(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】パワーインダクター
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20221115BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20221115BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20221115BHJP
H01F 27/08 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/00 B
H01F27/29 123
H01F17/04 A
H01F27/08 101
(21)【出願番号】P 2021007884
(22)【出願日】2021-01-21
(62)【分割の表示】P 2018518437の分割
【原出願日】2016-10-13
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】10-2015-0144935
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0126742
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509275998
【氏名又は名称】モダ-イノチップス シーオー エルティディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク インギル
(72)【発明者】
【氏名】キム ギョンテ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン シュンホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ナム キジョン
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-287904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0167897(US,A1)
【文献】国際公開第2007/119426(WO,A1)
【文献】特開2014-130988(JP,A)
【文献】特開2001-102235(JP,A)
【文献】特開2012-248629(JP,A)
【文献】特開2015-032625(JP,A)
【文献】特開2014-183307(JP,A)
【文献】特開2013-062459(JP,A)
【文献】特開2010-087030(JP,A)
【文献】特開2010-278301(JP,A)
【文献】特開2011-124420(JP,A)
【文献】特開2012-235080(JP,A)
【文献】特開2016-143887(JP,A)
【文献】特表2007-503716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0002255(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0080800(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 17/00
H01F 27/29
H01F 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディの内部に設けられた少なくとも一つの基材と、
前記基材の上面及び下面のうちの少なくとも一方の面の上に形成された少なくとも一つのコイルパターンと、
前記コイルパターンと前記ボディとの間に形成された絶縁膜と、
前記ボディの一側面に形成されて前記コイルパターンと接続される第1の外部電極と、
前記ボディの前記一側面と対向する側面に形成されて前記コイルパターンと接続される第2の外部電極と、
を備え、
前記ボディは、上下方向に交互に積み重ねられたそれぞれ複数の磁性層及び絶縁層を備え、
前記複数の磁性層
には
、前記第1の外部電極
に接触する磁性層と、前記第2の外部電極
に接触
する磁性層とが含まれ、
前記第1の外部電極に接触する磁性層と前記第2の外部電極に接触する磁性層とは、上下方向に交互に配置されている
パワーインダクター。
【請求項2】
前記ボディの上側に形成されたキャッピング絶縁層を更に備える請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項3】
前記磁性層は、非晶質であり、透磁率が200以上である金属リボンを備える請求項1又は請求項2に記載のパワーインダクター。
【請求項4】
前記磁性層は、板状のセンダストを含む請求項1又は請求項2に記載のパワーインダクター。
【請求項5】
前記磁性層は、前記絶縁層よりも小さい大きさに形成された請求項
1に記載のパワーインダクター。
【請求項6】
前記絶縁層は、金属磁性粉末及び熱伝導性フィラーを含有する請求項1又は請求項2に記載のパワーインダクター。
【請求項7】
前記熱伝導性フィラーは、MgO、AlN、カーボン系の物質、Ni系フェライト及び
Mn系フェライトよりなる群から選ばれた一種以上を含む請求項6に記載のパワーインダクター。
【請求項8】
前記基材は、少なくとも一部の領域が除去され、除去された領域に前記ボディが充填された請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項9】
前記基材の除去された領域に前記磁性層及び絶縁層が垂直方向又は水平方向に交互に形成されるか、前記基材の除去された領域に金属磁性粉末及び熱伝導性フィラーの少なくとも一方を含有する絶縁層が形成されるか、又は、前記基材の除去された領域に磁性物質が形成された請求項8に記載のパワーインダクター。
【請求項10】
前記基材の一方の面及び他方の面に形成された前記コイルパターンは、同じ高さに形成された請求項1又は請求項2に記載のパワーインダクター。
【請求項11】
前記コイルパターンは、前記基材の上に形成された第1のメッキ膜と、前記第1のメッキ膜を覆うように形成された第2のメッキ膜と、を備える請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項12】
前記コイルパターンは、少なくとも一領域が異なる幅に形成された請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項13】
前記絶縁膜は、前記コイルパターンの上面及び側面に均一な厚さに形成され、前記基材の上に前記コイルパターンの上面及び側面と同じ厚さに形成された請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項14】
前記第1の外部電極及び第2の外部電極は、少なくとも一部が前記コイルパターンと同じ材質によって形成された請求項1又は請求項2に記載のパワーインダクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーインダクターに係り、特に、インダクタンス(Inductance)特性に優れており、しかも、絶縁特性及び熱的安定性が向上したパワーインダクターに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーインダクターは、主として携帯機器内のDC-DCコンバーターなどの電源回路に設けられる。この種のパワーインダクターは、電源回路の高周波化及び小型化が進むことに伴い、既存の巻線型チョークコイル(Choke Coil)の代わりに好んでよく用いられている。なお、パワーインダクターは、携帯機器のサイズの縮小化及び多機能化が進むことに伴い、小型化、高電流化、低抵抗化などに向けた開発が行われている。
【0003】
従来のパワーインダクターは、多数の磁性体(フェライト)または低誘電率の誘電体からなるセラミックシートが積み重ねられた形状に製造されていた。このとき、セラミックシートの上にはコイルパターンが形成されるが、それぞれのセラミックシートの上に形成されたコイルパターンは、セラミックシートに形成された導電性ビアによって接続され、シートが積み重ねられる上下方向に沿って重なり合う構造を有する。なお、セラミックシートが積み重ねられて形成されたボディは、従来には、多くの場合、ニッケル(Ni)-亜鉛(Zn)-銅(Cu)-鉄(Fe)の4元系で構成された磁性体材料を用いて製作していた。
【0004】
ところが、磁性体材料は、飽和磁化値が金属材料に比べて低いが故に、最近の携帯機器が必要とする高電流特性を実現することができなくなる虞がある。このため、パワーインダクターを構成するボディを金属磁性粉末を用いて製作することにより、ボディを磁性体で製作した場合に比べて相対的に飽和磁化値を高めることができる。しかしながら、金属を用いてボディを製作する場合、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が大幅に増えてしまうという問題が生じる虞がある。
【0005】
このような材料の損失を低減するために、金属粉末の間をポリマーで絶縁する構造を適用している。すなわち、金属粉末及びポリマーが混合されたシートを積み重ねてパワーインダクターのボディを製造する。また、ボディの内部には、コイルパターンが形成された所定の基材が設けられる。すなわち、所定の基材の上にコイルパターンを形成し、その上側及び下側に複数枚のシートを積み重ねて圧着してパワーインダクターを製造する。
【0006】
しかしながら、金属磁性粉末及びポリマーを用いたパワーインダクターは、金属磁性粉末が固有の物性をそのまま保持することができないが故に、低い透磁率を有さざるを得ず、且つ、ポリマーが金属磁性粉末を取り囲むが故に、ボディの透磁率が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国公開特許公報第2007-0032259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、透磁率を向上させることのできるパワーインダクターを提供する。
【0009】
本発明は、ボディの透磁率を向上させて全体的な透磁率を向上させることのできるパワ
ーインダクターを提供する。
【0010】
本発明は、外部電極のショートを防ぐことのできるパワーインダクターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るパワーインダクターは、ボディと、前記ボディの内部に設けられた少なくとも一つの基材と、前記基材の少なくとも一方の面の上に形成された少なくとも一つのコイルパターンと、前記コイルパターンと前記ボディとの間に形成された絶縁膜と、前記ボディの外部に形成されて前記コイルパターンと接続される外部電極と、を備え、前記ボディは、交互に積み重ねられたそれぞれ複数の磁性層及び絶縁層を備える。
【0012】
前記パワーインダクターは、前記ボディの上側に形成されたキャッピング絶縁層を更に備える。
【0013】
前記磁性層は、非晶質であり、透磁率が200以上である金属リボンを備える。
【0014】
前記磁性層は、板状のセンダスト、Ni系フェライト及びMn系フェライトの少なくともいずれか一種を含む。
【0015】
前記磁性層は、前記絶縁層よりも小さい大きさに形成される。
【0016】
前記磁性層は、同じ平面上において少なくとも一部が前記外部電極と絶縁される。
【0017】
前記絶縁層は、金属磁性粉末及び熱伝導性フィラーを含有する。
【0018】
前記熱伝導性フィラーは、MgO、AlN、カーボン系の物質、Ni系フェライト及びMn系フェライトよりなる群から選ばれた一種以上を含む。
【0019】
前記基材は、少なくとも一部の領域が除去され、除去された領域にボディが充填される。
【0020】
前記基材の除去された領域に前記磁性層及び絶縁層が垂直方向又は水平方向に交互に形成されるか、金属磁性粉末及び熱伝導性フィラーの少なくとも一方を含有する絶縁層が形成されるか、又は磁性物質が形成される。
【0021】
前記基材の一方の面及び他方の面に形成された前記コイルパターンは、同じ高さに形成される。
【0022】
前記コイルパターンは、前記基材の上に形成された第1のメッキ膜と、前記第1のメッキ膜を覆うように形成された第2のメッキ膜と、を備える。
【0023】
前記コイルパターンは、少なくとも一領域が異なる幅に形成される。
【0024】
前記絶縁膜は、前記コイルパターンの上面及び側面に均一な厚さに形成され、前記基材の上に前記コイルパターンの上面及び側面と同じ厚さに形成される。
【0025】
前記外部電極は、少なくとも一部が前記コイルパターンと同じ材質によって形成される。
【0026】
前記コイルパターンは、前記基材の少なくとも一方の面の上にメッキ工程によって形成
され、前記外部電極は、前記コイルパターンと接触される領域がメッキ工程によって形成される。
【0027】
また、本発明の他の態様に係るパワーインダクターは、ボディと、前記ボディの内部に設けられた少なくとも一つの基材と、前記基材の少なくとも一方の面の上に形成された少なくとも一つのコイルパターンと、前記コイルパターンと前記ボディとの間に形成された絶縁膜と、前記ボディの外部に形成され、前記コイルパターンと接続される外部電極と、を備え、前記外部電極は、前記コイルパターンと接触される領域が前記コイルパターンと同じ材質によって形成される。
【0028】
前記コイルパターンは、前記基材の少なくとも一方の面の上にメッキ工程によって形成され、前記外部電極は、前記コイルパターンと接触される領域がメッキ工程によって形成される。
【0029】
前記パワーインダクターは、前記ボディの少なくとも一方の面に形成されたキャッピング絶縁層を更に備える。
【0030】
前記キャッピング絶縁層は、前記外部電極がプリント回路基板に実装される領域を除く残りの領域の少なくとも一部に形成される。
【0031】
