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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】計時器用設定マシンと設定方法
(51)【国際特許分類】
   G04D 7/12 20060101AFI20221115BHJP
   G04D 7/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G04D7/12 Z
G04D7/00 Z
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021015458
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2021156875
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】20166287.1
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス-ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィ・クレトネ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・バルトウロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・バロッシ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090804(JP,A)
【文献】特開平04-122532(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224212(WO,A1)
【文献】米国特許第02900815(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクル(10)に取り付けられた少なくとも1つの計時器用アセンブリー(1)に対して少なくとも1回の設定及び/又は調整を行うための計時器用設定マシン(1000)であって、
前記設定マシン(1000)は、自動化された形態で、少なくとも1つのポジショニングモジュール(100)の運動及び/又はオペレーションを調整するための制御手段(3000)を備え、
前記ポジショニングモジュール(100)は、取り扱い手段を備え、この取り扱い手段は、前記制御手段(3000)からのコマンドに基づいて、前記レセプタクル(10)を空間的に動かして、前記設定マシン(1000)が備えるフレーム(2000)に対して、少なくとも1つの取得モジュール(200)の下における、設定及び/又は調整位置へと搬送するように構成しており、
前記取得モジュール(200)は、測定及び/又は試験手段を備え、
この測定及び/又は試験手段は、前記レセプタクル(10)、及び/又は前記レセプタクル(10)に取り付けられた前記少なくとも1つの計時器用アセンブリー(1)の空間的位置を前記フレーム(2000)に対して識別し判断し、そして、前記ポジショニングモジュール(100)の位置の制御又は/及び修正のための情報を前記制御手段(3000)へと通信するように構成しており、
前記設定マシン(1000)は、設定及び/又は調整手段を備える少なくとも1つの設定及び/又は調整モジュール(400)を備え、
前記設定及び/又は調整手段は、前記制御手段(3000)からのコマンドに基づいて、前記レセプタクル(10)によって支持された少なくとも1つの前記アセンブリー、及び/又は前記アセンブリー(1)が備える少なくとも1つのコンポーネント又は可動コンポーネントに対して設定及び/又は調整を行うように構成しており、
前記設定及び/又は調整手段は、複数の動力化された軸を備え、前記動力化された軸は、クランプ回転軸方向に垂直なクランプ平面内にて、クランプ(600)を動かし、開き、そして、閉じるように構成しており、
前記クランプ(600)は、前記レセプタクル(10)によって支持される前記アセンブリー(1)が備える可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動し又は変形させるように構成している
ことを特徴とする設定マシン(1000)。
【請求項2】
前記設定及び/又は調整モジュール(400)は、クランプホルダー本体(401)を備え、
このクランプホルダー本体(401)は、前記クランプ(600)を支持するように構成しており、クランプキャリッジ(403)に対して、ロータリークランプ軸Θ2に沿ったクランプ回転軸(DH)のまわりを回転することができ、
前記クランプキャリッジ(403)は、構造(404)に対して、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができ、
前記構造(404)は、前記フレーム(2000)に取り付けられているか、又は前記フレーム(2000)に取り付けられたクランプベース(405)に対して、当該位置の垂直線に垂直な水平方向Xに沿って又は当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って自由に動くことができる
ことを特徴とする請求項1に記載の設定マシン(1000)。
【請求項3】
前記設定及び/又は調整モジュール(400)は、スピンドル(407)を備えるクランプ制御体(406)を備え、
前記スピンドル(407)は、前記クランプ(600)の面に力を与え、開又は閉運動をするように前記クランプを変形させるように構成しており、
前記クランプ制御体(406)は、クランプキャリッジ(403)に対して、ロータリークランプ開又は閉制御軸Θ1に沿って、クランプ回転軸(DH)のまわりに、又はクランプ回転軸(DH)に平行なスピンドル軸(DF)のまわりに、自由に回転することができ、
前記クランプキャリッジ(403)は、構造(404)に対して、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができ、
前記構造(404)は、前記フレーム(2000)に取り付けられているか、又は前記フレーム(2000)に取り付けられたクランプベース(405)に対して、当該位置の垂直線に垂直な水平方向Xに沿って自由に動くことができる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設定マシン(1000)。
【請求項4】
前記設定及び/又は調整モジュール(400)は、スピンドル(407)を備えるクランプ制御体(406)を備え、
前記クランプ制御体(406)は、前記スピンドル(407)を360°にわたって動かすように構成しており、これによって、前記クランプ(600)の開又は閉制御を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の設定マシン(1000)。
【請求項5】
前記設定及び/又は調整モジュール(400)は、スピンドル(407)を備えるクランプ制御体(406)を備え、
前記クランプ制御体(406)は、前記クランプ回転軸(DH)のまわりに回転することができ、これによって、特定の角位置において、前記クランプ(600)における対称面PSに対してオフセット圧力を与えることができるようにする
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の設定マシン(1000)。
【請求項6】
前記設定マシン(1000)は、駆動手段(301)を備える少なくとも1つの駆動モジュール(300)を備え、
前記駆動手段(301)は、前記制御手段(3000)からのコマンドに基づいて、前記レセプタクル(10)によって支持される前記アセンブリー(1)が備える少なくとも1つのコンポーネント又は可動コンポーネントを駆動するように構成している
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの駆動モジュール(300)は、少なくとも当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができる本体(310)を備え、
この本体(310)に対して、動力化されたロータリードライバー(301)が鉛直方向Zに平行なドライバー軸(DC)のまわりに連接された形態で動くことができる
ことを特徴とする請求項6に記載の設定マシン(1000)。
【請求項8】
前記本体(310)は、ポジショニング手段(340)を備え、
このポジショニング手段(340)は、前記鉛直方向Zに平行な軸(DN)のまわりに、少なくとも1つの戻しアーム(303、304)を回転するようにポジショニングするように構成しており、
前記戻しアーム(303、304)に対して、前記ドライバー軸(DC)に平行な中間軸(DB)のまわりに、前記ロータリードライバー(301)を支持するドライバーアーム(302)が回転可能に取り付けられており、
前記本体(310)は、ベルト、チェーン、ギヤ、又はカルダンジョイント伝動手段(320)を介して前記ロータリードライバー(301)を回転させるための駆動手段(330)を支持する
ことを特徴とする請求項7に記載の設定マシン(1000)。
【請求項9】
前記ポジショニング手段(340)は、少なくとも1つの戻しアーム(303、304)を角度的にポジショニングするように構成しており、
