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  • 特許-バッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20221116BHJP
   A45C 5/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A45C3/00 J
A45C5/02 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018107376
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019208865
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502212383
【氏名又は名称】株式会社バルコス
(74)【代理人】
【識別番号】100116861
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 義博
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-136864(JP,A)
【文献】実開昭58-065918(JP,U)
【文献】登録実用新案第3089538(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0132583(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0046159(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00~ 3/14
A45C 5/02
B32B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に載置して法線方向からみた反射率より、法線方向に対して所定範囲内の角度から見た反射率の方が大きい様に表面処理された単一色の表面生地の裏一面に、
表面生地より曲げ強度の強い正三角形基調の平板体である裏当材を、所定間隔離して貼付したバッグ用複合素材を用いて少なくとも側面を形成し
各三角形部分は一様に看取されつつ傾いた三角形部分は光り正三角形部分は沈み込む幾何学模様が表出される装飾性を有することを特徴とするバッグ。
【請求項2】
バッグ側面の底辺および/または上辺は、裏当材のない表面生地部分により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
バッグの幅、径、または、高さのうち、最も大きな長さに対して、裏当材の一辺が1/6~1/12であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的には不定形ながらも、一定の規則性をもった表面意匠を与えるバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
バッグは、その用途に応じた大きさや形状があり、また、素材や配色も伴って多様な種類が存在する。
一方で、何十年も形やデザインをほとんど変えず、いわゆる定番物といわれるものも存在する。定番ものの中には、いわゆるシックやトラディショナルと称される、比較的落ち着いた色合いの中に、気品のある質感を伴うものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭59-030974
【文献】特開2011-38463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、いわゆる鱗紋基調としつつ意外性があり、不定形ながら一定の規則性のある意匠を表出させる素材構成に基づくバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のバッグは、平面に載置して法線方向からみた反射率より、法線方向に対して所定範囲内の角度から見た反射率の方が大きい様に表面処理された単一色の表面生地の裏一面に、表面生地より曲げ強度の強い正三角形基調の平板体である裏当材を、所定間隔離して貼付したバッグ用複合素材を用いて少なくとも側面を形成し、各三角形部分は一様に看取されつつ傾いた三角形部分は光り正三角形部分は沈み込む幾何学模様が表出される装飾性を有することを特徴とするバッグである。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、裏当材の単位形状により、色分けや線引きによらない表面生地のみによる、鱗紋基調であって自由度の高い起伏のある模様を表出させることが可能となる。
そして、マットな質感と光沢があるような質感が交錯し、単一色ながら装飾性の高いバッグを提供できる。
いわば、つや消しによりシックな質感を演出しつつ、幾何学模様による近未来的な質感を表出させることができる。
【0007】
表面生地は広義であって、バッグの表面を構成する布様材料であれば特に限定されない。植物繊維系や人口繊維系のような繊維系の生地であってもよい。本革でも人工皮革であってもよい。仕様の態様によってはシート状の樹脂素材も含まれる。なお、生地表面に模様や紋様、色彩が施されていても良いが、裏当材由来の表面意匠が効果的に看取できる単一色とするのが好ましい。
裏当材は、平板体である。裏当材は金属板のような堅い素材のほか、プラスチックのような曲がる柔軟素材であってもよい。なお、バッグ内側は裏当材が露出することなく、裏面生地により被覆されていることを妨げない。正三角形基調とは、正三角形の角をとって、たとえば丸みを持たせた形状を含むことをいう。所定間隔とは、正三角形一辺の1/10~1/30の間隔とすることができる。表面生地の裏一面に貼付するとは、所定間隔部分を除き裏当材を隙間無く敷き詰めることをいい、これにより鱗紋が形成されることとなる。ただし、裏一面といっても端部部分(ミミ)や縫合しろとする部分は表面生地だけとしてもよい。
バッグの形状によっては底面のないものもあるが、底面がある場合には、底面部分も同様もしくは同一のバッグ用複合素材をもちいてもよい。
【0008】
請求項2に記載のバッグは、請求項1に記載のバッグにおいて、バッグ側面の底辺および/または上辺は、裏当材のない表面生地部分により形成されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項2に係る発明は、裏当材が中途で切断されずすなわち裏当材の単位形状が損なわれることなく、側面形態が形成される。
【0010】
裏当材のない表面生地部分とは、裏当材同士の間隔部分である場合とバッグ用複合素材の端部や縫合しろとする部分をいう。
【0011】
