(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】二次元RPLC-SFCクロマトグラフィーのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/02 20060101AFI20221115BHJP
G01N 30/08 20060101ALI20221115BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20221115BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20221115BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20221115BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20221115BHJP
B01J 20/283 20060101ALI20221115BHJP
B01J 20/29 20060101ALI20221115BHJP
B01D 15/40 20060101ALI20221115BHJP
B01D 15/32 20060101ALI20221115BHJP
B01D 15/16 20060101ALI20221115BHJP
B01D 15/18 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/02 N
G01N30/08 L
G01N30/26 M
G01N30/46 A
G01N30/86 J
G01N30/88 W
B01J20/283
B01J20/29
B01D15/40
B01D15/32
B01D15/16
B01D15/18
(21)【出願番号】P 2020001805
(22)【出願日】2020-01-09
(62)【分割の表示】P 2017541164の分割
【原出願日】2015-10-26
【審査請求日】2020-01-14
(32)【優先日】2014-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アル‐サヤ ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ベンカトラマニ カダパカム
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0014585(US,A1)
【文献】特表2014-514541(JP,A)
【文献】特開平08-313508(JP,A)
【文献】特表2002-503823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0134095(US,A1)
【文献】ISABELLE FRANCOIS et al.,CONSTRUCTION OF A NEW INTERFACE FOR COMPREHENSIVE SUPERCRITICAL FLUID CHROMATOGRAPHY×REVERSED PHASE,JOURNAL OF SEPARATION SCIENCE,ドイツ,WILEY-VCH,2008年10月,VOL:31, NR:19,PAGE(S):3473 - 3478,http://dx.doi.org/10.1002/jssc.200800267
【文献】PAUL G STEVENSON et al.,COMPREHENSIVE TWO-DIMENSIONAL CHROMATOGRAPHY WITH COUPLING OF REVERSED PHASE HIGH PERFORMANCE LIQUID,JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A,NL,ELSEVIER,2011年11月,VOL:1220,PAGE(S):175 - 178,http://dx.doi.org/10.1016/j.chroma.2011.11.020
【文献】Isabelle Francois,Comprehensive two-dimensional liquid chromatography applying two parallel columns in the second dime,Journal of Chromatography,2007年07月25日
【文献】HERNAN J CORTES et al.,ON-LINE COUPLED LIQUID CHROMATOGRAPHY AND CAPILLARY SUPERCRITICAL FLUID CHROMATOGRAPHY LARGE-VOLUME,JOURNAL OF MICROCOLUMN SEPARATIONS,米国,JOHN WILEY & SONS, INC,1992年05月,VOL:4, NR:3,PAGE(S):239 - 244,http://dx.doi.org/10.1002/mcs.1220040310
【文献】ISABELLE FRANCOIS et al.,CONSTRUCTION OF A NEW INTERFACE FOR COMPREHENSIVE SUPERCRITICAL FLUID CHROMATOGRAPHY×REVERSED PHASE,JOURNAL OF SEPARATION SCIENCE,ドイツ,WILEY-VCH,2008年10月,VOL:31, NR:19,PAGE(S):3473 - 3478,http://dx.doi.org/10.1002/jssc.200800267
【文献】PAUL G STEVENSON et al.,COMPREHENSIVE TWO-DIMENSIONAL CHROMATOGRAPHY WITH COUPLING OF REVERSED PHASE HIGH PERFORMANCE LIQUID,JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A,NL,ELSEVIER,2011年11月,VOL:1220,PAGE(S):175 - 178,http://dx.doi.org/10.1016/j.chroma.2011.11.020
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/283-20/29
B01D 15/00 -15/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)分離ユニットと、
(b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)分離ユニットと、
(c)前記RPLC分離ユニットおよび前記SFC分離ユニットに接続されている、複数の試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、該複数の試料ループのうち少なくとも1つが、固定相を含むトラッピングカラムを含む、第一流体ルーティングユニットと
を含み、
前記RPLC分離ユニットにおいて該試料をまず分離し、続いて、RPLC分離ユニットから溶離した該試料の少なくとも一部を前記SFC分離ユニットに導入するように構成された、
試料を分離するためのクロマトグラフィーシステム。
【請求項2】
第一流体ルーティングユニットが2つの試料ループを含み、該2つの試料ループのうち1つは前記RPLC分離ユニットと流体接触状態にあり、該2つの試料ループのうちもう1つは前記SFC分離ユニットと流体接触状態にある、請求項1記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項3】
第一流体ルーティングユニットが、各々が試料ループ内に位置決めされた複数のトラッピングカラムを含む、請求項1または2記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項4】
トラッピングカラム内の固定相が逆相材料を含む、請求項1~3のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項5】
逆相材料がC-18相を含む、請求項4記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項6】
前記トラッピングカラムが、約100μLの内部体積容量を有する、請求項1~5のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項7】
試料ループが前記RPLC分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向に該試料ループを通る流体フローを許容し、そして、該試料ループが前記SFC分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向とは反対方向に該試料ループを通る流体フローを許容するように、第一流体ルーティングユニットが構成されている、請求項1~6のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項8】
試料ループが前記RPLC分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向に該試料ループを通る流体フローを許容し、そして、該試料ループが前記SFC分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向と同じ方向に該試料ループを通る流体フローを許容するように、第一流体ルーティングユニットが構成されている、請求項1~6のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項9】
前記RPLC分離ユニットが、RPLC分離ユニットを通るようにRPLC移動相を駆動するRPLCポンプアセンブリをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項10】
前記RPLC分離ユニットが、RPLC分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項11】
前記RPLC分離ユニットが、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項12】
RPLCカラムが逆相固定相を含む、請求項11記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項13】
逆相固定相がC-18相を含む、請求項12記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項14】
前記SFC分離ユニットが、SFC分離ユニットを通るようにSFC移動相を駆動するためのSFCポンプアセンブリを含む、請求項1~13のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項15】
前記SFC分離ユニットが、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムを含む、請求項1~14のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項16】
SFCカラムが順相固定相を含む、請求項15記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項17】
順相固定相がシリカゲルを含む、請求項16記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項18】
前記SFC分離ユニットが、
(i)アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されている、SFCカラムのアレイと;
(ii)前記SFC移動相のフローを該アレイ内の既定のSFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットと
を含む、
請求項15~17のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項19】
前記SFC分離ユニットが、SFCカラムアレイ内の各SFCカラムの上流に位置する集束カラムをさらに含む、請求項15~18のいずれか一項記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項20】
各集束カラムが逆相材料を含む、請求項19記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項21】
(i)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)による試料の分離によって得られた該試料の少なくとも一部を、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉する段階であって、
該RPLCが、第一カラムを用いる試料の分離を含み、該第一カラムがRPLCカラムである、段階;および
(ii)該トラッピングカラム上に捕捉された試料の該一部を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によるさらなる分離に供する段階であって、
該SFCが、第二カラムを用いる試料の一部の分離を含み、該第二カラムがSFCカラムである、段階
を含む、試料を分離するための方法。
【請求項22】
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)該試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;および
(iii)該RPLCカラム上で該試料を分離する段階
を含む逆相液体クロマトグラフィーによって試料を分離する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
トラッピングカラム上に捕捉された試料の一部を、該トラッピングカラムから溶離する段階をさらに含む、請求項21~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階をさらに含む、請求項21~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
RPLCカラムによって分離された試料の少なくとも一部を捕捉するため、該RPLCカラムより下流の第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階をさらに含む、請求項21~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
捕捉された一部をトラッピングカラムから溶離するため、該捕捉された一部を抱持している該トラッピングカラムを第二移動相の流路に切換える段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階またはトラッピングカラムを第二移動相の流路に切換える段階が、RPLCの流体路とSFCの流体路とをインターフェースしている流体ルーティングユニットにおいて行われる、請求項27記載の方法。
【請求項29】
SFCによるさらなる分離の前に、トラッピングカラムから溶離した試料の少なくとも一部を集束カラム上に再捕捉する段階をさらに含む、請求項21~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、該トラッピングカラム上に捕捉された試料の前記一部は、第一の方向とは反対方向に該トラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、該トラッピングカラムから溶離される、請求項21~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、該トラッピングカラム上に捕捉された試料の前記一部は、第一の方向と同じ方向に該トラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、該トラッピングカラムから溶離される、請求項21~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)該試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;
(iii)該RPLCカラム上で該試料の第一部分を該試料の第二部分から分離する段階;
(iv)該RPLCカラムの通過後に第一移動相中の該試料の前記第一部分の成分の存在を検出する段階;
(v)該RPLCカラム上で分離された該試料の前記第一部分を、固定相を含む第一トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(vi)第一トラッピングカラム上に捕捉された試料の前記第一部分を、第一トラッピングカラムから溶離する段階;
(vii)第一トラッピングカラム上に捕捉された試料の第一部分を、SFCにより、該試料の第三部分および該試料の第四部分へとさらなる分離に供する段階;および
(viii)該SFCによるさらなる分離後に該試料の第三部分の成分を検出する段階
を含む、請求項21記載の方法。
【請求項33】
(ix)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも第二部分を、固定相を含む第二トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(x)第二トラッピングカラム上に捕捉された試料の第二部分を、第二トラッピングカラムから溶離する段階;
(xi)第二トラッピングカラム上に捕捉された試料の第二部分を、SFCによるさらなる分離に供する段階
をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
RPLCカラムが逆相固定相を含む、請求項21~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
トラッピングカラム内の固定相が逆相材料を含む、請求項21~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
SFCによるさらなる分離が、順相固定相を含むSFCカラム上で行われる、請求項21~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
SFCによるさらなる分離が、SFCカラムのアレイを含むSFCシステム上で行われる、請求項21~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
各SFCカラムがそれぞれ独立に順相固定相を含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
トラッピングカラム上に捕捉された試料の前記一部を、さらなる分離のため、該試料中の成分を分離するように適合された固定相を含むSFCカラムにルーティングする段階をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
試料を逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)分離ユニット上でRPLCによってフラクションの第一セットに分離する段階;および
該フラクションのうちの1つまたは複数を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)分離ユニット上でSFCによってさらに分離する段階
を含む、請求項1記載のクロマトグラフィーシステムを用いて試料を分析するための方法。
【請求項41】
RPLC分離ユニット上のRPLCによる分離が、前記試料の第一の特徴に部分的に基づき、SFC分離ユニット上のSFCによる分離が、該試料の第一の特徴と異なる該試料の第二の特徴に部分的に基づく、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記試料が、立体異性体成分の混合物を含む、請求項40記載の方法。
【請求項43】
ジアステレオマー成分が、RPLC分離ユニット上のRPLCによって、各フラクションが鏡像体ペアを含む1つまたは複数のフラクションに分離される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
RPLC分離ユニット上のRPLCによる分離が、試料の疎水性に部分的に基づく、請求項43記載の方法。
【請求項45】
鏡像体ペアが、SFC分離ユニット上のSFCによって、個々の鏡像体にさらに分離される、請求項43または44記載の方法。
【請求項46】
SFC分離ユニット上のSFCによる分離が、試料のキラリティに部分的に基づく、請求項45記載の方法。
【請求項47】
立体異性体成分の混合物を含む試料をアキラル‐キラル分析するための方法であって、
該立体異性体成分の混合物は、それぞれ鏡像体ペアを有する一つまたは複数の関心対象ジアステレオマー成分を含み、
該方法は、請求項1記載のクロマトグラフィーシステムに前記試料を供して、
試料中の1つまたは複数の関心対象ジアステレオマー成分をRPLC分離ユニット上でRPLCによって分離し;および
