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特許7177215流量監視装置、流量監視方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】流量監視装置、流量監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/00 20060101AFI20221115BHJP
   G05D 23/19 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G05D23/00 A
G05D23/19 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021086319
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中村 安仁
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079843(JP,A)
【文献】特開2015-059465(JP,A)
【文献】特開2013-228300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/00-23/32
G01K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する取得手段と、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記第1のモジュールの発熱量及び前記熱媒体の熱量に関する熱量保存則と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する推定手段と、を備え
前記熱量保存則において、前記第2のモジュールに供給される前記熱媒体の温度と前記第1のモジュールに供給される前記熱媒体の温度との差は、前記第2の温度と前記第1の温度との差に近似される、
流量監視装置。
【請求項2】
前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとが配管によって直列に接続された構成を示す電子機器列において、前記第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、前記配管を通過して前記第2のモジュールの前記冷却部材に供給される場合に、
前記推定手段は、前記電子機器列ごとに、前記電子機器列に流れる前記熱媒体の前記流量を推定する、
請求項1に記載の流量監視装置。
【請求項3】
推定された前記流量に基づいて、異常の発生を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記異常検知手段は、推定された前記流量が所定の閾値未満である場合に、当該所定の閾値未満の前記流量である前記電子機器列に異常が発生したことを検知する、
請求項2に記載の流量監視装置。
【請求項4】
推定された前記流量に基づいて、異常の発生を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記電子機器列が前記情報処理装置に複数搭載される場合に、
前記異常検知手段は、複数の前記電子機器列のうち、他の電子機器列と、推定された前記流量が異なる電子機器列がある場合に、当該流量が異なる電子機器列に異常が発生したことを検知する、
請求項2に記載の流量監視装置。
【請求項5】
異常が発生した前記モジュールを特定する特定手段をさらに備え、
前記電子機器列に異常が発生したことが検知された場合に、
前記取得手段は、前記情報処理装置に含まれる前記モジュールの発熱量を取得し
前記特定手段は、取得された発熱量に基づいて、異常が発生した前記モジュールを特定する、
請求項3または4に記載の流量監視装置。
【請求項6】
前記電子機器列に異常が発生したことが検知された場合に、
前記取得手段は、異常が発生したことが検知された前記電子機器列に含まれる前記モジュールの発熱量を取得し、
前記特定手段は、異常が発生したことが検知された前記電子機器列に含まれる前記モジュールの発熱量に基づいて、異常が発生した前記モジュールを特定する、
請求項5に記載の流量監視装置。
【請求項7】
前記第1のモジュールと前記第2のモジュールは同一の発熱量を有する機器であって、
前記取得手段は、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールのいずれかから取得した発熱量を、前記第1のモジュールの発熱量として取得する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の流量監視装置。
【請求項8】
発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールの発熱量と、前記冷却部材に供給される前記熱媒体の温度である供給温度と、前記冷却部材から排出される前記熱媒体の温度である排出温度と、を取得する取得手段と、
前記発熱量と、前記供給温度と、前記排出温度と、に基づいて、前記モジュールに供給される前記熱媒体の流量を推定する推定手段と、を備える
流量監視装置。
