(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】トークン生成装置、トークン生成方法、及びトークン管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/22 20120101AFI20221115BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221115BHJP
【FI】
G06Q20/22
G06Q30/02 320
(21)【出願番号】P 2022541972
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2021035969
【審査請求日】2022-07-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518180571
【氏名又は名称】double jump.tokyo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 広伸
(72)【発明者】
【氏名】満足 亮
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067351(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255372(WO,A1)
【文献】特許第5785350(JP,B1)
【文献】特開2017-078932(JP,A)
【文献】特表2010-527079(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定価額で発行され
、所定のアセットに係る有償トークン
に対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの生成装置であって、
前記トークンにおけるアセットの消費の履歴
及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶部と、
前記アセットの消費量の指定
及び消費の用途を受け付け、
受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理部と、
を有するスマートコントラクトを備えるトークンを生成する、トークン生成装置。
【請求項2】
前記消費処理部は、
前記アセットの消費量の指定を受け付け、指定された前記消費量のうち一部を前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶し、前記指定された消費量のうち残部を前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項1に記載のトークン生成装置。
【請求項3】
前記消費処理部は、
前記トークンに関する消費ルールの指定をさらに受け付け、指定された前記消費ルールに従って、前記指定された消費量のうち前記有償トークン及び前記トークンにおける消費量をそれぞれ決定し、決定した前記
トークンにおける消費量を前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶し、前記決定した前記有償トークンにおける消費量を前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項2に記載のトークン生成装置。
【請求項4】
前記消費処理部は、
前記トークンにおける消費の優先度が前記有償トークンにおける消費の優先度より高い旨の前記消費ルールを受け付けた場合に、前記指定された消費量が前記トークンおけるアセットの現在量より多いか否かを確認し、前記指定された消費量が前記トークンにおけるアセットの現在量より多い場合には、前記トークンにおいて前記アセットの現在量の全てを消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶すると共に、前記指定された消費量のうち前記消費した現在量を除いた残部のアセットを前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項3に記載のトークン生成装置。
【請求項5】
アカウントの指定を受け付け、指定された前記アカウントに対応づけられている前記トークンにおけるアセットの情報を出力する無償分情報確認部を備える、
請求項1に記載のトークン生成装置。
【請求項6】
アカウントの指定を受け付け、指定された前記アカウントに対応づけられている前記トークンにおけるアセットの情報と、前記指定されたアカウントに対応づけられている、前記有償トークンにおけるアセットの情報とを統合した情報を出力する有償無償分情報確認部を備える、
請求項1に記載のトークン生成装置。
【請求項7】
所定価額で発行され、所定のアセットに係る有償トークンに対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの生成方法であって、
情報処理装置が、
前記トークンにおけるアセットの消費の履歴
及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶部と、
前記アセットの消費量の指定
及び消費の用途を受け付け、
受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理部と、
を有するスマートコントラクトを備えるトークンを生成する、トークン生成方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、前記消費処理
部において、
前記アセットの消費量の指定を受け付け、指定された前記消費量のうち一部を前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶し、前記指定された消費量のうち残部を前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項7に記載のトークン生成方法。
