(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】吻合器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A61B17/11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018211525
(22)【出願日】2018-11-09
(62)【分割の表示】P 2016563452の分割
【原出願日】2015-05-01
【審査請求日】2018-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ホートン
(72)【発明者】
【氏名】サクシ サンバンダム
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード ピー.ワーナー
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】村上 哲
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0074155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1末端、第2末端、及び前記第1末端と前記第2末端との間の中間部、及び複数の細長部材を有する拡張性フレーム、
前記拡張性フレームの第1末端に配置され、かつ相互に分離した複数の第1並置部材を備え、前記第1並置部材の各々が前記中間部に向かって伸長しており、各前記第1並置部材の第1部分が前記中間部の面に対して第1角度の方向を向いており、各前記第1並置部材の第2部分が前記中間部の前記面に対して第2角度の方向を向いている第1フランジであって、
前記各第1並置部材の前記第1部分は、前記各第1並置部材の前記第2部分よりも前記面の近くに位置しており、前記第1角度が鋭角であり、且つ、前記第2角度よりも小さい前記第1フランジ、及び
前記拡張性フレームの第2末端に配置され、かつ相互に分離した複数の第2並置部材を備え、前記第2並置部材の各々が前記中間部に向かって伸長しており、各前記第2並置部材の第1部分が前記中間部の前記面に対して第3角度の方向を向いており、各前記第2並置部材の第2部分が前記中間部の前記面に対して第4角度の方向を向いている第2フランジであって、
前記各第2並置部材の前記第1部分は、前記各第2並置部材の前記第2部分よりも前記面の近くに位置しており、前記第3角度が鋭角であり、且つ、前記第4角度よりも小さい前記第2フランジ、
を備える医療器具であって、
前記複数の第1並置部材のうちの少なくとも1つと前記複数の第2並置部材のうちの少なくとも1つが、アール部、前記中間部に向かって長手方向に伸長している
前記第1部分に対応する下降部、及び前記下降部から伸長している
前記第2部分に対応する水平部を備え
、前記第1フランジ
、前記第2フランジ
及び前記第1末端と前記第2末端との間の中間部が、被覆材により接続されて
おり、そして、前記第1末端と前記第2末端との間の中間部が被覆材で被覆されることにより管腔が形成される、医療器具。
【請求項2】
前記中間部が前記第1末端と前記第2末端との間に延びる少なくとも1つの管腔を規定する、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第1並置部材が前記第1並置部材のうちの他の1つ以上のものよりも長い、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記第1並置部材のうちの少なくとも1つが前記第2並置部材のうちの少なくとも1つよりも長い、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記第1並置部材の全てが前記第2並置部材の全てよりも長い、請求項
4に記載の器具。
【請求項6】
前記複数の第1並置部材が前記複数の第2並置部材と軸方向に整列していない、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記複数の第1並置部材のうちの1つ以上が前記複数の第2並置部材のうちの1つ以上と長手方向で重なっている、請求項
6に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概ね移植可能医療器具に関し、より具体的には吻合を形成するために組織層を接続するための移植可能器具に関する。それらの移植可能医療器具の使用方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
吻合は2つの血管又は腸などの組織構造間の交差接続である。例えば、冠動脈バイパス移植術の関連では血液が移植血管を流れることができるようにその移植血管が生来の冠動脈に吻合される。
【0003】
吻合は、端々吻合、端側吻合、及び側々吻合を含むがこれらに限定されない様々な方法で形成され得る。そのような吻合を形成するために縫合を用いることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様は、(1)第1末端、第2末端、及び前記第1末端と前記第2末端との間の中間部を有する拡張性フレーム、(2)複数の第1並置部材を含み、前記第1並置部材の各々が前記中間部に向かって伸長している第1並置部、及び(3)複数の第2並置部材を含み、前記第2並置部材の各々が前記中間部に向かって伸長している第2並置部を含む医療器具に関する。前記第1並置部材の各々の第1部分は前記中間部の面に対して第1角度の方向を向いてよく、各前記第1並置部材の第2部分は前記中間部の前記面に対して第2角度の方向を向いてよい。好ましい実施形態では前記第1角度は鋭角であり、且つ、前記第2角度よりも小さい。また、前記第2並置部材の各々の第1部分は前記中間部の前記面に対して第3角度の方向を向いてよく、前記第2並置部材の各々の第2部分は前記中間部の前記面に対して第4角度の方向を向いてよい。好ましい実施形態では前記第3角度は鋭角であり、且つ、前記第4角度よりも小さい。幾つかの実施形態では少なくとも1つの前記第1並置部材は前記第1並置部材のうちの他の1つ以上よりも長い。なお、前記第1並置部材のうちの少なくとも1つは前記第2並置部材のうちの少なくとも1つよりも長くてよい。1つ以上の実施形態で前記第1並置部材の全てが前記第2並置部材の全てよりも長い。前記第1並置部材は前記第2並置部材と軸線に関して整列していても整列していなくてもよい。別の実施形態では前記第1並置部材のうちの1つ以上が前記第2並置部材のうちの1つ以上と長手方向で重なっていてよい。被覆材は前記フレームの少なくとも一部の上に配置されていてよい。
【0005】
本発明の第2の態様は、(1)第1組織面に接触し、且つ、前記第1組織面に対して並置力を加えるように構成されている1つ以上の第1フランジ部材を含む第1並置部、(2)第2組織面に接触し、且つ、前記第2組織面に対して並置力を加えるように構成されている1つ以上の第2フランジ部材を含む第2並置部、及び(3)第1末端と第2末端を有する中央部であって、長手方向の軸線を規定する前記中央部であり、前記第1並置部と前記第2並置部の間に配置され、且つ、それらの並置部を相互接続する前記中央部を規定する細長部材を含むフレームを含む医療器具に関する。好ましい実施形態では前記第1フランジ部材のうちの少なくとも1つと前記第2フランジ部材のうちの少なくとも1つがアール部と前記中央部に向かって長手方向に伸長している下降部を含む。前記第1フランジ部材の前記アール部のうちの少なくとも1つが前記第1末端を越えて長手方向に伸長しており、前記第2フランジ部材の前記アール部のうちの少なくとも1つが前記第2末端を越えて長手方向に伸長している。少なくとも1つの実施形態では前記第1フランジ部材のうちの少なくとも1つ又は前記第2フランジ部材のうちの少なくとも1つが前記下降部から伸長している水平部をさらに含む。前記アール部は前記中央部の前記第1末端又は前記第2末端から伸長してよい。なお、前記下降部は直線状下降部であってよい。さらに、前記中央部は前記第1並置部及び第2並置部のそれぞれ前記第1組織面及び第2組織面との接触を一連の組織厚にわたって維持するために長手方向で伸縮するように構成され得る。
