IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司の特許一覧

特許7177230レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機
<>
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図1
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図2
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図3
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図4
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図5
  • 特許-レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム、及び路側機
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20221115BHJP
   G01S 13/91 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G01S7/40 130
G01S13/91
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021124445
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2021177191
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】202011573296.8
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】グァンチー イー
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-007940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0277946(US,A1)
【文献】特開2019-174201(JP,A)
【文献】特開2017-182521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 -13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得することと、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、M条の候補軌跡情報を生成することと、
前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行って、N条の軌跡情報を得ることと、
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定することと、を含み、
ここで、MとNは1以上の整数である、
レーダー校正方法。
【請求項2】
前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行い、前記N条の軌跡情報を得ることは、
前記M条の候補軌跡情報のそれぞれと前記高精度マップにおける車線中心線との類似度に基づき、前記M条の候補軌跡情報のそれぞれ対応するスコア値を決定することと、
前記M条の候補軌跡情報から、前記スコア値が予め設定された閾値よりも大きい前記N条の軌跡情報を選択することと、を含む、
請求項に記載のレーダー校正方法。
【請求項3】
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの校正パラメータを決定することは、
前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得ることと、前記K個の結果のうちの最小値の対応する候補校正パラメータを前記レーダーの前記校正パラメータとすることと、を含み、
ここで、Kは2以上の整数である、
請求項に記載のレーダー校正方法。
【請求項4】
前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得ることは、
前記N条の軌跡情報のそれぞれと、対応する高精度マップの車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定することと、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線と、前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づき、第j個目の結果を計算して得ることとを含み、
ここで、jは1以上かつK以下の整数である、
請求項に記載のレーダー校正方法。
【請求項5】
前記レーダーが前記レーダーの座標系の下でリアルタイムに収集した目標対象の位置情報を取得し、前記レーダーの校正パラメータに基づき、前記目標対象の位置情報に対して調整を行い、前記目標対象の位置情報が前記目標座標系の下で対応する位置情報を得ること、をさらに含む、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレーダー校正方法。
【請求項6】
レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得するためのレーダーデータ取得モジュールと、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、M条の候補軌跡情報を生成し、前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行って、N条の軌跡情報を得るためのデータ処理モジュールと、
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定するための校正パラメータ決定モジュールと、を備え、
ここで、MとNは1以上の整数である、
レーダー校正装置。
【請求項7】
前記データ処理モジュールは、
前記M条の候補軌跡情報のそれぞれと前記高精度マップにおける車線中心線との類似度に基づき、前記M条の候補軌跡情報のそれぞれ対応するスコア値を決定することと、
前記M条の候補軌跡情報から、前記スコア値が予め設定された閾値よりも大きい前記N条の軌跡情報を選択することと、に用いられる、
請求項に記載のレーダー校正装置。
【請求項8】
前記校正パラメータ決定モジュールは、
前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得、前記K個の結果のうちの最小値の対応する候補校正パラメータを前記レーダーの前記校正パラメータとすることに用いられ、
ここで、Kは2以上の整数である、
請求項に記載のレーダー校正装置。
【請求項9】
前記校正パラメータ決定モジュールは、
