(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックス及びその応用
(51)【国際特許分類】
A24C 5/01 20200101AFI20221116BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20221116BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221116BHJP
【FI】
A24C5/01
A24D1/20
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020573427
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2019095704
(87)【国際公開番号】W WO2020258389
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】201910570232.3
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520510416
【氏名又は名称】チャイナ・タバコ・カントン・インダストリアル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHINA TOBACCO GUANGDONG INDUSTRIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8-16F, No.186, Linhexiheng Road, Tianhe District Guangzhou, Guangdong 510500 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ルイフォン
(72)【発明者】
【氏名】リー フォン
(72)【発明者】
【氏名】フー チン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シー
(72)【発明者】
【氏名】リウ イーポー
(72)【発明者】
【氏名】ルー チーチン
(72)【発明者】
【氏名】シャン チン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/215781(WO,A1)
【文献】特表2019-505184(JP,A)
【文献】特開2019-000094(JP,A)
【文献】特許第3001583(JP,B2)
【文献】特表2007-507231(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/01
A24D 1/20
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨化タバコ刻、複合タバコ刻及び/又はタバコシートを無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコマトリックスの密度が0.25~0.70g/cm
3であ
り、
膨化タバコ葉刻の質量が、タバコマトリックスの全質量の5%~40%であり、
前記膨化タバコ刻は、充填値が4.5~7.5cm
3
/gであり、完全カットレート(whole cut rate)が70~90%である、ことを特徴とするタバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項2】
水分が5.0~12.5質量%である、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項3】
少なくとも1種の成分の水分が5.0~11.0質量%である、ことを特徴とする請求項2に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項4】
前記膨化タバコ刻のサイズが≧1.0mmである、ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項5】
前記膨化タバコ刻は、膨化タバコ葉刻及び/又は膨化中骨刻である、ことを特徴とする請求項
4に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項6】
複合タバコ刻の質量が、タバコマトリックスの全質量の0~95%である、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項7】
タバコシートの質量が、タバコマトリックスの全質量の0~95%である、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項8】
前記タバコシートのサイズが、厚さ0.1~0.3mm、長さ2~30mm、幅1~2mmである、ことを特徴とする請求項
7に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項9】
