(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】リアコンビネーションランプ
(51)【国際特許分類】
F21S 43/40 20180101AFI20221115BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20221115BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20221115BHJP
F21S 43/31 20180101ALI20221115BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20221115BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20221115BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221115BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20221115BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20221115BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20221115BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20221115BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20221115BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20221115BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221115BHJP
【FI】
F21S43/40
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/31
F21S43/27
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21V19/00 450
F21V23/00 140
F21S43/50
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W105:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019002996
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】広沢 恭一
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-082366(JP,A)
【文献】特開2005-353374(JP,A)
【文献】特開2014-235976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/40
F21S 43/14
F21S 43/20
F21S 43/31
F21S 43/27
F21V 19/00
F21V 23/00
F21S 43/50
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/45
F21W 105/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源とする複数のランプを前方に開口した矩形形状のハウジングン内に収容してなるリアコンビネーションランプであって、
前記ハウジングには、テールランプおよびストップランプを収容する第1収容部と、ターンシグナルランプおよびバックアップランプの少なくとも1つを収容する第2収容部とを備え、
前記第1収容部には、前記テールランプとして機能するテールランプ発光領域と、前記ストップランプとして機能するストップランプ発光領域とが夫々複数設けられており、
前記第2収容部は、前記第1収容部の上側または下側に位置しており、
前記ストップランプ発光領域を構成するストップランプは、基板上に設けた複数のLEDからなる第1のLED光源群と、前記第1のLED光源群からの光を当該ランプの出射方向に向けて反射する反射面を有するリフレクタと、を備え、
前記ストップランプの反射面は、前記第1のLED光源群の夫々の周囲を囲む複数の周囲反射面と、前記複数の周囲反射面の中で隣り合う周囲反射面の間に位置する前方側反射面とを備え、
前記テールランプ発光領域を構成するテールランプは、前記基板上に設けた複数のLEDからなる第2のLED光源群と、前記第2のLED光源群の前方に位置する少なくとも2枚の離間して設けたインナーレンズと、前記インナーレンズの最外側表面および側方を覆うカバー部材とを備え、
前記第1のLED光源群および前記第2のLED光源群は、各LEDからの出射方向が前記基板の法線方向となるように、前記基板の前方側表面に実装されており、
前記リフレクタには、前記2枚のインナーレンズを固定するインナーレンズ固定枠が一体に形成されており、
前記インナーレンズ固定枠は、前記テールランプ発光領域と前記ストップランプ発光領域とを区画する区画壁と、前記第1収容部の上方または下方に位置する支持部とを有し、
前記支持部は、前記2枚のインナーレンズのうち、後方側に位置するインナーレンズを支持する第1支持部と、前記第1支持部よりも前方側に位置し前方側のインナーレンズを支持する第2支持部が段差を有して形成されており、
前記後方側インナーレンズは、前記第1支持部に前記後方側インナーレンズを支持した状態において、前記後方側インナーレンズの前方側表面の位置が前記区画壁の前方側端部の位置と同一の高さ、または、後方側インナーレンズの後方側表面の位置が前記区画壁の前方側端部の位置と同一の高さとなるように位置決めされており、