前記N条の軌跡情報のそれぞれと、対応する高精度マップにおける車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定することと、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線と、前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づき、第j個目の結果を計算して得ることに用いられ、
ここで、jは1以上かつK以下の整数である、
請求項に記載のレーダー校正装置。
【請求項10】
前記レーダーが前記レーダーの座標系の下でリアルタイムに収集した目標対象の位置情報を取得し、前記レーダーの校正パラメータに基づき、前記目標対象の位置情報に対して調整を行い、前記目標対象の位置情報が前記目標座標系の下で対応する位置情報を得るためのレーダーデータ調整モジュール、をさらに備える
請求項から請求項までのいずれか1項に記載のレーダー校正装置。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサで実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレーダー校正方法を実行させる、
電子デバイス。
【請求項12】
コンピュータに請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレーダー校正方法を実行させる命令を記憶するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行されると、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法を実現するためのプログラム。
【請求項14】
請求項11に記載の電子デバイスを備える、路側機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ処理分野、特にスマート交通分野に関する。
【背景技術】
【0002】
路車協調シーンにおいて、レーダーが目標物を感知して得られたデータは、ローカル座標系の下の感知結果に対応し、レーダーの感知データをグローバル座標に応用するために、レーダーに対して校正を行う必要がある。既存のレーダー校正方法はいずれも路車協調シーンにおけるレーダーの構成に適さず、路車協調シーンの下でどのようにレーダーに対して正確な校正を行うかは解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーダー校正方法、装置、電子デバイス、記憶媒体、プログラム及び路側機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つ態様は、レーダー校正方法を提供し、該方法は、
レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得することと、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定することと、
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定することと、を含み、
ここで、MとNは1以上の整数である。
【0005】
本開示のもう1つの態様は、レーダー校正装置を提供し、該装置は、
レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得するためのレーダーデータ取得モジュールと、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定するためのデータ処理モジュールと、
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定するための校正パラメータ決定モジュールと、を備え、
ここで、MとNは1以上の整数である。
【0006】
本開示のもう1つの態様は、電子デバイスを提供し、該デバイスは、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を備え、
メモリには、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、
命令が少なくとも1つのプロセッサにより実行される場合、上記の本開示の上述の方法を実行させることを特徴とする。
【0007】
本開示のもう1つの態様は、コンピュータ命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該コンピュータ命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、上記の本開示の上述の方法をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示のもう1つの態様は、プログラムを提供し、該プログラムは、
プロセッサにより実行されると、上記の本開示の上述の方法を実行させることを特徴とする。
【0009】
本開示のもう1つの態様は、前記の電子デバイスを含む路側機を提供する。
【0010】
本開示によれば、M個の参照対象の参照位置情報を取得し、高精度マップの関連情報と総合することを通して、レーダーの校正パラメータを決定することができる。レーダーがリアルタイムに感知した情報を用いて、かつ相応の高精度マップの関連情報と総合してレーダーの校正パラメータを決定するため、路車協調シーンにおける校正の処理方法を提供し、さらにレーダーのデータと他のデータ収集デバイスが収集したデータとを協調使用できるようにし、路車協調シーンにおける処理効率及びデータの正確性をさらに保障する。
【0011】
本実施形態に記載されている内容は、本開示の実施形態のキーまたは重要な特徴を識別することを意図せず、本開示の範囲を制限するものでもないことを理解すべきである。本開示の他の特徴については、下記の明細書を通して説明を促す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の1つの実施形態によるレーダー校正方法のフローチャート図である。
図2】本開示の1つの実施形態によるレーダー探測範囲の概略図である。
図3】本開示のもう1つの実施形態によるレーダー校正方法の軌跡情報の概略図である。
図4】本開示のもう1つの実施形態によるレーダー校正方法の軌跡情報の概略図である。
図5】本開示の1つの実施形態によるレーダー校正装置の構造概略図である。
図6】本開示の実施形態におけるレーダー校正方法を実現するための電子デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、本開示の例示的な実施形態を、理解を容易にするために本開示の実施形態の様々な詳細を含む添付の図面に関連して説明するが、これらは単に例示的なものであると考えるべきである。したがって、当業者は、本開示の範囲及び精神を逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に様々な変更及び修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、以下の説明では、周知の機能及び構成については、明確化及び簡明化のために説明を省略する。
