(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】基板対基板用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6591 20110101AFI20221116BHJP
H01R 12/72 20110101ALI20221116BHJP
【FI】
H01R13/6591
H01R12/72
(21)【出願番号】P 2022127640
(22)【出願日】2022-08-10
【審査請求日】2022-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 智康
(72)【発明者】
【氏名】浅井 清
(72)【発明者】
【氏名】小野 直之
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039666(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/020533(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3230774(JP,U)
【文献】特開2021-012780(JP,A)
【文献】特開2021-111596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6591
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突条状の突条部を有するハウジングと、該突条部の側面部に接触部が露出するようハウジングに保持された一又は複数の信号端子と、前記突条部の端部外側に配置された高周波信号端子と、前記ハウジングの外周部を囲む導電性金属材からなるシェルとを備えた基板対基板用コネクタにおいて、
前記シェルは、前記突条部の端部外側底面部に配置された板状の基板側遮蔽部と、該基板側遮蔽部の突条部側端より立ち上げられ、前記高周波信号端子の突条部側に配置される板状のGND端子本体とを有するGND端子部を一体に備え、
前記基板側遮蔽部に前記高周波信号端子が配置される高周波信号端子収容孔が形成されていることを特徴としてなる基板対基板用コネクタ。
【請求項2】
前記基板側遮蔽部には、前記ハウジングの基板側に露出した基板実装部が形成されている請求項1に記載の基板対基板用コネクタ。
【請求項3】
前記GND端子部は、前記GND端子本体の上縁より前記突条部側に折り曲げられた補強片を一体に備えている請求項1に記載の基板対基板用コネクタ。
【請求項4】
前記GND端子本体は、上端が前記突条部の頂面に至る長さに形成され、前記突条部の端面が覆われるようにした請求項1に記載の基板対基板用コネクタ。
【請求項5】
相手方コネクタは、前記突条部端面と対向する部分に露出した導電性金属材からなる相手方のGND端子を備え、該相手方のGND端子が前記GND端子本体と接触する請求項3又は4に記載の基板対基板用コネクタ。
【請求項6】
相手方コネクタは、前記高周波信号端子と接触する相手方高周波信号端子を備え、該相手方高周波信号端子は、導電性金属板材を打抜くことにより接続溝が形成され、該接続溝の内側面に生じた破断面に前記高周波信号端子が互いに板厚方向が直交した状態で挿入され、接触するようにした請求項1又は2に記載の基板対基板用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号用端子を具備する基板対基板用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板対基板の接続に使用されるコネクタ(以下、基板対基板用コネクタという)は、1又は複数のプラグ信号端子が配設された突条状の嵌合凸体を有するプラグと、嵌合凸体が挿入される嵌合溝内に1又は複数のソケット信号端子が配設されたソケットとを備え、嵌合凸体と嵌合溝とを嵌合させることにより両信号端子が接触して電気的に接続するようになっている。
【0003】
この種の基板対基板用コネクタでは、ソケット及びプラグの外周部を導電性金属材からなるシェルで囲み、シールド性を高めたものが知られている。
【0004】
