(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 602A
(21)【出願番号】P 2019217285
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】末岡 直也
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033431(JP,A)
【文献】特開2015-213576(JP,A)
【文献】特開2003-245405(JP,A)
【文献】特開2017-202054(JP,A)
【文献】特開2018-023427(JP,A)
【文献】特開2016-042996(JP,A)
【文献】特開2008-061660(JP,A)
【文献】特開2002-320712(JP,A)
【文献】特開2005-052439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付けるストップスイッチと、
前記ストップスイッチの操作に基づいて、前記当せんフラグが示す前記役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に配置されることで前記役が入賞するように、前記回転リールの回転を停止させることが可能な回転リール制御部と、
複数の前記役のフラグのうち特別役のフラグが当せんしたが前記特別役の入賞が持ち越されている内部中遊技状態、を解除する解除処理を行う解除部と、
前記内部中遊技状態の間、遊技者が受ける前記遊技媒体の出玉に関する恩恵が異なる複数の有利度、のいずれかに基づいて、前記遊技者による遊技進行を制御する遊技制御部と、
店舗側の操作者または前記遊技者の操作に基づいて、第1数量の遊技媒体、または、前記第1数量とは異なる第2数量の前記遊技媒体をベットする媒体管理部と、
前記操作者または前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて、複数種類の前記特別役のフラグのうち、前記解除処理後に前記第1数量の前記遊技媒体がベットされた状態で前記内部抽せんが実行されて当せんしたが入賞が持ち越されて前記内部中遊技状態となった前記特別役のフラグ、の種類に基づいて、前記特別役のフラグに対応する前記有利度を設定する有利度設定部と、
を備え、
前記遊技制御部は、前記有利度設定部により設定された前記有利度に基づいて、前記有利度に対応する前記特別役の入賞が持ち越されている前記内部中遊技状態の間、前記第2数量の前記遊技媒体がベットされた状態での、前記遊技者による遊技進行を制御する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付けるストップスイッチと、
前記ストップスイッチの操作に基づいて、前記当せんフラグが示す前記役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に配置されることで前記役が入賞するように、前記回転リールの回転を停止させることが可能な回転リール制御部と、
複数の前記役のフラグのうち特別役のフラグが当せんしたが前記特別役の入賞が持ち越されている内部中遊技状態、を解除する解除処理を行う解除部と、
前記内部中遊技状態の間、遊技者が受ける前記遊技媒体の出玉に関する恩恵が異なる複数の有利度、のいずれかに基づいて、前記遊技者による遊技進行を制御する遊技制御部と、
店舗側の操作者または前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて、複数種類の前記特別役のフラグのうち、前記解除処理後であって次の前記解除処理がなされるまでの間に当せんしたが入賞が持ち越されて前記内部中遊技状態となった前記特別役のフラグ、の種類に基づいて、前記特別役のフラグに対応する前記有利度を設定する有利度設定部と、
を備え、
前記遊技制御部は、前記有利度設定部により設定された前記有利度に基づいて、前記有利度に対応する前記特別役の入賞が持ち越されている前記内部中遊技状態の間、前記遊技者による遊技進行を制御
し、
前記解除処理は、前記遊技者の操作に基づいて行われる
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、スロットマシンには、出玉率などの、遊技者にとっての有利度を規定する設定値が複数段階設けられている。店舗側の操作者は、店舗の開店前に、スロットマシン1台ごとに設定値を設定していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、設定値は複数段階設けられているため、スロットマシンが各種規則に適合しているか否かの検査の際、設定値それぞれについて出玉率の性能試験を行う必要がある。設定値が多いほど出玉の性能試験に要する時間は長くなるため、検査の結果が決定するには時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、当該検査に要する時間の短縮を図ることができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付けるストップスイッチと、
前記ストップスイッチの操作に基づいて、前記当せんフラグが示す前記役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に配置されることで前記役が入賞するように、前記回転リールの回転を停止させることが可能な回転リール制御部と、
複数の前記役のフラグのうち特別役のフラグが当せんしたが前記特別役の入賞が持ち越されている内部中遊技状態、を解除する解除処理を行う解除部と、
前記内部中遊技状態の間、遊技者が受ける前記遊技媒体の出玉に関する恩恵が異なる複数の有利度、のいずれかに基づいて、前記遊技者による遊技進行を制御する遊技制御部と、
店舗側の操作者または前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて、複数種類の前記特別役のフラグのうち、前記解除処理後に当せんしたが入賞が持ち越されて前記内部中遊技状態となった前記特別役のフラグ、の種類に基づいて、前記特別役のフラグに対応する前記有利度を設定する有利度設定部と、
を備え、
前記遊技制御部は、前記有利度設定部により設定された前記有利度に基づいて、前記有利度に対応する前記特別役の入賞が持ち越されている前記内部中遊技状態の間、前記遊技者による遊技進行を制御する
ることを特徴とする遊技機である。
【0007】
また、第1の発明では、
前記遊技制御部は、前記内部中遊技状態の間、前記内部抽せんにより当せんした、前記特別役以外の前記役の前記ストップスイッチの正解操作順が報知部に報知されるアシスト機能、を実行させる
ことができる。
【0008】
また、第1の発明では、
前記有利度には、前記遊技媒体の出玉に関する恩恵に寄与する前記アシスト機能の性能、が含まれ、
