(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
(21)【出願番号】P 2018247257
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】510169310
【氏名又は名称】ヨコキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 誠
(72)【発明者】
【氏名】中澤 浩之
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-77184(JP,A)
【文献】国際公開第2018/098516(WO,A1)
【文献】特開平11-237346(JP,A)
【文献】特開2007-206015(JP,A)
【文献】特開2012-216540(JP,A)
【文献】特開2015-184053(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 21/17 - G01N 21/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を載置するパレットと、
底部に開口部が形成され、前記電池の周囲に暗室を形成する筐体と、
前記暗室内の前記電池の表面に紫外線を照射する照射部と、
紫外線を照射した前記電池の表面を撮像して画像データを形成する撮像部と、
を有し、
前記筐体の前記底部は、前記照射部の紫外線の照射方向から見て、前記開口部の縁部に前記電池の外周部と重なる重なり部を有する、検査装置。
【請求項2】
前記筐体の前記底部は、前記重なり部から前記照射部の紫外線の照射方向に延在する縦壁部を有する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記パレットは複数の前記電池を載置可能である、請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記パレットを前記筐体に対して接近する方向または離反する方向へ移動させる移動部をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の製造過程において電池の表面の異物や塗布剤等を検査する方法として、例えば、下記特許文献1には、筐体内の暗室において電池の表面に紫外線を照射することによって電池の表面の異物や塗布剤等を発光させて検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池の量産化に対応するためには、ベルトコンベア等の製造ラインに沿って電池を搬送するパレット上に、電池を載置した状態で電池の表面を検査することが好ましい。しかしながら、上記特許文献1のように筐体内にパレット(置き台)を配置して紫外線を照射すると、パレットに紫外線が当たって劣化する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、パレットの劣化を抑制しつつ、電池の表面を正確に検査することができる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係る検査装置は、電池を載置するパレットと、底部に開口部が形成され、前記電池の周囲に暗室を形成する筐体と、前記暗室内の前記電池の表面に紫外線を照射する照射部と、紫外線を照射した前記電池の表面を撮像して画像データを形成する撮像部と、を有する。前記筐体の前記底部は、前記照射部の紫外線の照射方向から見て、前記開口部の縁部に前記電池の外周部と重なる重なり部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る検査装置によれば、紫外線の照射によるパレットの劣化を抑制しつつ、電池の表面を正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す電池モジュールの一部を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す電池スタックの一の電池を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す電池スタックの一部を示す断面図である。
【
図5A】本実施形態に係る検査装置の一部を断面で示す側面図である。
【
図6】
図5Aに示す検査装置の一部を断面で示す上面図である。
【
図7A】本実施形態に係る検査装置によって枠材の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
【
図7B】本実施形態に係る検査装置によって枠材の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