【0006】
本発明の第3の態様は、患者に吻合器を移植する方法であって、(1)前記患者内の標的位置に前記吻合器を含む送達シースを配置すること、及び(2)少なくとも一層の組織が前記器具の第1並置部と第2並置部との間にあるように前記送達シースから外へ前記吻合器を配置することを含む前記方法に関する。前記吻合器は(1)第1末端、第2末端、及び前記第1末端と前記第2末端との間の中間部を有する拡張性フレーム、(2)複数の第1並置部材を含み、前記第1並置部材の各々が前記中間部に向かって伸長している第1並置部、及び(3)前記中間部に向かって伸長している複数の第2並置部材を含む第2並置部を含む。前記第1並置部材の各々の第1部分は前記中間部の面に対して第1角度の方向を向いてよく、各前記第1並置部材の第2部分は前記中間部の前記面に対して第2角度の方向を向いてよい。好ましい実施形態では前記第1角度は鋭角であり、且つ、前記第2角度よりも小さい。また、前記第2並置部材の各々の第1部分は前記中間部の前記面に対して第3角度の方向を向いてよく、前記第2並置部材の各々の第2部分は前記中間部の前記面に対して第4角度の方向を向いてよい。好ましい実施形態では前記第3角度は鋭角であり、且つ、前記第4角度よりも小さい。少なくとも1つの好ましい実施形態では前記複数の第1並置部材又は前記複数の第2並置部材の先端部は前記組織から離れた位置に配置される。他の好ましい実施形態では二層の組織が前記第1並置部と前記第2並置部との間にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は本開示の理解を深めるために含まれており、本明細書の中に組み込まれ、且つ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、且つ、本明細書と共に本開示の原理の説明に役立つ。
【0008】
【
図1】幾つかの実施形態に従って患者の胆嚢と腸との間のシャントとして機能するその患者内に移植されている例となる吻合器の断面透視図である。
【
図2】幾つかの実施形態に従う例となる吻合器の透視図である。
【
図3】幾つかの実施形態に従う例となる並置部材の透視図である。
【
図7】
図3~6に示されている並置部材の各々に関して力と変位との間の関係を示すグラフ表示である。
【
図8】幾つかの実施形態に従う別の例となる吻合器の概略図である。
【
図9】幾つかの実施形態に従う例となる並置部材の概略図である。
【
図10】幾つかの実施形態に従うさらに別の例となる吻合器の透視図である。
【
図13】幾つかの実施形態に従う拡張部材を含む別の吻合器の中央部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者は意図する機能を実行するように構成されているあらゆる数の方法と装置によって本開示の様々な態様が実現され得ることを容易に理解する。本明細書において参照される添付図面は必ずしも実寸で描かれておらず、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり得、その点でそれらの図面は限定的なものと解釈されるべきではないことも留意すべきである。
【0010】
本発明は、組織構造間に直通流路を作製して(例えば、胆嚢と胃腸管の一部を接続して)それらの間での物質の流通を容易にする吻合を作製することなどによって例えば導管閉塞又は臓器閉塞を回避するように組織層を接続するための移植可能器具に関する。本明細書に記載されるそれらの器具はカテーテルを介して内視鏡下で配置又は送達可能であり得、且つ、それら組織構造間の確実な接続を容易にする自己拡張性並置機構を含み得る(そのような接続は本明細書において「シャント」、「連絡通路」、「シャント通路」、又は「トンネル」とも呼ばれ得る)。そのような意匠性は移植を簡単にし、且つ、合併症の可能性を低下させる。幾つかの実施形態では本明細書において提供されるそれらの器具は移植後に除去可能であるように構成されている。一例として、その器具が移植され、胆嚢及び/又はその付属管が閉塞から解放されるまでその場に留まり、その後でその器具が除去される。別の例では、身体がその器具の周りで組織吻合体を増殖させるまでその器具は移植されたままにされ、その後でその器具が除去される。他の実施形態ではその器具の中への、及び/又はその器具の周りでの組織内殖によってその器具が恒久的に移植され、その器具は除去されない。本明細書に記載されるそれらの器具は他の種類の治療法(例えば、胆嚢摘出術)の適切な候補ではない患者のための、及び/又は他の種類の治療法(例えば、外胆汁瘻造設術)の既知の合併症を回避するための代替的治療法を提供し得る。
【0011】
本文書は例となる様式の吻合器に言及する。すなわち、本文書において開示される本発明の構想は他の種類の器具にも適用可能であることが理解されるべきである。例えば、本文書は幾つかの実施形態では組織構造、臓器、身体導管、血管、GI管等を閉塞するために使用され得る移植可能器具も提供する。例えば、幾つかの実施形態では本明細書において提供されるそれらの器具を使用して中隔欠損を閉塞することができる。幾つかの実施形態では本明細書において提供されるそれらの器具を使用して患者の血管又はGI管を閉塞することができる。幾つかのそのような実施形態では前記器具はその器具を通るトンネルを含まない。むしろ、幾つかの実施形態では被覆材がその器具を密封して物質がその器具を通って流れることを抑制する、調節する、又は実質的に防止する。
【0012】
図1を参照すると、本明細書において提供される1つ以上のものに従う例となる吻合器40を患者に移植して2つの臓器、空間、組織構造、導管等、及びそれらの組合せの間で流体接続を形成することができる。例えば、図示されている実施態様では吻合器40は(内部胆嚢空間12を規定する)胆嚢10を(内部腸空間22を規定する)腸20と接続している。したがって、吻合器40は内部胆嚢空間12と内部腸空間22との間の流体シャント器具として機能している。そのような実施態様は、例えば、流通閉塞が内部胆嚢空間12と内部腸空間22を接続する生来の解剖学的導管内に存在するときにその患者に有益な治療法を提供することができる。例えば、幾つかの例ではその患者はその患者の胆嚢管14及び/又は総胆管16の閉塞の原因となる1個以上の胆石を有することがあり得る。そのような場合では吻合器40は胆嚢10からの胆汁が腸20へ流れ得るように流体流路を提供することができる。吻合器40が存在しない場合、胆嚢10からの胆汁の流出が阻止されると胆嚢炎(胆嚢10の炎症)が生じ得る。
【0013】
本明細書において提供される前記吻合器は上記のように胆嚢炎を軽減又は防止するための幾つかの態様において使用され得るが、本明細書において提供される前記吻合器は患者内の他の多くの種類の実施態様においても使用され得ることを理解すべきである。例えば、本明細書において提供される前記吻合器は、限定されないが、胃、結腸、小腸、膵臓、血管、膀胱、腎臓、導管等のような様々な体組織構造及び臓器との関連で使用され得る。
【0014】
概して、本明細書において提供される前記吻合器の幾つかの実施形態(それらのうち、吻合器40は1種類の例である)は第1組織並置部42a、第2組織並置部42b、及び前記第1組織並置部42aと第2組織並置部42bとの間の中央部44を含む。その中央部44は吻合器40の第1末端からその器具40の第2末端まで長手方向に伸長している管腔46を規定する。その管腔46は内部胆嚢空間12が吻合器40を介して内部腸空間22と流体連通するように内部胆嚢空間12と内部腸空間22との間の接続(例えばシャント通路)として機能する。
【0015】
図2を参照すると、第1並置部502、第2並置部504、及び中央部506を規定する1つ以上の細長要素501からできた骨組みを含む例となる吻合器500が示されている。中央部506は第1並置部502と第2並置部504との間に配置され、且つ、それらを相互接続する。幾つかの実施形態では中央部506は(他の形状も企図されており、本発明の範囲内にあると考えらえているが)基本的に円筒状である。
【0016】
幾つかの実施形態では被覆材512が吻合器500の少なくともある部分の上に配置される。下でさらに説明されるように、被覆材512は第1並置部502、第2並置部504、及び/又は中央部506のある部分又は全体の上に配置され得る。幾つかの実施形態では被覆材512を含まないままでいることができる第1並置部502、第2並置部504、及び/又は中央部506の部分がある。