前記有利度設定部は、前記解除処理後に前記内部中遊技状態となった前記特別役のフラグの種類に基づいて、前記特別役のフラグの種類に対応する前記アシスト機能の性能を設定することにより、前記有利度を設定する
ことができる。
【0009】
また、第1の発明では、
前記店舗側の操作者による操作に基づいて、前記遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す出玉率に対応した設定値、を変更する設定変更部、
を更に備え、
前記遊技制御部は、前記スタートスイッチの操作に基づいて前記解除処理後に前記内部中遊技状態となった前記特別役のフラグの種類と、前記設定変更部により変更された前記設定値との組み合わせに応じて、前記遊技進行を制御する
ことができる。
【0010】
また、第1の発明では、
前記内部中遊技状態に関する遊技データを記憶するRAMと、
前記RAMを初期化するための操作を受け付けるRAMクリアボタンと、
を更に備え、
前記解除部は、前記店舗側の操作者が前記RAMクリアボタンを押下した場合に前記内部中遊技状態をリセットする前記解除処理を行う
ことができる。
【0011】
また、第1の発明では、
前記店舗側操の作者による操作に基づいて、前記遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す出玉率に対応した設定値、を変更する設定変更部、
を更に備え、
前記設定変更部が前記設定値を変更する際、前記解除処理は行われない
ことができる。
【0012】
また、第1の発明では、
前記有利度を示唆する演出を報知部に報知させる報知制御部、
を更に備える
ことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊技機の検査に要する時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図7】有利度と特別役との関係を表すテーブルの概念図である。
【
図8】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】他の実施形態にかかるスロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0016】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0017】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0018】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。液晶画面3、スピーカ102および電飾部は、報知部に相当する。
【0019】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0020】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0021】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0022】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44および精算スイッチ45などを含む。
【0023】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0024】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を制御部6に出力する。
【0025】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0026】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0027】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知される。
【0028】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0029】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0030】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図2参照)。
【0031】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、およびRAMクリアボタン71を備える。回転リールユニット2、制御部6、およびRAMクリアボタン71は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0032】
回転リールユニット2は、
図1および
図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、
図3に示すように、複数の図柄が、当該リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0033】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0034】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0035】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。
【0036】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0037】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0038】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。本実施形態における特定の役には、以下に述べる特別役も含まれる。
【0039】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作をいう。
【0040】
具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0041】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間の種類が設定され、複数の遊技状態の中から1つの遊技状態が設定される。設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、
図4および
図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0042】
第1遊技状態は、