前記複合タバコ刻及び/又はタバコシート及び/又は膨化タバコ刻には、タバコ抽出物、霧化剤及び香味成分が担持されている、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックス。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の加熱非燃焼式タバコマトリックスを備える、ことを特徴とする加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項11】
加熱非燃焼式巻きタバコを加熱素子に挿入して固定して加熱し、喫煙し、喫煙終了後、加熱非燃焼式巻きタバコを少なくとも30度回転させて抜き出す、ことを特徴とする請求項1
0に記載の加熱非燃焼式巻きタバコの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新型タバコ製品の分野に関し、特にタバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックス及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、加熱非燃焼式巻きタバコの研究・開発はタバコ産業の研究の焦点となっており、従来の巻きタバコと異なり、「加熱非燃焼」というアイディアで設計された加熱非燃焼式巻きタバコは、葉タバコ又はタバコ材料を燃焼させることなく、葉タバコ又はタバコ材料を、味を放出する程度に加熱することができる。通常、従来の巻きタバコは、喫煙温度が900℃以上と高く、葉タバコ又はタバコ材料が高温条件で燃焼、加熱解、熱合成などの反応を行って多くの潜在的有害物質(HPHCs)を発生させ、一方、加熱非燃焼式巻きタバコは、喫煙温度が400℃以下であるので、燃焼過程におけるHPHCsの発生を減らすことができる。加熱非燃焼式巻きタバコは、主に、タバコマトリックスと加熱装置を組み合わせ、加熱装置による熱を利用してタバコマトリックス成分を加熱して喫煙用のエアロゾルを発生させるものである。両方を組み合わせて使用する際にタバコマトリックスを加熱装置の加熱室に挿入し、タバコマトリックスが加熱されて吸われた後、タバコマトリックスと加熱装置を分離する必要があり、通常加熱装置の挿抜によりタバコ刻が落ちてヒータに残されることがあり、ヒータのクリーニングや後続の使用に不利となるとともに、環境衛生にも悪影響を与える。現在、従来の巻きタバコの灰が落ちることの防止手段としては、巻きタバコ用紙の外に一層の金属メッシュが被覆されるが、このような手段は低温不燃焼式タバコに適しておらず、巻きタバコ用紙の外にメッシュが被覆されても、タバコマトリックスに加熱装置を挿抜することによりタバコ刻が落ちることを防止することができず、また、金属メッシュはタバコマトリックスや加熱装置へ摩擦によるダメージを与える。該タバコマトリックスを挿抜するときにタバコ刻が落ちることを回避するために、特許CN107205494Aでは、タバコが加熱室に落ちないようにする抽出器に関する特許技術が開示されているが、毎回使用した後に抽出器を操作してタバコ刻を取り出す必要があるので、操作が複雑であり、そして抽出器に落ちた残留タバコ刻をクリーニングしなければならない。本分野では、タバコマトリックス自体に対する改良により、タバコマトリックスを挿抜するときにタバコ刻が落ちるという問題を解決することが期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、タバコ刻が落ちるという従来技術の欠点を解決するために、タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスを提供することである。
【0004】
本発明の目的は、タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスを備える加熱非燃焼式巻きタバコを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、加熱非燃焼式巻きタバコの使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は以下の技術案によって実現される。
【0007】
タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスであって、膨化タバコ刻、複合タバコ刻及び/又はタバコシートを無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコマトリックスの密度が0.25~0.65g/cm3である。
【0008】