【請求項9】
発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得し、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記第1のモジュールの発熱量及び前記熱媒体の熱量に関する熱量保存則と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定し、
前記熱量保存則において、前記第2のモジュールに供給される前記熱媒体の温度と前記第1のモジュールに供給される前記熱媒体の温度との差は、前記第2の温度と前記第1の温度との差に近似される、
流量監視方法。
【請求項10】
発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する処理と、
前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記第1のモジュールの発熱量及び前記熱媒体の熱量に関する熱量保存則と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する処理と、をコンピュータに実行させ、
前記熱量保存則において、前記第2のモジュールに供給される前記熱媒体の温度と前記第1のモジュールに供給される前記熱媒体の温度との差は、前記第2の温度と前記第1の温度との差に近似される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象の流量を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱部材を含む電子機器を、熱媒体を用いて冷却する技術が存在する。例えば、特許文献1には、発熱部材である半導体素子を含むモジュールに、金属ベースを介して冷却部材であるヒートシンクを接触させ、ヒートシンクに冷却水を流すことにより、半導体素子を冷却する技術が開示されている。
【0003】
ここで、熱媒体が適切に流れていないと、発熱部材を冷却できていない虞がある。そのため、冷却部材を流れる熱媒体が適切に流れているか監視することが行われている。例えば特許文献2には、発熱部材を含む電子機器について、熱媒体の温度と、発熱部材の温度と、発熱部材の発熱量と、を測定し、これらの情報から、熱媒体の流量を算出する技術が開示されている。
【0004】
また、関連する文献として、特許文献3には、特定の条件下、かつ、熱媒体の特性や装置の構造等の各種情報が既知の場合に、センサの温度の増加量等の情報から熱媒体の速度を測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-119599号公報
【文献】特開2015-079843号公報
【文献】特開平02-045715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発熱部材と冷却部材とを含む電子機器が、一つの装置内に複数設置されることがある。このとき、電子機器を含む装置の外部から、熱媒体を電子機器のそれぞれに独立して供給するように流路を設けると、電子機器及び電子機器を含む装置が大型化する虞がある。そのため、例えば、熱媒体を一の電子機器に供給し、一の電子機器から排出された熱媒体を他の電子機器に供給するように熱媒体の流路が設計される場合がある。このような場合に、熱媒体の流量を監視するために流量計を設置すると、流路ごとに流量計を設置する必要があるため、電子機器及び電子機器を含む装置が大型化する虞がある。また、電子機器内の部品が高密度に配置される場合、流量計を設置することが困難となる。
【0007】
特許文献2の技術では、流量計を用いずに、各種の情報から熱媒体の流量を算出している。しかしながら、特許文献2の技術では、熱媒体の温度と、発熱部材の温度と、発熱部材の発熱量と、を測定するセンサをすべて設置する必要があるので、電子機器及び電子機器を含む装置が大型化する虞がある。
【0008】
特許文献3には、上述のような場合に熱媒体を監視することについて記載されていない。
【0009】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することが可能な流量監視装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様にかかる流量監視装置は、発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する取得手段と、前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する推定手段と、を備える。
【0011】
本開示の一態様にかかる流量監視装置は、発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールの発熱量と、前記冷却部材に供給される前記熱媒体の温度である供給温度と、前記冷却部材から排出される前記熱媒体の温度である排出温度と、を取得する取得手段と、 前記発熱量と、前記供給温度と、前記排出温度と、に基づいて、前記モジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する推定手段と、を備える。
