄色、青色)で表示されるものとする。この場合、当該イベント(不整脈の発生)のレベルが緊急レベルを示す場合、イベント表示バーEが赤色で表示されてもよい。また、当該イベントのレベルが警戒レベルを示す場合、イベント表示バーEは黄色で表示されてもよい。さらに、当該イベントのレベルが注意レベルを示す場合、イベント表示バーEは青色で表示されてもよい。
【0053】
次に、バイタルサインに関連するパラメータ(第1パラメータ)の異常を示すイベント情報を表示する処理について以下に説明する。
図5に示すように、制御部2は、ステップS10において、生体情報データ(心電図データ、血圧データ、体温データ)に基づいて、患者Pのバイタルサインに関連する複数のパラメータ(心拍数等)を取得する。
【0054】
制御部2は、バイタルサインに関連する複数のパラメータのうち少なくとも一つが正常の範囲外であるかどうかを判定する。ステップS10の判定結果がYESの場合、制御部2は、バイタルサインに関連するパラメータの異常を示すイベント情報を生成した上で(ステップS11)、当該イベント情報を表示領域45の部分領域45bに表示させる(ステップS12)。例えば、バイタルサインに関連するパラメータの異常が時刻t6からt7の期間に発生した場合、部分領域45bの時刻t6からt7の期間に対応する部分にイベント表示バーEがイベント情報として表示されてもよい。
【0055】
次に、処理装置1に関連するイベント情報を表示する処理について以下に説明する。
図5に示すように、制御部2は、ステップS10において、処理装置1に異常が発生したか又は処理装置1と外部センサ(心電図センサ20等)との間に装着不良が発生したかどうかを判定する。
【0056】
ステップS10の判定結果がYESの場合、制御部2は、処理装置1に関連するイベント情報を生成した上で(ステップS11)、当該イベント情報を表示領域45の部分領域45cに表示させる(ステップS12)。例えば、処理装置1の異常又は処理装置1と外部センサとの間の装着不良が時刻t8からt9の期間に発生した場合、部分領域45cの時刻t8からt9の期間に対応する部分にイベント表示バーEがイベント情報として表示されてもよい。
【0057】
次に、患者Pに対する処置に関するイベント情報を表示する処理について以下に説明する。
図5に示すように、制御部2は、ステップS10において、操作者U(医療従事者)からの所定の入力操作を受付けたかどうかを判定する。例えば、操作者Uは、患者Pに対して所定の処置(投薬等)を施した場合に、処理装置1に対して所定の入力操作を行うものとする。
【0058】
ステップS10の判定結果がYESの場合、制御部2は、患者Pに対する処置に関するイベント情報を生成した上で(ステップS11)、当該イベント情報を表示領域45の部分領域45dに表示させる(ステップS12)。例えば、時刻t10からt11の期間において操作者Uが患者Pに対する処置を施した場合、部分領域45dの時刻t10からt11の期間に対応する部分にイベント表示バーEがイベント情報として表示されてもよい。
【0059】
本実施形態によれば、医療従事者は、表示画面40(GUI画面)に表示された患者のバイタルサインの時間変化と、患者Pの自律神経機能の時間変化と、イベント情報(不整脈の発生を示すイベント情報等)を視認することで、患者Pの病状を的確且つ迅速に把握することができる。このように、処理装置1のユーザビリティをさらに向上させることができる。
【0060】
また、
図6に示すように、表示画面40上にポップアップ通知55を表示することで、操作者U(医療従事者)にアラートを提示してもよい。具体的には、制御部2は、患者Pのバイタルサインに関連するパラメータ(第1パラメータ)と患者Pの自律神経機能に関連するパラメータ(第2パラメータ)のうちの少なくとも1つが異常を示すと判定した場合に、表示画面40上にポップアップ通知55を表示してもよい。
【0061】
例えば、制御部2は、所定の期間の間、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータが所定の閾値よりも小さいと判定した場合、患者Pの自律神経機能に異常が発生している旨を示すポップアップ通知55を表示画面40上に表示させてもよい。より具体的には、制御部2は、所定の期間の間、LH/HFパラメータが閾値Vth1よりも小さいと共に、HFパラメータが閾値Vth2よりも小さいと共に、図示しないLFパラメー
タが閾値Vth3よりも小さいと判定した場合に、ポップアップ通知55を表示画面40上に表示させてもよい。
【0062】
