(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】キャリア搬送装置およびそれを備える搬送体制御システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221115BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 C
B65G49/07 L
(21)【出願番号】P 2020133902
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0095994
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】明魯勳
(72)【発明者】
【氏名】姜韓仙
(72)【発明者】
【氏名】尹貞▲びん▼
(72)【発明者】
【氏名】趙忠一
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-193058(JP,A)
【文献】特開2005-194009(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0136187(KR,A)
【文献】特開平06-218690(JP,A)
【文献】特開平06-336335(JP,A)
【文献】特開2008-138871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが収納されたキャリアを搬送するキャリア搬送装置であって、
前記キャリアを把持する把持部と、
前記把持部を昇降させる昇降部とを含み、
前記把持部および前記昇降部は、
マグネット部材およびプレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、相対的運動が抑制され
、
前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、
前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部とをさらに含む、キャリア搬送装置。
【請求項2】
前記把持部および前記昇降部は、前記マグネット部材および前記プレートの間に形成される電流を用いて相対的運動が抑制される、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項3】
前記電流は、エディカレント(Eddy Current)である、請求項
2に記載のキャリア搬送装置。
【請求項4】
前記昇降部は複数の連結部材を用いて前記把持部と連結され、
前記マグネット部材は前記連結部材の端部に設置され、
前記プレートは前記マグネット部材に隣接して前記把持部に設置される、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項5】
前記マグネット部材は、電磁石である、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項6】
前記プレートは、非鉄金属を素材にして形成される、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項7】
前記把持部および前記昇降部は、前記キャリア搬送装置が走行する時、相対的運動が抑制される、請求項1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項8】
前記マグネット部材の強度に応じて前記把持部と前記昇降部との間のダンピングが制御される、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項9】
前記速度測定センサは、前記プレートの表面に設置される、請求項
1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項10】
前記把持部および前記昇降部を含む本体部を支持し、駆動力を生成する駆動制御部と、
前記駆動制御部の側面に設置され、前記駆動力に基づいてレール上で移動する駆動ホイールと、
前記駆動制御部の下部に設置され、前記駆動ホイールが前記レール上で離脱することを防止するガイドホイールをさらに含む、請求項1に記載のキャリア搬送装置。
【請求項11】
ウエハが収納されたキャリアを搬送するキャリア搬送装置であって、
前記キャリアを把持し、プレートを含む把持部と、
前記把持部を昇降させ、マグネット部材を含む昇降部とを含み、
前記把持部および前記昇降部は、前記マグネット部材および前記プレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、
前記キャリア搬送装置が走行する時前記マグネット部材および前記プレートの間に形成されるエディカレントを用いて前記把持部および前記昇降部の相対的運動が抑制され
、
前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、
前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部とをさらに含む、キャリア搬送装置。
【請求項12】
天井に設置されるレールと、
前記レール上で走行し、ウエハが収納されたキャリアを目的地まで搬送する複数のキャリア搬送装置と、
前記キャリア搬送装置の移動を制御する搬送体制御装置とを含み、
前記キャリア搬送装置は、
前記キャリアを把持する把持部と、
