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特許7177180光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20221115BHJP
   C03C 25/002 20180101ALI20221115BHJP
   C03C 25/6208 20180101ALI20221115BHJP
【FI】
G02B6/255
C03C25/002
C03C25/6208
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020562450
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2019051287
(87)【国際公開番号】W WO2020138357
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2018246844
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】竹永 勝宏
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-305620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378102(US,A1)
【文献】特開2013-119510(JP,A)
【文献】特開2017-092126(JP,A)
【文献】特開2013-075769(JP,A)
【文献】特開2010-099708(JP,A)
【文献】特表2005-518565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
C03B 23/00-35/26
C03B 40/00-40/04
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/12-6/255
G02B 6/36-6/40
G02B 6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の被加工体を準備する準備工程と、
前記被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する第1加熱工程と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記第1加熱工程で加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱して、前記第2領域の少なくとも一部の材質を当該加熱前と異なる状態とし、2つの前記被加工体を融着させる第2加熱工程と、
を備え
前記被加工体は、光ファイバである
ことを特徴とする光透過性部品の製造方法。
【請求項2】
光透過性の被加工体を準備する準備工程と、
前記被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する第1加熱工程と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記第1加熱工程で加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱して、前記第2領域の少なくとも一部の材質を当該加熱前と異なる状態とし、2つの前記被加工体を融着させる第2加熱工程と、
を備え
前記第2領域に照射される前記光の照射断面積は、前記第1領域に照射される前記光の照射断面積よりも広い
ことを特徴とする光透過性部品の製造方法。
【請求項3】
光透過性の被加工体を準備する準備工程と、
前記被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する第1加熱工程と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記第1加熱工程で加熱された前記第1領域の一部と前記第1領域以外の少なくとも一部とを含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱して、前記第2領域の少なくとも一部の材質を当該加熱前と異なる状態とする第2加熱工程と、
を備える
ことを特徴とする光透過性部品の製造方法。
【請求項4】
光透過性の被加工体を準備する準備工程と、
前記被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する第1加熱工程と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記第1加熱工程で加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱して、前記第2領域の少なくとも一部の材質を当該加熱前と異なる状態とする第2加熱工程と、
を備え、
前記第2領域は前記被加工体の一部とされ、
前記第2加熱工程において、前記光を前記第2領域に照射して前記第2領域を前記所定の温度よりも高い温度に加熱した後に当該前記第2領域が前記第1領域とは異なる領域に移動するように、前記被加工体に照射される前記光の位置を移動させる
ことを特徴とする光透過性部品の製造方法。
【請求項5】
前記第2加熱工程において、前記第2領域に照射される前記光の光路は、当該光によって照射される前記第2領域以外における前記所定の温度以上の領域と重ならない
ことを特徴とする請求項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項6】
前記第2領域に照射される前記光の照射断面積は、前記第1領域に照射される前記光の照射断面積よりも広い
ことを特徴とする請求項1または3からのいずれか1項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項7】
前記第2加熱工程において、前記第2領域の少なくとも一部をアブレーションする
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項8】
前記第2加熱工程において、前記第2領域の少なくとも一部を変形させる
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項9】
前記第2領域は、前記第1領域内に位置する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項10】
前記第2領域に前記光が照射される時点以降に前記第1加熱工程を停止する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光透過性部品の製造方法。
【請求項11】
光透過性の被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱可能な第1加熱部と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記所定の温度以上に加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱可能で、2つの前記被加工体を融着接続可能である第2加熱部と、
前記2つの被加工体のそれぞれを個別に固定する2つの光ファイバ固定部と、
を備え、
前記第2加熱部が前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱する場合に、前記第2領域の少なくとも一部の材質が当該加熱前と異なる状態となり、
前記被加工体は、光ファイバである
ことを特徴とする光透過性部品の製造システム。
【請求項12】
光透過性の被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱可能な第1加熱部と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記所定の温度以上に加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱可能で、2つの前記被加工体を融着接続可能である第2加熱部と、
を備え、
前記第2加熱部が前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱する場合に、前記第2領域の少なくとも一部の材質が当該加熱前と異なる状態となり、
前記第2領域に照射される前記光の照射断面積は、前記第1領域に照射される前記光の照射断面積よりも広い
ことを特徴とする光透過性部品の製造システム。
【請求項13】
光透過性の被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱可能な第1加熱部と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記所定の温度以上に加熱された前記第1領域の一部と前記第1領域以外の少なくとも一部とを含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱可能な第2加熱部と、
を備え、
前記第2加熱部が前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱する場合に、前記第2領域の少なくとも一部の材質が当該加熱前と異なる状態となる
ことを特徴とする光透過性部品の製造システム。
【請求項14】
光透過性の被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱可能な第1加熱部と、
常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記所定の温度以上に加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱可能な第2加熱部と、
を備え、
前記第2加熱部が前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱する場合に、前記第2領域の少なくとも一部の材質が当該加熱前と異なる状態となり、