一方、この種の基板対基板コネクタでは、高周波信号端子間に信号端子が配置されているため、クロストーク等の信号の干渉が生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、従来では、高周波信号端子と信号端子との間に板状のGND端子を配置し、高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間に生じるクロストーク等の信号の干渉を抑制したものが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
また、この種の基板対基板用コネクタには、高周波信号端子と信号端子との間に板状のシールド壁部をハウジングの外周部を囲むシェルと一体に備えたものも開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2021-197328号公報
【文献】WO2022/080453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の先行文献1の如き従来の技術では、高周波信号端子と信号端子との間に介在される板状のGND端子と、ハウジングを囲むシェルとが別部材として構成されているので、部品点数及び組立て工程が多くなるという問題があった。
【0009】
また、GND端子と、ハウジングを囲むシェルとが別部材として構成されているので、シェルとGND端子とを確実に接続させないと、高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を抑制する機能が十分に発揮されないおそれがある。
【0010】
さらに、GND端子が嵌合溝を隔てる壁部や嵌合凸体等の突条部の端部と接する構造であると、コネクタ嵌合時の斜め挿入等によって樹脂製の突条部とGND端子とが干渉し、破損するおそれがあった。特に、近年ではコネクタの小型化が進み、このような問題が顕著となっている。
【0011】
一方、特許文献2に記載の如き従来の技術では、構造上、シールド壁部が基板と直接接続されず、高周波信号端子の周囲も囲われていないため、高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を抑制する機能が十分に発揮されないおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を抑制することができる基板対基板用コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、突条状の突条部を有するハウジングと、該突条部の側面部に接触部が露出するようハウジングに保持された一又は複数の信号端子と、前記突条部の端部外側に配置された高周波信号端子と、前記ハウジングの外周部を囲む導電性金属材からなるシェルとを備えた基板対基板用コネクタにおいて、前記シェルは、前記突条部の端部外側底面部に配置された板状の基板側遮蔽部と、該基板側遮蔽部の突条部側端より立ち上げられ、前記高周波信号端子の突条部側に配置される板状のGND端子本体とを有するGND端子部を一体に備え、前記基板側遮蔽部に前記高周波信号端子が配置される高周波信号端子収容孔が形成されていることにある。
【0014】
また、請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記基板側遮蔽部には、前記ハウジングの基板側に露出した基板実装部が形成されていることにある。
【0015】
また、請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記GND端子部は、前記GND端子本体の上縁より前記突条部側に折り曲げられた補強片を一体に備えていることにある。
【0016】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記GND端子本体は、上端が前記突条部の頂面に至る長さに形成され、前記突条部の端面が覆われるようにしたことにある。
【0017】
また、請求項5に記載の発明の特徴は、請求項3又は4の構成に加え、相手方コネクタは、前記突条部端面と対向する部分に露出した導電性金属材からなる相手方のGND端子を備え、該相手方のGND端子が前記GND端子本体と接触することにある。
【0018】
また、請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、相手方コネクタは、前記高周波信号端子と接触する相手方高周波信号端子を備え、該相手方高周波信号端子は、導電性金属板材を打抜くことにより接続溝が形成され、該接続溝の内側面に生じた破断面に前記高周波信号端子が互いに板厚方向が直交した状態で挿入され、接触するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る基板対基板用コネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、部品点数及び作業工程の低減を図るとともに、高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を好適に抑制することができる。
