(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】表示装置及び空中像の表示方法
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20221116BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20221116BHJP
G02B 5/12 20060101ALI20221116BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20221116BHJP
H04N 13/346 20180101ALI20221116BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/08 Z
G02B5/12
H04N13/302
H04N13/346
(21)【出願番号】P 2018537413
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2017031448
(87)【国際公開番号】W WO2018043673
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2016170363
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕紹
(72)【発明者】
【氏名】久次米 亮介
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0153577(US,A1)
【文献】特開2009-025776(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088683(WO,A1)
【文献】特開2015-040944(JP,A)
【文献】特表平09-506717(JP,A)
【文献】米国特許第05583695(US,A)
【文献】特開2015-194601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
G02B 5/08
G02B 5/12
H04N 13/30 - 13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記光分岐部と前記第一再帰反射部との間に配置された第一遮光部と、
を備え、
前記第一再帰反射部は、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光が前記第一遮光部に向く形状を有しており、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を遮る第二遮光部をさらに備え、
前記光分岐部は、前記直接照射光の少なくとも一部を透過させる表示装置。
【請求項2】
前記第二遮光部は、前記光分岐部の前記光源側とは反対側において前記直接照射光が透過する領域に設けられている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記第一再帰反射部によって
、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を遮る第一遮光部と、
を備え、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、
前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として
反射させる光分岐面を一方の板面に有し、
前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、
前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、
前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、
前記再帰反射面は前記光分岐面に対向しており、
前記第一再帰反射部の一方の端部は前記光分岐部の前記ディスプレイ部側とは反対側の端部に接続され、
前記第一再帰反射部の前記一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記光分岐部の前記ディスプレイ部側の端部との離間距離が減少するように前記第一再帰反射部が湾曲しており、
前記第一遮光部は、板状に形成され、前記光分岐部の前記光分岐面側に配置されると共に前記光分岐面に対して垂直に配置され、
前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記ディスプレイ部の前記光分岐部側とは反対側の端部と前記光分岐部の前記第一再帰反射部側の端部とを結ぶ第一仮想線上に配置されている表示装置。
【請求項4】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記第一再帰反射部によって
、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を遮る第一遮光部と、
を備え、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、
前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として
反射させる光分岐面を一方の板面に有し、
前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、
前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、
前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記光分岐面に垂直な方向に沿って配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、
前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、
前記第一遮光部は、板状に形成され、
前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記第一再帰反射部の前記光分岐部側の端部から前記光源に向って、前記光分岐面に平行な方向に延ばした第二仮想線上に配置されている表示装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記第一再帰反射部によって
、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を遮る第一遮光部と、
を備え、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、
前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として
反射させる光分岐面を一方の板面に有し、
前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、
前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、
前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記光分岐部から離間するに従って前記光分岐面に垂直な方向に対して前記ディスプレイ部側とは反対側に一定の比率で離間するように配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、
前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、
前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記第一再帰反射部の前記光分岐部側の端部から前記光源に向って前記再帰反射面に垂直な方向に沿って延ばした第三仮想線上に配置されている表示装置。
【請求項6】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記第一再帰反射部によって
、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を遮る第一遮光部と、
を備え、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、
前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として
反射させる光分岐面を一方の板面に有し、
前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、
前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、
第二再帰反射部をさらに備え、
前記第二再帰反射部は、板状に形成され、前記ディスプレイ部において前記光分岐部側とは反対側の端部と前記光分岐部において前記ディスプレイ部と接続されている端部とは反対側の端部とに跨るように配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、
前記第二再帰反射部の再帰反射面は前記ディスプレイ部の前記一方の板面および前記光分岐面に対向しており、
前記第二再帰反射部の再帰反射面から前記光分岐面に平行な方向に沿って前記光源側に突出する突出部が前記第二再帰反射部の再帰反射面に沿って所定の間隔をあけて複数配置され、