前記後方側インナーレンズには、前面側表面および後面側表面に互いに直交する方向に延びた半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムが形成され、前記半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムは、その延伸方向と直交する断面において屈曲する複数の直線からなる多段形状をなし、
前記前方側インナーレンズには、前面側表面および後面側表面に互いに直交する方向に延びた半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムが形成され、前記半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムは、その延伸方向と直交する断面において屈曲する複数の直線からなる多段形状をなし、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記前方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向に対して30度から60度の間とされ、
前記周囲反射面は、上下方向および左右方向において複数の反射面からなる複合反射面からなる
ことを特徴とするリアコンビネーションランプ。
【請求項2】
前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域は、夫々が少なくとも2か所の離間した発光領域を備え、前記テールランプ発光領域と前記ストップランプ発光領域とが交互に横方向に並んでいることを特徴とする請求項1に記載のリアコンビネーションランプ。
【請求項3】
前記インナーレンズは、透光性の樹脂材料により形成された2枚のインナーレンズからなり、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記前方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向に対して45度とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリアコンビネーションランプ。
【請求項4】
前記第1収容部は、横長の矩形形状とされ、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記第1収容部の横方向の中心線に対して、45度とされていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のリアコンビネーションランプ。
【請求項5】
前記テールランプのカバー部材の側面には、前後方向に延びる半柱状の拡散カットが形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のリアコンビネーションランプ。
【請求項6】
前記リアコンビネーションランプは、さらに、前記第1のLED光源群および前記第2のLED光源群を独立に点灯制御する制御装置を備え、
前記リフレクタは、
前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域が交互に横方向に並んだ意匠をなす第1意匠形態のリフレクタと、前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域の配列が前記第1意匠部材と異なる配列とした第2意匠形態のリフレクタとが、前記第1意匠形態に用いた基板を変更することなく置換可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1意匠形態と前記第2意匠形態とで、前記第1のLED光源群の点灯条件および前記第2のLED光源群の点灯条件を変更する変更部を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のリアコンビネーションランプ。
【請求項7】
前記リアコンビネーションランプが、トラックの後部の左右両側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のリアコンビネーションランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部に設けられ複数のランプを一体的に組合せたリアコンビネーションランプに関するもので、特にトラックの後部の左右両側に配置するリアコンビネーションランプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、テール&ストップランプ用灯具、ターンシグナルランプ用灯具、ストップランプ用灯具の3つのランプボディが一体化した多連式のリアコンビネーションランプとしたトラック用の車両用灯具が記載されている。また、従来より、LED(発光ダイオード)を光源としたテールランプやストップランプも知られている。
【0003】
特許文献2には、ファッション的な要素が求められてくるように来たことから、光源とレンズとの間に交換可能な装飾板を設けた3連式の車両用灯具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-262977号公報
【文献】実用新案登録第3186630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両用灯具では、基板の下方に夫々が光源を備えた3つのランプボディを取り付け、さらにそれら3つのランプボディの背面を覆うように1つのバックカバーを設けることで、3連結のランプを構成していた。
【0006】
