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特許7177097テンプレートおよびテンプレートの使用方法
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  • 特許-テンプレートおよびテンプレートの使用方法 図1
  • 特許-テンプレートおよびテンプレートの使用方法 図2
  • 特許-テンプレートおよびテンプレートの使用方法 図3
  • 特許-テンプレートおよびテンプレートの使用方法 図4
  • 特許-テンプレートおよびテンプレートの使用方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】テンプレートおよびテンプレートの使用方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20221115BHJP
   E02D 13/04 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E02D27/52 A
E02D13/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019568172
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 NL2018050371
(87)【国際公開番号】W WO2018231049
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】2019068
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】507009331
【氏名又は名称】アイエイチシー・ホランド・アイイー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリブロドゥス・アデルベルトゥス・マリア・ブラウワー
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0183101(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0117976(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0213594(US,A1)
【文献】特開2016-204863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/52
E02D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底地盤層における複数のパイルの相互に対する設置において使用するためのテンプレート(1)であって、
テンプレートフレーム(2)と、
平行なパイルガイド正中線(4)を有し前記テンプレートフレーム(2)に対して固定される複数のパイルガイド(3)と、
を備え、
各パイルガイド(3)が、パイルを通過させるように構成された通路(6)を囲むパイルガイドフレーム(5)を備え、各パイルガイドフレーム(5)が、上方端部および下方端部を備え、前記テンプレート(1)は、前記パイルガイド正中線(4)の中間に位置するテンプレート中心を有し、各パイルガイド(3)が、前記パイルガイドフレーム(5)に対して固定され前記通路(6)内に突出するスペーサを備え、前記スペーサは、パイルを地盤中に打ち込む最中に前記パイルを案内するためのパイル接触表面を有し、前記パイル接触表面は、前記パイルガイド正中線(4)と一致する正中線を備える仮想シリンダを囲む、テンプレート(1)において、
前記パイルガイド正中線(4)を中心とする周方向において、前記パイル接触表面の位置が、前記テンプレート中心から前記パイルガイド正中線(4)に向かう方向に見た場合に、対応する前記パイルガイドフレーム(5)に対して前記パイルガイドフレームの前記下方端部から前記上方端部に向かう方向へ変位することを特徴とする、テンプレート(1)。
【請求項2】
前記パイル接触表面は、前記パイルガイド正中線(4)に対して垂直に延在する基底面に対して角度をつけられた面に対して平行に延在する、請求項1に記載のテンプレート(1)。
【請求項3】
前記スペーサは、前記パイルガイド正中線(4)の周囲において相互からある角距離をおいて位置する複数のスペーサ要素を備え、したがってそれぞれの前記スペーサ要素に離散的な接触表面部分(10)を備える不連続パイル接触表面を形成する、請求項1または2に記載のテンプレート(1)。
