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特許7177068電力自給式ドアリーフ手段を有するインテリジェントドアリーフを備えたドア及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電力自給式ドアリーフ手段を有するインテリジェントドアリーフを備えたドア及びその方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
E06B9/68 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019539941
(86)(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018050683
(87)【国際公開番号】W WO2018145852
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-07-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】102017102599.5
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501394011
【氏名又は名称】エファフレックス・トーア-ウント・ジッヒャーハイツジュステーメ・ゲーエムベーハー・ウント・シーオー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アイヒシュテッター,カール
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】西田 秀彦
【審判官】有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137527(JP,A)
【文献】特開2011-32733(JP,A)
【文献】特開2009-24392(JP,A)
【文献】特開2001-95221(JP,A)
【文献】特開2011-166894(JP,A)
【文献】特開2002-374661(JP,A)
【文献】特開2008-270410(JP,A)
【文献】特開2003-120156(JP,A)
【文献】特公平4-48918(JP,B2)
【文献】実開昭60-40680(JP,U)
【文献】特開2012-88008(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2067922(EP,A1)
【文献】特開平8-199950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向ガイド内にガイドされ、ドア開口部を覆い、第1及び第2面を有するドアリーフと、
前記ドアリーフを開位置と閉位置との間で移動する駆動手段と、
第1の通信ユニットを備え、前記駆動手段を駆動するドア制御手段と、
前記ドアリーフ内に配置された電力自給可能なドアリーフ手段であって、少なくとも1つの物理量を検出する少なくとも1つのセンサユニットと、非電気エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器と、前記第1の通信ユニットと互いに無線通信を行う第2の通信ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータユニットとを備える前記ドアリーフ手段と、を備え、
前記エネルギー変換器は、機械的エネルギー貯蔵要素であるばねと、中心軸を持つコイルと、前記中心軸に沿って移動可能なように前記ばねに取り付けられた磁石である振動錘とを有し、前記ドアリーフの加速に伴って前記錘が前記コイルに対する相対運動を行うことにより、ドアリーフの加速運動を前記振動錘の減衰振動に変換して前記コイルに電圧を発生させ、ドアリーフの動きにより利用可能となる機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することを特徴とし、
前記センサユニットは、少なくとも1つの加速度センサを含み、
前記加速度センサによって測定された加速度値は、前記ドアリーフ手段によって前記ドア制御手段に送信され、前記ドア制御手段は、前記加速度値を少なくとも1つの予め設定された第2の加速度閾値と比較することによって、前記ドアに不適切なユーザー設定が行われたかどうかを判断する、
最高速が3m/s超の高速の工業用ドアを含む、ドア。
【請求項2】
前記エネルギー変換器は、誘導原理に基づくように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドア。
【請求項3】
前記エネルギー変換器は線形発電機であり、
エネルギー変換器の錘の自由度は、f=1であり、
前記錘の自由度は、前記ドアリーフの端部要素の基本的な加速方向と一致するよう設定される、
ことを特徴とする請求項2に記載のドア。
【請求項4】
前記エネルギー変換器は、前記ドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を利用して、前記ドアリーフ手段のための電気エネルギーを生成するよう構成された熱/電圧変換器をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドア。
【請求項5】
前記ドアリーフは、端部要素を有し、
前記少なくとも1つのセンサユニットは、前記端部要素に配置された衝突センサを有する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のドア。
【請求項6】
前記ドアリーフは、インターロックを有し、
前記少なくとも1つのセンサユニットは、前記インターロックのロック状態を検出するロックセンサを有し、
前記ドアリーフ手段は、機械的又は電気的インターロックのロック状態を前記ドア制御手段に伝達し、
前記ドア制御手段は、前記ドアリーフがロックされている場合、駆動を禁止する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のドア。
【請求項7】
前記インターロックは、スイッチを含む機械装置又は電気装置である、
ことを特徴とする請求項6に記載のドア。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサユニットは、
前記ドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を検出する温度センサと、
外部温度センサと、
前記ドアリーフとの少なくとも1つの、移動方向とその加速を検出する加速度センサを備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のドア。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサユニットは、温度センサを有し、
前記温度センサによって測定された温度差は、前記ドアリーフ手段から前記ドア制御手段に送信され、それによって前記ドアの気密性の判定を行う、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のドア。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサユニットは、少なくとも1つの外部温度センサを有し、
前記外部温度センサによって測定された室外温度は、前記ドアリーフ手段によって前記ドア制御手段に送信され、前記ドア制御手段は、予め設定された閾値と前記測定された室外温度を比較することにより、夏期運転と冬期運転を切り替え、
夏期運転中は、前記ドアがその閉位置において完全には閉じられていない、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のドア。
【請求項11】
前記加速度センサによって測定された前記加速度値は、前記ドアリーフ手段によって前記ドア制御手段に送信され、前記ドア制御手段は、前記加速度値を少なくとも1つの予め設定された第1の加速度閾値と比較することによって、前記ドアが損傷又は摩耗しているかどうかを判断する、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のドア。
【請求項12】
前記ドアリーフ手段は、
前記エネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵ユニット、
前記エネルギー変換器によって生成されたエネルギーを管理するエネルギー管理ユニット、及び
計算ユニットの、少なくとも1つをさらに備え、
前記計算ユニットは、信号処理ユニットを有するとともに、前記アクチュエータユニットと接続される
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のドア。
【請求項13】
前記ドアリーフ手段は、前記エネルギー変換器、前記エネルギー管理ユニット、前記エネルギー貯蔵ユニット、前記計算ユニット、前記センサユニット、及び前記少なくとも1つのアクチュエータユニットを有し、エネルギーを自給可能なシステムユニットを形成し、変換され蓄積されたエネルギーを用いてこれらの構成要素にエネルギーを供給し、前記ドアリーフ手段への外部エネルギー供給は必要としない、
ことを特徴とする請求項12に記載のドア。
【請求項14】
前記ドアリーフ手段は、一体型アセンブリを形成していること、及び、前記ドアリーフの端部要素に配置されていること、の両方またはいずれかの特徴を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のドア。
【請求項15】
最高速が3m/s超の高速の工業用ドアを含む、ドアのための方法であって、
前記ドアのドアリーフに配置されたドアリーフ手段のエネルギー変換器によって非電気エネルギーを電気エネルギーに変換する工程と、
前記ドアリーフ手段のエネルギー貯蔵ユニットに前記電気エネルギーを貯蔵する工程と、
前記ドアリーフ手段の少なくとも1つのセンサユニットによって、少なくとも1つの物理量を検出する工程と、
前記検出された物理量を前記ドアリーフ手段の通信ユニットによって前記ドアの駆動手段を制御するために設けられた固定ドア制御手段に送信する工程と、
を備え、
前記送信は無線で行われ、
前記検出する工程及び前記送信する工程は、もっぱら、前記貯蔵された電気エネルギーを用いて行われ、
