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特許7177166注射器アセンブリ用の注射器ストッパおよびプランジャロッドの配置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】注射器アセンブリ用の注射器ストッパおよびプランジャロッドの配置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20221115BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/31 530
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020546503
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 US2019022300
(87)【国際公開番号】W WO2019182870
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】62/645,353
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エム.ライアン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540490(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047295(WO,A1)
【文献】特表2015-505252(JP,A)
【文献】特表2010-528773(JP,A)
【文献】米国特許第06171286(US,B1)
【文献】特表2012-525947(JP,A)
【文献】特表2002-515268(JP,A)
【文献】特表2000-514335(JP,A)
【文献】特開2010-184140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分配端部、開口端部、および前記開口端部に隣接する少なくとも1つの突出部(protrusion)を含んでいる実質的に円筒形の注射器バレルであって、前記少なくとも1つの突出部は、注射器バレルの内面から内向きに突出している前記注射器バレルと、
前記注射器バレルの前記開口端部内に受け入れられるように構成されたストッパと、
長手方向軸に沿って近位端部から遠位端部まで延びるプランジャロッド本体およびその遠位端部に設けられた少なくとも1つの支持ディスクを有するプランジャロッドと、を含んで、
前記プランジャロッドの前記支持ディスクは、前記注射器バレル内で前記プランジャロッドが不整列のときに、前記注射器バレルの前記突出部を押し付けるように構成されて、
前記少なくとも1つの支持ディスクは、前記プランジャロッド上の互いに離間された2つの支持ディスクを含んで、
前記支持ディスク間に設けられて、前記プランジャロッドは、前記注射器バレル内の前記プランジャロッドの不整列時に曲がるように構成された可撓性領域をさらに含んでいる、注射器アセンブリ。
【請求項2】
前記注射器バレルの前記少なくとも1つの突出部は、前記注射器バレルの内周面の周りに延在する連続リブである、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持ディスクは、前記プランジャロッドが前記注射器バレル内で不整列であるとき、第1の支持ディスクが第1の荷重支持点で前記突出部の近位側を押し付け、第2の支持ディスクは第2の荷重支持点で前記突出部の遠位側を押し付けるように、前記プランジャロッド上の互いに離間された2つの支持ディスクを含んでいる、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項4】
前記プランジャロッドはさらに、前記支持ディスクに隣接して前記プランジャロッド本体に画定された凹部を含み、この凹部は、前記プランジャロッド本体の外面から延びる2つの突出部材によって画定されており、
前記注射器バレル内で前記プランジャロッドが不整列のとき、第1の突出部材は第1の荷重支持点で前記突出部の近位側を押し付け、第2の突出部材は第2の荷重支持点で前記突出部の遠位側を押し付け、前記支持ディスクは、第3の荷重支持点で前記注射器バレルの前記内面を押し付ける、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項5】
前記プランジャロッドは、前記遠位端部に設けられ、前記ストッパへ接続するように構成された取り付け部材をさらに含んでいる。
前記支持ディスクは、前記取り付け部材から近位方向に離間されている、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項6】
前記プランジャロッド本体は、剛性の外側本体部材と、前記剛性の外側本体部材内に設けられた可撓性の内側本体部材とをさらに含んで、
前記可撓性の内側本体部材は、前記注射器バレル内の前記プランジャロッドの不整列時に曲がるように構成されている、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項7】
