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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20221115BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20221115BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20221115BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20221115BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221115BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20221115BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/271 S
H01M50/342 201
H01M50/249
H01M50/291
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022523013
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2020119080
(87)【国際公開番号】W WO2021073430
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】201910975573.9
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲海▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】方 伍▲梅▼
【審査官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230827(JP,A)
【文献】特開2013-218790(JP,A)
【文献】特開2015-41595(JP,A)
【文献】特開2013-114952(JP,A)
【文献】特開2018-202946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックであって、
内部に空洞が設けられる筐体と
前記空洞内に設置され、前記空洞を少なくとも2つの収容領域に仕切り、且つ第1仕切り部材を含む仕切り構造と
前記収容領域内に設置され、第1方向に並設された複数の電池を含み、前記電池のトップカバーに防爆弁が設けられる電池列であって、前記第1仕切り部材は前記電池列のうち前記第1方向において隣接する2つの電池の間に位置し、且つ高さ方向において前記第1仕切り部材の上面が前記トップカバーの上面よりも低く、前記電池列と前記第1仕切り部材との間に凹部が形成され、前記第1方向が前記高さ方向に垂直である電池列と
第1保護部と第2保護部を含み、前記第1保護部は前記電池列の全ての防爆弁を覆い、前記トップカバーの上面との間に、前記第1方向に沿って流動するように流体をガイドし下向きの開口を有するチャンネルが設けられ、且つ前記第2保護部は前記開口のうち前記凹部に正対する部分を閉鎖する保護部品とを含む、電池パック。
【請求項2】
前記第1保護部は、本体板と、2つの折り曲げ板とを含み、前記2つの折り曲げ板はそれぞれ前記本体板の第2方向における対向する両端に接続され、全て前記本体板に対して下へ折り曲げられ、前記チャンネルは、前記本体板、前記2つの折り曲げ板及び前記トップカバーの上面の間に位置し、前記第2方向は前記第1方向及び前記高さ方向に垂直である、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1保護部の横断面が逆U字形である、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第2保護部は基体板を含み、前記基体板は前記開口のうち前記凹部に正対する部分を閉鎖する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第2保護部は延在板をさらに含み、前記延在板は前記基体板から上へ延在したものであり、前記第1保護部に接続される、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第2保護部は2つの前記延在板を含み、前記2つの延在板はそれぞれ前記基体板の第2方向における対向する両端に接続され、全て前記基体板に対して上へ折り曲げられ、且つ前記2つの延在板は全て前記第1保護部に接続され、前記第2方向は前記第1方向及び前記高さ方向に垂直である、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記2つの延在板はそれぞれ前記第1保護部の2つの折り曲げ板に接続される、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記第2保護部の横断面がU字形である、請求項6~7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
筐体蓋をさらに含み、前記筐体蓋は前記筐体の最上部に結合され、且つ前記筐体蓋の前記第1方向における互いに対向する2つの側板のうち少なくとも一方に防爆排気構造が設けられ、前記防爆排気構造は前記チャンネルと連通し、前記チャンネルから流出する流体を前記電池パックの外部へ排出する、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記防爆排気構造は防爆弁又は薄肉部を含み、前記薄肉部は前記側板の一部であり、強度が前記側板のその他の部分よりも低い、請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
筐体蓋をさらに含み、前記筐体蓋は前記筐体の最上部に結合され、且つ前記第1保護部は前記筐体蓋に接続される、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
前記仕切り構造は第2仕切り部材をさらに含み、前記第2仕切り部材は前記第1仕切り部材と交差して設置され、且つ前記第2仕切り部材と前記第1仕切り部材の両方により前記空洞は前記少なくとも2つの収容領域に仕切られる、請求項1~11のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項13】
車両に動力を供給する動力源と、
前記動力源に給電するように構成される請求項1~12のいずれか一項に記載の電池パックと、
を含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池パック及び車両に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は2019年10月15日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910975573.9、発明の名称が「電池パック及び車両」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は援用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車の高速発展に伴い、パワーバッテリー製品に対するニーズがますます増えており、そして、電池製品の安全性能が注目を集めていく。
【0003】
熱暴走は電池製品の安全性能を損なう重要な課題であり、従来の電池パックでは、電池パックの上部に耐火フォームが覆われて熱暴走の場合の熱拡散を一時的に遅らせるのが一般的であるが、このような方法は、所定の保護作用を有するものの、ガスがスムーズに流れないという問題が存在し、結果として、熱暴走の場合に生じたガスや炎などの流体が適時排出できないことにより電池パックにダメージを与えたり、ひいては安全上の故障を引き起こしたりする。
【発明の概要】
【0004】
本願が解決しようとする技術的課題の1つは、電池パックの安全性能を向上させることである。
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本願は、電池パックであって、内部に空洞が設けられる筐体と、空洞内に設置され、空洞を少なくとも2つの収容領域に仕切り、且つ第1仕切り部材を含む仕切り構造と、収容領域内に設置され、第1方向に並設された複数の電池を含み、電池のトップカバーに防爆弁が設けられる電池列であって、第1仕切り部材は電池列のうち第1方向において隣接する2つの電池の間に位置し、且つ高さ方向において第1仕切り部材の上面がトップカバーの上面よりも低く、電池列と第1仕切り部材との間に凹部が形成され、第1方向が高さ方向に垂直である電池列と、第1保護部と第2保護部を含み、第1保護部は電池列の全ての防爆弁を覆い、電池列の上面との間に、第1方向に沿って流動するように流体をガイドし下向きの開口を有するチャンネルが設けられ、且つ第2保護部は開口のうち凹部に正対する部分を閉鎖する保護部品とを含む、電池パックを提供する。