図4に示すように、特別役非持ち越し状態および特別役持ち越し状態を含む。特別役非持ち越し状態と特別役持ち越し状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0043】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合などに設定される。特別役非持ち越し状態にて、内部抽せんにより特別役が当せんすると、第1遊技状態は特別役非持ち越し状態から特別役持ち越し状態に移行する。
【0044】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。本実施形態にかかる遊技者は、第1遊技状態が特別役持ち越し状態に設定された状態にあるスロットマシン1にて、遊技を行う。
【0045】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0046】
本実施形態では、第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に、店舗側の操作者(以下、店舗スタッフ)が一旦特別役を当せんさせると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役を入賞させることなく持ち越された状態(すなわち特別役持ち越し状態)に移行する。遊技者によるスロットマシン1の遊技中、遊技者は、持ち越された状態にある特別役を入賞させることなく、第1遊技状態が特別役持ち越し状態のままで遊技を続行する。従って、本実施形態では、遊技者の遊技中、内部当せんした特別役が入賞することはない。
【0047】
本実施形態では、上述した特別役の種類が複数(例えば6種類)存在する。具体的には、
図7に示すように、一種BBとして、赤ビッグボーナスの同色ビッグボーナス、青ビッグボーナスの同色ビッグボーナス、これらの色の組み合わせ方が異なる2種類の異色ビッグボーナスが存在し、二種BBとして、黒バーの同色レギュラーボーナスと、白バーの同色レギュラーボーナスとが存在する。これらのいずれのボーナスも、店舗スタッフが店舗の開店前に当せんさせておき、遊技者が、入賞しない状態が維持された状態にて、遊技を行う。
【0048】
以下では、上述した特別役持ち越し状態を、“ボーナス内部状態”という。“ボーナス内部状態”は、内部中遊技状態に相当する。
【0049】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、
図5に示すように、一般遊技状態およびAT状態を含む。一般遊技状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0050】
一般遊技状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリアボタン71を用いたRAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0051】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした前記特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からAT状態へと移行する。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからメダルが払い出された総枚数が所定枚数に達した場合に、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0052】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための状態(区間)である。
図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0053】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0054】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0055】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部62を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて、演出に関する制御を行う。
【0056】
メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。従って、本実施形態における遊技データには、第1遊技状態が特別役非持ち越し状態またはボーナス内部状態であることを示すデータが含まれる。サブ制御部62のRAMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0057】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、リセット部(解除部に相当)614、遊技制御部615(遊技制御部および有利度設定部に相当)、区間制御部616、遊技状態制御部617として機能する。サブ制御部62は、演出制御部620(報知制御部に相当)として機能する。
【0058】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時の第1および第2遊技状態と遊技区間とに基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびレバー43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技状態制御部617などに送信される。
【0059】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー43操作時のRT状態やボーナスの種類などの組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役が含まれる。
【0060】
AT状態で遊技が行われる場合には、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0061】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんし成立している。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされないため、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。
【0062】
特に、リセット部614によるリセット処理の後であって、かつ、第1遊技状態が特別役非持ち越し状態(つまり、ボーナス内部状態でない)状態にて、店舗スタッフがレバー43を操作した場合、内部抽せん部610は、複数種類の特別役のフラグのうち1つを、当せんした特別役のフラグとして当せんさせる。内部抽せん部610は、当せんした特別役のフラグを、回転リール制御部611や遊技制御部615などに送信する。
