(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】受信信号強度表示のための自動利得制御
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20221115BHJP
H03M 1/36 20060101ALI20221115BHJP
H03M 1/10 20060101ALI20221115BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20221115BHJP
H03G 3/20 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H04B1/16 R
H03M1/36
H03M1/10 B
H03M1/12 A
H03G3/20 E
(21)【出願番号】P 2018546612
(86)(22)【出願日】2017-03-03
(86)【国際出願番号】 US2017020822
(87)【国際公開番号】W WO2017152145
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-03
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516030476
【氏名又は名称】アトメル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ブラッツ ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】サゲビール ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンツ トマス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】モーザー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クノップ ヤン
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-094408(JP,A)
【文献】特開2011-259103(JP,A)
【文献】特開2005-277985(JP,A)
【文献】特開2006-319845(JP,A)
【文献】特開2000-124826(JP,A)
【文献】特開平11-312938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H03M 1/36
H03M 1/10
H03M 1/12
H03G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前分割器回路設定に従って入力アナログ信号を事前分割し、かつ事前分割アナログ信号を出力するように作動可能な事前分割器回路と、
前記事前分割アナログ信号を事前増幅し、かつ事前増幅アナログ信号を出力するように作動可能な事前増幅器と、
事後分割器回路設定に従って前記事前増幅アナログ信号を事後分割し、かつ事後分割アナログ信号を出力するように作動可能な事後分割器回路と、
前記事後分割アナログ信号をデジタルデータストリームに変換するように作動可能なアナログ/デジタル変換器(ADC)と、
前記デジタルデータストリームをサンプリングし、
前記サンプリングされたデータストリームに基づいて事前分割器回路設定及び事後分割器回路設定を決定し、
前記決定された設定に基づいて前記事前分割器回路及び前記事後分割器回路を設定し、かつ
前記事前分割器回路設定と前記事後分割器回路設定とに基づいて受信信号強度値を発生させる、
ように作動可能な論理部と、
を含む自動利得制御(AGC)回路。
【請求項2】
前記デジタルデータストリームは、前記入力アナログ信号の現在の周期中の前記ADC入力での該入力アナログ信号の瞬間振幅を表す、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項3】
前記事後分割器回路は、異なる分解能を有するように構成することができる、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項4】
前記事後分割器回路と前記ADC入力の間の事後増幅器であって、該事後増幅器回路が、前記事後分割アナログ信号を事後増幅するように作動可能である事後増幅器、を更に含む、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項5】
アンテナ入力端子と前記ADC入力との間に挿入された帯域通過フィルタを更に含む、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項6】
前記事前分割器回路の少なくとも1つが、前記入力アナログ信号を該入力アナログ信号の強度に基づいて迂回させるように作動可能であり、前記事後分割器回路は、前記事前増幅アナログ信号を該事前増幅アナログ信号の強度に基づいて迂回させるように作動可能である、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項7】
前記事前分割器回路及び前記事後分割器回路のうちの少なくとも一方が、対数分割器として構成される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項8】
前記ADCがフラッシュADCである、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項9】
前記フラッシュADCは、オフセット補償されたフラッシュADCである、請求項8に記載のAGC回路。
【請求項10】
前記論理部は、
前記入力アナログ信号の周期にわたって前記デジタルデータストリームをサンプリングし、
サンプルからピーク値を検出し、かつ
前記検出されたピーク値に基づいて前記事前分割器及び事後分割器回路設定を決定する、
ように更に作動可能である、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項11】
前記論理部は、