前記第一再帰反射部は、一方の板面に再帰反射面を有し、前記突出部の前記光分岐面側に設けられ、
前記第一遮光部は、前記突出部の前記光分岐面側とは反対側の表面に設けられている表示装置。
【請求項7】
光源と、
前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として
反射させる光分岐部と、
前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射
し、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させる第一再帰反射部と、
前記第一再帰反射部によって
、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を遮る第一遮光部と、
を備え、
前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させ、
前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、
前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として
反射させる光分岐面を一方の板面に有し、
前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、
前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、
前記第一再帰反射部は、前記光分岐面に沿って所定の間隔をあけて複数配置されており、板状に形成され、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、
前記第一再帰反射部の一方の端部が前記光分岐面に当接し、前記一方の端部から他方の端部に向うに従って前記ディスプレイ部に近づくように配置され、
前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、
前記第一遮光部は、前記第一再帰反射部の前記再帰反射面とは反対側の板面に設けられている表示装置。
【請求項8】
光源から第一出射光を出射させ、前記第一出射光の出射方向を示す第一出射軸上の位置において前記第一出射光の少なくとも一部を光分岐部によって第一反射光として第一再帰反射部に向けて反射させるステップと、
前記第一反射光の出射方向を示す第二出射軸上の位置において前記第一反射光の少なくとも一部を前記第一再帰反射部によって再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射させ
、前記第一反射光の一部を素子表面において、前記素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射させるステップと、
前記第一再帰反射部に
よって、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光の一部を
、前記光分岐部と前記第一再帰反射部との間に配置された第一遮光部によって遮るステップと、
を備え、
前記第一再帰反射部は、その素子表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、この仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに反射する光が前記第一遮光部に向く形状を有しており、
前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を第二遮光部によって遮るステップをさらに備える空中像の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び空中像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信・放送、エンターテイメント、アート、医療等をはじめとする分野において、環境や空間を利用し、特殊なメガネ等をかけなくても見える像を三次元空間内に表示可能な空中表示技術が注目されている。前述のように三次元空間内に像を表示する方法の一つとして、再帰反射を用いた空中表示(Aerial Imaging by Retro-Reflection:AIRR)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に、部品数を抑えた構成の一例として、対象物(光源)からの光の通路に置かれるビーム分割装置、及びビーム分割装置により透過または反射させられる対象物からの光の通路に置かれる再帰反射手段を有する表示装置が開示されている。特許文献1に記載の表示装置において、ビーム分割装置は、不透明な表面における開口部に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】H.Yamamoto,Y.Tomiyama,S.Suyama,“Floating aerial LED signage based on aerial imaging by retro-reflection (AIRR)”,Optics Express,Vol.22,No.22,pp.26919-26924(2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、再帰反射部材を用いた従来の表示装置では、再帰反射部材の表面において、表面反射(該表面の接線に垂直な仮想軸を中心として入射方向とは反対側に、仮想軸となす角度と同じ角度をなす方向に、入射方向とは逆向きに光が進む反射)が発生するため、ユーザ(観察者)に、空中に形成される像(空中像)に加え、表面反射による像(偽像)が観察されるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、偽像がユーザに殆ど観察されないようにすることができる表示装置及び空中像の表示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、光源と、前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として表面反射させる光分岐部と、前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射する第一再帰反射部と、前記再帰反射光の観察位置に向けて前記第一再帰反射部によって反射された表面反射光を遮る第一遮光部と、を備え、前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示装置において、前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として表面反射させる光分岐面を一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記再帰反射面は前記光分岐面に対向しており、前記第一再帰反射部の一方の端部は前記光分岐部の前記ディスプレイ部側とは反対側の端部に接続され、前記第一再帰反射部の前記一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記光分岐部の前記ディスプレイ部側の端部との離間距離が減少するように前記第一再帰反射部が湾曲していてもよい。
【0010】
本発明に係る表示装置において、前記第一遮光部は、板状に形成され、前記光分岐部の前記光分岐面側に配置されると共に前記光分岐面に対して垂直に配置され、前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記ディスプレイ部の前記光分岐部側とは反対側の端部と前記光分岐部の前記第一再帰反射部側の端部とを結ぶ第一仮想線上に配置されていてもよい。
【0011】
本発明に係る表示装置において、前記第一遮光部は、板状に形成され、前記ディスプレイ部の前記第一再帰反射部側とは反対側に配置されると共に、前記光分岐部の前記光分岐面から該光分岐面に垂直な方向に沿って前記ディスプレイ部に近づくように突出していてもよい。
【0012】
本発明に係る表示装置において、前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として表面反射させる光分岐面を一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記光分岐面に垂直な方向に沿って配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、前記第一遮光部は、板状に形成され、前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記第一再帰反射部の前記光分岐部側の端部から前記光源に向って、前記光分岐面に平行な方向に延ばした第二仮想線上に配置されていてもよい。
【0013】
本発明に係る表示装置において、前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として表面反射させる光分岐面を一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記光分岐部から離間するに従って前記光分岐面に垂直な方向に対して前記ディスプレイ部側とは反対側に一定の比率で離間するように配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、前記第一遮光部の前記光分岐部側の端部は、前記第一再帰反射部の前記光分岐部側の端部から前記光源に向って前記再帰反射面に垂直な方向に沿って延ばした第三仮想線上に配置されていてもよい。
【0014】
