(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】出水口キャップ及び飲料水供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 3/02 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B67D3/02 A
(21)【出願番号】P 2019013869
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2018015173
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】外山 賢
(72)【発明者】
【氏名】守谷 和行
(72)【発明者】
【氏名】庄野 幸司
(72)【発明者】
【氏名】平野 健
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-091728(JP,U)
【文献】特開平09-178022(JP,A)
【文献】特開2000-266196(JP,A)
【文献】特開2017-154807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 3/04
F16K 31/06-31/11
G07F 13/00-15/12
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水タンクから出水口までの水路を電気的に開閉し、かつ非通電状態で前記水路を閉じる開閉弁を有し、前記出水口が前記開閉弁の開閉方向に設けられた飲料水供給装置の出水口キャップであって、
前記出水口に着脱可能に構成された筒状の筐体と、
前記筐体の前記開閉方向の両端部のうちの開方向側に設けられ、かつ前記筐体が前記出水口に装着された筐体装着状態で前記出水口と連通して開口する入水開口部と、
前記入水開口部から前記開方向側に突出し、前記筐体装着状態において、先端が閉位置の前記開閉弁を前記開方向に押し開く突出部と、
前記筐体の前記開閉方向の両端部のうちの閉方向側に設けられ、かつ前記入水開口部と連通して開口する出水開口部と、
を備えることを特徴とする出水口キャップ。
【請求項2】
前記入水開口部と前記出水開口部との間を連通する水路を開閉する開閉部をさらに有する、
請求項1に記載の出水口キャップ。
【請求項3】
前記突出部は、
前記開閉方向の両端部のうちの前記開方向側に設けられ、かつ前記入水開口部と連通して開口する入水孔と、
前記開閉方向の両端部のうちの前記閉方向側に設けられ、かつ前記入水孔と連通して開口する出水孔と、
を有する請求項1または2に記載の出水口キャップ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の出水口キャップを備えることを特徴とする飲料水供給装置。
【請求項5】
常温水を貯留する常温水タンクと前記出水口とを連通し、前記常温水タンクから前記出水口に常温水を流す常温水路と、
冷水を貯留する冷水タンクと前記出水口とを連通し、前記冷水タンクから前記出水口に冷水を流す冷水路と、
温水を貯留する温水タンクと前記出水口とを連通し、前記温水タンクから前記出水口に温水を流す温水路と、
前記出水口の上流側に設けられ、前記常温水路、前記冷水路、及び前記温水路が合流する合流点と、
前記常温水タンクと前記合流点との間の前記常温水路上に設けられ、前記常温水路を開閉する常温水用開閉弁と、
前記冷水タンクと前記合流点との間の前記冷水路上に設けられ、前記冷水路を開閉する冷水用開閉弁と、
前記温水タンクと前記合流点との間の前記温水路上に設けられ、前記温水路を開閉する温水用開閉弁と、
を備え、
前記出水口キャップは、前記筐体装着状態において、前記突出部が前記合流点を介して前記常温水用開閉弁または前記冷水用開閉弁を開方向に押し開く
請求項4に記載の飲料水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出水口キャップ及び飲料水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水供給装置の一例として、ウォーターサーバがある。ウォーターサーバは、飲料水タンクに貯留された飲料水を、利用者の操作に応じて出水口から出水するものである。このようなウォーターサーバには、飲料水タンクと出水口との間をつなぐ水路に電磁弁が設けられ、当該電磁弁が開閉することにより、飲料水が出水口から出水するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2では、弁体に連なるプランジャを電磁力によって作動させて、弁体を弁口から離間さえた開弁状態と、弁体を弁口に当接させた閉弁状態との間で移動させることで弁の開閉を行うように構成された電磁弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-129541号公報