【請求項4】
前記パイルガイド(3)の前記接触表面部分(10)は、前記パイルガイド正中線(4)に対して平行に延在する長手方向を有する長方形である、請求項3に記載のテンプレート(1)。
【請求項5】
前記接触表面部分(10)は、均等な長さを有する、請求項3または4に記載のテンプレート(1)。
【請求項6】
隣接し合うスペーサ要素の前記接触表面部分(10)同士が、前記パイルガイド正中線(4)に沿った方向において相互に重畳する、請求項3から5のいずれか一項に記載のテンプレート(1)。
【請求項7】
前記パイルガイドフレーム(5)のそれぞれが円筒状チューブを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のテンプレート(1)。
【請求項8】
前記パイルガイド(3)の前記スペーサは、下方スペーサを形成し、前記パイルガイド(3)は、前記下方スペーサと前記パイルガイドフレーム(5)の前記上方端部との間に位置する上方スペーサを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のテンプレート(1)。
【請求項9】
前記上方スペーサは、前記地盤中にパイルを打ち込む最中に前記パイルを案内するための上方パイル接触表面を有し、前記上方パイル接触表面は、前記仮想シリンダを囲む、請求項8に記載のテンプレート(1)。
【請求項10】
前記下方スペーサの前記スペーサ要素は、下方スペーサ要素(8)を形成し、前記上方スペーサは、前記パイルガイド正中線(4)の周囲に相互からある角距離をおいて位置する複数の上方スペーサ要素(7)を備え、したがって前記上方スペーサ要素(7)に離散的な接触表面部分(9)を備える不連続上方パイル接触表面を形成する、請求項8または9、および請求項3に記載のテンプレート(1)。
【請求項11】
前記上方スペーサ要素(7)は、前記パイルガイドフレーム(5)に対して径方向に変位可能である、請求項10に記載のテンプレート(1)。
【請求項12】
前記テンプレート(1)は、地盤上に配置され、パイルが、前記パイルそれぞれの上方端部が前記スペーサの前記パイル接触表面に到達するまで、前記パイルガイド(3)それぞれ内に挿入され前記地盤中に打ち込まれ、その後、前記テンプレート(1)は、前記地盤中に打ち込まれる前記パイルから引き上げられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の前記テンプレート(1)の使用方法。
【請求項13】
前記テンプレート(1)は、地盤上に配置され、パイルが、前記パイルそれぞれの上方端部が側方から見た場合に前記上方スペーサの上方パイル接触表面を越えた位置に到達するまで、に前記パイルガイド(3)それぞれ内に挿入され前記地盤中に打ち込まれ、その後、前記テンプレート(1)は、前記地盤中に打ち込まれる前記パイルから引き上げられる、請求項9から11のいずれか一項に記載の前記テンプレート(1)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底地盤層における複数のパイルの相互に対する設置において使用するためのテンプレートに関する。このテンプレートは、テンプレートフレームと、平行なパイルガイド正中線を有しテンプレートフレームに対して固定される複数のパイルガイドとを備え、各パイルガイドは、パイルを通過させるように構成された通路を囲むパイルガイドフレームを備え、各パイルガイドフレームは、上方端部および下方端部を備え、テンプレートは、パイルガイド正中線の中間に位置するテンプレート中心を有し、各パイルガイドは、パイルガイドフレームに対して固定され通路内に突出するスペーサを備え、スペーサは、地盤中にパイルを打ち込む最中にパイルを案内するためのパイル接触表面を有し、パイル接触表面は、パイルガイド正中線と一致する正中線を備える仮想シリンダを囲む。
【背景技術】
【0002】
