(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】天井吊り金具および天井付き屋根パネル
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20221115BHJP
E04B 7/20 20060101ALI20221115BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20221115BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E04B9/18 Z
E04B7/20 511
E04B1/70 E
E04B1/76 500Z
(21)【出願番号】P 2018200005
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元女 和樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文岳
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021337(JP,A)
【文献】特開2017-166144(JP,A)
【文献】特開平09-111946(JP,A)
【文献】特開2016-044459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
E04B 7/20
E04B 1/348
E04B 1/70,1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根パネルと天井パネルとを、間に上下の隙間を有して一体に固定する天井吊り金具であって、
対向する一対の縦板部と、該縦板部の一側部間を連結する連結板部とを有
し、
一対の前記縦板部は、前記屋根パネルと前記天井パネルとが離間する方向へ異なる高さで延びて、下端部の位置を揃えて設置されることで、
低い方の前記縦板部の下部が前記天井パネルに取り付ける天井取付部となり、
高い方の前記縦板部の下部が前記天井取付部と共に前記天井パネルを構成する天井枠体を挟み込む天井挟着部となると共に、
高い方の前記縦板部の上部が前記屋根パネルを構成する屋根枠体に取り付ける屋根取付部となり、
前記連結板部は、前記屋根枠体と前記天井枠体との間に介在されて前記連結板部の高さ寸法の前記隙間を形成する隙間形成部となっていることを特徴とする天井吊り金具。
【請求項2】
前記連結板部は、前記縦板部の一側面よりも外方へ突出する突出部となっていることを特徴とする請求項1に記載の天井吊り金具。
【請求項3】
屋根枠体の上面に野地板を取り付けて構成される屋根パネルの下側に、天井枠体
の下面に天井面材を取り付けて構成される天井パネルが配置され、
前記屋根パネルと
前記天井パネルとが、請求項1
または請求項2に記載の
、対向する一対の縦板部と、該縦板部の一側部間を連結する連結板部とを有する天井吊り金具で一体的に固定されると共に、
前記屋根パネルは、前記屋根枠体が、前記天井吊り金具を構成する高い方の前記縦板部の上部に設けられた前記屋根取付部の内面に取り付けられ、
前記天井パネルは、前記天井枠体が、前記天井吊り金具を構成する一対の前記縦板部の下部に設けられた前記天井取付部と前記天井挟着部とによって挟み込まれた状態で取り付けられ、
前記屋根パネルと前記天井
パネルは、前記天井吊り金具に設けられた
前記連結板部を隙間形成部として、前記隙間形成部
を間に介在させることによって
前記連結板部の高さ寸法の前記隙間が形成された状態で離間配置されていることを特徴とする天井付き屋根パネル。
【請求項4】
前記隙間形成部は、前記天井吊り金具の高さ方向の中間部に設けられていることを特徴とする請求項
3に記載の天井付き屋根パネル。
【請求項5】
前記天井枠体の内側には、断熱材が設けられていることを特徴とする請求項
3または請求項4に記載の天井付き屋根パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井吊り金具および天井付き屋根パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、屋根に対して直接天井を固定したものが存在している(例えば、特許文献1~3参照)。この場合、屋根と天井は天井吊り金具によって固定されると共に、屋根と天井との間には、通気などのための隙間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-232387号公報
【文献】特開平9-49285号公報
