(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】SFQデータ符号化とNRZデータ符号化との間のインターフェース
(51)【国際特許分類】
H03K 19/195 20060101AFI20221115BHJP
H03M 5/04 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H03K19/195
H03M5/04
(21)【出願番号】P 2020545360
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019019182
(87)【国際公開番号】W WO2019190663
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハー、クエンティン ピー.
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204977(WO,A1)
【文献】特表2015-532806(JP,A)
【文献】特表2019-522864(JP,A)
【文献】特表2020-500439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K3/038
H03K3/38
H03K19/195
H03M5/00-5/22
H01L39/22
G11C11/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆極性
の単一磁束量
子パルス対のレシプロカル量子論
理準拠信号を非ゼロ復
帰符号化電圧信号に変換する超伝導インターフェース回路であって、
逆極性の単一磁束量子パルス
対の入力信号を受信し、反転および遅延信号を供給する反転および遅延回路であって、前記反転および遅延信号を、
前記入力信号の極性を反転して
反転信号を提供し、前記反転信号を遅延させるか、または
前記入力信号を遅延させて
遅延信号を提供し、前記遅延信号の極性を反転させる
ことによって供給するように構成された前記反転および遅延回路と、
前記入力信号と前記反転および遅延信号とを受信して結合することにより
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号を生成するように構成された電流制御電圧源回路と、を備える超伝導インターフェース回路。
【請求項2】
前記反転および遅延回路は、前記入力信号と前記入力信号の反転信号とのうちの少なくとも一方
に遅延を生じさせるように構成された1つまたは複数のジョセフソン伝送ライ
ンと、
単一磁束量子パルスを反転するように構成された極性インバータゲートと、を含む、請求項1に記載の超伝導インターフェース回路。
【請求項3】
前記極性インバータゲートは、誘導結合を介してDC磁束バイアスを受けるように構成された逆巻トランスを含む、請求項2に記載の超伝導インターフェース回路。
【請求項4】
前記1つまたは複数の
ジョセフソン伝送ラインは全体で、半クロックサイクル
の遅延を生じさせるように構成されている、請求項2に記載の超伝導インターフェース回路。
【請求項5】
請求項1に記載の超伝導インターフェース回路と、
逆極性の単一磁束量子パルス対を含むレシプロカル量子論理準拠入力信号を少なくとも部分的に使用して演算を行って、前記
レシプロカル量子論理準拠信号を生成す
るように構成された
レシプロカル量子論理回
路と、
非ゼロ復帰符号化入力電圧信号を前記
レシプロカル量子論理準拠入力信号に変換するように構成された入力超伝導回路と、を備える超伝導演算システム。
【請求項6】
方法であって、
逆極性
の単一磁束量
子パルス対で構成されるレシプロカル量子論
理符号化入力信号を反転および遅延させ
て、反転および遅延させた信号を提供すること、
前記反転および遅延させた信号により非ゼロ復
帰符号化出力電圧信号レベルを復元することであって、前記
レシプロカル量子論理符号化入力信号により前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルの遷移がバイナリ状態間で生じるの
と同時に前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルを復元すること、
少なくとも1クロックサイクルにわたって前記
レシプロカル量子論理符号化入力信号が
逆極性の単一磁束量子パルス対
でなくなるまで
、前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルの復元を繰り返すこと、を備える方法。
【請求項7】
前記復元することは、1つまたは複数の超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を含む超伝導電流制御電圧源の両側に、前記
レシプロカル量子論理符号化入力信号と前記反転および遅延させた信号とを供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
超伝導演算システムであって、
非ゼロ復
帰符号化電圧信号を逆極性
の単一磁束量
子パルス対のレシプロカル量子論
理準拠信号に変換する第1の超伝導インターフェース回路であって、
2つのバイナリ状態の1つの入力電圧レベルを
単一磁束量子パルスに変換するように構成された入力ジョセフソン伝送ライ
ンと、
前記入力
ジョセフソン伝送ラインに接続され、前記
単一磁束量子パルスを反転
単一磁束量子パルスとして反射および反転するように構成された反射
ジョセフソン伝送ラインと、
前記入力
ジョセフソン伝送ラインと前記反射
ジョセフソン伝送ラインとに接続され、前記
単一磁束量子パルスを
レシプロカル量子論理符号化出力信号として送信するのに続いて前記反転
単一磁束量子パルスを逆極性
の単一磁束量子パルス対として送信するように構成された出力
ジョセフソン伝送ラインと、を含む、前記第1の超伝導インターフェース回路と、
逆極性
の単一磁束量
子パルス対の
レシプロカル量子論理準拠信号を
非ゼロ復帰符号化電圧信号に変換する第2の超伝導インターフェース回路であって、
単一磁束量子パルスの入力信号を受信し、反転および遅延信号を供給する反転および遅延回路であって、前記反転および遅延信号を、
前記入力信号の極性を反転して
反転信号を提供し、前記反転信号を遅延させるか、または
前記入力信号を遅延させて
遅延信号を提供し、前記遅延信号の極性を反転させる
ことによって供給するように構成された前記反転および遅延回路と、
前記入力信号と前記反転および遅延信号とを受信して結合することにより
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号を生成するように構成された電流制御電圧源回路と、を含む、前記第2の超伝導インターフェース回路と、を備える超伝導演算システム。
【請求項9】
前記第1の超伝導インターフェース回路は、前記反転
単一磁束量子パルスを前記入力
ジョセフソン伝送ラインに反射して前記入力
ジョセフソン伝送ラインをリセットするように構成される、請求項8に記載の超伝導演算システム。
【請求項10】
前記第1の超伝導インターフェース回路は、前記
単一磁束量子パルスと同じクロックサイクル内で前記出力
ジョセフソン伝送ラインから前記反転
単一磁束量子パルスを送信するように構成される、請求項8に記載の超伝導演算システム。
【請求項11】
前記第1の超伝導インターフェース回路は、前記
単一磁束量子パルスよりも半クロックサイクル遅れて前記出力
ジョセフソン伝送ラインから前記反転
単一磁束量子パルスを送信するように構成される、請求項10に記載の超伝導演算システム。
【請求項12】
前記第1の超伝導インターフェース回路は、前記入力電圧レベルが前記2つのバイナリ状態のうちの1つのままである限り、クロックサイクル毎に1対とされた逆極性
の単一磁束量子パルス対を連続的に送信するように構成される、請求項8に記載の超伝導演算システム。
【請求項13】
前記反射
ジョセフソン伝送ラインは、各々35マイクロアンペアの臨界電流を有する2つのみのジョセフソン接合を含む、請求項8に記載の超伝導演算システム。
【請求項14】
前記入力
ジョセフソン伝送ラインおよび前記出力
ジョセフソン伝送ラインの少なくとも一方が2つのみのジョセフソン接合を含み、前記ジョセフソン接合の一方が35マイクロアンペアの臨界電流を有し、前記ジョセフソン接合の他方が約50マイクロアンペアの臨界電流を有する、請求項8に記載の超伝導演算システム。
【請求項15】
方法であって、
非ゼロ復
帰符号化入力電圧信号の第1の遷移を単一磁束量
子パルスに変換すること、
前記
単一磁束量子パルスを反射して反転
単一磁束量子パルスを生成すること、
出力信号と同じクロックサイクル内において前記
単一磁束量子パルスに続いて前記反転
単一磁束量子パルスを含むパルス対を供給すること、
前記第1の遷移とは逆の第2の遷移が
非ゼロ復帰符号化入力信号に現れるまで前記反射とパルス対の供給とを繰り返して、逆極性
の単一磁束量子パルス対で構成される第1のレシプロカル量子論
理符号化信号を生成すること、
レシプロカル量子論理回路を用いて第1の
レシプロカル量子論理符号化信号を処理して、前記第1の
レシプロカル量子論理符号化信号に基づく第2の
レシプロカル量子論理符号化信号を生成すること、
前記第2の
レシプロカル量子論理符号化信号を反転および遅延させること、
前記反転および遅延させた信号により
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルを復元することであって、前記第2の
レシプロカル量子論理符号化信号により前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルの遷移がバイナリ状態間で生じるの
と同時に前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルを復元すること、
少なくとも1クロックサイクルにわたって前記第2の
レシプロカル量子論理符号化信号が
逆極性の単一磁束量子パルス対
でなくなるまで
、前記
非ゼロ復帰符号化出力電圧信号レベルの復元を繰り返すこと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して超伝導回路に関し、具体的には、単一磁束量子(SFQ)データ符号化を使用する回路と、非ゼロ復帰(NRZ:non-return-to-zero)データ符号化を使用する回路との間のインターフェースに関する。本出願は、2018年3月27日に提出された米国特許出願第15/937418号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
デジタル論理の分野において、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術は高度に開発された周知の技術であり、幅広く使用されている。CMOSが技術として成熟しつつあるため、速度、消費電力計算密度、相互接続帯域幅などの点でより高い性能につながり得る代替技術に関心が向けられている。いくつかの実装では、CMOS技術に代わるものとして、超伝導ジョセフソン接合(JJ)を利用し、20ギガビット/秒(Gb/s)以上の典型的なデータ速度で約4ナノワット(nW)の典型的な信号電力を有し、約4ケルビンの動作温度を有する単一磁束量子回路がある。
【0003】