前記入力アナログ信号のゼロ交差後の90度で前記デジタルデータストリームをサンプリングし、
サンプルからピーク値を検出し、かつ
前記検出されたピーク値に基づいて前記事前分割器及び事後分割器回路設定を決定する、
ように更に作動可能である、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項12】
前記事前分割器回路は、全ての事前分割器回路設定に対して実質的に一定である入力インピーダンスを有するように構成される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項13】
前記論理部は、nが1よりも大きいか又はそれに等しい正の整数である場合に前記入力アナログ信号のn周期毎に前記事前分割器回路及び前記事後分割器回路を設定するのに使用するための前記デジタルデータストリームのサンプル
に基づくフィードバック値を
前記事前分割器回路及び
前記事後分割器回路に送るように更に構成される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項14】
前記フィードバック値は、平均化されたフィードバック値を含む、請求項13に記載のAGC回路。
【請求項15】
前記平均化されたフィードバック値は、期間中に発生したいくつかのフィードバック値のうちの少なくとも2つに基づいて平均化される、請求項14に記載のAGC回路。
【請求項16】
前記受信信号強度値は、前記事前分割器回路及び事後分割器回路の値と組み合わせてADCサンプルによって決定される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項17】
受信信号強度値の完全な範囲にわたって精度を上げるために個々の事前分割器回路減衰に対する較正データを記憶するように更に構成される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項18】
前記論理部は、
範囲に対して前記事前分割器回路の範囲設定を強制し、
第1の較正測定において、前記AGC回路が整定した後に前記AGC回路入力での一定の連続した波信号からもたらされる、前記事後分割器回路の減衰設定のための1又は2以上の平均事後分割器値を測定し、
次の範囲に対して前記事前分割器回路の範囲設定を強制し、
第2の較正測定において、前記AGC回路が整定した後に前記AGC回路入力での一定の連続した波信号からもたらされる、前記事後分割器回路の減衰設定のための1又は2以上の平均事後分割器値を測定し、
前記第2の較正測定のために前記第1の較正測定に関連するレベルに前記入力アナログ信号の振幅を維持し、
前記第1及び第2の較正測定から導出された事後分割器値の差である事前分割器較正値を記憶し、
前記事前分割器回路の範囲設定の他の範囲について、追加の較正測定を行い、追加の事前分割器較正値を記憶し、かつ
現在の測定された事後分割器値から、及び現在の範囲よりも小さいか又はそれに等しい前記事前分割器回路の範囲設定についての範囲に対応する記憶された事前分割器較正値の合計から、受信信号強度値を計算する、
ように更に構成される、請求項1に記載のAGC回路。
【請求項19】
AGC回路によって実行される自動利得制御(AGC)の方法であって、
事前分割器回路により、事前分割器回路設定に従って入力アナログ信号を事前分割し、かつ事前分割アナログ信号を出力する段階と、
事前増幅器により、前記事前分割アナログ信号を事前増幅し、かつ事前増幅アナログ信号を出力する段階と、
事後分割器回路により、事後分割器回路設定に従って前記事前増幅アナログ信号を事後分割する段階と、
アナログ/デジタル変換器(ADC)により、事後分割アナログ信号からデジタルデータストリームを発生させる段階と、
前記デジタルデータストリームをサンプリングする段階と、
前記サンプリングされたデジタルデータストリームに基づいて事前分割器回路設定及び事後分割器回路設定を決定する段階と、
前記決定された設定に基づいて前記事前分割器回路及び前記事後分割器回路を設定する段階と、
前記事前分割器回路設定及び前記事後分割器回路設定に基づいて受信信号強度値を発生させる段階と、
を含む方法。
【請求項20】
前記デジタルデータストリームは、信号周期毎の前記ADCでの前記入力アナログ信号の瞬間振幅値を表す、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記事前分割器回路により、前記入力アナログ信号を該入力アナログ信号の強度に基づいて迂回する段階、又は
前記事後分割器回路により、前記事前増幅アナログ信号を該事前増幅アナログ信号の強度に基づいて迂回する段階、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記入力アナログ信号の周期にわたって前記デジタルデータストリームをサンプリングする段階と、
サンプルからピーク値を検出する段階と、
前記検出されたピーク値に基づいて前記事前分割器及び事後分割器回路設定を決定する段階と、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記入力アナログ信号のゼロ交差後の90度で前記デジタルデータストリームをサンプリングする段階と、
サンプルからピーク値を検出する段階と、
前記検出されたピーク値に基づいて前記事前分割器及び事後分割器回路設定を決定する段階と、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
nが1よりも大きいか又はそれに等しい正の整数である場合に前記入力アナログ信号のn周期毎に前記事前分割器回路及び前記事後分割器回路を設定するのに使用するための前記デジタルデータストリームのサンプル
に基づくフィードバック値を
前記事前分割器回路及び
前記事後分割器回路に送る段階を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
受信信号強度値の完全な範囲にわたって精度を上げるために個々の事前分割器回路減衰に対する較正データを記憶する段階を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