【請求項9】
前記情報処理装置が、前記消費処理
部において、
前記トークンに関する消費ルールの指定をさらに受け付け、指定された前記消費ルールに従って、前記指定された消費量のうち前記有償トークン及び前記トークンにおける消費量をそれぞれ決定し、決定した前記トークンにおける消費量を前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶し、前記決定した前記有償トークンにおける消費量を前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項8に記載のトークン生成方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、前記消費処理
部において、
前記トークンにおける消費の優先度が前記有償トークンにおける消費の優先度より高い旨の前記消費ルールを受け付けた場合に、前記指定された消費量が前記トークンおけるアセットの現在量より多いか否かを確認し、前記指定された消費量が前記トークンにおけるアセットの現在量より多い場合には、前記トークンにおいて前記アセットの現在量の全てを消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶すると共に、前記指定された消費量のうち前記消費した現在量を除いた残部のアセットを前記有償トークンにおいて消費したことを示す情報を前記有償トークンに記憶する、
請求項9に記載のトークン生成方法。
【請求項11】
前記情報処理装置が、
アカウントの指定を受け付け、指定された前記アカウントに対応づけられている前記トークンにおけるアセットの情報を出力する、
請求項7に記載のトークン生成方法。
【請求項12】
前記情報処理装置が、
アカウントの指定を受け付け、指定された前記アカウントに対応づけられている前記トークンにおけるアセットの情報と、前記指定されたアカウントに対応づけられている、前記有償トークンにおけるアセットの情報とを統合した情報を出力する、
請求項7に記載のトークン生成方法。
【請求項13】
所定価額で発行され、所定のアセットに係る有償トークンに対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの管理プログラムであって、
情報処理装置に、
前記トークンにおけるアセットの消費の履歴
及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶処理と、
前記アセットの消費量の指定
及び消費の用途を受け付け、
受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理と、
を実行させるトークン管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークン生成装置、トークン生成方法、及びトークン管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートコントラクト(Smart contract)を利用した電子アセットの取引が広く行われている。例えば、スマートコントラクトによりユーザ間のアセットの取引を実行し、その取引の履歴が各ノードで共有されるようにしたトークンを発行することが可能なプラットフォームであるイーサリアム(Ethereum)が知られている(例えば、特許文献1)。イーサリアムは、分散型アプリケーション及びスマートコントラクトを構築するためのプラットフォームである。スマートコントラクトは、契約などのプロトコルを自動的に実行するようにブロックチェーンに実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスマートコントラクトで実装されたトークンは、例えば、サービス業者が所定のサービスを提供するための手段として、継続的に固定価格でユーザに有償で発行することができる(前払式支払手段)。この際、サービス業者は有償で発行する前払式支払手段に相当するトークン(有償トークン)とは別に、インセンティブやリワード用途で無償で発行するトークン(無償トークン)をユーザに付与することができる。
【0005】
ただ、ユーザがサービスを利用する際は、有償トークンと無償トークンを見た目上区別なく利用できるようことが好ましい。一方で、サービス業者は前払式支払手段すなわち有償トークンに関する情報を無償トークンと区別して取り扱わなければならない場合があり(例えば、前払式支払手段の未使用残高は財務局長等への届出が必要となる)、両者をそれぞれ客観的に参照できる形で管理する必要がある。
【0006】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、継続的に固定価格で有償で発行されるトークンと、無償で発行されるトークンとを提供することが可能なトークン生成装置、トークン生成方法、及びトークン管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための本発明の一つは、所定価額で発行され、所定のアセットに係る有償トークンに対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの生成装置であって、前記トークンにおけるアセットの消費の履歴及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶部と、前記アセットの消費量の指定及び消費の用途を受け付け、受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理部と、を有するスマートコントラクトを備えるトークンを生成する、トークン生成装置、とする。
【0008】
