(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20221115BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20221115BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/17 Z
E06B7/22 A
(21)【出願番号】P 2018212725
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043948(JP,A)
【文献】実開昭58-038067(JP,U)
【文献】特開2013-159911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 7/16-7/24
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の屋内側と屋外側とを連通し床面と隣接した開口部、を覆う止水板と、
前記止水板の下端部に沿って延び、前記下端部と前記床面に設けられ当該床面と交差した段差面との間をシールする第一シール部材と、
前記第一シール部材を保持する保持部
と、前記保持部よりも前記屋外側に位置する取付部と、を有し、前記下端部に固定された第一保持部材と、
を備
え、
前記保持部には、前記屋内側に向けて開放された開口部が設けられ、
前記第一シール部材は、前記開口部内に挿入されて前記止水板の幅方向に沿って保持されている、止水装置。
【請求項2】
前記第一保持部材には、前記止水板の厚さ方向に沿って延び、当該第一保持部材と前記止水板との相対的な前記厚さ方向の取付位置を調整可能な長穴が設けられた、請求項1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記保持部と前記下端部との間に介在された介在部材を備えた、請求項1または2に記載の止水装置。
【請求項4】
前記保持部には、互いに近づく方向に突出した一対の爪部が設けられ、
前記第一シール部材は、前記一対の爪部の間のスペースから前記開口部内に挿入されている、請求項1に記載の止水装置。
【請求項5】
前記取付部と前記下端部との間に挟まれ、弾性的に圧縮可能な第三シール部材が設けられ、
前記第三シール部材は、前記長穴の周囲に位置する、請求項2に記載の止水装置。
【請求項6】
前記第一シール部材は、前記開口部から前記屋内側に突出しているベース部と、前記ベース部から前記屋外側に突出して前記開口部に挿入される挿入部と、を有し、
前記挿入部には、前記止水板の幅方向に沿って延びる貫通孔が設けられている、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の止水装置。
【請求項7】
前記第一シール部材は、前記挿入部から互いに近づく方向に突出した一対の爪部に向かって突出し、前記幅方向に沿って延びる引掛部をさらに有する、請求項6に記載の止水装置。
【請求項8】
前記止水板は、前記第一保持部材の高さ方向に面し、前記下端部に沿って前記第一保持部材を支持する支持壁を有する、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の止水装置。
【請求項9】
前記止水板における幅方向の端部に設けられた第二保持部材と、
前記端部と前記止水板を前記開口部の高さ方向にスライド可能に支持するガイドレールとの間をシールする第二シール部材と、
をさらに備え、
前記第二保持部材は、前記第二シール部材を前記開口部の高さ方向に沿って保持する、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の止水装置。
【請求項10】
前記止水板は、当該止水板の前記屋内側を向く面の少なくとも一部を構成している後壁よりも前記屋内側に位置する補強壁を有する、請求項1~9のうちいずれか1項に記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物に設けられた開口部を覆う止水板と、止水板の下端部に沿って延び当該下端部と床面に設けられた段差面との間をシールするシール部材と、を備えた止水装置が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の止水装置では、例えば、シール部材が止水板の厚さ方向への反りに追従した姿勢で取り付けられるのを抑制できる等、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成が得られれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の止水装置は、例えば、構造物の屋内側と屋外側とを連通し床面と隣接した開口部、を覆う止水板と、上記止水板の下端部に沿って延び、上記下端部と上記床面に設けられ当該床面と交差した段差面との間をシールする第一シール部材と、上記第一シール部材を保持する保持部と、上記保持部よりも上記屋外側に位置する取付部と、を有し、上記下端部に固定された第一保持部材と、を備え、上記保持部には、上記屋内側に向けて開放された開口部が設けられ、上記第一シール部材は、上記開口部内に挿入されて上記止水板の幅方向に沿って保持されている。