前記第2領域は前記被加工体の一部とされ、
前記第2加熱部は、前記光を前記第2領域に照射して前記第2領域を前記所定の温度よりも高い温度に加熱した後に当該前記第2領域が前記第1領域とは異なる領域に移動するように、前記被加工体に照射される前記光の位置を移動させることが可能である
ことを特徴とする光透過性部品の製造システム。
【請求項15】
前記第2加熱部は、前記第2領域に照射される前記光の光路が当該光によって照射される前記第2領域以外における前記所定の温度以上の領域と重ならないように前記光を出射可能である
ことを特徴とする請求項14に記載の光透過性部品の製造システム。
【請求項16】
前記第2領域に照射される前記光の照射断面積は、前記第1領域に照射される前記光の照射断面積よりも広い
ことを特徴とする請求項11または13から15のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造システム。
【請求項17】
前記第2加熱部は、前記第2領域の少なくとも一部をアブレーション可能である
ことを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造システム。
【請求項18】
前記第2加熱部は、前記光を前記第1領域内に照射可能である
ことを特徴とする請求項11から17のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造システム。
【請求項19】
前記第2加熱部は、半導体レーザまたはファイバレーザである
ことを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造システム。
【請求項20】
前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方を撮影可能なカメラと、
制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記カメラが撮影した映像または画像に係る信号に基づいて、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の少なくとも一方による前記被加工体の加熱を制御可能である
ことを特徴とする請求項11から19のいずれか1項に記載の光透過性部品の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定して光透過性部品を製造し得る光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバに加工を施し、所定の機能を有する光ファイバを製造する製造システムが知られている。下記特許文献1には、光ファイバの一部をテーパ状にする加工機が記載されている。従って、この加工機は、光ファイバを加工して、所定の機能を有する光ファイバを製造する製造システムと理解し得る。
【0003】
この加工機では、光ファイバの一部をテーパ状にするために、石英ガラスで吸収率の高い波長の光を発振する高出力のCOレーザを光ファイバに照射して、光ファイバの一部を加熱している。
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0378102号明細書
【発明の概要】
【0005】
しかし、COレーザ装置は、出力が不安定な傾向にあるため、安定して光透過性部品を製造し得る製造方法や製造システムが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、安定して光透過性部品を製造し得る光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の光透過性部品の製造方法は、光透過性の被加工体を準備する準備工程と、前記被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する第1加熱工程と、常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記第1加熱工程で加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱して、前記第2領域の少なくとも一部の材質を当該加熱前と異なる状態とする第2加熱工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明の光透過性部品の製造システムは、光透過性の被加工体の少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱可能な第1加熱部と、常温で前記被加工体を透過し前記所定の温度以上で前記被加工体に吸収される波長の光を前記所定の温度以上に加熱された前記第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に照射し、前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱可能な第2加熱部と、を備え、前記第2加熱部が前記第2領域を前記所定の温度より高い温度に加熱する場合に、前記第2領域の少なくとも一部の材質が当該加熱前と異なる状態となることを特徴とするものである。
【0009】
ガラス等の光透過性の部材は、温度が高くなると常温では透過する波長の光を吸収する性質を有する。このような波長の光を出射する光源として、半導体レーザ装置等の出力が安定した光源を用いることができる。従って、第2領域に安定して光による熱エネルギーを与えることができる。このように第2領域に熱エネルギーを与えることで、第2領域が所定の温度よりも高くなり、第2領域の少なくとも一部が加熱前と異なる状態となるまで、当該第2領域を安定して加熱することができる。つまり、第2領域を安定して加工することができる。従って、本発明の光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムによれば、安定して光透過性部品を製造し得る。
【0010】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、前記光を前記第2領域に集光させることが好ましい。また、光透過性部品の製造システムの第2加熱部は、前記光を前記第2領域に集光可能であることが好ましい。
【0011】
光を第2領域に集光させることで、光のエネルギー密度を高くすることができ、第2領域を短時間で高温にすることができる。
【0012】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、前記第2領域を前記第1領域の温度よりも高い温度に加熱することが好ましい。また、光透過性部品の製造システムの第2加熱部は、前記第2領域を前記第1領域の温度よりも高い温度に加熱可能であることが好ましい。
【0013】
上記のように本発明では、安定した光を出射する光源を用いることができる。このような安定した光により高い温度まで加熱することで、高い温度での加工を安定して行うことができる。
【0014】
また、上記光透過性部品の製造方法において、前記第2領域は、前記第1領域内に位置することとしてもよい。また、光透過性部品の製造システムにおいて、前記第2加熱部は、前記光を前記第1領域内に照射可能であることとしてもよい。
【0015】
第2領域が第1領域内に位置することで、第2領域に光が照射された当初から第2領域全体が加熱される。従って、短時間に第2領域を加熱し得る。
【0016】
また、上記光透過性部品の製造方法において、前記第2領域は、前記第1領域の少なくとも一部と前記第1領域以外の少なくとも一部とを含むこととしてもよい。また、光透過性部品の製造システムにおいて、前記第2加熱部は、前記第1領域の少なくとも一部と前記第1領域以外の少なくとも一部とに前記光を照射可能であることとしてもよい。
【0017】
この場合、第2領域における第1領域と重なる領域が、光による加熱で所定の温度より高い温度とされ、この重なる領域からの熱伝導や輻射により、第2領域のうち第1領域と重ならない領域が所定の温度以上に加熱される。所定の温度以上になった領域は光を吸収するため、熱エネルギーが与えられ更に加熱される。このため、第2領域の一部に第1領域が含まれない場合であっても、熱伝導や輻射により所定の温度以上に加熱される領域が広がって、第2領域の全体が加熱される。このように第2領域が第1領域の少なくとも一部と第1領域以外の少なくとも一部とを含むことで、第1領域を被加工体の特定の一部にしか設定できない場合であっても、第1領域を起点として第1領域以外をも加熱することができる。
【0018】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2領域は前記被加工体の一部とされ、前記第2加熱工程において、前記所定の温度より高い温度に加熱される前記第2領域が前記第1領域とは異なる領域に移動するように、前記被加工体に照射される前記光の位置を移動させることが好ましい。また、光透過性部品の製造システムの前記第2領域は前記被加工体の一部とされ、前記第2加熱部は、前記所定の温度より高い温度に加熱される前記第2領域が前記第1領域とは異なる領域に移動するように、前記被加工体に照射される前記光の位置を移動させることが可能であることが好ましい。
【0019】
このような構成とされることで、加熱される領域を広げることができる。例えば、光が照射される第2領域がスポット状の領域とされる場合、スポット状の第2領域を第1領域とは異なる領域に移動させることで、加工される領域を広げることができる。
【0020】
また、前記被加工体に照射される光の位置が時間と共に移動される場合、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、前記第2領域に照射される前記光の光路は、当該光によって照射される前記第2領域以外における前記所定の温度以上の領域と重ならないことが好ましい。またこの場合、光透過性部品の製造システムの前記第2加熱部は、前記第2領域に照射される前記光の光路が当該光によって照射される前記第2領域以外における前記所定の温度以上の領域と重ならないように前記光を出射可能であることが好ましい。
【0021】