前記プランジャロッド本体は、前記ストッパと接続するように構成された取り付け部材をさらに含んで、
前記取り付け部材は、前記可撓性内側本体部材の遠位端部に設けられている、請求項6に記載の注射器アセンブリ。
【請求項8】
前記ストッパは、開いた後端部、閉じた前端部、および前記プランジャロッドの前記遠位端部を受け入れる内部キャビティを画定する本体部分を含んで、
前記内部キャビティの内面は、前記注射器バレル内での前記プランジャロッドの不整列の際に、前記プランジャロッドのための荷重支持点として機能するように構成された凹部を画定している、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項9】
前記ストッパは、開いた後端部、閉じた前端部、および前記プランジャロッドの前記遠位端部を受け入れる内部キャビティを画定する主本体部分を含み、
前記内部キャビティの内面の一部分は、前記プランジャロッド本体の前記遠位端部から延びる複数の突起(projections)を受け入れるように構成された複数のノッチを画定し、
前記注射器バレル内での前記プランジャロッドの不整列の際に、前記プランジャロッド本体の少なくとも1つの突起が、荷重支持点において前記ストッパの前記内部キャビティの対応するノッチを押し付ける、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項10】
前記ストッパは熱可塑性エラストマーで作られている、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項11】
注射器アセンブリで使用するためのプランジャロッドであって、前記プランジャロッドは、前記長手方向軸に沿って近位端部から遠位端部まで延びるプランジャロッド本体と、その遠位端部に設けられた少なくとも2つの支持ディスクとを含んで、
前記プランジャロッドの前記支持ディスクは、注射器バレル内での前記プランジャロッドの不整列の際に、前記注射器バレルの突出部を押し付けるように構成されて、
前記支持ディスク間に設けられる前記プランジャロッドが、前記注射器バレル内の前記プランジャロッドの不整列時に曲がるように構成された可撓性領域をさらに含んでいる、プランジャロッド。
【請求項12】
前記遠位端部に設けられて、ストッパに取り付けられるように構成されている取り付け部材をさらに備え、前記支持ディスクが前記取り付け部材から近位方向に離間されている、請求項11に記載のプランジャロッド。
【請求項13】
前記支持ディスクに隣接して前記プランジャロッド本体に画定された凹部をさらに含んで、
前記凹部は、前記プランジャロッド本体の外面から延びる2つの突出部材によって画定される、請求項11に記載のプランジャロッド。
【請求項14】
前記プランジャロッド本体は、剛性の外側本体部材と、前記剛性の外側本体部材内に設けられた可撓性の内側本体部材とをさらに含んで、
前記可撓性の内側本体部材は、前記注射器バレル内での前記プランジャロッドの不整列の際に曲がるように構成されている、請求項11に記載のプランジャロッド。
【請求項15】
前記プランジャロッド本体は、ストッパと接続するように構成された取り付け部材をさらに含んで、
前記取り付け部材は、前記可撓性内側本体部材の遠位端部に設けられている、請求項14に記載のプランジャロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、注射器で使用するためのストッパアセンブリ、より詳細には、注射器で使用するためのストッパおよびプランジャロッドの配置に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年3月20日に出願された「注射器アセンブリ用の注射器ストッパおよびプランジャロッドの配置」と題された米国仮出願番号第62/645,353号に対する優先権を主張し、その全範囲は、参照によりこの出願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
現在の注射器デザインは、通常、2ピース注射器または3ピース注射器に分類できる。典型的な3ピース注射器は、一端部に形成されたアクセス開口部と、反対側の端部に形成されたより小さい排出開口部とを有する管状のバレルを含んでいる。細長いプランジャの先端部は、バレル内でスライド可能であるように、バレルのアクセス開口部内に受け入れられている。プランジャの先端部に取り付けられているのは、バレルの内面をぴったりとシールする柔軟なシール部材すなわちストッパである。ニードル、ねじ付きの部材、またはねじ無しの部材が、通常、バレルの排出開口部に取り付けられる。ニードルは、注射器をカテーテルなどの別の医療装置に取り付けるためにねじ付き部材が使用されて、表面を穿刺するべく使用され得る。可撓性のストッパは、通常、ゴムまたは架橋または熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材料から製造される。
【0004】
一方、2ピースの注射器には、プランジャロッドヘッドとして知られている、剛性のあるシーリングディスクの形をした「ストッパ」が含まれている。それは、通常、プランジャロッドの他の部分と同じ硬質プラスチックで作られている。2ピース型注射器のシール力は、剛性のあるプランジャロッドヘッドの周りで変形する薄い弾性バレルに由来している。