ゼロ復帰(RZ)符号化は、信号が連続してハイ値を表す場合でも、信号の電圧レベルが(例えば、論理「1」を表す)ハイ値を提示した後に常にロー値に戻るように、デジタル論理値の符号化を電圧信号の2つの値の1つとして記述するものである。対照的に、非ゼロ復帰(NRZ)符号化では、ほぼ瞬時の無視できるグリッチは別として、連続する論理ハイ値は、信号電圧レベルをロー値へと戻す論理ロー値が信号内で提示されるまではハイのままとなる電圧信号として表される。レシプロカル量子論理(RQL)ファミリの関連実装における超伝導システムは、論理ハイのデジタル値を、一方の極性の単一磁束量子(SFQ)パルスの後に、約半クロックサイクル内に、逆極性のリセットSFQパルスが続く(例えば、正のSFQパルスの後に負のSFQパルスが続く)ものとして符号化する。論理ローのデジタル値は、SFQパルスがないものとして符号化される。
【発明の概要】
【0004】
一実施例は、非ゼロ復帰(NRZ)符号化電圧信号を逆極性単一磁束量子(SFQ)パルス対のレシプロカル量子論理(RQL)準拠信号に変換する超伝導インターフェース回路を含む。前記インターフェース回路は、3つのジョセフソン伝送ライン(JTL)を含む。入力JTLは、2つのバイナリ状態の1つの入力電圧レベルをSFQパルスに変換するように構成されている。前記入力JTLに接続された反射JTLは、前記SFQパルスを反転SFQパルスとして反射および反転するように構成されている。前記入力JTLと前記反射JTLとに接続された出力JTLは、前記SFQパルスをRQL符号化出力信号として送信した後に前記反転SFQパルスを逆極性SFQパルス対として送信するように構成されている。
【0005】
別の実施例は、逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号をNRZ符号化電圧信号に変換する超伝導インターフェース回路を含む。前記インターフェース回路は、反転および遅延回路と電流制御電圧源回路とを含む。前記反転および遅延回路は、SFQパルスの入力信号を受信し、前記入力信号の極性を反転し、前記入力信号を遅延させて(反転および遅延をいずれかの順に行って)、反転および遅延信号を提供するように構成されている。電流制御電圧源回路は、入力信号と反転および遅延信号とを受信して結合し、NRZ符号化出力電圧信号を生成するように構成されている。
【0006】
さらに別の実施例は、NRZ符号化電圧信号を逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号に変換する方法を含む。NRZ符号化入力電圧信号の第1の遷移がSFQパルスに変換される。前記SFQパルスが反射されて反転SFQパルスが生成される。前記SFQパルスに続いて前記反転SFQパルスを含むパルス対は、同一クロックサイクル内で出力信号として提供される。前記反射とパルス対の提供は、前記第1の遷移とは逆の第2の遷移が入力信号に発生するまで繰り返される。
【0007】
さらに別の実施例は、逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号をNRZ符号化電圧信号に変換する方法を含む。逆極性SFQパルス対で構成されたRQL符号化入力信号が反転および遅延(順不同)される。出力電圧レベルは、前記入力信号が前記出力電圧レベルをバイナリ状態間で遷移させるのと実質的に同時に、前記反転および遅延された信号によって復元される。前記出力電圧レベルの復元は、前記入力信号が少なくとも1クロックサイクルにわたってSFQパルス対で構成されなくなるまで繰り返される。
【0008】
さらに別の実施例は、超伝導演算システムを含む。超伝導演算システムは、NRZ符号化入力電圧信号を逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号に変換するように構成された入力超伝導回路と、少なくとも部分的にRQL準拠信号を使用して演算を実行し、逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号である結果信号を生成するように構成されたRQL回路と、前記結果信号をNRZ符号化出力電圧信号に変換するように構成された出力超伝導回路とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】単一磁束量子(SFQ)符号化信号を使用して演算を行い、非ゼロ復帰(NRZ)符号化電圧信号を入力および出力する例示的な超伝導演算システムのシステムブロック図である。
【
図1B】
図1Aの超伝導演算システムで使用可能な例示的な入力超伝導インターフェース回路のブロック図である。
【
図1C】
図1Aの超伝導演算システムで使用可能な例示的な出力超伝導インターフェース回路のブロック図である。
【
図2A】ゼロ復帰(RZ)をSFQに変換する例示的なインターフェース回路の例の回路図である。
【
図2B】例示的なRZバイナリ入力パターンと
図2Aの回路によって生成されるRQL符号化出力についての入出力プロットのグラフである。
【
図2C】例示的なNRZバイナリ入力パターンと
図2Aの回路によって生成される出力についての入出力プロットのグラフである。
【
図3A】NRZをSFQに変換する例示的なインターフェース回路の回路図である。
【
図3B】
図3AのNRZ/SFQ変換インターフェース回路で使用可能な例示的なジョセフソン伝送ライン(JTL)構成の回路図である。
【
図3C】例示的なNRZバイナリ入力パターンと
図3Aの回路によって生成されるRQL符号化出力についての入出力プロットのグラフである。
【
図4A】SFQをRZに変換する例示的なインターフェース回路の回路図である。
【
図4B】例示的なRQL入力パターンと
図4Aの回路によって生成されるRZ符号化出力についての入出力プロットのグラフである。
【
図5A】SFQをNRZに変換する例示的なインターフェース回路の回路図である。
【
図5B】例示的なRQL入力パターンと
図5Aの回路によって生成されるNRZ符号化出力についての入出力プロットのグラフである。
【
図6A】SFQをNRZに変換する例示的なインターフェース回路の回路図である。