前記エネルギー変換器は、機械的エネルギー貯蔵要素であるばねと、中心軸を持つコイルと、前記中心軸に沿って移動可能なように前記ばねに取り付けられた磁石である振動錘とを有し、前記ドアリーフの加速に伴って前記錘が前記コイルに対する相対運動を行うことにより、ドアリーフの加速運動を前記振動錘の減衰振動に変換して前記コイルに電圧を発生させ、ドアリーフの動きにより利用可能となる機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することを特徴とし、
前記センサユニットは、少なくとも1つの加速度センサを含み、
前記加速度センサによって測定された加速度値は、前記ドアリーフ手段によって前記ドア制御手段に送信され、前記ドア制御手段は、前記加速度値を少なくとも1つの予め設定された第2の加速度閾値と比較することによって、前記ドアに不適切なユーザー設定が行われたかどうかを判断する
方法。
【請求項16】
前記検出された物理量は、少なくとも、前記ドアリーフの温度及び前記ドアリーフの加速度の、いずれかまたはそれらの両方である、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非電気エネルギーを電気エネルギーに変換して、ドアのドアリーフに配置され、少なくとも1つの物理量を検出する少なくとも1つのセンサユニットを有する、電力自給可能なドアリーフ手段にエネルギーを供給するためのエネルギー変換器の使用であって、
前記エネルギー変換器は、機械的エネルギー貯蔵要素であるばねと、中心軸を持つコイルと、前記中心軸に沿って移動可能なように前記ばねに取り付けられた磁石である振動錘とを有し、前記ドアリーフの加速に伴って前記錘が前記コイルに対する相対運動を行うことにより、ドアリーフの加速運動を前記振動錘の減衰振動に変換して前記コイルに電圧を発生させ、ドアリーフの動きにより利用可能となる機械的エネルギーを電気エネルギーに変換し、
前記センサユニットは、少なくとも1つの加速度センサを含み、
前記加速度センサによって測定された加速度値は、前記ドアリーフ手段によってドア制御手段に送信され、前記ドア制御手段は、前記加速度値を少なくとも1つの予め設定された第2の加速度閾値と比較することによって、前記ドアに不適切なユーザー設定が行われたかどうかを判断する、
エネルギー変換器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力自給式の電気機械ドアリーフ手段を有するドアリーフを備えたドア、特に高速の工業用ドア、及び、そのようなドアのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速ドアは実際にはよく知られており、長年にわたって試行とテストが行われてきた。それらは民間および商業部門における多種多様なドア開口部を閉鎖する役割を果たす。工業用ドアは、建物の内部と外部を分離するのに使用されることが多い。例えば、シャッタードアや格納式ドアは、高速ドアとして特によく知られている。
【0003】
例えば、ローラーシャッター(シャッタードア)のドアリーフは、開く動作中にドアのまぐさの領域で巻き取られるか、もしくは他の巻き層と接触することなく円形スパイラル又は細長いスパイラルにガイドされる。後者の設計は、長い耐用年数及び信頼性と共に高速の移動を達成するので、特に工業目的に使用される
【0004】
このような高速の工業用ドアは、頻繁に出入りされるドアの開口部を確実に閉じることを証明してきた。これらの工業用ドアのドアリーフは、大きなストローク、多くの場合、数メートルのストロークで移動される。大抵、3m/s以上の高い作動速度が達成されるため、フォークリフト車などの連続する2回の通過の間にそのような工業用ドアを閉じることが通常可能であり、それにより天候の影響、すきま風や、部屋内の空調管理された雰囲気の損失から守られる。従って、このようなドアは、エネルギー効率の高いビルの実現に貢献する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ドイツ特許出願公開第20 2008 013 354 U1号
【文献】ドイツ特許出願公開第200 01 473 U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような工業用ドアの安全で快適な操作を確保するために、一連のセンサを設けることができる。これらのセンサは、通常、ドアの操作上の安全性向上及び/又はドアの動作状態の監視を行う役割を果たす。例えば、クラッシュセンサとしても知られる衝突センサは、ドアリーフの下端に使用され、作動中のドアリーフと人又は物体との間の衝突を検出する。このような障害物との衝突が発生した場合は、通常、人及び/又は物体を保護するための保護対策を講じる必要がある。
【0007】
このようなセンサ用への電力供給は、特に移動負荷が大きいため、通常稼動中に機械的に劣化するスパイラルケーブルやトレーリングケーブルによりって行われることが多い。さらに、これらのケーブルが機械的に損傷する危険性があり、ケーブルホルダーの突起部分が高速ドアの近くにいる人に怪我をさせてしまう危険性がある。
【0008】
トレーリングケーブルに代わるものとして、従来のエネルギーチェーンもドアリーフに設置されて、使用される。これは、これらの接続はオペレータには見えないことを意味する。しかしながら、エネルギーチェーンもまた磨耗や機械的経年劣化の問題がある。
【0009】
さらに、ケーブルやエネルギーチェーンの使用は、高度な設計努力を必要とする。これは、ドアリーフの動きによって、そして特定の状況下ではドアの動作条件によって引き起こされる高い機械的応力によるものであり、対応するコストと関連している。例えば、冷蔵室や洗車用のドアを使用する場合は、非常に高品質のケーブルやエネルギーチェーンを使用する必要がある。これは、これらのケーブルやエネルギーチェーンの曲げ半径が必要とするスペース要件が高いことと関連している。
【0010】
配線に代わるものとして、特許文献1は、ローラーシャッタードアリーフの最下部のスラット内に配置されるセンサユニット用の電源としてバッテリーを開示している。このようなバッテリーは、時期が来れば交換する必要があるため、定期的なメンテナンスが必要である。ドアリーフにはわずかなスペースしか利用できないので、特許文献1では、全高が非常に低いボタン電池を使用している。これは、この電池のエネルギー容量がかなり低いことも意味し、メンテナンス間隔が短くなり好ましくない。
【0011】
さらに、バッテリーは安全上の理由から望ましくない場合が多い。例えば、ドアは火災の際にも確実に機能しなければならない(ある状況下では、管理センターの要求によりドアは閉じたままであるか、開かなければならない)が、これは必ずしも単なるバッテリー動作の場合ではない。
【0012】
従って、電池式ドア装置の耐用年数の長期化と可用性向上を確保するために、特別なバッテリーが通常使用される。これらの特別なバッテリーは決して日常用品ではなく、特別な流通ルートを介してしか購入できない場合が多い。そのようなバッテリーの設置場所への輸送も、制限的な法的要件の対象となる。その結果、工業用ドアに特殊バッテリーを使用すると、コストが増大し、使用リスクが高まることになる。
【0013】
特許文献2には、可動式及び/又は駆動式ドアで人や物を保護するための安全システムを備えた工業用ドアが開示されている。ドアリーフ上にある信号伝送ユニットには、充電式バッテリー形態のエネルギー貯蔵装置が設けられており、これは、誘導エネルギー・カップリング装置又は誘導エネルギー伝送装置を介して、あるいはソーラーパネルを介して外部から電力供給される。ドアとドア制御装置との間のデータ伝送は、無線データ伝送を介して行われる。
【0014】
特許文献2に開示されている、ドアに取り付けられた電気装置への電力供給に対して利用し得る上記の2つの方法には、メンテナンス間隔を延長するものの、建設費が高く、エラーが起こりやすいという欠点がある。ドアリーフへの装置の誘導供給を行うためには、十分に強い磁場を発生する適切な誘導変圧器をドアの近くに設けなければならない。この「ケーブル交換」を行う場合、構造的に複雑で、エネルギー供給の効率が低下してしまう伝送損失が生じるため、特に不利である。さらに、誘導変圧器はその範囲が制限されているので、誘導エネルギー伝送は、ドアリーフのある特定の開放位置でしか通常行われない。その結果、例えば、エネルギー伝達が起こり得る位置に定期的に接近することがないように、もしくは、この位置を非常に短い時間だけ通過するようにドア制御が設定されている場合、確実なエネルギー供給は保証されない。
【0015】
また、特許文献2に準拠したソーラーパネルのドアへの敷設もまた、パネルの汚染や損傷の危険性があり、この形態のエネルギー供給も信頼できるものではない可能性があることを意味している。ドアリーフ、ひいては損傷を受けやすいソーラーパネルは、高い機械的応力を受ける。同様に、例えば、車両とドアリーフとが衝突した場合には、脆弱なソーラーパネルは損傷の危険にさらされる。また、ドアの開閉状態によっては、ソーラーパネルの位置が利用可能な光照射に対して変化し、ソーラーパネルの動作条件を悪化させてしまう。冬季および夜間の動作中にも、ごく少ない利用可能な太陽エネルギーをドアの電気機器に確実に供給可能でなければならない。これは、ドアが動かされる時間帯や季節に関係なく、ドアのエネルギーが利用可能でなければならないことを意味する。ソーラーパネルの場合、この要件は満たされていない。例えば、ドアが建物内に設置されている場合、この時点では日光は利用できない。
【0016】
特許文献2の上記解決策は、ドアの動作を制限し、ドアの信頼性にマイナスとなる。加えて、これらの解決策は、かなりの費用を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、確実かつ最適化された動作が可能であり、及び/又は、費用効果の高いドアを提供することである。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、ドアの確実かつ最適化された動作を可能にすることができるドアのための方法を提供することである。
【0019】
これらの目的は、独立請求項の主題によって解決される。さらなる態様及び有利なさらなる改善は、従属請求項の主題である。
【0020】