本発明に係る表示装置において、前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として表面反射させる光分岐面を一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、第二再帰反射部をさらに備え、前記第二再帰反射部は、板状に形成され、前記光分岐部から離間するに従って前記光分岐面に垂直な方向に対して前記ディスプレイ部側とは反対側に一定の比率で離間するように配置されると共に、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記第二再帰反射部の再帰反射面は前記ディスプレイ部の前記一方の板面および前記光分岐面に対向しており、前記第二再帰反射部の再帰反射面から前記光分岐面に平行な方向に沿って前記光源側に突出する突出部が前記第二再帰反射部の再帰反射面に沿って所定の間隔をあけて複数配置され、前記第一再帰反射部は、一方の板面に再帰反射面を有し、前記突出部の前記光分岐面側に設けられ、前記第一遮光部は、前記突出部の前記光分岐面側とは反対側の表面に設けられていてもよい。
【0015】
本発明に係る表示装置において、前記光源は、板状に形成されたディスプレイ部の一方の板面に複数配列され、前記光分岐部は、板状に形成され、前記第一出射光の少なくとも一部を前記第一反射光として表面反射させる光分岐面を一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面とが対向しており、前記ディスプレイ部の一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記ディスプレイ部の前記一方の板面と前記光分岐面との離間距離が大きくなり、前記第一再帰反射部は、板状に形成され、前記第一反射光の少なくとも一部を前記再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記第一再帰反射部の一方の端部が前記光分岐面に当接し、前記一方の端部から他方の端部に向うに従って前記前記ディスプレイ部に近づくように配置され、前記再帰反射面は前記光分岐面側に向いており、前記第一遮光部は、前記第一再帰反射部の前記再帰反射面とは反対側の板面に設けられていてもよい。
【0016】
本発明に係る表示装置は、前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を遮る第二遮光部をさらに備え、前記光分岐部は、前記直接照射光の少なくとも一部を透過させてもよい。
【0017】
本発明に係る表示装置において、前記第二遮光部は、前記光分岐部の前記光源側とは反対側において前記直接照射光が透過する領域に設けられていてもよい。
【0018】
本発明に係る表示装置は、光源と、前記光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として表面反射させる光分岐部と、前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射する第一再帰反射部と、前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を遮る第二遮光部と、を備え、前記光分岐部は、前記第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る表示装置は、板状に形成され、一方の板面に光源が設けられているディスプレイ部と、板状に形成され、前記光源から発せられた第一出射光の出射方向を示す第一出射軸上に配置されると共に、前記ディスプレイ部の前記一方の板面に対して一方の板面が傾斜するように配置され、前記第一出射光の少なくとも一部を第一透過光として透過させる光分岐部と、板状に形成され、前記光分岐部を透過した前記第一透過光の少なくとも一部を再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記光分岐部を挟んで前記ディスプレイ部に対向し、かつ前記再帰反射面が前記ディスプレイの前記一方の板面に対して平行になるように前記第一出射軸上に配置された第一再帰反射部と、板状に形成され、前記光分岐部の前記第一再帰反射部側に前記光分岐部の一方の板面に沿って配置され、前記第一再帰反射部によって再帰反射された再帰反射光を表面反射かつ結像させる結像部と、を備え、前記光分岐部は、前記再帰反射光の少なくとも一部を表面反射させる光分岐面を前記一方の板面に有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る表示装置は、板状に形成され、一方の板面に光源が設けられているディスプレイ部と、板状に形成され、前記光源から発せられた第一出射光の出射方向を示す第一出射軸上に配置されると共に、前記第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として表面反射させる光分岐面を前記一方の板面に有し、前記ディスプレイ部の前記一方の板面に対して前記光分岐面が対向かつ傾斜するように配置された光分岐部と、板状に形成され、前記光分岐面によって表面反射された前記第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として再帰反射させる再帰反射面を一方の板面に有し、前記光分岐面に対して前記再帰反射面が対向かつ傾斜し、かつ前記ディスプレイ部の一方の板面に対して前記再帰反射面が垂直になるように前記第一反射光の進行方向を示す第二出射軸上に配置された第一再帰反射部と、板状に形成され、前記光分岐部の前記第一再帰反射部側とは反対側に前記光分岐部の一方の板面に沿って配置され、前記第一再帰反射部によって再帰反射された再帰反射光を透過し、かつ前記第一出射光を結像させる結像部と、を備え、前記光分岐部は、前記再帰反射光の少なくとも一部を透過することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る空中像の表示方法は、光源から第一出射光を出射させ、前記第一出射光の出射方向を示す第一出射軸上の位置において前記第一出射光の少なくとも一部を光分岐部によって第一反射光として前記第一再帰反射部に向けて反射させるステップと、前記第一反射光の出射方向を示す第二出射軸上の位置において前記第一反射光の少なくとも一部を第一再帰反射部によって再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射させるステップと、前記光反射部で前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させるステップと、前記第一再帰反射部によって前記再帰反射光の観察位置に反射される表面反射光を第一遮光部によって遮るステップと、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る空中像の表示方法は、前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を第二遮光部によって遮るステップをさらに備えていてもよい。
【0023】
また、本発明に係る空中像の表示方法は、光源から第一出射光を出射させ、前記第一出射光の出射方向を示す第一出射軸上の位置において前記第一出射光の少なくとも一部を光分岐部によって第一反射光として前記第一再帰反射部に向けて反射させるステップと、前記第一反射光の出射方向を示す第二出射軸上の位置において前記第一反射光の少なくとも一部を第一再帰反射部によって再帰反射光として前記光分岐部に向けて再帰反射させるステップと、前記光反射部で前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させるステップと、前記光源から前記再帰反射光の観察位置に直接照射される直接照射光を第二遮光部によって遮るステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表示装置及び空中像の表示方法では、空中像の観察位置に照射される表面反射光を第一遮光部によって遮蔽することができる。したがって、本発明の表示装置及び空中像の表示方法によれば、偽像がユーザに殆ど観察されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る第一実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図2】本発明に係る第一実施形態の表示装置に用いられる再帰反射部の範囲を説明するための側面図である。
【
図3】本発明に係る第二実施形態の表示装置の構造を示す側面図である。
【
図4】本発明に係る第三実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図5】本発明に係る第三実施形態の表示装置の第一変形例の構成を示す側面図である。
【
図6】本発明に係る第三実施形態の表示装置の第二変形例の構成を示す側面図である。
【
図7】本発明に係る第三実施形態の表示装置の第三変形例の構成を示す側面図である。
【
図8】本発明に係る第四実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図9】本発明に係る第五実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図10】本発明に係る第五実施形態の表示装置の変形例の構成を示す側面図である。
【
図11】本発明に係る第六実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図12】本発明に係る第七実施形態の表示装置の構成を示す側面図である。
【