範囲に対して前記事前分割器回路の範囲設定を強制する段階と、
第1の較正測定において、前記AGC回路が整定した後に前記入力アナログ信号からもたらされる、前記事後分割器回路の減衰設定のための1又は2以上の平均事後分割器値を測定する段階と、
次の範囲に対して前記事前分割器回路の範囲設定を強制する段階と、
第2の較正測定において、前記AGC回路が整定した後に前記入力アナログ信号からもたらされる、前記事後分割器回路の減衰設定のための1又は2以上の平均事後分割器値を測定する段階と、
前記第2の較正測定のために前記第1の較正測定に関連するレベルに前記入力アナログ信号の振幅を維持する段階と、
前記第1及び第2の較正測定から導出された事後分割器値の差である事前分割器較正値を記憶する段階と、
前記事前分割器回路の範囲設定の他の範囲について、追加の較正測定を行い、追加の事前分割器較正値を記憶する段階と、
現在の測定された事後分割器値から、及び現在の範囲よりも小さいか又はそれに等しい前記事前分割器回路の範囲設定についての範囲に対応する記憶された事前分割器較正値の合計から、受信信号強度値を計算する段階と、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示の主題は、一般的に、磁場の受信信号強度を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
強制電磁場又は純粋磁場の受信信号強度表示(RSSI)は、車両に位置付けられた送信機とキーフォブに位置付けられた受信システムの間の距離を決定するために車両アクセスシステム又はパッシブ・エントリー・ゴー(PEG)システムに使用することができる。RSSIは、アンテナ又はコイルによって電磁場又は純粋磁場から変換された連続波形(CW)信号の電圧を測定することによって決定することができる。CW信号が歪みによって損なわれる場合に、CW信号の一定のエンベロープが変化し始め、不正確なRSSI情報及び不正確な測距結果に至る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一部の実施では、自動利得制御(AGC)回路は、入力信号を事前分割器回路設定値(設定)(setting)に従って事前分割し、かつ事前分割信号を出力するように作動可能な(operable)事前分割器回路(pre-divider circuit)と、事前分割信号を事前増幅し、かつ事前増幅信号を出力するように作動可能な事前増幅器(pre-amplifier)と、事後分割器回路設定値(設定)に従って事前増幅信号を事後分割するように作動可能な事後分割器回路(post-divider circuit)と、デジタルデータストリームを事後分割信号から発生させるように作動可能なアナログ/デジタル変換器(ADC)と、デジタルデータストリームをサンプリングし、サンプリングされたデータストリームに基づいて事前分割器回路設定値(設定)及び事後分割器回路設定値(設定)を決定し、決定された設定値(設定)に基づいて事前分割器回路及び事後分割器回路を設定し、かつ事前分割器回路設定値(設定)及び事後分割器回路設定値(設定)に基づいて受信信号強度値を発生させるように作動可能な論理部とを含む。
【0004】
一部の実施では、自動利得制御(AGC)のAGC回路によって実行される方法は、事前分割器回路により、事前分割器回路設定値に従って入力信号を事前分割し、かつ事前分割信号を出力する段階と、事前増幅器により、事前分割信号を事前増幅し、かつ事前増幅信号を出力する段階と、事後分割器回路により、事後分割器回路設定値に従って事前増幅信号を事後分割する段階と、アナログ/デジタル変換器(ADC)により、デジタルデータストリームを事後分割信号から発生させる段階と、デジタルデータストリームをサンプリングする段階と、サンプリングされたデータストリームに基づいて事前分割器回路設定値及び事後分割器回路設定値を決定する段階と、決定された設定値に基づいて事前分割器回路及び事後分割器回路を設定する段階と、事前分割器回路設定値及び事後分割器回路設定値に基づいて受信信号強度値を発生させる段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施形態によるRSSIのための例示的AGC回路のブロック図である。
【
図2】実施形態による例示的事前分割器回路の概略図である。
【
図3】実施形態による例示的事前増幅器回路の概略図である。
【
図4】実施形態による例示的事後分割器回路の概略図である。
【
図5】実施形態による例示的事後増幅器(post-amplifier)の概略図である。
【
図6】実施形態による例示的サブレンジアナログ/デジタル変換器(ADC)の概略図である。
【
図7】実施形態により自動オフセット補償モードで作動する
図6のサブレンジADCの例示的波形を示す図である。
【
図8】実施形態による自動オフセット補償処理後の
図6のサブレンジADCの例示的作動モード(operating mode)を示す図である。
【
図9】実施形態による自動オフセット補償処理後の
図6のサブレンジADCの例示的作動モードを示す図である。
【
図10】実施形態による例示的ゼロ比較器を示す図である。
【
図11】実施形態による例示的ゼロ比較器を示す図である。
【
図12】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図13】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図14】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図15】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図16】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図17】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図18】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図19】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図20】実施形態による例示的デジタル制御回路を示す図である。
