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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】超高効率噴霧乾燥装置及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 1/18 20060101AFI20221115BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20221115BHJP
   B01D 1/20 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B01D1/18
B01J2/04
B01D1/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020502999
(86)(22)【出願日】2018-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 US2018045295
(87)【国際公開番号】W WO2019028446
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-02-25
(31)【優先権主張番号】15/865,657
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/668,832
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/005,302
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/055,075
(32)【優先日】2018-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520017591
【氏名又は名称】ズーメッセンス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビーツ,チャールズ,パーシング
(72)【発明者】
【氏名】ビーツ,ジェイソン,アンドリュー
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-506530(JP,A)
【文献】特表2016-502632(JP,A)
【文献】特開昭62-057601(JP,A)
【文献】特開2002-143669(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105654(WO,A1)
【文献】特開昭60-137401(JP,A)
【文献】特表2004-534649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0051917(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/16-1/20
B01J 2/04
F26B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥可能液体組成物を処理して噴霧乾燥製品を形成する方法であって、
前記噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を発生させることと、
噴霧乾燥接触ゾーンにおいて前記噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を一次乾燥流体のストリームと接触させることと、
前記噴霧乾燥接触ゾーンにおいて前記一次乾燥流体のストリーム内にその複数の位置において加圧された二次乾燥流体の一時的なバーストを注入して、前記噴霧乾燥接触ゾーンの全体に乱流混合を引き起こす前記複数の位置で局所乱流を提供することと、
(i)前記噴霧乾燥接触ゾーンにおける噴霧乾燥可能な液体組成物液滴の平均粒子径が50~300μmの範囲であり、かつ(ii)乱流散逸率が25m /sec を超えるように、乾燥流体の流量および噴霧乾燥可能な液体組成物の噴霧の流量を調節することと、
前記噴霧乾燥接触ゾーンから前記噴霧乾燥製品を回収することと、を含み、
前記一次乾燥流体及び前記二次乾燥流体が、100℃未満であり、かつ前記噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回る温度で、前記噴霧乾燥接触ゾーンに導入される、方法。
【請求項2】
前記注入が、前記接触中に連続的に又は間欠的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一次乾燥流体及び前記二次乾燥流体が、空気、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、及び上述したもののうちの2種以上の組合せからなる群から、各々独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料、並びに上述したもののうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の製品材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、水、アルコール及びアルコール水溶液からなる群から選択された溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、並びに天然及び合成高分子材料からなる群から選択された少なくとも1種の担体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、300mPa-s~28,000mPa-sの範囲の粘度を有し、前記噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、溶媒の20~50重量%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記一次乾燥流体及び前記二次乾燥流体が、20%相対湿度未満で前記噴霧乾燥接触ゾーンに導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
噴霧乾燥システムであって、
導入された噴霧乾燥可能液体組成物と一次乾燥流体のストリームとを接触させるための内部容積を含む噴霧乾燥容器であって、前記接触のために前記内部容積内に前記噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を導入するように位置決めされた噴霧デバイスと、前記内部容積に前記一次乾燥流体を導入するための入口と、前記内部容積から噴霧乾燥製品及び流出乾燥流体を放出するための出口とを含む噴霧乾燥容器と、
前記噴霧乾燥容器の前記内部容積の全体に乱流混合を引き起こす前記一次乾燥流体のストリーム内の複数の位置で前記内部容積内の前記一次乾燥流体のストリームに局所乱流を提供する流れ条件で、前記内部容積内に加圧された二次乾燥流体の一時的なバーストを導入するように構成されかつ配置された多数の二次流体インジェクタと、
(i)噴霧乾燥接触ゾーンにおける噴霧乾燥可能な液体組成物液滴の平均粒子径が50~300μmの範囲であり、かつ(ii)乱流散逸率が25m /sec を超えるように、前記一次乾燥流体の流量および噴霧乾燥可能な液体組成物の流量を調節するプロセス制御ユニットと、
100℃未満であり、かつ前記噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回る温度で、前記噴霧乾燥容器に前記一次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された乾燥流体源と、
を備える噴霧乾燥システム。
【請求項10】
前記多数の二次流体インジェクタが、前記噴霧乾燥容器にアレイで取り付けられている、請求項9に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項11】
前記二次流体インジェクタのアレイが、二次流体インジェクタの少なくとも1つの周方向に延在する列を備え、各前記列における各二次流体インジェクタが、前記列における隣接する二次流体インジェクタから周方向に間隔を空けて配置されており、複数の列が、存在する場合、前記噴霧乾燥容器の中心軸に対して軸方向に間隔を空けて配置されている、請求項10に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項12】
前記多数の二次流体インジェクタの各々が、制御システムにより、前記噴霧乾燥容器の前記内部容積に二次流体の一時的なバーストを供給するように、二次流体注入に対して作動可能である、請求項9に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項13】
所定順序で、前記多数の二次流体インジェクタのうちの選択された1つ又は複数が、前記制御システムにより、前記噴霧乾燥容器の前記内部容積に二次流体の一時的なバーストを供給するように作動可能であり、一方で、前記多数の二次流体インジェクタのうちの選択された他のものが作動停止し、前記複数の二次流体インジェクタの各々が、前記所定順序で間欠的に作動する、請求項12に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項14】
前記噴霧乾燥容器の前記出口から噴霧乾燥製品及び流出乾燥流体を受け取る流れ回路を備え、前記流れ回路が、前記流出乾燥流体から噴霧乾燥製品を分離するように構成されかつ配置された流体/固体分離機と、噴霧乾燥製品が分離された前記流出乾燥流体を所定の程度まで乾燥させるように構成された除湿器とを含み、前記流れ回路が、前記噴霧乾燥容器の前記内部容積に導入された前記一次乾燥流体の少なくとも一部として、前記除湿器によって乾燥させた後の前記流出乾燥流体を前記噴霧乾燥容器の前記入口に再循環させるように構成されかつ配置されている、請求項9に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項15】
20%相対湿度未満で前記噴霧乾燥容器の前記内部容積に前記一次乾燥流体及び前記二次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された除湿器を備える、請求項9に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項16】
前記注入することが、前記一次乾燥流体のストリーム内に前記加圧された二次乾燥流体を間欠的に、一時的にかつ周期的に注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を発生させることが、前記噴霧乾燥可能液体組成物の静電帯電噴霧を発生させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記噴霧デバイスが静電噴霧デバイスを備える、請求項9に記載の噴霧乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この国際特許出願は、以下の米国特許出願、「超高効率噴霧乾燥装置及びプロセス」と題しCharles Pershing Beetz及びJason Andrew Beetzの名義で2017年8月4日に出願され、米国特許第9,861,945号として2018年1月9日に発行された米国特許出願第15/668,832号の米国特許法第120条の下での一部継続出願である、「超高効率噴霧乾燥装置及びプロセス」と題しCharles Pershing Beetz及びJason Andrew Beetzの名義で2018年1月9日に出願された米国特許出願第15/865,657号の米国特許法第120条の下での一部継続出願である、「超高効率噴霧乾燥装置及びプロセス」と題しCharles Pershing Beetz及びJason Andrew Beetzの名義で2018年1月11日に出願された米国特許出願第16/005,302号の米国特許法第120条の下での一部継続出願である、「超高効率噴霧乾燥装置及びプロセス」と題しCharles Pershing Beetz及びJason Andrew Beetzの名義で2018年8月4日に出願された米国特許出願第16/055,075号の各々の優先権を主張する。上述した米国特許出願のすべての開示は、すべての目的で、それらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、特に、感熱材料を噴霧乾燥させる低温噴霧乾燥操作のための設備を有する、噴霧乾燥製品を製造するために乾燥流体流ストリームにおける局所乱流の誘発を利用する、超高効率噴霧乾燥装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
噴霧乾燥は、1800年代後期以来、基本的な材料処理操作として存在し、そのとき以来、継続的に改良されてきた。噴霧乾燥操作は、さまざまな特徴があり得るが、通常は、材料の液体組成物をチャンバ内に、チャンバを通って同時に流される乾燥流体と接触するように注入することを含む。液滴の形態の注入される湿潤材料は、乾燥流体のストリームと接触して、液体が液滴から乾燥流体ストリームに移るようにし、乾燥チャンバから放出される噴霧乾燥製品と、同様に乾燥チャンバから放出される乾燥流体流出物とをもたらす。
【0004】
先行する噴霧乾燥操作では、乾燥粉末製品を製造するために、高温、例えば、180~200℃ほどの温度での気体として乾燥流体を提供することが、従来の慣例であった。乾燥流体は、従来、空気であり、噴霧乾燥させるべき材料は、乾燥可能液体形態で、例えば、原液材料として提供することができ、又は、材料は、噴霧乾燥プロセスの最後に噴霧乾燥製品が関連付けられる担体材料をさらに含むことができる、スラリー、懸濁液、乳濁液又は溶液形態の噴霧乾燥液体組成物における固体であり得る。さまざまな応用において、噴霧乾燥させるべき材料は、溶媒、例えば、水、アルコール又は他の適切な液体を含有するスラリーに、炭水化物、セルロース誘発体、蝋、ガム、タンパク質又は他の好適な材料等の担体材料とともに存在する。噴霧乾燥操作を行うために、ノズル、噴霧器等を使用して噴霧乾燥組成物が乾燥チャンバ内に注入され、乾燥チャンバ内にかつ乾燥チャンバを通って流される乾燥流体と接触するために微細な液滴の噴霧を形成する。
【0005】
噴霧乾燥させた材料の液滴を迅速に加熱し、噴霧乾燥粉末を製造するために液滴から液体を揮発させるために、乾燥流体に対する180~200℃ほどの上述した高温レベルは、本技術分野において従来の慣例であった。しかしながら、こうした高温レベルにより、噴霧乾燥操作の適用範囲は、熱的に安定しているか、又は、噴霧乾燥操作の高温で激しく悪影響を受けない噴霧乾燥可能材料に限定される。広範囲の材料が、噴霧乾燥操作の高温領域に適応することができるが、(高温での製品材料の揮発を通して)材料が喪失し、及び/又は、噴霧乾燥操作中に高温にさらされる結果として物理的特性及び/又は性能特性が別の方法で劣化する。こうしたことに関して、従来の噴霧乾燥の慣例には、限界及び欠陥が認められた。
【0006】
上述した状況に対して、ZoomEssence,Inc.の米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に開示されている低温噴霧乾燥装置及びプロセスは、本技術分野における実質的な進歩を採用している。こうした特許に開示されているように、噴霧乾燥は、100℃未満、及びいくつかの応用では周囲温度までさらに低下した乾燥流体の入口温度と、約300mPa-secを上回る粘度を有する噴霧乾燥スラリーの利用と、スラリーの50重量%を超えないスラリー含水量と、乾燥システムに導入される乾燥流体の低湿度とを含む、噴霧乾燥条件で実施される。本技術の従来の慣例とは際立って異なる低温噴霧乾燥条件で行われる、こうした噴霧乾燥操作により、従来の高温噴霧乾燥の慣例の高温条件によって本来は禁止であった無数の製品に対して、噴霧乾燥を利用することができる。
【0007】
しかしながら、ZoomEssence,Inc.の上述した米国特許に開示されている低温処理によって、噴霧乾燥可能材料の数が莫大に広がるが、乾燥粉末製品を達成することができるように、乾燥流体と噴霧液滴との間に十分な接触時間を提供するために、大容量の噴霧乾燥チャンバが必要である。これに関して、従来の高温噴霧乾燥に対して、ZoomEssence噴霧乾燥プロセスで採用されるより低い温度領域は、噴霧乾燥させている材料の液滴から液体を揮発させるために、提供する熱駆動力が対応して低減し、したがって、噴霧乾燥操作において乾燥流体のより低い温度に適応するために、噴霧される液滴の著しい滞留時間と対応する程度の乾燥チャンバ容量が必要である。
【0008】
大容量の噴霧乾燥チャンバは、実質的な資本設備及び運転コストを必然的に伴い、対応してサイズが決められた噴霧器、ノズル、ポンプ、圧縮器、配管、弁及び補助プロセス機器を必要とする。これは、従来の高温噴霧乾燥が実施されるか、又は上述したZoomEssence特許の低温噴霧乾燥プロセスが実施されるかに関わらず、噴霧乾燥システムに全体的に当てはまる。
【0009】
したがって、噴霧乾燥を超高流体力学的効率で実施することができ、噴霧乾燥粉末製品を製造するために劇的に小さい噴霧乾燥容器と劇的に短い滞留時間とを利用することができるようにする、噴霧乾燥システム及びプロセスを提供することが、本技術分野における主な進歩である。
【0010】
したがって、こうした超高効率噴霧乾燥は、動作温度領域に関わらず、非常に小型で、小さい設置面積の特徴の噴霧乾燥システムの達成を可能にするが、上述したZoomEssenceの米国特許に記載した低温操作で展開される場合、実質的に低減した資本設備コスト、エネルギー要件及び運転費用で乾燥粉末による噴霧乾燥製品の高速製造を達成するのに際立って有効である。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、特に、ZoomEssence,Inc.の米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に記載されたタイプの低温操作が実施される場合、噴霧乾燥操作を超高効率で行うことができるようにする、噴霧乾燥装置及びプロセスに関する。こうした米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号の開示は、すべての目的でそれらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