【0014】
本開示の1つの実施形態によるレーダー校正方法のフローチャート図であり、図1に示すように、該方法は以下を含む。
【0015】
S101において、レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得する。ここで、Mは1以上の整数である。
【0016】
S102において、前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定する。ここで、Nは1以上の整数である。
【0017】
S103において、前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定する。
【0018】
本実施形態は、電子デバイスに応用することができ、前記電子デバイスは、サーバまたは端末装置のうちの任意の1種であってもよく、データ処理機能を備えていれば、本実施形態の保護範囲内である。
【0019】
前記レーダーは、路側に架設された電柱に設置されたレーダーのような路側に設置されたレーダーであってもよく、または路側の高層ビルの壁等のような他の位置に設置されたレーダーであってもよく、本実施形態ではレーダーの設置位置についてしらみつぶしに説明しない。
【0020】
前記レーダーは、具体的にミリ波レーダーであってもよい。
【0021】
前記予め設定された時間は、例えば、10分、20分等のように、実際の状況に応じて設定してもよい。
【0022】
前記レーダーの位置は、実際の設置状況に応じて異なっていてもよい。前記M個の参照対象は、レーダーの探測範囲内、かつ予め設定された時間内にレーダーにより探測されたM個の参照対象であってもよい。
【0023】
前記M個の参照対象は、前記校正されるべきレーダーの探測範囲内で探測されることができるM個の参照対象であってもよく、図2に示すように、車両、障害物などであってもよい。前記レーダーの探測範囲と前記レーダー自体の性能とは関連しており、具体的に、レーダーの性能は、プローブ数、キャリア周波数、信号形式、パルス繰り返し周波数、パルス幅、変調係数などを含み、例えば、プローブ数が多いほど、探測の死角は狭く、探測範囲が広く、また、キャリア周波数が高いほど、対応する波長は小さく、探測範囲が狭い。
【0024】
前記レーダーは、電波を送信し、エコーを受信することにより、M個の参照対象のうちのそれぞれの参照対象の参照位置情報を決定することができる。
【0025】
上記M個の参照対象のうち、各参照対象に対応する参照位置情報は複数であってもよい。前記レーダーは一定の信号プッシュ周波数を備えているため、2回の電波の発信の間に一定の時間間隔が存在していてもよく、これに基づき、前記レーダーは、前記予め設定された時間内に複数回の電波を送信することができ、送信される各電波はいずれもそのエコーに基づき、1つまたは複数の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を決定することができる。M個の参照対象は、前記予め設定された時間内に全て探測され得るわけではないことを理解すべきであり、例えば、予め設定された時間内に一定の時間間隔で20回電波を送信したと仮定すると、相応して20回のエコーを受信し、ここで、第1~第10回のエコーに基づき参照対象1、参照対象2、参照対象3のそれぞれ対応する10個の参照位置情報を決定することができ、第11回~第20回のエコーに基づき参照対象3、参照対象4のそれぞれ対応する10個の参照位置情報を決定することができる。最終的に、予め設定された時間内に、4つの参照対象のそれぞれ対応する複数の参照位置情報を決定することができる。
【0026】
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定することは、M個の参照対象のうちの各参照対象に対応する複数の参照位置情報に基づき、各参照対象の対応する軌跡情報を構築することであってもよい。
【0027】
上記NはMと等しくてもよく、いずれも1以上の整数である。あるいは、NはMより小さくてもよい。
【0028】
上記NがMと等しい場合、前記M個の参照対象のうちの各参照対象の複数の参照位置情報に基づき、1つの軌跡情報を構築し、最終的にM条の軌跡情報を得ることができる。
【0029】
上記NがMよりも小さい場合、前記M個の参照対象のうちの各参照対象の複数の参照位置情報に基づき、1つの対応する候補軌跡情報を構築し、前記M条の候補軌跡情報から一部の候補軌跡情報をフィルタリングし、最終的にN条の軌跡情報を得ることができる。
【0030】
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定することは、具体的に、前記N条の軌跡情報、及び前記N条の軌跡情報の対応する前記高精度マップにおける車線中心線に基づき決定することであってもよい。
【0031】
ここで、前記レーダーの校正パラメータは、回転行列及び平行移動行列を含むことができ、前記レーダーの校正パラメータは、前記回転行列及び平行移動行列を通して、レーダーが探測したまたは検知した前記レーダーの座標系の位置情報を、目標座標系に変換することができる。ここで、前記目標座標系は、全路車協調シーンにおけるデバイスが統一的に用いる座標系であってもよい。また、該目標座標系は、高精度マップの座標系であってもよく、または高精度マップに用いられる座標系であってもよく、例えば測地座標系であってもよい。
【0032】
このように、M個の参照対象の参照位置情報を取得し、高精度マップの関連情報と総合することを通して、レーダーの校正パラメータを決定することができる。レーダーがリアルタイムに感知した情報を用いて、かつ相応の高精度マップの関連情報と総合してレーダーの校正パラメータを決定するため、レーダー校正の正確性を保障し、レーダーを路車協調シーンに応用する場合、他のデータ収集デバイスが収集したデータと協調使用を行い、路車協調シーンにおける処理効率及び処理の正確性をさらに保障する。
【0033】
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定することは、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、M条の候補軌跡情報を生成することと、前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行い、前記N条の軌跡情報を得ることと、を含む。
【0034】
ここで、前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、M条の候補軌跡情報を生成することは、具体的に、前記M個の参照対象のうちの各参照対象の複数の参照位置情報を時間順に並べ、配列して連結し、各参照対象の対応する候補軌跡情報を得ること、を具体的に含むことができる。
【0035】
