(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ステンレス鋼用電解研磨液
(51)【国際特許分類】
C25F 3/24 20060101AFI20221116BHJP
C25F 1/06 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C25F3/24
C25F1/06 B
(21)【出願番号】P 2017254642
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511121388
【氏名又は名称】株式会社日本科学エンジニアリング
(73)【特許権者】
【識別番号】517132810
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪産業技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 千秋
(72)【発明者】
【氏名】氏田 智子
(72)【発明者】
【氏名】左藤 眞市
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐谷 真那実
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-043596(JP,A)
【文献】特開2007-332416(JP,A)
【文献】特開昭63-004100(JP,A)
【文献】特開平04-193971(JP,A)
【文献】特開2017-160484(JP,A)
【文献】特開2015-183210(JP,A)
【文献】特開昭63-213699(JP,A)
【文献】特開平03-223500(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012802(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0376724(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1451058(CN,A)
【文献】特開平02-270999(JP,A)
【文献】特開2017-082253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 1/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流法又は交直重畳電流法によりステンレス鋼を電解研磨処理するための電解研磨液であって、
リン酸と、ホスホン酸化合物又はその塩とを含有する、ステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項2】
前記リン酸の含有量が20~80質量%であり、前記ホスホン酸化合物又はその塩の含有量が0.5質量%以上である、請求項1に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項3】
さらに、硫酸カリウムを含有する、請求項1又は2に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項4】
さらに、ゲル化剤を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項5】
酸性である、請求項1~4のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項6】
ステンレス鋼表面の溶接スケール除去用である、請求項1~5のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液を用いて
交流電流法又は交直重畳電流法により電解する、ステンレス鋼の電解研磨方法。
【請求項8】
表面の白濁化が抑制されたステンレス鋼の製造方法であって、請求項1~6のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液を用いて
交流電流法又は交直重畳電流法により電解する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼用電解研磨液に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼に溶接を施すと、その溶接部分に「溶接焼け」と呼ばれる酸化スケール(溶接スケール)が発生する。この溶接スケールは種々のトラブル要因となるため除去する必要がある。溶接スケールを除去する方法としては、物理的研磨法、化学的研磨法及び電解研磨法が知られているが、なかでも、溶接スケールの除去性能に優れる電解研磨法が広く採用されている。電解研磨法は、陽極としてのステンレス鋼母材を正極に接続し、陰極を負極に接続して、陽極と陰極との間に電解液を介在させて両極間に電流を通電することにより、ステンレス鋼表面に生じた溶接スケールを除去する方法である。
【0003】
