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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20221115BHJP
   D06F 39/12 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
D06F39/08 311D
D06F39/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020543671
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2018109455
(87)【国際公開番号】W WO2019085713
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-12-01
(31)【優先権主張番号】201711045215.5
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】鄭玉強
(72)【発明者】
【氏名】寧虎
(72)【発明者】
【氏名】朱国防
(72)【発明者】
【氏名】盧立群
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206428479(CN,U)
【文献】特開平03-111097(JP,A)
【文献】中国実用新案第204825389(CN,U)
【文献】特開2014-087380(JP,A)
【文献】特開2013-255632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 17/10,39/08-39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽(1)、及び、前記外槽(1)の上に配置され、水室を形成する上蓋体及び下蓋体を含む外槽蓋(3)を有する洗濯機であって、
前記外槽蓋(3)は、給水口及び吐水口を有し、前記外槽(1)内に蓄えられた水が上昇されて内槽にスプレーされることで衣類を洗浄し、
前記外槽(1)の上部に溢水口(4)が設けられ
前記洗濯機の前記外槽(1)の内壁には堰止リブ(2)が設置されており前記溢水口(4)と前記堰止リブ(2)の間に溢流ギャップが備わっており、
前記堰止リブ(2)の下縁は、前記溢水口(4)より下方に位置し、前記洗濯機の前記外槽(1)の前記内壁に一体的に成型され、前記堰止リブ(2)の上縁は、前記外槽(1)の前記内壁から離れており、
前記堰止リブ(2)の上縁は前記溢水口(4)の上縁以上に位置し、前記洗濯機の前記外槽(1)の周方向において、前記堰止リブ(2)の長さは、前記溢水口(4)の長さ以上であり、前記堰止リブ(2)は、前記堰止リブ(2)の下縁から、前記堰止リブ(2)の上縁まで延伸するように構成されており、
前記堰止リブ(2)は、前記洗濯機の前記外槽(1)の前記内壁に接続される2つの側壁と、2つの前記側壁の間に接続される凹壁を含み、前記側壁と、前記洗濯機の前記外槽(1)の前記内壁及び前記凹壁は円弧を介して接続されていることを特徴とする洗濯機
【請求項2】
前記溢水口(4)は、前記洗濯機の前記外槽(1)の外周壁から張り出した空間内に設けられ、前記空間の横断面は略三角形構造をなしていることを特徴とする請求項に記載の洗濯機
【請求項3】
前記堰止リブ(2)の上縁は、水平方向において曲線構造をなしていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記溢水口(4)は、前記洗濯機の前記外槽(1)の前記内壁に設けられ、且つ前記洗濯機の前記外槽(1)の軸方向に延伸する複数の線状のスリットであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の洗濯機
【請求項5】
前記線状のスリットは複数の異なる平面に位置しており複数の前記線状のスリットが、垂直面内で波型をなしていることを特徴とする請求項に記載の洗濯機
【請求項6】
前記外槽蓋(3)の上部に溢水保護構造(301)が設けられており、前記溢水保護構造(301)は、前記水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に前記洗濯機の前記外槽(1)の外部に導き、