特許文献2の車両用灯具では、夫々のテールレンズに対応した大きさの開口穴を設けたケース内に、LEDを光源を設けた第1反射面、第2反射面の順に反射させることで、車両用灯具の奥行寸法をコンパクトにしていた。また、第1反射面および第2反射面を拡散反射面とすることで、複数のLEDによる輝度ムラを緩和するようにしていた。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、板状の基板に夫々が電球光源が取付られる3つのランプボディと、これらランプボディにその前面開口を各別に覆うように取着されたレンズから成る3このランプを取り付けるものであるため、そのデザイン性に乏しい。また、別個のランプを取り付けるためにがたつきが生じやすく、また、電装部品も個別にランプボディの背面等に固定しなければならないため、特に奥行方向の寸法を薄くすることが困難であった。さらに、3連結とするためのランプの製造組立作業も煩雑であった。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、複数のLEDをその出射方向が車両用灯具の前方側から後方に向くように設置している。そのためLEDを車両用灯具の出射面側に設置しているため、車両用灯具をその照射方向から視認したときに複数のLEDを直接に視認できないように遮蔽部材で覆わなければならず、遮蔽部材およびLEDの設置のために出射面側に大きなスペースが必要になるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたもので、奥行寸法をコンパクトにするとともに、テールランプ点灯時の視認性を高めたリアコンビネーションランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
LEDを光源とする複数のランプを前方に開口した矩形形状のハウジングン内に収容してなるリアコンビネーションランプであって、
前記ハウジングには、テールランプ(尾灯)およびストップランプ(制動灯)を収容する第1収容部と、ターンシグナルランプ(方向指示灯)およびバックアップランプ(後退灯)の少なくとも1つを収容する第2収容部とを備え、
前記第1収容部には、前記テールランプとして機能するテールランプ発光領域と、前記ストップランプとして機能するストップランプ発光領域とが夫々複数設けられており、
前記第2収容部は、前記第1収容部の上側または下側に位置しており、
前記ストップランプ発光領域を構成するストップランプは、基板上に設けた複数のLEDからなる第1のLED光源群と、前記第1のLED光源群からの光を当該ランプの出射方向に向けて反射する反射面を有するリフレクタと、を備え、
前記ストップランプの反射面は、前記第1のLED光源群の夫々の周囲を囲む複数の周囲反射面と、前記複数の周囲反射面の中で隣り合う周囲反射面の間に位置する前方側反射面とを備え、
前記テールランプ発光領域を構成するテールランプは、前記基板上に設けた複数のLEDからなる第2のLED光源群と、前記第2のLED光源群の前方に位置する少なくとも2枚の離間して設けたインナーレンズと、前記インナーレンズの最外側表面および側方を覆うカバー部材とを備え、
前記第1のLED光源群および前記第2のLED光源群は、各LEDからの出射方向が前記基板の法線方向となるように、前記基板の前方側表面に実装されており、
前記リフレクタには、前記2枚のインナーレンズを固定するインナーレンズ固定枠が一体に形成されており、
前記インナーレンズ固定枠は、前記テールランプ発光領域と前記ストップランプ発光領域とを区画する区画壁と、前記第1収容部の上方または下方に位置する支持部とを有し、
前記支持部は、前記2枚のインナーレンズのうち、後方側に位置するインナーレンズを支持する第1支持部と、前記第1支持部よりも前方側に位置し前方側のインナーレンズを支持する第2支持部が段差を有して形成されており、
前記後方側インナーレンズは、前記第1支持部に前記後方側インナーレンズを支持した状態において、前記後方側インナーレンズの前方側表面の位置が前記区画壁の前方側端部の位置と同一の高さ、または、後方側インナーレンズの後方側表面の位置が前記区画壁の前方側端部の位置と同一の高さとなるように位置決めされており、
前記後方側インナーレンズには、前面側表面および後面側表面に互いに直交する方向に延びた半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムが形成され、前記半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムは、その延伸方向と直交する断面において屈曲する複数の直線からなる多段形状をなし、
前記前方側インナーレンズには、前面側表面および後面側表面に互いに直交する方向に延びた半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムが形成され、前記半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムは、その延伸方向と直交する断面において屈曲する複数の直線からなる多段形状をなし、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記前方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向に対して30度から60度の間とされ、
前記周囲反射面は、上下方向および左右方向において複数の反射面からなる複合反射面からなる
ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域は、夫々が少なくとも2か所の離間した発光領域を備え、前記テールランプ発光領域と前記ストップランプ発光領域とが交互に横方向に並んでいることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記インナーレンズは、透光性の樹脂材料により形成された2枚のインナーレンズからなり、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記前方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向に対して45度とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記後方側インナーレンズの前面側表面に形成した半柱状の凸プリズムもしくは凹プリズムの延伸方向は、前記第1収容部の横方向の中心線に対して、45度とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4の何れか一項に記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記テールランプのカバー部材の側面には、前後方向に延びる半柱状の拡散カットが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記リアコンビネーションランプは、さらに、前記第1のLED光源群および前記第2のLED光源群を独立に点灯制御する制御装置を備え、
前記リフレクタは、
前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域が交互に横方向に並んだ意匠をなす第1意匠形態のリフレクタと、前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域の配列が前記第1意匠部材と異なる配列とした第2意匠形態のリフレクタとが、前記第1意匠形態に用いた基板を変更することなく置換可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1意匠形態と前記第2意匠形態とで、前記第1のLED光源群の点灯条件および前記第2のLED光源群の点灯条件を変更する変更部を備える
ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れか一項に記載のリアコンビネーションランプにおいて、
前記リアコンビネーションランプが、トラックの後部の左右両側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、光源である全てのLEDを基板の同一面側、すなわちリアコンビネーションランプの出射方向側の表面に設けることができる。また、ハウジング内にLEDを搭載した基板、リフレクタを設けた枠体、インナーレンズ、アウターカバーを順にリアコンビネーションランプの出射方向側から設置することで組立ができ製造コストを低減することができる。
さらに、所定方向に延伸した半柱状プリズムを設けたインナーレンズを出射方向に離間して配置し、それらを覆うカバー部材を備えたテールランプと、このテールランプに隣接してストップランプを前記インナーレンズの設置高さに対して所定の関係にある所定の反射面とすることで、テールランプの配光規格を満たすとともに、斜め方向からのリアコンビネーションランプの視認性を高めることができる。
これらにより、奥行寸法をコンパクトにするとともに、テールランプおよびストップランプの配光特性の輝度ムラを抑制したリアコンビネーションランプを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記ストップランプ発光領域と前記テールランプ発光領域は、夫々が少なくとも2か所の離間した発光領域を備え、前記テールランプ発光領域と前記ストップランプ発光領域とが交互に横方向に並んでいるので、テールランプのカバー部材を通して横方向に並んでいるストップランプのリフレクタにて反射する漏れ光を有効に利用して、斜め方向の視認性を高めることができる。
【0019】
上記した請求項3から請求項5に記載の発明の構成によれば、テールランプによる発光が単純な拡散発光ではなく、微小な多数の輝点を備えた拡散発光を照射ことができる。これにより、奥行感のある発光領域を得ることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ストップランプ発光領域とテールランプ発光領域を、同一のハウジングおよびLED光源を用いて、リフレクタの位置を変更した枠体を変更することで2種類の異なるデザインのランプを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係るリアコンビネーションランプの正面図である。
【
図2】
図1のリアコンビネーションランプを分解して示す概略斜視図である。
【
図3】
図1のリアコンビネーションランプのテール・アンド・ストップランプの発光領域に用いる光源基板の斜視図である。
【
図4】
図1のリアコンビネーションランプにおけるテール・アンド・ストップランプ部を分解して示す概略斜視図である。
【
図5】
図4のA部を拡大して示す概略斜視図である。
【
図6】
図4のテール・アンド・ストップランプ部に使用するインナーレンズを出射方向側から見たときの平面図である。
【
図7】
図4のテール・アンド・ストップランプ部に使用するインナーレンズを出射方向と反対側から見たときの平面図である。
【
図8】未作成
図6のインナーレンズのB-B線に沿った断面図である。
【
図9】
図4のテール・アンド・ストップランプ部に使用する2枚のインナーレンズを重ねた場合における夫々のインナーレンズに形成したプリズムの延伸方向を出射方向側から見たときの状態を示す説明図である。
【
図10】
図1のリアコンビネーションランプにおけるテールランプの点灯したときの配光特性を示す配光分布図である。
【
図11】他の実施形態に係るリアコンビネーションランプの正面図である。
【
図12】他の実施形態に係るリアコンビネーションランプの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