前記外部電極は、前記ボディの長手方向の第1及び第2の面から幅方向及び高さ方向の第3乃至第6の面の一部に延設され、前記キャッピング絶縁層は、前記外部電極が前記プリント回路基板に実装される領域と向かい合う領域の上に形成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施形態に係るパワーインダクターは、金属リボン(metalribbon)及びポリマーを積み重ねてボディを製作する。固有の透磁率がそのまま保持可能な金属リボンを用いてボディを製作することにより、ボディの透磁率を向上させることができ、これにより、パワーインダクターの全体的な透磁率を向上させることができる。
【0033】
また、コイルパターンの上にパリレン(parylene)をコーティングすることにより、コイルパターンの上にパリレンを均一な厚さに形成することができ、これにより、ボディとコイルパターンとの間の絶縁性を向上させることができる。
【0034】
更に、ボディの内部に設けられてコイルパターンが形成された基材を金属磁性体で製作することにより、パワーインダクターの透磁率の低下を防ぐこともでき、基材の少なくとも一部を除去し、その部分にボディを充填することにより透磁率を向上させることができ、ボディに少なくとも1つの磁性層を設けることにより、パワーインダクターの透磁率を向上させることができる。
【0035】
一方、外部電極が形成されたボディの上面に絶縁キャッピング層を形成することにより、外部電極とシールドキャン(shield can)、隣り合う部品などのショート(short)を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの組み立て状態の斜視図である。
【
図2】
図1のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの一部平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの内部のコイルパターンの断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの内部のコイルパターンの断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の変形例に係るパワーインダクターの側面図である。
【
図8】
図9から
図16とともに、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
【
図9】
図8と、
図10から
図16とともに、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
【
図16】
図8から
図15とともに、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
【
図17】本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
【
図18】
図17のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図19】
図17のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態の変形例に係る
図17のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図21】は、本発明の第3の実施形態の変形例に係る
図17のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図22】本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
【
図23】
図22のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図24】
図22のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図26】本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
【
図27】
図26のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図28】
図26のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図29】
図30と
図31とともに、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順番に示す断面図である。
【
図30】
図29と
図31とともに、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順番に示す断面図である。
【
図31】
図29と
図30とともに、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順番に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態に係る「パワーインダクター」について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるも
のである。
【0038】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの組み合わせ斜視図であり、
図2は、
図1のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0039】
また、
図3は、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの分解斜視図であり、
図4は、基材及びコイルパターンの平面図である。
【0040】
更に、
図5及び
図6は、コイルパターンの形状を説明するための基材及びコイルパターンの断面図である。一方、
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るパワーインダクターの一側面図である。
【0041】
図1から
図4を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターは、磁性層110及び絶縁層120が交互に積み重ねられたボディ100(100a、100b)と、ボディ100の内部に設けられた基材200と、基材200の少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320)と、ボディ100の外部に設けられた外部電極400(410、420)と、を備えていてもよい。また、前記パワーインダクターは、コイルパターン310、320とボディ100との間に形成された絶縁膜500を更に備えていてもよい。なお、
図7に示すように、ボディ100の上面に形成されたキャッピング絶縁層550を更にそなえていてもよい。
【0042】
1.ボディ
ボディ100は、六面体状であってもよい。即ち、ボディ100は、X方向に所定の長さを有し、Y方向に所定の幅を有し、Z方向に所定の高さを有する略六面体状に設けられてもよい。このとき、ボディ100は、長さが幅及び高さよりもそれぞれ大きく、幅は高さに等しいか又は異なってもよい。いうまでもなく、ボディ100は、六面体に加えて、多面体状を呈してもよい。このようなボディ100は、複数の磁性層110及び複数の絶縁層120を備えていてもよく、磁性層110及び絶縁層120が交互に複数積み重ねられてもよい。ここで、磁性層110は、金属リボンを備えていてもよく、絶縁層120は、ポリマーを含んでいてもよい。
【0043】
磁性層110は、所定の厚さを有し、ボディ100の長さ及び幅に相当する大きさを有してもよい。ところが、磁性層110は、ボディ100の長さ及び幅よりも小さくてもよい。即ち、磁性層110が外部に露出されることを防ぐために、磁性層110の長さ及び幅はボディ100の長さ及び幅よりも小さいことが好ましい。このとき、ボディ100の長さ及び幅は、絶縁層120の長さ及び幅に相当する。したがって、磁性層110は、長さ及び幅が絶縁層120よりも小さく形成される。また、磁性層110は、少なくとも一部が外部電極400と接触されないように形成されてもよい。即ち、磁性層110の一方の側が第1の外部電極410と接触されれば、他方の側が第2の外部電極420と離れるように形成され、一方の側及び他方の側が第1及び第2の外部電極410、420と接触されれば、一領域が離れて設けられてもよい。したがって、磁性層110によって両外部電極400が導通されないようにする。このような磁性層110は、非晶質合金の金属リボンによって形成されてもよい。非晶質合金の金属リボンを形成するために、合金を溶融させた溶融金属を高速にて回転する冷却ホイールに噴射して形成してもよい。即ち、溶融金属を冷却ホイールに噴射することにより、溶融金属が、例えば、1600℃の温度から所定の温度まで1秒当たりに約数百万の温度の速度で急速に冷却され、これにより、磁性層110は、非晶質で形成されてもよい。このような磁性層110は、様々な幅及び厚さに形成されてもよいが、例えば、冷却ホイールの回転速度に応じて様々な厚さに形成されてもよく、冷却ホイールの幅に応じて様々な幅に形成されてもよい。このようにして形成された非晶質の磁性層110は、ボディ100の大きさに合わせて切断して使用してもよ
い。また、磁性層110は、同じ平面、即ち、同じ層の上に少なくとも2以上設けられてもよい。即ち、垂直方向に積み重ねられた2つの絶縁層120の間に水平方向に少なくとも2以上の磁性層110が設けられてもよい。水平方向に設けられた少なくとも2以上の磁性層110は、互いに接触されないように所定の間隔だけ離れて設けられてもよく、互いに接触されるように設けられてもよい。このとき、水平方向に設けられた少なくとも2以上の磁性層110は、異なる大きさ及び形状を有してもよい。即ち、同じ大きさ及び形状を有する2以上の磁性層110が同じ平面の上に設けられてもよく、異なる大きさ及び形状を有する2以上の磁性層110が同じ平面の上に設けられてもよい。また、磁性層110は、粉砕されて同じ層内に複数の欠片の形態で設けられてもよい。このために、例えば、絶縁テープの間に磁性層110を設けた後、所定の圧力を加えて磁性層110を破砕した後、絶縁層120の間に設けてもよく、磁性層110及び絶縁層120の積み重ね工程において磁性層110の少なくとも一部が破砕されてもよい。一方、磁性層110は、Feを基本として、Si、B、Nb、Cuなどが添加された合金を用いて製造してもよい。例えば、磁性層110は、鉄-ケイ素(Fe-Si)、鉄-ニッケル-ケイ素(Fe-Ni-Si)、鉄-シリコン-ホウ素(Fe-Si-B)、鉄-シリコン-クロム(Fe-Si-Cr)、鉄-シリコン-アルミニウム(Fe-Si-Al)、鉄-シリコン-ホウ素-クロム(Fe-Si-B-Cr)、鉄-アルミニウム-クロム(Fe-Al-Cr)、鉄-シリコン-ホウ素-ニオブ-銅(Fe-Si-B-Nb-Cu)及び鉄-シリコン-クロム-ホウ素-ニオブ-銅(Fe-Si-Cr-B-Nb-Cu)よりなる群から選ばれた一つ以上の金属を含んでいてもよい。即ち、磁性層110は、FeSi系、FeNiSi系、FeSiB系、FeSiCr系、FeSiAl系、FeSiBCr系、FeAlCr系、FeSiBNbCu系及びFeSiCrBNbCu系のうちの少なくとも一つ以上のリボンを用いて形成してもよい。このような非晶質の磁性層110は、結晶粒及び/又は結晶粒系が存在しない状態となり、多くのユニークな性質を有している。即ち、優れた磁気的特性、耐蝕性、耐摩耗性、高強度、強度及び靭性、高比抵抗などを有することになる。一方、このような磁性層110は、磁性シートとは異なる。即ち、磁性層110は、純粋な金属からなるが、磁性シートは、金属磁性粉末及びポリマーを混合した混合物を所定の形状に成形して形成する。また、金属磁性粉末は、金属をガスで冷却させて微細な粉末状に製作するため固有の物性を保持することができず、その結果、低い透磁率を有さざるを得ず、且つ、金属磁性粉末がポリマーに取り囲まれるため磁性シートの透磁率は低くならざるを得ない。しかしながら、本発明の磁性層110は、純粋な金属からなり、急速冷却によって非晶質状態に形成されるため、固有の物性をそのまま保持することができ、これにより、高い透磁率を有することができる。磁性層110は、例えば、200以上の透磁率を有することができるが、物質に応じて200から14万までの透磁率を有することができる。一方、磁性層110は、金属リボンの代わりにセンダスト(sendust)、即ち、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)によって形成されてもよく、Ni系又はMn系フェライトによって形成されてもよい。Ni系フェライトとしては、NiO・ZnO・CuO-Fe2O3が挙げられ、Mn系フェライトとしては、MnO・ZnO・CuO-Fe2O3が挙げられる。これらの物質もまた、磁性層110と同様に、所定の厚さを有する板状に設けられて絶縁層120と交互に積み重ねられてもよい。一方、これらの物質は、基材200の中央部に形成された貫通孔220を埋めてもよい。即ち、これらの物質が基材200の貫通孔220を埋めて磁芯として機能し、基材200の上側及び下側は、磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられて形成されてもよい。
【0044】
絶縁層120は、磁性層110の間を絶縁するために磁性層110の間に設けられてもよい。このとき、ボディ100の外郭には絶縁層120が形成されてもよい。即ち、磁性層110が外部電極400及び回路の上に接触されることを防ぐために、ボディ100の外部には絶縁層120が形成されてもよい。このために、上述したように、ボディ100と同じ長さ及び幅を有するように絶縁層120が設けられ、磁性層110は絶縁層120