【文献】特開2017-26012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁弁で水路を開閉するウォーターサーバでは、例えば、地震等の災害により停電が生じた場合、電磁弁を開弁できないことから、飲料水タンク内に飲料水があるにも関わらず、当該飲料水を利用することができない場合がある。また、水路上の電磁弁の手前に水抜き栓を設け、当該水抜き栓を外すことで出水するものも存在するが、飲用を想定したものではないことから、出水がしにくく、水抜き栓の緩み等により水漏れが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、停電時でも出水口での出水が可能となる出水口キャップ及び飲料水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る出水口キャップは、飲料水タンクから出水口までの水路を電気的に開閉し、かつ非通電状態で前記水路を閉じる開閉弁を有し、前記出水口が前記開閉弁の開閉方向に設けられた飲料水供給装置の出水口キャップであって、前記出水口に着脱可能に構成された筒状の筐体と、前記筐体の前記開閉方向の両端部のうちの開方向側に設けられ、かつ前記筐体が前記出水口に装着された筐体装着状態で前記出水口と連通して開口する入水開口部と、前記入水開口部から前記開方向側に突出し、前記筐体装着状態において、先端が閉位置の前記開閉弁を前記開方向に押し開く突出部と、前記筐体の前記開閉方向の両端部のうちの閉方向側に設けられ、かつ前記入水開口部と連通して開口する出水開口部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記出水口キャップにおいて、前記入水開口部と前記出水開口部との間を連通する水路を開閉する開閉部をさらに有するものである。
【0009】
また、上記出水口キャップにおいて、前記突出部は、前記開閉方向の両端部のうちの前記開方向側に設けられ、かつ前記入水開口部と連通して開口する入水孔と、前記開閉方向の両端部のうちの前記閉方向側に設けられ、かつ前記入水孔と連通して開口する出水孔と、を有するものである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る飲料水供給装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の出水口キャップを備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記飲料水供給装置において、常温水を貯留する常温水タンクと前記出水口とを連通し、前記常温水タンクから前記出水口に常温水を流す常温水路と、冷水を貯留する冷水タンクと前記出水口とを連通し、前記冷水タンクから前記出水口に冷水を流す冷水路と、温水を貯留する温水タンクと前記出水口とを連通し、前記温水タンクから前記出水口に温水を流す温水路と、前記出水口の上流側に設けられ、前記常温水路、前記冷水路、及び前記温水路が合流する合流点と、前記常温水タンクと前記合流点との間の前記常温水路上に設けられ、前記常温水路を開閉する常温水用開閉弁と、前記冷水タンクと前記合流点との間の前記冷水路上に設けられ、前記冷水路を開閉する冷水用開閉弁と、前記温水タンクと前記合流点との間の前記温水路上に設けられ、前記温水路を開閉する温水用開閉弁と、を備え、前記出水口キャップは、前記筐体装着状態において、前記突出部が前記合流点を介して前記常温水用開閉弁または前記冷水用開閉弁を開方向に押し開くものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る出水口キャップ及び飲料水供給装置によれば、停電時でも出水口での出水が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る出水口キャップを含む飲料水供給装置の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、出水口キャップの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、出水口キャップの概略構成を示す他の斜視図である。
【
図4】
図4は、出水口キャップの概略構成を示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、非通電状態で閉弁時の電磁弁と飲料水の状態を示す模式図である。
【
図6】
図6は、通電状態で開弁時の電磁弁と飲料水の状態を示す模式図である。
【
図7】
図7は、出水口に出水口キャップを装着するときの電磁弁と飲料水の状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、筐体装着状態における電磁弁と飲料水の状態を示す模式図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る突出部の概略構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係る出水口キャップの概略構成を示す模式図である。
【
図11】