【
図6B】
図6AのSFQ/NRZ変換インターフェース回路で使用可能な例示的な極性インバータゲートの図である。
【
図7A】NRZ符号化電圧信号を逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号に変換する方法のフロー図である。
【
図7B】逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号をNRZ符号化電圧信号に変換する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、概して、レシプロカル量子論理(RQL)システムおよび関連する方法で使用する論理回路に関する。この開示は、具体的には、CMOSベースのシリアライザおよびデシリアライザなどによって一般的に使用されるような、単一磁束量子(SFQ)データ符号化を用いるシステムと非ゼロ復帰(NRZ)データ符号化を用いるシステムとをインターフェースするための回路および方法に関する。NRZ符号化を使用することにより、ゼロ復帰(RZ)符号化を使用する場合に比べて、半導体エレクトロニクスまたは相互接続帯域幅のいずれかによって制限される伝送速度を2倍に増加させることができる。したがって、本開示の回路および方法は、論理符号化および信号伝送のためにSFQパルスに依存しNRZベースのシステムとインターフェースするレシプロカル量子論理(RQL)システムへの適切なSFQ入力、ならびに同RQLシステムからのNRZ出力を提供する。NRZ符号化入力および出力を使用する本明細書に記載されるタイプのRQL回路は、毎秒2~12ギガビットの範囲で動作するように製造および測定されている。
【0011】
図1Aは、本明細書に記載される符号化インターフェース回路104,108を使用する例示的な超伝導演算システム100を示す。システム100において、室温またはその付近で動作し得る非超伝導回路102,110は、その信号(例えば、データ信号)に室温電子機器の符号化標準であるNRZ符号化を使用する。対照的に、超伝導速度(例えば、マイクロ波周波数クロック速度)で計算処理を実行することができ極低温でも維持可能なRQL回路106は、その信号(例えば、データ信号)にSFQ符号化を使用する。入力超伝導回路104は、NRZ符号化信号(例えば、データ)を、回路106のようにSFQパルスの対を使用する符号化に変換する。この符号化は、RQL超伝導論理によって使用される符号化標準である。出力超伝導回路108は、RQL符号化信号を、非超伝導回路110で使用するためのNRZ符号化に戻すように変換する。この非超伝導回路110は、回路102と同じであってもよいし異なっていてもよいし、および/または回路102と同じ室温システムの一部であってもよい。
図1Aに示される超伝導回路や本明細書に記載される超伝導回路は、例えば、チップ上に単独でもしくは他の超伝導回路とともに実装され、例えば極低温で動作することができる。
【0012】
図1Bは、NRZ符号化電圧信号を逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号に変換するために
図1Aのシステム100で使用され得る入力超伝導回路104のブロック図である。NRZ/SFQコンバータ104は、入力ライン112と、3つのジョセフソン伝送ライン(JTL)114,116,118と、出力ライン120とから構成され得る。入力JTL114は、例えば、トランス結合により入力ライン112を介して供給された電圧レベルを入力SFQパルスに変換するように構成されている。反射JTL116は、例えば、インダクタを介して反射JTLをグランドに接続することにより、および/または反射JTL116におけるコンポーネントのサイズを適切に設定することにより、入力JTL114を介して供給された入力SFQパルスを反射するように構成されている。反射JTL116によって供給された反射パルスは、上記で供給される入力パルスとは極性が反転しており、入力JTL114をリセットするように機能することができる。出力JTLは、出力ライン120を介して入力SFQパルスを伝達し、その後、出力ライン120を介して、反射および反転されたSFQパルスを伝達するように構成されている。
【0013】
図1Cは、逆極性SFQパルス対のRQL準拠信号をNRZ符号化電圧信号に変換するために
図1Aのシステム100で使用され得る出力超伝導回路108のブロック図である。入力ライン122は、SFQパルス対のRQL準拠信号を受信し、これらの入力信号を反転および遅延回路124と電流制御電圧源(CCVS)回路126の双方に順に供給するように構成され得る。反転および遅延回路124は、入力RQL信号の極性を反転するとともに入力RQL信号を(例えば、半クロックサイクルで)遅延し、さらには、その反転および遅延された信号を、CCVS回路126において、例えば、入力信号が供給される側とは反対側に供給するように構成されている。CCVS回路126は、入力信号と反転および遅延信号とを適切に組み合わせて出力ライン128にNRZ符号化出力電圧信号を生成するように構成されている。CCVS回路126は、例えば、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)、もしくは積層構造におけ
る複数のSQUIDを含み得る。
【0014】
図2Aは、RZ符号化をRQL準拠の符号化に変換可能である一方、NRZ符号化をRQL準拠の符号化に変換不可とする例示的な入力超伝導回路200を示す。回路200は、入力ライン202と、トランス結合インダクタL
1,L
2と、ジョセフソン接合J
1と、出力ライン204とを含む。回路200はレベルトリガ型のものであり、入力ライン202に供給された電流が閾値を超えると、ジョセフソン接合J
1は正のSFQパルスを生成し、その入力電流が低下すると、ジョセフソン接合J