よりも小さい長さ及び幅を有するように形成されてもよい。一方、絶縁層120は、磁性層110と同じ厚さに設けられてもよく、磁性層110よりも厚肉に又は薄肉に設けられてもよい。このとき、ボディ100における磁性層110の割合が高くなるにつれて、透磁率が高くなるので、磁性層110の厚さが絶縁層120の厚さよりも大きいことが好ましい。例えば、磁性層110及び絶縁層120の厚さ比は、1:1~3:1であってもよい。このような絶縁層120としては、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymerと、LCP)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上が挙げられるが、これに制限されない。また、絶縁層120は、磁性層110の間に絶縁性を提供するものであり、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水素化BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane
Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber
Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD
Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上が挙げられる。
【0045】
一方、基材200を間に挟んでその上側及び下側に設けられたボディ100a、100bは、基材200を介して互いに接続されてもよい。すなわち、基材200の少なくとも一部が除去されて貫通孔220が形成され、貫通孔220にボディ100の一部が充填されてもよい。このように基材200の少なくとも一部に形成された貫通孔220にボディ100が充填されることにより、基材200の面積を減らし、同じ体積におけるボディ100の割合を増加させることにより、パワーインダクターの透磁率を増加させることができる。このとき、貫通孔220に充填されるボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられて形成されてもよい。貫通孔220に充填されるボディ100は、基材200と水平方向に磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられてもよく、基材200と垂直方向に磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられてもよい。即ち、貫通孔220に充填されるボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が垂直方向に積み重ねられてもよく、水平方向に積み重ねられてもよい。
【0046】
一方、絶縁層120は、ボディ100の熱を外部に放出するための熱伝導性フィラー(図示せず)を更に備えていてもよい。即ち、外部の熱によってボディ100が加熱されることがあるが、絶縁層120内に熱伝導性フィラーが含まれることによって、ボディ100の熱を外部に放出することができる。このような熱伝導性フィラーは、MgO、AlN、カーボン系の物質、Ni系フェライト、Mn系フェライトなどよりなる群から選ばれるいずれか一種以上を含んでいてもよいが、これに限定されない。ここで、カーボン系の物質は炭素を含み、様々な形状を呈してもよいが、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、グラファイトなどが含まれてもよい。更に、Ni系フェライトとしては、NiO・ZnO・CuO-Fe2O3が挙げられ、Mn系フェライトとしては、MnO・ZnO・CuO-Fe2O3が挙げられる。ところが、熱伝導性フィラーは、フェライト物質によって形成することにより、透磁率を増加させたり透磁率の減少を防いだりすることができるので好ましい。このような熱伝導性フィラーは粉末状に絶縁層120に分散されて含有されてもよい。ここで、熱伝導性フィラーは、絶縁層120のポリマー100wt%に対して5wt%~60wt%の含量で含有されてもよい。即ち、絶縁層120を形成するためのポリマー100wt%に対して5wt%~60wt%の含量で熱伝導性フィラーが含有されてもよい。熱伝導性フィラーの含量が前記範囲未満である場合、熱放出効果が得
られず、熱伝導性フィラーの含量が前記範囲を超える場合、ボディ100内の絶縁層120の含量が低くなって絶縁効果が低下する虞がある。また、熱伝導性フィラーは、例えば、0.5μm~100μmの大きさを有してもよい。熱伝導性フィラーは、大きさ及び含量に応じて熱放出効果が調節されてもよい。例えば、熱伝導性フィラーの大きさが増加するにつれて、且つ、熱伝導性フィラーの含量が増大されるにつれて、熱放出効果が高くなる。一方、ボディ100は、磁性層110及び絶縁層120を積み重ねて製作してもよい。ここで、各絶縁層120内の熱伝導性フィラーの含量は異なってもよい。例えば、基材200を中心として上側及び下側に遠ざかるにつれて、絶縁層120内の熱伝導性フィラーの含量は次第に増大されてもよい。
【0047】
2.基材
基材200は、ボディ100の内部に設けられてもよい。例えば、基材200は、ボディ100の内部にボディ100のX方向、すなわち、外部電極400の方向に設けられてもよい。また、基材200は、1以上に設けられてもよいが、例えば、2以上の基材200が外部電極400の形成方向と直交する方向、即ち、垂直方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。いうまでも無く、2以上の基材が外部電極400が形成された方向に配列されてもよい。このような基材200は、例えば、銅張積層板(Copper Clad Lamination;CCL)または金属磁性体などによって製作されてもよい。このとき、基材200は、金属磁性体によって製作されることにより透磁率を増加させ、容量を手軽に実現することができる。すなわち、銅張積層板(CCL)は、ガラス強化繊維に銅箔(foil)を貼り合わせて製作するが、このような銅張積層板(CCL)は透磁率を有さないが故に、パワーインダクターの透磁率を低下させる虞がある。しかしながら、金属磁性体を基材200として用いると、金属磁性体が透磁率を有するため、パワーインダクターの透磁率を低下させなくなる。このような金属磁性体を用いた基材200は、含鉄金属、例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、鉄-ニッケル-ケイ素(Fe-Ni-Si)、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)及び鉄-アルミニウム-クロム(Fe-Al-Cr)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属からなる所定の厚さの板に銅箔を貼り合わせて製作してもよい。すなわち、鉄を含んで少なくとも1つの金属からなる合金を所定の厚さの板状に製作し、金属板の少なくとも一方の面に銅箔を貼り合わせることにより基材200が製作されてもよい。
【0048】
また、基材200の所定の領域には少なくとも1つの導電性ビア210が形成されてもよく、導電性ビア210によって基材200の上側及び下側にそれぞれ形成されるコイルパターン310、320が電気的に接続されてもよい。導電性ビア210は、基材200に厚さ方向に沿って貫通するビア(図示せず)を形成した後、コイルパターン300を形成するためのメッキ工程に際してビアが埋め込まれるようにして形成してもよい。いうまでもなく、ビアを形成した後、ビアに導電性ペーストを充填するなどの方法を用いて形成してもよい。このとき、導電性ビア210からコイルパターン310、320の少なくとも1つが成長してもよく、これにより、導電性ビア210及びコイルパターン310、320の少なくとも1つが一体に形成されてもよい。更に、基材200は、少なくとも一部が除去されてもよい。すなわち、基材200は、少なくとも一部が除去されてもよく、除去されなくてもよい。好ましくは、基材200は、
図3及び
図4に示すように、コイルパターン310、320と重なり合う領域を除く残りの領域が除去されてもよい。例えば、スパイラル状に形成されるコイルパターン310、320の内側に基材200が除去されて貫通孔220が形成されてもよく、コイルパターン310、320の外側の基材200が除去されてもよい。すなわち、基材200は、コイルパターン310、320の外側の形状に倣って、例えば、レーストラック(race track)形状を有し、外部電極
400と向かい合う領域がコイルパターン310、320の端部の形状に倣って直線状に形成されてもよい。このため、基材200の外側はボディ100の周縁に対して湾曲した形状に設けられてもよい。このように基材200が除去された部分には、
図4に示すよう
に、ボディ100が充填されてもよい。すなわち、基材200の貫通孔220を含む除去された領域を介して上側及び下側のボディ100a、100bが互いに接続される。一方、基材200が金属磁性体によって製作される場合、基材200がボディ100の磁性層110と接触されてもよい。このような問題を解消するために、基材200の側面には、パリレンなどの絶縁膜500が形成されてもよい。例えば、貫通孔220の側面及び基材200の外側面に絶縁膜500が形成されてもよい。一方、基材200は、コイルパターン310、320よりも広い幅をもって設けられてもよい。例えば、基材200は、コイルパターン310、320の垂直下方において所定の幅をもって残留することがあるが、例えば、基材200は、コイルパターン310、320よりも約0.3μmだけ突出するように形成されてもよい。一方、基材200は、コイルパターン310、320の内側領域及び外側領域が除去されてボディ100の横断面の面積よりも小さくてもよい。例えば、ボディ100の横断面の面積を100としたとき、基材200は、40~80の面積比で設けられてもよい。基材200の面積比が高ければ、ボディ100の透磁率が低くなる虞があり、基材200の面積比が低ければ、コイルパターン310、320の形成面積が小さくなる虞がある。このため、ボディ100の透磁率、コイルパターン310、320の線幅及びターン数などを考慮して基材200の面積比を調節してもよい。
【0049】
3.コイルパターン
コイルパターン300(310、320)は、基材200の少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。これらのコイルパターン310、320は、基材200の所定の領域、例えば、中央部から外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上に形成された2つのコイルパターン310、320が接続されて1つのコイルをなしてもよい。すなわち、コイルパターン310、320は、基材200の中心部に形成された貫通孔220の外側からスパイラル状に形成されてもよく、基材200に形成された伝導性ビア210を介して互いに接続されてもよい。ここで、上側のコイルパターン310及び下側のコイルパターン320は、互いに同じ形状に形成されてもよく、同じ高さに形成されてもよい。また、コイルパターン310、320は重なり合うように形成されてもよく、コイルパターン310が形成されていない領域に重なり合うようにコイルパターン320が形成されてもよい。一方、コイルパターン310、320の端部は直線状に外側に延設されてもよいが、ボディ100の短辺の中央部に沿って延設されてもよい。更に、コイルパターン310、320の外部電極400と接触される領域は、
図3及び
図4に示すように、他の領域に比べて広幅に形成されてもよい。コイルパターン310、320の一部、すなわち、引出部が広幅に形成されることにより、コイルパターン310、320及び外部電極400間の接触面積を増大させることができ、これにより、抵抗を下げることができる。いうまでもなく、コイルパターン310、320が外部電極400が形成される一領域から外部電極400の幅方向に延設されてもよい。このとき、コイルパターン310、320の末端部、すなわち、外部電極400に向かって引き出される引出部は、ボディ100の側面の中央部に向かって直線状に形成されてもよい。
【0050】
一方、これらのコイルパターン310、320は、基材200に形成された導電性ビア210によって電気的に接続されてもよい。コイルパターン310、320は、例えば、厚膜印刷、塗布、蒸着、メッキ及びスパッタリングなどの方法を用いて形成してもよいが、メッキ方法を用いて形成することが好ましい。更に、コイルパターン310、320及び導電性ビア210は、銀(Ag)、銅(Cu)及び銅合金のうちの少なくとも一種を含む材料によって形成されてもよいが、これに制限されない。一方、コイルパターン310、320をメッキ工程を用いて形成する場合、例えば、基材200の上にメッキ工程を用いて金属層、例えば、銅層を形成し、リソグラフィ工程を用いてパターニングしてもよい。すなわち、基材200の表面に形成された銅箔をシート層として銅層をメッキ工程を用いて形成し、これをパターニングすることによりコイルパターン310、320を形成してもよい。いうまでもなく、基材200の上に所定の形状の感光膜パターンを形成した後
にメッキ工程を行って露出された基材200の表面から金属層を成長させた後、感光膜を除去することにより所定の形状のコイルパターン310、320を形成してもよい。一方、コイルパターン310、320は多層に形成されてもよい。すなわち、基材200の上側に形成されたコイルパターン310の上側に複数のコイルパターンが更に形成されてもよく、基材200の下側に形成されたコイルパターン320の下側に複数のコイルパターンが更に形成されてもよい。コイルパターン310、320が多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。一方、コイルパターン310、320は、基材200の厚さよりも2.5倍以上高く形成されてもよい。例えば、基材200が10μm~50μmの厚さに形成され、コイルパターン310、320が50μm~300μmの高さに形成されてもよい。
【0051】
また、本発明に係るコイルパターン310、320は、二重構造に形成されてもよい。即ち、