前記溢水保護構造(301)は前記外槽蓋(3)の上面に設置される排水経路であり、前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に前記外槽の外部へと導く導流構造であることを特徴とする請求項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機の技術分野に属し、具体的には、洗濯機の外槽及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、衣類の洗浄比を向上すべく、洗濯機には、外槽内に蓄えられた水を再利用して内槽の衣類にスプレーし、衣類をよりきれいに洗浄するためのスプレー洗浄機能が増設されている。通常、スプレー機能を備える洗濯機には循環ポンプが設置されており、循環ポンプによって外槽底部の水を外槽蓋まで吸い上げて、外槽蓋から吐水することでスプレー状の水流を形成する。一般的に、外槽蓋は、給水口、水室及び吐水口を含む。水流は給水口から外槽蓋の水室に進入し、水室内に集約された水が吐水口から吐水されることでスプレーがなされる。
【0003】
通常、従来技術のパルセータ洗濯機の外槽には開放式の溢水口が設けられている。このような構造では、洗濯機がスプレー洗浄機能を実行する際にスプレー効果に支障をきたすことがある。且つ、水流が溢水口から吐き出される可能性があり、安全上のリスクが存在する。
【0004】
そこで、スプレー洗浄機能を備える洗濯機に適用可能であり、且つ、想定外の水の溢流を効果的に防止可能な洗濯機の外槽が早急に必要とされている。
【0005】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の瑕疵を解消し、洗濯機の外槽構造を提供することを解決しようとする技術的課題とする。上記の洗濯機の外槽は、水流が洗濯機の外部に想定外に溢流するとの事態を回避可能なだけでなく、スプレー洗浄機能を備える洗濯機に適している。また、新たな金型を作製することなくスプレー洗浄効果の改善に貢献することから、応用可能性に優れている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決すべく、本発明で採用する技術方案の基本思想について以下に述べる。
【0008】
洗濯機の外槽であって、上部に溢水口が設けられている。また、洗濯機の外槽の内壁には、溢水口の下方に位置する堰止リブが設置されている。堰止リブは、溢水口を遮断するよう下から上に延伸しており、溢水口と堰止リブの間には溢流ギャップが備わっている。
【0009】
好ましくは、前記堰止リブは、洗濯機の外槽の内壁に一体的に成型されるか取り外し可能に接続される。
【0010】
好ましくは、堰止リブの上縁は溢水口の上縁以上に位置し、且つ、堰止リブのうち洗濯機の外槽の周方向に延伸する長さは溢水口の長さ以上となっている。
【0011】
好ましくは、堰止リブは下縁が洗濯機の外槽の内壁に一体的に成型されており、上縁及び洗濯機の外槽の周方向に延伸する両側がいずれも自由端となっている。
【0012】
或いは、堰止リブは、洗濯機の外槽の周方向に延伸する両側のうち一方又は両方が洗濯機の外槽の内壁に一体的に成型されており、下縁及び上縁が自由端となっている。
【0013】
好ましくは、堰止リブと洗濯機の内壁表面との間には、外側に窪んだ凹溝構造が形成されている。
【0014】
好ましくは、前記凹溝構造は、洗濯機の外槽の内壁に接続される2つの側壁と、2つの側壁の間に接続される凹壁を含む。側壁と、洗濯機の外槽の内壁及び凹壁はいずれも円弧を介して接続される。
【0015】
好ましくは、溢水口は、洗濯機の外槽の外周壁から張り出した空間内に設けられている。また、前記空間の横断面は略三角形構造をなしている。
【0016】
好ましくは、堰止リブの上縁は曲線構造をなしており、より好ましくはS字構造をなしている。
【0017】
好ましくは、溢水口は、洗濯機の外槽の内壁に設けられ、且つ洗濯機の外槽の軸方向に延伸する複数の線状のスリットである。
【0018】
好ましくは、前記線状のスリットは複数の異なる平面に位置しており、好ましくは、複数の線状のスリットが位置する平面が全体として波型をなしている。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、洗濯機を提供することである。当該洗濯機は、上記で記載したいずれかの洗濯機の外槽を有し、且つ、外槽内に蓄えられた水を上昇させて内槽にスプレーすることで衣類を洗浄可能な機能を備える。
【0020】
好ましくは、当該洗濯機は、上蓋体と下蓋体を含む外槽蓋を有し、上蓋体と下蓋体が接続されて水室を形成している。外槽蓋は給水口を有し、且つ、上部に溢水保護構造が設けられている。前記溢水保護構造は、水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に洗濯機の外槽の外部に導く。
【0021】
より好ましくは、前記溢水保護構造は、外槽蓋の上面に設置される排水経路である。前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く導流構造である。
【発明の効果】
【0022】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0023】