1は負のSFQパルスを生成する。入力パターンはデジタル電圧信号として入力ライン202に現れ、対応するSFQパルスが出力204で生成される。図示される例では、RQL符号化データは、論理「1」を符号化する正および負のパルス対で構成され、論理「0」を符号化するパルスはない。この開示で記載される実施例は、1つの組の極性規則に準拠したものであるが、他の実施例では反対の組の信号極性規則を使用できることが理解される。
図2Bは、デジタル信号「11101」に対応するRZ入力パターン206と、一連の正および負のSFQパルスとして符号化された結果の出力信号208を示しており、
図2Bに示されるように、回路200は、入力パターンの立ち上がりエッジで正のSFQパルスを生成し、入力パターンの立ち下がりエッジで負のSFQパルスを生成する。入力パターン206などのRZ入力は、出力パターン208などの正しくRQL符号化されたSFQパルス符号化出力を生成するが、
図2Cの入力パターン210などのNRZ入力では、出力SFQパルスは、同一クロックサイクル内で各々正のパルスの後に負のパルスが続く所望のRQLデータ符号化を提示しないものとなる。
図2Cは、同じデジタル信号(「11101」)についてNRZ入力パターン210が与えられた場合に回路200によって生成される欠陥のあるRQLデータ符号化出力212を示す。
【0015】
図3Aは、
図1Aの回路104に対応し得る入力回路300を示す。
図2Aの回路200と同様に、回路300は、入力ライン302と、トランス結合インダクタL
1,L
2と、出力ライン304とを含む。また、回路300は、3つのジョセフソン伝送ラインJTLIN,JTLOUT,JTL
RZからなる分岐JTL段と、グランドに対するインダクタL
3とを含む。分岐JTL段は、1つの分岐がグランドに短絡されたスプリッタとして実装されており、これにより、SFQ信号の反射が引き起こされることで、分岐においてすべての正パルスの後に負パルスが生成される。
図3Aでは、スプリッタ回路網における双方向信号が双方向の矢印として示されている。
【0016】
図2Aの回路200と同様に、回路300は、閾値を超える(superthreshold)入力電圧に応答して正のSFQパルスを生成し、その正のSFQパルスは、入力ジョセフソン伝送ラインJTLINから出力ジョセフソン伝送ラインJTLOUTに伝搬して出力304から出力される。しかしながら、この正のSFQパルスは、ノード306における分岐を介してゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZにも伝搬し、インダクタL
3を介してグランドに伝わり、永続的な電流のSFQとして一時的に保持される。半クロックサイクル後、保持されたパルスは、ゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZから負のパルスとして戻される。アクティブなゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZの動作は、入力の正の電圧パルスが終端で反射するときに反転して負の電圧パルスとして戻るという点で、短絡で終端したパッシブ伝送ラインの動作に類似している。しかしながら、パッシブ伝送ラインとは異なり、効果は自走共振ではなく、往復動作により、クロックサイクルごとに1度、回路が完成する。
【0017】
図3Bは、
図3Aに示された各ジョセフソン伝送ラインJTL
IN,JTL
OUT,JTL
RZに使用可能な例示的なJTL構造308を示す。この構造308は、インダクタL
Aへ給電する公称入力INと、公称出力OUTとを有している。コンポーネントのサイズは、双方向の信号フローを可能にするように選択され得る。これは、ジョセフソン伝送ラインJTL
IN,JTL
RZにおいて特に重要である。一例として、入力および出力ジョセフソン伝送ラインJTL
IN,JTL
OUTは、約35μAの臨界電流を有するようにサイズ設定された第1のジョセフソン接合J
Aと、約50μAの臨界電流を有するようにサイズ設定された第2のジョセフソン接合J
Bとを有しており、それら電流値の相対的比率により分岐が促される。すなわち、35μA接合は50μA接合を駆動することができ、50μA接合は2つの35μA接合を並列に駆動することができ、ファンアウトするにしたがって√2ずつ増加するバイナリツリーが可能となる。一例として、ゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZは、約35μAの臨界電流を有するようにサイズ設定されたジョセフソン接合J
A,J
Bの両方を有し得る。ゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZが、サイズの一致しないジョセフソン接合を有する他の実施例では、2つのジョセフソン接合のうちより小さなサイズを有するものをノード306の近くに配置することで回路性能が向上する。回路308においてAC電流源BIASで表されるように、RQLクロック、例えば、4相AC-RQLクロックを使用することにより、各JTLにバイアスをかけることができる。
【0018】
反射および反転されたパルスは、ゼロ復帰ジョセフソン伝送ラインJTL
RZからノード306に現れると、出力ジョセフソン伝送ラインJTL
OUTを介して出力304に伝達されるとともに、入力ジョセフソン伝送ラインJTL
INをリセットし、これにより、入力電圧パターンがハイのままである(すなわち、閾値を超える)限り再度発生することができる。これにより、回路300の分岐JTL段は、正の各SFQパルスの後、半クロックサイクル後に負のSFQパルスを出力304に生成し、それにより、回路300をリセットして、入力302がハイのままとされる各クロックサイクルで正のSFQパルスを生成可能とする。対応するローパルスは、NRZ入力パターンに立ち下がりエッジがあるかどうかに関係なく、ハイ入力パルスに応答して常に出力304に供給される。したがって、