本発明の一態様によれば、ドア、特に高速の工業用ドアが提供される。このドアは、横方向ガイドにガイドされ、ドア開口部を覆い、第1面及び第2面を有するドアリーフと、ドアリーフを開位置と閉位置との間で移動する駆動手段と、第1の通信ユニットを備え、駆動手段を制御するドア制御手段と、ドアリーフ内に配置される電力自給式のドアリーフ手段であって、少なくとも1つの物理量を検出する少なくとも1つのセンサユニットと、(機械的エネルギー又は熱エネルギーなどの)非電気エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器と、第1の通信ユニットと互いに無線で通信可能である第2の通信ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータユニットとを少なくとも備える電力自給式のドアリーフ手段とを備える。
【0021】
本発明の意味におけるドアは、ドア開口部を覆う可動ドアリーフを備えた装置である。
【0022】
そのようなドアは、例えば、ホール閉鎖や建物内の熱的分離(例えば、貯蔵区域と冷却区域との間の分離)を行う機能を果たす。
【0023】
本発明に係るドアは、例えば、多数の個々の要素を含むドアリーフが横方向に取り付けられたガイド内でガイドされるシャッタードア又は格納式ドアである。スラットやドアフレームとしても知られるドアリーフのこれらの個々の要素は、互いに移動可能に又は斜めに接続されている。
【0024】
特に、ドアは、ドアリーフが高い最高速度、例えば、1m/秒より速い、好ましくは、2m/秒より速い、特に、3m/秒より速い速度で移動する高速の工業用ドアであってもよい。この移動は、ドアの駆動手段によって行われ、この駆動手段は、例えば、強力な電気モータ、空気圧リフトシリンダ又は油圧装置を有する。また、この駆動手段は、歯車、ベルト、連結要素などの他の機械的構成要素を備えることができる。
【0025】
また、ドアは、ドアを半自動又は全自動で制御するドア制御手段も備えている。この種のドア制御手段は、通常、開閉操作ならびに種々の操作及び/又は安全ルーチンを行うための制御プログラム(ソフトウェア)を有するマイクロコンピュータを備えている。また、ドア制御手段は有線で設けることもできる。また、ドア制御手段には、ドアを手動で開くための圧力スイッチのような操作要素が設けられていてもよい。
【0026】
また、上記ドアは、ドアリーフ内に配置されたドアリーフ手段を備えている、すなわち、ドアリーフ手段がドアリーフに一体化されている。このドアリーフ手段により、ドアの操作中にドア制御手段が考慮すべき物理量の取得/検出、さらなる処理及び通信/送信が行われる。
【0027】
従って、ドアリーフ手段は、少なくとも1つのセンサ、例えば、温度センサ又は加速度センサを有し、検出された物理量は、ドアリーフ手段の第2の通信ユニットにより、動作に関連するパラメータとして(すなわち、ドアリーフの移動又はドアの動作をトリガするための一般に関連するパラメータとして)ドア制御手段の第1の通信ユニットに送信される。最も簡単な場合には、第1の通信ユニットは無線信号用の受信ユニットであり、第2の通信ユニットは相補型送信ユニットである。また、赤外線を介して情報を送信することもできる。
【0028】
ドアリーフ手段の通信ユニット(すなわち、少なくとも1つの送信ユニット)は、特にエネルギー消費を低下させるために最適化された(超)低電力無線ユニットであることが好ましい。特に、送信ユニットと受信ユニットとの間の通信は必要な場合にだけ行われる。例えば、433MHz又は833MHz帯域で通信を行うことができる。特に、送信ユニットは、対応する送信トリガイベントがある場合(例えば、検出されたセンサ値が所定の閾値を超えた場合に送信が実行される場合)、動作に関連するパラメータを独立して送信することができる。あるいは、送信ユニットは、一定の間隔で送信を行うことができる(例えば、温度測定値は5分ごとに送信可能である)。
【0029】
上記目的のために、ドアリーフ手段は、エネルギーを自給可能であり、バッテリーを備えずに構成されている。これにより、例えば、バッテリーのメンテナンスが不要になり、太陽電池などの外付けデバイスも排除することができる。さらに、ドアリーフ手段に電力を供給するためのケーブル接続が不要となるので、莫大な機械的努力やケーブル破損の危険性が回避される。一方、従来の解決策では、ドアリーフ手段に電力を供給するのに用いられるケーブルは、ドアリーフの移動距離や加速力にも耐え得るよう設計されなければならず、特に工業用ドアの場合、問題となり得る。
【0030】
これにより、ドアの操作をより確実に行い、それを最適化することが可能となる。例えば、信号線が壊れた場合やバッテリーが空になった場合に発生し得るドアのダウンタイムが軽減される。
【0031】
本発明によれば、エネルギー変換器は、電力又はエネルギーの発電機であり、それによって環境又はドアリーフの移動からの非電気的な形態のエネルギーが電気エネルギーに変換され、それによりドアリーフ自体に電流が発生する。言い換えれば、ドアリーフ手段は、それ自体の動作に必要な電気エネルギーを自身で生成する。エネルギー変換器を使用することによって、ドアリーフ手段は電力を自給しており、すなわち、ドアリーフ手段の外部電源や追加の電源を必要としない(例えば、特許文献2のように電気又は誘導電源を必要としない)。従って、エネルギー変換器によって変換された、もしくは環境から「収集された」エネルギーは、それのみで、ドアリーフ手段の(電気)消費部を動作させるのに十分である。
【0032】
非電気エネルギーは、例えば、機械エネルギー又は熱エネルギーである。ドアリーフ手段のエネルギー変換器及び消費部は、信頼性の高い電力供給を確保するようさらに構成されている。
【0033】
この目的のために、ドアリーフ手段の電子部品は、電力消費が非常に低く、好ましくは、必要な時にだけ通電されるように、好ましくは/任意に設計されている。そのような電子部品は、例えば、「超低電力」部品として入手可能である。
【0034】
基本的に、特に、工業用の高速ドアは、機械エネルギー変換器の使用が好ましい機械的構成条件を有する。例えば、そのようなドアは、通常、非常に高い加速力(通常はいくらかのG)を有するので、高いエネルギー収量を有する機械エネルギー変換器を使用することができる。
【0035】
そのようなドアのための動作条件、例えば、ドアリーフの加速度値や移動距離、ならびに場所も既知であるので、ドアリーフ手段は、独創的なエネルギー変換器を用いて特にうまく設計することができ、エネルギー収量がさらに向上する。例えば、ドアリーフの移動当たりの既存の機械的エネルギー変換ポテンシャルは(ドアリーフの移動当たりのエネルギー消費にも関連して)正確に定義される。これらの好ましい構成条件により、ドアリーフ手段全体を電力自給可能に設計することができる。
【0036】
例えば、電気機械エネルギー変換器が、ドアのストローク当たり(すなわち、開閉動作当たり)に、一定量のエネルギー、例えば、25mWsを生成することを実験的に判断することができる。従って、ドアリーフ手段の消費部は、例えば、ドアリーフ手段全体のエネルギー損失を考慮に入れて、1ストローク当たり12.5mWs(=25mWsの50%)を消費することができる。上記の例では、ドアリーフ手段のセンサが、例えば、衝突センサである場合、ドアリーフ手段の消費部には、ドアリーフが移動しているときでも(特にドアリーフの初期加速後に)同時にエネルギーを供給しければならない。エネルギー変換及びエネルギー需要のこの時間パリティにより、ドアリーフ手段の用途指向かつ電力自給可能なエネルギー供給を実現し、その信頼性を高める。
【0037】
また、すでに述べたように、コストがかかり、エラーが発生しやすいバッテリーやケーブルが回避される。このように、エネルギー変換器によってドアリーフ手段の消費部に対して電力自給による供給を行うことにより、この装置の故障確率が低下する。輸送、廃棄、メンテナンス、バッテリー交換が不要であるため、バッテリーを使用しない場合も、安全性及び環境面全般が考慮される。
【0038】
さらに、例えば、誘導変圧器など、ドアのドアリーフ手段に電力を供給するのに他の追加の装置が不要である。ドアリーフ手段は、コンパクト設計であるため、ドアリーフの全体構造に費用のかかる変更を加える必要なしに、ドアリーフ内で利用可能な限られたスペースに一体化することができる。さらに、そのような装置は、メンテナンスフリー又はメンテナンスの必要性が低い。
【0039】
要約すると、本発明のドアリーフ手段は、より信頼性が高く、より費用効果が高い。
【0040】
本発明の電源によって、ドアのいくつかの用途を効果的に実現することができる。ドアリーフ手段の少なくとも1つのセンサユニットによって、外部温度や内部温度などのドアの動作上関連のある周囲パラメータを取得することができる。衝突防止又はドアリーフの反応、ドアリーフの位置、施錠状態のための安全上重要なパラメータも具体的に監視することができる。
【0041】
センサから得られた情報は、独立した又はインテリジェントな方法で、この情報を変換する少なくとも1つのアクチュエータユニットに直接転送することもできる。あるいは、センサから得られた情報は、演算/計算ユニットによる判定を行うことも可能であり、それによって、計算ユニットは、所定の規則に従って制御コマンドをアクチュエータユニットに送信する。アクチュエータユニットは、例えば、磁気解除、リレー、小型の電気サーボモータであってもよい。可能な用途としては、ドアリーフのロック、不要な動きに対する保護、盗難からの保護、表示素子、例えば、発光ダイオード(LED)を用いてセンサが検出した情報を知らせることなど、多種多様である。例えば、ドアリーフに配置された機械的インターロックに関する情報を記録することができる。これらの機械的インターロック/ロック機構は、例えば、オペレータがキーを用いて操作することができる。ドアがロックされたら、モータを作動させたり通電したりしてはいけない。この情報は、対応するセンサによって記録され、コントローラーに転送される。これは、インテリジェントドアの模範的なデザインである。
【0042】
本発明によれば、ドアリーフ手段は、エネルギー変換器、センサユニット、送信ユニット、そして好ましくは少なくとも1つのアクチュエータユニットを備えている。これらの機能的な個々の構成要素により、「インテリジェント」ドアリーフを実現することができ、ドアリーフの動作パラメータを記録し、少なくとも1つのアクチュエータによってそれらを独立して反応に変換するだけでなく、好ましくは無線で制御ユニットに送信し、電力自給可能でもある。
【0043】
本発明の改良によれば、本発明に係るエネルギー変換器は、ドアリーフの移動により利用可能となる機械的エネルギーを電気エネルギーに変換し、センサユニットとしても機能し得る電気機械装置である。
【0044】