【0006】
いくつかの実施例では、第1保護部は、本体板と、2つの折り曲げ板とを含み、2つの折り曲げ板はそれぞれ本体板の第2方向における対向する両端に接続され、全て本体板に対して下へ折り曲げられ、チャンネルは本体板、2つの折り曲げ板及び電池列の上面の間に位置し、第2方向は第1方向及び高さ方向に垂直である。
【0007】
いくつかの実施例では、第1保護部の横断面が逆U字形である。
【0008】
いくつかの実施例では、第2保護部は基体板を含み、基体板は開口のうち凹部に正対する部分を閉鎖する。
【0009】
いくつかの実施例では、第2保護部は延在板をさらに含み、延在板は基体板から上へ延在したものであり、第1保護部に接続される。
【0010】
いくつかの実施例では、第2保護部は2つの延在板を含み、2つの延在板はそれぞれ基体板の第2方向における対向する両端に接続され、全て基体板に対して上へ折り曲げられ、且つ2つの延在板は全て第1保護部に接続され、第2方向は第1方向及び高さ方向に垂直である。
【0011】
いくつかの実施例では、2つの延在板はそれぞれ第1保護部の2つの折り曲げ板に接続される。
【0012】
いくつかの実施例では、第2保護部の横断面がU字形である。
【0013】
いくつかの実施例では、電池パックは筐体蓋をさらに含み、筐体蓋は筐体の最上部に結合され、且つ筐体蓋の第1方向における互いに対向する2つの側板のうち少なくとも一方に防爆排気構造が設けられ、防爆排気構造はチャンネルと連通し、チャンネルから流出する流体を電池パックの外部へ排出する。
【0014】
いくつかの実施例では、防爆排気構造は防爆弁又は薄肉部を含み、薄肉部は側板の一部であり、強度が側板のその他の部分よりも低い。
【0015】
いくつかの実施例では、電池パックは筐体蓋をさらに含み、筐体蓋は筐体の最上部に結合され、且つ第1保護部は筐体蓋に接続される。
【0016】
いくつかの実施例では、仕切り構造は第2仕切り部材をさらに含み、第2仕切り部材は第1仕切り部材と交差して設置され、且つ第2仕切り部材と第1仕切り部材の両方により空洞は少なくとも2つの収容領域に仕切られる。
【0017】
本願の別の態様は、車両に動力を供給する動力源と、動力源に給電する本願の電池パックとを含む、車両をさらに提供する。
【0018】
第2保護部を設置してチャンネルの下向きの開口のうち凹部に正対する部分を閉鎖することによって、本願では、熱暴走による流体が凹部へ流れることを効果的に阻止し、熱暴走による流体を所定の方向に沿って排出することをより確実に実現することができ、電池パックの安全性を向上させる。
【0019】
本願の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例又は従来技術の説明に使用される必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の一実施例の電池パックの筐体、仕切り構造及び電池モジュールの構造の模式的な斜視図を示す。
図2図1に示す実施例の電池パックの筐体蓋及び保護部品の模式的な構造下面図を示す。
図3図2において第1保護部を省略した場合の正面図を示す。
図4図2における保護部品の模式的な構造下面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。以下、少なくとも1つの例示的な実施例の説明は実際には説明するためのものであり、決して本願及びその適用や使用を何ら制限するものではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な労働を必要とせずに取得する全てのその他の実施例は、本願の特許範囲に属する。
【0022】
当業者に公知の技術、方法や機器について詳細に検討しない場合があるが、適切な場合には、前記技術、方法及び機器は、権利授与の明細書の一部とみなすべきである。
【0023】
なお、本願の説明において、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定する場合、対応する部品を区別しやすくするために過ぎず、特に断らない限り、上記用語は特別な意味がなく、従って、本願の特許範囲を制限するものとして理解できない。
【0024】
また、以下で説明される本願の異なる実施形態に係る技術的特徴は互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0025】