図5に示すように第1のメッキ膜300aと、第1のメッキ膜300aを覆うように形成された第2のメッキ膜300bを備えていてもよい。ここで、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aの上面及び側面を覆うように形成されるが、第1のメッキ膜300aの側面よりも上面に更に大きく第2のメッキ膜300bが形成されてもよい。一方、第1のメッキ膜300aは、側面が所定の傾斜を有するように形成され、第2のメッキ膜300bは、側面が第1のメッキ膜300aの側面よりも小さい傾斜を有するように形成される。即ち、第1のメッキ膜300aは、側面が第1のメッキ膜300aの外側の基材200の表面から鈍角を有するように形成され、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aよりも小さい角度、好ましくは、直角を有するように形成される。第1のメッキ膜300aは、
図6に示すように、上部面の幅に対する下部面の幅bの比率が0.2:1~0.9:1となるように形成されてもよく、好ましくは、a:bが0.4:1~0.8:1となるように形成されてもよい。また、第1のメッキ膜300aは、下部面の幅bに対する高さhの比率が1:0.7~1:4となるように形成されてもよく、好ましくは、1:1~1:2となるように形成されてもよい。即ち、第1のメッキ膜300aは、下部面から上部面に向かって進むにつれて幅が狭くなるように形成され、これにより、側面に所定の傾斜が形成されてもよい。第1のメッキ膜300aに所定の傾斜を持たせるために、1次メッキ工程後にエッチング工程を施しても良い。更に、第1のメッキ膜300aを覆うように形成された第2のメッキ膜300bは、側面が、好ましくは、垂直であり、上部面と側面との間に丸みを帯びた領域が少ない略矩形状を有するように形成される。このとき、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率、即ち、a:bに応じてその形状が決定されてもよい。例えば、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率(a:b)が大きくなるにつれて、第2のメッキ膜300bの上部面の幅cに対する下部面の幅dの比率が大きくなる。しかしながら、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率(a:b)が0.9:1を超える場合、第2のメッキ膜300bは、下部面の幅よりも上部面の幅の方が更に広くなり、側面が基材200と鋭角をなす。また、第1のメッキ膜300aの上部面の幅に対する下部面の幅の比率(a:b)が0.2:1未満である場合、第2のメッキ膜300bは、側面の所定の領域から上部面が丸く形成される。したがって、上部面の幅が広く、且つ、側面が垂直に形成されるように第1のメッキ膜300aの上部面の幅に対する下部面の幅の比率を調節することが好ましい。一方、第1のメッキ膜300aの下部面の幅bに対する第2のメッキ膜300bの下部面の幅dの比率は、1:1.2~1:2であってもよく、第1のメッキ膜300aの下部面の幅bと隣り合う第1のメッキ膜300a間の間隔eは、1.5:1~3:1の比率を有してもよい。いうまでもなく、第2のメッキ膜300bは、互いに接触されない。このように、第1及び第2のメッキ膜300a、300bからなるコイルパターン300は、上部面の幅に対する下部面の幅の比率(c:d)が0.5:1~0.9:1であってもよく、好ましくは、0.6:1~0.8:1であってもよい。即ち、コイルパターン300の外形、換言す
れば、第2のメッキ膜300bの外形は、上部面の幅に対する下部面の幅の比率が0.5~0.9:1であってもよい。したがって、コイルパターン300は、上部面の角隅部の丸みを帯びた領域が直角をなす理想的な矩形状を基準として0.5未満であってもよい。例えば、丸みを帯びた領域が直角をなす理想的な矩形状を基準として0.001以上0.5未満であってもよい。なお、本発明に係るコイルパターン300は、理想的な矩形状に比べて抵抗の変化が激しくない。例えば、理想的な矩形状のコイルパターンの抵抗が100であれば、本発明に係るコイルパターン300は、約101~110を維持してもよい。即ち、第1のメッキ膜300aの形状及びこれに応じて変化する第2のメッキ膜300bの形状に応じて、本発明のコイルパターン300の抵抗は矩形状の理想的なコイルパターンの抵抗に比べて約101%~110%を維持してもよい。一方、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aと同じメッキ液を用いて形成してもよい。例えば、1次及び2次メッキ膜300a、300bは、硫酸銅及び硫酸を基本とするメッキ液を用いて形成し、ppm単位の塩素(Cl)及び有機化合物を添加して製品のメッキ性を向上させたメッキ液を用いて形成してもよい。有機化合物は、ポリエチレングリコール(PEG:PolyEthylene Glycol)を含むキャリア及び光沢剤を用いて、メッキ
膜の均一性及び電着性、並びに光沢特性を改善することができる。
【0052】
更に、コイルパターン300は、少なくとも2以上のメッキ層が積み重ねられて形成されてもよい。このとき、それぞれのメッキ層は、側面が垂直であり、同じ形状及び厚さに積み重ねられて形成されてもよい。即ち、コイルパターン300は、シード層の上にメッキ工程によって形成されてもよいが、シード層の上に、例えば、3つのメッキ層が積み重ねられて形成されてもよい。このようなコイルパターン300は、異方性メッキ工程によって形成され、縦横比が約2~10となるように形成されてもよい。
【0053】
更にまた、コイルパターン300は、最内周から最外周に向かって進むにつれて幅が広くなる形状に形成されてもよい。即ち、スパイラル状のコイルパターン300は、最内周から最外周までにn個のパターンが形成されてもよいが、例えば、4つのパターンが形成される場合、最内周の第1のパターンから第2及び第3のパターン、そして、最外周の第4のパターンに向かって進むにつれてパターンの幅が広くなるように形成されてもよい。例えば、第1のパターンの幅が1である場合、第2のパターンは、1~1.5の比率で形成されてもよく、第3のパターンは、1.2~1.7の比率で形成されてもよく、第4のパターンは、1.3~2の比率で形成されてもよい。即ち、第1乃至第4のパターンは、1:1~1.5:1.2~1.7:1.3~2の比率で形成されてもよい。換言すれば、第2のパターンは、第1のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成され、第3のパターンは、第1のパターンの幅よりも大きく、且つ、第2のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成され、第4のパターンは、第1及び第2のパターンの幅よりも大きく、且つ、第3のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成されてもよい。このように、最内周から最外周に向かって進むにつれてコイルパターンの幅が広くなるようにするために、シード層の幅を最内周から最外周に向かって進むにつれて広くなるように形成してもよい。なお、コイルパターンは、垂直方向に少なくとも一領域の幅が異なるように形成されてもよい。即ち、少なくとも一領域の下段部、中段部及び上段部の幅が異なるように形成されてもよい。
【0054】
4.外部電極
外部電極400(410、420)は、ボディ100の向かい合う両面に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ100のX方向に向かい合う2つの側面に形成されてもよい。このような外部電極400は、ボディ100のコイルパターン310、320と電気的に接続されてもよい。また、外部電極400は、ボディ100の2つの側面の全体に形成され、2つの側面の中央部においてコイルパターン310、320と接触されてもよい。すなわち、コイルパターン310、320の端部がボディ100の外側の中
央部に露出され、外部電極400がボディ100の側面に形成されてコイルパターン310、320の端部と接続されてもよい。このような外部電極400は、導電性ペーストを用いて形成してもよいが、導電性ペーストにボディ100の両側面を浸漬したり印刷したりして形成してもよい。 更に、外部電極400は、蒸着、スパッタリング、メッキなど
の様々な方法によって形成されてもよい。一方、外部電極400は、形成方法に応じて、ボディ100の両側面及び下面にのみ形成されてもよく、ボディ100の上面又は前面及び背面にも形成されてもよい。例えば、導電性ペーストに浸漬する場合、X方向への両側面だけではなく、Y方向への前面及び背面、並びにZ方向への上面及び下面にも外部電極400が形成されてもよい。これに比べて、印刷、蒸着、スパッタリング、メッキなどの方法を用いて形成する場合、X方向への両側面及びY方向への下面に外部電極400が形成されてもよい。即ち、外部電極400は、X方向への両側面及びプリント回路基板に実装される下面だけではなく、形成方法又は工程条件に応じてそれ以外の領域にも形成されてもよい。このような外部電極400は、電気伝導性を有する金属によって形成されてもよいが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属によって形成されてもよい。このとき、コイルパターン300と接続される外部電極400の少なくとも一部、即ち、ボディ100の表面に形成されてコイルパターン300と接続される外部電極400の一部は、コイルパターン300と同じ物質によって形成されてもよい。例えば、コイルパターン300が銅を用いてメッキ工程によって形成される場合、外部電極400の少なくとも一部は銅を用いて形成してもよい。このとき、銅は、上述したように、導電性ペーストを用いた浸漬又は印刷方法で形成してもよく、蒸着、スパッタリング、メッキなどの方法を用いて形成してもよい。好ましくは、外部電極400は、メッキの方法を用いて形成してもよい。メッキ工程を用いて外部電極400を形成するためにボディ100の両側面にシード層を形成した後、シード層からメッキ層を形成して外部電極400を形成してもよい。ここで、外部電極400のコイルパターン300と接続される少なくとも一部は、外部電極400が形成されるボディ100の側面の全体であってもよく、一部の領域であってもよい。一方、外部電極400は、少なくとも一つのメッキ層を更に備えていてもよい。即ち、外部電極400は、コイルパターン300と接続される第1の層と、その上部に形成された少なくとも一つのメッキ層と、を備えていてもよい。例えば、外部電極400には、ニッケルメッキ層(図示せず)又は錫メッキ層(図示せず)が更に形成されてもよい。即ち、外部電極400は、銅層、Niメッキ層及びSnメッキ層の積み重ね構造に形成されてもよく、銅層、Niメッキ層及びSn/Agメッキ層の積み重ね構造に形成されてもよい。このとき、メッキ層は、電解又は無電解メッキを用いて形成してもよい。Snメッキ層は、Niメッキ層の厚さに等しいか又はそれよりも大きい厚さに形成されてもよい。例えば、外部電極400は、2μm~100μmの厚さに形成されてもよく、Niメッキ層が1μm~10μmの厚さに形成され、Sn又はSn/Agメッキ層は2μm~10μmの厚さに形成されてもよい。一方、外部電極400は、例えば、0.5%~20%のBi2O3又はSiO2を主成分とする多成分系のガラスフリット(Glassfrit)を金属粉末と混合して形成してもよい。このとき、ガラスフリット及び金属粉末の混合物はペースト状に製造されてボディ100の両面に塗布されてもよい。即ち、外部電極400の一部を導電性ペーストを用いて形成する場合、導電性ペーストにはガラスフリットが混合されてもよい。このように、外部電極400にガラスフリットが含有されることにより、外部電極400及びボディ100間の密着力を向上させることができ、コイルパターン300及び外部電極400間のコンタクト反応を向上させることができる。
【0055】
5.絶縁膜
絶縁膜500は、コイルパターン310、320と磁性層110とを絶縁するためにコイルパターン310、320とボディ100との間に形成されてもよい。すなわち、絶縁膜500がコイルパターン310、320の上面及び側面を覆うように形成されてもよい。このとき、絶縁膜500は、コイルパターン310、320の上面及び側面に略同じ厚
さに形成されてもよい。例えば、絶縁膜500は、コイルパターン310、320の上面及び側面に約1~1.2:1の厚さに形成されてもよい。即ち、コイルパターン310、320は、上面は側面よりも約20%ほど厚く形成され、好ましくは、上面及び側面は同じ厚さに形成されてもよい。なお、絶縁膜500は、コイルパターン310、320の上面及び側面だけではなく、コイルパターン310、320によって露出された基材200を覆うように形成されてもよい。すなわち、所定の領域が除去された基材200のコイルパターン310、320によって露出された領域、すなわち、基材200の表面及び側面にも絶縁膜500が形成されてもよい。基材200上の絶縁膜500は、コイルパターン310、320上の絶縁膜500と同じ厚さに形成されてもよい。このような絶縁膜500は、コイルパターン310、320の上にパリレンをコーティングして形成してもよい。例えば、コイルパターン310、320が形成された基材200を蒸着チャンバー内に設けた後にパリレンを気化させて真空チャンバーの内部に供給することにより、コイルパターン310、320の上にパリレンを蒸着してもよい。即ち、基材200の上面の絶縁膜500の厚さは、コイルパターン310、320の上面の絶縁膜500の厚さと同じであってもよく、基材200の側面の絶縁膜500の厚さは、コイルパターン310、320の側面の絶縁膜500の厚さと同じであってもよい。このような絶縁膜500をコイルパターン310、320及び基材200の上に略均一な厚さに形成するためにパリレンを用いてもよい。例えば、パリレンを気化器(Vaporizer)において1次的に加熱して気化させてダイマー(dimer)状態にした後、2次的に加熱してモノマー(Monomer)状態に熱分解させ、蒸着チャンバーに連設されたコールドトラップ(Cold Trap)及び機械的な真空ポンプ(Mechanical Vaccum Pump)を用いてパリレンを冷却させると、パリレンはモノマー状態からポリマー状態に変換されてコイルパターン310、320の上に蒸着される。いうまでもなく、絶縁膜500は、パリレン以外の絶縁性高分子、例えば、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーから選ばれるいずれか一種以上の物質によって形成されてもよい。しかしながら、パリレンをコーティングすることにより、コイルパターン310、320の上に均一な厚さで絶縁膜500を形成することができ、薄肉に形成しても他の物質に比べて絶縁特性を向上させることができる。すなわち、絶縁膜500としてパリレンをコーティングする場合、ポリイミドを形成する場合に比べて薄肉に形成しながら絶縁破壊電圧を増加させて絶縁特性を向上させることができる。また、コイルパターン310、320のパターン間の間隔に応じてパターン間を埋め込んで均一な厚さに形成されてもよく、パターンの段差に沿って均一な厚さに形成されてもよい。すなわち、コイルパターン310、320のパターン間の間隔が遠い場合、パターンの段差に沿って均一な厚さでパリレンがコーティング可能であり、パターン間の間隔が近い場合、パターン間を埋め込んでコイルパターン310、320の上に所定の厚さに形成可能である。パリレンの場合、コイルパターン310、320の段差に沿って薄肉に形成されるが、ポリイミドはパリレンに比べて厚肉に形成される。一方、絶縁膜500は、パリレンを用いて3μm~100μmの厚さに形成してもよい。パリレンが3μm未満の厚さに形成されると、絶縁特性が低下する虞があり、100μmを超える厚さに形成する場合、同じサイズ内において絶縁膜500が占める厚さが増加してボディ100の体積が小さくなり、これにより、透磁率が低下する虞がある。いうまでもなく、絶縁膜500は、所定の厚さのシートによって製作された後にコイルパターン310、320の上に形成されてもよい。