【
図21】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図22】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図23】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図24】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図25】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図26】実施形態によるAGC回路パフォーマンスを示す図である。
【
図27】実施形態によりAGC回路によって実行される例示的処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的システム
図1は、実施形態による受信RSSIのための例示的デジタルAGC回路100のブロック図である。AGC回路100は、CW入力信号(AX_P、AX_N)のエンベロープの高速追跡を可能にする。AGC回路100は、シングルエンド構成又は対称構成に実施することができる。図示の実施形態では、AGC回路100は、対称構成に実施され、AX_P、AX_Nは、それぞれ、正(P)及び負(N)の対称CW入力信号である。以下の図では、回路のP側のみが示されている。対称構成に関して、N側は、接地線で正側回路をミラーリングすることによって補完される。AGC回路100は、単一RSSI AGCチャネルXのためのものである。実施形態では、CW入力信号は、例えばアンテナ又はコイルとすることができる変換器108によって電磁場又は純粋磁場から変換される。
【0007】
実施形態では、AGC回路100は、事前分割器回路101、事前増幅器102、事後分割器回路103、事後増幅器104、ゼロ比較器105、サブレンジADC106、及びRSSIチャネル論理部107を含む。これらの構成要素の各々を以下の説明で詳細に説明する。
【0008】
AGC回路100は、以下に限定されるものではないが、i)分割器及び増幅器が、CNR及びINLを改善するために一連の事前分割器、事前増幅器、事後分割器、及び事後増幅器に分割され、その結果、測定精度が改善すること、ii)事前分割器タップが、CW入力信号が定義されたレベルに達するまで不変であるので事前分割器減衰によるノイズが、CW入力信号が増大する間は増大しないこと、(iii)低いCW入力信号に関して、事前分割器回路が、バイパス設定値を含み、その結果、低いCW入力信号が、事後分割器回路による更に別の電圧分割を経る前に増幅されること、iv)事前分割器回路が、この回路が寄生キャパシタンスによって負荷される低い数のタップで作動するので、コイルで直接に作動して高いインピーダンスを有すること、v)回路パラメータを低ノイズ及び高線形性が得られるように調節するより高い自由度、vi)フィードバックではなく比較器に基づくフィードバック経路内のサブレンジADC、それによって同じ測定期間におけるより多くの測定値の平均化を可能にする高速エンベロープ追跡(速い測定更新率)が得られ、その結果、精度が改善すること、vii)振幅変調信号の捕捉を可能にすること、及びviii)整定時間持続期間が短縮されてより良好に定義されることを含む、RSSI値を発生させるための他のシステム及び方法に優るいくつかの利点を提供する。
【0009】
例示的事前分割器回路
図2は、実施形態による例示的事前分割器回路101の概略図である。事前分割器回路101は、シングルエンド又は対称構成で抵抗分割器を使用して強いCW入力信号を減衰させる。議論を明確化するように、AX_P<pre_div_in_p>を処理する正側のみが
図2に示されている。事前分割器回路101は、4つのタップ点をもたらすために直列に結合されたいくつかの抵抗要素を含む抵抗分割器200を含み、4つのタップ点は、スイッチによってマルチプレクサ(MUX)203の出力に選択的に結合される。他の実施形態では、容量分割器又は抵抗/容量ラダーネットワークを使用して低周波CW入力信号を分割することができ、PI又はTEE減衰器を使用して高周波CW入力信号を分割することができる。
【0010】
MUX203は、一連のスイッチ、及び復号された設定値(pre_div)によって1つのタップ点を起動する復号器(図示せず)を含む。実施形態では、pre_divは、
図1のRSSIチャネル論理部107によって供給された制御ワード(pre_div<1:0>)である。MUX203は、弱いCW入力信号の分割を迂回するバイパススイッチも含む。MUX203の出力(pre_div_out_p)は、分割AX_P、又は事前分割器回路101がバイパスモードから構成された場合は未分割AX_Pである。抵抗分割器200は、4つのタップ点を含むように示されているが、適切な数の抵抗要素を使用してpre_divを相応にサイズ決めすることにより、あらゆる望ましい数のタップ点を抵抗分割器200に使用することができる。一部の実施では、減衰の範囲は、式[1]によって与えられる。
【数1】
[1]
【0011】
例示的事前増幅器
図3は、実施形態による例示的事前増幅器102の概略図である。事前増幅器102は、シングルエンド又は対称構成に実施することができる低ノイズ高線形性利得増幅器である。事前増幅器102は、固定利得を有する1又は2以上のステージを含むことができる。事前増幅器102の入力インピーダンスは、ノイズを低減するためにアンテナインピーダンスに適合させることができる。実施形態では、事前増幅器102は、演算増幅器300、及び事前増幅器102が(例えば、事後分割器103によって)抵抗負荷が掛けられた時にDC分離を行うために演算増幅器300の出力に結合されたコンデンサ301a、301bを含むことができる。高周波信号に関して、事前増幅器300は、周波数変換回路によって置換することができる。事前増幅器利得は、式[2]によって与えられる。