図1~4は本願の一実施例の電池パックを示す。この図示した実施例では、電池パックは車両の動力装置として機能し、車体に設置されて、車両に電気動力を供給する。いくつかの実施例では、車両は車両に動力を供給する動力源と、車両に電気動力を供給するように動力源に給電するように構成されるいくつかの実施例に係る電池パックとを含んでもよい。車両は、電動車両やハイブリッド車両などを含んでもよい。電動車両は電池パックから出力される電気エネルギーにより動力を供給した電動エンジンを動力源としてもよく、電動車両は、いくつかの実施例に係る電池パックをたとえば、主動力源及び/又はバックアップ動力源として電動エンジンへ給電してもよい。ハイブリッド車両は、たとえば内燃機関や電動モータなど、2つ以上の動力源を使用して、動力を供給してもよい。
【0026】
以下、各方位を明確に説明するために、電池パックの各方向は図1における座標系を利用して定義されており、座標軸Hは電池パックの高さ方向を表しながら、収容筐体及び収容筐体における電池411の高さ方向であり、座標軸Wは座標軸Hに垂直であり、第1方向と呼ばれ、電池パックの幅方向を表し、座標軸Lは座標軸H及び座標軸Wに垂直であり、第2方向と呼ばれ、電池パックの長さ方向を表す。
【0027】
上記方位の定義に基づいて、以下の説明に使用される「上」、「下」、「頂」、「底」などの方位又は位置関係を示す名詞は、全て高さ方向Hに対するものであり、ここで、電池パックの筐体蓋1及び筐体2は高さ方向Hにおいて対向配置され、筐体2から筐体蓋1への方向を上、筐体蓋1から筐体2への方向を下とする。
【0028】
なお、前述方位の定義は、本願を説明しやすくし、説明を簡略化させるために過ぎず、反対の説明がない限り、これらの方位語は係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、従って、本願の特許範囲を制限するものとして理解できない。
【0029】
図1~4に示すように、本実施例の電池パックは、収容筐体や電池モジュール4などを含む。
【0030】
このうち、収容筐体は電池モジュール4などを収容するためのものであり、内部の電池モジュール4を保護する。図1及び図2に示すように、本実施例では、収容筐体は、筐体2と筐体蓋1とを含み、筐体2の内部には、電池モジュール4などを収容するための空洞2aが設けられ、且つ、該空洞2aの最上部が開放し、電池モジュール4を入れたり取り出したりすることを容易なものとし、一方、筐体蓋1は筐体2の最上部に結合され、空洞2aを閉鎖する。筐体蓋1と筐体2は密封して嵌合することができ、たとえば筐体蓋1と筐体2との間にシールリングなどのシール部材が設置される。
【0031】
図1から明らかなように、筐体2は、底部21と、側部22と、外凸部23とを含み、側部22と底部21の両方により空洞2aが画定され、ここで、側部22は底部21の四周に接続され、上へ延在し、外凸部23は側部22の一端に接続され、第2方向Lに沿って外へ延在する。具体的には、側部22と底部21の両方により中空直方体が画定され、内部の直方体空洞2aは電池モジュール4を収容するものであり、外凸部23は台形であり、電子部品が設置されてもよく、これにより、電池モジュール4の充放電などの作動モードが制御される。
【0032】
図2から明らかなように、筐体蓋1は、全体として形状が筐体2に適合しており、長方形部と台形部とを含み、長方形部は、トッププレート11と、トッププレート11の四周に接続され、下へ延在する側板12とを含み、台形部は、側板12の一端に接続され、第2方向Lに沿って外へ延在して、フランジ部13となる。
【0033】
筐体蓋1が筐体2に結合されたときに、筐体蓋1の側板12と筐体2の側部22は嵌合し、筐体蓋1のフランジ部13と筐体2の外凸部23は嵌合し、このように、空洞2aが閉鎖される。
【0034】
一方、収容筐体は、筐体蓋1を上にし、且つ外凸部23及びフランジ部13が位置する側を車頭に近くするように車体に配置され、すなわち、電池パックが車両に装着されると、高さ方向Hは車体の高さ方向、且つ第2方向Lは車体の長さ方向である車両の進行方向に沿っている。
【0035】
電池モジュール4は、空洞2aに設置され、電池パックのコアとなる構成部分であり、車両へ電気エネルギーを供給するものである。図1及び図3に示すように、本実施例では、電池モジュール4は、6個の電池列41を含み、この6個の電池列41は第2方向Lに並設されている。
【0036】
構造を簡略化させるために、本実施例では、各電池列41の構造は同じである。従って、以下、この1つの電池列41の構造について説明する。
【0037】