前記戻しアーム(303、304)に、前記ドライバーアーム(302)である戻しアームが接続されており、又は前記戻しアーム(303、304)に、前記ドライバーアーム(302)が接続されている
ことを特徴とする請求項8に記載の設定マシン(1000)。
【請求項10】
前記本体(310)は、当該位置の垂直線を通る鉛直平面内におけるクロスXZ運動のテーブルによって支持され、
前記クロスXZ運動のテーブルは、前記フレーム(2000)に取り付けられたテーブルベース(370)に対して動くことができるキャリッジ(360)によって支持されるキャリッジ(350)を備える
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)。
【請求項11】
前記設定マシン(1000)は、保持及び/又は支持手段(501)を備える少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール(500)を備え、
前記保持及び/又は支持手段(501)は、前記設定及び/又は調整モジュール(400)によって前記アセンブリー(1)に対して行われる設定及び/又は調整の間又は後に、前記アセンブリー(1)の可動コンポーネント又はコンポーネントに実質的に軸方向の圧力を与えるように構成しており、又は実際に、当該位置の垂直線に平行な方向(DE)に沿った又は当該位置の前記鉛直方向と10°未満の角度しか形成しない方向に沿った磁場又は静電場の作用によって、前記可動コンポーネント又はコンポーネントが接触しないように保持するように構成している
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール(500)は、前記少なくとも1つのポジショニングモジュール(100)によって支持される
ことを特徴とする請求項11に記載の設定マシン(1000)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール(500)は、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向(DD)のまわりを回転するロータリー本体(520)を備え、
このロータリー本体(520)は、固定された形態又は連接された形態にて前記保持及び/又は支持手段(501)を支持するキャリアアーム(502)を駆動する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の設定マシン(1000)。
【請求項14】
前記保持及び/又は支持手段(501)は、前記キャリアアーム(502)に取り付けられた弾性ガイド手段(503)によって保持される質量体を備え、
前記弾性ガイド手段(503)は、実質的に垂直な力を与えることによって前記質量体が前記可動コンポーネント又はコンポーネントに支持されるように保持するように構成している
ことを特徴とする請求項13に記載の設定マシン(1000)。
【請求項15】
前記設定マシン(1000)は、保持及び/又は支持手段(501)を備える少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール(500)を備え、
前記保持及び/又は支持モジュール(500)は、少なくとも1つの駆動モジュール(300)の前記駆動手段による前記可動コンポーネント又はコンポーネントの駆動の間又は後に、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿った又は前記鉛直方向Zに対して10°未満の角度しか形成しない方向に沿った実質的に軸方向の姿勢位置に、前記アセンブリー(1)の前記可動コンポーネント又はコンポーネントを保持するように構成している
ことを特徴とする請求項6~10のいずれか一項を引用する請求項11~14のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)。
【請求項16】
前記設定マシン(1000)は、前記制御手段(3000)とつながった周波数分析器及び/又はクロノメーター的試験装置を備え、
前記制御手段(3000)は、必要な周波数及び/又はレートの許容範囲内に入るまで設定機構に対する設定の繰り返しをトリガーするようにプログラムされている
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)を用いて、少なくとも1つの計時器用コンポーネントに対する設定及び/又は調整を行うための方法であって、
少なくとも1つの前記レセプタクル(10)は、軸方向Aを有する計時器用ムーブメント又は携行型時計である少なくとも1つの前記アセンブリー(1)を備え、
前記軸方向Aは、当該位置の垂直線とアライメント状態となっており、
当該方法は、少なくとも1つの可動コンポーネント又はコンポーネントに対する設定及び/又は調整を行うものであり、
前記取得モジュール(200)及び前記設定及び/又は調整モジュール(400)は、測定、設定及び/又は調整を行うためのワーク領域をクリアにするように、トラベルの終わりまでクリアされており、
前記レセプタクルが前記ポジショニングモジュール(100)の上に搭載され、
前記レセプタクルが前記ワーク領域内に搬送され、
前記取得モジュール(200)は、前記ポジショニングモジュール(100)の上に搬送され、
少なくとも1つのパラメーターの目標設定値が決められ、
前記少なくとも1つのアセンブリー(1)にて測定される前記少なくとも1つのパラメーターの値が、前記制御手段へと送られ、
少なくとも当該位置の垂直線に平行な鉛直方向に沿った前記可動コンポーネント又はコンポーネントの上面の位置を測定するように前記取得モジュール(200)のプログラミングサイクルが選択され、
前記位置及び前記プログラミングサイクルにしたがって行われる測定結果は、前記制御手段(3000)へと送られ、
前記制御手段(3000)は、選択された前記プログラミングサイクルにしたがって、前記アセンブリー(1)を設定位置に配置するための前記ポジショニングモジュール(100)の運動を行わせ、かつ/又は前記ワーク領域におけるプログラミングされたシーケンスにしたがって、前記設定及び/又は調整モジュール(400)及び/又は少なくとも1つの設定モジュール(300、500)への運動とオペレーションの命令を発生させる
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11~14のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)を用い、
前記設定マシン(1000)は、少なくとも1つの前記保持及び/又は支持手段(501)を備え、
この保持及び/又は支持手段(501)は、前記設定及び/又は調整モジュール(400)及び/又は前記保持及び/又は支持モジュール(500)及び/又は少なくとも別の前記設定モジュールによって前記アセンブリー(1)に対して行われる設定及び/又は調整の間又は後に、前記アセンブリー(1)の前記可動コンポーネント又はコンポーネントに圧力を与えるように、又は当該位置の垂直線に平行な鉛直方向(DE)に沿った磁場又は静電場の作用によって前記可動コンポーネント又はコンポーネントを接触しないように保持するように構成している
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項6~10のいずれか一項に記載の前記設定マシン(1000)を用い、
前記設定マシン(1000)は、少なくとも1つの駆動モジュール(300)を備え、
前記駆動モジュール(300)は、前記鉛直方向Zに平行なドライバー軸(DC)のまわりに回転して前記可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動する動力化されたロータリードライバー(301)を備える
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~9のいずれか一項に記載の設定マシン(1000)を用い、
前記少なくとも1つの設定及び/又は調整モジュール(400)は、前記可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動又は変形させるために前記クランプ(600)を備え、
前記アセンブリー(1)の少なくとも1つの可動コンポーネントに対して前記クランプ(600)をアクチュエートすることによって前記パラメーターが設定される
ことを特徴とする請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記設定マシン(1000)は、バランス慣性ブロック、バランスブリッジ設定ねじ、バランスばねスタッド設定ねじ、分割設定ねじ、又はアライメント設定ねじである設定ねじの設定又はインデックスの設定に用いられる
ことを特徴とする請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記設定マシン(1000)は、ブリッジ、バランスばね、アーム、又はバランスの輪縁の局所的な変形のために用いられる