前記把持部を昇降させる昇降部とを含み、
前記把持部および前記昇降部は、
マグネット部材およびプレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、相対的運動が抑制され
、
前記キャリア搬送装置は、
前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、
前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部をさらに含む、搬送体制御システム。
【請求項13】
前記把持部および前記昇降部は、前記マグネット部材および前記プレートの間に形成される電流を用いて相対的運動が抑制される、請求項
12に記載の搬送体制御システム。
【請求項14】
前記昇降部は、複数の連結部材を用いて前記把持部と連結され、
前記マグネット部材は、前記連結部材の端部に設置され、
前記プレートは、前記マグネット部材に隣接して前記把持部に設置される、請求項
12に記載の搬送体制御システム。
【請求項15】
前記把持部および前記昇降部は、前記キャリア搬送装置が走行する時、相対的運動が抑制される、請求項
12に記載の搬送体制御システム。
【請求項16】
前記マグネット部材の強度に応じて前記把持部と前記昇降部との間のダンピングが制御される、請求項
12に記載の搬送体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア搬送装置およびそれを備える搬送体制御システムに関する。
【0002】
より詳細には、半導体製造設備に用いられるキャリア搬送装置およびそれを備える搬送体制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ウエハ(wafer)は、半導体素子製造ラインを備えたクリーンルーム(clean room)内で多様な工程を経て製造することができる。この際、ウエハは、FOUP(Front Opening Unified Pod)に収納され、クリーンルームの天井に配置されるOHT(Overhead Hoist Transport)を介してそれぞれの工程が行われる設備に搬送することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OHTは、半導体素子を製造するのに使われる多様な設備が配置されているクリーンルーム内でFOUPを目的地まで安全に移送するために、ホイスト(hoist)とハンド(hand)を使うことができる。
【0005】
ホイストおよびハンドは積み下ろし(load and unload)の際OHTがFOUPを正確な位置に安着させ、OHTの走行時FOUPの離脱を防止するために、ピン(pin)/ホルダ(holder)構造を使うことができる。この場合、ピンとホルダとの間に空間的な余裕を持たせて、強制拘束による破損を防止することができる。
【0006】
しかし、ホイストおよびハンドがこのようにピン/ホルダ構造を使う場合、嵌め合い方式ではないため、FOUPの移送時にピンおよびホルダの間のぶつかりにより、振動および衝撃が発生してFOUP内のウエハに伝達され得る。
【0007】
本発明で解決しようとする課題は、エディカレント(eddy current)を用いた非接触式ダンピング構造を用いてホイストおよびハンドを結合構成するキャリア搬送装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明で解決しようとする課題は、エディカレントを用いた非接触式ダンピング構造を用いてホイストおよびハンドを結合構成するキャリア搬送装置を備える搬送体制御システムを提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための本発明のキャリア搬送装置の一面(aspect)は、ウエハが収納されたキャリアを搬送するキャリア搬送装置であって、前記キャリアを把持する把持部と、前記把持部を昇降させる昇降部を含み、前記把持部および前記昇降部は、マグネット部材およびプレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、相対的運動が抑制される。前記キャリア搬送装置は、前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部をさらに含む。
【0012】
前記把持部および前記昇降部は、前記マグネット部材および前記プレートの間に形成される電流を用いて相対的運動が抑制され得る。
【0013】
前記電流はエディカレント(Eddy Current)であり得る。
【0014】
前記昇降部は複数の連結部材を用いて前記把持部と連結され、前記マグネット部材は前記連結部材の端部に設置され、前記プレートは前記マグネット部材に隣接して前記把持部に設置され得る。
【0015】
前記マグネット部材は非鉄金属を素材にして形成され得る。
【0016】
前記マグネット部材は電磁石であり得る。
【0017】
前記把持部および前記昇降部は、前記キャリア搬送装置が走行する時、相対的運動が抑制され得る。
【0018】
前記マグネット部材の強度に応じて前記把持部と前記昇降部との間のダンピングが制御され得る。
【0020】
前記速度測定センサは、前記プレートの表面に設置され得る。
【0021】
前記キャリア搬送装置は、前記把持部および前記昇降部を含む本体部を支持し、駆動力を生成する駆動制御部と、前記駆動制御部の側面に設置され、前記駆動力に基づいてレール上で移動する駆動ホイールと、前記駆動制御部の下部に設置され、前記駆動ホイールが前記レール上で離脱することを防止するガイドホイールをさらに含み得る。