また、本発明の他の一つは、所定価額で発行され、所定のアセットに係る有償トークンに対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの生成方法であって、情報処理装置が、前記トークンにおけるアセットの消費の履歴及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶部と、前記アセットの消費量の指定及び消費の用途を受け付け、受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理部と、を有するスマートコントラクトを備えるトークンを生成する、トークン生成方法、とする。
【0009】
また、本発明の他の一つは、所定価額で発行され、所定のアセットに係る有償トークンに対応づけられた、前記有償トークンとは異なる前記アセットに係るトークンの管理プログラムであって、情報処理装置に、前記トークンにおけるアセットの消費の履歴及び消費の用途を記憶する無償分消費履歴記憶処理と、前記アセットの消費量の指定及び消費の用途を受け付け、受け付けた用途が所定の用途である場合に、前記指定された前記消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を前記消費の履歴に記憶する消費処理と、を実行させるトークン管理プログラム、とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、継続的に固定価格で有償で発行されるトークンと、無償で発行されるトークンとを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るトークン管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、トークン(譲渡可能トークン及び譲渡不能トークン)におけるスマートコントラクトの主な機能の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、各ノードが備えるハードウェアの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、新規発行処理の一例を説明するフロー図である。
【
図5】
図5は、追加発行処理の一例を説明するフロー図である。
【
図6】
図6は、消費処理の一例を説明するフロー図である。
【
図7】
図7は、無償分情報確認処理の一例を説明するフロー図である。
【
図8】
図8は、有償無償分情報確認処理の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係るトークン管理システム1の構成の一例を示す図である。このトークン管理システム1は、トークン3を発行する管理端末20(トークン生成装置)と、発行されたトークン3を利用する複数のユーザ端末10とを含んで構成されている。管理端末20及び各ユーザ端末10は、1又は複数のアカウント(識別子)と対応づけられている。
【0013】
管理端末20及び各ユーザ端末10は、あるアセットの処分履歴を記録するブロックチェーンデータであるトークン3により、そのアセットの情報を共有している。具体的には、このトークン3は、アセットの属性によって価値が異なるNFT(Non Fungible Token)として共有される。アセットの種類は特に限定されないが、例えば、所定の処理又は行為を行うための権利の情報であってもよいし、画像、音楽、文章、ゲームアイテム等の様々なメディアであってもよい。
【0014】
ユーザ端末10及び管理端末20は、あるアセットに関して、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7の2種類のトークン3を管理している。譲渡可能トークン5は、所定の決済に基づき管理端末20から発行される、アカウント間で譲渡が可能な有償のアセットトークンである。
【0015】
また、本実施形態では、譲渡可能トークン5は、価格が変動することのない固定価額で継続的に(期間の限定が無く)発行(販売)される前払式支払手段として機能する。ただし、譲渡可能トークン5に期間の限定又は価格の変動があるものとしても、本実施形態のトークン管理システム1は構成可能である。なお、譲渡可能トークン5は、例えばEthereumに実装されている標準的な機能(ERC20等)により実装が可能である。
【0016】
一方、譲渡不能トークン7は、譲渡可能トークン5に係るアセットと同一種類のアセットに係るトークンであるが、譲渡可能トークン5とは別のトークンとして、管理端末20から発行される。譲渡不能トークン7は、その発行に決済が不要である無償のトークンである。ただし、譲渡不能トークン7は、譲渡可能トークン5と異なりアカウント間でのトークンの譲渡(例えばトークンの取引)が不可能であり、発行を受けたアカウントのみが所定の用途のために消費できる特有のアセットトークンである。
【0017】
なお、譲渡不能トークン7の発行のタイミングは、譲渡可能トークン5の発行と同じであってもよいし、譲渡可能トークン5の発行前であってもよいし、譲渡可能トークン5の発行後であってもよい。
【0018】
管理端末20及び各ユーザ端末10は、これらの各トークン(中のアセット)に係る処理を、プログラムであるスマートコントラクト(Smart Contract)により実行する。
【0019】
管理端末20は、サーバ装置等の情報処理装置である。管理端末20は、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7をユーザ端末10のアカウントに発行する。
【0020】
ユーザ端末10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、管理端末20が発行したトークンを用いて、ユーザ端末10に係るアカウントが保有するアセットの譲渡(取引)又は消費を行う。
【0021】
管理端末20及び各ユーザ端末10の間は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、専用線等の有線又は無線の通信ネットワーク2で接続される。
【0022】
以上のトークン管理システム1は、例えばイーサリアム(Ethereum)を用いて実現されるが、以下に説明する各機能が実装可能であれば、他のプラットフォームを利用して実現してもよい。