【
図7C】本実施形態に係る検査装置によって枠材の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
【
図7D】本実施形態に係る検査装置によって枠材の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
【
図7E】本実施形態に係る検査装置によって枠材の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面において、各部材の大きさや比率は、実施形態の理解を容易にするために誇張し、実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0010】
本発明の一実施形態に係る検査装置10は、電池110の表面を検査する装置である。本実施形態に係る検査装置の検査対象となる電池110は電池モジュール100の一部を構成する。以下、本実施形態の検査対象である電池モジュール100について説明した後に、本実施形態に係る検査装置について説明する。
【0011】
[電池モジュール100]
図1は、電池モジュール100を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電池モジュール100の一部を分解して示す斜視図である。
図1および
図2を参照して、電池モジュール100は、扁平な複数の電池110を積層してなる電池スタック110sがモジュールケース120内に収納されている。モジュールケース120は、4枚の板部材から構成され、電池スタック110sを加圧する加圧ユニットとしても機能する。複数の電池110は、モジュールケース120によって加圧された状態において、バスバーユニット130によって電気的に接続される。
【0012】
なお、図に付したX-Y-Z軸は、電池モジュール100の方位を示している。X軸は、電池110の積層方向と交差し、かつ、電池110の長手方向に沿った方向を示している。Y軸は、電池110の積層方向と交差し、かつ、電池110の短手方向に沿った方向を示している。Z軸は、電池110の積層方向を示している。
【0013】
図3は、
図2に示す電池スタック110sの一の電池を示す斜視図である。電池110は、電池スタック110sにおける電池110の積層方向(
図3のZ方向)から見た形状が四辺を備えた略方形形状を有している。四辺のうちのいずれかの辺からは、電極タブ113が接続されている。電池110は、例えば、扁平なリチウムイオン二次電池である。
【0014】
図4は、
図2に示す電池スタック110sの一部を示す断面図である。
図4を参照して、電池110は、電極板が積層して形成された発電要素111が外装体112の内部に電解液とともに収納されている。電池110の表面のうち上面および下面は、電池110の電池厚み方向の面である主面140に相当する。電池スタック110sは、電池110の主面140が互いに対向するように積層して形成されている。
【0015】
図3および
図4を参照して、電極タブ113は、発電要素111に電気的に接続され、外装体112から外部に導出されている。電極タブ113は、アノード側電極タブ113Aと、カソード側電極タブ113Kとを有している。アノード側電極タブ113Aの形成材料は、例えば、アルミニウムを用いることができる。カソード側電極タブ113Kの形成材料は、例えば、銅を用いることができる。
【0016】
図3および
図4を参照して、電池110の主面140上には、当該電池110の主面140から電池厚み方向(Z方向)に突出するとともに電池厚み方向が開口した枠状に樹脂を塗布して形成された枠材150(塗布剤)が形成されている。
図4を参照して、枠材150、一の電池110の主面140、および一の電池110に積層方向において対向する他の電池110の主面140によって形成された枠材内側空間150Rには、充填剤160が充填されている。
【0017】
枠材150は、主面140の方向から見た形状が四辺を備えた略方形形状を有している。なお、枠材150の形状は略方形形状に限定されず、適宜変更可能である。枠材150は、電池スタック110sを積層方向両側から加圧するときに電池厚み方向に圧縮変形される程度の弾性を有している。枠材150は、充填剤160が広がる範囲を限定するダムないし堰のような機能を有している。したがって、枠材150の形成材料は、弾性を備え、充填剤160を通過させることなく遮断し得る材料から形成することができる。
【0018】