【0005】
使用中、注射器の排出端部は、流体と接触して最初に設置される。例えば、注射器のニードルは液体薬剤に挿入され得る。吸引として知られているプロセスである、プランジャがバレル内で後退されるとき、バレルの端部内に負圧が形成され、流体がバレル内に引き込まれるのを生じさせる。注射器は、その後、バレル内でのプランジャの前進がバレルの排出端部から流体が押し出されるすなわち排出されるのを生じさせる第2の位置に移動されてもよい。
【0006】
現在の2ピースおよび3ピースの注射器デザインは、さまざまな欠点に悩まされている。場合によっては、高温オートクレーブ滅菌プロセス中に注射器が使用されることがある。オートクレーブは、典型的には、手術器具、実験器具、医薬品、および、その他の材料の滅菌に使用される。固体、液体、中空、およびさまざまな形やサイズの器具を滅菌することができる。オートクレーブのチャンバは、医療器具や実験器具を沸点以上に加熱して滅菌している。蒸気はオートクレーブの滅菌剤であり、典型的には、比較的高温高圧に生成されている。
【0007】
通常、オートクレーブ滅菌サイクル中に高温と高圧に曝される注射器のデザイン(設計)では、ストッパのベース材料に加硫ゴムを使用している。しかしながら、オートクレーブ滅菌プロセスで使用される注射器のストッパの用途で加硫ゴムを使用することには、いくつかの重大な欠点が存している。加硫ゴムのバルク材料コストは、熱可塑性エラストマーなどの代替材料よりも大幅に高い。さらに、加硫ゴムは、射出成形可能な熱可塑性エラストマーと比較すると、設備投資と生産労働の両方において製造コストが高くなる。加硫ゴムはまた、熱可塑性エラストマーと比較して、注射器に保存されている薬剤に悪影響を与える可能性がある比較的高い化学的漏出特性も有している。
【0008】
これらの不利な特性のため、医療機器メーカーは、予充填のオートクレーブされた注射器においては、熱可塑性エラストマーの使用を開始した。しかしながら、熱可塑性エラストマー材料は、加硫ゴムの注射器と比較して、高温圧縮永久ひずみ特性に対する抵抗が大幅に低い。したがって、熱可塑性エラストマー材料で作られた注射器ストッパは、許容可能な流体シールの堅牢性機能につながる高いオートクレーブ温度での降伏を低くするために、比較的低い接触応力集中でデザインされている。
【0009】
一部の製造業者はまた、ストッパへのプランジャロッドの側面荷重の伝達を低減するために、より複雑な多部品プランジャロッドのデザインを部分的に使用して、ストッパに熱可塑性エラストマー材料を使用することも行っている。これは、ストッパ応力によって生じる降伏と漏れを効果的に減少させている。しかしながら、多部品の注射器デザインは、製造および組立コストを増加させる傾向がある。加えて、多部品プランジャロッドのデザインは、軸方向と角度方向の両方において、より大きな機械的なバックラッシュまたは遊びを有する。このバックラッシュは、消費者(臨床医)にとって最適な注入位置制御(感触)ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、熱可塑性エラストマーと共に使用するための、改善された注射器のストッパおよびプランジャロッドの配置を提供することである。この改善された配置は、注射器のシール性能の堅牢性を向上させるために、オートクレーブ滅菌プロセス中に配置が受ける高温をよりよく許容するように構成されている。新しい配置により、注射器のストッパに熱可塑性エラストマー樹脂などのより低い圧縮永久ひずみ性能の材料を使用できるようになるが、注射器に必要な無菌性、漏れ、その他の性能要件は満たされる。注射器ストッパに熱可塑性エラストマー樹脂を使用することで、従来の加硫ゴム製注射器ストッパと比較して、バルク材料コスト、製造コスト、注射器薬物への浸出毒素を大幅に削減できる。
【0011】
熱可塑性エラストマーを注射器ストッパに組み込んで、オートクレーブ注射器で使用するには、ストッパの応力集中を減らして、材料の降伏を減らし、シール圧力を上げることができる。さらに、プランジャロッド側の負荷は、プランジャロッドから注射器バレルに直接に伝達することができ、非対称のストッパの撓みによって引き起こされる負荷/漏れを減らすことができる。
【0012】
ストッパのリブにおけるストッパシール応力集中が、高温オートクレーブ滅菌処理中に生じる局部的なストッパのリブの降伏を最小限に抑えるべく、低減され得る。この応力集中の低減は、ストッパのリブの接触面積と、ストッパの内部構造的特徴および全体的なバレル締り嵌めとのバランスをとることによって達成できる。流体のシールの堅牢性は、輸液中の液圧をストッパの円錐部内部の支持機能と併用することによって、高められる。これらの支持機能は、注射器液に圧力がかかったときに、ストッパの円錐部がわずかに折り畳まれたり、わずかに曲がったりするのを許容する。円錐部の曲がりは、ストッパの円錐部の基部がストッパのリブに半径方向の荷重を加えることを生じさせ、それは、注射器の流体圧力に比例してシール接触圧力を増加させる。
【0013】