光路が所定の温度以上の領域と重なると、光が当該領域に吸収されるため、第2領域に照射される光のエネルギーが低下する。従って、光の光路が当該光によって照射される第2領域以外における所定の温度以上の領域と重ならないことで、第2領域を適切に加熱することができる。
【0022】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、前記第2領域の少なくとも一部をアブレーションしてもよい。また、光透過性部品の製造システムの前記第2加熱部は、前記第2領域の少なくとも一部をアブレーション可能であってもよい。
【0023】
この場合、第2領域が被加工体の表面を含めば、光透過性部品に溝等の凹部を形成することができ、第2領域が被加工体の内部であれば、ボイドを形成することができる。
【0024】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、前記第2領域の少なくとも一部を変形させてもよい。
【0025】
この場合、光透過性部品の一部にレンズ等を形成することができる。
【0026】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2加熱工程において、2つの前記被加工体を融着させてもよい。また、光透過性部品の製造システムの前記第2加熱部は、2つの前記被加工体を融着接続可能にさせてもよい。
【0027】
不安定な加熱による融着が行われると、被加工体同士が不安定に融着される傾向にある。特に融着面積が広い場合には、安定して加熱されることが求められる。上記のように本発明によれば、第2領域を安定して加熱することができるため、安定して被加工体同士を融着させることができ、安定して光透過性部品を製造することができる。
【0028】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記第2領域に前記光が照射される時点以降に前記第1加熱工程を停止することが好ましい。また、光透過性部品の製造システムの前記第2加熱部が前記第2領域に前記光を照射する時点以降に、前記第1加熱部は前記第1領域の加熱を停止可能であることが好ましい。
【0029】
第1領域の加熱は、第2領域を加熱するためのきっかけとしての役割であるため、第2領域に光が照射される時点以降に第1領域の加熱が停止されることで、不要なエネルギーの消費を低減し得る。
【0030】
また、上記光透過性部品の製造方法の第1加熱工程は、火炎、放電、ヒータ、及びレーザ光のいずれかにより行われてもよい。また、光透過性部品の製造システムの前記第1加熱部は、火炎放射装置、放電装置、ヒータ、及びレーザ光出射装置のいずれかを含んでもよい。
【0031】
また、上記光透過性部品の製造方法の第2加熱工程において、前記被加工体に吸収される前記光を半導体レーザ又はファイバレーザから前記第2領域に向けて照射してもよい。
【0032】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記被加工体の材料は、ガラスを含んでもよい。
【0033】
また、上記光透過性部品の製造方法の前記被加工体の形状は、円柱状であってもよい。
【0034】
また、光透過性部品の製造システムの前記第2加熱部は、半導体レーザまたはファイバレーザであってもよい。
【0035】
また、光透過性部品の製造システムは、前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方を撮影可能なカメラと、制御部と、を更に備え、前記制御部は、前記カメラが撮影した映像または画像に係る信号に基づいて、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の少なくとも一方による前記被加工体の加熱を制御可能であることが好ましい。
【0036】
このような制御により、第1領域や第2領域の位置をより正確に把握して、適切な位置を加熱することができる。
【0037】
以上のように、本発明によれば、安定して光透過性部品を製造し得る光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1実施形態の光透過性部品を示す図である。
図2図1の光透過性部品の製造方法の工程を示すフローチャートである。
図3】被加工体を示す図である。
図4】被加工体が加工機にセットされた様子を示す図である。
図5】第1加熱工程の様子を示す図である。
図6】第2加熱工程の様子を示すである。
図7】第1実施形態の第2加熱工程の変形例を示す図である。
図8】第1実施形態の第1加熱工程の変形例を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態の光透過性部品を示す図である。
図10】光ファイバ加工融着機に光ファイバがセットされた様子を示す図である。
図11】第1加熱工程の様子を示す図である。
図12】第2加熱工程の様子を示すである。
図13】第2実施形態の第2加熱工程の変形例を示す図である。
図14】本発明の第3実施形態の光透過性部品を示す図である。
図15】光ファイバ加工融着機に光ファイバがセットされた様子を示す図である。
図16】第1加熱工程の様子を示す図である。
図17】第2加熱工程の様子を示すである。
図18】本発明の第4実施形態の光透過性部品を示す図である。
図19】光ファイバ加工融着機に光ファイバがセットされた様子を示す図である。
図20】第1加熱工程の様子を示す図である。
図21】第2加熱工程の様子を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムの好適な実施形態について、図面を参照しながらそれぞれ詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0040】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る光透過性部品を示す概念図である。図1に示すように、本実施形態では、円柱状の光透過性部品100が例示される。本実施形態の光透過性部品100は、ガラスから成り、内側部101と外側部102とを有する。内側部101と外側部102とは同じガラスから構成されているが、内側部101と外側部102とは、当該材質が異なる状態とされている。例えば、外側部102は緻密なガラスから成るが、内側部101は細かいボイドが多数形成されたガラスから成る。また例えば、外側部102は結晶に近い状態で分子が配列されたガラスから成るが、内側部101はひずみの多いガラスから成る。これらの例では、外側部102の方が内側部101よりも光の伝搬性が高い。また例えば、上記の内側部101のガラスの状態と、外側部102のガラスの状態とが入れ替わってもよい。この場合には、内側部101の方が外側部102よりも光の伝搬性が高い。
【0041】
次に、図1に示す光透過性部品100を製造する製造方法について説明する。
【0042】
図2は、図1の光透過性部品100の製造方法の工程を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態の光透過性部品100の製造方法は、準備工程PS1と、第1加熱工程PS2と、第2加熱工程PS3と、を備える。
【0043】
<準備工程PS1>
本工程は、被加工体を準備する工程である。図3は、被加工体100aを示す図である。図3に示すように、本実施形態では、被加工体100aは、光透過性部品100と同一形状のガラスから成る。このため、被加工体100aは光透過性の部材である。被加工体100aは、光透過性部品100の外側部102と同じ状態の同じ材料からなる。従って、例えば上記のように外側部102が緻密なガラスから成る場合、被加工体100aは緻密なガラスから成る円柱状の部材とされる。
【0044】
図4は、被加工体100aが加工機1にセットされた様子を示す図である。加工機1は、光透過性の被加工体100aを加工して、光透過性部品100を製造する光透過性部品の製造システムである。図4に示すように、加工機1は、第1加熱部10と、第2加熱部20と、固定部30と、カメラ40と、制御部50と、を主な構成として備える。
【0045】
固定部30は、被加工体100aを固定可能な部材である。固定部30は、被加工体100aを固定できれば特に限定されない。本実施形態では、固定部30は、円柱状の被加工体100aの端部をチャッキング又は固定可能な部材からなる。また、本実施形態の固定部30は、固定される被加工体100aの長手方向に沿った方向及びこの方向に垂直な被加工体100aの径方向に移動可能とされ、さらに固定される被加工体100aの軸中心に回転可能な構成とされる。
【0046】
第1加熱部10は、光透過性の被加工体100aの一部である第1領域を所定の温度以上に加熱可能な装置である。この第1領域の詳細は後述される。本実施形態では、第1加熱部10は、半導体レーザ装置を含む。第1加熱部10は、常温でガラスに吸収される波長の光を出射する。第1加熱部10が出射する光の波長は、例えば4μm~15μmとされる。本実施形態の第1加熱部10は、例えば、不図示の集光レンズ等を有しており、図4に示されるように、上記第1領域において集光する光を出射することができる。図4では理解の容易のために第1加熱部10から光が出射されているように記載されているが、本工程においては、第1加熱部10からは光が出射されない。第1加熱部10が被加工体100aの第1領域を加熱する所定の温度は、例えば、被加工体100aが石英ガラスの場合では、1100℃~1800℃とされる。
【0047】
また、第1加熱部10は、出射する光の集光位置を変化させることができる。例えば、被加工体100aの端面や表面に沿って第1加熱部10を移動させることで、被加工体100aに照射する光の集光位置を変化させることができる。
【0048】
なお、上記波長は、COレーザの波長(例えば、9.3μm~10.6μm)と概ね同じである。従って、第1加熱部10として半導体レーザ装置の代わりにCOレーザ装置が用いられてもよい。ただし、COレーザ装置よりも半導体レーザ装置の方が、出射する光の強度が安定しているため好ましい。さらに、COレーザ装置よりも半導体レーザ装置の方が小型で、低消費電力、長寿命であるため好ましい。また、本実施形態と異なるが、第1加熱部10は、上記第1領域を火炎により加熱する火炎放射装置としてのマイクロトーチや、上記第1領域を放電により加熱する一対の放電電極を含む放電装置や、ヒータや、上記とは異なる波長のレーザ光を出射するレーザ装置等で構成されてもよい。