図3Cのプロットに示されるように、回路300は、NRZ入力パターン310を適切に符号化されたRQL信号312に変換する。
【0019】
図4Aは、ジョセフソン接合超伝導相を出力電圧に変換する例示的な出力回路400を示し、ここで、ジョセフソン接合超伝導相はSFQ電圧パルスの積分として定義される。図示の例では、電流制御電圧源は、ジョセフソン接合J
1、インダクタL
2、インダクタL
4、およびジョセフソン接合J
2からなる単一出力SQUIDで構成されているが、電流制御電圧源は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,724,083B2号に記載されるような所望の増幅量を提供するためのスタック設計として提供することもできる。回路400は、入力ライン402を介して供給されたRQLデータ符号化をRZパターンに変換して、出力ライン404に出力する。
図4Bは、「11101」パターンを形成するためのSFQパルスからなる例示的な入力信号410と、RZパターンを有する対応するJJ位相412および出力電圧信号414とを示す。上記のように、場合によってはNRZパターンが望ましいが、回路400は、NRZ出力パターンを生成することができない。
【0020】
図5Aは、
図1Aの回路108に対応し得る例示的な出力回路500を示す。回路500は、電流制御電圧源に対して一方の側に入力パルス列(「信号A」)を供給し、他方の側に同じパルス列の遅延および反転コピー(「信号B」)を供給するという点で回路400と異なる。図示のように、信号Aのパルス列は、第1の入力ライン502を介して回路の左側に供給され、信号Bのパルス列は、第2の入力ライン504を介して回路の右側に供給される。出力電圧パターンは、出力ライン506を介して送出される。信号Aによって回路500の左側から正のSFQパルスが入力された後、半クロックサイクル後の信号Aによってジョセフソン伝送ラインJTL
Aを介して負のSFQパルスが入力される。この負のSFQパルスは、RZ符号化回路400の機能と同様に、出力電圧をローにする効果をもたらすが、実質的に同時に、回路500の右側からジョセフソン伝送ラインJTL
Bを介して入力された遅延および反転信号Bのパルスによってハイ出力電圧が復元される。信号Aと信号Bの影響間におけるわずかなタイミング差があると、
図5Bに細い縦線で示されるごくわずかなグリッチが出力信号に生じる場合がある。
【0021】
図5Bに示されるように、SFQパルス信号512としてプロットされた遅延および反転コピー信号Bは、信号510としてプロットされたRQL符号化入力信号Aから半クロックサイクルだけ遅延される。一次インダクタL
1/L
3のSFQパルスによって生成されたグリッチを含む電流は、ジョセフソン接合J
1,J
2とトランスインダクタL
2,L
4とを含む出力SQUIDによって出力506の電圧に変換され、出力電圧信号514として示されている。信号Aに対を有さない信号Bの最後の正のパルスは、インダクタに電流がない初期の状態を復元することにより、
図5Bにおいて出力を最終的にローにする。したがって、回路500は、RQL符号化データをNRZ出力パターンに変換する。回路400に関して説明したように、回路500の電流制御電圧源は単一のSQUIDとして示されているが、回路500に基づく他の実施例の設計では、回路500と同様な符号化変換機能を達成しつつ、スタックSQUID電流制御電圧源を実装することができる。
【0022】
図6Aは、入力信号(「信号A」)を遅延および反転して第2の信号(「信号B」)を供給することにより、入力ライン602に供給されたSFQパルスのRQL符号化入力を出力ライン608に送出されるNRZ符号化電圧パターンに変換する回路500と同様に機能する別の実施例の出力回路600を示す。図示の回路600は、回路400,500と同じSQUID構成を含むが、上記のように、スタックSQUID構成を電流制御電圧源として使用することもできる。回路600は、ジョセフソン伝送ラインJTL
4,JTL
5を使用して、信号Aを信号Bに変換するために必要な時間遅延を発生させる。例えば、ジョセフソン伝送ラインJTL
4,JTL
5は全体で、半クロックサイクル(すなわち、180°)
の遅延を発生させることができる。例えば、ジョセフソン伝送ラインJTL
4,JTL
5の各々は、1/4クロックサイクル(すなわち、90°)の遅延を発生させることができる。JTL遅延は、RQL-ACクロックの位相整合によって実現することができる。回路600の種々の箇所での入力信号の合計遅延は、
図6Aの種々のJTLシンボル内の度数で示される。したがって、図示の例では、ジョセフソン伝送ラインJTL
1,JTL
2,JTL
3,JTL
6は遅延をもたらさないため、遅延なしの入力信号が電流制御電圧源の左側に信号Aとして供給され、入力信号を180°遅延させたものが電流制御電圧源の右側に信号Bとして供給される。
【0023】
回路600では、回路500に関して上述した極性反転が極性インバータゲート610を用いて達成される。
図6Bは、
図6Aのゲート610に使用可能な例示的な極性インバータゲート650を示し、逆巻トランスを備えている。このトランスの磁束バイアスを使用することで、正のパルスと負のパルスを対称にすることができる。インバータゲート設計650がゲート610として使用される場合、
図6AのJTL
5の先頭インダクタを極性インバータゲート610に組み込むことができる。また、
ジョセフソン極性および論理インバータゲート(Josephson Polarity and Logical Inverter Gates)という発明の名称の米国特
許第10090841号に記載されるような他の極性インバータゲート設計も、回路600のゲート610に使用することができる。