このような構成によれば、例えば、止水板とは別の第一保持部材を利用することにより、第一シール部材が止水板の厚さ方向への反りに追従した姿勢で取り付けられるのを抑制することができる。よって、例えば、第一シール部材と段差面とが下端部に沿って密着しやすくなり、ひいては第一シール部材による止水性能の低下を抑制することができる。
【0007】
また、上記止水装置では、例えば、上記第一保持部材には、上記止水板の厚さ方向に沿って延び、当該第一保持部材と上記止水板との相対的な上記厚さ方向の取付位置を調整可能な長穴が設けられる。このような構成によれば、例えば、長穴を利用して第一保持部材と止水板との取付位置を調整することにより、より容易に、あるいはより円滑に、第一保持部材を止水板に取り付けることができる。
【0008】
また、上記止水装置では、例えば、上記保持部と上記下端部との間に介在された介在部材を備える。このような構成によれば、介在部材によって保持部と下端部との間の隙間を埋めることができるため、例えば、止水板の設置時に第一シール部材と段差面との間の面圧が確保されやすくなり、ひいては第一シール部材による止水性能の低下をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な正面図であって、止水板が第一位置に位置された状態の図である。
【
図2】
図2は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)であって、止水板が第一位置に位置された状態の図である。
【
図3】
図3は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)であって、止水板が第二位置に位置された状態の図である。
【
図4】
図4は、実施形態の止水板および第一保持部材の長手方向の略中央部での例示的な断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の止水板の長手方向の他端部の例示的な斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態の止水板の長手方向の一端部の例示的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第一保持部材および止水板の長手方向の他端部(一端部)での例示的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第二保持部材の例示的な断面図である。
【
図9】
図9は、変形例の止水装置の止水板の例示的な断面図である。
【
図10】
図10は、変形例の第一保持部材および止水板の長手方向の他端部(一端部)での例示的な断面図である。
【
図11】
図11は、変形例の第一保持部材および止水板の長手方向の略中央部での例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0013】
[実施形態]
図1は、止水装置1の正面図であって、止水板4が第一位置P1に位置された状態の図である。
図2は、止水装置1の側面図(一部断面図)であって、止水板4が第一位置P1に位置された状態の図である。
図3は、止水装置1の側面図(一部断面図)であって、止水板4が第二位置P2に位置された状態の図である。第一位置P1は、閉塞位置(閉位置)等とも称され、第二位置P2は、開放位置(開位置)等とも称される。
【0014】
図1,2に示されるように、止水装置1は、例えば、構造物100に設けられた開口部101を開閉可能に覆うシャッター装置である。止水装置1は、シャッターカーテン3(開閉体)と、止水板4と、ガイドレール5と、巻取装置6と、後述する保持部材7,9(
図4,5参照)と、止水ゴム8,10(
図7,8参照)と、を備えている。構造物100は、例えば、車庫や、工場、倉庫、ビル、店舗、住宅等の建築構造物であり、開口部101を介して自動車等の車両や人間等が出入りしうる。止水装置1は、止水板付きシャッター等とも称される。
