(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ノズルを有するステータ空気力学的構成要素、及びターボ機械を洗浄する方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20221115BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F04D29/70 Q
F04D29/52 D
(21)【出願番号】P 2021536378
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2019025489
(87)【国際公開番号】W WO2020135931
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】102018000021067
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】デヴィ、ラヴィンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ミケラッシ、ヴィットリオ
(72)【発明者】
【氏名】メルロ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】パリク、デヴェンダー
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0144151(US,A1)
【文献】特開2004-068774(JP,A)
【文献】特開2016-196839(JP,A)
【文献】特開2012-229701(JP,A)
【文献】特開2002-130197(JP,A)
【文献】特開2016-061261(JP,A)
【文献】特開2007-040307(JP,A)
【文献】特開平06-010897(JP,A)
【文献】特開昭56-165800(JP,A)
【文献】特開昭63-212798(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02562430(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
F04D 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(1000)の作動流体の流路(500)内に配置されるステータ空気力学的構成要素(130、230、250)であって、
当該ステータ空気力学的構成要素(130、250)が、
本体と、
取り外し可能な部品(137-2、137-3,137-4)と、
パイプ(120、220)から液体を受容するように配置されたダクト(134、254)と、
前記ダクト(134、254)に流体接続され(136、256)、液体を前記流路(500)内に噴出するように
前記取り外し可能な部品(137-2、137-3,137-4)に配置された1つ以上のノズル(135、255)と、を
備え、
前記取り外し可能な部品(137-2、137-3,137-4)が、前記本体と前記取り外し可能な部品(137-2、137-3,137-4)を組み立てることで前縁から後縁まで延びる1つの翼形状を形成するように構成されている、ステータ空気力学的構成要素
(130、230、250)。
【請求項2】
前記
ステータ空気力学的構成要素(130)が、前縁領域(131)及び後縁領域(132)を有し、前記1つ以上のノズル(135-2、135-3、135-4)が、
当該後縁領域(132)内に配置される、請求項1に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項3】
前記
ステータ空気力学的構成要素(130)が、前縁領域(131)及び後縁領域(132)を有し、前記ダクト(134)が、
当該前縁領域(131)内に配置される、請求項1又は2に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項4】
前記ノズル(135-2)のうちの少なくとも1つが、前記流路(500)の流れ方向(FD)に対応する噴出方向(ED-2)に液体を噴出するように配置される、
請求項1から3のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項5】
前記ノズル(135-3、135-4)のうちの少なくとも1つが、前記流路(500)の流れ方向(FD)に対して傾斜した噴出方向(ED-3、ED-4)に液体を噴出するように配置される、