本発明の洗濯機の外槽は、水流が洗濯機の外部に想定外に溢流するとの事態を回避可能なため、安全且つ信頼性に優れる。また、スプレー洗浄機能を備える洗濯機に適している。且つ、新たな金型を作製する必要がないため、研究開発及び製造コストを抑えられる。特に、スプレー洗浄効果の改善に貢献し、衣類洗浄効果がより良好となるため、応用可能性に優れている。
【0024】
本発明の洗濯機の外槽は、溢水保護構造を有する外槽蓋と更に連携することで、洗濯機に異常が生じている状態で給水が継続されたために水が満杯となって溢れ出した場合に、溢れ出た水を決まった方向に外槽と洗濯機の筐体との間の電子部品が存在しない部位まで排出可能である。これにより、危険が回避されるため、いっそう安全且つ信頼性に優れる。また、前記溢水保護構造はシンプルで省スペースなため、洗濯機の容量を増大しやすく、且つ低コストである。
【0025】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0026】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明で記載する洗濯機の外槽と外槽蓋の組み付けを分解した構造を示す図である。
図2図2は、本発明で記載する洗濯機の外槽と外槽蓋の組み付けを分解した構造を示す図である。
図3図3は、本発明で記載する洗濯機の外槽と外槽蓋を一体的に組み付けた構造を示す図である。
図4図4は、本発明で記載する洗濯機の外槽の一部構造を拡大した図である。
図5図5は、本発明で記載する堰止リブと溢水口を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
なお、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0029】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明及び詳述するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0030】
本発明の記載において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0031】
本発明の記載において、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【実施例1】
【0032】
洗濯機の外槽は、上部に溢水口4が設けられている。また、洗濯機の外槽1の内壁には、溢水口4の下方に位置する堰止リブ2が設置されている。堰止リブ2は、溢水口4を遮断するよう下から上に延伸しており、溢水口4と堰止リブ2の間には溢流ギャップが備わっている。
【0033】
前記堰止リブ2は、洗濯機の外槽1の内壁に一体的に成型されるか取り外し可能に接続される。
【0034】
堰止リブ2の上縁は溢水口4の上縁以上に位置し、且つ、堰止リブ2のうち洗濯機の外槽1の周方向に延伸する長さは溢水口4の長さ以上となっている。
【0035】
好ましくは、堰止リブ2は、下縁が洗濯機の外槽1の内壁に一体的に成型されており、上縁及び洗濯機の外槽1の周方向に延伸する両側がいずれも自由端となっている。
【0036】
或いは、堰止リブ2は、洗濯機の外槽1の周方向に延伸する両側のうち一方又は両方が洗濯機の外槽1の内壁に一体的に成型されており、下縁及び上縁が自由端となっている。
【0037】
堰止リブ2と洗濯機の内壁表面との間には、外側に窪んだ凹溝構造が形成されている。
【0038】
前記凹溝構造は、洗濯機の外槽1の内壁に接続される2つの側壁と、2つの側壁の間に接続される凹壁を含む。側壁と、洗濯機の外槽1の内壁及び凹壁はいずれも円弧を介して接続される。
【0039】
溢水口4は、洗濯機の外槽1の外周壁から張り出した空間内に設けられている。また、前記空間の横断面は略三角形構造をなしている。
【0040】
前記空間によって溢水口4を保護可能なため、洗濯機の外槽1とフレーム構造との衝突による溢水口4の損傷が防止される。且つ、当該空間は略三角形の横断面を有し、三角形の頂角部分が一定の支持作用を発揮可能である。よって、洗濯機の外槽の装着がいっそう安定的となり、且つ、装着スペースを増大する必要がない。
【0041】
好ましくは、堰止リブ2の上縁は曲線構造をなしており、より好ましくはS字構造をなしている。
【0042】
溢水口4は、洗濯機の外槽1の内壁に設けられ、且つ洗濯機の外槽1の軸方向に延伸する複数の線状のスリットである。
【0043】
前記線状のスリットは複数の異なる平面に位置しており、好ましくは、複数の線状のスリットが位置する平面が全体として波型をなしている。
【0044】
本発明のもう一つの目的は、上述したような洗濯機の外槽1を有し、且つ、外槽内に蓄えられた水を上昇させて内槽にスプレーすることで衣類を洗浄可能な機能を備える洗濯機を提供することである。
【0045】
