(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ビーム案内グリッドを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20221115BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20221115BHJP
G01N 23/046 20180101ALI20221115BHJP
【FI】
G01T7/00 B
A61B6/03 320Z
G01N23/046
(21)【出願番号】P 2020554538
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2019057253
(87)【国際公開番号】W WO2019192859
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】102018107969.9
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520381528
【氏名又は名称】レオンハルト エー.カー.
【氏名又は名称原語表記】Leonhardt e.K.
【住所又は居所原語表記】Mozartstrasse 26, 73269 Hochdorf Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオンハルト, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュモール, ガンナー
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-345467(JP,A)
【文献】特開2002-191596(JP,A)
【文献】特開2010-223836(JP,A)
【文献】特開2003-251658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 7/12
A61B 6/00 - 6/14
G01N 23/046
G21K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線吸収金属粉末と結合剤、特にタングステン粉末と結合剤との混合物から、複数の通路(40)と前記通路を包囲する複数の壁領域とから成るグリッドを備える成型品で構成されるビーム案内グリッド(4)を製造する方法であって、
前記成型品は射出成形によって製造され、前記射出成形においては、均一化された前記混合物が、流動可能に準備された射出材料として、前記成型品を形成する成型ツール(7)内に射出成形機を用いて充填され、前記射出材料が前記充填される前に、移動可能なモールドコア(72)が前記成型ツール(7)の内部に導入され、
前記成型の間、前記通路(40)の複数の軸を共通の焦点に向かって互いに鋭角に整列させるために、前記成型ツール内の前記モールドコア(72)は、前記通路(40)の向き、グリッド、形状に従って配置され且つ形成され、保管ユニット(8)上で前記成型ツール(7)の壁セクションの外側に保持され、前記射出材料の導入および予備凝固の後であって前記成型品を排出する前に、前記通路(40)から引き抜かれ、
前記モールドコア(72)は、前記成型ツール(7)の前記壁セクションにおいて個々に割り当てられた供給貫通孔を通して導入され、これらの供給貫通孔を通して引き抜かれ、この場合、前記モールドコア(72)は、前記保管ユニット(8)にフローティングの手段で保持されており、これにより、導入および引き抜きの間、前記通路(40)および前記供給貫通孔を斜めに位置決めることで、xおよび/またはy方向の横方向の移動成分が補償されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記射出成形に使用される前記結合剤は、予熱され且つ可塑化された、熱可塑性プラスチック材料または熱硬化性プラスチック材料であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が、前記熱可塑性プラスチック材料として使用されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記結合剤に対する前記タングステン粉末の比が、体積%で30/70から98/2の範囲であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記成型工程の準備のために、前記モールドコア(72)は、変位ユニット(9)を用いて成型位置に配置され、前記変位ユニット(9)は、前記モールドコア(72)とともに前記保管ユニット(8)を成型位置に移動させ、予備凝固の後、前記モールドコア(72)は、前記保管ユニット(8)を移動させる前記変位ユニット(9)によって前記通路(40)から引き抜かれることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム案内グリッドを製造する方法、及び、当該方法を用いて製造されたビーム案内グリッドに関し、当該ビーム案内グリッドは、複数の通路とこれらの通路を包囲する壁領域で作られ、且つ放射線吸収金属粉末と結合剤、特にタングステン粉末と結合剤の混合物で作られたグリッドを備える成形品から製造されている。
【背景技術】
【0002】