請求項3に記載のバッグは、請求項1または2に記載のバッグにおいて、バッグの幅、径、または、高さのうち、最も大きな長さに対して、裏当材の一辺が1/6~1/12であることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項3に係る発明は、表面が鱗紋となっていることを容易に看取できる。
【0013】
最も大きな長さに対して裏当材の一辺が1/12より小さいと紋様が細かくなりすぎ、鱗紋であることがわかりづらく、また、1/16を超えると大判の三角形が目立ちすぎて意匠がかえって単調となってしまう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、いわゆる鱗紋基調としつつ意外性があり、不定形ながら一定の規則性のある意匠を表出させるバッグを提供することができる。かつ、マットな質感と光沢があるような質感が交錯し、単一色ながら装飾性の高いバッグを提供できる(請求項1)。また、鱗紋の単位形状が損なわれることなく、側面形態を形成させることができる(請求項2)。また、容易に鱗紋のデザイン看取が可能となる(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のバッグの外観構成図である。(a)斜視図。(b)底面図
図2】本発明のバッグに用いるバッグ用複合素材の例を示した説明図である。
図3】本発明のバッグの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のバッグの外観構成図である。図2は、本発明のバッグに用いるバッグ用複合素材の例を示した説明図である。図3は、本発明のバッグの写真である。
【0017】
バッグ1は、側面部10と、底面部20と、持手部30と、を基本構成としている。
【0018】
側面部10は、表側にくる複合素材11と内側にくる裏当布12とにより構成されている。
【0019】
複合素材11は、表面に黒色のポリ塩化ビニルをコーティングしたマイクロファイバーによる厚み約1.5mmの布地材111の裏一面に、一辺約4cm厚み約1mmの正三角形(ただし角には丸みを持たせている)状のポリ塩化ビニル板である裏当板112を、2mm間隔で一様に貼り付けたものである。図2に示したように、複合素材11は帯状であって、両端は縫い代として裏当板112を貼り付けていないミミ113を設けている。
【0020】
ミミ113に沿った裏当板112は、一辺を帯の長さ方向に向けて一様に敷き詰めてあり、かつ、裏当板112が正三角形であるので、平坦な複合素材11が曲げるなどされると幾何学紋様いわゆる鱗紋が表出する。なお以降においては、裏当板112間の折れ曲がる部分を間隙114と称することとする。
【0021】
また、布地材111の表面は、平面に載置して法線方向から見るとその素材の表面性状によりつや消し様に見える。しかしながら、法線方向から40°程度以上傾いた方向から見ると、光沢があるように見える(素材とコーティングによるそのような見え方になる)。
更に、布地材111は、裏当板112があるところは平面が保たれ、かつ、間隙114で折れ曲がることができる。
従って、複合素材11を用いたバッグ1の側面部10は、内容物や自重に伴って自由度の高い不定形な形状をとりつつ、幾何学的な模様を表出させ、かつ、各三角形部分は単一色ながら明度または彩度が異なって見える結果、シックでありながら近未来的な意匠を形成する。
なお、各三角形部分自体はそれぞれ一様に看取されるようにするため、裏当板112の
曲げ強度は、布地材111の曲げ強度より高くして、いわゆるコシを出すようにしている。
【0022】
裏当布12は、複合素材11裏面の裏当板112を被覆し、また、バッグ1内部の内ポケットや仕切り(図示せず)を構成する。
【0023】
複合素材11は、短辺方向を逢着して筒状とし、一方のミミ113を底面部20に縫い合わせ、他方のミミ113はバッグ1の開口部として加工する。
【0024】
持手部30は、バッグ1の持手を形成し、本実施の形態では、側面部10の上辺(開口部)に取り付けている。
【0025】
底面部20は、角を丸めた長方形であって、布地材111の裏面に厚手の芯材(図示せず)が貼り付けてあり、更に、裏当布12と同素材の裏当布(図示せず)が当てられた構成となっている。周縁部はミミ113と縫い合わされ、底面部20と側面部10とが合着した構成である。なお、底面部20には、四箇所に金属製の足21も突設されている。
【0026】
バッグ1は以上の構成であり、いわゆる鱗紋基調としつつ意外性があり、不定形ながら一定の規則性のある意匠を表出させるものである。より具体的には、マットな質感と光沢があるような質感が交錯し、単一色ながら装飾性の高いバッグを提供できる。特に、側面は事実上凹凸のない一枚物でありながら、傾いた三角形(正三角形からずれた三角形)部分は光り正三角形部分は沈み込む幾何学模様が表出されるので装飾性をより高めている。
【0027】
なお、本発明は以上の例に限定されない。
バッグの構成によっては、底面部20にも複合素材11を用いても良い。また、底面部20のないバッグであってもよい。すなわち、バッグ1は、クラッチバッグ、トートバッグ、ショルダーバッグ、ポシェット、バケットバッグ、ボストンバッグ、リュックサック、巾着袋など、特に限定されない。
ただし、鱗紋が好適に看取されるためには、バッグの幅、径、または、高さのうち、最も大きな長さに対して、裏当材の一辺が1/6~1/12であることが好ましい。
【0028】
また、布地材111は、黒色としたが、他の色であってもよく、布地材111自体に模様や複数色による色彩が施されていてもよい。仕様の態様のよっては、裏当板112に対応して正三角形部分を複数色に塗り分けるようにしてもよい。
また、布地材111は、ポリ塩化ビニルをコーティングしたマイクロファイバー以外の他の人工皮革、樹脂生地、本革等、種々の生地を採用することができる。
また、光沢の有無については、平面に載置して法線方向からみた反射率より、法線方向に対して所定範囲内の角度から見た反射率の方が大きい様に表面処理された布地材111を採用する方が、その表出意匠の意外性の観点から好ましいがこれに限定されない。
【0029】
なお、側面部10全面が複合素材11で構成されている態様のほか、側面部10上部または下部は別の素材または同素材でありつつ裏当板112の無いように構成されていても良いものとする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、新たな需要を喚起できる。
また、財布に適用しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 バッグ
10 側面部
11 複合素材
111 布地材
112 裏当板
113 ミミ
114 間隙
12 裏当布
20 底面部
22 足
30 持手部
図1
図2
図3