図11は、変形例2に係る飲料水供給装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0015】
[実施形態]
本実施形態に係る飲料水供給装置100を
図1~
図8を参照して説明する。飲料水供給装置100は、例えば、飲料水102を所定の温度に加熱または冷却し、あるいは常温のまま供給するウォーターサーバである。飲料水供給装置100は、
図1に示すように、出水口キャップ1と、装置本体2とを備える。出水口キャップ1は、例えば、飲料水供給装置100の出水口103に装着されるものである。装置本体2は、主に、飲料水タンク101と、出水口103と、水路105と、電磁弁107とを含んで構成される。なお、
図2~
図8(
図10を含む)に示す開閉方向は、飲料水供給装置100における電磁弁107の開閉方向であり、出水口103に対する出水口キャップ1の装着方向に沿った方向に相当する。この開閉方向において、電磁弁107が開く方向を開方向、電磁弁107が閉じる方向を閉方向と呼ぶ場合がある。
【0016】
飲料水タンク101は、例えば、常温水タンク101Aと、冷水タンク101Bと、温水タンク101Cとで構成される。
【0017】
常温水タンク101Aは、常温水を貯留するものである。常温水は、常温の飲料水102である。常温は、飲料水供給装置100が設置された環境の温度であり、例えば室内温度である。常温水タンク101Aは、内部に飲料水102が充填された状態で、装置本体2の上部に配置されるものであり、装置本体2に保持または収容される。常温水タンク101Aは、例えば、交換用の給水容器として、着脱可能に構成されていてもよい。常温水タンク101Aは、飲料水供給装置100の上下方向のうちの上方向側に配置されており、冷水タンク101Bと連通している。ここで、
図1に示す飲料水供給装置100の上下方向とは、電磁弁107の開閉方向に相当する。
【0018】
冷水タンク101Bは、常温水タンク101Aから供給される飲料水102を冷却し、冷水として貯留するものである。冷水タンク101Bは、装置本体2の中部に配置されるものであり、装置本体2に保持または収容される。冷水タンク101Bは、内部に貯留する飲料水102を常温水層と冷水層とに分けて貯留する。冷水タンク101Bは、例えば、断熱性を有する容器で形成されており、不図示の冷却装置を有する。冷却装置は、貯留された飲料水102を、例えば熱交換器等により冷却する。冷水タンク101Bには、内部に溜まった飲料水を外部に排出するドレインDが設けられている。ドレインDを開栓することで冷水タンク101B内に溜まった飲料水を排水することができる。
【0019】
温水タンク101Cは、冷水タンク101Bから供給される飲料水102を加熱し、温水として貯留するものである。温水タンク101Cは、装置本体2の下部に配置されるものであり、装置本体2に保持または収容される。温水タンク101Cには、冷水タンク101B内の常温水層に溜まった常温水が流入する。温水タンク101Cは、例えば、断熱性を有する容器で形成されており、不図示の加熱ヒータを有する。加熱ヒータは、貯留された飲料水102を加熱する。温水タンク101Cは、飲料水供給装置100の下方向側に配置されており、冷水タンク101Bと連通している。温水タンク101Cには、冷水タンク101Bと同様に、ドレインDが設けられている。このドレインDを開栓することで温水タンク101C内に溜まった飲料水を排水することができる。
【0020】
水路105は、例えば、常温水路105Aと、冷水路105Bと、温水路105Cとで構成される。
【0021】
常温水路105Aは、冷水タンク101Bと出水口103とを連通し、冷水タンク101Bから出水口103に常温水を流す配管である。常温水路105Aは、冷水タンク101B内に貯留する飲料水102のうち、上層側に滞留する常温水層から常温水を出水口103まで導くものである。
【0022】
冷水路105Bは、常温水路105Aと異なる位置で冷水タンク101Bと出水口103とを連通し、冷水タンク101Bから出水口103に冷水を流す配管である。常温水路105Aは、冷水タンク101B内に貯留する飲料水102のうち、下層側に滞留する冷水層から冷水を出水口103まで導くものである。
【0023】
温水路105Cは、温水タンク101Cと出水口103と連通し、温水タンク101Cから出水口103に温水を流す配管である。温水路105Cは、温水タンク101C内に貯留する温水を出水口103まで導くものである。
【0024】
出水口103は、飲料水102を外部に出水する部分である。出水口103は、
図2に示すように、筒状に形成され、飲料水供給装置100の上下方向のうちの下方向に突出するように配置される。出水口103は、3つの水路105、すなわち常温水路105A、冷水路105B、及び温水路105Cが合流する合流点106の下流側に設けられている。
【0025】