【0049】
第2加熱部20は、第1加熱部10により加熱された上記の第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に光を照射し、この第2領域を所定の温度より高い温度に加熱可能な装置であり、第2領域の少なくとも一部の材質を加熱前と異なる状態とし得る装置である。この第2領域の詳細は後述される。本実施形態では、第2加熱部20そのものは、レーザ装置から成る。このようなレーザ装置としては半導体レーザやファイバレーザ装置を挙げることができ、半導体レーザまたはファイバレーザ装置から出射される波長の光は第2領域に照射される。従って、半導体レーザまたはファイバレーザ装置から直接出射される光の波長と第2領域に照射される光の波長とは、同一の波長である。本実施形態の第2加熱部20は、例えば集光レンズ等を有しており、図4に示されるように、上記第2領域において集光する光を出射することができる。図4では理解の容易のために第2加熱部20から光が出射されているように記載されているが、本工程においては、第2加熱部20からは光が出射されない。また、第2加熱部20は、常温でガラスを透過して、上記所定の温度以上でガラスに吸収される波長の光を出射する。従って、第2加熱部20から出射する光は、常温で被加工体100aを透過し、上記所定の温度以上で被加工体100aに吸収される。このような波長の光としては、例えば、0.5から2.5μmの波長の光を挙げることができる。このような波長の光は、ガラスの温度が1100℃近傍から急激にガラスに吸収される。従って、上記のように、被加工体100aがガラスであり、第1領域が例えば1300℃とされれば、第2加熱部20から出射される光は、第1領域に吸収される。
【0050】
また、第2加熱部20は、出射する光の集光位置を変化させることができる。例えば、被加工体100aの径方向や長手方向に沿って第2加熱部20を移動させることで、被加工体100aに照射する光の集光位置を変化させることができる。
【0051】
カメラ40は、被加工体100aの様子を撮影可能なカメラである。また、カメラ40は、第1加熱部10から光が被加工体100aに照射される様子や、第2加熱部20から光が被加工体100aに照射される様子を撮影することが可能とされる。カメラ40は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やInGaAsやInSbの受光素子を用いた動画撮影可能なカメラとされる。InGaAsやInSbの受光素子を用いたカメラは、暗視カメラとして用いることが可能である。つまり、カメラ40は、暗視カメラも含む。また、カメラ40は、例えば、アモルファスシリコンを用いた非冷却マイクロボロメーターなどの二次元赤外線センサが用いられるものであってもよい。つまり、カメラ40は、被加工体100aの温度分布を測定可能なサーモカメラを含む。なお、本実施形態では、カメラ40には、映像をデジタル変換して適宜必要な画像処理を行う画像処理部が内蔵されている。また、カメラ40が複数備えられていてもよい。
【0052】
制御部50は、カメラ40が撮影した映像または画像に係る信号に基づいて、第1加熱部10及び第2加熱部20の少なくとも一方を制御可能な装置である。具体的には、制御部50は、第1加熱部10及び第2加熱部20の少なくとも一方を制御することで、被加工体100aの加熱を調節可能な装置である。ここで、制御部50は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部50は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。制御部50には、カメラ40からの映像信号または画像信号が入力する。また、制御部50は、第1加熱部10、第2加熱部20、及び固定部30を制御する。具体的には、第1加熱部10は、カメラ40が撮影した映像や画像に係る信号に基づき、制御部50が生成した制御信号により、光の出射、停止、出射する光のパワーの調整、光の出射位置、及び出射する光の集光位置の調節をする。また、第2加熱部20は、カメラ40が撮影した映像や画像に係る信号に基づき制御部50が生成した制御信号により、光の出射、停止、出射する光のパワーの調整、光の出射位置、及び出射する光の集光位置の調節をする。また、固定部30は、制御部50からの制御信号により、固定される被加工体100aの長手方向に沿った方向及びこの方向に垂直な被加工体100aの径方向に移動し、また、固定される被加工体100aの軸中心に回転する。なお、制御部50が複数に分かれて構成されてもよい。例えば、第1加熱部10、第2加熱部20、及び固定部30が、別々の制御部で制御されてもよい。この場合、複数の制御部が図4に示す制御部50となる。
【0053】
このような加工機1にセットされた被加工体100aは、第1加熱部10及び第2加熱部20により後述のように加熱される。
【0054】
<第1加熱工程PS2>
本工程は、被加工体100aの少なくとも一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する工程である。被加工体100aが上記のように加工機1にセットされ、作業者が不図示のスイッチを入れると、加工機1は本工程を行う。図5は、本工程の様子を示す図である。本実施形態では、制御部50からの制御信号により、固定部30が移動して、所望の位置で停止する。次に、制御部50からの制御信号により、図5に示すように第1加熱部10から光10Lが出射される。上記のように第1加熱部10は集光する光を出射でき、光10Lは互いに対向する被加工体100aの一方の端部の表面上に集光される。このとき、光10Lの様子がカメラ40で撮影され、撮影された映像に基づいて制御部50が第1加熱部10を制御し、光10Lの集光位置が微調整される。こうして光10Lは被加工体100aに照射される。上記のように第1加熱部10は常温で被加工体100aに吸収される光を出射する。従って、図5に示されるように、被加工体100aに光10Lが照射されると、光10Lの少なくとも一部は被加工体100aに吸収されて、被加工体100aの一部が上記所定の温度以上に加熱される。第1加熱部10により所定の温度以上に加熱された領域が点線で示される第1領域AR1である。本工程により、第1領域AR1は、例えば1300℃程度に加熱される。また、第1加熱部10は、被加工体100aの軸に対して、90°以下の方向から第1領域に光を照射してもよい。
【0055】
<第2加熱工程PS3>
本工程は、常温で被加工体100aを透過し上記所定の温度以上で被加工体100aに吸収される波長の光を第1加熱部10により加熱された上記第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に照射し、この第2領域AR2を前記所定の温度より高い温度に加熱して、第2領域AR2の少なくとも一部を加熱前と異なる状態とする工程である。本工程では、被加工体に吸収される光を第2加熱部20である上記した半導体レーザ又はファイバレーザから第2領域AR2に向けて照射する。図6は本工程の様子を示す図である。本工程では、制御部50は、第2加熱部20を制御し、図6に示すように第2加熱部20から光20Lを出射させるとともに、第1加熱部10を制御して、光10Lの出射を停止させる。上記のように第2加熱部20は集光する光を出射でき、第2加熱部20から出射する光20Lは、第1加熱工程PS2で所定の温度以上に加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に集光される。図6では第2領域AR2が一点鎖線で示されている。このとき、光20Lの様子がカメラ40で撮影され、撮影された映像に基づいて制御部50が第2加熱部20を制御して、光20Lの集光位置は微調整される。こうして光20Lが第2領域AR2に照射される。第1領域AR1は、所定の温度以上であるため、第2領域AR2に照射された光20Lのうち第1領域AR1と重なる領域に照射される光は、被加工体100aに吸収されて熱エネルギーとなる。このため、第1領域AR1における光20Lが照射される領域は更に加熱され更に温度が高くなる。このように第1領域AR1における光20Lが照射される領域の温度が高くなると、熱伝導や輻射により当該領域と隣接する領域も所定の温度以上に加熱される。このため、第2領域AR2のうち第1領域AR1と重なる領域と隣接する領域、すなわち第2領域AR2のうち第1領域AR1と重ならない領域も光20Lを吸収して所定の温度よりも高い温度まで加熱される。こうして加熱される領域が広がって、光20Lが照射される第2領域AR2の全体が所定の温度よりも高い温度まで加熱される。さらに、光20Lが照射される領域と隣接する領域も、所定の温度より高い温度に加熱された他の領域からの熱伝導や輻射により所定の温度以上に加熱される。また、第2加熱部20は、被加工体100aの軸に対して、90°以下の方向から第2領域に光を照射してもよい。
【0056】
本実施形態では、第2領域AR2は、光20Lの照射により、第1加熱工程PS2において第1加熱部10が加熱する第1領域AR1の温度よりも高い温度まで加熱される。第2領域AR2は、例えばガラスの融点以上まで加熱される。本工程では、当該加熱により第2領域AR2の材質が加熱前と異なる状態とされる。例えば、第2領域AR2にボイドが形成されたり、冷却後に第2領域AR2の分子の配列に歪が残ったりする。次に、本実施形態では、制御部50は、固定部30を制御して、固定部30を被加工体100aの長手方向に移動させる。このため被加工体100aは図6において実線矢印で示されるように、長手方向に沿って移動する。被加工体100aの移動により、図6において破線矢印で示されるように、光20Lが集光する被加工体100aの位置が時間と共に移動する。上記のように光20Lが集光する領域と隣接する領域は所定の温度以上に加熱されるため、光20Lが被加工体100aを移動することにより、新たに光20Lが集光される第2領域AR2のうち既に所定の温度以上に加熱されている領域は、光20Lを吸収して所定の温度よりも高い温度に加熱される。このため、所定の温度より高い温度に加熱されたその領域と隣り合う領域は、その領域からの熱伝導や輻射により所定の温度以上に加熱される。こうして、被加工体100aにおける光20Lの集光位置の移動により移動する第2領域AR2が、次々と所定の温度よりも高い温度に加熱されて、加熱前と異なる状態とされる。こうして、内側部101が形成される。