【0015】
なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、止水板4の厚さ方向(前後方向)に沿うとともに、開口部101の開口方向(貫通方向)に沿う。Y方向は、止水板4の長手方向(左右方向、幅方向)に沿うとともに、開口部101の幅方向に沿う。Z方向は、止水板4の高さ方向(上下方向、短手方向)に沿うとともに、開口部101の高さ方向に沿う。
【0016】
また、以下の説明では、開口部101を介してX方向の一方の空間から他方の空間へ水が浸入する可能性がある場合のX方向の他方(下流側)が屋内側と定義され、X方向の一方(上流側)が屋外側と定義される。すなわち、屋内側とは、止水板4によって水の浸入を防止(阻止、抑制)したい側であり、屋外側とは、浸入可能性のある水が流れてくる側のことである。また、以下の説明では、床面102とは、開口部101の下方に位置する面を意味する便宜上の文言であり、通常の床面102に限らず、コンクリート面や地面等を含むものとする。床面102は、設置面等とも称されうる。
【0017】
図2,3に示されるように、シャッターカーテン3は、開口部101を開閉可能に覆っている。シャッターカーテン3は、止水板4とともにZ方向に沿って移動することで開口部101を開閉する。シャッターカーテン3(開口部101)の開方向は、
図1~3の上方向(Z方向)、すなわち床面102から離れる方向であり、閉方向は、
図1~3の下方向、すなわち床面102に近付く方向である。
【0018】
シャッターカーテン3は、止水板4と接続された下端部3aと、下端部3aとは反対側に位置され巻取装置6の巻取軸12(
図2参照)と接続された上端部3bと、を有している。シャッターカーテン3は、例えば、複数の帯板状のスラットをZ方向に連接したスラット連接体等によって構成されうる。
【0019】
止水板4は、シャッターカーテン3と床面102との間に設けられている。止水板4は、シャッターカーテン3とともに開口部101を開閉可能に覆っている。止水板4は、例えば、X方向に所定の厚さを有し、Y方向およびZ方向に沿って延びるとともに、Y方向に横長な直方体状に構成されている。止水板4は、防錆性を有する板状の金属材を加工してパネル状に構成されている。
【0020】
止水板4は、例えば、止水ゴム8(
図4参照)が設けられた下端部4aと、下端部4aとは反対側に位置されシャッターカーテン3と接続された上端部4bと、を有している。止水板4は、シャッターカーテン3と一体に、開口部101を閉じる第一位置P1(
図2参照)と、開口部101を開く第二位置P2(
図3参照)と、の間で移動可能に構成されている。
【0021】
止水板4が第一位置P1に位置された状態では、止水ゴム8(
図4参照)と床面102に設けられた沓摺110とが当接し、シャッターカーテン3とともに開口部101が閉じられる。これにより、下端部4aと沓摺110(床面102)との間がシールされ、開口部101を介した屋内側への雨水等の水の浸入が、防止(阻止、抑制)される。
【0022】
また、
図3に示されるように、止水板4が第二位置P2に位置された状態では、下端部4aが沓摺110(床面102)からシャッターカーテン3とともにZ方向に離間する。これにより、開口部101の少なくとも一部が開放される。第二位置P2は、例えば、止水板4が巻取装置6の下方に隣接(近接)した位置である。なお、第二位置P2は、この例には限定されず、例えば、シャッターケース11内に収納された位置等であってもよい。
【0023】
図1に示されるように、ガイドレール5は、シャッターカーテン3および止水板4のY方向の両端部に設けられている。ガイドレール5は、例えば、Y方向の中央部側に向けて開放された略U字状の断面を有し、床面102と巻取装置6との間に亘ってZ方向に直線状に延びている。ガイドレール5は、シャッターカーテン3および止水板4をZ方向に沿ってスライド可能に支持する。
【0024】
巻取装置6は、シャッターカーテン3およびガイドレール5の上方(Z方向)に設けられている。
図1,2に示されるように、巻取装置6は、例えば、シャッターケース11や、巻取軸12、開閉機13、動力伝達機構15等を有している。巻取装置6は、構造物100における躯体103の屋内側のスペースに設置されている。躯体103は、天井部材等とも称される。なお、
図1では、便宜上、躯体103は、図示省略されている。
【0025】
シャッターケース11は、例えば、Y方向に横長な直方体状の箱型に構成されている。シャッターケース11には、巻取軸12や、開閉機13、動力伝達機構15、シャッターカーテン3等が収容されている。
【0026】