膨化タバコ刻は、フィラーとしてタバコマトリックスに添加され、タバコの他の成分と無秩序に混ぜられることで膨化タバコ刻製タバコマトリックスの無秩序な絡み合い度を高め、ヒータの挿抜においてタバコマトリックス全体の安定性を維持し、タバコマトリックスに対して良好な支持作用を果たし、挿抜するときにタバコ刻が落ちるタバコ刻落ち率を効果的に低下させる。また、膨化タバコ刻の添加により、タバコマトリックス全体の充填率が調整され、エアチャンネルの通気が確保され、加熱により生成されたエアロゲルの流通や熱の伝達に有利である。
【0009】
密度又は充填値はタバコ刻の緻密度として示され、密度が大きすぎると、タバコマトリックスの質量が増大し、緻密過ぎるようになり、シガレット「先端部のクラック」や喫煙するときの気流の遮断、抵抗増大の問題が発生しやすく、密度が小さすぎると、各成分同士の相互作用力が不十分であり、タバコ刻が落ちやすくなる。
【0010】
好適な密度とする際には、発熱素子がタバコ刻に挿入されたときに、内部構造が安定的であり、そして発熱素子による押し出しによりできるだけ大面積で発熱素子と接触し、熱伝達効率を高め、また、発熱素子による押し出しでタバコマトリックスが好適な気流の通路や通気を可能とし、加熱・ベーク後にもタバコ構造が安定的な形態に維持され得ることを考慮に入れるべきである。
【0011】
好ましくは、前記タバコマトリックスの水分が5.0~12.5質量%である。
【0012】
具体的なタバコマトリックスにおいて、タバコマトリックスは、密度0.25g/cm3、水分10.5質量%、密度0.45g/cm3、水分11.5質量%、又はシガレットの密度0.65g/cm3、水分9.5質量%であってもよい。
【0013】
タバコ刻の水分が、官能特徴、タバコ刻の脆性や弾性のいずれにも重要な影響を与え、さらにその加工性能に影響し、ある成分の水分が従来の巻きタバコよりも11.5~12.5%低いレベルに制御される。
【0014】
好ましくは、タバコマトリックスの3種類の成分のうち少なくとも1種の水分が5.0~11.0%に制御され、それによって、タバコマトリックス全体の水分を調整する一方、タバコマトリックス全体の物理的特性を調整することができ、機械加工を容易にする。水分や加工性能に影響を及ぼさないとともに、脆性を高め、無秩序なタバコ構造の安定性を確保する。
【0015】
好ましくは、膨化タバコ刻の質量が、タバコマトリックスの全質量の5%~40%である。
【0016】
好ましくは、膨化タバコ刻の質量が、タバコマトリックスの全質量の15%~30%である。
【0017】
膨化タバコ葉刻は、製造過程に香味成分が大きく損失されるので、香喫味が濃厚ではなく、発明者は、絶えずに研究した結果、膨化タバコ葉刻の添加量が15%~30%である場合、タバコマトリックスの喫煙感を十分に確保できるとともに、タバコ刻の落下を効果的に防止できることを見出した。
【0018】
好ましくは、前記膨化タバコ刻は、充填値が、4.5~7.5cm3/g、完全カットレート(whole cut rate)が70~90%である。たとえば、充填値が7.12cm3/g、4.88cm3/g、6.21cm3/g又は6.07cm3/gであり、完全カットレート(whole cut rate)が、70%、75%、80%、83%、85%又は87%である。
【0019】
膨化タバコ刻の充填値は膨化効果の重要な指標であり、高充填率は、タバコマトリックス全体の充填率を直接改善でき、完全カットレート(whole cut rate)は膨化タバコ刻構造の主な指標であり、タバコマトリックスに対する膨化タバコ刻の支持作用を効果的に確保でき、一定の完全カットレート(whole cut rate)とすると、膨化タバコ刻とタバコシートとの絡み合い度の向上にも有利であり、タバコ刻の落ち率を効果的に減らす。
【0020】
好ましくは、前記膨化タバコ葉刻は、充填値が6.5~7.5cm3/g、完全カットレート(whole cut rate)が83~90%である。
【0021】
好ましくは、前記膨化タバコ刻のサイズが≧1.0mmである。膨化タバコ刻は、サイズが1.0mmより小さい場合細断タバコ刻となり、細断タバコ刻はタバコマトリックスを効果的に支持できない上に、タバコマトリックス全体のエアチャンネルの通気を損ない、喫煙抵抗を増大する。
【0022】
タバコ刻の長さは、曲げ度及び順調に加工できるか否かに影響を及ぼし、タバコ刻が長すぎると、内部のタバコ刻の密度にムラが生じやすく、その結果、「先端部の中空化」や「タバコ本体の一部の膨らみ」が起こり、好適な長さとすると、タバコマトリックスの加工性能に大幅に寄与する。このように好適な長さを有する成分は、複合タバコ刻、タバコシートのうちの任意の1種又は2種であってもよい。各成分の製造方法及び物理性能の差異が大きいため、弾性が高く且つ長さが大きすぎる成分であれば、加熱非燃焼式タバコマトリックスに適しておらず、長さを選択する際には、他の物理的指標をも参酌する。
【0023】
タバコの各成分に関しては、ここでの長さとは、最大又は最幅の箇所でのサイズでもある。
【0024】
好ましくは、前記膨化タバコ刻は、膨化タバコ葉刻及び/又は膨化中骨刻である。
【0025】