この電解研磨法に用いられる電解液は、酸性電解液及び中性電解液に大別される。このうち、中性電解液は、酸性電解液と比較すると処理速度が遅いため、近年、種々の酸性電解液が提案されている。なかでも、近年の工業界においては、リン酸を主成分とする酸性電解液が多く使用されている。これは、リン酸が、他の酸に対して取扱い性が比較的良好な弱酸であるためである。このようなリン酸を主成分とする酸性電解液を用いた電解研磨方法としては、交流電流法、直流電流法及び交直重畳電流法が知られており、なかでも、処理速度が速いことから、交流電流法又は交直重畳電流法が多用されている。しかしながら、このリン酸を酸性電解液として使用し、交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理を行うと、不溶性のリン酸鉄塩が生成され、ステンレス鋼の表面処理部分が白濁化してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、リン酸を主成分とする電解研磨液を使用して交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理を行った場合の白濁化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、リン酸とホスホン酸化合物又はその塩とを含有する電解研磨液を用いて交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理する場合には上記の課題を解決できることを見出した。この知見に基づいて更に研究を重ね本発明を完成した。即ち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.交流電流法又は交直重畳電流法によりステンレス鋼を電解研磨処理するための電解研磨液であって、
リン酸と、ホスホン酸化合物又はその塩とを含有する、ステンレス鋼用電解研磨液。
項2.前記リン酸の含有量が20~80質量%であり、前記ホスホン酸化合物又はその塩の含有量が0.5質量%以上である、項1に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
項3.さらに、硫酸カリウムを含有する、項1又は2に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
項4.さらに、ゲル化剤を含有する、項1~3のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
項5.酸性である、項1~4のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
項6.ステンレス鋼表面の溶接スケール除去用である、項1~5のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液。
項7.項1~6のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液を用いて電解する、ステンレス鋼の電解研磨方法。
項8.表面の白濁化が抑制されたステンレス鋼の製造方法であって、
項1~6のいずれか1項に記載のステンレス鋼用電解研磨液を用いて電解する、製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、リン酸を主成分とする電解研磨液を使用して交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理を行った場合の白濁化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の電解研磨液は、交流電流法又は交直重畳電流法によりステンレス鋼を電解研磨処理するための電解研磨液であって、リン酸と、ホスホン酸化合物又はその塩とを含有する。このような構成を採用することにより、溶接スケールの除去性能を十分に維持しつつもステンレス鋼表面の白濁化を効果的に抑制することができる。
【0008】
(1)リン酸
リン酸を使用することで、ステンレス鋼の表面に発生した溶接スケールを溶解する力を向上させることができる。
【0009】
リン酸としては、特に制限はなく、ピロリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸、メタ亜リン酸、次リン酸、次亜リン酸、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサリン酸、トリメタリン酸、ピロ亜リン酸等が挙げられる。これらのリン酸は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて使用することもできる。
【0010】
本発明の電解研磨液中のリン酸の含有量は、20~80質量%が好ましく、25~75質量%がより好ましい。なお、リン酸の含有量は、使用するリン酸の種類によって若干異なり、例えば、ピロリン酸を使用する場合は20~75質量%(特に30~70質量%)が好ましく、オルトリン酸を使用する場合は20~75質量%(特に30~75質量%)が好ましい。なお、ピロリン酸は加水分解するとオルトリン酸になるため、上記の含有量において、ピロリン酸の含有量は、オルトリン酸に換算した場合の含有量である。また、2種以上のリン酸を使用する場合、その合計含有量が上記範囲となるように調整することが好ましい。リン酸の含有量をこの範囲とすることにより、電解研磨処理により、ステンレス鋼表面に発生した溶接スケールをより十分に除去することができる。
【0011】
(2)ホスホン酸化合物又はその塩
本発明において使用するホスホン酸化合物又はその塩は、金属イオンを捕捉するホスホン酸系キレート剤としての機能を有する。