【0057】
なお、本実施形態では、図6のように、光20Lは被加工体100aの側面から入射し、光20Lの集光する位置が被加工体100aの長手方向に沿って移動する。このため、本実施形態では、第2領域AR2に照射される光20Lの光路は、光20Lによって照射される第2領域AR2以外における所定の温度以上に加熱された領域と重ならない。
【0058】
また、移動する第2領域AR2が所定の温度以上に加熱されるため、光20Lが集光する位置の移動が適切な速度とされることが好ましい。例えば被加工体100aが石英ガラスであれば、当該速度が2m/s以下であることが好ましい。
【0059】
なお、光20Lが集光する被加工体100aの位置が、図6の破線矢印に沿って移動されれば、当該位置は時間と共に移動しなくてもよい。例えば、被加工体100aが図6の実線矢印で示される方向に移動と停止を繰り返し、その結果、光20Lが集光する被加工体100aの位置が移動と停止を繰り返してもよい。
【0060】
また、第1加熱工程PS2において第1領域AR1が所定の温度以上に加熱され、第2加熱工程PS3において、第2領域AR2が所定の温度より高い温度に加熱されれば、第2加熱工程PS3で加熱される第2領域AR2の温度は、第1加熱工程PS2で加熱される第1領域AR1の温度よりも低くても高くてもよい。第1加熱工程PS2で加熱される第1領域AR1の温度が第2加熱工程PS3で加熱される第2領域AR2の温度よりも高い場合、第1加熱工程PS2では第1領域AR1が所定の温度より高い温度に加熱されることになる。
【0061】
固定部30が被加工体100aの長手方向に沿って一定距離移動したところで、第2加熱工程を止めて、チャッキングにより被加工体100aの内側部101が形成されていない端部を切断して、図1に示す内側部101が形成された光透過性部品100が製造される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の光透過性部品100の製造方法は、準備工程PS1と、第1加熱工程PS2と、第2加熱工程PS3と、を備える。準備工程PS1では、光透過性の被加工体100aを準備する。第1加熱工程PS2では、被加工体100aの少なくとも一部を含む第1領域AR1を所定の温度以上に加熱する。第2加熱工程PS3では、常温で被加工体100aを透過し所定の温度以上で被加工体100aに吸収される波長の光20Lを第1加熱工程PS2で加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に照射し、第2領域AR2を所定の温度より高い温度に加熱して、第2領域AR2の少なくとも一部の材質を加熱前と異なる状態とする。
【0063】
また、本実施形態の光透過性部品100の製造システムである加工機1は、第1加熱部10と、第2加熱部20とを備える。第1加熱部10は、光透過性の被加工体100aの少なくとも一部を含む第1領域AR1を所定の温度以上に加熱可能な装置である。第2加熱部20は、常温で被加工体100aを透過し所定の温度以上で被加工体100aに吸収される波長の光を所定の温度以上に加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に照射し、第2領域AR2を所定の温度より高い温度に加熱可能な装置であり、第2領域AR2の少なくとも一部の材質を加熱前と異なる状態とし得る装置である。
【0064】
上記のように本実施形態の光透過性部品100の製造方法、及び、光透過性部品100の製造システムでは、光透過性の部材に対して、常温で透過して所定の温度以上で吸収される波長の光を出射する第2加熱部20の光源として、COレーザ装置よりも出力が安定した半導体レーザ装置等の光源を用いることができる。従って、本実施形態の光透過性部品100の製造方法、及び、光透過性部品100の製造システムによれば、第2領域AR2に安定して光による熱エネルギーを与えることができる。このように第2領域AR2に熱エネルギーを与えることで、第2領域AR2の少なくとも一部が加熱前と異なる状態となるまで、当該第2領域AR2を安定して加熱することができる。つまり、第2領域AR2を安定して加工することができる。また、上記第1領域AR1は少なくとも光20Lによる加熱が開始されるまで加熱されればよく、その後は光20Lによる加熱を行えばよい。従って、第1領域AR1を加熱するための熱源である第1加熱部10の安定性が然程重要ではなく、第1加熱部10として半導体レーザ装置が用いられなくてもよい。従って、本発明の光透過性部品100の製造方法、及び、光透過性部品100の製造システムである加工機1によれば、安定して光透過性部品100を製造することができる。
【0065】
なお、本実施形態とは異なるレーザ装置は、励起光源として用いられる半導体レーザと、励起光源から出射される光のパワーを調整する増幅器といった他の部材をレーザ装置の内部に備えることがある。この場合、レーザ装置から出射される光は、励起光源から出射される光を上記の増幅器等の他の部材で光のパワーを調整した後の光となる。ここで、レーザ装置が励起光源及び他の部材を備えると、レーザ装置全体が大きくなり得、また、レーザ装置を融着機に搭載することが困難になり得る。また、当該レーザ装置全体が大きくなると、融着機の小型化が実現困難になり得る。しかしながら、本実施形態では、第2領域AR2に照射される光の波長は、第2加熱部20として用いられる半導体レーザまたはファイバレーザ装置から直接照射される光と同一である。従って、本実施形態のレーザ装置は、第2加熱部20そのものとなり得る。これにより、本実施形態とは異なるレーザ装置が励起光源及び他の部材を内部に備える場合に比べて、本実施形態のレーザ装置全体は小さくなり得、また、本実施形態のレーザ装置を融着機に搭載することが容易になり得る。また、上述の通り、レーザ装置全体が小さくなるので、融着機の小型化が実現可能となり得る。
【0066】
また、本実施形態では、第2加熱工程PS3において、加工機1の第2加熱部20は、光20Lを第2領域AR2に集光させている。このため、第2領域AR2において、光のエネルギー密度を高くすることができ、第2領域AR2を短時間で高温にすることができる。また、光20Lが集光されておらず光のエネルギー密度が低い位置では、光20Lにより被加工体100aが所定の温度以上に加熱されることが抑制される。従って、光20Lが集光する位置以外で光20Lが吸収されることを抑制でき、所望の位置を加熱前と異なる状態にし得る。
【0067】
また、本実施形態では第2加熱工程PS3において、第2加熱部20は、第2領域AR2を第1領域AR1の温度よりも高い温度に加熱する。上記のように本実施形態では、安定した光を出射する光源を第2加熱部20として用いることができる。このような安定した光により高い温度まで加熱することで、高い温度での加工を安定して行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では第2領域AR2は、第1領域AR1の少なくとも一部と第1領域AR1以外の少なくとも一部とを含む。このため、本実施形態では、加工機1の第2加熱部20は、第1領域AR1の少なくとも一部と第1領域AR1以外の少なくとも一部とに光20Lを照射可能である。この場合、上記のように、第2領域AR2における第1領域AR1と重なる領域が、光による加熱で所定の温度より高い温度とされ、この重なる領域からの熱伝導や輻射により、第2領域AR2のうち第1領域AR1と重ならない領域が所定の温度以上に加熱される。所定の温度以上になった領域は光を吸収するため、熱エネルギーが与えられ更に加熱される。このため、本実施形態のように第2領域AR2の一部に第1領域AR1が含まれない場合であっても、熱伝導や輻射により所定の温度以上に加熱される領域が広がって、第2領域AR2の全体が加熱される。このように第2領域AR2が第1領域AR1の少なくとも一部と第1領域AR1以外の少なくとも一部とを含むことで、第1領域AR1を被加工体の特定の一部にしか設定できない場合であっても、第1領域AR1を起点として第1領域AR1以外をも加熱することができる。例えば、本実施形態のように、第1加熱部10が被加工体100aの表面近傍しか加熱できない場合、第2領域AR2を被加工体100aの表面を含みその内側の領域まで拡大することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第2領域AR2は被加工体100aの一部とされ、第2加熱工程PS3において、第2加熱部20により所定の温度より高い温度に加熱される第2領域が第1領域とは異なる領域に移動するように、被加工体100aに照射される光の位置が移動されることが可能である。従って、本実施形態のように、第2領域AR2がスポット状の領域であっても、当該移動により加熱される領域を広げて、図1に示される内側部101を形成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第2加熱工程PS3において、第2領域AR2の少なくとも一部がアブレーションされるまで、第2加熱部20から出射される光20Lのパワーを上げて第2領域AR2が加熱されてもよい。この場合、第2領域AR2にボイドを多数形成することができる。多数のボイドが形成されることにより、光を散乱させる機能や、伝搬する光を局所的に強度低下させる機能の部位を光透過性部品100に形成することも可能である。
【0071】
また、本実施形態では、第2領域AR2に光20Lが照射される時点以降に第1加熱工程が停止されてもよい。つまり、加工機1の第2加熱部20が第2領域AR2に光20Lを照射する時点以降に、第1加熱部10は第1領域AR1の加熱を停止してもよい。第1領域AR1の加熱は、第2領域AR2を加熱するためのきっかけとしての役割であるため、第2領域AR2に光が照射される時点以降に第1領域AR1の加熱が停止されることで、不要なエネルギーの消費を低減し得る。