プランジャロッドが側面荷重を受けたときのストッパの不整列はまた、プランジャロッドとバレルとの間の角度の不整列を制限するデザイン機能を組み込むことによって低減されてもよい。プランジャロッドの角度の不整列は、プランジャロッドとストッパとの間に角屈曲可能なプランジャロッドのデザイン機能を組み込むことによって、さらに減らすことができる。角屈曲可能な機能は、プランジャロッドからバレルへの角度の不整列の負荷が、プランジャロッドとストッパとの界面において、分離されるまたは大幅に低減されるのを許容する。
【0014】
本発明の一態様によれば、注射器アセンブリは、流体分配端部、開口端部、および開口端部に隣接する少なくとも1つの突出部(protrusion)を含んでいる実質的に円筒形の注射器バレルであって、少なくとも1つの突出部は、注射器バレルの内面から内向きに突出している注射器バレル、注射器バレルの開口端部内に受け入れられるように構成されたストッパ、および長手方向軸に沿って近位端部から遠位端部まで延びるプランジャロッド本体およびその遠位端部に設けられた少なくとも1つの支持ディスクを有するプランジャロッド、を含んでいる。プランジャロッドの支持ディスクは、注射器バレル内でプランジャロッドが不整列のときに、注射器バレルの突出部を押し付けるように構成されている。注射器バレルの少なくとも1つの突出部は、注射器バレルの内周面の周りに延在する連続リブである。少なくとも1つの支持ディスクは、プランジャロッドが注射器バレル内で不整列であるとき、第1の支持ディスクが第1の荷重支持点で突出部の近位側を押し付け、第2の支持ディスクは第2の荷重支持点で突出部の遠位側を押し付けるように、プランジャロッド上の互いに離間された2つの支持ディスクを含んでいる。プランジャロッドはさらに、支持ディスクに隣接してプランジャロッド本体に画定された凹部を含み、この凹部は、プランジャロッド本体の外面から延びる2つの突出部材によって画定されている。注射器バレル内でプランジャロッドが不整列のとき、第1の突出部材は第1の荷重支持点で突出部の近位側を押し付け、第2の突出部材は第2の荷重支持点で突出部の遠位側を押し付け、支持ディスクは、第3の荷重支持点で注射器バレルの内面を押し付ける。プランジャロッドは、遠位端部に設けられ、ストッパへ接続するように構成された取り付け部材をさらに含んでいる。支持ディスクは、取り付け部材から近位方向に離間されている。プランジャロッド本体は、剛性の外側本体部材と、剛性の外側本体部材内に設けられた可撓性の内側本体部材とをさらに含んでいる。可撓性の内側本体部材は、注射器バレル内のプランジャロッドの不整列時に曲がるように構成されている。プランジャロッド本体は、ストッパと接続するように構成された取り付け部材をさらに含んでいる。取り付け部材は、可撓性内側本体部材の遠位端部に設けられている。少なくとも1つの支持ディスクは、プランジャロッド上の互いに離間された2つの支持ディスクを含んでいる。支持ディスク間に設けられて、プランジャロッドは、注射器バレル内のプランジャロッドの不整列時に曲がるように構成された可撓性領域をさらに含んでいる。ストッパは、開いた後端部、閉じた前端部、およびプランジャロッドの遠位端部を受け入れる内部キャビティを画定する本体部分を含んでいる。内部キャビティの内面は、注射器バレル内でのプランジャロッドの不整列の際に、プランジャロッドのための荷重支持点として機能するように構成された凹部を画定している。ストッパは、開いた後端部、閉じた前端部、およびプランジャロッドの遠位端部を受け入れる内部キャビティを画定する主本体部分を含む。内部キャビティの内面の一部分は、プランジャロッド本体の遠位端部から延びる複数の突起(projections)を受け入れるように構成された複数のノッチを画定している。注射器バレル内でのプランジャロッドの不整列の際に、プランジャロッド本体の少なくとも1つの突起(projection)が、荷重支持点においてストッパの内部キャビティの対応するノッチを押し付ける。ストッパは熱可塑性エラストマーで作られている。
【0015】
本発明の別の態様において、注射器バレル内で使用するためのプランジャロッドに取り付けるように適合されたストッパは、開いた後端部、閉じた前端部、および後端部と前端部の間に画定された内部キャビティであって、内部キャビティの内面から外向きに延びるノッチを含む内部輪郭を画定し、ノッチが、内部輪郭の第1の接触面を内部輪郭の第2の接触面から分離する内部キャビティを画定する主本体部分、主本体部分の外面から主本体部分の外周の周りに延在する第1のリブ、および第1のリブから離間した第2のリブであって、主本体部分の外面から主本体部分の外周の周りに延在する第2のリブを含んでいる。第1の接触面の幅は第1のリブの幅と実質的に等しく、第2の接触面の幅は第2のリブの幅と実質的に等しい。内側輪郭に画定されたノッチは、内側輪郭から主本体部分の外面まで主本体部分の減少された厚さを提供する。主本体部分の閉じられた前端部は、先端を備える円錐形状を有している。主本体部の外面には、第1のリブと第2のリブとの間に凹部が形成されている。凹部の幅は、ノッチの幅と実質的に等しい。少なくとも1つの折り畳み可能な切り欠きが、内部キャビティの内部輪郭に画定されている。折り畳み可能な切り欠きは、圧力下で、ストッパが折り畳まれまたは曲がるのを可能にする。ストッパは熱可塑性エラストマーで作られている。
【0016】