【0017】
幾つかの実施形態では中央部506は第1並置部502と第2並置部504の間に延びる管腔507を規定する。幾つかの実施態様ではその管腔507は生体物質及び/又は生体液が通過可能である吻合通路又はトンネルを提供する。前記器具500が拡張構成で示されている。その拡張構成は前記器具500の上に作用する外力が存在しないときに前記器具500が自然に示す構成である。吻合器500が患者に移植されると前記器具500の構成が前記器具500に働くその患者の生体構造に由来する外力のために示されているものとやや異なる場合があり得ることを理解すべきである。
【0018】
吻合器500が展開構成又は拡張構成で示されている。幾つかの実施形態では吻合器500の骨組みは下でさらに説明されるように様々な形状記憶金属材料及び超弾性合金から作製され得る。したがって、幾つかの実施形態では中央部506(及び/又は並置部502及び504)は展開構成に自己拡張するように構成され得る。幾つかの実施形態では中央部506は展開構成にバルーン拡張可能であり、又はバルーン膨張によって補助拡張力を自己拡張性器具に加えることができる。中央部506の直径は吻合器500の使用目的及び/又は送達系に適合するようにあらゆる所望通りのサイズにされ得る。
【0019】
吻合器500が示されているようにその拡張展開構成に構成されているとき、中央部506の直径は展開直径まで増加する。中央部506の直径は吻合器500の使用目的及び/又は送達系に適合するようにあらゆる所望通りの寸法にされ得る。幾つかの実施態様では中央部506の展開した外径は、中央部506が存在する組織開口部との締まりばめを介して前記器具500を少なくとも部分的に固定するように構成されている。なお、中央部506と組織開口部が締まりばめの関係を有するとき、器具の傍での漏出を低減化又は最小化することができる。そのような場合では吻合器500を配置可能である臓器、導管、及び他の種類の組織構造の内容物の漏出を実質的に防止することができる。例えば、胆嚢とGI管との間に吻合器500を使用するとき(例えば
図1を参照されたい)、腹腔への漏出を実質的に防止することができる。
【0020】
幾つかの実施態様では中央部506の展開した外径は中央部506が存在する組織開口部の直径よりもやや小さく、並置部502及び504がその組織を押しつけて移動抵抗を与える。幾つかの実施形態では中央部506の完全に拡張した直径は約30mm、又は約25mm、又は約20mm、又は約15mm、又は約12mm、又は約10mm、又は約8mm、又は約6mm、又は約4mm等である。幾つかの実施形態では中央部506の完全に拡張した直径は約20mmから約30mmの間、又は約15mmから約25mmの間、又は約10mmから約20mmの間、又は約5mmから約15mmの間、又は約4mmから約8mmの間等の範囲内である。
【0021】
中央部506の長さは吻合器500の使用目的及び/又は送達系に適合するようにあらゆる所望通りの寸法にされ得る。例えば、1つの好ましい実施形態では中央部506は約13.5mmの長さであり、約15mmの直径である。幾つかの実施形態では中央部506の長さは約5mmから約10mmの間、又は約8mmから約13mmの間、又は約11mmから約16mmの間、又は約14mmから約19mmの間、又は約17mmから約22mmの間の範囲内であり得、又は22mmよりも長くてよい。
【0022】
幾つかの実施形態では吻合器500は1つ以上の細長要素501を備える骨組みを有する。幾つかの実施形態ではそれらの1つ以上の細長要素501は巻かれて前記骨組み構成になる。幾つかの実施形態では単一の細長要素501が巻かれて吻合器500の骨組みを形成する。幾つかの実施形態では2つ以上の細長要素510が協同的にまかれて吻合器500の骨組みを形成する。
【0023】
幾つかの実施形態では第1並置部502、第2並置部504、及び中央部506の骨組みは、限定されないが、スプリング線材(例えば、L605鋼又はステンレス鋼)、形状記憶合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、超弾性合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、他の適切な種類の細長要素又は線材、又はそれらの組合せなどの材料からできた1つ以上の細長要素501から形成される。幾つかの実施形態では第1並置部502、第2並置部504、及び中央部506は、細長要素501からできた骨組みを作製するために切断される前駆材料から形成される。幾つかのそのような実施形態ではその前駆材料は単一の前駆材料である。幾つかの実施形態では1つ以上の細長要素501は巻かれて前記骨組みを形成するための構成になる。幾つかの実施形態では様々な種類の細長要素501が第1並置部502、第2並置部5、及び/又は中央部506の様々な位置で使用される。幾つかの実施形態では第1並置部502、第2並置部504、及び/又は中央部506(又はそれらの部分)の細長要素501は高分子材料から構成され得る。
【0024】
吻合器500及び/又は本明細書において提供される他の器具の細長要素501の適切な材料には形状記憶特性、弾性特性、及び超弾性特性を示す合金をはじめとする様々な金属材料が含まれる。形状記憶はある材料が臨界温度の上まで加熱されて塑性変形した後に最初に記憶した形状に戻るその材料の能力を指す。弾性はある材料が負荷をかけられて変形し、その負荷がはずされたときにその最初の形状に戻るその材料の能力である。最大でわずかに歪むまで弾力的に変形する金属がほとんどである。超弾性はある材料が負荷をかけられて通常の弾性合金よりもかなり大きな程度にまで変形するが、この変形を恒久的にすることがないその材料の能力を指す。例えば、本明細書において提供される幾つかの吻合器実施形態のフレームに含まれる超弾性材料はかなりの程度の屈曲に耐えることができ、その後で変形することなくそのフレームの最初の形状に戻る、又は実質的に戻ることができる。幾つかの実施形態では適切な弾性材料には高いばね反応性をもたらすために物理的、化学的、及びその他なんらかの処理を施されている様々なステンレス鋼、コバルトクロム合金(例えばELGILOY(商標)、MP35N、L605)などの合金、プラチナ/タングステン合金が含まれる。形状記憶超弾性合金の実施形態にはNiTi合金、NiTiPt、NiTiCo、NiTiCrなどの三元形状記憶合金、又は銅系形状記憶合金などの他の形状記憶合金が含まれる。その他の材料は、外層がニチノールから構成されており、内核がプラチナ又はタンタルなどの放射線不透過性材料であるドローン・フィルド・チューブのように形状記憶合金と弾性合金の両方を組み合わせることができる。この構成物では外層が超弾性特性を提供し、内核はそれより低い曲げ応力のために弾性のままである。
【0025】
幾つかの実施形態では吻合器500及び/又は本明細書において提供される前記器具を構成するために使用される細長要素501はX線造影の向上のためにそれらの器具の放射線不透過性を上昇させる様々な方法で処理され得る。幾つかの実施形態ではそれらの器具は最も部分的には核に放射線不透過性が上昇した材料のような異なる材料を含むドローン・フィル・タイプのNiTiである。幾つかの実施形態ではそれらの器具は第1並置部、第2並置部、及び中央部の少なくとも一部の上に放射線不透過性被覆又は鍍金を含む。幾つかの実施形態では1つ以上の放射線不透過性マーカーがそれらの器具に取り付けられる。幾つかの実施形態では本明細書において提供される前記器具の細長要素及び/又は他の部分は超音波によっても見ることができ、エコー輝度が向上した部分を含むことができる。
【0026】