【0072】
なお、本実施形態では、光透過性部品100の内側部101が直線状に形成され、第2加熱工程PS3では、第2領域AR2が被加工体100aの長手方向に沿って移動した。しかし、内側部101は直線状でなくてもよい。例えば、光透過性部品の内側部101が螺旋状に形成されてもよい。図7は、このような光透過性部品の製造をするための、第2加熱工程PS3の変形例を示す図である。図7に示されるように、この場合、第2加熱工程PS3において、第2加熱部20から出射する光20Lの集光位置が、被加工体100aの中心軸からずれた位置とされる。そして制御部50からの制御信号により、固定部30は、被加工体100aを実線矢印で示される長手方向に沿って移動させるとともに、被加工体100aの中心軸を中心に被加工体100aを周方向に回転させる。このため、第2加熱部20から出射する光20Lの集光位置が破線矢印で示される螺旋状に移動する。こうして、内側部101が螺旋状に形成された光透過性部品を製造することができる。
【0073】
また、本実施形態では、被加工体100aの第2領域AR2に照射される光20Lの光路は、光20Lの集光位置であり光20Lが照射される第2領域AR2以外における所定の温度以上の領域と重ならない。光20Lの光路が所定の温度以上の領域と重なると、光20Lが当該領域に吸収されるため、第2領域AR2に照射される光のエネルギーが低下する。従って、上記のように光20Lの光路が光20Lによって照射される第2領域AR2以外における所定の温度以上の領域と重ならないことで、第2領域に照射される光のエネルギーの低下が抑制され第2領域AR2を適切に加熱することができる。
【0074】
また、上記のように内側部101が螺旋状に形成される場合、第2加熱工程PS3において、固定部30が被加工体100aを長手方向に沿って移動させるとともに、第2加熱部20から出射する光20Lの集光位置が被加工体100aの長手方向に沿ってみる場合に円を描くように第2加熱部20が制御されてもよい。このような工程によっても、内側部101が螺旋状に形成された光透過性部品を製造することができる。また、この場合であっても、上記のように被加工体100aの第2領域AR2に照射される光20Lの光路は、光20Lの集光位置である第2領域AR2以外で所定の温度以上の領域と重ならないことが好ましい。従って、第2加熱部20からの光20Lは、被加工体100aの長手方向に非垂直な方向から被加工体100aに入射されることが好ましく、被加工体100aの軸に対して90°以下の方向から入射されることがより好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、第2領域AR2は、第1領域AR1の少なくとも一部と第1領域AR1以外の少なくとも一部とを含む。しかし、第2領域AR2は、第1領域AR1内に位置することとしてもよい。図8は第1加熱工程PS2の変形例を示す図である。本変形例では、第1加熱部10がヒータを含んで構成される。本変形例の第1加熱工程PS2では、第1加熱部10が、被加工体100aを長手方向に沿った所定の領域を所定の温度以上に加熱する。つまり、図8に示すように、本変形例では、第1領域AR1が被加工体100aを長手方向に沿った所定の領域である。そして、本変形例では、第1加熱工程PS2が行われている最中に、第2加熱工程PS3が上記実施形態と同様にして行われる。ただし、本変形例では、第2領域AR2が被加工体100aの側面の一部を含む領域とされる。このとき、第2加熱部20は、第2領域AR2の温度が第1領域AR1の温度よりも高い温度となるパワーの光20Lを第2領域AR2に照射する。本変形例によれば、第2領域AR2は、第1領域AR1内に位置するため、第2領域AR2に光が照射された当初から第2領域AR2全体が加熱される。従って、上記実施形態よりも短時間に第2領域AR2を加熱し得る。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9から図14を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略される。
【0077】
図9は、本実施形態に係る光透過性部品を示す概念図である。図9に示されるように、本実施形態では、光透過性部品として光ファイバ110が例示される。本実施形態の光ファイバ110は、光ファイバ110aと光ファイバ110bとからなる。本実施形態では、光ファイバ110a,110bは、それぞれコア111と、コア111を囲むクラッド112と、クラッド112を被覆する被覆層113とを有する。コア111は例えばドーパントが添加された石英からなり、クラッド112はコア111よりも屈折率の低い石英ガラスからなる。なお、本実施形態の光ファイバ110a,110bはシングルコアファイバとされるが、光ファイバ110a,110bはマルチクラッドファイバ、マルチコアファイバであってもよい。
【0078】
光ファイバ110a及び光ファイバ110bは、それぞれ一方の端部近傍において、被覆層113が剥離されている。本実施形態の光ファイバ110は、光ファイバ110a及び光ファイバ110bの被覆層113が剥離された一方の端部同士が融着接続可能とされている。
【0079】
互いに融着接続される前の光ファイバ110a及び光ファイバ110bは、それぞれコア111を光が伝搬する光透過性の被加工体であり、光ファイバ110aと光ファイバ110bとが融着接続されてなる光ファイバ110は、光ファイバ110aと光ファイバ110bとに渡りコア111を光が伝搬する光透過性部品である。
【0080】
次に、光ファイバ110aと光ファイバ110bとを融着接続して、光ファイバ110を製造する製造方法について説明する。
【0081】
本実施形態の光ファイバ110の製造方法の工程を示すフローチャートは、第1実施形態の図2で示したフローチャートと同様とされる。
【0082】
<準備工程PS1>
本実施形態では、本工程において、光ファイバ110aと光ファイバ110bとを準備する。また、本実施形態では、光ファイバ110a及び光ファイバ110bの一方の端部近傍における被覆層113を剥離し、光ファイバ110a、110bの各コア111の位置を調心する。
【0083】
図10は、光ファイバ110a及び光ファイバ110bが光ファイバ加工融着機にセットされた図である。光ファイバ加工融着機2は、光ファイバの加工や融着接続を可能な機器であり、本実施形態では、光透過性の被加工体である光ファイバ110aと光ファイバ110bとを融着接続して、光透過性部品である光ファイバ110を製造する光透過性部品の製造システムである。図10に示すように、光ファイバ加工融着機2は、第1加熱部10と、第2加熱部20と、光ファイバ固定部30a,30bと、カメラ40と、制御部50と、を主な構成として備える。ここで、カメラ40が1つ記載されているが、カメラ40が2つ以上備えられても良い。また、第1加熱部10、第2加熱部20が対向しているように記載されているが、第1加熱部10、第2加熱部20が同じ側に位置してもよい。
【0084】
光ファイバ固定部30aは、一方の光ファイバ110aを固定する部材であり、光ファイバ固定部30bは、他方の光ファイバ110bを固定する部材である。それぞれの光ファイバ固定部30a,30bは、光ファイバを固定できれば特に限定されない。例えば、それぞれの光ファイバ固定部30a,30bは、板状部材にV溝が形成された部材と抑え部材とからなり、このV溝に光ファイバを配置して、抑え部材で光ファイバを抑える構成とされる。なお、図では光ファイバ固定部30a,30bが簡易に記載されている。
【0085】
また、光ファイバ固定部30a,30bは、固定された光ファイバ110a,110bの長手方向に沿った方向、及び光ファイバ110a,110bの径方向に移動可能とされる。さらに、光ファイバ固定部30a,30bは、固定された光ファイバ110a,110bの軸中心に回転可能な構成とされる。
【0086】
図10に示されるように、光ファイバ110aが一方の光ファイバ固定部30aに固定され、光ファイバ110bが他方の光ファイバ固定部30bに固定された状態で、光ファイバ110aの一方の端部と光ファイバ110bの一方の端部とが互いに対向した状態とされる。この状態で光ファイバ110aの一方の端部と光ファイバ110bの一方の端部とが接していてもよいが、わずかに離間してもよい。こうして、一方の端部近傍における被覆層113が剥離された光ファイバ110a,110bは光ファイバ加工融着機2にセットされる。
【0087】
第1加熱部10は、第1実施形態の第1加熱部10と同様の構成とされる。従って、第1加熱部10は、光ファイバ110a,110bの一部である第1領域を所定の温度以上に加熱する部材である。本実施形態の第1領域の詳細は後述される。第1加熱部10が出射する光の波長は、例えば第1実施形態の第1加熱部10が出射する波長と同様とされ、第1加熱部10が出射する光は、常温でコア111及びクラッド112に吸収される。図10では理解の容易のために第1加熱部10から光が出射されているように記載されているが、本工程では第1加熱部10からは光が出射されない。
【0088】
第2加熱部20は、第1実施形態の第2加熱部20と同様の構成とされる。従って、第2加熱部20は、第1加熱部10により加熱された上記の第1領域の少なくとも一部を含む第2領域に光を照射し、この第2領域を所定の温度より高い温度に加熱して、第2領域の少なくとも一部を加熱前と異なる状態とする部材である。本実施形態の第2領域の詳細は後述される。第2加熱部20が出射する光の波長は、例えば第1実施形態の第2加熱部20が出射する波長と同様とされ、第2加熱部20から出射する光は、常温で光ファイバ110a,110bのコア111及びクラッド112を透過し、上記所定の温度以上でコア111及びクラッド112に吸収される。本実施形態の第2加熱部20は、第2加熱部20から出射する光によって、光ファイバ110a,110bを融着接続可能にさせている。図10では理解の容易のために第2加熱部20から光が出射されているように記載されているが、本工程では第2加熱部20からは光が出射されない。
【0089】