【0020】
また、本発明において、請求項2の構成を具備することによって、シェルの内側部分に基板の接続パターンと接続する構成が配置されるので、GND端子本体から基板実装部に至る導電経路の長さを短くすることができ、コネクタ全体の小型化を図ることができるとともに、直接GND接続された基板側遮蔽部によって高周波端子が囲まれているのでさらなる信号干渉抑制効果及びシールド効果の向上を図ることができる。
【0021】
更にまた、本発明において、請求項3乃至4の構成を具備することによって、金属部材によって突条部の両端部を補強することができ、堅牢性が強化されたことにより斜め挿入等の誤挿入があった場合であってもコネクタの破損を防止することができる。
【0022】
さらに、本発明において、請求項5の構成を具備することによって、突条部の両端に配置されたGND端子本体と相手側コネクタの相手方のGND端子とが互いに金属同士で接触するので、突条部を構成する樹脂材の削れを防止することができる。
【0023】
さらに、本発明において、請求項6の構成を具備することによって、相手方高周波信号端子を曲げ加工が不要で打抜き加工のみで製造することができるため、より簡素な構造で高周波信号端子と好適な接続状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る基板対基板用コネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図4中のプラグを接合側から見た斜視図、(b)は同インシュレータを除いた斜視図である。
【
図6】(a)はプラグ高周波信号端子とソケット高周波信号端子の接続状態を説明するための正面図、(b)は同C-C線矢視断面図、(c)は別態様の場合のC-C線矢視断面図である。
【
図7】(a)は
図4中のソケットを接合側から見た斜視図、(b)は同インシュレータを除いた斜視図である。
【
図8】(a)は同上のソケットを基板接続側から見た斜視図、(b)は同インシュレータを除いた斜視図である。
【
図9】(a)は同上のシェルを示す平面図、(b)は同底面図、(c)は同縦断面図、(d)は同C-C線矢視断面図である。
【
図10】(a)はシェルとソケット高周波信号端子の配置を示す部分拡大平面図、(b)は同縦断面図、(c)は同ソケット高周波信号端子の他の実施態様の場合の縦断面図である。
【
図11】同上のソケットの他の実施態様を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係る基板対基板用コネクタの実施態様を
図1~
図10に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1A,1Bは基板、符号2は基板対基板用コネクタである。
【0026】
本実施例では、プラグ8を相手方コネクタとして定義して説明するものとする。
【0027】
基板対基板用コネクタ2は、
図1~
図4に示すように、突条状の突条部3に隔てられた複数の嵌合溝4,4内に複数の信号端子(以下、ソケット信号端子5,5…という)が配設されたソケット7を備え、相手方コネクタ(プラグ8)の複数の信号端子(以下、プラグ信号端子9,9…という)が配設された突条状の嵌合凸体10,10と嵌合溝4,4とを嵌合させることにより両信号端子が接触して電気的に接続するようになっている。
【0028】
また、このコネクタ2には、ソケット7の突条部3端部外側に配置された高周波信号端子(以下、ソケット高周波信号端子11,11という)を備え、プラグ8とソケット7とが嵌合することによりソケット高周波信号端子11,11がソケット高周波信号端子11,11と対応するようにプラグ8に配設された相手方高周波信号端子(以下、プラグ高周波信号端子12,12という)と接続されるようになっている。
【0029】
プラグ8は、