このタイプのビーム案内グリッドは、散乱防止グリッド又はコリメータとしても知られており、特にX線又はガンマ線診断において、例えばコンピュータ断層写真撮影装置において使用され、被検対象物の撮像における一次撮像光線に重畳される干渉散乱放射線をできるだけ吸収し、その後の検出器装置において可能な最も干渉のない撮像を達成し、最も正確に読み取れる画像を得る。このタイプの光案内グリッドは、例えば100μmの厚さ範囲の薄い壁領域によって囲まれ、且つ約1mm以下の開口幅を有する複数の通路を有し、当該通路の中心通過軸は、放射源が配置される相互の焦点に方向付けられている。これにより、個々の通路チャネルが互いに対して斜めに配向され、その結果、このようなビーム案内グリッドの製造には問題が生じる。壁領域は、できるだけ吸収性の材料であって、例えば、タングステン、又はX線またはガンマ線に対して同等の吸収能力を有する金属を含有する材料から作られる。
【0003】
ビーム案内グリッドを製造するための最初に言及されたタイプの方法が、欧州特許出願公開第1298678号明細書において提案されている。この公知の方法では、通路チャネルまたは不透過性の壁領域に対応する基体が、ラピッドプロトタイピング技術を用いて、放射線の作用によって構造材料を層状に凝固させることによって構築され、この基体に、ビーム案内グリッドまたは散乱防止グリッドまたはコリメータが製造される。例えば、散乱放射線を吸収するための材料が、液体状態で基体の隙間に充填され、冷却によって凝固される。次いで基体の材料を除去することができ、その結果、吸収性材料の骨格のみがビーム案内グリッドとして残る。別のアプローチでは、基体は、陰性モデルに、例えばニッケルに充填または鋳造することによって形成され、次いで、上記の方法で、当該陰性モデルからビーム案内グリッドを作製することができる。これらの例は、ビーム案内グリッドを製造するために高いコストが必要であることを示している。
【0004】
米国特許第6470072号明細書では、様々な焦点距離に調整可能なビーム案内グリッドを、柔軟性を持たせて準備することが提案されている。製造のためには射出成形が提案されており、粉末タングステンと熱可塑性プラスチック材料との混合物が記載されている。製造の詳細、特に前述の困難を克服する方法については、これ以上具体的な情報は与えられていない。
【0005】
特開2003-251658号公報は、射出成形によって、微細孔を有する光案内グリッドを製造することを示しており、一群の平行ピンによって貫通された可動部分金型を有する金型が用いられることを特徴とする。しかし、このような装置では集束グリッドを得ることはできない。
【0006】
米国特許出願公開第2012/0085942号明細書には、コリメータを製造する方法が開示されており、ここでは、タングステン粉末からなる部分的な基体が焼結によって製造され、コリメータを製造するために組み立てられる。
【0007】
米国特許出願公開第2010/0276829号明細書には、例えば、80重量%~98重量%のタングステン粉末などの粉末材料と結合剤とを含む成型用材料を金型内で成型することによって、高アスペクト比を有するビーム案内グリッドを製造することが示されている。
【0008】
独国特許出願公開第102011050963号明細書は、散乱防止X線グリッドを製造する方法を示しており、この方法では、チャネルを有する基板が準備され、次いで、X線を吸収しない材料で側壁が被覆され、その上にX線を吸収する材料が被覆される。基板を製造する方法は、これ以上詳細には記載されていないが、射出成形、レーザ処理、機械加工、プラズマエッチングなどであり、X線を吸収しない基板材料、熱可塑性プラスチック、PEEK、グラファイト、アルミニウム、およびこれらの組み合わせとして言及している。複数のチャネルの軸方向の整列は、放射線源から出射するX線の円錐形に対応し得る。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0193329号明細書は、中性子シンチレータおよび結合剤からなる中性子シンチレータ材料を示す。米国特許第5034157号明細書には、PEEK樹脂などのポリエーテルケトンマトリックス材料を含有する、射出成形に適した混合物が開示されている。
【0010】
米国特許第7839981号明細書では、種々の材料で作られたビーム案内グリッド及び対応する製造方法が示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特に多数の部品を可能な限り経済的に製造することができる、上述のタイプのビーム案内グリッドを製造する方法を特定することを課題にする。さらに、このような経済的に製造されたビーム案内グリッド、およびその使用が提供される。
【0012】
この課題は、請求項1に記載された手順を踏む方法によって解決される。ビーム案内グリッドに関して、この課題は請求項8に記載の特徴によって解決される。システムおよびその用途に関して、この課題は、それぞれ請求項12および13の特徴によって解決される。
【0013】
したがって、本方法に関して、主請求項の特徴に関連して成型品は射出成形によって製造され、この場合、均一化された混合物が、流動可能な形態で用意された射出質量体として、成型品を製造する成型ツール内に詰め込まれ、射出質量体の導入前に、移動可能なモールドコアが成型ツールの内部に導入される。
【0014】
射出成形の範囲内にある圧縮射出成形プロセスに関連することもあるこれらの手段を使用することにより、適切に設計された金型を用いて、特に多数個に亘る経済的な製造が達成されるであろう。これにより、上質なビーム案内グリッドを高品質で一貫して作ることができ、特に壁面領域において、大きな問題のない内壁面を得ることができる。