請求項1から3のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項6】
前記噴出方向(ED-4)が、
前記流路(500)の流れ方向(FD)に対して+5°
以上+90°
以下の角度だけ傾斜しているか、又は前記噴出方向(ED-5)が、
前記流路(500)の流れ方向(FD)に対して-90°
以上-5°以下の角度だけ傾斜している、請求項5に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項7】
複数の前記ノズルを備え、前記
複数のノズルが、異なる方向に液体を噴出するように配置される、
請求項
1から6のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項8】
前記1つ以上のノズル(135-6、135-7、135-8)が、ターボ機械(1000)の1つ以上のブレード(260)及び/又は1つ以上のベーンに到達するように液体を噴出するように配置される、
請求項
1から7のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項9】
前記1つ以上のノズル(135-6、135-7、135-8)が、ターボ機械(1000)の1つ以上のブレード(260)及び/又は1つ以上のベーンの吸引側(V-P1-6、V-P1-7、V-P1-8)及び圧力側(V-P2-6、V-P2-7、V-P2-8)に到達するように液体を噴出するように配置され、圧力側に到達する液体の量が、吸引側に到達する液体の量と等しいか又は異なっている、
請求項
1から8のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項10】
前記ダクトが、前記取り外し可能な部品(137-2、137-3、137-4)内に配置される、
請求項
1から9のいずれか
1項に記載のステータ空気力学的構成要素(130、230、250)。
【請求項11】
ターボ機械(1000)を洗浄する方法であって、
ターボ機械(1000)の作動流体の流路(500)内に配置された
、請求項1から10のいずれか1項記載の少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素(130、230、250)から洗浄液を排出することによって、
前記ターボ機械(1000)のブレード(240、260)及び/又はベーン(230、250)を洗浄するステップ、を含む洗浄方法。
【請求項12】
前記洗浄液が、水
又は洗剤である、請求項11に記載の洗浄方法。
【請求項13】
オンライン及び/又はオフラインで実行されるように配置された、請求項1
1又は1
2に記載の洗浄方法。
【請求項14】
前記ブレード(240、260)が、
前記ターボ機械(1000)の第1段のブレード(240)及び/又は
前記ターボ機械(1000)の中間段のブレード(240)及び/又は
前記ターボ機械(1000)の最終段のブレード(260)であり、前記ベーン(230、250)が、
前記ターボ機械(1000)の第1のベーンアレイのベーン(230)及び/又は
前記ターボ機械(1000)の中間ベーンアレイのベーン(250)及び/又は
前記ターボ機械(1000)の最終ベーンアレイのベーンである、請求項11
から13のいずれか1項記載の洗浄方法。
【請求項15】
前記ブレード(240、260)及び/又は前記ベーン(230、250)が洗浄されるとき、少なくとも1つのパラメータを設定又は制御するステップを更に含み、
前記少なくとも1つのパラメータが、
前記洗浄液の温度、
前記洗浄液の圧力、
前記洗浄液の組成、
前記洗浄液の噴出速度、
前記洗浄液の噴出方向を含む群から選択される、請求項11から14のいずれか
1項に記載の洗浄方法。
【請求項16】
前記洗浄液が脈動様式で噴出される、請求項11から15のいずれか
1項に記載の洗浄方法。
【請求項17】
ターボ機械(1000)の作動流体の流路(500)内に配置されるステータ空気力学的構成要素であって、
当該ステータ空気力学的構成要素(130、250)が、
パイプ(120、220)から液体を受容するように配置されたダクト(134、254)と、
前記ダクト(134、254)に流体接続され(136、256)、液体を前記流路(500)内に噴出するように配置された1つ以上のノズル(135、255)と、
一つの翼形状を形成する部分と、
前記部分の翼面から突出するように設けられ、前記部分の空気力学的断面よりも小さい空気力学的断面を有する少なくとも1つの極(139)と、
を備え、
前記1つ以上のノズル(135-10)が、
前記少なくとも1つの極(139
)に配置される、ステータ空気力学的構成要素。
