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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/104 20220101AFI20221115BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20221115BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20221115BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20221115BHJP
【FI】
F24H15/104
F24H15/395
F24H4/02 C
F24H15/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018221896
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020085368
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】窪田 広記
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336922(JP,A)
【文献】特開2009-085580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/104
F24H 15/20
F24H 15/395
F24H 4/02
F24D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、水冷媒交換器、膨張弁、及び室外ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプユニットと、前記水冷媒熱交換器とは循環ポンプを有した加熱循環回路で連通し、湯水を循環させて高温に沸き上げた湯水を貯湯する貯湯タンクと、電源投入後に行う試運転動作を制御する制御装置と、前記制御装置に通信可能に接続され各種情報を表示する表示部を有したリモコンとを備えたヒートポンプ式給湯機に於いて、
前記試運転動作は、手動による前記加熱循環回路のエア抜き処置の後に、前記循環ポンプを駆動する前記加熱循環回路のエア抜き運転と、このエア抜き運転後の沸き上げ試運転とを行うもので、
前記制御装置は、前記エア抜き処置を行ったことを示すエア抜き処置フラグと、前記エア抜き運転を行ったことを示すエア抜き運転フラグと、前記沸き上げ試運転を行ったことを示す沸き上げ試運転フラグとを記憶すると共に、前記フラグが記憶されている場合はその試運転動作を省略するようにし、
前記制御装置は、前記エア抜き処置フラグが記憶されていない場合は、前記リモコンの前記表示部にエア抜き処置を実施することを促すと共に実施したことを確認する表示を行い、
前記制御装置は、前記リモコンへの操作入力に応じて前記加熱循環回路内の水を抜く動作が行われると、前記エア抜き処置フラグの記憶をリセットするようにしたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記エア抜き処置を実施することを促すと共に実施したことを確認する表示中に、前記リモコンへの操作入力で前記エア抜き処置が確認されると、前記エア抜き処置フラグを記憶するようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯機
【請求項3】
前記制御装置は、前記リモコンへの操作入力に応じて前記加熱循環回路内の水を抜く動作が行われた旨を記憶し、電源投入後、前記水を抜く動作が行われた旨の記憶の有無を確認し、記憶が有った場合に、前記エア抜き処置フラグの記憶をリセットするようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のヒートポンプ式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ回路を利用して、給湯を行うヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯機では、深夜電力を利用して、高温高圧の冷媒と低温水とを効率よく熱交換し、貯湯タンク内に翌日使用する湯水を高温水として貯湯して、順次給水とミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3055406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、ヒートポンプ側のエア抜き栓を施工業者が手動で開けて、加熱循環回路内のエア抜きを行っていたが、施工業者が失念してエア抜きの処置をしない場合や、エア抜きが不十分であった場合、循環ポンプのエア噛みが発生し循環不良となりヒートポンプで加熱した湯を貯湯