図13】本発明に係る第一実施形態の表示装置の変形例の構成を示す側面図である。
【
図14】本発明に係る第二実施形態の表示装置の変形例の構成を示す側面図である。
【
図15】本発明に係る第四実施形態の表示装置の変形例の構成を示す側面図である。
【
図16】
図15に示す表示装置の別の変形例の構成を示す側面図である。
【
図17】
図15に示す表示装置の他の変形例の構成を示す側面図である。
【
図18】
図16に示す表示装置のさらに別の変形例の構成を示す側面図である。
【
図19】本発明に係る表示装置の変形例の構成を示す上面図である。
【
図20】
図19に示す表示装置の変形例の構成を示す上面図である。
【
図21】実施例1において観察された空中像の写真である。
【
図22】比較例1において観察された空中像の写真である。
【
図23】実施例2において観察された空中像の写真である。
【
図24】比較例2において観察された空中像の写真である。
【
図25】実施例3において構成した表示装置の写真である。
【
図26】実施例3において観察された空中像の写真である。
【
図27】比較例3において観察された空中像の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る表示装置及び空中像の表示方法の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
【0027】
本発明に係る表示装置は、光源と、光源から出射された第一出射光の少なくとも一部を第一反射光として表面反射させる光分岐部と、第一反射光の少なくとも一部を再帰反射光として光分岐部に向けて再帰反射する第一再帰反射部と、再帰反射光の観察位置に向けて第一再帰反射部によって反射された表面反射光を遮る第一遮光部と、を備えている。光分岐部は、第一再帰反射部によって再帰反射された前記再帰反射光の少なくとも一部を透過させる。
以下、本発明に係る表示装置の実施形態について説明する。
【0028】
(第一実施形態)
図1に示すように、第一実施形態の表示装置1Aは、光源2と、光分岐部4と、再帰反射部(第一再帰反射部)6と、第一遮光部8と、を備えている。
【0029】
光源2は、例えばLEDであるが、特に限定されない。光源2は、板状に形成されたディスプレイ部3の一方の板面3aに平行に複数配列されている。複数の光源2は、互いに光の出射方向を第一出射軸J1に向けて、設けられている。なお、光源2の数及び相対配置は、特に制限されない。ディスプレイ部3は、例えばLEDディスプレイや液晶ディスプレイである。
【0030】
光分岐部4は、板状に形成されている。光分岐部4の一方の板面4aに、光分岐面5が設けられている。光分岐面5は、光源2から発せられた第一出射光L1の一部を第一反射光L2として表面反射させると共に、再帰反射部6によって再帰反射された再帰反射光を透過させる。
【0031】
光分岐面5は、ディスプレイ部3の板面3aに対向している。また、光分岐部4は、ディスプレイ部3の端部(一方の端部)3xから端部(他方の端部)3yに向かうに従ってディスプレイ部3の板面3aと光分岐面5との離間距離が大きくなるように、配置されている。すなわち、光分岐部4は、ディスプレイ部3に対して、所定の角度で傾斜するように配置されている。
【0032】
光分岐部4は、例えばアクリルやガラスからなる板状部材、あるいはこれらの素材から構成されて中空に水が収容された中空体、パンチングメタル等の開口列を有する板、ワイヤーグリッドフィルム、反射型偏光フィルム、その他、一般にビームスプリッターと呼ばれるもの等である。
【0033】
再帰反射部6は、板状に形成され、折り曲げ可能とされている。再帰反射部6の一方の板面6aに、再帰反射面7が設けられている。再帰反射面7は、第一反射光L2の少なくとも一部を再帰反射光L3として光分岐面5に向けて再帰反射させる。
【0034】
再帰反射面7は、光分岐面5に対向している。再帰反射部6の一方の端部6xは、光分岐部4においてディスプレイ部3とは反対側の端部、すなわち端部4yに接続されている。そして、再帰反射部6は、一方の端部6xから他方の端部6yに向かうに従って、光分岐部4におけるディスプレイ部3側の端部、すなわち端部4xとの離間距離が増大した後、減少するように湾曲している。
【0035】
再帰反射面7は、公知の再帰反射構造で構成されている。公知の再帰反射構造としては、例えば、三角プリズムが板面6aに沿って互いに隣接するように複数形成されているものや、半円レンズが板面6aに沿って互いに隣接するように複数形成されているもの等が挙げられる。このような再帰反射面7では、第一反射光L2の一部が表面反射光L4として表面反射される。再帰反射部6は、上述の再帰反射構造が少なくとも板面6aに設けられている再帰反射シート等である。
【0036】
上述の構成を有する再帰反射部6は、所謂凹面ミラーとして機能し得る。表面反射光L4は、再帰反射部6の焦点F6を通過する。焦点F6を通過した後の表面反射光L4と、再帰反射部6の端部6xで表面反射された表面反射光L4は、縮小像Mを形成する。言い換えれば、表面反射光L4(すなわち、直接反射光)の縮小像M、あるいはディスプレイ部3の光分岐部4に対する鏡像の縮小像を形成するように、かつ、ディスプレイ部3の端部3yと光分岐部4の端部4yとを結ぶ線に対して光分岐部4とは反対側に縮小像Mを形成するように、再帰反射部6の配置等が設計されている。
【0037】
第一遮光部8は、板状に形成され、光分岐部4の光分岐面5側に配置されている。すなわち、第一遮光部8は、光分岐部4に対して、ディスプレイ部3及び再帰反射部6と同じ側に配置されている。第一遮光部8の板面8a,8bは、光分岐面5に対して垂直に配置されている。
【0038】
第一遮光部8の一方の端部8xは、ディスプレイ部3の光分岐部4側とは反対側の端部、すなわち端部3yと光分岐部4の再帰反射部6側の端部、すなわち端部4yとを結ぶ仮想線(第一仮想線)PL1上に配置されている。
第一遮光部8の他方の端部8yの位置は、特に限定されないが、第一遮光部8の大きさを最低限に抑える点から、再帰反射部6の端部6yの近傍であることが好ましい。
言い換えると、第一遮光部8は、ディスプレイ部3の直接反射光L4の縮小像M、あるいはディスプレイ部3に対する鏡像の縮小像からの光を全て遮る位置に配されている。
【0039】
第一遮光部8は、第一出射光L1や表面反射光L4を遮ることができるものであれば特に限定されないが、例えば黒色の紙、プラスチック、金属板、ラシャ紙、吸光シート、キーボード、ディスプレイ、フレーム部材等である。また、再帰反射シートの再帰反射面とは反対側の面が遮光性を有していれば、遮光性を有する面が再帰反射部6の板面6aに対向するように再帰反射シートを配置し、この再帰反射シートを第一遮光部8として代用してもよい。
【0040】
第一実施形態の表示装置1Aでは、ディスプレイ部3に配置された複数の光源2のそれぞれから出射された第一出射光L1の少なくとも一部は、光分岐部4の光分岐面5によって第一反射光L2として表面反射される。第一反射光L2は、再帰反射部6に入射し、再帰反射部6によって入射方向と同じ方向に再帰反射光L3として再帰反射される。再帰反射光L3は、光分岐部4の光分岐面5に入射すると共に、光分岐部4を透過し、光分岐面5に対して、光源2、すなわちディスプレイ部3と対称な位置に空中像Iを形成する。
【0041】
以上説明した第一実施形態の表示装置1Aによれば、ユーザは、光分岐部4に対してディスプレイ部3や再帰反射部6とは反対側の空間に、従来の表示装置では像が観察できなかった領域も含めて明るい空中像Iを観察することができる。また、
図1を参照するとわかるように、空中像Iの観察位置に照射される表面反射光L4が第一遮光部8によって遮光され、ユーザが空中像Iを見た際に、表面反射光L4の縮小像M、あるいはディスプレイ部3の光分岐部4に対する鏡像の縮小像が第一遮光部8によって遮られる。そのため、偽像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0042】
なお、
図2に示すように、再帰反射部6の必要範囲は、
図2に示すように、再帰反射部6の端部6xを光分岐部4の端部4yの近傍に配置し、再帰反射部6の端部6yを、光分岐部4のディスプレイ部3側の端部4xと焦点F6とを結ぶ仮想線PL4と再帰反射部6との交点に配置した場合の範囲である。
【0043】
(第二実施形態)
次いで、本発明に係る第二実施形態の表示装置1Bについて説明する。なお、
図3に示す第二実施形態の表示装置1Bの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、表示装置1Bは、表示装置1Aと同様の構成要素を備え、再帰反射光L3の観察位置、すなわち空中像Iの形成位置に直接照射される直接照射光L5を遮る第二遮光部10をさらに備えている。
【0045】
表示装置1Bにおいて、光分岐部4の光分岐面5は、直接照射光L5の少なくとも一部を透過させる。
再帰反射部6は、一方の端部6xから他方の端部6yに向かうに従って、光分岐部4におけるディスプレイ部3側の端部、すなわち端部4xとの離間距離が増大せずに、減少するように湾曲している。再帰反射部6の端部6xは、光分岐部4の端部4yとは離間している。
【0046】
第一遮光部8は、ディスプレイ部3の再帰反射部6側とは反対側に配置されている。また、第一遮光部8は、光分岐部4の光分岐面5から光分岐面5に垂直な方向に沿って、ディスプレイ部3に近づくように突出している。すなわち、第一遮光部8の端部8xは、光分岐面5のディスプレイ部3側に配置されている。第一遮光部8の端部8yは、ディスプレイ部3の光分岐部4側かつ、再帰反射部6とは反対側の端部3xの近傍に配置されている。
【0047】