一態様では、本開示は、噴霧乾燥可能液体組成物を処理して噴霧乾燥製品を形成する方法に関し、前記方法は、
噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を発生させることと、
噴霧乾燥接触ゾーンにおいて噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を一次乾燥流体のストリームと接触させることと、
噴霧乾燥接触ゾーンにおいて一次乾燥流体のストリーム内にその複数の位置において加圧二次乾燥流体を注入して、前記複数の位置で局所乱流を提供することと、
噴霧乾燥接触ゾーンから噴霧乾燥製品を回収することと、を含む。
【0013】
別の態様では、本開示は噴霧乾燥システムであって、
導入された噴霧乾燥可能液体組成物と一次乾燥流体のストリームとを接触させるための内部容積を含む噴霧乾燥容器であって、前記接触のために内部容積内に噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を導入するように位置決めされた噴霧デバイスと、内部容積に一次乾燥流体を導入するための入口と、内部容積から噴霧乾燥製品及び流出乾燥流体を放出するための出口とを含む噴霧乾燥容器と、
一次乾燥流体のストリーム内の複数の位置で内部容積内の一次乾燥流体のストリームに局所乱流を提供する流れ条件で、内部容積内に加圧二次乾燥流体を導入するように構成されかつ配置された多数の二次流体インジェクタと、を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0014】
別の態様では、本開示は、内部容積を有し、かつ、内部容積内にその内部で乾燥させるために噴霧乾燥可能材料を導入し、内部容積から乾燥させた材料及び乾燥流体を放出するように構成された、噴霧乾燥チャンバと、チャンバの内部容積内に内部容積内の噴霧乾燥可能材料と接触するように一次乾燥流体を導入して、内部容積を通して一次乾燥流体流ストリームを提供するように配置された一次乾燥流体入口と、チャンバの内部容積における噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進するために、一次乾燥流体流ストリームに一時的な局所乱流をもたらすように一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に注入するように、又は別法として、一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を連続的に注入するように構成された、多数の二次乾燥流体入口とを備える、噴霧乾燥装置に関する。
【0015】
本開示の別の態様は、上述したタイプのうちの任意のものの噴霧乾燥装置を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0016】
さらなる態様では、本開示は、上述したタイプのうちの任意のものの装置の使用を含む、噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法に関する。
【0017】
さらなる態様では、本開示は、一次乾燥流体流ストリームにおける噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法であって、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に注入して、こうした位置で、噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する局所乱流を生成することを含む、方法に関する。
【0018】
さらなる態様では、一次乾燥流体流ストリームにおける噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法であって、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に、一時的にかつ周期的に注入して、こうした位置で、噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する一時的な局所乱流を生成すること、又は別法として、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を連続的に注入して、こうした位置で、噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する局所乱流を生成することを含む方法に関する。
【0019】
本開示の別の態様は、噴霧乾燥システムであって、
(a)噴霧乾燥容器であって、
(i)内部容積であって、霧状噴霧乾燥可能材料及び乾燥流体を、内部容積内の乾燥流体と霧状噴霧可能材料を接触させるように受け取るように配置された内部容積と、
(ii)乾燥流体が前記接触のために内部容積内に導入されるようにする少なくとも1つの乾燥流体入口と、
(iii)容器から噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体を放出するように配置された、内部容積と連通している噴霧乾燥材料出口と、
を備える噴霧乾燥容器と、
(b)噴霧乾燥可能材料を受け取り、前記接触のために霧状噴霧乾燥可能材料を容器の内部容積内に放出するように適合された噴霧器と、
(c)容器の内部容積内の乾燥流体において乱流を発生させるように適合された少なくとも1つのタービュレータと、
(d)乾燥流体の少なくとも1つのタービュレータとの相互作用により、乾燥流体において、容器の内部容積における霧状噴霧乾燥可能材料内の噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満であるコルモゴロフ長を有する乱流がもたらされるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合されたプロセス制御ユニットと、を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0020】
本開示のさらなる態様は、噴霧乾燥させた材料を製造するプロセスであって、
霧状噴霧乾燥可能材料を発生させることと、
霧状噴霧乾燥可能材料を乾燥流体と接触させて噴霧乾燥させた材料を形成することと、
乾燥流体から噴霧乾燥させた材料を回収することと、
前記接触中、霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満のコルモゴロフ長を有する乱流を乾燥流体内に導入することと、を含むプロセスに関する。
【0021】
本開示のさらなる態様は、噴霧乾燥システムであって、
(a)噴霧乾燥容器であって、
(i)内部容積であって、霧状噴霧乾燥可能材料及び乾燥流体を、内部容積内の乾燥流体と霧状噴霧可能材料を接触させるように受け取るように配置された内部容積と、
(ii)乾燥流体が前記接触のために内部容積内に導入されるようにする少なくとも1つの乾燥流体入口と、
(iii)容器から噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体を放出するように配置された、内部容積と連通している噴霧乾燥材料出口と、
を備える噴霧乾燥容器と、
(b)噴霧乾燥可能材料を受け取り、前記接触のために霧状噴霧乾燥可能材料を容器の内部容積内に放出するように適合された噴霧器と、
(c)容器の内部容積内の乾燥流体において乱流を発生させるように適合された少なくとも1つのタービュレータと、
(d)乾燥流体の少なくとも1つのタービュレータとの相互作用により、乾燥流体において、25m/secを超える乱流散逸率をもたらす乱流がもたらされるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合されたプロセス制御ユニットと、を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0022】
本開示のさらなる態様は、噴霧乾燥させた材料を製造するプロセスであって、
霧状噴霧乾燥可能材料を発生させることと、
霧状噴霧乾燥可能材料を乾燥流体と接触させて噴霧乾燥させた材料を形成することと、
乾燥流体から噴霧乾燥させた材料を回収することと、
前記接触中、乾燥流体内に25m/secを超える乱流散逸率をもたらす乱流を誘発することと、を含むプロセスに関する。
【0023】
本開示の他の態様、特徴及び実施形態は、後続する説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなろう。
【0024】
本特許又は出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な手数料の支払いにより、特許庁によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施形態による噴霧乾燥プロセスシステムの概略表現である。
図2図1の噴霧乾燥プロセスシステムの一部の破断図での概略表現であり、システムの噴霧乾燥容器における局所乱流誘発の作用を示す。
図3】数値流体力学を使用して計算される、接線入口回転噴霧器の噴霧乾燥器における粒子軌跡のグラフ図であり、粒子がない実質的な容積を残して、乾燥器の外壁までの粒子の移動を示す。
図4】矩形ダクトにおいて空気流に導入された乱流パフによってもたらされる、パフが発生した1.5秒後の、総拡散率に対する影響の数値流体力学シミュレーションのグラフ図である。
図5】噴霧乾燥チャンバにおいて主流体流内に一時的な間欠的乱流空気バーストを注入するように構成された、噴霧乾燥チャンバ壁の乱流混合ノズルのアレイを特徴とする、本開示の一実施形態による噴霧乾燥装置の概略表現である。
図6】本開示の方法及び装置によって製造された乾燥粉末製品を表すものとして、低温噴霧乾燥によって製造された粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7】噴霧乾燥容器における乾燥流体流線の図であり、噴霧乾燥容器では、乾燥流体の主流が容器の上方部分で導入され、噴霧乾燥容器の下方部分において流動層を維持するためにさらなる乾燥流体が導入され、噴霧乾燥流体は噴霧乾燥容器の上方かつ外側部分における放出口から放出されている。
図8図7に乾燥流体流線が示されているタイプの噴霧乾燥容器における粒子軌跡の図である。
図9】本開示の別の実施形態による噴霧乾燥システムであって、システムの噴霧乾燥効率を向上させる噴霧乾燥容器壁の流体インジェクタジェットのアレイを特徴とする噴霧乾燥システムの概略表現である。
図10】本開示のさらなる実施形態による噴霧乾燥プロセスシステムの概略表現である。
図11】第1の例示的な噴霧乾燥システム(乾燥器1)に対する、噴霧乾燥容器の内部容積における半径方向距離に応じた、こうした内部容積における異なる垂直高さにおける、m/secでの乱流散逸率のグラフである。
図12】第2の例示的な噴霧乾燥システム(乾燥器2)に対する、噴霧乾燥容器の内部容積における半径方向距離に応じた、こうした内部容積における異なる垂直高さにおける、m/secでの乱流散逸率のグラフである。
図13】本開示のさらなる実施形態による噴霧乾燥システムの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、特に低温噴霧乾燥が実施される場合に、超高効率での噴霧乾燥製品の製造を促進するように局所乱流が乾燥流体流ストリームにおいて誘発される、噴霧乾燥装置及びプロセスに関する。
【0027】
乾燥流体が、180℃~200℃ほどの温度で噴霧乾燥容器に供給される、従来の高温噴霧乾燥設備において、本発明者らは、噴霧乾燥業界において一般に測定されるようなエネルギー効率とは無関係に、商業運転で噴霧乾燥容器に供給される乾燥流体(乾燥空気)の乾燥能力の実際の利用は、わずかに約10%~50%である、と判断した。乾燥流体の乾燥能力のこうした非効率は、噴霧乾燥粉末製品における残留水分濃度の増大において、又は噴霧乾燥器容器の壁における粘着性粉末の堆積として現れる。こうした非効率は、概して、あり得る最高乾燥温度で運転すること、及び/又はインライン流動層乾燥等の二次噴霧乾燥後プロセスを利用することにより、適応される。これらの二次乾燥プロセスは、噴霧乾燥プロセスシステム全体の複雑性、コスト及びエネルギー効率の低下を増大させる。
【0028】
本明細書の背景セクションにおいて考察に示したように、従来の噴霧乾燥の実施で利用される180℃~200℃ほどの高温レベルは、製品材料の揮発損失、望ましくない分解性(degradative)及び分解(decomposition)化学反応の促進、貯蔵寿命及び安定性特性の低減とともに、高温運転に関連する資本、エネルギー及び運転コストの増大に関して、噴霧乾燥によって処理することができる材料のタイプを著しく制限するものとして、かつ、噴霧乾燥製品に対する著しい損傷を必然的に伴うものとして認識される。
【0029】
本明細書の背景セクションにおいて同様に考察したように、ZoomEssence,Inc.の米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に開示されている低温噴霧乾燥装置及びプロセスは、本技術分野における実質的な進歩を採用し、100℃未満、いくつかの応用では周囲温度までさらに低下した、乾燥流体の入口温度と、約300mPa-secを上回る粘度を有する噴霧乾燥スラリーの利用と、スラリーの50重量%を超えないスラリー溶媒(例えば、水)含有量と、乾燥システムに導入される乾燥流体の低湿度と、を含む噴霧乾燥条件で、噴霧乾燥を実施することができるようにする。
【0030】
本開示の発明は、高温レベルで行われた従来の噴霧乾燥操作とともに、上述したZoomEssence特許の開示に従って行われる(静電噴霧乾燥及び非静電噴霧乾燥)低温噴霧乾燥操作の両方に適用可能であり、噴霧乾燥容器に通される乾燥流体の流れストリームに局所乱流を誘発することにより、こうしたシステムが、噴霧乾燥操作において超高効率を達成することができるようにするという点で、本技術分野におけるさらなる進歩を表す。こうした局所乱流の誘発により、噴霧乾燥操作における噴霧乾燥させた液滴から乾燥流体への溶媒の並外れて高レベルの物質移動が可能になり、噴霧乾燥粉末製品の達成のために最小限の噴霧乾燥容器容量を利用することができるようにし、それにより、資本設備、エネルギー及び運転費用の意外なほどのかつ予想外の特徴の低減を達成することができる。こうした利点は、低温噴霧乾燥操作において特に実質的であり、高速商用噴霧乾燥操作において、際立って小型かつ効率的な噴霧乾燥プロセスシステムを効率的に利用することができるようにする。
【0031】
本明細書における開示は、主に、本開示の噴霧乾燥装置及び方法において乾燥流体としての空気の使用に関するが、関連する装置及び方法に特定であるものとして、他の乾燥流体を採用することができることが理解されよう。例えば、乾燥流体は、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、又は単成分流体を含む他の流体種とともに、流体混合物を含むことができる。乾燥流体は、さまざまな応用では、気体又は蒸気の形態で存在することができ、流体は、噴霧乾燥させた材料から乾燥流体に溶媒又は他の望ましくは揮発性の材料が移動するために適切な物質移動駆動力を提供するように構成されるべきである。
【0032】
本開示の噴霧乾燥装置及びプロセスは、所望の製品を構成するために噴霧乾燥可能である任意の好適な材料の噴霧乾燥に利用することができる。噴霧乾燥させる材料は、例えば、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料とともに、噴霧乾燥可能である、こうしたタイプのうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せを含むことができる。
【0033】
噴霧乾燥可能材料は、最初は液体形態とすることができ、それは、その乾燥をもたらすように噴霧乾燥させて乾燥製品を形成する。別法として、噴霧乾燥可能材料は固体又は半固体形態とすることができ、それは、他の成分、例えば、溶媒、担体、補助剤、賦形剤、界面活性剤、凝集阻害剤、固化防止剤、同時活性成分、湿潤剤、分散剤、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、封止剤、増孔剤、硬化剤(こうしたタイプの2種以上の成分の混合物、ブレンド、複合物及び組合せを含む)から選択された成分と結合されて、噴霧乾燥可能組成物を形成する。
【0034】
本開示の噴霧乾燥可能組成物で使用される溶媒は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、水、無機溶媒、有機溶媒、並びにそれらの混合物、ブレンド、乳濁液、懸濁液及び溶液を含むことができる。さまざまな実施形態において、例えば、アセトン、クロロフォルム、メタノール、塩化メチレン、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMS)、グリセリン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、及び上述したもののうちの1種又は複数種の水との混合物等、有機溶媒を採用することができる。こうした有機溶媒は、例えば、タンパク質系物質を含む噴霧乾燥可能組成物の噴霧乾燥で使用することができる。具体的な実施形態では、水、アルコール及び水-アルコール溶液からなる群から選択された溶媒を有利に採用することができる。
【0035】
さまざまな応用において、噴霧乾燥可能材料は、溶媒及び担体材料と配合されて噴霧乾燥可能乳濁液又はスラリー組成物を形成する、固体材料となり、そこでは、溶媒は、噴霧乾燥操作において噴霧乾燥させた材料の家族分割された液滴から除去され、その後、製品材料は、乾燥粉末製品において担体材料と関連付けられる。担体材料は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料、並びに、噴霧乾燥粉末製品における製品材料に関連して有用性を有する他の任意の材料から選択することができる。担体は、いくつかの応用では封入材とすることができ、噴霧乾燥粉末製品は、担体材料内に封入された製品材料を含む。別法として、担体は、噴霧乾燥粉末製品において、例えば、製品材料のための基体、支持体又は結合基質(associative matrix)として、製品材料に単に関連付けることができる。本開示の噴霧乾燥システム及びプロセスにおける噴霧乾燥可能液体組成物で使用される好ましい担体は、澱粉担体、糖担体及びセルロース担体である。