【0022】
前記課題を達成するための本発明のキャリア搬送装置の他の面は、ウエハが収納されたキャリアを搬送するキャリア搬送装置であって、前記キャリアを把持し、プレートを含む把持部と、前記把持部を昇降させ、マグネット部材を含む昇降部を含み、前記把持部および前記昇降部は、前記マグネット部材および前記プレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、前記キャリア搬送装置が走行する時、前記マグネット部材および前記プレートの間に形成されるエディカレントを用いて前記把持部および前記昇降部の相対的運動が抑制される。前記キャリア搬送装置は、前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部をさらに含む。
【0023】
前記課題を達成するための本発明の搬送体制御システムの一面は、天井に設置されるレールと、前記レール上で走行し、ウエハが収納されたキャリアを目的地まで搬送する複数のキャリア搬送装置と、前記キャリア搬送装置の移動を制御する搬送体制御装置を含み、前記キャリア搬送装置は、前記キャリアを把持する把持部と、前記把持部を昇降させる昇降部を含み、前記把持部および前記昇降部は、マグネット部材およびプレートを用いて非接触式ダンピング構造で連結され、相対的運動が抑制される。前記キャリア搬送装置は、前記キャリア搬送装置の速度を測定する速度測定センサと、前記キャリア搬送装置の速度に基づいて前記マグネット部材の強度を調整する制御部をさらに含む。
【0024】
その他実施形態の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置の概略的な構造を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置の設置形態を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を構成する把持部と昇降部の結合形態を示す部分拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を構成する把持部と昇降部の非接触式ダンピング構造を説明するための例示図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるキャリア搬送装置の部分拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を備える搬送体制御システムの概略的な構造を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に後述する詳細な実施形態を参照することで明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現され得るものであり、単に本実施形態は本発明の開示を明確にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を明確に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範囲によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0027】
素子(elements)または層が他の素子または層の「上(on)」または「上(on)」と称する場合、他の素子または層の真上だけでなく中間に他の層または他の素子を介在する場合をすべて含む。一方、素子が「直接上(directly on)」または「真上」と称される場合、中間に他の素子または層を介在しない場合を示す。
【0028】
空間的に相対的な用語である「下方(below)」、「下(beneath)」、「底部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などは図面に図示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使われる。空間的に相対的な用語は図面に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語として理解しなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下方(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上方(above)」に置かれられ得る。したがって、例示的な用語である「の下」は下と上の方向をすべて含み得る。素子は他の方向にも配向され得るため、空間的に相対的な用語は配向によって解釈され得る。
【0029】
第1、第2等が多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これら素子、構成要素および/またはセクションはこれらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使う。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは、本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得ることはもちろんである。
【0030】