【請求項18】
前記1つ以上のノズル(135-10)のうち少なくとも1つの第1のノズル(135-10)が、
前記部分の第1の翼面から突出する第1の
前記極(139)の内部に配置され、
前記1つ以上のノズル(135-10)のうち少なくとも1つの第2のノズル(135-10)が、
前記部分の第2の翼面から突出する第2の
前記極(139)の内部に配置され、
当該少なくとも1つの第1のノズル及び
当該少なくとも1つの第2のノズルが、前記ダクト(134)に流体接続されている、請求項17に記載のステータ空気力学的構成要素。
【請求項19】
前記ダクトが前記部分に配置されている、請求項17又は18に記載のステータ空気力学的構成要素。
【請求項20】
前記
少なくとも1つの極(139)が、前記液体を噴出するために使用されないとき、
前記部分の内部に配置され得るように移動可能である、請求項17
から19のいずれか1項に記載のステータ空気力学的構成要素。
【請求項21】
前記
少なくとも1つの極(139)が、前記液体の圧力の影響によって移動可能である、請求項20に記載のステータ空気力学的構成要素。
【請求項22】
請求項1から10のいずれか
1項又は請求項17から21のいずれか
1項に記載の少なくとも1つの
ステータ空気力学的構成要素(130)を含む、ターボ機械(1000)。
【請求項23】
複数の
前記ステータ空気力学的構成要素(130)を含む、請求項22に記載のターボ機械(1000)。
【請求項24】
更なる少なくとも1つのノズル(137、138)を含み、
当該ノズルが、作動流体の流路(500)内に液体を噴出するように配置され、
前記ターボ機械(1000)のベルマウス(100)において前記流路(500)を区切る壁上に配置される、請求項22又は23に記載のターボ機械(1000)。
【請求項25】
更なる少なくとも1つのノズルを含み、
当該ノズルが、作動
流体の流路(500)内に液体を噴出するように配置され、
前記ターボ機械(1000)の第1段(240)と最終段(260)との間の前記流路(500)を区切る壁上に配置される、請求項
22から24のいずれか1項に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ノズルを有するステータ空気力学的構成要素、及びターボ機械を洗浄する方法、また、1つ以上のそのような構成要素を含む、及び/又はそのような方法によって洗浄されるターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械、例えば回転圧縮機及び回転タービンは、機械の動作中に流路内を流れる作動流体を処理するように設計された機械である。タービンは、作動流体から機械のロータにエネルギを伝達する。圧縮機は、機械のロータから作動流体にエネルギを伝達する。流路は、機械のロータの表面によって部分的に且つ機械のステータの表面によって部分的に画定される。
【0003】
動作中、ターボ機械、特にその流路を区切る表面は汚れ、これは、「油及びガス」産業で使用されるターボ機械に特に当てはまる。汚れは、作動流体の組成物から、及び/又は作動流体によって運ばれる物質若しくは液滴若しくは粒子から誘導されることがある。汚れは、流路を区切る表面にしっかりと付着されることがあり、汚れる典型的な表面は、ターボ機械の(回転)ブレード及び(固定)ベーンの翼面である。
【0004】
ガスタービン圧縮機を洗浄するための解決策は、「米国特許出願公開第2007/0028947(A1)号」から知られている。この解決策によれば、洗浄アセンブリは、そのストラットの上流の圧縮機のベルマウスに位置し、水滴を噴出する多数のノズルを含む。
【0005】
そのストラットの上流の圧縮機のベルマウスに位置する洗浄アセンブリは、ベルマウスがかなり大きく且つ機械の入口に容易にアクセス可能であるため、容易に設置される。
【0006】
しかしながら、ストラットの上流の圧縮機のベルマウスに位置する洗浄アセンブリは、ストラットの洗浄のみで十分に効果的である。
【0007】
したがって、ターボ機械の洗浄(固定)ベーン及び/又は(回転)ブレード、好ましくはまたターボ機械の入口から離れた(固定)ベーン及び/又は(回転)ブレードにおける有効な洗浄システム及び方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
1つの態様によれば、本明細書に開示される主題は、ターボ機械の作動流体の流路内に配置されるステータ空気力学的構成要素であって、構成要素が、パイプから液体を受容するように配置されたダクトと、当該ダクトに流体接続され、液体を流路内に噴出するように配置された1つ以上のノズルと、を含み、構成要素が、取り外し可能な部品を更に含み、1つ以上のノズルが、取り外し可能な部品内に配置される、ステータ空気力学的構成要素に関する。