【数2】
[2]
【0012】
例示的事後分割器回路
図4は、実施形態による例示的事後分割器回路103の概略図である。事後分割器回路103は、シングルエンド又は対称構成に実施することができる。
図400は、P側回路のみを示している。事後分割器回路103は、抵抗分割器400を使用して測定目的のために事前増幅器300の出力を減衰させる。抵抗分割器400は、256個のタップ点をもたらすために直列に結合されたいくつかの抵抗要素を含み、256個のタップ点は、スイッチによってマルチプレクサ(MUX)402の出力に選択的に結合される。事後分割器103(図示せず)内の復号器は、post_divの設定に応じて1つのタップ点を起動する。実施形態では、post_divは、RSSIチャネル論理部107によって供給される制御ワード(post_div<7:0>)とすることができる。事後分割器回路103も、弱いCW入力信号を迂回するバイパススイッチを含む。他の実施形態では、容量分割器、抵抗/容量ラダーネットワークを使用して低周波CW入力信号を分割することができ、PI又はTEE減衰器を使用して高周波CW入力信号を分割することができる。抵抗分割器400は、256個のタップ点を含むように示されているが、適切な数の抵抗要素を使用して選択信号を相応にサイズ決めすることにより、あらゆる望ましい数のタップ点を抵抗分割器200に使用することができる。
【0013】
実施形態では、事後分割器比率
は、事後分割器入力電圧(V
post_div_in)及び事後分割器出力電圧(V
post_div_out_p)の比率の対数を取ることによって決定することができ、事後分割器比率
は、以下によって与えられる:
【数3】
[3]
【数4】
[4]
ここで、基数Bは、測定分解能(例えば、B=1.02345)を決定する。別の実施形態では、他の事後分割器比率を使用して異なる測定分解能(例えば、三乗根)を達成することができる。
【0014】
例示的事後増幅器回路
図5は、実施形態による例示的事後増幅器104の概略図である。事後増幅器104は、シングルエンド又は対称構成に実施することができる低ノイズ高線形性利得増幅器である。事後増幅器104は、固定利得を有する1又は2以上のステージを含むことができる。事後増幅器104の入力インピーダンスは、ノイズを低減するために事後分割器インピーダンスに適合させることができる。実施形態では、事後増幅器104は、低い全二乗平均平方根(RMS)ノイズを達成するように帯域幅を限定するために帯域通過フィルタ501に結合された出力を有する演算増幅器500を含むことができる。帯域通過フィルタ501は、AGCループの高速演算を可能にするために低いグループ遅延を示すように構成することができる。帯域通過フィルタ501は、その独自のブロックに位置付けることができ、又は抵抗-容量(RC)負荷(低域通過)及び容量直列フィードバック(高域通過)によって利得ステージに分散させることができる。事後増幅器利得は、式[5]によって与えられる。
【数5】
[5]
【0015】
例示的サブレンジADC及びゼロ比較器回路
図6は、実施形態による例示的サブレンジアナログ/デジタル変換器(ADC)106の概略図である。図示の実施形態では、ADC106は、自動オフセット補償を有する5ビットフラッシュADCである。別の実施形態では、遂次近似(SAR)ADCを使用することができる。図示の実施形態では、ADC106は、構成要素(例えば、比較器)の数を低減することによってチップの大きさを低減するために単極構成で作動する。別の実施形態では、二極構成を使用することができる。図示の実施形態では、ADC106は、先行する事後増幅器104に結合されたDCである。別の実施形態では、ADC106及び事後増幅器104は、DC分離することができる。
【0016】
図6を参照すると、ADC106は、基準電圧ステージ601及び比較器ステージ602を含む。基準電圧ステージ601は、比較器ステージ602において比較器603_0~603_n(例えば、n=31)の基準電圧(Vref_0-Vref_n)を発生させる。
図6の例示的実施形態では、n+1個の比較器があり、比較器603_0及び比較器603_nのみが示されている。基準電圧ステージ601は、演算増幅器604を含み、非反転入力が、DC基準(dc_ref)に結合され、反転入力は、抵抗器605(RDC)全体を通して発生するオフセット電圧(VDC)に結合される。演算増幅器604の電圧出力は、抵抗ラダー606に作用する電圧制御式電流源610をステアリングし、抵抗ラダー606は、基準電圧を発生させる抵抗要素R0…Rn(例えば、R0~R31)、及びフィードバックループで制御されるオフセット電圧VDCを発生させる抵抗器605を含む。
【0017】
比較器603_0~603_nの各々の第1の入力は、対応する直列スイッチ607_0~607_nによってADC入力(adc_in_n)に結合される。各比較器603_0~603_nの第2の入力は、抵抗ラダー606のタップ点に結合される。直列スイッチ607_0~607_nは、RSSIチャネル論理部107によって発生されたオフセット補償有効化信号(offset_comp_enable)によって制御される。平行スイッチ608_0~608_nは、比較器603_0~603_nの入力を互いに結合し、その結果、オフセット電圧が比較器603_0~603_nの出力に出現する。比較器603_0~603_nの出力は、補償RSSI値(comp_rssi_0~comp_rssi_nに)であり、補償RSSI値は、オフセット補償論理部609に入力される。
【0018】