【0063】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0064】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0065】
遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、内部抽せん結果である当せんフラグ(ただし、特別役のフラグを除く)が示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0066】
また、遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ40が操作された時の対応する回転リール40の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0067】
なお、特別役が当せんした場合、回転リール制御部611は、その特別役の当せんする直前のレバー43の操作およびその直後のストップスイッチ40の操作に基づいて、回転リール20の回転および停止はさせるものの、当該特別役の入賞はさせない。
【0068】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて、遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0069】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0070】
具体的に、媒体管理部613は、遊技者の操作に基づいてメダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、遊技者の操作に基づいてメダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0071】
内部抽せんによって、払い出しのある役を含む役のフラグが当せんフラグとして成立し、かつ、遊技者の操作に基づいて当該役が入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0072】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果、または精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0073】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0074】
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数およびレンジ(MY)は、区間制御部616に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジ(MY)をリセットする。
【0075】
―リセット部―
リセット部614は、店舗スタッフの操作に基づいて、上述したボーナス内部状態を含む遊技データをリセット(解除)するリセット処理(解除処理に相当)、を行う。具体的に、ボーナス内部状態を含む遊技データは、メイン制御部61のRAMに記憶されている。リセット部614は、店舗スタッフがRAMクリアボタン71を押下した場合に、メイン制御部61のRAMを初期化することで、記憶中の遊技データを消去することにより、リセット処理を行う。これにより、現在のゲーム数が消去されることに加え、特別役が当せんしている状態は解除される。リセット処理により、第1遊技状態は、ボーナス内部状態から特別役非持ち越し状態に移行する(
図4)。
【0076】
―遊技制御部―
遊技制御部615は、ボーナス内部状態の間、複数の有利度のいずれかに基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。有利度とは、遊技者が受けるメダルの出玉に関する恩恵を表すものであり、本実施形態では“設定値”に対応する場合を例示する。設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。有利度(設定値)に応じて、リプレイやベルなどの、特別役以外の役の当せん確率は異なっている。
【0077】
特に、本実施形態では、既に述べたように、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなる“特別役”が複数種類存在し、
図7に示すように、特別役の種類ごとに有利度(設定値)が予め対応付けられている。一例として、
図7では、特別役「赤7・赤7・赤7」に対して有利度(設定値)が「1」、特別役「黒バー・黒バー・黒バー」に対して有利度(設定値)が「6」などと設定されている。従って、特別役ごとに、対応する出玉率は異なっており、特別役「赤7・赤7・赤7」であれば出玉率は97%、特別役「黒バー・黒バー・黒バー」であれば出玉率は110%となっている。
【0078】
そこで、遊技制御部615は、店舗スタッフによるレバー43の操作に基づいて、複数種類の特別役のフラグのうち、リセット部614によるリセット処理後にボーナス内部状態となった(より好ましくはリセット処理後に最初にボーナス内部状態となった)特別役のフラグの種類に基づいて、その特別役のフラグに対応する有利度を設定する。特別役のフラグの種類に基づいて有利度が設定されることと、設定値を設定することとは、同義である。当該特別役は、当せんしたものの入賞は持ち越されるため、特別役が当せんした(つまり、有利度(設定値)が設定された)時点で、スロットマシン1はボーナス内部状態となる。
【0079】
なお、特別役が当せんすることにより、スロットマシン1の有利度が設定されるのであるから、特別役の当せん確率は、有利度(設定値)に関係なく一律である。特別役が抽せんされるのは、有利度(設定値)が設定される前だからである。
【0080】
このように、本実施形態では、一般的なスロットマシンのように設定変更ボタンを店舗スタッフが操作することによって設定値を設定するのではなく、RAMがクリアされた“ボーナス内部状態でない”状態下でのレバー43の操作に基づいて当せんした特別役フラグの種類に基づいて、設定値が設定されるため、設定変更ボタンは設けられずともよい。
【0081】
そして、ボーナス内部状態の間、スロットマシン1は、その特別役に対応した有利度(設定値)の状態となるため、遊技制御部615は、この特別役に対応したボーナス内部状態の間に、上記にて設定された有利度(設定値)に基づいて、遊技者による遊技進行を制御する。
【0082】
