IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7176951DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法
<>
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図1
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図2
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図3
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図4
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図5
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図6
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図7A
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図7B
  • 特許-DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】DRAMデバイス、DRAMデバイスを形成する方法及びゲート酸化物層を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8242 20060101AFI20221115BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L27/108 671Z
H01L21/265 F
H01L21/265 R
H01L21/265 V
H01L21/265 W
H01L21/316 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018531245
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2016063458
(87)【国際公開番号】W WO2017112276
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-11-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】14/978,305
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ラッフェル
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンド クマール
(72)【発明者】
【氏名】トリスタン マ
(72)【発明者】
【氏名】キュー-ハ シム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホータラ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン シャーマン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】鈴木 聡一郎
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0259498(US,A1)
【文献】特開2008-135458(JP,A)
【文献】特開2008-47714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0249123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/265
H01L 21/316
H01L 21/8242
H01L 27/108
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)デバイスを形成する方法において、
基板に形成された窪みを有するフィン付きの基板を設けるステップと、
前記窪みの側壁表面のみに表面活性化のためのイオン注入を実施するとともに、前記イオン注入と同時又は前記イオン注入後にO プラズマ照射を実施して不均一厚さのゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップであって、前記側壁表面の頂部区域における前記ゲート酸化物層の厚さが前記側壁表面の底部区域における前記ゲート酸化物層の厚さよりも大きくなるように形成する、該酸化物層形成ステップと、を備え、
前記イオン注入は、一連のイオン注入を複数の異なる注入角度で実施するものであって、前記一連のイオン注入の実施中に、イオン注入エネルギー及びイオン線量のうち少なくとも一方を変化させるものであり、
前記酸化物層形成ステップにおいては、前記側壁表面の前記頂部区域に沿って前記ゲート酸化物層の厚さを増加させ、前記ゲート酸化物層の厚さが前記フィン付きの基板の頂面近傍で最大となるようにする、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において
記注入角度は前記側壁表面に対して測ったものであり、
