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特許7177318障害のある足首の運動期中の経済的な、携帯用の欠損調整型の適応的な補助を提供する方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】障害のある足首の運動期中の経済的な、携帯用の欠損調整型の適応的な補助を提供する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017564398
(86)(22)【出願日】2016-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 US2016038370
(87)【国際公開番号】W WO2016209770
(87)【国際公開日】2016-12-29
【審査請求日】2019-06-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-05
(31)【優先権主張番号】62/182,779
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511298990
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ メリーランド,ボルチモア
(73)【特許権者】
【識別番号】505082888
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ レプリゼンティッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,アニンド
(72)【発明者】
【氏名】マッコ,リチャード エフ.
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0141878(US,A1)
【文献】特開2007-54086(JP,A)
【文献】特開2014-226151(JP,A)
【文献】特開2015-66215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
装置は外骨格型足首ロボットを含み、外骨格型足首ロボットは、
複数の圧力センサー
ピボットに接続された第1の梁および第2の梁を含む外骨格型足首ロボット接続されるように構成され、被験体の肢の正面に取り付けられた可変トルクモーターであって、第1の梁および第2の梁が、それぞれ、被験体の足首で分けられた被験体の第1の肢および第2の肢の正面に連結されるように構成され、可変トルクモーターが、ピボットに第1の平面においてボットにより適用されたトルクに対して電流または電圧の情報を取得するように構成され、ここで可変トルクモーターは、ピボットにおいてジョイントに接続されて、第1の平面にのみトルクを選択的に付与し、第2の平面にトルクを付与しないように構成され、被験体は第2の平面において拘束されない、可変トルクモーター;
足首機能の複数の運動期中に複数の圧力センサーから、現在の運動期に基づいて第1のデータを受信するように構成されたセンサー入力を有する少なくとも1つのプロセッサーであって、圧力センサーは閾値圧力が靴のそのそれぞれの領域において検出されるときに、「オン」位置に切り替わり、それぞれの電圧信号を出力し、閾値圧力が、靴のそのそれぞれの領域において検出されない場合に、「オフ」位置のままであり、それぞれの電圧信号を出力しない、プロセッサー;
1つ以上の一連の命令を含む少なくとも1つのメモリ、を含み、
少なくとも1つのメモリおよび1つ以上の一連の命令は、少なくとも1つのプロセッサーを用いて、少なくとも;
正常な被験体および障害のある被験体の外骨格型足首ロボットのそれぞれのロボット状態パラメーターに基づいて各運動期に対する欠損パラメーターを判定することであって、ここでロボット状態パラメーターは被験体が達成した角度または被験体が適用したトルクであること;
複数の圧力センサーの現在の第1のデータに基づく現在の運動期に基づいてロボットにより適用されたトルクに対するイミングを判定すること;および
現在の運動期に対する欠損パラメーターに基づいてロボットにより適用されたトルクに対するークトルクの大きさを判定することを、装置に実行させるように構成され;
ここで、
可変トルクモーターは、前記大きさおよび前記タイミングを受信するためにメモリと通信しており、前記タイミングに基づいて現在の運動期中にピボットに第1の平面のみにおいて前記大きさでロボットにより適用されたトルクを与えるように構成され、および
装置は、携帯用であり、被験体によって持ち運ばれるように構成され、ここで、第1の平面は底屈-背屈(PD)面で第2の平面は回内―回外(IE)面である、装置。
【請求項2】
各運動期中の関節の速度及び/又は角度などの位置データを測定する少なくとも1つのロボットセンサーであって、センサー入力がさらに、各運動期中に外骨格型ロボット足首のそれぞれのロボット状態パラメーターの少なくとも1つの第2のセンサーから第2のデータを受信するように構成されている、少なくとも1つの第2のセンサーをさらに含み;
ここで、外骨格型足首ロボットは、被験体の足首の上の被験体の第1の肢に取り付けるように構成された近位の取り付けおよび足首より下の被験体の第2の肢に取り付けるように構成された遠位の取り付けを含み、
ここで、第1の平面は第1の梁および第2の梁を通過し、および
ここで、梁の1つは任意選択でリニアアクチュエータであり、第1の肢は脚であり、近位の取り付けは、膝より上の脚にリニアアクチュエータを取り付けるように構成され、および膝装具と該膝装具に固定された取り付けブロックとを任意選択で含み、取り付けブロックは、リニアアクチュエータを膝装具に取り付けるための少なくとも1つの開口部、および取り付けブロックの重量を減少させるための開口部以外のミル加工された部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
梁の1つはリニアアクチュエータであり、ここで第1の肢は脚であり、近位の取り付けは、膝の上の脚にリニアアクチュエータを取り付けるように構成されており、および
近位の取り付けは、膝より下の脚のまわりに固定されたストラップ、およびリニアアクチュエータをストラップに取り外し可能に取り付けるように構成されている、ストラップ上のブロックを任意選択で含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
梁の1つはリニアアクチュエータであり、ここで第2の肢は足であり、遠位の取り付けは、足のまわりに固定されるように構成されたあぶみを含み、該あぶみは、リニアアクチュエータにピボットで回転自在に連結された側板を含み;
ここで、遠位の取り付けは任意選択で、
足を受けるように構成された靴であって、あぶみは靴のソールと一体となっている、靴;および任意選択で
足を受けるように構成された靴のまわりにあぶみを固定するためのストラップ
をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
梁の1つは、1つのリニアアクチュエータのみを含み、
遠位の取り付けはさらに、ピボットで側板に固定された少なくとも1つの第1のバー、および少なくとも1つの第1のバーと接続する第2のバーを含んでおり、ここでリニアアクチュエータは、少なくとも1つの第1のバーおよび第2のバーが、リニアアクチュエータの直線運動に基づいてPD面のみでピボットのまわりにロボットにより適用されたトルクを与えるべく構成されるように、第2のバーに接続され;および任意選択で
遠位の取り付けはさらに、ピボットで側板に固定されたブロック、およびリニアアクチュエータにブロックを接続するためのリンクを含み、ここでリニアアクチュエータは、ブロックおよびリンクが、リニアアクチュエータの直線運動に基づいてPD面のみでピボットのまわりにロボットにより適用されたトルクを与えるべく構成されるように、リンクに接続される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
梁の1つはリニアアクチュエータであり、ここで第2の肢は足であり、遠位の取り付けは、足を受けるように構成された靴の長さまわりに固定されるように構成された調整可能なサドルを含み、ここでピボットは、リニアアクチュエータにサドルを接続するボールジョイントコネクターであり;および任意選択で
第2の肢は足であり、ここで複数の圧力センサーは、足を受けるように構成された靴の踵領域およびつま先領域に位置付けられた圧力センサーを含み、現在の第1のデータは、圧力センサーからの集合出力である、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
梁の1つは、1つのリニアアクチュエータのみであり、ここで少なくとも1つのロボットセンサーは、各運動期中に直線運動データに基づいたリニアアクチュエータの直線運動またはロボット状態を測定するように構成された1つのセンサーのみを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
第1の肢は脚であり、第2の肢は足であり、ここで足に連結された梁は、足を受けるための靴であり、脚に連結された梁の1つは、リニアアクチュエータであり、および可変トルクモーターおよびリニアアクチュエータは、脚の前側に取り付けられ;および
前記装置は任意選択で、現在の運動期が望ましい運動期であるかどうかに基づいて前記タイミングが判定されるように、複数の運動期中の望ましい運動期を選択するためのトグルスイッチをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2015年6月22日に出願された、米国仮特許出願第62/182,779号の利益を主張し、その内容全体は、本明細書に十分に明記されるように引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者は、1つ以上の関節を動かす患者の能力に影響を与える、脳卒中などの病状を患っているときに、関節の可動性および調節を取り戻すために、身体のリハビリテーションを慣例的に受ける。従来の身体のリハビリテーションの1つの形態では、セラピストは、運動サイクルの複数の運動期を介して患者の関節を押すか又は滑らかに動かす。そのような理学療法の単調さ及び変動性を縮小するために、外骨格型ロボットが導入された。そのような身体のリハビリテーションの従来の形態には、複数の運動期にわたって、障害のある関節に健康な関節の規定された動態(prescribed dynamics)を課するために、障害のある関節に取り付けられる外骨格型ロボットの使用が伴っている。
【発明の概要】
【0003】
関節に障害のある患者のための身体のリハビリテーションの従来の方法が、運動の低下した速度及び/又は範囲で運動しているかもしれない患者の障害のある関節上に、運動の通常の速度及び/又は範囲にある健康な関節の規定された動態を課す、外骨格型ロボットを使用するため、不十分であることが本明細書で認識されている。障害のある関節上に課された健康な関節の動態間のこのミスマッチは、結果として、障害のある関節の運動がロボットによって支援されずに阻害される、ロボットと患者との間の同調していない動態につながり、患者の不安定化にもつながりかねない。
【0004】
実施形態の第1のセットでは、障害のある足首の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための装置が提供される。該装置は、ピボットに接続された1対の梁(beams)を含む外骨格型足首ロボットに接続するように構成された可変トルクモーターを含む。1対の梁は、被験体の足首で分けられた被験体の第1の肢および第2の肢に連結されるように構成されている。可変トルクモーターは、第1の平面のみでピボットのまわりにロボットにより適用されたトルクを与えるように構成されている。該装置はさらに、複合の足首機能の複数の運動期中に少なくとも1つの第1のセンサーから第1のデータを受信するように構成されたセンサー入力を有するプロセッサーを含む。プロセッサーは、一連の命令を伴うメモリを含み、一連の命令を伴うメモリは、プロセッサーを用いて、正常な被験体および障害のある被験体によって外骨格型ロボット足首に適用されたそれぞれのロボット状態パラメーターに基づいて、装置に各運動期に対する欠損パラメーターを判定させるように構成されている。メモリおよび一連の命令はさらに、第1のセンサーの現在の第1のデータに基づいた現在の運動期に基づいて、装置にロボットにより適用されたトルクに対する適応的なタイミングを判定させるように構成されている。メモリおよび一連の命令はさらに、現在の運動期に対する欠損ロボット状態パラメーターに基づいて、装置にロボットにより適用されたトルクに対する適応的な規模(magnitude)(例えば、1つの歩行サイクルから別の歩行サイクルまでの、または段ごとの遊脚期中に変化するロボットにより適用されたピークトルクの規模)を判定させるように構成されている。可変トルクモーターは、適応的な規模および適応的なタイミングを受信するためにメモリと通信しており、適応的なタイミングに基づいて現在の運動期中にピボットに第1の平面のみにおいて適応的な規模でロボットにより適用されたトルクを与えるように構成されている。該装置は携帯用であり、被験体によって持ち運ばれるように構成されている。
【0005】
実施形態の第2のセットでは、障害のある足首の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための方法が提供される。該方法は、プロセッサー上で、各運動期での正常な被験体に対する外骨格型足首ロボットのためのロボット状態パラメーター痕跡と障害のある被験体に対するロボット状態パラメーター痕跡との間の差に基づいて、複合の足首機能の各運動期に対する欠損パラメーターのための値を判定する工程を含む。該方法は、プロセッサー上で、現在のセンサーデータから、現在のセンサー状態に基づいた現在の運動期に基づいて、ロボットにより適用されたトルクに対する適応的なタイミングを判定する工程をさらに含む。該方法はさらに、プロセッサー上で、現在の運動期の欠損ロボット状態パラメーターの値に基づいて、ロボットにより適用されたトルクに対する適応的な規模を判定する工程を含む。該方法はさらに、適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期(例えば歩行の遊脚期)に対する第1の平面のみでロボットにより適用されたトルクに対する適応的な規模を、外骨格型ロボット足首に適用する工程を含む。
【0006】
本発明のさらに他の態様、特徴、および利点は、単に本発明を実行するために熟考された最良の様式を含む多くの特定の実施形態および実施を例証することによって、以下の詳細な説明から容易に明白となる。本発明はまた、他の及び異なる実施形態も可能であり、その幾つかの詳細は、すべてが本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な明白な点において変更することができる。したがって、図面および説明は、本質的に例示であるとみなされ、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付図面の図において、限定することなく、例として例証され、そこで、類似した参照符号は類似した要素を指す。
【0008】
図1A図1Aは、一実施形態による、障害のある関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となるシステムを例証するブロック図である。
図1B図1Bは、一実施形態による、複数の運動期にわたる、正常な及び障害のある被験体および適用されたロボット状態パラメーターに対するロボット状態パラメーター痕跡の一例を例証する。
図2図2は、一実施形態による、障害のある関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図3図3は、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となるシステムを例証する。
図4A図4Aは、一実施形態による、足首関節の歩行サイクルの複数の運動期のダイアグラムである。
図4B図4Bは、一実施形態による、図4Aの歩行サイクルの複数の運動期にわたるセンサー状態出力の痕跡である。
図5図5は、一実施形態による、フットスイッチ出力に基づいて足首関節に対する複数の運動期を判定する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図6図6は、anklebotを着用している身体および足の寸法を例証するダイアグラムである。
図7図7は、一実施形態による、歩行サイクルの踵接地の運動期に対する運動モデルを判定する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図8図8は、一実施形態による、被験体の体重および望ましいピーク角速度に基づいた最小の減衰パラメーター痕跡の一例を例証するグラフである。
図9図9は、一実施形態による、歩行サイクルの初期の遊脚運動期に対する運動モデルを判定する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図10A図10Aは、一実施形態による、望ましいピーク遊脚角度に対する被験体の実際のピーク遊脚角度の比率に基づいた最小の剛性パラメーター痕跡の一例を例証するグラフである。
図10B図10Bは、一実施形態による、anklebotを着用している身体および足の実例となる寸法を例証するダイアグラムである。
図11図11は、一実施形態による、複数の運動期にわたる正常な及び障害のある被験体に対する角度痕跡の一例を例証するグラフである。
図12図12は、一実施形態による、歩行サイクルの各運動期に対する欠損角度を判定する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図13図13は、一実施形態による、最小の剛性パラメーターに基づいたパラメーター化された欠損角度痕跡の一例を例証するグラフである。
図14図14は、一実施形態による、最小の減衰パラメーターに基づいた、パラメーター化された欠損トルク痕跡の一例を例証するグラフである。
図15図15は、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となるシステムを例証するブロック図である。
図16図16は、各運動期において適用されたトルクの適応的な規模の変化を予測する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図17図17は、一実施形態による、多くの理学療法セッションにわたる最小の剛性パラメーターの痕跡の一例である。
図18図18は、一実施形態による、多くの理学療法セッションにわたる最小の減衰パラメーターの痕跡の一例を例証するグラフである。
図19図19は、本発明の実施形態が実施され得るコンピューターシステムを例証するブロック図である。
図20図20は、本発明の実施形態が実施され得るチップセットを例証するブロック図である。
図21A図21Aは、一実施形態による、一次元のanklebotの使用前後のピーク遊脚角度データの一例を例証するグラフである。
図21B図21Bは、一実施形態による、一次元のanklebotの使用前後の足の異なる部分の初期接触の度数分布の一例を例証するヒストグラムである。
図22図22のAおよびBは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。図22のCは、図22のA-Bの軽量携帯用システムにおいて靴にリニアアクチュエータを連結するために使用される代替的なボールジョイントコネクターの一例を例証するブロック図である。
図23図23のAおよびBは、別の実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図24図24は、図2の方法で適応的なタイミングを判定する方法の一例を例証するフローダイアグラムである。
図25図25は、図4Aの歩行サイクルの複数の運動期にわたる、センサー状態出力の痕跡および足に適用されたトルクを例証する一致した対のグラフである。
図26図26は、別の実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図27図27は、図22のA-Bの軽量携帯用システムにおいて被験体によって持ち運ばれた電源の一例を例証するブロック図である。
図28A図28Aは、階段を上る間の被験体によって使用される図3の実例となるシステムである。
図28B図28Bは、システムの補助モードおよび非補助モードの間の足底-背屈面で測定された図28Aにおける被験体の角度痕跡の一例を例証する1対のグラフである。
図29A図29Aは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図29B図29Bは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図29C図29Cは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図29D図29Dは、図29A-29Cの軽量携帯用システムにおいて足にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される遠位の取り付けの一例を例証するブロック図である。
図29E図29Eは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図29F図29Fは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証するブロック図である。
図29G図29Gは、図29E-29Fの軽量携帯用システムにおいて足にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される遠位の取り付けの一例を例証するブロック図である。
図29H図29Hは、図29Gの遠位の取り付けのあぶみの一例を例証するブロック図である。
図30A図30Aは、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となる軽量携帯用システムを例証する写真である。
図30B図30Bは、図30Aの軽量携帯用システムにおいて足にリニアアクチュエータを連結するために使用される遠位の取り付けの一例を例証する写真である。
図30C図30Cは、図30Aの軽量携帯用システムにおいて脚にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される近位の取り付けの一例を例証する写真である。
図30D図30Dは、図30Aの軽量携帯用システムにおいて脚にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される近位の取り付けの一例を例証する写真である。
図30E図30Eは、図30C-30Dの近位の取り付けにおいて脚にリニアアクチュエータを連結するために使用される取り付けブロックの一例を例証するブロック図である。
図30F図30Fは、図30C-30Dの近位の取り付けにおいて脚にリニアアクチュエータを連結するために使用される取り付けブロックの一例を例証するブロック図である、
図31A図31Aは、図30Aの軽量携帯用システムにおいて足にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される遠位の取り付けの一例を例証するブロック図である。
図31B図31Bは、図30Aの軽量携帯用システムにおいて足にリニアアクチュエータを連結するための梁として使用される遠位の取り付けの一例を例証するブロック図である。
図31C図31Cは、図31A-31Bの遠位の取り付けにおいて足にリニアアクチュエータを連結するために使用されるボールジョイントの一例を例証するブロック図である。
図32図32は、一実施形態による、anklebotを着用している身体および足の実例となる寸法を例証するダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
障害のある関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための方法および装置が記載される。以下の説明の目的のために、障害のある関節は、患者が受けた損傷または病状が原因で、障害のある運動を経験する人体の関節として定義される。以下の記載では、説明目的で、本発明の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明記される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者に明白となる。他の事例では、不必要に本発明を不明瞭にしないようにするために、周知の構造および装置がブロック図の形態で示される。