【0012】
本開示の一態様にかかる流量監視方法は、発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、 前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得し、前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する。
【0013】
本開示の一態様にかかるプログラムは、発熱部材を含む電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数の前記モジュールのうちの第1のモジュールの前記冷却部材から排出された前記熱媒体が、複数の前記モジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1のモジュールの前記発熱部材の温度である第1の温度と、前記第2のモジュールの前記発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する処理と、前記第1のモジュールの発熱量と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、に基づいて、前記第1のモジュールに供給された前記熱媒体の流量を推定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の第1の実施形態の流量監視システムの構成の一例を模式的に示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態の情報処理装置の構成の一例を示す断面図である。
図3】本開示の第1の実施形態の流量監視装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】本開示の第1の実施形態の流量監視装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図5】本開示の第1の実施形態の情報処理装置の構成の他の例を示す断面図である。
図6】本開示の第1の実施形態の流量監視装置の機能構成の他の例を示すブロック図である。
図7】本開示の第1の実施形態の流量監視装置の動作の他の例を説明するフローチャートである。
図8】本開示の変形例2の電子機器列の構成の一例を示す断面図である。
図9】本開示の第2の実施形態の流量監視システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】本開示の変形例の第2の実施形態の流量監視装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本開示の第1、及び第2の実施形態の流量監視装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の流量監視装置の概要について説明する。
【0018】
図1は、流量監視システム1000の構成の一例を模式的に示す図である。図1に示すように、流量監視システム1000は、流量監視装置100と情報処理装置200とを有する。流量監視装置100と情報処理装置200とは、通信可能に接続される。なお、本開示では、流量監視装置100が、情報処理装置200と異なる装置である例について説明するが、流量監視装置100と情報処理装置200とは一体の装置であってもよい。
【0019】
図2は、情報処理装置200の構成の一例を含むブロック図である。情報処理装置200には、モジュールが複数搭載される。モジュールは、例えば、発熱部材を含む電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含む電子機器である。発熱部材は、例えば、CPU(Control Processing Unit)及びメモリ等であるが、この例に限らない。
【0020】
図2の例では、情報処理装置200には、モジュール1、2が搭載される。なお、モジュール1、2は、それぞれ、第1のモジュール、及び第2のモジュールとも称する。モジュール1、2は、同じ機器である。
【0021】
情報処理装置200は、ポンプ300及びラジエータ400と、配管を介して接続される。ここで、図2の各ブロックを接続する線は配管を示す。配管は、熱媒体が通過する。熱媒体は、例えば液体であり、冷却水と称することもある。ラジエータ400によって冷却された熱媒体が、ポンプ300によって、配管を通じて情報処理装置200に供給される。熱媒体は、情報処理装置200内の、モジュール1の冷却部材とモジュール2の冷却部材とを順番に流れ、各モジュールに含まれる発熱部材を冷却し、情報処理装置200の外へ排出される。排出された熱媒体は、配管を介して、ラジエータ400に流入する。このようにして、情報処理装置200内の発熱部材が冷却される。なお、図2のモジュール1及びモジュール2のように、一のモジュールから排出された熱媒体が他のモジュールに直接供給されるように、モジュール間を配管で接続した状態を、「モジュールが直列に接続される」、と表現する。また、直列に接続されたモジュールのまとまりを、電子機器列と称する。モジュールは、情報処理装置200に2つ以上搭載されてもよい。すなわち、電子機器列は、3つ以上のモジュールが直列に接続されたものであってもよいし、複数の電子機器列が情報処理装置200内に設置されていてもよい。