好ましくは、前記膨化タバコ刻は膨化タバコ葉刻である。膨化タバコ葉刻は香りや喫煙品質に関しては膨化中骨刻よりも優れ、完全カットレート(whole cut rate)及び膨化サイズも膨化中骨刻よりも大きく、しかも、スペース充填率やタール・害低減については一般的なタバコ刻よりも優れ、このため、タバコマトリックスの喫煙官能性能をさらに向上させることができ、したがって、膨化タバコ葉刻が好ましい。
【0026】
好ましくは、前記複合タバコ刻の質量が、タバコマトリックスの全質量の0~95%である。
【0027】
好ましくは、前記タバコシートの質量が、タバコマトリックスの全質量の0~95%である。
【0028】
好ましくは、前記タバコシートのサイズが、厚さ0.1~0.3mm、長さ2~30mm、幅1~2mmである。
【0029】
タバコシートは、乾法、ロールプレス法や製紙法によって製造でき、これらのうち、製紙法によりタバコシートを製造する場合は、2段法が使用され、つまり、タバコ原料を抽出し、固相を用いて製紙法でタバコシートを製造し、液相を濃縮させた後タバコシートに塗布し、得たタバコシートを細断処理して、タバコシートを得る。タバコシートの長さ及び幅を制御することは、膨化タバコ刻と絡み合うことに有利であり、こわさや空間的な安定性をさらに向上させ、気流通路の増加に有利であるとともに、タバコ刻の落ち率を減らすことができる。
【0030】
好ましくは、前記複合タバコ刻及び/又はタバコシート及び/又は膨化タバコ刻には、タバコ抽出物、霧化剤及び香味成分が担持されている。
【0031】
本発明はまた、加熱非燃焼式巻きタバコを保護し、前記加熱非燃焼式巻きタバコは、前記加熱非燃焼式タバコマトリックスを備える。加熱非燃焼式巻きタバコは、唇側セクション、降温セクション、及び加熱非燃焼式タバコマトリックスセクションを備え、加熱非燃焼式タバコマトリックスセクションは本発明の加熱非燃焼式タバコマトリックスである。
【0032】
本発明はまた、加熱非燃焼式巻きタバコを加熱素子に挿入して固定し加熱し、喫煙し、喫煙終了後、加熱非燃焼式巻きタバコを少なくとも30度回転させて抜き出すステップを含む上記加熱非燃焼式巻きタバコの使用方法を保護する。
【0033】
本発明の加熱非燃焼式巻きタバコは、好ましくは、対応するヒータと組み合わせて使用し、具体的には、ヒータは、発熱素子、発熱素子固定ベース、スリーブ、制御素子、ケース、及びケースにおける挿入口、通気孔、電源スイッチを備え、前記スリーブ、発熱素子、及び挿入口によりタバコマトリックスの加熱室が構成され、前記気流が通気孔を経てヒータ及びシガレットに入り、シガレットが前記挿入口から前記スリーブに挿入され発熱体の熱を受け取り、前記スリーブには位置決め部材が設けられ、加熱非燃焼式タバコマトリックスが発熱素子の熱を最大限に受け取るようにする。
【0034】
具体的に使用する際に、以下のように操作する。
【0035】
(1)加熱非燃焼式巻きタバコを挿入口から前記加熱室に挿入し、前記位置決め部材と接触させる。
(2)電源スイッチボタンを押して加熱を開始し、喫煙用のために、発熱素子の熱で前記加熱非燃焼式タバコマトリックスを加熱する。
(3)喫煙終了後、前記加熱非燃焼式巻きタバコを少なくとも30度回転させて抜き出す。
【0036】
タバコ刻が落ちない根本的な原因は、安定的な構造、適切な強度にあり、発熱棒が挿入されていても構造が安定的に維持され、しかも、発熱棒による押し出し作用のおかげで加熱されていても内部の形態には明らかな変化がない。
【発明の効果】
【0037】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0038】
(1)本発明の加熱非燃焼式巻きタバコでは、膨化タバコ刻をタバコの他の成分と無秩序に混ぜて絡み合わせることで、タバコマトリックスに対して良好な支持作用を果たすとともに、タバコマトリックス全体の安定性を確保し、タバコ刻の落ち率を効果的に低下させる。
【0039】
(2)本発明の加熱非燃焼式巻きタバコでは、タバコマトリックスの密度を制御することにより、構造の安定性を確保する一方、タバコマトリックス全体の充填率を調整し、エアチャンネルの通気を確保し、加熱により生成されたエアロゲルの流通や熱の伝達に有利である。
【0040】
(3)本発明の加熱非燃焼式巻きタバコでは、各成分を配合して性能を相互作用させることで、タバコマトリックスのエアチャンネルの通気や良好な喫煙の官能性質が確保される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、特定実施形態を参照しながら本発明をさらに説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。別に断らない限り、本発明の実施例で使用される試薬、方法、及び装置は本技術分野で一般的な試薬、方法及び装置である。
【0042】
特に断らない限り、本発明で使用される試薬及び材料はすべて市販品である。
【0043】
実施例1
タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスであって、タバコマトリックスは、膨化タバコ刻、複合タバコ刻及び/又はタバコシートを無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコマトリックスの密度が0.25g/cm3、タバコマトリックスの水分が10.5質量%である。
【0044】
実施例2
タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスであって、タバコマトリックスは膨化タバコ刻、複合タバコ刻及び/又はタバコシートを無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコマトリックスの密度が0.65g/cm3、タバコマトリックスの水分が9.5質量%である。
【0045】
実施例3~9
タバコ刻の落下防止可能な加熱非燃焼式タバコマトリックスであって、タバコマトリックスは膨化タバコ刻、複合タバコ刻及び/又はタバコシートを無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコマトリックスの密度が0.45g/cm3、タバコマトリックスの水分が8質量%、タバコシートの質量がタバコマトリックスの全質量の50%、膨化タバコ刻のサイズが≧1.0mmである。
【0046】
タバコシート及び膨化タバコ葉刻の具体的なパラメータを表1に示す。
表1
【0047】
結果検出
上記タバコマトリックスを400本製造し、ヒータと組み合わせて喫煙実験を行った。
【0048】
具体的な喫煙実験は以下のとおりである。
(1)加熱非燃焼式巻きタバコを挿入口から前記加熱室に挿入し、前記位置決め部材と接触させた。
(2)電源スイッチボタンを押して加熱を開始し、喫煙用のために、発熱素子の熱で前記加熱非燃焼式タバコマトリックスを加熱した。
(3)喫煙終了後、前記加熱非燃焼式巻きタバコを少なくとも30度回転させて抜き出した。
【0049】
加熱喫煙後、タバコ刻の落ち率を評価し、ここで、5点:タバコ刻がほぼ落ちない。4点:少量のタバコ刻が落ちる。3点:一部のタバコ刻が落ちて、明らかな落ちが認められる。2点:大量のタバコ刻が落ちる。1点:ほぼ全部が落ちる。
【0050】
【0051】
ISO基準6565:2002における方法によって喫煙抵抗を測定した。なお、喫煙抵抗をテストする際に、シガレットをヒータの加熱室に挿入して測定し、結果を表3に示す。
【0052】
【0053】
比較例1
加熱非燃焼式タバコマトリックスは、タバコシートを用いて巻いて製造され、タバコシートは、実施例1と同様に、厚さ0.1mm、長さ2mm、幅1mmである。加熱喫煙後、タバコ刻の落ち率のスコアは4であり、喫煙抵抗は0.935kPaである。
【0054】
比較例2
加熱非燃焼式タバコマトリックスは、タバコシートと膨化タバコ葉刻を無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコシートは、実施例1と同様に、厚さ0.1mm、長さ2mm、幅1mmであり、膨化タバコ葉刻は、充填率7.12cm3/g、完全カットレート(whole cut rate)83%、質量5%である。加熱喫煙後、タバコ刻の落ち率のスコアは3であり、喫煙抵抗は0.845kPaである。
【0055】
比較例3
加熱非燃焼式タバコマトリックスは、タバコシートと膨化タバコ葉刻を無秩序に混ぜて巻いて製造され、タバコシートは、実施例1と同様に、厚さ0.1mm、長さ2mm、幅1mmであり、膨化タバコ葉刻は、充填率7.12cm3/g、完全カットレート(whole cut rate)83%、質量50%である。加熱喫煙後、タバコ刻の落ち率のスコアは5であり、喫煙抵抗は0.445kPaであり、ただし、喫煙の香喫味が極めて悪く、香りが濃厚ではない。
【0056】
上記実施例及び比較例から明らかなように、比較例1では、膨化タバコ葉刻を添加していないタバコシートを用いて巻いたタバコマトリックスは、加熱喫煙後、タバコ刻が落ちやすく、明らかに実施例よりも悪く、比較例2では、添加された膨化タバコ葉刻の含有量が低すぎるので、得られたタバコマトリックスは、加熱喫煙後、タバコ刻の落ちが明らかであり、実施例の効果よりも低く、比較例3では、膨化タバコ葉刻の添加量が大きすぎ、タバコ刻の落ち率を効果的に抑制できるが、過量の膨化タバコ葉刻が添加されると、タバコマトリックスの煙の全体の香りや全体の官能評価が損なわれる。
【0057】
もちろん、本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための例示に過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここですべての実施形態を挙げることが必要ではなく、また不可能なことである。本発明の精神及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、等同置換や改良などは、本発明の特許請求の範囲の特許範囲に含まれるものとする。