各鏡像体ペアの一つの関心対象ジアステレオマー成分を同じ分析ラン中にSFC分離ユニット上でSFCによって分離すること
を含む、方法。
【請求項48】
RPLC分離によるクロマトグラムに基づいてアキラル純度を決定する段階、および、SFC分離によるクロマトグラムに基づいてキラル純度を決定する段階をさらに含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
請求項1に記載のRPLCカラムおよびSFCカラムを含む単回の連続的クロマトグラフィーシステムにおいて、
該RPLCカラムおよび
該SFCカラムにおいて試料の少なくとも一部分を分離する段階を含む、試料を分析する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示内容の全体が本明細書に組み入れられる、2014年10月27日に提出された米国特許仮出願第62/069,219号に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、化合物の混合物を直交的に分離および分析するための、多次元クロマトグラフィーのシステムおよび方法に関する。例示的な二次元逆相液体クロマトグラフィー‐超臨界流体クロマトグラフィーシステム、およびその使用方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
クロマトグラフィーは化合物の混合物の分離および分析に広く用いられている。一次元クロマトグラフィーのピークキャパシティに制限があることから、複雑な試料(complex sample)の分析用に、ピークキャパシティが大幅に向上した多次元クロマトグラフィーシステムが考案されている。複雑な混合物の分析において特に、二次元(2D)クロマトグラフィー技法が非常に普及している。保持機構が相補的であることを前提とすると、1次元(1D)クロマトグラフィーと比較して2Dクロマトグラフィー技法は選択性および分解能が高い。二次元分離システムにおいて最大ピークキャパシティが実現されるのは、第一次元において分解が良好でなかった成分が第二次元において完全に分解されうるよう、個々の分離の選択性が独立(直交)しているときである。直交分離機構が二次元で用いられる場合、そのシステムの理論上のピークキャパシティは、個々のピークキャパシティの積である。Giddings, J.C. Anal. Chem. 1984, 56:1258A; Giddings, J. C., in: Cortes, H. J. (Ed.), Multidimensional Chromatography: Techniques and Applications, Marcel Dekker, New York 1990, p. 1; Jandera, P. et al., Chromatographia 2004, 60:S27を参照されたい。
【0004】
しかし、感度および溶媒適合性の点で2Dクロマトグラフィーにはいくつかの制約が存在する。例えば、第一次元から持ち越される移動相はしばしば第二次元との干渉を作り出し、それゆえ第二次元の分離能力を限定する。第一および第二次元で用いられる溶媒の不適合は、重度のバンドの分散または広がり、およびピークの劣化を引き起こす可能性があり、それゆえインターフェース設計に大きな課題をもたらす。Tian, H., et al., J. Chromatogr. A 2006, 1137:42。溶媒不混和性の懸念を軽減するため、研究者らは、両次元において適合性の移動相を用いる、複数の2Dシステムを開発している。いくつかの例として、2D逆相液体クロマトグラフィー(RPLC×RPLC)(Venkatramani, C.J. et al., J. Sep. Sci. 2012, 35:1748; Zhang, J. et al., J. Sep. Sci. 2009, 32:2084; Song, C.X. et al., Anal. Chem. 2010, 82:53; Liu, Y.M. et al., J. Chromatogr. A 2008, 1206:153)、2D親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC×RPLC)(Liu, Y.M. et al., J. Chromatogr. A 2008, 1208:133; Wang, Y. et al., Anal. Chem. 2008, 80:4680; Louw, S. et al., J. Chromatogr. A 2008, 1208:90)、2D順相液体クロマトグラフィー×超臨界流体クロマトグラフィー(NPLC×SFC)(Gao, L. et al., J. Sep. Sci. 2010, 33:3817)、および2D SFC×SFC(Zeng, L. et al., J. Chromatogr. A 2011, 1218:3080; Lavison, G. et al., J. Chromatogr. A 2007, 1161:300; Hirata, Y. et al., J. Sep. Sci. 2003, 26:531; Okamoto, D. et al., Anal. Sci. 2006, 22:1437; Guibal, P. et al., J. Chromatogr. A 2012, 1255:252)などがある。AndererらのUS 2013/0134095は、第一LCの出力を第二LCに注入する注入事象を、第二LCの状態に関連して制御することによって、第一LCによる第二LCとの干渉をさらに低減することを試みた、2D LCのシステムおよび方法を開示している。
【0005】
相容れない「順相」および「逆相」の次元を連結した1つの技法は、2D SFC×RPLC(Francois, I. et al., J. Sep. Sci. 2008, 31:3473-3478; Francois, I. and Sandra, P. J. Chromatogr. A 2009, 1216:4005)である。この場合、SFCフラクション中の無極性の超臨界二酸化炭素は(大気圧にさらされたときに)蒸発して、第二のRPLC次元に適合した移動相を備えたフラクションが生じる(通常はアルコール変性剤)。Francois, I.らのSFC×RPLCシステムは、第一次元であるSFCユニットと第二次元であるRPLCユニットとの間のインターフェースに、2ポジション/10ポートの切換バルブを採用している。同システムは、SFCカラムから溶離した分析成分がCO2の流れに押されて廃棄物ラインに入ることを防ぐため、インターフェース内に充填ループ(packed loop)を用いており、そして、第二次元における残留CO2ガスの干渉を低減するため、ループに水が導入される。
【0006】
Cortesら(J. Microcol. Sep. 1992, 4:239-244; および米国特許第5,139,681号)は、第一次元LCから出た揮発性の溶媒が窒素ガスの通過によって除去されて、溶離した分析成分の析出物が残り、これが次に第二次元SFC用のCO2移動相によって取り込まれるという、試料インレット毛管を含む2D LC×SFCシステムを説明している。しかし、窒素ガスの通過による溶媒除去は、水性の移動相を用いるRPLCには実用的でない。
【0007】
第一次元のRPLCおよび第二次元のSFC分離を行うことが有利であるような、複雑な試料を分離および分析するための効率的なクロマトグラフィーのシステムおよび方法について、引き続きニーズが存在している。
【発明の概要】
【0008】
例えば、二次元の逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)‐超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)システムなど、有機化合物の複雑な混合物を分離および/または分析するための多次元クロマトグラフィーのシステムおよび方法が開示され、特に、RPLC移動相を通過させる一方でRPLCカラムから溶離した分析成分を保持でき、それゆえSFCカラムに運ばれるRPLC溶媒の量を低減できるようなインターフェースを含む、RPLC×SFCシステムが開示される。
【0009】
1つの局面において、(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動するための第一ポンプアセンブリ、b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクター、および c)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムを含む、第一分離ユニットと;(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリ、および b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムを含む、第二分離ユニットと;(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、複数の試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、複数の試料ループのうち少なくとも1つが、固定相を含むトラッピングカラムを含む、第一流体ルーティングユニットとを含む、試料を分離するためのクロマトグラフィーシステムであって、まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、クロマトグラフィーシステムが提供される。いくつかの態様において、システムは、第一分離ユニットおよび/または第二分離ユニット用の検出器をさらに含む。システムは、システムコンポーネントのうち1つまたは複数に機能的に接続された、1つまたは複数の制御デバイスをさらに含んでいてもよい。
【0010】
いくつかの態様において、2D RPLC×SFCシステムは、2つの試料ループのうち1つが第一分離ユニットと流体接触状態にあり、そして2つの試料ループのうちもう1つが第二分離ユニットと流体接触状態にあるような、2つの試料ループを含む、第一流体ルーティングユニットを含む。いくつかの態様において、第一流体ルーティングユニットは、試料ループのうち1つまたは複数が第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある、3つまたはそれ以上の試料ループを含む。1つのバリエーションにおいて、第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある、少なくとも1つの試料ループは、固定相材料がローディングされたトラッピングカラムを含む。いくつかの態様において、第一流体ルーティングユニットは、トラッピングカラム内に保持された分析成分の向流溶離を可能にするように構成される。いくつかの態様において、第一流体ルーティングユニットは、トラッピングカラム内に保持された分析成分の並流溶離を可能にするように構成される。
【0011】
いくつかの態様において、2D RPLC×SFCシステムは、1つのSFCカラムを含み、そしてSFCカラムの上流に位置決めされた集束カラムも任意で含む、第二分離ユニットを含む。いくつかの態様において、第二分離ユニットはSFCカラムの並列アレイを含み、その各々は、SFCカラムの上流に位置決めされた集束カラムを任意で含む。
【0012】
さらに、本明細書に説明されるクロマトグラフィーシステムを用いる方法も提供される。いくつかの態様において、本明細書に説明されるクロマトグラフィーシステムを用いて試料(複雑な試料など)を分析するための方法であって、まず、複雑な試料をRPLCによってフラクションに分離する段階;および、RPLC次元によるフラクションを第二次元においてSFCによりさらに分離する段階、を含む方法が提供される。
【0013】
1つの態様において、本明細書に説明されるクロマトグラフィーシステムを用いて、立体異性体成分の混合物を含む試料のアキラル‐キラル同時分析を行うための方法であって、試料中の1つまたは複数の関心対象ジアステレオマー成分を、第一次元においてRPLCによって分離(または分解)する段階であって、試料のアキラル純度を提供する段階;および、関心対象の鏡像体ペアを、同じ分析ラン中の第二次元においてSFCによって分離(または分解)する段階であって、試料中の成分のキラル純度をさらに提供する段階、を含む方法が提供される。
【0014】
別の局面において、多次元クロマトグラフィー(2D RPLC×SFCなど)によって試料を分離するための方法であって、(i)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)による試料の分離から得られた、試料の少なくとも一部を、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉する段階;および、(ii)トラッピングカラム上に捕捉された試料の前記一部を、さらに超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)による分離に供する段階、を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示的な多次元クロマトグラフィーシステム10の略図である。
【
図2A】第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている例示的な第一分離ユニット20の略図である。
【
図2B】第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている例示的な第二分離ユニット40Aおよび40Bの略図である。
【
図3A】トラッピングカラム330を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム330を通る第一移動相および第二移動相が向流となるように構成されている。
【
図3B】トラッピングカラム330を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム330を通る第一移動相および第二移動相が向流となるように構成されている。
【
図3C】トラッピングカラム370を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム370を通る第一移動相および第二移動相が並流となるように構成されている。
【
図3D】トラッピングカラム370を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム370を通る第一移動相および第二移動相が並流となるように構成されている。
【
図4A】トラッピングカラム430を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム430を通る第一移動相および第二移動相が並流となるように構成されている。
【
図4B】トラッピングカラム430を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム430を通る第一移動相および第二移動相が並流となるように構成されている。
【
図5A】2つのトラッピングカラム530および560を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム530および560の各々を通る第一移動相および第二移動相が向流となるように構成されている。
【
図5B】2つのトラッピングカラム530および560を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図であり、第一流体ルーティングユニット30の構成は、トラッピングカラム530および560の各々を通る第一移動相および第二移動相が向流となるように構成されている。
【
図6A】2つのルーティング機構600および620を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図である。
【
図6B】2つのルーティング機構600および620を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図である。
【
図6C】2つのルーティング機構600および620を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図である。
【
図6D】2つのルーティング機構600および620を含む例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図である。
【
図7A】SFCカラムのアレイを含む第二分離ユニット40Bの例示的な下流サブユニットの略図である。
【
図7B】SFCカラムのアレイを含む第二分離ユニット40Bの例示的な下流サブユニットの略図である。
【
図8A】1つのトラッピングカラム(並流)を備えた例示的な2D RPLC×SFCシステムのホーム/分析位置を示した図である。
【
図8B】1つのトラッピングカラム(並流)を備えた例示的な2D RPLC×SFCシステムのトラッピング位置を示した図である。
【
図9】トラッピングカラム、集束カラム、および二次SFCカラムのアレイを用いた2D RPLC-SFCの略線図である。
【
図10】例示的なパーキングデッキバルブ(parking deck valve)の写真である。
【
図11】試料ループが3つ(6μL, 12μL, 24μL)である構成のシステムを用いた、トランススチルベンオキシド(TSO)の多次元分離について、経時(分)的な吸光度測定値(mAU)のクロマトグラムを重ねた図である。
【
図12】評価された濃度範囲(0.005~0.25 mg/ml)のTSOの多次元分離について、経時(分)的なUV吸光度測定値(mAU)のクロマトグラムを重ねた図である。
【
図13】2D RPLC-SFCシステムから得られた、原薬Aの試料のスパイクなし分析およびスパイクあり分析のクロマトグラムを重ねた図である。
【
図14】
図14Aおよび
図14Bは、望ましくない鏡像体をさまざまな水準(範囲0.1~2.0%)で含有する原薬Aの試料の、それぞれ従来式のSFCおよび2D RPLC-SFCのクロマトグラムである。
【
図15】2D RPLC-SFCシステムを用いた、原薬Aの試料の8つの立体異性体の分離を示した、一連のクロマトグラムである。下のクロマトグラムは、第一のRPLC次元における、原薬Aの試料の4つのジアステレオマーペアの分離を示している。上の4つのクロマトグラムは、各ジアステレオマーペアが第二のSFC次元においてさらに分離されたことを示している。
【
図16】SFCカラムの上流ヘッド部に位置する集束カラムを備えた2D RPLC-SFCシステム、および集束カラムを備えていない同システムを用いた、ある濃度範囲にわたるTSOの分析による、ピーク面積に対するピーク高さのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、複雑な試料を分離および分析するための効率的なクロマトグラフィーのシステムおよび方法、特に、二次元RPLC×SFCシステムおよびその使用方法を提供する。
【0017】
本明細書において用いられる「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、別段の明示がない限り、1つまたは複数であることを指す。
【0018】
本明細書において、「約(about)」がつく値またはパラメータに対する参照は、その値またはパラメータ自体に向けられた態様を含む(そしてこれを説明する)。例えば、「約X(about X)」を参照している説明は、「X」の説明を含む。
【0019】
システム
1つの局面において、本発明は、逆相液体クロマトグラフィー用の第一分離ユニットと、超臨界流体クロマトグラフィー用の第二分離ユニットと、流体ルーティングユニットであるインターフェースとを含む、試料を分離するための二次元RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムであって、試料は第一次元のRPLCにおいて、そして次に第二次元のSFCにおいて分離されるような、システムを提供する。流体ルーティングユニットは、各々が既定の容積を有し、RPLCカラムから溶離したフラクションを収集するために第一分離ユニットの流体路内に置かれてもよい、複数の試料ループを含む。その中にフラクションが収集された試料ループは、続いて、試料ループ内に収集されたフラクションをさらなる分離のためSFCカラム上に移送するために、第二分離ユニットの流体路内に置かれる。本発明のシステムにおいて、試料ループのうち少なくとも1つは、移動相を通過させる一方でRPLCカラムから溶離した分析成分を保持するための固定相を含有する、トラッピングカラムを含む。本発明の新しいインターフェース設計は、RPLCとSFCとの連結を可能にする。
【0020】