電磁弁107は、飲料水タンク101から出水口103までの水路105を電気的に開閉するものである。電磁弁107は、主に、ソレノイドコイル111と、開閉弁113と、スプリング115とを含んで構成される。電磁弁107は、非通電状態において、スプリング115により開閉弁113を閉方向に付勢して、当該開閉弁113を閉位置に移動させ、通電状態において、不図示の電源からソレノイドコイル111に通電することによって周囲に磁束が生じ、開閉弁113を開方向に駆動して開位置に移動させる。電磁弁107は、不図示の操作部からの操作信号に応じて、非通電状態から通電状態に遷移し、開閉弁113を駆動して閉位置から開位置にする。電磁弁107は、常温水路105A、冷水路105B、及び温水路105Cの各水路105上に設けられている。常温水用電磁弁107Aは、常温水路105Aを開閉するものである。冷水用電磁弁107Bは、冷水路105Bを開閉するものである。温水用電磁弁107Cは、温水路105Cを開閉するものである。すなわち、電磁弁107は、水路105を開閉し、出水口103からの飲料水102の出水を制御する。本実施形態における冷水用電磁弁107Bは、出水口103から温水路105Cを開方向に沿って配置されている。
【0026】
出水口キャップ1は、
図3及び
図4に示すように、筐体10と、入水開口部20と、突出部30Aと、出水開口部40と、水路50とを含んで構成される。出水口キャップ1は、例えば合成樹脂等で成形されている。
【0027】
筐体10は、筒状に形成され、出水口103に着脱可能に構成される。筐体10は、出水口キャップ1の出水口103への装着時において、手指で保持される部分である。筐体10は、持ち手部10aと、係止部11と、ノズル部12と、ガイド部13とを含んで構成される。持ち手部10aは、筐体10の最外周面に複数形成されており、筐体10の持ち手の一部となる部分である。持ち手部10aは、最外周面において、曲面が部分的に略平面に形成された部分である。係止部11は、開閉方向の両端部のうちの開方向側に設けられている。係止部11は、筐体10の外周に設けられた切り欠きであり、出水口103側の外周に設けられた突起部103aに係止される。ノズル部12は、円筒状に形成され、筐体10から閉方向に延在する。ガイド部13は、突出部30Aに沿って筐体10から開方向に向けて立設された外周壁である。ガイド部13は、筐体10が出水口103に装着された筐体装着状態で、その内周面が出水口103の外周面と対向するように形成される。ガイド部13は、筐体装着状態で、突出部30Aが開閉弁113の中心を開方向に押し上げるべく設けられており、突出部30Aを中心として同心円上に形成されている。ガイド部13には、係止部11が形成されている。
【0028】
入水開口部20は、筐体10の開閉方向の両端部のうちの開方向側に設けられ、かつ筐体装着状態で出水口103と連通して開口する部分である。入水開口部20は、筐体装着状態において、水路50の一部を形成する。
【0029】
突出部30Aは、入水開口部20から開方向側に突出し、筐体装着状態において、先端が閉位置の開閉弁113を開方向に押し開く部分である。本実施形態における突出部30Aは、筐体10と別体に、中実の部材として成形されている。突出部30Aは、開閉方向に延在して柱状または棒状に形成されており、閉方向側の端部が筐体10の内部に開方向から閉方向に向けて突き当てた状態で固定されている。突出部30Aは、出水口キャップ1の径方向の中心に位置するように、筐体10に固定される。突出部30Aは、筐体装着状態で、出水口キャップ1内の水路50の一部を形成する。
【0030】
出水開口部40は、筐体10の開閉方向の両端部のうちの閉方向側に設けられ、かつ入水開口部20と連通して開口する部分である。出水開口部40は、筐体10から閉方向に延在するノズル部12の先端に形成されている。出水開口部40は、飲料水102を外部に出水する部分である。
【0031】
水路50は、入水開口部20から出水開口部40に飲料水102を導く水路であり、開閉方向に沿って形成されている。水路50は、筐体10の内周面と突出部30Aの外周面との間の空間、ノズル部12の内部空間で構成される。
【0032】
次に、本実施形態に係る飲料水供給装置100の出水動作について
図5~
図8を参照して説明する。なお、本実施形態では、一例として、冷水用電磁弁107Bを開閉して飲料水102を出水させる場合について説明する。
【0033】
飲料水供給装置100は、
図5に示すように、筐体10が出水口103に装着されていない筐体非装着状態において、冷水用電磁弁107Bが非通電状態で開閉弁113が閉位置にある場合、冷水用電磁弁107Bの位置まで冷水路105Bを流れる飲料水102を出水口103から出水しない。
【0034】
次に、飲料水供給装置100は、
図6に示すように、筐体非装着状態において、電磁弁107が通電状態で開閉弁113が開位置にある場合、冷水路105Bを流れる飲料水102が開閉弁113を介して出水口103から出水する。飲料水102は、自重で出水口103から閉方向に流れ落ちる。
【0035】
飲料水供給装置100において、例えば、停電等により給電が停止した場合、ユーザ(不図示)は、
図7に示すように、出水口103に出水口キャップ1を装着する。ユーザは、出水口キャップ1を手に持ち、当該出水口キャップ1を出水口103に対して開方向に挿入する。ユーザは、出水口キャップ1を開閉方向を中心に捻りながら、係止部11を、出水口103側の突起部103aに係止する。このとき、出水口キャップ1は、突出部30Aの開方向側の先端が閉位置の開閉弁113を開方向に向けて押し開いていく。開閉弁113が開位置に移動すると、