当該洗濯機は、上蓋体と下蓋体を含む外槽蓋3を有し、上蓋体と下蓋体が接続されて水室を形成している。外槽蓋3は給水口を有し、且つ、上部に溢水保護構造301が設けられている。前記溢水保護構造301は、水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に洗濯機の外槽1の外部に導く。
【0046】
前記溢水保護構造301は、外槽蓋3の上面に設置される排水経路である。前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く導流構造である。
【実施例2】
【0047】
洗濯機の外槽1は、上部に設けられる溢水口4を含む。また、前記溢水口4に対応する下方部位の内壁には、下から上へ延伸して溢水口4を遮断する堰止リブ2が設けられている。
【0048】
前記堰止リブ2は、洗濯機の外槽1の内壁に一体的に成型されるか取り外し可能に接続される。
【0049】
洗濯機の外槽1の内壁に堰止リブ2を設けることで、洗濯機によるスプレー洗浄又は脱水等の正常動作時に外部への水の溢流を効果的に防止可能となる。また、堰止リブ2を洗濯機の外槽1の内壁に設けることで、洗濯機の研究開発コストの増加を回避可能である。且つ、洗濯機の外槽又は洗濯機のその他の部材(例えば外槽蓋)の体積を増大させる必要がないため、新型の洗濯機の外槽1を装着する際の不都合が回避される。
【0050】
堰止リブ2は、洗濯機の外槽1の内壁に一体成型することで得られるため、構造がより堅固且つ確実となり、その他の装着補助構造を設ける必要もない。且つ、見た目に優れ、製造コストを抑えられる。
【0051】
また、堰止リブ2は、交換、取り外し可能な部材とし、洗濯機の外槽1の内壁に取り外し可能に接続することで、自主選択性を向上させてもよい。この場合、金型に交換可能なインサートを作製するだけで、機能の違いに応じた洗濯機の堰止リブ2を生産可能である。且つ、コストがより抑えられるとともに、装着方式が簡単、迅速となる。
【0052】
上記の取り外し可能な接続は、係接、ボルト接続又はネジ接続等の方式の1又は複数の組み合わせから選択すればよい。
【0053】
堰止リブ2の上縁は溢水口4の上縁以上に位置し、且つ、堰止リブ2のうち洗濯機の外槽1の周方向に延伸する長さは溢水口4の長さ以上となっている。
【0054】
堰止リブ2と洗濯機の内壁表面との間には、外側に窪んだ凹溝構造が形成されている。
【0055】
前記堰止リブ2は、構造の特性として、洗濯機がスプレー洗浄機能を実行する際に、洗濯機のモータの回転速度と連携して、上方に向かうスプレー用の水流をより良好に洗濯機の外槽に進入可能とする。これにより、スプレー用の水流が連続的となり、スプレー効果が向上するとともに、モータの負荷が軽減する。
【0056】
前記凹溝構造は、洗濯機の外槽1の内壁に接続される2つの側壁と、2つの側壁の間に接続される凹壁を含む。側壁と、洗濯機の外槽1の内壁及び凹壁はいずれも円弧を介して接続される。
【0057】
前記凹溝構造は、水流の上昇効果の改善に貢献するだけでなく、堰止リブ2の構造をより堅固且つ確実とする。
【0058】
堰止リブ2の上縁は曲線構造をなしており、好ましくはS字構造をなしている。
【0059】
堰止リブ2の上縁は曲線構造をなしているため、洗濯機の高速運転時に溢水口4の部位に向かって吐き出される水を遮断しやすく、より安全且つ信頼性に優れる。
【0060】
溢水口4は、洗濯機の外槽1の内壁に設けられ、且つ洗濯機の外槽1の軸方向に延伸する複数の線状のスリットである。
【0061】
前記線状のスリットは複数の異なる平面に位置しており、好ましくは、複数の線状のスリットが位置する平面が全体として波型をなしている。
【0062】
溢水口4を複数の線状のスリットとし、且つ一平面に設けないことで、想定外の状況で水流が限界まで上昇した場合には、溢水口4からの溢流が可能なため水はけがより迅速となる一方、洗濯機がスプレー洗浄機能を実行しており、モータが正常に高速運転している場合には、少量の水が溢水口4へと掃き出されたとしても波型の面で遮断可能となることから、溢流による水の損失でスプレー洗浄効果が低下するとの事態が回避される。
【0063】
本発明のもう一つの目的は、上述したような洗濯機の外槽1を有し、且つ、外槽内に蓄えられた水を上昇させて内槽にスプレーすることで衣類を洗浄可能な機能を備える洗濯機を提供することである。
【0064】
好ましい技術手段として、前記洗濯機は、上蓋体と下蓋体を含む外槽蓋3を有し、上蓋体と下蓋体が接続されて水室を形成している。外槽蓋3は給水口を有し、且つ、上部に溢水保護構造301が設けられている。前記溢水保護構造301は、水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に洗濯機の外槽1の外部に導く。
【0065】
好ましくは、前記溢水保護構造301は、外槽蓋3の上面に設置される排水経路である。前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く導流構造である。