枠材150は、紫外線の照射により発光する発光物質を備える材料から構成され、例えば紫外線硬化型アクリル樹脂が用いられる。枠材150は、液状の樹脂を電池110の主面140に対して枠状に塗布した後、液状の樹脂を紫外線の照射によってゲル状に硬化させることによって形成することができる。枠材150は、硬化してもゲル状であるため、弾性を備え、充填剤160の通過を遮断することができる。枠材150は、透明または半透明である。枠材150は、接着機能の有無は問わない。
【0019】
図4を参照して、枠材150、一の電池110の主面140、および一の電池110に積層方向において対向する他の電池110の主面140によって、枠材内側空間150Rが形成される。枠材内側空間150Rは、閉じられた空間である。
【0020】
枠材内側空間150Rに充填される充填剤160は、塑性流体(ビンガム流体)である。ビンガム流体は、一定の剪断応力に達しないと流動を始めない流体である。したがって、加圧によって電池110の主面140に対する面圧を容易に発生させることができる。充填剤160は、例えば、2液反応型アクリル嫌気性樹脂を使用することができる。充填剤160は、接着機能の有無は問わない。また、充填剤160は、ニュートン流体でもよいし、二液混合タイプ、一液タイプのいずれでもよい。
【0021】
図3を参照して、電池110は、電極タブ113を備えた側が一対の第1スペーサー114によって支持され、電極タブ113を備えていない側が一対の第2スペーサー115によって支持されている。電池110は、各スペーサー114、115によって支持された状態において積層される。各スペーサー114、115は、例えば、絶縁性を備えた強化プラスチックスから形成される。
【0022】
図1および
図2を参照して、モジュールケース120は、電池スタック110sの各々の電池110の発電要素111を上下から加圧する上部加圧板121と下部加圧板122、および電池スタック110sを加圧した状態の上部加圧板121および下部加圧板122を固定する一対の側板123を含んでいる。上部加圧板121は、電池モジュール100を図示しないパックケースに対して固定する締結ボルトを挿入するロケート孔121bが形成されている。下部加圧板122も同様に、締結ボルトを挿入するロケート孔122bが形成されている。一対の側板123は、上部加圧板121および下部加圧板122に対して溶接している。モジュールケース120の形成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
【0023】
バスバーユニット130は、上下に並んだ電池110の電極タブ113を電気的に接続するバスバー132と、複数のバスバー132を一体的に保持するバスバーホルダ131と、バスバー132を保護する保護カバー135とを有する。バスバーユニット130はさらに、電気的に接続された複数の電池110のアノード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるアノード側ターミナル133と、カソード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるカソード側ターミナル134とを有する。
【0024】
[検査装置10]
図5A、
図5Bおよび
図6を参照して、本実施形態に係る検査装置10について説明する。
図5Aは、検査装置10の一部を断面で示す側面図である。
図5Bは、
図5A中の二点破線で囲んだ部分Aの拡大図である。
図6は、
図5Aに示す検査装置10の一部を断面で示す上面図である。
【0025】
本実施形態に係る検査装置10は、扁平な電池110の表面に塗布された枠材150の塗布状態を検査するための装置である。なお、本検査は、枠材150の枠材内側空間150Rに充填剤160が充填される前の状態で行う。枠材150は透明または半透明であるため、カメラ等によって撮像した画像データから枠材150を正確に検出することが難しい。そこで、本実施形態に係る検査装置10は、紫外線UV(図中、紫外線は符号「UV」で示す。)を照射して枠材150を発光させることによって枠材150の形状を正確に検査することができる。
【0026】
図5Aを参照して、検査装置10は、枠材150を有する電池110を載置するパレット20と、パレット20を移動または位置決めする駆動部30と、電池110の周囲に暗室40Rを形成する筐体40と、暗室40R内の電池110の表面および枠材150に紫外線UVを照射する照射部50と、紫外線UVを照射した電池110の表面および枠材150を撮像して画像データを形成する撮像部60と、を有する。検査装置10は、駆動部30、照射部50および撮像部60の作動を制御する制御部70と、撮像部60が撮像した画像を表示する表示部80と、をさらに有する。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0027】
(パレット20)