【0009】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、ターボ機械の作動流体の流路内に配置されるステータ空気力学的構成要素であって、構成要素が、パイプから液体を受容するように配置されたダクトと、当該ダクトに流体接続され、液体を流路内に噴出するように配置された1つ以上のノズルと、を含み、1つ以上のノズルが、ステータ空気力学的構成要素の翼面から突出する極の内部に配置される、ステータ空気力学的構成要素に関する。
【0010】
本明細書に開示されるステータ空気力学的構成要素は、例えば、水、特に脱塩水、及び場合によっては洗剤である洗浄液を噴出するために使用されてもよい。しかしながら、ターボ機械における特定の用途に有用な他の液体を噴出するために使用されてもよい。
【0011】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、ターボ機械を洗浄する方法であって、ターボ機械の作動流体の流路内に配置された少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素から洗浄液を噴出することによって、ターボ機械のブレード及び/又はベーンを洗浄するステップを含む、方法に関する。
【0012】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素を含むターボ機械であって、ステータ空気力学的構成要素が、ターボ機械の作動流体の流路内に配置され、構成要素が、パイプから液体を受容するように配置されたダクトと、当該ダクトに流体接続され、液体を流路内に噴出するように配置された1つ以上のノズルと、を含む、ターボ機械に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の開示された実施形態、及びその付随する利点の多くのより完全な理解は、添付図面と関連して考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるように、容易に取得されるだろう。
【
図1】ターボ機械、すなわち圧縮機の実施形態の部分概略縦断面図を示している。
【
図2】
図1のターボ機械のストラットの第1の実施形態の概略断面図を示している。
【
図3】
図1のターボ機械のストラットの第2の実施形態の概略断面図を示している。
【
図4】
図1のターボ機械のストラットの第3の実施形態の概略断面図を示している。
【
図5】
図1のターボ機械のストラットの実施形態の概略正面断面図を示している。
【
図6】
図1のターボ機械の(固定)ベーンの第1の実施形態及び(回転)ブレードのセットの実施形態の概略断面図を示している。
【
図7】
図1のターボ機械の(固定)ベーンの第2の実施形態及び(回転)ブレードのセットの実施形態の概略断面図を示している。
【
図8】
図1のターボ機械の(固定)ベーンの第3の実施形態及び(回転)ブレードのセットの実施形態の概略断面図を示している。
【
図9】
図1のターボ機械のストラットの第4の実施形態の概略断面図を示している。
【
図10】
図1のターボ機械のストラットの第5の実施形態の概略断面図を示している。
【
図11】洗浄方法の実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
汚れた表面を洗浄するために、洗浄液、例えば水が1つ以上のノズルから表面上に噴霧されてもよい。洗浄は、ノズルが洗浄される表面に非常に近接している場合、非常に効果的である。ブレード上に付着した汚れは、それらの周囲の空気流を妨害し、タービン効率全体の損失をもたらす。更にまた、ブレード上の不均一な汚れ付着は、振動を引き起こすことがある。したがって、ブレードの効果的な洗浄が有利である。
【0015】
ターボ機械では、ストラット又は(固定)ベーンは、ストラット又はベーンのすぐ下流にある(回転)ブレードのアレイの近くに配置される。ロータの回転中、アレイのブレードとストラット又はベーンとの間の距離は、最初に減少し、最小に達し、その後に増加する。より正確には、ロータの回転中、アレイのブレードの前縁領域とストラット又はベーンの後縁領域との間の距離は、最初に減少し、最小に達し、その後に増加する。
【0016】
本明細書に開示されるように、少なくとも1つのノズルを備えた、特別に構成されたステータ空気力学的構成要素、例えばストラット又は(固定)ベーンは、有利には、ストラット又はベーンの下流、好ましくはすぐ下流の(回転)ブレード及び/又は(固定)ベーンを洗浄する少なくとも1つのノズルから洗浄液を噴出するために有利に使用されてもよいことが発見されている。洗浄液を噴出するためのノズルは、有利には、ステータ空気力学的構成要素の後縁領域に配置されてもよい。