従って、本発明の電気機械式かつ電力自給可能なドアリーフ手段は、エネルギー変換器において非電気エネルギーを電気エネルギーに変換するよう機能する機械的構成要素、ならびに、記録した操作関連パラメータのさらなる処理及び通信/伝送に役立つ電気的又は電子的構成要素を有する。MEMSシステムとしても知られる微小電気機械システムは、この目的のために使用可能であることが好ましい。
【0045】
この改良によるエネルギー変換器は、ドアリーフの各開閉プロセスとそれに関連する加速プロセス中に発生する機械的エネルギーを用いる。開閉プロセス中は、ドアリーフは、例えば、最高速度3m/sで数メートルのストロークを実行することができる。この動きの動態は、覆われるドア開口部の高さと開閉の程度によって決まる。開閉プロセスは、ドアの開口部全体に影響を及ぼす可能性があるが、部分的にしか行われない場合もあり、すべてのプロセスでドアを完全に開閉する必要はない。しかしながら、いずれにせよ、ドアリーフは駆動手段によって強く加速される、すなわち、まずは最高速度に達した後、再び停止状態に制動される。
【0046】
エネルギー変換器は、ドアリーフのドアリーフ手段内に配置されているので、ドアリーフと共に移動し、それに応じて加速される。ドアリーフ内のドアリーフ手段の位置とドアのガイドの設計に応じて、ドアリーフ手段の動きは基本的には直線的で、かつ/または、ドアリーフの巻き付け動作に追従してもよい。
【0047】
エネルギー変換器は、例えば、線形発電機として設計することができる。エネルギー変換器内の錘は、ドアリーフの加減速中にその慣性によって直線的に偏向される。この偏向は、例えば、誘導原理又は圧電原理により電力を生じさせることができる。
【0048】
例えば、誘導原理に従って動作する線形発電機では、錘は通常磁石であり、好ましくは、磁束密度の高い希土類磁石である。錘又は磁石は、一つ以上のコイル内を移動する。ドアの加速によって生じる錘とコイルとの間の相対運動は、誘導効果によって電圧を発生させる。線形発電機の場合、磁石が誘導の法則に従って移動した時に原理上生成され得る電圧は以下のように簡易的に推定される。
【0049】
[数1]
U=-dφ/dt=-N*A*dB/dt
【0050】
ここで、φは磁束、Aはコイルの断面積、Bは磁気誘導、Nは誘導コイルの巻き数、dφ/dtはコイルの磁束変化である。数ボルトの短期誘導電圧を得ることができる。
【0051】
そして、生成されたエネルギーは、次の式により変換可能である。
【0052】
[数2]
E=L*I2/2、及び、
【0053】
[数3]
L=μ0*N2*A/l
【0054】
空気充填コイルの場合、Lはヘンリーのコイルのインダクタンス、μ0は磁気定数、Aはコイルの面積、lはコイル内の磁束の長さである。実験によれば、大きく寸法決めされたコイル及び磁石を用いた場合、数10又は100mAの短期電流が流れることが可能であることが分かる。その結果、例えば、ドアストローク当たり数10mWsを発生させることができる。このように、熟達者であれば、上記式と実験により線形発電機を設計することもできる。
【0055】
ドアリーフがそのガイドに追従し、それにより正確に規定された運動を行うことを要求することによって、錘及び/又は磁石の少なくとも1つの自由度f又は意図された運動の可能性は、エネルギー変換器が効果的に作動することができるよう、ドアリーフの少なくとも1つの基本的な加速方向と一致するように規定することができる。
【0056】
錘は、振動可能で、f=1の自由度(並進の自由度)を有し、それに応じて直線に沿って前後に移動可能となるよう、少なくとも1つのばねから懸架されていることが好ましい。
【0057】
例えば、ドアリーフがそのガイド内で上下に直線移動する場合、磁石を備えたエネルギー変換器は、ドアリーフが開閉された時にドアリーフ内の磁石が上方又は下方に移動することができるよう配置される。
【0058】
上記磁石は、例えば、並進可能な線形ガイド内に配置することができる。
【0059】
ばね上の懸架装置の代替として、磁石を2つの油圧式又は機械式ショックアブソーバ間に取り付け、それらの間で自由にかつ直線的に前後に動かすこともできる。
【0060】
特に、錘とその懸架装置は、エネルギー変換器の効率が最適化されるように、ドアリーフの運動の既知の動態に適合させることもできる。例えば、上述の線形発電機内の1つ又は複数のばね定数と錘は、ドアリーフの通常の加速中に錘がコイルの理想的な動作範囲内でちょうど偏向するように設計することができる。この錘の並進は、コイルの長さと同じくらいの大きさであることが好ましい。
【0061】
工業用ドアは最高速度に到達し、ドアリーフの開閉プロセス中には、それに応じて高い加速を受け、錘の偏向を引き起こすため、この運動エネルギー例では、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することによりエネルギー収量が向上する。従って、ドアリーフが移動するたびに、ドアの移動時にこのエネルギーを通常必要とする、対象となる消費部のために電気エネルギーが生成される。ドアリーフの長い耐用年数後でも、ドアの使用時、すなわち、ドアリーフの初期加速を通してエネルギーが利用可能である。この点において、電気エネルギーはその需要に応じて利用可能となる。
【0062】
バッテリーは自己放電するため、この要件を恒久的に満たすことはできない。本発明のエネルギー変換器は、ドアリーフの機械的エネルギーを用いて電気エネルギーを発生させるので、動作の信頼性が向上する。
【0063】
本発明の改良によれば、上述のエネルギー変換器は、機械的エネルギー貯蔵要素、好ましくは所定のばね定数を有するばね、及び、それに取り付けられた振動錘を有し、それによって、ドアリーフの動作中又は移動中、例えば、開閉中のドアリーフの(ぎくしゃくした)加速運動がエネルギー貯蔵要素を(減衰させて)振動させる。
【0064】
本発明によれば、機械的エネルギー貯蔵要素は、ドアリーフの移動によって発生し、移動のプロセスを超えて短時間だけ利用可能である機械的エネルギーを蓄積することができ、その後長期間にわたって該エネルギーを利用可能にすることができる要素である。よって、機械的エネルギーから電気エネルギーへのエネルギー変換の継続時間は、貯蔵要素によって延長することができ、それによりエネルギー変換効率が向上する。
【0065】
このように、機械的エネルギーから電気エネルギーへの変換のためのエネルギー変換器の使用は、エネルギー貯蔵要素によってさらに促進される。
【0066】
ばね、圧縮空気貯蔵器、フライホイールなどのエネルギー貯蔵要素を使用することができる。ドアのほぼ直線的な加速運動に起因して、弾性ばねは、その撓みの方向に応じて配置可能であるので、エネルギー貯蔵要素として有利である。例えば、線形ばねや曲げばね又はねじりばねをばねとして使用可能である。
【0067】
例えば、加速時には、弾性ばねは、弾性ばねに取り付けられた錘の慣性によって撓む。このばね力は、錘の撓みに対抗し、その錘を減衰振動に設定し、それをエネルギーの生成に用いることができる。これはドアリーフが加速されなくなっても継続することができる。例えば、錘は、開閉プロセスを通じて毎回2度短い加速を受ける。これらの運動のそれぞれが錘をより長い振動に設定するのに十分であるようにばね定数が設定されている場合、エネルギー変換プロセスの継続時間が長くなる。
【0068】
本発明の改良によれば、エネルギー変換器は、誘導原理又は圧電原理に基づくように構成することができる。
【0069】
電磁誘導では、上記にさらに詳細に説明したように、磁束密度が変化すると電圧が発生する。例えば、移動磁石を使用することができる。あるいは、導体又はコイルが動いている間、磁石は静止していてもよい。
【0070】
そのため、エネルギー変換器は、電気エネルギーを生成する内蔵型のコンパクトなシステムである。エネルギー変換器は、ドアリーフの動きや加速度にしか依存せず、他の環境パラメータには依存しないので、エネルギー変換器は、他の装置とは無関係に、ドアリーフに設置することができる。ドアリーフの誘導やドアリーフの駆動の種類により、電気機械エネルギー変換器を使用するための機械的構成条件も正確に知られており、それがエネルギー変換器の設計がこの目的のために最適化され得る理由である。
【0071】
また、電気エネルギーを結合するための外部誘導コイルなど、ドアリーフの外側の他の補助装置も回避される。そのような誘導原理によるエネルギー変換器は、コンパクトでロバスト、かつ高効率で実現することができる。それにより、ドアリーフ手段の信頼性も向上する。
【0072】
また、エネルギー変換器は圧電原理に従って動作することができる。好適な圧電素子は、例えば、一方の端部(舌状)が懸架され、他方の自由端部に錘を有する細長いプレートレットの形態の一般的な弾性屈曲共振器であり得る。錘が加速されると、屈曲共振器が振動するよう設定されている。
【0073】
エネルギー変換器は、ドアリーフの移動以外の環境パラメータとは無関係に電気エネルギーを生成するので、エネルギー変換器のコンパクト設計も圧電素子にとって特に有利である。
【0074】
本発明の改良によれば、エネルギー変換器は線形発電機であり、エネルギー変換器の錘の自由度は1である(f=1)。錘の自由度は、ドアリーフの端部要素の基本的な加速方向に対応するよう設定される。
【0075】
本発明の改良によれば、上述のエネルギー変換器は、熱/電圧変換器とすることができる。このような熱/電圧変換器は、温度差を電気エネルギーに変換することができる熱電発電機である。この熱電発電機は、ゼーベック効果や逆ペルチェ効果に基づいており、温度差が、好ましくは板状の要素の両側に配置された2つの電極に電圧を生じさせる。例えば、ペルチェの様な要素は、ラメラ内のドアリーフの第1面と第2面との間に取り付けられる。ここでは、その材料として、Bi2Te3、PbTe、SiGe、BiSb、FeSi2などの半導体材料を使用することができる。
【0076】
そのような熱電発電機(又は要素)の効率は、供給された熱エネルギーに対する電力出力の比として定義することができる。この効率は、材料特性に依存する。これは、いわゆる熱電効果Zによって説明される。それは、ゼーベック係数と電気伝導率の積が高く、同時に熱伝導率が低い場合、材料が有利な熱電変換特性を有することを意味する。
【0077】
温度境界条件に関する材料特性を考慮した、いわゆるZT値は、効率の大きさにとって不可欠なものである。この効率は、ZT値の増加とともに増加し、無限に高いZTでカルノー効率によって定義される限界値を目指す。本発明の熱電発電機は、1.2より大きい、好ましくは1.5より大きいZT値を有することが好ましい。
【0078】