リアコンビネーションランプ10は、自動車等の車両の後方の左右両端部に設けて、車両後方に向かっての後続車に対して方向指示(ターン)、後退(バック)、制動(ストップ)などの車両の挙動を知らしめるために複数の機能の信号を照射する信号灯であって、車両後方側に向かって光を照射する。そこで、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両後方に設置した状態においてリアコンビネーションランプ10から見た方向を指すものとする。従って「前」はリアコンビネーションランプ10からの光の主たる照射方向である車両の後方側(車両の後退方向)に相当し、「後」は車両の前方側(車両の走行方向)に相当し、「左」は車両の走行方向を基準としたときの右側に相当する。
【0023】
リアコンビネーションランプ10は、図示しない車両の後部左側端部に設置される。車両の後部右側端部には左右対象形状の同一構成のリアコンビネーションランプを設置するが、同一の構成であるので、以下の説明は車両の後部左側端部に設けるリアコンビネーションランプ10を用いて説明する。
図1は本実施形態における車両用灯具(リアコンビネーションランプ)10の正面(前面)図、
図2は
図1のリアコンビネーションランプを分解して示す概略斜視図である。
【0024】
リアコンビネーションランプ10は、
図1および
図2に示すように横長矩形のハウジング11内に第1収容部5、第2収容部6および第3収容部7を備える。第1収容部5にはテール・アンド・ストップランプ2として機能するランプユニットが位置し、第2収容部6にはバックランプ3として機能するランプユニットおよびターンランプ1が位置し、第3収容部7には再帰反射部4が設けられている。テール・アンド・ストップランプ2の下側にはバックランプ3およびターンランプ1が左右方向に並んで位置し、テール・アンド・ストップランプ2の左側には再帰反射部4が位置している。ハウジング11の前方側には透明な素通し状のアウターカバー19で覆われている。テール・アンド・ストップランプ2には、テールランプユニット2とストップランプユニット2とが交互に配置されている。
【0025】
ハウジング11は、遮光性の樹脂部材により前方側に向いて開口する横長の箱形状をなす。ハウジング11の上部には、複数の車体取付孔11aが設けられており、図示しないネジを用いて図示しない車両ボディの後方に取付けられる。ハウジング11の前方側には、アウターカバー19が設けられ、テール・アンド・ストップランプ2、バックランプ3、ターンランプ1および再帰反射部4の全てを覆って、アウターカバー19とハウジング11がシールされている。
【0026】
第1収容部5に位置するテール・アンド・ストップランプ2は、複数のテール・アンド・ストップランプ用LED13c、13c・・・を搭載したテール・アンド・ストップランプ用光源基板14cと、テール・アンド・ストップランプ用光源基板14cの前方に設けるリフレクタ枠体15と、2枚のインナーレンズ17と、レンズカバー18とを有する。リフレクタ枠体15は、第1収容部5、第2収容部6および第3収容部7に相当する部分に区画された一体構造とされている。第1収容部5に相当する部分には、ターンランプ用開口15a、ストップランプ用開口15bおよびリフレクタ15cが形成されている。リフレクタ枠体15は、ポリカーボネートなどの樹脂部材を用いて一体に形成され、前面側の表面にはアルミ反射膜が形成されている。テール・アンド・ストップランプ用光源基板14cおよびリフレクタ枠体15はハウジング11に固定され、2枚のインナーレンズ17およびレンズカバー18はリフレクタ枠体15に固定されている。符号21がテールランプ発光領域、符号22がストップランプ発光領域である。テール・アンド・ストップランプ2の詳細については、
図3から
図8を用いて後述する。
【0027】
ターンランプ1は、複数のターンランプ用LED13a、13a・・・を搭載した光源基板14aと光源基板14aの前方に設けたターンランプ用導光部材13a1とを有する。ターンランプ用導光部材13a1は、後端面がターンランプ用LED13aに対向する入射面とされ、ターンランプ用LED13aから出射した光がターンランプ用導光部材13a1の内部を導光した後に前端面から出射する。
【0028】
バックランプ3は、複数のバックランプ用LED13b、13b・・・を搭載した光源基板14aと、光源基板14aの前方に設けた導光部材13b1とを有する。バックランプ用導光部材13b1は、後端面がバックランプ用LED13bに対向する入射面とされ、バックランプ用LED13bから出射した光がバックランプ用導光部材13b1の内部を導光した後に前端面から出射する。
【0029】
光源基板14aは、バックランプ3とターンランプ1で共有され、同一の光源基板14aの同一の表面側である前方側の表面に複数のターンランプ用LED13a、13a・・・と、バックランプ用LED13b、13b・・・が搭載されている。リフレクタ枠体15には、ターンランプ用導光部材13a1、13a1の前端面に対応する大きさ2つのターンランプおよびバックランプ用開口15a、15aと、バックランプ用導光部材13b1の前端面に対応する大きさの1つのターンランプおよびバックランプ用開口15aが形成されている。本実施形態においては、ターンランプ用導光部材13a1の前端面とバックランプ用導光部材13b1の前端面の大きさを同一とすることで、リアコンビネーションランプ10の正面視において、非点灯状態においてバックランプ3とターンランプ1とが同じ意匠形状をなすようにして統一感が得られるようにしている。なお、
図2において符号8は、リアコンビネーションランプ10と車両とを電気的に接続するためのケーブル、符号12は電源から供給される電力をLEDの点灯に適した電圧に変換するための制御基板である。
【0030】
次に、
図3から
図8を用いてテール・アンド・ストップランプ2の詳細について説明する。
【0031】
図3は、