かかるテンプレートは、特許文献1により知られている。この既知のテンプレートは、ガイドチューブを備え、ガイドチューブは、ガイドチューブの長手方向に延在する支持リブを有する。支持リブは、ガイドチューブの周囲表面の周囲に配置されるリングの内周部に沿って設けられる。リングは、ガイドチューブに対して枢動的に結合された2つのパーツへと分割される。これらの支持リブは、ガイドチューブの円筒状周囲壁部中の開口を貫通し得る。この機構により、支持リブは、地盤中へと打ち込まれたパイルを解除し得るように、外方に回転され得る。これにより、パイルからテンプレートを取り除くことが容易になる。なぜならば、海中パイル設置テンプレートが、典型的には締付けに起因するパイルに対する引っ掛かりを被りやすく、これは、ガイドチューブの正中線に対して小さな角度で地盤中に打ち込まれるパイルにより引き起こされ得るからである。この既知のテンプレートの欠点は、その複雑性、関連する比較的高いコスト、および海底付近の過酷な条件下で動いているパーツが存在することによる故障のしやすさである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許公開第2492402号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、海底に打ち込まれたパイルから容易に解除され得る頑丈なテンプレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によるテンプレートを用いて達成される。パイルガイド正中線を中心とする周方向において、パイル接触表面の位置は、テンプレート中心からパイルガイド正中線に向かう方向に見た場合に、対応するパイルガイドフレームに対してその下方端部から上方端部に向かう方向へ変位する。
【0006】
これは、テンプレートの動作条件下において、テンプレート中心からパイルガイド正中線の中の1つに向かう方向に見た場合に、パイル接触表面の高さレベルが上昇することを意味する。パイル接触表面の最下レベルは、テンプレート中心が位置するパイルガイドの側部に位置し、パイル接触表面の最高レベルは、テンプレート中心から離れる方向に向けられたパイルガイドの側部に位置する。これは、パイルが地盤中に打ち込まれた後にパイルからテンプレートを容易に取り除くための機会を与え、その一方でパイルの上方セクションは、それぞれのスペーサのパイル接触表面に依然として接触している。自動解除機構が、テンプレートの引き上げ中に作用するようになる。
【0007】
さらに具体的には、実際には、テンプレートの引上げ時に、テンプレートは、パイルガイドの中の1つが対応するパイルを最も強く締め付ける位置の周囲にて自動的に傾斜する。パイルガイドが対応するパイルを締め付けないまたは対応するパイルに対してより小さな締付力を印加する位置では、パイルガイドは、上方向へとパイルに沿って変位することになる。結果として、最強締付け位置にて、パイルガイドは対応するパイルに対して回転し、それによりパイルガイドのスペーサのパイル接触表面の少なくとも一部がパイル接触表面のプロファイル変化に起因してパイルとの接触を喪失することになる。実際に、パイルに沿って見た場合に、接触表面により画定される開口は、パイルガイドを傾斜した時に円形から実質的な楕円形または長円形へと変化する。テンプレートをある特定の度合いだけ傾斜した後に、最初に対応するパイルを最も強く締め付けたパイルガイドは、解除され、パイルに沿って上方に変位する。この後に、テンプレートが、依然としてパイルから完全には引き上げられることが不可能である場合には、同プロセスは、別のパイルガイドが対応するパイルを最も強く締め付ける位置の周囲にてテンプレートが傾斜する場合に繰り返され得る。この自動解除プロセスにより、可動スペーサ要素は、本発明によるテンプレートによって必要とされない。
【0008】
パイル接触表面の幅は、パイルガイドフレームの上方端部と下方端部との間の距離よりもはるかに小さくてもよい点を指摘しておく。
【0009】
実際の実施形態では、パイル接触表面は、パイルガイド正中線に対して垂直に延在する基底面に対して角度をつけられた面に対して平行に延在する。
【0010】
特定の一実施形態では、スペーサは、パイルガイド正中線の周囲において相互からある角距離をおいて位置する複数のスペーサ要素を備え、したがってそれぞれのスペーサ要素に離散的な接触表面部分を備える不連続パイル接触表面を形成する。
【0011】
パイルガイドの接触表面部分は、長方形であってもよく、パイルガイド正中線に対して平行に延在する長手方向を有し得る。この場合に、パイル接触表面は、パイルガイド正中線の周囲に不連続ベルトを形成し、このベルトは、ある特定の幅を有する。パイル接触表面同士が均等な長さを有する場合には、かかるベルトは一定である幅を有する。
【0012】
隣接し合うスペーサ要素の接触表面部分同士は、パイルガイド正中線に沿った方向において相互に重畳し得る。これらの接触表面部分は、例えばスペーサ要素の個数が少ない場合などには重畳しないことが考えられる。
【0013】