【0036】
したがって、本開示のシステム及びプロセスで利用される噴霧乾燥可能組成物は、任意の好適なタイプとすることができ、具体的な実施形態では、スラリー又は乳濁液を含むか、又は固体分散体として構成することができる。
【0037】
さまざまな低温(噴霧乾燥容器に供給される乾燥流体の温度<100℃)応用では、噴霧乾燥可能液体組成物が、担体、製品材料及び溶媒のスラリー又は乳濁液を含む場合、スラリー材料の粘度は、液体組成物の噴霧乾燥時に粘度が有利には300mPa-s(1mPa-s=1センチポワズ)~28,000mPa-sの範囲又はそれより高いように、適切な配合によって制御することができる。さまざまな他の応用では、粘度は、下限が325、340、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950及び1000mPa-sのうちの任意の1つであり、上限が下限より大きく、かつ、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000及び20,000のうちの任意の1つである範囲とすることができ、任意の粘度範囲は、こうした下限のうちの任意の1つを含み、こうした上限のうちの任意の1つは、さまざまな具体的な応用において有用に採用される。いくつかの応用における好ましい粘度範囲は、500~16,000mPa-sであり、他の応用における好ましい粘度範囲は、1000~4000mPa-sである。
【0038】
担体、製品材料及び溶媒のスラリー又は乳濁液の形態で噴霧乾燥可能液体組成物を含むさまざまな低温応用において、スラリー又は乳濁液内の溶媒の比は、望ましくは、噴霧乾燥操作におけるスラリー内の溶媒の比が、スラリー(乳濁液)の総重量に基づいて、50重量%を超えないように制御される。例えば、さまざまな応用において、噴霧乾燥ステップでのスラリーにおける溶媒の比は、関連する所定の噴霧乾燥操作及び材料に適切であるように、同じ総重量に基づき、20~50重量パーセント、又は20~45重量パーセント、又は20~40重量パーセント、又は25~35重量パーセントであり得る。
【0039】
本開示の低温噴霧乾燥操作において噴霧乾燥容器に導入される乾燥流体の温度は、噴霧乾燥容器の入口で測定されるように(本技術分野において、典型的には、乾燥流体の入口温度と呼ぶ)、100℃未満の任意の好適な温度であり得る。さまざまな応用において、乾燥流体の入口温度は、関連する所定の噴霧乾燥操作に適切であるように、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃又は20℃未満であるように制御することができる。
【0040】
本開示の装置及び方法が従来の高温噴霧乾燥(180~200℃ほど又はそれより高い、噴霧乾燥容器に供給される乾燥流体の温度)で利用される他の応用では、担体、製品材料及び溶媒を含む噴霧乾燥可能液体組成物は、約10~200mPa-sの粘度を有することができ、スラリー(乳濁液)の総重量に基づいて、50~70重量%の量の水を含むことができる。
【0041】
具体的な応用において、温度領域並びに他の噴霧乾燥操作条件及び材料に応じて、粘度及び溶媒濃度が広く変化する可能性があることが理解されよう。概して、本開示の実施において、上述したZoomEssence特許の低温(静電又は別法として非静電)噴霧乾燥方法が好ましく、それは、こうした低温噴霧乾燥方法の方が、噴霧乾燥させるスラリー又は乳濁液において利用する溶媒(水)が少なく、それにより、低温では、噴霧乾燥操作において蒸発させる必要のある溶媒が実質的に少なくなるため、乾燥が大きく促進されるためである。高温乾燥とは際立って対照的に、スラリー又は乳濁液の初期溶媒濃度が低いため、低温噴霧乾燥における「恒」率期間が非常に短いか又は存在せず、その結果、多孔質乾燥層を通して、内部粒子コアからの拡散により略最初から乾燥が制御されて、中空領域又はシェル構造なしに完全に稠密の乾燥粉末製品が製造される。本開示の局所乱流発生方法及び装置における低温プロセスにより、噴霧流体(液滴)面と周囲の乾燥流体との間に高濃度勾配が達成される。
【0042】
本開示の噴霧乾燥装置及び方法によって製造される噴霧乾燥粉末材料は、球形、回転楕円体、多角形、立方体、棒、繊維、らせん、樹状及び他の任意の空間形態を含む、任意の好適な形態学的かつ物理的形態とすることができ、噴霧乾燥粉末製品に適切である任意の好適な粒径分布とすることができる。
【0043】
多くの応用における本開示の噴霧乾燥プロセスにおける乾燥流体は、空気であるか又は空気を含むことができ、噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒は、水又は他の水性媒体、例えば、水-アルコール溶液であり得る。噴霧乾燥プロセスにおける乾燥流体は、噴霧乾燥させた液滴から乾燥流体への溶媒の移動のために物質移動勾配を最大限にするために、可能な限り乾燥していることが概して望ましい。実際には、これは、乾燥流体における任意の水分又は他の凝縮性物質の凝縮をもたらす乾燥流体の処置を必要とする可能性があり、その結果、任意の水分又は他の凝縮性物質は、噴霧乾燥容器の内部容積における噴霧液体組成物を乾燥させるためにこうした容器に流される流体ストリームから除去される。他の応用では、乾燥流体の処置は、乾燥プロセスに不都合である可能性がある流体の成分を除去するために、物理的吸着材料及び/又は化学的吸着材料とのこうした流体の接触を必要とする場合がある。乾燥流体が空気であるか又は空気を含み、噴霧乾燥可能液体組成物が水性組成物である応用では、乾燥流体の相対湿度を、20%未満の相対湿度、好ましくは、18%、15%、12%、10%、8%、5%、2.5%、2%、1.5%、1%及び0.5%相対湿度のうちの少なくとも1つ未満であるように、制御することが有利である。
【0044】
噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧乾燥は、噴霧乾燥操作に対して適切な表面対体積特性を提供するように、液滴又は細分された液滴粒子の形態の液体組成物の噴霧をもたらす任意の好適な方法で実施することができる。噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧の発生は、噴霧器、ネブライザ、超音波分散機、遠心装置、ノズル又は他の適切な装置を含む任意の好適な装置によって影響を受ける可能性がある。液体組成物は、液滴を形成するように解体される液膜又はひも形態で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。多種多様な機器及び技術が、液滴又は細分された液体粒子の形態で液体組成物の噴霧を形成するために利用することができる。典型的には、液滴サイズ及び分布は、所与の噴霧乾燥技法に対して極めて一定である可能性があり、10~300μmの範囲又は他の好適な範囲であり得る。
【0045】
本開示による噴霧乾燥は、静電噴霧乾燥であるか又は静電噴霧乾燥を含むことができ、そこでは、静電効果の結果として粒子の乾燥を促進するために、噴霧乾燥可能な供給原料液体組成物に、及び/又は供給原料の液体(例えば、スラリー)組成物の噴霧によって生成される湿潤粒子に、静電荷が印加され、その結果、静電帯電した湿潤粒子(液滴)が生成される。したがって、噴霧乾燥可能材料の静電帯電は、供給原料材料の霧化の前に、霧化中に又は霧化の後に実施することができる。本開示による静電噴霧システム及び動作において、種々のタイプの静電噴霧機器、例えば、本開示による、噴霧乾燥容器における局所対流の誘発により、噴霧乾燥可能液体組成物の静電帯電した噴霧を、噴霧乾燥容器の内部容積内に、その容器内の乾燥流体と接触するように導入するように位置決めされた静電噴霧装置を利用することができる。
【0046】
したがって、本開示による噴霧乾燥が静電噴霧乾燥を含む場合、供給原料液体組成物の噴霧が生成され、噴霧粒子(液滴)は、有利には、静電噴霧乾燥が行われない対応する噴霧乾燥操作に関連して、噴霧乾燥操作を促進するために好適な静電荷を有する。例えば、噴霧される粒子に、0.25kV~80kVの範囲である静電荷を印加するように、静電噴霧器を採用することができるが、所定の応用において、噴霧乾燥させるべき材料に対してより高いか又は低い静電荷を与えることができることが理解されよう。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥させている粒子に与えられる静電荷は、0.5~75kV、又は5~60kV、若しくは10~50kVの範囲であるか、又は、他の好適な範囲若しくは他の所定値であり得る。
【0047】
本開示によって行われる静電噴霧乾燥の他の実施形態では、ノズルに周期的に切り替えられる電圧を、例えば、上述した又は他の電圧範囲のうちの任意のものの範囲にある高電圧と低電圧との間で、印加するように配置された電圧源に、作動的に結合された静電ノズルを通して、供給原料の液体組成物を噴霧することができる。
【0048】
本開示によれば、噴霧乾燥容器の乾燥チャンバを通して流される乾燥流体の流体ストリームにおいて、間欠的に又は別法として連続的に、局所乱流を発生させ、乾燥流体流ストリーム全体に擾乱を提供し、噴霧される液体と乾燥流体が接触して、乾燥操作の物質移動効率を向上させる。乾燥流体流ストリームにおける局所乱流の誘発は、任意の好適な方法でもたらすことができ、例えば、乾燥流体流ストリーム内に流体の間欠的な又は持続したバーストを提供して流れストリームに局所乱流を誘発し、それにより、乾燥流体流ストリームと接触して、噴霧された液体液滴又は粒子における流体のいかなる停滞膜も破壊し、液体液滴又は粒子の表面露出の局所再生をもたらすことにより、発生させることができる。
【0049】
乾燥流体流ストリームにおける局所乱流の誘発のために、噴霧乾燥容器の中及び/又は上に、ジェット又はインジェクタのアレイを配置することができ、それらは、双方向に流体の二次ストリームを注入して、局所乱流の生成をもたらす。アレイは、幾何学的に規則的な又は不規則な配置で設けることができ、ジェット又はインジェクタは、主乾燥流体流ストリーム内への二次流体の注入の方向が、主乾燥流体流ストリームのバルク流方向に対して横切るか、若しくはこうしたバルク流方向に関連して斜めであるように向けることができ、又は、乾燥流体流ストリームにおいて必要な局所乱流活動を発生させるように他の方向に向けることができる。こうした局所乱流の誘発に利用される流体は、任意の好適な流体タイプとすることができ、主乾燥流体流ストリームと同じ流体タイプとすることができ、又は別法として、乾燥操作の促進を実現するために主乾燥流体流ストリームと適合性のある異なるタイプとすることができる。流体の二次ストリームの注入は、さまざまな実施形態において、連続的に実施することができ、他の実施形態において、流体の二次ストリームのこうした注入は、間欠的に、例えば周期的にかつ反復的に、主乾燥流体流ストリーム内への二次流体のバースト又はパフとして、実施することができる。
【0050】
こうした目的で、ジェット又はインジェクタのアレイは、例えば、共通の又は一体型の二次流体源から、ジェット又はインジェクタに二次流体を提供するように、好適な配管、弁及びマニホールドにより、互いに連結することができる。ジェット又はインジェクタのそれぞれは、同様に、ジェット又はインジェクタを任意の好適な調和した方法で作動させるように、制御システムへの信号伝送ラインによって作動的に連結することができる。例えば、ジェット又はインジェクタの各々は、主乾燥流体流ストリーム内への二次流体の同時の一時的な注入のために、同じサイクル時間系列で作動させることができる。別法として、ジェット又はインジェクタは、特定の時点でその一部のみを作動させるように、すなわち、アレイにおけるそれぞれのグループを逐次作動させるように作動させることができる。そこでは、主乾燥流体流ストリーム内への二次流体の注入のために、所定位置のジェット又はインジェクタの第1組を作動させ、それに続き、ジェット又はインジェクタの第1組を停止させ、主乾燥流体流ストリーム内への二次流体の注入のために、別の所定位置のジェット又はインジェクタの第2組を作動させ、これを、交互に、又はジェットも若しくはインジェクタの第3組、第4組等のより大きい系列の一部として行い、後者の場合、系列全体において各組を一時的に順に作動させる。
【0051】
こうしたジェット又はインジェクタのアレイは、主乾燥流体流ストリームに二次流体を導入するために同時に又は逐次作動させる2つのみ又はいくつかのジェット又はインジェクタを含む、比較的単純な特徴であり得るか、又は、アレイは、噴霧された液体組成物から噴霧乾燥容器内の乾燥流体流ストリームへの溶媒の物質移動を促進するために適切であるように、多数のジェット又はインジェクタ、例えば、5~100のジェット又はインジェクタのアレイを含むことができる。したがって、動作中の噴霧における物質移動を促進するように乱流を局所的に誘発するために、任意の数のジェット又はインジェクタを利用することができ、こうしたジェット又はインジェクタの動作は、連続的にも間欠的にもすることができ、アレイ全体のいくつかの部分又はいくつかの部品に関して部分的に又は全体的に同期させることができ、又は、噴霧乾燥操作の促進を達成するために適切であるように、さまざまな非同期方法のうちの任意もので実施することができることが理解されよう。したがって、アレイにおける個々のジェット又はインジェクタに制御システムを作動的にリンクさせることができ、ジェット又はインジェクタの各々を、関連する制御システムにより、適切な順序でかつ所定持続時間、選択的に作動させることが理解されよう。
【0052】
したがって、制御システムは、サイクルタイマプログラムを実行する、中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、汎用又は専用プログラマブルコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ等を含むことができる。サイクルタイマプログラムは、アレイにおけるジェット又はインジェクタに対する作動の所定順序に従ってアレイにおける多数のジェット又はインジェクタのうちの所定のいくつかに作動信号を送信するように構成することができ、その結果、ジェット又はインジェクタは、こうした所定順序で主乾燥流体流ストリーム内に加圧二次気体を放出する。こうした目的で、中央処理装置(CPU)又は他のコントローラは、実行すべき順序に従ってアレイにおけるそれぞれのジェット又はインジェクタに作動信号を送信することができ、こうした作動信号は、例えば、ジェット又はインジェクタを通る主乾燥流体流ストリーム内への加圧気体の流れを可能にするように、ジェット又はインジェクタにおける弁を開放することができ、ジェット又はインジェクタを通る主乾燥流体ストリーム内への加圧気体の流れを終了するように、ジェット又はインジェクタにおける弁を閉鎖するように、アレイにおけるそれぞれのジェット又はインジェクタに対応する作動停止信号が送信される。弁は、ジェット又はインジェクタ自体に配置することができ、又は、例えば、アレイにおけるジェット又はインジェクタに結合されているマニホールド流れ回路において、こうしたジェット又はインジェクタに関連付けることができる。
【0053】
概して、アレイにおけるジェット又はインジェクタのサイズ、形状、数及び配置は、乾燥粉末製品を製造するために、噴霧乾燥容器に対する乾燥速度を最大限にする局所乱流の最適な発生を達成するように、広く変更することができる。これに関して、具体的な配置は、ジェット又はインジェクタの好適なサイズ、形状、数及び配置の所定のアレイを展開するように、主乾燥流体流ストリーム及びその中における加圧二次流体の導入の流体力学モデリングによって、決定することができる。別法として及び/又はさらに、ジェット又はインジェクタのサイズ、形状、数及び配置は、アレイにおけるジェット又はインジェクタの有利なサイズ、形状、数及び配置を経験的に決定するように、噴霧乾燥チャンバ内の流体流ストリームの高速撮像並びに局所レイノルズ数及び他の流体力学変数の経験的測定と併せて、トレーサダイを含有する加圧二次流体の注入を利用する経験的方法により、経験的方法によって決定することができる。
【0054】
本開示の実施において利用される噴霧乾燥容器は、任意の好適なサイズ、形状及び配置とすることができ、ジェット又はインジェクタによる二次流体の注入によってもたらされる局所乱流発生は、こうした局所乱流発生がない場合に実現される乾燥効率に対して、噴霧乾燥容器の乾燥効率の実質的な向上を達成することが理解される。こうした向上により、噴霧乾燥容器は、こうした局所乱流発生がない場合に必要であるより小さい容量の特徴のものとすることができる。したがって、本開示の装置及び方法により、従来採用されているものより小さく、より小型の噴霧乾燥容器の利用が容易になり、その結果、噴霧乾燥器及び全体的なプロセスシステムの設置面積を実質的に小さくすることができ、乾燥効率の向上により、噴霧乾燥プロセスシステムの資本設備、エネルギー及び運転コストに関する利益が提供される。
【0055】
本開示の装置及び方法によって達成される改善を理解するのに役立つものとして、従来の噴霧乾燥容器の流体力学的特徴を考慮することが有益である。従来の高温噴霧乾燥操作における典型的な噴霧乾燥容器形状は、加熱乾燥空気源が提供される背の高い円筒状タンクを必要とする。空気が噴霧乾燥器に入ると、加熱された乾燥流体の乱流が、熱及び質量を噴霧された乳濁液の霧状粒子と迅速に交換する。粒子は、噴霧器を出るとき、高速で移動しており、その速度は50~150メートル/秒ほどであり得る。粒子は、空気抗力効果によって迅速に減速し、乾燥空気流に同伴される。粒子が噴霧器からさらに移動し、蒸発により水(溶媒)を喪失するに従い、空気流は徐々に乱流でなくなり、空気中の水蒸気の拡散率が限られていることにより、粒子の付近の水濃度が平均して増大する。粒子乾燥速度は、一部には、粒子における水濃度と粒子を直接取り巻く空気中の水濃度との差によって促進される。最初は、濃度勾配は非常に大きく、粒子表面からの蒸発が進むに従い、勾配は低減し、蒸発及び乾燥プロセスの速度が低下する。