本発明の熱/電圧変換器は、ドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を利用して電気エネルギーを発生させるように構成される。この第1面はドアリーフの内側であり、第2面は建物の外側である。ドアリーフの共通の個々の要素は、金属材料、例えば、アルミニウムからなり、長方形の中空形状を有する。従って、熱/電圧変換器は、一方の面がドアリーフの対応する第1の内面に熱伝導的に接続され、他方の面がそのドアリーフの第1の内面に対向する第2の内面に熱伝導的に接続されるよう、熱的にアクティブな面と共に(すなわち、熱源とヒートシンクとの間に)ドアリーフの単一要素のキャビティの内側に配置されてもよい。温度差が最大となるため、中空形材の第1の内面は、建物の外側に向かって配置され、中空形材の第2の内面は、建物の内側に向かって配置されるか、またはその逆であることが好ましい。それにより、エネルギー変換器のエネルギー変換効率が向上する。従って、エネルギー変換器の平均エネルギー発生値(より長い期間にわたって平均化された値)は事前に推定可能であるので、本発明に係るドアの通常の設置位置は、ドアリーフ機器の潜在的な常用消費部に十分な電力を熱/電圧変換器によって提供することができるように、建物の閉鎖として、あるいは冷蔵室からの分離としても有利に使用される。
【0079】
ドアリーフ手段は、少なくとも1つのセンサユニットを備えることもできる。これにより、「インテリジェント」ドア制御システムを実施することが可能になり、それによってドア又はドア制御手段及び/又はドアリーフ手段は、それぞれの環境条件及び/又は動作条件にインテリジェントに反応することができる。例えば、インテリジェントドア制御のさらなる改良の例については、以下にさらに詳細に説明する。
【0080】
本発明の改良によれば、ドアリーフは、閉鎖又は端部要素を備えることができ、それによってセンサユニットは端部要素内に配置された衝突センサを有する。
【0081】
本発明に係る端部/閉鎖要素は、閉位置において地面に最も近いドアリーフの端部に形成される。これは、例えば、ドアリーフの最も低い(又は最後の)ラメラ、いわゆるエンドプレート/シールドとすることができる。この端部要素は、キャビティを有するように設計される場合が多い。本発明によれば、衝突センサを端部要素のそのようなキャビティ内に配置することができる。
【0082】
そのような衝突センサは、ドアリーフが衝突を経験したかどうか、すなわち、ドアリーフが「クラッシュ」したかどうかを判定することができる。そのような衝突の結果、人及び/又は物を保護しなければならなくなる場合がある。しかしながら、衝突センサは、差し迫った衝突を(例えば、容量的に)検出することもできるため、衝突防止に役立つ。
【0083】
これにより、ドアの停止時間及びダウンタイムが短縮され、操作が最適化されることになる。
【0084】
本発明の改良によれば、衝突センサは、ドアリーフが障害物と衝突したかどうかを検出する。衝突が発生した場合には、ドアリーフ手段は、その衝突に関する情報をドア制御手段に送信し、ドア制御手段が適切に反応できるようにする。
【0085】
本発明の改良によれば、ドアリーフは、機械的又は電気的インターロックを備えることができ、センサユニットは、機械的又は電気的インターロック/ロックのロック状態を検出するロックセンサを備えることができる。
【0086】
ドアリーフは、ロック解除状態とロック状態とを切り替え可能である。このロックは、1人の人間がキーを使って手動で、もしくは電気的に行うことができる。ドアリーフが施錠されると、通常、ドアリーフの駆動装置を制御することはできなくなる。インターロックは、ドアによって仕切られた部屋を不正アクセスから保護する。
【0087】
インターロックセンサ/ロックセンサは、機械的インターロックの状態を検出することができる。取得/検出は、光信号や圧電信号などの一連の信号を介して行うことができる。ロックセンサの信頼できる機能はあらゆる状況で利用可能でなければならない。火災のような緊急事態では、ロックセンサの信頼できる機能が安全に関わることとなる。
【0088】
ロックセンサは、電力自給式のドアリーフ手段の一部として設計されている。従って、ロックセンサの供給は、外部供給から独立したものである。ドアリーフ手段内のエネルギー変換器によるこの独立した供給は、それ自体がケーブルの断線や操作のような外部のエラーの原因を回避することを意味する。エネルギー変換器の特別な特性及びドアボール装置の電力自給動作のために、バッテリーが空の場合の故障のような電源の故障も排除することができる。これにより、ドアの信頼性が向上する。
【0089】
本発明の改良によれば、センサユニットは、ドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を検出する温度センサ、及び/又は、外部温度センサ、及び/又は、ドアの移動及びその加速の方向を検出する加速度センサを備えることができる。
【0090】
温度センサとしては、例えば、温度変化に応じて抵抗値が変化する部品を用いることができる。そのような温度センサの例として、サーミスタやPT100センサが挙げられる。工業用ドアに使用されるラメラは、断熱されている場合が多い。これにより、ラメラ内の反対側の金属面の温度が簡単に測定される。金属は規則的に熱をよく伝導するので、周囲温度を正確に測定することができる。温度が外側のラメラと内側のラメラに記録される場合、これからドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を求めることができる。これにより、例えば、ドアによって提供される断熱材の品質やその開放状態についての結論を導き出すことができる。温度差に応じて、ドア制御装置は、実際の開放状態についての結論を導き出すことができ、よってドア制御装置は、対応するプログラムルーチンを実行することができる。例えば、ドアコントローラは、温度差が小さすぎる場合、すなわち、ドアを完全に閉じるべきであるが開いている場合に、位置決めシステムが「ミスカウント」した、もしくは誤って配置されたことを検出することができる。この場合、例えば、メンテナンス担当者への適切な指示など、適切な対策を講じることができる。
【0091】
また、温度はドアリーフの片側だけで測定可能である。例えば、スラットの外側には、1つ又は複数の室外温度を検出する少なくとも1つの室外温度センサを設けることができる。
【0092】
上述の温度センサに加えて、またはその代わりとして、加速度センサをドアリーフ手段に配置することもできる。この加速度センサは、ドアリーフの加速度を検出するので、ドアリーフの動きを追跡することができる。加速度の検出は、通常、テスト錘を用いて行われる。テスト錘に作用する慣性力に応じて、加速度を計算することができる。例えば、テスト錘の慣性力によって発生する動的圧力変動は、圧力変動を電気信号に変換する圧電セラミックセンサプレートによって生じる場合がある。また、フェラリスセンサなど、テスト錘のないひずみゲージや加速度センサを使用することもできる。ドアリーフの加速度は、ドアの全体的な状態、例えば、ローラーシャッターのローラーの状態を示すものであり、ドアの磨耗の兆候を検出するのに判定を行うことができる。具体的には、ドアリーフによって達成され、センサによって感知された加速度により、ドアの全体的な状態についての結論を導き出すことができる。加速度値が小さすぎるのは、損傷したドアの修復が不十分だったことが原因である可能性がある。ローラーシャッターの回転機構も損傷し、ドアリーフを詰まらせている可能性もある。横方向ガイド内の潤滑剤の消費も考えられ、ドアリーフの動き、ひいてはドアリーフの研削に対する抵抗が増大する。
【0093】
上述したセンサはいずれもドアリーフ手段自体に配置することができる。このようなコンパクト設計によりスペースを節約するだけでなく、ラメラ内の温度センサと加速度センサの設置によって外力からも保護する。従って、センサの機能を確実に保証することができる。
【0094】
本発明の改良によれば、温度センサによって測定された温度差をドアリーフ手段からドア制御手段に伝送することができ、それによってドアの気密性やドアによる建物の閉鎖の品質の判定が行われる。
【0095】
例えば、スラットの両側に配置された温度センサは、熱的に分離されたスラットを介してドアリーフの両側の周囲温度を確実に測定することができる。この検出された温度は、ドアリーフ手段の送信ユニットとドア制御手段の受信ユニットとの間の通信/送信を介して、ドア制御手段の受信ユニットに送信することができる。そして、ドア制御手段で温度値を処理して温度差を算出することができる。この温度差に基づいて、ドア制御手段は、ドアの気密性についての結論を導き出すことができる。
【0096】
この温度差は、例えば、少なくとも1つの静的又は動的(例えば、季節的)閾値と比較することができる。値が閾値を下回り、ドアが閉じている場合は、ドアに漏れがあると見なすことができる。逆に、例えば、閾値と比較することによって、該当する場合は、ドアリーフが実際には完全に閉じられていないと判断することができる。これにより、ドアの動作を監視するための追加パラメータが得られる。
【0097】
このようにドアの閉状態をチェックすることで、例えば、冬の熱損失として生じるエネルギー損失を回避することができる。このような温度センサの判定を行うことによって、不必要なコストを回避することができる。
【0098】
本発明によれば、室外温度センサによって測定された室外温度は、ドアリーフ手段を介してドア制御手段に送信することができ、ドア制御手段は、予め設定された閾値を測定された室外温度と比較することによって夏期と冬期の動作を切り替える。よって、ドアは夏期には完全に閉鎖されない。
【0099】
このように、測定された外気温から季節に関する結論を導き出すことができる。例えば、測定されたピーク値とは無関係に現在の時期を確実に決定するために、室外温度の変化をより長い期間、例えば、数ヶ月にわたって記憶する。例えば、夏期運転が行われたと判断された場合、ドア制御手段は、自動的にドアリーフを完全に閉じないようにすることができる。ホール内の換気は、完全に閉じられていないドアリーフで対応することができる。これにより、ホール内の労働条件を改善し、換気にかかる費用を削減することができる。従って、そのようなドアは、夏季と冬季の動作を別々に区別することができ、動作モードを切り替えるオペレータの介入が不要となる。
【0100】
上記ドアは、夏期と冬期の動作を個別に区別することができ、それによって手動によるオペレータの介入が不要となる。これにより、人的資源を節約し、コストを削減した操作が可能となるだけでなく、外気温に応じてドアリーフの開口部を即座に制御することもできる。
【0101】