上記のように、予め設定された時間内に一定の時間間隔で前記M個の参照対象のうちの各参照対象の対応する1つまたは複数の参照位置情報順次取得してもよく、すなわち、各参照位置情報は、対応的に1つの時刻値またはタイムスタンプを有してもよい。各参照対象の対応する軌跡情報を構築するとき、各参照対象の複数の参照位置情報に基づき時間的に配列して連結することにより、各参照対象の対応する候補軌跡情報を得ることができる。
【0036】
前記M条の候補軌跡情報はすべてが使用できるとは限らないため、一定の規則に基づいて候補軌跡情報に対してフィルタリングを行い、保留した候補軌跡情報をN条の軌跡情報とすることができる。上記Nは、M以下であってもよい。
【0037】
ここで、前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行うことは、以下の方式のうちの少なくとも1つに基づき処理することができる。
【0038】
前記M条の候補軌跡情報のうちの任意の候補軌跡情報の長さが予め設定された長さ閾値よりも大きいか否かであり、大きい場合は保留し、そうでない場合は削除する。前記予め設定された長さ閾値は、実際の状況に応じて設定することができ、例えば50Mであってもよい。
【0039】
前記M条の候補軌跡情報のうちの任意の候補軌跡情報が直線に近いか否かであり、近い場合は保留し、そうでない場合は削除する。ここで、前記任意の候補軌跡情報が直線に近いか否かの判断方式は、前記候補軌跡情報のうち予め設定された割合よりも大きい部分軌跡情報が直線であれば、候補軌跡情報が直線に近いとみなすことができる。ここで、予め設定された割合は、実際の状況に応じて設定することができ、例えば80%または90%等であってもよい。
【0040】
前記M条の候補軌跡情報のうちの任意の候補軌跡情報と対応する位置の高精度マップの車線中心線との類似度が類似度閾値よりも大きいか否かであり、大きい場合は保留し、そうでない場合は削除する。ここで、類似度閾値は、実際の状況に応じて設定することができ、例えば95%、あるいはそれ以上あるいはそれ以下であってもよく、いずれも本実施形態の保護範囲内にある。
【0041】
このように、M条の候補軌跡情報のうちの極端な場合の軌跡情報を削除し、フィルタリングにより信頼性が比較的高いN条の軌跡情報を得ることができるため、N条の軌跡情報を計算の基礎とし、ノイズデータの干渉を排除することができ、その後の校正パラメータの計算をより正確にすることができる。
【0042】
図3に示すように、先験的な情報に基づき、車が規則正しく運転されているとき、高確率で車両の軌跡は高精度マップの車線中心線と類似している(例えば類似度が80%以上)。すなわち、車両は車線中心線付近を走行しているので、M条の候補軌跡情報が車線中心線に現れているか否か、あるいは高精度マップの車線中心線とある程度の類似度を有しているか否かによって、候補軌跡情報を保留するか否かを決定することができる。本実施形態において、前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行い、前記N条の軌跡情報を得ることの1つの方式として以下を含むことができる。
【0043】
前記M条の候補軌跡情報のそれぞれと前記高精度マップにおける車線中心線との類似度に基づき、前記M条の候補軌跡情報のそれぞれ対応するスコア値を決定し、前記M条の候補軌跡情報から、前記スコア値が予め設定された閾値よりも大きい前記N条の軌跡情報を選択する。
【0044】
すなわち、前記M条の候補軌跡情報に対してスコア値の算出を行い、スコア値が予め設定された閾値より大きい候補軌跡情報を保留し、残りの候補軌跡情報を削除する。
【0045】
ここで、予め設定された公式を通して処理することができ、例えば、採点メカニズム計算式と前記予め設定された閾値とを組み合わせて計算を行う、予め設定された公式にM条の候補軌跡情報を入力することにより、前記予め設定された公式が出力する前記N条の軌跡情報を直接得ることができる。ここで、前記予め設定された公式は、以下のように表すことができる。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、
【0048】
【数2】
【0049】
は保留されたN条の軌跡情報であり、Score()は採点メカニズム計算式であり、上記の公式では、該採点メカニズム計算式Score()に関数
【0050】
【数3】
【0051】
のみが含まれていることのみを示しているが、実際の処理では、該Score()には、前記予め設定された閾値(またはしきい値と呼ばれる)も含まれており、該予め設定された閾値をTtraceとして表すことができることを理解すべきである。
【0052】
【数4】
【0053】
は、推定分類ポリシーであり、
【0054】
【数5】
【0055】
は、M条の候補軌跡情報を表す。
【0056】
具体的に、前記予め設定された公式の処理に対して説明すると、前記M条の候補軌跡情報を
【0057】
【数6】
【0058】
に入力し、
【0059】
【数7】
【0060】
を通してM条の候補軌跡情報に対して相応の分類ポリシーに従って処理を行うことを含むことができる。
【0061】
【数8】
【0062】
の処理は、前記M条の候補軌跡情報の幾何学的属性、線形関係、及び軌跡関係などに基づき分類することを含むことができる。図4に示すように、M条の候補軌跡情報に対して分類を行った後、軌跡情報を直線軌跡、左カーブ軌跡、右カーブ軌跡、左車線変更軌跡、右車線変更軌跡などに分類することができる。分類後の軌跡情報に対して採点メカニズム計算式Score()を用いて採点を行う。具体的な採点メカニズムは、実際の応用シーンの要求に応じて調整することができ、例えば、直線軌跡の場合には、直線軌跡の長さに基づいて採点することができ、前記M条の候補軌跡情報のうちのある候補軌跡情報が長いほど、対応するスコア値は高くなる、あるいは、直線軌跡と車線境界線とのなす角に基づいて採点してもよく、前記M条の候補軌跡情報のうちのある候補軌跡情報が車線境界線と平行である場合には、対応するスコア値が高く、M条の候補軌跡情報のうちのある候補軌跡情報と車線境界線とのなす角が大きい場合には、スコア値が低くなるようにしてもよく、前記M条の候補軌跡情報のうちのある候補軌跡情報と車線境界線とのなす角が大きい場合には、スコア値が低くなるようにしてもよく、左カーブ軌跡または右カーブ軌跡については、軌跡ラジアンと対応する位置における高精度マップ中の車線中心線のラジアンとの関係に基づいて採点することができ、両者が近いほどスコア値が高くなり、そうでない場合には、スコア値が低くなる。その他の場合の採点メカニズムについては繰り返し言及しない。該採点メカニズム計算式Score()はまた、M条の候補軌跡情報のスコア値を予め設定された閾値と比較し、スコア値が閾値より大きいものを保留し、その他のものを削除することができる。ここで、前記予め設定された閾値の設定は、実際の状況に応じて調整することができ、前記予め設定された閾値が大きいほど、即ちフィルタリングして得られたN条の軌跡情報データの品質は高いが、データ量は少ない。一方、前記予め設定された閾値が小さいほど、フィルタリングして得られたデータの品質は低いが、データ量は多い。
【0063】