【0022】
図3は、流量監視装置100の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、流量監視装置100は、取得部110と推定部120とを備える。
【0023】
取得部110は、第1のモジュールの発熱量と、第1のモジュールの発熱部材の温度である第1の温度と、第2のモジュールの発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する。例えば、取得部110は、モジュール1とモジュール2のそれぞれに搭載された温度を測定するセンサから、発熱部材の温度を取得する。発熱部材の温度は、例えば、発熱部材のジャンクション温度であってよい。また、取得部110は、例えば、モジュール1に搭載されたセンサから、モジュール1の発熱量を取得する。ここで、発熱量は、単位をW(ワット)とする物理量である。例えば、取得部110は、モジュール1に搭載されたセンサによって測定された、モジュール1において発生する電力の情報を、発熱量として取得する。取得部110は、取得手段の一例である。
【0024】
推定部120は、発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、に基づいて、第1のモジュールに供給された熱媒体の流量を推定する。例えば、熱量保存則により、モジュール1の発熱量は、熱媒体の密度と比熱、熱媒体の流量、及び、モジュール1に供給される熱媒体の温度とモジュール1からモジュール2に供給される熱媒体の温度との差から求めることが可能である。ここで、モジュール1に供給される熱媒体の温度と、モジュール1からモジュール2に供給される熱媒体の温度と、の差は、モジュール1の発熱部材の温度と、モジュール2の発熱部材の温度との差に近似可能である。推定部120は、例えば、このような関係を用いて、モジュール1に供給された熱媒体の流量を推定してもよい。推定部120は、推定手段の一例である。
【0025】
次に、流量監視装置100の動作の一例を、図4を用いて説明する。なお、本開示において、フローチャートまたはシーケンス図の各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0026】
図4は、流量監視装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。取得部110は、第1のモジュールの発熱量と、第1のモジュールの発熱部材の温度である第1の温度と、第2のモジュールの発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する(S1)。そして、推定部120は、発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、に基づいて、第1のモジュールに供給された熱媒体の流量を推定する(S2)。
【0027】
このように、本開示の流量監視装置100は、第1のモジュールの発熱量と、第1のモジュールの発熱部材の温度である第1の温度と、第2のモジュールの発熱部材の温度である第2の温度と、を取得し、発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、に基づいて、第1のモジュールに供給された熱媒体の流量を推定する。つまり、本開示の流量監視装置100は、電子機器から、発熱量及び温度の情報を得できれば、流量を算出することが可能となる。そのため、流量の算出のために、電子機器に、発熱量と温度とを測定するセンサ以外のセンサを取り付けなくともよい。すなわち、本開示の流量監視装置100は、発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することができる。
【0028】
[流量監視システム1000の詳細]
次に、本開示の流量監視装置100を含む流量監視システム1000の詳細について説明する。
【0029】
[情報処理装置200の詳細]
図5は、図1における情報処理装置200の構成の他の例を示す断面図である。図5の例では、情報処理装置200には、電子機器列10-1、10-2、・・・、10-n(nは1以上の整数)が搭載される。例えば電子機器列10-1には、モジュール1-1とモジュール2-1とが含まれる。モジュール1-1は、電子回路基板11-1と、発熱部材12-1と、冷却部材13-1と、電力測定部14-1と、温度測定部15-1と、を有する。また、モジュール2-1は、電子回路基板21-1と、発熱部材22-1と、冷却部材23-1と、電力測定部24-1と、温度測定部25-1と、を有する。
【0030】
情報処理装置200は、接続配管5、6を介してポンプ300及びラジエータ400と接続される。例えば、ポンプから供給される熱媒体は、接続配管5を通過し、分配配管3に流入する。分配配管3は、供給配管31-1、31-2、・・・、31-nと接続している。すなわち、分配配管3は、供給配管31-1、31-2、・・・、31-nのそれぞれに熱媒体を分配させる。これにより、電子機器列10-1、10-2、・・・、10-nのそれぞれに熱媒体を分配させることが可能である。ここで、電子機器列10-1、10-2、・・・、10-nを区別しない場合、単に電子機器列10と表記する。また、本開示において、電子機器列10と同様に、x-n(xは整数)の符号が付された構成についてそれぞれを区別しない場合、当該構成に付された符号をxとだけ表記する。例えば、電子機器列10には、モジュール1とモジュール2とが含まれ、モジュール1には、電子回路基板11と、発熱部材12と、冷却部材13と、電力測定部14と、温度測定部15とが含まれる。