本発明の改良によれば、加速度センサによって測定された値はドアリーフ手段を介してドア制御手段に送信することができ、それによって、ドア制御手段は、加速度値を少なくとも1つの予め設定された第1の加速度閾値と比較することによって、ドアが損傷又は磨耗しているかどうかを判断する。
【0102】
ドアリーフによって達成され、センサによって感知される加速度は、ドアの全体的な状態について結論を導き出すことを可能にする。加速度値が小さすぎるのは、損傷したドアの修復が不十分だったことが原因である可能性がある。ローラーシャッターの回転機構も損傷し、ドアリーフを詰まらせている可能性もある。横方向ガイド内の潤滑剤の消費も考えられ、ドアリーフの動き、ひいてはドアリーフの研削に対する抵抗が増大する。
【0103】
このようなドアの損傷や磨耗を検出できれば、適切な対策を講じることができる。例えば、ドア制御手段によってメンテナンス指示を出すことができる。これにより、ドアリーフのさらなる損傷を防ぐことができ、ドアリーフの長寿命化につながる。
【0104】
本発明の改良によれば、加速度センサによって測定された値をドアリーフ手段によってドア制御手段に送信することができ、それによって、ドア制御手段は、加速度値を少なくとも1つの予め設定された第2の加速度閾と比較することによって無効なユーザー設定が行われたかどうかを判断する。
【0105】
測定された加速度値を第2の予め設定された加速度値と比較することによって、例えば、最大許容ドアリーフ速度の速度設定をチェックすることができる。この比較により、例えば、駆動ベルトをスキップさせて安全上のリスクを生じさせるような許容できない速度設定を特定することが可能になる。
【0106】
予め設定された第2の加速度値は、安全率を考慮して実験やシミュレーションにより予め決定/計算することができる。
【0107】
ドアリーフの速度が速すぎると、ドアの耐用年数にも影響する。そのため、高すぎる制動率や速すぎる制動プロセスは、構成要素の磨耗を増大させることにつながる。現在の加速度を記録し、それを予め設定された第2の加速度閾値と比較することによって、ドアの故障の確率を低減し、ドアの最適化された動作を保証することができる。
【0108】
本発明の改良によれば、加速度センサによって測定された値はドアリーフ手段によってドア制御手段に送信することができ、それによって、ドア制御手段は、加速度値を少なくとも1つの予め設定された第3の加速度閾値と比較することによって、ドアがクラッシュしたかどうかを判断する。
【0109】
安全要素の故障や誤った制御入力のために、ドアが制御されずに倒れることがある。このようなクラッシュは、物体にとって、特に人にとって危険である。ドアリーフの衝突は、加速度センサによって検出された加速度を予め設定された第3の加速度閾値と比較することによって検出することができる。
【0110】
ドアリーフの衝突が検出された場合、さらなる対策を講じることができる。例えば、非常停止機構を起動させることができる。例えば、ドア制御手段は、駆動手段にドアリーフの移動を直ちに停止させて現在位置を維持させる。このような落下保護により、人や物への事故を防ぐことができる。
【0111】
しかしながら、ドア制御手段は、例えば、端部シールド内のアクチュエータユニットによって、もしくは緊急時には、緊急ブレーキやドアリーフの緊急停止によって、自律的に又は独立して動作することもできる。この緊急減速は、緊急時にそれらをアンロックすることによってフレームに介入し、ドアリーフを所定の位置にロックして直ちに停止させる、ばね付きの機械的にプリテンションされたボルトによって達成することができる。これらのボルトは、ドアリーフガイドに隣接してドアリーフの両側に取り付けられるのが好ましい。
【0112】
本発明のさらなる改良によれば、上記ドアは、エネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵ユニット、及び/又は、エネルギー変換器によって生成されたエネルギーを管理するエネルギー管理ユニット、及び/又は、必要に応じて信号処理ユニットを含む演算/計算ユニット、及び/又は、好ましくは少なくとも1つのアクチュエータユニットをさらに備えている。
【0113】
本発明の意味における蓄電素子は、エネルギー変換器によって生成された電気エネルギーを、エネルギー変換器がエネルギーの変換を行わない時期でも利用可能なように貯蔵する。「ゴールドキャップ」としても知られるスーパーキャパシタなどの電気化学キャパシタを蓄電素子として使用することができる。
【0114】
本発明に係るエネルギー管理ユニットは、需要と充電状態に応じて、エネルギー変換器からの生成電気エネルギーで蓄電素子が充電されるように、エネルギー変換器によって生成されたエネルギーの管理を行う。従って、このエネルギー管理ユニットは、消費部のオン・オフを切り替えることができる。
【0115】
本発明のドアリーフ手段の計算/演算ユニットは、センサによって記録された物理量を操作関連パラメータに変換する。例えば、PT100温度センサの抵抗又は測定された電圧差は、「セ氏温度」単位で温度に変換される。例えば、加速度センサに関しては、処理ユニットは、エネルギーを節約するために、加速度のピーク値をフィルタリングしてドア制御ユニットに送信することしかできない。
【0116】
本発明の改良によれば、エネルギー変換器、エネルギー管理ユニット、エネルギー貯蔵ユニット、計算ユニット、センサユニット、及び、必要に応じて、少なくとも1つのアクチュエータユニットの構成要素からなるドアリーフ手段は、エネルギー自給可能なシステムユニットを形成することができる。それによって、変換され貯蔵されたエネルギーは、外部エネルギー供給を必要とせずに、これらの構成要素を操作するのに用いられる。このシステムユニットは、ドアリーフの外側の他の構成要素とは独立して動作する独立した制御ループ又は反応システムを有することが好ましい。
【0117】
本発明の改良によれば、少なくとも1つのアクチュエータユニットを有するドアリーフ手段は、駆動ユニットとの相互作用がなくても(すなわち、独立して)、センサから得られた情報に対して動作を実行することができる。この少なくとも1つのアクチュエータユニットは、例えば、LEDディスプレイ、磁気レリーズ、又は、小型の電気サーボモータを形成することができる。外部の影響からの独立性は、このエネルギー自給可能に独立して動作する装置によって高められ、それによって、少なくとも1つのアクチュエータユニットによって達成される特定の動作の実行可能性に対する外部干渉の影響が最小限に抑えられ、システムの信頼性と安全性が向上する。例えば、電波干渉はわずかとなり、反応時間が短縮される。
【0118】
本発明の改良によれば、ドアリーフ手段は、一体型アセンブリを形成することができ、及び/又は、ドアリーフ手段は、ドアリーフの端部要素に配置することができる。
【0119】
本発明によれば、一体型アセンブリは、少なくとも1つのセンサユニット、エネルギー変換器、及び、第2の送受信ユニット又は少なくとも1つのアクチュエータユニットからなる。これらの要素の一体構造のために、ドアリーフ手段は、コンパクトなシステムアセンブリを形成する。少なくともこれら3つ又は少なくとも4つの要素を一体的に配置することによって、ドアリーフ手段は、電力自給可能に機能することができる。これは、ドアリーフには短い伝送経路やケーブル長さしか必要とせず、それによりドアリーフ手段の故障しやすさが軽減することを意味する。
【0120】
さらに、上記の自給可能な自律型ユニットは、衝突するドアリーフを検出して、適切な緊急停止シーケンスを開始させることができる。これは、例えば、ドアリーフ手段によって直接かつ自律的にロック解除されることでドアリーフが落下するのを防止又は停止する、例えば機械的にプリテンションされたボルトを作動させることによって達成されることが好ましい。
【0121】
さらに、ドアリーフ手段全体をドアリーフの端部要素、すなわち、例えば、衝突センサも配置される場所に配置することもできる。
【0122】
本発明の改良によれば、ドア制御手段は静止していてもよく、及び/又は、第1の通信ユニットは、第1の送受信ユニットを含んでいてもよく、第2の通信ユニットは、第2の送受信ユニットを含んでいてもよい。
【0123】
本発明の改良によれば、ドアリーフ手段は、機械的又は電気的インターロックのロック状態をドア制御手段に伝達することができる。
【0124】
ドア制御手段は、機械的ロック状態について送信された情報に基づいて、駆動手段を制御してドアリーフを移動することができる。例えば、第2の送受信ユニットが(例えば、ドア上のトグルスイッチによって)ドアリーフが機械的又は電気的にロックされていることを示す信号を送信する場合、駆動手段をアイドル状態にすることができる。これは、ドアが機械的にロックされていると駆動手段が作動しないことを意味する。
【0125】
本発明の他の態様によれば、ドア、特に、高速の工業用ドアのための方法が提供される。この方法は、ドアのドアリーフに配置されたドアリーフ手段のエネルギー変換器によって非電気エネルギーを電気エネルギーに変換する工程と、その電気エネルギーをドアリーフ手段の貯蔵要素に貯蔵する工程と、その貯蔵された電気エネルギーに基づいて、ドアリーフ手段のセンサユニットによって少なくとも1つの物理量を検出する工程と、その検出された物理量をドアリーフ手段の送信ユニットによって(好ましくは静止した)ドア制御手段に送信する工程とを備えている。このドア制御手段は、ドアの駆動手段を制御するために設けられている。
【0126】
ドアリーフ手段に配置されたエネルギー変換器は、環境から自由に利用可能なエネルギーを非電気エネルギーとして電気エネルギーに変換する。エネルギー変換器は、ドアリーフ内に配置されているので、例えば、ドアリーフの運動エネルギーやドアリーフの第1面と第2面との間の温度差を利用することができる。
【0127】
ドアリーフ手段にも配置された貯蔵要素は、エネルギー変換器によって発生された電気エネルギーを貯蔵する。この貯蔵要素は、エネルギー変換器のすぐ近くに配置されている。
【0128】
エネルギー変換器、貯蔵要素、センサユニット、送受信ユニットは、ドアリーフ手段の要素であるので、それらは互いに隣接して配置されている。従って、本方法の個々の工程は構造的に配置された要素において行われる。その結果、方法と配置の間に相乗効果が生まれる。この方法によれば、ドアに関して上述したのと同じ利点が実現される。
【0129】
本発明の改良によれば、測定された物理量は、少なくともドアリーフの温度及び/又はドアリーフの加速度及び/又はドアのロック状態に関する情報を提供する機械的要素の位置である。