【0056】
6.表面改質部材
一方、ボディ100の少なくとも一表面には表面改質部材(図示せず)が形成されてもよい。このような表面改質部材は、外部電極400を形成する前に、ボディ100の表面に、例えば、酸化物を分布させて形成してもよい。ここで、酸化物は、結晶状態又は非結晶状態でボディ100の表面に分散されて分布されてもよい。表面改質部材は、メッキ工程を用いて外部電極400を形成するとき、メッキ工程前にボディ100の表面に分布されてもよい。即ち、表面改質部材は、外部電極400の一部を印刷工程を用いて形成する
前に分布させてもよく、印刷工程後に且つメッキ工程を施す前に分布させてもよい。いうまでもなく、印刷工程を施さない場合、表面改質部材を分布させた後にメッキ工程を施してもよい。このとき、表面に分布された表面改質部材は、少なくとも一部が溶融されてもよい。
【0057】
一方、表面改質部材は、少なくとも一部が同じ大きさにボディ100の表面に均一に分布されてもよく、少なくとも一部が異なる大きさに不規則的に分布されてもよい。また、ボディ100の少なくとも一部の表面には凹部が形成されてもよい。即ち、表面改質部材が形成されて凸部が形成され、表面改質部材が形成されていない領域の少なくとも一部が窪んで凹部が形成されてもよい。このとき、表面改質部材は、少なくとも一部がボディ100の表面よりも深く形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、所定の厚さがボディ100の所定の深さにめりこみ、残りの厚さがボディ100の表面よりも高く形成されてもよい。このとき、ボディ100にめりこむ厚さは、酸化物粒子の平均直径の1/20~1であってもよい。即ち、酸化物粒子は、ボディ100の内部に全て入り込まれてもよく、少なくとも一部が入り込まれてもよい。いうまでもなく、酸化物粒子は、ボディ100の表面にのみ形成されてもよい。したがって、酸化物粒子は、ボディ100の表面に半球状に形成されてもよく、球状に形成されてもよい。また、表面改質部材は、上述したように、ボディ100の表面に部分的に分布されてもよく、少なくとも一領域に膜状に分布されてもよい。即ち、酸化物粒子がボディ100の表面に島(island)状に分布されて表面改質部材が形成されてもよい。即ち、ボディ100の表面に結晶状態又は非結晶状態の酸化物が離れて島状に分布されてもよく、これにより、ボディ100の表面の少なくとも一部が露出されてもよい。更に、酸化物を分布させて形成した表面改質部材は、少なくとも2以上がつながって少なくとも一領域には膜状に形成され、少なくとも一部には島状に形成されてもよい。即ち、少なくとも2以上の酸化物粒子同士が凝集したり隣り合う酸化物粒子同士がつながったりして膜状を呈してもよい。しかしながら、酸化物が粒子状態で存在する場合であっても、又は2以上の粒子同士が凝集したりつながったりした場合であっても、ボディ100の表面の少なくとも一部は表面改質部材によって外部に露出される。
【0058】
このとき、表面改質部材の総面積は、ボディ100の表面の総面積の、例えば、5%~90%であってもよい。表面改質部材の面積に応じてボディ100の表面のメッキ滲み現象を制御することができるが、表面改質部材が形成量が多すぎると、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触され難くなる虞がある。即ち、表面改質部材がボディ100の表面積の5%未満に形成される場合にメッキ滲み現象を制御することが困難であり、表面改質部材がボディ100の表面積の90%を超えて形成される場合にはボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触されなくなる虞がある。したがって、表面改質部材は、メッキ滲み現象を制御することができ、しかも、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触できるほどの面積に形成することが好ましい。このために、表面改質部材は、ボディ100の表面積の10%~90%に形成されてもよく、好ましくは、30%~70%の面積に形成されてもよく、更に好ましくは、40%~50%の面積に形成されてもよい。このとき、ボディ100の表面積は、一方の面の表面積であってもよく、六面体をなすボディ100の6つの面の表面積であってもよい。一方、表面改質部材は、ボディ100の厚さの10%以下の厚さに形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、ボディ100の厚さの0.01%~10%の厚さに形成されてもよい。例えば、表面改質部材は、0.1μm~50μmの大きさに存在してもよいが、これにより、表面改質部材は、ボディ100の表面から0.1μm~50μmの厚さに形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、ボディ100の表面よりも深く形成された領域を除いて、ボディ100の表面から0.1μm~50μmの厚さに形成されてもよい。したがって、ボディ100の内側にめり込んだ厚さを含めると、表面改質部材は、0.1μm~50μmよりも大きい厚さを有することができる。表面改質部材がボディ100の厚さ
の0.01%未満の厚さに形成される場合、メッキ滲み現象が制御され難く、ボディ100の厚さの10%を超える厚さに形成される場合、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触されなくなる虞がある。即ち、表面改質部材は、ボディ100の材料特性(伝導性、半導性、絶縁性、磁性体など)に応じて様々な厚さを有してもよく、酸化物粉末の大きさ、分布量、凝集有無に応じて様々な厚さを有してもよい。
【0059】
このように、ボディ100の表面に表面改質部材が形成されることにより、ボディ100の表面には成分が異なる少なくとも2つの領域が存在してもよい。即ち、表面改質部材が形成された領域及び表面改質部材が形成されていない領域は、互いに異なる成分が検出されてもよい。例えば、表面改質部材が形成された領域には、表面改質部材に応じた成分、即ち、酸化物が存在してもよく、表面改質部材が形成されていない領域には、ボディ100に応じた成分、即ち、シートの成分が存在してもよい。このように、メッキ工程前にボディ100の表面に表面改質部材を分布させることにより、ボディ100の表面に粗さを与えて改質することができる。したがって、メッキ工程を均一に施すことができ、これにより、外部電極400の形状を制御することができる。即ち、ボディ100の表面は、少なくとも一領域の抵抗が他の領域の抵抗と異なる場合があるが、抵抗が不均一である状態でメッキ工程を施せば、メッキ層の成長にバラツキが生じてしまう。このような問題を解決するために、ボディ100の表面に粒子状態又は溶融状態の酸化物を分散させて表面改質部材を形成することにより、ボディ100の表面を改質することができ、メッキ層の成長を制御することができる。
【0060】
ここで、ボディ100の表面抵抗を均一にするための粒子状態又は溶融状態の酸化物としては、例えば、Bi2O3、BO2、B2O3、ZnO、Co3O4、SiO2、Al2O3、MnO、H2BO3、Ca(CO3)2、Ca(NO3)2、CaCO3のうちの少なくとも一種以上を用いてもよい。一方、表面改質部材は、ボディ100内の少なくとも一枚のシートの上にも形成されてもよい。即ち、シート上の様々な形状の導電パターンはメッキ工程を用いて形成してもよいが、表面改質部材を形成することにより、導電パターンの形状を制御することができる。
【0061】
7.絶縁キャッピング層
図7に示すように、外部電極400が形成されたボディ100の上面に絶縁キャッピング層550が形成されてもよい。即ち、プリント回路基板(Pronted Circu
it Board;PCB)の上に実装されるボディ100の下面と向かい合うボディ1
00の上面、例えば、Z方向への上面に絶縁キャッピング層550が形成されてもよい。このような絶縁キャッピング層550は、ボディ100の上面に延設された外部電極400及びシールドカン又は上側の回路部品間のショートを防ぐために形成されてもよい。即ち、パワーインダクターは、ボディ100の下面に形成された外部電極400が電源管理IC(PMIC:Power Management IC)と隣り合ってプリント回路基板の上に実装されるが、PMICは約1mmの厚さを有し、パワーインダクターもまたこれと同じ厚さに製作される。PMICは、高周波ノイズを発生させて周辺回路又は素子に影響を及ぼすため、PMIC及びパワーインダクターを金属材質、例えば、ステンレス鋼材質のシールドカン(shield can)で覆うことになる。ところが、パワーイン
ダクターは外部電極が上側にも形成されるため、シールドカンとショート(short)される。したがって、ボディ100の上面に絶縁キャッピング層550を形成することにより、パワーインダクター及び外部導電体間のショートを防ぐことができる。このとき、絶縁キャッピング層550は、ボディ100の上面に延設された外部電極400及びシールドカンなど間の絶縁のために形成されるため、少なくともボディ100の上面の外部電極400を覆うように形成されてもよい。このような絶縁キャッピング層550は、絶縁物質によって形成されてもよいが、例えば、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid CrystallinePolym
er;LCP)よりなる群から選ばれた一種以上によって形成されてもよい。また、絶縁キャッピング層550は、熱硬化性樹脂によって形成されてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(PhenoxyType Epoxy Resin)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPA TypeEpoxy Resin)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水添ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(HydrogenatedBPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer AcidModified Epoxy Resin)、ウ
レタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified EpoxyResin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber ModifiedEpoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPDType Epoxy Resin)よりなる群から選ばれた一種以上を含んでいてもよい。即ち、絶縁キャッピング層550は、ボディ100の絶縁層120に用いられる物質によって形成されてもよい。このような絶縁キャッピング層550は、ポリマー、熱硬化性樹脂などにボディ100の上面を浸漬することにより形成されてもよい。したがって、絶縁キャッピング層550は、
図7に示すように、ボディ100の上面だけではなく、ボディ100のX方向への両側面の一部及びY方向への前面及び背面の一部に形成されてもよい。一方、絶縁キャッピング層550は、パリレンによって形成されてもよく、シリコン酸化膜(SiO
2)、シリコン窒化膜(Si
3N
4)、シリコン酸化窒化膜(SiON)など様々な絶縁物質を用いて形成してもよい。これらの物質によって形成される場合、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)などの方法を用いて形成してもよい。絶縁キャッピング層550がCVD、PVDの方法によって形成される場合、ボディ100の上面にのみ形成されてもよく、ボディ100の上面の外部電極400上にのみ形成されてもよい。一方、絶縁キャッピング層550は、ボディ100の上面の外部電極400及びシールドカンなど間のショートが防止可能な厚さに形成されてもよいが、例えば、10μm~100μmの厚さに形成されてもよい。また、絶縁キャッピング層550は、外部電極400とボディ100との間に段差が保たれるようにボディ100の上面に均一な厚さに形成されてもよく、外部電極400とボディ100との間の段差が無くされるようにボディ100の上部に外部電極400の上部よりも厚く形成されて表面が平らであってもよい。いうまでもなく、絶縁キャッピング層550は、所定の厚さに別途に製作した後、ボディ100の上に接着剤などを用いて貼着して形成してもよい。