【0015】
このようにして得られたビーム案内グリッド、及びそれに基づくシステム及び/又は用途についても、同様の利点が得られる。
【0016】
本方法の様々な実施形態は、射出プロセスのため、予熱され且つ可塑化された熱可塑性プラスチック材料または熱硬化性プラスチック材料が結合剤として使用されるという事実を含む。
【0017】
ビーム案内グリッドの製造および品質に関して得られる有利な追加の手段は、使用される熱可塑性材料がポリエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であるという事実を含む。
【0018】
本方法の実施及びビーム案内グリッドの機能に関する追加の有利な手段は、結合剤に対する金属粉末、特にタングステン粉末の比が、体積%で30/70~98/2の範囲にあるという事実を含む。例えば、40/60~95/5の範囲、50/50~90/10の範囲、特に60/40~85/15の範囲、またはこれらの範囲限界内の種々の範囲が、本発明者らによる初期の研究において有利であることが証明された。
【0019】
本方法の実施は、成型プロセスの間に、通路チャネルの軸を共通の焦点に向かって互いに鋭角に整列させるために、成型ツール内のモールドコアが、通路の向き、通路のグリッド、および通路の形状に対応して配置され且つ設計され、成型ツールの壁セクションの外側の保管ユニット内に保持され、射出質量体の充填および初期凝固の後であって金型の除去の前に通路から引き抜かれるという点で、有利に行うことができる。
【0020】
本方法を実施するためのさらなる有利な手段としては、後続の成型に備えるために、当該モールドコアとともに保管ユニットを移動させる調整ユニットを用いて、モールドコアが成型位置に配置され、予備凝固の後、モールドコアは保管ユニットを移動させる調整ユニットによって通路から引き抜かれる、という事実が含まれる。
【0021】
この方法を実施するためのさらなる利点は、モールドコアが、個々に割り当てられた通路を通して成型ツールの壁セクション内に導入され、これらを通して再び引き抜かれ、これにより、挿入および取り外し中における通路の傾斜によって引き起こされる、少なくともxおよび/またはy方向、場合によってはz方向の横方向の移動成分が補償されることである。
【0022】
ビーム案内グリッドは、有利には、中心軸を有する複数の通路が、共通の焦点に基づいて互いに鋭角に整列されるように構成されている。
【0023】
さらに、ビーム案内グリッドの正確な形成は、通路がビーム入射側からビーム出射側に向かって円錐状に広がるという事実によって達成され、この場合、中心軸に対する円錐の角度は、最大で1°である。
【0024】
ビーム案内グリッドのさらなる有利な実施形態は、複数の通路の中心から中心までのグリッド間隔が最大で2mmであり、それらの最薄点における壁領域の厚さが最大で200μmであるという事実から成る。
【0025】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】コンピュータ断層写真撮影装置等のX線装置におけるビーム案内グリッドに入り込む状態を示す概略図である。
【
図2】ビーム案内グリッドを縦断面における拡大断面図で示す。
【
図3】ビーム案内グリッドを概略的な断面平面図で示す。
【
図4】ビーム案内グリッドを製造する射出成形ツールを概略的な斜視断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、散乱防止グリッド又はコリメータとしても知られている、X線診断用の撮像装置1におけるビーム案内グリッドの使用が示されている。例えば1メートルの距離にある焦点に、X線を放射する放射線源2が配置されており、当該X線は被検対象物Oを有する物体Kを透過する。その後、対象物Oの画像情報を含むX線は、一次放射線30としてビーム案内グリッド4の通路40を通過し、一般にマトリックスとして配置されたレシーバ素子を有するレシーバユニット5によって記録される。次に、対象物Oにおける分析可能な画像が、個々の記録から再構成される。ガンマ線を用いた検査、すなわち、X線におけるより短い波長範囲に続く電磁放射線の領域からのビームを用いた検査も同様に行うことができる。そして、放射線源2がガンマ放射線源として設計され、レシーバユニット5が対応して選択される。
【0028】
図1に更に概略的に示すように、ビーム3が通過すると、例えば物体Kに含まれる散乱中心において散乱放射線31が形成され、当該散乱放射線31は一次放射線30から得られる画像に干渉するか、又は当該画像を不鮮明にし、これによって画像情報の評価が困難になるか、又は当該評価を詳細に行うことができなくなる。ビーム案内グリッド4の通路40が吸収性の壁領域41で囲まれているため、ビーム案内グリッドによって散乱放射線は大きく吸収される。適切な金属例えばタングステンや、同様にX線又はガンマ線を吸収する特性を有する金属を含有する適切な吸収性材料は、それ自体公知である。
【0029】
一次放射線30がビーム案内グリッド4をスムーズに通過し得るように、吸収性の壁領域を有する通路40は、
図2による断面図に示されているように、放射線源2に位置するそれらの焦点に位置合わせされる。
図3から明らかなように、ビーム案内グリッド4は二次元的に延在し、例えば、長方形、正方形、または多角形、円形、楕円形、または他の適切な自由形状の断面を有する通路40を備える。