タンクに供給できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、圧縮機、水冷媒交換器、膨張弁、及び室外ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプユニットと、前記水冷媒熱交換器とは循環ポンプを有した加熱循環回路で連通し、湯水を循環させて高温に沸き上げた湯水を貯湯する貯湯タンクと、電源投入後に行う試運転動作を制御する制御装置と、前記制御装置に通信可能に接続され各種情報を表示する表示部を有したリモコンとを備えたヒートポンプ式給湯機に於いて、前記試運転動作は、手動による前記加熱循環回路のエア抜き処置の後に、前記循環ポンプを駆動する前記加熱循環回路のエア抜き運転と、このエア抜き運転後の沸き上げ試運転とを行うもので、前記制御装置は、前記エア抜き処置を行ったことを示すエア抜き処置フラグと、前記エア抜き運転を行ったことを示すエア抜き運転フラグと、前記沸き上げ試運転を行ったことを示す沸き上げ試運転フラグとを記憶すると共に、前記フラグが記憶されている場合はその試運転動作を省略するようにし、前記制御装置は、前記エア抜き処置フラグが記憶されていない場合は、前記リモコンの前記表示部にエア抜き処置を実施することを促すと共に実施したことを確認する表示を行い、前記制御装置は、前記リモコンへの操作入力に応じて前記加熱循環回路内の水を抜く動作が行われると、前記エア抜き処置フラグの記憶をリセットするようにした。
【0006】
また、前記エア抜き処置を実施することを促すと共に実施したことを確認する表示中に、前記リモコンへの操作入力で前記エア抜き処置が確認されると、前記エア抜き処置フラグを記憶するようにした。
【0007】
また、前記制御装置は、前記リモコンへの操作入力に応じて前記加熱循環回路内の水を抜く動作が行われた旨を記憶し、電源投入後、前記水を抜く動作が行われた旨の記憶の有無を確認し、記憶が有った場合に、前記エア抜き処置フラグの記憶をリセットするようにした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、電源投入時に行われる前記試運転動作で、実行済みの試運転動作をスキップすることで、すばやく通常動作に復帰することができ、使い勝手が良くなるとともに、手動によるエア抜き処置の確認画面を表示することで、確実に施工業者にエア抜き処置を促すことで、前記加熱循環回路内のエア抜きが不十分でエア噛みによる循環不良を確実に防止することができる。
【0009】
また、前記加熱循環回路内の水を抜く動作が行われると、前記エア抜き処置フラグをリセットするので、前記加熱循環回路内にエアが残留している可能性がある場合には、施工業者にエア抜き処置を促すことができるので、前記加熱循環回路内のエア抜きが不十分でエア噛みによる循環不良を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図。
図2】この発明の各試運転動作のフラグ状態を表すフローチャート。
図3】第一の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次にこの発明の一実形態のヒートポンプ式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給湯バイパス管5からの低温水とをミキシングする給湯ミキシング弁6と、該給湯ミキシング弁6の下流に接続された給湯管7に設けられた給湯温度センサ8及び給湯フロースイッチ9とが備えられている。
【0012】
10はヒートポンプユニットで、圧縮機11と凝縮器としての水冷媒熱交換器12と電子式の膨張弁13と室外ファン14を有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器15で構成されたヒートポンプ回路16と、前記貯湯タンク2内の湯水をヒートポンプ往き管17及びヒートポンプ戻り管18から成る加熱循環回路19を介して水冷媒熱交換器12に循環させる循環ポンプ20と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部21とを備えており、ヒートポンプ回路16内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。なお、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。
【0013】
ここで、前記水冷媒熱交換器12は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の水冷媒熱交換器12入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記膨張弁13または圧縮機11を制御することで、被加熱水の水冷媒熱交換器12の入口温度が5~20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0014】