本明細書で使われた用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書で、単数形は文面で特記しない限り、複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含み(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子が、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在や追加を排除しない。
【0031】
他に定義のない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われる。また、一般的に使われる辞典に定義されている用語は明白に特に定義されない限り理想的にまたは過度に解釈されない。
【0032】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにあって図面符号に関係なく同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、それに関する重複する説明は省略する。
【0033】
OHT(Overhead Hoist Transport)は、ホイスト(hoist)とハンド(hand)の相対的運動を抑制するためにピン(pin)/ホルダ(holder)構造を使うことができる。しかし、FOUP(Front Opening Unified Pod)の移送時ピンとホルダのぶつかりによって振動および衝撃が発生してFOUP内のウエハ(wafer)に伝達される問題がある。
【0034】
本発明は、マグネット(magnet)と非鉄金属を用いた非接触式ダンピング構造でエディカレント(eddy current)を発生させてホイストとハンドの相対的運動を抑制するキャリア搬送装置およびそれを備える搬送体制御システムに関するものである。以下では図面などを参照して本発明を詳しく説明する。
【0035】
図1は本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置の概略的な構造を示す断面図である。そして、
図2は本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置の設置形態を示す断面図である。
【0036】
図1および
図2によれば、キャリア搬送装置100は、本体部110、駆動制御部120、駆動ホイール(driving wheel;130)およびガイドホイール(guide wheel;140)を含んで構成されることができる。
【0037】
キャリア搬送装置100は、クリーンルーム(clean room)内でキャリア(carrier)を半導体素子の製造工程が行われる各種設備に搬送するものである。このようなキャリア搬送装置100は、例えば、OHTに実現することができる。一方、上記キャリアは複数のウエハ(wafer)が収納されたものであって、例えばFOUPに実現することができる。
【0038】
本体部110は、キャリア150を次の工程が行われる設備まで搬送するために、キャリア150を把持(gripping)した後、クリーンルームの天井付近まで上昇させ得る。本体部110は、このために駆動制御部120の下部に設置され得る。また、本体部110は、把持部111と昇降部112を含んで構成されることができる。
【0039】
把持部111はキャリア150を把持するものである。このような把持部111は、昇降部112によりキャリア150が位置した方向に下降され、キャリア搬送装置100の下の方に位置するキャリア150を把持することができる。把持部111は、例えば、ハンドグリッパ(hand gripper)で実現することができる。
【0040】
昇降部112は、把持部111をキャリア150が位置した方向に下降させて把持部111がキャリア150を把持できるようにするものである。このような昇降部112は、把持部111によりキャリア150が把持されると、キャリア150を把持した把持部111をクリーンルームの天井側に上昇させることができる。
【0041】
キャリア150は把持部111により把持された後、昇降部112によりクリーンルームの天井側に上昇され、この状態で次の工程が行われる設備まで搬送され得る。昇降部112はキャリア搬送装置100が目的地に到達すると、キャリア150を下降させてキャリア150を次の工程が行われる設備に伝達することができる。昇降部112は、例えば、ホイスト(hoist)に実現することができる。
【0042】
把持部111および昇降部112は、マグネットと非鉄金属を用いて非接触式ダンピング構造で結合されることができる。これと関連するより詳しい説明は図面を参照して後述する。
【0043】
駆動制御部120は、レール210に沿って移動する駆動ホイール130を制御する。このような駆動制御部120は、両側面を介して一対の駆動ホイール130と結合され、下部面を介して本体部110と結合され得る。駆動制御部120は下部に位置する本体部110を支持する役割も担うことができる。
【0044】
駆動制御部120は、駆動モータ(図示せず)、駆動軸(図示せず)、速度調整部(図示せず)等を含んで構成されることができる。
【0045】
駆動モータは駆動力を生成する。
【0046】
駆動軸は駆動モータによって生成された駆動力を駆動ホイール130に伝達する。
速度調整部は駆動ホイール130の回転速度を調整する。
【0047】
駆動制御部120は、駆動モータ、駆動軸等を介して駆動ホイール130に駆動力を提供することができ、速度調整部等を介して駆動ホイール130の回転速度を制御することができる。