ことを特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタクルに取り付けられた少なくとも1つの計時器用アセンブリーに対して少なくとも1回の設定及び/又は調整を行うための計時器用設定マシンに関する。前記設定マシンは、自動化された形態で、少なくとも1つのポジショニングモジュールの運動及び/又はオペレーションを調整するための制御手段を備え、前記ポジショニングモジュールは、ハンドリング手段を備え、このハンドリング手段は、前記制御手段からのコマンドに基づいて、前記レセプタクルを空間的に動かして、前記設定マシンが備えるフレームに対して、少なくとも1つの取得モジュールの下における、設定及び/又は調整位置へと搬送するように構成しており、前記取得モジュールは、測定及び/又は試験手段を備え、この測定及び/又は試験手段は、前記レセプタクル、及び/又は前記レセプタクルに取り付けられた前記少なくとも1つの計時器用アセンブリーの空間的位置を前記フレームに対して識別し判断し、そして、前記ポジショニングモジュールの位置の制御又は/及び修正のための情報を前記制御手段へと通信するように構成している。
【0002】
本発明は、さらに、少なくとも1つの計時器用コンポーネントに対する設定及び/又は調整を行うために前記のような設定マシンを用いる方法に関する。
【0003】
本発明は、計時器用設定機構の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の製造において、一部の微細な設定、特に、発振器の周波数設定や携行型時計のレート設定は、ほとんど自動化されず、高度な能力を有する人員に委託され、いくつかの順次的な基本設定を必要とすることが多い操作である。
【0005】
したがって、高いクロノメーター的品質を得ることは、コストのかかる操作である。
【0006】
インターネットで公開されている2015年9月16日付のThierry CONUSによる論文「Swatch SISTEM 51」(XP05573393)は、共振器コンポーネントに対する設定又は調整を行うためのマシンにおいてレーザーアブレーション法を用いる携行型時計レート設定について記載している。
【0007】
THE SWATCH GROUP RESEARCH &DEVELOPMENT Ltdによる欧州特許文献EP357287A1及びEP3422119A2はそれぞれ、時間設定を行うための設定マシンと、この設定マシンが支持する各携行型時計を観察システムやマイクロホンに順次対向させるロータリーアクチュエーションモジュールについて記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、完成されたアセンブリーである計時器用ムーブメントや携行型時計ヘッド(WH)の高精度調整を自動化し、この自動化を時計技師のベンチ上などにセットアップすることができるコンパクトなワークステーションで行うことを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
用いられる手段は、このワークステーションの清浄性を確実にするように考えられ、このことは、完成された携行型時計ヘッドや完成されたムーブメントの取り扱いのために重要である。
【0010】
この設備によって、設定感度、精度、デジタル化、フレキシブル性及び再現性の観点で期待される性能を確実にする。このデジタル化は、人間工学的に優れており使いやすいワークステーションによって、サイクル時間が短いことを確実にし、高精度を達成するために役立つ。
【0011】
携行型時計の製造の分野において本発明の多くのアプリケーションが実現可能であるが、本発明は、発振器に対する高精度調整を行うことに特に適しており、特に、ムーブメント又は携行型時計ヘッド内にて直接的に設定ねじをアクチュエートすることによって高精度調整を行うことに適している。
【0012】
本発明の目的は、単一の操作にて信頼性のある設定を行うことである。
【0013】
このために、本発明は、請求項1に記載の設定マシンに関する。
【0014】
本発明は、さらに、請求項18に記載の、前記のような設定マシンを用いる設定及び/又は調整を行う方法に関する。
【0015】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ケーシングを示していない本発明に係る設定マシンの概略斜視図であり、この設定マシンは、フレーム上に、他の図において互いに独立に示している様々なモジュールを備え、ポジショニングモジュールがフレームに直接取り付けられ、テーブルを支持しクロス運動を行うキャリッジを備え、このテーブルが計時器用アセンブリーのレセプタクルを支持し、取得モジュールが、オーバーハング用カラムの形態である図示していない鉛直方向メンバーに対して動くことができ、レセプタクルの位置及びその中身を判断するための観察手段及びレーザー手段を備える。フレームは、設定及び/又は調整モジュールを直接支持し、これは、レセプタクル上に配置されるアセンブリーの可動コンポーネント又はコンポーネントを動かすように構成しているクランプを備える。駆動モジュールは、この可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動するように構成しているドライバーを備える。保持及び/又は支持モジュールは、この可動コンポーネント又はコンポーネントに支持されるように構成している支持フィンガーを備える。
図2】設定及び/又は調整モジュールを示している図1と同様な図であり、これは、ポジショニングモジュールのテーブル上に配置されたレセプタクルによって支持されるアセンブリーの可動コンポーネント又はコンポーネントに対して設定及び/又は調整を行うように構成しており、この設定及び/又は調整モジュールは、ここではモノリシッククランプであるクランプを備え、その開閉は動力化されており、回転及び/又は並進運動を行うことができる。
図3図2のクランプについての概略平面図である。
図4】駆動モジュールについての図2と同様な形態の図であり、これは、前記のようなコンポーネント又は可動コンポーネントのようなロータリードライバーを用いて少なくとも1回の回転を行うように駆動するように構成している。
図5】支持フィンガーを備える保持及び/又は支持モジュールについての図2と同様な形態の図であり、この支持フィンガーは、当該可動コンポーネント又はコンポーネントに対して実質的に軸方向の圧力を与えるように構成している。
図6】ここでは携行型時計ヘッドを支持している支持体であるレセプタクルについての概略斜視図であり、この携行型時計ヘッドは、その設定のために設定マシン上の適切な位置に配置される。
図7】ここでは計時器用ムーブメントを支持している支持体である別のレセプタクルについての概略部分斜視図であり、この計時器用ムーブメントは、その設定のために設定マシン上の適切な位置に配置される。
図8図8~10は、以下のように順次的に概略斜視図を示している。図8においては、携行型時計ヘッドを受けるための図6における支持体の準備を示しており、フォークである2つのクランプ又はロック用ウェッジが、携行型時計ヘッドのホーンに支持されるように構成している。
図9】ばね機構上への携行型時計ヘッドの載置と、ホーンがフォークのアームの外側にある角位置における支持面上の支持を示している。
図10】ピン上の一方のホーンの角度的止め支持位置まで携行型時計ヘッドを1回回転させた後における、携行型時計ヘッドのそのレセプタクル上への取り付けを示している。
図11図4における駆動モジュールと、図5における保持及び/又は支持モジュールとの連係を示している概略斜視図であり、図10におけるレセプタクル上に取り付けられた携行型時計ヘッド内にバランスが備えられる。
図12図11と同様の形態の図であり、支持フィンガーのみが支持状態でバランスと連係しており、ドライバーが携行型時計ヘッドに対する解放位置にある。
図13図11と同様の形態の図であり、クランプがムーブメント内に導入され、バランスの設定ねじと連係し、支持フィンガーがバランスを保持している。
図14図1の設定マシンの代替的実施形態についての概略立面図であり、これは、ケースに入れられて時計技師ベンチ上に取り付けられており、複数の光学的モジュールを備える。
図15図1又は図14における設定マシンの代替的実施形態の詳細についての概略立面図であり、これは、ポジショニングモジュールのテーブルと、周波数分析器又は図示していないレートの試験をするためのデバイスのテーブルの間にてレセプタクルを置き換えるためのパレタイザーを備える。
図16】開ループの第1の代替的実施形態の1つにおいて、本発明に係る設定マシンに対して、ばね仕掛けバランス発振器が備えるバランスの設定ねじを設定するいくつかのステップの論理図である。
図17】閉ループの代替的実施形態の1つにおいて、周波数分析器及び/又はレートを試験するためのデバイスを備える本発明に係る設定マシンに対して、ばね仕掛けバランス発振器が備えるバランスの設定ねじを設定するいくつかのステップの論理図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、レセプタクル10に取り付けられた少なくとも1つの計時器用アセンブリー1に対して少なくとも1回の設定及び/又は調整を行うように設計されている計時器用設定マシン1000に関する。
【0018】
この設定マシン1000は、少なくとも1つのモジュール、特に、少なくとも1つのポジショニングモジュール100、の運動及び/又はオペレーションを自動化された形態で調整するための制御手段3000を備える。
【0019】
設定ねじをアクチュエートすることによって、ばね仕掛けバランス型の機械式携行型時計の発振器を設定するための当該設定マシン1000の使用について具体的に説明する。このような設定ねじは、当該発振器のバランスに伝統的に備えられる。これらの設定ねじは、一般的には、遊びの分を補償するために段階的な段があるものである。このため、設定された後には適切な位置にとどまる。このアプリケーションにはけっして限定されない。