【0023】
次に、ユーザ端末10及び管理端末20が備える機能を説明する。
【0024】
図2は、ユーザ端末10及び管理端末20(以下、ノードという)が記憶しているトークン3(譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7)におけるスマートコントラクトの主な機能の一例を説明する図である。
【0025】
まず、譲渡可能トークン5は、有償分譲渡履歴51を記憶する。有償分譲渡履歴51は、アカウント間での譲渡可能トークン5の譲渡の履歴(所有権の移転ないし譲渡の履歴)を記録した情報である。本実施形態では、有償分譲渡履歴51は、ブロックチェーンデータの一部として構成される。有償分譲渡履歴51は、例えば、譲渡可能トークン5の移転元のアカウント、移転先のアカウント、及び移転した譲渡可能トークン5の量(数)の履歴を含む。
【0026】
次に、譲渡可能トークン5は、有償分発行部52、有償分譲渡実行部53、及び有償分情報確認部54の各機能を備える。
【0027】
有償分発行部52は、譲渡可能トークン5を生成し、生成した譲渡可能トークン5をユーザ端末10に発行する。発行された譲渡可能トークン5の情報は有償分譲渡履歴51に記録される。なお、有償分発行部52は、本実施形態では、管理端末20に係るアカウントからの実行要求があった場合にのみ実行されるものとする。すなわち、譲渡可能トークン5の発行は管理アカウント(又は管理端末20)のみが実行できる。
【0028】
有償分譲渡実行部53は、指定されたアカウント間の、指定された量の譲渡可能トークン5の譲渡(取引)を実行する。例えば、有償分譲渡実行部53は、移転元のアカウントから、指定された移転先のアカウントに、指定された量(数)の譲渡可能トークン5の所有権を移転する。譲渡可能トークン5の譲渡の履歴は有償分譲渡履歴51に記録される。有償分譲渡実行部53は、例えば、Ethereumにおけるtransfer関数である。
【0029】
有償分情報確認部54は、指定されたアカウントが現在所持する譲渡可能トークン5の情報(例えば、現在の残高の情報)を取得し、取得した情報を当該アカウント(に係るノード)に送信する。有償分情報確認部54は、例えば、EthereumにおけるbalanceOf関数である。
【0030】
なお、上記の有償分譲渡履歴51、有償分発行部52、有償分譲渡実行部53、及び有償分情報確認部54の少なくともいずれかは、譲渡不能トークン7におけるスマートコントラクト(又はデータ)として実装されてもよい。
【0031】
次に、譲渡不能トークン7は、無償分消費履歴71を記憶する。無償分消費履歴71は、各アカウントの、譲渡不能トークン7の取得(発行)及び消費の履歴を記録した情報である。本実施形態では、無償分消費履歴71は、ブロックチェーンデータの一部として構成される。無償分消費履歴71は、例えば、譲渡不能トークン7の発行元のアカウント、譲渡不能トークン7を取得したアカウント、消費した譲渡不能トークン7の量(数)、及び消費の用途の履歴を含む。
【0032】
譲渡不能トークン7は、無償分発行部72、消費処理部73、無償分情報確認部74、及び有償無償分情報確認部75を備える。
【0033】
無償分発行部72は、譲渡不能トークン7を生成し、生成した譲渡不能トークン7をユーザ端末10に発行する。発行されたトークンの情報は無償分消費履歴71に記録される。なお、有償分発行部52は、本実施形態では、管理端末20に係るアカウントからの実行要求があった場合にのみ実行される。すなわち、譲渡不能トークン7の発行は管理アカウント(又は管理端末20)のみが実行できるものとする。無償分発行部72は、有償分発行部52と共に実行されてもよい。
【0034】
消費処理部73は、譲渡不能トークン7の消費量の指定を受け付け、指定された消費量の消費を譲渡不能トークン7に関して実行する。この消費の情報は、無償分消費履歴71に記録される。
【0035】
なお、本実施形態では、消費処理部73は、譲渡可能トークン5に関する消費も実行可能である。すなわち、消費処理部73は、指定された消費量のうち一部を、譲渡不能トークン7において消費して無償分消費履歴71を更新し、残部を譲渡可能トークン5において消費して有償分譲渡履歴51を更新する。
【0036】
この場合、消費処理部73は、譲渡不能トークン7の消費ルールの指定を受け付け、指定された消費ルールの内容に応じて、指定された消費量の消費を、譲渡不能トークン7及び譲渡可能トークン5のそれぞれにおいて分配して行う。
【0037】
次に、無償分情報確認部74は、アカウントの指定を受け付け、指定されたアカウントに対応づけられている譲渡不能トークン7の情報を出力する。
【0038】
有償無償分情報確認部75は、アカウントの指定を受け付け、指定されたアカウントに係る譲渡不能トークン7の情報と、指定されたアカウントに係る譲渡可能トークン5の情報とを統合した情報(例えば、譲渡不能トークン7の現在の所持量と譲渡可能トークン5の現在の所持量の合計値)を出力する。
【0039】
ここで、
図3は、各ノードが備えるハードウェアの一例を示す図である。端末5は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置91と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置92と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置93と、キーボード、マウス、タッチパネルなどからなる入力装置94と、モニタ(ディスプレイ)等からなる出力装置95と、他の情報処理装置と通信を行う通信装置96とを備える情報処理装置である。ノードの各機能は、ノードのハードウェアによって、もしくは、ノードの処理装置91が主記憶装置92や補助記憶装置93に記憶したプログラム(スマートコントラクト)を実行することによって実現される。また、これらのプログラムは、例えば、二次記憶デバイスや不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSDなどの記憶デバイス、又は、ICカード、SDカード、DVDなどの、各ノードで読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納される。