【0048】
駆動ホイール130は駆動制御部120から提供される駆動力を用いてレール210上で回転する。駆動ホイール130はこのために駆動制御部120の両側面に少なくとも一対設置され得る。
【0049】
ガイドホイール140は、キャリア搬送装置100がレール210上で走行する時、レール210から離脱することを防止するためのものである。ガイドホイール140はこのために駆動制御部120の下部面の両側に駆動ホイール130に垂直方向に少なくとも一対設置され得る。
【0050】
レール210は、キャリア搬送装置100が移動できる経路を提供する。このようなレール210は半導体素子を製造する製造ラインが備えられるクリーンルームの天井(ceiling)に設置され得る。
【0051】
クリーンルームの天井にはレール210と共にレール支持部220が設置され得る。この時、レール210はクリーンルームの天井に固定されるレール支持部220の両側にそれぞれ結合されて一対で備えられ得る。
【0052】
レール210はクリーンルーム内のレイアウトに沿って直線区間、曲線区間、傾斜区間、分岐区間など多様な形態の区間が混在して形成され得る。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。レール210は単一形態の区間(例えば、直線区間)のみで形成されることも可能である。
【0053】
レール支持部220はクリーンルームの天井に設置されてレール210を支持する。このようなレール支持部220は、キャップ(cap)形状、例えばUの逆向きの形状またはΠの形状に形成され得る。
【0054】
キャリア搬送装置100は、ケーブル固定部(図示せず)、補正部(図示せず)等をさらに含み得る。
【0055】
ケーブル固定部はレール210の下に配置されるケーブルを固定する。このようなケーブル固定部は、例えば、リッツワイヤ支持部材(litz wire supporter)で実現することができる。
【0056】
補正部はキャリア150を目的地まで移送させる時にキャリア150の位置を補正する。このような補正部は本体部110と駆動制御部120との間に配置され、キャリア150の位置を補正し得る。
【0057】
補正部は、スライダ(slider)とロテータ(rotator)を含んで構成されることができる。
【0058】
スライダはキャリア150を移動させる。このようなスライダは駆動制御部120の下部面に設置され得る。スライダはキャリア150を上側方向、下側方向、左側方向、右側方向などに移動させることができる。
【0059】
ロテータはキャリア150を回転させる。このようなロテータはスライダの下部面に設置され得る。ロテータはキャリア150を時計回り、反時計回りなどに回転させることができる。
【0060】
先立って説明した通り、本実施形態で把持部111および昇降部112はマグネット(magnet)と非鉄金属を用いて非接触式ダンピング構造で結合され得る。以下ではこれについて説明する。
【0061】
図3は本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を構成する把持部と昇降部の結合形態を示す部分拡大図である。以下、説明は
図3を参照する。
【0062】
把持部111は、昇降部112と非接触式ダンピング構造を構成することができる。把持部111はこのために昇降部112に結合されるプレート(plate;310)が金属を素材にして形成され得る。このようなプレート310は、例えば、銅(Cu)のような非鉄金属を素材にして形成され得る。
【0063】
プレート310は、把持部111のボディーの上部面に形成され得る。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。プレート310は把持部111のボディー全面にわたって形成されることも可能である。
【0064】
昇降部112は複数の連結部材を介して把持部111のプレート310と結合され得る。昇降部112は、例えば、第1連結部材321と第2連結部材322を介して把持部111のプレート310と結合され得る。このような昇降部112は、第1連結部材321と第2連結部材322を用いて把持部111を昇降させ得る。
【0065】
第1連結部材321および第2連結部材322の端部には第1マグネット部材331と第2マグネット部材332がそれぞれ設置され得る。具体的には、把持部111と昇降部112が非接触式ダンピング構造を構成するために、把持部111のプレート310と結合する部分に第1マグネット部材331と第2マグネット部材332が設置され得る。
【0066】
マグネット部材331、332は、本実施形態で連結部材321、322の個数に対応して複数設置され得る。このようなマグネット部材331、332は、例えば、電磁石で実現することができる。
【0067】
把持部111と昇降部112は、プレート310とマグネット部材331、332との間の相互作用によりエディカレント(eddy current)を発生させることができる。以下ではこれについて説明する。
【0068】
図4は本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を構成する把持部と昇降部の非接触式ダンピング構造を説明するための例示図である。以下の説明は
図4を参照する。
【0069】
キャリア搬送装置100がキャリア150を目的地まで搬送するためにレール210上で走行すると、第1マグネット部材331と第2マグネット部材332の磁束が変化して起電力が発生し得る。