実施形態では、オフセット補償論理部609は、比較器603_0~603_nの出力から受信された補償RSSI値(comp_rssi_0~comp_rssi_n)に基づいて比較器603_0~603_nのためにオフセット較正信号(offset_cal_0~offset_cal_n)を発生させる回路を含む。例えば、オフセット補償モード中に、直列スイッチ607_0~607_nは、比較器603_0~603_nをADC入力(adc_in_n)から切り離すために開かれ、平行スイッチ608_0~608_nは、比較器603_0~603_nの入力同士を互いに短絡させるために閉じられる。これに起因して、電圧オフセットが、比較器603_0~603_nの出力に出現する。電圧オフセットは、オフセット補償論理部609に入力され、オフセット補償論理部609は、電圧オフセットに基づいてオフセット較正値(offset_cal_0~offset_cal_n)を発生及び供給する回路を含む。オフセット較正値は、オフセット電圧を補償するのに使用される。オフセット補償が完了した時に、オフセット補償論理部609は、オフセット補償待機信号(offset_comp_ready)を発生させ、オフセット補償待機信号(offset_comp_ready)は、
図1に示すように、RSSIチャネル論理部107に送られる。オフセット補償論理部609は、RSSIチャネル論理部107によって発生されたオフセット補償クロック(offset_comp_clk)に結合される。
【0019】
図7は、実施形態による自動オフセット補償モードに関連する例示的波形を示している。いずれかの測定を開始することができる前に、直列スイッチ606_0~606_nによりadc_in_nからの比較器603_0~603_nの入力を無効にし、各比較器603_0~603_nに関して、両方の入力を信号offset_comp_enableを通じて平行スイッチ608_0~608_nによってVref_xに接続することによってオフセット補償を実行する。比較器603_0~603_nの各々は、信号offset_cal_x<n:0>を通じて不均衡を実施することによって人為的オフセット電圧を特定の範囲(例えば、±40mV)のその入力間にプログラムする機能を有する。人為的オフセット電圧のステップ幅は、バイナリ重み付けされる(例えば、40、20、10、5、2.5、及び1.25mV)。オフセット補償論理部609は、信号offset_comp_enableによって起動される遂次近似手順を使用して補償処理フローを制御する。各比較器603_0~603_nに関して、最大ステップは、信号offset_comp_clkの第1の立ち下りエッジで起動される(例えば、offset_cal_x<5>を通じて)。第2の立ち下りエッジoffset_cal_x<5>は、比較器出力が論理高のままである場合は高に保たれ、そうでなければ論理低に送り返され、offset_cal_x<5>の状態は、offset_comp_readyがクリアされるまでラッチされる。このオフセット補償手順は、順番に次の低いoffset_cal_xビットに対して繰り返される。全てのoffset_cal_xビットが処理された場合に、信号フラグoffset_comp_readyが設定される。
【0020】
図8及び
図9は、実施形態によるオフセット補償処理後の
図6のサブレンジADC106の例示的作動モードを示している。作動モードでは、オフセット補償処理が終了した後に、短絡した平行スイッチ608_0~608_nは開かれ、直列スイッチ607_0~607_nは閉じられる。基準電圧Vref_0~Verf_nを入力信号adc_in_nの振幅が超える全ての比較器603_0~603_nは、論理高に設定される。実施形態では、比較器出力信号comp_rssi<n:0>は、adc_in_nの瞬間振幅値に関連する温度計コードの量子化されたデータストリームである(量子化のみ)。温度計コードのサンプリングは、RSSIチャネル論理部107内で実行される。
【0021】
基準電圧ステージ601は、抵抗ラダー606を供給する電圧制御式電流源609、及びフィードバックループで作動する演算増幅器604を含む。最低抵抗器R0にわたるVdcが感知されてVdc_refと比較され、Vdc_refは、信号入力dc_refを通じて事後増幅器104によって供給される。両方の電位間の電圧差は、整定時間後に作動電流がVdc=Vdc_refで抵抗器RDC全体を通じて電圧降下を生成することになるように電流源610を制御する。基準電圧Vref_xは、この作動電流及び異なるタップ点の分割器比率に基づいている。分割器比率は、事後分割器比率(例えば、対数的タイプ)に適合するように選択される。この実施形態では、5ビットサブレンジADC106をVref_15に使用し、AGCループは、事後分割器補償が発生しない平衡状態で作動する:
【数6】
[6]
【0022】
分割器比率は、CW入力信号の相対的な変化から導出される。
【数7】
[7]
基数Bは、事後分割器回路103に対して選択された値(例えば、B=1.02345)である。
【0023】
AGCループ平衡よりも大きいAC電圧に関して、事後分割器補償は、Vacが精度上の理由で平衡に近い場合は線形ステップ状であり、速度上の理由では非線形ステップ状である。
図8及び
図9を参照すると、例示的事後分割器補償ワードは、式[8]によって与えられる。
【数8】
[8]
この例では、x=15は、平衡状態である。
【0024】
事後分割器補償ワード(post_div_corr)は、サブレンジADC106から送出された信号comp_rssi<31:0>(32個の比較器を仮定)に基づいてRSSIチャネル論理部107において計算されるが、AGC回路100の全体的な機能性をより明瞭するためにここで導入した。
【0025】
図10は、実施形態による例示的ゼロ比較器105を示している。いずれかの測定を開始することができる前に、サブレンジADC比較器603_0-603_nと並列にオフセット補償されたゼロ比較器がある(図示せず)。作動中に、
図1に示すように事後増幅器104の対称AC出力信号がゼロ比較器105のP及びN入力に接続される。出力信号comp_zeroの正エッジは、
図11に示すように、入力時の対称AC信号のゼロ位相を表している。
【0026】
例示的RSSIチャネル論理回路