続いて、トークン管理システム1において行われる処理について説明する。
【0040】
<新規発行処理>
図4は、譲渡不能トークン7を譲渡可能トークン5と共に発行する処理である新規発行処理の一例を説明するフロー図である。
【0041】
新規発行処理は、ユーザ端末10に係るアカウントによる譲渡可能トークン5のための決済処理が実行された後、管理端末20に係るアカウント(管理アカウント)から所定の発行要求が譲渡可能トークン5に入力された場合に開始される(s11)。決済処理は、例えば、管理端末20又は管理端末20に紐付けられる決済システムが実行する、ユーザ端末10に係るアカウントからの要求に基づいた、譲渡可能トークン5の購入のためのクレジットカード決済又は電子決済(例えばETHによる決済)等である。なお、この決済額は、本実施形態では固定されているものとする。
【0042】
まず、有償分発行部52は、管理アカウントからの発行要求に含まれる管理アカウント、発行する譲渡可能トークン5に係るアセットの量(数)、及び発行先のアカウントを特定する(s13)。
【0043】
有償分発行部52は、s13で特定したアセットの量の譲渡可能トークン5を、発行先のアカウントに設定することで、譲渡可能トークン5の生成及び発行を実現する(s15)。具体的には、無償分発行部72は、有償分譲渡履歴51に、s13で特定した管理アカウント、譲渡可能トークン5に係るアセットの量、及び発行先のアカウントの情報を追加する。その後、有償分譲渡履歴51(譲渡可能トークン5)の内容は全ノードで共有される。
【0044】
次に、無償分発行部72は、s13で特定したアセットの量の譲渡不能トークン7を、発行先のアカウントに設定することで、譲渡不能トークン7の生成及び発行を実現する(s17)。
【0045】
具体的には、無償分発行部72は、s13で特定した譲渡可能トークン5に係るアセットの量に基づき、譲渡不能トークン7に係るアセットの量(発行量)を算出する(例えば、譲渡可能トークン5に係るアセットの発行量の所定割合とする)。そして、無償分発行部72は、無償分消費履歴71に、s13で特定した管理アカウント、譲渡不能トークン7に係るアセットの量、及び発行先のアカウントの情報を追加する。その後、無償分消費履歴71(譲渡不能トークン7)の内容は全ノードで共有される。以上で新規発行処理は終了する。
【0046】
なお、無償分発行部72は、発行する譲渡不能トークン7に係るアセットの具体的な量の指定を発行要求に基づき受け付けてもよい。
【0047】
また、s17の処理は、s15における譲渡可能トークン5の発行処理後続けて行われてもよいし、s15の処理後、時間をおいて行われてもよいし、当該処理は行われなくてもよい。
【0048】
<追加発行処理>
図5は、譲渡不能トークン7にアセットを追加する処理である追加発行処理の一例を説明するフロー図である。追加発行処理は、譲渡可能トークン5の発行後であって、予め設定したタイミングが到来した場合、管理端末20が所定の処理を実行した場合、又は管理アカウントから所定の発行要求が譲渡不能トークン7に入力された場合等に開始される。ただし、追加発行処理は、譲渡可能トークン5の発行前に実行されてもよい(その場合は、譲渡可能トークン5のアセットの種類は特定されている必要がある)。
【0049】
無償分発行部72は、発行要求に含まれる管理アカウント、発行する譲渡不能トークン7に係るアセットの量、及び発行先のアカウントを特定する(s31)。
【0050】
無償分発行部72は、s31で特定したアセット量の譲渡不能トークン7を、発行先のアカウントに設定することで、譲渡不能トークン7の生成及び発行を実現する(s33)。具体的には、無償分発行部72は、無償分消費履歴71に、s31で特定した管理アカウント、譲渡不能トークン7に係るアセットの量、及び発行先のアカウントの情報を追加する。その後、無償分消費履歴71(譲渡不能トークン7)の内容は全ノードで共有される。
以上で追加発行処理は終了する。
【0051】
<消費処理>
次に、
図6は、消費処理の一例を説明するフロー図である。消費処理は、例えば、ユーザ端末10に係るアカウントから所定の消費指示が譲渡不能トークン7に入力された場合に開始される。
【0052】
消費処理部73は、入力された消費指示に含まれるアカウント、アセットの消費量、用途、及び消費ルール(ここでは、譲渡可能トークン5における消費と譲渡不能トークン7における消費の間の優先順位の高低)の情報を取得する(s51)。
【0053】
消費処理部73は、分配方法の情報に基づき、譲渡不能トークン7での消費を譲渡可能トークン5での消費より優先するか否かを判定する(s53)。譲渡不能トークン7での消費を優先する場合は(s53:YES)、消費処理部73はs55の処理を実行し、譲渡不能トークン7での消費を優先しない場合は(s53:NO)、消費処理部73は後述するs69の処理を実行する。
【0054】
s55において消費処理部73は、s51で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7のアセットの現在の所持量を取得する。具体的には、消費処理部73は、無償分消費履歴71を参照することで、現在の所持量を取得する。
【0055】
そして、消費処理部73は、s51で特定した消費量が、上記取得した現在の譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量以上であるか否かを確認する(s57)。
【0056】
s55で特定した消費量が現在の譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量以上である場合には(s57:YES)、消費処理部73はs59の処理を実行し、s51で特定した消費量が現在の現在の譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量未満である場合には(s57:NO)、消費処理部73はs61の処理を実行する。