【0031】
供給配管31を通過する熱媒体は、冷却部材13に供給される。ここで、冷却部材13は、発熱部材12の上に配置されている。冷却部材13は、発熱部材12から受熱する。冷却部材13は、冷却部材13に流入する熱媒体に、発熱部材12から受け取った熱を受熱させる。冷却部材13は、このように熱媒体を利用することで発熱部材12を冷却する。冷却部材13から排出される熱媒体は、中間配管32を通過し、冷却部材23に供給される。冷却部材23は、冷却部材13と同様に、冷却部材23を流れる熱媒体を利用して発熱部材22を冷却する。冷却部材23から排出される熱媒体は、排出配管41を通過し、合流配管4に流入する。合流配管4は、排出配管41-1、41-2、・・・、41-nと接続している。すなわち、合流配管4は、電子機器列10のそれぞれを通過した熱媒体を合流させる。また、合流配管4は、接続配管6と接続される。すなわち、電子機器列10のそれぞれから排出された熱媒体を、接続配管6に流す。そして、接続配管6を流れる熱媒体は、ラジエータ400に流入する。
【0032】
電力測定部14、24は、自モジュールの電力を測定する。例えば、電力測定部14は、モジュール1において発生する電力を測定する。電力を測定するタイミングは任意である。例えば電力測定部14、24は、一定の間隔で測定を行ってもよいし、常時測定を行ってもよい。また、温度測定部15、25は、自モジュールの発熱部材の温度を測定する。例えば、温度測定部15は、モジュール1の発熱部材12の温度を測定する。モジュール1の発熱部材12の温度を第1の温度と称し、モジュール2の発熱部材22の温度を第2の温度とも称する。温度を測定するタイミングは任意である。例えば温度測定部15、25は、一定の間隔で測定を行ってもよいし、常時測定を行ってもよい。電力測定部14、24の測定タイミングと、温度測定部15、25の測定タイミングとは同じであってもよい。
【0033】
[流量監視装置100の詳細]
図6は、流量監視装置100の機能構成の他の例を示すブロック図である。図6に示すように、流量監視装置100は、取得部110と推定部120とに加え、出力部130を備えてもよい。
【0034】
取得部110は、モジュール1のそれぞれから、発熱量と発熱部材12の温度である第1の温度とを取得する。また、取得部110は、モジュール2のそれぞれから、発熱部材22の温度である第2の温度を取得する。
【0035】
推定部120は、取得部110によって取得された情報に基づいてモジュール1のそれぞれに流入する熱媒体の流量、すなわち、電子機器列10ごとに、電子機器列10に流れる熱媒体の流量を推定する。ここで、熱媒体の流量の推定方法の一例を説明する。
【0036】
モジュール1、2の発熱量をP(W)、第1の温度をTj1(℃)、第2の温度をTj2(℃)とする。冷却部材13に供給される熱媒体の温度をTw1(℃)、冷却部材23に供給される熱媒体の温度をTw2 (℃)とし、Tw1とTw2との間の熱抵抗をθjw(℃/W)とすると、発熱部材の温度と熱媒体の温度との差ΔTは以下のように表すことができる。
【0037】
【数1】
【0038】
ここで、数1式を用いると、第1の温度をTj1及び第2の温度をTj2は、それぞれ数2及び数3のように表すことができる。
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
そして、数3式から数2式を引くと数4式のように表される。
【0042】
【数4】
【0043】
モジュール1に供給される熱媒体の流量をL(L/min)とする。そして、熱媒体の密度をρ(g/cm)、熱媒体の比熱をc(cal/g・℃)、定数をkとすると、熱量保存則から以下の式が導出される。
【0044】
【数5】
【0045】
数5に数4を代入すると、数6式が導出される。そして、流量Lは数7のように算出される。
【0046】
【数6】
【0047】
【数7】
【0048】
推定部120は、例えば、数7式を用いて、モジュール1に供給された熱媒体の流量を推定する。
【0049】
出力部130は、推定部120によって推定された流量を出力する。例えば、出力部130は、流量監視装置100と接続される記憶装置(図示せず)に、電子機器列10のそれぞれを示す情報と、電子機器列10のそれぞれに対して推定された流量とを対応づけて格納してもよい。このとき、モジュールのそれぞれを示す情報をさらに対応づけて格納してもよい。また、出力部130は、例えば、流量監視装置100と接続されるディスプレイ(図示せず)に、電子機器列10のそれぞれを示す情報と、電子機器列10のそれぞれに対して推定された流量とを対応づけた情報を、表示させてもよい。
【0050】