図5に示すように、突条状の嵌合凸体10,10を有するプラグハウジング13と、嵌合凸体10,10に配設された1又は複数のプラグ信号端子9,9…と、プラグハウジング13の両端部に配設された一対のプラグ高周波信号端子12,12と、プラグ信号端子9,9…とプラグ高周波信号端子12,12との間に配置される相手方のGND端子(以下、プラグGND端子14,14という)と、プラグハウジング13の両端部を覆うプラグシールド部材15,15とを備え、プラグ信号端子9,9…、プラグ高周波信号端子12,12、プラグGND端子14,14及びプラグシールド部材15,15がインサート成形によってプラグハウジング13に組み込まれている。
【0030】
プラグハウジング13は、底板部16より突出した互いに平行な突条状の一対の嵌合凸体10,10と、両嵌合凸体10,10の端部間を連結する端部17,17とを備え、嵌合凸体10,10及び端部17,17が平面視矩形枠状を成し、各嵌合凸体10,10にプラグ信号端子9,9…が組み込まれ、プラグ高周波信号端子12,12が端部に組み込まれている。
【0031】
プラグ信号端子9,9…は、導電性金属板材をプレス加工することで一体に形成され、嵌合凸体10,10の表面部に露出するU字状の接点部片9aと、接点部片9aの両端よりそれぞれ垂直外向きに折り曲げた形状の基板接続端子片9b,9bとを備えている。
【0032】
プラグ高周波信号端子12,12は、導電性金属板材を打抜き加工することで板状に形成され、一端側に開口したスリット状の接続溝12aを有するU字状の接続片12bと、接続溝12aと反対側に配置され、プラグハウジング13の基板側に露出する基板接続片12cとを備え、接続溝12aにソケット高周波信号端子11が挿入されるようになっている。
【0033】
接続溝12aは、導電性金属板材をU字状に打抜くことにより形成され、接続溝12aの内側面に打抜き加工により生じた破断面に板状に形成されるソケット高周波信号端子11が互いに板厚方向が直交した状態で挿入されることで接触するようになっている。
【0034】
即ち、プラグ高周波信号端子12,12は、曲げ加工が不要で打抜き加工のみで製造することができるため、より簡素な構造でソケット高周波信号端子11と好適な接続状態を得ることができる。
【0035】
また、ソケット高周波信号端子11とプラグ高周波信号端子12との接触は、プラグ高周波信号端子12を構成する金属製板材の厚み又はプラグ高周波信号端子11と接触する部分(後述する接続凸片11b)の幅を変更することで求める高周波性能に合わせて接触位置を調整することができる。
【0036】
また、
図6(a)(b)に示す実施例では、接続凸片11bの幅をプラグ高周波信号端子12を構成する金属製板材の厚みより広くすることで、両高周波信号端子11,12間にズレが生じても確実に接触できるようにしているが、
図6(c)に示すように、プラグ高周波信号端子12を構成する金属製板材の厚みを接続凸片11bの幅よりも厚くすることで、両高周波信号端子11,12間にズレが生じても確実に接触できるようにしてもよい。
【0037】
プラグGND端子14,14は、導電性板材をプレス加工することにより一体に形成され、互いに対向する一対の板状のGND端子板14a,14aと、両GND端子板14a,14aの外側下端を連結するコ字状の信号端子遮蔽部14bとを備えている。
【0038】
各GND端子板14a,14aは、矩形板状に形成され、ソケット7の突条部3端面と対向する部分に露出した状態でプラグハウジング13に組み込まれ、各GND端子板14a,14aがプラグ信号端子9,9…とプラグ高周波信号端子12,12との間に配置され、プラグ高周波信号端子12,12間及び、プラグ高周波信号端子12とプラグ信号端子9との間を遮蔽するようになっている。
【0039】
また、信号端子遮蔽部14bは、プラグハウジング13の側部に露出した複数のプラグ信号端子9,9…の基板接続片9bの外側を囲むようになっている。
【0040】
ソケット7は、
図7、
図8に示すように、絶縁性樹脂からなるソケットハウジング20と、突条部3を挟んで平行に配置された各嵌合溝4,4内に配設された複数のソケット信号端子5,5…と、ソケットハウジング20の両端部にそれぞれ配設された一対のソケット高周波信号端子11,11と、ソケットハウジング20の外側を囲むシェル21とを備え、ソケット高周波信号端子11,11及びシェル21がインサート成形によりソケットハウジング20に組み込まれている。
【0041】
ソケットハウジング20は、平板状の底板部22の中央部に配置された突条部3と、突条部3の両側部と間隔をおいて配置された側壁部23,23とを備え、両側壁部23,23と突条部3との間に、嵌合凸体10,10が挿入される嵌合溝4,4が並列に形成されている。
【0042】