図3に示すように、電池列41は複数の電池411を含み、電池411は、トップカバー411aと、トップカバー411aに設置される防爆弁411bとを含む。電池411に熱暴走が発生した場合、防爆弁411bは電池411の内部で生じたガス、熱や炎などの高温高圧流体(発生ガスと総称)により押し開かれて、発生ガスを電池411の外部へ排出し、このように、電池411の内部の圧力はトップカバー411aからリリースされる。
【0038】
電池列41における全ての電池411は向きを同じにして並設される。図1及び図3では、電池列41における全ての電池411は縦方向に配置され、その高さ方向Hが垂直方向に沿っており、筐体11の高さ方向と一致し、且つトップカバー411aが全て上向きであり、言い換えれば、トップカバー411aは全て筐体蓋1に面しており、筐体2と反対している。また、電池列41における全ての電池411は、1列として第1方向Wに並設されている。
【0039】
なお、電池モジュール4の電池列41の数が6個に限定されるものではなく、実際には、電池モジュール4は、1つ又は少なくとも2つの電池列41を含んでもよく、少なくとも2つの電池列41を含む場合、各電池列41は第2方向Lに並設される。
【0040】
前記のとおり、本実施例の電池パックは、複数の電池列41を含み、且つ各電池列41の電池411の数が1つを越えており、従って、電池パックは複数の電池411を有し、且つこの複数の電池411は行列状に配列され、多行多列の電池アレイとなる。
【0041】
電池パックの複数の電池411をより規則的に配置するために、図1及び3に示すように、電池パックは仕切り構造3をさらに含んでもよく、仕切り構造3は空洞2a内に設置され、空洞2aを少なくとも2つの収容領域2bに仕切り、電池パックの電池411はグループ化されて異なる収容領域2bに設置される。このように、各群の電池411はそれぞれ異なる収容領域2bに収容され、これにより、より規則的かつ簡便に配置でき、しかも、仕切り構造3によって各群の電池411の位置をより確実に制限することもできる。
【0042】
ここで、図1及び図3から明らかなように、本実施例の仕切り構造3は第1仕切り部材31を含み、第1仕切り部材31は第2方向Lに沿って延在し、第1方向Wに配列された異なる収容領域2bを有するように空洞2aを仕切り、且つ、仕切り構造3は第2仕切り部材32をさらに含み、第2仕切り部材32は第1方向Wに沿って延在し、第1仕切り部材31と交差して配置され、このように、第2仕切り部材32は第1仕切り部材31によって仕切られた収容領域2bをさらに仕切り、空洞2aの内部の収容領域2bを増加し、これらの収容領域2bのうち、第1方向Wに配列された収容領域2bだけではなく、第2方向Lに配列された収容領域2bもある。
【0043】
電池411をグループ化して空洞2aに配置する際には、異なる電池列41をグループ化して第2方向Lに配列された異なる収容領域2bに収容してもよく、これにより、各群の電池列41は領域別に貯蔵され、また、共通の電池列41の電池411を第1方向Wに沿ってグループ化して第1方向Wに配列された異なる収容領域2bに収容し、これにより、共通の電池列41の内部は第1方向Wにおいて領域別に貯蔵される。
【0044】
具体的には、図示した実施例では、図3から明らかなように、仕切り構造3は、1つの第1仕切り部材31と2つの第2仕切り部材32とを含み、2つの第2仕切り部材32は第2方向Lにおいて互いに間隔を空けて並設され、第1仕切り部材31は2つの第1仕切り部材31の両方に垂直である。このように、第1仕切り部材31及び第2仕切り部材32の作用により、仕切り構造3は空洞2aを2行3列、合計6個の収容領域2bに仕切る。第2方向Lに並設された6個の電池列41同士は、2個の第1仕切り部材31によってセパレートされ、ここで、電池列41は2つずつ共通の第1仕切り部材31の共通側に位置し、一方、共通の電池列41はさらに第1方向Wにおいて1つの第2仕切り部材32によってセパレートされ、すなわち、第1仕切り部材31は、電池列41のうち第1方向Wにおいて隣接する2つの電池411の間に位置し、これにより、各電池列41はさらに第2仕切り部材32によって仕切られて第1方向Wに配列された第1電池列41a及び第2電池列41bとなり、このように、共通の電池列41における第1電池列41a及び第2電池列41bも異なる収容領域2bに位置する。
【0045】
より具体的には、図3に示すように、本実施例では、第1仕切り部材31は第1方向Wにおいて電池列41の真ん中に位置し、これにより、第1電池列41a及び第2電池列41bの電池411の数が同じである。
【0046】