一般的なスロットマシンでは、互いに異なる複数の出玉率それぞれに対応して、複数段階(例えば1~6)の設定値が、スロットマシンの仕様として予め用意されている。店舗スタッフは、店舗の開店前、設定変更ボタンを操作して、複数の設定値のうち、店舗側の意向に即した設定値をスロットマシンに設定する。このような一般的なスロットマシンでは、検査の際、各設定値に対応する出玉率が適法か否かを判定するための性能試験を、設定値ごとに行う必要がある。
【0083】
これに対し、本実施形態のスロットマシン1では、設定値は抽せんにより設定されるものであり、予め設定値が複数段階に用意されているわけではない。そのため、検査に要する時間は、一般的なスロットマシンに比べて短縮される。
【0084】
なお、リセット処理後に当せんさせた特別役が、店舗スタッフの意にそぐわない種類である場合、店舗スタッフは、再度リセット部614によりリセット処理を行わせた後に、所望の特別役が当せんするまで操作を行うか、または目押しにより特殊な出目を揃えるなどしてボーナス内部状態となることを回避した後に、所望の特別役が当せんするまで操作を行う。このようにして、本実施形態の遊技制御部615は、当せんしたが入賞することなくリセット処理後にボーナス内部状態となった特別役、のフラグに対応して、有利度を設定する。
【0085】
―区間制御部―
区間制御部616は、ボーナス内部状態の下で行われる遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0086】
具体的には、区間制御部616は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。区間制御部616は、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定(移行)する。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。
【0087】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、有利度(設定度)に応じて異なっている。一例としては、有利度(設定度)に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる抽せんの当せん確率が異なっている。
【0088】
また、区間制御部616は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部616は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行したか否かを判定する。一般遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部616は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0089】
また、区間制御部616は、有利区間の状態でのゲーム数が1500ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0090】
また、区間制御部616は、RAMクリアボタン71の押下によってRAMがクリアされた場合、RAMがクリアされる直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0091】
なお、区間制御部616は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0092】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部617は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0093】
具体的には、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態またはボーナス内部状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態またはAT状態のいずれかに設定する。
【0094】
一例として、
図4に示すように、遊技状態設定部617は、メイン制御部61のRAMがクリアされた直後は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした場合、遊技状態設定部617は、第1遊技状態をボーナス内部状態に設定する。また、ボーナス内部状態にて、メイン制御部61のRAMがクリアされた場合、遊技状態設定部617は、第1遊技状態を、ボーナス内部状態から特別役非持ち越し状態に移行させる。
【0095】
また、
図5に示すように、遊技状態設定部617は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。遊技区間が有利区間である場合に行われるAT抽せんに当せんした場合、遊技状態設定部617は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態設定部617は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態設定部617は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させる。
【0096】
―演出制御部―
演出制御部620は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部620は、ATに当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0097】
演出制御部620は、AT中、逐次当せんする役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。
【0098】
また、演出制御部620は、遊技者の遊技中に、有利度(設定値)を示唆する演出の報知条件が満たされた場合、有利度(設定値)を示唆する演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような有利度(設定値)なのかを把握する材料の1つとすることができる。
【0099】
ここで、前記報知条件としては、所定のレア役のフラグが内部当せんした場合、第2遊技状態がAT状態に当せんした場合、AT終了時、などが挙げられる。
【0100】
<スロットマシン1の動作処理の流れ>
図8を用いて、本実施形態にかかるスロットマシン1の動作処理の流れを、店舗開店前と開店後とに分けて説明する。
【0101】
―店舗開店前の動作処理―
店舗開店前のスロットマシン1の動作処理は、店舗スタッフによる操作に応じて進められる。
【0102】
まず、店舗スタッフがRAMクリアボタン71を押下した場合(ステップst1のYes)、リセット部614は、リセット処理を行う(ステップst2)。このリセット処理により、ボーナス内部状態を含む遊技データが、メイン制御部61のRAMから消去される。