第二遮光部10は、板状に形成され、光分岐部4のディスプレイ部3(光源)とは反対側、すなわち光分岐面5とは反対側において直接照射光L5が透過する領域に設けられている。また、第二遮光部10は、光分岐部4に対して、ディスプレイ部3及び再帰反射部6とは反対側に配置されている。
【0048】
第二遮光部10の一方の端部10xは、再帰反射部6の端部6x付近で表面反射され、かつ光分岐面5を透過し得る表面反射光L4のうち光分岐部4の最も端部4y寄りの表面反射光L4と光分岐部4の他方の板面4bとの交差位置近傍に配置されている。
第二遮光部10の他方の端部10yの位置は、特に限定されないが、第二遮光部10の大きさを最低限に抑える点から、第一遮光部8の端部8x近傍の光分岐部4の板面4a(すなわち、光分岐面5)上に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、表面反射光L4の局在化を図ることもできる。
【0049】
第二遮光部10は、直接照射光L5に加えて、表面反射光L4の縮小像M、あるいはディスプレイ部3に対する鏡像の縮小像からの光も遮る位置に配され、第一遮光部8の補助的な役割も担っている。
【0050】
第二遮光部10は、直接照射光L5や表面反射光L4を遮ることができるものであれば特に限定されないが、第一遮光部8と同様に、例えば黒色の紙、プラスチック、金属板、ラシャ紙、吸光シート、キーボード、ディスプレイ、フレーム部材等である。また、再帰反射シートの再帰反射面とは反対側の面が遮光性を有していれば、
図3に示す第二遮光部10の位置にこの再帰反射シートを配置してもよい。
【0051】
以上説明した第二実施形態の表示装置1Bによれば、第一実施形態の表示装置1Aと同様の作用効果が得られる。また、第二実施形態の表示装置1Bによれば、空中像Iの観察位置に照射される直接照射光L5が第二遮光部10によって遮光され、ユーザが空中像Iを見た際に、ディスプレイ部3の直接像(図示略)が第二遮光部10によって遮られる。そのため、偽像に加えてディスプレイ部3の直接像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0052】
(第三実施形態)
次いで、本発明に係る第三実施形態の表示装置1Cについて説明する。なお、
図4に示す第三実施形態の表示装置1Cの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図4に示すように、表示装置1Cは、表示装置1Aと同様の構成要素を備えている。
但し、再帰反射部6は、湾曲せずに、光分岐面5に垂直な方向に沿って直線状に配置されている。再帰反射面7は、光分岐面5の方に向いている。
【0054】
また、第一遮光部8の光分岐部4側の端部8xは、再帰反射部6の光分岐部4側の端部6xから光源2、すなわちディスプレイ部3に向って、光分岐面5に平行な方向に延ばした仮想線(第二仮想線)PL2上に配置されている。
表示装置1Cにおいては、前述のように再帰反射面7が光分岐面5に対して垂直に配置されているので、表面反射光L4は、再帰反射面7から第一遮光部8に向けて拡散される。第一遮光部8は、再帰反射面7から第一遮光部8に向けて拡散する表面反射光L4のうち、少なくとも空中像Iの形成位置に至るものを遮るように配置されている。第一遮光部8の端部8yの位置は、特に限定されないが、少なくとも空中像Iの形成位置に至る表面反射光L4を遮ることができる範囲を考慮して、適宜設定されている。
すなわち、再帰反射部6と第一遮光部8とは、対向している。
【0055】
第三実施形態の表示装置1Cによれば、ユーザは、光分岐部4に対してディスプレイ部3や再帰反射部6とは反対側の空間に、従来の表示装置では像が観察できなかった領域も含めて明るい空中像Iを観察することができる。また、
図4を参照するとわかるように、表面反射光L4が第一遮光部8によって遮光される。そのため、表面反射光L4そのものや偽像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0056】
図5に示す表示装置1Dは、表示装置1Cの第一変形例である。
表示装置1Dにおいては、第一遮光部8の端部8xの位置が、表示装置1Cにおける第一遮光部8の端部8xの位置よりも光分岐面5から離間する方向に移動している。
また、表示装置1Dにおいては、第二実施形態の表示装置1Bと同様に、第二遮光部10が設けられている。第二遮光部10は、光分岐部4の光分岐面5とは反対側において直接照射光L5が透過する領域、かつ、表面反射光L4が透過し得る光分岐部4の領域に、配置されている。
【0057】
第三実施形態の第一変更例である表示装置1Dによれば、第三実施形態の表示装置1Cと同様の作用効果が得られる。また、表示装置1Dによれば、空中像Iの観察位置に照射される直接照射光L5が第二遮光部10によって遮光され、ユーザが空中像Iを見た際に、ディスプレイ部3の直接像(図示略)が第二遮光部10によって遮られる。そのため、偽像に加えてディスプレイ部3の直接像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0058】
図6に示す表示装置1Eは、表示装置1Cの第二変形例である。
表示装置1Eにおいては、再帰反射部6は、光分岐部4から離間するに従って光分岐面5に垂直な方向に対してディスプレイ部3側とは反対側に一定の比率で離間するように配置されている。すなわち、再帰反射部6は、光分岐面5に垂直な方向に対してディスプレイ部3側とは反対側に傾斜するように配置されている。
【0059】
また、表示装置1Eにおいて、第一遮光部8の端部8xは、再帰反射部6の端部6xからディスプレイ部3に向って再帰反射面7に垂直な方向に沿って延ばした仮想線(第三仮想線)PL3上に配置されている。
表示装置1Eにおいては、前述のように、再帰反射部6が光分岐面5に垂直な方向に対してディスプレイ部3側とは反対側に傾斜しているので、例えば表示装置1C,1Dに比べて、表面反射光L4は、再帰反射面7から第一遮光部8に向けてより広い角度で拡散される。
【0060】
第三実施形態の第二変更例である表示装置1Eによれば、第三実施形態の表示装置1Cと同様の作用効果が得られる。また、表示装置1Eによれば、表面反射光L4が再帰反射面7から第一遮光部8に向けて広い角度で拡散されるので、空中像Iの観察位置に向って照射される表面反射光L4を減らし、第一遮光部8の大きさを抑えることができる。
【0061】
図7に示す表示装置1Fは、表示装置1Cの第三変形例であり、表示装置1Eのさらなる変形例である。
図7に示すように、再帰反射部6は、前述の再帰反射シート等からなり、板状に形成された再帰反射部6A,6B,6C,…,が複数連結されることによって構成されていてもよい。複数の再帰反射部6A,6B,6C,…,のそれぞれの板面をなぞった軌跡が、例えば
図1に示す表示装置1A,1Bのように、光分岐部4側から光分岐面5に垂直な方向に離間するに従って、光分岐部4の端部4xとの離間距離が増大または減少するように湾曲している。
【0062】
表示装置1Fにおいては、第一遮光部8の端部8xは、最も光分岐部4の近くに配置された再帰反射部6Aの端部6xからディスプレイ部3に向って再帰反射面7に垂直な方向に沿って延ばした仮想線(第三仮想線)PL3上に配置されている。
表示装置1Fにおいては、前述のように、再帰反射部6が光分岐面5に垂直な方向に対してディスプレイ部3側とは反対側に傾斜しているので、例えば表示装置1C,1Dに比べて、表面反射光L4は、再帰反射面7から第一遮光部8に向けてより広い角度で拡散される。さらに、再帰反射部6A,6B,6C,…,のうち隣り合う再帰反射部同士の角度を調整することで、再帰反射部6の全体としての表面反射光L4の拡散角度が自在に変更可能となっている。
【0063】
第三実施形態の第三変更例である表示装置1Fによれば、第三実施形態の表示装置1Cと同様の作用効果が得られる。また、表示装置1Fによれば、表面反射光L4が再帰反射面7から第一遮光部8に向けて所望の角度で拡散されるので、空中像Iの観察位置に向って照射される表面反射光L4の量を自在に調整し、第一遮光部8の大きさを抑えることもできる。
【0064】
なお、
図6に示す表示装置1Eおよび
図7に示す表示装置1Fにおいて、
図5に示す表示装置1Dと同様に、第二遮光部10を設けてもよい。第二遮光部10を設けることで、ディスプレイ部3の直接像(図示略)を遮り、ユーザに対して直接像を見えないようにすることができる。
【0065】
(第四実施形態)
次いで、本発明に係る第四実施形態の表示装置1Gについて説明する。なお、
図8に示す第四実施形態の表示装置1Gの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図7に示すように、表示装置1Gは、表示装置1Aと同様の構成要素を備え、再帰反射光L3の少なくとも一部をさらに再帰反射して再帰反射部6に戻す再帰反射部(第二再帰反射部)12をさらに備えている。
【0067】
第四実施形態の表示装置1Gでは、再帰反射部12は、板状に形成され、少なくとも一方の板面12aに再帰反射面13を有している。再帰反射部12は、ディスプレイ部3において光分岐部4側とは反対側の端部3yと、光分岐部4においてディスプレイ部3と接続されている端部4xとは反対側の端部4yと、に跨るように、配置されている。再帰反射部12の端部12xは、光分岐部4の端部4yの近傍に配置されている。
一方、再帰反射部12の端部12yは、ディスプレイ部3の端部3yの近傍に配置されている。すなわち、ディスプレイ部3、光分岐部4および再帰反射部12のそれぞれの板面は、略三角形の三辺をなしている。
【0068】