【0010】
足首関節、股関節、または膝関節などの障害のある関節のトレーニングの間に、複数の運動期にわたる欠損調整型の適応的な補助を提供することに関連して、本発明の幾つかの実施形態が以下に記載されている。しかしながら、本発明はこの関連に限定されない。他の実施形態では、欠損調整型の適応的な補助は、健康な関節のトレーニングまたは強化の間に複数の運動期にわたって提供される。他の実施形態では、可動性機能を改善するための障害のある関節のリハビリテーションのために、多様な神経学的個体群においてモジュラーロボット工学を利用するための方法または装置が提供される。この実施形態の適用は、後のセクションにおいてより詳細に記載されているように、異なる神経学的疾患および異なる関節を包含する。
【0011】
患者の可動性および感覚機能の回復を助けるために、患者の失われた肢を交換するように設計されている切断義肢(amputation prostheses)の関連で、幾つかの実施形態が利用される。糖尿病性神経障害に対処するために足の圧力および路面反力を調節する関連で、幾つかの実施形態が使用される。足病学、整形外科学および義肢学のための転帰を改善するための運動学習の関連で、幾つかの実施形態が利用される。麻痺性の(例えば、罹患した)足首の寄与(contribution)を増大させることによって、患者が脳卒中を経験した後に歩行およびバランスの機能を改善する関連で、幾つかの実施形態が利用される。多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、神経障害または末梢神経障害の関連で、幾つかの実施形態が使用される。
【0012】
広い範囲を明記する数値の範囲およびパラメーターが、近似値であるにもかかわらず、具体的な限定しない例において明記された数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、数値は、それぞれの試験測定値に見られた標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含んでいる。さらに、本明細書に開示される範囲はすべて、包含されるすべての部分範囲を含むことが理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値の間のすべての部分範囲、すなわち、0以上の最小値および10以下の最大値、例えば1乃至4、を有するすべての部分範囲を含むことができる。本明細書で使用されるように、特定の数あたりの値は、特定の数を有する2の倍数または特定の数に対する最下位数によって与えられた暗示精度(implied precision)のいずれかを意味することが理解される。
【0013】
1.概略
患者が関節の1つ以上に影響を与える損傷または病状を患うとき、関節を動かす及び調節する患者の能力は損なわれる。例えば、患者は、損傷または病状前に以前に達成可能であったトルクで関節を動かすことができないかもしれない。さらに、患者は、損傷または病状前に以前に達成可能であった、一連の運動によって、速度または配向で関節を動かすことができないかもしれない。様々な実施形態によると、処置の間の障害のある関節のための補助の適応的な規模またはタイミング、あるいは幾つかの組み合わせを判定するために、障害のある関節の運動のこれらのパラメーターを測定するためのセンサーが提供される。
【0014】
関節が一連の運動によって動かされるときに、この一連の運動は複数の運動期を含む。患者が、1つ以上の関節の可動性に影響を与える損傷または病状を患うときに、この障害のある関節は、これらの運動期の1つ以上の間に及びこれらの運動期のタイミングにおいて影響を与えられ得る。例えば、障害のある関節を有する患者は、関節の第1の運動期中に関節の障害のある運動を経験するだけかもしれず、残りの運動期中に関節の正常な運動ができるかもしれないが、これらの運動期のタイミングは遅くなるかもしれない。様々な実施形態によると、処置の間の障害のある関節のための補助の適応的なタイミングを判定するために、関節が障害のある運動期の各々にある時間を検出するためのセンサーが提供される。様々な実施形態では、欠損の規模は、各運動期中の補助のための適応的な規模を判定するために、各運動期中に判定される。
【0015】
図1Aは、一実施形態による、障害のある関節(192)のトレーニングの間の複数の運動期にわたる欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となるシステム(100)を例証するブロック図である。障害のある関節(192)は、被験体(190)の身体(191)に肢(193)を接続する関節であり得、ここで被験体(190)は、負った損傷または病状が原因で、障害のある関節(192)の可動性が制限されている。関節(192)の複合機能中に、障害のある関節(192)は、複数の運動期にわたって動かされる。身体部分(191)、関節(192)および肢(193)を有する被験体(190)は、例証目的で描写されているが、被験体(190)はシステム(100)の部分ではない。システム(100)は、外骨格型関節(110)、被験体センサー(120)、および欠損を調整された駆動モジュール(150)とともに構成されたコントローラー(140)を含む。
【0016】
外骨格型関節(110)は、被験体の関節(192)のいずれかの側で身体(191)およびの肢(193)に固定された、それぞれ1対の梁(112a)、(112b)を接続するピボット(114)を含む。外骨格型関節(110)はまた、(例えば、駆動チェーン(118)によって)ピボット(114)上にトルクを与える可変トルクモーター(116)を含む。幾つかの実施形態では、外骨格型ロボット関節(110)はまた、梁(112a)と(112b)との間の角度のためのセンサーなどの、ロボット(110)の非トルク状態を判定するための1つ以上のロボットセンサー(121)を含む。
【0017】
被験体センサー(120)(利便性のために、センサー(120)とも呼ぶ)は、複数の状態を出力し、ここで少なくとも幾つかの出力された状態は、障害のある関節(192)のそれぞれの運動期を示す。一実施形態では、センサー(120)は、障害のある関節(192)が第1の運動期にあるときに第1の状態を出力し、障害のある関節(192)が第2の運動期であるときに第2の状態を出力する。可変トルクモーター(116)はまた、駆動されないときに、幾つかの実施形態において、被験体が外骨格型ロボット関節(110)に接続されている(例えば、それを着用している)間に、被験体(190)によってピボット(114)に適用されたトルクに反応する電流または電圧を出力する。幾つかの実施形態では、モーター(116)によって出力された電流または電圧は、各運動期中に被験体の関節(192)の運動によって適用されたトルクなどの、外力によって適用されたトルクを測定するためのトルクセンサーとして使用される。幾つかの実施形態では、モーター(116)からのトルク測定値から位置データが推論される。幾つかの実施形態では、追加のロボットセンサー(121)の1つ以上は、各運動期中の関節(192)の速度及び/又は角度などの位置データを測定する。図1Aにさらに例証されるように、コントローラー(140)は、トルクモーター(116)を駆動させ、梁(112a)、(112b)が、外力、または幾つかの組み合わせによって移動されるときに、トルクモーター(116)によって出力された電流または電圧に基づくロボット状態パラメーターデータまたは追加のロボットセンサー(121)によって出力された位置または角度のデータを受信し、有線または無線のセンサー通信チャネル(122)に沿って、センサー(120)および(121)に接続される。様々な実施形態では、コントローラー(140)は、図14に描写されるような汎用コンピューターシステムまたは図15に描写されるようなチップセット、およびコンピューターまたはチップセットに、図2に関連して以下に記載される方法の1つ以上の工程を実行させる命令を含む。
【0018】
図1Bは、一実施形態による、正常な及び障害のある被験体に対するロボット状態パラメーター痕跡(166a)、(166b)の実例となるグラフ(160)を例証する。横軸(162)は、運動期シーケンス内の相対単位での時間を示す。左の縦軸(164)は、相対単位での、被験体が達成した角度または被験体が適用したトルクなどの、ロボット状態パラメーターを示し;右の縦軸(168)は、整数単位での、1つ以上の被験体センサー(120)の収集の状態を示す。痕跡(169)は、右の縦軸(168)に基づいた、経時的な5つの異なる運動期のシーケンスの中のセンサー状態の変化を描写する。それぞれの異なる運動期は、センサー(120)からの出力の異なる状態に関連付けられている。例えば、運動期Aは、センサーからの出力がないことに関連付けられており、運動期Cは、1つ以上のセンサーからの最大出力に関連付けられている。
【0019】
痕跡(166a)は、正常な被験体が複数の運動期によって関節(192)を動かすときのロボット状態パラメーター値に基づいており、左の縦軸(164)に対してプロットされている。同様に、痕跡(166b)は、障害のある被験体が複数の運動期によって関節(192)を動かすときのロボット状態パラメーターに基づいており、左の縦軸(164)に対してプロットされている。2つの痕跡の時間軸は、横軸(162)上に示される通り、各痕跡に対する運動期が並べられる(aligned)ように、互いに対して調整されている。これは、障害のある患者が正常な被験体とは異なる速度で運動期を進行させることを考慮に入れている。コントローラー(140)は、ロボット状態パラメーター痕跡(166a)、(166b)データ)を受信する。コントローラー(140)はまた、センサー(120)からセンサー状態(168)を受信し、これは、関節(192)の現在の運動期を示している。駆動モジュール(150)は、それぞれのロボット状態パラメーター痕跡(166a)、(166b)の間の差に基づいて、コントローラー(140)に各運動期に対する欠損痕跡(167)を判定させる。駆動モジュール(150)はまた、差に基づいてモーター(116)を駆動させるように構成されている。一実施形態では、駆動モジュール(150)は、各運動期に対して、正常な被験体のロボット状態パラメーター痕跡(166a)と障害のある被験体のロボット状態パラメーター痕跡(166b)との間の差を計算することによって、各運動期に対する平均欠損(167)を判定する。可変トルクモーター(116)によって関節(192)に与えられた適用されたロボット状態パラメーターは、各運動期に対する運動期および関連する欠損パラメーター(167)に基づいて、各運動期に対する駆動モジュール(150)によって判定された運動期および駆動モジュール(150)からの適応的な規模に左右される。
【0020】
幾つかの実施形態では、運動モデルは、痕跡(169)によって示される運動期の1つ以上を記載するために使用される。運動モデルは、1セットの1つ以上のモデルパラメーターに基づいて各運動期中にロボット状態パラメーターをパラメーター化する。正常な被験体は、モデルのこれらのモデルパラメーターに対する1セットの値を示すと予期される。障害のある被験体は、そのセットの値からいくらかの偏差を示すと予期される。幾つかの実施形態では、運動モデルを使用して、障害のある被験体を補助するために外骨格型ロボット関節にトルクを適用するべきであるかの判定、およびその量は、障害のある患者に対する1セットのモデルパラメーターのための1セットの値は、1セットの正常値のいくらかのパーセンテージを表わす閾値セットの値を超えるか又は下回る。
【0021】
現在の運動期におけるロボット状態パラメーター欠損(167)が、ロボット状態パラメーター閾値未満である場合、現在の運動期に対する適応的な規模は、コントローラー(140)が現在の運動期中に適用されたトルク信号を可変トルクモーター(116)に送信しないように調節される。現在の運動期におけるロボット状態パラメーター欠損(167)が、ロボット状態パラメーター閾値より大きい場合、現在の運動期に対する適応的な規模は、コントローラー(140)が現在の運動期中に適用されたトルク信号を可変トルクモーター(116)に送信するように調節される。
【0022】
図2は、一実施形態による、障害のある関節(192)の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供する方法(200)の一例を例証するフローダイアグラムである。
例えば、方法(200)の工程は、コントローラー(140)のモジュール(150)によって適用される。図2のフローダイアグラムは、例証目的のために特定の順序で不可欠な工程として描写されているが、他の実施形態では、1つ以上の工程またはそれらの一部が、異なる順序で、時間的に重なり合って、連続して、または平行して実行されるか、または省略され、あるいは1つ以上の追加の工程が加えられるか、あるいは方法が、方法の幾つかの組み合わせで変更される。
【0023】
開始後、工程(201)において、複合の関節機能に対する複数の運動期は、モジュール(150)上で判定される。幾つかの実施形態では、運動期は、複合運動を実行する1以上の正常な被験体のビデオにおいて観察された運動を分析することによって判定される。その後、各運動期に対するセンサー(120)の状態は、正常な被験体のために各運動期に対するセンサー(120)のセンサー状態を記録することによって判定される。幾つかの実施形態では、各運動期に関連付けられたセンサー状態は、モジュール(150)に関連付けられたメモリ上に保存される。幾つかの実施形態では、工程(201)において、各運動期に対する運動モデルも判定される。例えば、運動モデルは、モジュール(150)上の命令セットとしてプログラムされる。後のセクションに記載される実例となる実施形態では、歩行の様々な運動期中の足首に対する数学的運動モデルは、モジュール(150)へとプログラムされる。
【0024】
工程(203)において、各運動期中の正常な被験体における梁(112)の角度などの、ロボット状態パラメーターは、モーター(116)がコントローラー(140)によって駆動されないときに、例えば、センサー(121)からの角度測定値の新しい又は過去の記録物に基づいて判定される。幾つかの実施形態では、工程(203)の間、外骨格型ロボット関節(110)は、外骨格型ロボット関節(110)がトルクを適用しない中で複数の運動期によって梁(112)を動かす正常な被験体に取り付けられている。
【0025】
工程(205)の間、外骨格型ロボット関節(110)は、外骨格型ロボット関節(110)がトルクを適用しない中で複数の運動期によって梁(112)を動かす障害のある被験体に取り付けられている。障害のある被験体が、複数の運動期によって梁(112)を動かすと、センサー(120)は、センサー通信チャネル(122)に沿ってモジュール(150)にセンサー状態(168)を送信し、そのため、モジュール(150)は、センサー状態(168)に対応する運動期を判定することができる。さらに、障害のある被験体が、複数の運動期によって梁(112)を動かすと、センサー(120)は、各運動期中の関節(192)の運動の間の関節(192)の角度などのロボット状態パラメーターを測定し、このロボット状態パラメーターデータをコントローラーに送信する。運動モデルが使用される場合、モジュール(150)は、各運動期中の梁(112)の運動の測定されたモデルパラメーターを、各運動期に対する運動のそれぞれの閾値パラメーターと比較する。
【0026】
工程(207)において、各運動期に対する欠損パラメーター痕跡(167)は、モジュール(150)によって判定される。工程(203)、(205)においてロボット状態パラメーター痕跡(166a)、(166b)を受信した後、工程(207)において、モジュール(150)は、各運動期に対して、正常なロボット状態パラメーター痕跡(166a)と障害のあるロボット状態パラメーター痕跡(166b)との間の差を計算することによって、欠損パラメーター痕跡(167)を判定する。運動モデルを使用する実施形態では、パラメーター欠損は、1つ以上のモデルパラメーターの値としてパラメーター化される。
【0027】
工程(209)において、ロボットにより適用されたトルクに対する適応的なタイミングは、現在のセンサー状態に基づいてモジュール(150)によって現在の運動期に対して判定される。例えば、現在のセンサー状態が図1Bにおける最大の曲線(169)である場合、モジュール(150)は、現在の運動期が運動期Cであると判定する。その後、モジュール(150)は、現在の運動期における欠損パラメーター(167)をロボット状態パラメーター閾値と比較する。現在の運動期におけるパラメーター欠損(167)がロボット状態パラメーター閾値未満であるとモジュール(150)が判定する場合、モジュール(150)は、現在の運動期中に適用されたトルク信号を可変トルクモーター(116)に送信しない。現在の運動期における欠損パラメーター(167)がロボット状態パラメーター閾値より大きいとモジュール(150)が判定する場合、モジュール(150)は、現在の運動期中に適用されたトルク信号を可変トルクモーター(116)に送信する。
【0028】
工程(211)において、ロボットにより適用されたトルクに対する適応的な規模は、モジュール(150)によって現在の運動期に対して判定される。現在の運動期(例えば運動期C)中に適用されたトルクの適応的な規模を判定するために、モジュール(150)は、現在の運動期に対する計算された欠損パラメーター(167)、または運動モデルのパラメーター化された値を使用する。一実施形態において、欠損パラメーター(167)は、現在の運動期内で変化し得るが、モジュール(150)は、現在の運動期(例えば運動期C)の全体にわたって適用されたトルクに対して、固定された適応的な規模、または規模のモデル曲線を判定するために、現在の運動期に対する工程(201)からの判定された運動モデルを使用する。
【0029】
工程(213)において、ロボットにより適用されたトルクの適応的な規模は、現在の運動期に対する適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期に対するピボット(114)上の可変トルクモーター(116)によって適用される。工程(213)の間、モジュール(150)は、工程(209)からの現在の運動期に対する適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期に対する適用されたトルクのための適応的な規模データを可変トルクモーター(116)に送信する。モジュール(150)から適応的な規模データを受信すると、可変トルクモーター(116)は、適用されたトルクに現在の運動期中のピボット(114)上の適応的な規模を与える。この適用されたトルクは、身体(191)に対して肢(193)を動かす被験体(190)を補助し、したがって関節(192)を訓練する。
【0030】
工程(215)において、梁(112)が運動サイクルの最後の運動期に達したかどうかに基づいて、関節(192)が運動サイクルの終わりに達したかどうかについて、モジュール(150)によって測定が行われる。関節(192)が運動サイクルの終わりに達したかどうかを判定するために、モジュール(150)は、梁(112)が最後の運動期(例えば運動期E)にあることを、センサー(120)からモジュール(150)によって受信されたセンサー状態(168)が示すかどうかを判定する。工程(201)において、モジュール(150)は、最後の運動期を示すセンサー状態(168)を含む、各運動期に対するセンサー状態(168)を判定した。したがって、工程(215)において、モジュール(150)は、最後の運動期に対するセンサー状態(168)を現在の運動期に対するセンサー(120)から受信されたセンサー状態(168)と比較する。梁(112)が最後の運動期に達していないとモジュール(150)が判定する場合、方法は工程(209)に戻る。梁が最後の運動期に達したとモジュール(150)が判定する場合、方法は続いて工程(217)に進む。
【0031】
工程(217)において、理学療法セッションが終了したかどうかについて、モジュール(150)によって測定が行われる。理学療法セッションが終了したかどうかを判定するために、モジュール(150)は、幾つの梁(112)の運動サイクルが完了したのかを判定し、この数を理学療法セッションに対する運動サイクルの閾値数と比較する。梁(112)が運動サイクルの閾値数を完了している場合、モジュール(150)は、理学療法セッションが終了したと判定し、方法は工程(219)に進む。梁(112)が運動サイクルの閾値数を完了していない場合、モジュール(150)は、理学療法セッションが終了していないと判定し、方法は、上に記載される工程(209)に進む。
【0032】
工程(219)において、患者に対する理学療法が終了したかどうかについて、モジュール(150)によって測定が行われる。患者のための理学療法が終了したかどうかを判定するために、モジュール(150)は、幾つの理学療法セッションが患者によって完了したのかを判定し、この数を理学療法に対する理学療法セッションの閾値数と比較する。患者が理学療法セッションの閾値数を完了していない場合、モジュール(150)は、患者に対する理学療法が終了したと判定し、方法は終了する。患者が理学療法セッションの閾値数を完成していなければ、モジュール(150)は、患者のための理学療法が終了していないと判定し、方法は工程(221)に進む。
【0033】
工程(221)において、患者の進行に基づいて、適用されたトルクの適応的な規模の変化を予測するべきかどうかについて、モジュール(150)によって測定が行われる。モジュール(150)が、適用されたトルクの適応的な規模の変化を予測するべきではなく、代わりに適用されたトルクの適応的な規模の変化を再度測定するべきであると判定する場合、方法は工程(205)に進む。方法は、その後、工程(205)(207)、(209)において各運動期に対する欠損パラメーター(167)を再度測定することによって、適用されたトルクの適応的な規模のあらゆる変化を測定し、その後、この再度測定された欠損パラメーター(167)を使用して、各運動期に対する工程(211)における適応的な規模の変化を測定する。モジュール(150)が、適用されたトルクの適応的な規模の変化を予測するべきであると判定する場合、方法は工程(223)に進む。
【0034】
工程(223)において、モジュール(150)によって、適用されたトルクの適応的な規模の変化における予測が行われる。適用されたトルクの適応的な規模の変化を予測するために、モジュール(150)は、運動学習のモデルを使用し、それによって、完了した運動サイクルの数などの1つ以上のロボット状態パラメーターに基づいて、欠損パラメーター(167)における変化を予測する。モジュール(150)が、運動学習のモデルを使用して、欠損パラメーター(167)における変化を予測した後、方法は、工程(205)、(207)に進むことによってこの予測を確認し、ここで欠損パラメーター(167)は再度測定される。一実施形態において、モジュール(150)が、運動学習のモデルを使用して、欠損パラメーター(167)における変化を予測した後、方法は、欠損パラメーター(167)における予測された変化を確認する必要がなく、工程(209)に直接戻ってもよい。
【0035】
2.実例となる実施形態
A.足首
足首が歩行およびバランスのバイオメカニクスにおいて重要な役割を果たすため、麻痺性の(例えば、罹患した)足首の寄与を増大させることによって、患者が脳卒中を経験した後に歩行およびバランスの機能を改善する関連で、本発明の1つの実例となる実施形態が利用される。脳卒中後に、歩行のこれらの生態学的側面の幾つか(またはすべて)は妨害される。例えば、「下垂足」は、足を上げる背屈筋の弱さによって引き起こされる一般的な障害である。下に議論されるように、下垂足の存在は、安全且つ効率的な歩行に必要な歩行サイクルの立脚期から遊脚期への移行時に障害のある足が地面から十分に離れる(clear)能力を妨害する。結果として、下垂足は、しばしば、「つま先の引きずり(toe drag)」(すなわち、歩行サイクルの遊脚期中の障害のある足の引きずり);「フットスラップ(foot slap)」(すなわち、地面との制御されない最初の足接触)、及び/又は転倒の原因である歩行サイクルの立脚期中の横方向不安定性(足のその中線への内向きのひねり)を含む、歩行中の1つ以上の合併症につながる。
【0036】