いくつかの態様において、薬学的化合物のアキラル・キラル同時分析を実現できる、第一次元にRPLCを、そして第二次元にSFCを利用した、オンライン二次元クロマトグラフィーシステムが提供される。特定の態様において、インターフェースは、小容積のC-18トラッピングカラムを備えた、2ポジション/8ポートの切換バルブを含む。第一次元のRPLCカラムから得られた関心対象のピークは、小容積のトラッピングカラム(例えばC-18トラッピングカラム)上で鋭い濃度パルスとして効果的に集束され、そして次に、第二次元のSFCカラム上に注入された。第一次元のRPLC分離はアキラル純度の結果を提供し、第二次元のSFC分離はキラル純度の結果(鏡像体過剰率)を提供する。
【0021】
図面を参照すると、
図1は、例示的な多次元クロマトグラフィーシステム10の概略図を示している。第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bは第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている。第一分離ユニット20を通り第一流体ルーティングユニット30に向かう第一移動相の方向性フローは矢印50で示されている。矢印60で示されている方向性フローである第二移動相は、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aを通って第一流体ルーティングユニット30まで移動し、続いて、矢印70で示されている方向に、第二分離ユニットの下流サブユニット40Bを通って戻るように差し向けられる。
【0022】
いくつかの態様において、本発明のシステムは、システムの作動を制御するために、例えば、ポンプアセンブリ、試料インジェクター、第一流体ルーティングユニット(インターフェース)、および存在している検出器など、システムの1つまたは複数のコンポーネントに機能的に接続された、1つまたは複数の制御デバイスを含む。制御デバイスは、個々のデバイスそれぞれの作動を制御するため、および、試料分析を自動で行うための、適切なソフトウェア(例えば、Agilent製機器Controlソフトウェア、またはAutomation Studioソフトウェア)を装備したコンピュータシステムを含んでいてもよい。
図1を参照すると、制御デバイス80は、第一分離ユニット20、第一ルーティングユニット30、ならびに、第二分離ユニット40Aおよび40Bのうち、少なくとも1つに機能的に接続されている。
【0023】
クロマトグラフィーにおける移動相の組成は経時的に一定に保たれてもよく、これは当技術分野においてアイソクラティックモードとして公知である。あるいは、移動相の組成は経時的に変化してもよく、これは当技術分野においてグラジエントモードとして公知である。
【0024】
2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムの第一分離ユニットは、第一分離ユニットを通るように移動相を駆動するための第一ポンプアセンブリと、第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムとを含む。RPLC用の移動相は、二溶媒系(例えば、水‐アセトニトリル混合物および水‐メタノール混合物など)、および任意で、特定の添加物(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、水酸化アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウムなど)を含んでいてもよい。ポンプアセンブリは、RPLC用の移動相を駆動するための1つまたは複数のポンプを含む。液体クロマトグラフィーに好適なポンプは当技術分野において公知であるが、いくつかの態様において、ポンプは、往復ポンプ、置換ポンプ(displacement pump)、空気ポンプ、および/または上記のうち少なくとも1つの任意の組み合わせであってもよい。システムは、手動式の試料インジェクターまたは自動サンプラーなど、RPLC用の移動相に試料を注入するための任意の好適な試料インジェクターを含んでいてもよい。RPLCカラムは、C-18ビーズの固定相などの逆相固定相を含む。逆相固定相は、シリカをベースとするものか(例えばシリカゲルのコア構造を含有するもの)、またはポリマーをベースとするもの(例えば有機ポリマー(例えばポリスチレン)のコア構造を含有するもの)であってもよい。逆相固定相に好適な材料の非限定的な例として、C-18、C-8、C-4、フェニルおよびフェニル誘導体、極性埋込(polar embedded)相、ならびに混合モード相などがある。
【0025】
いくつかの態様において第一分離ユニットは、RPLCカラムから溶離した分析成分の存在を検出するため、RPLCカラムの下流に位置決めされた検出器をさらに含む。示差屈折計、紫外分光光度計、紫外‐可視分光測光検出器、荷電エアロゾル検出器、蛍光検出器、および質量分析計など、試料中の化合物を検出するのに好適な任意の検出器が用いられてよい。いくつかの態様において、RPLC次元用の検出器は、紫外‐可視分光測光検出器、荷電エアロゾル検出器、蛍光検出器、および質量分析計である。
【0026】
例えば、あらかじめプログラムされた条件下でRPLCが行われ、かつ関心対象の分析成分についての保持時間があらかじめ決定されている場合など、あらかじめ決定された時間に分析成分が溶離されるシステムにおいて、検出器は任意であってもよい。
【0027】
図面を参照すると、
図2Aは、第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている例示的な第一分離ユニット20の略図である。第一分離ユニット20は、矢印110で示されている方向に第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動するための第一ポンプ100を含む。いくつかの態様において、第一移動相は1つのみの溶媒で構成されていてもよい。いくつかの態様において、第一移動相は、混合された複数の溶媒で構成されていてもよい。いくつかの態様において、ポンプ100が混合溶媒を第一移動相として受け取るよう、第一移動相の溶媒の混合がポンプ100の上流で提供されてもよい。いくつかの態様において、第一移動相はレセプタクル120内に貯蔵される。いくつかの態様において、ポンプ100の下流で混合が生じるように、ポンプ100が複数の個々のポンピングユニットで構成され、そして複数のポンピングユニットの各々が、異なる溶媒または溶媒混合物の受け取りおよびポンピングをしてもよい。いくつかの態様において、第一移動相が、1つまたは複数の添加物をさらに含んでいてもよい。RPLC移動相に用いられる添加物の非限定的な例として、リン酸、リン酸緩衝液、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、水酸化アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、およびアルキルスルホン酸などがある。
【0028】
いくつかの態様において、第一移動相の組成は経時的に一定に保たれてもよい(アイソクラティックモードでのラン)。いくつかの態様において、第一移動相の組成は経時的に変化してもよい(グラジエントモードでのラン)。グラジエントモードにおける作動は典型的に2つのポンプを必要とし、1つは、移動相中の、より極性の大きい溶媒(例えば水)の駆動用であり、もう1つは、より極性の小さい溶媒(例えばアセトニトリルまたはメタノール)の駆動用である。アイソクラティックモードにおける作動は、2つの溶媒を一定の比で送達する2つのポンプを備えたシステムか、または、あらかじめ混合された移動相を駆動する1つのポンプを備えたシステムを利用してもよい。
【0029】
さらに、
図2Aの略図は、ポンプ100と逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラム150との間に位置する試料インジェクター130を示している。試料インジェクター130は、矢印140で示されている方向において、第一分離ユニットに試料を導入する。いくつかの態様において、試料インジェクター130は、第一分離ユニットに試料を添加するために提供される。いくつかの態様において、試料インジェクター130は、第一分離ユニットに試料を導入するためのバルブおよび試料ループを含んでいてもよい。いくつかの態様において、試料インジェクター130は自動サンプラーを含んでいてもよい。
【0030】
図2Aの略図に示されているように、RPLCカラム150は試料インジェクター130の下流に位置している。RPLCカラム150は逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、RPLCカラム150は炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭化水素鎖を含んでいてもよい。
【0031】
いくつかの態様において、RPLCカラム150の温度は、選択された温度に維持されてもよい。いくつかの態様において、RPLCカラム150の温度は、約10℃~約50℃の範囲に維持されてもよい。いくつかの態様において、RPLCカラム150の温度は、約40℃に維持されてもよい。
【0032】
第一分離ユニット20のRPLCカラム150と、第一流体ルーティングユニット30との間に、任意で第一検出器160が位置していてもよい(
図2A)。第一検出器は、RPLCカラム150から溶離した、試料の少なくとも一部の存在を測定する。いくつかの態様において、第一検出器150は光学式の検出器である。いくつかの態様において、第一検出器150は分光測光式の検出器である。いくつかの態様において、第一検出器150は、紫外分光光度計、紫外‐可視分光測光検出器、および蛍光検出器のうち1つまたは複数から選択される。
【0033】
2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムの第二分離ユニットは、第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムとを含む。SFC用の移動相は、超臨界流体(例えば超臨界二酸化炭素)と、共溶媒(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロピルアルコール)と、任意で1つまたは複数の添加物(例えば水酸化アンモニウム)とを含む。第二ポンプアセンブリは、超臨界流体の移動相を駆動するための1つまたは複数のポンプを含む。SFCに好適な任意の固定相がSFCカラム内に用いられてよい。固定相材料の選択は、第二次元の分離基準に依存してもよい。いくつかの態様において、SFCカラムは、シリカゲルなどの順相固定相を含む。いくつかの態様において、クロマトグラフィーシステムは、SFCカラムから溶離した分析成分の存在を検出するため、SFCカラムの下流に位置決めされた検出器をさらに含む。UV検出器、フォトダイオードアレイ検出器、荷電エアロゾル検出器、蛍光検出器、および質量分析計(MS)など、SFCに好適な任意の検出器が用いられてよい。
【0034】
図を参照すると、
図2Bは、第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている上流サブユニット40Aと下流サブユニット40Bとを含む、例示的な第二分離ユニットの略図である。第二分離ユニットの上流サブユニット40Aは、矢印210で示されている方向に第二分離ユニット40Aおよび40Bを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプ200を含む。第二分離ユニットの下流サブユニット40Bは、SFCカラム240と、任意で集束カラム260および/または検出器250とを含む。いくつかの態様において、第二移動相は1つのみの溶媒で構成されていてもよい。いくつかの態様において、第二移動相は、混合された複数の溶媒で構成されていてもよい。いくつかの態様において、ポンプ200が混合溶媒を第二移動相として受け取るよう、第二移動相の溶媒の混合がポンプ200の上流で提供されてもよい。いくつかの態様において、第二移動相はレセプタクル220内に貯蔵される。いくつかの態様において、ポンプ200の下流で混合が生じるように、ポンプ200が複数の個々のポンピングユニットで構成され、そして複数のポンピングユニットの各々が、異なる溶媒または溶媒混合物の受け取りおよびポンピングをしてもよい。
【0035】
いくつかの態様において、第二移動相の組成は経時的に一定に保たれてもよい(アイソクラティックモードでのラン)。いくつかの態様において、第二移動相の組成は経時的に変化してもよい(グラジエントモードでのラン)。超臨界流体クロマトグラフィーに好適なポンプは当技術分野において公知であるが、いくつかの態様において、ポンプは、往復ポンプ、置換ポンプ、空気ポンプ、および/または上記のうち少なくとも1つの任意の組み合わせであってもよい。
【0036】
図2Bに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aは、ポンプ200の下流で第一流体ルーティングユニット30とインターフェースしている。第一流体ルーティングユニット30の下流で第二分離ユニットの下流サブユニット40Bを通る第二移動相の方向性フローは矢印230で示されている。SFCカラム240は順相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、順相固定相はシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、シアノプロピル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、アミノプロピル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、エチルピリジン基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、スルホン酸基および/またはフェニル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、1,2-ジヒドロキシプロピルプロピルエーテル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、官能基(例えば、シアノプロピル基、アミノプロピル基、エチルピリジン基、スルホン酸基、フェニル基、または1,2-ジヒドロキシプロピルプロピルエーテル基)で修飾された、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーである。SFC用の固定相に用いるのに好適な材料の他の例として、シリカ、エチルピリジン、シアノ、エピクジオール(epic diol)、ピリジルアミド、およびニトロなどがある。
【0037】
いくつかの態様において、SFCカラム240の温度は、選択された温度に維持されてもよい。いくつかの態様において、SFCカラム240の温度は、約35℃~約45℃の範囲に維持されてもよい。いくつかの態様において、SFCカラム240の温度は、約40℃に維持されてもよい。
【0038】
図2Bを参照すると、いくつかの態様において、SFCカラム240の上流に任意で集束カラム260が位置していてもよい。集束カラム260は固定相を含む。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭素鎖(C-18鎖、C-8鎖、またはC-4鎖など)を含んでいてもよい。概して、集束カラムは、一次次元において用いられる逆相、および/または、インターフェース内で用いられるトラッピングカラムにおいて用いられる逆相とマッチする。
【0039】
いくつかの態様において、集束カラム260の温度は、選択された温度に維持されてもよい。いくつかの態様において、集束カラムは、SFCカラムと同じ温度に維持されてもよい。いくつかの態様において、集束カラム260の温度は、約35℃~約45℃に維持されてもよい。いくつかの態様において、集束カラム260の温度は、約40℃に維持されてもよい。
【0040】
SFCカラム240の下流に第二検出器250が位置する(
図2B)。検出器は、SFCカラム240から溶離した分析成分の存在および量を測定する。いくつかの態様において、第二検出器250は光学式の検出器である。いくつかの態様において、第二検出器250は分光測光式の検出器である。いくつかの態様において、第二検出器250は、示差屈折計、紫外分光光度計、紫外‐可視分光測光検出器、蛍光検出器、および赤外分光光度計のうち1つまたは複数から選択される。いくつかの態様において、第二検出器250は質量分析計である。いくつかの態様において、質量分析計は、セクター型機器、四重極マスフィルター型機器、飛行時間型機器、イオントラップ型機器、四重極イオントラップ型機器、線形四重極イオントラップ型機器、オービトラップ型機器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型機器、および、列挙された機器種の任意の組み合わせまたはハイブリッドのうち、1つまたは複数から選択されてもよい。当技術分野において周知であるように、試料はイオン化技法を介して質量分析計に導入され、そのようなイオン化技法としては、非限定的に、高速原子衝撃、化学イオン化、大気圧化学イオン化、エレクトロスプレーイオン化、およびナノエレクトロスプレーイオン化などがある。いくつかの態様において、試料は、大気圧化学イオン化またはエレクトロスプレーイオン化を介して質量分析計に導入される。
【0041】
いくつかの態様において、第二分離ユニットの下流部40Bは、第二検出器の後かまたはこれと並列な所定の位置に、フラクションコレクターをさらに含んでいてもよい。
【0042】
任意で、いくつかの態様において、ポンプ100および/または200、試料インジェクター130、第一検出器160、第一流体ルーティングユニット30、ならびに第二検出器250のうち少なくとも1つに、制御デバイス80が機能的に接続される。
【0043】
2Dクロマトグラフィーシステムにおける2つの次元の間のインターフェースは、第一次元で分離および溶離した分析成分をさらなる分離のため第二次元に送るルーティングの制御、および作動モードの決定を行う。本発明の2Dクロマトグラフィーシステムは、まず第一分離ユニットにおいてRPLCによって試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した、試料の少なくとも一部を、SFCによるさらなる分離のため第二分離ユニットに導入するように構成される。
【0044】
第一流体ルーティングユニットは複数の試料ループを含み、かつ第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続され、そして複数の試料ループのうち少なくとも1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む。トラッピングカラム内の固定相材料は、RPLCカラム内で用いられる固定相材料と同じであってもよく、またはRPLCカラム内で用いられる固定相材料と異なっていてもよい。いくつかの態様において、トラッピングカラム内で用いられる固定相が、逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭素鎖(C-18鎖、C-8鎖、またはC-4鎖など)を含んでいてもよい。
【0045】
いくつかの態様における第一流体ルーティングユニットは、複数のポートと、液体がポート間を流れることを可能にするチャネルと、ポートに接続された試料ループとを含む、ルーティング機構(切換バルブなど)を含む。いくつかの態様において、ルーティング機構は2ポジション/8ポートの切換バルブである。いくつかの態様において、ルーティング機構は2ポジション/10ポートの切換バルブである。いくつかの態様において、ルーティング機構は2ポジション/4ポートのデュオバルブである。いくつかの態様において、ルーティング機構は、2ポジション/8ポートまたは10ポートの切換バルブである。
【0046】
いくつかの態様において、2D RPLC×SFCシステムの第一流体ルーティングユニットは2つの試料ループを含み、その2つの試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、2つの試料ループのうちもう1つは第二分離ユニットと流体接触状態にある。いくつかの態様において、2つの試料ループのうち1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む。いくつかの態様において、両試料ループの各々が、固定相を含むトラッピングカラムを含む。
【0047】
図3Aは、第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bとインターフェースしている例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図を示している。この場合において、インターフェース流体ルーティングユニットは、1つのバリエーションにおいて複数のポート305A~305Hと複数のチャネル310A~310Dと2つの試料ループ315および320とを含む2ポジション/8ポートの切換バルブである、ルーティング機構300を含む。
図3Aに示されているように、複数のチャネル310A~310Dは、取りうる2つの構成のうち第一の構成にある状態で示されている。
【0048】