【0030】
記録装置1は、隣接して配置された複数のビーム案内グリッド4を備えるシステムを含み、これにより、対象物Oのなるべく完全な画像を得る。例えば、個々のビーム案内グリッド4は、4~20mmの(ビーム通路を基準にする)高さと、数センチメートルの長さ及び幅とを有し、当該通路の断面寸法は、例えば、約1ミリメートルの範囲、例えば、0.5~1.5mmの間である。壁領域の厚さは、例えば40μm~200μmの間、例えば60μm~150μmの間であり、この場合、例えば80μm~120μmの間の範囲が好適であり得る。通路40の斜め位置決めは、例えば、1メートルの距離にある共通の焦点に関連しており、それにより、個々の通路40は、焦点に関して互いに対して鋭角に延在する。
【0031】
最初に説明したように、ビーム案内グリッド4の上述した設計に関する要件は、比較的高いコストを伴う。コストをより経済的なものとするために、特に、多数個の均一で良好な製品を考慮して、本発明によるビーム案内グリッド4が射出成形技術を用いて製造され、この場合、
図4に概略的に示すように、設計及び手順が特別な手段によって特徴付けられる。
【0032】
図4は、射出成形機内に配置された射出ツールを示しており、当該射出ツールは、射出材料を注入する射出ノズルの前側の出口部にある。当該射出ツールは、射出ボディのための空洞を含む成型ツール7を有し、これによりビーム案内グリッド4又は成型品6を形成する。板状の成型体70が、ノズル側に配置されており、成型品6の外周輪郭を形成する。吐出側での成型体70の下方には、付加的な板状の成型体71がある。吐出側での付加的な成型体71には、複数の通路開口部が配置されており、変位可能なモールドコア72は、成型品6内に存在する通路40の方向において当該通路開口部を貫通する。これらのピン状のモールドコア72のうちの数個のみが
図4に示されている。実際には、このようなモールドコア72は、全ての通路40に存在する。
【0033】
各モールドコア72は、ビーム案内グリッド4および成型品6の垂直軸(z軸)に向かう焦点を基準として、必要な鋭角で個々に整列されており、この場合、ビーム案内グリッド4および成型品6は、各々、x/y方向に垂直な平面内で長さおよび幅が延在する。モールドコア72が空洞内に導入されると、成型品6を製造するために、射出成形機の対応するノズルを通して射出材料が導入され、吸収性の壁領域41を生成し、この場合、射出材料は、放射線吸収金属粉末と結合剤、したがって特にタングステン粉末と結合剤との混合物から形成されている。
【0034】
次に、加熱された液状の射出材料は、成型品6の予備凝固を引き起こす温度まで冷却される。次いで、モールドコア72が、調整ユニット9を作動させることによって、モールドコア72を支持するホルダ80を用いて成型品6の通路から引き抜かれる。
【0035】
この目的のために、ホルダ80はモールドコアホルダ81を有し、当該モールドコアホルダ81は、モールドコア72を成型品6から引き抜く間、z方向に関して横方向の変位を可能にし、なぜなら、モールドコア72をz方向に引き抜く間、通路40を斜めに位置決めするために、Xまたはy方向の横方向運動成分がモールドコア72に重ね合わせられるからである。したがって、モールドコアホルダ81におけるモールドコア72の取り付けは、フローティング型のものである。これに対応して、フローティング設計はまた、吐出側での付加的な成型体71の通路を通るモールドコア72の導入中に、Xおよびy方向での横方向の変位を可能にする。
【0036】
図4で示すように、フローティング支持体については、例えば、それぞれのモールドコア72のラインに関してX方向に延びるいくつかの水平ガイドが存在するが、それぞれのモールドコア72を有するガイドは、次いでy方向に変位させることができ、これにより、開口の方向においても対応する通路40の整列方向においても、モールドコア72の導入または引き抜きの間での補償を行うことができる。
【0037】
金型から外すための有利な手段として、モールドコア72は、焦点に向かう方向にわずかに、又は多かれ少なかれ広範囲に円錐状に先細りされていることが理解される。
【0038】
成型品6またはビーム案内グリッド4を排出するための射出成形ツールまたは成型ツール7の開口は、成型体70と付加的な成型体71との間で行われる。
【0039】
また、例えば、ポリエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造された熱可塑性物質を結合剤として有利に使用することができ、比較的高い温度(例えば、330℃~450℃)で安定した特性および成型性を可能にすることが、本発明者による研究中に見出された。成型ツール7の充填時とモールドコア72の引抜き時の温度差は、例えば70℃であり、これに関して、射出成形機の温度制御系が適切に制御可能とされている。他の熱可塑性プラスチック結合剤または熱硬化性プラスチック結合剤も考えられる。金属粉末を用いて均一に用意された射出材料の充填度は、金属粉末またはタングステン粉末の体積部分で、金属粉末/結合剤において、30/70から98/2、例えば40/60から95/5、50/50から90/10、又は60/40から85/15の範囲にあり、これらの間の比も考慮され得る。放射線吸収金属粉末および結合剤のために選択される材料、ならびにビーム案内グリッドの幾何学的比率および壁領域の厚さも考慮しなければならない。
【0040】
本発明による方法は、特に大量かつ一貫して高品質のビーム案内グリッド4の経済的な製造方法を提供する。