【0056】
従来の噴霧乾燥容器の内部容積では、通常、空気(乾燥流体)流れパターンにより粒子密度が低く、空気が、乾燥流体流が高濃度の同伴粒子を含有する他の領域よりはるかに低い水蒸気濃度を有する、広い領域がある。これらの不均質の結果、著しく乾燥した空気の粒子密度の低い方の領域が、粒子及び関連する流体が噴霧乾燥容器から出るまで、粒子密度の高い方の領域と混合せず、粒子及び関連する流体が噴霧乾燥容器から出る時点で、それぞれの領域が最終的に混合する。そして、通常、噴霧乾燥容器からのこの流出物は、サイクロン又は他の流体/固体分離装置まで進み、噴霧乾燥容器出口からサイクロン装置までの接触時間が短く、数秒間ほどであるため、混合効果はわずかであり、空気は、完全には利用されずに離れる。したがって、噴霧乾燥容器の内部容積において、粒子分布は不均質であり、噴霧乾燥操作の全体的な効率はそれに応じて低下する。
【0057】
本開示は、従来の噴霧乾燥器システムのこれらの流体力学的非効率に対処し、噴霧乾燥チャンバの主乾燥流体流路に沿って、乱流の乾燥した二次乾燥流体のパフ又はジェットを導入することにより、乾燥流体利用を改善する。従来の噴霧乾燥システムにおける乾燥流体流は、通常、導入箇所において乱流であるが、固有であるある程度の関連する乱流混合があることにより、噴霧乾燥チャンバ内に常に、噴霧乾燥操作中に噴霧乾燥容器内に体積粒子密度の不均質性をもたらす、乾燥流体の流れ層化効果、壁効果及び流体力学的挙動異常があり、その結果、乾燥流体の利用が低レベルになる。
【0058】
噴霧乾燥容器内部容積を通して増大した広範にわたる高強度乱流混合をもたらすように乱流空気(乾燥流体)パフ又はジェットを利用する本開示の手法により、従来の噴霧乾燥操作に固有の不都合な流体力学的効果及び異常が回避され、粒子を多く含む溶媒濃度の高い方の乾燥流体流領域の、粒子が不十分な溶媒濃度の低い方の乾燥流体領域との混合が促進され、噴霧乾燥容器の内部容積における噴霧乾燥させた液体組成物の溶媒及び他の液体成分の拡散率が向上する結果となる。
【0059】
加圧二次乾燥流体の一時的な注入がもたらされる、本開示によって行われる噴霧乾燥プロセスでは、乾燥流体の一時的なジェット又はパフは、噴霧乾燥チャンバ内を循環する粒子を多く含む流体の流れを通って移動しかつそれと混合する多量の乱流乾燥流体を導入する。こうした二次流体注入によってもたらされる結果としての乱流領域は、基本的な方法で分子種の拡散を変化させ、ジェット又はインジェクタによって生成される高速流は、分子拡散速度が実質的に上昇するカオス流挙動を導入する。乱流拡散率は、非乱流状態下の拡散率より一桁を超えて大きい可能性がある。したがって、ジェット又はインジェクタによって生成される乱流領域における粒子は、局所乱流領域の拡散率の上昇により乾燥速度が上昇する。こうした乱流は、乾燥させている粒子を包囲する領域における溶媒の濃度を迅速に低下させ、濃度勾配を増大させ、乾燥速度の実質的な上昇が達成されるのを可能にする。乱流パッファ(puffer)のさらなる利点は、注入されている二次流体が低温、例えば周囲温度又は室温であるときの粒子の冷却の加速である。こうした温度急冷効果は、乾燥させている材料が低いガラス転移温度を有する場合に重要である。
【0060】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の一実施形態による噴霧乾燥プロセスシステム10の概略表現である。
【0061】
図示するように、噴霧乾燥プロセスシステム10は、噴霧乾燥器12を備え、噴霧乾燥器12は、上方円筒状部分18と下向きに先細りの円錐形の下方部分16とを有する、噴霧乾燥容器14を含む。この実施形態では、噴霧乾燥容器14には、パッファジェット20のアレイが備えられており、パッファジェット20のアレイは、周方向に延在する長手方向に間隔を空けて配置された列で設置され、そこでは、各パッファジェットは、列において隣接するパッファジェットから周方向に間隔を空けて配置されている。それぞれの列におけるパッファジェットの各々は、供給源構造体22に関連付けられた二次流体供給ライン24によって二次乾燥流体が供給されるように配置されており、二次流体供給ライン24は、噴霧乾燥容器14の周囲を周方向に延在することができ、パッファジェットの各々は、図1に示すシステムにおいて噴霧乾燥容器14の両側に示すパッファジェットと同様に、二次流体供給ライン24に接続されている。
【0062】
二次流体源構造体22を概略的に示すが、二次流体供給ライン24におけるパッファジェット20に導入される加圧二次乾燥流体の流れをもたらす、二次流体供給タンク及びポンプ、圧縮器、又は他の原動力となる食品ドライバに関連付けられた好適な配管、弁及びマニホールドによって構成することができる。
【0063】
噴霧乾燥容器14の上端部に入口26が設けられており、液体組成物供給ライン40において、液体組成物供給ライン36において液体組成物供給容器28から液体組成物を受け取る液体組成物ポンプ38の作用の下で、噴霧乾燥容器14において噴霧乾燥させるべき噴霧乾燥可能液体組成物が、入口26まで流れる。噴霧乾燥させるべき液体組成物は、液体組成物供給容器28内で配合することができ、液体組成物供給容器28には、例えば、液体組成物供給容器28(図1には示さず)の内部に配置されたミキサ装置の作用の下で、液体組成物の成分をその内部で混合するために供給することができる。こうしたミキサ装置は、機械式ミキサ、スタティックミキサ、超音波ミキサ、又は後に噴霧乾燥させるべき液体組成物の混合及び均質化をもたらす他の装置であるか、又はそれを含むことができる。
【0064】
例えば、乾燥した噴霧の液体組成物が、溶媒、担体及び製品材料のスラリー又は乳濁液である場合、図示するように、溶媒供給容器30から液体組成物供給容器28に溶媒を供給することができ、担体材料供給容器32から液体組成物供給容器28に担体材料を提供することができ、製品材料供給容器34から液体組成物供給容器28に製品材料を提供することができる。
【0065】
したがって、噴霧乾燥させるべき液体組成物は、液体組成物供給容器28から液体組成物供給ライン36を通ってポンプ38まで流され、その後、液体組成物供給ライン40におけるこうしたポンプの作用の下で、噴霧乾燥容器14の入口26まで、噴霧乾燥容器の内部容積の入口領域に配置された噴霧器又はノズル等の噴霧装置まで流れる。同時に、主乾燥流体が、主乾燥流体供給ライン70において噴霧乾燥容器14の入口26まで流され、噴霧乾燥容器14の上方円筒状部分18から噴霧乾燥容器の内部容積を通って噴霧乾燥容器14の下方円錐形部分16まで流れ、下方円錐形部分16の下端部において、乾燥粉末製品及び流出乾燥流体は流出物ライン42に流れ込む。主乾燥流体が噴霧乾燥容器14の内部容積を通って流れる間、噴霧乾燥容器の物質移動及び乾燥効率の向上のために、乾燥流体流ストリームに、内部容積に局所乱流を誘発するために好適な圧力及び流量で二次乾燥流体を導入するように、パッファジェット20を選択的に作動させる。
【0066】
流出物ライン42を流れる乾燥粉末製品及び流出乾燥流体は、サイクロン分離機44まで進み、そこで、流出乾燥流体から乾燥粉末固体が分離され、分離された固体は、製品供給ライン46において乾燥粉末製品収集容器48まで進む。収集容器48における乾燥粉末製品は、こうした容器内でパッケージングすることができ、又は、パッケージング施設(図1には示さず)に輸送することができ、そこで、収集された乾燥粉末製品は、出荷及び最終的な使用のために袋、ビン又は他の容器にパッケージングされる。
【0067】
サイクロン分離機44において乾燥粉末製品から分離された流出乾燥流体は、流出流体供給ライン52においてバッグハウス52まで流れ、そこで、流出流体におけるいかなる残留同伴微粒子も除去されて、微粒子のない流出流体をもたらし、それはその後、流出流体移送ライン54においてブロワ56まで流され、ブロワ56から、流出流体は、ブロワ放出ライン58において凝縮器60まで流され、凝縮器60において流出流体は必要に応じて熱的に調整され、熱的に調整された流出流体は、その後再循環ライン62においてブロワ64まで流され、ブロワ64から、再循環する流出流体は、ポンプ吐出ライン66において除湿器68まで流れ、除湿器68において、乾燥流体の相対湿度及び露点特性を噴霧乾燥操作のための適切なレベルに調整するように、残留溶媒蒸気が除去され、除湿された乾燥流体は、その後、上述したように、主乾燥流体供給ライン70において噴霧乾燥容器14の入口26まで流れる。除湿器は、さまざまな実施形態では、一次乾燥流体及び二次乾燥流体の両方を、所定の相対湿度及び露点特性で噴霧乾燥容器14に提供するように構成しかつ配置することができ、又は、こうした目的で、噴霧乾燥システムに複数の除湿器を設けることができる。
【0068】
図2は、図1の噴霧乾燥プロセスシステムの一部の破断図での概略表現であり、システムの噴霧乾燥容器における局所乱流誘発の作用を示す。
【0069】
図示するように、噴霧乾燥器14の入口26は、上壁80を含み、そこに入口26が載っており、入口26は、主乾燥流体供給ライン70において主乾燥流体を受け取り、液体組成物供給ライン40において噴霧乾燥可能液体組成物を受け取る。入口において、導入された噴霧乾燥可能液体組成物は、上壁80を通して延在している噴霧器ノズル88内に流れ込み、こうしたノズルの開放下端部において、噴霧乾燥容器14の内部容積を通って落ちる液体液滴84の霧状噴霧76として、矢印Aによって示す方向に放出され、その間、上壁80の開口部82を通って流れるように主乾燥流体供給ライン70から入口26に導入される主乾燥流体と接触し、主乾燥流体はその後矢印78によって示すように下向きに流れ、その結果、同時に導入された主乾燥流体及び霧状液体液滴84は、互いに接触する。
【0070】
主乾燥流体と霧状噴霧乾燥可能液体組成物の液滴とのこうした接触の間、信号伝送ライン202においてCPU200から伝送された作動信号によりパッファジェット20を作動させて、二次流体供給ライン24においてパッファジェットの先端ノズル72から供給される二次乾燥流体の注入を開始して、二次乾燥流体の乱流注入流74を導入し、これが、主乾燥流体流ストリームとの相互作用において、噴霧乾燥容器14の内部容積内に局所乱流領域86を生成し、物質移動及び乾燥効率を向上させる。
【0071】
したがって、CPU200は、主乾燥流体流ストリーム内に、乾燥流体を霧状液体組成物の液滴と破壊的にかつ意図的に混合する乱流二次乾燥流体の一連のバーストを提供するように、パッファジェット20を間欠的に、周期的にかつ反復的に作動させるように、プログラム可能とし、配置しかつ構成することができ、噴霧乾燥容器14に関連する複数のパッファジェットのうちの他のものは、システム全体における個々のパッファジェットの「発射」の任意の好適なパターン及びタイミングスケジュールで、パッファジェット20に関連して同時に又は非同時に作動させることができる。
【0072】
図3は、本開示による局所乱流のパッファジェット煽動がない場合の、数値流体力学を使用して計算される、接線入口回転噴霧器の噴霧乾燥器における粒子軌跡のグラフ図であり、粒子がない実質的な容積を残して、乾燥器の外壁までの粒子の移動を示す。
【0073】
この図で利用する噴霧乾燥器容器は、接線空気入口を備えた円筒状の幾何学的形状であり、そこでは、噴霧乾燥可能液体組成物の粒子は、噴霧乾燥器容器の中心最上部に位置する回転噴霧器によって霧化される。噴霧器から放出される粒子は、最初は、空気抗力によって減速するまで、半径方向外向きに移動し、噴霧乾燥器容器の流れ場で同伴される。粒子は、この流れにより、噴霧乾燥器容器の内部容積を通って噴霧乾燥器容器の底部放出口から押し出される。
【0074】
この種の幾何学的形状では、噴霧乾燥器容器の内部容積の中心領域は、粒子に対する空気流及び求心加速度の作用により低密度の粒子を有する。この領域における空気(乾燥流体)はまた、同伴粒子を含む流れよりはるかに低い水蒸気濃度も有する。著しく乾燥した空気のこの中心領域の大部分は、噴霧乾燥器容器から出るまで、粒子が同伴されている流れの外側領域と混合せず、噴霧乾燥容器を出る時点で、最終的に、粒子を多く含む空気と混合される。それにも関わらず、噴霧乾燥器容器の出口からサイクロンユニットまでの接触時間は短く、数秒間ほどであるため、混合効果はわずかであり、空気は完全には利用されずに離れる。垂直空気流噴霧乾燥器容器の幾何学的形状においても、同様の効果を観察することができ、そこでは、乾燥器容積を通しての粒子分布もまた非常に不均質である。
【0075】
本開示によるパッファジェットのアレイを利用することにより、噴霧乾燥器容器の内部容積における上述した不均質を最小限にするか又はさらにはなくすことができ、局所乱流発生がない場合に、こうした領域において乾燥流体の乾燥能力に関して極めて十分に利用されない領域における拡散率のけた違いの増大を達成することができる。
【0076】
図4は、矩形ダクトにおいて空気流に導入された乱流パフによってもたらされる、パフが発生した1.5秒後の、総拡散率に対する影響の数値流体力学シミュレーションのグラフ図である。プロットは、パフの発生の1.5秒後のダクトの垂直中心面に沿った総拡散率の漸進的変化を示す。パフは、時刻=1秒で導入された。空気は、ダクトの左端から入り、右端から出る。乱流パフは、長手方向中心線に沿ってダクトの最上部に位置する2つのノズルによって導入される。パフは、主流に対して垂直に向けられる。この拡散率プロファイルは、最大5秒間持続し、ダクトに沿って伝播する。
【0077】
したがって、図4は、数値流体力学を使用することにより、2つのジェットの拡散率に対する乱流の影響を示し、ジェットの各々は、空気の高速ジェットを直線状矩形ダクト内に注入し、空気は、1メートル/秒の線形速度でそこを通って流れる。ジェットは、ダクト流が確立される時点から1秒でオンになる。パフは、1秒の持続時間を有し、ダクト内を移動している主流に対して直角に高速流を導入し、流れの中に乱流の領域をもたらす。乱流領域では、図4に示すように、拡散率が50%を超えて増大した。パフの初期導入時、拡散率は、一桁増大した。この効果はまた、影響を受けた領域において乾燥速度もまた略一桁上昇させ、乾燥プロセス空気の利用を劇的に改善し、プロセスの全エネルギー効率を向上させる。乱流効果は、長期間、何秒間も、パフをもたらした圧力パルスの持続時間よりはるかに長く持続する。パフの空間的広がりは、図4に示すように移動した距離によって線形に増大する。パフ体積もまた、パフ幅の3乗で拡大し、したがって、そうした効果は、噴霧乾燥チャンバにおける流量全体にますます影響を与えることができる。
【0078】
したがって、噴霧乾燥器容器の周囲に一連の空気注入ノズルを配置し、周期的にノズルに対するパルスをオンにすることにより、これらの乱流領域における粉末粒子の濃度勾配が高くなり、乾燥速度が上昇する。パフによって生成される乱流混合の空間的領域が拡張することにより、噴霧乾燥チャンバの容積を通して空気及び粒子のより完全なかつ連続した混合が可能になる。乱流パッファのさらなる利点は、考察したように、乾燥器から離れる前に室温で空気を注入することにより粒子の冷却が加速することであり、これは、乾燥させている材料が低いクラス転移温度を有する場合に特に重要である。この意図された乱流混合の導入方法は、本発明者らの知る限りでは噴霧乾燥プロセスにおいて以前は使用されておらず、噴霧乾燥業界において以前は認識されていなかった方法で噴霧乾燥プロセスの効率を著しく上昇させるための乱流効果の新規の利用を表す。
【0079】
図5は、噴霧乾燥チャンバにおいて主乾燥流体流ストリーム内に一時的な間欠的乱流空気バーストを注入するように構成された、噴霧乾燥チャンバ壁の乱流混合ノズルのアレイを特徴とする、本開示の一実施形態による噴霧乾燥装置の概略表現である。
【0080】
図5に示すように、噴霧乾燥装置300は、円筒状壁302を含み、円筒状壁302は、その上端部において円形の上壁304に固定されており、上壁304は、こうした円筒状壁及び上壁によって境界が定められた噴霧乾燥チャンバの内部容積内に霧状乳濁液を噴霧するスプレー噴霧器(図5には示さず)を収容する中心開口部を有する。噴霧乾燥装置は円錐台状の下壁308をさらに含み、下壁308は、その下端部において円筒状導管312に接合され、円筒状導管312には、装置から乾燥させた材料を除去するように選択的に開放可能である空気シール又は他の閉鎖要素を設けることができる。
【0081】
噴霧乾燥装置は、それにより内部容積を密閉して噴霧乾燥チャンバを提供し、噴霧乾燥チャンバ内で、噴霧された乳濁液霧状粒子が、噴霧乾燥器の上方部分において空気入口通路306を通してチャンバに導入される乾燥空気と接触する。円錐台壁308の上方部分において噴霧乾燥器に、取出導管310が設けられ、そこを通して、乾燥空気/粒子混合物を、噴霧乾燥チャンバから放出し、流体/固体分離のためにサイクロンに搬送することができる。
【0082】
円筒状壁302に、乱流空気注入ノズル322の軸方向に間隔を空けて配置された列316、318及び320が設けられている。列の各々において、ノズルは、壁の全周にわたって周方向に間隔を空けて配置されている。この配置では、ノズルは、各ノズルの空間的範囲がアレイにおける次の隣接するノズルの空間的範囲とある程度オーバーラップするような間隔を介在して、円形パターンに配置されている。注入される乱流流体の体積被覆率を向上させるために、第2列318におけるノズルは、第1列と第3列とにおけるノズルに関して、適切な角度ずれている。
【0083】
参照を容易にするために、図5の概略表現ではノズルは管状要素として示しているが、ノズルの各々は、加圧空気源と気体流連通して結合されることが理解されよう。こうした結合は、ノズルの外(基)端部に接続されている円筒状壁302に外接しているマニホールド導管によってもたらすことができ、ノズルは、マニホールド化された流れ回路の分岐を構成する。個々のノズルに、空気圧又は他のタイプのアクチュエータを備えた流量制御弁を設けることができ、その結果、高圧空気を、マニホールド導管内に維持し、個々のノズルの弁の開放時に、噴霧乾燥チャンバの内部容積内に注入することができる。こうした配置では、ノズルからの注入空気のバーストをノズルの基端部においてもたらすように、それぞれのノズルの弁を周期的にかつ反復的に開放するために、それぞれの流量制御弁のアクチュエータを、サイクルタイマ装置、例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジックユニット、又は他のデバイスに結合することができ、制御デバイスは、空気注入動作の所望の持続時間の最後に弁アクチュエータに弁を閉鎖させる役割を果たす。ノズルは、単一のオリフィスを有するか、又はオリフィスのアレイを備えることができ、オリフィスサイズは、噴霧乾燥器の内部容積内への注入空気のバーストの適切な浸透を確実にするように選択される。