実例となる実施形態によると、外骨格型ロボット関節(110)は、anklebotである。図3は、一実施形態による、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を提供するための実例となるシステムを例証する写真である。システムは、被験体の足首関節のいずれかの側で身体および足に固定されるanklebot(300)を含む。図3に示されるように、anklebot(300)は、被験体によって着用される及びクイックコネクター(306)で被験体に固定される、(肢(193)への接続のための梁(112b)に対応する)靴(302)および膝装具(304)を含む。ストラップ(308)が被験体の足のブリッジ上に付けられる。その後、anklebot(300)の残りは、1対のクイックロック(310)を使用して膝装具(304)に取り付けられる。
【0037】
anklebot(300)は、(梁(112a)および駆動チェーン(118)に対応する)1対のリニアアクチュエータ(316)を介して靴(302)に接続される(モーター(116)に対応する)モーター(314)を含み、1対のリニアアクチュエータ(316)を介して足首関節のまわりで靴(302)上にトルクを選択的に与える。実例となる実施形態では、モーター(314)は、1対のブラシレスDCモーターであり、その各々は、0.25ニュートンメートルの連続的な停動トルク(N-m)および0.8Nmの即時ピークトルク生成することができる。トラクション駆動装置(316)は、クイックロック(310)および(ピボット(114)に対応する)ボールジョイント(320)を使用して、靴(302)のいずれかの側に接続され、ボールジョイント(322)でモーター(314)に接続される。(1つのロボットセンサー(121)に対応する)第1の位置センサー(312)は、靴(302)の位置または角度を測定し、この位置または角度の情報をモーター(314)に送信し、モーター(314)を整流する(commutate)。実例となる実施形態では、第1の位置センサー(312)はロータリエンコーダである。(別のロボットセンサー(121)に対応する)第2の位置センサー(313)は、リニアアクチュエータ(316)の駆動シャフトの近くの黒いケーシング内に収容される。第2の位置センサー(313)は、靴(302)の位置または角度を測定し、この位置または角度の情報をコントローラー(140)(図示せず)に送信する。実例となる実施形態では、第2の位置センサー(313)は、リニアインクリメンタル光学式エンコーダである。膝の角度を測定するために、膝用ポテンショメータ(315)も提供され、これは、この角度情報をコントローラー(140)に送信する。モーター(314)はトルクセンサーとして使用され、被験体によって足首関節のまわりに与えられたトルクを測定するために使用することができるコントローラー(140)に電流または電圧の情報を通信し得る。図3に例証されるように、anklebot(300)はまた、anklebot(300)の使用の間に被験体の体重を随意に支えるためのショルダーストラップ(318) を含む。
【0038】
実例となる実施形態では、anklebot(300)は、重さ3.6kg未満である低い固有の機械インピーダンスで逆駆動可能な、3自由度(DOF)で着用可能なロボットである。それは、地上での歩行の間、トレッドミル上、または座りながらのシャンクに対する足のすべての3DOFでの正常な可動域(ROM)を可能にする。実例となる実施形態では、anklebot(300)は、足首の3DOFの2つ、すなわち、平行に取り付けられた2つのリニアアクチュエータ(316)を介する足底-背屈および回外-回内における作動を提供する。実例となる実施形態では、内-外の回転は、主として脚の回転によって制御されている横断面の足の配向を有する足首に限定される。両方のアクチュエータ(316)が同じ向きに押すか又は引く場合、DP(背屈-足底)トルクが生成される。同様に、2つのアクチュエータ(316)が反対方向に押すか又は引く場合、回外-回内のトルクが結果として生じる。実例となる実施形態では、anklebot(300)は、25°の背屈、45°の足底-屈曲、25°の回外、20°の回内および15°の内または外の回転を可能にする。これらの限界値は、正常な被験体に対する快適な運動の最大範囲に近く、典型的な歩行に必要とされる値を超える。実例となる実施形態では、anklebot(300)は、DPトルクにおいておよそ23nmおよび回内-回外(IE)トルクにおいて15nmの連続的な正味トルクを送達することができる。実例となる実施形態では、anklebot(300)は、バックドライバビリティ(back-drivability)を最大限にするために、低摩擦(0.744nm)および慣性(合計1.6kgの足に対して1アクチュエータ当たり0.8kg)を有している。
【0039】
方法(200)の工程(201)を実行するために、障害のある足首関節の歩行サイクル(400)に対する複数の運動期が最初に判定される。図4Aは、一実施形態による、足首関節の歩行サイクル(400)の複数の運動期のダイアグラムである。歩行サイクル(400)は、踵接地運動期(408)および中間の立脚運動期(410)を含む、初期の立脚期(402)から始まる。その後、歩行サイクル(400)は、後期の立脚期(404)に進み、これは、踵離地運動期(412)およびつま先離地運動期(414)を含む。その後、歩行サイクル(400)は、初期の遊脚運動期(416)および末期の遊脚運動期(418)を含む遊脚期(406)に進む。
【0040】
被験体が、これらの運動期の各々にある時間を判定するために、図4Bは、anklebot(300)の靴(302)の踵領域、つま先領域、中間領域、および外側領域に位置付けられる(被験体センサー(120)に対応する)フットスイッチ(425)を例証する。フットスイッチ(425)は、歩行サイクル(400)の各運動期中に、anklebot(300)のコントローラー(140)を介して駆動モジュール(150)に接続され、駆動モジュール(150)にフットスイッチ(425)の集合出力を通信する。フットスイッチ(425)はそれぞれ、圧力センサーであり、これは、閾値圧力が、靴のそのそれぞれの領域において検出されるときに、「オン」位置に切り替わり、それぞれの電圧信号を出力する。フットスイッチ(425)はそれぞれ、閾値圧力が、靴のそのそれぞれの領域において検出されない場合に、「オフ」位置のままであり、それぞれの電圧信号を出力しない。
【0041】
図4Bに例証されるように、痕跡(424)は、フットスイッチ(425)の集合電圧出力で示され、歩行サイクル(400)の複数の運動期を含む縦軸(420)対横時間軸(422)に対してプロットされる。靴の領域が地面に接していないため、被験体が末期の遊脚運動期(418)に入り、フットスイッチ(425)がそれぞれ「オフ」であるときに、痕跡(424)は、フットスイッチ(425)の最小の集合電圧出力で始まる。靴の踵領域のみが地面と接触するため、被験体が踵接地運動期(408)に入り、踵領域のフットスイッチ(425)が「オン」であり、他のフットスイッチ(425)が「オフ」であるときに、痕跡(424)は増加する。被験体が、踵接地運動期(408)と中間の立脚運動期(410)との間の初期の立脚運動期(409)に入り、つま先領域のフットスイッチ(425)が「オフ」である中で踵領域のフットスイッチ(425)、中間領域のフットスイッチ(425)および外側領域のフットスイッチ(425)が、各々「オン」であるときに、痕跡(424)は増加し続ける。靴のすべての領域が地面に接しているため、被験体が中間の立脚運動期(410)に入り、各フットスイッチ(425)が「オン」であるときに、痕跡(424)は、フットスイッチ(425)の最大の集合電圧出力まで増加する。靴のつま先領域、中間領域、および外側領域が、地面に接しているため、被験体が踵離地運動期(412)に入り、踵領域のフットスイッチ(425)が「オフ」であり、残りのフットスイッチ(425)が「オン」であるときに、痕跡(424)は減少する。その後、靴の領域が地面に接していないため、被験体がつま先離地運動期(414)に入り、各フットスイッチ(425)が「オフ」であるときに、痕跡(424)はフットスイッチ(425)の最小の集合電圧出力まで減少する。歩行サイクル(400)が被験体によって繰り返されると、痕跡(424)は繰り返し継続する。
【0042】
実例となる実施形態における方法(200)の工程(201)を実行するために、図5は、一実施形態による、フットスイッチ(425)出力に基づいた足首関節機能に対する複数の運動期を判定する方法(500)の一例を例証するフローダイアグラムである。開始後、工程(501)において、フットスイッチ(425)は、つま先領域、踵領域、中間領域および外側領域を含む、anklebot(300)の靴(302)の各領域に位置付けられる。その後、anklebot(300)は、足首関節に障害のない正常な被験体などの、被験体に取り付けられる。その後、正常な被験体は、1分などの予め決められた期間の間、補助なしで歩行する。工程(503)において、被験体が複数の歩行サイクル(400)にわたって歩くと、コントローラー(140)の駆動モジュール(150)は、フットスイッチ(425)から集合フットスイッチ(425)出力を受信する。工程(505)において、モジュール(150)は、経時的に集合フットスイッチ(425)出力を分析し、フットスイッチ(425)出力を、モジュール(150)のメモリに保存される各運動期に対する予め決められた電圧閾値と比較する。この分析に基づいて、工程(505)では、モジュール(150)は、集合フットスイッチ(425)出力に基づき、足首関節に対する歩行サイクル(300)の運動期を判定する。
【0043】
さらに、実例となる実施形態における方法の工程(201)を実行するために、各運動期に対する運動モデルが判定され、コントローラー(140)のモジュール(150)へとプログラムされる。図6は、一実施形態による、モデルのコンポーネントを例証する。踵接地運動期(408)と中間の立脚運動期(410)(「フットスラップ」としても知られている)との間で移動する欠損に対する運動モデルは、以下の方程式1によって定義される最小の減衰パラメーターbminによってパラメーター化される。身長Hおよび体重Mのヒトを考慮し、0意志トルク(zero volitional torque)を想定して、bminは、着地時に衝撃力を低減するために、ピーク足首角速度VHSを幾らかの望ましい(例えば、規範)値V未満に抑制する、最小の減衰パラメーターである。
【0044】
【数1】
【0045】
式中、αはk/Hであり;kは身体の重心と足首との間の距離であり(メーターで、m);Hは身長である(メーター、m);Mは体重であり(キログラム、kg);gは重力加速度であり(9.81ms-2);Φは被験体の身体部分(例えば(191))と垂直方向との間の角度であり(ラジアン、rad);Vは踵接地運動期(408)中の足の望ましい最大の角速度であり(毎秒の度、°/sec)、およびVHSは踵接地運動期(408)中の足の測定された最大の角速度である(毎秒の度、°/sec)。最小の減衰パラメーターbminは、ピーク角速度Vに対する望ましい上界に反比例する、つまり、減衰が高ければ高いほど、ピーク角速度(従って衝撃力)は低くなり、その逆もしかりである。
【0046】
図7は、一実施形態による、足首関節機能の歩行サイクル(400)の踵接地運動期(408)と中間の立脚運動期(410)と間の運動モデルを判定する方法(700)の一例を例証するフローダイアグラムである。工程(701)において、モジュール(150)は、被験体が、距離k、身長H、体重M、および角度Φを含む、方程式1の身体パラメーターを入力することを促進する。工程(703)において、下に議論されるように、モジュール(150)は、障害のある被験体の補助なしの歩行サイクル中に、運動期(408)、(410)の間の被験体の足のピーク角速度を測定する。工程(705)において、モジュール(150)は、運動期(408)、(410)の間の足の望ましいピーク角速度を判定する。実例となる実施形態では、望ましいピーク角速度は、年齢が一致した障害のない被験体の典型的な規範値ですべての被験体に対して固定され得る。一例では、望ましいピーク角速度は毎秒200度である。実例となる実施形態では、望ましいピーク角速度は、障害のある被験体の補助なしの歩行サイクル中の非麻痺性足のピーク角速度の測定に基づいて判定される。
【0047】
工程(707)において、モジュール(150)は、最小の減衰パラメーターbminを計算するために方程式1を使用する。方法(700)の工程は、モジュール(150)へとプログラムされ、およびそれの判定で、障害のある被験体が、踵接地運動期(408)と中間の立脚運動期(410)との間の「フットスラップ」欠損に苦しんでいることが判定されると、モジュール(150)は、方法(700)の工程を開始し、踵接地運動期(408)と中間の立脚運動期(410)との間の運動に対するトルクをパラメーター化するために使用される、最小の減衰パラメーターを判定する。
【0048】
図8は、被験体の体重Mおよび望ましいピーク角速度Vに基づいて判定された、最小の減衰パラメーター表面(800)の一例を例証する。表面(800)値は、最小の減衰パラメーターbminの値の縦軸(802)によって与えられる。望ましいピーク角速度V値は、第1の横軸(804)に対する位置によって与えられ、一方で体重M値は、第2の横軸(806)に対する位置によって与えられる。最小の減衰パラメーターbminを計算するために方程式1を使用する代わりに、図8のデジタルバージョンは、随意の「クイックルックアップ」表面(800)を提供し、既知の質量Mおよび望ましい角速度Vに基づいて最小の減衰パラメーターbminを判定する。方程式1または図8の表面(800)のいずれかは、踵接地運動期の望ましい最大角速度(V)以下に対する踵接地運動期での測定された最大角速度(vHS)のために使用される最小の減衰パラメーターbminを提供する。
【0049】
さらに、実例となる実施形態における方法の工程(201)を実行するために、初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)と間の運動に対する運動モデル(「下垂足」としても知られている)は、方程式2によって以下に提供される最小の剛性パラメーターKminによってパラメーター化される。最小の剛性パラメーターKminは、遊脚運動期(416)中のピーク足首角度が望ましい値を達成することを保証するために使用される。
【0050】
【数2】
式中、γはθax/θであり(0と1の間);θmaxは、初期および末期の遊脚運動期(416)、(418)中に測定された実際のピーク角度であり(度、°);θは、初期および末期の遊脚運動期(416)、(418)中に測定された望ましいピーク角度であり(度、°)、およびKは足首の固有の剛性である(1ラジアン当たりのニュートンメートル、Nm/rad)。図6は、初期および末期の遊脚運動期(416)、(418)中に地面と被験体の足との間で測定された角度θを例証する。図9は、一実施形態による、歩行サイクル(400)の初期の遊脚運動期(416)および末期の遊脚運動期(418)との間の運動に対する運動モデルを判定する方法(900)の一例を例証するフローダイアグラムである。
【0051】
工程(901)において、モジュール(150)は、足首の固有の剛性Kを判定する。実例となる実施形態では、被験体が座位にある間、モジュール(150)は、足を毎秒5度などの一定角速度に傾けるために、モーター(314)に信号を送信する。実例となる実施形態では、傾斜はそれぞれ、中間位置で開始および終了し、5度のインクリメント(例えば、中位から±5度、中位から±10度)で移動する。足の各々の角変位に関して、モーター(314)からコントローラー(140)に送られた電流または電圧のデータを使用して、応答トルクが測定される。中位からの(ラジアンでの)角変位に対する測定されたトルク(nmの単位)の比率は、固有の足首剛性の予測値をもたらす(nm/rad)。1つの実例となる実施形態では、固有の足首剛性の予測値は、それ故、最小自乗線形回帰を使用して対での定常的なトルクおよび角度データを適合させることによって、DOF内の移動の各方向で得られた。
【0052】
工程(903)において、下に議論されるように、モジュール(150)は、障害のある被験体の補助なしの歩行サイクル中に、初期および末期の遊脚期(416)、(418)の間の被験体の足のピーク遊脚角度を測定する。
【0053】
工程(905)において、モジュール(150)は、初期および末期の遊脚期(416)、(418)における足の望ましいピーク角度を判定する。実例となる実施形態では、望ましいピーク角度は、年齢が一致した障害のない被験体の典型的な規範値ですべての被験体に対して固定され得る。一例では、望ましいピーク角度は、10-12度の範囲である。実例となる実施形態では、望ましいピーク角度は、障害のある被験体の補助なしの歩行サイクル中の非麻痺性足のピーク角度の測定に基づいて判定される。
【0054】
工程(907)において、モジュール(150)は、最小の剛性パラメーターKminを計算するために方程式2を使用する。方法(900)の工程はモジュール(150)へとプログラムされ、障害がある患者が初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間に「下垂足」欠損に悩んでいると判定する際に、モジュール(150)は方法(900)の工程を始めて最小の剛性パラメーターを判定し、これは初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の動作のためのトルクをパラメーター化するために使用される。
【0055】
図10Aは、一実施形態に従う、被験体の所望のピーク遊脚角度θに対する実際のピーク遊脚角度θmaxの比率γに基づいた、最小の剛性パラメーターの痕跡(1000)の例を示す図である。痕跡(1000)は、最小の剛性パラメーターKminの値の縦軸(1002)に対する位置に基づく値を有している。比率γは横軸(1004)により示される。痕跡(1000)は、30nm/radの固有剛性Kに基づき方程式2を使用して形成される。最小の剛性パラメーターKminを計算するために方程式2を使用する代わりに、図10Aの痕跡(1000)のデジタルテーブルは、被験体の所望のピーク遊脚角度θに対する実際のピーク遊脚角度θmaxの比率γに基づいた最小の剛性パラメーターKminを判定するために、最適な「クイックルックアップ」テーブルを提供する。方程式2と図10Aの痕跡(1000)の両方は、所望のピーク遊脚角度θの所望の比率γである実際のピーク角度θmaxに必要とされる最小の剛性パラメーターKminを提供する。図10Aは、被験体の所望のピーク遊脚角度θに対する実際のピーク遊脚角度θmaxの特定の比率γを達成する、Kminのそれぞれの値において縦軸(1002)と交わる複数の垂直な切片線(1006)、(1008)、(1010)を示す。例えば、垂直な切片線(1008)は、125nm/radのKmin値で縦軸(1002)と交わり、0.8の比率γを達成するのに必要とされるKminの値を示している。
【0056】
加えて、一例の実施形態における方法の工程(201)を実行するために、踵離地運動期(412)とつま先離地運動期(414)(「蹴り出し」としても知られる)との間の運動の運動モデルは、初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)の間の運動モデルについての方程式2の最小の剛性パラメーターとは異なる、最小の剛性パラメーターを使用する。図10Bは、anklebotを着用する身体及び足の寸法を示す図である。一例の実施形態において、垂直方向で角度Φを形成する、長さLと質量中心mを持つ身体が、表される。足は、身体に対して角度θを形成する、長さlと質量中心mを有している。τPFは、初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)の間の角度の周囲の、ロボットにより適用されるトルクである。FとFはそれぞれ、足の踵領域が地面から離れる時の時刻tHOと足のつま先領域が地面から離れる時の時刻tTOとの間の、足首にかけられる前後方向(AP)力と地面反力(GRF)である。一例の実施形態において、tHOは、踵領域におけるフットスイッチ(425)からの出力が高から低へと(又はオンからオフへと)変化する時に判定される。別の一例の実施形態において、tTOは、つま先領域におけるフットスイッチ(425)からの出力が高から低へと(又はオンからオフへと)変化する時に判定される。踵離地運動期(412)とつま先離地運動期(414)の間の移動モデルについての最小の剛性パラメーターKmin2は、以下により判定される:
【0057】
【数3】
式中、θ PFは、程度(deg)の単位でのtHOとtTOとの間の身体に対する足のピーク遊脚角度であり;ΔTLSは、秒(sec)の単位でのtHOとtTOとの間の時間であり;Iθは、程度-秒の単位でのtHOとtTOとの間のθ(t)の下のエリアであり;Iは、(キログラム メートル2の単位での)足首の周りの足の慣性モーメントであり;Δθは、毎秒の程度(deg/sec)の単位でのtHOとtTOとの間の足首角速度の差異であり;ΔΦは、毎秒の程度(deg/sec)の単位でのtHOとtTOとの間の身体角速度の差異であり;bは、Nms/radの単位でのロボット減衰パラメーターであり;ΔθLSは、程度(deg)の単位でのtHOとtTOとの間の足首角変位であり;mは、キログラム(kg)の単位での足の質量であり;gは重力加速度であり;cは、メートル(m)の単位での足首に対する足の質量中心の水平位であり;lはメートル(m)の単位での足の長さであり;Pは、Newton秒の単位での、Fに基づくtHOとtTOとの間のx方向での足首に対する所望の衝撃であり;Fは、tHOとtTOとの間の足首に対するGRFである。初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)の間の移動モデルに関する方程式2の最小の剛性パラメーターKminとは対照的に、方程式3に基づく最小の剛性パラメーターKmin2は、歩行サイクル(400)の後期立脚(404)の間、前後方向(AP)の衝撃(即ち、積分時間限界が、下限については踵離地運動期(412)であり、上限についてはつま先離地運動期(414)である、力の定限時の積分)の所望の(即ち規定の)値を達成するのに必要とされる、最小の剛性に対応する。従って、多くの卒中生存者の蹴り上げ推進力は、足首の筋肉組織(この場合、足底-屈筋、2つの主な足底-屈筋は腓腹筋とヒラメ筋である)により小さくなった機械力の生成に起因して弱いため、最小の剛性パラメーターKmin2は、後期立脚(404)の間に所望のAP推進力衝撃を達成するために必要とされる補足的な足底-屈曲の補助(即ち、トルク)を計算するために使用される。
【0058】
方法(200)の工程(203)を実行するために、anklebot(300)は、1分など予め定めた時間にわたり歩行し、且つanklebot(300)がトルクを適用しない間に複数の運動期を介して足首関節を動かす、正常な被験体により着用される。正常な被験体が複数の運動期を介して足首を動かすと、フットスイッチ(425)は、モジュール(150)に電圧(420)の信号を伝達し、それにより、モジュール(150)は、電圧(420)の信号に対応する運動期を判定することができる。加えて、正常な被験体が複数の運動期を介して足首関節を動かすと、センサー(313)は、各運動期中の足首の動作に基づいて足の位置又は角度を測定し、コントローラ(140)を介して駆動モジュール(150)にこの位置又は足首のデータを伝達する。幾つかの実施形態において、トルクセンサー(例えば、モーター(314))は、各運動期中の足首の動作により適用されるトルクを測定し、コントローラ(140)を介してモジュール(150)にこのトルクデータを伝達する。
【0059】
モジュール(150)により受け取られた角度データ又は位置データの結果として、図11は、一実施形態に従う、複数の運動期にわたる正常な及び障害がある被験体に関する角度の痕跡(1102)(1104)の例を示す。横軸(1120)は、運動期シーケンス内の相対的な単位での時間を示す。左の縦軸(1110)は、地面に対する足の測定された角度を示す。角度の痕跡(1102)は、正常な被験体が複数の運動期を介して足首関節を動かした時、センサー(313)(又はトルクデータを使用するモーター(314))により測定され、縦軸(1110)に対してプロットされる。モジュール(150)は、時間に対する受信されたフットスイッチ(425)のデータを使用して、歩行サイクル(400)の各運動期内の角度の痕跡(1102)を判定する。図11に示されるように、正常な被験体が踵離地運動期(412)に入ると、足が地面に対してほぼ水平であるため、角度の痕跡(1102)はおよそ0である。被験体が踵離地運動期(412)から移動すると、角度の痕跡(1102)は、足の角度が徐々に負になり、且つ初期の遊脚運動期(416)で負のピーク角度θに到達するにつれ、減少する。被験体が初期の遊脚運動期(416)から移動すると、角度の痕跡(1102)は、被験体が末期の遊脚運動期(418)に到達する前に増加し、最大ピーク角度θ(所望のピーク角度とも称される)に到達する。角度の痕跡(1102)は、モジュール(150)のメモリに保存される。一実施形態において、角度の痕跡(1102)の代わりに、工程(203)において、トルクの痕跡が、正常な被験体の補助無しの歩行に提供されるトルクデータに基づいて形成され、トルクの痕跡は、モジュール(150)のメモリに保存される。