幾つかの実施形態では吻合器500(及び本明細書において提供される他の吻合器実施形態)の材料と構成によって前記器具を経カテーテル送達又は内視鏡/胸腔鏡送達用の管腔内に封じ込めるために弾力的に押しつぶし、折り重ね、及び/又は折り畳んで低プロファイル送達構成にすることを可能にし、且つ、前記器具が一旦体内の所望の標的部位に配置され、その管腔から配置されると自己拡張して作動サイズ及び作動構成になることを可能にする。例えば、その低プロファイル送達構成では吻合器500は約15フレンチ(5mm)の外径を有する送達シース内に配置され得る。しかしながら、幾つかの実施形態では15フレンチよりも小さいシース又は大きいシースを使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では6フレンチ、7フレンチ、8フレンチ、9フレンチ、10フレンチ、11フレンチ、12フレンチ、13フレンチ、14フレンチ、16フレンチ、17フレンチ、18フレンチ、19フレンチ、20フレンチの外径、及び20フレンチよりも大きな外径を有するシースを使用することができる。吻合器500が収縮送達構成で構成される一方で、幾つかの実施形態では1つ以上の細長要素501からできた骨組みは、それらの細長要素501が押されて中央部506の軸線と実質的に平行に延伸し、且つ、中央部506の直径が押しつぶされて小さくなるように径方向に圧縮される。
【0027】
吻合器500は被覆材512(本明細書において「被覆」とも呼ばれ得る)も含む。幾つかの実施形態では被覆材512は第1並置部502、第2並置部504、及び中央部506の少なくともある部分の上に(又は全体の上に)配置される。幾つかの実施形態では第1並置部502、第2並置部504、及び/又は中央部506のある部分は被覆材512によって被覆されていない。
【0028】
幾つかの実施形態では被覆材512は概ね液体非透過性である。すなわち、幾つかの実施形態では被覆材512は血液、胆汁、及び/又は他の体液及び生体物質がその被覆材512自体を通過することを抑制又は減少させる材料から作製されている。幾つかの実施形態では被覆材512はその被覆材512内への組織内殖及び/又は内皮形成又は上皮形成を抑制又は防止する材料組成及び構成を有する。組織内殖及び/又は内皮形成を抑制又は防止するように構成されている幾つかのそのような実施形態は将来の日に患者から取り除かれることが望まれた場合により簡単にそうすることができる。幾つかの実施形態では被覆材512又はその部分は吻合器500の耐久性密封及び/又は補助固定力に適した組織内殖スキャフォルドを提供する微細孔質構造を有する。
【0029】
幾つかの実施形態では被覆材512は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマー、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、又はPVDAなどのフルオロポリマーを含む。幾つかの実施形態では被覆材512はポリエステル、シリコーン、ウレタン、生体適合性重合体、ポリエチレンテレフタラート(例えばダクロン(登録商標))、生体吸収性材料、共重合体、又はそれらの組合せを含む。幾つかの実施形態では被覆材512は生体吸収性織布を含む。他の実施形態では前記生体吸収性材料はその生体吸収性材料が吸収されるまで前記器具500と組織との間の付着を促進することによって移動抵抗を与えてもよい。
【0030】
幾つかの実施形態では被覆材512(又はその部分)はその材料512の1つ以上の特性を向上させる1つ以上の化学的処理又は物理的処理によって修飾されている。例えば、幾つかの実施形態ではその材料512の濡れやすさ及びエコー半透過性を改善するために被覆材512に親水性被覆を用いてよい。幾つかの実施形態では被覆材512又はその部分は内皮細胞付着、内皮細胞移動、内皮細胞増殖、及び血栓症耐性又は血栓症促進のうちの1つ以上を促進する化学部分で修飾されてよい。幾つかの実施形態では被覆材512又はその部分は生物汚損に耐えるように修飾され得る。幾つかの実施形態では被覆材512又はその部分は1種類以上の共有結合した原薬(例えばヘパリン、抗生物質等)で修飾されるか、又は1種類以上の原薬で飽和されてよい。それらの原薬はその場で放出されて治癒を促進し、組織炎症を軽減し、感染症を軽減又は抑制し、且つ、他の様々な治療処置及び治療成果を促進することができる。幾つかの実施形態ではその原薬は、限定されないが、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分裂剤、抗血栓剤、幹細胞材料、又はリン酸デキサメタゾンナトリウムであり得る。幾つかの実施形態では組織治癒又は組織成長を促進するために被覆材512とは別個に薬物が標的部位に送達される。
【0031】
被覆材512が吻合器500の骨組みの上に取り付けられる、又は骨組みの周りに配置される前又は後で被覆及び処理がその被覆材512に加えられる。なお、被覆材512の片面又は両面、又はそれらの部分が被覆され得る。幾つかの実施形態ではある特定の被覆及び/又は処理が吻合器500のある部分に位置する被覆材512に加えられ、他の被覆及び/又は処理が吻合器500の他の部分に位置するその材料512に加えられる。幾つかの実施形態では複数の被覆及び/又は処理の組合せが被覆材512又はその部分に加えられる。幾つかの実施形態では被覆材512のある特定の部分が被覆及び/又は処理されずにいる。幾つかの実施形態では前記器具500は、限定されないが、内皮細胞付着、内皮細胞移動、内皮細胞増殖、及び血栓症耐性又は血栓症促進などの生物学的反応を促進又は妨害するために完全又は部分的に被覆される。
【0032】
幾つかの実施形態では被覆材512の第1部分が第1材料から形成され、被覆材512の第2部分がその第1材料とは異なる第2材料から形成される。幾つかの実施形態では被覆材512は複数の層の材料から構成され、それらの材料は同じ材料でも異なる材料でもよい。幾つかの実施形態では被覆材512には吻合器500のインビボX線造影を向上させるためにその被覆材に取り付けられている1つ以上の放射線不透過性マーカーを有するか、又は超音波視認性を向上させるために1か所以上のエコー輝度領域を有する部分がある。
【0033】
幾つかの実施形態では被覆材512の1か所以上の部分が中央部506及び/又は並置部502及び504などの前記器具500の骨組みに取り付けられる。その取り付けは、限定されないが、前記器具500の骨組みへの被覆材512の縫い付け、前記器具500の骨組みへの被覆材512の接着、前記器具500の細長部材の部分を取り囲むための複数の層の被覆材512の留め金又は返しを使用する積層、前記器具500の骨組み内の開口部を通した複数の層のその被覆材の積層などの様々な技術によって達成され得る。幾つかの実施形態では被覆材512は一連の離れた位置で前記器具500の骨組みに取り付けられることでその骨組みの屈曲性を高める。幾つかの実施形態では被覆材512は前記器具500の骨組みに緩く取り付けられている。被覆材512は他の技術又は本明細書に記載される技術の組合せを用いてその骨組みに取り付けられ得ることを理解すべきである。
【0034】
幾つかの実施形態では前記器具500(又はその部分)の骨組みはその骨組みへの被覆材512の付着を促進するために結合剤(例えばフッ素化エチレンプロピレン又は他の適切な接着剤)で被覆される。そのような接着剤は接触塗布、粉体塗布、浸漬塗布、スプレー塗布、又は他のあらゆる適切な方法を用いてその骨組みに塗布され得る。
【0035】
被覆材512は様々な方法で中央部506の長さ及び/又は直径の変化に順応することができる。第1の例では被覆材512は、その被覆材512が伸びて前記器具500の長さ及び/又は直径の変化を受け入れることができるように弾性であり得る。第2の例ではその被覆材は、低プロファイル送達構成では緩みがあり、前記器具500が拡張構成になると緩みが少なくなるか、又は完全に緩みが無くなる材料を含み得る。第3の例では被覆材512は、低プロファイル構成では折り重ねられており、且つ、前記器具500が拡張構成であるときに折り重ねが少なくなるか、又は完全に展開される折り重ね部分(例えばプリーツ)を含み得る。幾つかの実施形態ではそのような技術の組合せ及び/又は他の技術を用いることができ、それによって被覆材512は中央部506の長さ及び/又は直径の変化に順応することができる。
【0036】
中央部506の1つ以上の細長要素501は様々な方法で構成されて概ね円筒状の骨組みを規定することができる。