【0070】
この時、この起電力によってプレート310上には渦巻き形状の電流、すなわちエディカレント(eddy current;410)を形成することができる。そして、エディカレント410の流れによって二次的な電場、すなわち、第2電場420が発生し得る。
【0071】
第2電場420は、既に発生した電場(すなわち、第1電場)との間で引力および斥力を作用させ、キャリア搬送装置100の移動方向に対して相対的なダンピングフォース(damping force;430)を発生させることができる。
【0072】
本実施形態ではこのようなダンピングフォース430によりキャリア搬送装置100の移動時、把持部111と昇降部112の相対的運動を抑制することができる。また、従来とは異なり、ピン/ホルダ構造を使わないので、振動および衝撃がウエハに及ぼす影響を最小化することができる。また、把持部111と昇降部112の非接触構造の特性によりパーティクル(particle)の発生を最大に抑制して衝撃緩和特性も有するようにすることができる。
【0073】
一方、本実施形態では速度測定センサを活用してダンピング(damping)の程度を能動的に制御することも可能である。以下ではこれについて説明する。
【0074】
図5は本発明の他の実施形態によるキャリア搬送装置の部分拡大図である。以下の説明では
図5を参照する。
【0075】
速度測定センサ510はキャリア搬送装置100の移動速度を測定する。このような速度測定センサ510は把持部110に設置され得る。速度測定センサ510は、例えば、プレート310の表面に設置され得る。
【0076】
制御部520は、速度測定センサ510の測定値に基づいてマグネット部材331、332の強度を調整する。制御部520はこれにより把持部111および昇降部112の間のダンピングを能動的に制御することができる。制御部520は本実施形態で演算機能を備えたプロセッサが搭載されたコンピュータで実現することができる。
【0077】
次に、キャリア搬送装置100を備える搬送体制御システムについて説明する。
【0078】
図6は本発明の一実施形態によるキャリア搬送装置を備える搬送体制御システムの概略的な構造を示す概念図である。
【0079】
図6によれば、搬送体制御システム600はキャリア搬送装置100、搬送体制御装置610およびデータベース620を含んで構成されることができる。
【0080】
キャリア搬送装置100は、複数備えられてレール210上に配置され得る。この時、それぞれのキャリア搬送装置100は搬送体制御装置610から受信された情報に基づいてキャリア150を目的地まで搬送することができる。
【0081】
キャリア搬送装置100は、搬送体制御装置610と無線で通信し、搬送体制御装置610から情報を受信することができる。しかし、本実施形態がこれに限定されるものではない。キャリア搬送装置100は搬送体制御装置610と有線で連結されて、有線信号を介して搬送体制御装置610から情報を受信することも可能である。
【0082】
搬送体制御装置610は、キャリア搬送装置100を制御する。このような搬送体制御装置610は演算機能を備えたプロセッサが搭載されたコンピュータで実現することができる。
【0083】
データベース620は、搬送体制御装置610と有線や無線で連結されて搬送体制御装置610が複数のキャリア搬送装置100を制御するために必要な情報を提供する。
【0084】
データベース620は、搬送体制御装置610の内部にメモリ部の形態を実現することができる。しかし、本実施形態がこれに限定されるものではない。データベース620は、搬送体制御装置610とは別に搬送体制御システム600内に備えられることも可能である。
【0085】
以上、
図1ないし
図6を参照してキャリア搬送装置100について説明した。本実施形態によるキャリア搬送装置100は、物流自動化サービスに適用され得、次のような効果を得ることができる。
【0086】
第一に、従来の振動発生原因を除去することによってキャリア搬送装置100の走行時移送物の振動影響を最小化することができる。
【0087】
第二に、エディカレント効果を利用することによって、ピン/ホルダ除去時に憂慮される離脱を防止することができる。
【0088】
第三に、エディカレントによって発生するダンピングフォース(damping force)により左右運動に伴う衝撃影響を最小化することができる。
【0089】
第四に、分岐走行速度を向上させることが可能になる。
【0090】
第五に、非接触構造によりパーティクル発生量を従来より低くすることができる。
【0091】
第六に、ダンピング量および抗力を能動制御することによって、キャリア搬送装置100の離脱防止およびエネルギ吸収を実現することができる。
【0092】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、前述した一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0093】
100:キャリア搬送装置
110:本体部
111:把持部
112:昇降部
120:駆動制御部
130:駆動ホイール
140:ガイドホイール
150:キャリア
210:レール
220:レール支持部
310:プレート
321,322:連結部材
331,332:マグネット部材
510:速度測定センサ
520:制御部
600:搬送体制御システム
610:搬送体制御装置
620:データベース