なお、第1仕切り部材31及び第2仕切り部材32の数及び第1仕切り部材31の位置が図3に示すものに限定されるものではなく、たとえば、第1仕切り部材31の数は少なくとも2つとしてもよく、また、たとえば、第2仕切り部材32の数は電池列41の群数に応じて変化してもよく、一般的には、電池列41の群数よりも1つ少なければよく、ここで、第2仕切り部材32の数が少なくとも2つである場合、第2仕切り部材32同士は間隔を空けて第2方向Lに並設され、また、たとえば、第1仕切り部材31は、電池列41の第1方向Wにおける真ん中に位置するのではなく、第1方向Wにおける一方の側に接近して設置され、この場合、第1電池列41a及び第2電池列41bの電池411の数が同じではない。
【0047】
ここで、第1仕切り部材31及び第2仕切り部材32はビーム構造として構成されてもよく、図3では、第1仕切り部材31は縦ビームと呼ばれてもよく、第2仕切り部材32は横ビームと呼ばれてもよい。この他、第1仕切り部材31及び第2仕切り部材32は全て筐体2に固定して接続される。具体的には、第1仕切り部材31及び第2仕切り部材32は全て筐体2の底部21に固定して接続される。
【0048】
さらに、図1から明らかなように、本実施例では、高さ方向Hにおいて、第1仕切り部材31の上面は電池411のトップカバー411aの上面と面一ではなく、トップカバー411aの上面よりも低く、このとき、電池列41と第1仕切り部材31との間に凹部Sが形成され、具体的には、凹部Sは、第1電池列41aのトップカバー411aの上面、第2電池列41bのトップカバー411aの上面及び第1仕切り部材31の上面の間に位置する。該凹部Sには、各収容領域2b内の電池411を電気的に接続するための信号収集ラインが収納されてもよく、これにより、各電池411の温度又は電圧信号の収集や伝送が行われる。
【0049】
前記のとおり、電池411に熱暴走が発生した場合、発生ガスはトップカバー411aの防爆弁411bから排出され、防爆弁411bから噴出された発生ガスをガイドしないと、発生ガスの流動方向及び拡散範囲は制御できず、高さ方向H、第1方向W及び第2方向Lのいずれにおいても流動し、しかし、上へ流動すると、電池パックの上方にいる乗客に直接衝撃し、乗客の命を脅かし、一方、第2方向Lに流動すると、ほかの電池列41の故障を引き起こす恐れがあるだけでなく、車頭の下方まで流動し、乗客へのダメージを深刻化してしまい、また、本実施例では、第1電池列41a、第2電池列41bと第1仕切り部材31との間に凹部Sが存在するので、発生ガスは下へ流れて凹部Sに入り、凹部S内の信号収集ラインを焼損し、ひいては短絡などの二次的な危険を引き起こす可能性がある。
【0050】
従って、防爆弁411bから噴出された発生ガスによる電池パック及び乗客の安全性への影響を回避するために、本実施例の電池パックは保護部品43をさらに含み、該保護部品43は、防爆弁411bから放出された発生ガスを所定の方向にガイドするものであり、防爆弁411bから放出された発生ガスが上、下へ、又は第2方向Lに沿って排出されず、主に第1方向Wに沿って排出されるようにガイドし、これにより、熱暴走のリスクをさらに低減させ、電池パックの安全性能を改善し、乗客の安全性を向上させる。
【0051】
保護部品43は、電池列41と同じ数であり、電池列41に1対1で対応するように電池列41の上方に配置される。具体的には、図1に示すように、6個の電池列41に対応するように、保護部品43の数も6個とされ、各保護部品43はそれぞれの電池列41に1対1で対応して配置され、これにより、各保護部品43を利用して対応する電池列41の防爆弁411bから放出される発生ガスが第1方向Wに沿って排出されるようにガイドすることができる。
【0052】
本実施例では、各保護部品43の構造は同じであり、いずれも第1保護部431と第2保護部432とを含み、第1保護部431は電池列41の全ての防爆弁411bを覆い、且つ第1保護部431とトップカバー411aの上面との間に、第1方向Wに沿って流動するように気流をガイドし下向きの開口Oを有するチャンネルPが設けられ、第2保護部432は、開口Oのうち凹部Sに正対する部分を閉鎖する。
【0053】
第1保護部431は、電池列41の発生ガスが上へ流れたり、第2方向Lに沿って流動したりすることを回避することができ、また、第2保護部432を設置してチャンネルPの下向きの開口Oのうち凹部Sに正対する部分を閉鎖することによって、防爆弁411bの発生ガスが凹部Sまで下へ流れることを阻止し、従って、本実施例では、保護部品43はチャンネルP外の領域への発生ガスの拡散を防止し、発生ガスがチャンネルPにおいて第1方向Wに沿って流動するようにより確実にガイドすることができ、電池パックの使用の安全性を確保し、発生ガスが上方にいる乗客に直接衝撃することを回避し、車両の安全性を向上させる。