前記一連のイオン注入においては、前記注入角度が増加するにつれて、前記イオン注入エネルギー及びイオン線量を前記一連のイオン注入にわたり増加させる、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、さらに、前記窪みの前記側壁表面に対して前記一連のイオン注入を実施する前に、前記窪み内に基礎酸化物層を形成するステップを備える、方法。
【請求項4】
メモリデバイス用のゲート酸化物層を形成する方法において、
基板に形成された窪みを有するフィン付きの基板を設けるステップと、
前記窪みの側壁表面のみに表面活性化のための一連のイオン注入を実施するとともに、前記イオン注入と同時又は前記イオン注入後にO プラズマ照射を実施して不均一厚さの前記ゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップであって、前記一連のイオン注入において複数の異なる注入角度で一連のイオン注入を前記側壁表面に衝突させて、前記側壁表面の頂部区域における前記ゲート酸化物層の厚さが前記側壁表面の底部区域における前記ゲート酸化物層の厚さよりも大きい前記ゲート酸化物層を形成する、該酸化物層形成ステップと、を備え、
前記一連のイオン注入は、前記一連のイオン注入の実施中に、イオン注入エネルギー及びイオン線量のうち少なくとも一方を変化させるものであり、
前記注入角度は前記側壁表面に対して測ったものであり、
前記一連のイオン注入においては、前記注入角度が増加するにつれて、前記イオン注入エネルギー及びイオン線量を前記一連のイオン注入にわたり増加させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板スパッタリングに関し、またより具体的には、不均一な厚さを有するゲート酸化物を形成するよう基板にイオン注入する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ浸漬イオン注入は、半導体ウェハ又はワークピース(加工材)に注入すべき種のイオンを含むプラズマを発生することによって実施する。このプラズマは、プラズマ源、例えばトロイダルプラズマ源を反応炉チャンバの天井に用いて発生することができる。ウェハ表面下側の意図したイオン注入深さプロファイルを達成するのに十分なイオンエネルギーは、ウェハ支持台内の絶縁陰極電極により超高RFバイアス電圧(例えば、10kV~20kV)を介して半導体ウェハに結合することによって供給される。高い注入線量率は、低チャンバ圧力で動作するトロイダルプラズマ源を用いて達成される高いプラズマイオン密度を必要とする。必須イオン注入深さプロファイルは、ウェハ表面におけるプラズマシースに対して超高RFバイアス電圧を印加することにより達成される超高イオンエネルギーを必要とする。プラズマ浸漬イオン注入に採用されるプロセスガスは、注入すべきドーパント種のフッ化物又は水素化物とすることができる。
【0003】
DRAM/フラッシュメモリの作製において、半導体ドーパント種を多結晶シリコン(ポリシリコン)ゲート電極に注入することは、有益なことに導電率を増加させる。ゲート電極は、薄いゲート酸化物層上に非晶質シリコンを堆積させ、次にウェハをアニーリングして、堆積したシリコンを非晶質状態から多結晶状態に十分に転換させる。このようにして形成された多結晶シリコンゲート層の厚さは約50nm~80nmである。注入される種は、シリコンのp型導電率を向上させる種、例えばボロン、又はn型導電率を向上させる種、例えばヒ素、リン又はアンチモンである。ゲート電極は、さらに、TiN又はWのような若干の金属によって形成することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DRAMの長いリフレッシュ時間はデバイスの機能に大きな影響を及ぼす。リフレッシュ時間は、電荷をDRAMセル内に保持できる時間量に直接比例する。したがって、セル接合部における漏洩を最小限にすることは電荷保持時間を増大する。ゲート誘導ドレイン漏洩(GIDL:Gate induced drain leakage)は接合部漏洩に関する主要メカニズムである。最大GIDLの位置でゲート酸化物層を厚くすることは、総接合部漏洩を減少し、また電荷保持時間を増大させるであろう。
【0005】
他方、サブスレッショルド(閾値以下)領域にわたり適正なゲート制御を行うためには、ゲート酸化物の層厚は減少させ続ける。さらに、チャネル及びソース/ドレインの領域におけるドーピング密度を増加することは、有利にもパンチスルー特性及び増加駆動(increase drives)を改善する。したがって、高い電流駆動能力と低いGIDL電流との間で適正なバランスがとれた小型化された半導体デバイスを提供するのは困難性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の点を考慮すると、必要となるものは、厚さが増大する面域を有する不均一厚さのゲート酸化物を設けることによりDRAMのGIDLを改善する方法である。1つの手法において、GIDLを減少するプロセスは、基板に形成された窪みを有するフィン付き基板を設けるステップと、及び前記窪みの側壁表面にイオン注入を実施して、不均一厚さのゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップであって、前記側壁表面の頂部区域におけるゲート酸化物層の厚さが前記側壁表面の底部区域におけるゲート酸化物層の厚さよりも大きくなるように形成する、該酸化物層形成ステップと、を備える。幾つかの実施形態において、手法は、さらに、一連のイオン注入を複数の異なる注入角度で実施し、前記一連のイオン注入の実施中に、イオン注入エネルギー及び/又はイオン線量を変化させ、前記側壁表面の前記頂部区域における前記ゲート酸化物の厚さを増大させるステップを備える。幾つかの実施形態において、前記イオン注入中又はイオン注入後のいずれかで、前記フィン付きの基板にプラズマを照射する。