図1のリアコンビネーションランプ10のテール・アンド・ストップランプ2に用いるテール・アンド・ストップランプ用光源基板14cの斜視図である。テール・アンド・ストップランプ用光源基板14cは、ガラスエポキシ樹脂からなるプリント基板でありテール・アンド・ストップランプ用LED13cを点灯するための図示しない配線が設けられている。複数のテール・アンド・ストップランプ用LED13c、13c・・・は、対応するランプ機能に応じて、第1のLED光源群21aと、第2のLED光源群22aに分けられる。第1のLED光源群21aは、テールランプ発光領域21に対応し、第2のLED光源群22aは、ストップランプ発光領域22に対応する。テールランプ発光領域21とストップランプ発光領域22は、
図1に示すように交互に左右方向に並んで配置されている。本実施形態においては、テールランプ発光領域21に対応する第1のLED光源群21aは、4箇所の発光領域に対応して4箇所に離れて配置されている。同様にストップランプ発光領域22に対応する第2のLED光源群22aは、3箇所に離れて配置されている。
図2において第1のLED光源群21aを点線で囲み、第2のLED光源群22aを破線で囲んでいる。複数のテール・アンド・ストップランプ用LED13c、13c・・・は、テールランプおよびストップランプの発光色の規格に適合する赤色LEDとされている。
【0032】
図4は、テール・アンド・ストップランプ2に用いるリフレクタ枠体15、インナーレンズ17およびレンズカバー18の部分を示す分解斜視図である。
図5は、
図4のA部、すなわちリフレクタ枠体15のテールランプ発光領域21に対応する部分を拡大して示す概略斜視図である。リフレクタ枠体15のストップランプ発光領域22を形成する領域には、リフレクタ15cが形成されている。リフレクタ15cは、テール・アンド・ストップランプ用光源基板14cの前面を覆うように配置される。リフレクタ15cには、第1のLED光源群21aを構成する各テール・アンド・ストップランプ用LED13cに対応する大きさの開口が設けられおり、その開口の周囲に周囲反射面27が形成されている。周囲反射面27が、本願発明におけるインナーレンズ固定枠に相当する。周囲反射面27は、第1のLED光源群21aを構成する各テール・アンド・ストップランプ用LED13cを中心とした多段の鋸歯形状の断面を有する複合反射面であり、複合反射面が各LED13cに対応して複数に区画されている。さらに、テールランプ発光領域21との境界および左右方向の境界には、各LED13cを中心に設けていない複合反射面と近似する意匠をなす多段の鋸歯形状の断面を有す反射面を設け、ストップランプ発光領域22の全体の意匠の統一感を高めている。区画された周囲反射面27の夫々の間には、前方側反射面28が形成されている。前方側反射面28は、周囲反射面27よりも前方側に突出した高さを有する壁面であり、それぞれの区画を区切る境界部でもある。
【0033】
リフレクタ枠体15のテールランプ発光領域21を形成する領域は、ストップランプ発光領域22に隣接して設けられており、中央には複数のLED13cに対応する開口15fが設けられている。開口15fは、ストップランプ発光領域22を区画する周囲壁面15eにて周囲が囲まれている。周囲壁面15eは、開口15fの左右方向に位置しストップランプ発光領域22との境界となる区画壁23と、上下方向に位置しインナーレンズ17を支持する支持部24からなる。
【0034】
支持部24には、2枚のインナーレンズ17を位置決め固定するための段差部が設けられている。後方側となる第1インナーレンズ17aは、高さh1とした第1支持部24aの上に載置され、前方側となる第2インナーレンズ17bを高さh3とした第2支持部24bの上に載置する。これにより後方側に位置する第1インナーレンズ17aと前方側に位置する第2インナーレンズ17bは[h3-h1]の距離だけ離間して配置される。なお、第1インナーレンズ17aには
図6に示すように上下端部に第1支持部24aに対応する凸部が形成され、第2インナーレンズ17bには上下端部に第2支持部24bに対応する凸部が形成されている。なお、
図5においては、下側の支持部24のみが現れているが上側の支持部も下側と同様に形成されている。
【0035】
第1支持部24aの上に第1インナーレンズ17aを載置したときに、第1インナーレンズ17aの前方側表面までの高さが、この支持部の段差の高さh2と同一になるように、第1支持部24aの高さh1およびインナーレンズの厚みが設定されている。同様には、第2インナーレンズ17bの前方側表面までの高さがこの支持部の段差の高さh5と同一になるように、第2支持部24bの高さh4およびインナーレンズの厚みが設定されている。また、区画壁23の高さh5は、第1支持部24aの高さh1と同一である。区画壁23の高さh5は、第1支持部24aの上に第1インナーレンズ17aを載置したときに、同時に区画壁23の上に第1インナーレンズ17aの左右両方の端縁が載置するように形成されている。これにより、テールランプ発光領域21に位置する第1のLED光源群21aが点灯したときには、各LED13aからの光は全てが第1インナーレンズ17aを通過して前方方向に向かって進むことになる。レンズカバー18は、第2インナーレンズ17bの上面(前方側表面)から周囲壁面15eの周囲を覆うようにしてリフレクタ枠体にフック構造にて固定される。
【0036】
また、ストップランプ発光領域22を区画する周囲壁面15eの中で最も高さの低い箇所は、高さh1の第1支持部24aと高さh5の区画壁23となり、ストップランプ発光領域22のリフレクタ15cは、この高さh1およびh5よりも低い位置、すなわち後方側に位置する。従って、テールランプ発光領域21に位置する第1のLED光源群21aが点灯したときには、第1インナーレンズ17aを通過した一部の光は第2インナーレンズ17bにて反射され、区画壁23の前方側端部と第2インナーレンズ17bとの間を覆うレンズカバー18の側面18aから出射して周囲反射面27および前方側反射面28に向かうことになる。これにより、レンズカバー側面18aから漏れた光が周囲反射面27および前方側反射面28にて反射されて灯具前方側に向けて拡散して照射することになる。したがって、テールランプ発光領域21に対応する第1のLED光源群21aを点灯したときに、テールランプ発光領域21のみでなく、ストップランプ発光領域22であるリフレクタからも反射光が出射して有効に活用される。なお、レンズカバー側面18aには、いわゆるフルートカットと呼ばれる断面が半円柱形状のレンズ素子が、半円柱形状のレンズ素子の中心軸が前後方向に沿って複数形成されており、上下方向に向かって拡散した光を出射するようにされている。