【0062】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターは、磁性層110及び絶縁層120を交互に積み重ねてボディ100を製作してもよい。また、磁性層110は、非晶質の金属リボンを用いて形成してもよい。したがって、磁性層110が所定の厚さに形成されることにより、金属磁性粉末がポリマー内に分散された従来に比べてボディ100の透磁率を向上させることができる。更に、コイルパターン310、320とボディ100との間にパリレンを用いて絶縁膜500を形成することにより、コイルパターン310、320の側面及び上面に薄肉に且つ均一な厚さに絶縁膜500を形成しながら絶縁特性を向上させることができる。更に、ボディ100の内部の基材200を金属磁性体によって形成することにより、パワーインダクターの透磁率の減少を防ぐことができ、基材200の少なくとも一部が除去され、その部分にボディ100を充填することにより、透磁率を向上させることができる。
【0063】
一方、本発明は、ボディ100の少なくとも一部を磁性層110を用いて形成して多種多様に変形してもよい。このような本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターを
図8から
図16に基づいて本発明の第1の実施形態とは異なる構成を中心として説明すれば、下記の通りである。
【0064】
図8を参照すると、本発明の実施形態に係るパワーインダクターは、交互に積み重ねら
れた磁性層110及び絶縁層120を備えるボディ100と、ボディ100の内部に設けられた基材200と、基材200の少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン310、320と、ボディ100の外部に設けられた外部電極410、420と、コイルパターン310、320の上にそれぞれ設けられた絶縁層500と、ボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられた少なくとも1つの第2の磁性層600(610、620)と、を備えていてもよい。即ち、本発明の一実施形態に第2の磁性層600が更に配設されてもよい。このとき、第2の磁性層600は、ボディ100の内部に少なくとも一つ形成されてもよい。なお、第2の磁性層600は、磁性層110とは異なる物質によって形成されてもよい。
【0065】
第2の磁性層600(610、620)は、ボディ100の少なくとも1つの領域に設けられてもよい。すなわち、第2-1の磁性層610がボディ100の上部の表面に形成され、第2-2の磁性層620がボディ100の下部の表面に形成されてもよい。ここで、第2の磁性層600は、ボディ100の透磁率を更に増加させるために設けられ、絶縁層120よりも高い透磁率を有する物質によって製作されてもよい。即ち、第2の磁性層600は少なくとも一つの絶縁層120の代わりに形成されてもよい。このような第2の磁性層600は、例えば、金属磁性粉末及びポリマーを用いて製作してもよい。ここで、ポリマーは、金属磁性粉末100wt%に対して15wt%で添加されてもよい。また、金属磁性粉末としては、ニッケル磁性体(Ni Ferrite)、亜鉛磁性体(Zn Ferrite)、銅磁性体(Cu Ferrite)、マンガン磁性体(Mn Ferrite)、コバルト磁性体(Co Ferrite)、バリウム磁性体(Ba Ferrite)及びニッケル-亜鉛-銅磁性体(Ni-Zn-Cu Ferrite)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上またはこれらの一種以上の酸化物磁性体を用いてもよい。すなわち、含鉄金属合金粉末または含鉄金属合金酸化物を用いて第2の磁性層600を形成してもよい。更に、金属合金粉末に磁性体をコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。例えば、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。すなわち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。いうまでもなく、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。すなわち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。一方、第2の磁性層600は、金属磁性粉末及びポリマーに熱伝導性フィラーを更に含めて製作してもよい。熱伝導性フィラーは、金属磁性粉末100wt%に対して0.5wt%~3wt%で含有されてもよい。このような第2の磁性層600は、シート状に製作されて複数の磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられたボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられてもよい。更にまた、第2の磁性層600は、ペーストを用いて形成してもよいが、ボディ100の上部及び下部に磁性物質を塗布して第2の磁性層600を形成してもよい。上述したように、ボディ100に少なくとも一つの第2の磁性層600を設けることにより、パワーインダクターの透磁率を向上させることができる。即ち、少なくとも一つの絶縁層120の代わりに第2の磁性層600を形成することにより、パワーインダクターの透磁率を更に向上させることができる。
【0066】
図9に示すように、基材200の中央部に形成された貫通孔220に基材200と垂直方向に磁性層110及び絶縁層120が交互に形成されてもよい。即ち、
図2及び
図8には、水平方向に磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられて貫通孔220が埋め込まれたが、
図9に示すように、貫通孔220内には磁性層110及び絶縁層120が垂直方向に交互に形成されてもよい。
【0067】
図10に示すように、ボディ100は、金属磁性粉末130が含有されている絶縁層120からなってもよく、基材200の貫通孔220内には基材200と垂直方向に磁性層110及び絶縁層120が設けられてもよい。即ち、絶縁層120内に金属磁性粉末130が含有されてボディ100を形成してもよい。絶縁層120内に金属磁性粉末130が含有されるので、絶縁層120のみを用いる場合に比べて透磁率を向上させることができる。このとき、金属磁性粉末130は、平均粒径が1μm~50μmであってもよい。また、金属磁性粉末130は、同じ粒径の単一粒子又は2種以上の粒子を用いてもよく、複数の粒径を有する単一粒子又は2種以上の粒子を用いてもよい。例えば、30μmの平均粒径を有する第1の金属粒子と、3μmの平均粒径を有する第2の金属粒子とを混合して用いてもよい。このとき、第1及び第2の金属粒子は、同じ物質の粒子であってよく、異なる物質の粒子であってもよい。粒径が異なる2種以上の金属磁性粉末を用いる場合、絶縁層120内の金属磁性粉末の含量を高めることができて透磁率を向上させることができる。このような金属磁性粉末は、磁性層110と同じ物質を含んでいてもよい。例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、鉄-ニッケル-ケイ素(Fe-Ni-Si)、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)及び鉄-アルミニウム-クロム(Fe-Al-Cr)よりなる群から選ばれた一種以上の金属を含んでいてもよい。なお、金属磁性粉末は、表面が磁性体によってコーティングされてもよいが、金属磁性粉末とは透磁率が異なる物質によってコーティングされてもよい。例えば、磁性体としては、金属酸化物磁性体を含んでいてもよいが、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれた一種以上の酸化物磁性体を用いてもよい。即ち、金属磁性粉末の表面にコーティングされる磁性体は、含鉄金属酸化物によって形成されてもよく、金属磁性粉末よりも高い透磁率を有することが好ましい。一方、金属磁性粉末が磁性を帯びるため、金属磁性粉末が互いに接触すれば絶縁が破壊され、ショートが生じる虞がある。したがって、金属磁性粉末は、表面が少なくとも一つの絶縁体によってコーティングされてもよい。例えば、金属磁性粉末は、表面が酸化物によってコーティングされてもよく、パリレン(parylene)などの絶縁性高分子物質によってコーティングされてもよいが、パリレンによってコーティングされることが好ましい。パリレンは、1μm~10μmの厚さにコーティングされてもよい。ここで、パリレンが1μm未満の厚さに形成されれば、金属磁性粉末の絶縁効果が低下する虞があり、パリレンが10μmを超える厚さに形成されれば、金属磁性粉末の粒径が増加して絶縁層120内の金属磁性粉末の分布量が減って透磁率が低くなる虞がある。また、パリレンに加えて、様々な絶縁性高分子物質を用いて金属磁性粉末の表面をコーティングしてもよい。一方、金属磁性粉末をコーティングする酸化物は、金属磁性粉末を酸化させて形成してもよく、TiO
2、SiO
2、ZrO
2、SnO
2、NiO、ZnO、CuO、CoO、MnO、MgO、Al
2O
3、Cr
2O
3、Fe
2O
3、B
2O
3及びBi
2O
3よりなる群から選ばれたいずれか一種がコーティングされてもよい。ここで、金属磁性粉末は、二重構造の酸化物によってコーティングされてもよく、酸化物及び高分子物質の二重構造にコーティングされてもよい。いうまでもなく、金属磁性粉末は、表面が磁性体によってコーティングされた後、絶縁体によってコーティングされてもよい。このように、金属磁性粉末の表面が絶縁体によってコーティングされることにより、金属磁性粉末同士の接触に伴うショートを防ぐことができる。このとき、金属磁性粉末が酸化物、絶縁性高分子物質などによってコーティングされたり、磁性体及び絶縁体の二重にコーティングされたりする場合であっても、1μm~10μmの厚さにコーティングされてもよい。一方、ポリマー12内に金属磁性粉末が含有される場合、絶縁層120は、金属磁性粉末100wt%に対して2.0wt%~5.0wt%の含量で含有されてもよい。ところが、絶縁層120の含量が増える場合、金属磁性粉末の体積分率が低下して飽和磁化値を高める効果が正常に実現できなくなる虞があり、ボディ100の透磁率を低下させてしまう虞がある。逆に、絶縁層120の含量が減る場合、インダクターの製造過程において用いられる強酸又は強塩基の溶液などが
内部に浸透してインダクタンス特性を減少させる虞がある。したがって、絶縁層120は、金属磁性粉末の飽和磁化値及びインダクタンスを低下させない範囲内において配備される。一方、ボディ100は、外部の熱によってボディ100が加熱されてしまうという問題を解消するために、絶縁層120内に熱伝導性フィラー(図示せず)が含有されてもよい。即ち、外部の熱によってボディ100の磁性層110が加熱されることがあるが、熱伝導性フィラーが含有されることにより、熱の外部への放出がなお一層手軽に行われる。また、熱伝導性フィラーは、例えば、0.5μm~100μmの大きさを有してもよい。即ち、熱伝導性フィラーは、絶縁層120内に含有される金属磁性粉末130の大きさに等しいか、又は絶縁層120内に含有される金属磁性粉末130の大きさよりも大きいか又は小さくてもよい。熱伝導性フィラーは、大きさ及び含量に応じて熱放出効果が調節されてもよい。例えば、熱伝導性フィラーの大きさが増大されるにつれて、且つ、熱伝導性フィラーの含量が増えるにつれて、熱の放出効果が高くなる。一方、絶縁層120は、金属磁性粉末又は熱伝導性フィラーが更に含有された材料からなるシート状に製作されてもよい。このとき、絶縁層120を積み重ねる場合、各シートの熱伝導性フィラーの含量は異なってもよい。例えば、基材200を中心として上側及び下側に遠ざかるにつれて、ポリマーシート内の熱伝導性フィラーの含量は高くなってもよい。
【0068】
図11に示すように、ボディ100は、金属磁性粉末130が含有されている絶縁層120からなってもよく、基材200の貫通孔220内には、基材200と水平方向に磁性層110及び絶縁層120が交互に設けられてもよい。ここで、貫通孔220内に設けられた絶縁層120には、金属磁性粉末130及び熱伝導性フィラーのうちの少なくとも一方が更に含有されてもよい。いうまでもなく、貫通孔220内の絶縁層120は、金属磁性粉末130又は熱伝導性フィラーを含有しないポリマーからなってもよい。
【0069】
図12に示すように、ボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が交互に積み重ねられて形成されてもよく、絶縁層120内には金属磁性粉末130が含有されてもよい。いうまでもなく、金属磁性粉末130に加えて、熱伝導性フィラーが更に含有されてもよい。なお、基材200の貫通孔220内に磁性層110及び絶縁層120が基材200と水平方向に交互に積み重ねられてもよい。貫通孔220内に形成された絶縁層120にも金属磁性粉末130が含有されてもよく、熱伝導性フィラーが更に含有されてもよい。
【0070】
図13に示すように、ボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が交互に積み重ねられて形成されてもよく、絶縁層120内には金属磁性粉末130が含有されてもよい。なお、基材200の貫通孔220内に磁性層110及び絶縁層120が基材200と垂直方向に交互に積み重ねられてもよい。貫通孔220内に形成された絶縁層120にも金属磁性粉末130が含有されてもよく、熱伝導性フィラーが更に含有されてもよい。
【0071】
図14に示すように、ボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が交互に積み重ねられて形成されてもよく、絶縁層120内には金属磁性粉末130が含有されてもよい。なお、基材200の貫通孔220内に金属磁性粉末130が含有されている絶縁層120が充填されてもよい。このとき、ボディ100の絶縁層120及び貫通孔220内の絶縁層120には熱伝導性フィラーが更に含有されてもよい。