【0020】
図面には、軸が直交システムによって伝統的な形態で定められるような特定の実施形態を示している。なお、これに限定されない。図1に示しているように、Z軸はこの位置における鉛直方向であり、X軸は長手方向に対応し、Y軸は横断方向に対応しており、図1は、本発明に係る設定マシン1000を示しており、これは、以下において説明するすべての基本的なモジュール及びすべての設定モジュールを装備している。
【0021】
このポジショニングモジュール100は、取り扱い手段を備え、これは、制御手段3000からのコマンドに基づいて、レセプタクル10を空間的に動かして、設定マシン1000が備えるフレーム2000に対する設定及び/又は調整位置にし、そして、このレセプタクル10を少なくとも1つの取得モジュール200の下、又は設定マシン1000の別のモジュールの下、特に、後述する設定及び/又は調整モジュール400の下、に搬送するように構成している。このフレーム2000は、設定マシン1000に属するベースであることができ、この場合、設定マシン1000は運動が容易であり、あるいは時計技師のベンチ4000であることができ、この場合、このベンチ4000は設定マシン1000と一体化される。
【0022】
フレーム2000は、少なくとも1つの設定モジュールを直接的又は間接的に支持し、制御手段3000は、設定マシン1000が備える各設定モジュールの運動及び/又はオペレーションを自動化された形態で調整するように構成している。
【0023】
設定マシン1000は、好ましくは、ケーシング5000を備え、これは、そのすべてのコンポーネントモジュールを囲み、装置の清浄性を確実にするために負圧又は正圧の状態にすることができる。このケーシング5000は、特に、伝統的にスクリーン/キーボードのようなユーザーインタフェース3001に備えられる制御手段3000と、生産管理システム及び/又は品質管理システムとのリンクとを支持する。具体的には、設定や検証を容易にするデジタル顕微鏡などを備える光学的モジュール700を設定マシン1000が備える場合、様々なモジュールが介入しつつ、ユーザーインタフェース3001をワーク領域の高倍率可視化に用いることができる。
【0024】
研究によって、補助されたマニュアルバージョンでの作業のステップと運動の数は、少なくとも29の機能ステップ、37の運動及び9軸が必要であることがわかった。完全にデジタル化されたマシンを選択することによって、操作に再現性があり、設定を容易に構成可能であるような形態で、プロセスの完全な制御を確実にすることが可能になる。また、デジタルバージョンは、単独でサイクル時間を短縮することができる。図示している代替的実施形態の1つにおいて(これに限定されない)、この制御手段3000は、13のデジタル軸を制御し、これによって、機能ステップ及び運動の数を減少させることが可能になる。
【0025】
当然、軸の数及び構成は、ここではZに沿って動くことができるオーバーハング用カラムを備えるマシンのために選択される構成に依存する。しかし、Zに沿った運動は、ポジショニングモジュール100のレベルにおいても行うこともできる。また、鉛直方向の運動をカラムではなくガントリーに関連づけることもできる。オーバーハング用カラムの利点は、様々なドライバー及びグリッパーのために、カラムの前の空間を比較的大きく解放し、レーザービームの可視性や通過を容易にすることである。
【0026】
特に、ポジショニングモジュール100は、少なくとも長手方向Xに沿ってフレーム2000に対して動くことができる。レセプタクル10を支持するテーブル109の長手方向Xに沿った運動は、載置位置、レーザー測定位置、設定ねじ修正位置を含む少なくとも3つの顕著な位置において行われる。このポジショニングモジュール100には、好ましいことに、テーブル109を回転させるための回転軸Θ0がある。図示している代替的実施形態の1つにおいて、このポジショニングモジュール100は、フレーム2000に対して、長手方向Xと横断方向Yの両方に沿って動くことができ、これによって、回転軸Θ0によって許容される偏心トラベルを超えて動くことができる。
【0027】
取得モジュール200は、測定及び/又は試験手段を備え、これは、フレーム2000に対してレセプタクル10、及び/又はレセプタクル10に取り付けられた少なくとも1つの計時器用アセンブリー1の、空間的位置を識別し判断して、ポジショニングモジュール100の位置の制御及び/又は修正のための情報を制御手段3000と通信するように構成している。
【0028】
特に、取得モジュール200は、鉛直方向Zに沿って動くことができるキャリッジ209を備える。このキャリッジ209は、観察手段と、ここでは鉛直方向Zに沿った方向を向いているレーザービームを支持する。このモジュールは、レセプタクル10によって支持される様々なアセンブリー1、ムーブメント又は携行型時計ヘッドに対して、観察位置及びレーザーの焦点位置を自動的に調整するように設計されている。この観察システム及びレーザー測定システムの焦点調整は、バランスセンタリング位置、クリア済み領域位置、Zに沿ったレーザー測定位置、及び設定ねじ向き設定位置を含む設定サイクルにしたがって行われる。
【0029】
この取得モジュール200は、さらに、第2のキャリッジを支持することができ、これも鉛直方向Zに沿って動くことができ、キャリッジ209によって支持され、これによって、一部の特定のアプリケーションにおいては、観察システムの運動とレーザーシステムの運動を分離する。図示していない特定の代替的実施形態において、この取得モジュール200は、測定のものではなくバランスとバランスばねに対するアブレーション操作のものである別のレーザー源を備えることができる。
【0030】
ばね仕掛けバランス発振器の設定に設定マシン1000を用いる場合、取得モジュール200は、本質的に、バランスの中心を検出して設定ねじ修正プロセスの信頼性を確実にし、以下に開示するバランス設定ねじ軸に対する設定クランプ600の正しいセンタリングを確実にするようにはたらく。
【0031】
本発明によると、設定マシン1000は、設定及び/又は調整機構400である少なくとも1つの設定モジュールを備える。この設定及び/又は調整機構は、設定及び/又は調整モジュール400を備え、これは、設定及び/又は調整手段を備え、これは、制御手段3000からのコマンドに基づいて、レセプタクル10によって支持される少なくとも1つのアセンブリー1に対して及び/又は少なくとも1つのコンポーネント又はアセンブリー1が備える可動コンポーネントに対して、設定及び/又は調整を行うように構成している。
【0032】
特に、この設定及び/又は調整手段400は角度的修正モジュールであり、その設定及び/又は調整手段には、複数の動力化された軸があり、それらは、クランプ平面内にて、好ましくは、当該位置の垂直線を通る垂直平面内にて、動き、開き、閉じるように構成しており、このクランプ平面は、クランプの回転方向DF、DGに対して垂直であり、クランプ600は、可動コンポーネント、又はレセプタクル10によって支持されるアセンブリー1を備えるコンポーネントを、アクチュエートし又は変形させるように構成している。
【0033】
特に、このクランプ600は、「Torx(登録商標)」、六角形、溝付き、ヘッドレス、「Imbus」、コーン状、肩付きなどの任意のタイプのねじ頭部のプロファイルの把持/緩ませを可能にするように構成している。
【0034】
特に、設定及び/又は調整モジュール400は、設定マシン1000のフレーム2000に対して、少なくとも鉛直方向Zに沿って動くことができる。
【0035】
具体的には、特に図2に示している構成(これに限定されない)において、設定及び/又は調整モジュール400は、クランプホルダー本体401を備え、これは、クランプ600を支持するように構成しており、クランプキャリッジ403に対して、ロータリークランプ設定軸Θ2に沿って、クランプ回転方向DF、DGに平行に、クランプ回転軸DHのまわりを回転することができる。このクランプキャリッジ403は、構造404に対して当該位置の垂直線に平行に、鉛直方向Zに沿って動くことができ、この構造404は、フレーム2000に取り付けられているか、又はフレーム2000に取り付けられているクランプベース405に対して、当該位置の垂直線に平行に鉛直方向Zに沿って、又は当該位置の垂直線に平行に鉛直方向Zに沿って、自由に動くことができる。
【0036】
特に、好ましいことに、クランプ600は、弾性材料によって作られたモノリシック体である。特に、クランプ600は、ケイ素及び/又は酸化ケイ素、ばね鋼、又は類似のものによって作られている。実際に、クランプ600の好ましいアプリケーションでは、クランプ600の大きさは非常に小さく、クランプ600の体積はムーブメントの体積と同様であり、この制約は、遊びなしで動作するための連接機構、そして、関心事のコンポーネントを保護するための強度が低い圧力の反復値に適合することはほとんどない。
【0037】
特に、この設定及び/又は調整モジュール400は、スピンドル407、特に、カムを形成するスピンドル407、を備えるクランプ制御体406を備え、このカムは、クランプ600の面に力を与え、開又は閉運動をさせるようにクランプを変形させるように構成している。特に、このクランプ制御体406は、クランプキャリッジ403に対して、クランプ回転軸DHのまわり、又はクランプ回転軸DHに平行なスピンドル軸DFのまわりのいずれかにて、ロータリークランプ開又は閉制御軸Θ1に沿って回転自在に動くことができ、このクランプキャリッジ403は、構造404に対して、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができ、この構造404は、フレーム2000に取り付けられるか、又は平行な鉛直方向Zに沿って動くか、又はフレーム2000に取り付けられたクランプベース405に対して、当該位置の垂直線に垂直な水平方向Xに沿って自由に動くことができる。