【0017】
ストラット又はベーンは静止しているため、洗浄液は、例えば、ターボ機械の外部にあってもよい供給システムからパイプを介して、連続的にストラット又はベーンに容易に供給されることができる。
【0018】
新規のステータ空気力学的構成要素の実施形態の使用は、ターボ機械の外部から洗浄するターボ機械を洗浄する従来の手法とは逆である。有利には、洗浄システム(例えば、少なくとも1つの洗浄ノズルを備えた少なくともステータ空気力学的構成要素)は、ターボ機械の通常の構成要素であるとみなされるものに一体化され、及び/又は、ターボ機械の内側(又は内部)から洗浄するためにターボ機械の内部寸法/空間容積内に適合するため、新規のステータ空気力学的構成要素及びターボ機械「内部」洗浄方法の実施形態は、任意の(回転式)ブレード及び/又は(固定)ベーンがターボ機械の入口及び出口から遠く離れている場合であっても、それらに使用されてもよい。
【0019】
ここで、本開示の実施形態が詳述されると、その1つ以上の実施例が図面に示されている。各実施例は、本開示を限定するものではないが、本開示の説明によって提供される。実際に、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本開示において様々な変更及び変形が行われることができることが、当業者にとって明らかであろう。本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一実施形態では」又は「実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。
【0020】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であり、挙げられた要素以外に更に要素があってもよいと意味することを意図している。
【0021】
ここで図面を参照すると、
図1は、ターボ機械、すなわち圧縮機1000の実施形態の部分概略縦断面図を示している。
【0022】
圧縮機1000は、ベルマウスセクション100と圧縮セクション200とに分割されている。セクション100は、圧縮機のステータの一部であるベルマウスセクションケーシング110内に密閉されている。セクション200は、圧縮機のステータの一部である圧縮セクションケーシング210内に密閉されている。ケーシング110及び210は、一体に接合され、単一の部品内にあってもよく、又は互いの間に固定された複数の部品内にあってもよい。流路500は、圧縮機1000の内側に延在する。圧縮機1000の回転軸は、XXとして示されている。
【0023】
ベルマウスセクション100は、圧縮機のステータの一部であるストラット130のアレイを含む。
【0024】
圧縮セクション200は、ステータベーンとロータブレードとを含む。具体的には、入口から出口へ、すなわち圧縮機の低圧側(
図1の左側)から圧縮機の高圧側(
図1の右側)に移動すると、ベーン230の第1のアレイと、ブレード240の第1のアレイ(圧縮機の第1の圧縮段に属する)と、ベーン250の第2のアレイと、ブレード260の第2のアレイ(圧縮機の第2の圧縮段に属する)とが存在する。ベーン230及び250は、ステータの一部であり、ブレード240及び260は、ロータの一部である。
【0025】
流路500は、ストラット130、ベーン230及び250、ブレード240及び260の翼面によって部分的に画定される。換言すれば、これらの空気力学的構成要素は、ターボ機械1000の作動流体の流路500内に配置される。
【0026】
図1の実施形態によれば、圧縮機1000は、1つがベルマウスセクション100内にあり、1つが圧縮セクション200内にある2つの洗浄アセンブリを含む。この実施形態の変形例によれば、1つのみの洗浄アセンブリ(例えば、ベルマウスセクション100内の1つのアセンブリのみ、又は圧縮セクション200内の1つのアセンブリのみ)、又は3つの洗浄アセンブリ(すなわち、ベルマウスセクション100内のアセンブリ、及び圧縮セクション200内の2つのアセンブリ、圧縮機の各圧縮段について1つ)、又は更にはより多くの洗浄アセンブリが存在してもよいことに留意されたい。
【0027】