また、シャッターケース11には、シャッターカーテン3が出入りする開口部11a1(
図2参照)が設けられている。開口部11a1は、シャッターケース11の底壁11aをZ方向に貫通するとともにシャッターカーテン3に沿ってY方向に細長く延びた長穴である。開口部11a1のY方向の両端部は、ガイドレール5とZ方向に並んでいる。
【0027】
巻取軸12は、シャッターケース11にY方向に沿った回転中心Ax1回りに回転可能に支持されている。巻取軸12には、シャッターカーテン3の上端部3bが接続されている。巻取軸12は、回転中心Ax1回りに回転することで、シャッターケース11内にシャッターカーテン3を巻き取って収納したり、シャッターケース11外にシャッターカーテン3を引き出したりする。
【0028】
開閉機13は、例えば、駆動源としてのモータや、巻取軸12の回転を制動するブレーキ機構、モータおよびブレーキ機構を制御する制御部等を有している。開閉機13は、チェーンやスプロケット等を含む動力伝達機構15を介して、巻取軸12と接続されている。これにより、開閉機13から巻取軸12に駆動力が伝達される。
【0029】
次に、止水板4、保持部材7,9、および止水ゴム8,10についてより詳しく説明する。
図4は、止水板4および保持部材7のY方向の略中央部での断面図である。
図5は、止水板4のY方向の他端部の斜視図である。
図6は、止水板4のY方向の一端部の斜視図である。保持部材7は、第一保持部材の一例であり、止水ゴム8は、第一シール部材の一例である。止水ゴム8は、止水板4の下端部4aと沓摺110(床面102)との間をシールする。止水ゴム8は、底部止水ゴム等とも称される。
【0030】
なお、
図5,6では、便宜上、止水ゴム8,10が図示省略されている。また、
図6では、便宜上、保持部材9が図示省略されている。言い換えると、保持部材9は、止水板4のY方向の一端部に設けられた保持部材9A(
図8参照)と、止水板4のY方向の他端部に設けられた保持部材9B(
図5参照)と、を含む。保持部材9は、第二保持部材の一例であり、止水ゴム10は、第二シール部材の一例である。止水ゴム10は、止水板4のY方向の両端部とガイドレール5との間をシールする。止水ゴム10は、側部止水ゴム等とも称される。
【0031】
図4に示されるように、止水板4は、例えば、前壁4cや、後壁4d、底壁4e、天壁4f、補強壁4g、支持壁4h等の複数の壁部を有している。前壁4cは、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びるとともに、Y方向に横長な長方形状の板状に構成されている。前壁4cは、止水板4の屋外側を向いた面の少なくとも一部を構成している。
【0032】
後壁4dは、前壁4cの屋内側、すなわちX方向の他方に離間して位置されている。後壁4dは、前壁4cに沿って延びた長方形状の板状に構成されている。後壁4dのX方向に沿った厚さは、前壁4cのX方向に沿った厚さと略同じである。後壁4dは、止水板4の屋内側を向いた面の少なくとも一部を構成している。
【0033】
底壁4eは、前壁4cの下端部と後壁4dの下端部との間に亘り、天壁4fは、前壁4cの上端部と後壁4dの上端部との間に亘っている。底壁4eおよび天壁4fは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びるとともに、Y方向に横長な長方形状の板状に構成されている。底壁4eは、止水板4の下端部4aの少なくとも一部を構成し、天壁4fは、止水板4の上端部4bの少なくとも一部を構成している。
【0034】
補強壁4gは、後壁4dの屋内側に位置されている。補強壁4gは、Y方向と直交したXZ断面(
図4参照)が、後壁4d側に向けて開放された略U字状に構成されている。補強壁4gは、後壁4dの上端部と接続された一端部4g1と、後壁4dの略中央部と接続された他端部4g2と、一端部4g1と他端部4g2との間に亘り後壁4dから屋内側に離れて位置された中間部4g3と、を有している。補強壁4gは、後壁4dに沿ってY方向に延びている。
【0035】
支持壁4hは、止水板4の下端部4a、具体的には後壁4dの下端部に設けられている。すなわち、支持壁4hは、補強壁4gの下方に離間して位置されている。支持壁4hは、後壁4dから屋内側に突出し、Y方向に沿って延びている。支持壁4hは、保持部材7とZ方向に面し、下端部4a(Y方向)に沿って保持部材7を支持する。
【0036】
図7は、保持部材7および止水板4のY方向の他端部(一端部)での断面図である。