本発明の別の態様において、注射器アセンブリで使用するためのプランジャロッドは、長手方向軸に沿って近位端部から遠位端部まで延びるプランジャロッド本体と、その遠位端部に設けられた少なくとも2つの支持ディスクを含んでいる。プランジャロッドの支持ディスクは、注射器バレル内でのプランジャロッドの不整列の際に、注射器バレルの突出部を押し付けるように構成されている。取り付け部材が遠位端部に設けられ、ストッパに取り付けられるように構成されている。支持ディスクは、取り付け部材から近位方向に離間されている。プランジャロッドは、支持ディスクに隣接してプランジャロッド本体に画定された凹部をさらに含んでいる。凹部は、プランジャロッド本体の外面から延びる2つの突出部材によって画定される。プランジャロッド本体は、剛性の外側本体部材と、剛性の外側本体部材内に設けられた可撓性の内側本体部材とをさらに含んでいる。可撓性の内側本体部材は、注射器バレル内でのプランジャロッドの不整列の際に曲がるように構成されている。プランジャロッド本体は、ストッパと接続するように構成された取り付け部材をさらに含んでいる。取り付け部材は、可撓性内側本体部材の遠位端部に設けられている。支持ディスク間に設けられて、プランジャロッドは、注射器バレル内のプランジャロッドの不整列時に曲がるように構成された可撓性領域をさらに含んでいる。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴および特性、ならびに構造の関連する要素の動作方法および機能ならびに製造の部品および経済の組み合わせは、すべて本明細書の一部を形成し、同一の参照番号は、様々な図の対応する部分を示している添付の図面を参照しつつ、以下の説明および添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになるであろう。しかしながら、図面は例示および説明のみを目的としており、本発明の制限の定義として意図されていないことが明確に理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一態様によるストッパの側面図である。
図2図2は、図1のストッパの側断面図である。
図3図3は、プランジャロッド、図1のストッパおよび本発明の別の態様による注射器バレルの側断面図である。
図4図4は、プランジャロッド、ストッパ、および本発明の別の態様による注射器バレルの側断面図である。
図5図5は、プランジャロッド、ストッパ、および屈曲位置で示されている図4の注射器バレルの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明の目的のため、用語「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「横方向」、「長手方向」、およびそれらの派生語は、図面で方向付けられているように、本発明に関係する。しかしながら、本発明は、明示的に反対に特定されていない限り、様々な代替変形を想定できることを理解されたい。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定のデバイスは、本発明の単なる例示的な態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示されている態様に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0020】
図1および図2を参照するに、ストッパ2の第1の態様は、プランジャロッドを受け入れるように構成された開放後端部6と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前端部8とを画定する主本体部分4を含んでいる。一態様では、ストッパ2は、熱可塑性エラストマーで作製されている。ストッパ2は、任意の代替の硬質または軟質のプラスチックで作られることもまた企図される。主本体部分4の閉鎖前端部8は、実質的に円筒形の部分9、どちらも先端14に向かって延在する単一の円錐面の一部である、第1の角度付き部分10、および第2の角度付き部分12を含み、それにより、実質的に円錐形の外観を備える閉鎖前端部8を提供している。しかしながら、可撓性ルーフのこの形状は、ルーフが平坦であってもよいので、本発明を限定するものと見なされるべきではない。そのようなルーフは、ストッパの可撓性ルーフが内側に曲がり、半径方向に横方向に拡張するという、曲がるルーフの動作を提供しないであろう。図1に示されるように。少なくともディンプル16、18が、閉鎖前端部8の第1の角度付き部分10および第2の角度付き部分12の外面から延在している。ディンプル16、18は、注射手順の終わりにおいて逆流を防止するために、注射器バレルの前部分とストッパ2が接触しないようにデザインされている。第1の角度付き部分10および第2の角度付き部分12から延びる1つのディンプル16、18だけが示されているが、これらの表面に追加の特徴が設けられ、またはこれらの表面にディンプルが設けられないことが企図されてもよい。
【0021】