【0072】
図15に示すように、ボディ100は、磁性層110及び絶縁層120が交互に積み重ねられて形成されてもよく、絶縁層120内には金属磁性粉末130が含有されてもよい。また、基材200の貫通孔220内に磁性物質140が埋め込まれてもよい。ここで、磁性物質140は、ボディ100の磁性層110と同じ物質であってもよい。例えば、金属リボンを複数積み重ねて磁性物質140を形成し、これをボディ100の貫通孔220に埋め込んでもよい。ところが、磁性物質140は、磁性層110とは異なる透磁率を有してもよい。例えば、磁性物質140は、磁性層110とは異なる物質からなってもよく
、磁性層110とは異なる組成を有してもよい。このとき、磁性物質140は磁性層110よりも高い透磁率を有することが好ましい。即ち、磁性物質140が磁性層110よりも高い透磁率を有することにより、パワーインダクターの全体的な透磁率を増加させることが好ましい。一方、磁性物質140は、FeSiAl系センダストリボン又は粉末、FeSiBCr系非晶質(Amorphous)リボン又は粉末、FeSiBCr系結晶質リボン又は粉末、FeSiCr系リボン又は粉末、FeSiCrBCuNb系ナノクリスタルリボン又は粉末のうちの少なくともいずれか一種を用いてもよい。ここで、リボンは、磁性層110と同様に、所定の厚さを有する板状を呈してもよい。なお、磁性物質140は、リボン又は粉末が凝集された形態で形成されてもよく、リボンを絶縁層と積み重ねて形成してもよく、金属磁性粉末を絶縁物質と混合して形成してもよい。
【0073】
図16に示すように、ボディ100は、金属磁性粉末130が含有されている絶縁層120によって形成されてもよく、基材200の貫通孔220内に磁性物質140が埋め込まれてもよい。ここで、磁性物質140は、ボディ100の金属磁性粉末130と同じ物質であってもよい。ところが、磁性物質140は、金属磁性粉末130とは異なる透磁率を有してもよい。このために、磁性物質140は、金属磁性粉末130とは異なる物質からなってもよく、金属磁性粉末130とは異なる組成を有してもよい。例えば、FeSiAl系センダストリボン又は粉末、FeSiBCr系非晶質(Amorphous)リボン又は粉末、FeSiBCr系結晶質リボン又は粉末、FeSiCr系リボン又は粉末、FeSiCrBCuNb系ナノクリスタルリボン又は粉末のうちの少なくともいずれか一種を用いて磁性物質140を形成し、これをボディ100の貫通孔220に埋め込んでもよい。このとき、磁性物質140は、金属磁性粉末130が分散されたボディ100又は金属磁性粉末130よりも高い透磁率を有することが好ましい。即ち、磁性物質140が金属磁性粉末130よりも高い透磁率を有することにより、パワーインダクターの全体的な透磁率を増加させることが好ましい。
【0074】
図17は、本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、
図18は、
図17のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図であり、
図19は、
図17のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0075】
図17から
図19を参照すると、本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b)と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の外部に設けられた外部電極410、420と、コイルパターン300の上に形成された絶縁層500と、ボディ100の外部に外部電極410、420から離れて設けられ、ボディ100の内部の少なくとも2以上の基板200のそれぞれに形成された少なくとも1つのコイルパターン300と接続された接続電極700(710、720)と、を備えていてもよい。以下の説明に当たっては、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態の説明と重複する内容についての説明は省略する。
【0076】
少なくとも2以上の基材200(200a、200b)は、ボディ100の内部に設けられ、ボディ100の短軸方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。すなわち、少なくとも2以上の基材200は、外部電極400と直交する方向、すなわち、ボディ100の厚さ方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。また、少なくとも2以上の基材200のそれぞれには導電性ビア210(210a、210b)が形成され、少なくとも一部が除去されて貫通孔220(220a、220b)がそれぞれ形成される。このとき、貫通孔220a、220bは同じ位置に形成されてもよく、導電性ビア210a、210bは同じ位置または異なる位置に形成されてもよい。いうまでもなく、少なくとも2以上の基材200は、貫通孔220だけではなく、コイルパターン300が形成されていな
い領域が除去されてボディ100が充填されてもよい。更に、少なくとも2以上の基材200の間にはボディ100が設けられてもよい。ボディ100が少なくとも2以上の基材200の間にも設けられることにより、パワーインダクターの透磁率を向上させることができる。いうまでもなく、少なくとも2以上の基材200の上に形成されたコイルパターン300の上に絶縁層500が形成されているため、基材200の間にはボディ100が形成されないこともある。この場合、パワーインダクターの薄肉化を図ることができる。コイルパターン300(310、320、330、340)は、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されもよい。ここで、コイルパターン310、320は、第1の基板200aの下部及び上部にそれぞれ形成されて第1の基材200aに形成された導電性ビア210aによって電気的に接続されてもよい。同様に、コイルパターン330、340は、第2の基板200bの下部及び上部にそれぞれ形成されて第2の基材200bに形成された導電性ビア210bによって電気的に接続されてもよい。これらの複数のコイルパターン300は、基材200の所定の領域、例えば、中央部の貫通孔220a、220bから外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上に形成された2つのコイルパターンが接続されて1つのコイルを構成してもよい。すなわち、1つのボディ100内に2以上のコイルが形成されてもよい。ここで、基材200の上側のコイルパターン310、330及び下側のコイルパターン320、340は、互いに同じ形状に形成されてもよい。なお、複数のコイルパターン300が重なり合うように形成されてもよく、上側のコイルパターン310、330が形成されていない領域に重なり合うように下側のコイルパターン320、340が形成されてもよい。
【0077】
外部電極400(410、420)は、ボディ100の両端部に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ100の長軸方向に向かい合う2つの側面に形成されてもよい。このような外部電極400は、ボディ100のコイルパターン300と電気的に接続されてもよい。すなわち、複数のコイルパターン300の少なくとも一方の端部がボディ100の外側に露出され、外部電極400が複数のコイルパターン300の端部と接続されるように形成されてもよい。例えば、外部電極400は、コイルパターン310と接続されるように形成されてもよく、外部パターン420は、コイルパターン340と接続されるように形成されてもよい。すなわち、外部電極400は、基材200a、200bの上に形成された1つのコイルパターン310、340とそれぞれ接続される。
【0078】
接続電極700は、外部電極400が形成されていないボディ100の少なくとも一方の面の上に形成されてもよい。例えば、外部電極400が向かい合う第1及び第2の側面に形成され、接続電極700は外部電極400が形成されていない第3及び第4の側面にそれぞれ形成されてもよい。このような接続電極700は、第1の基材200aの上に形成されたコイルパターン310、320の少なくともいずれか1つと、第2の基材200bの上に形成されたコイルパターン330、340の少なくともいずれか1つとを接続するために設けられる。すなわち、接続電極710は第1の基材200aの下側に形成されたコイルパターン320と、第2の基材200bの上側に形成されたコイルパターン330とをボディ100の外側において接続する。すなわち、外部電極410がコイルパターン310と接続され、接続電極710がコイルパターン320、330を連結し、外部電極420がコイルパターン340と接続される。このため、第1及び第2の基材200a、200bの上にそれぞれ形成されたコイルパターン310、320、330、340が直列に接続される。一方、接続電極710はコイルパターン320、330を接続するが、接続電極720はコイルパターン300と接続されないが、これは、工程上の便宜のために2つの接続電極710、720が形成され、1つの接続電極710のみがコイルパターン320、330と接続されるためである。このような接続電極700は、導電性ペーストにボディ100を浸漬したり、印刷、蒸着及びスパッタリングを行ったりするなど様々な方法によってボディ100の一方の側面に形成されてもよい。接続電極700は、電
気伝導性を与えるための金属であり、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属を含んでいてもよい。このとき、接続電極700の表面に、必要に応じて、ニッケルメッキ層(図示せず)または錫メッキ層(図示せず)が更に形成されてもよい。
【0079】
図20及び
図21は、本発明の第3の実施形態の変形例に係るパワーインダクターの断面図である。すなわち、ボディ100の内部に3つの基材200(200a、200b、200c)を設け、基材200のそれぞれの一方の面及び他方の面の上にコイルパターン300(310、320、330、340、350、360)をそれぞれ形成し、コイルパターン310、360は外部電極410、420と接続されるようにし、コイルパターン320、330は接続電極710と接続されるようにし、コイルパターン340、350は接続電極720と接続されるようにする。このため、3つの基材200a、200b、200cの上にそれぞれ形成されたコイルパターン300が接続電極710、720によって直列に接続されてもよい。
【0080】
上述したように、本発明の第3の実施形態及びその変形例に係るパワーインダクターは、少なくとも一方の面にコイルパターン300がそれぞれ形成された少なくとも2以上の基材200がボディ100内に離れて設けられ、異なる基材200の上に形成されたコイルパターン300がボディ100の外部の接続電極700によって接続されることにより、1つのボディ100内に複数のコイルパターンを形成し、これにより、パワーインダクターの容量を増やすことができる。すなわち、ボディ100の外部の接続電極700を用いて異なる基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300を直列に接続することができ、これにより、同じ面積内のパワーインダクターの容量を増やすことができる。
【0081】
図22は、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、
図23及び
図24は、
図22のA-A’及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。なお、
図25は、内部平面図である。
【0082】
図22から
図25を参照すると、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に水平方向に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b、200c)と、少なくとも2以上の基材200の少なくとも一方の面の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300(310、320、330、340、350、360)と、ボディ100の外部に設けられ、少なくとも2以上の基材200a、200b、200cの上に形成されたコイルパターン300とそれぞれ接続される外部電極400(410、420、430、440、450、460)と、コイルパターン300の上に形成された絶縁層500と、を備えていてもよい。以下の説明に当たっては、以上の実施形態の説明と重複する内容についての説明は省略する。
【0083】
少なくとも2以上、例えば、3つの基材200(200a、200b、200c)は、ボディ100の内部に設けられてもよい。ここで、少なくとも2以上の基材200は、例えば、ボディ100の厚さ方向と直交する長軸方向に互いに所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。すなわち、本発明の第3の実施形態及びその変形例においては、複数の基材200がボディ100の厚さ方向、例えば、垂直方向に配列されているのに対し、本発明の第4の実施形態においては、複数の基材200がボディ100の厚さ方向と直交する方向、例えば、水平方向に配列されてもよい。また、複数の基材200には導電性ビア210(210a、210b、210c)がそれぞれ形成され、少なくとも一部が除去されて貫通孔220(220a、220b、220c)がそれぞれ形成される。いうまでもなく、複数の基材200は、貫通孔220だけではなく、
図17に示すように、コイルパターン300が形成されていない領域が除去されてボディ100が充填されてもよい。
【0084】