【0103】
ステップst2のリセット処理が行われることにより、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定し、第2遊技状態を一般遊技状態に設定する(ステップst3)。
【0104】
次いで、店舗スタッフがメダルを2枚ベットしてレバー43を操作した場合(ステップst4のYes)、回転リール制御部611は回転リール20を回転させる。このレバー43の操作に基づいて、内部抽せん部610は、内部抽せんを行う。
【0105】
前記内部抽せんにて、複数の特別役のうちのいずれかが当せんした場合(ステップst5のYes)、遊技制御部615は、内部当せんした特別役の種類に基づいて、この特別役のフラグに対応する有利度(設定値)を設定する(ステップst6)。遊技状態制御部617は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態からボーナス内部状態へと移行させる(ステップst7)。つまり、当せんした特別役は入賞しない。なお、ステップst7の時点では、第2遊技状態は、一般遊技状態が設定されたままである。
【0106】
一方、回転中の回転リール20は、店舗スタッフがストップスイッチ40すべてを押下することにより、回転リール制御部611の制御により回転を停止するが、有効ラインL上に図柄を揃えることはしない。
【0107】
なお、ステップst4にて、レバー43が操作されない場合(ステップst4のNo)、および、ステップst4にてレバー43は操作されたもの特別役が内部当せんしなかった場合(ステップst5のNo)、再度ステップst4が行われる。
【0108】
―店舗開店後の動作処理―
店舗開店後のスロットマシン1の動作処理は、店舗が閉店するまで、遊技者による操作に応じて進められる。
【0109】
まず、ステップst7でボーナス内部状態となったスロットマシン1にて、遊技者がメダルを3枚ベットしてレバー43を操作した場合(ステップst8のYes)、内部抽せん部610は、ステップst6で設定された有利度(設定値)に基づいて、内部抽せんを行う(ステップst9)。このステップst8,st9と以下に述べる動作処理とを含んだ処理を、遊技制御部615は、遊技者による遊技進行として制御していく。
【0110】
ステップst8のレバー43の操作により、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。回転リール制御部611は、遊技者によるストップスイッチ40の操作に応じて、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。遊技結果判定部612は、すべての回転リール20が回転を停止した際に有効ラインL上に現われた図柄の組み合わせに応じて、遊技結果(役の入賞など)を判定する。
【0111】
入賞した役がメダルの払い出しのある役である場合、媒体管理部613は、当該役に応じたメダルの払い出し処理を行う。入賞した役がメダルの払い出しのない役である場合、媒体管理部613は、メダルの払い出し処理は行わない。
【0112】
また、区間制御部616は、入賞した役に応じて行われる区間移行抽せんの結果などに基づいて、遊技区間を通常区間から有利区間に移行させたり、有利区間から通常区間に移行させたりする。遊技状態制御部617は、AT当せんに伴って、第2遊技状態を一般遊技状態からAT状態に移行させたり、AT終了に伴って、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させたりする。
【0113】
また、演出制御部620は、遊技者による遊技進行に従って、様々な演出を液晶画面3およびスピーカ102に報知させていく。その中で、有利度(設定値)を示唆する演出の報知条件が満たされた場合(ステップst10のYes)、演出制御部620は、当該示唆のための演出を、液晶画面3およびスピーカ102に報知させる(ステップst11)。
【0114】
ステップst10にて、報知条件が満たされない場合(ステップst10のNo)、ステップst11は行われない。
【0115】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リール20と、複数の回転リール20の回転を開始させるための操作を受け付けるレバー43(スタートスイッチ)と、レバー43(スタートスイッチ)の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる内部抽せん部610と、複数の回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付けるストップスイッチ40と、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが有効ラインL上に配置されることで当該役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることが可能な回転リール制御部611と、複数の役のフラグのうち特別役のフラグが当せんしたが当該特別役の入賞が持ち越されているボーナス内部状態(内部中遊技状態)、をリセット(解除)するリセット処理(解除処理)を行うリセット部(解除部)614と、ボーナス内部状態(内部中遊技状態)の間、遊技者が受けるメダル(遊技媒体)の出玉に関する恩恵が異なる複数の有利度、のいずれかに基づいて、遊技者による遊技進行を制御する遊技制御部615と、店舗側の操作者または遊技者によるレバー43(スタートスイッチ)の操作に基づいて、複数種類の特別役のフラグのうち、解除処理後に当せんしたが入賞が持ち越されてボーナス内部状態(内部中遊技状態)となった特別役のフラグ、の種類に基づいて、当せんした特別役のフラグに対応する有利度を設定する遊技制御部615(有利度設定部)と、を備え、遊技制御部615は、設定された有利度に基づいて、有利度に対応する特別役の入賞が持ち越されているボーナス内部状態(内部中遊技状態)の間、遊技者による遊技進行を制御するものである。
【0116】
<発明の効果>
本実施形態によれば、遊技者が受けるメダル(遊技媒体)の出玉に関する恩恵を示す有利度は、リセット処理後にボーナス内部状態となった特別役のフラグの種類に基づいて設定される。つまり、有利度は、抽せんによりランダムに決定される。それ故、本実施形態のスロットマシン1では、当該スロットマシン1の検査に要する時間が、一般的なスロットマシンに比べて短縮される。
【0117】
また、スロットマシン1はAT機である。AT機は、特別役(ボーナス)が当せんしても入賞することなくリセットされるまでその特定役(ボーナス)が持ち越されるボーナス内部状態、となり、遊技者は、当該状態にてATなどを遊技する。このAT機の性質を利用して、本実施形態では、特別役(ボーナス)と有利度とを予め関連付けておき、リセットされた状態にてボーナス内部状態となった特別役(ボーナス)、に対応する有利度を、設定することができる。