図1の第1の洗浄アセンブリは、ダクト134と、例えば、3つのチャネル136を介してダクト134に流体接続された3つのノズル135とを含む。ダクト134は、パイプ120から洗浄液を受容する。具体的には、ダクト134は、ストラット130の完全に内部にあり、パイプ120は、圧縮機1000の外側からケーシング110を通り、ダクト134に到達する。ノズルは、洗浄液を流路500内に噴出する。本実施形態の変形例によれば、ノズルの数は変化してもよく、1つを超えてもよいことに留意されたい。
【0028】
例えば、
図5から理解されることができるように、圧縮機1000は、いくつかのストラット130、特に6つのストラットを有する。
図1の実施形態では、ストラットのうちの少なくとも1つは、ダクト及び1つ以上のノズルを有する。しかしながら、好ましくは、これは、(
図5に示すように)1つ又は2つ又は3つ以上又は全てのストラットにおいて複製される。
【0029】
ノズル135から噴出された洗浄液は、ターボ機械1000のストラット130のすぐ下流にあるターボ機械1000のベーン230の洗浄に非常に効果的である。ノズル135から噴出された洗浄液は、順次ターボ機械1000のベーン230のすぐ下流にあるターボ機械1000のブレード240の洗浄に更に効果的である。
【0030】
図1の第2の洗浄アセンブリは、ダクト254と、例えば2つのチャネル256を介してダクト254に流体接続された2つのノズル255とを含む。ダクト254は、パイプ220から洗浄液を受容する。具体的には、ダクト254は、ベーン250の完全に内部にあり、パイプ220は、圧縮機1000の外側からケーシング210を通ってダクト254に到達する。ノズルは、洗浄液を流路500内に噴出する。本実施形態の変形例によれば、ノズルの数は変化してもよく、1つを超えてもよいことに留意されたい。
【0031】
理解されることができるように、圧縮機1000は、多数のベーン250を有する。
図1の実施形態では、ベーン250のうちの少なくとも1つは、ダクト及び1つ以上のノズルを有する。しかしながら、好ましくは、これは、1つ以上又は全てのベーンにおいて複製される。
【0032】
ノズル255から噴出された洗浄液は、ターボ機械1000のベーン250のすぐ下流にあるターボ機械1000のブレード260の洗浄に非常に効果的である。
【0033】
上記から、洗浄アセンブリを含むステータ空気力学的構成要素は、ベルマウスストラット(例えば、ストラット130)又は入口ガイドベーン(例えば、ベーン230)又は中間ガイドベーン(例えば、ベーン250)であってもよいことが明らかである。
【0034】
図2及び
図3及び
図4を参照すると、ステータ空気力学的構成要素、例えばストラット130は、前縁領域131、後縁領域132、及び中間領域133に分割されてもよい。これらの実施形態によれば、構成要素のノズル135-2、135-3、135-4は、効果的に洗浄液を噴出するための好ましい位置になるように後縁領域132に配置される。しかしながら、ノズル135-2、135-3、135-4は、後述するように異なって配置される。これらの実施形態によれば、構成要素のダクト134は、大きなストラットであってもハウジングの大きな空間が存在する前縁領域131内に配置される。これら3つの図におけるダクト134の位置は同じであるが、他の実施形態によれば異なっていてもよいことに留意されたい。
【0035】
図2を参照すると、流路500の流れ方向FDに対応する噴出方向ED-2に洗浄液を噴出するように配置された少なくとも1つのノズル135-2(チャネル136-2から洗浄液を受容する)が存在する。角度に関しては、+/-5°の許容差を考慮してもよい。この場合、ノズルは、後縁領域132の先端にある。
【0036】
図3を参照すると、流路500の流れ方向FDに対して傾斜した噴出方向ED-3に洗浄液を噴出するように配置された少なくとも1つのノズル135-3(チャネル136-3から洗浄液を受容する)が存在し、傾斜は、-5°から-90°の間であり、角度に関しては、+/-5°の許容差を考慮してもよい。この場合、ノズルは、後縁領域132の第1の側面上にある。
【0037】
図4を参照すると、流路500の流れ方向FDに対して傾斜した噴出方向ED-4に洗浄液を噴出するように配置された少なくとも1つのノズル135-4(チャネル136-4から洗浄液を受容する)が存在し、傾斜は、+5°から+90°の間であり、角度に関しては、+/-5°の許容差を考慮してもよい。この場合、ノズルは、後縁領域132の第2の側面上にある。
【0038】
ノズルは、異なる方向に液体を噴出するように設計されてもよく、すなわち、その噴出は、広い円錐のように見えることに留意されたい。あるいは、構成要素からの円錐形状の噴出は、構成要素に取り付けられたノズルのセットからの噴出物の組み合わせから導出されてもよい。
【0039】