【0038】
特に、クランプ制御体406は、クランプ600の開又は閉制御のために、360°にわたってスピンドル407を動かすように構成している。
【0039】
特に、クランプ制御体406は、クランプ回転軸DHのまわりに回転して、クランプ600にある対称面PSに対して特定の角位置にてオフセット圧力を与えることができるようにすることができる。
【0040】
クランプ600は、アセンブリー1のコンポーネント又は可動コンポーネント、特に、バランス設定ねじ、を取り扱うためのクランプアーム601を備える。図面に示している使用方法(その制約を受けない)では、各クランプアーム601は、クランプ平面内、特に、当該位置の垂直線を通る鉛直平面内、を動くことができ、このクランプ平面は、クランプ回転軸DH、又はクランプ回転軸DHに平行なスピンドル軸DF、に対して垂直である。当然、他のアプリケーションでは、クランプアーム601の共通平面を空間的に動かすことができる。
【0041】
クランプアーム601は、最も小さいものさえを含むすべてのバランスタイプの設定ねじの外径を把持するように設計されている。
【0042】
特に、クランプ600には弾性があり、少なくとも1つの支持部分602を備え、これは、設定及び/又は調整モジュール400が備える、アクチュエーター又はスピンドル407又は偏心部品及び/又は押し部品の作用を受け、この少なくとも1つの支持部分602の変形が少しでもあると、アーム601の相対的な相互位置を変更し、クランプ600を変形させ、このことによって、クランプ600を設定を行うためのツールとして用いることが可能になる。
【0043】
特に、クランプ600は、対称面PSに対して対称であり、第1の弾性アーム607及び/又は第2の弾性アーム604を備える。
【0044】
特に、クランプ600には、前記第1の弾性アーム607と第2の弾性アーム604よりも剛性の高い取り付け領域603があり、これによって、設定及び/又は調整モジュール400が備えるクランプホルダー本体401にクランプ600を取り付ける。この取り付けは、図3に示しているピンホール6030内へと入れ込まれる少なくとも1つのポジショニング用ピンと、マウンティング608のレベルにて取り付けられる少なくとも1つのねじ又は類似のものとを組み合わせることによって行うことができる。
【0045】
そして、特に、クランプ600には、第1の弾性アーム607及び第2の弾性アーム604よりも剛性が高い少なくとも1つの支持部分602がある。
【0046】
好ましいことに、第1の弾性アーム607は、クランプアーム601と実質的にアライメント状態にされる。
【0047】
このシステムは、相補的な面に当接せずに動作することができる。該当する場合、スピンドル407、特に、カム、の設計によって、リスクがないクランプ600の360°回転が可能になる。
【0048】
具体的な代替的実施形態において、取り付け領域603には、制限面605があり、これは、クランプ600の変形を制限するように、当接圧力がかかった状態で、支持部分602にある相補的な制限面606と連係するように構成している。
【0049】
図1~3に対応する具体的な実行において、クランプ600は、2つのピン及び把持ねじを基準として用いて保持される。クランプ600の形状は、材料の弾性限界応力、そして、スピンドル407、特に、カム、によって与えられる力の最大値、を超えないように最適化される。設定機構の調整の具体的なアプリケーションにおいて、特に、バランス設定ねじに対する作用において、アーム601及び604のプロファイル(厚み、角位置)は、バランス内の設定ねじを把持するために利用可能な空間に適合するように定められ、これによって、クランプ600の角度的回転を可能にして、携行型時計ケースに触れることなく設定プロセスを行い、また、特定の実行において、カムトラベル(約0.6mm)の終わりにてアーム当たり40Nまでの把持力を有することが可能になる。
【0050】
短く書くと、鉛直方向の軸Zによって、設定ねじのレベルにてクランプ600の位置を低くすることを管理することが可能になり、ロータリークランプ開閉軸Θ1の制御は、クランプ600が開いて設定ねじを把持することをトリガーして、そして、この設定ねじのまわりにてクランプ600を閉じる。ロータリークランプ設定軸Θ2の取り扱いは、時計技師が行うように、設定ねじのねじ込み又はねじ緩めをアクチュエートする。
【0051】
設定ねじを用いないアプリケーションでは、回転設定ツールと、そして、リベットヘッド、ペグ、ピンパンチ、たがね、マンドレルのような線形運動ツールの両方として、クランプ600を用いることができる。このとき、クランプ600を変形又は刻み込みツールとして用いることができる。
【0052】
特に、設定マシン1000は、さらに、駆動モジュール300である少なくとも1つの別の設定モジュールを備える。この駆動モジュール300は、駆動手段301を備え、これは、制御手段3000からのコマンドに基づいて、レセプタクル10によって支持される当該計時器用アセンブリー1が備える少なくとも1つのコンポーネント又は可動コンポーネントを少なくとも回転するように駆動するように構成している。
【0053】
特に、この駆動モジュール300は、バランス駆動モジュールであり、図4に示している。この駆動モジュール300は、少なくとも当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができる本体310を備え、この本体310に対して、動力化されたドライバー301が、連接された形態で動くことができ、これは、鉛直方向Zに平行な又は実質的に鉛直方向Zに平行なドライバー軸DCのまわりに回転する。
【0054】
特に、図4に示している構成においては(これの制約を受けない)、この本体310は、ポジショニング手段340を備え、これは、鉛直方向Zに平行な軸DNのまわりに回転するように、少なくとも1つの戻しアーム303、304をポジショニングするように構成しており、この戻しアーム303、304に対して、ドライバー301を支持するドライバーアーム302が、ドライバー軸DCに平行な中間軸DBのまわりに回転可能に取り付けられる。
【0055】
そして、この本体310は、ベルト、チェーン、ギヤ、又はカルダンジョイント伝動手段320などを介して、回転するようにドライバー301を駆動するための駆動手段330を支持する。
【0056】
特に、ポジショニング手段340は、ドライバーアーム302である戻しアームが接続される少なくとも1つの戻しアーム304を角度的にポジショニングするように、あるいはドライバーアーム302が接続される前側アーム303を角度的にポジショニングするように構成している。
【0057】
したがって、図4は、一方で、ドライバーシャフト301を回転させるベルト320を回転させる第1のモーター310を示しており、他方で、完全なアセンブリー310、304-303-302、301-320-330をその軸DNのまわりに回転させる第2のモーター340を示している。
【0058】
モーター軸のまわりに本体を用いてアームを引き込ませることができる。このアームは、2つの軸DA及びDBのまわりにて手動で調整可能である。この設定は、設定される径に応じて定められる。
【0059】
特に、本体340は、当該位置の垂直線を通る鉛直平面内におけるクロスXZ運動のテーブルによって支持され、フレーム2000に取り付けられたテーブルベース370に対して動くことができるキャリッジ360によって支持されるキャリッジ350を備える。
【0060】
駆動モジュール300には、好ましいことに、伝達手段320を回転させるための回転軸Θ40があり、ドライバー301は、回転軸Θ4に沿って回転することができる。
【0061】
この構成によって、バランスに対する回転ドライバーフィンガー301の最適なポジショニングが可能になる。
【0062】
特に、設定マシン1000は、さらに、少なくとも1つの別の設定モジュールを備え、これは、保持及び/又は支持モジュール500、特に、支持フィンガーモジュールであり、保持及び/又は支持手段501を備える。
【0063】
この保持手段及び/又は支持手段501は、設定及び/又は調整モジュール400によってアセンブリー1に対して設定及び/又は調整が行われている間又はその後に、アセンブリー1の可動コンポーネント又はコンポーネントに実質的に軸方向の圧力を与えるように、又は実際に、方向DEに沿った磁場又は静電場の作用によって可動コンポーネント又はコンポーネントを接触しない状態に維持するように構成しており、この方向DEは、特定のアプリケーションにおいて、当該位置の垂直線に平行であるか、又は当該位置の垂直線と形成する角度が10°未満である。
【0064】
具体的には、特にコンパクトである図1に示している代替的実施形態の1つにおいて、この少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール500、特に、支持フィンガーモジュールは、前記少なくとも1つのポジショニングモジュール100によって支持される。しかし、この保持及び/又は支持モジュール500は、ポジショニングモジュール100に対して独立であって、設定マシン1000のフレーム2000に、又はこの設定マシン1000が備える可動キャリッジに直接取り付けられることができる。