実際の一実施形態では、各パイルガイドフレームが、円筒状チューブを備える。スペーサは、チューブの内方側部に対して容易に固定され得る。
【0014】
特定の一実施形態では、パイルガイドのスペーサは、下方スペーサを形成し、パイルガイドは、下方スペーサとパイルガイドフレームの上方端部との間に位置する上方スペーサを備える。この場合に、パイルガイドは、下方スペーサおよび上方スペーサの両方により長い距離にわたりパイルを案内することが可能であるが、パイルが下方への変位中に上方スペーサから去っている場合には、パイルの上方セクションのみが、下方向スペーサのみにより案内される。
【0015】
さらに具体的には、上方スペーサは、地盤中にパイルを打ち込む最中にパイルを案内するための上方パイル接触表面を有してもよく、上方パイル接触表面は、仮想シリンダを囲む。上方パイル接触表面は、パイルが上方から見た場合にそれらの頂部が上方スペーサを越える位置に到達するまで実際に打ち込まれる場合に、パイルガイド正中線に対して垂直に延在する基底面に対して傾斜配向を必要としない。
【0016】
下方スペーサのスペーサ要素は、下方スペーサ要素を形成してもよく、上方スペーサは、パイルガイド正中線の周囲に相互からある角距離をおいて位置する複数の上方スペーサ要素を備え、したがって上方スペーサ要素に離散的な接触表面部分を備える不連続上方パイル接触表面を形成する。
【0017】
上方スペーサ要素は、パイルガイドフレームに対して径方向に変位可能であってもよく、これにより、ハンマーが上方スペーサ要素を越えてパイルを打ち込むための空間が与えられる。
【0018】
また、本発明は、前述したようなテンプレートの使用方法に関し、テンプレートは、地盤上に配置され、パイルが、それぞれのパイルの上方端部がスペーサのパイル接触表面に、または該当する場合には上方スペーサの上方パイル接触表面を越えた位置に到達するまで、それぞれのパイルガイド内に挿入され地盤中に打ち込まれ、その後、テンプレートは、地盤中に打ち込まれるパイルから引き上げられる。
【0019】
以下、例として本発明の一実施形態を示す非常に概略的な図面を参照として本発明を明確に示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるテンプレートの一実施形態の斜視図である。
図2図1に示すような実施形態の上面図である。
図3図2でIII-IIIにより示されるような図1による実施形態の一部の拡大断面図である。
図4図1の実施形態の側面図である。
図5図4と同様であるが、テンプレートのパイルガイドの内方側部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図5は、海底地盤層における複数のパイルの相互に対する設置において使用するためのテンプレート1の一実施形態の種々の図を示す。かかる海中パイル設置テンプレートは、典型的には、例えば海洋風力タービン用の基礎として、ジャケットが上に配置されることとなる事前打ち込みジャケットパイルを設置するために使用される。テンプレート1は、パイルが正確な位置に設置され正確な方向に打ち込まれるのを確実にするために海底上に位置決めされる。
【0022】
テンプレート1の実施形態は、例えば溶接されたフレームワークなどのテンプレートフレーム2と、3つのパイルガイド3とを備えるが、異なる個数のパイルガイド3が考えられる。図3に示すように、各パイルガイド3は、パイルガイド正中線4を有する。正中線4同士は、相互に対して平行である。パイルガイド3は、テンプレートフレーム2に対して固定されたパイルガイドフレーム5をそれぞれ備える。図1に示すような実施形態では、パイルガイドフレーム5は、地盤中にパイルを打ち込む最中にパイルが通過し得る通路6を囲む円筒状チューブを備える。パイルガイドフレーム5の上方端部部分が、通路6内にパイルを容易に案内するための円錐状部分を有する。パイルガイドフレーム5の下方端部が、動作条件下では海底上に載置され得る。テンプレート1は、パイルガイド正中線4の中間に、この場合にはテンプレートの三角形状の中間に規定されるテンプレート中心を有する。
【0023】
図3は、各パイルガイド3が、上方スペーサ要素7および下方スペーサ要素8を備えることを示す。この場合には、12個の上方スペーサ要素7と、12個の下方スペーサ要素8とが存在するが、異なる個数が考えられる。下方スペーサ要素8と上方スペーサ要素7との間の距離は、この場合にはスペーサ要素7、8の任意の1つの高さよりも大きい。スペーサ要素7、8は、パイルガイド正中線4の周囲において相互からある角距離をおいてパイルガイドフレーム5に対して固定され、通路6内に突出する。スペーサ要素7、8は、地盤中にパイルを打ち込む最中にパイルを案内するためのそれぞれ離散的な接触表面部分9、10を有する。この場合に、接触表面部分9、10は、長方形であり、パイルガイド正中線4に対して平行な方向に同等の長さを有する。接触表面部分9、10は、パイルガイド正中線4に向けられ、矩形平坦表面または矩形湾曲表面を備え得る。