カメラ40は、光ファイバ110aの端部及び光ファイバ110bの端部の様子を撮影するカメラであり、第1実施形態のカメラと同様の構成とされる。従って、カメラ40で撮影される画像に基づいて、後述する制御部50が光ファイバ固定部30a,30bの位置を制御する。これにより、光ファイバ110aの端部と光ファイバ110bの端部とを対向させて、光ファイバ110aと光ファイバ110bとを調心することができる。また、カメラ40は、第1加熱部10から光が光ファイバ110a及び光ファイバ110bに照射される様子や、第2加熱部20から光が光ファイバ110a及び光ファイバ110bに照射される様子を撮影することが可能とされる。
【0090】
制御部50は、第1実施形態の制御部50と同様の構成とされるが、本実施形態では、制御部50は、光ファイバ固定部30a,30bの位置を調整することができる。本実施形態の光ファイバ固定部30a,30bは、固定される光ファイバ110a,110bの長手方向に沿った方向及びこの方向に垂直な光ファイバ110a,110bの径方向に移動可能とされ、さらに固定される光ファイバ110a,110bを軸中心に回転可能な構成とされる。従って、上記のカメラで撮影される画像に基づいて、光ファイバ固定部30a,30bを制御して、光ファイバ110aと光ファイバ110bとを調心することができる。
【0091】
<第1加熱工程PS2>
本実施形態では、本工程において、光ファイバ110a,110bの端部の一部を含む第1領域を所定の温度以上に加熱する。光ファイバ110a及び光ファイバ110bが上記のように光ファイバ加工融着機2にセットされ、作業者が不図示のスイッチを入れると、制御部50は本工程を行う。図11は、本工程の様子を示す図である。第1実施形態と同様にして、第1加熱部10から光10Lが出射される。第1加熱部10から出射した光10Lは、互いに対向する光ファイバ110aの一方の端部及び光ファイバ110bの一方の端部におけるクラッド112の表面に集光される。こうして光10Lがクラッド112に照射される。そして、光ファイバ110aの一方の端部及び光ファイバ110bに一方の端部におけるクラッド112の表面の一部が上記所定の温度以上に加熱される。本実施形態では、第1加熱部10により所定の温度以上に加熱されたクラッド112の領域が点線で示される第1領域AR1である。本実施形態では、第1領域AR1は例えば1300℃とされる。
【0092】
<第2加熱工程PS3>
図12は本実施形態における本工程の様子を示す図である。図12に示されるように、第2加熱部20から出射する光20Lは、第1加熱工程PS2で所定の温度以上に加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に集光される。第2領域AR2は一点鎖線で示される。こうして光20Lが第2領域AR2に照射される。光20Lが光ファイバ110a,110bに照射されると、第1実施形態と同様にして、光ファイバ110a,110bにおける光20Lが集光する第2領域AR2の全体が所定の温度よりも高い温度まで加熱される。
【0093】
本実施形態では、光20Lが集光する第2領域AR2は、石英ガラスの融点以上まで加熱される。従って、少なくとも第2領域AR2において、光ファイバ110aと光ファイバ110bとが融着接続される。こうして、第2領域AR2が所定の温度より高い温度に加熱されて、第2領域AR2の少なくとも一部が加熱前と異なる状態とされる。
【0094】
次に、本実施形態では、制御部50は、第2加熱部20を制御して、第2加熱部20から出射する光20Lが集光する位置を時間と共に移動させる。具体的には図12において破線矢印で示す軌跡を辿るように第2領域AR2を移動させる。ただし、図12の軌跡は一例であり、当該軌跡には限定されない。こうして、光20Lによって照射される第2領域AR2が石英ガラスの融点以上に加熱され、当該第2領域AR2が移動することで、光ファイバ110aと光ファイバ110bとは、第2領域AR2の移動の軌跡に沿って互いに融着接続される。
【0095】
こうして、被加工体である光ファイバ110aと光ファイバ110bとが融着接続されてなる光透過性部品としての光ファイバ110が製造される。
【0096】
本実施形態の光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムによれば、第2領域AR2を安定して加熱することができるため、安定して被加工体である光ファイバ110aと光ファイバ110bとを融着接続でき、安定して光透過性部品である光ファイバ110を製造することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、第2加熱工程PS3において、光20Lは、光ファイバ110a,110bの端部における一部に集光されて、光20Lが集光されて成る第2領域AR2が移動することで、光ファイバ110aと光ファイバ110bとが融着された。図13は、本実施形態の第2加熱工程PS3の変形例を示す図である。本変形例では、光20Lが第1領域AR1の全体を含む光ファイバ110a,110bの端部の全体に集光されてもよい。この変形例では、光ファイバ110a,110bの端部の全体が第2領域AR2となる。なお、図13では、線が重なることにより図が煩雑となることを避けるため、第2領域AR2が僅かに小さめに記載されている。このような変形例によれば、上記実施形態のように光ファイバ110a,110bの端部において、光20Lの集光位置を移動させる必要がない。従って、本変形例によれば、制御部50の負担を軽減して、短時間で第2加熱工程を終えることができる。ただし、本変形例における第2領域AR2の面積は本実施形態の第2領域AR2の面積より大きいため、第2加熱部20から出射される光のパワーが大きいことが好ましい。
【0098】
なお、本実施形態においても、第1加熱工程PS2において、上記変形例の光20Lのように光10Lが光ファイバ110a,110bの端部の全体に照射され、光ファイバ110a,110bの端部の全体が所定の温度以上に加熱されてもよい。この場合に、光20Lは、図12に示す上記実施形態のように照射されてもよく、上記変形例のように照射されてもよい。
【0099】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図14から図17を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0100】
図14は、本実施形態に係る光透過性部品を示す概念図である。図14に示すように、本実施形態では、光透過性部品として光ファイバ120が例示される。本実施形態の光ファイバ120は、光ファイバの先端にボールレンズ121が形成された光ファイバであり、ボールレンズド光ファイバと呼ばれる場合がある。この光ファイバ120は、上記のように先端にボールレンズ121が形成された点を除き、第2実施形態の光ファイバ110a,110bと同様の構成とされる。従って、光ファイバ120は、光がコア111とボールレンズ121とを光が伝搬する光透過性部品である。
【0101】
次に、ボールレンズ121が形成された光ファイバ120を製造する製造方法について説明する。
【0102】
本実施形態の光ファイバ120の製造方法の工程を示すフローチャートは、第1実施形態の図2で示したフローチャートと同様とされる。
【0103】
<準備工程PS1>
本実施形態では、本工程において、光ファイバ120aを準備する。この光ファイバ120aは、第2実施形態の光ファイバ110a,110bと同様の構成とされ、コア111を光が伝搬する光透過性の被加工体である。本実施形態では、第2実施形態と同様に光ファイバ120aの一方の端部近傍における被覆層113を剥離する。
【0104】
図15は、光ファイバ120aが光ファイバ加工融着機2にセットされた図である。光ファイバ加工融着機2は、本実施形態では、光透過性の被加工体である光ファイバ120aを加工して光透過性部品である光ファイバ120を製造する光透過性部品の製造システムである。
【0105】
図15に示されるように、本実施形態では、光ファイバ120aが一方の光ファイバ固定部30aに固定される。この状態で光ファイバ120aの一方の端部は、第1加熱部10からの光10Lと第2加熱部20からの光20Lが照射される位置に配置される。こうして、一方の端部近傍における被覆層113が剥離された光ファイバ120aは光ファイバ加工融着機2にセットされる。なお、本実施形態では、他方の光ファイバ固定部30bは光ファイバ加工融着機2に備えられていなくてもよい。このため、図15では、光ファイバ固定部30bが省略されている。なお、図15では理解の容易のために第1加熱部10及び第2加熱部20から光が出射されているように記載されているが、本工程では、第1加熱部10、第2加熱部20からは光が出射されない。
【0106】
<第1加熱工程PS2>
図16は、本工程を示す図である。本実施形態では、本工程では、第2実施形態において光ファイバ110a,110bの端部の一部を含む第1領域が所定の温度以上に加熱されたのと同様に、光ファイバ120aの端部の一部を含む第1領域が所定の温度以上に加熱される。
【0107】
<第2加熱工程PS3>
図17は本実施形態における本工程の様子を示す図である。図17に示されるように、第2加熱部20から出射する光20Lは、第1加熱工程PS2で所定の温度以上に加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に集光される。本実施形態では、光20Lは、第1領域AR1の全体を含む光ファイバ120aの端部の全体に集光される。なお、図17では、線が重なることにより図が煩雑となることを避けるため、第2領域AR2が僅かに小さめに記載されている。このため第2領域AR2のうち第1領域AR1と重なる領域から加熱されて、上記説明のように加熱される範囲が広がり、第2領域AR2全体が所定の温度よりも高い温度まで加熱される。本実施形態では、第2領域AR2全体をコア111、クラッド112を形成する石英の融点よりも高い温度まで加熱する。そして、流動化した石英の表面張力により石英が球状に変形する。こうして、第2領域AR2が加熱前と異なる状態とされる。
【0108】