【0084】
例示的な実施形態では、ノズルの各々は、0.1~100秒の範囲の流体分配「オン」時間を有することができる。他の実施形態では、こうした「オン」時間の持続時間は、0.1~60秒の範囲であり得る。「オン」状態でノズルに加えられる励起圧は任意の好適な値とすることができ、例えば、噴霧乾燥器の所定サイズに対して適切であるように、かつ噴霧乾燥器の主空気流パターンを破壊しないように、1分間あたり1~100フィートの体積流量で、1~200psiの範囲の圧力であり得る。ノズルのデューティサイクルは、乾燥器空気流に応じて、1%~100%の範囲とすることができる。ノズルは、所定の乾燥器動作に対して要求されるように、特別に構成された配置で個々に励起し若しくはオンにし、又は、すべて同時に励起することができる。例えば、図5に例示的に示す噴霧乾燥器は、すべてのノズルが同時にオンになり、その後、1秒間の「オン」時間の後、同時にオフになるように、動作させることができる。そして、ノズルは、5秒の期間、「オフ」であり続け、それに続いて周期が繰り返される。「オフ」状態と続く「オン」状態との間の遅延は、主に、発生すべき局所誘発乱流の減衰にかかる時間によって決まる。
【0085】
噴霧乾燥器における乳濁材料の噴霧乾燥中の周期的な空気注入プロセスのそれぞれの「オン」部分及び「オフ」部分の所定のタイミング及び持続時間は、本明細書における開示に基づき、例えば、噴霧乾燥チャンバにおける選択されたパターンでのノズルの流体力学モデリング及び/又は配置と、空気注入の異なる所定周期に対してチャンバから放出される噴霧乾燥させた材料の関連する特性の決定とにより、当業者によって経験的に決定することができる。
【0086】
したがって、本開示は、噴霧乾燥製品を超高効率で形成する、噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧乾燥の分野における主な進歩を表す。
【0087】
したがって、本開示は、噴霧乾燥可能液体組成物を処理して噴霧乾燥製品を形成する方法を利用して実施することができ、こうした方法は、噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を発生させることと、噴霧乾燥接触ゾーンにおいて噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を一次乾燥流体のストリームと接触させることと、噴霧乾燥接触ゾーンにおいて一次乾燥流体のストリーム内にその複数の位置において加圧二次乾燥流体を注入して、前記複数の位置で局所乱流を提供することと、噴霧乾燥接触ゾーンから噴霧乾燥製品を回収することとを含む。この方法は、以下の特徴(A)~(S)のうちの任意の1つ又は複数により、任意のこうした複数の特徴が互いに適合性がある程度まで、さらに実施することができる。
(A)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、100℃未満であり、かつ噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回る温度で、噴霧乾燥接触ゾーンに導入され、
(B)注入は、接触中に連続的に行われ、
(C)注入は、接触中に間欠的に行われ、
(D)注入は、所定注入スケジュールに従って周期的に反復して実施され、
(E)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、各々、空気、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、及び上述したもののうちの2種以上の組合せからなる群から、各々独立して選択され、
(F)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は各々空気であり、
(G)噴霧乾燥可能液体組成物は、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料、並びに上述したもののうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の製品材料を含み、
(H)噴霧乾燥可能液体組成物は、溶媒、担体、補助剤、賦形剤、界面活性剤、凝集阻害剤、固化防止剤、同時活性成分、湿潤剤、分散剤、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、封止剤、増孔剤、硬化剤、並びに上述した2種以上の成分の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含み、
(I)噴霧乾燥可能液体組成物は水性組成物であり、
(J)噴霧乾燥可能液体組成物は、水、アルコール及びアルコール水溶液からなる群から選択された溶媒を含み、
(K)噴霧乾燥可能液体組成物は、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、並びに天然及び合成高分子材料からなる群から選択された少なくとも1種の担体を含み、
(L)噴霧乾燥可能液体組成物は、300mPa-s~28,000mPa-s、例えば、500mPa-s~16,000mPa-s、又はより具体的には1000mPa-s~4000mPa-sの範囲の粘度を有し、
(M)噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、溶媒の20~50重量%を含み、
(N)溶媒は水を含み、
(O)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃及び20℃のうちの少なくとも1つ未満の温度で、噴霧乾燥接触ゾーンに導入され、こうした温度は、噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回り、
(P)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、20%相対湿度未満で噴霧乾燥接触ゾーンに導入され、
(Q)一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、18%、15%、12%、10%、8%、5%、2.5%、2%、1.5%、1%及び0.5%相対湿度のうちの少なくとも1つ未満の相対湿度で噴霧乾燥接触ゾーンに導入され、
(R)噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧は、10~300μmの範囲のサイズの液滴を含み、
(S)注入は、所定サイクルタイマプログラムを実行する制御システムによって制御される。
【0088】
さまざまな実施形態において、導入された噴霧乾燥可能液体組成物と一次乾燥流体のストリームとを接触させるための内部容積を含む噴霧乾燥容器であって、前記接触のために内部容積内に噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を導入するように位置決めされた噴霧デバイスと、内部容積に一次乾燥流体を導入するための入口と、内部容積から噴霧乾燥製品及び流出乾燥流体を放出するための出口とを含む噴霧乾燥容器と、一次乾燥流体のストリーム内の複数の位置で内部容積内の一次乾燥流体のストリームに局所乱流を提供する流れ条件で、内部容積内に加圧二次乾燥流体を導入するように構成されかつ配置された多数の二次流体インジェクタと、を備えるものとして、本開示による噴霧乾燥システムを利用することができる。こうした噴霧乾燥システムは、以下の特徴(A)~(X)のうちの任意の1つ又は複数により、任意のこうした複数の特徴が互いに適合性がある程度まで、さらに実施することができる。
(A)多数の二次流体インジェクタは、噴霧乾燥容器にアレイで取り付けられており、
(B)噴霧乾燥容器は、二次流体インジェクタのアレイが取り付けられている円筒状部分を備え、
(C)二次流体インジェクタのアレイは、二次流体インジェクタの少なくとも1つの周方向に延在する列を備え、各こうした列における各二次流体インジェクタは、こうした列における隣接する二次流体インジェクタから周方向に間隔を空けて配置されており、複数の列は、存在する場合、噴霧乾燥容器の中心軸に対して軸方向に間隔を空けて配置されており、
(D)多数の二次流体インジェクタの各々は、制御システムにより、二次流体注入に対して作動し、
(E)制御システムは、二次流体インジェクタの作動のためにサイクルタイマプログラムを実行するように構成されかつ配置され、
(F)多数の二次流体インジェクタの各々は、噴霧乾燥容器の内部容積に二次流体の一時的なバーストを供給するように作動可能であり、
(G)所定順序で、前記多数の二次流体インジェクタのうちの選択された1つ又は複数は、制御システムにより、噴霧乾燥容器の内部容積に二次流体の一時的なバーストを供給するように作動可能であり、一方で、前記多数の二次流体インジェクタのうちの選択された他のものが作動停止し、複数の二次流体インジェクタの各々は、上記所定順序で間欠的に作動し、
(H)多数の二次流体インジェクタの各々は、噴霧乾燥容器の前記内部容積に、その中の噴霧乾燥操作中に二次流体を連続的に供給するように作動可能であり、
(I)噴霧乾燥容器の出口から噴霧乾燥製品及び流出乾燥流体を受け取る流れ回路であって、前記流れ回路は、流出乾燥流体から噴霧乾燥製品を分離するように構成されかつ配置された流体/固体分離機と、噴霧乾燥製品が分離された流出乾燥流体を所定の程度まで乾燥させるように構成された除湿器とを含み、前記流れ回路は、噴霧乾燥容器の内部容積に導入された一次乾燥流体の少なくとも一部として、除湿器によって乾燥させた後の乾燥流体を噴霧乾燥容器の入口に再循環させるように構成されかつ配置されており、
(J)100℃未満であり、かつ噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回る温度で、噴霧乾燥容器に一次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された一次乾燥流体源、
(K)多数の二次流体インジェクタを動作させるように構成されかつ配置された制御システム、
(L)一次乾燥流体源及び二次乾燥流体源、
(M)一次乾燥流体源及び二次乾燥流体源の各々は、独立して、空気、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、及び上述したもののうちの2種以上の組合せからなる群から選択された流体を含み、
(N)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源、
(O)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料、並びに上述したもののうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の製品材料を含む噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(P)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、溶媒、担体、補助剤、賦形剤、界面活性剤、凝集阻害剤、固化防止剤、同時活性成分、湿潤剤、分散剤、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、封止剤、増孔剤、硬化剤、並びに上述した2種以上の成分の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(Q)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、水性噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(R)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、並びに天然及び合成高分子材料からなる群から選択された少なくとも1種の担体を含む噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(S)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、300mPa-s~28,000mPa-sの範囲の粘度を有する噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(T)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、500mPa-s~16,000mPa-sの範囲の粘度を有する噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(U)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、1000mPa-s~4000mPa-sの範囲の粘度を有する噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(V)噴霧乾燥可能液体組成物の供給源は、噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、溶媒の20~50重量%を含む噴霧乾燥可能液体組成物を含み、
(W)95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃及び20℃のうちの少なくとも1つ未満の温度で、噴霧乾燥容器に一次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された一次乾燥流体源であって、こうした一次乾燥流体温度は、噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回り、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃及び20℃のうちの少なくとも1つ未満の温度で、噴霧乾燥容器に二次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された二次乾燥流体源を備え、こうした二次乾燥流体温度は、噴霧乾燥可能液体組成物における溶媒の凝固温度を上回り、
(X)20%相対湿度未満で噴霧乾燥容器の内部容積に一次乾燥流体及び二次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された除湿器、例えば、18%、15%、12%、10%、8%、5%、2.5%、2%、1.5%、1%及び0.5%相対湿度のうちの少なくとも1つ未満の相対湿度で噴霧乾燥容器の内部容積に一次乾燥流体及び二次乾燥流体を提供するように構成されかつ配置された除湿器。
【0089】
さまざまな実施形態において、内部容積を有し、かつ、内部容積内にその内部で乾燥させるために噴霧乾燥可能材料を導入し、内部容積から乾燥させた材料及び乾燥流体を放出するように構成された、噴霧乾燥チャンバと、チャンバの内部容積内に内部容積内の噴霧乾燥可能材料と接触するように一次乾燥流体を導入して、内部容積を通して一次乾燥流体流ストリームを提供するように構成された一次乾燥流体入口と、チャンバの内部容積における噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進するために、一次乾燥流体流ストリームに一時的な局所乱流をもたらすように一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に注入するように、又は別法として、一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を連続的に注入するように構成された、多数の二次乾燥流体入口とを備える、噴霧乾燥装置を利用することができる。
【0090】
こうした噴霧乾燥装置では、多数の二次乾燥流体入口は、噴霧乾燥チャンバの外接壁の周囲に周方向に間隔が空けられた配置で配置された二次乾燥流体入口を含むことができる。さまざまな実施形態において、多数の二次乾燥流体入口は、噴霧乾燥チャンバ外接壁に二次乾燥入口の複数の垂直に間隔を空けて配置された列を含むことができる。こうした実施形態における二次乾燥入口は、連続的に垂直に間隔を空けて配置された列において、互いに関して周方向にずらすことができる。
【0091】
さまざまに上述した噴霧乾燥装置は、二次乾燥入口に結合され、かつ、所定サイクルタイムプログラムに従って二次乾燥流体を導入するように構成された、二次乾燥流体アセンブリを備えることができる。
【0092】
一次乾燥流体及び二次乾燥流体は、互いに同じである場合もあれば異なる場合もあり、空気、又は関連する所定の噴霧乾燥操作及び装置に対して好適な他の任意の流体を含むことができる。
【0093】
さまざまに上述した噴霧乾燥装置は、噴霧乾燥チャンバの内部容積に噴霧乾燥可能材料を噴霧送出するために、噴霧乾燥チャンバ内部容積と連通して配置された噴霧乾燥可能材料源をさらに備えることができる。
【0094】
さまざまな実施形態において、上述した噴霧乾燥装置は、一次乾燥流体入口にかつ二次乾燥流体入口に除湿された空気を提供するように構成された除湿器をさらに備えることができる。
【0095】
噴霧乾燥装置は、さまざまな実施形態において、一次乾燥流体流ストリームにおいて一時的な局所乱流をもたらす、一次乾燥流体流内への二次乾燥流体の間欠的注入が、0.1~100秒の範囲の注入期間に、二次乾燥流体入口を通して二次乾燥流体を注入するように構成された注入コントローラによって制御されるように、さらに構成し配置することができる。
【0096】