【0007】
幾つかの実施形態において、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)デバイスを形成する方法は、基板に形成された窪みを有するフィン付き基板を設けるステップと、及び前記窪みの側壁表面にイオン注入を実施して、不均一厚さのゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップであって、前記側壁表面の頂部区域におけるゲート酸化物層の厚さが前記側壁表面の底部区域におけるゲート酸化物層の厚さよりも大きくなるように形成する、該酸化物層形成ステップと、を備える。
【0008】
幾つかの実施形態において、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)デバイス用のゲート酸化物層を形成する方法は、基板に形成された窪みを有するフィン付き基板を設けるステップと、及び前記窪みの側壁表面に一連のイオン注入を実施して、不均一厚さのゲート酸化物層を形成するステップとを備える。前記一連のイオン注入は、複数の異なる注入角度で前記側壁表面に衝突させて、側壁表面の頂部区域における厚さが側壁表面の底部区域におけるゲート酸化物層の厚さよりも大きい前記ゲート酸化物層を形成する。
【0009】
幾つかの実施形態において、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)デバイスは、基板に窪みを画定するフィンのセットであって、前記窪みは側壁表面及び底面を有する、該フィンのセットと、及び前記窪みの前記側壁表面及び前記底面に沿って形成されたゲート酸化物とを備える。前記側壁表面の頂部区域に沿う前記ゲート酸化物の厚さは前記側壁表面の底部区域に沿う前記ゲート酸化物の厚さよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施形態による、フィン付き基板を処理するための手法の縦断側面図を示す。
図2】本発明実施形態による、フィン付き基板の窪みの側壁表面にイオン注入するための手法の縦断側面図を示す。
図3】本発明実施形態による、フィン付き基板の側壁表面に沿って不均一なゲート酸化物を形成するための手法の縦断側面図を示す。
図4】本発明実施形態による、角度を変化させて実施する一連の側壁イオン注入の縦断側面図を示す。
図5】本発明実施形態による、フィン付き基板の側壁表面に沿って形成される不均一なゲート酸化物の縦断側面図を示す。
図6】本発明実施形態による、イオンビーム照射の下におけるスパッタ収率を表すグラフを示す。
図7A】本発明実施形態によるイオン注入後における酸化物層の成長を示す。
図7B】本発明実施形態によるイオン注入後における酸化物層の成長を示す。
図8】本発明実施形態による例示的方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる説明目的であって、本発明の特定パラメータを表現することは意図しない。図面は、本発明の例示的実施形態を描写することを意図し、またしたがって、発明範囲を限定するものとして見なされない。図面中、同様の参照符号付けは同類要素を表す。
【0012】
さらに、幾つかの図面における若干の要素は、説明を分かり易くするため、省略し、また縮尺通りには描いていない場合がある。断面図は、「スライス」又は「近視眼的」な断面図の形式であり、説明を分かり易くするため、「真の」断面図では可視である若干の背景ラインを省略する場合がある。さらに、説明を分かり易くするため、幾つかの参照符号は若干の図面で省略する場合がある。
【0013】
以下に本発明方法の実施形態を示す添付図面につき、本発明による方法をより十分に説明する。本発明方法は、多くの異なる形式で実現することができ、また本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解すべきではない。その代わり、これら実施形態は、本明細書が徹底的かつ完全なものとなるよう、また本発明システム及び方法を当業者に伝えるよう提示されるものである。
【0014】
便宜及び明瞭を期すために、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」及び「長手方向(longitudinal)」のような用語は、本明細書においては、図面で現れる半導体製造装置コンポーネントにおけるジオメトリ及び向きに対するこれらコンポーネント及びそれらの構成部分の相対的な配置及び向きを説明するのに使用される。用語は、特別に言及される言葉、及び同様の趣旨を有する言葉を含む。
【0015】
本明細書に使用されるように、単数形で「a」又は「an」の不定冠詞が前置される記述される要素又は操作は、このような排他を明示しない限り、複数の要素又は操作を含むものと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態(one embodiment)」は、限定的であるものとしては意図しない。他の実施形態も、記載された特徴を組み入れることができる。
【0016】