図2に示されるように、ストッパ2の主本体部分4は、以下に記載されるように、実質的に中空であり、プランジャロッドの取り付け部分を受け入れるようにデザインされている。ストッパ2の主本体部分4は、プランジャロッドの取り付け部分を受け入れる内部キャビティ20を画定している。内部キャビティ20は、主本体部分4の後端部6と閉鎖前端部8との間に形成されている。内部キャビティ20は、主本体部分4に内側輪郭22を画定している。内側輪郭22は、プランジャロッドの取り付け部分の一部分を受け入れて、取り付け部分を内部キャビティ20内に保持するように構成されたノッチ24を画定している。ノッチ24は、主本体部分4の円筒形部分9に画定され、内部キャビティ20の内面から外方に、かつ内側輪郭22の円周面の周りに延在している。内側輪郭22の画定されたノッチ24は、主本体部分4の残りの部分の厚さと比較されると、主本体部分4の内側輪郭22から外面までの主本体部分4の減少された厚さを画定している。ノッチ24は、内側輪郭22の第1の接触面25aと第2の接触面25bとの間に画定されている。円筒形部分9の厚さの減少は、ストッパのリブ接触面に伝達するプランジャロッドの不整列荷重力を減少させるのに役立つ。
【0022】
内部キャビティ20の内側輪郭22はまた、前端部8の外面の第1の角度付き部分10および第2の角度付き部分12に対応する、ストッパ2の前端部8における第1の角度付き部分26および第2の角度付き部分28を画定する。どちらも単一の円錐面の一部である第1の角度付き部分26および第2の角度付き部分28は、閉鎖前端部8の内面に実質的に円錐の外観を提供している。第1の角度付き部分26および第2の角度付き部分28に隣接して、一対の折り畳み可能な切り欠き30、32が内側輪郭22に画定されている。折り畳み可能な切り欠き30、32は、主本体部分4の内側輪郭22に画定されたノッチまたは凹部である。折り畳み可能な切り欠き30、32は、前端部8の可撓性ルーフが軸方向内側に後方に曲がるのを生じさせる流体圧力下にストッパがあるときに、主本体部分4の隣接部分が半径方向外側に曲がることを許容するべく設けられている。半径方向外側に曲げられる主本体部分4の部分は、ストッパ2と注射器バレルとの間のシール接触圧力が、ストッパ2に作用する注射器流体圧力に比例するように、主本体部分4の外面を、ストッパ2と注射器バレルとの間の締まり嵌めを改善するために、ストッパ2が動いている注射器バレルの内面と接触した状態に保つのに役立つ。
【0023】
図1および2を参照するに、主本体部分4の円筒部分9の外面は、後端部6に隣接して設けられた第1のリブ34と、主本体部分4の前端部8に隣接して設けられた第2のリブ36とを含んでいる。一態様では、リブ34、36は、円筒形部分9の円周外面全体に延在する。別の態様では、リブ34、36は、円筒形部分9の円周外面周りにセグメントで提供される。リブ34、36は、注射器バレルの内面に対する支持点として機能するべく、円筒部分9の外面から外向きに延在している。第1のリブ34は、円筒形部分9で第2のリブ36から離間されている。図2に示されるように、第1のリブ34の幅は、内側輪郭22の第1の接触面25aの幅と実質的に等しい。第2のリブ36の幅は、内側輪郭22の第2接触面25bの幅と実質的に等しい。リブ34、36の幅は、内側輪郭22の接触面25a、25bの幅に実質的に等しいので、注射器バレルの内面に対するリブ34、36のバランスの取れた支持が達成される。この機能は、ストッパ2内でのストッパシールの応力集中を減らすのに役立つ。この応力集中の低減により、高温オートクレーブ滅菌処理中に生じる局部的なストッパのリブの降伏が減少する。材料の降伏の低下は、ストッパ2の受動的シーリングの堅牢性を高めることにつながる。円筒形部分9の第1のリブ34および第2のリブ36は、主本体部分4の外面に凹部38を形成している。凹部38の幅は、内側輪郭22に画定されたノッチ24の幅に実質的に等しい。凹部38の表面は、注射器バレルの内面と接触しない。
【0024】
図3を参照するに、ストッパ2は、プランジャロッド40および注射器バレル42と共に使用されて、注射器アセンブリ44を形成するように示されている。ストッパ2およびプランジャロッド40は、注射器バレル42と共に使用するように適合されている。注射器バレル42は、医療グレードのプラスチックまたはガラスで作られている。プランジャロッド40は、医療グレードのプラスチックで作られている。注射器バレル42は実質的に円筒形であり、開口近位端部46から注射器アセンブリ44の使用中に流体が排出される遠位分配端部(図示せず)まで延びている。遠位分配端部は、出口開口部および/または別個の医療デバイス(カテーテルなど)に取り付けるための機構(ルアー取り付け体など)を含んでいる。開口端部46は、ストッパ2およびプランジャロッド40を受け入れるように構成されている。フランジ48が、開口端部46の円周表面の周りに設けられている。少なくとも1つの突出部50が、注射器バレル42の内面52から内向きに突出している。一態様では、突出部50は、注射器バレル42の内面52の全周面の周りに延在する。別の態様では、突出部50は、内面52の周面の周りに延在する複数のセグメントとして設けられる。突出部50は、注射器バレル42の開口端部46に隣接して設けられている。注射器バレル42の突出部50から遠位の位置に追加の突出部が設けられることもまた企図される。
【0025】