図3Aに例示されているように、第一分離ユニット20はポート305Aにおいてルーティング機構300に接続されている。第一移動相は矢印325で示されている方向に第一分離ユニット20を通って駆動され、そしてルーティング機構300はチャネル310Aによって第一移動相を試料ループ315に差し向ける。試料ループ315はポート305Bおよびポート305Fにおいてルーティング機構300に接続されている。試料ループ315は、固定相を含むトラッピングカラム330を含む。
【0049】
ルーティング機構300は、チャネル310Cによって、矢印345で示されている方向に、第一移動相を下流レセプタクル340に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル340は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル340はフラクションコレクターである。
【0050】
図3Aに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aはポート305Gにおいてルーティング機構300に接続されている。第二移動相は矢印350で示されている方向に第二分離ユニット40Aを通って駆動され、そしてルーティング機構300はチャネル310Dによって第二移動相を試料ループ320に差し向ける。試料ループ320はポート305Hおよびポート305Dにおいてルーティング機構300に接続されており、ここで第一移動相は矢印355で示されている方向に移動する。ルーティング機構300はポート305Cを介して第二分離ユニットの下流サブユニット40Bに接続されている。ルーティング機構300は、矢印360で示されている方向に、第二分離ユニットの下流サブユニット40Bを通るように第二移動相を差し向ける。
【0051】
図3Bの略図は、
図3Aに示されている第一流体ルーティングユニットと同じ構成を示しているが、相違点として、
図3Aにおけるルーティング機構300の複数のチャネル310A~310Dは、
図3Bにおいて、取りうる2つの位置のうち第二の位置、すなわちチャネル310E~310Hにある状態で示されている。
図3Bのルーティング機構は、第一分離ユニット20から来た第一移動相を、矢印325で示されている方向にチャネル310Hを通るように試料ループ320に差し向ける。試料ループ320はポート305Hおよびポート305Dにおいてルーティング機構300に接続されており、ここで第一移動相は、矢印345で示されている方向に、チャネル310Fを介して下流レセプタクル340に差し向けられる。
【0052】
図3Bに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aはポート305Gにおいてルーティング機構300に接続されている。第二移動相は矢印350で示されている方向に第二分離ユニット40Aを通って駆動され、そしてルーティング機構300はチャネル310Gによって第二移動相を試料ループ315に差し向ける。試料ループ315はポート305Bおよびポート305Fにおいてルーティング機構に接続されている。ルーティング機構300は、矢印365で示されている方向に、トラッピングカラム330を通るように第二移動相のフローを差し向ける。
図3Aと比較して、
図3Bに示されているルーティング機構300は、試料ループ315を通るように第二移動相のフローを差し向けるが、その方向は、
図3Aに示されている、同じ試料ループ315を通る第一移動相のフローと逆向きである。ルーティング機構300のこの例示的構成は、試料ループ315を通る移動相のフローを、当技術分野において「向流」として公知である様式で差し向ける。
【0053】
図3Cおよび
図3Dの例示的略図は、
図3Aおよび
図3Bに示されている第一流体ルーティングユニットと同様の構成を示しているが、相違点として、
図3Cおよび
図3Dに示されているように、トラッピングカラム370が試料ループ320上に位置している。ルーティング機構300は、第一移動相の流れを、トラッピングカラム370を含む試料ループ320を通るように、矢印355で示されている方向に差し向ける(
図3C)。
図3Dにおいて、ルーティング機構300の複数のチャネル310A~310Dは、取りうる2つの位置のうち第二の位置にある。ルーティング機構300は、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aから来た第二移動相を、矢印355および360で示されている方向に、トラッピングカラム370を含む試料ループ320を通るように、そして第二分離ユニットの下流部40Bを通るように差し向ける。
図3Cおよび
図3Dに例示されているように、第一移動相および第二移動相のフローはトラッピングカラム370を同じ方向に通って移動し、これは当技術分野において「並流」の様式として公知である。
【0054】
インターフェース流体ルーティングユニット内に2ポジション/8ポート切換バルブ(300)を用いているシステムの場合、トラッピングカラム(370)を試料ループ315または320内に置くことによって並流/向流の構成を制御することができる。あるいは、インターフェース流体ルーティングユニットに第二分離ユニットの上流サブユニット40Aおよび下流サブユニット40Bを接続するポートを切換えることによって、並流/向流の構成が変更されてもよい。
【0055】
図4Aは、第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bとインターフェースしている例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図を示している。この場合において、インターフェース流体ルーティングユニットは、1つのバリエーションにおいて複数のポート405A~405Jと複数のチャネル410A~410Eと2つの試料ループ415および420とを含む2ポジション/10ポートの切換バルブである、ルーティング機構400を含む。
図4Aに示されているように、複数のチャネル410A~410Eは、取りうる2つの構成のうち第一の構成にある状態で示されている。
【0056】
図4Aに例示されているように、第一分離ユニット20はポート405Aにおいてルーティング機構400に接続されている。ルーティング機構400は、チャネル410Aによって、矢印425で示されている方向に、複数の試料ループ415のうち1つに第一移動相を差し向ける。試料ループ415はポート405Bおよびポート405Eにおいてルーティング機構400に接続されている。試料ループ415は、固定相を含むトラッピングカラム430を含む。
【0057】
ルーティング機構400は、チャネル410Cによって、第一移動相を下流レセプタクル440に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル440は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル440はフラクションコレクターである。
【0058】
図4Aに示されているように、第二分離ユニット40はポート405Cにおいてルーティング機構400に接続されている。ルーティング機構400は、接続された2つのチャネル410Dおよび410Eによって、第二移動相を試料ループ420に差し向ける。試料ループ420はポート405Jおよびポート405Gにおいてルーティング機構400に接続されている。ルーティング機構400はポート405Hを介して第二分離ユニットの下流サブユニット40Bに接続されている。ルーティング機構400は、矢印435で示されている方向に、第二流体ルーティングユニットの下流部40Bを通るように第二移動相を差し向ける。
【0059】
図4Bの略図は、
図4Aに示されている第一流体ルーティングユニットと同じ構成を示しているが、相違点として、
図4Aにおけるルーティング機構400の複数のチャネル410A~410Eは、
図4Bにおいて、取りうる2つの位置のうち第二の位置、すなわちチャネル410F~410Jにある状態で示されている。
図4Aおよび
図4Bに示されているように、第一分離ユニット30のルーティング機構400は、試料ループ415を通る第一移動相のフローの方向が(
図4A)、同じ試料ループ415を通る第二移動相のフロー(
図4B)と同じく、矢印425で示される方向になるように、構成されていてもよい。ルーティング機構400のこの例示的構成は、試料ループ415を通る移動相のフローを、並流の様式で差し向ける。
【0060】
インターフェース流体ルーティングユニット内に2ポジション/10ポート切換バルブ(400)を用いているシステムの場合、両方の試料ループは、
図4Aおよび
図4Bに示されているように並流様式で構成される。しかし、インターフェース流体ルーティングユニットに第二分離ユニットの上流サブユニット40Aおよび下流サブユニット40Bを接続するポートを切換えることによって、両方の試料ループが向流様式に構成されてもよい。
【0061】
図5Aは、第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bとインターフェースしている例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図を示している。この場合において、インターフェース流体ルーティングユニットは、1つのバリエーションにおいて複数のポート505A~505Hと複数のチャネル510A~510Dと2つの試料ループ515および520とを含む2ポジション/4ポートのデュオバルブである、ルーティング機構500を含む。
図5Aに示されているように、複数のチャネル510A~510Dは、取りうる2つの構成のうち第一の構成にある状態で示されている。
【0062】
図5Aに例示されているように、第一分離ユニット20はポート505Gにおいてルーティング機構500に接続されている。第一移動相は矢印525で示されている方向に第一分離ユニット20を通って駆動され、そしてルーティング機構500は、チャネル510Aによって、試料ループ520を通るように第一移動相を差し向ける。試料ループ520はポート505Hおよびポート505Bにおいてルーティング機構500に接続されている。ルーティング機構500は、矢印535で示されている方向に、試料ループ520を通るように第一移動相を差し向ける。試料ループ520は、固定相を含むトラッピングカラム530を含む。
【0063】
ルーティング機構500は、チャネル510Bによって、矢印545で示されている方向に、第一移動相を下流レセプタクル540に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル540は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル540はフラクションコレクターである。
【0064】
図5Aに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aはポート505Eにおいてルーティング機構500に接続されている。第二移動相は矢印550で示されている方向に第二分離ユニット40Aを通って駆動され、そしてルーティング機構500はチャネル510Cによって第二移動相を試料ループ515に差し向ける。試料ループ515はポート505Fおよびポート505Cにおいてルーティング機構500に接続されており、ここで第一移動相は矢印555で示されている方向に移動する。試料ループ515は、固定相を含むトラッピングカラム560を含む。ルーティング機構500はポート505Dを介して第二分離ユニットの下流サブユニット40Bに接続されている。ルーティング機構500は、矢印565で示されている方向に、第二分離ユニットの下流サブユニット40Bを通るように第二移動相を差し向ける。
【0065】
いくつかの態様において、トラッピングカラム530および560は同じ固定相を含む。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、トラッピングカラム530および560は異なる固定相を含む。
【0066】
図5Bの略図は、
図5Aに示されている第一流体ルーティングユニットと同じ構成を示しているが、相違点として、
図5Aにおけるルーティング機構500の複数のチャネル510A~510Dは、
図5Bにおいて、取りうる2つの位置のうち第二の位置、すなわちチャネル510E~510Gにある状態で示されている。
図5Bのルーティング機構500は、第一分離ユニット20から来た第一移動相を、矢印525で示されている方向にチャネル510Eを通るように試料ループ515に差し向ける。試料ループ515はポート505Cおよびポート505Fにおいてルーティング機構500に接続されており、ここで第一移動相は、矢印545で示されている方向に、チャネル510Fを介して下流レセプタクル540に差し向けられる。
図5Bにおいて、ルーティング機構500は、試料ループ515を通るように第一移動相のフローを差し向けるが、その方向は、
図5Aにおいて同じ試料ループ515を通る第二移動相のフローと反対である。
【0067】
図5Bに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aはポート505Eにおいてルーティング機構500に接続されている。第二移動相は矢印550で示されている方向に第二分離ユニット40Aを通って駆動され、そしてルーティング機構500はチャネル510Gによって第二移動相を試料ループ520に差し向ける。試料ループ520はポート505Bおよびポート505Hにおいてルーティング機構に接続されている。ルーティング機構500は、矢印575で示されている方向に、トラッピングカラム530を通るように第二移動相のフローを差し向ける。
図5Bにおいて、ルーティング機構500は、試料ループ520を通るように第二移動相のフローを差し向けるが、その方向は、
図5Aにおいて同じ試料ループ550を通る第一移動相のフローと反対である。
【0068】
インターフェース流体ルーティングユニット内に2ポジション/4ポートデュオバルブ(500)を用いているシステムの場合、両方の試料ループは、
図5Aおよび
図5Bに示されているように向流様式で構成される。しかし、所望されるのであれば、インターフェース流体ルーティングユニットに第二分離ユニットの上流サブユニット40Aおよび下流サブユニット40Bを接続するポートを切換えることによって、両方の試料ループが並流様式に構成されてもよい。
【0069】
いくつかの態様において、2D RPLC×SFCシステムの第一流体ルーティングユニットは少なくとも3つの試料ループを含み、そしてその試料ループのうち少なくとも1つは、第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある。そのようなシステムにおいて、1つの試料ループは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、1つの試料ループは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、そして1つまたは複数の試料ループは第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある。いくつかの態様において、試料ループのうち少なくとも1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む。いくつかの態様において、固定相を含むトラッピングカラムを含む、試料ループのうちの少なくとも1つは、第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある。いくつかの態様において、第一流体ルーティングユニットは、各々が試料ループ内に位置決めされた複数のトラッピングカラムを含む。いくつかの態様において、トラッピングカラムの各々に、同じ固定相材料がローディングされる。他の態様において、保持される特定の分析成分に合わせて固定相材料が適合されてもよく、ゆえに、第一分離ユニットから溶離される異なるフラクションに対して、異なる固定相材料が用いられてもよい。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲルまたはC18シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲルまたはC8シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲルまたはC4シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭素鎖(C-18、C-8、またはC-4炭素鎖など)を含んでいてもよい。
【0070】
1つまたは複数の試料ループが第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態に置かれてもよいインターフェース流体ルーティングユニットを含むシステムは、「ピークパーキング」の特徴を提供できる。第一次元クロマトグラフィーで分離および溶離された複数のフラクションを第二次元においてさらに分離する必要があるとき、第一分離ユニットから溶離したフラクションとフラクションとの間の時間的インターバルは、最初のフラクションが第二分離ユニットを通過するのに十分でない可能性がある。第二分離ユニットが先のフラクションの分析に用いられている間、後のフラクション(またはカット)は、第二分離ユニットが次のフラクションを分析できる準備状態になるまで、追加的ループ内のトラッピングカラム上に収集され、そして流体隔離(「パーク」)状態に保持されてもよい。
【0071】
図面を参照すると、
図6Aは、第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bとインターフェースしている例示的な第一流体ルーティングユニット30の略図を示している。この場合において、インターフェース流体ルーティングユニットは、1つのバリエーションにおいて複数のポート605A~605Hと複数のチャネル610A~610Dと試料ループ615とを含む2ポジション/4ポートデュオバルブである第一ルーティング機構600、ならびに、例えば625A~625Eである複数のポートと、例えば630A~630Cである複数の試料ループと、複数のトラッピングカラム635A~635Eと、複数のチャネル675Aおよび675Bとを含む第二ルーティング機構620を含む。試料ループ630Bは、トラッピングカラムを備えていないバイパスループを提供する。
図6Aに示されているように、第一ルーティング機構600の複数のチャネル610A~610Dは、取りうる2つの構成のうち第一の構成にある状態で示されている。
【0072】
図6Aに例示されているように、第一分離ユニット20はポート605Gにおいてルーティング機構600に接続されている。第一移動相は矢印640で示されている方向に第一分離ユニット20を通って駆動され、そしてルーティング機構600は、チャネル610Aによって、試料ループ615を通るように第一移動相を差し向ける。試料ループ615はポート605Hおよびポート605Bにおいて第一ルーティング機構600に接続されている。第一ルーティング機構600は、矢印645で示されている方向に、試料ループ615を通るように第一移動相を差し向ける。
図6Aに示されているように、ルーティング機構600は、チャネル610Bによって、矢印655で示されている方向に、第一移動相を下流レセプタクル650に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル650は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル650はフラクションコレクターである。
【0073】
図6Aに示されているように、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aはポート605Eにおいてルーティング機構600に接続されている。第二移動相は、矢印660で示されている方向に、第二分離ユニットの上流サブユニット40Aを通って駆動される。ルーティング機構600は、チャネル610Cによって、矢印665で示されている方向に、第二移動相を第二ルーティング機構620に差し向ける。第一ルーティング機構600と第二ルーティング機構620とはポート605Fおよびポート625Aを介して接続されている。
【0074】
図6Aにおいて、第二ルーティング機構620は、チャネル675Aを介して矢印670で示されている方向に試料ループ630Bを通るように第二移動相を駆動するように構成されている。試料ループ630Bは、ポート625Bと、チャネル675Bを介してポート625Dに接続されているポート625Eとを介して、第二ルーティング機構620に接続されている。第二ルーティング機構620と第一ルーティング機構600とはポート625Fおよびポート605Cを介して接続されている。第二ルーティング機構620は、第二移動相のフローを、矢印680で示されている方向に、第一ルーティング機構600に差し戻す。第一ルーティング機構600は、チャネル610Dを介して、矢印690で示されている方向に、第二分離ユニットの下流サブユニット40Bを通るように第二移動相のフローを差し向ける。