図4,7に示されるように、保持部材7は、例えば、保持部7aと、取付部7bと、を有している。保持部7aは、Y方向と直交したXZ断面が、屋内側(沓摺110の段差面110a側)に向けて開放された略U字状に構成されている。言い換えると、保持部7aには、屋外側に向けて凹み、屋内側に向けて開放された凹部7a1(開口部)が設けられている。凹部7a1、すなわち保持部7aは、下端部4aに沿って延び、止水ゴム8をY方向に沿って保持する。
【0037】
また、保持部7aには、凹部7a1の開方端(先端部)からZ方向に沿って互いに近づく方向に突出した一対の爪部7a2が設けられている。爪部7a2は、後述する止水ゴム8の引掛部8cとX方向に当接(引っ掛かり)可能である。爪部7a2は、凹部7a1に沿ってY方向に延びている。止水ゴム8は、一対の爪部7a2の間のスペースから凹部7a1内に挿入される。
【0038】
取付部7bは、保持部7aから屋外側(段差面110aとは反対側)に突出し、Y方向に沿って延びている。
図5,6に示されるように、取付部7bには、保持部材7を止水板4に固定するネジやボルト等の結合具21,22が貫通する複数の開口部7cが設けられている。
【0039】
また、開口部7cは、例えば、固定用の結合具21が挿入される丸穴7c1と、位置調整用の結合具22が挿入される長穴7c2と、を含む。長穴7c2は、取付部7bをZ方向に貫通するとともに、X方向に沿って横長に延びている。本実施形態では、複数の丸穴7c1(結合具21)と、複数の長穴7c2(結合具22)とが、X方向に互いに間隔をあけて交互に設けられている。
【0040】
また、
図7に示されるように、取付部7bの開口部7cの周囲には、遮水シート25が設けられている。遮水シート25は、取付部7bと下端部4aとの間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、長穴7c2や丸穴7c1等から保持部材7と下端部4aとの間を経由して屋内側に水が漏れ出るのが抑制されている。遮水シート25は、第三シール部材の一例であり、マットシーラ等とも称される。
【0041】
止水ゴム8は、例えば、ベース部8aと、挿入部8bと、引掛部8cと、を有している。ベース部8aは、Z方向に所定の幅を有し、Y方向に沿って細長く延びた帯板状に構成されている。ベース部8aは、保持部材7の凹部7a1(保持部7a)の外側に位置されている。言い換えると、ベース部8aは、凹部7a1(挿入部8b)から屋内側に突出している。
【0042】
ベース部8aは、止水板4が第一位置P1に位置された状態で、沓摺110の段差面110a(
図4参照)と止水板4(保持部材7)との間に介在する。ベース部8aは、段差面110aと止水板4との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、段差面110aと止水板4との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。段差面110aは、床面102と交差(直交)している。段差面110aは、垂直面や、受面、設置面等とも称されうる。
【0043】
挿入部8bは、ベース部8aから屋外側に突出し、Y方向に沿って延びている。挿入部8bは、保持部7aの凹部7a1内に挿入される。挿入部8bの中心には、Y方向に沿って延びる貫通孔8b1が設けられている。本実施形態では、例えば、貫通孔8b1に棒等を挿入し、凹部7a1とは反対側に引っ張ることにより、止水ゴム8を保持部7aからより容易に取り外すことができる。
【0044】
引掛部8cは、挿入部8bから保持部7aの一対の爪部7a2側に突出し、Y方向に沿って延びている。
図7に示されるように、引掛部8cは、屋外側から屋内側に向かうにつれて上方または下方に向かうように傾斜している。引掛部8cは、上述した保持部7aの爪部7a2とX方向に面している。本実施形態では、引掛部8cと爪部7a2との引っ掛かりによって、止水ゴム8が凹部7a1から抜けるのが抑制されている。引掛部8cは、抜け止め部や、ストッパ部等とも称されうる。
【0045】
このように、本実施形態では、止水ゴム8を保持する保持部材7が設けられているため、例えば、止水板4のY方向の略中央部(
図4参照)がY方向の両端部(
図7参照)よりも屋外側に反った場合でも、止水ゴム8が止水板4のX方向への反りに追従した姿勢で取り付けられるのを抑制することができる。よって、例えば、止水ゴム8と段差面110aとが下端部4a(Y方向)に沿って密着しやすくなり、ひいては止水ゴム8による止水性能の低下を抑制することができる。なお、保持部材7は、例えば、止水板4と同様に押出成型等によって製造されうる。
【0046】
図8は、保持部材9の断面図である。