プランジャロッド40は、プランジャロッド40を遠位方向に押し下げると、ストッパ2が注射器バレル42内で遠位方向に移動して、流体を注射器バレル42の分配端部の外に導くように、ストッパ2に動作可能に接続されている。プランジャロッド40は、主本体部分54、少なくとも1つの支持ディスク56、58、および取り付け部材60を含んでいる。主本体部分54は、プランジャロッド40を遠位方向または近位方向に動かすためのアクチュエータボタンまたはタブ(図示せず)を有する近位端部と、支持ディスク56、58が形成される遠位端部とを含んでいる。支持ディスク56、58は、主本体部分54の遠位端部から外向きに延び、注射器バレル42の形状に対応するように実質的に円形の形状である。しかしながら、支持ディスク56、58は、注射器バレル42に収容される代替の形状を有し得ることが企図される。第1の支持ディスク56は、主本体部分54の遠位端部で第2の支持ディスク58から近位方向に離間されている。支持ディスク56、58は、実質的に同じ直径を有する。
【0026】
プランジャロッド40の取り付け部材60は、プランジャロッド40の遠位端部に設けられ、プランジャロッド40の支持ディスク56、58から遠位方向に離間されている。取り付け部材60は、支持ディスク56、58よりも小さい直径を有している。取り付け部材60はまた、取り付け部材60から遠位方向に延びている少なくとも1つの把持突出部62を含んでいる。把持突出部62は、取り付け部材60をストッパ2の内部キャビティ20に挿入する際に、ストッパ2を把持するのを助けるように構成されている。使用中、プランジャロッド40は、取り付け部材60がストッパ2の内部キャビティ20に挿入されるように、ストッパ2の開いた後端部6に遠位方向に押し込まれる。プランジャロッド40が遠位方向に移動されると、取り付け部材60は、ストッパ2の内側輪郭22に画定されているノッチ24内に移動される。取り付け部材60とノッチ24との間のこの相互接続を使用して、プランジャロッド40は、ストッパ2およびプランジャロッド40が、注射器バレル42内で互いに連動して動くようにストッパ2内に保持される。プランジャロッド40がストッパ2と一体に成形されてこの配置を形成することもまた企図される。ノッチ24の直径は、取り付け部材60の直径よりも大きいので、プランジャロッド40は、ストッパ2に対して旋回することができる。
【0027】
図3に示されるように、注射器アセンブリ44の使用中に、プランジャロッド40は、注射器バレル42、ストッパ2、およびプランジャロッド40を通って延びる注射器アセンブリ44の長手方向軸Aに対して正しく整列されないことがある。プランジャロッド40の不整列は、注射器アセンブリの長手方向軸Aに対する臨床医のプランジャロッド40への親指荷重不整列が原因で発生する可能性がある。プランジャロッド40への側面負荷力Bにより、プランジャロッド40は、注射器アセンブリ44の長手方向軸Aに対して角度αだけ旋回され得る。この側面負荷力Bに基づいて、プランジャロッド40の取り付け部材60がストッパ2内で旋回し、ストッパ2の一部に応力が集中する。これらの応力集中により、ストッパ2と注射器バレル42の間のシールが劣化したり、ストッパ2の材料が高温下で摩耗したりすることがある。プランジャロッド40の不整列の影響を減らすために、支持ディスク56、58は、注射器バレル42の内面52から延びる突出部50を押し付けるように構成されている。長手方向軸Aに対してプランジャロッド40が旋回すると、近位の支持ディスク56は、突出部50の近位側を押し付けるように構成され、および遠位支持ディスク58は、突出部50の遠位側を押し付けるように構成されている。突出部50は、プランジャロッド40の旋回量を制限し、ストッパ2内の取り付け部材60によって加えられる支持力を低減するために、支持ディスク56、58の支持点として機能する。突出部50を支点として使用することは、側面負荷力Bのかなりの部分がプランジャロッド40から注射器バレル42にバレル反負荷力Cとして直接に伝達されるのを生じさせ、プランジャロッド40からストッパ2に伝達される負荷力の減少に帰する。ストッパ2の側面での負荷力の減少は、ストッパ2と注射器バレル42との間のシールにおける非対称のストッパ撓みによって誘発される負荷/漏れを減少させる。
【0028】
図4を参照するに、注射器アセンブリ64の別の態様が示されている。この態様では、注射器バレル42は、図3の注射器アセンブリ44に記載されているものと同じである。しかしながら、この態様のストッパ66およびプランジャロッド68は、図3に示された注射器アセンブリ44のストッパ2およびプランジャロッド40とはわずかに異なる。ストッパ66は、ストッパ2におけるノッチ24を含まないことを除き、ストッパ66は、図3のストッパ2と同様の特徴の全てを有している。代わりに、ストッパ66は、ストッパ66の内側輪郭72に複数のノッチ70を画定している。
【0029】
プランジャロッド68は、主本体部分74、少なくとも1つの支持ディスク76、78、およびストッパ66と接続するように構成された取り付け部材80を含んでいる。取り付け部材80は、プランジャロッド68の遠位端部に設けられ、支持ディスク76、78から遠位方向に間隔を置かれている。取り付け部材80は、支持ディスク76、78およびストッパ66の内部キャビティよりも小さい直径を有している。複数の突出部82が、取り付け部材80の円周外面に設けられ、ストッパ66内で取り付け部材80を接続するように構成されている。突出部82は、実質的に三角形であり、形状においてストッパ66に画定されたノッチ70に対応している。したがって、プランジャロッド68がストッパ66に向かって遠位方向に移動されると、取り付け部材80がストッパ66の内部キャビティに挿入される。取り付け部材80がストッパ66の内部キャビティ内で遠位方向に移動すると、突出部82は、ストッパ66内の第1のノッチ70から第2のノッチ70に移動される。ノッチ70は、ストッパ66内での取り付け部材80の遠位方向への動きを可能にするが、ストッパ66からの取り付け部材80の近位方向への動きを防いでいる。