また、出力部130は、所定の閾値未満の流量である電子機器列10が存在する場合に、アラームを出力してもよい。例えば、出力部130は、ディスプレイに、所定の閾値未満の流量である電子機器列10を示す情報と、当該流量と、を強調して表示させてもよい。この例に限らず、出力部130は、所定の閾値未満の流量である電子機器列10が存在する場合に、流量監視装置100と接続されるスピーカー(図示せず)から音声を出力させてもよいし、流量監視装置100と接続されるランプ(図示せず)を点灯させるように制御してもよい。
【0051】
[流量監視装置100の動作]
次に、流量監視装置100の動作の他の例を、図7を用いて説明する。
【0052】
まず、取得部110は、第1のモジュール(すなわちモジュール1)の発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、を取得する(S101)。そして、推定部120は、電子機器列10に供給された熱媒体の流量を推定する(S102)。すべての電子機器列10について、熱媒体の流量が推定されていない場合(S103の「No」)、流量が推定されていない電子機器列10に対して、S101及びS102の処理を行う。すべての電子機器列10について、熱媒体の流量が推定された場合(S103の「Yes」)、出力部130は、熱媒体の流量を出力する(S104)。なお、本動作例では、流量監視装置100は、すべての電子機器列10について熱媒体の流量が推定された後に、流量を出力しているが、流量を出力するタイミングはこの例に限らない。例えば、流量監視装置100は、S102の後に、流量を出力し、そのあとにS103の処理を行ってもよい。すなわち、流量監視装置100は、流量が推定される毎に流量の出力を行ってもよい。
【0053】
このように、第1の実施形態の流量監視装置100は、第1のモジュールの発熱量と、第1のモジュールの発熱部材の温度である第1の温度と、第2のモジュールの発熱部材の温度である第2の温度と、を取得し、発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、に基づいて、第1のモジュールに供給された熱媒体の流量を推定する。これにより、流量の算出のために、各モジュールに、電力測定部と温度測定部以外の測定機器を取り付けなくともよい。すなわち、本開示の流量監視装置100は、発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することができる。
【0054】
[変形例1]
第1の実施形態では、電力測定部がすべてのモジュールに搭載されている例を説明したが、この例に限らない。各モジュールが同じ機器である場合、各モジュールで生じる電力は同様であると考えられる。したがって、電子機器列10のそれぞれにおいて、少なくとも一のモジュールが電力測定部を有するよう構成してもよい。この場合、取得部110は、電子機器列10のそれぞれにおいて、電力測定部が搭載されたモジュールから取得した発熱量を、第1のモジュールの発熱量としてもよい。このように、取得部110は、第1のモジュール及び第2のモジュールのいずれかから取得した発熱量を、推定部120が用いる、第1のモジュールの発熱量として取得してもよい。
【0055】
[変形例2]
電子機器列10の構成は、図5に示した例に限らない。図8は、変形例2の電子機器列10の構成を示す断面図である。図8のモジュール1、2は、温度測定部を搭載しない。代わって、供給配管31に液温測定部16が設置され、中間配管32に液温測定部17が設置される。液温測定部16は、供給配管31を通過する熱媒体の温度を測定する。すなわち、液温測定部16は、冷却部材13に供給される熱媒体の温度Tw1を測定する。また、液温測定部17は、中間配管32を通過する熱媒体の温度を測定する。すなわち、液温測定部17は、冷却部材13から排出される熱媒体の温度、言い換えると、冷却部材23に供給される熱媒体の温度Tw2を測定する。ここで、冷却部材13に供給される熱媒体の温度を供給温度と称し、冷却部材13から排出される熱媒体の温度を排出温度と称する。
【0056】
変形例2において、取得部110は、第1の温度をTj1及び第2の温度をTj2に代えて、供給温度Tw1及び排出温度Tw2を取得する。
【0057】
このとき、推定部120は、発熱量PとTw1とTw2とに基づいて、流量Lを推定する。具体的には、推定部120は、数5式を変形した数8式を用いて、Lを算出する。
【0058】
【数8】
【0059】
このように、変形例2の流量監視装置100は、発熱部材を含む電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールの発熱量と、冷却部材に供給される熱媒体の温度である供給温度と、冷却部材から排出される熱媒体の温度である排出温度と、を取得する。そして、流量監視装置100は、発熱量と、供給温度と、排出温度と、に基づいて、モジュールに供給された熱媒体の流量を推定する。この構成により、変形例2の流量監視装置100は、第1の実施形態で説明した流量監視装置100と同様の効果を奏する。すなわち、変形例2の流量監視装置100は、発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の流量監視システムについて説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0061】