【0037】
図10は、テールランプユニット2aのみを点灯したときの配光特性を示す照度の測定データである。(A)がテールランプ発光領域21に位置する第1のLED光源群21aのみを点灯させたとき配光特性を示す。図面において横軸が左右方向をリアコンビネーションランプ10の中心を0度としたときの角度を示し、縦軸がリアコンビネーションランプ10の中心を0度としたときの上下方向の角度を示す。濃淡が等照度領域を示している。(B)は、(A)と同じテールランプユニット2aにおいて、第2インナーレンズ17bを黒色の表面が粗面からなる紙部材に置換して測定したときの測定データであり、レンズカバー側面18aから漏れた光による配光特性に相当する。(C)は、(A)と同じテールランプユニット2aにおいて、レンズカバー側面18aの内部に黒色の表面が粗面からなる紙部材にレンズカバーの内面に接して挿入して測定したときの測定データであり、側面以外の光による配光特性に相当する。したがって、(A)の配光特性は(B)の配光特性と(C)の配光特性の合成値に概ね相当することになる。(A)と(C)を比較すると左側(L)50度付近までは同一であるが、(C)では55度付近から照度が低下するが(A)では60度付近から照度低下が生じはじめており、レンズカバー側面18aから漏れる光が存在することがわかる。また(B)に示すようにレンズカバー側面18aから漏れた光の照度曲線からわかるように、多くの光が側面から漏れ出た後に、リフレクタ15cで反射されて出射していることがわかる。
【0038】
本実施形態では、第1インナーレンズ17aと第2インナーレンズ17bとを離間するとともに、それぞれの高さおよび周囲壁面15eとリフレクタの高さを所定の関係とすることで、レンズカバー側面18aから漏れた光を積極的に利用している。すなわち、テールランプユニット2aが点灯したときに、レンズカバー側面18aから漏れた光をストップランプ発光領域22のリフレクタ、特に、様々な方向の反射面の集合体である複合反射面からなる周囲反射面27により反射することで、配光特性に寄与させるとともに、リアコンビネーションランプ10全体の視認性も高められている。
【0039】
図6は、本実施形態のテールランプユニット2aに使用するインナーレンズ17の夫々を出射方向側から見たときの形状を示す平面図である。第1インナーレンズ17aの出射方向側の表面、すなわち前方側表面には、複数のプリズムレンズカットが設けられている。複数のプリズムレンズカットは、
図8に示すような延伸方向261aとした半柱状の凸プリズムである。各々のプリズムレンズカットは、延伸方向261aと直交する断面においては、
図8に示すように複数の屈曲した直線からなる多段形状をなし、延伸方向261aには平面をなす。多段とすることで、全体として半柱状の凸プリズムに近似する形状としている。第2インナーレンズ17bの出射方向側の表面、すなわち前方側表面にも複数のプリズムレンズカットが設けられている。複数のプリズムレンズカットは、延伸方向262aとした半柱状の凸プリズムであり、延伸方向が異なる点以外は、第1インナーレンズ17aに設けた多段形状の複数のプリズムレンズカットと同様である。
【0040】
図7は、本実施形態のテールランプユニット2aに使用するインナーレンズ17の夫々を出射方向と反対側からから見たときの形状を示す平面図である。第1インナーレンズ17aの出射方向側の表面、すなわち前方側表面には、複数のプリズムレンズカットが設けられている。第1インナーレンズ17aおよび第2インナーレンズ17bの夫々に形成したプリズムレンズカットは、262b、261bとされている。
【0041】
図9は、第1インナーレンズ17aおよび第2インナーレンズ17bの夫々に形成したプリズムレンズカットの延伸方向の関係を説明するものであり、本実施形態に記載したように離間して配置した状態を前方側から観視したときにおける互いの延伸方向の関係を示している。第1インナーレンズ17aの前方側表面と後方側表面の延伸方向は互いに直交している。同様に第2インナーレンズ17bの前方側表面と後方側表面の延伸方向は互いに直交している。また、第1インナーレンズ17aにおける延伸方向と第2インナーレンズ17bの延伸方向は45度の関係となっている。このようにすることで、多段としたプリズムレンズの交点において変曲点となり、多数の微小の輝点が観察される発光面を形成することができる。第1インナーレンズ17aにおける延伸方向と第2インナーレンズ17bの延伸方向の交差角度は45度に限るものではなく、30度から60度の間の角度でも良い。30度未満もしくは60度より大きな角度の場合には微小の輝点が観察されにくくなるからである。また、複数のプリズムレンズを複数の方向に設けていることで拡散性を高めることができる。これにより、テールランプの配光特性の輝度ムラを抑制することができ得る。
【0042】
テール・アンド・ストップランプ2が設けられている第1収容部5は、横長の矩形形状とされており、その左右方向の中心線に対して、45度方向に延伸方向261a、262bが位置している。中心線に対して45度とすることで、テールランプの点灯時においてレンズカバー側面18aから漏れる光が水平方向に対して傾斜して出射する確率が高くなり、ストップランプ発光領域22に反射しされ、最終的にリアコンビネーションランプ10を搭載した車両の斜め後方からの視認性が高くなる。第2インナーレンズ17bの前方側表面および後方側表面に設けたプリズムレンズカットの延伸方向261a、262bを45度としたが、何れかのプリズムレンズのレンズカットの延伸方向を45度とすれば同様の効果が得られるものと推察される。