【文献】実開昭54-177025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に記載された天井吊り金具は、いずれも、単に屋根に天井を取付けるだけのものとなっており、通気などのための隙間を確保するための機能を特に備えていなかった。そのため、通気などのための隙間を形成するのに手間や時間がかかっていた。
【0005】
そこで、本発明は、主に、上記した問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
屋根パネルと天井パネルとを、間に上下の隙間を有して一体に固定する天井吊り金具であって、
対向する一対の縦板部と、該縦板部の一側部間を連結する連結板部とを有し、
一対の前記縦板部は、前記屋根パネルと前記天井パネルとが離間する方向へ異なる高さで延びて、下端部の位置を揃えて設置されることで、
低い方の前記縦板部の下部が前記天井パネルに取り付ける天井取付部となり、
高い方の前記縦板部の下部が前記天井取付部と共に前記天井パネルを構成する天井枠体を挟み込む天井挟着部となると共に、
高い方の前記縦板部の上部が前記屋根パネルを構成する屋根枠体に取り付ける屋根取付部となり、
前記連結板部は、前記屋根枠体と前記天井枠体との間に介在されて前記連結板部の高さ寸法の前記隙間を形成する隙間形成部となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成によって、屋根と天井とを、間に隙間を有した状態で固定するのに要する手間や時間を削減できる。この際、一対の縦板部を異なる高さにすることで、邪魔な部分や不要な部分などをなくして屋根パネルや天井パネルに縦板部を取り付け易くできる。また、連結板部を隙間形成部にすることで、連結板部の高さによって位置出しを行うことなく正確な隙間を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態にかかる天井付き屋根パネルを備えた建物の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1の建物に対する天井付き屋根パネルの設置状況を示す縦断面図である。
【
図3A】
図2の天井付き屋根パネルの側面図である。
【
図3B】
図2の天井付き屋根パネルの他の例を示す側面図である。
【
図4A】天井付き屋根パネルに用いる天井吊り金具の斜視図である。
【
図5】(a)は天井吊り金具を一方の縦板部の側から見た図、(b)は天井吊り金具を連結板部(隙間形成部)の側から見た図、(c)は天井吊り金具を他方の縦板部の側から見た図、(d)は天井吊り金具を上方から見た図である。
【
図6】天井吊り金具を屋根パネルと天井パネルとの間に取付けた状態を示す側面図である(
図3AのA-A線に沿った断面図)。
【
図7】天井吊り金具が取付けられた天井パネルに断熱材を取付ける状態を示す側面図である。
【
図8】(a)は
図7のB部の拡大図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)を図の左側から見た図である。
【
図9】(a)は
図7のC部の拡大図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)を図の左側から見た図である。
【
図10】天井パネルに断熱材を取付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図10は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0010】
<構成>以下、構成について説明する。
【0011】
図1は、住宅などの建物1の一部を示す斜視図である。この建物1は、ユニット建物とされている。ユニット建物は、工場で予め製造した建物ユニット2を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに建物1を構築し得るようにしたものである。
【0012】
そして、建物ユニット2を組み立てることによって建物本体3が構成され、建物本体3の上に屋根ユニット4を設置することによって建物1の屋根5が構成される。この屋根5は、傾斜屋根によって構成された片流れ屋根などとなっている。なお、図では、1つの建物ユニット2の上に1つの屋根ユニット4を設置した状態を示している。
【0013】
以下、ユニット建物の例として説明するが、この実施例の屋根構造を適用可能な建物1は、ユニット建物に限るものではなく、各種の建物1に適用できる。また、この実施例の屋根構造を適用可能な屋根5は、片流れ屋根に限るものではなく、各種の形状の屋根5に適用できる。
【0014】
上記した屋根ユニット4は、
図2(~
図3B)に示すように、屋根5に対して天井6を、天井吊り金具7を用いて取付けた天井付き屋根パネル8を有している。天井吊り金具7は、