【0065】
特に、図5に示している構成において(その制約を受けない)、この少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール500には、本体520があり、これは、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向DDに対して回転するために回転軸Θ3に沿って回転し、保持及び/又は支持手段501を固定された形態又は連接された形態で支持するキャリアアーム502を駆動する。
【0066】
この圧力の設計は、設定クランプ600と同様の原理を用いる。すなわち、材料の弾性を用いる。本発明に係る設定マシン1000をばね仕掛けバランス発振器の設定に適用する場合、バランス耐衝撃性デバイスに対する応力を防ぐために、可能なかぎり低く、かつ、最も制御された圧力の力を発揮させることが必要である。
【0067】
圧力の第1の代替的実施形態においては、ブロンズ支持ブロックガイドを備えるシャフトを備え、このブロックガイドは、自重によってバランスを押して、バランスが回転しないようにロックし、ガイドの遊びの完全な設定を必要として、これによって、バランスのロックやバランスに対する有害な軸方向の応力を防ぎつつ、シャフトが自重によって落ちることを確実にする。
【0068】
図面に対応する代替的実施形態においては、これらの要件を満たす弾性ガイドによって支持原理を適用する。好ましくは、この支持システムは、バランス上にシャドー領域を発生させないようにわずかに傾斜しており、このようなシャドー領域は、設定マシン1000が備える光学的手段による設定ねじの検出を妨げる可能性があり、このことによって、わずかに傾斜した方向DEの利点を説明することができる。
【0069】
代替的実施形態の1つにおいて、保持手段及び/又は支持手段501は、弾性ガイド手段503によってガイドされ続ける質量体である支持フィンガーを備え、これは、キャリアアーム502に取り付けられ、実質的に垂直な力を与えることによって質量体を可動コンポーネント又はコンポーネントに支持され続けられるようにするように構成している。この弾性ガイド手段503は、図5に示しているように、2つのフレキシブルな細長材によって構成しており、これらは、互いに実質的に平行であり、水平面に対してわずかに傾斜しており、支持フィンガー501及びそれを支持する構造と変形可能な平行四辺形を形成する。
【0070】
図示していない別の代替的実施形態において、保持手段及び/又は支持手段501は、支持アーム502のハウジング内にてガイドされる質量体である支持フィンガーを備え、これは、自重によって可動コンポーネント又はコンポーネントを保持するように構成している。
【0071】
好ましいことに、光学的手段である取得モジュール200の測定及び/又は試験手段の使用中に、保持及び/又は支持モジュール500は、垂直線に対してわずかに傾斜している方向DEに保持及び/又は支持手段501の向きを合わせて、これらの装置の視野をクリアするように構成している。
【0072】
特に、本体520は、本体510に対して回転することができ、これは、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って構造590に対して動くことができ、この構造590は、フレーム2000に取り付けられているか、又はフレーム2000に取り付けられたベース580に対して動くことができるキャリッジ530、570に取り付けられている。
【0073】
代替的実施形態の1つにおいて、この本体510は、ベースキャリッジ570によって支持されるキャリッジに対して鉛直方向Zに沿って動くことができ、このベースキャリッジ570は、フレーム2000に取り付けられたベース580に対して、当該位置の垂直線に垂直な水平面内において、水平方向の運動Y又はX、又はクロス方向の運動XYを行う。
【0074】
図5に示している別の代替的実施形態において、本体510は、本体510によって支持されているローリングスピンドル560と、当該位置の垂直線に垂直な水平面内にて水平方向Xに沿ってベースキャリッジ570に対して動くことができるランプキャリッジ540が備えるランプ550との共同作用の下で、構造590に対して動くことができ、この構造590は、フレーム2000に取り付けられているか、又はフレーム2000に取り付けられたベース580に対して動くことができるキャリッジ530、570に取り付けられている。
【0075】
短く書くと、保持及び/又は支持モジュール500は、この少なくとも1つの駆動モジュール300の駆動手段による可動コンポーネント又はコンポーネントの駆動の間又はその後に、鉛直方向Zに沿って、又は前記方向DEに沿って、アセンブリー1の可動コンポーネント又はコンポーネントを実質的に軸方向の姿勢位置に保持するように構成している。この軸方向の姿勢位置における保持は、この可動コンポーネント又はコンポーネントの駆動の終わりにて適している。
【0076】
保持及び/又は支持モジュール500は、伝統的な秒止めタイプの機構に代わる安全な代替手段を提供し、その細長材はバランスを損傷する可能性がある。軸Zは、支持フィンガー501の下降を可能にし、軸Θ3は、アーム502の回転を可能にする。
【0077】
特に、取得モジュール200は、ワーク領域を走査するための観察手段を備える。特に、ばね仕掛けバランス発振器の設定に設定マシン1000を適用する場合、観察手段は、バランスの全面、又は設定ねじを設定するために必要な任意の領域、を検出するように構成している。また、この観察手段は、さらに、設定ねじの数又はタイプの検出、又はバランスの輪縁に形成された刻み込みの読み取りを行うことができ、これによって、設定ねじの数及びタイプを判断する。
【0078】
特に、取得モジュール200は、少なくとも当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができ、観察手段を備え、この観察手段は、可動コンポーネント又はコンポーネントの面の位置を判断すること、及び/又は設定ねじ、慣性ブロック、バランスばねスタッド、インデックスのような、アセンブリー1が備える少なくとも1つの設定機構の性質及び位置を判断することを行うように構成している。
【0079】
特に、取得モジュール200は、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに沿って動くことができ、観察手段と、レーザー測定手段と、及びレセプタクル10によって支持されるアセンブリー1の可動コンポーネント又はコンポーネントに対する観察及びレーザー焦点の位置についての自動調整デバイスとを備え、これによって、鉛直方向に沿った可動コンポーネント又はコンポーネントの上面の位置の正確な判断を行う。
【0080】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つの光学的モジュール700を備え、これは、直接的又は間接的に、フレーム2000、ポジショニングモジュール100、又は取得モジュール200、又は設定マシン1000が備える設定モジュール300、400、500のうちの1つ、によって支持される。この光学的モジュール700は、制御手段3000とインタフェースされ、これによって、コンポーネント又は可動コンポーネントに対してその設定の間、又はその振動の間に、光学的試験を行う。
【0081】
特に、ポジショニングモジュール100及び/又は取得モジュール200は、識別手段を備え、これによって、好ましいことに、レセプタクル識別マーク又はインデックス又はコンポーネントを備えるレセプタクル10を識別し、レセプタクル10によって支持される各アセンブリー1を識別し、このアセンブリー1は、好ましいことに、製品識別マーク又はインデックス又はコンポーネントを備える。
【0082】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つの前記のような光学的モジュール700を備え、これは、フレーム2000によって直接的又は間接的に支持され、そして、設定の間又は自身の振動の間に、可動コンポーネント又はコンポーネントの光学的試験のための制御手段3000とインタフェースし、及び/又はレセプタクル10を識別しレセプタクル10によって支持される各アセンブリー1を識別する手段を形成する。
【0083】
特に、各レセプタクル10には、アセンブリー1を受けるために、実質的に平坦な支持面190があり、これは、特定の水平な動作用姿勢位置において、当該位置の垂直線に平行な鉛直方向Zに垂直な水平面に沿って実質的に平坦な形態で延在する。
【0084】
当然、設定マシン1000は、このようなレセプタクル10を空間的に動かすためにマニピュレーターを備えることができ、これによって、クロノメーター的特性を試験することが求められている発振器をアセンブリー1が備える場合に、このアセンブリー1を、異なる角度における静的位置において、標準化されたクロノメーター的試験位置にて提示し、又は標準化された位置と向きを用いる動的試験のために提示することを可能にする。これは、特に、MONTRES BREGUETによる欧州特許文献EP3486734に記載されているように行われる。
【0085】