【0057】
s59において消費処理部73は、譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量を、s51で特定した消費量の分だけ減少させる。具体的には、消費処理部73は、無償分消費履歴71に対して、s51で特定した用途のために、s51で特定したアカウントの譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量をs51で特定した消費量の分だけ減少したことを示す履歴を追加する。
【0058】
なお、消費処理部73は、s51で特定した用途が示す所定の処理を実行してもよい。
【0059】
その後、無償分消費履歴71の内容は全ノードで共有される(s61)。以上で消費処理は終了する。
【0060】
s63において消費処理部73は、有償分における、s51で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5の現在の所持量を取得する。具体的には、消費処理部73は、有償分譲渡履歴51を参照することで、現在の譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を取得する。
【0061】
そして、消費処理部73は、譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量を0とする(全て消費する)と共に、例えば有償分譲渡実行部53を呼び出すことで、不足分のアセットを譲渡可能トークン5で消費する(s65)。
【0062】
具体的には、消費処理部73は、無償分消費履歴71に対して、s51で特定した用途により、s51で特定したアカウントの譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を0に減少したことを示す履歴を追加する。
【0063】
そして消費処理部73は、有償分譲渡履歴51に対して、s51で特定したアカウントの譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を、s51で特定した消費量に対して譲渡不能トークン7の所持量が不足していた分だけ減少したことを示す履歴を追加する。この場合、消費処理部73は、s51で指定された用途に応じて、減少した分のアセットを他アカウントに移転した履歴を記憶する(すなわち譲渡の履歴を記憶する)ようにしてもよい。
【0064】
なお、消費処理部73は、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7に係るアセットの現在の合計所持量がs51で特定した消費量以上であるか否かを確認し、合計所持量がs51で特定した消費量未満である場合には、エラー情報を出力して消費処理を終了してもよい。
【0065】
また、消費処理部73は、s51で特定した用途が示す所定の処理を実行してもよい。
【0066】
その後、有償分譲渡履歴51及び無償分消費履歴71は全ノードで共有される(s67)。以上で消費処理は終了する。
【0067】
一方、s69において消費処理部73は、s51で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量が、s51で特定した消費量以上であるか否かを判定する。
【0068】
譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量がs51で特定した消費量以上である場合は(s69:YES)、消費処理部73はs71の処理を実行し、当該所持量がs51で特定した消費量未満である場合は(s69:NO)、消費処理部73はs75の処理を実行する。
【0069】
s71において消費処理部73は、例えば有償分譲渡実行部53を呼び出すことで、譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を、s51で特定した消費量の分だけ減少させる。具体的には、消費処理部73は、有償分譲渡履歴51に対して、s51で特定した用途のため、s51で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を、s51で特定した消費量の分だけ減少したことを示す履歴を追加する。なお、この場合、消費処理部73は、s51で指定された用途に応じて、減算した分のアセットを他アカウントに移転した履歴を記憶する(すなわち取引の履歴を記憶する)ようにしてもよい。
【0070】
なお、消費処理部73は、s51で特定した用途のための処理を実行してもよい。
【0071】
その後、有償分譲渡履歴51は、全ノードで共有される(s73)。以上で消費処理は終了する。
【0072】
s75において消費処理部73は、s51で特定したアカウントに係るアセットの譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量を取得する。具体的には、消費処理部73は、無償分消費履歴71を参照することで、譲渡不能トークン7に係るアセットの現在の所持量を取得する。
【0073】
そして、消費処理部73は、譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を0とする(全て消費する)と共に、例えば有償分譲渡実行部53を呼び出すことで、不足分を譲渡不能トークン7で消費する(s77)。
【0074】
具体的には、消費処理部73は、有償分譲渡履歴51に対して、s51で特定した用途のために、s51で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量を0に減少したことを示す履歴を追加する。なお、この場合、消費処理部73は、s51で指定された用途に応じて、減算した分のアセットを所定のアカウントに移転した履歴を有償分譲渡履歴51に記憶する(すなわち取引の履歴を記憶する)ようにしてもよい。