【0130】
記録された物理量は、ドアの状態に関する情報を提供する量である。これは、ドアの対応する機器に関して上述したように、信頼性が高く最適化された、最終的にコストを節約する動作に必要な、ドアの安全上重要又は機能に関連するパラメータをチェックするのに役立つ。
【0131】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの物理量を感知するセンサユニットを用いて、非電気エネルギーを電気エネルギーに変換して、ドアのドアリーフに配置されたドアリーフ手段に電力を供給するエネルギー変換器の使用が開示されている。
【0132】
インテリジェントで完全に電力自給可能なドアリーフ手段を有するドアについて説明した。これにより、例えば、ケーブルを介したドアリーフ手段への外部電源の必要性がなくなる。
【0133】
この独創的なドアリーフ手段によれば、ドアの動作を最適化又は「インテリジェントに」設計する確実な方法で有利な感覚機能を実行することが可能となる。
【0134】
本発明の他の態様によれば、ドアリーフ手段及びドア制御手段の上記の機能はすべて、外部電源によって、又は、外部電源からの支援によって、すなわち、エネルギー自給ではない方法で実行することもできる。例えば、ドアリーフ手段は、バッテリー、誘導外部電源又はトレーリングケーブルを介した電源を備えることができる。
【0135】
本発明のこの他の態様によれば、横方向ガイドにガイドされ、ドア開口部を覆い、第1及び第2面を有するドアリーフと、ドアリーフを開位置と閉位置との間で移動する駆動手段と、第1の通信ユニットを含み、駆動手段を制御するドア制御手段と、少なくとも1つの物理量を検出する少なくとも1つのセンサユニットと、少なくとも部分的な外部電源と、第2の通信ユニットとを含む、ドアリーフ内に配置されたドアリーフ手段とを備えるドア、特に、高速の工業用ドアが提供される。第1及び第2の通信ユニットは互いに無線で通信を行う。ドア制御手段及び/又はドアリーフ手段は、インテリジェントドア制御を実施する少なくとも1つの機能(例えば、上記説明を参照)を含む。
【0136】
ドア制御手段及び/又はドアリーフ手段によってさらに処理される少なくとも1つの物理的変数/量は、少なくとも1つのセンサユニットによって検出されることが好ましく、これにより、アクチュエータユニット及び/又はドア制御手段の対応する反応が生じる。
【0137】
本発明に係るドアについて、図面を参照して以下の実施例で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
図1】本発明に係るローラーシャッター1を示す正面図である。
図2】ドアリーフ手段20、ドア制御手段5、駆動手段4を備えたドア用制御システムを示す原理図である。
図3図1に示す電気ドアリーフ手段20のアセンブリを示す原理図である。
図4】本発明の一態様に係るエネルギー変換器21を示す図である。
図5】本発明の別の態様に係るエネルギー変換器21を示す図である。
図6】本発明の別の態様に係るエネルギー変換器21を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
図1は、本発明のローラーシャッター1を示す正面図である。図1に示すように、シャッタードア1は、横方向ガイド3内に保持され、ドア開口部にわたってガイド3に対して垂直に延在する複数のスラット12を含むドアリーフ2を備えている。
【0140】
また、ドアリーフ2は、複数のヒンジリンクを含むヒンジ14を備えていてもよい。いずれの場合にも、互いに割り当てられた2つのヒンジ部材は、横方向ガイド3へと横方向に延在する補強プロファイルによって、その補強プロファイルを有するヒンジバンド14が安定した傾斜構造を形成するように互いに接続することができる。
【0141】
上記ドアリーフは、スラット12の代わりに、巻き上げられることなく、ドア1上方、例えば、天井にあるレールシステムにおいてガイド可能なセグメントを含むことができる。ドアリーフ2は、端部ストリップを有する可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)製のドアカーテンとして設計することもできる。アクリルガラスが使用される場合、ドアリーフ2は透明であってもよい。ドア1は内部ドア又は外部ドアとして設計することができるので、ドアリーフ2には窓やドアを含むこともできる。
【0142】
さらに、ドアリーフ2は、床側にゴムシール等を備えた端部要素7を備えている。この端部要素7とヒンジリンクとは、ヒンジリンクの旋回軸と同軸方向に旋回可能である。端部要素7には、ドアリーフ手段20が配置されている。
【0143】
ドアリーフ2は、図1に示す駆動手段4のモータ10によって駆動され、このモータ10は、それ自体公知の方法で駆動軸を介してモータ動力を伝達する。モータ出力は、ローラーシャッター1/シャッタードア1が迅速に開閉できるように(>1m/s、好ましくは、>2m/s)寸法設定されている。
【0144】
ローラーシャッター1が閉状態にある場合、端部要素7は、ローラーシャッター1の底部要素に接触している。この状態では、ローラーシャッター1の熱分離効果又は気密性が最大となり、ローラーシャッター1の第1面と第2面との間の空気交換が大幅に又は完全に阻止される。全開状態では、ローラーシャッター1によって開放されるドア開口の最大面積が最大となる。しかしながら、ローラーシャッター1/シャッタードア1は、ドア制御手段5のプログラミングに従って、閉状態と開状態との間の他の任意の状態をとることもできる。
【0145】
図2は、電気式ドアリーフ手段20、ドア制御手段5、駆動手段4からなるシステムの原理図を示す。ドアリーフ手段20は、図1に示すように、ドアリーフ2内に配置されている。
【0146】
駆動手段4とドア制御手段5は、ドアリーフ2に隣接して固定及び配置することができる。ドアリーフ手段20、ドア制御手段5及び駆動手段4間の通信としては、双方向又は一方向の無線通信が可能である。図2の矢印a)で示すように、ドアリーフ手段20とドア制御手段5との間の通信が一方向である場合、ドアリーフ手段20が送信ユニットとして構成され、ドア制御手段5が受信ユニットとして構成される。図2の矢印a)、b)で示すように、ドアリーフ手段20とドア制御手段5との間の通信が双方向である場合は、ドアリーフ手段20とドア制御手段5の両方が送受信ユニットとして構成される。この方法では、センサユニット25を用いて取得されたパラメータが、ドアリーフ手段20の送信・受信(送受信)ユニット241を介して、ドア制御手段の送受信ユニットに送信される。
【0147】
通信ユニットの一例である、第1及び第2の送受信ユニット200間の信号伝送は、双方向無線リンクを介して行うことができる。例えば、ベースバンド、L2CAP、LMPのプロトコルを介して、ブルートゥース(登録商標)による通信/伝送を行うことができる。それぞれの48ビットアドレスを介して第1又は第2の送受信ユニット241が識別されると、データパケットによるデータ送信が行われる。マイクロコントローラユニットに対するインタフェースとしては、RS-232シリアルインタフェース又はI2Cバスを用いることができる。
【0148】
前述したように、信号伝送又は通信は、一方向無線リンクを介して行うことができる。ドア制御手段5には受信ユニットが1つだけ設けられ、ドアリーフ手段にも送信ユニットが1つだけ設けられる。特定の用途では、一方向のデータ伝送で十分な場合もある。また、このようなデータ伝送は、ドアリーフ手段20がデータの受信準備やデータ受信にエネルギーを消費しないので、双方向データ伝送と比較して省エネである。
【0149】
ドア制御手段5には、開放スイッチ、遠隔状態、又は、ドア開放範囲を検出するその他のセンサなど、いくつかの装置を接続することができる。ドア制御手段5は、これらその他の装置が受信した情報や操作に関連するパラメータを考慮して、所望の動作モードに従ってローラーシャッター1の開閉が行われるように駆動手段4を制御する。
【0150】
上記情報に加えて、ドア制御手段5は、ドアリーフ手段20から操作に関連するパラメータをさらに受け取る。これらの操作関連パラメータも、駆動手段4を制御する際にドア制御手段5によって考慮される。
【0151】
ドア制御手段5と駆動手段4との間の接続は、ケーブルを介して又は無線で、例えば、上記のように無線を介して行うことができる。駆動手段4は、受け取った命令に従ってドアリーフ2の駆動を行う。
【0152】
例えば、ドアリーフ手段20のロック状態がセンサユニット25を介して検出された場合、第2の送受信ユニット241は、その状態を示す信号を第1の送受信ユニットに送信する。ドア制御手段5は、この信号を処理し、ロック状態が存在する限り駆動手段4の制御を行わなくなる。
【0153】
図3は、図1図2に示す電気機械式ドアリーフ手段20の機能アセンブリを示す原理図である。このドアリーフ手段20は、エネルギー変換器21、エネルギー管理ユニット22、エネルギー貯蔵ユニット23、演算ユニット24/計算ユニット24、センサユニット25を備えている。
【0154】
例えば、本発明のエネルギー変換器21は、ドアリーフ2の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換して、ドアリーフ手段20に電気負荷を供給することができる。エネルギー変換器21の可能な構成について、以下に詳しく説明する。エネルギー変換器21は、開閉プロセス中、少なくとも基本的な負荷の操作に十分な電力を生成することができる。例えば、10mW程度の電力を生成することが可能であり、対応する低電力部品の操作に十分な電力である。エネルギー管理ユニット22の制御の下で、エネルギー変換器21が生成した電力は、エネルギー貯蔵ユニット23の充電及び/又は消費部への供給を行うのに用いることができる。
【0155】
本発明のエネルギー管理ユニット22は、エネルギー変換器21と、エネルギー貯蔵ユニット23と、ドアリーフ手段20に含まれるその他の電気機器との間のインタフェースとして機能する。また、エネルギー管理ユニット22は、通常、単純な電子回路によって、エネルギー変換器21が生成したエネルギー(電圧、電流)をエネルギー貯蔵ユニット23に長期間貯蔵することができるように変換する。例えば、ブリッジ整流器は、エネルギー変換器21が生成したAC電圧をDC電圧に変換する。エネルギー管理ユニット22は、それ自体が高い効率を有し、エネルギーをほとんど消費しないように設計されている。
【0156】
エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー変換器21が生成した電気エネルギーの中間貯蔵部として機能する大容量(少なくとも数10μF)のコンデンサ、例えば、少なくとも数mFの「ゴールドキャップ」であることが好ましい。エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー管理ユニット22に接続されている。このように、エネルギー貯蔵ユニット23は、エネルギー変換器21が全く又はほとんどエネルギーを発生しない場合に、本発明のドアリーフ手段の消費部に対してエネルギーを利用可能にすることを目的としている。エネルギー貯蔵ユニット23は、貯蔵エネルギーがより長期間にわたって利用可能となり、ドアリーフ手段20の効率が高くなるよう、低い自己放電率を有することが好ましい。
【0157】
本発明のドアリーフ手段20の電気負荷には、少なくとも1つの計算ユニット24とセンサユニット25が含まれる。計算ユニット24は、第2の送受信ユニット241と信号処理ユニット242を備えている。信号処理ユニット242は、従来の8ビットマイクロコントローラなどのマイクロコントローラを介して、あるいはDSP(デジタル信号プロセッサ)を介して実装可能である。この信号処理ユニット242は、「超低電力」技術で設計されることが好ましい。
【0158】
センサユニット25は、物理量を測定する少なくとも1つのセンサ251と、1つの信号調整ユニット252を備えている。センサ251は、室外温度やドアリーフ2のロック状態など、少なくとも1つの物理パラメータを検出する。信号調整ユニット252は、フィルタリングや増幅など、センサ251から出力された電気信号を処理することができる。そして、このアナログ値は、AD変換器を介してデジタル値に変換して、処理ユニット24にて処理を行うことができる。いくつかの物理パラメータが検出された場合、信号調整ユニット252は電気信号を多重化することができる。
【0159】
図4図5は、ドアリーフ20の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器21の例をそれぞれ示す。
【0160】
図4に示すエネルギー変換器21は、誘導原理により動作する。この目的のために、エネルギー変換器21内のキャビティには、2つの対向するばね211a、211bが配置されており、それらはいずれも同じ方向に延在する中心軸に沿って偏向可能である。ばね211a、211bは、締結具214a、214bによって端部要素7にしっかりと接続されている。
【0161】
ばね211a、211bの自由可動端には磁石212が取り付けられている。これにより、ばね211a、211bの中心軸に沿って懸架された磁石212が、一方のばね211aの方向と他方のばね211bの方向の両方に移動することが可能になる。磁石212の自由度fは、f=1である。これは、例えば、詳細には図示されていない磁石212の直線ガイドによって、又は、磁石212の両面懸架によって達成することができる。バネ211a、211bのばね定数は、磁石212の振動(減衰)振動を可能にするよう磁石212の質量に対して設計されている。磁石212を偏向可能な方向にエネルギー変換器21を加速させる場合、機械的エネルギーが、ばね211a、211bと磁石212からなる振動系に供給される。この振動系は、特に、エネルギー変換器21の加速が終了した場合に振動し続ける。振動系の最大限の振動を得るために、エネルギー変換器21に作用し得る加速力の方向は、磁石212が偏向可能な方向と一致する。
【0162】
本発明に係る磁石212の懸架によって、磁石212の直線変位が可能となる。広い領域にわたる端部要素7の移動も直線的な移動である。従って、エネルギー変換器21は、マグネット212の移動自由度(並進自由度f=1)が開閉方向に対応するように、端部要素7内に配置されている。これにより、エネルギー変換器21の効率が最適化される。
【0163】
また、コイル213は、磁石212がその中心軸に沿って移動するように、エネルギー変換器21内に配置されている。従って、磁石212は、コイル213内で少なくとも部分的に前後に移動する。磁石212が振動すると、電気エネルギーが誘導によって発生し、エネルギー変換器21の出力で交流電圧の形で利用可能となる。本発明に係る線形エネルギー変換器21の特定の利点は、最大効率が達成され、エネルギー収量が高くなるように、ドアリーフ2の半決定的に予測可能な動きとそれに関連する加速力に適合可能なことである。閉鎖要素7の移動は、ドアリーフ2の他の要素と比較して、主に直線に沿って進行するので、エネルギー変換器21が閉鎖要素7内に配置されていると特に有利である。従って、ドアリーフ2の移動によって磁石212に作用する慣性力は、ばね211a、211bによって磁石212に作用する力と平行である。このように磁石212に作用する力が整列することで、ばね211a、211bへのエネルギー伝達が最適化される。これにより、最終的に、効率的なエネルギー変換が達成される。
【0164】
図5に示す別のエネルギー変換器21は、圧電原理により動作する。端部要素7には、固定要素223が配置されている。この固定要素223の一端には、2つのたわみ共振要素221a、221bを含むたわみ共振器221が取り付けられている。このたわみ共振器221は、最先端の技術で知られる圧電素子であることが好ましい。たわみ共振器221の他方の自由端には、錘222が取り付けられている。たわみ共振器221と錘222とは、ドアリーフ2が加速する時に可能な限り効果的にたわみ共振器221がたわむように、ドアリーフ21の移動方向に対して垂直に配置されている。
【0165】
ドアリーフ2が開閉すると、エネルギー変換器21はドアリーフ2と共に加速される。加速とは反対の方向に錘222に作用する慣性力は、たわみ共振器221を偏向させ、この場合も同様に、減衰するよう振動させる。このように、たわみ共振器221は、交流電圧を発生させ、それがエネルギー変換器21によってその出力で利用可能となる。
【0166】
本発明に係るたわみ共振器221は、ドアリーフ2が加速した場合にその最大たわみに達するように、ドアリーフ2の運動方向に対して垂直に配置されている。たわみ共振器221は、基本的に1つの並進自由度(f=1)のみを有するように配置されている。たわみ共振器221が片側で固定され、錘222がその自由端に取り付けられているので、この錘222は、たわみ共振器221のたわみをさらに増大させることができる。たわみ共振器221にかかるおもり力や錘222の作用点、並びに、長さ、厚さ、弾性率などのたわみ共振器221自体の設計も、発生した電圧が最大になるように設計される。
【0167】
図6は、熱電エネルギー変換器21を示す。熱電エネルギー変換器21は、電気絶縁用の熱伝導性中間要素231、好ましくはプレート231と、少なくとも1つの熱電対232とを有する。対向する中間要素231又はプレート231は、プレート231がそれぞれ第1および第2のドア側面の周囲温度をそれぞれほぼ近似できるように、各プレート231がドアリーフのラメラの各側面に熱的に接続されるよう、ラメラに配置される。ドアリーフ2は、通常、一般には温度差が存在し得る部屋や領域を分離する。例えば、ドアリーフ2の第1面と第2面は、建物の内側と外側にそれぞれ対向することができる。
【0168】
その結果、ドアリーフの内側と外側との間には常に温度差2ΔTaがある。例えば、ホールを加熱することにより、ホール内部の周囲温度は外部よりも高くなることがあり、その結果、中間要素又はパネル231もそれに対応して異なる温度を有する。
【0169】
さらに、少なくとも1つの熱電対232は、熱電対232の対向する面間に温度差ΔTiが存在するように、それぞれ異なる温度レベルが伝達されるよう、2つのプレート231の間に配置される。その材料としては、Bi2Se3とSb2Te3を含むBi2Te3の固溶体系列など、高いZT値を有する熱電材料が使用される。
【0170】
より多くの電圧を発生させるために、いくつかの熱電対232を直列に接続することができる。その結果、ドアリーフ2上により広い面積を使用することができ、必要であれば、ドアリーフ2の全幅にわたって広げることができる。生成された電圧は、温度差(ΔTi)と熱電対232の数に依存するので、ドアリーフ2は、上記の特定の特性のため、熱電エネルギー生成に適している。
【0171】
潜在的に使用可能な領域は、ドアリーフ2全体にわたって延在し、232個の多くの熱電対を設置することができる、もしくは大きな熱電対を使用することができる。
【0172】
また、ドアリーフ2自体の位置も、その特定の用途として、通常異なる温度レベルを有する異なる部屋間の分離要素として用いられるため、熱電エネルギー変換器21の使用に特に適している。従って、熱電エネルギー変換器21は、エネルギー貯蔵要素23を効果的に充電し、ドアリーフ手段20の電気消費部に電気エネルギーを供給することができる。
【0173】
本発明は、説明した実施形態及び態様に加えて、さらなる設計原理を可能にする。従って、さまざまな設計形態及び態様の個々の特徴は、専門家にとって実行可能である限り、望み通りに互いに組み合わせることができる。
【0174】
例えば、上述した異なるセンサ配置/原理は互いに組み合わせることができる。本発明に基づくドアリーフ手段は、例えば、衝突センサと多数の温度センサを備えることができる。
【0175】
エネルギー変換器は、例えば、線形発電機と熱電対を備えることもでき、その結果、上述したエネルギー変換の様々な原理を組み合わせることができる。
【0176】
また、電気機械エネルギー変換器には、その他の機構を採用することもできる。例えば、1つの軸を有し、その軸に錘が偏心的に取り付けられたダイナモを採用することもできる。
【0177】
本発明に係るドアは、シャッタードアとして説明してきたが、格納式ドアやヒンジ式ドアであってもよい。従って、本発明によれば、ドアリーフが規定の動きをする、又は、所定の経路を通るすべてのドアが対象となる。
【0178】
さらに、ドアリーフ手段は、ドアリーフの(下端)端部要素に配置されなくてもよい。これは、ドアリーフ手段をドアリーフの他の任意の点、例えば、中央に配置することもできることを意味する。
【0179】
原理上は、ドアリーフ手段は、低エネルギー消費のディスプレイ要素など、その他のアセンブリ(図3では不図示)を有することもできる。
【0180】
図1に示すドアリーフは、下から上へ、そしてその逆に移動可能であるが、本発明によれば、ドアリーフが他の方向に、例えば、横方向に移動可能なドアも含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6