さらに、本明細書に記載するように、半導体デバイス(例えば、DRAM)用のゲート酸化物層を形成する方法を提供し、この方法は、基板に形成された窪みを有するフィン付き基板を設けるステップと、及び前記窪みの側壁表面にイオン注入を実施して、不均一厚さのゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップであって、側壁表面の頂部区域におけるゲート酸化物層の厚さが側壁表面の底部区域におけるゲート酸化物層の厚さよりも大きくなるようにする、該酸化物層形成ステップと、を備える。幾つかの実施形態において、本発明方法は、さらに、イオン注入エネルギー及び/又はイオン線量とともに変化する複数の異なる注入角度における一連のイオン注入を実施し、側壁表面の頂部区域におけるゲート酸化物の厚さを増加させるステップを備える。幾つかの実施形態において、フィン付き基板には、イオン注入の最中又はイオン注入後のいずれかでプラズマを照射する。この結果、ウェハを800℃よりも高い(>800℃)温度に加熱することを必要とする従来技術の熱に基づくDRAMゲート酸化物プロセスとは異なって、本発明によるイオンビームに基づく注入は、厚さに局所的変化がある酸化物を形成し、より低い温度で達成することができる。
【0017】
次に図1につき説明すると、これは本発明実施形態によりデバイス100(例えば、DRAMデバイス)を形成する手法の断面図を示す。デバイス100は、基板104(例えば、バルクシリコン)と、基板104からパターン形成(例えば、エッチング処理)した複数個のフィン102とを備える。このフィン102は、1つ又はそれ以上のフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスを含む任意の適切なプロセスを用いて作製することができる。さらに図示するように、1組のフィン102のセットは、フィン相互間に形成される窪み110を画定し、この窪み110は、底面112と、1組の側壁表面120のセットとを含む。
【0018】
フィン102のセットを形成するフォトリソグラフィプロセスは、基板104(例えば、シリコン層)にオーバーレイするフォトレジスト層(図示せず)を形成するステップと、レジストをパターンに露光するステップと、露光後ベイクプロセスを実施するステップと、及びレジストを現像して、マスキング要素を形成するステップとを備えることができる。次にこのマスキング要素を使用してフィン102をシリコン層にエッチングすることができ、このエッチングは、例えば反応性イオン・エッチング(RIE)及び/又は他の適当なプロセスを用いて行うことができる。一実施形態において、フィン102は側壁画像転写技術を用いて形成される。他の実施形態において、フィン102は2重パターン形成リソグラフィ(DPL:double patterning lithography)プロセスによって形成される。DPLは、パターンを2つの交互配置(インターリーブ)されるパターンに分割することによりパターンを基板上に構成する方法である。DPLは、向上した形体(例えば、フィン)密度を可能にする。限定しないが、ダブル露光(例えば、2つのマスクセットを用いる)様々なDPL方法を使用することができ、DPL方法としては、限定しないが、ダブル露光(例えば、2つのマスクセットを用いる)、形体に隣接してスペーサを形成し、また形体を除去してスペーサのパターンを設けるやり方、レジストフリージング、及び/又は他の適当なプロセスがある。
【0019】
本明細書で使用する用語「基板(substrate)」は、半導体基板、半導体基板上に堆積した又は他のやり方で形成した半導体エピタキシャル層、及び/又は任意な他タイプの半導体本体を包含することを意図し、このような構体すべては本発明の範囲内にあるものとして考えられる。例えば、半導体基板は、半導体ウェハ(例えば、シリコン、SiGe、若しくはSOIのウェハ)又は1つ若しくはそれ以上のウェハ上のダイ、及び任意なエピタキシャル層若しくはそのエピタキシャル層上に若しくはそれに関連して形成される他タイプの半導体層があり得る。半導体基板の一部又は全体は、非晶質、多結晶質又は単結晶質とすることができる。上述のタイプの半導体基板に加えて、本発明実施形態で使用される半導体基板は、さらに、異なる結晶方位の表面領域を有するハイブリッド配向性(HOT)半導体基板もあり得る。半導体基板は、ドーピングした領域、ドーピングしない領域、又はドーピングした領域及びドーピングしない領域を有することができる。半導体基板は、歪みがある領域及び歪みがない領域を含むことができ、又は引っ張り歪み及び圧縮歪みの領域を有することができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、フィン102のセットは、ウェハにわたり均一な高さ「H」、並びに隣接フィン間の均一距離「D」を有することができる。フィン102のセットにおけるジオメトリは、ウェハにわたりほぼ一定であるため、フィン102のセットを使用してフィン102間の空間を遮蔽することができる。一実施形態において、イオン注入118の注入入射角「α」は、フィン102の側壁表面120の意図した部分のみ注入されるように選択することができる。一方、窪み110の底面112はほぼ影響を受けない。
【0021】