【0066】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0067】
本発明の洗濯機の外槽1は、水流が洗濯機の外部に想定外に溢流するとの事態を回避可能なため、安全且つ信頼性に優れる。また、スプレー洗浄機能を備える洗濯機に適している。且つ、新たな金型を作製する必要がないため、研究開発及び製造コストを抑えられる。特に、スプレー洗浄効果の改善に貢献し、衣類洗浄効果がより良好となるため、応用可能性に優れている。
【0068】
本発明の洗濯機の外槽1は、溢水保護構造301を有する外槽蓋3と更に連携することで、洗濯機に異常が生じている状態で給水が継続されたために水が満杯となって溢れ出した場合に、溢れ出た水を決まった方向に外槽と洗濯機の筐体との間の電子部品が存在しない部位まで排出可能である。これにより、危険が回避されるため、いっそう安全且つ信頼性に優れる。また、前記溢水保護構造301はシンプルで省スペースなため、洗濯機の容量を増大しやすく、且つ低コストである。
【実施例3】
【0069】
本実施例は、実施例2の基本思想を元に、洗濯機の外槽蓋3をより優れた設計とする点で実施例2とは異なる。
【0070】
外槽蓋3は上蓋体と下蓋体を含み、上蓋体と下蓋体が接続されて水室を形成している。外槽蓋3は給水口を有する。また、外槽蓋3の上部には溢水保護構造301が設けられている。前記溢水保護構造301は、水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く。前記溢水保護構造301は、水室への異常な給水によって満杯となり溢れ出た水を、決まった方向に外槽と洗濯機の筐体との間の電子部品が存在しない部位まで導く。
【0071】
前記溢水保護構造301は、上蓋体に設けられて水室の上部と連通する排水孔である。
【0072】
水室の内部には、排水孔に対向して堰止リブ2が設けられている。前記堰止リブ2は、排水孔の下部を遮断する第1部と、第1部の上端から延伸して水室の内周壁方向に屈曲する第2部を含む。
【0073】
前記排水孔の外部には、排水孔の底端から外槽蓋3の上面まで延伸し、且つ排水孔の高さを貫通する複数の格子リブが設けられており、隣り合う2本の格子リブの間に独立した排水経路が形成される。
【0074】
排水孔の底端には、外槽蓋3の側周壁の周方向に沿う円弧状の補強リブが設けられている。
【0075】
水室の内周壁には複数の吐水口が設けられている。また、水室と給水口との連通箇所には、長手が外槽蓋3の周方向に沿って延伸する均水リブが設けられている。進入した水は均水リブによって遮られ、給水口両側の水室に向かって分岐するとともに、各吐水口から内槽へと均一にスプレーされる。
【0076】
均水リブは上蓋体又は下蓋体の内表面に設けられる。且つ、均水リブは、給水口と、給水口に対向する水室の内周壁上の吐水口を隔離する。
【0077】
均水リブは、中間リブと、中間リブの左右両側に設けられる左側リブ及び右側リブを含む。中間リブの中心軸線は給水口の中心軸線と重なり合う。中間リブの長さは給水口と水室との連通箇所の給水幅以上である。中間リブの下端面と下蓋体の内表面、又は、上端面と上蓋体の内表面は密封状に接触している。
【0078】
水室の内周壁には複数の吐水孔が設けられており、外槽蓋3には給水口が設けられている。水は前記給水口から水室に進入し、前記吐水孔を経由して内槽にスプレーされる。
【0079】
各吐水孔は独立しており、且つ均一に水室の内周壁に配置されている。或いは、吐水孔は均一に水室の内周壁に配置される複数の吐水孔群とし、各吐水孔群が少なくとも2つの吐水孔を含む。
【0080】
各吐水孔群の各吐水孔同士の間隔は、同一としてもよいし同一でなくともよい。
【0081】
各吐水孔群同士の間隔は、同一としてもよいし同一でなくともよい。
【0082】
本実施例の技術手段は、以下の有益な効果を有する。
【0083】
上記の溢水保護構造301を有する外槽蓋3は、洗濯機に異常が生じている状態で給水が継続されたために水が満杯となって溢れ出した場合に、溢れ出た水を決まった方向に外槽と洗濯機の筐体との間の電子部品が存在しない部位まで案内可能である。これにより、危険が回避されるため、いっそう安全且つ信頼性に優れる。
【0084】
上記の溢水保護構造301を有する外槽蓋3の溢水保護構造301はシンプルで省スペースなため、洗濯機の容量を増大しやすく、且つ低コストである。
【0085】
外槽蓋3に設けられる排水孔を溢水保護構造301として用い、且つ堰止リブ2を設けることで、洗濯機の異常運転時に進入した水が満杯となって電子部品まで溢れ出し、危険をもたらすとの事態を回避可能である。また、外槽蓋3内の水が洗濯機の正常な脱水運転過程で吐き出されるとの事態も防止可能なため、いっそう合理的で信頼性に優れる。
【0086】