図4A(
図5)に示すような金具である。そして、天井吊り金具7は、
図6に示すように、屋根5に天井6を吊り下げるように取付ける際に使われる。天井付き屋根パネル8は、工場で予め製造された後に、屋根ユニット4の上部に設置される。
【0015】
(1)以下、天井吊り金具7について説明する。
【0016】
図4A(
図5)に示すように、天井吊り金具7は、対向する一対の縦板部11,12と、縦板部11,12の一側部間を連結する連結板部13とを有するものとされる。
【0017】
ここで、縦板部11,12は、屋根5または天井6のいずれかの面に対してほぼ垂直な方向へ延びる平坦な板状の部分とされる。対向する一対の縦板部11,12は、板面を対向させた状態でほぼ平行に配置されるのが好ましい。なお、一対の縦板部11,12は、少なくとも一部(特に下部)が、一定の間隔14とされる。また、縦板部11,12は、それぞれ矩形板状のものとするのが好ましいが、
図4Bの変形例に示すように、少なくとも一方を矩形位置状以外の四角形(例えば、平行四辺形や台形)やその他の形状などにすることができる。また、縦板部11,12は、必要に応じて、
図4Bに矢印で示すように、一部(例えば、縦板部12の上部)を面外方向にねじった形状などとすることも可能である。
【0018】
縦板部11,12の一側部は、一対の縦板部11,12の同じ側となる側部のことである。一側部は、どちらの側部としても良い。
【0019】
連結板部13は、一対の縦板部11,12の一側部間を連結する平坦な板状の部分である。連結板部13は、一対の縦板部11,12の面に対してほぼ直交する面を有するのが好ましい。連結板部13と一対の縦板部11,12は、一枚の金属製の板材を曲げ加工して形成するのが好ましい。
【0020】
(2)連結板部13は、縦板部11,12の一側面よりも外方へ突出する突出部15を有しても良い。
【0021】
ここで、連結板部13は、突出部15としなくても良いが、突出部15にするのが好ましい。外方は、縦板部11,12の一側面から、縦板部11,12の面方向に離れた方向のことである。突出部15は、連結板部13の全部または一部が突出していれば良い。この実施例では、連結板部13の全体(特に上端部と下端部)が突出部15とされている。
【0022】
突出部15は、縦板部11,12の一側面の位置に対して、僅かにでも外方へ位置していれば良い。この実施例では、連結板部13は、その厚み分程度またはそれ以上の突出量16(
図5)を有して縦板部11,12の一側面よりも外方に位置するように形成されている。
【0023】
(3)一対の縦板部11,12は、高さ17,18を異ならせても良い。
【0024】
ここで、対向する一対の縦板部11,12は、高さ17,18を同じに揃えても良いが、高さ17,18を異ならせるのが好ましい。この実施例では、一対の縦板部11,12は、下端部の位置をほぼ揃えた状態で、上端部の位置を違えることで、高さ17,18を異ならせている。これにより、天井吊り金具7は、
図6に示すように、低い方の縦板部11(または第一の縦板部11)が屋根5や天井6の内側に位置し、高い方の縦板部12(または第二の縦板部12)が屋根5や天井6の外側に位置するようにして使用するのが好ましいものとなる。
【0025】
(4)以下、上記天井吊り金具7を用いて構成される天井付き屋根パネル8について説明する。
【0026】
図2(
図3A、
図3B)に示すように、天井付き屋根パネル8は、屋根枠体21の上面に野地板22を取り付けて構成される屋根パネル23の下側に、天井枠体25に天井面材26を取り付けて構成される天井パネル27が配置され、屋根パネル23と天井パネル27とが、上記した天井吊り金具7で一体的に固定されたものとされる。そして、天井付き屋根パネル8は、屋根パネル23と天井パネル27とが、天井吊り金具7に設けられた隙間形成部28によって隙間29が形成された状態で離間配置される。
【0027】
ここで、屋根枠体21は、縦枠材31と横枠材32とをほぼ矩形状に組み合わせたものなどとされる。屋根枠体21の縦枠材31や横枠材32には、例えば、2×4材などの規格材を用いることができる。2×4材は、幅が約89mm、厚みが約38mmの角材である。2×4材は、縦向きの状態で屋根枠体21に組み立てられる。縦向きの状態とは、2×4材の幅を屋根パネル23の面と垂直に向けた状態である。屋根枠体21の内部には、横桟や母屋などの補助材33を適宜設置することができる。
【0028】
野地板22は、屋根5の下地材として屋根枠体21の上に設置される。
【0029】
屋根パネル23は、屋根ユニット4の上面の屋根5を構成するパネルであり、野地板22の上には、防水シートなどを介して屋根葺材などが設置される。この実施例では、屋根パネル23は、1枚で1つの屋根ユニット4の上面全体を覆うような大型のものとされている。