【0075】
図6Aは、トラッピングカラムが第一分離ユニットまたは第二分離ユニットのいずれとも流体接触状態にない構成を示している。例えば、関心対象のピークが第一次元カラムから出てこないかまたは第二次元カラムで分析されない場合などに、システムがこの構成に設定されてもよい。両分離ユニット内のカラムがアイドル状態にあるか、またはカラムが再生中/平衡中である場合も、システムがこの構成に設定されてもよい。トラッピングカラム635A~635Eの各々は、第一および第二分離ユニットから流体隔離状態にある。
【0076】
図6Bの略図は、
図6Aに示されている第一流体ルーティングユニットと同じ構成を示しているが、相違点として、
図6Aにおける第一ルーティング機構600の複数のチャネル610A~610Dは、
図6Bにおいて、取りうる2つの位置のうち第二の位置610E~610Hにある状態で示されている。
図6Bのルーティング機構600は、第一分離ユニット20から来た第一移動相を、矢印640で示されている方向にチャネル610Eを通るように第二ルーティング機構620に差し向ける。第一ルーティング機構600と第二ルーティング機構620とはポート605Cおよびポート625Fにおいて接続されている。さらに、
図6Bにおいて、第二ルーティング機構620は、矢印705で示されている方向に試料ループ630Aを通るように第一移動相のフローを差し向けるように構成されている。試料ループ630Aはトラッピングカラム635Aを含む。試料ループ630Aはポート625Fおよびポート625Cを介して第二ルーティング機構620に接続されている。
図6Bに示されているように、第二ルーティング機構620と第一ルーティング機構600とはポート625Aおよびポート605Fを介して接続されている。第二ルーティング機構620は、第一移動相のフローを、矢印710で示されている方向に、第一ルーティング機構600に差し戻す。第一ルーティング機構600は、チャネル610Fによって、矢印655で示されている方向に、第一移動相を下流レセプタクル650に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル650は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル650はフラクションコレクターである。いくつかの態様において、第二ルーティング機構の一部分としてFlexcube(Agilent製)が用いられてもよい。
【0077】
いくつかの態様において、第一分離ユニットから溶離した、試料の一部を、例えば635Aなどのトラッピングカラム上に選択的に保持されるように差し向けるために、
図6Bに示されている第一流体ルーティングユニット30の構成が用いられてもよい。いくつかの態様において、トラッピングカラムが固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲル(例えば、C18シリカゲル、C8シリカゲル、およびC4シリカゲル)を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭素鎖(C-18、C-8、またはC-4炭素鎖など)を含んでいてもよい。
【0078】
例えば635Aなどのトラッピングカラム上にピークが保持された後、ルーティング機構600および620は、例えば
図6Cに示されているように、保持されたピークの溶離およびさらなる分析を可能にするポジションに切換えもしくは設定されてもよい;または、ルーティング機構600および620は、
図6Dに示されているように、トラッピングカラム635A上に保持されたピークのパーキングと、例えば635Bなど異なるトラッピングカラム上への別のピークの収集とを可能にするポジションに切換えもしくは設定されてもよい。
【0079】
図6Cの略図は、
図6Aに示されているように、第一移動相のフローを下流レセプタクル650に差し向けるように第一ルーティング機構600が構成されている、第一流体ルーティングユニット30の例示的な構成を示している。
図6Cに示されているように、第一移動相は矢印640で示されている方向に第一分離ユニット20を通って駆動され、そしてルーティング機構600は、チャネル610Aによって、試料ループ615を通るように第一移動相を差し向ける。試料ループ615はポート605Hおよびポート605Bにおいて第一ルーティング機構600に接続されている。第一ルーティング機構600は、矢印645で示されている方向に、試料ループ615を通るように第一移動相を差し向ける。
図6Aに示されているように、ルーティング機構600は、チャネル610Bによって、矢印655で示されている方向に、第一移動相を下流レセプタクル650に差し向ける。いくつかの態様において、下流レセプタクル650は廃棄物レセプタクルである。いくつかの態様において、下流レセプタクル650はフラクションコレクターである。
【0080】
図6Cにおいて、第一ルーティング機構600は、矢印665で示されている方向に、第二移動相のフローを第二流体ルーティング機構620に差し向ける。第二ルーティング機構620は、チャネル675Dを介して、矢印715で示されている方向に、第二移動相を試料ループ635Aに差し向けるように構成されている。試料ループ635Aは、ポート625Cおよびポート625Fを介して第二流体ルーティング機構に接続されている。第二流体ルーティング機構620は、チャネル675Cを介して、矢印680で示されている方向に、第二移動相のフローを第一流体ルーティング機構600に差し向けるように構成されている。第二流体ルーティング機構と第一流体ルーティング機構とはポート625Dおよび605Cを介して接続されており、第二移動相は、チャネル610Dを介して、矢印690で示されている方向に、第二分離ユニットの下流部40Bに差し向けられる。
【0081】
図6Dの略図は、
図6Bに示されている第一流体ルーティング機構600および第二流体ルーティング機構620と同じ構成を示しているが、相違点として、
図6Dにおける第二流体ルーティング機構は、第一移動相のフローを、矢印720で示されている方向に、試料ループ630Cに差し向ける。試料ループ630Cはポート625Gおよびポート625Hを介して第二流体ルーティング機構に接続されている。チャネル675Fはポート625Aとポート625Gとを接続する。チャネル675Eはポート625Dとポート625Hとを接続する。
図6Bに示されているように、試料ループ630Cは、本明細書に説明されるような固定相などの固定相を含んでいてもよいトラッピングカラム635Bを含む。
【0082】
図6Dに例示されているように、第一分離ユニットから溶離しそしてトラッピングカラム635A上に選択的に保持された、試料の一部は、このとき、第一分離ユニット20ならびに第二分離ユニット40Aおよび40Bのいずれからも切り離されている。
【0083】
いくつかの態様において、
図6A~
図6Dに示されているような複数のトラッピングカラム635A~635Eが、同じ固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、
図6A~
図6Dに示されているような複数のトラッピングカラム635A~635Eのうち少なくとも1つが、第一次元のRPLCカラム内に用いられる固定相材料と同じ固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭化水素鎖(例えば、C-18鎖、C-8鎖、またはC-4鎖)を含んでいてもよい。
【0084】
2Dクロマトグラフィーは、ハートカットモード、偽包括モード、または包括モードで行われてもよい。ハートカットはクロマトグラムの選択領域の特徴決定を提供し、一方、包括モードはクロマトグラム全体の特徴決定を提供する。偽包括モードは、クロマトグラムの選択領域の包括的分離を提供する。Venkatramani, C.J.ら, J. Sep. Sci. 2014, 22を参照されたい。2D RPLC×SFCシステムにおけるインターエース、すなわち第一流体ルーティングユニットは、ハートカットモード、偽包括モード、および包括モードのうち任意の1つまたは複数を行うように適合されうる。例えば、本明細書において
図3~
図6に示されているようなインターフェース流体ルーティングユニットのうち任意のユニットを有する2D RPLC×SFCシステムが、ハートカットモードで用いられてもよい。
図5Aおよび
図5Bに示されているような、(各々がトラッピングカラムを有する)2つの試料ループを含むインターフェース流体ルーティングユニットを有するシステムは、第一次元において低速流量の移動相と連結された長いRPLCカラムが、第二次元の分離において1つのフラクションの完全なランを可能にし、一方で、別のフラクションが第二試料ループ内に収集されるのであれば、偽包括モードで用いられてもよい。
図6A~
図6Dに示されているような、試料パーキングの特徴を備えたインターフェース流体ルーティングユニットを有するシステムは、第一次元の分離から得られた複数のフラクションを収集し、そして第二分離ユニットが利用可能なときに引き続き第二次元の分析を行うために保持できるので、包括モードまたは偽包括モードで用いられてもよい。
【0085】
第二次元における分離基準は、分離対象となる分析成分の性質によって異なる可能性がある。第一次元のRPLCカラムから溶離したさまざまな分析成分に対して最適な分離を提供するため、SFCカラム用として異なる固定相材料が必要となる可能性がある。ゆえに、アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されているようなSFCカラムのアレイと、第二移動相のフローをアレイ内の所望の(または既定の)SFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットとを第二分離ユニットが含む、本明細書に説明されるような2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムが提供される。いくつかの態様において、第二分離ユニットは、SFCカラムアレイ内の各SFCカラムの上流に位置する集束カラムをさらに含む。いくつかの態様において、集束カラムは固定相を含む。いくつかの態様において、固定相が逆相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、逆相固定相が炭素鎖結合シリカゲルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数18である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C18逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数8である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C8逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、炭素鎖結合シリカゲルは、長さが炭素数4である炭素鎖を含んでいてもよい(すなわち、C4逆相シリカゲル)。いくつかの態様において、逆相固定相は、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーコアに結合した炭化水素鎖(例えば、C-18鎖、C-8鎖、またはC-4鎖)を含んでいてもよい。
【0086】
図面を参照すると、
図7Aおよび
図7Bは、第二流体ルーティングユニット800とSFCカラムのアレイとを含む、第二分離ユニットの例示的な下流サブユニット40Bの略図である。第一流体ルーティングユニット30はポート805Aにおいて第二流体ルーティングユニット800に接続されている。第一流体ルーティングユニット30は、矢印810で示されている方向に、第二移動相を第二ルーティングユニット800に差し向ける。第二ルーティングユニット800は、ポート805Aおよびポート805Bなどである複数のポートと、チャネル810Aなどである複数のチャネルとを含む。
図7Aに示されているように、第二流体ルーティングユニット800は、矢印825で示されている方向に、第二移動層を所望の(または既定の)SFCカラム815Aに差し向ける。任意で、SFCカラム815Aの上流に集束カラム820Aが位置する。
【0087】
いくつかの態様において、任意で、SFCカラムの下流にルーティング機構830が位置する。
図7Aに示されているように、ルーティング機構830は、チャネル810Bを介して、矢印835で示されている方向に、第二移動相を検出器250に差し向ける。
【0088】
図7Bは、
図7Aの例示と同じSFCカラムアレイを示しているが、
図7Bにおいて、第二流体ルーティングユニット800は、第一流体ルーティングユニットから来た第二移動相を、第二の所望のSFCクロマトグラフィーカラム815Bに差し向けるように構成されている。
図7Bに示されているように、第二の所望のSFCクロマトグラフィーカラムは、ポート805Eおよびポート805Fを介して、第二流体ルーティングユニット800およびルーティング機構830に接続されている。第二流体ルーティングユニット800は、矢印840で示されている方向に第二移動相を差し向ける。任意で、SFCカラム815Bの上流に集束カラム820Bが位置する。
【0089】
いくつかの態様において、SFCカラムアレイは、815Aなどの個別SFCカラムが、815Bなどアレイ内の少なくとも1つの他の個別SFCカラムと同じ固定相を含んでいてもよい、複数のSFCカラムを含む。いくつかの態様において、SFCカラムアレイは、815Aなどの個別SFCカラムが、815Bなどアレイ内の他のすべての個別SFCカラムと異なる固定相を含んでいてもよい、複数のSFCカラムを含む。いくつかの態様において、固定相が順相固定相を含んでいてもよい。いくつかの態様において、順相固定相はシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、プロピルシアノ基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、アミノプロピル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、エチルピリジン基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、スルホン酸基および/またはフェニル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、1,2-ジヒドロキシプロピルプロピルエーテル基で修飾されたシリカである。いくつかの態様において、順相固定相は、官能基(例えば、シアノプロピル基、アミノプロピル基、エチルピリジン基、スルホン酸基、フェニル基、または1,2-ジヒドロキシプロピルプロピルエーテル基)で修飾された、有機ポリマー(例えばポリスチレン)などのポリマーである。
【0090】
いくつかの態様において、SFCカラムアレイは、820Aなどの個別集束カラムが、820Bなどアレイ内の少なくとも1つの他の個別集束カラムと同じ固定相を含んでいてもよい、複数の集束カラムを含む。いくつかの態様において、SFCカラムアレイは、820Aなどの個別集束カラムが、820Bなどアレイ内の他のすべての個別集束カラムと異なる固定相を含んでいてもよい、複数の集束カラムを含む。
【0091】
図8Aおよび
図8Bは、電子制御式の2ポジション/4ポートデュオバルブV1とトラッピングカラム(トラップ1)とを伴うインターフェースを備えた、例示的な2D LC-SFCシステムの略図を示している。ポンプ1から来た移動相は、インジェクターを通って逆相一次カラムに流れる。検出D1の後、溶離物はサンプリングバルブV1に流れる。ホーム/分析位置において、一次カラムの溶離物は、サンプリングループ(ループ1)を通って流れ、廃棄物として出る。SFCポンプから来た移動相は、トラッピングカラム(トラップ1)を通ってSFCカラムに流れる(
図8A)。これによりトラッピングカラム(トラップ1)およびSFCカラムがコンディショニングされる。一次カラムおよび二次カラムを通る、途切れない移動相のフローが存在する。関心対象成分が一次カラムから溶離するときに、バルブV1が切換えられて(トラッピング位置)、一次カラムの溶離物をトラッピングカラム(トラップ1)に移送する(
図8B)。バルブV1を切換えてホーム/分析位置に戻すと、試料成分がトラッピングカラムT1からSFCカラムにフラッシングされる。SFCカラムの分離はUV検出器D2および/または質量分析計を用いてモニターされる。バルブV1においてSFCポンプおよびカラムの位置を交代させると、バルブの切換中に向流フローが生じる。
【0092】
二次次元において繰り返しグラジエント(repetitive gradient)を伴う2Dクロマトグラフィーにおいて、一次カラムの溶離物を二次カラムに移送する(サンプリングする)頻度は、再平衡時間を含む二次カラムの分解速度によって異なる。2D LC-SFCにおいて、二次次元の分離は約2~3分間持続し、このことは、一次カラムの溶離物を二次カラムに移送する頻度を限定する。分析成分の複数のフラクション(例えば、立体異性体の混合物を含有する試料におけるジアステレオマーペア)が一次カラムから2~3分以内に溶離するのであれば、
図8Aおよび
図8Bに示されている、単一トラッピングカラムを備えた2D LC-SFCインターフェースは、実用的でない可能性がある。二次カラムのサンプリングニーズを補うために一次カラムの流量およびグラジエントを低下させることは、1つの選択肢である。しかし、これはピーク形状の不良をもたらし、したがってアキラル/キラル同時分析を妨げる。二次カラムのサンプリングニーズを満たすには、複数のトラッピングカラムを備えたインターフェースが必要となる。
【0093】
図9は、トラッピングカラムおよび二次SFCカラムのアレイを用いたインターフェースを備えた、例示的な2D LC-SFCシステムの略図を示している。この構成はクロマトグラムの複数セクションの分析に用いられる。
図9に示されているホーム/分析位置において、一次カラム来た溶離物は、検出の後、完全自動化された2ポジション/4ポートデュオバルブV1を通って流れ、廃棄物として出る。SFC移動相は次のように流れる:SFCポンプからバルブV1を通ってパーキングデッキバルブV2に行き、バルブV1に戻り、それからSFCカラムに行く。バルブV2において、SFC移動相は、バイパスチュービングまたはトラッピングカラムアレイのいずれかを通って流れる。これによりトラッピングカラムおよびSFCカラムがコンディショニングされる。一次カラムおよび二次カラムを通る、途切れない移動相のフローが存在する。関心対象成分が一次カラムから溶離するときに、バルブV1が(ホームから移送に)切換えられて、一次カラムの溶離物をパーキングデッキバルブV2(アウト)に移送する。パーキングデッキバルブV2をバイパスモードとトラッピング位置との間で前後に切換えることによって、異なるトラッピングカラムに成分が移送される。一次カラム溶離物の移送後、バルブV1がホーム位置に切換えられて、一次カラム溶離物を廃棄物として分流する。これは、バルブV2に入ってくる移動相のフローを(V2アウトからV2インに)逆転させる。パーキングデッキバルブV2内のSFCフローの向きが逆転される。続いて、トラッピングカラム内に保持された成分が、用途に応じたさらなる分離のため、SFCカラムまたはSFCカラムアレイ内にバックフラッシュされる。異なる成分を単一のキラル固定相上で分解することは実用的でない可能性があるため、SFCカラムアレイは、追加的な柔軟性をシステムに提供する。二次カラムの分離はUV検出器またはMS検出器を用いてモニターされる。自動化インターフェースは2D LC-SFCシステムの鍵となるコンポーネントであり、クロマトグラフィーの単回のランで試料をアキラル・キラル同時分析することを可能にする。
【0094】
意図および理解される点として、2Dクロマトグラフシステムにおいて、本明細書に説明されている第一分離ユニットの各バリエーションは、本明細書に説明されている第二分離ユニットの各バリエーションおよび/または本明細書に説明されている第一流体ルーティングユニットの各組み合わせと、あたかもそれぞれの組み合わせが個別に説明されているかのように、組み合わされてもよい。例えば、いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムと、
c)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、複数の試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
複数の試料ループのうち少なくとも1つが、固定相を含むトラッピングカラムを含むような、第一流体ルーティングユニットと
を含み、
まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、2Dクロマトグラフシステムが提供される。
【0095】
いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムと、