【0060】
方法(200)の工程(205)を実行するために、anklebot(300)は、1分など予め定めた時間にわたり歩行し、且つanklebot(300)がトルクを適用しない間に複数の運動期を介して足首関節を動かす、障害がある被験体により着用される。障害がある被験体が複数の運動期を介して足首を動かすと、フットスイッチ(425)は、モジュール(150)に電圧(420)の信号を伝達し、それにより、モジュール(150)は、電圧(420)の信号に対応する運動期を判定することができる。加えて、障害がある被験体が複数の運動期を介して足首関節を動かすと、センサー(313)は、各運動期中の足首の動作に基づいて足の位置又は角度を測定し、コントローラ(140)にこの位置又は足首のデータを伝達する。幾つかの実施形態において、トルクセンサー(例えば、モーター(314))は、各運動期中の足首の動作により適用されるトルクを測定し、コントローラ(140)にこのトルクデータを伝達する。加えて、一実施形態において、工程(205)の間、ピーク角速度(例えば、方法(700)の工程(703))は、踵接地運動期(408)中に測定され、ピーク遊脚角度θmax(例えば、方法(900)の工程(903))は、初期の遊脚運動期(416)中に測定される。モジュール(150)により受け取られた角度データ又は位置データの結果として、図11は、障害がある被験体が複数の運動期を介して足首関節を動かした時、センサー(313)(又はトルクデータを使用するモーター(314))により測定され、縦軸(1110)に対してプロットされる。一実施形態において、工程(205)において、角度の痕跡(1104)の代わりに、トルクの痕跡が、障害がある被験体の補助無しの歩行中にトルクセンサー(例えばモーター(314))からモジュール(150)に提供されるトルクデータに基づいて形成され、トルクの痕跡は、モジュール(150)のメモリに保存される。
【0061】
一実施形態において、anklebot(300)は、被験体により着用された靴(302)の両方に位置するフットスイッチ(425)を含み、モジュール(150)は、各靴(302)のフットスイッチ(425)の各セットから総体的な電圧(420)の信号を受け取る。工程(205)の間、障害がある被験体の角度の欠損が広汎な場合、モジュール(150)は、障害がある足の靴(302)におけるフットスイッチ(425)から受け取られた電圧信号(420)に対応する運動期を判定することができない場合がある。その後、モジュール(150)は、障害が無い足の靴(302)におけるフットスイッチ(425)から受け取られた電圧信号(420)に基づいて、障害がある足の運動期を判定するように構成される。モジュール(150)は最初に、障害が無い足の靴(302)におけるフットスイッチ(425)から受け取られた電圧信号(420)に基づいて、障害が無い足の運動期を判定し、次いで、障害が無い足の運動期を障害がある足の運動期へと変換する。モジュール(150)のメモリは、歩行サイクル(400)の間に、障害が無い足の運動期と障害がある足の運動期との変換関係を保存する。例えば、障害が無い足が中間立脚運動期(410)にあると、障害がある足は踵離地運動期(412)にある。この実施形態において、モジュール(150)は、現在の運動期、及び足に適用されるトルクのタイミングと規模を判定するために、anklebot(300)の使用中に障害が無い足のフットスイッチ(425)の信号を使用する。
【0062】
方法(200)の工程(207)を実行するために、図12は、一実施形態に従う、歩行サイクル(400)の各運動期にわたり欠損角度(1106)を判定する方法(1200)の例を示すフローチャートである。工程(1201)において、モジュール(150)は、角度の痕跡(1102)(1104)それぞれに基づき、各運動期にわたる欠損角度(1106)を判定する。一実施形態において、各運動期にわたる、モジュール(150)は、正常な被験体の角度の痕跡(1102)と障害がある被験体の角度の痕跡(1104)との差異を算出することにより、各運動期にわたる欠損角度(1106)を判定する。
【0063】
工程(1203)において、モジュール(150)は、各運動期にわたる角度(1102)と(1104)との間の欠損角度(1106)の規模と極性を判定する。その後、モジュール(150)は、欠損角度(1106)の規模と極性に基づき、各欠損角度(1106)に関する運動期を識別する。一例の実施形態において、モジュール(150)は、正である欠損角度(1106)の極性、及び第1の最小閾値よりも大きい欠損角度(1106)の規模に基づき、踵離地運動期(412)とつま先離地運動期(414)との間の角度欠損(1106)を識別する。一例の実施形態において、モジュール(150)は、正である欠損角度(1106)の極性、及び第1の最小閾値よりも大きい第2の最小閾値よりも大きな欠損角度(1106)の規模に基づき、初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)との間の角度欠損(1106)を識別する。一例の実施形態において、第1の最小閾値は5-10°の範囲であり、第2の最小閾値は0-5°の範囲である。一例の実施形態において、モジュール(150)は、負である欠損角度(1106)の極性、及び臨界速度よりも大きい最大角度速度(vHS)の規模に基づき、踵接地運動期(408)と中間スタンスの運動期(410)との間の角度欠損(1106)を識別する。一例の実施形態において、臨界速度は45-55°/secの範囲である。一例の実施形態において、欠損角度(1106)の規模がゼロである又は最小閾値未満である場合、モジュール(150)は運動期中に角度欠損(1106)を識別しない。
【0064】
図11に示されるように、モジュール(150)は、欠損角度(1106)の極性が正であること(例えば、角度の痕跡(1102)が角度の痕跡(1104)よりも大きい)、及び欠損角度(1106)の規模が第2の最小閾値よりも大きいことを判定する。故に、モジュール(150)は、初期の遊脚運動期(416)と末期の遊脚運動期(418)の間の角度欠損(1106)を識別する。加えて、図11に示されるように、モジュール(150)は、欠損角度(1106)の規模が、踵離地運動期(412)と初期の遊脚運動期(416)の間ではゼロであることを判定し、故にモジュール(150)は、踵離地運動期(412)と初期の遊脚運動期(416)の間の角度欠損を識別しない。
【0065】
工程(1205)において、モジュール(150)は、工程(1203)で識別された角度欠損(1106)の中で最大の規模を持つ、主な角度欠損(1106)を伴う運動期を判定する。一例の実施形態において、工程(1203)では、モジュール(150)は、角度欠損(1106)が、運動期A、B、及びCそれぞれの間、5度、6度、及び7度であることを判定した。工程(1205)において、モジュール(150)は、運動期Cが主な角度欠損(1106)であり、最大の規模は7度であることを判定する。1つの実施形態において、モジュール(150)は、主な角度欠損の運動期における角度欠損(1106)の規模が予め定めた量を低減されるまで、工程(1205)で識別された主な角度欠損(1106)の運動期中に、コントローラーにモーター(314)へとトルク信号を伝達させるだけのために構成される。
【0066】
工程(1207)において、モジュール(150)は、各運動期にわたる運動モデルに基づき、工程(1203)で識別された各運動期中に角度欠損(1106)をパラメーター化する。一例の実施形態において、初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の角度欠損(1106)について、工程(1207)において、モジュール(150)は、方法(900)の工程(907)において方程式2を使用して計算される、又は欠損角度(1106)をパラメーター化するために図10Aの「ルックアップ」痕跡(1000)を使用して判定される、最小の剛性パラメーターKminを使用する。方程式2は方程式4として書き直されてもよい:
【0067】
【数4】
式中、Δは、最小の剛性パラメーターKminに基づいてパラメーター化された角度欠損(906)である。初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の移動モデルの方程式4は、パラメーター化された欠損角度Δを最小の剛性パラメーターKminに明確に関連付ける。γの選択された値について、パラメーター化された欠損角度Δは、最小の剛性パラメーターKminに反比例する。図13は、一実施形態に従う、最小の剛性パラメーターKminに基づいてパラメーター化された欠損角度の痕跡(1300)の例を示す図である。欠損角度の痕跡(1300)は、パラメーター化された角度欠損Δの値の縦軸(1302)に照らして測定され、最小の剛性パラメーターKminの値の横軸(1304)に対してプロットされる。図13に示されるように、痕跡(1300)はそれぞれ、0.7、0.8、及び0.9などの比率γの様々な値を提供される。故に、初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の運動期のための工程(1207)は、最小の剛性パラメーターKminを判定すること、次いで、方程式4、又は痕跡(1300に基づくデジタルデータの「ルックアップ」テーブルの何れかを使用してパラメーター化された角度欠損Δを判定することを含む。工程(1207)において判定される、パラメーター化された角度欠損は、実際のパフォーマンスと回復時間の履歴に基づき、anklebot(300)を初期化し、剛性値Kは経時的に変動する。
【0068】
踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間の移動モデルのために(1207)を実行するために、運動期(408)と(410)の間の角度欠損(1106)を識別した後、コントローラ(140)は、踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間の、所望トルクτと測定されたトルクτの差異である、欠損トルクΔτを判定する。一実施形態において、踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間の、正常な被験体の所望のトルクτ及び障害がある被験体の測定されたトルクτは、工程(203)(205)の間にトルクセンサー(例えばモーター(314))により測定され、モジュール(150)のメモリに保存される。工程(1207)の間、モジュール(150)は、方法(700)の工程(707)において方程式1を使用して算出される、又は運動期(408)と(410)の間の欠損トルクΔτをパラメーター化するために図8の「ルックアップ」痕跡(800)を使用して判定される、最小減衰パラメーターbminを使用する。方程式1は方程式5として書き直されてもよい:
【0069】
【数5】
式中、Δτは、運動期(408)と(410)の間のパラメーター化された欠損トルクであり、τは運動期(408)と(410)の間の所望のトルクであり、Cは方程式1からのαgMHΦである。運動期(408)と(410)の間の移動モデルは、欠損トルクΔτを最小減衰パラメーターbminに明確に関連付ける。Vの選択された値について、欠損トルクΔτは、最小減衰パラメーターbminに正比例する。
【0070】
図14は、一実施形態に従う、最小減衰パラメーターbminに基づいてパラメーター化された欠損トルクの痕跡(1400)の例を示す図である。欠損トルクの痕跡(1400)は、パラメーター化されたトルク欠損Δτの値の縦軸(1402)に照らして測定され、最小減衰パラメーターbminの値の横軸(1404)に対してプロットされる。図14に示されるように、痕跡(1400)はそれぞれ、100°/sec、200°/sec、及び300°/secなどの、最大の角速度(vHS)の様々な値を提供される。故に、踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間の運動期のための工程(1207)は、最小減衰パラメーターbminを判定すること、次いで、方程式5、又は痕跡(1400)に基づいてデジタル「ルックアップ」テーブルの何れかを使用してパラメーター化されたトルク欠損Δを判定することを含む。工程(1207)において判定される、パラメーター化されたトルク欠損は、実際のパフォーマンスと回復時間の履歴に基づき、anklebot(300)を初期化し、減衰値bは経時的に変動する。
【0071】
図15は、一実施形態に従う、障害がある足首関節の複数の運動期中に欠損を調整した適応可能な補助を提供するための、一例の駆動モジュール(1500)を示すブロック図である。駆動モジュール(1500)は、モジュール(150)の特異的な実施形態であるが、ヒトの足首(1510)を含まない。モジュール(1500)の操作中、障害がある被験者は、anklebot(300)を着用しており、複数の運動期を介して被験体の足首(1510)を動かす。ヒトの足首(1510)は、フットスイッチ(425)の1つ以上に圧力をかけ、モジュール(1500)に総体的な電圧(420)の出力を伝達させる。図5の方法(500)に基づいて、モジュール(1500)は、それぞれの総体的なフットスイッチ出力に対応する歩行サイクル(300)の運動期を予め決定し、この予め決定された関係は表(1502)に表される。フットスイッチ(425)の総体的な電圧(420)の出力に基づいて、モジュール(1500)は、歩行サイクル(300)の現在の運動期を判定する。上述のように、モジュール(1500)は、メモリに正常な被験体の足首の痕跡(1102)と障害がある被験体の足首の痕跡(1104)を保存し、図15の基準モジュール(1506)として表される。被験体が各運動期を介して歩行すると、モジュール(1500)は、基準モジュール(1506)から、保存された角度の痕跡(1102)の値、角度の痕跡(1104)の値、及び現在の運動期に対応する欠損角度(1106)を検索する。
【0072】
一例の実施形態において、角度の痕跡値(1102)、(1104)、及び角度欠損(1106)の代わりに、モジュール(1500)は、正常な被験体と障害がある被験体のトルクの痕跡値、及びモジュール(1500)のメモリに保存される現在の運動期の欠損トルクを検索する場合もある。
【0073】
方法(200)の工程(209)を実行するために、anklebotに適用されるトルク(1514)の適応的なタイミングは、フットスイッチ(425)の電流電圧(420)の出力に基づいてモジュール(150)により現在の運動期について判定される。図15の一例の実施形態において、モジュール(1500)は、フットスイッチ(425)の電流電圧(420)の出力が、現在の運動期が踵離地運動期(412)であることを示していることを判定した。モジュール(1500)は、現在の運動期の角度欠損(1106)の規模がゼロ(又は最小閾値未満)であるかどうかを判定する基準モジュール(1506)を使用する。角度欠損(906)の規模が現在の運動期においてゼロ(又は最小閾値未満)であることをモジュール(1500)が判定する場合、モジュール(1500)は、現在の運動期中にモーター(314)へと、適用されたトルク信号を伝達しない。現在の運動期の角度欠損(1106)の規模がゼロ(又は最小閾値)を超えることをモジュール(1500)が判定する場合、モジュール(1500)は、現在の運動期中に、anklebot(300)、例えばモーター(314)へと、適用されたトルク信号を伝達する。
【0074】
工程(211)を実行するために、anklebotに適用されたトルク(1514)の適応的な規模は、モジュール(1500)により現在の運動期について判定される。anklebotに適用されたトルク(1514)の適応的な規模は方程式6により提供される。
【0075】
【数6】
式中、τは、anklebotに適用されたトルク(1514)であり;Kはコントローラ(140)の剛性設定であり;Δは現在の運動期の角度欠損(1106)であり、Bはコントローラ(140)の減衰設定である。コントローラ(140)の剛性設定K及び減衰設定Bは最初に、それぞれ方程式1と2から判定される最小剛性設定Kmin及び最小減衰設定bminに設定される。工程(1207)で議論されるように、角度欠損(1106)の極性と規模は、各運動期について予め決定され、モジュール(1500)(例えば基準モジュール(1506))のメモリに保存される。角度欠損(1106)の極性が初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期の間、及び踵離地運動期(412)とつま先離地運動期(414)の間で正であるため、方程式6から結果として生じるanklebotに適用されたトルク(1514)は、これら運動期中に補助的である。角度欠損(1106)の極性が踵接地運動期(408)と中間スタンスの運動期(410)の間で負であるため、方程式6から結果として生じるanklebotに適用されたトルク(1514)は、これら運動期中に修復的(restorative)である。
【0076】
一例の実施形態において、モジュール(1500)は、最小の剛性パラメーターKminを判定するために図9の方法(900)と方程式2を使用し、Kminは後に、初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の現在の運動期中に適用されたトルク(1514)の適応的な規模をパラメーター化するために使用される。方程式6に角度欠損Δ=θ-θを代入する置換ことにより、以下の方程式7が得られる:
【0077】
【数7】
式中、θは所望の角度であり、θは初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の測定された角度である。θが初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の所望のピーク角度であるため(図11を参照)、θの時間導関数はゼロである。初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間の測定された角度θの時間導関数はvθであり、これは測定された足首の角速度である。加えて、所望のピーク角度θの所望の比率γを達成するために、Kは、方程式2から最小の剛性パラメーターKminの値に設定される。これらの仮定に基づき、方程式7は以下のようになる:
【0078】
【数8】
式中、Bは減衰を保持した定数(0.5-1.0Nms/radの範囲)である。現在の運動期が、初期の遊脚期(416)と末期の遊脚期(418)の間にあり、コントローラ(140)がこの現在の運動期(即ち、工程(1203))中に角度欠損を識別する場合、モジュール(1500)は、方程式8に基づいてanklebotに与えられたトルク(1514)をパラメーター化する。
【0079】
一例の実施形態において、モジュール(1500)は、最小減衰パラメーターbminを判定するために図7の方法(700)と方程式1を使用し、bminは後に、踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間の現在の運動期中に適用されたトルク(1514)の適応的な規模をパラメーター化するために使用される。遊脚期(416)と(418)の間の移動モデルとは対照的に、踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間のモデルにより予測されたトルクは本来、「弾性のある」修復性である(下垂足の欠損から結果として生じる「フットスラップ」による異状に高い衝撃力のショック吸収のため)。運動期(408)と(410)の間のモデルの適用のモードは最初に、コントローラ(140)の剛性Kを0nm/radに設定し、従ってこれは、トルクが方程式9により与えられる方程式6から得られる。
【0080】
【数9】
方程式8において、モジュール(1500)の減衰設定Bはbminに設定され、方程式1を使用することで方程式10が得られる:
【0081】
【数10】
現在の運動期が踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間にあり、モジュール(1500)がこの現在の運動期(例えば、工程(1203))中に角度欠損を識別する場合、モジュールは、方程式10に基づいてanklebotに与えられたトルク(1514)をパラメーター化する。
【0082】
工程(213)を実行するために、anklebotに適用されたトルク(1514)の適応的な規模は、方程式6~10の1以上により判定されるように、現在の運動期の適応的なタイミングに基づき、現在の運動期について靴(302)上のモーター(314)により適用される。工程(213)の間、モジュール(1500)は、工程(209)から現在の運動期の適応的なタイミングに基づいて、モーター(314)に現在の運動期の適用されたトルク(1514)の適応的な規模データを伝達する。モジュール(1500)から適応的な規模データを受け取る際、モーター(314)は、現在の運動期中に靴(302)に適応的な規模で、適用されたトルクを与える。工程(215)、(217)、(219)、(221)は、上述の方法(200)と同様の様式でanklebotの一例の実施形態において実行される。
【0083】
工程(223)において、適用されたトルク(1114)の適応的な規模の変化の予測は、各運動期についてモジュール(150)により行われる。図16は、各運動期における適用されたトルク(1514)の適応的な規模の変化を予測する方法(1600)の例を示すフローチャートである。
【0084】
工程(1601)において、モジュール(150)は、完了したセッションの数に基づいて、各運動期について移動モデルのパラメーターの予測された範囲を判定する。一例の実施形態において、最小剛性パラメーターKminの予測された範囲は、初期の3つのセッションについては125-150Nm/radであり、次の6つのセッションについては150-200Nm/radであり、その後は75-125Nm/radである。一例の実施形態において、最小減衰パラメーターbminの予測された範囲は、初期の3つのセッションについては3-4Nms/radであり、次の6つのセッションについては2-3Nms/radであり、その後は1.1.5Nms/radである。
【0085】
工程(1603)において、障害がある被験体は、補助無しの歩行セッション中にanklebot(300)を着用し、モジュール(150)は、モーター(314)からトルクデータ、センサー(313)から位置又は角度のデータ、及びフットスイッチ(425)から電圧(420)の出力データを受け取る。方法(700)(900)に基づいて、モジュール(150)は、各運動期について移動モデルのパラメーターを再計算するために、測定された位置データを使用する。
【0086】
工程(1605)において、モジュール(150)は、工程(1603)の再計算された移動モデルのパラメーターを、工程(1601)の移動モデルのパラメーターの予測された範囲と比較する。一例の実施形態において、モジュール(150)が工程(1603)において145Nm/radの最小剛性パラメーターKminを再計算し、工程(1601)において125-150Nm/radの予測された範囲を判定する場合、モジュール(150)は、再計算された移動モデルのパラメーターが予測された範囲内にあることを判定し、工程(1607)に進む。再計算された移動モデルのパラメーターが予測された範囲内に無いことをモジュール(150)が判定した場合、方法(1600)は工程(1609)に進む。
【0087】
工程(1607)において、モジュール(150)は、工程(211)におけるように、適用されたトルク(1514)の適応的な規模の変化を判定するために工程(1603)において再計算された移動モデルのパラメーターを使用する。
【0088】