ノズル又は他の注入デバイスの数、パターン及び向きは、本開示の広範な実施において広く変更することができることがさらに理解されよう。さまざまな実施形態において、ノズル又は注入デバイスは、一次乾燥流体流ストリームの主流方向に対して概して横切る方向に流体を注入するように向けることができるが、他の実施形態では、一次乾燥流体流ストリームの主流方向に関して、任意の好適な角度、直交、斜角、鋭角等で、一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を向けることもまた有利である場合があり、さらに他の実施形態では、ノズル又は注入デバイスの異なる向きの組合せを利用して、所望の乾燥効率及び特徴を達成することができる。
【0097】
本開示によれば、本明細書に記載する実施形態のうちの任意のものに従って、噴霧乾燥装置において噴霧乾燥可能材料を処理することを含む、噴霧乾燥可能材料を噴霧乾燥させる方法を実施することができる。
【0098】
こうした方法では、一次乾燥流体流ストリーム内に間欠的に注入される二次乾燥流体の圧力は、1~200psigの範囲であり得る。本方法は、二次乾燥流体が1~5秒間の範囲の注入期間、間欠的に注入されるように、かつ、連続した注入期間が、1~5秒の範囲の非注入期間によって分離されるように、行うことができる。
【0099】
本開示によれば、一次乾燥流体流ストリームにおける噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法であって、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に、一時的にかつ周期的に注入して、こうした位置で、噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する一時的な局所乱流を生成すること、又は別法として、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を連続的に注入して、こうした位置で、噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する局所乱流を生成することを含む方法を実施することができる。
【0100】
こうした噴霧乾燥方法は、噴霧された材料を乾燥させる一次乾燥流体ストリームにおいて一時的な局所乱流を提供するように、又は別法として、噴霧された材料を乾燥させる一次乾燥流体ストリームにおいて連続的な局所乱流を提供するように、所定のサイクル時間、圧力、並びにノズル又は他のインジェクタデバイスの構成及びアレイに関して、本明細書においてさまざまに記載するように実施することができる。
【0101】
本開示の上述した方法及び装置において、一次乾燥流体流ストリーム及び二次乾燥流体は、同じ流体を含むことができ、又は別法として異なる流体を含むことができる。さまざまな実施形態において、一次乾燥流体及び二次乾燥流体は空気である。こうした方法及び装置における噴霧乾燥可能材料は、上述したように任意の好適なタイプとすることができ、例えば、香味料、香料、食品、飲料、食べられる又は医薬品の材料若しくは成分を含むことができる。
【0102】
本開示の上述した方法及び装置において、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置は、流体流ストリームの周囲領域における位置を含むことができる。示したように、一次乾燥流体流ストリーム内への二次乾燥流体の注入方向は、一次乾燥流体流ストリームの流れ方向に対して横切ることができる。さまざまな実施形態において、一次乾燥流体流ストリームにおける複数の位置は、一次乾燥流体流ストリームの流れ方向に沿って間隔が空けられた位置を含むことができる。他の実施形態では、複数の位置は、概して、一次乾燥流体流ストリームの流れ方向に関して同じ横方向に向けられた平面にある位置とともに、一次乾燥流体流ストリームの流れ方向に沿って間隔が空けられた位置を含むことができる。二次乾燥流体注入の所定パターンは、本開示の広範な実施の範囲において広く変更することができることが理解されよう。
【0103】
したがって、本開示は、動作の好ましい態様として、具体的に、噴霧乾燥チャンバ内の主乾燥流体流ストリーム内への流体のパルス状の間欠的注入を企図しているが、主乾燥流体流ストリーム内への流体の注入が連続的に実施される実施形態も企図される。
【0104】
本開示によれば、内部容積を有し、かつ、内部容積内にその内部で乾燥させるために噴霧乾燥可能材料を導入し、内部容積から乾燥させた材料及び乾燥流体を放出するように構成された、噴霧乾燥チャンバと、チャンバの内部容積内に内部容積内の噴霧乾燥可能材料と接触するように一次乾燥流体を導入して、内部容積を通して一次乾燥流体流ストリームを提供するように構成された一次乾燥流体入口と、チャンバの内部容積における噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進するために、一次乾燥流体流ストリームに一時的な局所乱流をもたらすように一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を間欠的に注入するように、又は別法として、一次乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を連続的に注入するように構成された、多数の二次乾燥流体入口とを備える、噴霧乾燥装置を利用することができる。
【0105】
さまざまな実施形態において、先行する段落に記載した装置の使用を含む、噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法を実施することができる。
【0106】
本開示によれば、一次乾燥流体流ストリームにおける噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥方法であって、主乾燥流体流ストリームにおける複数の位置において主乾燥流体流ストリーム内に二次乾燥流体を注入して、こうした位置において噴霧乾燥可能材料の乾燥を促進する局所乱流を生成することを含む、方法を行うことができる。
【0107】
本開示のプロセス、装置及びシステムは、任意の好適なデューティサイクル、例えば、1%~100%の範囲内のデューティサイクルを利用することができる。さまざまな実施形態において、デューティサイクルは、本開示の具体的な実施態様に適切であるように、1%~99%、1%~95%、5%~90%、10%~80%、15%~75%、25%~70%の範囲、又は、上述した最小値及び他の任意の言及した上限値のうちの任意のものによって境界が定められた他の任意のデューティサイクル範囲にあり得る。
【0108】
本開示のプロセス、装置及びシステムは、先行する従来の噴霧乾燥システムに典型的である利用レベルと比較して、噴霧乾燥器に供給される乾燥空気の乾燥能力の利用の実質的な改善を可能にする。噴霧乾燥器に意図的に発生させた局所乱流混合を提供することにより、噴霧乾燥容器に供給される乾燥空気(又は他の乾燥流体)の乾燥能力の高レベルな利用が達成される。これにより、噴霧乾燥操作の全体的な効率を実質的に向上させることができる。
【0109】
好ましい実施では、噴霧乾燥容器又は噴霧乾燥ゾーンにおける乾燥流体の流れストリームにおける局所乱流の注入された乱流流体生成のための本開示の装置、プロセス及びシステムは、低温噴霧乾燥操作で利用され、そこでは、乾燥流体(一次(主)乾燥流体及び二次乾燥流体の両方を含む)の温度は、100℃未満であり、かつ、噴霧乾燥させている材料における溶媒の凝固点より高い。
【0110】
図6は、本開示の方法及び装置によって製造された乾燥粉末製品を表すものとして、低温噴霧乾燥によって製造された粒子の断面の0.51k倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像である。画像から明らかであるように、噴霧乾燥粉末製品は、形態学及び概観が非常に均質であり、黒いドットとして見える製品の活性成分は、(澱粉)担体材料において均一に分散されている。
【0111】
図7は、噴霧乾燥容器における乾燥流体流線の図であり、噴霧乾燥容器では、乾燥流体の主流が容器の上方部分で導入され、噴霧乾燥容器の下方部分において流動層を維持するためにさらなる乾燥流体が導入され、噴霧乾燥流体は噴霧乾燥容器の上方かつ外側部分で放出口から放出されている。こうした噴霧乾燥容器は、図9に関連してより十分に記載するタイプであるが、図9に示す噴霧乾燥容器の流体インジェクタジェットの追加物は存在しない。
【0112】
図8は、乾燥流体流線が図7に示されているタイプの噴霧乾燥容器における粒子軌跡の図である。図8の図において明らかであるように、この噴霧乾燥器設計は、粒子の数密度が低い大きい体積を有する。これらの低数密度体積は、乾燥効率の損失の原因である。この種の噴霧乾燥器における粒子滞留時間は、10~15秒ほどである可能性があり、それには、噴霧乾燥可能供給材料の乾燥粉末製品への噴霧乾燥を達成するために、噴霧乾燥容器の下方部分における流動層配置が必要である。
【0113】
図9は、空気流線及び粒子軌跡が図7及び図8にそれぞれ示されている一般的なタイプの噴霧乾燥容器を備えた、本開示の別の実施形態による噴霧乾燥システムの概略表現であるが、システムの噴霧乾燥効率を向上させるために、流体インジェクタジェットのアレイが設けられ、噴霧乾燥容器壁に取り付けられ、容器の内部容積内に流体を注入するように配置されている。
【0114】
図9の噴霧乾燥システム400は、噴霧乾燥容器410を備え、噴霧乾燥容器410は、図示するように噴霧器ノズル418が取り付けられているその上端部分に入口412を有している。噴霧器ノズル418は、噴霧乾燥可能材料供給ライン422を介して噴霧乾燥可能材料を受け取り、噴霧乾燥させるべき材料の粒子の噴霧を、噴霧乾燥容器の内部容積420内にその中の乾燥流体と接触するように放出される際、発生させる。
【0115】
噴霧乾燥容器410は、主チャンバ部分414及び下方部分416を含む。下方部分416は、噴霧乾燥容器の下方部分において粒子の流動化をもたらすように導入される乾燥流体により、乾燥流体供給ライン444から乾燥流体入口442によって供給されている、流動層操作に対して適合されている。噴霧乾燥容器の下方部分におけるこの現場流動層は、上述したように噴霧された粒子の流動層における滞留時間が短いため、噴霧乾燥粉末製品を達成するために必要である。噴霧乾燥容器410は、噴霧乾燥容器の上方部分及び外側部分に乾燥流体放出口428及び430を含み、そこで、乾燥流体が噴霧乾燥容器から放出され、乾燥流体排出ライン432において排出される。
【0116】
乾燥流体入口424において噴霧乾燥容器410に乾燥流体426の主流が導入され、導入された乾燥流体は、その後、容器の内部容積420内の噴霧乾燥可能材料の噴霧された粒子と接触するように、噴霧乾燥容器内を下向きに流れる。
【0117】
噴霧乾燥容器410は、流動層の上端部の上方で、その下方部分に乾燥させた材料の放出導管454を有し、そこを通して、乾燥させた材料が、下流のパッケージング施設への輸送及び/又は他の噴霧乾燥処理後操作のために、乾燥材料製品ライン456に放出される。
【0118】
噴霧乾燥容器410は、その主チャンバ部分において、図示するように配置された、噴霧インジェクタジェット434、436、438、440、446、448、450及び452のアレイが設けられている。流体インジェクタジェットの各々は加圧流体源に結合され、インジェクタジェットは流体注入流量制御弁を備えることができ、流体注入流量制御弁は、完全に開放した弁位置と完全に閉鎖した弁位置との間で調整可能であり、それに応じて、噴霧乾燥容器の内部容積420内への流体インジェクタジェットを通る加圧流体の流れを調整する。このように、加圧流体の乱流投入は、乾燥流体入口424において導入され、乾燥流体放出口428及び430において容器から排出されるように、噴霧乾燥容器の内部容積内を循環している乾燥流体の主流内に導入される。
【0119】
加圧流体インジェクタジェットは、噴霧乾燥容器内に加圧乱流流体を連続的に又は別法として間欠的に投入するようにさまざまに配置することができ、間欠的投入動作の場合、連続して又は反復的に周期的に、流体インジェクタジェットのアレイのうちの所定の1つ又は複数は、アレイにおける他の流体インジェクタジェットが休止して、その中の流体注入流量制御弁が閉鎖している間、「発射し」(加圧乱流流体のバーストを容器内に放出するように開放し)、続いて、こうした流体インジェクタジェットの流体注入流量制御弁が閉鎖し、それと同時に又はそれに続いて、制御されたパターンでの他の流体インジェクタジェットが発射し、その結果、噴霧された材料粒子と接触した噴霧乾燥容器の内部容積内の流体は、容器の内部容積内への加圧乱流流体の連続したバーストによって能動的に攪拌される。
【0120】
加圧乱流流体インジェクタジェットの動作によるこうした能動的攪拌は、噴霧乾燥容器内部容積内の溶媒蒸気(例えば、水蒸気)濃度を均質化する役割を果たし、粒子と接触している流体内の溶媒蒸気の分圧を低下させ、それにより、粒子から乾燥流体への溶媒の物質移動を促進するとともに、粒子をより長い期間噴霧乾燥容器内に懸濁された状態で維持することにより、乾燥器における粒子滞留時間を延長する。
【0121】
したがって、本開示による加圧乱流流体インジェクタジェットの使用は、粒子滞留時間及び乾燥効率の著しい改善を達成することができる。この改善は、噴霧された粒子と接触するために噴霧乾燥容器内に導入される乾燥流体の温度が100℃未満である低温操作において最も明白であり、それは、こうした低温操作により、高温噴霧乾燥プロセス(例えば、乾燥流体が180℃~200℃ほどの温度で噴霧乾燥容器内に導入される)では本来形成される稠密表面層の形成が回避されるためである。
【0122】
したがって、噴霧乾燥流体入口温度≦100℃である低温噴霧乾燥プロセスは、高温噴霧乾燥に関連した稠密表面層(被膜)によって表される拡散インピーダンスなしに、噴霧された粒子から乾燥流体への溶媒の物質移動が高速であることにより、かつ、噴霧された粒子から乾燥流体への溶媒の物質移動の速度が、本開示による噴霧乾燥容器内の乾燥流体内への加圧乱流流体の注入によって著しく上昇することにより、実施することができる。
【0123】
具体的な例示的な例により、34.3フィートの噴霧乾燥容器円周を有する低温噴霧乾燥器が、100℃未満である噴霧乾燥容器への一次乾燥流体(空気)の入口温度で動作するように構成されかつ配置される。噴霧乾燥容器には、加圧乱流空気の注入のために、各々8つのジェットの2つのリングで噴霧乾燥器の周囲に沿って位置する16の加圧乱流流体インジェクタジェットを取り付けることができ、ジェットは、乾燥器周囲に沿って等しく間隔を空けて配置されている。乾燥器の最上部から3フィート下がって1つのリングを配置することができ、乾燥器の最上部から7フィート下がって8つのノズルの第2リングを配置することができる。ノズルは、空気の流れの方向が半径方向から10度離れてかつ一次乾燥流体空気流の方向に位置決めされるように、向けることができる。加圧乱流流体インジェクタジェットは、半径方向に対向する対で、3秒間パルスをオンにして作動させることができ、1秒間の遅延の後、次の隣接する対に対して3秒間パルスをオンにし、連続的に繰り返すことができ、同様の動作が、加圧乱流流体インジェクタジェットの第2リングによって実施される。加圧乱流流体インジェクタジェットは100psiまで加圧することができる。
【0124】
図10は、本開示のさらなる実施形態による噴霧乾燥プロセスシステムの概略表現である。
【0125】
図示するように、噴霧乾燥システム500は、供給原料前駆体組成物源502を含み、そこから、供給原料前駆体組成物が、供給ライン504内を供給原料組成物処理ユニット506に流され、供給原料組成物処理ユニット506では、前駆体組成物が、噴霧乾燥可能液体組成物をもたらすように処理又は処置される。こうした上流処理ユニットは、任意の好適なタイプとすることができ、例えば濃縮ユニットを備えることができ、濃縮ユニットでは、噴霧乾燥させるべき製品材料が、供給原料前駆体組成物濃度から、ライン508においてユニットから放出される噴霧乾燥可能液体組成物におけるより高い製品材料濃度まで濃縮される。
【0126】
噴霧乾燥可能石帯組成物は、担体を含むことができ、又は別法として特徴が無担体であり得る。
【0127】
本明細書で用いる「担体」と言う用語は、液体及び噴霧乾燥させるべき製品を含む、噴霧乾燥可能液体組成物において、噴霧乾燥操作からもたらされる噴霧乾燥粉末に製品を担持し、少なくとも部分的に支持し、又は少なくとも部分的に封入するために利用される、固体材料を指す。したがって担体は、噴霧乾燥粉末において、例えば、製品材料のための基材、支持体又は結合基質として、製品材料に関連付けることができる。噴霧乾燥操作で使用される担体は、広くさまざまなタイプとすることができ、そうした担体として、例えば、米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に開示されている澱粉担体を挙げることができる。より全体的には、以下の表1に列挙するもの等の担体が、所定の担体材料を例示する。
【0128】
【表1】
【0129】
本明細書で用いる、噴霧乾燥可能液体組成物に関する「無担体」という用語は、内部に担体のない噴霧乾燥可能液体組成物を意味し、噴霧乾燥プロセスに関する「無担体」は、噴霧乾燥操作において担体なしに実施される噴霧乾燥プロセスを意味する。
【0130】
再び図10を参照すると、噴霧乾燥可能液体組成物は、液体組成物供給ライン508においてポンプ510によって供給原料組成物処理ユニット506から供給原料供給ライン512まで流され、供給原料供給ライン512から、噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥器容器518の噴霧乾燥器入口516内に流れ込み、その時点で、噴霧器514によって霧化されて、噴霧乾燥可能液体組成物の霧状噴霧520を発生させる。同時に、以下より十分に記載する調整済み乾燥流体は、調整済み乾燥流体供給ライン570内を噴霧乾燥器容器518の入口516まで流され、その結果、導入された調整済み乾燥流体は、噴霧乾燥可能液体組成物の霧状噴霧と接触するように、噴霧乾燥器容器518の内部容積522を通って流れる。
【0131】
調整済み乾燥流体又はその任意の部分は、いわゆる2流体霧化において、噴霧器514を通って流すことができ、又は、調整済み乾燥流体は、噴霧乾燥可能液体組成物の導入及びその噴霧器514の通過に関連して、別個のストリームとして噴霧乾燥容器518の内部容積522内に流し込むことができる。
【0132】