レセプタクル10は、ポジショニングモジュール100のテーブル109に対するポジショニング及び向き合わせ手段を備える。
【0086】
特に、レセプタクル10は、支持面190の下に、アセンブリー1を受けるばね機構180があり、支持面190の上に、アセンブリー1のロック用ウェッジ102を備えるような支持体である。このレセプタクル10は、さらに、支持面190とロック用ウェッジ102の間に、当接圧力がかかった状態における支持体上のアセンブリー1のエッジの角度的向き合わせのための角度的向き合わせ手段103を備える。
【0087】
図8~10は、携行型時計ヘッドを受けるための支持体の準備を順次的に示しており、フォークである2つのクランプ又はロック用ウェッジ102が、携行型時計ヘッドのホーン101に支持されるように構成しており、携行型時計ヘッド1がばね機構180上に積み重なり、支持面190に支持され、ホーン101がロック用ウェッジ102のフォークのアームの外側にある角位置となっており、最後に、携行型時計ヘッド1を回転して、ピンハウジング105内でガイドされ角度的向き合わせ手段を形成するピン103上の1つのホーン101の角度的当接圧力位置となる。この当接圧力位置においては、ばね機構180の良好な保持が確実になる。携行型時計ヘッドは、ロック用ウェッジ102によって鉛直方向Zに沿って保持され、このロック用ウェッジ102の底面104は携行型時計ヘッドのホーン101に支持される。ここでは、この携行型時計のヘッドは携行型時計の風防に支持され、ベゼルや携行型時計のケースの高さレベルでセンタリングが行われる。ばね機構180は、制御された支持力を確実にする。特に、レセプタクル10は、ロック用ウェッジ102とピンハウジング105を支持する交換可能なユニット110を備え、これらはそれぞれ、特定のタイプのムーブメント又は携行型時計ヘッドに適合している。
【0088】
この場合、このようなレセプタクルをマシニングセンターパレットのように扱い、そして、設定マシン1000上の設定位置及び/又は調整位置を介して、入力ステーション、随意的な記憶装置、及び出力ステーションの間を動かすことができることを理解することができる。このために、図示していない代替的実施形態の1つにおいて、レセプタクル10は、特にその底面に、Jaw又はISO又はSAコーン、T溝、ダブテールのようなマシニングセンターパレットが備えるものと同様の把持手段、そして、ボア穴、ピン、溝のような同様のポジショニング手段を備えることができる。
【0089】
特に、設定マシン1000は、ポジショニングモジュール100上のレセプタクル10を自動的に交換するためのパレット化機構を備える。
【0090】
代替的実施形態の1つにおいて、パレタイザー900のような単純なパレタイゼーションによって、ポジショニングモジュールの位置を変えずに、レセプタクル10を周波数分析器800に転送し、随意的に、位置が変更されていないステーションのテーブル上にレセプタクル10を再び積み重ねた後に、バランスの修正を高精度調整するためのレセプタクル10の戻しを行う。
【0091】
別の代替的実施形態において、設定マシン1000は、発振を開始するためのデバイスを直接備え、周波数の光学的試験のために、カメラと携行型時計を備える光学的手段700を備える。
【0092】
好ましいことに、設定マシン1000は、設定後にレートを試験するためのデバイスを備える。前記のようなパレタイザー900を用いて、レセプタクル10を前記のようなデバイス上に移送することもできる。
【0093】
特に、アセンブリー1が発振器を備える場合、設定マシン1000は、制御手段3000とつながった周波数分析器800及び/又はクロノメーター的試験装置を備え、これは、必要な周波数及び/又はレート許容値に入るまで、設定機構上における設定の繰り返しをトリガーするようにプログラムされる。
【0094】
バランス設定ねじを設定するために設定マシン1000を使用することは単純であり、単純に、あらかじめワーク領域からいずれの振動質量体をも除去しておく必要がある。取得モジュール200の観察手段の下にレセプタクル10が配置され、この取得モジュール200は、XYに沿ったバランス軸の位置を定め、必要に応じてレセプタクル10のXY運動を制御し、又は代替的実施形態の1つにおいて、このレセプタクルの角運動を制御し、又は回転と並進運動が組み合わさった複雑な運動を制御する。設定ねじの探索は、ドライバー301によってバランスの輪縁を摩擦で駆動することによって行われる。その後に、Zに沿った下降が行われる。設定ねじが面内における設定位置にされると、以下のようにその垂直位置が測定される。設定ねじのZに沿ったレーザー位置測定を設定ねじの肩部上又は平坦な領域上にて行うことができ、その幾何学的パラメーターは、制御手段3000によって知られ、管理される。実際に、これは、設定ねじの軸に対して正確に対称であるようにクランプ600のアーム601をポジショニングすることを伴い、これによって、ねじ込みトルク又はねじ緩めトルクではない別のトルクをねじ上に発生させないようにする。そして、バランスが適切な位置にて支持フィンガー501とロックして、バランスの位置を保持し、クランプが閉じるにしたがって、バランスにわずかな歪みが発生し、これによって、30μmのオーダーのZに沿った最大運動が行われる。そして、ドライバー301が解放される。次に、設定ねじをねじ込んだり緩ましたりして、設定を行う。
【0095】
本発明は、さらに、少なくとも1つの計時器用コンポーネントに対する設定及び/又は調整を行うために、前記のような設定マシン1000を用いる方法に関する。この方法は、設定マシン1000の異なるモジュール間の相対的な運動を伴い、ここでは、図示している設定マシンについて説明しているが、当業者であれば、各モジュールの運動性又は非運動性、そして、異なるユニットのためのワーク軸の構成に応じて同様のアーキテクチャを導き出すことができる。したがって、これらの運動はすべて相対的な運動である。
【0096】
この方法には以下の特徴がある。
- 少なくとも1つのレセプタクル10は、軸方向Aの計時器用ムーブメント又は携行型時計である少なくとも1つのアセンブリー1を備え、このために、このアセンブリー1の少なくとも可動コンポーネント又はコンポーネントに対する設定及び/又は調整を行おうとする。
- 軸方向Aは、当該位置の垂直線とアライメント状態となっている。
- 設定マシン1000が備える取得モジュール200、設定及び/又は調整モジュール400、及び各設定モジュール300、500は、測定、設定及び/又は調整のためのワーク領域がクリアされるように、トラベルの終わりまでクリアされている。
- レセプタクル10がポジショニングモジュール100の上に搭載される。
- レセプタクル10の位置は、ワーク領域の位置と一致する。このようにするために、設定マシン1000の構成によると、レセプタクル10をワーク領域内に搬送するか、又はこの設定マシン1000を形成するモジュールの全部又は一部をレセプタクル10の上に搬送する。
- ポジショニングモジュール100は、取得モジュール200の下に搬送される。
- 少なくとも1つのパラメーターの目標設定値が決められる。
- この少なくとも1つのアセンブリー1にて測定される少なくともパラメーターの値が制御手段3000へと送られる。
- 取得モジュール200のプログラミングサイクルは、当該位置の鉛直方向に沿って少なくとも可動コンポーネント又はコンポーネントの上面の位置を測定するように選択される。
- 位置と、プログラミングサイクルにしたがって行われたいずれの測定結果も、制御手段3000へと送られ、この制御手段3000は、選択されたプログラミングサイクルにしたがって、アセンブリー1を設定位置に配置するためのポジショニングモジュール100のポジショニング運動を行わせ、かつ/又はワーク領域におけるプログラムされたシーケンスにしたがって、設定マシン1000が備える各設定モジュール300、400、500への運動とオペレーションの命令を発生させる。
【0097】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つの保持及び/又は支持モジュール500を備え、これは、別の設定モジュール300、400、500によってアセンブリー1に対して行われた設定及び/又は調整の間又は後に、アセンブリー1の可動コンポーネント又はコンポーネントに圧力を与えるように構成しており、又は実際に、特に当該位置の垂直線に平行な鉛直方向DEに沿った、磁場又は静電場の作用によって可動コンポーネント又はコンポーネントを非接触状態に保つように構成している。この圧力保持は、この可動コンポーネント又はこのコンポーネントの駆動の終わりにて適している。
【0098】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つの駆動モジュール300を備え、これは、可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動するために、鉛直方向Zに平行なドライバー軸DCのまわりを回転する動力化されたドライバー301を備える。
【0099】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つの設定及び/又は調整モジュール400を備え、これは、可動コンポーネント又はコンポーネントを駆動し又は変形させるためのクランプ600を備え、アセンブリー1の少なくとも1つの可動コンポーネント又はコンポーネントに対してクランプ600をアクチュエートすることによってパラメーターが設定される。