【0030】
天井枠体25は、縦枠材34と横枠材35とをほぼ矩形状に組み合わせたものなどとされる。天井枠体25の縦枠材34や横枠材35には、屋根枠体21の縦枠材31や横枠材32と同じもの(例えば、2×4材などの規格材)を同じように使用するのが好ましい。天井枠体25の内部には、横桟や木桟などの補助材36を適宜設置することができる。
【0031】
天井面材26には、例えば、石膏ボードなどが用いられる。
【0032】
天井パネル27は、天井6を構成するパネルである。天井パネル27は、屋根パネル23よりも小型のものとされる。天井パネル27は、屋根パネル23と比べて、屋根5の流れ方向(
図3Aの左右方向)に対しては短く、横方向(
図3Aの紙面と垂直な方向)に対してはほぼ同じかそれよりも短い寸法のものとするのが好ましい。そして、天井吊り金具7は、主に、天井パネル27と屋根パネル23の幅方向(横方向)の両側部間(屋根枠体21の縦枠材31と、天井枠体25の縦枠材34との間)などに取付けられる。この実施例では、
図3Aが小屋裏部分の天井6を構成する天井パネル27を屋根パネル23に取付けた天井付き屋根パネル8となっており、
図3Bが傾斜天井を構成する天井パネル27を屋根パネル23に取付けた天井付き屋根パネル8となっている。
【0033】
天井吊り金具7は、上記したように、屋根パネル23と天井パネル27とを直接固定するための金具である。天井吊り金具7は、主に、屋根パネル23の縦枠材31と天井パネル27の縦枠材34との間に、縦枠材31,34の長手方向に沿い所要の間隔14を有して複数設けられる。なお、
図4Bに矢印で示すように、縦板部11,12の一部(例えば、縦板部12の上部)をねじるよう変形した状態にすれば、屋根パネル23の縦枠材31と天井パネル27の横枠材35との間や、屋根パネル23の横枠材32と天井パネル27の縦枠材34との間に天井吊り金具7を取付けることなども可能になる。
【0034】
隙間形成部28は、屋根パネル23と天井パネル27との間に隙間29を形成するために設けられる部分のことである。隙間形成部28を設けることによって、特に屋根パネル23や天井パネル27に対して位置出しなどを行うことなく、屋根パネル23と天井パネル27との間に簡単に正確な隙間29を作り出すことができる。この実施例では、突出部15とされた連結板部13を隙間形成部28としている。屋根パネル23と天井パネル27との間に連結板部13が介在されることによって隙間29が形成される。そして、連結板部13の高さ寸法37(
図5)によって、隙間29が設定される。隙間形成部28については後述する。なお、隙間形成部28は、連結板部13とは別に設けても良い。
【0035】
隙間29は、通気などのためのものである。この実施例では、隙間29は、屋根パネル23や天井パネル27の厚み程度、またはそれよりも若干大きいか小さいものなどとされている。この実施例では、屋根パネル23と天井パネル27との間の隙間29は、
図4Aの天井吊り金具7を用いることで全体に一定とされているが、例えば、
図4Bのような短い縦板部11の上端部11bを傾斜させた天井吊り金具7Aを用いることで、屋根パネル23と天井パネル27との間の隙間29を全体に一定でなくすることもできる。
【0036】
(5)隙間形成部28は、天井吊り金具7の高さ方向の中間部に設けられても良い。
【0037】
ここで、天井吊り金具7の高さ方向は、縦板部11,12の高さ17,18に沿った方向となる。天井吊り金具7の高さ方向の中間部とは、高い方の縦板部12の高さ方向の中間部のことである。
図4Aでは、隙間形成部28は、その上端部28aを、低い方の縦板部11の上端部11aの位置にほぼ揃えた状態で形成されている。但し、隙間形成部28の上端部28aと、低い方の縦板部11の上端部11aとの間には、若干の高さ方向の位置ズレや段差などがあっても許容される。
【0038】
このように、隙間形成部28を天井吊り金具7の高さ方向の中間部に設けることにより、低い方の縦板部11には、下部に隙間形成部28のない部分が形成される。また、高い方の縦板部12には、下部と上部に隙間形成部28のない部分が形成される。
【0039】
このうち、低い方の縦板部11の下部の隙間形成部28のない部分が、天井枠体25に対する取付部(天井取付部41)となる。天井取付部41は、天井枠体25の高さ、または、天井枠体25を構成する縦枠材34や横枠材35の幅寸法とほぼ等しいかそれよりも短い長さ(高さ)に形成される。天井取付部41にはネジなどの固定具42を横から(天井枠体25の内側から)取付けるための取付孔43が形成される。
【0040】