そして、第2加熱部からの光20Lの照射を停止することで、光ファイバの先端にボールレンズが形成された光透過性部品としての光ファイバ120が製造される。
【0109】
本実施形態の光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムでは、第2領域AR2は安定して加熱されるため、第2領域AR2の少なくとも一部が安定して変形される。従って、光透過性部品である光ファイバ120の一部にボールレンズ121を安定して形成することができる。なお、光ファイバ120の一部が変形される場合、当該変形により形成されるものはボールレンズ121に限定されない。
【0110】
なお、本実施形態において、第1加熱工程PS2において、図17に示す光20Lのように光10Lが光ファイバ120aの端部の全体に照射され、光ファイバ120aの端部の全体が所定の温度以上に加熱されてもよい。
【0111】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図18から図21を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0112】
図18は、本実施形態に係る光透過性部品を示す概念図である。図18に示されるように、本実施形態では、光透過性部品として光ファイバ130が例示される。本実施形態の光ファイバ130では、所定の区間において被覆層113が剥離され、当該区間にクラッドモード光ストリッパ131が形成されている。本実施形態のクラッドモード光ストリッパ131は、クラッド112において螺旋状の溝状に形成された部位である。クラッドモード光ストリッパ131は、クラッド112を伝搬する不要なクラッドモード光を外部に放射する。この光ファイバ130は、上記のように所定の区間において被覆層113が剥離されクラッドモード光ストリッパ131が形成された点を除き、第2実施形態の光ファイバ110a或いは光ファイバ110bと同様の構成とされる。また或いは、この光ファイバ130は、第2実施形態の光ファイバ110における被覆層113が剥離された光ファイバ110aと光ファイバ110bとの接続部分にクラッドモード光ストリッパ131が形成されたものであってもよい。従って、光ファイバ130は、光がコア111を伝搬する光透過性部品である。
【0113】
次に、クラッドモード光ストリッパ131が形成された光ファイバ130を製造する製造方法について説明する。
【0114】
本実施形態の光ファイバ130の製造方法の工程を示すフローチャートは、第1実施形態の図2で示したフローチャートと同様とされる。
【0115】
<準備工程PS1>
本実施形態では、本工程において、光ファイバ130aを準備する。この光ファイバ130aは、第2実施形態の光ファイバ110a,110bと同様の構成とされ、コア111を光が伝搬する光透過性の被加工体である。本実施形態では、光ファイバ130aの長手方向における一部の区間において、被覆層113を剥離する。
【0116】
図19は、光ファイバ120aが光ファイバ加工融着機2にセットされた図である。光ファイバ加工融着機2は、本実施形態では、光透過性の被加工体である光ファイバ130aを加工して光透過性部品である光ファイバ130を製造する光透過性部品の製造システムである。
【0117】
図19に示されるように、本実施形態では、光ファイバ130aの被覆層113が剥離された区間の一方側が一方の光ファイバ固定部30aに固定され、光ファイバ130aの被覆層113が剥離された区間の他方側が他方の光ファイバ固定部30bに固定される。このとき被覆層113が剥離された区間に第1加熱部10及び第2加熱部20から光が照射される位置となるように、光ファイバ130aは光ファイバ固定部30a,30bに固定される。図19では理解の容易のために第1加熱部10から光が出射されているように記載されているが、本工程では第1加熱部10からは光が出射されない。こうして、一部区間における被覆層113が剥離された光ファイバ130aは光ファイバ加工融着機2にセットされる。ここで、図19では、第1加熱部10、第2加熱部20が対向しているように記載されているが、第1加熱部10、第2加熱部20が同じ側にあってもよい。
【0118】
<第1加熱工程PS2>
図20は、本工程を示す図である。本実施形態では、本工程において、第2実施形態において光ファイバ110a,110bの端部の一部を含む第1領域が所定の温度以上に加熱されたのと同様に、光ファイバ130aの被覆層113が剥離された区間におけるクラッド112の一部を含む第1領域が所定の温度以上に加熱される。
【0119】
<第2加熱工程PS3>
図21は本実施形態における本工程の様子を示す図である。図21に示されるように、第2加熱部20から出射する光20Lは、第1加熱工程PS2で所定の温度以上に加熱された第1領域AR1の少なくとも一部を含む第2領域AR2に集光される。本実施形態では、光20Lは、クラッド112の一部に集光され、第2領域AR2全体が所定の温度よりも高い温度まで加熱される。本実施形態では、石英がアブレーションされる温度まで第2領域AR2を加熱する。従って、光20Lが集光される第2領域AR2は凹状に加工される。こうして、第2領域AR2が加熱前と異なる状態とされる。
【0120】
次に、制御部50は、光ファイバ130aが軸中心に回転しながら長手方向に沿って移動するように、光ファイバ固定部30a,30bを移動させる。従って、光20Lが集光する第2領域AR2は、光ファイバ130a上を図21に破線矢印で示されるように移動する。この第2領域AR2の移動に伴い、クラッド112は、螺旋状の溝が形成され、当該溝がクラッドモード光ストリッパ131となる。
【0121】
こうして、クラッドモード光ストリッパ131が形成された光透過性部品としての光ファイバ130が製造される。
【0122】
本実施形態の光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムでは、第2領域AR2は安定して加熱されるため、第2領域AR2の少なくとも一部が安定してアブレーションされる。従って、光透過性部品である光ファイバ130の一部にクラッドモード光ストリッパ131を安定して形成することができる。なお、光ファイバ120の一部がアブレーションされる場合、当該アブレーションにより形成されるものはクラッドモード光ストリッパ131に限定されない。
【0123】
なお、本実施形態においても、第1加熱工程PS2において、光ファイバ130aにおけるクラッドモード光ストリッパ131が形成される区間全体に光10Lが照射されて、当該区間全体が所定の温度以上に加熱されてもよい。
【0124】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0125】
例えば、上記実施形態では、第1加熱部10が被加工体の一部を所定の温度以上に加熱する例を主に示したが、各実施形態で注釈したように、第1加熱部10は第2加熱部20で加熱される領域全体を加熱してもよい。すなわち、第2領域AR2が第1領域AR1内であってもよい。また、第1加熱部10は、被加工体全体を加熱してもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、第2加熱工程PS3において、第2加熱部20から光20Lが照射されると、第1加熱部10からの光10Lの照射が停止された。つまり、第2加熱工程PS3が開始されると、第1加熱工程PS2が停止された。しかし、第2加熱工程PS3以降も第1加熱工程PS2が継続して行われてもよい。例えば、上記のように第1加熱部10が第2加熱部20で加熱される領域全体を加熱する場合、第1領域AR1が第1加熱部10で加熱されながら、第1領域AR1内の一部の領域が第2加熱部20により加熱されてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、第2加熱工程PS3において、第2加熱部20から出射される光20Lが集光された。しかし、第2加熱部20から出射される光20Lが集光されず、例えば、コリメート光とされてもよい。
【0128】
上記実施形態では、第2加熱工程PS3において、第2領域AR2が第1加熱工程PS2で加熱される第1領域AR1の温度よりも高い温度に加熱された。しかし、第1加熱工程PS2で加熱される第1領域AR1の温度が、第2加熱工程PS3で加熱される第2領域AR2の温度よりも高くてもよい。この場合、第1加熱工程PS2で加熱される第1領域AR1は、被加工体の一部であることが好ましい。
【0129】
また、上記実施形態では、光透過性部品の製造システムは、第1加熱部10及び第2加熱部20をそれぞれ1つ備えていたが、第1加熱部10及び第2加熱部20の少なくとも一方が複数であってもよい。例えば、第2加熱部20が複数備えられる場合、複数の第2領域AR2に同時に光20Lを照射することができる。
【0130】
また、被加工体の形状は特に限定されず、例えば、板状、円錐状、角柱状、角錐状等の部材であってもよい。また、光透過性部品100の材料は、ガラスを含んでいればよい。従って、被加工体100aの材料もガラスを含むことになる。また、光透過性部品の材料は光透過性の材料であれば特に限定されず、樹脂であってもよい。
【0131】
また、上記光透過性部品の製造システムは、第1加熱部10と、第2加熱部20とを備えていればよく、固定部30や光ファイバ固定部30a、30b、カメラ40、制御部50は必須の構成ではない。
【0132】
また、上記光透過性部品の製造システムは、光透過性部品の製造装置としての上記の加工機1に限定されず、第1加熱部10と、第2加熱部20と、固定部30と、カメラ40と、制御部50とが、1つの装置内に組み込まれていなくてもよい。例えば、制御部50が別の場所に配置され、ネットワークを介して第1加熱部10と、第2加熱部20と、カメラ40とに接続されていてもよい。
【0133】
本発明によれば、安定して光透過性部品を製造し得る光透過性部品の製造方法、及び、光透過性部品の製造システムが提供され得、光ファイバを用いるシステム等といった光透過性部品を用いる技術分野において利用することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21