【0024】
回路600では、ジョセフソン伝送ラインJTL5,JTL6に印加される磁束バイアスは、ジョセフソン伝送ラインJTL5,JTL6が正のSFQパルスの前に負のSFQパルスを生成するため、他のJTLに対して負の極性のものである。出力において一次インダクタL1/L3を駆動するジョセフソン伝送ラインJTL2,JTL6は、それぞれDC磁束バイアス線上のトランス結合インダクタL5,L8を介して、グランドに接続され磁束バイアスが適用されるそれぞれインダクタL6,L7にも接続することができる。インダクタL6,L7は、それぞれジョセフソン接合J3,J4と並列に配置することができる。この配置は、正と負のパルス間の対称性を形成するのに役立つ。
【0025】
図7Aは、超伝導回路で使用するためのNRZ符号化信号をRQL符号化信号に変換する方法700を示す。NRZ符号化入力電圧信号が超伝導回路に供給(702)される。入力信号における第1の電圧レベル遷移(例えば、ローからハイへの遷移)はSFQパルスに変換(704)される。次いで、JTL、例えば、
図3の回路300に示されるようにインダクタを介してグランドに接続されたJTLを介して、SFQパルスが反転SFQパルスとして反射(706)される。次いで、この反転SFQパルスが、同じサイクル内で、(元の)SFQパルスに続いて、例えば、
図1Aの回路106のような超伝導速度RQL処理回路に供給(708)される。このような反射(706)およびパルス対の供給(708)は、第1の遷移と反対の第2の遷移(例えば、ハイ電圧からロー電圧への遷移)が入力信号に現れるまで繰り返され(708)、第2の遷移が入力信号に現れた時点で反射と供給が停止してSFQパルスは供給されなくなる。これにより、NRZ符号化信号入力に基づいて、正確な符号化RQL信号の供給が実現される。
【0026】
図7Bは、超伝導回路で使用されるRQL符号化信号をNRZ符号化信号に変換する方法750を示す。SFQパルス対(例えば、クロックサイクルごとに1つのパルス対)で構成されるRQL符号化入力信号が超伝導回路に供給(712)される。この入力信号が反転および遅延(714)されて(これらが行われる順序は問わない)、例えば、入力信号が供給(712)される側とは反対側において、超伝導回路に供給(716)される。方法750の超伝導回路は、例えば、それぞれ
図5Aおよび
図6Aに示される回路500,600について上述したように、SQUIDまたはスタックSQUIDなどで構成され得るような電流制御電圧源で構成することができる。入力信号の供給(712)により出力電圧レベルの(例えば、ハイからローへの)遷移が生じるのと実質的に同時に遅延および反転信号の供給(716)が行われることによって、出力電圧レベルが復元(718)される(例えば、ハイのままとされる)。この出力電圧レベルの復元(718)は、少なくとも1クロックサイクルにわたって入力信号がSFQパルス対で構成されなくなるまで繰り返される(720)。RQL符号化入力信号におけるSFQパルス対の瞬間的な「サイレンシング」(silencing)は、RQL/NRZ変換方式に従って出力電圧レベルが適切に遷移した(例えば、ハイからローに移行した)ことを意味する。クロックサイクル長は、例えば、入力信号において直接連続するRQL符号化SFQパルス対の開始間の時間(例えば、連続する2つの論理「1」の開始間の時間)として定義することができる。
【0027】
RQL回路のいくつかの位相モード論理(PML)実装は、本明細書で使用されるRQL符号化方式とは異なり、リセットパルスを必要としない符号化方式で動作する。この開示は、主に、符号化方式においてリセットパルスを利用するRQL実装に関係する。
【0028】
以上の説明は本発明の例示である。本開示を説明する目的のために構成要素または方法のあらゆる考えられる組み合わせを記載することは勿論不可能であり、当業者は本開示のさらなる多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識し得る。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような代替、変形、および変更を包含することが意図される。また、本開示または請求項が「1つの~」、「第1の~」、または「別の~」という要素を列挙するかまたはそれらの同等物を列挙する場合には、1つまたは2つ以上のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必須とするものでも、2つ以上のそのような要素を除外するものでもない。本明細書で使用される「含む」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
非ゼロ復帰(NRZ)符号化電圧信号を逆極性単一磁束量子(SFQ)パルス対のレシプロカル量子論理(RQL)準拠信号に変換する超伝導インターフェース回路であって、
2つのバイナリ状態の1つの入力電圧レベルをSFQパルスに変換するように構成された入力ジョセフソン伝送ライン(JTL)と、
前記入力JTLに接続され、前記SFQパルスを反転SFQパルスとして反射および反転するように構成された反射JTLと、
前記入力JTLと前記反射JTLとに接続され、前記SFQパルスをRQL符号化出力信号として送信するのに続いて前記反転SFQパルスを逆極性SFQパルス対として送信するように構成された出力JTLと、
を備える超伝導インターフェース回路。
(付記2)
前記反転SFQパルスを前記入力JTLに反射して前記入力JTLをリセットするように構成された付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記3)
前記SFQパルスと同じクロックサイクル内で前記出力JTLから前記反転SFQパルスを送信するように構成された付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記4)