【0054】
さらに、第2保護部432を設置してチャンネルPの下向きの開口Oのうち凹部Sに正対する部分を閉鎖することによって、防爆弁411bの発生ガスが凹部Sに流れることを回避することができ、それにより、発生ガスが凹部S内の信号収集ラインを焼損したり、その他の領域へ流れたりすることを防止することができ、短絡などの二次的な危険の発生を効果的に低減させ、電池パックの安全性能をさらに向上させる。
【0055】
具体的には、図4に示すように、第1保護部431は、本体板431aと、2つの折り曲げ板431bとを含み、本体板431aは第1方向Wに沿って延在し、すなわち、本体板431aは電池列41における電池411の配列方向に沿って延在し、2つの折り曲げ板431bは本体板431aの第2方向Lにおける対向する両端に接続され、全て本体板431aに対して下(すなわち電池列41に接近する方向に向かって)へ折り曲げられる。以上から、2つの折り曲げ板431bは本体板431aを電池列41の上方に支持し、本体板431a、2つの折り曲げ板431b及び電池列41のトップカバー411aの上面の間には、第1方向Wに沿って延在するチャンネルPが形成され、チャンネルPの最上部及び第2方向Lにおける両側は全て閉鎖され、且つチャンネルPの下部には下向きの開口Oがあるが、開口Oのほとんどは電池列41のトップカバー411aの上面で閉鎖されており、第1方向Wにおける両端及び開口Oのうち凹部Sに正対する部分しか開放していない。
【0056】
第2保護部432は基体板432aを含み、基体板432aは開口Oのうち凹部Sに正対する部分を閉鎖する。このように、開口Oのうち凹部Sに正対する部分が開放しなくなり、防爆弁411bの発生ガスは凹部Sに入って凹部Sに収容された信号収集ラインを破壊したり、その他の領域へ流れたりすることができず、これにより、短絡などの二次的なリスクを効果的に回避することができ、そして、第1保護部431の本体板431a及び折り曲げ板431bによるチャンネルPの最上部及び第2方向Lにおける両側への閉鎖作用により、チャンネルPは第1方向Wにおける両端しか開放しておらず、このように、第1保護部431及び第2保護部432の両方の作用により、電池411の防爆弁411bから噴出された発生ガスは上へ流れたり、第2方向Lに沿って流出したりすることができないだけでなく、凹部Sに流れることができず、第1方向Wに沿ってしか流出できず、車体に装着する際には、第1方向Wは車頭方向又は乗客がいる上方ではなく車体の幅方向に沿うため、車体の幅方向に沿って排出するように発生ガスをガイドすると、発生ガスを安全に排出しつつ、乗客への発生ガスの安全上の脅威を減らすことができる。
【0057】
基体板432aを固定するためには、基体板432aは第1保護部431に直接接続されてもよく、たとえば基体板432aは2つの折り曲げ板431aに直接接続されるか、又は、第2保護部432は延在板432bをさらに含むようにしてもよく、延在板432bは基体板432aから上へ延在したものであり、第1保護部431に接続され、このようにして、基体板432aは延在板432bを介して第1保護部431に接続され得る。この一形態として、第2保護部432は2つの延在板432bを含んでもよく、2つの延在板432bはそれぞれ、基体板432aの第2方向Lにおける対向する両端に接続され、全て基体板432aに対して上へ折り曲げられ、且つ2つの延在板432bは全て第1保護部431に接続され、たとえば、基体板432aをより円滑に固定するように、2つの延在板432aは、それぞれ、第1保護部431の2つの折り曲げ板431bに接続されてもよい。
【0058】
具体的には、図4において、2つの延在板432bは全てチャンネルP内に位置し、それぞれ対応する折り曲げ板431bに接続され、これにより、基体板432aは2つの延在板432bを介して2つの折り曲げ板431bの内側面に接続されてもよく、或いは、2つの延在板432bのうち少なくとも一方はチャンネルPの外側に位置してもよい。
【0059】
ここで、本体板431a、折り曲げ板431bは、平板、曲面板や異型板などの各種の板構造としてもよく、第1保護部431の横断面(すなわち、第1方向Wに垂直な断面)は、逆U字形やM字形などの各種の形状としてもよい。たとえば、図3には、第1保護部431の横断面は逆U字形であり、それ以外の形状と比較して、第1保護部431の構造はシンプルであり、容易に加工できる。