図8に示されるように、保持部材9は、例えば、保持部9aと、取付部9bと、を有している。保持部9aは、Z方向と直交したXY断面が、屋内側(ガイドレール5の溝面5a側)に向けて開放された略U字状に構成されている。言い換えると、保持部9aには、屋外側に向けて凹み、屋内側に向けて開放された凹部9a1(開口部)が設けられている。凹部9a1、すなわち保持部9aは、止水板4のY方向の両端部に沿って延び、止水ゴム10をZ方向に沿って保持する。
【0047】
また、保持部9aには、保持部7aと同様に、凹部9a1の開方端(先端部)からY方向に沿って互いに近づく方向に突出した一対の爪部9a2が設けられている。爪部9a2は、後述する止水ゴム10の引掛部10cとX方向に当接(引っ掛かり)可能である。爪部9a2は、凹部9a1に沿ってZ方向に延びている。止水ゴム10は、一対の爪部9a2の間のスペースから凹部9a1内に挿入される。
【0048】
取付部9bは、保持部9aから屋外側に突出し、Z方向に沿って延びている。取付部9bは、止水板4のY方向両側の開方端(端面)を覆っている(塞いでいる)。本実施形態では、例えば、不図示のネジやボルト等の結合具が、取付部9bをY方向に貫通し、止水板4の取付穴4i(
図4参照)のそれぞれに結合されること等によって、保持部材9が止水板4に固定されうる。
【0049】
また、
図8に示されるように、取付部9bの止水板4側の面には、遮水シート26が設けられている。遮水シート26は、取付部9bと止水板4との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、止水板4の両端面と取付部9bとの間から屋内側に水が漏れ出るのが抑制されている。遮水シート26は、第四シール部材の一例であり、マットシーラ等とも称される。
【0050】
また、凹部9a1の底部9a3には、遮水シート26が入り込む凹部9cが設けられている。凹部9cは、底部9a3の凹部9a1とは反対側の面から屋内側に凹み、屋外側に向けて開放されている。本実施形態では、遮水シート26は、X方向の他端部が凹部9c内に入り込んだ状態で、取付部9bに固定(接着)されている。これにより、例えば、遮水シート26のX方向の他端部がZ方向に対して波打った状態で取り付けられた場合でも、止水板4(後壁4d)のY方向の両端面と取付部9bとの間の遮水シート26によるシール性の低下を抑制することができる。
【0051】
止水ゴム10は、例えば、ベース部10aと、挿入部10bと、引掛部10cと、を有している。ベース部10aは、Y方向に所定の幅を有し、Z方向に沿って細長く延びた帯板状に構成されている。ベース部10aは、保持部材9の凹部9a1(保持部9a)の外側に位置されている。言い換えると、ベース部10aは、凹部9a1(挿入部10b)から屋内側に突出している。
【0052】
ベース部10aは、止水板4が第一位置P1に位置された状態で、ガイドレール5と止水板4(保持部材9)との間に介在する。ベース部10aは、ガイドレール5と止水板4との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、ガイドレール5と止水板4との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。
【0053】
挿入部10bは、ベース部10aから屋外側に突出し、Z方向に沿って延びている。挿入部10bは、保持部9aの凹部9a1内に挿入される。挿入部10bの中心には、止水ゴム10を保持部9aへ挿入する際に挿入部10bを潰し易く挿入し易くする貫通孔10b1が設けられている。貫通孔10b1には、止水ゴム10を保持部9aから取り外す際に棒等が挿入される。
【0054】
引掛部10cは、挿入部10bから保持部9aの一対の爪部9a2側に突出し、Z方向に沿って延びている。引掛部10cは、上述した保持部9aの爪部9a2とX方向に面している。本実施形態では、引掛部10cと爪部9a2との引っ掛かりによって、止水ゴム10が凹部9a1から抜けるのが抑制されている。引掛部10cは、抜け止め部や、ストッパ部等とも称されうる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、例えば、止水装置1は、止水板4の下端部4aに沿って延び、下端部4aと段差面110aとの間をシールする止水ゴム8(第一シール部材)と、止水ゴム8を保持する保持部7aを有し、下端部4aに固定された保持部材7(第一保持部材)と、を備える。このような構成によれば、例えば、止水板4とは別の保持部材7を利用することにより、止水ゴム8が止水板4のX方向(厚さ方向)への反りに追従した姿勢で取り付けられるのを抑制することができる。よって、例えば、止水ゴム8と段差面110aとが下端部4a(Y方向)に沿って密着しやすくなり、ひいては止水ゴム8による止水性能の低下を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、例えば、保持部材7には、X方向(厚さ方向)に沿って延び、当該保持部材7と止水板4との相対的なX方向の取付位置を調整可能な長穴7c2が設けられている。このような構成によれば、例えば、長穴7c2を利用して保持部材7と止水板4とのX方向の取付位置を調整することにより、より容易に、あるいはより円滑に、保持部材7を止水板4に取り付けることができる。