前記SFQパルスよりも半クロックサイクル遅れて前記出力JTLから前記反転SFQパルスを送信するように構成された付記3に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記5)
前記反射JTLがインダクタを介してグランドに接続されている、付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記6)
前記入力電圧レベルが前記2つのバイナリ状態のうちの1つのままである限り、クロックサイクル毎に1対とされた逆極性パルス対を連続的に送信するように構成された付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記7)
前記反射JTLは、各々約35マイクロアンペアの臨界電流を有するようにサイズ設定された2つのみのジョセフソン接合を含む、付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記8)
前記入力JTLおよび前記出力JTLの少なくとも一方が2つのみのジョセフソン接合を含み、前記ジョセフソン接合の一方が約35マイクロアンペアの臨界電流を有するようにサイズ設定されており、前記ジョセフソン接合の他方が約50マイクロアンペアの臨界電流を有するようにサイズ設定されている、付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記9)
前記3つのJTLの各々はRQLクロック信号によってバイアスされる、付記1に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記10)
超伝導演算システムであって、
付記1に記載の超伝導インターフェース回路と、
RQL準拠信号を少なくとも部分的に使用して演算を実行し、逆極性SFQパルス対を含むRQL準拠結果信号を生成するように構成されたRQL回路と、
前記RQL準拠結果信号をNRZ符号化出力電圧信号に変換するように構成された出力超伝導回路と、
を備える超伝導演算システム。
(付記11)
逆極性単一磁束量子(SFQ)パルス対のレシプロカル量子論理(RQL)準拠信号を非ゼロ復帰(NRZ)符号化電圧信号に変換する超伝導インターフェース回路であって、
SFQパルスの入力信号を受信し、反転および遅延信号を供給する反転および遅延回路であって、前記反転および遅延信号を、
前記入力信号の極性を反転してその反転信号を遅延させるか、または
前記入力信号を遅延させてその遅延信号の極性を反転させる
ことによって供給するように構成された前記反転および遅延回路と、
前記入力信号と前記反転および遅延信号とを受信して結合することによりNRZ符号化出力電圧信号を生成するように構成された電流制御電圧源回路と、
を備える超伝導インターフェース回路。
(付記12)
前記反転および遅延回路は、前記入力信号と前記入力信号の反転信号とのうちの少なくとも一方に位相遅延を生じさせるように構成された1つまたは複数のジョセフソン伝送ライン(JTL)と、SFQパルスを反転するように構成された極性インバータゲートと、を含む、付記11に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記13)
前記極性インバータゲートは、誘導結合を介してDC磁束バイアスを受けるように構成された逆巻トランスを含む、付記12に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記14)
前記1つまたは複数のJTLは全体で、半クロックサイクルの位相遅延を生じさせるように構成されている、付記12に記載の超伝導インターフェース回路。
(付記15)
付記11に記載の超伝導インターフェース回路と、
前記RQL準拠信号を生成するための演算を行うように構成されたRQL回路であって、逆極性SFQパルス対を含むRQL準拠入力信号を少なくとも部分的に使用する前記RQL回路と、
NRZ符号化入力電圧信号を前記RQL準拠入力信号に変換するように構成された入力超伝導回路と、
を備える超伝導演算システム。
(付記16)
方法であって、
非ゼロ復帰(NRZ)符号化入力電圧信号の第1の遷移を単一磁束量子(SFQ)パルスに変換すること、
前記SFQパルスを反射して反転SFQパルスを生成すること、
出力信号と同じクロックサイクル内において前記SFQパルスに続いて前記反転SFQパルスを含むパルス対を供給すること、
前記第1の遷移とは逆の第2の遷移が入力信号に現れるまで前記反射とパルス対の供給とを繰り返すこと、
を備える方法。
(付記17)
前記第1の遷移が、ロー電圧からハイ電圧への第1の電圧レベル遷移である、付記16に記載の方法。
(付記18)
前記パルス対は、正のSFQパルスと、それに続く半クロックサイクル後の負のSFQパルスとからなる、付記17に記載の方法。
(付記19)
方法であって、
逆極性単一磁束量子(SFQ)パルス対で構成されるレシプロカル量子論理(RQL)符号化入力信号を反転および遅延させること、
前記反転および遅延させた信号により非ゼロ復帰(NRZ)符号化出力電圧信号レベルを復元することであって、前記入力信号により前記出力電圧信号レベルの遷移がバイナリ状態間で生じるのと実質的に同時に前記出力電圧信号レベルを復元すること、
少なくとも1クロックサイクルにわたって前記入力信号がSFQパルス対で構成されなくなるまで前記出力電圧信号レベルの復元を繰り返すこと、
を備える方法。
(付記20)
前記復元することは、1つまたは複数の超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を含む超伝導電流制御電圧源の両側に、前記入力信号と前記反転および遅延させた信号とを供給することを含む、付記19に記載の方法。