さらに、制御部2は、HFパラメータが異常を示す場合に、操作者Uにアラート(特に、脳圧の異常に関連するアラート)を提示してもよい。この点において、脳圧(ICP)の上昇に伴いHFパラメータが上昇することが実験的に明らかとなっている。このように、HFパラメータの上昇に基づいて脳圧の上昇(換言すれば、脳圧の異常)を非侵襲的に判定することができる。具体的には、制御部2は、HFパラメータが持続的に上昇し続けた結果として閾値Vth2を超えたと判定した場合(判定条件1)に、患者の脳圧が上昇している可能性がある旨を示すポップアップ通知を表示画面40上に表示させてもよい。また、制御部2は、HFパラメータが短時間の間に閾値Vth2を急激に超えたと判定した場合(判定条件2)に、患者の脳圧が上昇している可能性がある旨を示すポップアップ通知を表示画面40上に表示させてもよい。さらに、制御部2は、上記した判定条件1又は判定条件2が満たされると共に、HFパラメータ及びLH/HFパラメータが短時間で大きく低下したと判定した場合に、脳圧の上昇により脳幹に異常がある可能性がある旨を示すポップアップ通知を表示画面40上に表示させてもよい。
【0063】
このように、バイタルサインに関連するパラメータ及び自律神経機能に関連するパラメータのうち少なくとも一つが異常を示す場合に操作者Uにアラート(例えば、ポップアップ通知)が提示されるので、操作者Uは患者Pのバイタルサイン及び/又は自律神経機能の異常を直ちに把握することができる。特に、HFパラメータが異常を示す場合に操作者Uに脳圧の異常を示すアラートが提示されるので、操作者Uは患者Pの脳圧の異常を非侵襲的に把握することができる。尚、処理装置1は、上記のようにポップアップ通知の他、メッセージ等の視覚的なものの他、聴覚的、触覚的又は嗅覚的に操作者Uにアラートを提示してもよい。
【0064】
次に、
図7を参照して表示装置5に表示される表示画面の他の一例について以下に説明する。
図7は、表示装置5に表示される表示画面60(GUI画面)の他の一例を示す図である。
図7に示すように、表示画面60は、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータのトレンドグラフが表示される表示領域50と、イベント情報が表示される表示領域45を有する。表示領域50は、LFパラメータのトレンドグラフが表示される表示領域51と、HFパラメータのトレンドグラフが表示される表示領域52と、HFパラメータのトレンドグラフとLF/HFパラメータのトレンドグラフが表示される表示領域53とを有する。
【0065】
LFパラメータの閾値Vth3を示す閾値表示バー56が表示領域51に表示されると共に、HFパラメータの閾値Vth2を示す閾値表示バー57が表示領域52に表示される。さらに、HFパラメータの閾値及びLF/HFパラメータの閾値Vth1を示す閾値表示バー58が表示領域53に表示される。また、自律神経機能のトレンドグラフが表示される表示領域50(第2表示領域)の時間軸と、イベント情報が表示される表示領域45(第3表示領域)の時間軸が同期するように、表示領域50と表示領域45が並んで表示されている。このように、操作者U(医療従事者)は、表示画面60上に表示された患者の自律神経機能の時間変化とイベント情報を視認することで、患者の病状をより的確且つ迅速に把握することができるため、処理装置1のユーザビリティを向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る処理装置1をソフトウェアによって実現するためには、生体情報処理プログラムが記憶装置3又はROMに予め組み込まれていてもよい。または、生体情報処理プログラムは、磁気ディスク(例えば、HDD、フロッピーディスク)、光ディスク(例えば、CD-ROM,DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)ディスク)、光磁気ディスク(例えば、MO)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、USBメモリ、SSD)等のコンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、記憶媒体に格納された生体情報処理プログラム記憶装置3に組み込まれてもよい。さらに、記憶装置3に組み込まれた当該プログラムがRAM上にロードされた上で、プロセッサがRAM上にロードされた当該プログラムを実行してもよい。このように、本実施形態に係る生体情報処理方法が処理装置1によって実行される。
【0067】
また、生体情報処理プログラムは、通信ネットワーク上のコンピュータからネットワークインターフェース4を介してダウンロードされてもよい。この場合も同様に、ダウンロードされた当該プログラムが記憶装置3に組み込まれてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0069】
1:生体情報処理装置(処理装置)
2:制御部
3:記憶装置
4:ネットワークインターフェース
5:表示装置
6:入力操作部
7:センサインターフェース
8:バス
20:心電図センサ
21:血圧センサ
22:体温センサ
40:表示画面
42,43,45:表示領域
45a,45b,45c,45d:部分領域
46:閾値表示バー
47:時刻表示バー
50,51,52,53:表示領域
56,57,58:閾値表示バー
60:表示画面