【0012】
ステンレス鋼母材を陽極として交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理を行うと、陽極のステンレス鋼に含まれる鉄が電解液中に溶出する際に、その鉄がイオン化する。このイオン化した鉄が、電解研磨液中のリン酸イオンと反応すると、不溶性のリン酸鉄塩が生成され、これにより、ステンレス鋼表面が白濁化する。なお、交流電流法又は交直重畳電流法においてホスホン酸化合物又はその塩を使用すると、鉄イオンを十分に捕捉して不活性化させることによって、電解研磨液中のリン酸イオンと鉄イオンとが反応してリン酸鉄塩が生成することを抑制するため、ステンレス鋼表面の白濁化を抑制することができる。ホスホン酸化合物又はその塩は、リン酸溶液中において安定性が高く、リン酸溶液に対する溶解性が高いため、溶液中で経時劣化することなく、ステンレス鋼の表面白濁化防止効果を維持することができる。
【0013】
このようなホスホン酸化合物又はその塩としては、具体的には、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等のホスホン酸化合物や、これらの塩が挙げられる。なかでも、白濁化防止機能、酸性水溶液中での溶解度等の観点から、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸等やその塩が好ましい。これらホスホン酸化合物の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。また、これらの水和物を用いることも可能である。なお、酸性水溶液中での溶解度があまり高くない化合物を使用する場合は、ホスホン酸化合物の塩を使用することが好ましい。これらは単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0014】
本発明の電解研磨液中のホスホン酸化合物又はその塩の含有量は、0.5質量%以上が好ましい。ホスホン酸化合物又はその塩の含有量をこの範囲とすることにより、電解研磨処理中に鉄イオンをより効果的に捕捉することができ、不溶性のリン酸鉄塩の生成をより抑制することができる結果、溶接スケール除去時のステンレス鋼表面の白濁化をより抑制することができる。なお、ホスホン酸化合物又はその塩の含有量の上限値は特に制限はないが、通常、30質量%程度である。
【0015】
(3)電解研磨液
本発明の電解研磨液には、上記したリン酸と、ホスホン酸化合物又はその塩以外にも、様々な成分を含ませることもできる。
【0016】
例えば、本発明の電解研磨液には、硫酸カリウムを含ませることもできる。これにより、電解研磨処理中に鉄イオンをより効果的に捕捉することができ、不溶性のリン酸鉄塩の生成をより抑制することができる結果、溶接スケール除去時のステンレス鋼表面の白濁化をより抑制することができる。
【0017】
本発明の電解研磨液に硫酸カリウムを含ませる場合、その含有量は、0.01~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。硫酸カリウムの含有量をこの範囲とすることにより、電解研磨処理中に鉄イオンをより効果的に捕捉することができ、不溶性のリン酸鉄塩の生成をより抑制することができる結果、溶接スケール除去時のステンレス鋼表面の白濁化をより抑制することができる。
【0018】
また、本発明の電解研磨液には、ゲル化剤を含ませることもできる。ゲル化剤を含有させることにより、本発明の電解研磨液により適切な粘性を付与し、ペースト状の電解研磨液を得ることも可能である。電解研磨処理の際の液だれを避けたい場合、例えば、ステンレス鋼母材が垂直方向に設置された現場で溶接され、その溶接焼けを除去したい場合等に有用である。このような観点から、本発明の電解研磨液にゲル化剤を含ませる場合、その含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.02~0.5質量%がより好ましい。このようなゲル化剤としては、特に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の化学修飾されたセルロース誘導体、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、ペクチン等の多糖類等の1種又は2種以上を挙げることができる。
【0019】
また、本発明の電解研磨液には、ジエチレングリコールを含ませることもできる。ジエチレングリコールを含有させることにより、ステンレス鋼表面の白濁化を抑制しつつも、溶接スケール除去性能をさらに向上させることが可能である。このような観点から、本発明の電解研磨液にジエチレングリコールを含ませる場合、その含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.02~0.5質量%がより好ましい。
【0020】
その他、本発明の電解研磨液には、シュウ酸、グリセリン等を含ませることもできる。シュウ酸、グリセリン等を含有させることにより、ステンレス鋼表面の白濁化をより効果的に抑制することが可能である。このような観点から、本発明の電解研磨液にシュウ酸、グリセリン等を含ませる場合、その合計含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.02~0.5質量%がより好ましい。