【0057】
[変形例]
図9は、本変形例の止水装置1Aの止水板4Aの断面図であり、
図10は、本変形例の保持部材7Aおよび止水板4Aの長手方向の他端部(一端部)での断面図であり、
図11は、本変形例の保持部材7Aおよび止水板4Aの長手方向の略中央部での断面図である。止水装置1Aは、上記実施形態の止水装置1と同様の構成を備えている。よって、止水装置1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
ただし、本変形例では、
図11に示されるように、保持部材7Aの保持部7aと下端部4aとの間にスペーサ30,31が設けられている点が、上記実施形態と相違している。スペーサ30,31は、保持部7aと下端部4aとの間の隙間に沿ってY方向に延びている。スペーサ30,31は、止水板4AのX方向への反りによって生じる保持部7aと下端部4aとの間の隙間を埋める機能を有している。スペーサ30,31は、介在部材の一例である。
【0059】
また、本変形例では、支持壁4hは、例えば、第一突出部4h1と、第二突出部4h2と、を有している。第一突出部4h1および第二突出部4h2は、互いに間隔をあけて後壁4dから屋内側に突出している。そして、本変形例では、第一突出部4h1と第二突出部4h2との間のスペースに、下端部4a(Y方向)に沿って保持部材7Aが支持されている。
【0060】
また、本変形例では、凹部7a1の底部7a3には、保持部材7Aを止水板4Aに固定するネジやボルト等の結合具21が貫通する複数の開口部(不図示)が設けられている。言い換えると、保持部材7Aには、保持部7aから屋外側に突出した取付部7b(
図7参照)は設けられていない。結合具21は、保持部材7A、遮水シート25A、スペーサ30、および止水板4の後壁4dをY方向に貫通している。
【0061】
遮水シート25Aは、底部7a3の屋外側(止水板4A側)の面に設けられている。遮水シート25Aは、保持部材7Aと下端部4aとの間、あるいは保持部材7Aとスペーサ30との間に挟まれることで、弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって底部7a3の結合具21が貫通する開口部(不図示)から止水板4内に水が漏れ出るのが抑制されている。
【0062】
以上のように、本変形例によっても、止水ゴム8を保持する保持部材7Aが設けられているため、例えば、止水板4AのY方向の略中央部(
図11参照)がY方向の両端部(
図10参照)よりも屋外側に反った場合でも、止水ゴム8が止水板4AのX方向への反りに追従した姿勢で取り付けられるのを抑制することができる。よって、例えば、止水ゴム8と段差面110aとが下端部4a(Y方向)に沿って密着しやすくなり、ひいては止水ゴム8による止水性能の低下を抑制することができる。
【0063】
また、本変形例では、止水装置1Aは、保持部7aと下端部4aとの間に介在されたスペーサ30,31を備えている。このような構成によれば、スペーサ30,31によって保持部7aと下端部4aとの間の隙間を埋めることができるため、例えば、止水板4Aの設置時に止水ゴム8と段差面110aとの間の面圧が確保されやすくなり、ひいては止水ゴム8による止水性能の低下をより一層抑制することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0065】
例えば、介在部材としてのスペーサは、実施形態の止水装置に適用されてもよい。また、例えば、止水装置は、止水板とシャッターカーテンとが一体となったもの(止水板付きシャッター)には限定されず、止水板が構造物の開口部に単独で設置されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1A…止水装置、4,4A…止水板、4a…下端部、7…保持部材(第一保持部材)、7a…保持部、7c2…長穴、8…止水ゴム(第一シール部材)、30,31…スペーサ(介在部材)、101…開口部、102…床面、110a…段差面、X…厚さ方向。