噴霧器514は、任意の好適なタイプとすることができ、噴霧器514としては、例えば、回転噴霧器、遠心噴霧器、ジェットノズル噴霧器、ネブライザ、超音波噴霧器等、及び上述したもののうちの2つ以上の組合せを挙げることができる。噴霧器は、濃縮供給原料組成物の電気流体力学噴霧乾燥を実施するように電気流体力学的とすることができ、又は、特徴として非電気流体力学的とすることができる。
【0133】
採用する所定の噴霧器タイプ及び霧化モードに関わらず、供給原料組成物の霧状噴霧520は、噴霧乾燥容器518の内部容積522に導入され、噴霧乾燥可能液体組成物の霧状液滴は、内部容積を通って噴霧乾燥器出口524まで進む間、調整済み乾燥流体と接触して、霧状液滴を乾燥させ、噴霧乾燥させた乾燥粉末製品をもたらす。
【0134】
噴霧乾燥容器518に対して、任意選択的に、補助乾燥流体周囲供給ライン526を設けることができ、そこでは、それぞれの概略的な供給ライン526の矢印は、噴霧乾燥容器518の内部容積522内に補助乾燥流体を導入するように配置されたインジェクタジェットを示す。したがって、供給ライン526及びそのインジェクタジェットは、インジェクタジェットが内部に配置されるように、噴霧乾燥容器518内の対応する壁開口部を貫通することができ、又は、インジェクタジェットは、噴霧乾燥容器の壁開口部と連通して、そこを通して補助乾燥流体を内部容積522内に注入するように配置することができる。補助乾燥流体は、噴霧乾燥容器の内部容積内への導入点において又はその近くで局所乱流530を発生させるように十分な圧力及び流量で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。
【0135】
補助乾燥流体周囲供給ライン526は、補助乾燥流体マニホールド528に結合されているように示されており、補助乾燥流体マニホールド528を通して、補助乾燥流体はそれぞれの供給ライン526まで流される。補助乾燥流体は、連続的に又は間欠的に、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に導入することができ、インジェクタジェットは、図10に示すCPU590等、中央処理装置のモニタリング及び制御の下でプログラム可能に配置することができる。
【0136】
こうした乱流の局所誘発は、濃縮供給原料組成物の霧状液滴から噴霧乾燥容器内に存在する乾燥流体への液体の拡散率及び物質移動を促進するために非常に有効である。
【0137】
容器の内部容積内の濃縮供給原料組成物の霧状液滴の乾燥のさらなる促進として、噴霧乾燥容器518に、図示するような補助乾燥流体中心供給ライン532を備えることができる。補助乾燥流体中心供給ライン532には、一連の長手方向に間隔を空けて配置された補助乾燥流体中心供給ラインインジェクタジェット534が設けられ、そこでは、補助乾燥流体が注入された乱流領域536を発生させるように、十分な圧力及び流量条件下で、補助乾燥流体を注入することができる。
【0138】
供給ライン526及び関連するインジェクタジェットを通して噴霧乾燥容器の内部容積内に導入される補助乾燥流体に関して上述したように、噴霧乾燥容器内の内部容積522の中心部分において補助乾燥流体が注入された乱流領域536を提供するように、補助乾燥流体をインジェクタジェット534から連続的に又は間欠的に噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。周囲供給ライン及び関連するインジェクタジェットに関連して考察したように、補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に、中心供給ラインインジェクタジェット534を通して導入することができ、図10に示すCPU590等の中央処理装置のモニタリング及び制御の下で、インジェクタジェットをプログラム可能に配置することができる。
【0139】
図10に示すような周囲ジェット及び中心ジェットの組合せを用いて、噴霧乾燥器容器内の内部容積の中心領域とともに外壁領域に局所乱流を提供することができ、そうした組合せは、著しく効率的な噴霧乾燥プロセスをもたらし、そこでは、内部容積内のデッドゾーン又は停滞領域等の異常な流れ挙動が最小限になる。対応して、非常に好都合な流体力学物質移動環境が提供され、こうした局所乱流発生能力の結果としての噴霧乾燥器容器は、サイズ及び関連する設置面積を実質的に低減させることができ、それにより、より小さいポンプ、圧縮器、ブロワ及び他の関連する補助機器を採用することができ、結果として、濃縮及び噴霧乾燥システムの資本設備及び運転コスト特性が改善される。
【0140】
噴霧乾燥器容器の内部容積内の乾燥流体との濃縮供給原料組成物の霧状液滴の接触によって生成される、噴霧乾燥させた粉末及び流出乾燥ガスは、噴霧乾燥器出口524の噴霧乾燥器容器から放出され、噴霧乾燥器流出ライン538においてサイクロン540まで流れる。サイクロン機器の代わりに、適切な特徴の他の任意の好適な固体/気体分離ユニットを採用することができる。サイクロン540は、乾燥流体から乾燥させた固体を分離し、乾燥させた固体は、乾燥固体放出ライン542内を乾燥固体収集容器544まで流れる。固体成分において消耗された乾燥流体は、乾燥流体放出ライン546においてサイクロンまで流れ、微粒子フィルタ548を通って凝縮器550まで流れる。凝縮器550において、乾燥流体は冷却され、その結果、その中の凝縮性気体が凝縮し、凝縮液は凝縮液放出ライン552において凝縮器から放出される。
【0141】
そして、結果としての凝縮液がなくなった乾燥流体は、内部にポンプ556を含む乾燥流体再循環ライン554において、乾燥流体補給供給ライン610に導入された任意の必要な補給乾燥流体とともに、乾燥流体調整アセンブリ568まで流れる。乾燥流体調整アセンブリは、調整済み乾燥流体供給ライン570において噴霧乾燥器容器518まで流れるように、再循環乾燥流体及び任意の追加された補給乾燥流体を調整する。乾燥流体調整アセンブリは、温度及び相対湿度の適切な所望の条件で再循環させるように乾燥流体を提供する除湿器及び/又は熱交換(加熱器/冷却器)機器を備えることができる。
【0142】
したがって、任意の必要な補給乾燥流体を含む乾燥流体は、適切な供給源から、乾燥流体調整アセンブリ568に提供することができ、又は、システムにおける他の適切な場所において噴霧乾燥システムに提供することができ、所望の温度、圧力、流量、組成及び相対湿度で噴霧乾燥操作を行うための必要に応じて、関連する機器又は装置によって任意の適切な前調整操作が実施される。したがって、例えば、補給乾燥流体は、タンク、貯蔵容器又は他の供給源(例えば、こうした乾燥流体として空気の場合、周囲雰囲気)から調整アセンブリ568に提供することができる。
【0143】
システムにおける補助乾燥流体源として、乾燥流体再循環ライン554からの再循環する乾燥流体の一部は、流量制御弁574を含む補助乾燥流体供給ライン572において補助乾燥流体調整アセンブリ576まで分流させることができる。補助乾燥流体調整アセンブリ576は、任意の好適な方法で構成し配置することができ、乾燥流体調整アセンブリ568の構成及び配置と同じか又は同様の特徴とすることができる。したがって、補助乾燥流体調整アセンブリ576は、システムにおいて補助乾燥流体を使用するために適切な条件にあるように、補助乾燥流体を調整する。
【0144】
上述したように、調整済み補助乾燥流体は、補助乾燥流体調整アセンブリ576から補助乾燥流体供給ライン578を通って流れ、補助乾燥流体供給ライン578から、ポンプ582を含む補助乾燥流体供給ライン580においてマニホールド528まで流れ、調整済み補助乾燥流体の残りは、補助乾燥流体供給ライン578においてポンプ584まで流れ、ポンプ584から、噴霧乾燥器容器の内部容積の中心領域に導入されるように、補助乾燥流体供給ライン586において補助乾燥流体中心供給ライン532まで流される。
【0145】
図10に示すシステムは、別法として、例えば、主乾燥流体及び補助乾燥流体がそれらの関連する流体特性に関して実質的に同じ特徴である場合、別個の補助乾燥流体調整アセンブリ576を設けることなく、乾燥流体調整アセンブリ568が乾燥流体の主流及び補助乾燥流体の両方を処理するように、構成し配置することができる。主乾燥流体及び補助乾燥流体が異なる気体であるか若しくは異なる気体を含み、又はそれらの関連する流体特性が他の意味で異なる場合、主乾燥流体及び補助乾燥流体の各々に対する別個の流れ循環ループを設けることができることも理解されよう。
【0146】
図10のシステムは、システムにおいてモニタリング及び/又は制御動作を行うように配置された中央処理装置(CPU)590を含むものとして示すが、制御態様で採用される場合、設定値又は他の所望の動作条件での動作を維持するように、機器及び/又は流体条件の調整のための制御信号を生成するように採用することができる。上述したように、CPUは、調整アセンブリ568及び576に、除湿器、熱コントローラ、熱交換機器等、その構成要素を制御するように、作動的に接続することができる。
【0147】
図10では、CPU590は、モニタリング及び/又は制御信号伝送ライン592、594、596、598、600、602及び604をモニタリングにより、ポンプ510、乾燥流体調整アセンブリ568、補助乾燥流体調整アセンブリ576、流量制御弁574、ポンプ582、ポンプ556及びポンプ584にそれぞれ作動的に結合されているものとして例示的に示す。
【0148】
図10に示すCPUの具体的な配置は、例示的な特徴であり、CPUは、任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件及びパラメータをモニタリングするように、及び/又は任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件、パラメータ及び変数を制御するように、濃縮ユニット506を含むシステム全体の任意の構成要素、要素、特徴及びユニットに関して、他の方法で配置することができることが理解されよう。こうした目的で、モニタリング能力に関して、システムは、適切なセンサ、検出器、構成要素、要素、特徴及びユニットを備えることができる。信号伝送ラインは、双方向信号伝送ラインとすることができ、又は、モニタリング信号伝送ライン及び別個の制御信号伝送ラインを含むケーブル配線を構成することができる。
【0149】
噴霧乾燥システムは、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体、又はそれらのうちの任意の2つ以上が、実質的に同じ組成、温度及び/又は相対湿度を有することができ、それにより、対応してシステム要件が簡略化した資本設備及び運転コスト効率を達成することができる配置で、具現化することができることが理解されよう。したがって、例えば、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体のすべてが、共通気体源からの空気、窒素、アルゴン又は他の気体とすることができ、こうした共通の気体は、共通の熱調整及び除湿機器を採用することができるように、実質的に同じ温度及び相対湿度で提供することができる。
【0150】
したがって、多種多様な噴霧乾燥容器及びシステムにおいて超高効率噴霧乾燥操作を達成するように、本開示の広範な実施において、加圧乱流流体インジェクタジェットの多くのさまざまな配置及び態様を実施することができることが理解されよう。
【0151】
別の態様での本開示は、
(a)噴霧乾燥容器であって、
(i)内部容積であって、霧状噴霧乾燥可能材料及び乾燥流体を、内部容積内の乾燥流体と前記霧状噴霧可能材料を接触させるように受け取るように配置された内部容積と、
(ii)乾燥流体がこうした接触のために内部容積内に導入されるようにする少なくとも1つの乾燥流体入口と、
(iii)容器から噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体を放出するように配置された、内部容積と連通している噴霧乾燥材料出口と、
を備える噴霧乾燥容器と、
(b)噴霧乾燥可能材料を受け取り、こうした接触のために霧状噴霧乾燥可能材料を容器の前記内部容積内に放出するように適合された噴霧器と、
(c)容器の内部容積内の乾燥流体において乱流を発生させるように適合された少なくとも1つのタービュレータと、
(d)乾燥流体の少なくとも1つのタービュレータとの相互作用により、乾燥流体において、容器の内部容積における霧状噴霧乾燥可能材料内の噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満であるコルモゴロフ長を有する乱流がもたらされるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合されたプロセス制御ユニットと、を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0152】
本明細書において本開示の噴霧乾燥システムに関して用いる「タービュレータ」という用語は、霧状噴霧乾燥可能材料と接触している乾燥流体において乱流を誘発するように構成されている装置を指す。この装置は、任意の好適なタイプとすることができ、噴霧乾燥操作の促進のために乾燥流体内に乱流を誘発するように、一連の一次乾燥流体内に二次乾燥流体を注入するために利用される、任意の1つ又は複数のジェット、ノズル、インジェクタ等を含むことができる。装置は、別法として、乾燥流体と相互作用して、乾燥流体内で乱流を誘発する構造タイプ、例えば、ねじりテープ、スタティックミキサ装置、エーロフォイル、Brockタービュレータ、ワイヤタービュレータ、コイルタービュレータ、及び壁突起(wall protrusion)タービュレータであり得る。さまざまな種類のこうした装置は、霧状噴霧乾燥可能材料の乾燥の速度及び/又は程度を促進するために好適な強度の乱流を達成するために望ましい可能性があるように、さまざまな実施形態において互いに組み合わせることができる。
【0153】
上述した噴霧乾燥システムは、噴霧乾燥の速度及び程度の実質的なかつ予想外の増大を、乾燥流体に乱流を導入することによって達成することができ、そこでは、乾燥流体における乱流は、霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満であるコルモゴロフ長によって特徴付けられる、という発見を反映する。より十分に以下に考察するように、コルモゴロフ長ηは、式
【数1】
によって定義され、式中、vは乾燥流体の動粘度であり、εは、乾燥流体における誘発された乱流の運動エネルギーの散逸率である。
【0154】
コルモゴロフ長スケールの測定
本開示のさまざまな態様によれば、コルモゴロフ長を利用して、噴霧乾燥容器に関連するタービュレータ構成要素によって噴霧乾燥操作において誘発される乱流が特徴付けられる。
【0155】
コルモゴロフ長は、噴霧乾燥容器の内部容積内の流体流においてタービュレータによって誘発される乱流におけるエネルギーを散逸させる渦を特徴付ける。こうした流れにおける乱流運動エネルギーは、乱流が開始したのちに噴霧乾燥容器の内部容積内の流体において時空的に展開する運動エネルギーカスケードに関して述べることができる。タービュレータによって、噴霧乾燥容器内の流体内に流体注入により又は流体分断により導入されるエネルギーは、通常積分スケールとして特徴付けられる、大きいスケールにおいて流体力学的不安定性を発生させる。そして、積分スケールにおけるエネルギーは、徐々に小さいスケールに、最初は、渦伸長(vortex stretching)等の無粘性機構を通して、その後、粘性散逸を通して、熱に伝達される。波数の関数としてエネルギーの対数プロットにグラフ式に示すように、誘発される乱流を反映する初期エネルギー保有領域、それに続く慣性領域、それに続く最終散逸範囲の別個の領域は、低波数領域における大きい渦がさらにより小さい渦に変形し、最終的に熱に散逸する、エネルギーカスケードを示すものとして容易に視覚化される。散逸の減衰が開始するスケールは、コルモゴロフスケール
【数2】
であり、式中、εは、対数プロットに示す乱流散逸率であり、vは乾燥流体の動粘性である。
【0156】
乱流散逸率及びコルモゴロフ長は、熱線流速計又はレーザドップラ流速計技法を使用して容易に求められる。例えば、熱線流速計を採用して、誘発される乱流、慣性範囲及びカスケードの散逸範囲を示す、ヘルツでの周波数の関数としての乱流出力密度の対数-対数プロットを用いて、かつ、上記コルモゴロフスケール式からコルモゴロフ長を計算することができる乱流散逸率を求めることができるようにする散逸範囲値を用いて、ある範囲の周波数で乱流出力密度の値を生成することができる。
【0157】
有利には、乱流は、噴霧乾燥操作の実質的な促進を提供するように、容器の内部容積における乾燥流体の体積の少なくとも5体積%で誘発される。より全体的には、乱流は、容器の内部容積における乾燥流体の体積の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又はそれより大きい体積%で誘発することができる。したがって、乱流が誘発される乾燥流体の量を最大限にすることが有利であり、乱流が誘発される容器の内部容積における乾燥流体の体積比は、有利には、乾燥流体が導入され霧状噴霧乾燥可能材料と接触すると可能な限りすぐに乱流が誘発されるように、噴霧器と接触している乾燥流体を含むことができる。
【0158】
本開示により乾燥流体に乱流を誘発することにより、噴霧乾燥器のスループット及び効率の劇的な向上を達成することができる。乱流の誘発には、噴霧乾燥器容器の内壁面に噴霧乾燥可能材料の堆積を低減させるか又はなくすという主な利点がある。
【0159】
本開示によって乱流を誘発させることによって達成される改善により、噴霧乾燥器における固定内部容積に対する乾燥器スループットの向上、又は別法として、より高いスループットでのより高効率でありより容量の小さい噴霧乾燥器の設計が可能になり、それにより、多くの場合に資本設備の節約とともに運転コストの削減が達成される。
【0160】