又ヒートポンプ往き管17には、ヒートポンプ配管止水栓22が備えられ、ヒートポンプ戻り管18途中には戻しバイパス弁23が備えられ、凍結防止時には戻しバイパス弁23を貯湯タンク2下部の給水管4に接続した凍結防止バイパス管24側の連通に切替ることで、貯湯タンク2内下部を利用した短絡回路の循環として凍結を防止するもので、循環ポンプ20と戻しバイパス弁23は貯湯タンクユニット1内に位置するものである。
【0015】
25はマイコン等から成る制御装置で、ヒートポンプ制御部21を制御して加熱循環回路19による貯湯タンク2の沸き上げや沸き増し等、給湯の温度制御、風呂の湯張りや追い焚き、保温等の制御を行うものであり、又リモコン26もしくは制御装置25の基板上に設けられた試運転スイッチ27の押圧によって、給湯管7の給湯ミキシング弁6を水側100%開口状態からお湯側100%状態に切替えて、給湯管7を利用して施工後の貯湯タンク2内のエアを抜きながらの給水を行うものであり、その後引き続いて循環ポンプ20を駆動して加熱循環回路19のエア抜き運転を所定時間行った後に、沸き上げ試運転を行い所定温度の沸き上げ目標温度を所定時間継続することで、沸き上げ試運転を終了するものである。
【0016】
また、この制御装置25は、所定の切断時間以上(ここでは30分)電源が喪失しているとマイコンリセットが発生し、後述する試運転動作のエア抜き運転のフラグF2と、沸き上げ試運転のフラグF3はマイコンリセットでフラグOFFとなり、エア抜き処置のフラグF1は施工業者推奨の手動による複雑な操作のため、停電等で所定の切断時間以上電源が切断されてマイコンリセットが起きてもフラグOFFにはならない。
【0017】
28は前記制御装置25内に構成された試運転タイマーで、試運転スイッチ27の押圧でカウントを開始し、ここでは30分の所定時間のカウントアップで、制御装置25を介して給湯ミキシング弁6を元の水側100%に戻して給湯管7を利用した水張りを終了させるものである。
【0018】
更に前記リモコン26には、試運転スイッチ27の他に、給湯スイッチ29、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ30、風呂への湯張りを指示する湯張りスイッチ31、湯張り量を設定する32を有し、更にドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部33と、この表示部33を制御すると共に前記制御装置25との通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部34が備えられている。
【0019】
又前記加熱循環回路19の水冷媒熱交換器12の入水側には入水温度センサ35が備えられ入水温度を検知するものであり、出口側には出口温度センサ36が備えられて、加熱後の湯水温度を検知するものであり、貯湯タンク2に備えられた該貯湯タンク2内の湯水温度を検知する複数の貯湯温度センサ37のうち、出口温度センサ36と最上部の貯湯温度センサ37のどちらかが沸き上げ目標温度ここでは30℃を継続して検知することで沸き上げ試運転を終了させるものである。
【0020】
38は加熱循環回路19のエア抜き開始から終了までの時間をカウントすると共に、沸き上げ試運転開始から終了までの時間をカウントする異常運転タイマーで、エア抜き運転を30分で終了させ、更に当然沸き上げ試運転で沸き上げ目標温度になるはずの所定時間1~2時間経過しても、目標温度に達しない時には、リモコン26の表示部33に「沸き上げ異常」の表示を行わせたり、ブザーでエラー報知させるもので、一方所定時間前に沸き上げ試運転が終了することで、正常状態を示す「沸き上げ終了」の表示や、ブザーで報知するようにするものである。
【0021】
39貯湯タンク2頂部に連通し、貯湯タンク2や加熱循環回路19内のエアが抜ける逃がし弁、40は給水管4に備えられた減圧弁であり、それより上流側には給水専用止水栓41が設けられており、42は貯湯タンク2底部に連通した排水栓、43は加熱循環回路19に連通した水抜き栓、44はヒートポンプ戻り管18のヒートポンプユニット10から器具外に出たあたりに備えられた戻り側水抜き栓、45はヒートポンプ往き管17の水冷媒熱交換器12の直前に設けられた熱交水抜き栓である。
【0022】
次に、水を抜く動作の一つであるヒートポンプ交換モードについて説明する。ヒートポンプ交換モードは、ヒートポンプ配管及びヒートポンプユニット10の交換等で、貯湯タンクユニット1とヒートポンプユニット10を繋ぐ加熱循環回路19内の水を抜く場合に行う。
【0023】