また、ソケットハウジング20には、側壁部23,23と突条部3に跨って下面に開口した凹穴状の信号端子挿入部24,24…が形成され、各信号端子挿入部24,24…にプラグ信号端子9,9…が圧入され、プラグ信号端子9,9…の接点部が嵌合溝4内に突出した状態で保持されている。
【0043】
ソケット信号端子5,5…は、
図3、
図7に示すように、導電性金属板材を所定の形状に打ち抜いて打ち抜き部材を形成し、それを板厚方向に曲げ加工することにより一体に形成され、ソケットハウジング20に固定される端子基部片5aと、端子基部片5aの一端(下端)より鉛直外向きに折り曲げた形状の基板接続端子片5bと、端子基部片5aの他端より円弧状に折り返した連結片5cと、連結片5cの他端に揺動可能に支持された揺動基部5dと、揺動基部5dの下端に支持された弾性接触片5eとを備えている。
【0044】
ソケット信号端子5,5…は、ソケットハウジング20のコンタクト挿入部に下面側より組み込むことにより、端子基部片5aが側壁部23,23に固定され、揺動基部5dが側壁部23,23の内面側に露出するとともに、弾性接触片5eが突条部3の外側面より突出するようになっている。
【0045】
ソケット高周波信号端子11,11は、導電性板材を打抜き加工することにより一体に形成され、細板状の基板接続片11aと、基板接続片11aの上面より突出した棒状の接続凸片11bとを備え、接続凸片11bがソケットハウジング20の底板部22より突出している。
【0046】
シェル21は、
図9に示すように、導電性金属板材により形成され、矩形筒状の内壁部30と、内壁部30の突条部3両端部外側底部に一体に支持されたGND端子部31,31と、内壁部30の外側を覆う外壁部32とを備え、内外壁部30,32からなる二重周壁によってソケットハウジング20の外周部を囲んでいる。
【0047】
シェル21は、導電性板材を絞り加工することによって、板材から凹んだ有底の周方向に継目の無い内壁部30と、内壁部30の上縁部周縁に外側に張り出した鍔部33と、鍔部33の一辺に支持された細板とが形成され、内壁部30側に折り返された細板を内壁部30に沿って折り曲げ、細板の両端を接合することによって、内壁部30の外側を囲む外壁部32が形成されている。
【0048】
一方、内壁部30の底部には、底板を打抜き・折り曲げ加工することにより、突条部3の端部外側底面部に配置された板状の基板側遮蔽部34と、基板側遮蔽部34の突条部3側端より立ち上げられ、突条部3の端面を覆う板状のGND端子本体35とを有するGND端子部31,31がシェル21部の長手方向両側に一体に形成されるとともに、両GND端子部31,31間に複数のソケット信号端子5,5…が並んで配設可能な信号端子収容部36が形成されている。
【0049】
即ち、GND端子部31,31は、両ソケット高周波信号端子11,11間及びソケット高周波信号端子11とソケット信号端子5との間に配置され、両ソケット高周波信号端子11,11間及びソケット高周波信号端子11とソケット信号端子5との間を遮蔽するようになっている。
【0050】
尚、GND端子部31,31の配置及びその態様は、本実施例の態様に限定されず、ソケット高周波信号端子11及びソケット信号端子5の配置に合わせて適当な配置及び態様を選択することができ、例えば、ソケット高周波信号端子11及びソケット信号端子5の配置によっては、シェル21の短手方向両側部に配置されていてもよい。
【0051】
基板側遮蔽部34は、中央部に高周波信号端子収容孔37が形成され、高周波信号端子収容孔37を挟んでシェル21短手方向の両側に配置された一対の基板実装部38,38と、基板実装部38,38の内側部より斜め方向に延出した端子本体支持部39,39とを備え、高周波信号端子収容孔37内にソケット高周波信号端子11が配置されるようになっている。
【0052】
基板実装部38,38は、所定の面積及び形状(本実施例では、矩形状)に形成され、その隣り合う外側の二辺が内壁部30の下縁と絞り加工により形成された円弧部を介して
連続して一体に支持され、内壁部30の底部の一部を形成している。尚、基板実装部38,38の形状は、上述の矩形状に限定されず、実装される基板の接続パターンに合わせて任意の形状とすることができる。また、基板実装部38,38は、本実施例では、高周波信号端子収容孔37を挟んでシェル21短手方向の両側に配置された場合について説明したが、、基板実装部38の個数及び配置は本実施例に限定されず、例えば、高周波信号端子収容孔37よりもシェル21の長手方向外側に配置されてもよい。
【0053】