図2に示されている実施形態では中央部506の細長要素501は中央部506の周りに周方向に巻かれている。細長要素501は周方向の巻き上げに加え、示されている波状軌道又は蛇行軌道(例えば、ほぼ正弦の軌道)及び他の軌道のような他の曲がりくねった軌道を示し得る。図示されている実施形態では中央部506における細長要素501の曲がりくねった軌道は周長当たり8個の頂点と約3.5mmの頂間距離を有する。幾つかの実施形態では中央部506の細長要素501は特定の用途に適合するように所望通りに周長当たり8個よりも多い頂点又は少ない頂点を有するように作製され得、且つ、3.5mmよりも長い、又は短い頂間距離を有するように作製され得る。例えば、幾つかの実施形態では中央部506の細長要素501は周長当たり3個、4個、5個、6個、7個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、又は16個より多くの頂点を有するように作製され得る。幾つかの実施形態では中央部506の細長要素501は約1mmから約2mmの間、又は約2mmから約3mmの間、又は約3mmから約4mmの間、又は約4mmから約5mmの間、又は約5mmから約6mmの間、又は約6mmから約7mmの間の範囲内、又は7mmより長い頂間距離を有するように作製され得る。
【0037】
幾つかの実施形態では並置部502及び504はそれぞれ1つ以上のフランジ部材502a及び504aを含む。そのようなフランジ部材(例えば、フランジ部材502a及び504a)は「フィン」、「ペタル」、又は「フィンガー」とも呼ばれ得る。フランジ部材502a及び504aは組織に接触し、並置圧力をそれらの組織に働かせるように構成されている。図示されている実施形態は4個のフランジ部材502aと4個のフランジ部材504aを含んでいるが、他の数量のフランジ部材502a及び504aが含まれ得る。例えば、幾つかの実施形態では1個、2個、3個、5個、6個、7個、8個、又は8個より多くのフランジ部材502a及び/又は504aが含まれ得る。幾つかの実施形態では等しくない数のフランジ部材502aとフランジ部材504aが含まれる。
【0038】
フランジ部材502a及び504aは組織と接触したときに予測可能であり、且つ、望ましい並置力を働かせるように構成され得る。例えば、前記細長要素の材料、直径、及び他の特性が所望の並置力を得るために選択可能である。細長要素(例えば、ニチノール細長部材)は所望通りに特定の直径を有するように作製され得る。他の適切な材料からできており、且つ、より大きい直径又はより小さい直径を有する細長要素が所望通りに選択され得る。フランジ部材502a及び504aの形状によってそれらのフランジ部材502a及び504aが働かせる並置力に影響を与えることもできる。すなわち、フランジ部材502a及び/又は504aの、限定されないが、長さ、幅、半径、角度、円弧(等)のような幾何学的態様が所望の並置力を得るために選択可能である。
【0039】
幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aは吻合器500の両端部の間でオフセット方位を有するように構成され得る。すなわち、個々のフランジ部材502aのうちの1つ以上のフランジ部材の軸線が個々のフランジ部材504aのうちの1つ以上のフランジ部材の軸線からずれていてよい(例えば、傾斜していてよい、又は一直線上に整列していなくてよい)。幾つかのそのような実施形態ではフランジ部材502a及び504aのうちの幾つか又は全てが相互に交差するように構成され得る(例えば、介在配置で相互に重なり合い得る)。幾つかのそのような実施形態ではフランジ部材502a及び504aのうちの幾つか又は全てが相互にずれていてよいが、相互に交差していない。しかしながら、幾つかの実施形態では個々のフランジ部材502aのうちの1つ以上のフランジ部材の軸線が個々のフランジ部材504aのうちの1つ以上のフランジ部材の軸線と概ね一直線上(例えば、実質的に平行)に整列していてよい。幾つかのそのような実施形態ではフランジ部材502a及び504aのうちの幾つか又は全てが相互に隣接するように構成され得る。幾つかのそのような実施形態ではフランジ部材502a及び504aのうちの幾つか又は全てが相互に一直線上に整列していてよいが、相互に隣接しない。
【0040】
幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び/又は504aのうちの1つ以上はフランジ部材502a及び/又は504aのうちの他の1つ以上と比べて構成が変化していてよい。例えば、フランジ部材502aはフランジ部材504aよりも中央部506に向かってさらに突出してよい(又は逆の場合もよい)。又は、フランジ部材502a又は504aのうちの1つ以上はそれぞれフランジ部材502a又は504aの他のものよりも中央部506に向かってさらに突出してよい。
【0041】
幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び/又は504aのうちの1つ以上は異なる曲率(半径)を有する2つ以上の部分を有してよい。例えば、図示されている実施形態ではフランジ部材502a及び/又は504aのうちの少なくとも幾つかが第1半径で中央部506から伸長しており、その後で真っすぐになって概ね直線状の部分になり、その後で第2半径で曲がり、その後で前記フランジ部材502a及び/又は504aが終わる。幾つかの実施形態ではその第1半径はその第2半径と同じではない。幾つかの実施形態ではそれらの第1及び第2半径は相互に反対の方向に曲がる。
【0042】
幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aの半径558は前記器具の中央部506を越えて突出する。したがって、フランジ部材502a及び504aが加える力によってある組織が半径558内へ押されることでより長く、且つ、より強固であるか又は漏出傾向がより少ない可能性がある吻合が形成され得る。幾つかの実施形態では曲率半径558は送達系(例えばシース)内に投入されたときのニチノール材料の許容される歪みによって決定される。例えば、幾つかの実施形態では約6.4%の歪みが生じ得る。しかしながら、約6.4%より少ない、又はそれを超える他の歪みレベルが幾つかの実施形態では用いられる。
【0043】
幾つかの実施態様では複数のフランジ部材502a及び504aを含むことは組織虚血を引き起こす可能性を低下させる傾向が有り得る。幾つかの実施形態では個々のフランジ部材502aが相互に異なるように構成され、且つ/又は個々のフランジ部材504aが相互に異なるように構成される。幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aは(示されているように)相互に離れたままいることができ、又は幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aは例えば被覆材512によって相互に相互接続される。幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aは相互に対面していても対面していなくてもよく、相互に交差してよく、様々な形状(例えば、長さ、幅、角度、半径、外形等)を有してよい。そのような意匠性の全ての組合せを組み合わせて多種多様な構成の吻合器を作製することができる。幾つかの実施形態ではフランジ部材502a及び504aの一方又は両方が軸方位で中央部506から突出し、且つ、組織上で特定の所望の並置圧力を達成する形をとる。
【0044】
幾つかの実施形態では前記フランジ部材の外形、フランジ部材の数、細長要素のサイズ、及び組織厚のうちの1つ以上が変位に対する特定の力プロファイルを達成するために選択可能である因子である。例えば、
図3~6を参照すると、様々な例となるフランジ部材意匠510、520、530、及び540が示されている。
図3~6に示されている遊離末端はフランジ部材意匠510、520、530、及び540が前記器具本体(例えば、吻合器500)から伸長している場合のものである。各々の力対変位間曲線が
図7に示されている。
【0045】