c)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、2つの試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、試料ループのうちもう1つは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、
試料ループのうち少なくとも1つは、C-18固定相(例えばC-18シリカ)を含むトラッピングカラムを含む
ような、第一流体ルーティングユニットと;
iv)a)第一ポンプアセンブリ、
b)試料インジェクター、
c)第一検出器、
d)第一流体ルーティングユニット、
e)第二ポンプアセンブリ、および
f)第二検出器
のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスと
を含み、
まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、2Dクロマトグラフシステムが提供される。
【0096】
1つのバリエーションにおいて、2Dクロマトグラフシステムは、a)第一ポンプアセンブリ、b)試料インジェクター、c)第一検出器、d)第一流体ルーティングユニット、e)第二ポンプアセンブリ、および f)第二検出器のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスをさらに含む。
【0097】
いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)C-18固定相(例えばC-18シリカ)を含むRPLCカラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)順相固定相を含むSFCカラムと、
c)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、少なくとも3つの試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、試料ループのうち別の1つは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、そして試料ループのうち少なくとも1つは第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にあり、
試料ループのうち少なくとも1つは、C-18固定相(例えばC-18シリカ)を含むトラッピングカラムを含む
ような、第一流体ルーティングユニットと;
(iv)a)第一ポンプアセンブリ、
b)試料インジェクター、
c)第一検出器、
d)第一流体ルーティングユニット、
e)第二ポンプアセンブリ、および
f)第二検出器
のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスと
を含み、
まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、2Dクロマトグラフシステムが提供される。
【0098】
1つのバリエーションにおいて、第二分離ユニットは、a)アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されているようなSFCカラムのアレイと、b)第二移動相のフローをアレイ内の所望の(または既定の)SFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットとを含む。別のバリエーションにおいて、第二分離ユニットは、SFCカラムの上流に位置決めされた集束カラム(例えば、C-18固定相材料(例えばC-18シリカ)を含む集束カラム)をさらに含む。
【0099】
いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)RPLCカラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されているようなSFCカラムのアレイと、
c)第二移動相のフローをアレイ内の所望の(または既定の)SFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットと、
d)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、少なくとも3つの試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、試料ループのうち別の1つは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、そして試料ループのうち少なくとも1つは第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にあり、
試料ループのうち少なくとも1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む、
第一流体ルーティングユニットと;
を含み、
まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、2Dクロマトグラフシステムが提供される。
【0100】
いくつかのバリエーションにおいて、RPLCカラムはC-18固定相(例えばC-18シリカ)を含む。いくつかのバリエーションにおいて、SFCカラムは順相シリカ固定相を含む。いくつかのバリエーションにおいて、システムは、
a)第一ポンプアセンブリ、
b)試料インジェクター、
c)第一検出器、
d)第一流体ルーティングユニット、
e)第二ポンプアセンブリ、および
f)第二検出器
のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスをさらに含む。
【0101】
本発明の2D RPLC×SFCシステムは、トラッピングカラムを用いることによって、第一次元のRPLCおよび第二次元のSFCで用いられる溶媒の不適合性に関連する問題に対処する。トラッピングカラム内の固定相は、分析成分を保持する一方で、RPLCから来た溶媒を流して通過させる。このことは、SFCに注入してさらなる分離を行うため、分析成分を小さい体積に濃縮することを可能にする。SFC次元における含水率が高いと、分解能/感度の低下につながる。実施例2に示すように、トラッピングカラムを備えていないシステムを用いると、SFC分析の分解能および感度に悪影響を及ぼさずにSFCカラムに移送できるフラクションは少量である(
図11)。移送体積が12μLであると、第二ピークに軽度の広幅化が生じた。24μLのフラクションが移送された場合は、第二ピークの著明な広幅化が観察され、これは感度の著明な低下を意味する。対照的に、実施例3に示すように、C-18固定相材料(例えばC-18シリカ)を含有するトラッピングカラムを有する、
図8Aおよび
図8Bのようなシステムが用いられた場合は、160μLのウィンドウが移送され、そして優れた分解能および感度が観察された(
図12)。このシステムでは、SFC分析の分解能および感度に対する影響を最小にしながら、第一次元のRPLCから得られたピークを第二次元のSFCに注入することができる。例えば、実施例5では、従来式のSFCシステムと本発明の2D LC-SFCシステムとを用いて、キラル原薬とその鏡像体との分離を比較している。従来式のSFCシステムに比べて、2D LC-SFCでは分解能および感度がいずれも保たれていたことが、結果から示された。多次元システムはピークキャパシティが乗法的に増加するため、2つの次元において逆相条件と順相条件である直交アプローチを用いて、HPLCピーク純度評価の信頼水準を高めることもできる。
【0102】
使用方法
2Dシステムを開発する際に考慮すべき別の要因は、オンラインモードで作動できる能力である。このアプローチのいくつかの利点として、自動化が容易であること、分析の再現性があること、および、収量の損失または汚染をきたすことなくフラクションを第一次元から第二次元に正確に移送できること、などがある。
【0103】
2Dシステムについて見過ごされている用途の1つは、高スループット分析における使用である。例えば製薬産業において、医薬品有効成分(API)はICHガイドラインに準拠して完全に特徴決定されなくてはならない。International Conference on Harmonisation(2006), Q3A(R2): Impurities in New Drug Substancesを参照されたい。純度分析について、2つの独立した分析方法が開発されている。RPLC法は、通常、アキラル純度を評価し(不純物および関連物質法)、キラル法はキラル純度(望ましくない鏡像体の量)を評価する。アキラルおよびキラルの結果を同時に生成できる2Dシステムは、APIプロセス開発において多大な影響を有すると考えられる。試料調製、クロマトグラフィー分析、およびデータ解析の時間が減少して、よりスループットの高い分析が可能になる。
【0104】
本発明者らは、アキラル・キラル同時分析のための2D RPLC×RPLC分析の使用について、すでに報告している(J. Sep. Sci. 2012, 35:1748)。しかしAPIの世界において、キラル法の多くはNPLC法であり、ゆえに、2D RPLC×NPLCシステムはアキラル・キラル同時分析の実現に大きく関係すると考えられる。前述したように、逆相および順相の移動相の不適合性は、このアプローチを非常に困難にする。順相技法である超臨界流体クロマトグラフィーもまた、APIのキラル分析において、分析的な規模においても調製的な規模においても用いられている。SFCは、「グリーンな」技法であることに加えて、融通性があり、より効率が高く、よりスループットが高く、より分析時間が速いため、NPLCより優れている。超臨界流体は、(気体と同様に)粘度が低く拡散率が高いため、流量をより大きくそして再平衡時間をより速くでき、かつ、(液体と同様に)密度が高いため、高い溶媒和力を提供できる。最初のオンライン2D LC×SFCは、Cortesらにより1992年に報告された(J. Microcol. Sep. 1992, 4:239-244)。Cortesらが開発したインターフェースはやや複雑で、窒素ガスの通過によって第一次元の溶媒を除去し;加圧したCO2を用いて分析成分をインパクターインターフェース(impactor interface)上に移送し;そして次に、CO2移動相の圧力プログラミングによって、分析成分をインパクターインターフェースからSFC毛管カラムに溶離するという、複数のステージを伴う。溶媒除去の段階があるため、従来式の2D RPLC×SFC分離へのこのインターフェースの採用は限定される。従来式のRPLC分離が水性をベースとしている一方で、CortesらはLC移動相としてTHF(沸点は比較的低い66℃)を用いた。
【0105】
本発明は、RPLCとSFCとを連結するための、新しい自動化インターフェースを説明する。したがって、例えば、1Dクロマトグラフィーまたは他の2Dクロマトグラフィーによる包括的分析の実現が困難でありうる複雑な試料混合物など、試料の分離および分析を行うための、本明細書に説明される2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムを使用する方法が提供される。
【0106】
いくつかの態様において、本明細書に説明されるクロマトグラフィーシステムを用いて試料(複雑な試料など)を分析するための方法であって、まず、複雑な試料を逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)によってフラクションに分離する段階;および、RPLC次元から得られたフラクションを第二次元において超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によってさらに分離する段階、を含む方法が提供される。第一次元における分離(例えばC-18固定相上のRPLC)は、複雑な試料中の成分の特定の特徴または特性(例えば疎水性)の違いに依拠し、一方、第二次元における分離(例えば順相シリカゲル固定相上のSFC)は、それら成分の他の特徴または特性(例えばキラリティ)の違いに依拠し、これにより、一次元クロマトグラフィーを用いた場合よりも良好な包括的分析を提供する。
【0107】
複数のキラル中心がある化合物に対するキラルクロマトグラフィー法の開発は、キラル中心の数が増えるにつれて、可能な立体異性体の数が大幅に増加するため(立体異性体の数 = 2N;Nは化合物中のキラル中心の数)、困難になりうる。キラル法の開発の大部分は、可能性があるヒット(hit)を同定するためにカラムおよび移動相の広範なスクリーニングが行われる、試行錯誤のプロセスである。しかし、3つまたはそれ以上のキラル中心がある化合物に対するキラルクロマトグラフィー法の開発は、立体異性体の数が大幅に増加するため、非常に困難になりうる。複数のキラル中心がある薬学的化合物に対する、一般的な1つの実施法は、入ってくる出発材料の鏡像体純度を制御し、そしてプロセス制御(エピマー化の可能性)を実証することである。このことは、最終APIにおける、可能な立体異性体の数を制限する。しかし、この制御ストラテジーは、いくつかの規制当局がAPIキラル法の開発を命令していることから、困難となる可能性がある。
【0108】
本発明のオンライン2D RPLC×SFCは、薬学的な試料のアキラル・キラル同時分析(試料の単回注入による分析、または同じ分析ランにおける分析)を可能にする。水性含有物および有機含有物の混合物におけるAPIピークは、小体積のC-18トラッピングカラム上に保持され、そして次に第二次元のSFCカラム上にバックフラッシュされる。したがって、いくつかの態様において、本明細書に説明されるクロマトグラフィーシステムを用いて立体異性体成分の混合物を含む試料のアキラル‐キラル分析を行うための方法であって、第一次元においてRPLCによって試料中のジアステレオマー成分を分解する段階であって、試料のアキラル純度を提供する段階;および、同じ分析ラン内の第二次元においてSFCによって鏡像体ペアを分解する段階であって、試料中の成分のキラル純度(鏡像体過剰率%)をさらに提供する段階、を含む方法が提供される。試料のアキラル純度は、RPLC分離から得られたクロマトグラムに基づいて決定されてもよく、例えば、第一分離ユニットのUV検出器で得られたクロマトグラム上の各ピークの相対ピーク面積によって決定されてもよい。各鏡像体ペアのキラル純度または鏡像体過剰率は、SFC分離から得られたクロマトグラムに基づいて決定されてもよく、例えば、第二分離ユニットのUV検出器で得られたクロマトグラム上か、または第二分離ユニットに取り付けられた質量分析計で得られたトータルイオンクロマトグラム上の、各ピークの相対ピーク面積によって決定されてもよい。
【0109】
意図および理解される点として、本発明の2Dクロマトグラフシステムのそれぞれの態様は、あたかもそれぞれの組み合わせが個別に説明されているかのように、複雑な試料を分析するための方法、またはアキラル‐キラル同時分析を行うための方法において用いられてもよい。例えば、いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムと、
c)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、複数の試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
複数の試料ループのうち少なくとも1つが、固定相を含むトラッピングカラムを含む、第一流体ルーティングユニットと
を含む2Dクロマトグラフィーシステムを用いて、立体異性体成分の混合物を含む試料のアキラル‐キラル同時分析を行うための方法であって、まず第一分離ユニット上のRPLCによって試料中のジアステレオマー成分を分解する段階、および、次に、同じ分析ランにおいて第二分離ユニット上のSFCによって鏡像体ペアを分解する段階、を含む方法が提供される。
【0110】
いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)RPLCカラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されているようなSFCカラムのアレイと、
c)第二移動相のフローをアレイ内の所望の(または既定の)SFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットと、
d)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、少なくとも3つの試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、試料ループのうち別の1つは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、そして試料ループのうち少なくとも1つは第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にあり、
試料ループのうち少なくとも1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む、
第一流体ルーティングユニットと
を含む2Dクロマトグラフィーシステムを用いて、立体異性体成分の混合物を含む試料のアキラル‐キラル同時分析を行うための方法であって、まず第一分離ユニット上のRPLCによって試料中のジアステレオマー成分を分解する段階、および、次に、同じ分析ランにおいて第二分離ユニット上のSFCによって鏡像体ペアを分解する段階、を含む方法が提供される。
【0111】
いくつかの態様において、
(i)a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)RPLCカラムと、
d)第一検出器と
を含む第一分離ユニットと;
(ii)a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)SFCカラムと、
c)第二検出器と
を含む第二分離ユニットと;
(iii)第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、少なくとも3つの試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、試料ループのうち別の1つは第二分離ユニットと流体接触状態にあり、そして試料ループのうち少なくとも1つは第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にあり、
試料ループのうち少なくとも1つは、固定相を含むトラッピングカラムを含む、
第一流体ルーティングユニットと;
(iv)a)第一ポンプアセンブリ、
b)試料インジェクター、
c)第一検出器、
d)第一流体ルーティングユニット、
e)第二ポンプアセンブリ、および
f)第二検出器
のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスと
を含む2Dクロマトグラフィーシステムを用いて、立体異性体成分の混合物を含む試料のアキラル‐キラル同時分析を行うための方法であって、まず第一分離ユニット上のRPLCによって試料中のジアステレオマー成分を分解する段階、および、次に、同じ分析ランにおいて第二分離ユニット上のSFCによって鏡像体ペアを分解する段階、を含む方法が提供される。
【0112】
方法
別の局面において、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部であって、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)による試料の分離によって得られた、試料の一部を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によるさらなる分離に供する段階を含む、多次元クロマトグラフィー(2D RPLC×SFCなど)によって試料を分離するための方法が提供される。いくつかの態様において、(i)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)による試料の分離によって得られた、試料の少なくとも一部を、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉する段階;および(ii)トラッピングカラム上に捕捉された、試料の前記一部を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によるさらなる分離に供する段階を含む、試料を分離するための方法が提供される。
【0113】
いくつかの態様において、本発明の方法は、(i)試料を第一移動相に導入する段階;(ii)試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;および(iii)RPLCカラム上で試料を分離する段階を含む、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)によって試料を分離する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部を、トラッピングカラムから溶離する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階をさらに含む。