工程(1609)において、モジュール(150)は、適用されたトルク(1514)の適応的な規模の変化を判定するために、移動モデルのパラメーターに対して予測された範囲の近似値を使用する。一例の実施形態において、モジュール(150)が工程(1603)において170Nm/radの最小剛性パラメーターKminを計算し、工程1601において125-150Nm/radの予測された範囲を判定する場合、その後工程(1609)においてモジュール(150)は、150Nm/radの最大範囲の値が、170Nm/radの再計算された最小剛性パラメーターに対する最も近似の値であり、故にモジュール(150)は、工程(211)におけるように適用されたトルク(1514)の適応的な規模の変化を判定するために150Nm/radのパラメーターの近似値を使用する。
【0089】
図17は、一実施形態に従う、多くの物理的療法セッションにわたる最小剛性パラメーターKminの痕跡(1700)の例を示す図である。図17の実施形態において、1-3のセッションを含む物理的療法の第1の期間ΔT中、最小剛性パラメーターKminは125-150Nm/radの範囲内で値Kに調整される。6-9のセッションを含む物理療法の第2の期間ΔTmax中、最小剛性パラメーターKminは150-200Nm/radの範囲内で値Kmaxに調整される。ΔTmaxを超える物理療法の第3の期間中、最小剛性パラメーターは75-125Nm/radの範囲内で値K∞に調整される。方法(200)の工程(223)は、移動モデルのパラメーターの範囲内の値を選択し、その後、移動モデルパラメーターにおけるこの変化に基づき方程式6~10の1以上を使用して各運動期の適用されたトルクの適応的な規模の変化を判定することにより、実行されてもよい。
【0090】
図18は、一実施形態に従う、多くの物理的療法セッションにわたる最小減衰パラメーターbminの痕跡(1800)の例を示す図である。図18の実施形態において、1-3のセッションを含む物理的療法ΔTmaxの第1の期間中、最小減衰パラメーターbminは3-4Nms/radの範囲内で最大値bmaxに調整される。6-9のセッションを含む物理療法ΔTmedの第2の期間中、最小減衰パラメーターbminは2-3Nms/radの範囲内で値bmedに調整される。それらを超える物理療法ΔTlowの第3の期間中、最小減衰パラメーターは1-1.5Nms/radの範囲内の値blowに調整される。方法(200)の工程(223)は、移動モデルのパラメーターの範囲内の値を選択し、その後、移動モデルのパラメーターにおけるこの変化に基づき方程式6~10の1以上を使用して各運動期の適用されたトルクの適応的な規模の変化を判定することにより、実行されてもよい。
【0091】
B.切断義肢
一実施形態において、本発明は、患者の失われた肢を置き換えるように設計される切断用義肢、及び、患者を助ける遠位の下方の肢の部分的切断の状況において利用される:a)足首と多分節の運動制御(全身)に関与する可動性運動能力を回復し;及び、b)着用時に歩行と平衡の感覚運動機能を改善するだけでなく、適切な場合にトレーニングと共に、日常生活の可動性動作の量と安全性を増大させるために装置が着用されていない時間にわたり達成される利益をもたらす。特に、義足は、機械的な支持、ショック吸収、平衡、及び推進力をもたらす。本発明の一例の実施形態は、着地の前に適切な方向付けを向上させるための(中に浮いている)遊脚期を含む義足の運動期中、及びユーザーと共同して協力的且つより健全な様式で接地力を制御するための立脚期中の、補助及び抵抗に関する機能性を提供する。一例の実施形態において、適応的な補助のために適応的なタイミングと適応的な規模を利用する、電池式の電動切断義肢は、活発な切断義肢の分野を進展させるために利用され得、これは特に、動作の品質と安全性を制御する運動(力)及び運動学的な(方向)力の動的な制御を制限し又は全く制御を行わない、主に静的装置を現在利用している部分的な遠位の足切断患者に当てはまる。
【0092】
一例の実施形態において、下肢切断義肢に対する耐性の適応的なタイミングは、足と地面との衝突の管理を支援し、従って、直接組織を傷つけ、且つ疼痛、整形外科的異常、及び連鎖上の運動異常をもたらしかねない、影響を受けた下肢における損傷の衝撃を減らすために地面反力(膝、殿部、及び全身に対して脛骨にかけられる力)のパターンを改善する様式で可動性の活動を実行することができる。一例の実施形態において、着地モデルにより通知されるような耐性の適応的な規模も、着地の力の方向と規模を減衰及び制御するために義足に使用され得、それにより、安定性と対称性を向上させるために足の接地の平衡と期間を改善するように着地のタイミングを制御し、その一方で損傷を受ける組織の力を減らし、全身(多分節)機能を改善する。
【0093】
C.健康な関節のトレーニング
片側から片側への足首の動作(回外-回内、又は前頭面(今後IE面と称される))は、足首の上下の運動(矢状面、又はPD面)とは機械的に独立しており、及び、IE面における初期の測定値を含む、PD面及びIE面における受動的な剛性(つまり、外部の位置的な混乱(perturbations)の下にあるばねのような特性)を別々に測定した。更に、受動的に動かされると、足首は内側への回転時に最も弱く(つまり、機械的に最も適合)、片側から片側への傾き時により強く(つまり、機械的にあまり適合しない、或いはより剛性である)、及び単に上下に移動する時に最も強く(つまり、機械的に最小の適合、又は最も剛性がある)、高度に異方性の(つまり、方向依存性)多面の受動的な機械インピーダンスを実証する。
【0094】
足首関節の多面の受動的な機械インピーダンスを測定するために使用される方法は、より近位の膝関節及び股関節などの他の下肢の関節に関する機械インピーダンスを推測することに等しく一般化可能である。本発明の一例の実施形態において、このような教示は、(ヒトのパフォーマンスの増大の状況下で)足首をより強くし且つ将来的なケガを減らすのを支援する特異的な方法で、自身の足首を動かすために健康な人々をトレーニングするために適用され得る。この例の実施形態において、本発明は、足首を含むがこれに限定されない下肢関節のヒトのパフォーマンスの増大のために使用される。この例の実施形態はまた、上下移動に時間を定めた補助をもたらしつつ機械的安定度のために外側(例えば、片側から片側)の足の運動において定量化され且つ時間を定めた耐性をもたらし;又は、補助をもたらさないが、異なる面(つまり、PD面対IE面)、及び面内の異なる方向(背屈対足底-屈曲など)に可変的なインピーダンスを有し、足首(又は機械インピーダンスが前述の引用における方法を用いて推定される他の近位の下肢関節)の結合(engagement)中に高度に人間工学的且つ効果的な受動的特性に通じる、スマート材料(スマート材料合金、又はSMAなど)を使用して設計されていない補助を行わない、「スマート」な機械的フットウェアに通じ得る。
【0095】
D.糖尿病性神経障害における足の圧力と地面反力の調節
幾つかの実施形態において、上記方法の1以上の工程が、糖尿病性神経障害における足の圧力と地面反力を調節する状況に使用される。アメリカ合衆国の人々のおよそ9.3%、及び恐らく5%が世界的に2型糖尿病(T2DM)を有しており、これは65歳以上の個人の26%を含み;この状態の主要な上昇は、既知の世界的な加齢及び肥満症の傾向に基づいて予想されている。このような人々の実質的な部分は、末梢神経障害を進行させ、疾患の経過にわたり最終的に100%になり、特につま先と踵の感覚の減少に繋がる。これは、固有の足の筋肉の消耗、及び、槌趾、シャルコー関節、外側のつま先の逸脱、及び中足骨パッドの菲薄化から成る二次的な整形外科的な問題によるものである。このような状態は全て、無感覚な足と組み合わさって、足の潰瘍へと繋がり、この潰瘍は、足の圧力の力をより良く分布させるために「静的な矯正器具」でのみ処置可能であるため、50%の5年生存率をもたらす。
【0096】
1つの一例の実施形態において、歩行サイクル(400)(即ち「フットスラップ」)の踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間に利用される、本発明の移動モデルを使用することで、被験体の靴に修復的なトルクを与え、及び故に、正確なタイミングの衝撃、或いは、つま先と足に感じる地面反力を可能にし、それにより、足の潰瘍を引き起こし、潰瘍、骨髄炎を含む関連する感染、及び最終的に切断に至ると知られている圧力を減らすための、動的な実時間の制御が可能となる。加えて、本発明により利用可能となった、運動期(408)と(410)の間の移動モデルの進行要素は、歩行の状態の間に運動学習をもたらし、これは、糖尿病性神経障害、及び、他の神経障害、例えば末梢動脈閉塞性疾患、慢性炎症性脱髄性神経障害、軸索神経障害、重金属、血管炎性、免疫媒介性、外傷性、化学療法後の神経障害、感覚、運動、又は感覚運動の関与を含む他の神経障害のケアのための足病学と矯正器具の分野への進出をもたらし、それにより、足の接地の質と量を改善し、足と関節の損傷を低減し、潰瘍を予防し、機能を改善し、及び最終的に障害と切断を回避するための新たな治療をもたらす。
【0097】
E.足病学、整形外科、及び義肢学の結果を改善するための運動学習
幾つかの実施形態は、足病学、整形外科、及び義肢学の結果、同様に、混合型又は複合型の疾病(足病学、整形外科、及び義肢学の範囲に該当する疾病に重ねられ、それを引き起こし、又はそれに起因する、任意の神経性の、脊髄の、又は末梢神経のプロセス又は損傷)を患う個体を改善するための、運動学習の状況において利用される。足病学及び整形外科における選択された手術後のケア条件は、地面反力(衝撃)、及び遊脚期と立脚期における足と足首の運動が、安全性のために、及び、より安全且つ安定した動的な歩行の進行的な運動学習のために制御される場合に、結果を最適化することが可能であり、平衡パターンは、即時の手術後のリハビリテーションの回復期において、及びケアの亜急性期と慢性期(特に、後者の期間では、繰返しの非適応性の使用パターンが、関係する足と脚の力の適応的な制御及び段階的なリアルタイムの調節を欠いている受動装置により適切には対処されない、組織と機能の低下が経時的に引き起こされる)にわたって最適化される。このような実施形態は、動的な歩行と平衡を調節するために、欠損を調整した及び段階的な性能を制御システムに提供する。一実施形態において、内蔵式センサーはまた、ピットフォールを回避するために、且つ健康を促進する身体活動行動を修飾するために、定量的な報告をクライアント、介護者、及びセラピストに知らせるための同時記録能力と情報科学を提供する。義肢学の分野において、地面反力(衝撃)は、人工の又は残りの肢の軸部の上方で行われ、及び、何年にもわたり、繰り返しの使用及び強打(pounding)は、血管分布状態を制限して損傷及び/又は感染を引き起こす断端における組織への疼痛、損傷、及びに断端上の二次的な関節損傷を引き起こし得る。
【0098】
歩行サイクル(400)(即ち「フットスラップ」)の踵接地運動期(408)と中間立脚運動期(410)の間で利用される実施形態の運動モデルは、欠損重症度を調節した様式で適応的なコントローラーを利用する生体模倣の歩行パターンをもたらすために利用される場合があり、断端を緩和するための基礎的な人工器官を適応させるための機械学習は、義肢学の結果を改善するために使用され得る。一実施形態は、力を推定且つモデル化するために、このような識別された歩行サイクル中に装置の固有の測定値を利用し、フィードバックを行ない且つケアを最適化するためにクライアント、介護者、セラピスト、及びバイオメカニクスの研究者が利用するための評点方式を提供する。腰椎5-仙椎1又は座骨の幹又は不完全な管の損傷により、跛行及び/又は背屈力低下(下垂足)、又は立脚期欠損を伴う多発外傷、及び後の前脛骨筋(例えば遊脚期欠損)又は腓骨神経損傷を患う人について、モジュラー欠損の重症度を調整可能なユニットは、クライアントの動的な協調制御、及び、衝撃力と安定性、疼痛減少、及び健康と機能性の独立を維持するための身体活動の全体的な測定レベルに関してより安全なパターンへと可動性プロファイルを調整するセラピストの能力を延ばすための、タスク指向の機能的運動性の治療ツールとして機能するのに適している場合がある。これは、将来的な同様の多発外傷、及び、整形外科的な症例又は神経学的且つ整形外科的な症例の回復を補助及び通知するための累積的な貯蔵所として機能する、進行の最適化のための正確な数学的モデル化を可能にする。後の実施形態は、処理下での条件の性質及び複雑さ次第で、リプログラミング、オンライン改良、又は相談の何れかにより、進行中の様式で回復と機能性を最適化するシステム制御をアップグレードする能力を含む。
【0099】
F.日常生活のロボット補助の可動性活動
幾つかの実施形態において、上記方法の1以上の工程は、下肢の可動性を使用する日常生活動作(ADL)の安全な実行を促進するためにロボット補助を提供する情況において使用される。歩行は高優先度のADLであり、機能的な可動性を取り戻すことに重要である一方、成功と安全性のために適切に時間を定められ且つ適切な足の制御に従事且つ依存する、他のホームコミュニティーADL(階段昇降、縁石の乗り降り(step on/off)、障害物を跨ぐことなど)がある。多様な実在の設定における可動性のADLに重要な態様は、それらが、タスクに対する多分節の運動制御をカスタマイズし、且つ安全性のために障害物を回避するために、主要な動きの有限集合から成るということである。そのため、必須のサブタスクは、急速でインコースの(in-course)動態的調整を特徴とする方法で変わる環境を介したナビゲーティングを含む、可動性の「プリミティブ(primitives)」と見なされる場合もある(階段を上るタスク中の段の高さの除去など)任意の可動性ADLの良好な(安全な)且つ効果的な実行は故に、各サブタスク又はタスクに固有のプリミティブの良好且つ効果的な実行を特徴とする。卒中又は他の神経系の疾病から結果として生じる、或いは加齢による足首欠損を含む下肢を持つ個体は大抵、特定の可動性のADLに固有の1以上の可動性のプリミティブを実行する際に負荷をかけられる(challenged)。
【0100】
一例の実施形態において、図3のanklebot(300)は、ADLを実行する間に足首欠損を持つ被験体を補助するために使用され得る。図28Aは、階段(2810)を上がる間に被験体(2890)により使用される図3のanklebot(300)であり、被験体(2890)には、遊脚期(416)と(418)の間に「下垂足」の欠損がある(図4Aを参照)。階段(2810)は、工程(2812)、(2814)、及び(2816)の間の段の高さ(2818)を含む、複数の段(2812)、(2814)、(2816)を含む。被験体(2890)が段(2812)から段(2814)まで進む際の歩行サイクル(400)の遊脚期(416)(418)の間(図4Aを参照)、anklebot(300)は、工程(211)で判定される適応的な規模に基づいてロボットに適用されるトルクを与え、前記トルクは、被験体(2890)が段(2812)と(2814)の間の段の高さ(2818)を達成する(clear)ことができるようにPD面に十分な量のトルクをもたらす。被験体(2890)が段(2814)から段(2816)まで進むと、anklebot(300)は、被験体(2890)が段(2814)と(2816)の間の段の高さ(2818)を達成することができるようにPD面に十分な量のトルクをもたらすために、ロボットに適用されるトルクを与える。
【0101】
図28Bは、anklebot(300)の補助モード及び非補助モード中に足底-背屈面において測定される、図28Aの被験体(2890)の角度痕跡(2850)(2852)の例を示す、一対のグラフである。痕跡(2850)と(2852)は、足底-背屈面において測定された角度の横時間軸(2856)と縦軸(2854)を含む。anklebot(300)の補助モード中の角度痕跡(2850)は、測定された角度が、正のピーク遊脚角度(2851)(およそ+15度)に到達し、被験体(2890)が段(2812)と段(2814)の間の高さ(2818)を達成し、且つ段(2814)と段(2816)の間の高さ(2818)を達成することを可能にすることを示している。anklebot(300)の非補助モード中の角度痕跡(2852)は、測定された角度が、負のピーク遊脚角度(2853)(およそ-15度)に到達し、その結果、被験体(2890)が段(2812)と段(2814)の間の高さ(2818)を達成できず、且つ段(2814)と段(2816)の間の高さ(2818)を達成できないことを示している。
【0102】
図28A-28Bは、階段を上がる間に被験体(2890)を補助するために使用されるanklebot(300)について議論しているが、anklebot(300)は、縁石を踏むことを含む任意のADLの間、又は障害物を跨ぐ間に被験体を補助するために使用され、その全ては、安全性と成功のために十分且つ適切に時間を定めた足表面の達成を特徴とする一般的な可動性のADLである。一般的な可動性のプリミティブ(足表面の達成)を治療上又は機能的に標的とする、そのような及び他の同様の実施形態は、卒中及び他の神経の結果生じる、及び加齢を原因とする1つ(足首など)又はそれ以上(膝と足首など)の下肢関節に可動性障害がある人々のために安全に且つ効率的に再トレーニング/再設計するために、ロボット工学を含む作動された補助技術の利用のための生態学的な設定を拡張する。前述の一例の実施形態において、これは、上手く階段を上るための遊脚(408)期、縁石の昇り降り、及び障害物を跨ぐことなどの間の、背屈の補助から成る。欠損を調整した手法は、正確に時間を定めたロボットに適用されるトルクを、それらのサブタスク(各々がその固有の機能的なニーズを持つ)に相当する事象にて伝えることにより、1以上の運動期中にサブタスクを制御することによって作動するため、その一般的な制御システム及び多用途性は、それ自体を、広範囲の可動性のADLにより次々に利用される多様な範囲の可動性のプリミティブを制御するために延長と適用可能性に向ける。
【0103】
G.一次元の外骨格の足首関節
本発明の1つの一例の実施形態は、上述のanklebot(300)のバージョンを提供する情況において利用され、これは、足底屈/背屈面(PD面)などの1つの面にトルクを与えるだけである(補助的又は抵抗的)。しかし、この実施形態は、PD面にトルクを与えることだけに限定されず、1つの一例の実施形態においては、IE面にトルクを与える。このanklebotの設計中、PD面においてトルクを与えるだけのそのような一次元のanklebotを使用して、サンプルデータを4人の慢性卒中の被験体から集めた。図21Aは、一実施形態に従う、anklebotの使用前後の被験体のピーク遊脚角度のデータの例を示すグラフ(2100)である。横軸(2102)は、回外-回内の足、又は前頭面(IE面)のピーク遊脚角度を表わす。縦軸(2104)は、方程式2で上述されるθmaxと同様のPD面における足のピーク遊脚角度を表わす。このデータ収集中に、被験体は、PD面にトルクを与えるだけのanklebotを着用しており、IE平面にトルクを与えず、それによりIE面での自由な動作を可能にした。
【0104】
データポイント(2105)は、一次元のanklebotを使用する前の、各被験体のIE面とPD面におけるピーク遊脚角度を表す。データポイント(2105)は、前述のように、「下垂足」欠損を示す、PD面における負のピーク遊脚角度を示す。データポイント(2105)はまた、回外の欠損を示す、IE面における正のピーク遊脚角度を示す(例えば、足は図4Aの遊脚期(406)中に内側に傾けられる)。データポイント(2106)は、6週間にわたる3つの毎週のセッションの間の、各被験体のIE面とPD面におけるピーク遊脚角度を表す。データポイント(2106)は、PD面の遊脚角度が、「下垂足」欠損における実質的な改善を示す、データポイント(2105)の負の遊脚角度から正の遊脚角度まで増大したことを示す。加えて、データポイント(2106)はまた、回外の欠損の排除を示す、IE面のより解剖学的に中性の遊脚角度を示している。anklebotがPD面にトルクを与えるだけであり、IE平にはトルクを与えなかったとすれば、この結果は驚くべきものである。データポイント(2108)は、更に6週間にわたる、各被験体のIE面とPD面におけるピーク遊脚角度を表す。データポイント(2108)は、PD面の遊脚角度が、「下垂足」欠損における更なる改善を示す、データポイント(2106)の遊脚角度から更に増大したことを示している。加えて、データポイント(2108)は、相乗的且つ高度に著しい発見である回外の欠損の継続的な排除を示す、IE面における中性の遊脚角度を示し続ける。データポイント(2106)と同様、anklebotがPD面にトルクを与えるだけであり、IE平にはトルクを与えなかったとすれば、この結果は驚くべきものである。
【0105】
図21Bは、一実施形態に従う、一次元のanklebotの使用前後の足の異なる部分の地面との初期接触の分布の例を示す、ヒストグラム(2150)である。一例の実施形態において、ヒストグラム(2150)における初期接触の分布は、anklebotを身につけてトレッドミルの上を1分間補助無しで歩行する試験中の足音の総数のパーセンテージとして表される、度数分布であり、何の補助も提供せず、データ記録するだけのものである。ヒストグラム(2150)は、図21Aに関して上述される被験体の同じサンプルにおける参加者であった模範の被験体の靴に埋め込んだ両側のフットスイッチを使用して捕捉される、補助無しの(記録のみのモードでのanklebot)歩行データに基づいており、且つ、6週間前と6週間後、及び完了後(保持)6週間の時点での地面との初期接触中の、外側のみ、外側と踵、及び踵の身の足の接地の分布を示している。各被験体は、PD面にしかトルクを与えず、IE平にはトルクを与えなかった、一次元のanklebotを着用した。
【0106】
ヒストグラム(2150)は、anklebotでトレーニングを行う前の被験体から捕捉したプリデータ(2170)を示す。プリデータ(2170)は、足の側部領域の初期接触速度(2172)が足音の合計のおよそ70%であり、足の踵領域の初期接触速度(2174)が足音の合計のおよそ20%であり、及び足の外側と踵の組み合わせの領域の初期接触速度(2176)がおよそ10%であったことを示している。障害が無い成人は、歩行の遊脚期から立脚期への移行時に、第1の領域として踵が地面と接触する様式で歩行することが、理解される(要するに、踵の第1の接触は、着地の最も生態学的且つ最も規則的なパターンである)。従って、PD面を標的としたanklebotトレーニングの前に、卒中患者は、図21Aに示されるような5つの足音のうち僅か1つの踵の第1の接地(20%)にしか繋がらなかった様式で歩行し、このことは、異常歩行のパターニングを示唆している。ヒストグラム(2150)はまた、トレッドミル上での1分の補助無しの歩行試験中に被験体がanklebotを着用していた間、6週間後に捕捉されたポストデータ(2180)を示す。ポストデータ(2180)は、足の外側領域の初期接触速度(2182)が足音の合計のおよそ25%であり、足の踵領域の初期接触速度(2184)が足音の合計のおよそ50%であり、及び足の外側と踵の組み合わせの領域の初期接触速度(2186)がおよそ25%であったことを示している。このことは、anklebotトレーニング前の20%の踵の第1の設置と比べて、著しく高い地面との踵の第1の足接触を示しており(50%、或いは、2つの足音毎の1つの踵の第1の接地)、下垂足における軽減により着地期の間の足のより意志的な制御の明らかな証拠を示している。
【0107】
ヒストグラム(2150)はまた、1分間にわたりトレッドミル上を歩行する間に記録のみのモードのanklebotを被験体が着用している間の、「トレーニング無し」の6週間後に捕捉された、6週間後の完了(保持)のデータ(2190)を示す。保持データ(2190)は、足の外側領域の初期接触速度が足音の合計のおよそ0%であり、足の踵領域の初期接触速度(2194)が足音の合計のおよそ95%であり、及び足の外側と踵の組み合わせの領域の初期接触速度(2196)がおよそ5%であったことを示しており、このことは、障害の無い歩行における100%の踵の第1の接地へと参照されるようにほぼ標準の歩行である。ヒストグラム(2150)のデータは、足の踵領域の初期接触速度が足音の合計のおよそ20%から足音の合計の95%まで上昇したこと、及び、足の外側の初期接触速度が、一次元の作動モードで被験体がanklebotを使用した12週間にわたって、足音の合計のおよそ70%から足音の合計の0%にまで下がったことを明らかにしている。この結果、立脚期中の被験体の外側の安定性の劇的な改善がもたらされており、anklebotがPD面にのみトルクを与え、IE面にはトルクを与えなかったとすれば、このことは驚くべきものではあるが、有力な結果である。
【0108】