例となるフランジ部材510は中央部の端(示されず)から伸長している鋭角的下降領域511と前記器具から離れるように伸長している実質的水平領域513を含む。例となるフランジ部材520は前記器具に接続されている適度に鋭角的な下降領域514と前記器具から離れるように伸長している傾斜領域515を含む。例となるフランジ部材520は前記器具から離れるように伸長している直線状下降領域522を含む。例となるフランジ部材530は前記器具から離れるように伸長している漸進的傾斜屈曲領域532を含む。幾つかの実施形態では前記フランジ部材の1つ以上の領域が、それらのフランジ部材が一部である前記器具の中央部に向かって(例えば、吻合器500の中央部506に向かって)長手方向に伸長している。
【0046】
特定のフランジ部材の力対変位間プロファイル(例えば、フランジ部材510、520、530、及び540)が所望の並置圧力及び/又は他の性能特性の達成にとって有利であり得る。例えば、
図7を参照すると、力対変位のグラフが各フランジ部材510(510f)、520(520f)、530(530f)、及び540(540f)によって加えられ得る並置力を示している。フランジ部材510の力対変位間プロファイルは510fによって示されているように直線状の急勾配の傾きを含み得る。曲線510fは並置される臓器がすぐ近くにない場合に特に有益であり得る。その直線的で、且つ、急速に増加する力がそれらの臓器の分離に抵抗する。幾つかの実施形態ではフランジ部材520の力対変位間プロファイルは直線状の急勾配の傾きに突然に変化する直線状の緩い傾きを含み得る(520f)。曲線520fは吻合が形成されている間の初期の治癒期の時に大きな並置力を生むために特に有益であり得る。この時期に組織は520fの急勾配直線状プロファイルを活用してより厚くなり、且つ、炎症を起こし得る。組織炎症とそれにより生じる組織肥厚が減少すると、曲線520fの緩部が用いられてその組織の壊死の回避に役立つ。フランジ部材530の力対変位間プロファイルは直線状の緩い傾きをもたらす(530f)。曲線530fは変位に対する力の直線状の緩やかな増加を規定し、脆く、且つ、貫通しやすいと考えられている組織にとって特に有用であり得る。他の実施形態ではフランジ部材540の力対変位間プロファイルは継続的に増加する傾斜を含み得る(540f)。フランジ部材のそのような変化(及び他の変化も本開示の範囲内で企図されている)は所望通りに特定の用途のために選択され得る。例えば、フランジ部材540によって達成される力対変位間曲線は順調に上昇し、且つ、その意匠によって広い範囲の変位にわたって広い領域の接触が可能になるので特定の用途に有利であり得る。
【0047】
図8及び9は別の例となる吻合器1200を例示する。吻合器1200は上で説明された吻合器500の例となる変形である。特に、吻合器1200は吻合器500の第1及び第2並置部502及び504と異なるようにデザインされている第1及び第2並置部1202及び1204を有する。下でさらに説明されるように、第1及び第2並置部1202及び1204を構成する1つ以上の並置部材1208及び1210は幾つかの実施態様において望ましい機能特性を提供するように構成され得る。
【0048】
幾つかの実施形態では前記器具1200又はそのあらゆる部分の骨組みはスプリング線材(例えば、L605鋼又はステンレス鋼)、形状記憶合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、超弾性合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、他の適切な種類の線材、又はそれらの組合せなどの細長要素を備え得る。器具1200の図示されている実施形態ではその骨組みは例えば巻き上げによって形成される細長要素を含む。幾つかの実施形態では様々な種類の線材が前記器具1200の様々な位置で使用される。あるいは、器具1200又はその部分は細長要素骨組み構造を所望通りに作製するために切断される同一の前駆材料から形成され得る。幾つかの実施形態では前記器具1200又はその部分は高分子材料から構成され得る。前記器具1200は上で説明されたように被覆材を伴って示されている。吻合器1200は本明細書に記載されるありとあらゆる他の吻合器に関して記載されている材料と技術のいずれかを用いて構成され得ることを理解すべきである。
【0049】
前記器具の中央部1206は、例えば、細長要素の正弦波振幅、角度、段当たりの頂点の数、段数、線材直径を変え、被覆材を選択する(又は選択しない)ことで適した径方向強度を有するように構成され得る。吻合器用途にとって、中央部1206の径方向強度は周辺組織からの周方向負荷に抵抗するように設計され得る。したがって、幾つかの実施形態では中央部1206の径方向強度は、その中央部1206の外径にサイズを近似させるためにその中央部1206の外側の組織のリモデリングを促進するように構成される。吻合器1200(及び本明細書において提供される他の吻合器)が移植されて吻合を形成するとき、中央部1206の径方向強度は周辺組織が加えるフープ力に対する抵抗力を与える。したがって、中央部(例えば、中央部1206)に強い径方向強度を有する吻合器は所望の寸法の開口管腔を実質的に保持する。加えて、強い径方向強度を有する器具は有利なことに前記器具の周りに組織が成長するためのスキャフォルドとして機能し得る。
【0050】
幾つかの実施形態では吻合器1200の材料と構成によって前記器具1200を経カテーテル送達又は内視鏡/胸腔鏡送達用の管腔内に封じ込めるために弾力的に押しつぶし、折り重ね、及び/又は折り畳んで低プロファイル構成にすることを可能にし、且つ、前記器具が一旦体内の所望の標的部位に配置され、その管腔から配置されると自己拡張して作動サイズ及び作動構成になることを可能にする。
【0051】
第1並置部1202及び第2並置部1204はその第1並置部1202と第2並置部1204の間に一層以上の組織を噛み合わせ、且つ、それらの組織面に対して並置力を加えるように構成される。第1及び第2並置部1202及び1204によって加えられる並置力は前記器具1200のその組織への固定を促進し、且つ、前記器具1200が所望通りに患者内の標的部位に確実に配置されたままでいられるように移動抵抗を与えることができる。
【0052】
第1並置部1202及び第2並置部1204の各々はそれぞれ1つ以上の並置部材1208及び1210を含む。吻合器1200は、並置部材1208及び1210が前記器具の長手方向の軸線と実質的に平行に延伸するようにそれらの並置部材が径方向に圧縮されている収縮低プロファイル送達構成で構成され得る。展開構成又は拡張構成では並置部材1208及び1210は中央部1206から外側に向かって突出する。
【0053】
幾つかの実施形態では並置部材1208及び/又は1210のうちの少なくとも1つが(
図9に示されているように)中央部1206に対して第1角度1216を有し、且つ、中央部1206に対して第2角度1214を有するように方向づけられている。換言すると、幾つかの実施形態では少なくとも1つの並置部材1208及び/又は1210が非平面状である。図示されている実施形態では並置部材1210は中央部1206に対して第1角度1216で方向づけられており、並置部材1210は中央部1206に対して第2角度1214でも方向づけられている
。例えば、幾つかの実施形態では角度1216は鋭角、例えば、約90°未満、又は約75°未満、又は約60°未満、又は約45°未満、又は約30°未満、又は約25°未満、又は約20°未満、又は約15°未満、又は約10°未満、又は約5°未満である。幾つかの実施形態では角度1216は約15°と約20°との間、又は約10°と約30°との間、又は約5°と約45°との間である。
【0054】
幾つかの実施形態では、並置部材1210は中央部1206に向かって伸長しているので並置部材1210の一部はしたがってアクセス位置(すなわち、吻合器1200が配置される切開位置)の比較的近くに配置される。したがって、この構成は組織の有効で持続可能な並置を促進する。
【0055】