図9は、第2の実施形態の流量監視システム1001の構成の一例を示すブロック図である。図9に示すように、流量監視システム1001は、図1の流量監視システム1000において流量監視装置100に代えて流量監視装置101を備える。すなわち、流量監視システム1001は、流量監視装置101と情報処理装置200とを備える。
【0062】
流量監視装置101は、取得部110、推定部120、出力部130、異常検知部140、及び特定部150を備える。
【0063】
異常検知部140は、推定部120によって推定された熱媒体の流量に基づいて、異常の発生を検知する。例えば、異常検知部140は、推定された流量が所定の閾値未満の流量であるか否かを判定する。そして、異常検知部140は、推定された流量が所定の閾値未満である場合、電子機器列10に異常が発生したことを検知する。異常検知部140は、異常検知手段の一例である。
【0064】
異常を検知する方法はこの例に限らない。例えば、電子機器列10が情報処理装置200に複数搭載されている場合、異常検知部140は、各電子機器列に対応する流量を比較する。そして、異常検知部140は、一の電子機器列における熱媒体の流量が他の電子機器列における熱媒体の流量と異なる場合に異常を検知する。このとき、異常検知部140は、一の電子機器列における熱媒体の流量が、推定された流量の平均値、中央値、または最頻値と、所定の値以上の差がある場合に異常を検知してもよい。このとき、異常検知部140は、一の電子機器列を除く複数の電子機器列から、流量の平均値、中央値、または最頻値を算出してもよい。このように、異常検知部140は、複数の電子機器列のうち、他の電子機器列と、推定された流量が異なる電子機器列がある場合に、当該流量が異なる電子機器列に異常が発生したことを検知してもよい。
【0065】
なお、出力部130は、異常検知部140によって異常が検知されたことを、上述したディスプレイ、スピーカー、及びランプ等を用いて出力してもよい。
【0066】
特定部150は、異常検知部140によって異常が発生したことが検知された場合に、異常が発生したモジュールを特定する。この場合、例えば取得部110は、情報処理装置200に含まれるすべてのモジュールの発熱量を取得してもよい。そして、特定部150は、複数のモジュールのうち、発熱量が異なるモジュールを、異常が発生したモジュールとして特定する。このとき、特定部150は、例えば、一のモジュールの発熱量が、情報処理装置200に含まれるモジュールの発熱量の平均値、中央値、または最頻値と、所定の値以上の差がある場合に、一のモジュールを異常が発生したモジュールとして特定してもよい。このとき、特定部150は、一のモジュールを除く複数のモジュールから、発熱量の平均値、中央値、または最頻値を算出してもよい。このように、特定部150は、取得された発熱量に基づいて、異常が発生したモジュールを特定する。特定部150は特定手段の一例である。
【0067】
なお、異常が発生したモジュールの特定方法はこの例に限らない。例えば、取得部110は、異常が発生したと検知された電子機器列10に含まれるモジュールの発熱量を取得してもよい。そして、特定部150は、異常が発生したことが検知された電子機器列に含まれるモジュールの発熱量に基づいて、異常が発生したモジュールを特定してもよい。
【0068】
出力部130は、特定されたモジュールを示す情報を、上述したディスプレイ、スピーカー、及びランプ等を用いて出力してもよい。
【0069】
[流量監視装置101の動作]
次に、流量監視装置101の動作の一例を、図10を用いて説明する。なお、本動作例では、情報処理装置200に複数の電子機器列10が搭載されているとする。
【0070】
図10は、流量監視装置101の動作の一例を示すフローチャートである。S201乃至S203の処理は、図7のS101乃至S103の処理と同様である。流量監視装置101は、すべての電子機器列10について熱媒体の流量を推定すると(S203の「Yes」)、S204の処理を行う。すなわち、異常検知部140が、電子機器列10に異常が発生した否かを判定する。異常検知部140が、電子機器列10に異常が発生したことを検知しない場合(S204の「No」)、流量監視装置101は、処理を終了する。
【0071】
異常検知部140が、電子機器列10に異常が発生したことを検知した場合(S204の「Yes」)、取得部110は、各モジュールの発熱量を取得する(S205)。そして、特定部150は、取得された発熱量に基づいて、異常が発生したモジュールを特定する。出力部130は、異常に関する情報を出力する。例えば、出力部130は、異常検知部140によって異常が検知されたことを示す情報、及び特定されたモジュールを示す情報を、異常に関する情報として出力する。
【0072】
このように、第2の実施形態の流量監視装置101は、推定された流量に基づいて、異常の発生を検知する。具体的には、流量監視装置101は、推定された流量が所定の閾値未満である場合に、当該所定の閾値未満の前記流量である前記電子機器列に異常が発生したことを検知する。これにより、例えば、電子機器列内の熱媒体の流路に異常が発生したことを通知することができる。また、流量監視装置101は、電子機器列が前記情報処理装置に複数搭載される場合に、 複数の電子機器列のうち、他の電子機器列と、推定された流量が異なる電子機器列がある場合に、当該流量が異なる電子機器列に異常が発生したことを検知してもよい。これにより、流量監視装置101は、複数の電子機器列のうち、いずれの電子機器列に異常が発生したかを通知することができる。