噴霧乾燥容器の内部容積内の霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径が50~300μmの範囲である場合、噴霧乾燥操作において、乱流散逸率が25m/secを超えるように、乾燥流体に乱流を誘発することが望ましい。本開示による噴霧乾燥操作は、50~300μmの上述した範囲、又は75~250μm、80~200μm、85~150μm、90~120μm、又は他のより低いか又は高い範囲等、他の好適な範囲の平均粒径の噴霧乾燥粉末を製造するように行うことができる。概して、噴霧乾燥操作は、乱流散逸率が、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1000、m/secのうちの少なくとも1つより大きく、例えば、下限端点値が上述した数値のうちの1つであり、上限端点値が、下限端点値を超える上述した数値のうちの1つである所定範囲内である。
【0161】
したがって、噴霧乾燥システムは、容器の内部容積内に加圧二次乾燥流体を注入するように構成された1つ又は複数のノズル、例えば、幾何学的に規則的な又は不規則な配置のノズルのアレイを備える、少なくとも1つのタービュレータを含むことができる。
【0162】
さらに又は別法として、噴霧乾燥システムで採用される少なくとも1つのタービュレータは、ねじりテープ、スタティックミキサ装置、エーロフォイル、Brockタービュレータ、ワイヤタービュレータ、コイルタービュレータ、及び壁突起タービュレータのうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
【0163】
噴霧乾燥システムにおいて、噴霧器は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、ノズル噴霧器、印加電荷(applied charge1)噴霧器、ネブライザ、回転噴霧器、超音波噴霧器、又は他の任意の好適なタイプの噴霧器を含むことができる。
【0164】
上述した噴霧乾燥システムは、噴霧乾燥容器と乾燥流体供給関係で少なくとも1つの乾燥流体入口に結合された乾燥流体源を作動的に備えることができる。こうした乾燥源は、噴霧乾燥容器の少なくとも1つの乾燥流体入口に乾燥流体を供給するように構成することができ、乾燥流体は、空気、酸素富化空気、酸素、窒素、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、又は上述した乾燥流体種のうちの2種以上を含むガス混合物を含む。さまざまな実施形態において、乾燥流体源は、120℃、115℃、110℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃及び20℃のうちの少なくとも1つ未満であり、かつ噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥に対して揮発させるべき液体の凝固温度を超える温度で、噴霧乾燥容器の少なくとも1つの乾燥流体入口に乾燥流体を供給するように構成することができる。
【0165】
さまざまな実施形態において、乾燥流体源は、100℃未満であり、かつ噴霧乾燥可能材料の噴霧乾燥に対して揮発させるべき液体の凝固温度を上回る温度で、噴霧乾燥容器の少なくとも1つの乾燥流体入口に乾燥流体を供給するように構成することができる。
【0166】
さまざまに上述した噴霧乾燥システムは、噴霧器への噴霧乾燥可能材料の供給関係で配置された噴霧乾燥可能材料源を作動的に備えることができる。
【0167】
さまざまな実施態様における噴霧乾燥システムは、無担体組成物に噴霧乾燥可能材料を含む噴霧乾燥可能材料源を利用することができる。別法として、噴霧乾燥可能材料源は、担体を含む組成物における噴霧乾燥可能材料を含むことができる。
【0168】
さまざまに上述した噴霧乾燥システムは、プロセス制御ユニットが、容器の内部容積における霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径が50~300μmの範囲であるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合されるように、構成し配置することができる。
【0169】
具体的な実施形態では、プロセス制御ユニットは、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを、前記乱流の乱流散逸率が25m/secを超えるように調節するように適合させることができる。
【0170】
概して、プロセス制御ユニットは、乾燥流体内に乱流を任意の好適な方法で誘発するように構成し配置することができる。例えば、プロセス制御ユニットは、乾燥流体に間欠的乱流をもたらすように構成することができ、又は、プロセス制御ユニットは、乾燥流体に連続的乱流をもたらすように構成することができる。
【0171】
さまざまに上述した噴霧乾燥システムは、印加電荷噴霧乾燥(一般に、静電噴霧乾燥と呼ぶ)に対して構成することができる。
【0172】
さらなる態様における本開示は、噴霧乾燥させた材料を製造するプロセスであって、
霧状噴霧乾燥可能材料を発生させることと、
霧状噴霧乾燥可能材料を乾燥流体と接触させて噴霧乾燥させた材料を形成することと、
乾燥流体から噴霧乾燥させた材料を回収することと、
こうした接触中、霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満のコルモゴロフ長を有する乱流を乾燥流体内に導入することと、
を含むプロセスに関する。
【0173】
乱流が、接触に関与する乾燥流体の体積の少なくとも5体積%で、例えば、接触に関与する乾燥流体の体積の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95体積%で誘発される、プロセスを行うことができる。
【0174】
こうしたプロセスでは、乱流は、加圧二次乾燥流体の注入によって誘発することができる。さらに又は別法として、乱流は、ねじりテープ、スタティックミキサ装置、エーロフォイル、Brockタービュレータ、ワイヤタービュレータ、コイルタービュレータ、及び壁突起タービュレータから選択された少なくとも1つを含むタービュレータとの乾燥流体の相互作用によって誘発することができる。
【0175】
このプロセスにおいて、霧状噴霧乾燥可能材料は、ノズル噴霧器、印加電荷噴霧器、ネブライザ、回転噴霧器及び超音波噴霧器から選択された少なくとも1つを含む噴霧器によって発生させることができる。別法として、他の任意の好適な1つ又は複数のタイプの噴霧器を採用することができる。
【0176】
乾燥流体が、空気、酸素富化空気、酸素、窒素、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、又は上述した乾燥流体種のうちの2種以上を含むガス混合物を含む、噴霧乾燥プロセスを行うことができる。
【0177】
乾燥流体が、120℃、115℃、110℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃及び20℃のうちの少なくとも1つ未満であり、かつ噴霧乾燥可能材料を形成するために揮発させるべき液体の凝固温度を超える温度で、接触に導入される、プロセスを行うことができる。
【0178】
接触における霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径が、50~300μmの範囲である、プロセスを行うことができる。前記接触中に誘発される乱流の乱流散逸率が25m/secを超える、プロセスを行うことができる。
【0179】
さまざまな実施形態において、乾燥流体は、100℃未満であり、かつ噴霧乾燥させた材料を形成するために揮発させるべき液体の凝固温度を上回る温度で接触に導入される、プロセスを実施することができる。
【0180】
霧状噴霧乾燥可能材料が無担体である、又は別法として、霧状噴霧乾燥可能材料が担体を含む、プロセスを実施することができる。
【0181】
プロセスは、乱流が、接触中に間欠的に誘発されるか、又は別法として、接触中に乱流を連続的に誘発することができる、操作が可能である。
【0182】
上述したように、噴霧乾燥システムの考察では、霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴が帯電する、プロセスを実施することができる。
【0183】
さらなる態様における開示は、
(a)噴霧乾燥容器であって、
(i)内部容積であって、霧状噴霧乾燥可能材料及び乾燥流体を、内部容積内の乾燥流体と霧状噴霧可能材料を接触させるように受け取るように配置された内部容積と、
(ii)乾燥流体が前記接触のために内部容積内に導入されるようにする少なくとも1つの乾燥流体入口と、
(iii)容器から噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体を放出するように配置された、内部容積と連通している噴霧乾燥材料出口と、
を備える噴霧乾燥容器と、
(b)噴霧乾燥可能材料を受け取り、前記接触のために霧状噴霧乾燥可能材料を容器の内部容積内に放出するように適合された噴霧器と、
(c)容器の内部容積内の乾燥流体において乱流を発生させるように適合された少なくとも1つのタービュレータと、
(d)乾燥流体の少なくとも1つのタービュレータとの相互作用により、25m/secを超える乱流散逸率をもたらす乱流がもたらされるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合されたプロセス制御ユニットと、
を備える噴霧乾燥システムに関する。
【0184】
こうした噴霧乾燥システムは、本明細書において上述した構成要素、特徴及び付属物のうちの任意のものを用いて利用することができる。例えば、こうした噴霧乾燥システムは、本明細書において上述したように、噴霧乾燥容器の内部容積に導入される乾燥流体の100℃未満の温度等、低温動作に対して適合させることができる。
【0185】
本開示は、さらなる態様において、噴霧乾燥させた材料を製造するプロセスであって、
霧状噴霧乾燥可能材料を発生させることと、
霧状噴霧乾燥可能材料を乾燥流体と接触させて噴霧乾燥させた材料を形成することと、
乾燥流体から噴霧乾燥させた材料を回収することと、
前記接触中、乾燥流体内に25m/secを超える乱流散逸率をもたらす乱流を誘発することと、
を含むプロセスに関する。
【0186】
こうした噴霧乾燥プロセスは、同様に、本明細書において上述した条件、制限及び仕様のうちの任意ものを用いて実施することができる。例えば、こうした噴霧乾燥プロセスは、本明細書において上述したように、霧状噴霧乾燥可能材料と接触した乾燥流体の100℃未満の温度等、低温動作に対して適合させることができる。
【0187】
本開示の噴霧乾燥システム及びプロセスの特徴、態様及び利点は、以下の例示的な実施例を参照してさらに理解される。
【実施例
【0188】
実施例1
2つの低温動作噴霧乾燥器の比較を行った。両乾燥器は、42℃の乾燥流体の入口空気温度と、1%未満の乾燥流体相対湿度で動作するように構成し配置する。乾燥器1は12,175ガロン(53.6m)の内部容積を有し、乾燥器2は3,870ガロン(17.05m)の内部容積を有する。両乾燥器は、同一の条件下で同一の噴霧器動作を採用する。乾燥器1における体積空気流は2200cfmであり、乾燥器2では1800cfmである。乾燥器1は単純な渦巻型入口を有する。乾燥器2は、噴霧器にごく隣接して高レベルの乱流をもたらすように設計された二重トラック渦巻型入口を有する。
【0189】
乾燥器2は、100マイクロメートルを十分に下回るコルモゴロフ長で、上昇した入口空気速度と1000(m/s)を十分に上回る乱流散逸率を示す。
【0190】
図11及び図12に、乾燥器1及び乾燥器2両方に対する半径に応じた乱流散逸率の計算された半径方向分布のグラフを示す。
【0191】
図11は、第1の例示的な噴霧乾燥システム(乾燥器1)に対する、噴霧乾燥容器の内部容積における半径方向距離に応じた、こうした内部容積内の異なる垂直高さにおけるm/secでの乱流散逸率のグラフである。
【0192】
図12は、第2の例示的な噴霧乾燥システム(乾燥器2)に対する、噴霧乾燥容器の内部容積における半径方向距離に応じた、こうした内部容積内の異なる垂直高さにおけるm/secでの乱流散逸率のグラフである。
【0193】
乾燥器2における乱流散逸率は、ピーク領域において乾燥器1におけるものより2桁を超えて大きい。乾燥器1の上方領域における25m/sより大きい値での乱流散逸率の半径方向の広がりは、乾燥器中心線から約0.25mであり、それは、乾燥器2の場合は1mを超えるまで外向きに拡大する。乾燥器2における最高レベルでの乱流散逸率では、コルモゴロフ長は9マイクロメートルほどであり、100マイクロメートル径粒子に対して、比
【数3】
である。
【0194】
両乾燥器において同じフルーツポンチスラリーを乾燥させた。乾燥器1の最高運転速度は1.6lb/minであった。乾燥器2の最高運転速度は2.4lb/minであり、400cfm少ない空気流を使用する乾燥器1の体積の31.8%で40%高速であった。これらの結果により、乾燥流体における乱流の有効な誘導を利用して達成可能な改善の大きさが明らかである。
【0195】
図13は、本開示のさらなる実施形態による噴霧乾燥システム700の概略表現である。
【0196】
図13に示す噴霧乾燥システム700は、内部容積704を有する噴霧乾燥容器702を含む。内部容積内には、入口供給アセンブリ708から下向きに吊るされた噴霧器706が配置されている。入口供給アセンブリ708は、噴霧乾燥可能組成物供給ライン710及び乾燥流体供給ライン712を含み、それらは、噴霧乾燥可能組成物が、好適な供給源(図13には示さず)から供給ライン710を通って噴霧器706まで流されるように配置されている。噴霧器は、噴霧乾燥器容器702の内部容積704内に放出される霧状噴霧乾燥可能組成物を発生させるように動作する。乾燥流体供給ライン712は、供給源(図示せず)から入口供給アセンブリ708を通って噴霧乾燥器容器702の内部容積704に乾燥流体を流す。
【0197】
噴霧乾燥器容器702に、複数のジェットノズルインジェクタ714、716、718、720、722及び724が備えられ、それらは各々、二次乾燥流体源に接合された供給ラインを有する。ジェットノズルインジェクタは、内部容積704内の一次乾燥流体に乱流を誘発するように、好適な流量及び圧力条件で、二次乾燥流体を注入した。
【0198】
ジェットノズルインジェクタに加えて、噴霧乾燥器容器702は、一連の壁面取付タービュレータ728、730、732及び734も含み、それらは、容器の内部容積を通る乾燥流体の流れの間にそれらと接触している乾燥流体内に乱流をもたらすようなサイズ及び形状である。容器の円錐形下方部分の下端部に、流出物放出ライン726があり、それにより、噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体が容器から放出される。噴霧乾燥させた材料及び流出乾燥流体は、サイクロン分離機まで進むことができ、そこで、噴霧乾燥させた材料は流出乾燥流体から回収され、流出乾燥流体は、望ましい場合は、全体的に又は部分的に、システムにおいて再循環するように処理され、又は別法として、システムから排出され、上述したように新たな乾燥流体が導入される。
【0199】
図13に示す噴霧乾燥システムは、プロセス制御ユニット736をさらに備え、それは、処理制御信号伝送ライン738及び740とともに概略的に示し、それにより、少なくとも1つのタービュレータとの乾燥流体の相互作用により、容器の内部容積内の霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満のコルモゴロフ長を有する乱流を乾燥流体内にもたらすように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように、送出ラインと作動的に連結されていることを概略的に表す。したがって、こうした配置は、こうした目的で、噴霧乾燥可能組成物供給ライン710及び乾燥流体供給ライン712においてそれぞれの流量制御弁を含むことができる。
【0200】
さらに又は別法として、プロセス制御ユニットは、容器の内部容積内の霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径が50~300μmの範囲であるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合させることができる。
【0201】
さらに又は別法として、プロセス制御ユニットは、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを、こうした乱流の乱流散逸率が25m/secを超えるように調節するように適合させることができる。
【0202】
プロセス制御ユニットは、任意の好適な方法で構成することができ、さらなるモニタリング、検知及びプロセス制御動作を行うように構成し配置することができる。プロセス制御ユニットは、任意の好適なタイプとすることができ、プロセス制御ユニットにこうした目的で提供されるハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアを用いて噴霧乾燥プロセス動作を実行するようにプログラム可能に配置されている、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、汎用又は専用プログラマブルコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ等を含むことができる。プロセス制御ユニットは、ランダムアクセス、リードオンリ、フラッシュ又は他の特徴のメモリを備えることができ、システムの動作性能に対する動作プロトコル又は他の情報のデータベースを備えることができる。
【0203】
本開示による誘発乱流の使用により、広くさまざまな特徴の噴霧乾燥させた材料の製造のために非常に有効な噴霧乾燥操作の達成が可能になることが理解されよう。誘発乱流の使用を採用して、低温噴霧乾燥操作、例えば、100℃以下の乾燥流体入口温度における噴霧乾燥操作を可能にすることができる。
【0204】
本開示について、本明細書では、具体的な態様、特徴及び例示的な実施形態に関して示したが、本開示の有用性はそのように限定されず、本明細書の記載に基づき、本開示の分野における当業者に示唆されるように、多数の他の変形、変更及び代替実施形態まで広がりかつそれらを包含することが理解されよう。対応して、以下の請求項に係る本発明は、その趣旨及び範囲内に、こうした変形、変更及び代替実施形態のすべてを含むものとして、広く解釈されるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13