幾つかの実施形態では第2角度1214は第1角度1216よりも大きな角度である。例えば、幾つかの実施形態では前記角度1214は約90°超、約45°未満、約25°未満、約20°未満、約15°未満、約10°未満、又は約5°未満である。幾つかの実施形態では前記角度1214は約30°と約40°との間、又は約20°と約45°との間、又は約30°と約50°との間、又は約40°と約60°との間、又は約50°と約70°との間、又は約60°と約80°との間、又は約70°と約90°との間である。幾つかの実施形態では第2角度1214は前記並置部材の一部がアクセス位置からさらに遠く離れて配置されるように第1角度1216よりも大きい。一方で第1角度1216は組織接触によってアクセス位置近くで並置力を生じさせ、より大きな角度の第2角度1214はアクセス位置から離れた組織接触を可能にして前記器具1200を正しい位置に維持するための移動抵抗力を与える。また、幾つかの実施形態ではより大きな角度の第2角度1214は並置部材1208及び/又は1210の末端がその場で組織と接触していないことを可能にする。幾つかのそのような実施態様では並置された組織から離れて位置するフィンを有することでフィン上での組織過成長の可能性が遅延化又は回避され得る。組織過成長を遅延化又は回避することで前記器具は必要とされるとき/場合に容易に除去され得る。幾つかの実施形態ではこの意匠の単一の並置部材によって二重長並置部材を有することに関連する利益が提供され得る。
【0056】
幾つかの実施形態では中央部1206の外縁の周りの並置部材1208及び1210の位置が長手方向で相互に一致するようにそれらの並置部材1208及び1210は相互に軸線に関して整列している。幾つかの実施形態では中央部1206の外縁の周りの並置部材1208及び1210の位置が長手方向で相互に一致しないようにそれらの並置部材1208及び1210は相互に軸線がずれている。幾つかのそのような実施形態では第1並置部1202の並置部材1208のうちの1つ以上が
図8及び9に示されているように第2並置部1204の並置部材1210のうちの1つ以上と長手方向で重なる(例えば、介在配置で交差する)。幾つかの実施形態では並置部材1208及び1210のうちの幾つか又は全てが相互にずれていてよく、又は相互に一直線上に整列していてよく、一方で相互に交差しない。幾つかの実施形態では並置部材1208及び1210のうちの幾つか又は全てが相互に一直線上に整列していてよく、且つ、相互に隣接する。
【0057】
図10~12を参照すると、本明細書に記載される他のあらゆる中央部と相互交換可能である中央部1306、第1並置部1302、及び第2並置部1304を有する吻合器1300が示されている。幾つかの実施形態では器具1300又はそのあらゆる部分の骨組みは(細長要素501に関して上に記載されたように)スプリング線材(例えば、L605鋼又はステンレス鋼)、形状記憶合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、超弾性合金線材(例えば、ニチノール又はニチノール合金)、他の適切な種類の線材、又はそれらの組合せなどの1つ以上の細長要素を備え得る。
【0058】
器具1300の図示されている実施形態では前記骨組みは例えば巻き上げと形状固定によって形成される単一の細長要素から構成される。幾つかの実施形態では様々な種類の細長要素が前記器具1300の様々な位置で使用される。あるいは、吻合器1300(又はその部分)は細長要素骨組み構造を所望通りに作製するために切断及び展延される同一の前駆材料から形成され得る。幾つかの実施形態では前記器具1300(又はその部分)は高分子材料から構成され得る。吻合器1300は本明細書に記載されるありとあらゆる他の吻合器に関して記載されている材料と技術のいずれかを用いて構成され得ることを理解すべきである。
【0059】
幾つかの実施形態では中央部1306の骨組みはその中央部1306が長手方向に延伸可能であるように構成され得る。例えば、吻合器1300の図示されている実施形態では中央部1306の骨組みは(ばねのように)長手方向の伸縮を可能にする蛇行部分を含む。したがって、中央部1306の長手方向の長さは体内での負荷力に基づいて自己調節可能である。この特徴は、例えば、組織厚が(例えば急性胆嚢炎の少なくとも幾つかの事例において)治癒過程の間に変化するときに並置状態を維持する点で有利であり得る。この特徴は本明細書に記載される前記器具実施形態のいずれかに援用され得ることを理解すべきである。
【0060】
前記器具1300は被覆材1312を含み得る。幾つかの実施形態では被覆材1312は高いパーセンテージの回復歪み(例えば、単位長さ当たり100程度のパーセンテージの回復歪み)を有し得る伸縮性(弾性様)材料からできている。そのような被覆材の幾つかの実施形態は純粋なシリコーン、ウレタン材料、又は、限定されないが、ePTFEなどのフルオロポリマーをはじめとする他の材料に吸収又は積層される材料を含み得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では被覆材1312は本明細書に記載される通りである(例えば、被覆材512と類似又は同一である)。
【0061】
第1並置部1302及び第2並置部1304はその第1並置部1302と第2並置部1304の間に一層以上の組織を噛み合わせ、且つ、それらの組織面に対して並置力を加えるように構成される。第1及び第2並置部1302及び1304によって加えられる並置力は前記器具1300のその組織への付着を促進し、且つ、前記器具1300が所望通りに患者内の標的部位に確実に配置されたままでいられるように変位耐性を与えることができる。
【0062】
第1並置部1302及び第2並置部1304はそれぞれ1つ以上の並置部材1302a又は1302a’及び1304a又は1304a’(本明細書において固定部材、フィン、フランジ部、ペタル等とも呼ばれる)を含む。幾つかの実施形態では並置部材1302a及び1304aは(被覆材を有しない)むき出しの細長要素である。幾つかの実施形態では並置部材1302a’及び1304a’はそれらの細長要素の少なくとも幾らかの領域上に配置された被覆材1312を有する。
【0063】
幾つかの実施形態では並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’のうちの1つ以上は1つ以上の他の並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’と異なる構成(例えば、形状、長さ、幅、外形等)を有する。
【0064】
幾つかの実施形態では吻合器1300の材料によって前記器具1300を経カテーテル送達又は内視鏡/胸腔鏡送達用の管腔内に封じ込めるために弾力的に押しつぶし、折り重ね、及び/又は折り畳んで低プロファイル構成にすることを可能にし、且つ、前記器具が一旦体内の所望の標的部位に配置され、その管腔から配置されると自己拡張して作動サイズ及び作動構成になることを可能にする。例えば、吻合器1300は、並置部材1302a又は1302a’及び1304a又は1304a’が前記器具1300の長手方向の軸線と実質的に平行に延伸するように骨組みが低プロファイルに圧縮されている収縮送達構成で構成され得る。展開構成又は拡張構成では並置部材1302a又は1302a’及び1304a又は1304a’は中央部1306から外側に向かって伸長している。
【0065】
幾つかの実施形態では並置部材1302a又は1302a’及び1304a又は1304a’のうちの幾つかの長さはアクセスが行われるアクセス位置又はアクセス孔の外縁近くでの充分な並置力とそこから遠く離れた所での移動抵抗力の両方を加えるために異なっている。例えば、幾つかの実施形態では並置部材1302a又は1302a’のうちの1つ以上は並置部材1304a又は1304a’のうちの1つ以上よりも長い。幾つかの実施形態では並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’は異なる長さを有し、且つ、第1並置部1302及び/又は第2並置部1304の外縁にあるパターンで交互に入れ替えられる、又は配置される。幾つかの実施形態では各並置部1102及び/又は1104内の並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’は長さが均一である。
【0066】