また、高い方の縦板部12の下部の隙間形成部28のない部分が、天井取付部41と平行に対峙して天井枠体25を(縦枠材34や横枠材35の厚み方向に)挟み込む天井挟着部44となる。天井挟着部44は、天井枠体25の高さ、または、天井枠体25を構成する縦枠材34や横枠材35の幅寸法とほぼ等しいかそれよりも短い長さ(高さ)に形成される。そして、天井取付部41と天井挟着部44との間隔14は、天井枠体25を構成する縦枠材34や横枠材35の厚みとほぼ等しい寸法に形成される。天井取付部41と天井挟着部44との間隔14は、隙間形成部28の幅寸法と同じに設定される。なお、天井挟着部44には、必要に応じて、天井取付部41と同様に、固定具42を横から(天井枠体25の外側から)取付けるための取付孔などを設けても良い。
【0041】
そして、高い方の縦板部12の上部の隙間形成部28のない部分が、屋根枠体21に対する取付部(屋根取付部47)となる。屋根取付部47は、屋根枠体21の高さ、または、屋根枠体21を構成する縦枠材31や横枠材32の幅寸法とほぼ等しいかそれよりも短い長さ(高さ)に形成される。屋根取付部47にはネジなどの固定具42を横から(屋根枠体21の外側から)取付けるための取付孔49が形成される。
【0042】
(6)隙間形成部28は、屋根枠体21と天井枠体25の間に介在されても良い。
【0043】
ここで、屋根枠体21と天井枠体25の間に介在されるとは、隙間形成部28が、屋根枠体21と天井枠体25との間に位置することであり、隙間形成部28が、屋根枠体21と天井枠体25との間に位置することによって隙間29が自然に確保・形成されることである。
【0044】
例えば、工場の床面などの平坦な場所に天井パネル27を設置し、天井パネル27の天井枠体25に対して上から天井吊り金具7を取付け、天井パネル27の上に屋根パネル23を配置して、天井吊り金具7の上部に屋根パネル23の屋根枠体21を固定する。これにより、屋根枠体21と天井枠体25が直接且つ一体に固定され、屋根枠体21と天井枠体25との間に隙間形成部28が介在される。そして、隙間形成部28が介在されることで、屋根枠体21と天井枠体25とが、隙間形成部28の高さ寸法37よりも近接できなくなる。これによって、屋根枠体21と天井枠体25との間に通気などのための隙間29が形成される。
【0045】
(7)
図7に示すように、天井枠体25の内側には、断熱材51が設けられても良い。
【0046】
ここで、断熱材51はどのようなものとしても良いが、断熱材51には、例えば、グラスウールなどの厚手のものなどを使用できる。断熱材51は、天井枠体25の内側に対し、
図10に示すように、天井枠体25の内部全体を覆うように取付けられる。
【0047】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0048】
天井パネル27(の天井枠体25)と屋根パネル23(の屋根枠体21)とを天井吊り金具7で一体に固定して、天井付き屋根パネル8を形成する。
【0049】
具体的には、工場の床面などの平坦な場所に天井枠体25を設置し(または組み立て)、天井枠体25に対して上から天井吊り金具7を取付ける。
【0050】
この際、天井吊り金具7は、天井取付部41と天井挟着部44とで天井枠体25(の縦枠材34など)を、(縦枠材34などの厚み方向に)挟み込むように下部を天井枠体25に取付ける。そして、天井取付部41と天井枠体25とを天井枠体25の内側からネジなどの固定具42で固定する。
【0051】
次に、天井枠体25の内側に断熱材51を設置する。断熱材51は、天井枠体25に対して、天井吊り金具7を取付けた後、屋根枠体21の取付け前に設置される。断熱材51の設置後には、断熱材51がズレないように、例えば、樹脂製などのバンド52で押さえてビス53などで天井枠体25に固定しておく。
【0052】
最後に、天井パネル27の上に屋根パネル23を配置して、天井吊り金具7の上に屋根枠体21を取付ける。
【0053】
この際、屋根枠体21は、屋根取付部47の内面に(縦枠材31などが)接するように設置する。そして、屋根取付部47と屋根枠体21とを屋根枠体21の外側からネジなどの固定具42で固定する。これにより、簡単且つ短時間のうちに、屋根枠体21と天井枠体25が固定されて天井付き屋根パネル8が完成する。
【0054】
そして、屋根枠体21と天井枠体25との間に隙間形成部28が介在されることによって、屋根枠体21と天井枠体25との間には、通気などのための隙間29が形成される。この通気などのための隙間29は、隙間形成部28の高さ寸法37によって大きさを設定される。
【0055】
この際、天井吊り金具7は、縦板部11,12の側部を横桟や木桟などの補助材36に当てて、天井枠体25の縦枠材34や横枠材35の長手方向に対する位置決めを行わせるようにする。
【0056】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