このように、M条の軌跡情報と高精度マップ中の車線中心線との類似度を比較しながら、M条の軌跡情報を分類ポリシーに基づいて分類することにより、M条の軌跡情報に対してより細かなフィルタリング処理を行うことができ、校正パラメータ算出の精度をより向上することができる。
【0064】
上記の処理により、M条の候補軌跡情報から一部の候補軌跡情報を削除することができ、車線中心線の軌跡と類似する候補軌跡情報を保留し、保留した候補軌跡情報をN条の軌跡情報としてレーダーの校正を行うことができる。前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの校正パラメータを決定することは、以下を含む。
【0065】
前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得、前記K個の結果のうちの最小値が対応する候補校正パラメータを前記レーダーの前記校正パラメータとする。ここで、Kは2以上の整数である。
【0066】
上記K組の校正候補パラメータの生成方法は、N条の軌跡情報を組み合わせて得たK条の軌跡情報の組み合わせを、前記K条の軌跡情報の組み合わせに基づきそれぞれ計算を行い、K組の候補校正パラメータを得ることであってもよい。
【0067】
ここで、前記N条の軌跡情報を組み合わせて得られたK条の軌跡情報の組み合わせは、N条の軌跡情報のうちの、任意の2個の軌跡情報を組み合わせ、任意の3個の軌跡情報を組み合わせ、任意の4個の軌跡情報を組み合わせ、任意のN条の軌跡情報まで組み合わせ、最終的にはK条の軌跡情報の組み合わせを得ることができる。
【0068】
前記K条の軌跡情報の組み合わせに基づきそれぞれ計算を行い、K組の候補校正パラメータを得ることは、具体的に、前記K条の軌跡情報の組み合わせのうちのh条目の軌跡情報の組み合わせに基づき計算を行い、h条目の候補校正パラメータを得ることであってもよい。ここで、hは1以上かつK以下の整数である。
【0069】
ここで、前記h条目の軌跡情報の組み合わせは、前記K条の軌跡情報の組み合わせのいずれかであってもよく、すなわち、各軌跡情報の組み合わせに基づいて同様の処理方式を用いて、最終的に各軌跡情報の組み合わせの対応する候補校正パラメータを得るため、これは繰り返し言及しない。
【0070】
これにより、N条の軌跡情報に基づき配列、組み合わせを行い、K種類の軌道の組み合わせを得ることができ、さらに、K種類の軌道の組み合わせの対応するK組の候補校正パラメータと、N条の軌跡情報及び車線中心線情報とに基づく計算によりレーダー校正パラメータの最適解を得ることができる。このように、N条の軌跡情報間の様々な組み合わせをトラバースすることにより、幾何学的属性の異なる多数の軌跡関係を得ることができ、最終的に決定されたレーダー校正パラメータの精度を保証することができ、データ量が少ないことによる計算信頼性が低いという問題を回避することができる。
【0071】
上記K個の結果のうち、各結果の計算方法について、以下のように説明する。前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得ることは、
前記N条の軌跡情報のそれぞれと、対応する高精度マップの車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定することと、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線と、前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づき、第j個目の結果を計算して得ることとを含み、ここで、jは1以上かつK以下の整数である。
【0072】
以上のようにK組の候補校正パラメータを得、N条の軌跡情報と、N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップにおける車線中心線とに基づいて、K組の候補校正パラメータをトラバース計算し、その中から最終結果が最小となる候補校正パラメータの組を本実施形態の最終的なレーダーの校正パラメータとして選択する。
【0073】
なお、前記K個の結果のいずれかを得る処理において、上記第j個目の結果の処理と同様であるため、ここでは繰り返し言及しない。
【0074】
前記N条の軌跡情報のそれぞれと、対応する前記高精度マップの車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定することと、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線と、前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づき、第j個目の結果を計算して得ることとは、
最終的には、K組の候補校正パラメータに基づき決定されたK個の結果を得ることができ、前記K個の結果の中から最小の1つの結果が選択され、該結果に対応する候補校正パラメータをレーダーの校正パラメータとする。
【0075】
ここで、N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線は、具体的に、N条の軌跡情報のいずれかに対応する前記高精度マップの車線中心線であってもよく、あるいは、N条の軌跡情報のうちのある軌跡情報に対応する高精度マップの車線中心線から推論して得られた仮想軌跡であってもよく、ここで、推論して得られた仮想軌跡は、高精度マップの車線中心線から決定された、それに平行な1以上の仮想軌跡であってもよい。
【0076】
具体的に、次の式と組み合わせて説明する。
【0077】
【数9】
【0078】
ここで、
【0079】
【数10】
【0080】
は、前記N条の軌跡情報のうち第i番目の軌跡情報であり、
【0081】
【数11】
【0082】
は前記K組の候補校正パラメータのうちの第j番目の候補校正パラメータであり、
【0083】
【数12】
【0084】
は前記第i番目の軌跡情報に対応する高精度マップの車線中心線、または第i番目の軌跡情報に対応する高精度マップの車線中心線に基づいて推論して得られる仮想軌跡であり、P(*)は、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定する、すなわち、各軌跡情報上の1つまたは複数の軌跡点と高精度マップによって与えられる車線軌跡とが一定の類似度を有することを、確率に基づき選択することができる、argmin()は、最終的な結果を最小にする候補校正パラメータの1組を表す。(R、T)は、最終的に計算されたレーダーの校正パラメータを表し、Rは回転行列であり、Tは変位ベクトルであってもよい。具体的な計算手順は次のとおりである。
【0085】
前記N条の軌跡情報のうちの第i番目の軌跡情報と前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づいて、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する変換軌跡情報を算出する。具体的に、レーダー座標系における第i番目の軌跡情報の各軌道点の座標情報に、第j組目の候補校正パラメータ
【0086】