幾つかの実施形態では並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’は前記器具1300が移植される予定の組織構造のサイズに少なくとも部分的に基づいて選択される長さを有する。例えば、第1組織構造が第2組織構造よりも小さい形状を概ね含む場合、並置部材1304a又は1304a’に対して並置部材1302a又は1302a’が異なる長さを有していることは有利であり得る。この例では小さな組織構造に入り込む並置部ほど長さが短い並置部材を有していることが有益であり得、一方で長い並置部材ほど大きな組織構造によりふさわしいことがあり得る。幾つかのそのような実施態様では長さが短い並置部材ほど小さな組織構造にぴったりと適合して吻合器に必要な充分な組織接触を確保し、一方でより長い並置部材は前記器具を所定の位置に保持するのに役立つ移動抵抗力を与える。幾つかの実施形態ではそのような短い並置部材及び長い並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’は特定の並置部1302及び/又は1304の外縁の周りで互い違いにされている、入れ子状にされている、又は分けられている。
【0067】
吻合器1300(及び吻合器1300の意匠性を共有する他の実施形態)は次の利点を示し得る。長さが異なる並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’を有することで様々な標的組織位置で並置を提供することができる。1つ以上のそのような特定の並置ゾーンを有することで前記器具管腔を通過する液体又は他の内容物の漏出を最小限にする、又は排除することができる。相互に独立して移動する離散した並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’は非平面状の組織形状に対して有利な並置部材整合性を提供し得る。特に疾患組織床において使用されるときにより良い整合性によって組織損傷を最小限にすることができる。並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’の屈曲性離散意匠は前記器具1300の管腔と平行に並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’を折り重ねることによる器具1300の除去を容易にし得る。並置部材1302a若しくは1302a’及び/又は1304a若しくは1304a’のこの屈曲性は吻合器1300の除去時に組織損傷を最小限にすることに役立ち得る。
【0068】
図13を参照すると、別の例となる中央部206が本明細書において提供される前記吻合器のいずれかの一部として含まれ得る。中央部506、1206及び1306と同様に、中央部206は1つ以上の細長要素の骨組みから構成される。目に見える程度を高めるために被覆材を有しない中央部206が示されているが、幾つかの実施形態では本明細書中の他の部分に記載されている被覆材が中央部206に塗布され得る。この例では中央部206は非展開構成又は低プロファイル送達構成で示されている。患者内に配置されると中央部206は自己拡張し得る、又は拡張構成に拡張させられ得る。
【0069】
中央部206の1つ以上の細長要素は吻合器500の細長要素に関して上に記載されたものと同じ種類の材料から、且つ、同じ種類の技術を用いて構成され得る。幾つかの実施形態では中央部210は1つ以上の巻き線材によって形成される。幾つかの実施形態では中央部206は細長要素骨組み構造を所望通りに作製するために切断される単一の前駆材料から形成される。幾つかのそのような実施形態ではその前駆材料は所望の細長要素骨組み構造を形成するためにレーザー切断されるチューブ(例えば、ニチノール管)である。幾つかのそのような実施形態ではその前駆材料は所望の細長要素骨組み構造を形成するためにレーザー切断される薄板(例えば、ニチノール薄板)である。幾つかの実施形態では様々な種類の細長要素が中央部206の様々な部分で使用される。例えば、幾つかの実施形態では中央部206又はその部分は高分子材料から構成され得る。
【0070】
中央部206はその中央部206の長手方向の軸線に沿って伸長している1つ以上の軸線調節部材218を含む。軸線調節部材218によって中央部206の軸線の長さ(本明細書において「長手方向の長さ」とも呼ばれる)が(吻合器1300の中央部1306の骨組みに関して上に記載されたように)弾力的に伸縮することが可能になる。
【0071】
中央部206は1つ以上のセル212も含む。幾つかの実施形態では1つ以上のセル212は軸線調節部材218を相互に接続する。セル212によって中央部206の径方向の拡張及び収縮が可能になり、且つ、外部圧縮力に抵抗しつつ前記器具の外径/サイズを維持するための径方向の力がその器具に与えられる。中央部206の径方向の拡張時にセル212は周方向で拡張し、長手方向で収縮する。セル212は菱形の外形を有するものとして示されているが、他の形状を用いてもよい。図示されている実施形態ではセル212対が架橋部材213によって周方向で相互に相互接続されている。しかしながら、幾つかの実施形態では(示されているペアよりもむしろ)単一のセル212又は2つより多くのセル212が含まれ得る。
【0072】
幾つかの実施形態ではセル212は中央部206の長手方向の軸線に沿って隣接するセル212と分離している。したがって、軸線調節部材218に接続しているセル212は軸線調節部材218及び/又は中央部206の軸方向の拡張又は収縮を実質的に制約しない。幾つかの実施形態ではセル212は中央部206に径方向の強度を提供する。すなわち、幾つかの実施形態ではセル212は拡張構成に自己拡張する傾向がある。そのような自己拡張によって中央部206からその中央部206が接触する組織へ径方向の力が加えられ得る。
【0073】
幾つかの実施形態では中央部206の軸線の長さは組織厚の違いに適合させるために例えば医師によって配置前又は配置中に調節される。他の実施形態では軸線調節部材218は配置された吻合器にその場で働く機械的力に対して自己応答する。例えば、軸線調節部材218によって前記器具の軸線の長さが(中央部1306に関して上に記載されたように)治癒過程の間に動的に順応することが可能になる。
【0074】
本明細書において提供される前記吻合器は1つ以上のカテーテル、送達シース、並びに他の適切な器具及び技術を用いて患者内の標的部位に配置可能である。幾つかの実施態様では本明細書において提供される前記吻合器は内視鏡アプローチ又は腹腔鏡アプローチを用いて配置可能である。
【0075】
本明細書において提供される前記吻合器の1つ以上の意匠性が本明細書において提供される他の吻合器の他の特徴と組み合わせられ得ることを理解すべきである。実際には本明細書において提供される吻合器意匠のうちの2つ以上に由来する様々な特徴を組み合わせているハイブリッド意匠を作成することができ、それらのハイブリッド意匠は本開示の範囲内である。
【0076】
幾つかのそのような実施形態では前記器具はその器具を通るトンネル又は中央開口部を含まない。
【0077】
幾つかの実施形態では本明細書において提供される前記器具が心臓弁移植物の密封又は固定に使用され得る。心臓弁移植物は心腔からの血液の一方向だけの流れを可能にし、通常は第1流入端と第2流出端を有する。心臓の収縮によってその流入端から流出端まで弁を介した血液の流れが引き起こされる。その心臓弁移植物内の弁組立品によってその流入端と流出端の間で一方向だけの流れが生じ、血液の圧力が流入端で高いときにその弁組立品が開いてその流入端から流出端までの流れを可能にし、その圧力が流入端よりも流出端で高いときにその弁組立品が閉じて流れを防止する。幾つかの実施形態では前記器具は弁組立品及び逆流防止シールを固定するための並置部と共にその器具を通るトンネル又は中央開口部を含む。弁組立品をそのトンネル又は中央開口部内に取り付けることができる。前記器具の並置部は心腔又は血管の形状によく整合し、且つ、心臓の鼓動に対応するように構成され得る。幾つかの実施形態では被覆材はそれら並置部の周囲での流れを防止する一方でそのトンネル又は開口部内の弁組立品を通る流れを可能にするように構成される。
【0078】
本願の発明をこれまで一般的にも特定の実施形態に関しても説明してきた。本開示の範囲から逸脱することなく様々な改変及び変更を本実施形態に行い得ることが当業者に明らかである。したがって、本発明の改変と変更が添付されている特許請求項及びそれらの同等物の範囲内に含まれる限り、本実施形態はそれらの改変及び変更を含むものとする。