【0118】
また、本実施形態では、店舗スタッフがRAMクリアボタン71を押下した場合に、リセット処理(解除処理)が行われ、ボーナス内部状態がリセットされる。これにより、再び、リセット処理後に当せんした特別役についてボーナス内部状態とさせることにより、有利度の再設定ができる。
【0119】
また、本実施形態では、有利度を示唆する演出が報知される。これにより、遊技者は、抽せんによって設定された有利度が何かを、推測しつつ遊技を進めることができる。
【0120】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0121】
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、ボーナス内部状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、特別役であるボーナスが当せんする前の状態(つまりボーナス内部状態でない場合)では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
【0122】
前記実施形態では、特別役のフラグに対応する有利度の設定処理は、店舗スタッフによるレバー43の操作に基づいてなされると説明した。しかし、この設定処理は、店舗スタッフに代えて、遊技者によるレバー43の操作に基づいてなされてもよい。この場合、店舗スタッフは、RAMクリアボタン71の押下のみを店舗の開店前に行えばよい。遊技者は、自ら、有利度の設定処理のきっかけとなる操作を行うことができるため、その分遊技者の楽しみも増える。従って、店舗のイベントとしての活用が期待される。この際、演出制御部620が有利度の示唆を行う演出を液晶画面3およびスピーカ102に行わせることにより、遊技者は、自身が行った操作の結果がどうであったか(どのような有利度が設定されたのか)の推測を、より楽しみながら行うことができる。
【0123】
前記実施形態では、特別役のフラグを当せんさせる際のメダルのベット数は2枚である場合を説明した。これは、遊技者は、原則的には2枚掛けで遊技を行わないためである。しかし、特別役のフラグを当せんさせる際のメダルのベット数は、2枚に限定されず、3枚や、1枚、0枚であってもよい。
【0124】
前記実施形態では、特別役のフラグを当せんさせる際、回転リール20の回転および停止が行われると説明した。しかし、回転リール20の回転および停止は必須ではない。つまり、リセット処理後であって、かつ特別役が当せんしていない状態にて、レバー43が操作され、その結果特別役のフラグのいずれかが当せんさえされればよい。この場合、どのような有利度が設定されたかをレバー43の操作者に知らせるべく、有利度の種類を示す情報が、液晶画面3に表示されたりスピーカ102から音声出力されたりしてもよい。
【0125】
前記実施形態では、設定変更ボタンが不要であると説明した。しかし、
図9に示すように、設定変更ボタン72が設けられていてもよい。この場合、設定変更部としての遊技制御部615は、店舗スタッフによる設定変更ボタン72の操作に基づいて、出玉率に対応した設定値を変更することができる。さらにこの場合、前記実施形態とは異なり、有利度と設定値とを、異なる概念とすることができる。具体的に、設定値は、出玉率を表すものである一方(98%、100%、110%など)、有利度は、メダル(出玉)の払い出され方を表すもの(例えば、波が穏やか、波が荒い、Aタイプのように所定枚数のメダルが払い出されることを繰り返す)であることができる。
【0126】
この場合、遊技制御部615は、レバー43の操作に基づいて、リセット処理後にボーナス内部状態となった特別役のフラグの種類と、設定変更された設定値との組み合わせに応じて、遊技者による遊技進行を制御することができる。例えば、設定値が、出玉率“110%”を表すものであっても、有利度が“波が荒い”であれば、遊技制御部615は、メダルの払い出され方を“出玉率が110%だが波が荒い仕様でメダルが払い出される”ように遊技進行を制御することができる。また、有利度が“波が穏やか”であれば、遊技制御部615は、メダルの払い出され方を“出玉率が110%だが波が穏やかな仕様でメダルが払い出される”ように遊技進行を制御することができる。
【0127】
このように、有利度と設定値とを異なるものとすることで、有利度および設定値それぞれを複数段階ずつ設けておけば、有利度と設定値との組み合わせパターン分だけ、遊技進行の制御が可能となる。従って、遊技者は、バラエティに富んだ遊技を楽しむことができる。
【0128】
前記実施形態では、リセット処理が行われるトリガが、リセットボタン51の押下であると説明した。しかし、リセット処理が行われるトリガは、これに限定されない。リセット処理は、例えば設定変更ボタン72の押下により設定変更と同時に行われてもよいし、メイン制御部61とサブ制御部62とを電気的につなぐハーネスを、一時的に断線させてもよい。
【0129】
前記実施形態で述べた有利度の示唆の演出は、演出映像に限定されずともよい。その他の示唆の演出としては、例えば以下が挙げられる。
(a)遊技者による遊技中に、個々の有利度でしか揃うことのない特殊役(レアリプレイ)を回転リール20上に揃わせるとともに特殊な音を発生させる。
(b)遊技者による遊技中に、逆押しを促す映像が液晶画面3に表示され、その押し順に従ってストップスイッチ40が押下されることにより、個々の有利度でしか揃うことのない特殊な図柄(赤7がV字に揃う)の配列が回転リール20に揃う。
(c)遊技者による遊技中、当せんした特殊役(レアリプレイ)のうち一部の場合において、押し順を遊技者に当てさせる演出が発生する。遊技者が押した順が正解であった場合に、回転リール20には、特殊な図柄(赤7がV字揃う)の配列が揃う。
(d)ATの終了画面に、有利度に伴う画面を表示させる。
(e)どの特別役が持ち越されている状態であっても、遊技中に当せんすることのできる役(例えばリプレイ)があるが、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなった特別役の種類に応じて、その役(リプレイ)に対応する回転リール20の停止時の図柄が異なる。例えば、リプレイが当せんしたとしても、回転リール20上では、特別役の種類に応じて当該リプレイがレアリプレイの配列となって停止する。
【0130】
スロットマシン1は、リセット処理後にボーナス内部状態となった特別役のフラグの種類に基づいて有利度が設定されればよく、これが実現するのであればAT機でなくてもよい。
【0131】
有利度の示唆の演出は、必須ではない。
【0132】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
【0133】