コイルパターン300(310、320、330、340、350、360)は、複数の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。ここで、コイルパターン310、320は、第1の基板200aの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第1の基材200aに形成された導電性ビア210aによって電気的に接続されてもよい。また、コイルパターン330、340は、第2の基板200bの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第2の基材200bに形成された導電性ビア210bによって電気的に接続されてもよい。同様に、コイルパターン350、360は、第3の基材300cの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第3の基材200cに形成された導電性ビア210cによって電気的に接続されてもよい。これらの複数のコイルパターン300は、基材200の所定の領域、例えば、中央部の貫通孔220a、220b、220cから外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上にそれぞれ形成された2つのコイルパターンが接続されて1つのコイルをなしてもよい。すなわち、1つのボディ100内に2以上のコイルが形成されてもよい。ここで、基材200の一方の側のコイルパターン310、330、350と他方の側のコイルパターン320、340、360は互いに同じ形状に形成されてもよい。また、同じ基材200の上に形成されたコイルパターン300が重なり合うように形成されてもよく、一方の側のコイルパターン310、330、350が形成されていない領域に重なり合うように他方の側のコイルパターン320、340、360が形成されてもよい。
【0085】
外部電極400(410、420、430、440、450、460)は、ボディ100の両端部に互いに所定の間隔だけ離れて形成されてもよい。このような外部電極400は、複数の基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300と電気的に接続されてもよい。例えば、外部電極410、420はコイルパターン310、320とそれぞれ接続され、外部電極430、440はコイルパターン330、340とそれぞれ接続され、外部電極450、460はコイルパターン350、360とそれぞれ接続されてもよい。すなわち、外部電極400は、基材200a、200b、200cの上にそれぞれ形成されたコイルパターン300とそれぞれ接続される。
【0086】
上述したように、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターは、1つのボディ100内に複数のインダクターが実現されてもよい。すなわち、少なくとも2以上の基材200が水平方向に配列され、その上部にそれぞれ形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400によって接続されることにより、複数のインダクターが並列に設けられてもよく、これにより、1つのボディ100内に2以上のパワーインダクターが実現される。
【0087】
図26は、本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、
図27及び
図28は、
図26のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0088】
図26から
図28を参照すると、本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b)と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の向かい合う2つの側面に設けられ、基材200a、200bの上にそれぞれ形成されたコイルパターン310、320、330、340とそれぞれ接続された複数の外部電極400(410、420、430、440)と、を備えていてもよい。ここで、2以上の基材200は、ボディ100の厚さ方向、例えば、垂直方向に所定の間隔だけ離れて積み重ねられ、それぞれの基材200の上に形成されたコイルパターン300は異なる方向に引き出されて外部電極400とそれぞれ接続される。すなわち、本発明の第4の実施
形態において、複数の基材200が水平方向に配列されているのに対し、本発明の第5の実施形態においては、複数の基材200が垂直方向に配列される。このため、本発明の第5の実施形態においては、少なくとも2以上の基材200がボディ100の厚さ方向に配列され、基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400によって接続されることにより、複数のインダクターが並列に設けられ、これにより、1つのボディ100内に2以上のパワーインダクターが実現される。
【0089】
上述したように、本発明の第3乃至第5の実施形態においては、ボディ100内に少なくとも一方の面の上にコイルパターン300がそれぞれ形成された複数の基材200がボディ100の厚さ方向(すなわち、垂直方向)に積み重ねられるか、あるいは、これと直交する方向(すなわち、水平方向)に配列されてもよい。また、複数の基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300は、外部電極400と直接または並列に接続されてもよい。すなわち、複数の基材200のそれぞれに形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400に接続されて並列に接続されてもよく、複数の基材200のそれぞれに形成されたコイルパターン300が同じ外部電極400に接続されて直列に接続されてもよい。直列に接続される場合、それぞれの基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300がボディ100の外部の接続電極700によって接続されてもよい。このため、並列に接続される場合、複数の基材200のそれぞれに2つの外部電極400が必要であり、直列に接続される場合、基材200の数を問わずに2つの外部電極400が必要であるが、1以上の接続電極700が必要である。例えば、3つの基材300の上に形成されたコイルパターン300が外部電極400に並列に接続される場合、6つの外部電極400が必要であり、3つの基材300の上に形成されたコイルパターン300が直列に接続される場合、2つの外部電極400及び少なくとも1つの接続電極700が必要である。更に、並列に接続される場合、ボディ100内に複数のコイルが設けられ、直列に接続される場合、ボディ100内に1つのコイルが設けられる。
【0090】
図29から
図31は、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明
するために順番に示す断面図である。
【0091】
図29を参照すると、基材200の少なくとも一方の面、好ましくは、一方の面及び他方の面の上に所定の形状のコイルパターン310、320を形成する。基材200は、銅張積層板(CCL)または金属磁性体などによって接続製作されてもよいが、実効透磁率を増やし且つ容量を実現し易い金属磁性体を用いることが好ましい。例えば、基材200は、含鉄金属合金からなる所定の厚さの金属板の一方の面及び他方の面に銅箔を貼り合わせることにより製作されてもよい。ここで、基材200は、例えば、中央部に貫通孔220が形成され、所定の領域に導電性ビア210が形成される。また、基材200は、貫通孔220以外に、外側領域が除去された形状に設けられてもよい。例えば、所定の厚さを有する矩形板状の基材200の中央部に貫通孔220が形成され、所定の領域に導電性ビア210が形成され、基材200の外側の少なくとも一部が除去される。このとき、基材200の除去される部分は、スパイラル状に形成されたコイルパターン310、320の外側部分になり得る。更に、コイルパターン310、320は、基材200の所定の領域、例えば、中央部から円形のスパイラル状に形成されてもよい。このとき、基材200の一方の面の上にコイルパターン310を形成した後、基材200の所定の領域を貫通し且つ導電物質が埋め込まれた導電性ビア210を形成し、基材200の他方の面の上にコイルパターン320を形成してもよい。導電性ビア210は、レーザーなどを用いて基材200の厚さ方向にビア孔を形成した後、ビア孔に導電性ペーストを充填して形成してもよい。いうまでもなく、導電性ビア210は、コイルパターン310、320の形成に際してビア孔が埋め込まれて形成されてもよい。更にまた、コイルパターン310は、例えば、メッキ工程を用いて形成してもよいが、このために、基材200の一方の面の上に所定の形状の感光膜パターンを形成し、基材200上の銅箔をシードとして用いたメッキ工程
を行って露出された基材200の表面から金属層を成長させた後に感光膜を除去することにより形成してもよい。いうまでもなく、コイルパターン320は、基材200の他方の面の上にコイルパターン310と同じ方法を用いて形成してもよい。一方、コイルパターン310、320は、多層に形成されてもよい。コイルパターン310、320が多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に第2の導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。このように基材200の一方の面及び他方の面の上にコイルパターン310、320をそれぞれ形成した後、コイルパターン310、320を覆うように絶縁層500を形成する。絶縁層500は、パリレンなどの絶縁性高分子物質をコーティングして形成してもよい。好ましくは、絶縁層500は、パリレンを用いてコーティングすることにより、コイルパターン310、320の上面及び側面だけではなく、基材200の上面及び側面にも形成されてもよい。このとき、絶縁層500は、コイルパターン310、320の上面及び側面、且つ、基材200の上面及び側面に同じ厚さに形成されてもよい。すなわち、コイルパターン310、320が形成された基材200を蒸着チャンバー内に設けた後にパリレンを気化させて真空チャンバーの内部に供給することにより、コイルパターン310、320及び基材200の上にパリレンを蒸着してもよい。例えば、パリレンを気化器において1次的に加熱して気化させてダイマー(dimer)状態にした後、2次的に加熱してモノマー(Monomer)状態に熱分解し、蒸着チャンバーに連設されたコールドトラップ及び機械的真空ポンプを用いてパリレンを冷却させると、パリレンはモノマー状態からポリマー状態に変換されてコイルパターン310、320の上に蒸着される。ここで、パリレンを気化させてダイマー状態にするための1次加熱工程は、100℃~200℃の温度及び1.0Torrの圧力下で行ってもよく、気化されたパリレンを熱分解してモノマー状態にするための2次加熱工程は、400℃~500℃の温度及び0.5Torr以上の圧力下で行ってもよい。更にまた、モノマー状態をポリマー状態にしてパリレンを蒸着するために、蒸着チャンバーは、常温、例えば、25℃の温度及び0.1Torrの圧力を保ってもよい。このようにコイルパターン310、320の上にパリレンをコーティングすることにより、コイルパターン310、320及び基材200の段差に沿って絶縁層500がコーティングされ、これにより、絶縁層500が均一な厚さに形成可能である。いうまでもなく、絶縁層500は、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーよりなる群から選ばれるいずれか一種以上の物質を含むシートをコイルパターン310、320の上に密着することにより形成してもよい。
【0092】
図30を参照すると、基材200の上部及び下部に磁性層110及び絶縁層120を交互に複数配置する。また、本発明の他の実施形態において提示されたように、最上層及び最下層の上部及び下部に第1及び第2の磁性層610、620をそれぞれ設けてもよく、少なくとも一つの絶縁層120の代わりに第2の磁性層600を設けてもよい。いうまでもなく、基材200の貫通孔220及び基材200が除去された部分にも磁性層110及び絶縁層120を交互に配置してもよい。一方、磁性層110の代わりにセンダスト(sendust)、即ち、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)によって形成されてもよく、NiO・ZnO・CuO-Fe
2O
3によって形成されてもよい。これらの物質もまた、磁性層110と同様に、所定の厚さを有する板状に設けられて絶縁層120と交互に積み重ねられてもよい。一方、これらの物質は、基材200の中央部に形成された貫通孔220を埋めてもよく、基材200の上側及び下側は、磁性層110及び絶縁層120が積み重ねられて形成されてもよい。
【0093】
図31を参照すると、基材200を間に挟んで交互に配置された磁性層110及び絶縁層120を押し付けた後に成形してボディ100を形成する。また、図示はしないが、このようなボディ100及び基材200を単位素子の単位で切断した後、単位素子のボディ100の両端部にコイルパターン310、320の引き出された部分と電気的に接続されるように外部電極400を形成してもよい。外部電極400は、ボディ100の両側面に
メッキ工程を用いて形成してもよい。いうまでもなく、外部電極400は、導電性ペーストにボディ100を浸漬する方法、ボディ10の両端部に導電性ペーストを印刷する方法、蒸着及びスパッタリングを行う方法を用いて形成してもよい。ここで、導電性ペーストとしては、外部電極400に電気伝導性を与える金属物質を用いてもよい。なお、外部電極400の表面には、ニッケルメッキ層及び錫メッキ層を更に形成してもよい。
【0094】
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化可能である。すなわち、上記の実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に本発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲により理解されるべきである。