【0114】
いくつかの態様において、方法は、RPLCカラムによって分離された試料の少なくとも一部を捕捉するため、RPLCカラムより下流の第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階、および/または、捕捉された前記一部をトラッピングカラムから溶離するため、捕捉された前記一部を抱持しているトラッピングカラムを第二移動相の流路に切換える段階をさらに含む。RPLC/SFCユニットの移動相の流路の内/外にトラッピングカラムを位置決め/切換えする段階は、2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステム内でRPLCユニットとSFCユニットとをインターフェースしている流体ルーティングデバイスにおいて行われてもよい。
【0115】
いくつかの態様において、方法は、トラッピングカラム上に捕捉された分析成分を向流溶離するように構成された2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステム上で行われてもよい。そのようなバリエーションにおいて、第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部は、第一の方向とは反対方向にトラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、トラッピングカラムから溶離される。いくつかの態様において、方法は、トラッピングカラム上に捕捉された分析成分を並流溶離するように構成された2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステム上で行われてもよい。そのようなバリエーションにおいて、第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部は、第一の方向と同じ方向にトラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、トラッピングカラムから溶離される。
【0116】
いくつかの態様において、多次元クロマトグラフィー(例えば、本明細書に説明される2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムまたはその任意のバリエーション)で試料を分離するための方法であって、以下の段階を含む方法が提供される:
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;
(iii)RPLCカラム上で試料を分離する段階;
(iv)RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階;
(v)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも第一部分を、固定相を含む第一トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(vi)第一トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第一部分を、第一トラッピングカラムから溶離する段階;
(vii)第一トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第一部分を、SFCによるさらなる分離に供する段階;および
(viii)SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階。
【0117】
包括モードまたは偽包括モードなど、2Dクロマトグラフィーのいくつかの場合において、第一次元のRPLCから得られた、1つより多いフラクションが、1つまたは複数のトラッピングカラムに捕捉されそして第二次元のSFCにおいて分析するために放出されることがある。ゆえに、いくつかの態様において、方法は以下の段階をさらに含む:
(ix)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも第二部分を、固定相を含む第二トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(x)第二トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第二部分を、第二トラッピングカラムから溶離する段階;
(xi)第二トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第二部分を、SFCによるさらなる分離に供する段階。
【0118】
複数のフラクションを捕捉/放出するため、これらの段階が複数回繰り返されてもよい。
【0119】
いくつかの態様において、多次元クロマトグラフィー(例えば、本明細書に説明される2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステムまたはその任意のバリエーション)を用いて試料を分離するための方法であって、以下の段階を含む方法が提供される:
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;
(iii)RPLCカラム上で試料を分離する段階;
(iv)RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階;
(v)RPLCカラムより下流の第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階;
(vi)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも一部を、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉する段階;
(vii)捕捉された前記一部を抱持しているトラッピングカラムを、第二移動相の流路内に切換える段階;
(viii)トラッピングカラム上に捕捉された、試料の前記一部を、トラッピングカラムから溶離する段階;
(ix)トラッピングカラム上に捕捉された、試料の前記一部を、SFCによるさらなる分離に供する段階;および
(x)SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階。
【0120】
いくつかの態様において、段階(i)~(x)は、列挙通りの順序で行われる。いくつかの態様において、段階(iv)~(x)は、関心対象のすべてのフラクションが分析されるまで、1回または複数回繰り返される。
【0121】
これら態様のいくつかにおいて、RPLCカラムは、例えば、C-18相(例えばC-18シリカ)、C-8相(例えばC-8シリカ)、C-4相(例えばC-4シリカ)などの逆相材料または本明細書に説明される他の逆相材料を含む固定相などの、逆相固定相を含む。これら態様のいくつかにおいて、トラッピングカラム内の固定相は、C-18相(例えばC-18シリカ)、C-8相(例えばC-8シリカ)、C-4相(例えばC-4シリカ)などの逆相材料または本明細書に説明される他の逆相材料を含む。
【0122】
これら態様のいくつかにおいて、SFC分離は、例えば、順相シリカゲルまたは本明細書に説明される他の順相材料を含む固定相など、順相固定相を含むSFCカラム上で行われる。これら態様のいくつかにおいて、SFC分離は、同じかまたは異なっていてもよい固定相をアレイ内の各SFCカラムが含んでいてもよい、並列に配置されたSFCカラムのアレイから選択されるSFCカラム上で行われる。SFCカラム内の固定相材料は、試料中の特定の成分を分離するように適合されていてもよい。
【0123】
これら態様のいくつかにおいて、方法は、トラッピングカラム上に捕捉されたフラクションから溶離した分析成分を、SFCカラム上におけるさらなる分離の前に、集束カラム上に集束させる段階をさらに含んでいてもよい。集束カラムは、トラッピングカラム内で用いられる固定相と同じであってもまたは同じでなくてもよい固定相を含む。いくつかの態様において、C-18相、C-8相、C-4相、または本明細書に説明される他の逆相材料などの逆相材料を含む固定相が、集束カラムにローディングされる。
【0124】
本明細書に説明される、試料を分離するための方法は、本明細書に説明される2D RPLC×SFCクロマトグラフィーシステム上か、または説明されるその任意の態様もしくはバリエーション上で行われるように適合されてもよい。
【実施例】
【0125】
以下の実施例は、本発明を限定するためではなく例証するために提供される。
【0126】
化学物質および試薬
二酸化炭素(CO2)はPraxair(Danbury、CT、USA)から入手した。アセトニトリル(ACN)はAvantorのJ.T. Baker(Center Valley、PA、USA)から購入した。メタノール(MeOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、エチルアルコール(EtOH)、98.0%~100.0% ギ酸、および28.0%~30.0% 水酸化アンモニウム(NH4OH)はEMD chemicals(Gibbstown, NJ, USA)から購入した。ギ酸アンモニウムはSigma Aldrich(St. Louis, MO, USA)から購入した。HPLCグレードのMillipore水はPurelab ultra Millipore給水装置から得た。トランススチルベンオキシド(TSO)はTCI(東京、日本)から購入した。この試験で用いた原薬Aは、Genentech, CA, USAのプロセス化学部門によって合成された。
【0127】
実施例1 - 計器装備
分析機器は、カスタム化された、Agilent Technologies(Santa Clara、CA、USA)製の、質量分析計を備えた二次元1260 2D-LC-SFCシステムである。RPLCユニットは、Agilent 1260クォータナリ(quaternary)ポンプ(G1311B)、1260 HiP ALSオートサンプラ(G1367E)、およびAgilent 1260多波長UV検出器(G1365C)で構成される。高圧を考慮し、システム全体にステンレス鋼のフィッティングおよびチュービングが用いられている。SFCユニットは、3ポジション溶媒制御バルブを備えた1260 SFCバイナリポンプ(G4302A)、1260 HiPデガッサ(degasser)(G4225A)、1290サーモスタット付カラムコンパートメント(G1316C)、8ポジションAgilent 1290 Infinityバルブドライブ(G1170A)、高圧流セルを備えたAgilent 1260 DAD(G1315C)、およびAgilent 1260 Infinity SFCコントロールモジュール(G4301A)で構成される。SFCフローの一部はAgilent 6120四重極MSに向かうように差し向けられた。scCO2の損失を補うため、Agilent 1260アイソポンプ(G1310B)を用いて、0.15 mL/分のメークアップ流を生成した。注文製作した12ポート切換バルブを用いて、異なるトラッピングカラム上で複数のピークパーキングを可能にするため、Agilent 1290 Flexcube(G4227A)を設置した。機器制御およびデータ収集はAgilent Chemstationソフトウェア(Santa Clara, CA, USA)で行った。
【0128】
図10は例示的なパーキングデッキバルブ(例えば、
図9に特徴が示されているバルブV2)の写真画像である。
図10に示されているように、ピークパーキングに用いられてもよいトラッピングカラムが4つある。加えて、図示されているように、第一分離ユニットに由来する移動相または第二分離ユニットに由来する移動相のいずれかを、トラッピングカラムを通過させずに下流に差し向けることを可能にする、バイパスループも存在する。
【0129】
実施例2
この試験の主な目的は、第一次元から第二次元に移送される移動相の体積が、第二次元(SFC)における分離の分解能に与える影響を評価することであった。ここでは、多次元クロマトグラフィーシステムを用いて、トランススチルベンオキシド(TSO)の鏡像体を分離した。トラッピングカラムを欠く試料ループを備えたバルブを用いて、第一次元(RPLC)が第二次元(SFC)とインターフェースされた。第一次元から溶離した試料の一部を含有する第一移動相の、選択された体積を、試料ループを用いて貯蔵した。続いて、試料ループ内に貯蔵された前記体積の第一移動相を、さらなる分離のため第二次元に移送した。6μL、12μL、および24μLの移動相を貯蔵しそして次に移送できる試料ループを用いた。
【0130】
第一のRPLC次元については、90/10のACN/水で、流量を0.2 mL/分としたアイソクラティック条件下で、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm 2.1×50 mmカラムを使用した。225 nmでUV検出を行った。
【0131】
第二のSFC次元については、95:5のscCO2(MPA)/NH4OH 0.1%含有IPA(MPB)の、アイソクラティック流にて、40℃で、Chiralcel OD3 3.0μm 4.6 mm×50 mmカラムを使用した。流量は4.0 mL/分、アウトレット圧力は130 bar、ノズル温度は60℃であった。
【0132】
この実験のトラッピングループは可撓性の毛管(0.5 mm×150 mm、内部体積約29μL)であった。3回の切換え時間は、それぞれ6μL、12μL、および24μLの移送体積に対応する、0.03分、0.06分、および0.12分であった(0.2 mL/分の流量に基づく)。
【0133】
図11は、試料ループが3つである構成(6μL、12μL、24μL)のシステムを用いたTSOの多次元分離について、時間(分)の経過に伴うUV吸光度測定値(mAU)のクロマトグラフを編集した図である。
図11に示されているように、第一移動相の第二次元への移送体積を増加させると、第二次元における分解能および感度が低下する。
【0134】
実施例3
この実施例では、トラッピングカラムを含有するインターフェースを用いた、第一次元(RPLC)から第二次元(SFC)への試料移送の効率を評価した。
【0135】
0.005 mg/mL~0.25 mg/mlの範囲のTSO標準溶液を、
図8Aおよび
図8Bに示されている2D LC-SFCシステムを用いて分析した。第二検出器はUV検出器であった。実施例2の結果に基づき、内部体積の小さいC18-逆相トラッピングカラムを評価した。
【0136】
第一次元で使用した逆相クロマトグラフは、Waters Corporation(Milford, MA, USA)製のAcquity UPLC HSS T3カラム(50×2.1mm、1.8μm)であった。第一次元における分離は、50:50の(0.05% ギ酸水溶液):(0.05% ギ酸ACN溶液)で、流量を0.2 mL/分としたアイソクラティック条件下で行った。40℃のSFCサーマルカラムコンパートメント内にRPLCカラムを置いた。225 nmでUV検出を行った。第一次元の注入体積は5μLであった。
【0137】
第二次元に用いた超臨界流体クロマトグラフは、Chiral Technologies(West Chester、PA、USA)製のChiralcel OD3カラム(50×4.6mm、3.0μm)であった。第二次元における分離は、95:5の(scCO2):(水酸化アンモニウム0.1%含有イソプロピルアルコール)の、アイソクラティック流にて行った。用いたカラム温度は40℃、流量は4.0 mL/分、アウトレット圧力は130 bar、ノズル温度は60℃であった。SFCカラムのヘッド部における集束カラムの使用は任意とした。
【0138】
前述のように、2つの次元のインターフェース内において、小体積のトラッピングカラムを用いた。具体的には、用いたトラッピングカラムは、ChromaNik Technologies(日本、大阪)製のSunShell C18カラム(5.0×1.0mm、5μm)であった。
【0139】
50:50のACN/水の混合液中で、TSO標準溶液(0.25、0.1、0.05、0.025、0.01、0.005 mg/mL)を調製した。TSOピークの頂部を横切る0.8分間(約160μL)のウィンドウを、SFC初期条件(100% scCO2)でコンディショニングしたトラッピングカラムに移送した。0%(NH4OH 0.1%含有IPA)の初期ホールドを切換え後の最初の0.2分間にわたって維持し、次に、0.1分間で5%(NH4OH 0.1%含有IPA)まで上昇させ、2.35分間ホールドした。カラムを、0%(NH4OH 0.1%含有IPA)で0.2分間にわたり再平衡させた。試料のランを三重に行った。第二次元における検出は225 nmのUV検出によって行った。
【0140】
図12は、様々な濃度のTSOの多次元分離について、時間(分)の経過に伴うUV吸光度測定値(mAU)のクロマトグラフを編集した図である。上段のクロマトグラムは、第一次元における分離の後に測定された。TSO標準溶液の鏡像体が、逆相の一次カラムにおいて共溶離したことが観察される。一次カラムから検出後に溶離してきたピークは、トラッピングカラムのほうに逸らされ、そして、さらなる分離のため二次カラム内にバックフラッシュされた。
図12に示されているように、下段のクロマトグラフは、第二次元における分離の後に測定された。このグラフにおいて、TSO標準溶液の鏡像体は、二次のキラルカラムにおいてベースライン分解したことが観察される。
【0141】
さらに、
図12に表されているように、オーバーレイプロットが示したところによれば、評価した濃度範囲にわたって検出器の反応が線形であり、相関係数は0.99より大きかった(データは示していない)。異なる試験において、(バルブV1のタイミングにより)10~100μLの範囲とした体積を、二次のSFCカラムに移送した。この試験の結果も、評価した範囲にわたって線形の反応を示していた(結果は示していない)。
【0142】
実施例4
この実施例では、原薬Aの試料のアキラル‐キラル同時分析の能力を示すため、実施例3において説明した2D LC-SFCシステムをさらに試験した。
【0143】
第一次元に使用した逆相クロマトグラムは、Waters Corporation(Milford、MA、USA)製のSunFire C18カラム(150×3.0 mm、3.5μm)で、温度は40℃であった。MPAはpH 3.3の5 mMギ酸アンモニウムであり、MPBは0.05% ギ酸のACN溶液であった。RPLCカラムのMPプログラムは、5% Bから、5分間で25% B、25分間で29% B、30分間で90% Bにし、次に、5% Bで5分間にわたり再平衡させるものとした。流量は1.0 mL/分に設定した。第一次元のUV検出は340 nmで行った。第一次元の注入体積は5μLであった。
【0144】
第二次元に用いた超臨界流体クロマトグラムは、Chiral Technologies(West Chester、PA、USA)製のChiralpak IC3カラム(50×4.6mm、3μm)で、温度は40℃とし、初期MP流は65:35のscCO2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)とした。流量は4.0 mL/分、アウトレット圧力は130 bar、ノズル温度は60℃であった。Agilent Technologies(Santa Clara、CA、USA)製のZorbax Eclipse XDB-C18カラム(5.0×2.1 mm、1.8μm)4つをトラッピングカラムとして用いた。
【0145】
25:75のACN/FA 0.05%含有水の混合液中で、原薬Aの試料を0.5 mg/mLに調製した。頂部を横切る0.1分間(100μL)のウィンドウを、プリコンディショニングしたトラッピングカラムに移送した。SFCカラムを、アイソクラティックホールド(35% MPB)にて0.5分間維持し、次に、2分間で55% Bとし、3分間ホールドした。カラムを、35% Bで0.2分間にわたり再平衡させた。第二次元における検出は565 m/zのSIM-MS検出によって行った。
【0146】
図13に示されているように、アキラル純度およびキラル純度の結果は、それぞれ99.0%および100%の鏡像体過剰率(%ee)であった。鏡像体が検出されないスパイクなしの試料(下);0.1%の望ましくない鏡像体によりスパイクした試料(中);および、0.5%の望ましくない鏡像体によりスパイクした試料(上)の、オーバーレイプロットが示すところによれば、このシステムの、望ましくない鏡像体を検出する能力は、0.1%の水準であった。
【0147】
実施例5
この試験は、2D LC-SFCシステムにおける第二次元のSFCと、従来(1D)のSFCとで、感度および分解能がいずれも同等であることを示すために行われた。
【0148】