【0043】
また、本実施形態では、凸プリズムレンズとしたが、凹形状のプリズムレンズとした場合でもよい。さらに、第1インナーレンズ17aおよび第2インナーレンズ17bの夫々の表面、合計4つの表面に形成しているが、合計して3つの表面に形成してあれば良い。例えば、第2インナーレンズ17bの後方側表面、すなわち第1インナーレンズ側の表面にはプリズムレンズを設けずない平滑面としても良い。平滑面とすることで、第2インナーレンズ17bの内部に入射せずに反射する一部の光の量を増加させて、レンズカバー側面18aから漏れる光の量を増加させることができる。
【0044】
本実施形態のリアコンビネーションランプは、上記したように全ての光源をLEDとし、リフレクタ枠体15によって、ランプ機能の異なる第1収容部5、第2収容部6および第3収容部7に区分してハウジングの前方側から組み入れることで製造することができる。これにより、リアコンビネーションランプの薄型化および灯具全体のコンパクト化を図ることができ得る。さらに部品点数の削減および製造工程の簡略化を図ることができ得る。
【0045】
また、ストップランプ発光領域においては、複合反射面からなる周囲反射面27を多数形成しているので、ストップランプの配光特性の輝度ムラを抑制することができ得る。さらに周囲反射面27と前方側反射面を設けていることで、非点灯状態において後続車のヘッドランプの照射光にて照らされたときに、後続車の運転手に向かって反射する光を低減するとともに点在させることができる。特にトラックに本実施形態のリアコンビネーションランプを設けたときには、その設置位置が乗用車よりも高い位置とな易い。その場合において、後続車の運転手に対し後続車自身のヘッドランプによる照射光がリアコンビネーションランプで反射して運転者に対して幻惑光となることを防止することができ得る。
【0046】
次に他の実施形態のリアコンビネーションランプについて
図11および
図12を用いて説明する。なお、前述したリアコンビネーションランプと同一構成については同一の符号を付し、ここでの説明を省略する。
【0047】
図11は他の実施形態に係るリアコンビネーションランプ30の正面図であり、
図12は他の実施形態に係るリアコンビネーションランプの変形例を示す正面図である。
図11のリアコンビネーションランプ30と
図12のリアコンビネーションランプ40は、テール・アンド・ストップランプを収容する第1収容部5におけるリフレクタ枠体の意匠が前述の実施形態のテール・アンド・ストップランプが異なる。
【0048】
図11のリアコンビネーションランプ30では、リフレクタ枠体の意匠がストップランプ発光領域を形成する3か所の領域のリフレクタ31と、テールランプ発光領域を形成する2か所の領域の開口33からなる意匠とされている。
【0049】
一方、
図12のリアコンビネーションランプ40では、リフレクタ枠体の意匠がストップランプ発光領域を形成する2か所の領域のリフレクタ32と、テールランプ発光領域を形成する3か所の領域の開口34からなる意匠とされている。
図12のリフレクタ32が
図11の開口33に相当する形状とされ、
図12の開口33が
図11のリフレクタ31に相当する形状とされている。すなわち、
図11のリアコンビネーションランプ30と
図12のリアコンビネーションランプ30とでは、テール・アンド・ストップランプを収容する第1収容部5において、ランプ機能が異なる同一配置の意匠としている。
【0050】
このような意匠の変更を可能とするために
図11および
図12の実施形態においては、リフレクタ枠体においてリフレクタと開口の関係を逆の関係にしたものを2通り作成し、他の部材、すなわちハウジング、LED光源、光源基板、ターンランプ、バックランプ、再帰反射部、アウターカバーを全て共通の部材としている。インナーレンズおよびレンズカバーは夫々の形状が異なるため2通りの意匠に対応する形状とする。なお、符号30は、リアコンビネーションランプ点灯制御装置、符号35はテール・アンド・ストップランプ制御部で
図11の場合と
図12の場合とで点灯するLED群に流す信号を変更するための制御部である。符号36は電源である。テール・アンド・ストップランプ制御部35は、
図11の発光状態とするか
図12の発光状態とするか、具体的にはテールランプとして機能させるか、ストップランプとして機能させるかを領域に応じて選択的に変更可能に制御する部分である。これにより、同一のリアコンビネーションランプ点灯制御装置37を用いることができる。
【0051】
以上に、本発明の実施形態及びその変形例を説明したが、上記実施形態および変形例はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその趣旨から逸脱することなく他の様々な形で構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。例えば、テール・アンド・ストップランプ用の光源基板とターンランプ、バックランプ用の光源基板は同一の1枚の基板としても良い。
【符号の説明】
【0052】
1…ターンランプ
2…テール・アンド・ストップランプ
2a…テールランプユニット
2b…ストップランプユニット
3…バックランプ
4…再帰反射部(RR)
5…第1収容部
6…第2収容部
7…第3収容部
10…車両用灯具(リアコンビネーションランプ)
11…ハウジング
12…制御基板
13…光源(LED)
13c…テール・アンド・ストップランプ用LED
14…光源基板
15…リフレクタ枠体
16…再帰反射素子
17…インナーレンズ
18…レンズカバー(カバー部材)
19…アウターカバー
21…テールランプ発光領域
22…ストップランプ発光領域
23…区画壁
24…支持部
25…半柱状プリズム
27…周囲反射面
28…前方側反射面
30,40…リアコンビネーションランプ
37…リアコンビネーションランプ点灯制御装置