上記の集められたサンプルデータを考慮して、PD面にのみトルクを与える一次元のanklebotは、たとえIE面が活動的に動かされないとしても(しかし足は、拘束無しに且つ自由に外側面で移動することができる)、PD面とIE面の両方において被験体に治療的な恩恵をもたらすことが、結論付けられた。その結果、PD面のみにトルクを与える一次元のanklebotの様々な実施形態が、以下に提示される。「一次元の」について参照する際、外骨格は片面(この場合、PD面)でのみ動かされ、他方の面(この場合、IE面)には力が伝えられないが、足は拘束無しに且つ自由に動かされていない面で動作することができることが、暗示されている。
【0109】
図22Aと22Bは、一実施形態に従う、障害がある足首関節の複数の運動期中に欠損を調整した適応可能な補助を提供するための、一例の軽量携帯用システム(2200)を示すブロック図である。システム(2200)は、本明細書に記載され且つ図22A-22Bに表される特異的な構造上の特徴を除いて、上述のシステム(300)と同様の様式で構造化且つ操作される。システム(2200)は、前述のコントローラ(140)と同様のコントローラ(図示せず)を含む。システム(2200)は、被験体の足を受けるための靴(2202)(肢(193)への接続のための梁(112)に相当する)を含む。システム(2200)はまた、リニアアクチュエータ(2216)(梁(112a)と駆動チェーン(118)に相当する)を介して靴(2202)に接続される、単一のモーター(2214)(モーター(116)に相当する)を含む。
【0110】
単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエータ(2216)は、脹脛の周囲に固定されるストラップ(2204)により脚の正面に沿って接続される。別の実施形態において、単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエータ(2216)は、例えば膝などの脚の別の部分の周囲を固定するストラップにより、脚の正面に沿って接続される。単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエータ(2216)は、脛骨と平行に配向されるように、脚の正面に接続される。単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエータ(2216)は、足がIE面(2221)に拘束されないよう、PD面(2220)のみにおいて靴にトルクを選択的に与え、且つIE面(2221)において靴(2202)にトルクを与えないために、ボールジョイントコネクター(2206)(ピボット(114)に相当する)にて靴(2202)に接続される。一例の実施形態において、ボールジョイントコネクター(2206)は靴(2202)の表面に固定される。モーター(2214)がリニアアクチュエータ(2216)を上下に動かすと、靴(2202)は、被験体の足首周囲で被験体の足を旋回させる。一例の実施形態において、システム(2200)はモーター(2214)を1つしか含まない。図2の方法(200)は、工程(213)を除いて、システム(300)と同様の様式でシステム(2200)を使用して実行され、そこでは単一のモーター(2214)は、現在の運動期の適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期のためにPD面(2220)のみにおいて靴(2202)にトルクが適用される、anklebotの適応的な規模を適用する。
【0111】
図22Cは、図22A-22Bのシステム(2200)において靴(2202)にリニアアクチュエータ(2216)を繋ぐために使用される、代替的なボールジョイントコネクター(2206’)の例を示すブロック図である。図22Cに示されるように、リニアアクチュエータ(2216)は、ボールジョイントコネクター(2206’)に接続され、その後、靴(2202)の周囲を覆うストラップ(2260)に接続されることで、靴(2202)の周辺でモーター(2214)とリニアアクチュエータ(2214)から力を均一に分散させる。
【0112】
図23Aと23Bは、別の実施形態に従う、障害がある足首関節の複数の運動期中に欠損を調整した適応可能な補助を提供するための、一例の軽量携帯用システム(2300)を示すブロック図である。システム(2300)は、単一のモーター(2214)とリニアアクチュエータ(2216)が、脹脛周囲に固定されるストラップ(2204)を使用して足の外側又は外部などの第1の側に取り付けられることを除いては、上述のシステム(2200)と同様である。加えて、図23Aと23Bに表されるように、第2のリニアアクチュエータ(2318)が、脚の内側又は内部などの第2の側に取り付けられる。図23Aと23Bに示されるように、単一のモーター(2214)が、第1のリニアアクチュエータ(2316)と第2のリニアアクチュエータ(2318)の両方を作動させるよう構成されるように、第1のリニアアクチュエータ(2316)は、コネクター(2319)により第2のリニアアクチュエータ(2318)に繋げられる。一例の実施形態において、コネクター(2319)は受動リンクである。加えて、図23Aと23Bに表されるように、一対のボールジョイントコネクター(2306)(ピボット(114)に相当する)が、靴(2202)の片側に設けられる。単一のモーター(2214)は、PD面(2220)のみにおいて一対のボールジョイントコネクター(2306)の周囲にロボットに適用されたトルクを与えるために、第1のリニアアクチュエータ(2316)と第2のリニアアクチュエータ(2318)を介して、一対のボールジョイントコネクター(2306)に接続される。図2の方法(200)は、工程(213)を除いて、システム(300)と同様の様式でシステム(2300)を使用して実行され、そこでは単一のモーター(2214)は、現在の運動期の適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期のためにPD面(2220)のみにおいて靴(2202)にトルクが適用される、anklebotの適応的な規模を適用する。
【0113】
図23のAとBでさらに例証されるように、システム(2300)は、被験体が複数の運動期(例えば図4Aで描かれた段階(402)、(404)、(406))の中で切り替えやすいやり方で、ロボットの補助(トルク)を受けるべく望ましい運動期を選択するための、ユーザーにより制御されたトグルスイッチ(2314)を含んでいる。図23のAはトグルスイッチ(2314)がモーター(2214)のハウジングに隣接した位置にあると示しているが、トグルスイッチ(2314)の位置は、システム(2300)内、あるいは、Bluetooth(登録商標)式腕時計、ベルトまたはポケット、あるいはポーチ中などの患者のいかなる場所であってもよく、ただし、ユーザーはトグルスイッチ(2314)に容易かつ迅速にアクセスできるとする。ユーザーにより制御されたトグルスイッチにより、任意の運動期オプションについて「補助なし」と同様に、多くの可能な運動期から1つ(歩行の遊脚期など)またはそれ以上(歩行の遊脚期と立脚期)の運動期中に適応的に時間を決められたロボットにより適用されたトルクの送達が可能となる。二進法の運動期の切り替え選択(すなわち、立脚期または遊脚期の両方ではなく一方)によって、被験体は一度にすべての運動期よりも少ない運動期(例えば、たった1つの運動期)欠損に取り組むことが可能となる。
【0114】
例となる実施例では、トグルスイッチ(2314)を用いて非補助モードを選択することができ、このモードでは、モーター(2214)は、リニアアクチュエータにより、運動期のいずれかの間に靴(2202)にトルクを与えず、それにより、被験体は非補助モードで歩く練習をすることができ、その間、ロボットは臨床医またはセラピストの検査のために足首運動力学を記録する。トグルスイッチ(2314)を使用して選択された所望の運動期に基づいて、工程(209)の適応的なタイミングは、現在の運動期が所望の運動期に対応するかどうかに基づいて決定される。
【0115】
図24は、図2の方法(200)のステップ(209)で適応的なタイミングを決定する方法(2400)の例を例証するフローチャートである。工程(2401)では、現在の運動期は、以前に議論されたように、現在のセンサー状態(168)に基づいて決定される。工程(2403)では、以前に議論されたように、現在の運動期の欠損パラメーター(167)は、現在の運動期用のロボット状態パラメーター閾値と比較される。工程(2405)では、欠損パラメーター(167)がロボット状態パラメーター閾値未満である場合、方法(2400)は終了し、現在の運動期中にモーター(2214)へ電圧は送達されない。工程(2405)では、欠損パラメーター(167)がロボット状態パラメーター閾値よりも大きい場合、方法(2400)は工程(2407)へ進む。
【0116】
工程(2407)で、現在の運動期がトグルスイッチ(2314)によって選択された所望の運動期と同じでない場合、方法(2400)は終了し、現在の運動期中にモーター(2214)には電圧は送達されない。工程(2407)では、現在の運動期が所望の運動期と同じである場合、方法(2400)は工程(2409)に進み、現在の運動期中に適切な電圧がモーター(2214)へ送達される。電圧を受け取ると、モーター(2214)は、工程(211)で決定された適応的な規模に基づいて、PD面(2220)だけでボールジョイントコネクター(2306)の周りの靴(2202)にトルクを与える。トグルスイッチ(2314)は図23のAとBのシステム(2300)において描かれているが、トグルスイッチ(2314)は省略されることもあれば、あるいは本明細書に開示された実施形態のいずれかにおいて含まれることもある。例示的な実施形態では、トグルスイッチ(2314)は、いかなるユーザー制御も与えることなく、あらかじめプログラムされた運動期の適応的に時間を決められた補助については省略されることもある。別の例示的な実施形態では、トグルスイッチ(2314)は、臨床的に診断された顕著な欠損、すなわち、立脚期の推進力の弱さあるいは遊脚期の下垂足のようにプログラムされたデフォルトの運動期とは異なることもあれば、異ならないこともある、所望の運動期を変更するためのユーザーコントロールを与えるために含まれてもよい。
【0117】
トグルスイッチ(2314)の使用の例示的な実施形態では、被験体が初期の立脚期(402)の間に「フットスラップ」欠損を経験し、遊脚期(406)の間に「下垂足」欠損を経験する場合、被験体は、「フットスラップ」欠損に取り組む前に(あるいはその逆)、「下垂足」欠損にのみ取り組むことを選択的に決めるためにトグルスイッチ(2314)を使用することができる。被験体は、所望の運動期として遊脚期(406)を選択するためにトグルスイッチ(2314)を使用する。多くのトレーニングセッション後、および/または「下垂足」欠損におけるあるレベルの改善を達成した後、被験体は、「フットスラップ」欠損にのみ取り組むために所望の運動期として初期の立脚期(402)を選択するべくトグルスイッチ(2314)を使用することができる。
【0118】
この例示的な実施形態は図25に描かれており、これは、センサー状態出力の痕跡(2502)と(2552)と、図4Aの歩行サイクルの複数の運動期にわたって足に適用されたトルクを例証する対のグラフである。センサー状態の痕跡(2502)は、フットスイッチ(425)からの集合電圧出力の横時間軸(2516)と垂直軸(2512)とともに、図4Bのセンサー状態の痕跡(424)と類似している。適用されたトルクの痕跡(2552)は、モーター(2214)によってPD面(2220)のみの靴(2202)に対して適用されたトルクの横時間軸(2516)と垂直軸(2554)をさらに有する。図25に描かれるように、被験体がトグルスイッチ(2314)を使って所望の運動期として遊脚期(406)を選択したため、適用されたトルクは 被験体が遊脚期(406)にあるとき(図4Aを参照)、遊脚期中に被験体を支援するために、踵離地(414)の運動期の直後にピーク(2550)に達する。遊脚期(406)が所望の運動期として選択されるため、適用されたトルクは他の運動期のいずれの間も欠損トルクを与えない。この例示的な実施形態では、適用されたトルクは、欠損調整型の段階アプローチ(遊脚期(406)の間の下垂足など)に合わせて、遊脚期(406)以外のすべての運動期中にゼロである。
【0119】
図26は、一実施形態に係る、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応性的な補助を与える例証的な軽量携帯用システム(2600)を例証するブロック図である。システム(2600)は、靴(2202)の底部の真下に位置するプレート(2630)のいずれかの側に、(ピボット(114)に対応する)対のコネクター(2632)が設けられるという点を除いては、上に議論されたシステム(2300)に類似する。単一のモーター(2214)はPD面(2220)だけの対のコネクター(2632)の周りにロボットにより適用されたトルクを与えるために、第1と第2のリニアアクチュエータ(2316)、(2318)を介して対のコネクター(2632)に接続される。図2の方法(200)は、現在の運動期のあいだに適応的なタイミングに基づいて、単一のモーター(2214)がPD面(2220)のみの靴(2202)に、適応的な規模のanklebotにより適用されたトルクを加える工程(213)を除いては、システム(300)と類似するやり方でシステム(2600)を使用して実行される。この実施形態では、被験体は、anklebotからの補助を受けているあいだ、通常の靴を使用することができる。
【0120】
図27は、図22のAとBのシステム(2200)における被験体(2790)によって運ばれたモーター(2214)の電源の例を例証するブロック図である。例示的な実施形態では、電源は、被験体(2790)によって着用されたバックパック(2780)に入れて運ばれるバッテリー(2709)である。例示的な実施形態では、電源は高容量(長寿命)バッテリーである。ケーブル(2711)はバッテリー(2709)をモーター(2214)に接続し、その結果、システム(2200)は携帯用(モバイル)であり、被験体は外部の電源につなぐことなくシステム(2200)を使用することができる。例示的な実施形態では、バッテリー(2709)は再充電可能な200ワットのバッテリーなどの再充電可能なバッテリーである。図27は被験体(2790)がバックパック(2780)にバッテリー(2709)を入れて運んでいる様子を描いているが、被験体(2790)は、ポーチまたはポケット内、あるいはベルト上などの被験体のいかなる場所でバッテリー(2709)を運ぶことができる。
【0121】
図29A-29Cは、一実施形態に係る、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を与えるための例証的な軽量携帯用システム(2900)を例証するブロック図である。システム(2900)は、本明細書に議論された特徴を除けば、上に議論されたシステム(2200)に類似する。システム(2900)は、モーター(2214)とリニアアクチュエータ(2216)(モーター(116)と梁(112a)に相当)を、被験体の足首(関節(192)に相当)上の脚(身体(191)に相当)に取り付ける梁(112a)として近位の取り付け(2940)を含む。例示的な実施形態では、近位の取り付け(2940)は膝よりも下の脚にモーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)を取り付ける。別の例示的な実施形態では、近位の取り付け(2940)は、膝よりも上および下の脚に、モーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)を取り付ける。この例示的な実施形態では、近位の取り付け(2940)は、モーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)をふくらはぎの周りに固定するストラップ(2204)と、モーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)をストラップ(2204)に取り外し可能に取り付けるように形作られたストラップ(2204)に固定されたブロック(2942)を含む。例示的な実施形態では、ブロック(2942)はスロットに形成され、スロット内では、モーター(2214)は摺動可能に受け取られ、システム(2900)の使用中にスロット内に固定される。
【0122】
図29Dは、図29A-29Cのシステムにおいて足にリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために梁(112b)として使用される遠位の取り付け(2950)の例を例証するブロック図である。遠位の取り付け(2950)は被験体の足首よりも下の足(肢(193)に対応する)にリニアアクチュエーター(2216)を取り付ける。例示的な実施形態では、遠位の取り付け(2950)は被験体の足のまわりに固定されたあぶみ(2952)を含み、あぶみ(2952)は接合部(2956)(ピボット(114)に相当)でリニアアクチュエーター(2216)に回転自在につながれた側板(2954a、2954b)を含む。例示的な実施形態では、接合部(2956)は側板(2954a、2954b)の上端部に相当する。例示的な実施形態では、遠位の取り付け(2950)はさらにソール(2959)を備えた靴(2958)を含み、側板(2954a、2954b)の下端部はソール(2959)に一体的である。様々なサイズの足を持つ被験体に対応するために様々なサイズの靴(2958)が提供される。例示的な実施形態において、側板(2954a、2954b)は、ソール(2959)のアーチ領域に隣接するソール(2959)に一体的である。例示的な実施形態において、側板(2954a、2954b)は、約110ミリメートル(mm)、あるいは、約100mm-約120mmの範囲の長さを有し、ソール(2959)に対して約18度(18°)、あるいは約10°-約25°までの範囲の角度を形成する。いくつかの実施形態において、側板(2954a、2954b)の長さは様々な靴のサイズ、とりわけ靴底(2959)の高さを考慮して調整可能である。いくつかの実施形態において、側板(2954a、2954b)の角形成は、変数を産出するのに調整可能である、性別に特有の足の人体測定(例えば、靴のサイズと靴の形)について可変の望ましい効果的なモーメントアームを得るために調整可能である。例示的な実施形態において、遠位の取り付け(2950)はさらに、接合部(2956)でそれぞれの側板(2954a、2954b)に固定された1つ以上の第1のバー(2960a、2960b)と、第1のバー(2960a、2960b)に接続し、リニアアクチュエーター(2216)にも接続される第2のバー(2962)を含む。第2のバー(2962)は複数の側板(2954a、2954b)に、例えば、対応するバー(2960a、2960b)を介して、1つのリニアアクチュエーター(2216)の動作を伝達するように構成される。これには、単一のリニアアクチュエーター(2216)を使用してPD面(2220)だけに動作を作り出すという長所があり、これは携帯用のanklebotのコストと重量を減らす。例示的な実施形態では、第2のバーは第1のバー(2960a、2960b)にほぼ直交して配向される。
【0123】
単一のモーター(2214)が単一のリニアアクチュエーター(2216)を上下へ移動させるにつれ、第1のバー(2960a、2960b)と第2のバー(2962)は同時に、接合部(2956)で上向きまたは下向きの力を与え、これは、次にPD面(2220)だけに接合部(2956)の周りで靴(2958)にトルクを選択的に与え、足がIE面(2221)で拘束されないようにIE面(2221)の靴(2958)にはトルクを与えない。例示的な実施形態では、背屈トルクは、リニアアクチュエーター(2216)の上方移動に基づいてPD面(2220)の靴(2958)に与えられ、底屈トルクは、リニアアクチュエーター(2216)の下方移動に基づいてPD面(2220)の靴(2958)に与えられる。
【0124】
図29E-29Fは、一実施形態に係る、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を行うために例証的な軽量携帯用システム(2900’)を例証するブロック図である。図29Gは、図29E-29Fのシステム(2900’)において足にリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために梁として使用される遠位の取り付け(2950’’’)の例を例証するブロック図である。システム(2900’)は、本明細書で議論される特徴を除いて、上で議論され、図29A-29Dで描かれたシステム(2900)に類似する。第1のバー(2960a、2960b)と第2のバー(2962)を介してリニアアクチュエーター(2216)につながれた平面の側板(2954a、2954b)を特色とするシステム(2900)の遠位の取り付け(2950)とは異なり、システム(2900’)の遠位の取り付け(2950’’’)は、ブロック(2953)と、リング(2963)を特色とするリンク(2965)とを介して、リニアアクチュエータ(2216)からにつながれた弓形の側板(2954a’)、(2954b’)を特色とする。例示的な実施形態において、弓形の側板(2954a’)、(2954b’)はブロック(2953)の対向する側に接続される。別の例示的な実施形態において、弓形の側板(2954a’)、(2954b’)はブロック(2953)に一体的である。いくつかの実施形態において、弓形の側板(2954a’)、(2954b’)はそれぞれ、被験体の足または靴の少なくとも半分の幅の水平距離を移動しつつ、ピボットからソールまでの垂直の距離を達成するために選択された1つ以上の曲率半径を示す。例示的な実施形態において、側板(2954a’)、(2954b’)の曲率半径は43mmであるか、約35mm-約50mmの範囲である。
【0125】
例証的な実施形態において、ブロック(2953)は、リンク(2965)の第1の端部(図示せず)を受け取るために、かつピボット(2964)を形成するべくスロット(2957)内で第1の端部を固定するためにサイズ指定されたスロット(2957)を特色とする。いくつかの実施形態において、ピボット(2964)はスロット(2957)に沿ってスライドし、これにより、側板(2954a’)、(2954b’)の角度が様々なサイズの靴に適合するように調製されるため、リンク(2965)は(例えば、足の基準フレーム内で)都合よく静止したままである。例示的な実施形態において、スロット(2957)内のピボット(2964)のこの構造的な配置は、サイズの小さな靴については側板(2954a’)、(2954b’)の傾斜の小さな角度を、サイズの大きな靴については側板(2954a’)、(2954b’)の傾斜の大きな角度を考慮している。第1の端部と対抗するリンク(2965)の第2の端部は、リニアアクチュエーター(2216)の先端(2961)を受け取り、かつリング(2963)内に先端(2961)を固定するためにサイズ設定されるリング(2963)を特色とする。いくつかの実施形態において、リンク(2965)の第2の端部とリング(2963)との間には摩擦嵌合がある。例示的な実施形態において、摩擦嵌合は堅い摩擦嵌合ゴム材料から設計される。別の例示的な実施形態では、先端(2961)は蝶ナット(図示せず)を備えたリング(2963)に固定される。例示的な実施形態において、リンク(2965)の第2の端部はリングに制限されず、リニアアクチュエーター(2216)の先端(2961)を受け取るためにサイズ設定された開口部を備えた任意の設計を含み得る。例示的な実施形態において、ボールジョイントコネクターなどのピボット(2964)は、リング(2963)とリンク(2965)の第1の端部との間に設けられる。
【0126】
単一のモーター(2214)が単一のリニアアクチュエーター(2216)を上下に移動させると、先端(2961)、リング(2963)、およびブロック(2953)は同時に、接合部(2956’)に対応するピボット(2964)で上向きまたは下向きの力を与え、これは、次にPD面(2220)だけで接合部(2956’)の周りで靴(2958)にトルクを選択的に与え、足がIE面(2221)で拘束されないようにIE面(2221)の靴(2958)にはトルクを与えない。
【0127】