再帰反射部12としては、再帰反射部6と同様に公知の再帰反射シート、あるいは再帰反射構造や該再帰反射構造を有するものが挙げられるが、特に限定されない。
【0069】
第四実施形態の表示装置1Gでは、再帰反射面7から光分岐面5に平行な方向に沿ってディスプレイ部3側(すなわち、光源側)に突出する突出部14が再帰反射面7に沿って所定の間隔をあけて複数配置されている。複数の突出部14の基端部の再帰反射面7上での間隔は、再帰反射面13からの再帰反射部6の突出寸法より小とすることが好ましい。
すなわち、それぞれの再帰反射部6は、隣り合う再帰反射部6同士の距離以上の重なりを有するように配置されていることが好ましい。
【0070】
突出部14の光分岐部4側の表面14aに、再帰反射部6が設けられている。再帰反射部6の再帰反射面7は、光分岐部4の光分岐面5側に向いている。
突出部14の光分岐部4側とは反対側の表面14bに、第一遮光部8が設けられている。
【0071】
なお、突出部14は省略可能であって、再帰反射部6と第一遮光部8の少なくとも一方が板面を
図8に示すように保持できる程度に好適な強度を有している等の条件が満たされれば、再帰反射部6と第一遮光部8とが直接貼り合されていてもよい。
【0072】
第四実施形態の表示装置1Gでは、第一実施形態の表示装置1A等と同様に、第一反射光L2は、再帰反射部6に入射し、再帰反射面7によって入射方向と同じ方向に再帰反射光L3として再帰反射される。再帰反射光L3は、光分岐面5に対して、ディスプレイ部3と対称な位置に空中像Iを形成する。
その一方で、第四実施形態の表示装置1Gでは、再帰反射部6の再帰反射面7で表面反射された表面反射光L4が再帰反射部12に入射する。表面反射光L4の一部は、再帰反射部12の再帰反射面13によってさらなる再帰反射光L6として、再び再帰反射部6に戻り、結果として空中像Iの形成に寄与する。表面反射光L4の残部は、再帰反射面13によってさらなる表面反射光L7として、表面反射され、第一遮光部8によって遮られる。
【0073】
以上説明した第四実施形態の表示装置1Gによれば、第一実施形態の表示装置1A等と同様に、ユーザは、光分岐部4に対してディスプレイ部3や再帰反射部6とは反対側の空間に、従来の表示装置では像が観察できなかった領域も含めて明るい空中像Iを観察することができる。また、空中像Iの観察位置に照射される表面反射光L4が第一遮光部8によって遮光されるので、表面反射光L4や偽像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0074】
(第五実施形態)
次いで、本発明に係る第四実施形態の表示装置1Hについて説明する。なお、
図9に示す第五実施形態の表示装置1Hの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、表示装置1Hは、表示装置1Aと同様の構成要素を備えている。
表示装置1Hにおいては、再帰反射部6は、光分岐面5に沿って所定の間隔をあけて複数配置されている。再帰反射部6の光分岐部側の端部6xは、光分岐面5上に配置されている。一方、再帰反射部6の光分岐部側とは反対側の端部6yは、光分岐面5に垂直な方向においてディスプレイ部3の光分岐部4側の端部3xと略同じ位置に配されている。また、再帰反射部6の端部6yは、光分岐面5に平行な方向において、それぞれの再帰反射部6の端部6xよりディスプレイ部3側に配置されている。すなわち、複数の再帰反射部6は、光分岐面5上の端部6xからディスプレイ部3側に傾斜するように、また再帰反射面7を光分岐面5に向けるようにして、配置されている。
【0076】
第一遮光部8は、再帰反射部6の他方の板面6b、すなわち再帰反射面7とは反対側の板面に設けられている。
また、表示装置1Hでは、光分岐面5に平行な方向において、光分岐部4の最も端部4x側に配置された再帰反射部6からの表面反射光L4を遮ることが可能な位置に、第二遮光部10が配置されている。また、第二遮光部10は、光分岐面5に当接するように設けられている。
【0077】
第五実施形態の表示装置1Hでは、第一実施形態の表示装置1A等と同様に、第一反射光L2は、再帰反射部6に入射し、再帰反射面7によって入射方向と同じ方向に再帰反射光L3として再帰反射される。再帰反射光L3は、光分岐面5に対して、ディスプレイ部3と対称な位置に空中像Iを形成する。一方、光分岐部4の最も端部4x側に配置された再帰反射部6以外の再帰反射部6の再帰反射面7で表面反射された表面反射光L4が、その再帰反射面7に対向する第一遮光部8によって遮られる。
【0078】
以上説明した第五実施形態の表示装置1Hによれば、第四実施形態の表示装置1Gと同様の作用効果が得られる。また、第五実施形態の表示装置1Hによれば、第二遮光部10を設けることで、ディスプレイ部3の直接像(図示略)を遮り、ユーザに対して直接像を見えないようにすることができる。
【0079】
図10に示す表示装置1Jは、表示装置1Hの変形例である。
図10に示すように、再帰反射部6は、再帰反射面7を光分岐面5に向けるように傾斜していれば、光分岐面5からディスプレイ部3側に離間していても構わない。また、再帰反射部6の傾斜角度を調整することで、空中像Iの観察位置に向って照射される再帰反射光L3および表面反射光L4のそれぞれの進行方向や量を調整し、空中像Iの大きさや形成位置を変更可能となる。
上述の表示装置1Jによれば、第五実施形態の表示装置1Hと同様の作用効果が得られる。
【0080】
(第六実施形態)
次いで、本発明に係る第六実施形態の表示装置1Kについて説明する。なお、
図11に示す第六実施形態の表示装置1Kの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
図11に示すように、第六実施形態の表示装置1Kは、光源2を備えたディスプレイ部3と、光分岐部4と、再帰反射部(第一再帰反射部)6と、結像部20と、を備えている。
【0082】
光分岐部4は、ディスプレイ部3の光源2から出射された第一出射光L1の出射方向を示す第一出射軸J1上に配置され、第一出射光L1の少なくとも一部を第一透過光として透過する。光分岐部4の一方の板面4aには、光分岐面16が設けられている。光分岐面16は、光源2から発せられた第一出射光L1の一部を第一透過光L12として透過すると共に、再帰反射部6によって再帰反射された再帰反射光L13の少なくとも一部を表面反射させる。
【0083】
光分岐面16は、ディスプレイ部3の端部3xから端部3yに向かうに従ってディスプレイ部3の板面3aとの離間距離が小さくなるように、配置されている。光分岐面16に垂直な方向において、光分岐部4の端部4xから端部4yに向かうに従ってディスプレイ部3との離間距離も小さくなる。すなわち、光分岐面16は、ディスプレイ部3の板面3aに対して、所定の角度で傾斜するように配置されている。
【0084】
再帰反射部6の再帰反射面7は、光分岐部4を透過した第一透過光L12の少なくとも一部を再帰反射光L13として再帰反射させる。再帰反射部6は、光分岐部4を挟んで第一出射軸J1上に配置されている。再帰反射面7は、ディスプレイ部3の板面3a側に向いている。すなわち、再帰反射部6は、ディスプレイ部3に対向している。
【0085】
結像部20は、板状に形成され、光分岐部4の再帰反射部6側に光分岐部4の板面4aに沿って配置されている。結像部20は、再帰反射光L13を表面反射かつ結像させる。
結像部20は、例えば直交ミラーアレイ(crossed mirror array:CMA)、エアリアルイメージング(aerial imaging:AI)プレート、2面コーナーリフレクターアレイ(dihedral corner reflector array:DCRA)、透明キューブアレイや直交する2層の矩形ミラーアレイ(double-layered arrays of rectangular mirrors : WARM)等である。
【0086】
第六実施形態の表示装置1Kでは、第一出射光L1は、結像部20及び光分岐部4を透過し、第一透過光L12として再帰反射部6に入射する。第一透過光L12は、再帰反射面7によって、入射方向と同じ光路を該入射方向とは反対の方向に向かって、再帰反射光L13として再帰反射される。再帰反射光L13の一部は、光分岐面16によって表面反射され、表面反射光L14として空中像Iを形成する。光分岐部4を透過した再帰反射光L13は、結像部20によって表面反射光L18として表面反射されると共に結像し、空中像Iを形成する。空中像Iの形成位置は、光分岐部4の板面4aの方向を中心として光源2の位置と対称な位置となる。
【0087】
以上説明した第六実施形態の表示装置1Kによれば、ユーザは、光分岐部4の板面4aと中心(すなわち、基軸)としてディスプレイ部3とは反対側の空間に、明るい空中像Iを観察することができる。また、再帰反射部6の再帰反射面7による表面反射光(図示略)は拡散され、基本的に縮小像が形成されないので、偽像等がユーザに観察されるのを回避することができる。
【0088】
(第七実施形態)
次いで、本発明に係る第七実施形態の表示装置1Mについて説明する。なお、
図12に示す第七実施形態の表示装置1Mの構成要素において、
図1等に示す第一実施形態の表示装置1Aの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図11に示すように、第七実施形態の表示装置1Mは、光源2を備えたディスプレイ部3と、光分岐部4と、再帰反射部(第一再帰反射部)6と、結像部22と、を備えている。
【0090】
光分岐部4は、ディスプレイ部3の光源2から出射された第一出射光L1の第一出射軸J1上に配置され、第一出射光L1の少なくとも一部を第一反射光L2として表面反射させる。光分岐部4の一方の板面4aには、光分岐面16が設けられている。光分岐面16は、第一出射光L1の一部を第一反射光L2として表面反射させると共に、再帰反射部6によって再帰反射された再帰反射光L3を透過する。