図8に示すように、冷水用電磁弁107Bの位置まで冷水路105Bを流れる飲料水102が、開閉弁113を介して出水口キャップ1内の水路50を流れて、ノズル部12の閉方向側の先端の出水開口部40から出水する。このとき、飲料水102は、自重で出水口103から閉方向に流れ落ちる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る出水口キャップ1及び飲料水供給装置100は、出水口103と冷水用電磁弁107Bとの間の水路が合流点106を挟んで直線状に配置され、突出部30Aが筐体装着状態で閉位置の開閉弁113を開方向に押し開き、出水口103と連通する入水開口部20を介して出水開口部40から飲料水102を出水させる。これにより、電磁弁107が非通電状態で開閉弁113が閉位置にあっても、筐体装着状態で突出部30Aが開閉弁113を開方向に押し開くことができるので、例えば停電時であっても出水口103からの出水が可能となる。また、停電時等において、飲料水供給装置100の内部でドレインDを開栓したり、飲料水供給装置100の内部を解体することで水を取り出すことなく、出水口103から出水が可能となるので、衛生的な飲料水の供給が可能となる。また、電池等の予備電源を利用することなく、飲料水102の出水が可能となり、緊急時の即応性を向上させることが容易となる。また、出水口キャップ1の筐体10が出水口103に着脱可能に構成されているので、出水口キャップ1を飲料水供給装置100から取り外して管理することができ、例えば、子供のいたずらや誤操作による出水を防止することが可能となる。また、出水口キャップ1は、筐体装着状態において、突出部30Aが合流点106を介して冷水用電磁弁107Bを開方向に押し開く。これにより、出水口103に装着された出水口キャップ1から温水が出ることがないので、利用者が出水口キャップ1から流れ出る温水を予期できず、思わぬトラブルになることを防止することができる。また、常温水または温水が電磁弁107から合流点106を介して出水口キャップ1に向けて出水する場合に比べて、冷水が冷水用電磁弁107Bから出水口キャップ1に向けて、水路の屈曲部を介することなく直線状に流れる。この結果、出水口キャップ1から出水する冷水の流量低下を抑制することができる。
【0037】
[変形例1]
上記実施形態では、突出部30Aは、中実の部材として成形されているが、これに限定されるものではなく、
図9に示す突出部30Bのように、中空の部材として成形されていてもよい。突出部30Bは、内部空間部31と、複数の入水孔33と、複数の出水孔35a,35bとを有する。内部空間部31は、突出部30Bに内部にあって延在方向(開閉方向)に延在して形成されている。内部空間部31は、複数の入水孔33及び複数の出水孔35a,35bと連通している。入水孔33は、開閉方向の両端部のうちの開方向側に設けられ、かつ入水開口部20と連通して開口する。出水孔35aは、開閉方向の両端部のうちの閉方向側に設けられ、かつ内部空間部31を介して入水孔33と連通して開口する。出水孔35bは、開閉方向の両端部のうちの閉方向の端部に設けられ、かつ内部空間部31を介して入水孔33と連通して開口する。なお、入水孔33及び出水孔35a,35bは、突出部30Bの外周面に複数形成されているが、図示の数、形状、位置に限定されるものではない。
【0038】
次に、本実施形態の変形例1に係る飲料水供給装置100の出水動作について
図10を参照して説明する。変形例1に係る飲料水供給装置100では、冷水用電磁弁107Bの位置まで冷水路105Bを流れる飲料水102が、出水口キャップ1内の水路50だけでなく、突出部30Bの内部空間部31をも流れる。飲料水102は、入水孔33から内部空間部31に流れ込み、内部空間部31を経由して出水孔35a,35bから再び水路50に流れ出る。これにより、突出部30Bで開閉弁113を安定的に押し上げながら、飲料水102が流れる空間を確保することができ、出水開口部40から飲料水102の出水量を増やすことができる。
【0039】
本実施形態の変形例1に係る出水口キャップ1及び飲料水供給装置100は、突出部30Bが、開方向側に設けられ、入水開口部20と連通して開口する入水孔33と、閉方向側に設けられ、入水孔33と連通して開口する出水孔35a,35bとを有する。これにより、飲料水102が突出部30Bの内部を流れるので、飲料水102の出水量を増やすことが可能となる。
【0040】
なお、上記変形例1では、飲料水102を、筐体10内の水路50、及び、突出部30Bの内部空間部31を流すように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、筐体10内に水路50を形成することなく、突出部30Bの内部空間部31にのみ飲料水102を流すように構成してもよい。
【0041】