まず、リモコン26を操作して、ヒートポンプ交換モードを選択すると、リモコン制御部34は制御装置25にヒートポンプの交換を行う旨を送信し、制御装置25は、戻しバイパス弁23を貯湯タンク2下部と連通するポートを閉塞する状態にし、ヒートポンプ交換モードを開始すると共にヒートポンプ交換モードを行ったことを記憶する。次に施工業者は、電源を喪失させ、給水専用止水栓41を閉じて、逃がし弁39を開く。そして、ヒートポンプ配管止水栓22を閉じることで、貯湯タンクユニット1とヒートポンプユニット10を繋ぐ加熱循環回路19内の水抜きを行ってからヒートポンプ配管及びヒートポンプユニット10の交換を行う。
【0024】
また、このヒートポンプ交換モードによるヒートポンプ配管の水抜きが行われ、電源が投入されると以下の試運転動作を行ってから通常動作に移行する。
【0025】
次に、電源投入時の試運転動作の初回設置時の給水について説明する。
まず、今器具を設置し、給湯回路や給水管4、給湯管7の回路をそれぞれ配管接続した後、電源に接続して、施工業者は、ヒートポンプ往き管17側に設けられたヒートポンプ配管止水栓22を開き、逃がし弁39を開き、給水専用止水栓41を閉じてゴミ詰まりを確認して、給水専用止水栓41を開いて、貯湯タンク2内に水を給水し、貯湯タンク2が満水になったら逃がし弁39を閉めて、給水を完了する。
【0026】
次に、手動による加熱循環回路19のエア抜き処置を説明する。
まず、十分にエアが抜けるまで熱交水抜き栓45を開き、ヒートポンプ往き管17のエアが抜けたら熱交水抜き栓45を閉じ、十分にエアが抜けるまで戻り側水抜き栓44を開くことで、抜いたエアは逃がし弁39よりエアが抜かれ、水冷媒熱交換器12とヒートポンプ戻り管18のエアが抜けたら熱交水抜き栓45を閉じて、手動による加熱循環回路19のエア抜き処置を完了する。
【0027】
次に、制御装置25による加熱循環回路19のエア抜き運転を説明する。
まず、試運転スイッチ27を押圧することで、制御装置25は、循環ポンプ20を所定時間(ここでは10分)駆動させて加熱循環回路19内に残留したエアを抜くエア抜き運転を開始し、抜いたエアは逃がし弁39よりエアが抜かれ、所定時間が経過したら加熱循環回路19のエア抜き運転を完了する。
【0028】
次に、加熱循環回路19のエア抜きを完了した後に沸き上げ試運転を行い、貯湯タンク2の全量を沸き上げる全量沸き上げ試運転、もしくは、所定時間沸き上げる所定時間沸き上げ試運転を行い、ヒートポンプの沸き上げ異常が起こるかを確認する。
この沸き上げ試運転動作は、ヒートポンプユニット10のエア抜きが不十分であった場合、循環ポンプ20のエア噛みが発生し循環不良となり、ヒートポンプユニット10で加熱した湯を貯湯タンクに供給できないヒートポンプの沸き上げ異常が発生するため、エア抜き処置及びエア抜き運転を確実に実施しておく必要がある。
【0029】
次にエア抜き処置のフラグF1と、エア抜き運転のフラグF2と、沸き上げ試運転のフラグF3とのフラグON及びフラグOFFについて図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、電源投入後、初回設置であるかを確認し(S1)、初回設置である場合(S1がYes)、試運転動作を行っていないので、エア抜き処置のフラグF1、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3は全てOFFとなる(S2)。
【0030】
また、初回設置ではなかった場合(S1がNo)、次に通常動作後の電源喪失かを確認し(S3)、S3がNoの場合は、まだ各種試運転を行って通常動作までいっていないということで(S3がNo)、エア抜き処置のフラグF1、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3は全てOFFとなる(S2)。
【0031】
また、S3がYesの場合は、試運転を全て行って通常動作になった後に停電や器具の修理、器具の交換で一時的に電源を喪失させたということであり(S3がYes)、次に電源を喪失させていた経過時間を確認する(S4)。
【0032】
電源を喪失していた経過時間が30分以内であった場合は(S4がYes)、次にヒートポンプ内の水を抜く動作であるヒートポンプ水抜きやヒートポンプ配管の交換、ヒートポンプユニットの交換等のためのヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていたかを確認する(S5)。
【0033】
このとき、電源を喪失していた経過時間が30分以内で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていた場合は(S5がYes)、エア抜き処置のフラグF1がOFFで、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3がONとなる(S6)。
【0034】
このように、電源を喪失していた経過時間が30分以内で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていた場合は、器具の修理、器具の交換で加熱循環回路19内の水を抜いたということであり、ヒートポンプ内のエアを抜く処置を行わなければいけないものと判断でき、確実に施工業者にエア抜き処置を促すことができる。