【0024】
上方スペーサ要素7および下方スペーサ要素8の両方の接触表面部分9、10は、不連続上方パイル接触表面および不連続下方パイル接触表面をそれぞれ形成し、これらの不連続上方パイル接触表面および不連続下方パイル接触表面は、パイルガイド正中線4と一致する正中線を備える仮想シリンダを囲む。これは、上方パイル接触表面および下方パイル接触表面が、地盤中にパイルを打ち込む最中にパイルに接触し、パイルを案内し得ることを意味する。
【0025】
図示するような実施形態では、上方接触表面部分および下方接触表面部分は、それぞれのパイルガイド正中線4の周囲にそれぞれの仮想不連続ベルトを形成する。図3は、上方パイル接触表面がパイルガイド正中線4に対して垂直に延在する仮想基底面に対して平行に延在することを示すが、下方パイル接触表面は、この基底面に対して角度をつけられた面に対して平行に延在する。テンプレート中心から各パイルガイド正中線4に向かう方向に見た場合に、下方パイル接触表面の位置は、管状パイルガイドフレーム5の周囲に沿ってパイルガイドフレーム5の下方端部から上方端部に向かう方向に変位する。換言すれば、各パイルガイド3の下方スペーサ要素8は、テンプレート中心から対応するパイルガイド正中線4に向かう方向に見た場合に、上方向へとスタッガ状に配置される。図示するような実施形態では、下方スペーサ要素8は、隣接し合うスペーサ要素8の接触表面部分10が、パイルガイド正中線4に沿った方向において相互に重畳するように位置決めされる。
【0026】
地盤中にパイルを打ち込む前に、テンプレート1は海底上に配置される。その後、パイルが、通路6内に連続的に挿入され、地盤中に打ち込まれる。これらのパイルは、上方から見た場合にその上方端部が上方スペーサ要素7の接触表面部分9を越える位置に到達するまで打ち込まれる。最後のパイルが、地盤中に打ち込まれた後に、テンプレート1は、引き上げられることによりパイルから取り除かれる。実際には、パイルガイド3の中の1つが、対応するパイルを最も強く締め付け得る。テンプレート1は、テンプレート1を引き上げる最中にその締付け位置の周囲で自動的に傾斜する。結果として、対応するパイルガイド3は、締め付けているパイルに対して回転し、それにより下方スペーサ要素8の接触表面部分10の少なくとも一部が、パイルに対してスタッガ状位置を取ることに起因してパイルとの接触を喪失する。パイルから見た場合に、下方スペーサ要素8の接触表面部分10により画定される開口は、円形から楕円形へと変化し、したがってパイルに沿って上方に変位するためのより大きな余地をパイルガイド3に与える。テンプレート1がある特定の度合いだけ傾斜した後に、最初に対応するパイルを最も強く締め付けたパイルガイド3は、解除され、パイルに沿って上方に変位する。一方で、最初に対応するパイルをより低い度合いで強く締め付けた別のパイルガイド3が、引上げ動作中に締付け度を高め得る。同プロセスは、他のパイルガイド3が対応するパイルを最も強く締め付ける位置の周囲にてテンプレート1が続いて傾斜するときに、繰り返され得る。
【0027】
本発明は、図面に示され上記に説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲およびその技術的均等物の範囲内において種々の様式で変更され得る。例えば、上方スペーサ要素は、ハンマーが上方スペーサ要素を通過し得るようにするために、パイルガイドフレームに対して径方向に変位可能であってもよい。さらに、上方スペーサ要素は、離散的な上方接触表面部分ではなく、連続的上方パイル接触表面を備える単一の上方スペーサへと一体化されてもよい。同様に、下方スペーサ要素は、下方スペーサ要素の離散的な接触表面部分ではなく、連続的下方パイル接触表面を備える単一の下方スペーサへと一体化されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 テンプレート
2 テンプレートフレーム
3 パイルガイド
4 パイルガイド正中線
5 パイルガイドフレーム
6 通路
7 上方スペーサ要素
8 下方スペーサ要素
9 接触表面部分
10 接触表面部分
図1
図2
図3
図4
図5