【数13】
【0087】
を乗算して、目標座標系における一連の軌道点の座標情報を得ることができる。ここで、目標座標系は、車路車協調シーンにおける他のデータ収集デバイスの座標系、例えばカメラ座標系や他の位置におけるレーダーの座標系、または高精度マップの座標系であってもよく、ワールド座標系であってもよく、ここでは限定しない。
【0088】
次に、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線との類似確率に基づいて、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する変換後軌跡情報の保留軌跡点を決定する。たとえば、車線中心線が直線である場合に、目標座標系におけるN条の軌跡情報のうちの部分軌跡点を、確率選択関数P(*)により選択し、この部分軌跡点は良好な線形関係を有しており、異常位置にある部分軌跡点を、確率選択関数P(*)により除外する。例えば第i番目の軌跡情報のうち、直進走行中緊急に車線変更が発生した場合に対応する軌跡点を確率選択関数P(*)により除外することができる。
【0089】
最後に、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、第j組目の候補校正パラメータ
【0090】
【数14】
【0091】
とに基づいて計算を行い、前記N条の軌跡情報を目標座標系における軌跡に変換した軌跡を得、得られた前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する、目標座標系に変換した軌跡と、それに対応する高精度マップの車線中心線とに基づいて差分演算を行い、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する差分を得、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する差分に対して合計計算して、第j組目の候補校正パラメータ
【0092】
【数15】
【0093】
に対応する第j個目の結果を得る。このように、K個の候補校正パラメータをすべてトラバースして、K個の結果が得られるまで同様に続ける。
【0094】
argmin()関数に基づいて、K個の結果の中から最小の結果を選択し、その結果に対応する候補校正パラメータをレーダーの校正パラメータとする。
【0095】
上記の式は、他のコスト関数によって代替することもでき、コスト関数の値が最小である場合には、対応するレーダー校正パラメータが最適解となる。具体的な最適化の方法は、非線形最適化方法のうちのLM(LeveNberg-Marquardt、レーベンバーグ・マルカート法)、勾配降下法、ニュートン法等であってもよく、具体的にどのような最適化方法を採用するかについては、本開示では限定しない。
【0096】
このようにして、パラメータ初期値により軌跡情報を目標座標系に変換し、確率に基づいて対応する軌跡点を選択し、目標物の軌跡情報と高精度マップの車線情報との写像関係に基づいて関連データを特定の式に代入して計算し最適解を求めることで、レーダーパラメータの校正を自動化し、校正過程に人手を必要とせず、操作が簡便である。
【0097】
前述の実施形態の例示的な説明を提供する。
【0098】
路車協調シーンでは、新たに設置されたレーダー(具体的にミリ波レーダー)の場合、工期、各ユニットの協調などの問題で不一致が発生し、適時にレーダーを校正できない可能性がある。このとき、現在の条件では、ある区間の高精度マップが与えられ、ネットワークに通電した後にレーダーが感知した障害物などの参照対象物の基本情報やレーダーの座標系における参照対象物の位置情報を取得できることのみが可能である。本実施形態では、レーダーが位置する道路区間に対応する高精度マップに関する情報、例えば、道路区間Aに対応する高精度マップであってもよい車線の情報などを取得する必要があり、また、当該レーダーが予め設定された時間内に収集したM個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得する必要がある。
【0099】
本実施形態では、前記レーダーが予め設定された時間内に収集したM個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を電子デバイスにより処理し、最終的にM条の候補軌跡情報を得、M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行うことにより、そのうち走行仕様に適合するN条の軌跡情報を保留する。これらの中のN条の軌跡情報と、前記高精度マップの車線中心線とを用いて計算を行い、最終的にレーダーの校正パラメータを算出する。
【0100】
前述したレーダーの校正パラメータの取得した後に、以下をさらに含むことができる。
【0101】
前記レーダーがレーダーの座標系の下でリアルタイムに収集した目標対象の位置情報を取得し、前記レーダーの校正パラメータに基づき、前記目標対象の位置情報に対して調整を行い、前記目標座標系での目標対象の位置情報に対応する位置情報を得る。
【0102】
すなわち、前記レーダーがリアルタイムで収集した目標対象の位置情報を、前記レーダーの校正パラメータに基づいて変換することにより、最終的に、現在のレーダーの座標系における目標対象の位置情報に対応する、目標座標系における位置情報を得ることができる。
【0103】
前記目標対象は、具体的に、路面を走行している車両、停止している車両、歩行者、障害物等のいずれかであってもよい。レーダーが目標対象の位置情報をリアルタイムに収集する処理については、前述の実施形態と同様であるため、ここでは繰り返し言及しない。また、前記レーダーによって収集される目標対象の位置情報は、レーダーの座標系における位置情報である。
【0104】
レーダーの探測範囲内に複数の対象が存在する場合、そのうちのいずれかを目標対象とし、上述のレーダーの校正パラメータに基づいて変換し、目標座標系における対応する位置を決定することができる。
【0105】
前記目標座標系は、前述の実施形態と同様であるため、ここでは繰り返し言及しない。1つの例では、高精度マップに採用されている座標系は、上記の目標座標系であり、すなわち、レーダーがレーダーの座標系の下でリアルタイムに収集した目標対象の位置情報を取得し、レーダーの校正パラメータに基づいて目標対象の位置情報に対して調整を行い、高精度マップにおける目標対象の対応情報を得る。
【0106】
このようにして、レーダーに対して、対応する校正パラメータを事前に決定することができ、さらに実際にレーダーを使用する際、事前に決定された校正パラメータによって、レーダーがリアルタイムで収集した関連情報を目標座標系に直接変換することができる。本実施形態で提供される技術案は、レーダーの校正パラメータをより正確にすることができるため、実際に使用する際も、レーダーによって収集された情報をより効率的かつ正確に目標座標系において校正することができ、車両と道路の協調シーン全体におけるデータの正確性及び統一性を向上させることができる。
【0107】