この基板実装部38,38は、ソケットハウジング20に組み込まれた状態で、ソケットハウジング20の底面(基板側の面)に露出した状態にあり、基板1Bに形成されたGND接続パターン40に直接実装できるようになっている。
【0054】
また、基板実装部38,38は、外壁部32の内側に内壁部30の下縁と絞り加工により形成された円弧部を介して連続して一体に支持された構造となっているので、円弧部の分だけはんだ実装時における接続範囲を大きく取れる共に、フィレットが綺麗に形成され、基板1Bとの固着性の向上を図ることができる。また、プラグ8が内壁部30の内側に嵌合する構造であるので、外周側にはんだ上がりが発生しても嵌合性能及び接触性能に全く影響を受けないようになっている。
【0055】
端子本体支持部39,39は、細板状に形成され、基板実装部38,38の内縁より突条部3側に向けて斜めに延出し、両端子本体支持部39,39の先端部にGND端子本体35部の下端が支持されている。
【0056】
GND端子本体35は、矩形板状に形成され、その下縁部が両端子本体支持部39,39より直角方向に立ち上げた一対の支持部35a,35aに支持され、ソケット高周波信号端子11,11の突条部3側に配置され、突条部3の両端面を露出した状態で覆うようにソケットハウジング20に組み込まれている。このように構成することで、GND端子本体35から、一対の支持部35a,35a及び両端子本体支持部39,39を介して基板実装部38,38に至る導電経路の長さを短くすることができる。
【0057】
また、GND端子本体35の上縁には、上縁より突条部3側に折り曲げられた補強片41を一体に備え、補強片41が突条部3端部上面を露出した状態で覆うようにソケットハウジング20に組み込まれている。
【0058】
高周波信号端子収容孔37は、端子本体支持部39,39及び基板実装部38,38の内側に沿ってGND端子本体35から内壁部30の下端部に跨った山形状に形成され、高周波信号端子収容孔37の内側に配置されたソケット高周波信号端子11は、接続凸片11bの信号端子側がGND端子本体35に、その反対側がシェル21の内壁部30に、基板接続片11aの両側部が基板側遮蔽部34を構成する基板実装部38,38及び端子本体支持部39,39に囲まれた状態となっている。
【0059】
即ち、GND端子部31は、
図10に示すように、ソケット高周波信号端子11の形状に合わせ、基板接続片11aと同レベル(図中Lv.)で端子本体支持部39,39及び基板実装部38,38が並列に配置され、且つ、接続凸片11bとGND端子本体35とが並列に配置されており、各位置の距離を調節することで高周波性能を調整できるとともに、ソケット高周波信号端子11とソケット信号端子5とのシールド性も同時に得られるようになっている。
【0060】
尚、ソケット高周波信号端子11は、GND端子部31との距離やソケットハウジング20の肉厚等の周囲の部材との構造の関係を考慮して形状を変更し、求める高周波性能を調整することができる。例えば、
図10(b)に示す実施例では、ソケット高周波信号端子11を側面視逆T字状としたが、高周波性能を考慮し、
図10(c)に示す実施例のようにソケット高周波信号端子11を側面視L字状に形成してもよい。
【0061】
また、ソケット高周波信号端子11の周りに配置される基板側遮蔽部34は、端子本体支持部39,39がテーパー形状で配置されることで、急激なインピーダンス変化を抑え、スムースなインピーダンス変化を達成することができる。
【0062】
さらに、端子本体支持部39,39及び基板実装部38,38全体を基板実装に供することで、基板パターン設置部の占有面積を稼ぐことができ、底面部全域の範囲で、インピーダンスの調整をすることができる。又、基板実装パターンに対しても、インピーダンスをコントロールすることができる。
【0063】
尚、基板側遮蔽部34及び高周波信号端子収容孔37の形状は、上述の実施例に限定されず、ソケット高周波信号端子11,11の形状や配置、基板の実装パターンの形状や配置に合わせて適宜設定することができる。また、基板の実装パターンの形状や配置も基板側遮蔽部34及び高周波信号端子収容孔37の形状に合わせて適宜設定することができる。
【0064】
このように構成されたコネクタ2では、プラグ8の嵌合凸体10,10をソケット7の嵌合溝4,4の位置に合わせてプラグ8とソケット7とを嵌合させることにより、プラグ信号端子9,9…とソケット信号端子5,5…とが接続され、且つ、プラグ高周波信号端子12,12とソケット高周波信号端子11,11とが接続されるとともに、基板にGND接続されたGND端子部31,31とプラグGND端子14,14とが接続される。