【0091】
光分岐面16は、ディスプレイ部3の板面3aに対向している。光分岐面16は、ディスプレイ部3の端部3xから端部3yに向かうに従ってディスプレイ部3の板面3aとの離間距離が小さくなるように、配置されている。光分岐面16に垂直な方向において、光分岐部4の端部4xから端部4yに向かうに従ってディスプレイ部3との離間距離も小さくなる。すなわち、光分岐面16は、ディスプレイ部3の板面3aに対して、所定の角度で傾斜するように配置されている。
【0092】
再帰反射部6の再帰反射面7は、光分岐面16によって表面反射された第一反射光L2の少なくとも一部を再帰反射光L3として再帰反射させる。再帰反射部6は、第一反射光L2の進行方向を示す第二出射軸J2上に配置されている。再帰反射面7は、光分岐部4の光分岐面16に向いている。また、第二出射軸J2に平行な方向(すなわち、再帰反射面7に垂直な方向)において、光分岐面16は、光分岐部4の端部4xから端部4yに向かうに従って光分岐部4の板面4aとの離間距離が大きくなるように、配置されている。再帰反射面7は、ディスプレイ部3の板面3aに対して光分岐部4の反射を介して対向するように配置されている。
【0093】
結像部20は、板状に形成され、光分岐部4の再帰反射部6側に光分岐部4の板面4aに沿って配置されている。結像部20は、再帰反射光L3を透過し、かつ第一出射光を結像する。
結像部20は、例えば直交ミラーアレイ(crossed mirror array : CMA)、エアリアルイメージング(AI)プレート,2面コーナーリフレクターアレイ(dihedral corner reflector array : DCRA),透明キューブアレイや直交する2層の矩形ミラーアレイ(double-layered arrays of rectangular mirrors : WARM)等である。
【0094】
第七実施形態の表示装置1Mでは、第一出射光L1は、光分岐面16によって表面反射され、第一反射光L2として再帰反射部6に入射する。第一反射光L2は、再帰反射面7によって、入射方向と同じ光路を該入射方向とは反対の方向に向かって、再帰反射光L3として再帰反射される。再帰反射光L3の一部は、光分岐部4及び結像部22を透過し、空中像Iを形成する。一方で、光分岐部4を透過した第一出射光L1は、結像部20によって表面反射光L20として表面反射されると共に結像し、空中像Iを形成する。空中像Iの形成位置は、光分岐部4の板面4aの方向を中心として光源2の位置と対称な位置となる。
【0095】
以上説明した第七実施形態の表示装置1Mによれば、第六実施形態の表示装置1Kと同様に、ユーザは、光分岐部4の板面4aと中心(すなわち、基軸)としてディスプレイ部3とは反対側の空間に、明るい空中像Iを観察することができる。また、再帰反射部6の再帰反射面7による表面反射光(図示略)は拡散され、基本的に縮小像が形成されないので、偽像等がユーザに観察されるのを回避することができる。
【0096】
上述の各実施形態の表示装置によれば、明るい空中像Iを形成し、かつ偽像等の観察を防止することで、ユーザの注意を空中像Iのみに誘導することができる。また、光源2を備えたディスプレイ部3をユーザが直接見ることがないため、超高輝度の光源2を使用することができる。
【0097】
また、本発明を適用した表示方法は、光源2から第一出射光L1を出射させ、第一出射軸J1上の位置において第一出射光L1の少なくとも一部を光分岐部4によって第一反射光L2として再帰反射部6に向けて反射させるステップと、第二出射軸J2上の位置において第一反射光L2の少なくとも一部を再帰反射部6によって再帰反射光L3として光分岐部4に向けて再帰反射させるステップと、光反射部4で再帰反射光L3の少なくとも一部を透過させるステップと、再帰反射部6によって再帰反射光L3の観察位置に反射される表面反射光L4を第一遮光部8によって遮るステップと、を備えている。
【0098】
本発明を適用した表示方法は、光源2から再帰反射光L3の観察位置に直接照射される直接照射光L3を第二遮光部10によって遮るステップをさらに備えていてもよく、表面反射光L4を第一遮光部8によって遮るステップを備えずに、直接照射光L3を第二遮光部10によって遮るステップを備えていてもよい。
【0099】
上述の表示方法によれば、偽像や表面反射光L4がユーザに殆ど観察されないようにすることができる。
【0100】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0101】
例えば、
図13に示すように、本発明に表示装置は、波長フィルム30を備えていてもよい。
図13に示す表示装置1Nは、ディスプレイ部3(光源2)と、光分岐部4と、再帰反射部6と、第一遮光部8と、第二遮光部10と、を備えている。なお、表示装置1Nの構成要素のうち、第一実施形態の表示装置1Aや第二実施形態の表示装置1Bと共通する構成要素には、これらの表示装置と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
再帰反射部6は既に説明したように板状に形成され、折り曲げ可能とされているが、表示装置1Nでは平面状に形成されている。再帰反射面7は、光分岐部4の光分岐面5に対向している。また、再帰反射部6は、一方の端部6xと光分岐部4の端部4yとの離間距離よりも他方の端部6yと光分岐部4の端部4xとの離間距離が大きくなるように、光分岐部4に対して、所定の角度で傾斜している。
【0103】
光分岐面5に垂直な方向において、第一遮光部8の一方の端部8xは、ディスプレイ部3の端部3xと端部3yとの間にある。同方向において、第一遮光部8の他方の端部8yは、ディスプレイ部3の端部3yより光分岐部4から離れている。第一遮光部8は、波長フィルム30からの表面反射光を全て遮る位置に配されている。
【0104】
第二遮光部10は、光分岐部4と面一に配されている。第二遮光部10の一方の端部10xは、再帰反射部6の端部6xの近傍に配されている。第二遮光部10の他方の端部10yは、光分岐部4の端部4yに接続されている。
【0105】
波長フィルム30は、光分岐面5に沿う方向において再帰反射部6と第一遮光部8との間に配され、光分岐部4の端部4yの近傍から光分岐面5から遠ざかる方向に沿って延び、再帰反射部6側に凸となるように湾曲している。波長フィルム30は、板状に形成され、折り曲げ可能、且つ透明な1/4波長板である。
【0106】
上述の表示装置1Nでは、再帰反射光L3の偏光は、波長フィルム30を透過することで変化する。波長フィルム30を通過後の再帰反射光L3の偏光面は光分岐面5で反射後に比べて90度回転しているため,光分岐部4の光分岐面5に入射すると共に、光分岐部4を透過し、光分岐面5に対して、光源2、すなわちディスプレイ部3と対称な位置に空中像Iを形成する。一方、光分岐面5に沿う方向において第一遮光部8と波長フィルム30との間の空間で、波長フィルム30からの表面反射光L8による像Gができる。
【0107】
以上説明した表示装置1Nによれば、第一実施形態の表示装置1Aと同様に、従来の表示装置では像が観察できなかった領域も含めて明るい空中像Iを観察することができる。また、
図13に示すように、表面反射光L4が第一遮光部8及び第二遮光部10によって遮光され、ユーザが空中像Iを見た際に、表面反射光L8による像Gや、ディスプレイ部3の光分岐部4に対する鏡像の縮小像が第一遮光部8及び第二遮光部10によって遮られる。そのため、偽像がユーザに観察されるのを防止することができる。
【0108】
また、
図3に示す第二実施形態の表示装置1Bの変形例として、
図14に示す表示装置1Rが挙げられる。なお、表示装置1Rの構成要素のうち、第二実施形態の表示装置1Bと共通する構成要素には、これらの表示装置と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
表示装置1Rにおいて、第二遮光部10は、光分岐部4のディスプレイ部3(光源)と同じ側、すなわち光分岐面5に当接するように設けられている。つまり、第二遮光部10は、光分岐部4に対して、ディスプレイ部3及び再帰反射部6と同じ側に配置されている。
【0110】
第二遮光部10の一方の端部10xは、第二実施形態の表示装置1Bの構成と同様に、表面反射光L4のうち光分岐部4の最も端部4y寄りの表面反射光L4と光分岐部4の他方の板面4bとの交差位置近傍に配置されている。第二遮光部10の他方の端部10yの位置は、特に限定されないが、第二遮光部10の大きさを最低限に抑える点から、第二遮光部10の端部10yは第一遮光部8の一方の端部8xに接続されている。
【0111】
さらに、表示装置1Rは、波長フィルム30を備えていてもよい。本構成では、波長フィルム30は、再帰反射部6の再帰反射面7に当接するように配置されている。
【0112】
表示装置1Rによれば、第二実施形態の表示装置1Bと同様の作用効果が得られる。また、表示装置1Rによれば、空中像Iの観察位置に照射される直接照射光L5が第二遮光部10によって遮光され、ユーザが空中像Iを見た際に、ディスプレイ部3の直接像(図示略)が第二遮光部10によって遮られる。そのため、偽像に加えてディスプレイ部3の直接像がユーザに観察されるのを防止することができる。また、波長フィルム30が設けられていることで、再帰反射光L3に位相差を付与し、空中像Iを形成することができる。
【0113】
また、
図7に示す第四実施形態の表示装置1Gの変形例として、