前記実施形態の第2遊技状態には、一般遊技状態およびAT状態の他に、CZ状態、ART状態などが含まれていてもよい。CZ状態とは、ATへの突入確率やリプレイ確率が一般遊技状態よりも高い状態である。ART状態とは、リプレイ確率が一般遊技状態よりも高く且つ押し順役の正解押し順を報知する状態である。そして、有利度に応じて、AT状態、CZ状態およびART状態の少なくとも1つへの突入確率が変化してもよいし、有利度に応じて、AT状態、CZ状態およびART状態の少なくとも1つの性能が変化してもよい。
【0134】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大1500Gに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、AT状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0135】
前記実施形態では、特別役のフラグの種類に基づいて有利度が設定されることと、設定値を設定することとが同義であると例示した。しかし、有利度の設定と設定値の設定とは同義でなくてもよい。有利度には、出玉の恩恵に寄与するアシスト機能の性能、が含まれてもよい。つまり、AT状態におけるアシスト機能の性能差に応じた出玉率が、有利度として定義されることができる。
【0136】
この場合、スロットマシン1の設定値は、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなった特別役の種類に関係なく、1つの値にて固定とすることができる。設定値が固定のため、押し順役の当せん確率は不変である。一方で、ボーナス内部状態となった当該特別役に応じて、押し順役の正解押し順の報知確率が異なることにより(すなわち、アシスト機能の性能に差があることにより)、結果的に出玉率が異なるように、有利度が複数段階に定義されていてもよい。
【0137】
出玉率には、上述のように、アシスト機能の性能によってもたらされるものの他、有利区間中の入賞に係る条件装置の作動確率の増加度合いが含まれてもよい。
【0138】
前記実施形態において、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなる特別役ごとにリプレイ確率がRTとして予め設定されていてもよい。特定役が当せんした場合に、RT状態がその特定役に対応するRTに遷移することにより、有利区間への移行やアシスト機能を発揮しやすいレアリプレイの確率が変化してもよい。つまり、特別役ごとに設定されたRTは、有利度に相当することができる。
【0139】
また、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなった特別役ごとに、AT中のアシスト機能の発動確率が予め設定されていてもよい。つまり、AT中の正解押し順を報知するアシスト機能が、押し順役の成立時に毎回発動されるのではなく、成立済みの特別役の種類によって、押し順役の報知が出やすかったり出にくかったりすることができる。特別役ごとに設定されたアシスト機能の発動確率は、有利度に相当することができる。
【0140】
更に、上記において、スロットマシン1の設定値を複数段階設けておき(例えば設定値1~設定値6)、これらの設定値が設定変更ボタン72によって設定可能であってもよい。その上で、遊技制御部615は、レバー43の操作に基づいて、有利度と設定値との組み合わせに応じて、遊技者による遊技進行を制御することができる。これにより、メダルの払い出され方を“波が荒く結果的に払い出される枚数が少ない”“波が穏やかながら安定して払い出される”などのように、メダルの払い出され方に特徴を持たせることが実現できる。
【0141】
また、上記において、設定値が1つか複数かに限らず、設定変更ボタン72が設けられていてもよい。店舗スタッフが設定変更ボタン72を押下した場合には、現在における第1および第2遊技状態と遊技区間とはリセットされるが、現在におけるボーナス内部状態はリセットにされず引き継がれるようにすることができる。これにより、RAMクリアボタン71を用いたメイン制御部61のRAMの初期化作業を店舗スタッフが行わない限り、ボーナス内部状態は消去されないこととなる。そのため、ボーナス内部状態にするための操作を店舗スタッフが行わずとも、現在のボーナス内部状態を以降も引き続がせた状態にて、遊技者に遊技させることができる。
【0142】
つまり、設定変更ボタン72は、設定変更、遊技状態および遊技区間をリセットするためのボタンであって、RAMクリアボタン71は、ボーナス内部状態をリセットするためのボタンである。このようにボタン51,52の用途を分けることで、店舗側は、様々な目的(全台リセット、ランダムリセットなど)に応じて開店準備ができるだけでなく、場合によっては、店舗スタッフ側の作業の軽減を図ることができる。
【0143】
また、上記のように、有利度とは別に、設定値が複数段階設けられている場合、設定値の示唆が、演出制御部620により液晶画面3およびスピーカ102を介して映像や音声によって行われもよいし、映像や音声に代えて回転リール制御部611により回転リール20停止時に特殊役(特殊リプレイなど)などが揃うことによって行われてもよい。
【0144】
前記実施形態では、ボーナス内部状態にするための特別役が当せんした際、回転リール20の回転は停止するが、有効ラインL上に図柄を揃えることはしないと説明した。この場合、回転リール制御部611は特別役にかかる図柄が揃わない制御を積極的に行うことで、当該特別役を入賞させない、とすることができる。また、図柄を狙えば揃う状態だが、店舗スタッフがストップスイッチ40すべてをタイミングよく押下することで、目押しによりわざと図柄を揃わせないことにより、特別役を入賞させない、とすることができる。
【0145】
前記実施形態では、リセット部614は、店舗スタッフの操作に基づいてボーナス内部状態をリセットするリセット処理を行う場合を例示した。しかし、リセット部614は、ボーナス内部状態を解除する処理を行いさえすればよく、この処理を行うトリガが店舗スタッフの操作である必要はない。例えば、ボーナス内部状態に移行するきっかけとなったボーナス(特定役)を遊技者が誤って入賞させたことを契機として、リセット部614は、ボーナス内部状態を解除する処理を行ってもよい。この場合、遊技制御部615は、その処理後に、店舗スタッフまたは遊技者によるレバー43の操作に基づいて何らかのボーナス(特定役)が当せんしボーナス内部状態となったとき、そのボーナスのフラグに対応する有利度を設定する。
【符号の説明】
【0146】
1 スロットマシン(遊技機)
20 回転リール
43 レバー(スタートスイッチ)
40 ストップスイッチ
71 RAMクリアボタン
72 設定変更ボタン
610 内部抽せん部
611 回転リール制御部
614 リセット部(解除部)
615 遊技制御部(有利度設定部、遊技制御部、設定変更部)
620 演出制御部(報知制御部)