【0100】
特に、設定マシン1000は、可動コンポーネント又はコンポーネントの設定中又はその振動中に、可動コンポーネント又はコンポーネントの光学的試験を行うための少なくとも1つの光学的モジュール700を備える。
【0101】
特に、設定マシン1000は、パラメーターを測定するための少なくとも1つの手段を備え、これは、制御手段3000とインタフェースし、目標値に適合するパラメーターの値が得られるまで設定サイクルを繰り返す。
【0102】
特に、設定マシン1000は、少なくとも1つのパレタイザー900を備え、これによって、レセプタクル10を設定マシン1000から取り外してメモリに格納された出力位置へと動かす。このパレタイザー900は、パラメーターを測定する手段へとレセプタクル10を提供し、そして、レセプタクル10を出力位置へと戻して、アセンブリー1の設定及び/又は調整サイクルを再開させるように用いられる。
【0103】
特に、設定マシン1000は、アセンブリー1の設定及び/又は調整サイクルを再開させる前にパラメーターの値を測定するための、パラメーターを測定するための少なくとも1つの手段を備える。
【0104】
ばね仕掛けバランス発振器の設定に適用する場合、この方法の最も単純な実装は、以下のような開ループを用いる。すなわち、あらかじめ測定されたアセンブリー1を受け、行われるべき修正の値が知られており、携行型時計又はムーブメントの目標値と実際の値が入力される。そして、設定ねじの修正がマシンに対して行われ、試験なしでアセンブリー1が戻される。
【0105】
例として、以下のシーケンスは、バランス及びその設定ねじのみをアクチュエートするアプリケーションにおいて、2つの設定ねじを備えるバランスを備える携行型時計ヘッド1に対して行われるオペレーションについて記述している。
- ステップA1:携行型時計ヘッド1をレセプタクル10の支持体に搭載する。
- ステップA2(ステーション01):バランス軸中心の検出、位置修正を行って、マシンの原点を得る。
- ステップA3(ステーション01):バランスを回転させる。
- ステップA4(ステーション01):カメラシステムによって第1の設定ねじを検出する。
- ステップA5(ステーション01):バランスを適切な位置にロックする。
- ステップA6(ステーション02):レーザーセンサーの下で運動し、Zに沿ったバランス位置を測定する。
- ステップA7(ステーション03):ねじを締め付け、ねじを設定する。
- ステップA8(ステーション01):設定ねじ検出位置に戻る。
- ステップA9(ステーション01):カメラシステムによる設定ねじ検出のためにバランスを回転させる。
- ステップA10(ステーション01):バランスを適切な位置にロックする。
- ステップA11(ステーション02):レーザーセンサーの下で運動し、Zに沿ったバランス位置を測定する。
- ステップA12(ステーション03):ねじを締め付け、ねじを設定する。
- ステップA13:携行型時計ヘッドを支持体から取り外す。
【0106】
当然、このシーケンスは、設定ねじの数に応じて適合させるものである。
【0107】
上記の例においては、クランプ600は、設定ねじにのみ作用する。ねじを締めたり緩めたりしてバランスの慣性を変える。クランプ600の開閉には、材料の弾性を用いる。なぜなら、クランプ600がモノリシックな部品であることが好ましいためである。特にカムプロファイルを備えるスピンドル407は、モーターによって制御され、クランプ600を開閉する。
【0108】
取得モジュール200は、レーザーを用い、これは、設定ねじが配置されるブロックを検出する。このレーザーによって、バランスのZに沿った位置を定めて、設定ねじと同じ軸内にクランプ600を搬送することが可能になる。なぜなら、寄生トルクを及ぼさないように軸内にてねじを締め付け/緩めることが目的であるからである。制御手段3000のレベルにて目標値(例、2.5秒/日)が取り扱われる。現在のレート値は、ソフトウェアによって入力される。このシステムは、設定するねじの数に応じて、サイクル時間全体を50~70秒のオーダーまで減少させることを可能にする。
【0109】
閉ループにおいて用いるためには、設定マシンがアナライザーを備える必要があり、このことによって、複雑になり空間が必要となるが、ステーションにて目標値の達成をチェックすることが可能になる。
【0110】
そして、以下のサイクルを実行することができる。
- 段階B1:携行型時計の目標値と実際の値を入力する。
- 段階B2:ステップA1~A12にしたがってマシンにおける設定ねじを修正する。
- 段階B3:設定ねじを修正した後にムーブメント/携行型時計ヘッドを解放する。
- 段階B4:分析装置にてムーブメント又は携行型時計ヘッドに対してレートを試験する。
- 段階B5:目標値と実際の値の乖離をチェックする。
- 段階B6:
- 乖離がゼロである場合、行った修正の妥当性を認証し、A13にしたがって、取り外す。
- 乖離が正であれば、追加の修正が必要であり、そして、プロセスを繰り返す。
- 段階B7:携行型時計の目標値と測定値を入力する。
- 段階B8:マシンにおける設定ねじを修正する。
- 段階B9:設定ねじを修正した後に、ムーブメント/携行型時計ヘッドを解放する。
- 段階B10:アナライザーにてムーブメント又は携行型時計ヘッドにおけるレートを試験する。
- 段階B11:目標値と実際の値の乖離をチェックする。
- 段階B12:
- 乖離がゼロである場合、行った修正とアセンブリー1の認証をし、A13にしたがって取り外す。
- 乖離が正である場合、試験ステーションB13にて認証なしにアセンブリー1を取り外す。
【0111】
また、設定マシン1000は、さらに、光周波数試験のために、クロックとつながったカメラを備えることができる。
【0112】
本発明に係る設定マシンは、多くの計時器のアプリケーションに用いることができる。
【0113】
特に、設定マシン1000は、バランスの慣性ブロック、バランスブリッジの設定ねじ、バランスばねスタッド設定ねじ、分割設定ねじ、又はアライメント設定ねじである設定ねじを設定するために、あるいはインデックスを設定するために用いられる。
【0114】
特に、Zに沿って調整してねじやセンターポンチをアクチュエートすることによって分割設定を行ったり、アライメント設定を行ったり、溝内の位置設定などを行ったりすることに、設定マシン1000を用いる。
【0115】
特に、ブリッジ、バランスばね、アーム、又はバランスの輪縁の局所的な変形のために設定マシン1000が用いられる。
【0116】
短く書くと、本発明は、以下のような様々な効果を発揮する。
- 設定ねじを締めるためのアクティブクランプは、モノリシッククランプによって構成しているために、遊びのないクランプを用いて使用され、材料の弾性領域にて操作される。このことによって、設定値の精度が確実になる。図示しているクランプは、40Nの力での把持が可能であり、実際には、設定ねじを破損することなく安全に取り扱うためには20Nで十分である。
- 修正値には制限はなく、精度を損なうことなく設定ねじのねじ締めとねじ緩めのサイクルを複数回行うことができる。
- 設定ねじ設定プロセスのデジタル制御システムは、修正する設定ねじを選択することが可能であるために、特定のサイクルによって遊びを補い、設定の柔軟性があるようにしつつ、設定値の精度を確実にする。
- 設定を一度で行うことができ、径にかかわらず1日あたり±1秒のオーダーの値を得ることができる。
- 設定ねじの位置検出を自動的に行うことができ、通常2ないし4つの設定ねじを一度で設定可能である。
- バランスの中心、バランスのZに沿った位置、及び設定ねじの位置を検出するためのデジタル軸と自動プロセスのおかげで、ムーブメントに応力がかからない。
- 手動の道具を使用しないことができ、このことによって、携行型時計のコンポーネントの劣化や破損がないことが確実になる。
- 支持フィンガーのおかげで、設定の間にバランスに応力がかからない。
- 完全にデジタルなプロセスによって、標準的なバランスとの比較を必要としない。
- 最小のものを含むすべての径に当該設定マシンが適合する。なぜなら、完全に安全に適切に行うことはできないピンセット、キー、又は特別な設定ツールとともに行う操作をクランプが可能にするためである。
【0117】
このような非常にコンパクトな設定マシンを備えるワークステーションは、エルゴノミクスが優れており使いやすい。実際に、設定マシン1000の寸法構成が抑えられているため、伝統的な時計技師のベンチ4000との組み合わせを容易にし、設定マシン1000が長さの約半分しか占めない。
【符号の説明】
【0118】
1 アセンブリー
10 レセプタクル
100 ポジショニングモジュール
200 取得モジュール
300 駆動モジュール
301 ロータリードライバー
302 ドライバーアーム
310 本体
330 駆動手段
340 ポジショニング手段
350、360 キャリッジ
370 テーブルベース
400 設定及び/又は調整モジュール
401 クランプホルダー本体
403 クランプキャリッジ
404 構造
405 クランプベース
406 クランプ制御体
407 スピンドル
500 保持及び/又は支持モジュール
502 キャリアアーム
503 弾性ガイド手段
520 ロータリー本体
600 クランプ
1000 設定マシン
2000 フレーム
3000 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17