本開示の実施形態は、レーダー校正装置も提供する。図5のように、装置は、
レーダーが予め設定された時間内に前記レーダーの座標系の下で収集した、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報を取得するためのレーダーデータ取得モジュール501と、
前記M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づき、N条の軌跡情報を決定するためのデータ処理モジュール502と、
前記N条の軌跡情報及び高精度マップの関連情報に基づき、前記レーダーの座標系と目標座標系との間の変換関係を表す前記レーダーの校正パラメータを決定するための校正パラメータ決定モジュール503と、を備え、
ここで、MとNは1以上の整数である。
【0108】
1つの実施形態において、前記データ処理モジュール502は、M個の参照対象のそれぞれ対応する参照位置情報に基づいて、M条の候補軌跡情報を生成することと、前記M条の候補軌跡情報に対してフィルタリングを行って、前記N条の軌跡情報を得ることと、に用いられる。
【0109】
1つの実施形態において、前記データ処理モジュール502は、前記M条の候補軌跡情報のそれぞれと前記高精度マップにおける車線中心線との類似度に基づき、前記M条の候補軌跡情報のそれぞれ対応するスコア値を決定することと、
前記M条の候補軌跡情報から、前記スコア値が予め設定された閾値よりも大きい前記N条の軌跡情報を選択することと、に用いられる。
【0110】
1つの実施形態において、前記校正パラメータ決定モジュール503は、前記N条の軌跡情報及び前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線に基づき、K組の候補校正パラメータとそれぞれ計算を行いK個の結果を得、前記K個の結果のうちの最小値が対応する候補校正パラメータを前記レーダーの前記校正パラメータとすることに用いられ、ここで、Kは2以上の整数である。
【0111】
1つの実施形態において、校正パラメータ決定モジュール503は、前記N条の軌跡情報のそれぞれと、対応する高精度マップの車線中心線との類似確率に基づき、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点を決定することと、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する保留軌跡点と、前記N条の軌跡情報のそれぞれ対応する高精度マップの車線中心線と、前記K組の候補校正パラメータのうちの第j組目の候補校正パラメータとに基づき、第j個目の結果を計算して得ることに用いられ、ここで、jは1以上かつK以下の整数である。
【0112】
1つの実施形態において、前記装置は、前記レーダーが前記レーダーの座標系の下でリアルタイムに収集した目標対象の位置情報を取得し、前記レーダーの校正パラメータに基づき、前記目標対象の位置情報に対して調整を行い、前記目標対象の位置情報が前記目標座標系の下で対応する位置情報を得るためのレーダーデータ調整モジュール504をさらに備える。
【0113】
本開示の実施形態で提供されるレーダー校正装置は、本開示の実施形態で提供されるレーダー校正方法を実現することができ、相応の有益な効果を有する。
【0114】
本開示の実施例によれば、本開示は、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体及びプログラムプロダクトをさらに提供する。
【0115】
図6は、本開示の実施例を実現するための例示的電子デバイス600のブロック図である。電子デバイスは、各形式のデジタルコンピュータを指し、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及びその他の適合するコンピュータが挙げられる。電子デバイスは、各形式の移動装置をさらに指し、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、セルラー電話、インテリジェントフォン、ウェアラブルデバイス、及びその他の類似のコンピュータ装置が挙げられる。本開示に記載されているコンポーネント、それらの接続関係、及び機能は例示的なものに過ぎず、本開示に記載・特定されているものの実現を限定するわけではない。
【0116】
図6に示すように、デバイス600は、リードオンリーメモリ(ROM)602に記憶されたコンピュータプログラム命令、または記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にローディングされたコンピュータプログラム命令に基づいて、各種の適切な動作と処理を実行できる計算ユニット601を含む。RAM603には、デバイス600の動作に必要な各種のプログラム及びデータをさらに記憶することができる。計算ユニット601と、ROM602と、RAM603とは、バス604を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース605もバス604に接続されている。
【0117】
デバイス600における複数のコンポーネントは、I/Oインタフェース605に接続されており、その複数のコンポーネントは、キーボードやマウスなどの入力ユニット606と、種々なディスプレイやスピーカなどの出力ユニット607と、磁気ディスクや光学ディスクなどの記憶ユニット608と、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバーなどの通信ユニット609と、を備える。通信ユニット609は、デバイス600がインターネットのようなコンピュータネット及び/または種々なキャリアネットワークを介して他の機器と情報/データを交換することを許可する。
【0118】
計算ユニット601は、処理及び計算能力を有する様々な汎用及び/または専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット601のいくつかの例としては、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)計算チップ、様々な機械学習モデルアルゴリズムを実行する計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどを備えるが、これらに限定されない。計算ユニット601は、上述で説明された各方法及び処理、例えば車両軌跡計画方法を実行する。例えば、いくつかの実施例では、車両軌跡計画方法を、記憶ユニット608のような機械読み取り可能な媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウエアプログラムとして実現することができる。一部の実施例では、コンピュータプログラムの一部または全ては、ROM602及び/または通信ユニット609を介して、デバイス600にロード及び/またはインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM603にロードされて計算ユニット601によって実行される場合に、前述した車両軌跡計画方法の一つまたは複数のステップを実行することができる。追加可能に、他の実施例では、計算ユニット601は、他の任意の適当な方式(例えば、ファームウェア)により車両軌跡計画方法を実行するように構成することができる。