図30Aは、一実施形態に係る、障害のある足首関節の複数の運動期中に欠損調整型の適応的な補助を行うために例証的な軽量携帯用システム(3000)を例証する写真である。システム(3000)は、本明細書に議論される特徴を除けば、上に議論されたシステム(2200)に類似する。図30Bは、図30Aのシステム(3000)において足にリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために使用される遠位の取り付け(2950’)の例を例証する写真である。遠位の取り付け(2950’)は、あぶみ(2952’)が靴(2202)と一体的ではないということを除けば、遠位の取り付け(2950)に類似する。代わりに、遠位の取り付け(2950’)は、靴(2202)の周囲のまわりであぶみ(2952’)を固定し、したがって、PD面(2220)だけで接合部(2956)のまわりで靴(2202)に与えられたトルクを均一に分布させるために、靴(2202)のまわりに巻かれるストラップ(3064)を含む。例示的な実施形態において、遠位の取り付け(2950’)は米国の女性のサイズ6(例えば、足のサイズ22.5cm)から米国の男性のサイズ12(例えば、足のサイズ28.6cm)までに及ぶ一連の靴のサイズに適合するように構成される。この例示的な実施形態では、靴(2202)はシステム(3000)の一部ではなく、したがって、システム(3000)は都合よく任意のタイプの靴を使用することを可能にする。
【0128】
図30C-30Dは、図30Aのシステム(3000)において脚にモーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために梁として使用される近位の取り付け(3040)の例を例証する写真である。様々な例示的な実施形態において、近位の取り付け(3040)は、膝で、および/または膝よりも上で、脚にモーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)を取り付ける。近位の取り付け(3040)は、当業者によって認識されるように、膝に固定された膝装具(3042)を含んでいる。例示的な実施形態において、近位の取り付け(3040)はさらに、膝装具(3042)に対して一方の側で固定される取り付けブロック(3044)を含み、単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエーター(2216)を取り付けるために第2の側に1つ以上の開口部(3046)を含む。
【0129】
図30Eは、図30C-30Dの近位の取り付け(3040)において脚にモーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために使用される取り付けブロック(3044)の例を例証するブロック図である。取り付けブロック(3044)は、ファスナー(3049)を使用して膝装具(3042)に固定される固定ブロック(3047)を含んでいる(図を30C参照)。取り外し可能なブロック(3045)は、固定ブロック(3047)内の対応する弓形のスロットに1対の弓形の拡張部(3049)をスライドすることにより、固定ブロック(3047)に取り外し可能に取り付けられる。例示的な実施形態において、取り外し可能なブロック(3045)は、単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエーター(2216)を取り付けるために開口部(3046)を含んでいる。取り付けブロック(3044)により、都合よく単一のモーター(2214)と単一のリニアアクチュエーター(2216)を容易に取り外したり、膝装具(3042)へ再度取り付けたりすることができる。例示的な実施形態において、取り外し可能なブロック(3045)は、取り付けブロック(3044)の重量を減らし、ゆえに、システム(3000)の重量を減らすために、ミル加工された部分(3048)をさらに含む。例証された実施形態において、取り付けブロック(3044)の寸法は、60ミリメートル(mm)のおよその長さ、幅30mm、および高さ15mmを含んでいる。しかしながら、他の実施形態では、取り付けブロック(3044)の寸法は任意の特定の数の寸法に制限されていない。いくつかの実施形態において、取り付けブロック(3044)が3D印刷によって生産される場合、取り付けブロック(3044)はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンで作られている。いくつかの実施形態において、取り付けブロック(3044)が機械加工される場合、取り付けブロック(3044)はアルミニウム6061-T6材料で作られている。いくつかの実施形態において、各フライス加工された部分(3048)の寸法は、15mmの近似の長さと幅10mmを含んでいる。
【0130】
図30Fは、図30C-30Dの近位の取り付け(3040)において脚にモーター(2214)とリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために使用される取り付けブロック(3044’)の例を例証するブロック図である。取り付けブロック(3044)とは異なり、開口部(3046)とフライス加工された部分(3048)が取り外し可能なブロック(3045)に形成される場合、取り付けブロック(3044’)は取り外し可能なブロックを特色とせず、その代わりに、膝装具(3042)に固定された固定ブロック(3047’)は、開口部(3046’)とフライス加工された部分(3048’)を特色とする。
【0131】
図31A-31Bは、図30Aのシステム(3000)において足にリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために梁(112b)として使用される遠位の取り付け(2950’’)の例を例証するブロック図である。遠位の取り付け(2950’’)は、足を受け取るように構成される靴(2202)の長さの周囲を固定するための調整可能なサドル(3152)である。サドル(3152)は、靴(2202)の踵部分を受け取るために形作られた第1のカップ(3154)と、靴(2202)のつま先部分を受け取るために形作られた第2のカップ(3156)を含んでいる。スロット(3160)を備えるバー(3158)は、第1のカップ(3154)に固定された第1の端部と、第2のカップ(3156)の溝部(3161)に摺動可能に受け取られる第2の端部とを有する。しかしながら、遠位の取り付け(2950’’)はこの構造的な配置に制限されず、バー(3158)の第1の端部を第2のカップ(3156)に固定することができ、バー(3158)の第2の端部を第1のカップ(3154)の溝部で摺動可能に受け取ることができる。例示的な実施形態において、バー(3158)は、第1と第2のカップ(3154)、(3156)の間隔が、靴(2202)のサイズに相当するように、選択的な量によって溝部(3161)にスライドされる。その後、第2のカップ(3156)内のファスナー(3163)は、第1と第2のカップ(3154)、(3156)の間隔を固定するためにスロット(3160)内に固定される。
【0132】
例示的な実施形態において、第2のカップ(3156)は、接合部(3173)(ピボット(114)に相当)とともに側板(3165a)、(3165b)を含む。例示的な実施形態において、シリンダー(3166)は側板(3165a)、(3165b)の間の接合部(3173)で接続される。図31Cは、図31A-31Bの遠位の取り付け(2250’’)において足にリニアアクチュエーター(2216)をつなぐために使用されるボールジョイント(3168)の例を例証するブロック図である。例示的な実施形態において、第2のバー(3171)はシリンダー(3166)の通路(3175)内に当初は位置し、その後、第1のバー(3169)とボールジョイント(3168)は、通路(3175)内の第2のバー(3171)に接続される。シリンダー(3166)はその後、側板(3165a)、(3165b)の間の接合部(3173)で接続される。その後、ボールジョイント(3168)はリニアアクチュエーター(2216)に接続される。単一のモーター(2214)が単一のリニアアクチュエーター(2216)を上下へ移動させると、ボールジョイント(3168)と第1のバー(3169)は同時に接合部(3173)で上向きまたは下向きの力を与え、これは、次にPD面(2220)だけで接合部(3173)の周りでサドル(3152)(および靴(2202))にトルクを選択的に与え、足がIE面(2221)で拘束されないようにIE面(2221)のサドル(3152)(および靴(2202))にはトルクを与えない。例示的な実施形態において、背屈トルクは、リニアアクチュエーター(2216)の上方移動に基づいてPD面(2220)の靴(2202)に与えられ、底屈トルクは、リニアアクチュエーター(2216)の下方移動に基づいてPD面(2220)の靴(2202)に与えられる。
【0133】
例示的な実施形態において、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は、上に議論されたセンサー(120)、(121)、リニアアクチュエータ、靴、近位の取り付け、および/または、遠位の取り付けを含む必要がない。この例示的な実施形態では、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は、方法(200)の工程(207)、(209)、(211)、(213)を少なくとも行うように構成されるモジュール(150)とともに、単一のモーター(2214)とコントローラー(140)のみを含む。例示的な実施形態において、コントローラー(140)のモジュール(150)は、被験体のセンサー状態に基づいた複数の運動期(工程(201))、通常の被験体のロボットパラメーターの痕跡(工程(203))、および/または外部源からの障害のある被験体ロボットパラメーターの痕跡(工程(205))を得る。別の例示的な実施形態において、コントローラー(140)は、センサー通信チャネル(122)に接続して、被験体センサー(120)および/またはロボットセンサー(121)から入力を受け取るために、センサー入力を含む。
【0134】
例示的な実施形態において、工程(209)の間、コントローラー(140)は、現在の運動期を判定するために1つ以上の被験体センサー(120)からセンサー通信チャネル(122)に沿ってデータを受け取る。例示的な実施形態において、被験体センサー(120)は、PD面(2220)の作動のためにコントローラー入力を生成するための靴の踵とつま先の領域内のフットスイッチ(425)(図4B)であり、ゆえに、靴の内側または外側の領域にフットスイッチ(425)を備える必要がない。例示的な実施形態において、被験体センサー(120)は、靴の踵領域、つま先領域、内側領域、および外側領域にフットスイッチ(425)を含む。
【0135】
例示的な実施形態において、工程(203)、(205)の間、コントローラー(140)は、1つ以上のロボット・センサー(121)からセンサー通信チャネル(122)に沿ってデータを受け取る。例示的な実施形態において、センサー(121)は、リニアアクチュエーター(2216)の直線運動を測定する単なる1つのセンサー(313)である。例示的な実施形態において、センサー(313)はリニアインクリメンタル光学式エンコーダである。例示的な実施形態において、センサー(121)は、PD面(2220)の内部領域/外側領域を測定するセンサー(312)を含む必要はない。例示的な実施形態において、センサー(312)はロータリエンコーダである。いくつかの実施形態において、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は、工程(203)、(205)がシステムによっては行われず、その代わりに外部システムにより行われ、通常の被験体と損傷のある被験体のロボットパラメーターの痕跡がモジュール(150)にアップロードされる場合などは、任意のセンサー(121)を除外する。
【0136】
例示的な実施形態において、工程(203)、(205)の間、センサー(121)はセンサー(312)と(313)のいずれかである。別の例示的な実施形態では、工程(203)、(205)の間、センサー(121)は両方ともセンサー(312)、(313)であり、ここで、センサー(313)は、PD面(2220)の足首角度データを含むロボット・パラメーター・データを評価するために、リニアアクチュエーター(2216)の直線移動データを測定し、センサー(312)はモーター(2214)を転流させる。例示的な実施形態において、センサー(313)は、リニアアクチュエーター(2216)の直線移動を検知する。1つの例示的な実施形態では、センサー(313)は、センサー通信チャネル(122)に沿ったモジュール(150)の直線移動を示す直線移動データを送信し、モジュール(150)はその後、直線移動データを、PD面(2220)内の靴の位置データなどのロボット状態パラメーターデータに変換する。別の例示的な実施形態では、センサー(313)は直線移動データをロボット状態パラメーターデータに変換し、続いて、センサー通信チャネル(122)に沿ってモジュール(150)にロボット状態パラメーターデータを送信する。例示的な実施形態において、PD面(2220)の靴の位置データは、PD面(2220)内の(固定軸に対する)靴の角度あるいは靴の速度を含んでいる。図32は、一実施形態に係る、anklebotを着用している身体と足の例示的な寸法を例証する図である。PD面(2220)の靴の角度θdpは、以下によって得られる:
【0137】
【数11】
ここで、xは、地軸(例えば、X軸、図32を参照)に沿った足首とanklebotとの間の取り付け点とアクチュエータ力の作用線との間の距離の地上座標系(x-y)に沿った投影の寸法であり、θdpoffsetは、PD面(2220)に回転した肢座標軸(x’-y’)と地上座標軸(x-y)の相対的な配向を特徴とする足首のオフセット角度である。xの値は以下によって得られる:
【0138】
【数12】
ここで、xtr,lenは、モーター(314)の頂部に取り付けられたロータリエンコーダ(312)の点から、足の上のリニアアクチュエーター(2216)の取り付け点までの長さとして定義された伝達長さであり、Lshankは、被験体の脚の長さ(例えば、足首から膝まで測定される)であり、xlink,dispはリニアアクチュエーター(2216)の変位長さであり、および、xlengthは、PD面(2220)の足首とanklebotとの間の取り付け点と、リニアアクチュエータ(2216)力の作用線との間の距離である。移動長さxlink,dispは、センサー(313)によって測定されるリニアアクチュエーター(2216)の正味の直線変位xrightを用いて得られる:
【0139】
【数13】
ここでxavactは、最大のアクチュエータ拡張と最大のアクチュエータ圧縮との間の差の半分として定義された平均アクチュエータ(2216)長さである。例示的な実施形態において、モジュール(150)は、リニアアクチュエーター(2216)の正味の変位xを含むセンサー(313)からの直線移動データを受け取り、リニアアクチュエーター(2216)の変位長さxlink,dispを計算するために方程式13を使用する。その後、モジュール(150)は、方程式12を使用してxを計算するために、Lshank、xtr,len、およびxlengthに対する既知の値とともに、計算された変位長さxlink,dispを使用する。パラメーターxtr,lenは、モーターに取り付けたロータリエンコーダの頂部からアクチュエータの現在の直線変位までの直線測定によって決定される。モジュール(150)はその後、方程式11を使用して、角度θdpを計算するために、θdpoffsetに対する既知の値と共に計算されたx値を使用する。いくつかの実施形態において、オフセット角θdpoffset値は足の腫瘤、足関節硬直などの内因性の足の機械インピーダンス、および足首の剛性などの任意の病的な因子に応じて変わる。例示的な実施形態において、PD面(2220)の中のオフセット角度θdpoffsetの典型的な既知の値は約数度である。
【0140】
例示的な実施形態において、工程(211)の間、モジュール(150)は、現在の運動期のに対してロボットにより適用されたトルクの適応的な規模に相当するリニアアクチュエーター(2216)の直線移動データを判定する。工程(213)の間、モジュール(150)は、工程(209)からの現在の運動期に関して適応的なタイミングに基づいて、現在の運動期についての直線移動データをモーター(2214)に送信する。モジュール(150)から直線移動データを受け取ると、モーター(2214)は、工程(211)で決定された適応的な規模で適用されたトルクがPD面(2220)だけでピボット(114)に与えられるように、直線移動データに合わせてリニアアクチュエーター(2216)に直線移動を与える。例示的な実施形態において、立脚運動期(404)の間、モジュール(150)はモーター(2214)に直線移動データを送信し、その結果、モーター(2214)はリニアアクチュエーター(2216)に下向きの運動を与え、底屈トルクは、PD面(2220)のみでピボット(114)に適応的な規模で加えられる(例えば、「蹴り出し(push off)」不足を修正するために)ようになる。例示的な実施形態において、遊脚運動期(406)の間、モジュール(150)はモーター(2214)に直線移動データを送信し、その結果、モーター(2214)はリニアアクチュエーター(2216)に上向きの運動を与え、背屈トルクは、PD面(2220)のみでピボット(114)に適応的な規模で加えられる(例えば、「下垂足」欠損を修正するために)ようになる。これらの例示的な実施形態では、ピボット(114)は足の足首とつま先の領域の間に位置する。
【0141】
例示的な実施形態において、脚の一方の側に1つのリニアアクチュエータがある、2つのリニアアクチュエータ(2216)、(2318)を含むシステム(2300)と(2600)について、工程(213)は、ピボット(114)のロボットにより適用されたトルクがPD面(2220)のみにあるように、同じ方向にリニアアクチュエータ(2216)、(2318)の両方を移動させることを含む。例示的な実施形態において、工程(213)は両方のリニアアクチュエータ(2216)、(2318)と同じ方向に同じ規模の力を加えることを含む。例示的な実施形態において、コネクター(2319)は、ピボット(114)のロボットにより適用されたトルクがPD面(2220)にのみあるように、同じ方向に両方のリニアアクチュエーター(2216)と(2318)を移動させることを促す。
【0142】
例示的な実施形態において、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は、各々が被験体(2790)により運ばれるように、携帯用であり、独立している。例示的な実施形態において、システムは携帯用で独立しているため、システムの操作をモニタリングするか制御するために、被験体(2790)によって着用されたシステムの外側のいかなる外部制御手段も使用することができない。例示的な実施形態において、コントローラー(140)とモジュール(150)は、マイクロプロセッサーATmega32U4またはAR9331 Linux(登録商標)、Arduino、Somerville、MA を備えるArduino Yun(登録商標)などのマイクロチップである。
【0143】
例示的な実施形態において、工程(201)、(209)の間、もし万一靴の中のフットスイッチ(425)の1つ以上が失敗すると、コントローラー(140)とモジュール(150)は現在の運動期を示すフットスイッチ(425)からのセンサー状態を受け取れないこともある。例示的な実施形態において、システムは、障害のある足の現在の運動期を決定するために使用することができるモジュール(150)にデータを供給するために使用可能な他のバックアップセンサーを有利に含んでいる。1つの例示的な実施形態において、先に議論されたように、フットスイッチ(425)は障害のない足の靴または遠位の取り付け(2950’)に位置し、これらのフットスイッチ(425)はモジュール(150)に集合出力を送信し、これは、障害のある足の現在の運動期を決定するためにモジュール(150)によって使用することができる。別の例示的な実施形態において、1つ以上のセンサーは、障害のある足の現在の運動期を決定するために使用することができるモジュール(150)にデータを供給するために足および/または膝に置かれる。例示的な実施形態において、膝センサー(例えば(315))は、障害のある膝の現在の運動期データを決定するために使用することができるシングルターンまたはマルチターンアナログポテンショメータである。この例示的な実施形態では、このデータは、障害のある足を補助するために、膝関節の角度位置を足首関節の角度位置にマッピングするために用いられる。別の例示的な実施形態において、先に議論されたように、モーター(2214)からの電圧信号は、ジョイント(114)上で被験体により与えられたトルクに基づいて、コントローラー(140)とモジュール(150)に送信され、モジュール(150)は、現在の運動期を決定するために電圧信号を用いる。
【0144】
例示的な実施形態において、工程(205)の前に、方法(200)は、障害のある被験体が1つ以上の健康状態を持っているかどうかを判断する1つの工程を含む。例示的な実施形態において、工程(207)の欠損パラメーター、工程(209)の適応的なタイミング、および/または、工程(211)の適応的な規模は、判定された健康状態に基づいて調節される。別の例示的な実施形態において、工程(217)の治療セッションの運動サイクルの数、および/または工程(219)の物理療法のための物理療法セッションの数は、1つ以上の判定された健康状態に基づいて調節される。別の例示的な実施形態では、工程(221)の予測された適応的な規模は1つ以上の判定された健康状態に基づいて調節される。
【0145】
例示的な実施形態において、健康状態は、患者の失われた肢と取り換えるために切断人工装具を含み、方法(200)は患者が可動性と感覚機能を回復するのを助けるために使用される。別の例示的な実施形態では、健康状態は糖尿病性神経障害を含み、方法(200)は足の圧力と地面反力を調節するために使用される。別の例示的な実施形態では、健康状態は運動学習の健康状態を含み、方法(200)は足病学、整形外科および義肢学に関する結果を改善するために使用される。別の例示的な実施形態において、健康状態は脳卒中を含み、方法(200)は、麻痺性(例えば、病気が発症した)の足首の寄与を増加させることによって歩行機能やバランス機能を改善するために使用される。別の例示的な実施形態では、健康状態は多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、あるいは神経障害または末梢性神経障害を含んでいる。例示的な実施形態において、方法(200)はパーキンソン病の被験体のすくみ足を絶つための破壊的技術として使用される。例示的な実施形態において、方法(200)は、移動度タスクの継続性に向けてすくみの発症を絶つために、および転倒のリスクを下げるために、感覚を思い出させ、補助のトルクを与えるべく、曲がる間、歩行の方向を変える間、パーキンソン病の被験体のすくみの発症中に1つ以上のトルクを一気に提供するために使用される。
【0146】
別の例示的な実施形態において、これらの健康状態としては、限定されないが、腓骨神経、坐骨神経あるいは第4または第5腰椎椎間板圧縮、または他の神経根、脊髄、馬尾に対する損傷、あるいは、歩行とバランスに支障をきたすように足首の機能を変える脊髄円錘損傷を含む、下肢の整形外科的な疾病と外傷が挙げられる。別の例示的な実施形態において、こうした健康状態は、足首の感覚運動制御を損なう筋肉および/または神経の損傷を伴う前隔壁腔症候群を形成する脛骨への外傷と、足首の神経支配を変える寛骨臼の骨折を含む、神経筋および整形外科的な疾病を含む。
【0147】
例示的な実施形態において、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)の単一のモーター(2214)は、バックドライバビリティ(back-drivability)、0.4-0.5ニュートン・メートル(N*m)の範囲の最小限の継続的な停動トルク、1.6N*mの最小限のピークトルク、1キログラム(kg)当たり0.639N*mの最小限のトルク対質量比、0.78kgの最大限の重量、および6600ドルの最大限のコストの1つ以上を含むパラメーターに基づいて選択される。例示的な実施形態において、単一のモーター(2214)は上に列挙されたパラメーターをすべて有する。
【0148】