図5Aを参照して、パレット20は、複数の電池110を載置可能な上面20Sを有する。本実施形態では、2枚の電池110がパレット20の上面20Sに載置されている。これにより、照射部50による紫外線UVの照射を複数(2つ)の電池110に対して同時に行うことができる。このため、各電池110当たりの製造にかかるサイクルタイムを短縮することができ、生産性が向上する。パレット20の構成材料は、樹脂を含む材料である。パレット20は、樹脂製のため軽量化を図ることができる。一方で、樹脂製のパレット20は、紫外線UVの照射によって劣化しやすい。
【0028】
(駆動部30)
図5Aおよび
図6を参照して、駆動部30は、2本のコンベア31、ストッパー32およびパレットロケート33(移動部に相当)を有する。
【0029】
図6を参照して、コンベア31は、ローラコンベヤ等の搬送装置によって回転する輪状のベルトの上にパレット20を載せて移動させる公知のベルトコンベアを用いることができる。2本のコンベア31は、搬送方向Xと交差する方向に互いに離間して平行に配設される。2本のコンベア31の間には、ストッパー32およびパレットロケート33が配置される。なお、コンベア31は、パレット20を搬送方向Xに搬送可能である限りにおいてベルトコンベアに限定されず、例えば、搬送台車であるスライダーをレールに沿って搬送方向Xに移動させるリニアコンベアなどを用いてもよい。
【0030】
ストッパー32は、パレット20を搬送するコンベア31の搬送路の途中にあるパレットロケート33の上方の位置でパレット20を停止させて位置決めする機能を有する。ストッパー32は、上下方向に移動可能に構成され、パレットロケート33よりもコンベア31の搬送方向X(
図6中の矢印方向)の下流側に配置される。ストッパー32は、制御部70によって作動を制御されたシリンダー等の駆動源(図示せず)によって上下方向に駆動される。ストッパー32は、コンベア31よりも上側に移動してパレット20の搬送路の途中に位置することによって、コンベア31によって搬送されるパレット20の端部に当接してパレット20を停止させる。ストッパー32は、コンベア31の上面の搬送路よりも下側に移動することによって(
図5Aの破線部を参照)、パレット20をストッパー32よりも搬送方向Xの下流側へ搬送可能にする。
【0031】
パレットロケート33は、パレット20を筐体40に対して接近する方向または離反する方向へ移動させる。具体的には、パレットロケート33は、パレット20をその上面に載置し、パレット20を水平に保った状態で上下方向に移動する。パレットロケート33は、制御部70によって作動を制御されたシリンダー等の駆動源(図示せず)によって上下方向に駆動される。
【0032】
(筐体40)
図5Aを参照して、筐体40は、中空の箱状に形成され、開口部40Hが形成された底部41を備える。筐体40は、パレットロケート33によってパレット20が上方向に移動して、パレット20に載置された電池110が開口部40Hに対向するように配置された状態において、電池110の周囲に暗室40Rを形成する。
【0033】
筐体40は、パレット20に載置された複数(本実施形態では2つ)の電池110のそれぞれに対応するように複数の開口部40Hを有する。また、筐体40は、それぞれの電池110の周囲に別々に区画された暗室40Rを形成する。このように、複数の電池110のそれぞれに対応させて複数の暗室40Rを形成することによって、照射部50が暗室40R内で紫外線UVを照射する際に、一の電池110に照射される紫外線UVが漏れて他の電池110および枠材150に照射されることを防止できる。これにより、電池110および枠材150に紫外線UVが過剰に照射されることによる電池110の劣化を防止できる。
【0034】
図5Aおよび
図5Bを参照して、筐体40の底部41は、照射部50の紫外線UVの照射方向Zから見て、開口部40Hの縁部に電池110の外周部と重なる重なり部42を有する。ここで、照射部50の紫外線UVの照射方向とは、紫外線UVの光軸L1に沿う方向(本実施形態ではZ方向)を意味する。重なり部42は、電池110の外周部およびパレット20を紫外線UVから遮蔽する機能を有する。重なり部42と電池110の外周部とが重なる長さW1は、枠材150の外周端と電池110の外周端との間の長さW2よりも小さい。これにより、筐体40の重なり部42よりも内側に枠材150が配置されるため、枠材150の全体に紫外線UVを照射することができる。
【0035】
筐体40の底部41は、重なり部42から照射部50の紫外線UVの照射方向Zに延在する縦壁部43をさらに有する。縦壁部43は、縦壁部43は、照射部50の紫外線UVの照射方向Zから見て、電池110の外周を囲うように配置される。
【0036】