図15に示す表示装置1Pが挙げられる。表示装置1Pは、表示装置1Gの構成要素のうち、再帰反射部6、第一遮光部8、第二遮光部10、及び突出部14以外の構成要素を備え、表面反射抑制部40をさらに備えている。なお、表示装置1Pの構成要素のうち、表示装置1Gと共通する構成要素には、これらの表示装置と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0114】
表面反射抑制部40は、ディスプレイ部3と再帰反射部6と光分岐部4とに囲まれた空間を充填するように配置されている。
図15に示す構成では、表面反射抑制部40は側面視で逆三角形となるように形成されている。表面反射抑制部40の端面40aはディスプレイ部3の板面3aに当接し、表面反射抑制部40の端面40bは再帰反射部6の再帰反射面7に当接し、表面反射部40の端面40cは光分岐部4の光分岐面5に当接している。表面反射抑制部40の屈折率は、再帰反射部6の屈折率と同一である。
【0115】
表示装置1Pでは、第一実施形態の表示装置1A等と同様に、第一反射光L2は、再帰反射部6に入射し、再帰反射面7によって入射方向と同じ方向に再帰反射光L3として再帰反射される。再帰反射光L3は、光分岐面5に対して、ディスプレイ部3と対称な位置に空中像Iを形成する。また、表示装置1Pでは、再帰反射部6と表面反射抑制部40との間に屈折率差がないので、再帰反射部6での表面反射光を抑制することができる。このことによって、第一遮光部8、第二遮光部10を設けずに済み、第四実施形態の表示装置1G等より表示装置1Pの構成を簡素にすることもできる。
【0116】
表面反射抑制部40は、端面40a,40c等での表面反射光を抑制する観点では前述のようにディスプレイ部3と再帰反射部6と光分岐部4とに囲まれた空間を充填するように配置されることが好ましいが、端面40bが再帰反射面7と当接していれば
図16に示すように縮小されてもよい。
図16に示す表示装置1Qでは、表面反射抑制部40の端面40aはディスプレイ部3の板面3aとは離間し、表面反射抑制部40の端面40bは光分岐部4の光分岐面5とは離間している。表面装置1Aでは、第一反射光L2は、表面反射抑制部40の端面40a,40bで屈折して再帰反射面7に向かって進行すると共に、端面40a,40bの各々で表面反射され、表面反射光L9となる。表面反射抑制部40の端面40a,40bは表面反射光L9が空中像Iを形成する再帰反射光L3の進行方向とは異なる方向に進行させるように配置されている。表示装置1Qによれば、表示装置1Pと同様の効果が得られると共に、表面反射抑制部40の小型化によって表示装置1Qの製造コストを抑えることができる。
【0117】
前述の表示装置1P及び表示装置1Qでは、
図17及び
図18に示すように、再帰反射部6の再帰反射面7と表示反射抑制部40の端面40bとの間に、波長フィルム30が設けられていてもよい。このような
図17及び
図18に示す表示装置1R,1Sよれば、表示装置1Nについて説明したように、再帰反射光L3に位相差を付与し、空中像Iを形成することができる。
【0118】
本発明に係る表示装置の別の変形例として、
図19に示す表示装置1Tが挙げられる。なお、表示装置1Tの構成要素のうち、第一実施形態の表示装置1Aと共通する構成要素には、これらの表示装置と同一の符号を付し、その説明を省略する。
表示装置1Tでは、ディスプレイ部3が側面視で光分岐部4の下方にあり、不図示の空中像が上面視でディスプレイ部3と同じ位置、且つ側面視で光分岐部4の上方に形成される。
また、表示装置1Tは、
図20に示すように、波長フィルム30を備えた表示装置1Uとしてもよい。本構成では、波長フィルム30は、再帰反射部6の再帰反射面7に当接するように配置されている。表示装置1Uでは、
図14に示す表示装置1R等と同様の作用効果が得られる。本構成をはじめとする表示装置では、再帰反射部6を装置の上下方向や左右方向に曲げて凹面ミラーのように機能させてもよい。
【実施例】
【0119】
次いで、本発明に係る各実施形態の表示装置の効果を裏付けるために行った実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0120】
(実施例1)
図1に示す表示装置1Aを構成するために、光源2として、可視光を発するLEDを使用した。また、ディスプレイ部3の板面3aに光源2を複数並べた特殊ディスプレイを用意した。光分岐部4には、ハーフミラーを使用した。再帰反射部6には、単位構造の大きさが約180μmであり、透明プラスチックから構成された再帰反射シート(製品名: J701、製造元:リフレクサイト株式会社)を用いた。第一遮光部8としては、黒色のポリプロピレン板を用いた。
【0121】
構築した表示装置1Aにおいて、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図21に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iが観察されることを確認した。また、表面反射光および縮小像等による成分は見られなかった。
【0122】
(比較例1)
第一遮光部8を設けないこと以外は実施例1と同様に、
図1に示す表示装置(表示装置1Aにおいて第一遮光部8を省略したもの)を構成した。
本比較例の表示装置において、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図22に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iと共に、表面反射成分が観察されることを確認した。
【0123】
以上説明した実施例及び比較例からもわかるように、本発明を適用した表示装置によれば、良好な空中像Iが得られると共に、表面反射光や縮小像、偽像が観察されるのを防止することができる。これにより、空中像Iへのユーザの視認度の向上が図られる。
【0124】
(実施例2)
次いで、
図4に示す表示装置1Cを構成した。光源2を備えたディスプレイ部3には、スマートフォン(型番:XPERIA SO-01G、製造元:SONY)を用いた。再帰反射部6には、再帰反射シート(製品名:ニッカライトCRG、製造元:日本カーバイド工業株式会社)を用いた。光分岐部4には、市販のアクリル板を用い、第一遮光部8には、ポリプロピレンからなる黒色のプラスチックダンボールを用いた。
【0125】
構築した表示装置1Cにおいて、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図23に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iが観察されることを確認した。また、表面反射光および縮小像等による成分は見られなかった。
【0126】
(比較例2)
第一遮光部8を設けないこと以外は実施例2と同様に、
図4に示す表示装置(表示装置1Cにおいて第一遮光部8を省略したもの)を構成した。
本比較例の表示装置において、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図24に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iと共に、表面反射成分が観察されることを確認した。
【0127】
(実施例3)
次いで、
図12に示す表示装置1Mを構成した(
図25参照)。光源2を備えたディスプレイ部3、再帰反射部6、光分岐部4のそれぞれには、実施例2と同様のスマートフォン、再帰反射シート、アクリル板をそれぞれ用いた。結像部22には、開口サイズが縦4mm×横4mm×高さ4mmのCMAを用いた。
【0128】
構築した表示装置1Mにおいて、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図26に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iが観察されることを確認した。また、表面反射光および縮小像等による成分は見られなかった。なお、本実施例では、CMAによって生じる散乱光が見られるが、CMAに照射される第一光L1の指向性を制限することによって、前述の散乱光は解消される。このように散乱光を解消する方法としては、例えばディスプレイ部3の板面3aにルーバーフィルムを設ける方法等が挙げられる。
【0129】
(比較例3)
結像部22を設けないこと以外は実施例3と同様に、
図12に示す表示装置(表示装置1Mにおいて結像部22を省略したもの)を構成した。
本比較例の表示装置において、ディスプレイ部3で「AIRR」の文字を表示すると、
図27に示すように、「AIRR」の文字の空中像Iと共に、表面反射成分が観察されることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明を適用した表示装置によれば、明るい空中像Iを形成すると共に、表面反射光や縮小像、偽像がユーザに観察されるのを防止し、上述のようにユーザの注意を空中像Iのみに誘導することができる。そのため、本発明を適用した表示装置があらゆる映像技術や撮像技術への応用が可能になることは勿論、特に空中像Iのみへの誘導が重視される映像技術や自動車・各種車両等のディスプレイにも非常に有用である。特に、自動車の操作パネル等に本発明を適用した表示装置を応用した場合には、誤操作の発生を未然に防ぐ効果が期待される。
【符号の説明】
【0131】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1M,1N,1R,1P,1Q,1R,1S,1T,1U…表示装置
2…光源
4…光分岐部
6…再帰反射部(第一再帰反射部)
8…第一遮光部
10…第二遮光部
L1…第一出射光
L2…第一反射光
L3…再帰反射光
L4…表面反射光