【0030】
引き続き図4を参照するに、凹部84が、プランジャロッド68の主本体部分74に画定されている。凹部84は、第1の支持ディスク76から近位方向に画定されている。凹部84は、第1の支持ディスク76と主本体部74から延びる突出部86との間に形成されている。凹部84は、注射器バレル42内でのプランジャロッド68の不整列の際に、ストッパ66に伝達される支持負荷を低減するのを助ける。プランジャロッド68の注射器バレル42内への組み立ての際に、プランジャロッド68は、注射器バレル42の突出部50がプランジャロッド68の凹部84内に配置されるまで、注射器バレル42内で遠位方向に移動される。プランジャロッド68への側面支持荷重のせいで、注射器バレル42内でのプランジャロッド68の不整列の際には、プランジャロッド68は、注射器アセンブリ64の長手方向軸Aから角度αだけ旋回する。プランジャロッド68が旋回されると、突出部86の遠位端部が注射器バレル42の突出部50の近位側を押し付け、そして第1の支持ディスク76の近位側が突出部50の遠位側を押し付ける。さらに、第2の支持ディスク78は、注射器バレル42の内面を押し付け得る。取り付け部材80の突出部82はまた、ストッパ66に画定されたノッチ70を押し付ける。
【0031】
プランジャロッド68はまた、第1の支持ディスク76と第2の支持ディスク78との間に可撓性領域88を含んでいる。一態様では、可撓性領域88は、プランジャロッド68の残りの部分よりもより可撓性である。可撓性領域88の可撓性のせいで、プランジャロッド68の不整列時に、ストッパ66内の取り付け部材80の不整列の角度は減少される。特に、可撓性領域88は、プランジャロッド68の不整列に伴って撓み且つ旋回することが許容されるので、側面支持荷重が取り付け部分86に完全には伝達されず、取り付け部分86は、プランジャロッド68の主本体部分74よりも小さい角度で旋回する。特に、取り付け部材80の旋回角βは、主本体部74の旋回角αよりも小さい。ストッパ66内での取り付け部材80のより小さい旋回のせいで、ストッパ66に加えられる取り付け部材80からの側面負荷力は減少される。ストッパ66への側面負荷力のこの減少は、ストッパ66と注射器バレル42の内面との間のシール面での撓みによって引き起こされる漏れを減少させる。
【0032】
図5を参照するに、注射器アセンブリ90の別の態様が示されている。注射器アセンブリ90は、ストッパ66、注射器バレル42、およびプランジャロッド92を含んでいる。ストッパ66は、図4に開示されたものと同じストッパ66である。注射器バレル42は、図3および4に開示されたのと同じ注射器バレル42である。しかしながら、プランジャロッド92は、図3のプランジャロッド40および図4のプランジャロッド68には設けられていないいくつかの特徴を含んでいる。プランジャロッド92は、少なくとも1つの外側本体部材94、内側本体部材96、少なくとも1つの支持ディスク98、100、およびプランジャロッド92をストッパ66に接続するための取り付け部材102を含んでいる。一態様では、複数の外側本体部材94が内側本体部材96を取り囲んでいる。外側本体部材94は硬質プラスチック材料で作られ、内側本体部材96は可撓性プラスチック材料で作られている。内側本体部材96は、外側本体部材94内に延在している。プランジャロッド92への側面支持荷重のせいでのプランジャロッド92の不整列の際には、内側本体部材96は、注射器バレル42内のプランジャロッド92の旋回角αを減少させるべく撓むように構成されている。外側本体部材94は、プランジャロッド92の旋回中、剛性のままである。一態様では、取り付け部材102は、プランジャロッド92の不整列中における内側本体部材96の屈曲のせいで、取り付け部材102からストッパ66へ伝達される側面支持荷重の量が減少されるように、内側本体部材96の遠位端部に形成されている。プランジャロッド92の不整列中、内側本体部材96は大きな撓みを経験するが、外側本体部材94は剛性のままである。剛性外側本体部材94は、側面支持荷重の大部分を、上述のように、注射器バレル42の突出部50に当接している支持ディスク98、100を介して、プランジャロッド92から注射器バレル42に伝達するようにデザインされている。
【0033】
本発明の特定の態様が詳細に説明されたが、開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替を開発できることが当業者には理解されよう。したがって、開示された特定の構成は、例示のみを目的とし、添付の特許請求の範囲の全幅およびそのありとあらゆる均等物が与えられるべき発明の範囲に関して限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5