【0073】
また、第2の実施形態の流量監視装置101は、異常が発生したモジュールを特定する。具体的には、流量監視装置101は、電子機器列に異常が発生したことが検知された場合に、 情報処理装置に含まれるモジュールの発熱量を取得し、取得された発熱量に基づいて、異常が発生した前記モジュールを特定する。これにより、流量監視装置101は、情報処理装置に含まれるモジュールのうちのいずれに異常が発生したかを通知することができる。また、このとき、流量監視装置101は、異常が発生したことが検知された電子機器列に含まれるモジュールの発熱量を取得し、 異常が発生したことが検知された電子機器列に含まれるモジュールの発熱量に基づいて、異常が発生したモジュールを特定してもよい。これにより、流量監視装置101は、すべてのモジュールの発熱量の情報を処理する必要がないので、処理負荷を軽減することができる。
【0074】
<流量監視装置のハードウェア構成例>
上述した第1、及び第2の実施形態の流量監視装置を構成するハードウェアについて説明する。図11は、各実施形態における流量監視装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、流量監視装置及び流量監視方法が実現される。
【0075】
図11に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、流量監視装置は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0076】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本流量監視装置のプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、図4図7、及び図10に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本流量監視装置の各構成要素の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記憶媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0077】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成要素を接続する。
【0078】
なお、流量監視装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、流量監視装置は、専用の装置として実現することができる。また、流量監視装置は、複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0079】
各実施形態の機能における各構成要素を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0080】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限らない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0081】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1、2 モジュール
3 分配配管
4 合流配管
5、6 接続配管
11、21 電子回路基板
12、22 発熱部材
13、23 冷却部材
14、24 電力測定部
15、25 温度測定部
31 供給配管
32 中間配管
41 排出配管
100、101 流量監視装置
110 取得部
120 推定部
130 出力部
140 異常検知部
150 特定部
200 情報処理装置
1000 流量監視システム
【要約】
【課題】 発熱部材が搭載された機器の大型化を抑制しつつ、発熱部材を冷却する熱媒体の流量を監視することが可能な流量監視装置等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】 本開示の一態様の装置は、発熱部材を含む電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールが複数搭載される情報処理装置において、複数のモジュールのうちの第1のモジュールの冷却部材から排出された熱媒体が、複数のモジュールのうちの第2のモジュールに供給される場合に、第1のモジュールの発熱量と、第1のモジュールの発熱部材の温度である第1の温度と、第2のモジュールの発熱部材の温度である第2の温度と、を取得する取得手段と、第1のモジュールの発熱量と、第1の温度と、第2の温度と、に基づいて、第1のモジュールに供給される熱媒体の流量を推定する推定手段と、を備える。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11