給水口と水室との連通部位には均水リブが設けられているため、外槽蓋3の水室内の各吐水部における水圧を効果的に均一とできる。特に、給水口付近と、給水口から離間する異なる部位の水圧を均一にできる。これにより、外槽蓋3の水室における各吐水口がいずれも適切な水圧を有し、外槽蓋3内の水流のスプレーがより均一となるよう保証されるため、スプレー洗浄の効果を向上させやすく、更には衣類の洗浄率が向上する。
【0087】
均水リブの構造はシンプルなため、コスト節約となるだけでなく、外槽蓋3の水室の容積を損なうこともない。このほか、均水リブの設置部位として複数の選択肢を有するため、より柔軟で制御しやすく、適用性に優れている。
【0088】
各吐水孔は独立しており、且つ均一に水室の内周壁に配置される。或いは、吐水孔は均一に水室の内周壁に配置される複数の吐水孔群とし、各吐水孔群が少なくとも2つの吐水孔を含む。これにより、スプレー用の水流がいっそう均一且つ確実となるよう保証可能である。また、噴出される水流がより強い衝撃力を有するため、衣類に対するスプレー洗浄効果を向上可能となり、衣類洗浄効果がいっそう良好となる。
【0089】
前記洗濯機は、運転に異常が発生したときに水が外槽蓋3から溢れ出し、方向が定まらないまま外槽の外部に排出されて電子部品に飛散することによる安全上の潜在リスクを回避可能である。また、洗濯機の容量が増大する。
【0090】
前記洗濯機がスプレーする水流はより確実且つ安定的なため、スプレー洗浄効果がより良好となる。また、洗濯機の衣類洗浄比率が更に向上することから、顧客ニーズにいっそう適合し、市場での将来性が明るい。
【実施例4】
【0091】
本実施例は、溢水保護構造301において実施例3と異なる。本実施例で記載する溢水保護構造301は、外槽蓋3の上面に設置される排水経路である。前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く導流構造であり、好ましくは、前記導流構造は案内溝又は導管である。
【0092】
前記溢水保護構造301によれば、洗濯機の運転に異常が発生した場合に外槽から満杯になって溢れ出た水を、良好に決まった方向へと排出可能となる。よって、方向が定まらないまま水が電子部品の設置位置まで四方に溢流し、安全上の潜在リスクをもたらすとの事態が回避される。
【0093】
外槽蓋3は上蓋体と下蓋体を含み、上蓋体と下蓋体が接続されて水室を形成している。外槽蓋3は給水口を有する。また、外槽蓋3の上部には溢水保護構造301が設けられている。前記溢水保護構造301は、水室が満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く。
【0094】
前記溢水保護構造301は、外槽蓋3の上面に設置される排水経路である。前記排水経路は、満杯となって溢れ出た水を決まった方向に外槽の外部へと導く導流構造であり、好ましくは、前記導流構造は案内溝又は導管である。
【0095】
水室の内周壁には複数の吐水口が設けられている。また、水室と給水口との連通箇所には、長手が外槽蓋3の周方向に沿って延伸する均水リブが設けられている。進入した水は均水リブによって遮られ、給水口両側の水室に向かって分岐するとともに、各吐水口から内槽へと均一にスプレーされる。
【0096】
均水リブは上蓋体又は下蓋体の内表面に設けられる。且つ、均水リブは、給水口と、給水口に対向する水室の内周壁上の吐水口を隔離する。
【0097】
均水リブは、中間リブと、中間リブの左右両側に設けられる左側リブ及び右側リブを含む。中間リブの中心軸線は給水口の中心軸線と重なり合う。中間リブの長さは給水口と水室との連通箇所の給水幅以上である。中間リブの下端面と下蓋体の内表面、又は、上端面と上蓋体の内表面は密封状に接触している。
【0098】
水室の内周壁には複数の吐水孔が設けられており、外槽蓋3には給水口が設けられている。水は前記給水口から水室に進入し、前記吐水孔を経由して内槽にスプレーされる。
【0099】
各吐水孔は独立しており、且つ均一に水室の内周壁に配置されている。或いは、吐水孔は均一に水室の内周壁に配置される複数の吐水孔群とし、各吐水孔群が少なくとも2つの吐水孔を含む。
【0100】
各吐水孔群の各吐水孔同士の間隔は、同一としてもよいし同一でなくともよい。
【0101】
各吐水孔群同士の間隔は、同一としてもよいし同一でなくともよい。
【0102】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に限定するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて行うわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
【符号の説明】
【0103】
1 洗濯機の外槽
2 堰止リブ
3 外槽蓋
301 溢水保護構造
4 溢水口
図1
図2
図3
図4
図5