以前に議論されたように、システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)はシステム(300)に類似しており、対のモーター(314)が単一のモーター(2214)に取り替えられるという1つの差異がある。例示的な実施形態において、単一のモーター(2214)が対のモーター(314)と同じトルクを加えるように、単一のモーター(2214)は、単一のモーター(2214)のパラメーターが対のモーター(314)用のパラメーターと同等となるように選択される。例示的な実施形態において、以下の表1は、Kollmorgen RBE(H)シリーズのモーターの候補:RBE(H)00714モーター(モーター(314)に関する例示的な実施形態で使用された)と、Kollmorgen RBE(H)01213およびKollmorgen RBE(H)01214のモーター(単一のモーター(2214)に対する例示的な候補)のパラメーターを示す。システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)用の単一のモーター(2214)に対する候補としてKollmorgen RBE(H)モーターを選択する理由は、一部には、市場の他のモーターと比較して、高い連続的な停動トルクとピークトルク、低静止摩擦トルク、低質量、高いトルク-質量比、および低価格にある。
【0149】
【表1】
【0150】
表1によれば、Kollmorgen 00714モーターは0.25Nmの連続的な停動トルク、0.802Nmのピークトルク、0.391kgの重量、0.639Nm/kgのトルク対質量比、および3300ドルのコストを有する。単一のモーター(2214)が1対のKollmorgen 00714モーターに取って代わっているので、単一のモーター(2214)の最小限のパラメーターは、0.50Nmの連続的な停動トルク、1.60Nmのピークトルク、(システムの全重量を減らすための)0.780kg未満の重量、0.639Nm/kgを超えるトルク対質量比、および(システムの全費用を下げるための)6600ドル未満のコストを含んでいる。この例示的な実施形態では、Kollmorgen 01214モーターは、単一のモーター(2214)と表1データのこうした基準に基づいて、いくつかの実施形態では単一のモーター(2214)に選択された。しかしながら、システム(2200)、(2300)、(2600)はいかなる特定のモーターに限定されず、モーター(2214)の選択も上に列挙された特定の数値パラメーター閾値に限定されず、常に発展している市場で入手可能となる表1に列挙されるものと等しいかそれよりも優れている数値パラメーター閾値を含む。システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)の単一のモーター(2214)は任意のパラメーターに基づいて選択可能であり、該パラメーターは、工程(213)のモーター(2214)が、現在の運動期のための適応的なタイミングに基づいて、およびアプリケーションEからFに基づいて、現在の運動期のためにPD面(2220)だけで靴(2202)に適応的な規模のanklebotにより適用されたトルクを加えることを保証する。
【0151】
以前に議論されたように、システム(2200)、(2900)、(3000)はシステム(300)に類似しており、別の差異は、対のリニアアクチュエーター(316)が単一のリニアアクチュエーター(2216)と取り替えられるということである。さらに、上に議論されるように、対のモーター(314)は単一のモーター(2214)と取り替えられる。その結果、システム(2200)、(2900)、(3000)は、1つのリニアアクチュエータ(314)(およびそのケーシング)の重量と同様に、対のモーター(314)と単一のモーター(2214)との間の差によりシステム(300)の重量を減少させる。さらに、システム(2200)、(2900)、(3000)は、1つのリニアアクチュエータ(314)(およびそのケーシング)のコストと同様に、対のモーター(314)と単一のモーター(2214)との間のコストの差によりシステム(300)のコストの減少をもたらす。さらに、例示的な実施形態では、システム(2200)、(2900)、(3000)は、内側と外側のフットスイッチ(425)を含む必要がなく、センサー(312)、(313)(ロボット・センサー(121)に相当)も含む必要がない。例示的な実施形態において、以下の表2は、システム(300)と比較して、結果として生じるシステム(2200)、(2900)と(3000)のコストの削減と重量の減少を示す。システム(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は、システム(300)のアクチュエータの選択によって限定されない。例示的な実施形態において、システム(300)のリニアアクチュエーター(314)にはRoh’Lixアクチュエータが選択された。なぜならは、Roh’Lixアクチュエータは、高いバックドライバビリティを提供するねじ山が設けられていないスクリューアクチュエーターであるからであり、例示的な実施形態では、バックドライバビリティは、システム(300)、(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)で使用されるリニアアクチュエータのパラメーターである。しかしながら、システム(300)、(2200)、(2300)、(2600)、(2900)、(3000)は任意の特定のリニアアクチュエータに限定されず、もし万一、Roh’Lixとして同等のまたはより優れた特性を備えたアクチュエータが常に発展している市場で入手可能になった場合には、同じクラス(ねじ山が設けられていないリニアスクリュー)あるいは別のクラスの他のアクチュエータの選択の柔軟性が保持される。
【0152】
【表2】
【0153】
表2に描かれるように、例示的な実施形態では、システム(2200)、(2900)、(3000)は、およそ2.47kgと軽量で、アクチュエーターケーシング-モーターの組立てのためのコストは3275ドルと手頃である。結果として生じるシステムの重量の減少とコストの節約は、被験体が家に持ち帰ることができる軽量で手頃なanklebotに形を変える。その後、被験体は、医療施設での計画的なトレーニングセッションの間にanklebotで可能であったであろう多くの歩行サイクルにわたってanklebotを利用することができる。その結果、被験体は、各運動期の欠損パラメーターの迅速かつ継続的な改善を経験することができる。
【0154】
3. 計算用ハードウェア概観
図19は、本発明の実施形態が実施され得るコンピュータシステム(1900)を例証するブロック図である。コンピュータシステム(1900)は、コンピュータシステム(1900)の他の内部と外部のコンポーネント間の情報を伝達するためのバス(1910)などの通信メカニズムを含む。情報は、典型的には電圧であるが、他の実施形態では、磁気、電磁気、現象、圧力、化学物質、分子の原子と量子の相互作用などの現象を含む、測定可能な現象の物理的な信号として表される。例えば、北と南の磁場、あるいは、ゼロとゼロでない電圧は、2進数字(ビット)を2つの状態(0と1)を表す。他の現象は、より高次の進数の桁を表すことができる。測定前の複数の同時の量子的状態の重ね合わせは量子ビット(量子ビット)を表す。1つ以上の進数字列は、数を表すかあるいは文字をコードするために使用されるデジタルデータを構成する。いくつかの実施形態において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近い連続体によって表される。コンピューターシステム(1900)またはその一部は、本明細書に記載される1つ以上の方法を1工程以上行うための手段を構成する。
【0155】
2進数字列は、数を表すかあるいは文字をコードするために使用されるデジタルデータを構成する。情報がバス(1910)につながれた装置中に迅速に伝達されるように、バス(1910)は情報の多くの平行導体を含む。情報を処理するための1つ以上のプロセッサー(1902)がバス(1910)とつながれる。プロセッサー(1902)は情報に操作のセットを行う。操作のセットはバス(1910)から情報を持ち込み、バス(1910)に情報を入れることを含む。操作のセットはさらに典型的には2単位以上の情報を比較し、情報の単位の位置を変え、足し算または掛け算によるなどして2単位以上の情報を組み合わせることを含む。プロセッサー(1902)によって実行される動作のシーケンスはコンピューター命令を構成する。
【0156】
コンピュータシステム(1900)はさらにバス(1910)につながれたメモリ(1904)を含む。ランダムアクセスメモリ(RAM)あるいは他の動的記憶装置などのメモリ(1904)は、コンピューター命令を含む情報を保存する。ダイナミックメモリは、内部に保存される情報がコンピュータシステム(1900)によって変更されることを可能にする。RAMにより、メモリアドレスと呼ばれる位置に保存された情報の単位を、近隣のアドレスの情報とは無関係に保存して検索することができる。メモリ(1904)は、コンピューター命令の実行の間に一時的な値を保存するために、プロセッサー(1902)によっても使用される。コンピュータシステム(1900)はさらに読み出し専用メモリ(ROM)(1906)、または、コンピュータシステム(1900)によって変更されない、命令を含む静的な情報を保存するためにバス(1910)につながれた他の静的記憶装置も含む。さらに、コンピュータシステム(1900)が電源を切られるか、他の方法で電力を失った時でも永続する、命令を含む情報を保存するための磁気ディスクまたは光ディスクなどの不揮発性の(永続的)記憶装置(1908)もをバス(1910)につながれている。
【0157】
命令を含む情報は、人間のユーザーによって操作された英数字キーを含むキーボードなどの外部入力装置(1912)あるいはセンサーから、プロセッサーにより使用されるためにバス(1910)に提供される。センサーはその付近の状態を検出し、その検出を、コンピュータシステム(1900)で情報を表すために使用される信号と適合する信号へと転換する。主として人間と相互に作用するために使用されるバス(1910)につながれた他の外部装置は、画像を提示するための陰極線管(CRT)あるいは液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ装置(1914)、および、ディスプレイ(1914)上に提示された小さなカーソル画像の位置を制御し、ディスプレイ(1914)に提示されたグラフィック要素に関連したコマンドを発するための、マウスあるいはトラックボールあるいはカーソル方向キーなどのポインティングデバイス(1916)を含む。
【0158】
例証された実施形態では、特定用途向け集積回路(IC)(1920)などの特殊目的ハードウェアは、バス(1910)につながれる。特殊目的ハードウェアは、特殊な目的のためにプロセッサー(1902)では十分に速く行われない操作を行なうように構成される。特定用途向けのICの例としては、ディスプレイ(1914)向けの画像を生成するためのグラフィックアクセラレータ、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化して解読するための暗号処理ボード、音声認識、および、ハードウェアでより効率的に実行されるいくつかの複雑な動作のシーケンスを行う、ロボットアームや医療スキャニング装置などの特別な外部装置に対するインターフェースが挙げられる。
【0159】
コンピュータシステム(1900)は、バス(1910)につながれた通信インターフェース(1970)の1つ以上の例をさらに含む。通信インターフェース(1970)は、プリンター、スキャナーおよび外部ディスクなどのそれ自体のプロセッサーで作動する様々な外部装置との双方向通信結合を提供する。一般に、この結合は、プロセッサーを備えた様々な外部装置が接続されたローカルネットワーク(1980)に接続されるネットワークリンク(1978)とのものである。例えば、通信インターフェース(1970)は、パラレルポートあるいはシリアルポート、またはパソコン上のユニバーサル・シリアル・バス(USB)であってもよい。いくつかの実施形態において、通信インターフェース(1970)はサービス総合デジタル網(ISDN)カード、あるいはデジタル加入者線(DSL)カード、あるいは、電話回線の対応するタイプに対する情報通信接続を提供する電話モデムである。いくつかの実施形態において、通信インターフェース(1970)は、バス(1910)上の信号を同軸ケーブルを介した通信接続の信号に、あるいは光ファイバーケーブルを介した通信接続のための光信号に変換するケーブルモデムである。別の例として、通信インターフェース(1970)は、イーサネット(登録商標)などの適合するLANへのデータ通信接続を提供するために、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクが実装されることもある。電波、光波、および赤外線波を含む音波と電磁波などの搬送波は、ワイヤーまたはケーブルを介さずに空間を移動する。信号は、搬送波の振幅、周波数、相、偏光、あるいは他の物理的特性の人為的な変動を含む。無線リンクについては、通信インターフェース(1970)は、デジタルデータなどの情報の流れを運ぶ赤外線信号と光信号を含む、電気信号、音響信号、あるいは電磁信号を送受信する。
【0160】
コンピューター可読媒体という用語は、プロセッサー(1902)に実行命令を含む情報を提供することに参加するあらゆる媒体を指すように本明細書では使用される。こうした媒体は、限定されないが、不揮発性の媒体、揮発性の媒体、および伝達媒体を含む多くの形態をとってもよい。不揮発性の媒体は、例えば、記憶装置(1908)などの光学ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性の媒体は例えば、ダイナミックメモリ(1904)を含んでいる。伝達媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブル、電波、光波、および赤外線波を含む音波と電磁波などの、ワイヤーまたはケーブルを介さずに空間を移動する波を含む。コンピューター可読記憶媒体との用語は、伝達媒体を除いて、プロセッサー(1902)に情報を提供することに参加するあらゆる媒体を指すように本明細書で使用される。
【0161】
コンピューター可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープまたは他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM))、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、あるいはホールのパターンを備えたあるいは他の物理的な媒体、RAM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、FLASH-EPROM、あるいは他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、あるいはコンピューターが読み取ることができる他の媒体が挙げられる。非一時的なコンピューター可読記憶媒体との用語は、搬送波と他の信号を除いて、プロセッサー(1902)に情報を提供することに参加する任意の媒体を指すように本明細書で使用される。
【0162】
1つ以上の明確な媒体中でコードされた論理は、ASIC*(1920)などの特殊目的ハードウェアとコンピューター可読記憶媒体でのプロセッサー命令1つまたは両方を含む。
【0163】
ネットワークリンク(1978)は典型的には、情報を使用または処理する他の装置に、1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワーク・リンク(1978)は、ローカルネットワーク(1980)を介してホストコンピュータ(1982)へ、あるいはインターネットサービスプロバイダー(ISP)によって操作された装置(1984)へ、接続を提供することがある。ISP装置(1984)は、順に、インターネット(1990)と現在では呼ばれるネットワークの公共の世界的なパケット交換通信ネットワークによってデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー(1992)と呼ばれるコンピューターは、インターネットで受け取った情報に応じてサービスを提供する。例えば、サーバー(1992)は、ディスプレイ(1914)での提示のための映像データを表す情報を提供する。
【0164】
本発明は、本明細書に記載される技術を実施するためのコンピュータシステム(1900)の使用に関する。本発明の1つの実施形態によれば、こうした技術は、メモリ(1904)に含まれている1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサー(1902)に応じて、コンピュータシステム(1900)によって行われる。ソフトウェアやプログラムコードとも呼ばれるこうした命令は、記憶装置(1908)などの別のコンピューター可読媒体からメモリ(1904)に読み込まれることもある。メモリ(1904)に含まれる命令のシーケンスを実行することで、プロセッサー(1902)は本明細書に記載される方法の工程を行う。代替的な実施形態では、特定用途向け集積回路(1920)などのハードウェアは、本発明を実行するためにソフトウェアの代わりに、あるいはソフトウェアと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本発明の実施形態はハードウェアとソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも制限されない。
【0165】
通信インターフェース(1970)でネットワークリンク(1978)と他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム(1900)への/からの情報を伝達する。コンピュータシステム(1900)は、ネットワーク(1980)、(1990)を介して、その中でもとりわけ、ネットワークリンク(1978)と通信インターフェース(1970)を介して、プログラムコードを含む情報を送受信することができる。インターネット(1990)を使用する一例において、サーバー(1992)は、インターネット(1990)、ISP装置(1984)、ローカルネットワーク(1980)、および通信インターフェース(1970)を介してコンピューター(1900)から送信されたメッセージによって要求される、特定用途のためのプログラムコードを送信する。受け取られたコードは、プロセッサー(1902)によって受け取られて実行されることもあれば、後に実行するために記憶装置(1908)あるいは他の不揮発性記憶装置に保存されることもあれば、その両方であることもある。このように、コンピュータシステム(1900)は、搬送波上の信号の形態のアプリケーションプログラムコードを得ることもある。
【0166】
コンピューター読取り可能な媒体の様々な形態は、実行用プロセッサー(1902)への、命令またはデータまたはその両方の1つ以上のシーケンスの伝達に関与することもある。例えば、命令とデータは、命令とデータは、ホスト(1982)などのリモートコンピュータの磁気ディスクに最初に運ばれることがある。リモートコンピュータはそのダイナミックメモリに命令とデータをロードし、モデムを使用する電話回線で命令とデータを送る。コンピュータシステム(1900)に対してローカルであるモデムは、電話回線で命令とデータを受け取り、赤外線送信機を使用して命令とデータを、ネットワークリンク(1978)として役立つ赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース(1970)として役立つ赤外線検出器は、赤外線信号で運ばれた命令とデータを受け取り、命令とデータを表す情報をバス(1910)に乗せる。バス(1910)はメモリ(1904)に情報を伝え、プロセッサー(1902)は、命令とともに送信されたデータの一部を用いて、該メモリからの命令を検索して実行する。メモリ(1904)で受け取られた命令とデータは、プロセッサー(1902)によって実行される前後いずれかに、記憶装置(1908)上に随意に保存されてもよい。
【0167】
図20は本発明の実施形態が実施され得るチップセット(2000)を例証する。チップセット(2000)は、本明細書に記載される方法の1以上の工程を行うようにプログラムされ、例えば、1つ以上の物理的な包装(例えばチップ)に組み入れられた図20に関して記載されたプロセッサーとメモリのコンポーネントを含む。例として、物理的な包装は、物理的強度、サイズの保存、および/または電気的な相互作用の限定などの1つ以上の特徴を提供するために、構造的なアセンブリ(例えば幅木)上での1つ以上の材料、コンポーネント、および/またはワイヤーの配置を含む。ある実施形態では、チップセットをシングルチップ中に実装することができると企図される。チップセット(2000)またはその一部は、本明細書に記載される方法の1以上の工程を行うための手段を構成する。
【0168】
1つの実施形態において、チップセット(2000)は、チップセット(2000)のコンポーネント中の情報を伝達するためのバス(2001)などの通信メカニズムを含む。プロセッサー(2003)は、命令を実行し、例えば、メモリ(2005)に保存された情報を処理するために、バス(2001)に対して接続性を有する。プロセッサー(2003)は1つ以上の処理コアを含むことがあり、各コアは独立して行うように構成されている。マルチコアプロセッサーは、単一の物理的な包装内でのマルチプロセッシングを可能にする。マルチコアプロセッサーの例としては、2、4、8またはそれ以上の数の処理コアを含んでいる。代替的に、あるいは、追加的に、プロセッサー(2003)は、命令の独立した実行、パイプライン処理、およびマルチスレッディングを可能にするために、バス(2001)によって縦一列に並んで構成された1以上のマイクロプロセッサーを含むことがある。1以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)(2007)あるいは1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)(2009)などの特定の処理機能とタスクを行うために、プロセッサー(2003)には1つ以上の専用コンポーネントが伴うことがある。DSP (2007)は典型的には、プロセッサー(2003)とは無関係にリアルタイムで現実世界の信号(例えば音)を処理するように構成される。同様に、ASIC (2009)は、汎用プロセッサーでは容易に行われない専門的な機能を行うように構成可能である。本明細書に記載される創造性のある機能を行うことを支援する他の専門的なコンポーネントは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラー(図示せず)、あるいは1つ以上の他の特殊目的コンピュータチップを含む。
【0169】
プロセッサー(2003)と付随するコンポーネントは、バス(2001)によってメモリ(2005)に対する接続性を有する。メモリ(2005)は、実行時に本明細書に記載される方法の1以上の工程を行う実行可能な命令を保存するために、ダイナミックメモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)とスタティックメモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。メモリ(2005)はさらに、本明細書に記載される方法の1以上の工程の実行に関連付けられる、あるいは該実行により生成されるデータを保存する。
【0170】
前述の明細書では、本発明はその特定の実施形態に関して記載されている。しかしながら、本発明のより広い精神と範囲から逸脱することなく、様々な修飾や変更を行うことが可能であるということは明らかである。このため、明細書と図面は限定的な意味ではなくむしろ、例証的な意味としてみなされるものである。本明細書と請求項にわたって、文脈から別段の必要性がない限り、「含む(comprise)」との用語とその変化形態、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などは、記載された項目、要素、または工程、あるいは項目、要素、または工程のグループを包含することを暗に意味するが、他の項目、要素、または工程、あるいは項目、要素、または工程のグループを除外することを暗に意味するものではないことが理解されよう。さらに、不定冠詞「a」または「an」とは、不定冠詞によって修飾される項目、要素、または工程の1つ以上を示すように意味する。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22-1】
図22-2】
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図29F
図29G
図29H
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図30F
図31A
図31B
図31C
図32