さらに、図1に示すように、フィン102のセットにおける側壁表面120に対するイオン注入118は酸化物層124(例えば、SiO)を形成する。例示的実施形態において、イオン注入118は、側壁表面120に平行でない注入角「α」で実施する。例えば、イオン注入118は、側壁表面120に対して約30゜(又は側壁表面120に直交する平面に対して約60゜)の入射角でイオンを付与し、側壁表面120の一部のみに沿って酸化物層124を形成することができる。注入角は、他の実施形態では±15゜で変動することができる。
【0022】
動作中、イオン注入118は、デバイス100が、例えば図1に示すような第1位置にある間に実施することができる。側壁表面120に沿う酸化物層124の形成に続いて、デバイス100を回転し(例えば、30゜、45゜、60゜又は90゜の角度だけ)、また他のイオン注入をデバイス100に適用し、フィン102のセットにおける1つ又はそれ以上の側壁表面に沿って酸化物層124を形成することができる。例示的実施形態において、酸化物層124を再びフィン120における側壁表面120の一部分に沿ってのみ形成する。このイオン注入は、側壁表面120に対して約60゜(又は側壁表面120に直交する平面に対して約30゜)の入射角で同様に実施することができる。
【0023】
様々な実施形態において、イオン注入118は、プラズマ照射130の前又は同時に実施することができる。例えば、表面活性化のためのAr注入後にOプラズマ照射を行う場合、ウェハはイオンビーム発生器とOプラズマ源(図示せず)との間で循環させる。表面活性化及びプラズマ照射を同時に行う場合、酸化物層124を形成する成長プロセスは、側壁表面120に対してOプラズマを照射させつつ、側壁表面120に低エネルギー(例えば、約10~100eV)のArイオンを照射することによって活性化される。Arイオン照射注入は、Si酸化の活性化エネルギーを減少し、これによって酸化は低い温度で容易に生ずる。一方、イオン注入118のArビームは、ちょうどSi表面が側壁表面120の所定部分でビームを照射される箇所、例えば、図1に示す酸化物層124に対応する面域でのみ酸化を生ずる角度で指向させることができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、イオンエネルギーは、基板104の結晶質Siに対するダメージを排除しかつ酸化物の良好な構造的完全性を維持するに十分低いものとする。例えば、下層のSiに対するエンド・オブ・レンジのダメージがない高品質化学量論的なSi酸化物は、450℃で形成される。非限定的一実施形態において、イオン注入は、ビームラインイオン注入装置、遠隔Oプラズマ源を含む変更した最終ステーションを含むビームライン注入装置、又は10倍のeVエネルギーのビームを送給する変更したビームライン注入装置によって行うことができる。
【0025】
次に図2~3を参照して、デバイス200の窪み210内でのゲート酸化物層形成をより詳細に説明する。図示のように、ゲート酸化物層240の形成は、窪み210内で側壁表面220及び底面212に沿って基礎酸化物層242を形成するステップを備えることができる。様々な実施形態において、基礎酸化物層242は窪み210内に共形的に堆積させることができ、ここで「堆積(depositing)」は、堆積すべき材料に適切な任意の未知な又は後に開発される技術も含むことができ、限定するものではないが、例えば化学蒸着(CVC:chemical vapor deposition)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマ助長CVD(PECVD)、半気圧(semi-atmosphere )CVD(SACVD)及び高密度プラズマCVD(HDPCVD)、高速熱CVD(RTCVD)、超高真空CVD(UHVCVD)、限定反応処理CVD(LRPCVD:limited reaction processing CVD)、有機金属CVD(MOCVD)、スパッタリング堆積、イオンビーム堆積、電子ビーム堆積、レーザー支援堆積、熱酸化、熱窒化、スピンオン法、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)、化学酸化、分子線エピタキシー(MBE)、メッキ、蒸着を包含し得る。
【0026】
さらに図示のように、イオン注入218を、フィン202のセットの側壁表面220に対して実施することができる。例示的実施形態において、イオン注入218は、側壁表面220の一部分にのみ衝突するよう側壁表面220に対して平行でない注入角度「α」で実施する。この結果として、図3に示すように、イオン注入318が衝突する側壁表面320の面域に不均一な厚さを有するゲート酸化物層340を生ずることとなる。例えば、窪み310の頂部区域345におけるゲート酸化物層340の厚さTは、窪み310の底部区域348におけるゲート酸化物層340の厚さTよりも大きい。ゲート酸化物層340におけるこの局在化した比較的厚さのある頂部区域345は、有利にもGIDLを減少する。
【0027】
次に図4~5を参照して、注入角度を変化させて一連のイオン注入を実施する実施形態を詳細に説明する。この実施形態において、イオン注入エネルギー及び/又はイオン線量は、側壁表面420に対する一連のイオン注入418A~Cの実施中に変化させて、窪み410における頂部区域445の高さ「H1」に沿って変化する線量勾配を有する酸化物層440を形成することができる。この結果、酸化物成長率の差に起因して可変厚さの熱酸化物層を得ることができる。一連のイオン注入418A~Cのエネルギーは、損傷したSiのすべてが酸化中に消尽し、これによりエンド・オブ・レンジのダメージ部分からの漏洩を最小限にするよう選択することができる。