筐体40の縦壁部43の高さH1は、電池110の高さH2よりも大きく形成されている。これにより、縦壁部43がパレット20の上面20Sに当接した状態において、重なり部42が電池110と接触することなく、重なり部42によって確実にパレット20を紫外線UVから遮蔽することができる。筐体40の重なり部42が電池110と接触しないため、筐体40が接触することによる電池110の変形を防止することができる。
【0037】
(照射部50)
図5Aを参照して、照射部50は、筐体40の内部空間の上部に設けられ、枠材150に対して光源から紫外線UVを照射する。これにより、枠材150の発光物質が反応して、例えば青色に発光する。照射部50は、紫外線UVの光軸L1が電池110よりも外側に位置するように紫外線UVを照射する。紫外線UVの光軸L1が電池110および枠材150に当たらないようにすることによって、電池110および枠材150に照射される紫外線UVの光量を抑えて、紫外線UVの照射による劣化を防止することができる。電池110および枠材150には、光軸L1から拡散した紫外線UVが照射される。なお、光軸L1とは、照射部50から照射されて拡散する紫外線UVの中心軸である。照射部50の光源は、特に限定されず、例えば、蛍光型やLED型等を用いることができる。
【0038】
(撮像部60)
撮像部60は、筐体40の内部空間において電池110の主面140のほぼ中心で、かつ、照射部50よりも上方に設けられる。撮像部60は、枠材150の全体を撮像できるように照射部50とその位置をずらして配置している。撮像部60は、例えば、CCDやC-MOS等の固体撮像素子とレンズ群光学系とを組み合わせたものを用いることができる。
【0039】
(制御部70)
制御部70は、CPUやメモリを主体に構成され、駆動部30、照射部50および撮像部60等の作動を制御する。
【0040】
また、制御部70は、撮像部60から受信した画像データを画像処理する画像処理機能を備える。制御部70には、画像データの画像処理や加工に必要な画像処理用のプログラムが記憶されている。制御部70は、画像処理の結果と予め記憶された枠材150の正規形状とを比較し、撮像画像の形状と正規形状との間で規定以上の形状差があった場合に枠材150の塗布状態が不良と判断し、規定以内であった場合に枠材150の塗布状態が良好と判断する。
【0041】
(表示部80)
表示部80は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等から構成され、撮像部60が撮像した画像データおよび制御部70が判断した枠材150の塗布状態の結果を表示する。
【0042】
[検査装置10による検査方法]
図7A~
図7Eは、検査装置10によって枠材150の塗布状態を検査する手順を説明するための図である。
図7A~
図7Eを参照して、検査装置10を用いて枠材150の塗布状態を検査する方法について説明する。なお、
図7A~
図7Eでは、制御部70および表示部80の図示を省略する。
【0043】
パレット20は、電池110を載置した状態で、駆動部30のコンベア31によって搬送方向Xに搬送される(
図6を参照)。
【0044】
図7Aに示すように、制御部70は、ストッパー32の作動を制御し、ストッパー32を上昇させてパレット20をパレットロケート33の上方の位置に停止して位置決めする。
【0045】
次に、
図7Bに示すように、制御部70は、パレットロケート33の作動を制御し、パレット20を載置し、水平に保った状態で上昇させてパレット20を筐体40に押し当てる。これにより、開口部40Hにパレット20上の電池110および枠材150が対向するように配置される。パレット20と筐体40とが隙間なく接触した状態で、筐体40は、電池110および枠材150の周囲に暗室40Rを形成する。また、重なり部42は、開口部40Hの縁部に電池110の外周部と重なるように配置される(
図5Bを参照)。また、電池110は、開口部40Hの縦壁部43の内側に配置される。
【0046】
次に、
図7Cに示すように、制御部70は、照射部50の作動を制御し、枠材150に対して紫外線UVを照射する。照射された紫外線UVは、枠材150の全体を照射する。このとき、
図5Bに示すように、筐体40の重なり部42および縦壁部43は、電池110の外周部およびパレット20を紫外線UVから遮蔽する。これにより、紫外線UVの照射によってパレット20が劣化することを防止することができる。
【0047】
制御部70は、照射部50による照射を開始すると同時に、撮像部60の作動を制御し、枠材150の全体を撮像する。撮像した画像データは、制御部70に送信され、制御部70によって画像処理される。
【0048】