【0060】
また、基体板432a、延在板432bも平板、曲面板や異型板などの各種の板構造としてもよく、第2保護部432の横断面(すなわち第1方向Wに垂直な断面)は、U字形やW字形などの各種の形状としてもよい。たとえば、図4においては、第2保護部432の横断面はU字形であり、それ以外の形状と比較して、第2保護部432の構造はシンプルであり、容易に加工することができ、且つ逆U字形の第1保護部431と容易に接続することができ、これにより、第2保護部432をより円滑に固定することを実現し、且つ、開口Oのうち凹部Sに正対する部分のより緊密な閉鎖の実現に有利である。
【0061】
保護部品43を簡便に制限できるように、保護部品43は筐体蓋1に接続されてもよく、たとえば本体板431aを通じてトッププレート11に溶接されてもよく、これにより、保護部品43は固定して取り付けられ、電池列41の全ての防爆弁411bをより確実に覆うことが容易になる。横断面がM字形などの他の形状の保護部品43に比べて、横断面が逆U字形の保護部品43では、本体板431aとトッププレート11は大きな面積をもってより緊密に接触することができ、従って、トッププレート11とのより強固な溶接が容易に実現できる。
【0062】
以上から明らかなように、第1保護部431に加えて第2保護部432が設置されることによって、電池411の内部から噴出される発生ガスがチャンネルP内を流動するときにチャンネルP以外の領域まで拡散することが回避され、第1保護部431と第2保護部432の連携により、発生ガスは第1方向Wに沿って収容筐体の第1方向Wにおける両端に流れ、収容筐体の第1方向Wにおける両端から排出されることができ、保護部品43によるガスを所定の方向に沿ってガイドする作用がさらに十分に発揮され、熱拡散を防止する機能がより効果的に果たされる。
【0063】
また、発生ガスの収容筐体の外部への排出をさらに容易にするために、図1に示すように、本実施例では、筐体蓋1の第1方向Wにおける互いに対向する2つの側板12のうち、少なくとも一方に防爆排気構造121が設けられ、防爆排気構造121は、チャンネルPと連通し、チャンネルP内の流体を電池パックの外部へ排出する。ここで、防爆排気構造121は防爆弁を含んでもよく、たとえば、側板12に取付穴が設置され、防爆弁が取付穴に装着され、又は、防爆排気構造121は薄肉部を含んでもよく、薄肉部は側板12の一部であり、且つ強度が側板12のその他の部分よりも低い。薄肉部は、たとえば側板12の凹溝やエンボスなどとしてもよい。
【0064】
第1方向Wにおける側板12に防爆排気構造121が設置されることによって、チャンネルPから導出された発生ガスが、防爆排気構造121を経由して容易に排出されることができ、排出のスムーズさがより良好になり、且つ、防爆排気構造121は、発生ガスの排出をある程度で制御することができ、たとえば、予め設定された圧力に達する場合にのみ発生ガスが排出されるように制御してもよく、これは、電池パックの使用安全性のさらなる向上に有利である。
【0065】
以上から明らかなように、本願では、保護部品43はガスを所定の方向に沿ってより効果的にガイドする役割を果たすことができ、発生ガスが所望の第1方向Wに沿って側板12の防爆排気構造121へ排出されるようにより確実にガイドし、電池411の熱暴走の場合の内部の高温高圧を適時放出し、発生ガスの不図意な領域への拡散を回避し、熱暴走のリスクを低減させ、電池パックの使用安全性を向上させ、該電池パックを用いた車両にいる乗客の安全上のリスクを低減させる。
【0066】
以上は本願の例示的な実施例に過ぎず、本願はこれらにより制限されるものではなく、本願の精神及び原則を逸脱することなく行われる修正、等同置換や改良などは全て本願の特許範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0067】
1:筐体蓋、11:トッププレート、12:側板、121:防爆排気構造、13:フランジ部
2:筐体、2a:空洞、2b:収容領域、21:底部、22:側部、23:外凸部
3:仕切り構造、31:第1仕切り部材、32:第2仕切り部材
4:電池モジュール、41:電池列、41a:第1電池列、41b:第2電池列、411:電池、411a:トップカバー、411b:防爆弁、43:保護部品、431:第1保護部、431a:本体板、431b:折り曲げ板、432:第2保護部、432a:基体板、432b:延在板
P:チャンネル、O:開口、S:凹部、H:高さ方向、W:第1方向、L:第2方向
図1
図2
図3
図4