【0028】
例えば、図4に示すように、一連のイオン注入418A~Cは、種々の注入角度α1~3でフィン402のセットにおける側壁表面420に対して実施することができる。例示的実施形態において、第1イオン注入418-Aは、注入角度α1、及び第1注入エネルギー/イオン線量で実施し、第2イオン注入418-Bは、他の注入角度α2、及び注入エネルギー/イオン線量で実施し、また第3イオン注入418-Cは、さらに他の注入角度α3、及び注入エネルギー/イオン線量で実施する。各注入角度α1~3は、側壁表面420の頂部区域445に沿う様々なポイントに衝突するよう側壁表面420に対して平行ではない。図示のように、側壁表面420の底部区域448は、一連のイオン注入418A~Cによってはほぼ影響を受けないままである。
【0029】
図5に示すように、変化するイオン注入の結果、不均一な厚さを有するゲート酸化物層540を生じ、この場合、頂部区域545におけるゲート酸化物層540の厚さT1は、底部区域548におけるゲート酸化物層540の厚さT2よりも大きい。より具体的には、酸化物の厚さは頂部区域545に沿って変化し、したがって、ゲート酸化物層540は、フィン502の頂面550の近傍で最も厚い。図示のように、頂部区域545近傍における窪み510の直径D1は、底部区域548近傍における窪み510の直径D2よりも小さい。この酸化物プロファイル(輪郭)を達成するためには、イオン注入エネルギー及びイオン線量は、注入角度(例えば、α1~3)が一連のイオン注入418A~Cにわたり増加するにつれて(図4参照)、増加させることができる。例えば、イオン注入418-Cのイオン注入エネルギー及び/又はイオン線量は、イオン注入418-Aのイオン注入エネルギー及び/又はイオン線量よりも大きくすることができる。
【0030】
図6につき説明すると、これは図1~5に示すイオン注入におけるイオンビームのようなOイオンビーム照射の下で、Siのスパッタ収率を表すグラフ658を示す。この非限定的実施形態において、最大Si除去速度は10keVにセットする。さらに、O注入では、SiOの形成に起因する体積膨張があり、このことはスパッタリングに起因するSi損失に対抗することができる。図7A~Bの透過電子顕微鏡法(TEM)画像は、1keVでのO注入後における頂面760が界面762の上方に3.5nm成長し、例えば、スパッタリングでの損失による凹みを生ずる代わりに成長することを示す。
【0031】
図8につき説明すると、これは、本発明による半導体デバイスをパターン形成する例示的方法800を表すフローチャートを示す。方法800は、図1~7に示す実施形態に関連して説明する。
【0032】
方法800は、ブロック801に示すように、フィン付きの基板であって、基板に形成した窪みを有するフィン付きの基板を設けるステップを備える。幾つかの実施形態において、このフィン付きの基板はシリコンである。
【0033】
方法800は、さらに、ブロック803に示すように、窪みの側壁表面にイオン注入を実施して、不均一厚さのゲート酸化物層を形成する酸化物層形成ステップを備える。幾つかの実施形態において、窪みの頂部区域におけるゲート酸化物層の厚さが窪みの底部区域におけるゲート酸化物層の厚さよりも大きくなるようにする。幾つかの実施形態において、イオン注入は、複数の異なる注入角度における一連のイオン注入として実施する。幾つかの実施形態において、方法800は、一連のイオン注入の実施中にイオン注入エネルギー及びイオン線量のうち少なくとも一方を変化させるステップを備える。幾つかの実施形態において、イオン注入エネルギー及びイオン線量は、一連のイオン注入にわたり、注入角度が減少するにつれて増加させ、この場合、注入角度は側壁表面に対して測ったものである。
【0034】
方法800は、さらに、ブロック805に示すように、フィン付きの基板にプラズマを照射するステップを備える。幾つかの実施形態において、プラズマ照射及びイオン注入を同時に行うことができる。他の実施形態において、イオン注入はプラズマ照射の前に実施する。
【0035】
方法800は、さらに、ブロック807に示すに示すように、窪みの側壁表面の頂部区域に沿ってゲート酸化物の厚さを増加させて、不均一厚さのゲート酸化物層を形成するステップを備える。幾つかの実施形態において、ゲート酸化物の厚さはフィン付きの基板の頂面近傍で最大となるようにする。
【0036】
上述したことに鑑みて、本明細書に記載の実施形態によって少なくとも以下の利点が得られる。第1の利点としては、フィンの側壁表面に指向させるイオン注入を角度付けしてゲート酸化物層を局所的に成長させ、これによりGIDLを減少できる点がある。第2の利点としては、基板の結晶質Siに対するダメージを排除するのに十分低いイオンエネルギーでデバイスに注入を施し、依然として酸化物の良好な構造的完全性を維持することができる点である。
【0037】
本発明の若干の実施形態を本明細書で説明してきたが、本発明は技術が可能である限り十分広い範囲のものであり、明細書は同様に読めるものであるため、本発明はこれら実施形態に限定するものではない。したがって、上述の記載は限定的なものと解すべきではない。その代わり、上述の記載は、特別な実施形態の単なる例示としてのものである。当業者であれば、特許請求の範囲及び精神の範囲内で他の変更を想定できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8