更に、同じ構成要素のノズルは、異なる方向に液体を噴出するように配置されてもよいことに更に留意されたい。例えば、
図1を参照すると、ストラット130の上側(第1の径方向位置)ノズルは、第1の方向に噴出してもよく、ストラット130の中間ノズル(第2の径方向位置)は、第2の方向に噴出してもよく、ストラット130の下側ノズル(第3の径方向位置)は、第3の方向に噴出してもよい。
【0040】
図2及び
図3及び
図4を参照すると、構成要素は、取り外し可能な部品137-2、137-3、137-4を有し、ノズル135-2、135-3、135-4は、取り外し可能な部品137-2、137-3、137-4内に配置される。一般に、これらの図とは異なる実施形態では、洗浄アセンブリのノズル及び/又は洗浄アセンブリのダクトは、取り外し可能な部品に配置されてもよい。取り外し部品は、圧縮機1000の補修を容易にするために有用であってもよい。取り外し部品は、例えば顧客の必要条件に圧縮機1000をカスタマイズすることを容易にするために有用であってもよい。実際に、例えば、これらの図のストラット130の本体は、同じままであり、要求又は要件に基づいて、部品137-2又は部品137-3又は部品137-4を本体に容易に取り付けることが可能である。
【0041】
図5は、
図1の圧縮機1000のストラット130における複数のノズルの可能な位置決めを示している。ストラットの後縁領域の先端に配置されたノズルが存在する。また、ベルマウスセクション100において、流路500を区切る内壁上に配置されたノズル137も存在する。ベルマウスセクション100において、切流路500を区切る外壁上に配置されたノズル138も存在する。これらの3つの位置決めは、
図5に示される特定の組み合わせとは独立して、任意の可能な方法で組み合わせられてもよい。
【0042】
これが任意の図に示されていない場合であっても、ノズルは、ベルマウスとは異なる位置にある、流路500を区切る内壁及び/又は外壁上に配置されてもよいことに留意されたい。この場合、それらは、圧縮機1000の第1段(例えば、ブレード240)と圧縮機1000の最終段(例えば、ブレード260)との間に、例えばベーン(例えば、ベーン250)に近接して配置されてもよい。
【0043】
図6及び
図7及び
図8を参照すると、固定ベーン250、すなわち250-6及び250-7及び250-8の3つの実施形態が示され、圧縮機1000の圧縮段の回転ブレード260に対するそれらの効果-矢印Rは、ブレード260の回転方向を示している。
図6の実施形態では、ノズル135-6は、後縁の先端に配置され、流路500の流れ方向FDに対応する噴出方向ED-6に洗浄液を噴出する。
図7の実施形態では、ノズル135-7は、後縁の先端に配置され、流路500の流れ方向FDに対して例えば約-15°の角度A-7だけ傾斜した噴出方向ED-7に洗浄液を噴出する。
図8の実施形態では、ノズル135-8は、後縁の先端に配置され、流路500の流れ方向FDに対して例えば約+15°の角度A-8だけ傾斜した噴出方向ED-8に洗浄液を噴出する。
【0044】
ノズル135-6、135-7、135-8は、ブレード260に到達するように洗浄液を噴出する。具体的には、1つのノズルを形成する噴出は、一度に1つのブレードのみ(又は、一度に例えば2つ又は3つ又は4つの限られた数のベーン)に到達する。これらの実施形態によれば、ノズル135-6、135-7、135-8は、ブレード260の圧力側及び吸引側の双方に到達するように洗浄液を噴出する。
図6では、洗浄液が吸引側のVからP1-6の部分に到達し、
図7では、洗浄液が圧力側のVからP2-6の部分に到達し、洗浄液が吸引側のVからP1-7(すなわち、全て)の部分に到達し、洗浄液が圧力側のVからP2-7の(小さい)部分に到達する。
図8では、洗浄液が吸引側のVからP1-8の(小さい)部分に到達し、洗浄液が圧力側のVからP2-8(全て)の部分に到達する。一般に、圧力側に到達する洗浄液の量は、吸引側に到達する洗浄液の量と等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0045】
上記の説明から明らかなように、本明細書に開示される洗浄方法は、ターボ機械の作動流体の流路内に配置された少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素から洗浄液を噴出することによって、ターボ機械のブレード及び/又はベーンが洗浄されることを提供する。具体的には、洗浄液は、1つ以上のノズルから、少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素に噴出される。ブレードは、ターボ機械の第1段のブレード、及び/又はターボ機械の中間段のブレード、及び/又はターボ機械の最終段のブレードであってもよい。ベーンは、ターボ機械の第1のベーンアレイのベーン及び/又はターボ機械の中間ベーンアレイのベーン及び/又はターボ機械の最終ベーンアレイのベーンであってもよい。