図1を再び参照すると、RSSIチャネル論理部107は、AGC回路100内でいくつかの機能を達成する。RSSIチャネル論理部107は、サブレンジADC106から送出された量子化されたデータストリームcomp_rssi<n:0>をサンプリングしてピーク値をその中で見つけることによってピーク検出を実行する。RSSIチャネル論理部107は、検出ピーク値に応じて事前分割器回路101及び事後分割器回路103の設定値を制御する。RSSIチャネル論理部107は、RSSI結果ワードrssi<k:0>を計算し、RSSI結果ワードを結果レジスタ又は更に別の計算ユニット(例えば、平均化ユニット)にストリーミングする。RSSIチャネル論理部107は、マスタークロックrssi_clk(例えば、offset_comp_clk)から導出されたクロックを供給する。RSSIチャネル論理部107は、全体的な測定フローを制御し、補償手順を提供し、マスター状態機械への通信を処理する状態機械を含む。
【0027】
図12及び
図13は、実施形態による
図1のRSSIチャネル論理部107によって実行される例示的ピーク検出を示している。RSSIチャネル論理部107は、量子化されたデータストリームcomp_rssiをサンプリングしてピーク値をその中で見つける。尚、ピーク検出手順をより明瞭にするために、
図12及び
図13は、サンプリングが実際に行われるADC106の出力時のcomp_rssiに関する量子化されたデータストリームではなく、adc_in_nに関する連続的な正弦波を示している。adc_in_nでの連続的な正弦波の0°は、comp_zeroの正エッジにより、
図12及び
図13に示されている。adc_in_nでの正弦波の他の位相は、rssi_clkのクロックエッジを数えることによって決定することができる。例えば、125kHzの正弦波及び6MHzのクロックで、rssi_clkの13番目及び19番目の負エッジは、時点90°及び135°に対応する。最大保持モード(MHM)では、エンベロープ又は非コヒーレント検出が実行される。rssi_clkの各負エッジで0°から始めて135°まで論理高を示すcomp_rssiの最高ビットがラッチされることになる。採取された最終サンプルは、ピーク値を示している。最大サンプルモード(MSM)では、擬似コヒーレント検出が実行される。90°で、comp_rssiのサンプルが採取されることになり、論理高を有する最高ビットは、ピーク値を示している。両方のモードでは、計算遅延及びアナログ整定(グループ遅延)<270°(MSM)/225°(MHM)の場合に、正弦波の1周期内で分割器変更が可能である。
【0028】
検出ピーク値は、式[8]に従って事後分割器補正値(post_div_corr)に変換され、事後分割器103を調節するpost_divワードを評価するために、サンプル測定間に一緒に追加されることになる。
【数9】
[9]
iは、サンプル測定の回数及び初期条件post_div_corr0=0である。
【0029】
図14~
図17は、実施形態による
図1のRSSIチャネル論理部によって実行される分割器制御の例示的静的作動を示している。対数AGCループが平衡状態であれば、Vin~Vac_eqの伝達関数は、式[1]~[3]及び[5]を使用して事前分割器101の範囲設定値に依存するpost_div値に対して解いて並べ替えることができる。
【数10】
[10]
ここで、
及び
である。
【0030】
最小検出可能電圧として定義される感度では、式[11]により、以下がを与えられる
【数11】
[11]
【0031】
事後分割器値のシフトとして表された事前分割器比率により、式[12]は、以下を与える。
【数12】
[12]
【0032】
或いは、1つの範囲から次の範囲への相対的なシフトとして表されると、式[13]は、以下を与える。
【数13】
[13]
【0033】
ある一定のVin値の事後分割器曲線重複に起因して、較正手順は、V
inを一定に保ちながらpost_div値を測定し、かつ
図15に示すように範囲設定値を範囲及び(範囲-1)に連続的に強制することにより、最初は未知の事前分割器比率を見つけることができる。
【数14】
[14]
【0034】
物理的事前分割器比率は、この較正手順によって不変のままであるが、この比率は、以下でより詳細に説明するように、正しいRSSIワードをpost_div及び較正されたpre_divワードから計算するのに有用である。
【0035】
事後分割器曲線重複に起因して、(範囲-1)から実際の範囲に切り換えるべきかに対してある一定の柔軟性もあり、事後周器曲線の最も正確な部分に対して演算するのに利用することができる。小さいpost_div値(<100)に関して、抵抗分割器による強いノイズ影響が発生する。事前分割器切り換えに起因する歪みを防止するために、範囲は、短い追跡期間(AGCの初期整定)中にのみ、Vin変化の立ち上がり方向で切り換えることができ、その後に、事後分割器は、範囲設定値によって定義された曲線に作用することができる。
図16では、範囲1において平衡を達成するためにpost_div値が207を超えた時に、pre_divは、1つのステップだけ切り換わり、その結果、post_divは、89個のステップだけ低減される。AGC整定(AGC settling)後に、post_divは、固定曲線に作用し、捕捉フェーズ中のあらゆるVin変化に対して上方に48個のステップ、下方に118個のステップのヘッドルームが得られる。RSSI値は、式[15]に従ってpost_div、範囲、及びpre_divから計算される。
【数15】
[15]
【0036】
図18~
図19は、実施形態による
図1のRSSIチャネル論理部107によって実行される分割器制御の例示的動的作動を示している。AGC原理は、バーストAC入力電圧のエンベロープの測定に寄与している。プログラマブル追跡時間(T
tracking)中に、AGC回路は、エンベロープの立ち上がりエッジに追随しようとし、その結果、事後分割器値及び範囲設定値は、入力電圧の瞬間ピーク振幅に従って相応に変化する。いずれかの範囲変化が発生した後に、プログラマブル待機時間(T
range_delay)は、いずれかの新しい分割器設定値を実行することができる前に、AGCループ内のアナログ回路が整定するように分割器設定値を不変に保つ。バーストAC入力電圧が安定した連続波信号(CW)になった場合に、瞬間RSSI値の捕捉が、更に別の処理(例えば、平均化)のためにプログラマブル長さ(T
capture)内で始まる。捕捉時間中に、追跡フェーズの最後の範囲設定値は、一定に保たれることになり、事後分割器103のみが、RSSI値をリフレッシュするように働いている。