【0075】
そして、消費処理部73は、無償分消費履歴71に対して、s51で特定した用途のために、s51で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7の所持量を、s51で特定した消費量に対して譲渡可能トークン5の所持量が不足していた分(消費量の残部)だけ減少したことを示す履歴を追加する。
【0076】
なお、消費処理部73は、s51で特定した用途のための所定の処理を実行してもよい。
【0077】
その後、無償分消費履歴71及び有償分譲渡履歴51は全ノードで共有される(s79)。以上で消費処理は終了する。
【0078】
<無償分情報確認処理>
図7は、無償分情報確認処理の一例を説明するフロー図である。無償分情報確認処理は、例えば、ユーザ端末10又は管理端末20に係るアカウントから所定の確認要求が譲渡不能トークン7に入力された場合に開始される。
【0079】
無償分情報確認部74は、入力された確認要求に含まれるアカウントを特定する(s81)。なお、無償分情報確認部74は、s81で特定したアカウントに譲渡不能トークン7の情報が元々設定されているか否かを確認し、譲渡不能トークン7の情報が設定されていない場合は、エラー情報を出力して無償分情報確認処理を終了してもよい。
【0080】
そして、無償分情報確認部74は、s81で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7の情報を取得する(s83)。具体的には、無償分情報確認部74は、無償分消費履歴71から、s81で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7に係るアセットの現在の所持量を取得する。
【0081】
そして、無償分情報確認部74は、s83で取得した情報を、確認要求を入力してきたアカウントに返信する(s85)。以上で無償分情報確認処理は終了する。
【0082】
<有償無償分情報確認処理>
図8は、有償無償分情報確認処理の一例を説明するフロー図である。有償無償分情報確認処理は、例えば、トークン管理システム1におけるアカウントから譲渡不能トークン7に所定の確認要求が入力された場合に開始される。
【0083】
有償無償分情報確認部75は、入力された確認要求に含まれるアカウントを特定する(s91)。
【0084】
有償無償分情報確認部75は、s91で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5の情報を取得する(s93)。具体的には、有償無償分情報確認部75は、有償分譲渡履歴51から、s91で特定したアカウントに係る譲渡可能トークン5に係るアセットの現在の所持量を取得する。
【0085】
また、有償無償分情報確認部75は、s91で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7の情報を取得する(s95)。具体的には、有償無償分情報確認部75は、無償分消費履歴71から、s91で特定したアカウントに係る譲渡不能トークン7に係るアセットの現在の所持量を取得する。
【0086】
そして、有償無償分情報確認部75は、s93で取得した情報とs95で取得した情報とを統合した情報を、確認要求を入力してきたアカウントに返信する(s97)。
【0087】
例えば、有償無償分情報確認部75は、s93で取得した譲渡可能トークン5に係るアセットの所持量とs97で取得した譲渡不能トークン7に係るアセットの所持量との合計値、又は、それぞれの所持量を示した情報を返信する。以上で有償無償分情報確認処理は終了する。
【0088】
以上のように、本実施形態のトークン管理システム1における管理端末20(トークン生成装置)は、固定価額で発行される譲渡可能トークン5のアセットに係る他のトークンである譲渡不能トークン7における当該アセットの消費の履歴を記憶し(無償分消費履歴71)、指定された消費量のアセットを消費すると共にその消費量の消費を無償分消費履歴71に記憶するスマートコントラクトを備えるトークンを生成、発行する。
【0089】
これにより、アセットに関して通常の譲渡が可能なトークン(譲渡可能トークン5)とは別に、消費のみを行うアセットのトークン(譲渡不能トークン7)を取り扱うことができる。すなわち、有償で取得されるアセットは譲渡可能なトークンとし、無償で取得されるアセットは消費のみを行うトークンとすることができる。これにより、例えば、無償で取得される譲渡不能トークン7をインセンティブとして有償の譲渡可能トークン5をより多くのユーザに購入させることができる。また、譲渡不能トークン7を伴う譲渡可能トークン5はさらに他のサービスに係るトークンと交換可能であるから、これを通じてより多くのユーザ(例えば、複数のサービスを跨ぐ多くのユーザ)を獲得することができる。
【0090】
また、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7はERC20規格をベースに実装することができるので、ゲーム内通貨等、コンテンツ独自のアセットトークンを取り扱う場合に、コンテンツの特性に応じた柔軟な仕様のアセットトークンを定義することができる。また、イーサリアム等の既存のプラットフォームを利用して譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7を実装できるため、プラットフォーマーを介入させる必要がなく、トークンの決済に係る手数料を最小限に保つことができる。
【0091】
また、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7はブロックチェーンにおけるスマートコントラクトとして構成することができるため、アセットの譲渡及び消費の履歴が明確に記録され、第三者による改ざんも不可能である。
【0092】