【0046】
本明細書に開示されるステータ空気力学的構成要素は、例えば、水、特に脱塩水、及び場合によっては洗剤である洗浄液を噴出するために使用されてもよい。洗浄液の組成は、洗浄が行われるとき(例えば、動作モード又は非動作モードで)及び/又は洗浄が行われる場所に依存してもよい。しかしながら、本明細書に開示されるステータ空気力学的構成要素は、ターボ機械の特定用途に有用な他の液体を噴出するために使用されてもよい。
【0047】
本明細書に開示される洗浄方法は、オンライン及び/又はオフラインで実行されてもよい。換言すれば、ステータ空気力学的構成要素内のノズルは、ターボ機械が動作可能であるとき、ターボ機械が動作不能である(しかし回転する)とき、及び動作モード及び非動作モードの双方に起動されてもよい。
【0048】
洗浄液は、例えば連続様式で又は脈動様式で噴出されてもよい。
【0049】
本明細書に開示されるような洗浄中、ブレード及び/又はベーンが洗浄されるとき、少なくとも1つのパラメータが設定又は制御されてもよい。そのようなパラメータは、例えば、洗浄液の温度、洗浄液の圧力、洗浄液の組成、洗浄液の噴出速度、洗浄液の噴出方向であってもよい。
【0050】
図9及び
図10は、ノズルとダクトとの間の流体接続が極端な場合にかかる、
図1のターボ機械のステータ空気力学的構成要素、特にストラットの実施形態を示している。
【0051】
図9では、ダクト134-9は、方向ED-9に洗浄液を噴出するノズル135-9に直接流体接続されている。換言すれば、接続チャネルは、ゼロに等しい長さを有する(すなわち、接続チャネルを有しない)。ダクトは、ステータ空気力学的構成要素とほぼ同じ断面積を有する。
【0052】
図10では、ダクト134は、特に分枝状である(第1の分岐が第1のノズル135-10に進み、第2の分岐が第2のノズル135-10に進む)長チャネル136-10を介して方向ED-10に洗浄液を噴出する少なくとも2つのノズル135-10に流体接続されている。ノズル135-10は、ステータ空気力学的構成要素の翼面から突出してもよく且つ構成要素の断面よりも小さい空気力学的断面を有してもよい(例えば、
図10のように)極139上にそれぞれ配置されている(第1の分岐は第1の極の内部にあり、第2の分岐は第2の極の内部にある)。極139は、液体を噴出するために使用されないとき、ステータ空気力学的構成要素の内部に配置されてもよいように移動可能であってもよい(例えば、それらは回転及び/又は並進することができる)。そのような移動は、有利には、噴出される液体の圧力によって生じてもよい。例えば、圧力が増加すると、圧力の影響によって、構成要素から極が移動し、液体が噴出され、圧力が低下すると、圧力の影響によって、構成要素内に極が戻り、液体はもはや噴出されない。
【0053】
図11は、洗浄方法の実施形態のフローチャート1100を示している。この洗浄方法は、以下のステップを含む:-ステップ1102:ターボ機械の作動流体の流路内に配置された少なくとも1つのステータ空気力学的構成要素から洗浄液を噴出することによって、ターボ機械のブレード及び/又はベーンを洗浄する、及び
-ステップ1104:ブレード及び/又はベーンが洗浄されるとき、少なくとも1つのパラメータを設定又は制御する。
少なくとも1つのパラメータは、洗浄液の温度、洗浄液の圧力、洗浄液の組成、洗浄液の噴出速度、洗浄液の噴出方向を含む群から選択される。これらの2つのステップは、任意の好適な順序で実行されることができ、及び/又は1回以上繰り返されることができるが、
図11では、1つのステップ1102のみ及び1つのステップ1104のみが存在し、ステップ1102は、ステップ1104に先行することに留意されたい。
【0054】
上述して図示した実施形態によれば、ステータ空気力学的構成要素は、既存のターボ機械の既に一部である構成要素であることに留意されたい。しかしながら、他の実施形態によれば、ターボ機械は、洗浄目的のために、特別に設計されてその流路内部に取り付けられたステータ空気力学的構成要素を含んでもよい。この場合、1つ以上の構成要素の(長手方向及び/又は横方向)サイズは小さくてもよく、及び/又は1つ以上の構成要素の形状は、低い圧力降下を提供するようなものであってもよく、及び/又は1つ以上の構成要素の位置及び/若しくは向きは、良好な洗浄を提供するようなものであってもよい。