制御部70は、枠材150の画像データに対してのみピクセル処理を行い、枠材150の塗布状態が良好か不良かを判断する。制御部70は、画像処理の結果と予め記憶された枠材150の正規形状とを比較し、撮像画像の形状と正規形状との間で規定以上の形状差であった場合に枠材150の塗布状態が不良と判断し、規定以内の形状差であった場合に枠材150の塗布状態が良好と判断する。このように、枠材150の塗布状態の判断を自動化することによって、量産する生産ラインにおいて生産を止めることなく連続稼働が可能となる。制御部70は、撮像部60による撮像が終わると、照射部50の作動を制御し、照射部50による照射を停止する。
【0049】
制御部70は、表示部80の作動を制御し、枠材150の塗布状態の判断結果および撮像部60が撮像した画像データを表示させる。このとき、枠材150の塗布状態が不良と判断された場合には、電池110の外観検査を行う際に、表示部80に表示された画像または電池110自体を検査者が目視することによって、枠材150の塗布状態の外観検査を実施し、最終的な判断を行う。
【0050】
次に、
図7Dに示すように、制御部70は、ストッパー32およびパレットロケート33の作動を制御して、ストッパー32およびパレットロケート33を下降させる。これにより、
図7Eに示すように、パレット20はコンベア31の上面に載置され、コンベア31による搬送方向へのパレット20の搬送が再開する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の検査装置10は、電池110を載置するパレット20と、底部41に開口部40Hが形成され、電池110の周囲に暗室40Rを形成する筐体40と、暗室40R内の電池110の表面に紫外線UVを照射する照射部50と、紫外線UVを照射した電池110の表面(主面140)を撮像して画像データを形成する撮像部60と、を有する。筐体40の底部41は、照射部50の紫外線UVの照射方向Zから見て、開口部40Hの縁部に電池110の外周部と重なる重なり部42を有する。
【0052】
上記のような構成によれば、重なり部42によって電池110の外周部およびパレット20を紫外線UVから遮蔽することができる。これにより、紫外線UVの照射によるパレット20の劣化を抑制しつつ、枠材150の塗布状態などの電池110の表面の状態を正確に検査することができる。
【0053】
また、筐体40の底部41は、重なり部42から照射部50の紫外線UVの照射方向Zに延在する縦壁部43を有する。これにより、縦壁部43がパレット20の上面20Sに当接した状態において、重なり部42が電池110と接触することなく、重なり部42によって確実にパレット20を紫外線UVから遮蔽することができる。筐体40の重なり部42が電池110と接触しないため、筐体40が接触することによる電池110の変形を防止することができる。
【0054】
また、パレット20は複数の電池110を載置可能である。これにより、照射部50による紫外線UVの照射を複数の電池110に対して同時に行うことができる。このため、各電池110当たりの製造にかかるサイクルタイムを短縮することができ、生産性が向上する。
【0055】
また、パレット20を筐体40に対して接近する方向または離反する方向へ移動させるパレットロケート33(移動部に相当)をさらに有する。
【0056】
以上、実施形態を通じて検査装置10を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0057】
例えば、検査装置による検査対象は電池の表面に塗布された枠材(塗布剤)に限定されず、例えば、電池に付加した別の構成部材や、電池の表面に付着した異物などでもよい。
【0058】
また、制御部は自動的に画像処理を行い、塗布状態の良否を判断するとしたが、これに限定されず、検査者が撮像部が撮像した画像データから塗布状態の良否を判断してもよい。
【0059】
また、検査装置は、前述した実施形態で説明した構成以外の構成を含んでいてもよく、あるいは、前述した実施形態で説明した構成のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 検査装置、
20 パレット、
30 駆動部、
31 コンベア、
32 ストッパー、
33 パレットロケート(移動部)、
40 筐体、
40H 開口部、
40R 暗室、
41 底部、
42 重なり部、
43 縦壁部、
50 照射部、
60 撮像部、
70 制御部、
80 表示部、
100 電池モジュール、
110 電池、
110s 電池スタック、
111 発電要素、
112 外装体、
113 電極タブ、
120 モジュールケース、
130 バスバーユニット、
140 電池の主面(表面)、
150 枠材、
150R 枠材内側空間、
160 充填剤。