また、当該アセットに関するサービス提供者は、譲渡可能トークン5を継続的な固定価格とすることで、譲渡可能トークン5を、仮想通貨に該当しない前払式支払手段(例えば、JPYC)として発行しつつ、無償の譲渡不能トークン7も発行できる。他方、ユーザは譲渡不能トークン7というインセンティブのメリットを享受できるだけでなく、譲渡可能トークン5に係るサービスが終了した場合にはサービス提供者に譲渡可能トークン5相当分の返金義務が発生するため、ユーザにとっては、投資したトークンの譲渡可能トークン5の価値が担保されるというメリットが享受できる。
【0093】
このように、本実施形態の管理端末20(トークン生成装置)によれば、継続的に固定価格で有償で発行されるトークンと、無償で発行されるトークンとを提供することができる。
【0094】
また、本実施形態のトークン管理システム1における譲渡不能トークン7は、指定されたアセットの消費量のうち一部を、譲渡不能トークン7における無償分消費履歴71に記憶し、残部を譲渡可能トークン5における消費として記憶する。このように、アセットの消費を有償分及び無償分のそれぞれから行うことができるので、ユーザは自己の保持するトークンの内訳に基づいて自由にアセットを利用することができる。
【0095】
また、ユーザは、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7を見た目上区別なく利用可能である一方、サービス提供者は両者をデータ上明確に区別することができ、例えば譲渡可能トークン5(前払式支払手段)の未使用残高の情報を譲渡可能トークン5から容易に抽出して把握できる。これにより、サービス提供者は、前払式支払手段としての譲渡可能トークン5の未使用残高の所定官庁への届出といった業務を容易に行うことができる。
【0096】
また、本実施形態のトークン管理システム1における譲渡不能トークン7は、譲渡不能トークン7の消費ルールの指定を受け付け、その消費ルールに応じて、指定された消費量の消費を、譲渡不能トークン7及び譲渡可能トークン5における消費に配分する。このように有償分と無償分の消費の分配方法(本実施形態では譲渡不能トークン7及び譲渡可能トークン5の間の優先順位の高低の決定)を設定することで、ユーザはインセンティブの活用方法を選択することができる。
【0097】
また、本実施形態のトークン管理システム1における譲渡不能トークン7は、譲渡不能トークン7の消費優先度が譲渡可能トークン5の消費優先度より高い場合に、指定された消費量が譲渡不能トークン7のアセット量より多ければ、譲渡不能トークン7を全て消費すると共に、譲渡不能トークン7で消費された分を除く残部を譲渡可能トークン5において消費する。このように無償分の消費を特に優先することで、ユーザは、譲渡可能トークン5の投下分の回収の可能性を最大限確保することができる。
【0098】
以上に説明した実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
【0099】
例えば、本実施形態で説明した各ノードのスマートコントラクトの一部は、他のスマートコントラクトに組み込んでもよいし、複数のスマートコントラクトを一つのスマートコントラクトに統合してもよい。
【0100】
また、本実施形態で説明した各ノードのスマートコントラクトの機能の一部は、ブロックチェーンから独立した装置が実行し、これをトークン(スマートコントラクト)に実行させるものとしてもよい。
【0101】
また、トークン管理システム1は、複数種類のアセットを取り扱う(複数種類のアセットのそれぞれに関して、譲渡可能トークン5及び譲渡不能トークン7を取り扱う)ようにしてもよい。
【0102】
また、譲渡不能トークン7は、発行先のアカウントの種類、消費の用途等の属性に応じて、2以上のトークンに分割してもよい。
【0103】
また、譲渡不能トークン7の発行時に予め、各アカウントの消費の用途を指定し、指定した用途以外の用途による消費ができないようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、譲渡不能トークン7の発行は完全に無償であるものとしたが、譲渡不能トークン7の発行に、譲渡可能トークン5に係る決済以外の何らかの対価を必要とするものとしてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、有償無償分情報確認部75は、トークンの所持量の合計値を出力するものとしたが、その他の統合情報を出力してもよい。
【0106】
また、本実施形態では、消費処理部73は、譲渡不能トークン7及び譲渡可能トークン5の消費ルール(分配方法)を定める場合、譲渡不能トークン7又は譲渡可能トークン5の一方が枯渇した場合に他方を消費することとしたが、それ以外の分配方法の取り扱いを定めてもよい。例えば、譲渡不能トークン7及び譲渡可能トークン5を同時並行的に、それぞれ異なる所定割合で消費するような分配方法の定め方をしてもよい。また、例えば、譲渡不能アセット又は譲渡可能トークン5について、消費の上限又は下限を定めてもよい。また、譲渡不能トークン7が枯渇した場合には、消費量が不足する場合でも、譲渡可能トークン5を消費しないようにしてもよい(その逆にしてもよい)。
【符号の説明】
【0107】
1 トークン管理システム、2 通信ネットワーク、10 ユーザ端末、20 管理端末、3 トークン、5 譲渡可能トークン、7 譲渡不能トークン、51 有償分譲渡履歴、52 有償分発行部、53 有償分譲渡実行部、54 有償分情報確認部、71 無償分消費履歴、72 無償分発行部、73 消費処理部、74 無償分情報確認部、75 有償無償分情報確認部、91 処理装置、92 主記憶装置、93 補助記憶装置、94 入力装置、95 出力装置、96 通信装置
【要約】
トークン生成装置は、所定価額で発行される有償トークンに係るアセットに関する、有償トークンと異なるトークンにおける当該アセットの消費の履歴を記憶する無償分消費履歴記憶部と、アセットの消費量の指定を受け付け、指定された消費量のアセットを前記トークンにおいて消費したことを示す情報を消費の履歴に記憶する消費処理部73と、を有するスマートコントラクトを備えるトークンを生成する。