【0035】
また、電源を喪失していた経過時間が30分以内で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていない場合は(S5がNo)、エア抜き処置のフラグF1、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3が全てONとなる(S7)。
【0036】
このように、電源を喪失していた経過時間が30分以内で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていない場合は、停電等で短い時間を一時的に電源がOFFになったということであり、電源投入後各試運転動作を省略してすばやく通常動作に復帰することができる。
【0037】
そして、電源を喪失していた経過時間が30分以上であった場合は、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3はマイコンリセットでフラグがOFFとなっていると判断され(S4がNo)、次にヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていたかを確認する(S8)。
【0038】
このとき、電源を喪失していた経過時間が30分以上で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていた場合は(S8がYes)、エア抜き処置のフラグF1、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3が全てOFFとなる(S9)。
【0039】
このように、電源を喪失していた経過時間が30分以上で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていた場合は、器具の修理、器具の交換で加熱循環回路19内の水を抜いたということであり、ヒートポンプ内のエアを抜く処置を行わなければいけないものと判断でき、確実に施工業者にエア抜き処置を促すことができる。
【0040】
また、電源を喪失していた経過時間が30分以上で、ヒートポンプ交換モードが行われる旨が制御装置25に送信されていない場合は(S8がNo)、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3はマイコンリセットでフラグがOFFとなっていると判断されるので、エア抜き処置のフラグF1がONで、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3がOFFとなる(S10)。
【0041】
このように、電源を喪失していた経過時間が30分以上で、加熱循環回路19内の水を抜く動作が行われていない場合は、加熱循環回路19内のエア抜き処置は十分であるが、マイコンリセットによりエア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3がOFFとなっているため、試運転スイッチ27の操作によるエア抜き運転及び沸き上げ試運転が必要になるが、施工業者推奨の手動による複雑な操作が必要なエア抜き処置をスキップして、通常動作に復帰することができる。
【0042】
次にこの一実施形態の試運転動作とフラグについて図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、器具を設置し、給湯回路や給水管4、給湯管7の回路をそれぞれ配管接続した後、電源に接続して、電源が投入されると、この電源投入が電源喪失後30分以上経過してマイコンがリセットされたものなのか、電源切断後30分以内に再投入されたものなのかを確認する(S11)。
【0043】
電源喪失から30分以上経過した後に電源が投入されると(S11がYes)、制御装置25は、エア抜き処置のフラグF1がONであるかを確認し(S12)、エア抜き処置のフラグF1がOFFである場合は(S12がNo)、例えば「手動によるヒートポンプ配管のエア抜き処置を実施しましたか?、はい、もしくは、いいえ」という旨の確認画面の表示をリモコン26の表示部33から行い(S13)、「はい」のスイッチが操作されたとき(S14がYes)、エア抜き処置のフラグF1をONとして記憶し(S15)、試運転スイッチ27の操作によってエア抜き運転を開始する(S16)。
【0044】
また、エア抜き処置のフラグF1がONである場合は(S12がYes)、エア抜き処置が完了しているということで確認画面の表示をスキップして、試運転スイッチ27の操作を待ち、試運転スイッチ27の操作によってエア抜き運転を開始する(S16)。
【0045】
そして、リモコン26の試運転スイッチ27の操作によってエア抜き運転が開始されると(S16)、循環ポンプ20が駆動を開始し(S17)、所定時間(ここでは10分)を試運転タイマー28でカウント開始し、所定時間が経過したことで制御装置25がエア抜き運転が完了したことを確認すると(S18がYes)、循環ポンプ20の駆動を停止し(S19)、エア抜き運転のフラグF2をONとして記憶する(S20)。