【0021】
このような本発明の電解研磨液は、溶接スケールを効果的に除去するとともに、電解研磨処理中に鉄イオンをより効果的に捕捉することができ、不溶性のリン酸鉄塩の生成をより抑制することができる結果、溶接スケール除去時のステンレス鋼表面の白濁化をより抑制することができる観点から、水溶液が好ましい。水の使用量は、本発明の電解研磨液中の各成分の含有量を上記範囲となるように調整することが好ましい。この結果、本発明の電解研磨液を酸性とすることができ、溶接スケールを効果的に除去することができる。
【0022】
(4)電解研磨処理
本発明の電解研磨液は、ステンレス鋼表面の溶接スケールを除去するために使用されることが好ましい。この際、電解研磨処理中の白濁化を抑制することができる。
【0023】
この本発明の電解研磨液を用いてステンレス鋼表面の溶接スケールを除去する場合、交流電流法又は交直重畳電流法により電解研磨処理する。交流電流法又は交直重畳電流法を採用した場合、通常、リン酸を主成分とする電解研磨液を使用した場合は電解研磨処理時に白濁化が生じやすいが、このような場合であっても、本発明の電解研磨液を使用した場合には、白濁化を効果的に抑制することができる。
【0024】
この場合、交流電流法又は交直重畳電流法において、本発明の電解研磨液を使用すること以外は従来と同様の条件で行うことができる。例えば、交直重畳電流法を採用する場合は、ステンレス鋼母材を、交流電流や、直流に交流を重ねた交直重畳電流の陽極側に接続し、本発明の電解研磨液を使用して電解処理することができる。この際、電解液の保持性が良好な布又はフェルトに本発明の電解研磨液を含浸させて陽極であるステンレス鋼母材に押し当てることにより、本発明の電解研磨液を電気分解における電解質とすることもできる。これにより、陽極で溶解が起こり、陽極であるステンレス鋼母材表面から溶接スケールが溶出することにより、溶接スケールが除去されるとともに、リン酸鉄塩の生成が抑制されるために白濁化も抑制される。これらの電流方式や条件は、ステンレス鋼の表面処理の用途、電解処理液の仕様、表面処理を行う母材の材質、母材の表面処理加工の種類等によって、最適な方式を選択することが好ましい。なお、交流電流法又は交直重畳電流法による電解研磨処理時の電流、電圧等の各種条件は常法にしたがい調整することができる。例えば、出力電圧は10~70Vの範囲で調節し、5~90Aの電流を流すことが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されないことは言うまでもない。
【0026】
なお、実施例において、各種試薬は以下のものを使用した。
SUS-N:(株)日本科学エンジニアリング製
オルトリン酸:ラサ工業(株)製
ピロリン酸:大道製薬(株)製
塩酸:要薬品(株)製
1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(キレストPH-210):キレスト(株)製
ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(キレストPH-320):キレスト(株)製。
【0027】
速度試験用ステンレス鋼板には、SUS-304(50mm×100mm×1.6mm;2B材)に溶接でビードを作成したものを使用した。溶接条件は、初期電流20A、溶接電流60A、クレーター電流20A、ガス流量6L/min、スピード約1000m/m/分とした。
【0028】
また、白濁化確認用ステンレス鋼板には、SUS304(50mm×100mm×1.6mm;鏡面材;ビード無し)を使用し、電解研磨処理にはマイト工業(株)製のマイトスケーラMS-2100を用いた。
【0029】
上記したステンレス鋼板に対して、表1に示す電解研磨液を用いて、交流電流法(AC)又は直流電流法(DC)による電解研磨処理を施した。なお、ピロリン酸は加水分解するとオルトリン酸になるため、表中のピロリン酸の含有量は、オルトリン酸に換算した場合の含有量である。具体的には、交流電流法及び直流電流法を採用する場合いずれも、上記したステンレス鋼板を電源の一極に接続し、他の一極は上記したステンレス鋼板と同じ材質の電極を合成繊維製の不織布で巻き、その不織布に表1に示す電解研磨液(pHは約0.6である)を染み込ませて摺動させた。この際、交流電流法(AC)では電圧35.4V及び電流6A、直流電流法(DC)では電圧34.8V及び電流19Aとした。電解研磨処理の処理速度(溶接スケール除去速度)及び美観(白濁化)に関する結果を表1に示す。また、上記したステンレス鋼板に対して、表2に示す電解研磨液を用いて、交直重畳電流法による電解研磨処理を施した。上記と同様に、上記したステンレス鋼板を電源の一極に接続し、他の一極は上記したステンレス鋼板と同じ材質の電極を合成繊維製の不織布で巻き、その不織布に表2に示す電解研磨液(pHは約0.6である)を染み込ませて摺動させた。この際、モード切替スイッチを交直重畳電流を印加できるマスターモードに合わせ、出力切替スイッチを交流(AC)に合わせて測定した(電圧36.7V及び電流19A)。結果を表2に示す。なお、美観(白濁化)の評価については、電極を当てた箇所の周囲の白い部分の幅の長さから、現行酸性液のものを3としてエキスパートが5段階で評価した(数字が大きいほど優れており、5は白い部分が全くないことを示す)。
【0030】
【0031】