(効果 1)天井吊り金具7は、屋根パネル23と天井パネル27とを取付ける(または、屋根パネル23から天井パネル27とを吊る)ために用いる金具である。この際、天井吊り金具7は、対向する一対の縦板部11,12と、連結板部13とで構成しても良い。これにより、屋根パネル23と天井パネル27に対して対向する一対の縦板部11,12を取付けると共に、屋根パネル23と天井パネル27との間に連結板部13を介在させることができるようになる。そのため、連結板部13を介在させることで、屋根パネル23と天井パネル27とを、通気などのための所要の隙間29を間に有した状態で取付けることが容易になり、屋根パネル23と天井パネル27とを取付けるのに要する作業時間を短縮することができる。また、屋根パネル23と天井パネル27とを取付ける際に、連結板部13を基準にしてそれぞれ位置合わせを行ったり、屋根パネル23と天井パネル27との間の隙間29の精度出しを行ったりすることが容易になる。
【0058】
(効果 2)連結板部13は、縦板部11,12の一側面よりも外方へ突出する突出部15としても良い。これにより、連結板部13が突出部15となっているので、屋根パネル23と天井パネル27との間に連結板部13を介在させ易くなり、連結板部13(突出部15)がスペーサとしてうまく機能するので、屋根パネル23と天井パネル27とを取付ける際に、連結板部13を基準にしてそれぞれ位置合わせを行ったり、屋根パネル23と天井パネル27との間の隙間29の精度出しを行ったりすることが容易にできる。
【0059】
(効果 3)一対の縦板部11,12は、高さ17,18を異ならせても良い。これにより、屋根パネル23と天井パネル27に対して対向する一対の縦板部11,12を取付ける際に、取付けの邪魔となる部分や不要な部分などをなくして、屋根パネル23や天井パネル27に縦板部11,12を取付け易くすることができる。
【0060】
(効果 4)屋根枠体21の上面に野地板22を取り付けて構成される屋根パネル23の下側に、天井枠体25に天井面材26を取り付けて構成される天井パネル27を配置し、これらを天井吊り金具7で一体的に固定することで天井付き屋根パネル8を形成しても良い。これにより、屋根パネル23と天井パネル27とが天井吊り金具7によって一体とされた天井付き屋根パネル8を容易に得ることができる。このような天井付き屋根パネル8は、小屋裏となる部分や傾斜天井となる部分などを有する屋根5(屋根ユニット4)に使用できるものとなる。
【0061】
そして、屋根パネル23と天井パネル27は、天井吊り金具7に設けられた隙間形成部28によって隙間29が形成された状態で離間配置されても良い。これにより、天井吊り金具7の隙間形成部28を用いて通気などのための隙間29を容易に形成することができる。この天井付き屋根パネル8は、上記した天井吊り金具7と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
(効果 5)隙間形成部28は、天井吊り金具7の高さ方向の中間部に設けても良い。これにより、屋根枠体21と天井枠体25との間に天井吊り金具7を取付けるだけで、天井吊り金具7の高さ方向の中間部に設けられた隙間形成部28を屋根枠体21と天井枠体25との間に位置させることができる。そのため、天井吊り金具7を、屋根枠体21と天井枠体25との間に隙間29を形成し易い構造にすることができる。
【0063】
(効果 6)隙間形成部28は、屋根枠体21と天井枠体25の間に介在させても良い。これにより、天井吊り金具7の上部を屋根枠体21に取付け、天井吊り金具7の下部を天井枠体25に取付けたときに、屋根枠体21と天井枠体25の間に介在された隙間形成部28によって屋根枠体21と天井枠体25との隙間29を直接且つ正確に確保することができる。また、隙間形成部28が介在されていることによって、天井付き屋根パネル8は、上記隙間29を常時保つことができる。
【0064】
(効果 7)天井枠体25の内側に断熱材51を設けても良い。これにより、天井パネル27が断熱材51を有することで、屋外から居室内への入熱を断熱材51によって低減できる。そして、天井パネル27に対して、天井吊り金具7は天井枠体25の部分に取付けられるため、断熱材51は、天井吊り金具7と干渉しないように天井枠体25の内側に取付けることが可能になる。よって、天井吊り金具7の部分でも断熱材51による断熱性を保持することができる。
【符号の説明】
【0065】
7 天井吊り金具
11 縦板部
12 縦板部
13 連結板部
15 突出部
17 高さ
18 高さ
21 屋根枠体
22 野地板
23 屋根パネル
25 天井枠体
26 天井面材
27 天井パネル
28 隙間形成部
29 隙間
51 断熱材