【0046】
そして、エア抜き運転が完了すると、沸き上げ試運転に移行し、貯湯タンク2の全量を沸き上げる全量沸き上げ試運転、もしくは、所定時間沸き上げる所定時間沸き上げ試運転を開始し(S21)、ヒートポンプの沸き上げ異常が起こるかを確認する(S22)。
【0047】
沸き上げ試運転に異常が無かった場合(S22がYes)、沸き上げ試運転のフラグF3をONとして記憶し(S23)、一連の試運転動作がを完了すると通常動作へ移行する(S24)。
【0048】
また、沸き上げ試運転に異常があった場合は(S22がNo)、エア抜き処置のフラグF1、エア抜き運転のフラグF2、沸き上げ試運転のフラグF3の記憶をリセットして、エラー報知を行う(S25)。
【0049】
このように、エア抜き処置及びエア抜き運転を行っていないと、沸き上げ試運転中に加熱循環回路19内でエア噛みが発生し循環不良となり、エラーが発生してしまう危険があり、特にエア抜き処置は、業者が手動により行うものであり、エア抜き処置忘れによるエラーは、エア抜き処置が実施していない場合のみ確認画面の表示を行うのでエア抜き処置忘れを確実に防止することができると共に煩わしい操作をスキップすることができる。
【0050】
また、電源喪失から30分以内に電源が投入されると(S11がNo)、エア抜き処置のフラグF1がONであるかを確認し(S26)、OFFであった場合は(S26がNO)、エア抜き処置が行われておらず、ヒートポンプ配管内にエアが残留している可能性があるので、確実にエア抜き処置を行うためにエア抜き処置の確認画面を表示する(S13)。
【0051】
エア抜き処置のフラグF1がONであるかを確認し(S26)、ONであった場合は(S26がYes)、エア抜き処置が完了しているということで、エア抜き処置をスキップして、S27へ進む。
【0052】
次にエア抜き運転のF2がONであるかを確認し(S27)、OFFであった場合は(S27がNo)、エア抜き運転が行われておらずヒートポンプ配管内にエアが残留している可能性があるので、エア抜き運転を開始する(S16)。
【0053】
また、エア抜き運転のフラグF2がONであるかを確認し(S27)、ONであった場合は(S27がYes)、エア抜き運転が完了しているということで、エア抜き運転をスキップして、S28へ進む。
【0054】
次に沸き上げ試運転のF3がONであるかを確認し(S28)、OFFであった場合は(S28がNo)、エア抜き及びエア抜き運転は行われてヒートポンプ配管内のエアは抜かれているが、沸き上げ試運転は行われていないということで、沸き上げ試運転を開始する(S21)。
【0055】
また、沸き上げ試運転のフラグF3がONであるかを確認し(S28)、ONであった場合は(S28がYes)、各試運転動作が完了しているということで、沸き上げ試運転をスキップして、通常動作へ移行する(S24)。
【0056】
このように、停電等で、一時的に電源が喪失していたが、エア抜き処置などの試運転動作を行わなくて良い場合は、エア抜き処置の確認画面の表示や、各種試運転動作をスキップすることができ、煩わしい試運転動作を行わずにすばやく通常動作に復帰させることができる。
【0057】
また、貯湯タンクユニット1とヒートポンプユニット10との接続を切断するヒートポンプ配管の交換やヒートポンプユニットの交換、または加熱循環回路19内の水抜きを行った後にはエア抜き処置フラグF1の記憶をリセットすることで、エア抜き処置を行わなければならない場合は、エア抜き処置を促す報知を行って、エア噛みによる循環不良を確実に防止しつつ、実施が必要ないときにはスキップすることができる。
【0058】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、本発明のヒートポンプ交換及び試運転動作では、各器具を所定の手順で操作しているが、この操作は器具の場所や配管の連結場所によっては手動による操作手順が変わったりするが、本発明のエア抜き処置を確実に完了してエア噛みによる循環不良を確実に防止しつつ、実施が必要ないときにはスキップすることができるという要旨が変更されないのであれば良い。
【0059】
また、実施形態では水を抜く動作の一例として、ヒートポンプ交換モードが操作されたときにリモコン制御部34が制御装置25に送信することでヒートポンプ交換モードを行ったことを記憶しているが、例えば、加熱循環回路19内の水を抜く水抜き運転が実施された場合に、制御装置25が水抜き運転の実施を記憶しておくものでも良い。
【符号の説明】
【0060】
2 貯湯タンク
4 給水管
19 加熱循環回路
20 循環ポンプ
21 ヒートポンプ制御部
25 制御装置
26 リモコン
27 試運転スイッチ
28 試運転タイマー
33 表示部
34 リモコン制御部
38 異常運転タイマー
図1
図2
図3