上記実施形態及び変形例1では、出水口キャップ1は、手動開閉する開閉弁を有する構成であってもよい。出水口キャップ1は、筐体装着状態では、冷水タンク101Bに飲料水102が残留している限り、出水開口部40から出水する。出水開口部40からの出水を停止させるためには、筐体10を出水口103から取り外さなればならないが、着脱作業が面倒である。そこで、例えば、ノズル部12の開閉方向に中間点に手動開閉が可能なボールバルブ等を設けることで、着脱作業を行うことなく、出水開口部40からの出水を制御することができる。本実施形態の変形例1に係る出水口キャップ1及び飲料水供給装置100は、入水開口部20と出水開口部40との間を連通する水路50を開閉する開閉部をさらに有するので、着脱作業を行うことなく、出水開口部40からの出水を制御することができる。
【0042】
また、上記実施形態及び変形例1では、飲料水供給装置100は、飲料水を供給する装置であるが、飲料水以外の飲料であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態及び変形例1では、3つの水路105A,105B,105Cに対して1つの出水口103を設けているが、これに限定されず、各水路105A~105Cに出水口103をそれぞれ設けてもよい。この場合、水路105A,105Cに対応する2つの出水口103はいずれも、水路105Bに対応する出水口103と同様に、電磁弁107A,107Cの各開閉弁113の開閉方向に設けられており、出水口キャップ1の着脱が可能に構成されている。これにより、冷水タンク101Bだけでなく、常温水タンク101A及び温水タンク101Cに貯留している飲料水102を、出水口キャップ1を利用して出水させることが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態及び変形例1では、出水口キャップ1は、筐体10と、突出部30A,30Bとが別体で構成されているが、これに限定されず、一体で構成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態及び変形例1では、出水口キャップ1は、係止部11により出水口103に係止される構造としているが、これに限定されるものではなく、例えば、出水口キャップ1のガイド部13の内周面と出水口103の外周面とにそれぞれネジ山を設ける構成であってもよい。この場合、出水口103に出水口キャップ1をねじ込んでいくことで、筐体装着状態が可能となり、出水口103と出水口キャップ1とをより安定して固定させることができる。また、ねじ込む加減を調整することで、突出部30A,30Bが開閉弁113を押し開く度合いを微調整することが可能となり、出水開口部40から出水量を容易に調整することが可能となる。
【0046】
上記実施形態及び変形例1では、飲料水供給装置100は、出水口キャップ1を出水口103に装着することで冷水用電磁弁107Bが開き、冷水タンク101B内の冷水が冷水路105Bを介して出水口キャップ1から出水する構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、変形例2に係る飲料水供給装置100は、
図11に示すように、出水口103の真上方向に常温水用電磁弁107A及び常温水路105Aが配置された装置本体2Aを備える構成であってもよい。例えば、変形例2に係る装置本体2Aは、
図1に示す実施形態と異なり、配管が飲料水供給装置100に向かって左から温水路105C、常温水路105A、冷水路105Bの順に配置され、これに合わせて電磁弁107が左から温水用、常温水用、冷水用の順に配置される。装置本体2Aでは、出水口103に出水口キャップ1を装着することで常温水用電磁弁107Aが開いて常温水路105Aを流れる常温水が出水口キャップ1から出水する。
【0047】
このように、変形例2に係る飲料水供給装置100では、出水口103と常温水用電磁弁107Aとの間の水路が合流点106を挟んで直線状に配置され、出水口キャップ1が、筐体装着状態において、突出部30A,30Bが合流点106を介して常温水用電磁弁107Aを開方向に押し開く。これにより、出水口103に装着された出水口キャップ1から温水が出ることがないので、利用者が出水口キャップ1から流れ出る温水を予期できず、思わぬトラブルになることを防止することができる。また、冷水または温水が電磁弁107から合流点106を介して出水口キャップ1に向けて出水する場合に比べて、常温水が常温水用電磁弁107Aから出水口キャップ1に向けて、水路の屈曲部を介することなく直線状に流れる。この結果、出水口キャップ1から出水する常温水の流量低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 出水口キャップ
2 装置本体
10 筐体
12 ノズル部
13 ガイド部
20 入水開口部
30A,30B 突出部
31 内部空間部
33 入水孔
35a,35b 出水孔
40 出水開口部
100 飲料水供給装置
101 飲料水タンク
102 飲料水
103 出水口
50,105 水路
107 電磁弁
111 ソレノイドコイル
113 開閉弁
115 スプリング