2D LC-SFCシステムは、実施例4で用いたシステムと同じであった。移動相プログラムおよび切換え時間を修正した。第一次元において、移動相プログラムは、5分間にわたって25% B、15分までに25%から90% Bにし、次に、25% Bで5分間にわたり再平衡させるものとした。ピークの頂部における0.1分間(100μL)のウィンドウを、トラッピングカラムに移送した。従来のSFCの条件は、(実施例4において説明されている)2D LC-SFCの第二次元において用いられたものと同じであった。
【0149】
望ましくない鏡像体を様々な水準(0.1~2.0%の範囲)で含有する原薬Aの試料の標準溶液を、両技法(2D LC-SFCおよびSFC)を用いて分析した。SFC技法および2D LC-SFC技法による標準クロマトグラムのオーバーレイが、それぞれ
図14Aおよび
図14Bに示されている。結果は、両技法によって得られる分離が同等であることを示していた。従来のSFCと比較して、2D LC-SFCにおいて分解能および感度はいずれも保たれていた。
【0150】
実施例2で示されたように、逆相移動相をSFC次元に導入すると、SFC分離の分解能および感度に悪影響を及ぼす。本明細書に説明する2D LC-SFCシステムにおいても、やはり逆相移動相がSFC次元に導入されるが、トラッピングカラムの使用によって、下流のSFC分離を損ねないLC-SFCインターフェースが可能となる。
【0151】
実施例6
この実施例では、望ましい感度および選択性を備えた複雑なキラルクロマトグラフィー分離を単回の分析で行ったことを示す。
【0152】
原薬Aは3つのキラル中心を有し、したがって、4組のジアステレオマー(8つの可能な立体異性体)を有する。4つのジアステレオマーペアの混合物を、30/70のACN/水の混合液中で、0.05 mg/mLにて調製した。各ペア(RRS/SRR, SRS/RSR, SSS/RRR; RRS/SSR)内の2つの鏡像体の比は約2:1であった。
【0153】
各立体異性体の分離を、
図9に示す2D LC-SFCシステムを用いて行った。一次カラム内の実験条件は、実施例4のセクションにおいて説明したものと同じであった。4つのジアステレオマーペアをトラッピングするため、第二次元におけるFlexcube(Agilent)とともに4つのトラッピングカラムを用いた。試料注入後、トラッピングカラムを60:40のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)で1分間コンディショニングしたが、例外として、トラッピングカラム2は65:35のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)でコンディショニングした。10.55分、10.95分、11.80分、および13.30分の各ジアステレオマーピークの頂部における、0.1分間(100μL)のウィンドウに対応する一次カラム溶離物を、順次、4つのトラッピングカラム内に移送した。トラッピングされた成分について、それぞれ14.0分、18.0分、23.5分、および27.5分を開始時点として、順次、第二次元におけるクロマトグラフィーを行った。トラッピング成分2を例外として、60:40のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)の初期ホールドを切換え後の最初の0.5分間にわたって維持し、次に、2.5分間で40:60のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)まで上昇させ、0.3分間ホールドした。成分2については、65:35のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)の初期ホールドを切換え後の最初の1分間にわたって維持し、次に、3.0分間で55:45のscCO
2(MPA)/水酸化アンモニウム0.1%含有メタノール(MPB)まで上昇させ、0.3分間ホールドした。第二次元における検出は565 m/zのSIM-MS検出によって行った。
【0154】
図15に示されているように、一次のアキラルRPLCカラムは4つのジアステレオマーペア(RSS/SRR, SRS/RSR, RRR/SSS, SSR/RRS)、および、処理に関連する、API由来の他の不純物を分解して、アキラル純度を提供する。次に、これらジアステレオマーペアの各々は、一次RPLCカラム(検出後)から、バルブ2(V2;
図9)内の4つの異なるトラッピングカラムに順次移送される。トラッピングされたジアステレオマーフラクションは、次に順次バックフラッシュされ、そして二次のSFCキラルカラム上で分析されて、キラル純度が提供される。より単純な試料混合物を二次のキラルカラムに提供することによって、存在しうる立体異性体がより効率的に分解される。
図15に示されているように、4つのジアステレオマーペアに対応する8つの立体異性体について、MS検出を用いた二次SFC次元上での分解が成功した。パーキングデッキバルブを用いると、2D LC-SFCの用途は、従来のキラルクロマトグラフィーによる分解が難しい、複数のキラル中心を備えた化合物の分析に拡張される。
【0155】
実施例7
この試験は、SFCカラムのヘッド部に集束カラムが置かれた2D LC-SFCシステムをテストするために行われた。
【0156】
2D LC-SFCの条件は、実施例3において説明したものと同じであった。さらに、実施例3における説明と同じ様式でTSO試料を調製した。手短には、50:50のACN/水の混合液中でTSO標準溶液(0.25、0.1、0.05、0.025、0.01、0.005 mg/mL)を調製した。第一次元の注入体積は5μLであった。加えて、集束カラムによって完全となる分析を行うため、SFCカラムのヘッド部に集束カラムを置いた。用いた集束カラムはAgilent Technologies(Santa Clara、CA、USA)製のPursuit XRs C18(20×2.0 mm、5 um)であった。
【0157】
集束カラムを用いた場合および用いなかった場合の、一連の濃度のTSO標準溶液の2D LC-SFC分離を
図16に示す。いずれの条件においてもTSO鏡像体はベースライン分解されている。しかし、集束カラムを用いると、ピーク高さv/sピーク面積プロットの傾きが増大し、第二次元における信号対雑音(S/N)比が向上した(ピーク1)。ピーク2についても同様の結果が観察された(データは示していない)。
【0158】
例示的態様
本発明は以下の態様によってさらに説明される。各態様の特徴は、適切かつ実際的であれば、他の任意の態様と組み合わせ可能である。
【0159】
(態様1)1つの態様において、本発明は、
a)第一分離ユニットを通るように第一移動相を駆動する第一ポンプアセンブリと、
b)第一分離ユニットに試料を導入するための試料インジェクターと、
c)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)カラムと
を含む第一分離ユニットと;
a)第二分離ユニットを通るように第二移動相を駆動するための第二ポンプアセンブリと、
b)超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムと
を含む第二分離ユニットと;
第一分離ユニットおよび第二分離ユニットに接続されている、複数の試料ループを含む第一流体ルーティングユニットであって、
複数の試料ループのうち少なくとも1つが、固定相を含むトラッピングカラムを含む、第一流体ルーティングユニットと
を含み、
まず第一分離ユニットにおいて試料を分離し、続いて、RPLCカラムから溶離した試料の少なくとも一部を第二分離ユニットに導入するように構成された、試料を分離するためのクロマトグラフィーシステムを提供する。
【0160】
(態様2)態様1のさらなる態様において、第一流体ルーティングユニットは2つの試料ループを含み、2つの試料ループのうち1つは第一分離ユニットと流体接触状態にあり、そして2つの試料ループのうちもう1つは第二分離ユニットと流体接触状態にある。
【0161】
(態様3)態様1のさらなる態様において、第一流体ルーティングユニットは少なくとも3つの試料ループを含み、そしてその試料ループのうち少なくとも1つは、第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある。
【0162】
(態様4)態様3のさらなる態様において、固定相材料を含む、少なくとも1つの試料ループは、第一分離ユニットおよび第二分離ユニットから流体隔離状態にある。
【0163】
(態様5)態様1のさらなる態様において、第一流体ルーティングユニットは、各々が試料ループ内に位置決めされた複数のトラッピングカラムを含む。
【0164】
(態様6)態様1~5のいずれか1つのさらなる態様において、第一流体ルーティングユニットは、試料ループが第一分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向に前記試料ループを通る流体フローを許容し、そして、前記試料ループが第二分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向とは反対方向に前記試料ループを通る流体フローを許容するように、構成される。
【0165】
(態様7)態様1~5のいずれか1つのさらなる態様において、第一流体ルーティングユニットは、試料ループが第一分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向に前記試料ループを通る流体フローを許容し、そして、前記試料ループが第二分離ユニットと流体接触するよう位置決めされているとき、第一の方向と同じ方向に前記試料ループを通る流体フローを許容するように、構成される。
【0166】
(態様8)態様1~7のいずれか1つのさらなる態様において、RPLCカラムは逆相固定相を含む。
【0167】
(態様9)態様8のさらなる態様において、逆相固定相はC-18相(例えばC-18シリカ)を含む。
【0168】
(態様10)態様8または9のさらなる態様において、トラッピングカラム内の固定相は逆相材料を含む。
【0169】
(態様11)態様9のさらなる態様において、逆相材料はC-18相(例えばC-18シリカ)を含む。
【0170】
(態様12)態様1~11のいずれか1つのさらなる態様において、第二分離ユニットは1つのSFCカラムを含む。
【0171】
(態様13)態様12のさらなる態様において、SFCカラムは順相固定相を含む。
【0172】
(態様14)態様13のさらなる態様において、順相固定相はシリカゲルを含む。
【0173】
(態様15)態様1~14のいずれか1つのさらなる態様において、第二分離ユニットは、SFCカラムの上流に位置する集束カラムをさらに含む。
【0174】
(態様16)態様15のさらなる態様において、集束カラムは逆相材料を含む。
【0175】
(態様17)態様1~11のいずれか1つのさらなる態様において、第二分離ユニットは、a)アレイ内のSFCカラムが並列構成に配置されているようなSFCカラムのアレイと;b)第二移動相のフローをアレイ内の所望の(または既定の)SFCカラムに差し向けるための第二流体ルーティングユニットとを含む。
【0176】
(態様18)態様17のさらなる態様において、第二分離ユニットは、SFCカラムアレイ内の各SFCカラムの上流に位置する集束カラムをさらに含む。
【0177】
(態様19)態様1~18のいずれか1つのさらなる態様において、RPLCカラムの下流に位置決めされた第一検出器をさらに含む。
【0178】
(態様20)態様1~19のいずれか1つのさらなる態様において、SFCカラムの下流に位置決めされた第二検出器をさらに含む。
【0179】
(態様21)態様1~20のいずれか1つのさらなる態様において、a)第一ポンプアセンブリ、b)試料インジェクター、c)第一検出器、d)第一流体ルーティングユニット、e)第二ポンプアセンブリ、および f)第二検出器のうち1つまたは複数に機能的に接続された、少なくとも1つの制御デバイスをさらに含む。
【0180】
(態様22)1つの態様において、本発明は、
(i)逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)による試料の分離によって得られた、試料の少なくとも一部を、固定相を含むトラッピングカラム上に捕捉する段階;および
(ii)トラッピングカラム上に捕捉された、試料の前記一部を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によるさらなる分離に供する段階
を含む、試料を分離するための方法を提供する。
【0181】
(態様23)態様22のさらなる態様において、逆相液体クロマトグラフィーによって試料を分離する段階であって
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;および
(iii)RPLCカラム上で試料を分離する段階
を含む段階を、さらに含む。
【0182】
(態様24)態様23のさらなる態様において、RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階をさらに含む。
【0183】
(態様25)態様22~24のいずれか1つのさらなる態様において、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部を、トラッピングカラムから溶離する段階をさらに含む。
【0184】
(態様26)態様22~25のいずれか1つのさらなる態様において、SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階をさらに含む。
【0185】
(態様27)態様22~26のいずれか1つのさらなる態様において、RPLCカラムによって分離された試料の少なくとも一部を捕捉するため、RPLCカラムより下流の第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階をさらに含む。
【0186】
(態様28)態様27のさらなる態様において、捕捉された一部をトラッピングカラムから溶離するため、捕捉された前記一部を抱持しているトラッピングカラムを第二移動相の流路に切換える段階をさらに含む。
【0187】
(態様29)態様28のさらなる態様において、第一移動相の流路内にトラッピングカラムを位置決めする段階またはトラッピングカラムを第二移動相の流路に切換える段階は、RPLCの流体路とSFCの流体路とをインターフェースしている流体ルーティングデバイスにおいて行われる。
【0188】
(態様30)態様22~29のいずれか1つのさらなる態様において、SFCによるさらなる分離の前に、トラッピングカラムから溶離した試料の少なくとも一部を集束カラム上に再捕捉する段階をさらに含む。
【0189】
(態様31)態様22~30のいずれか1つのさらなる態様において、第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部は、第一の方向とは反対方向にトラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、トラッピングカラムから溶離される。
【0190】
(態様32)態様22~30のいずれか1つのさらなる態様において、第一移動相は第一の方向にトラッピングカラムを通って流れ、そして、トラッピングカラム上に捕捉された、試料の一部は、第一の方向と同じ方向にトラッピングカラムを通るように第二移動相を流すことによって、トラッピングカラムから溶離される。
【0191】
(態様33)態様22のさらなる態様において、
(i)試料を第一移動相に導入する段階;
(ii)試料を含有する第一移動相を、RPLCカラムを通るように駆動する段階;
(iii)RPLCカラム上で試料を分離する段階;
(iv)RPLCカラムの通過後に第一移動相中の試料の成分の存在を検出する段階;
(v)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも第一部分を、固定相を含む第一トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(vi)第一トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第一部分を、第一トラッピングカラムから溶離する段階;
(vii)第一トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第一部分を、SFCによるさらなる分離に供する段階;および
(viii)SFCによるさらなる分離後に試料の成分を検出する段階
を含む。
【0192】
(態様34)態様33のさらなる態様において、
(ix)RPLCカラム上で分離された試料の少なくとも第二部分を、固定相を含む第二トラッピングカラム上に捕捉する段階;
(x)第二トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第二部分を、第二トラッピングカラムから溶離する段階;
(xi)第二トラッピングカラム上に捕捉された、試料の第二部分を、SFCによるさらなる分離に供する段階
をさらに含む。
【0193】
(態様35)態様22~34のいずれか1つのさらなる態様において、RPLCカラムは逆相固定相を含む。
【0194】
(態様36)態様22~35のいずれか1つのさらなる態様において、トラッピングカラム内の固定相は逆相材料を含む。
【0195】
(態様37)態様22~36のいずれか1つのさらなる態様において、SFCによるさらなる分離は、順相固定相を含むSFCカラム上で行われる。
【0196】
(態様38)態様22~36のいずれか1つのさらなる態様において、SFCによるさらなる分離は、SFCカラムのアレイを含むSFCシステム上で行われる。
【0197】
(態様39)態様38のさらなる態様において、各SFCカラムはそれぞれ独立に順相固定相を含む。
【0198】
(態様40)態様39のさらなる態様において、トラッピングカラム上に捕捉された試料の一部を、さらなる分離のため、試料中の成分を分離するように適合された固定相を含むSFCカラムにルーティングする段階をさらに含む。
【0199】
(態様40A)態様22のさらなる態様において、トラッピングカラム上に捕捉された試料の一部を、さらなる分離のため、SFCカラムにルーティングすることを含み、SFCカラムが、試料中の成分を分離するように適合された固定相を含む。
【0200】
(態様41)1つの態様において、本発明は、態様1のクロマトグラフィーシステムを用いて試料を分析するための方法であって、複雑な試料を第一分離ユニット上で逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)によってフラクションの第一セットに分離する段階;および、前記フラクションのうち1つまたは複数を第二分離ユニット上で超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によってさらに分離する段階、を含む方法を提供する。
【0201】
(態様42)態様41のさらなる態様において、第一分離ユニット上のRPLCによる分離は、複雑な試料の第一の特徴に部分的に基づき、第二分離ユニット上のSFCによる分離は、複雑な試料の第一の特徴と異なる、複雑な試料の第二の特徴に部分的に基づく。
【0202】
(態様43)態様41のさらなる態様において、複雑な試料は、立体異性体成分の混合物を含む。
【0203】
(態様44)態様43のさらなる態様において、ジアステレオマー成分は、第一分離ユニット上のRPLCによって、各フラクションが鏡像体ペアを含む1つまたは複数のフラクションに分離される。
【0204】
(態様45)態様44のさらなる態様において、第一分離ユニット上のRPLCによる分離は、複雑な試料の疎水性に部分的に基づく。
【0205】
(態様46)態様44または45のさらなる態様において、鏡像体ペアは、第二分離ユニット上のSFCによって、個々の鏡像体にさらに分離される。
【0206】
(態様47)態様46のさらなる態様において、第二分離ユニット上のSFCによる分離は、複雑な試料のキラリティに部分的に基づく。
【0207】
(態様48)1つの態様において、本発明は、態様1のクロマトグラフィーシステムを用いて、立体異性体成分の混合物を含む試料をアキラル‐キラル分析するための方法であって、試料中の1つまたは複数の関心対象ジアステレオマー成分を、第一分離ユニット上でRPLCによって分離する段階;および、関心対象の鏡像体ペアを、同じ分析ラン中に第二分離ユニット上でSFCによって分離する段階、を含む方法を提供する。
【0208】
(態様49)態様48のさらなる態様において、RPLC分離によるクロマトグラムに基づいてアキラル純度を決定する段階、および、SFC分離によるクロマトグラムに基づいてキラル純度を決定する段階をさらに含む。
【0209】
刊行物、特許、特許出願、および公表されている特許出願など、本明細書中のすべての参照物は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0210】
以上の発明は、理解を明瞭にする目的のため、例証および実施例によっていくぶん詳しく説明されているが、当業者には、特定の軽微な変更および修正が行われうることが明らかであろう。したがって、説明および実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。