【0119】
ここで記載されているシステムまたは技術の各種の実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはこれらの組み合わせによって実現することができる。これらの各実施形態は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムにて実行及び/または解釈される1つまたは複数のコンピュータプログラムにより実行することを含み得、該プログラマブルプロセッサは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受け取り、データ及び命令を該ストレージシステム、該少なくとも1つの入力デバイス、及び該少なくとも1つの出力デバイスに転送することができる専用または汎用のプログラマブルプロセッサであってもよい。
【0120】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、一つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成することができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラミングデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供されることにより、プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行される場合に、フローチャート及び/またはブロック図に規定された機能/動作を実行することができる。プログラムコードは、完全にマシンで実行されてもよいし、部分的にマシンで実行されてもよいし、独立したソフトパッケージとして部分的にマシンで実行されるとともに部分的にリモートマシンで実行されてもよし、または完全にリモートマシンまたはサーバで実行されてもよい。
【0121】
本開示の説明において、機械読み取り可能な媒体は、有形な媒体であってもよく、命令実行システム、装置または機器によって、または命令実行システム、装置または機器と合わせて使用されるプログラムを含み、または記憶する。機械読み取り可能な媒体は、機械読み取り可能な信号媒体または機械読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機械読み取り可能な媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、またはデバイス、または前述した内容の任意の適切な組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。機械読み取り可能な記憶媒体のさらなる具体例として、1つまたは複数の配線による電気的接続、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(RMO)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPRMOまたはフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-RMO)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前述した内容の任意の組み合わせを含む。
【0122】
ユーザーとのインタラクションを提供するために、コンピュータでここで記載されているシステム及び技術を実施することができ、当該コンピュータは、ユーザーに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニターなど)、ユーザーが入力をコンピュータに提供するためのキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボールなど)を備えるができる。ユーザーとのインタラクションを提供するために、他の種類の装置を使用することもでき、例えば、ユーザーに提供するフィードバックは、いかなる形式のセンサーフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなど)であってもよく、また、いかなる形式(例えば、音響入力、音声入力、触覚入力など)によって、ユーザーからの入力を受付取るができる。
【0123】
ここに記載されているシステムと技術を、バックグラウンド部品に含まれる計算システム(例えば、データサーバとして)、またはミドルウェア部品を含む計算システム(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロント部品を含む計算システム(例えば、GUIまたはネットワークブラウザを有するユーザコンピュータが挙げられ、ユーザがGUIまたは当該ネットワークブラウザによって、ここに記載されているシステムと技術の実施形態とインタラクションすることができる)、またはこのようなバックグラウンド部品、ミドルウェア部品、またはフロント部品のいかなる組合した計算システムで実施することができる。如何なる形式またはメディアのデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して、システムの部品を互いに接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットを含む。
【0124】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含み得る。通常、クライアントとサーバは、互いに離れており、通信ネットワークを介してインタラクションを行うことが一般的である。対応するコンピュータで動作することで、クライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによってクライアントとサーバの関係を生み出す。
【0125】
上記の様々な態様のフローを使用して、ステップを新たに順序付け、追加、または削除することが可能であることを理解すべきである。例えば、本開示で記載された各ステップは、並列に実行しても良いし、順次に実行しても良いし、異なる順序で実行しても良い。本開示で開示された技術案が所望する結果を実現することができる限り、本開示ではこれに限定されない。
【0126】
上記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲に対する限定を構成するものではない。当業者は、設計事項やその他の要因によって、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び代替が可能であることを理解するべきである。本開示の要旨及び原理原則内における変更、均等な置換及び改善等は、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6