【0037】
図20は、実施形態による
図1のRSSIチャネル論理部107によって実施される例示的状態機械を示している。信号agc_enableにより、AGC回路100が開始されることになる。アナログ部分(例えば、増幅器、フィルタなど)の整定のための待機時間T1後に、オフセット補償を信号offset_comp_enableを通じて開始することができる。オフセット補償のためにrssi_clkから導出されるクロックoffset_comp_clkが開始されることになる。待機時間T2内で、遂次近似手順が、オフセットを補償するために実行され、その終了は、フラグoffseot_comp_readyに示されている。フラグoffseot_com_readyが設定された状態で、1又は2以上の測定を信号measurement_enableによって開始することができる。AC電圧バーストがAGC入力でアクティブである場合に、AGC回路100は、追跡フェーズ中にそのエンベロープを追跡し、捕捉フェーズ中にエンベロープのサンプルを採取する。両方の分割器は、追跡フェーズ中に調節することができるが、事後分割器103は、捕捉フェーズ中に調節することができる。信号comp_zeroは、追跡及び捕捉時間中に利用可能である。
【0038】
パフォーマンス
図21~
図22は、実施形態によるAGC回路100のアナログパフォーマンスを示している。入力から事後増幅器出力まで、アナログパフォーマンスは、平衡状態の閉AGCループに対する静的積分非線形性(INL_static)及び搬送波対ノイズ比(CNR)として決定される。INL_staticは、ノイズ効果を除外した測定及び理想計算RSSI曲線間の偏差として定義される。
【数16】
[16]
【0039】
ADC106の入力でのCNRは、以下として定義される。
【数17】
[17]
有効AC電圧及び周波数帯域幅にわたる積分ノイズ電圧密度は、事後増幅器出力でのものである。
【0040】
INL_staticに対する典型的な曲線は、範囲2までは<0.5及び範囲3に対して<1のRSSIステップでの線形性誤差を示している。CNRに対する典型的な曲線は、入力レベル>600μVppに対して≧25dBの値を示している。
【0041】
図23~
図24は、実施形態によるAGC回路100のデジタルパフォーマンスを示している。平衡状態の閉AGCループに関して、RSSI値は、CNRがサブレンジADC入力で変化した時に模擬され、かつアナログ部分のスペクトルノイズ形状及び異なる平均化回数によって中央値(INL_statistic)及び分散(σ)に対して評価される。INL_statisticの典型的な曲線は、使用された平均値の数に依存することを示さず、むしろ使用されたサンプリング方法に依存して低いCNR値での強い影響がある。MHMモードは、非コヒーレント検出に対して公知であるものと同様に15dBから始まるCNRを減少する強い閾値効果を示している。最大サンプルモード(MSM)は、強いノイズ変動によって駆動された時の対数rssi曲線の非線形圧縮に起因して発生するINL_statisticの遥かに弱い増加を示している。σに対する典型的な曲線は、CNR増大及び使用された平均回数の増大と共に改善を示すが、使用されたサンプリング方法による影響はほとんどない。
【0042】
図25~
図26は、実施形態によるAGC回路100の測定精度を示している。全体的な精度は、以下によって計算される。
【数18】
[18]
【0043】
例えば、factor
confidence=2(市販の測定システムの典型値)を用いて、全ての測定値の95%は、
図25に示すように境界内にある。典型的な曲線は、256個の平均値に関して、全ての範囲に対して<2RSSIステップ、及び200μVpp<Vin<1Vppの低減入力範囲に対して<1RSSIステップの精度を示している。1RSSIステップがB-1=2.345%であると、精度は、これに代えて
図26に示すように%で表すことができる。測定精度は、温度又は電圧供給条件に起因したVsensの変動は考慮に入れず、これに関しては他所で議論する。
【0044】
例示的処理
図27は、実施形態による
図1のデジタル自動利得制御回路(DAGC)によって実行される例示的処理2700の流れ図である。処理2700は、AGC回路100によって実行することができる。実施形態では、処理2700は、
図2を参照して上述したように、CW入力信号を事前分割することによって始まる(2701)。処理2700は、
図3を参照して上述したように、信号を事前増幅することによって継続する(2702)。処理2700は、
図4を参照して上述したように、信号を事後分割することによって継続する(2703)。処理2700は、
図5を参照して上述したように、信号を事後増幅することによって継続する(2704)。処理2700は、
図6を参照して上述したように、信号からデジタルデータストリーム(例えば、量子化されたデータストリーム)を発生させることによって継続する(2705)。処理2700は、デジタルデータストリームをサンプリングし、かつサンプリングされたデジタルデータストリーム及び分割器設定値に少なくとも基づいて事前分割器及び事後分割器を設定することによって継続する(2706)。処理2700は、分割器設定値及び事前分割器補正に基づいてRSSI値を発生させることによって継続する(2707)。
【0045】
本明細書は多くの特定の実施の詳細を含むが、これらは、特許を主張することができるものの範囲に関する制限ではなく、むしろ特定の実施形態に固有とすることができる特徴の説明と解釈しなければならない。別々の実施形態の関連で本明細書に説明するある一定の特徴は、単一実施形態に組み合わせて実施することもできる。逆に、単一実施形態の関連で説明する様々な特徴は、別々に複数の実施形態に又はあらゆる適切な部分組合せに実施することもできる。更に、特徴は、ある一定の組合せで作用すると上述し、かつ更にそれ自体で最初に特許主張することができるが、特許主張する組合せからの1又は2以上の特徴は、一部の場合に、組合せから削除することができ、特許主張する組合せは、部分組合せ又は部分組合せの変形に関連する場合がある。