【0065】
また、GND端子部31,31は、シェル21と一体に形成されているので、シェル21もGND接続された状態となる。
【0066】
よって、このコネクタ2では、高周波信号端子間及び信号端子と高周波信号端子との間にGND端子本体35及びプラグGND端子14,14が配置され、高周波信号端子間及び信号端子と高周波信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を好適に抑制することができる。
【0067】
また、このコネクタ2では、ソケット高周波信号端子11,11がシェル21と一体に形成された基板側遮蔽部34の高周波信号端子収容孔37の内側に配置されているので、その周囲を導電性金属材からなるGND端子本体35、シェル21の内壁部30、基板実装部38,38及び端子本体支持部39,39によって囲むことができ、高周波信号に対するシールド効果の向上が図られている。
【0068】
さらに、このコネクタでは、基板実装部38,38を直接基板のGND接続パターン40に実装することができ、また、上述のように、GND端子本体35から基板実装部38,38に至る導電経路の長さが短くなるように構成されているので、GND端子部31,31によるシールド効果をより高めることができるとともに、シェル21の基板との接続部をシェル21の周壁部より内側に形成することができるので、コネクタ(ソケット7)全体の小型化を図ることができる。
【0069】
一方、このように構成されたコネクタ2では、突条部3端部の端面がGND端子本体35で覆われているので、プラグGND端子14,14と互いに金属材同士で接触することができ、樹脂製の突条部3が削られることを防止することができる。
【0070】
さらに、GND端子本体35の上縁より突条部3側に折り曲げられた補強片41を一体に備えていることによって、突条部3の端部上面を補強し、堅牢性の向上が図られ、プラグ8とソケット7との嵌合時において斜め挿入等の誤挿入があった場合であっても、破損を防止することができる。
【0071】
尚、上述の実施例では、GND端子本体35の上縁より突条部3側に折り曲げられた補強片41を一体に備えている場合について説明したが、
図11に示すように、GND端子本体35を上端が突条部3の頂面に至る長さに形成し、突条部3の端面がGND端子本体35に覆われるようにすることによっても、突条部3の端部上面を補強し、堅牢性の向上を図ることができる。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
この場合、GND端子本体35の外側上縁部には、面取り部35aを設けることが好ましく、この面取り部35aによってプラグGND端子14を好適に案内し、プラグ8とソケット7との嵌合時において斜め挿入等の誤挿入があった場合であっても、破損を防止することができる。
【0073】
尚、本実施例では、プラグ8を相手方コネクタとした場合について説明したが、嵌合凸体10,10を突条部3として本発明をプラグ8に適用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1A,1B 基板
2 基板対基板用コネクタ
3 突条部
4 嵌合溝
5 ソケット信号端子
7 ソケット
8 プラグ
9 プラグ信号端子
10 嵌合凸体
11 ソケット高周波信号端子
12 プラグ高周波信号端子
13 プラグハウジング
14 プラグGND端子
15 プラグシールド部材
16 底板部
17 端部
20 ソケットハウジング
21 シェル
22 底板部
23 側壁部
24 信号端子挿入部
30 内壁部
31 GND端子部
32 外壁部
33 鍔部
34 基板側遮蔽部
35 GND端子本体
36 信号端子収容部
37 高周波信号端子収容孔
38 基板実装部
39 端子本体支持部
40 GND接続パターン
41 補強片
【要約】
【課題】高周波信号端子間及び高周波信号端子と信号端子との間のクロストーク等の信号の干渉を抑制することができる基板対基板用コネクタの提供。
【解決手段】この基板対基板用コネクタ2は、シェル21に突条部3の端部外側底面部に配置された板状の基板側遮蔽部34と、基板側遮蔽部34の突条部側端より立ち上げられ、突条部3の端面を覆う板状のGND端子本体35とを有するGND端子部31,31を一体に備え、基板側遮蔽部34に高周波信号端子11が配置される高周波信号端子収容孔37が形成されている。
【選択図】
図6