(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】深絞り包装容器用金型、深絞り包装容器、深絞り包装製品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 51/36 20060101AFI20221116BHJP
B65B 47/10 20060101ALI20221116BHJP
B65D 1/34 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B29C51/36
B65B47/10
B65D1/34
(21)【出願番号】P 2019003815
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391047503
【氏名又は名称】白十字株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 美栄晴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 隼人
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255976(JP,A)
【文献】特開2009-255336(JP,A)
【文献】特開2007-008479(JP,A)
【文献】特開平11-291333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/30,51/36
B65B 47/10
B65D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容対象物品を収容した状態の容器本体がトップフィルムで閉塞された深絞り包装製品を製造する際に前記容器本体を成形するための深絞り包装容器用金型において、
前記深絞り包装製品の製造過程における前記容器本体の進行方向の前側に対応する前壁部と、前記進行方向の後側に対応する後壁部と、吸引孔が設けられた底部とを有し、上方へ開放された箱状の金型本体と、
前記金型本体内に固定され
、前記吸引孔に連通する連通吸引孔を有する金属皿
とを備え、
前記前壁部および前記後壁部のうちの少なくとも一方は、下部が内側へ突出した金型段差部を有し、
前記金型段差部は、前記金属皿の縁部によって構成され
ている
ことを特徴とす
る深絞り包装容器用金型。
【請求項2】
請求項1記載の深絞り包装容器用金型を用いて成形された容器本体を備える
ことを特徴とする深絞り包装容器。
【請求項3】
請求項1記載の深絞り包装容器用金型を用いて成形された容器本体と、
前記容器本体内に収容された収容対象物品と、
前記容器本体を閉鎖したトップフィルムと
を具備することを特徴とする深絞り包装製品。
【請求項4】
請求項1記載の包装容器用金型を使用して、深絞り包装製品を製造する深絞り包装製品の製造方法であって、
前記包装容器用金型を用いて深絞り包装容器の容器本体を成形する成形工程と、
前記容器本体内に収容対象物品を収容する収容工程と、
前記容器本体をトップフィルムで閉鎖する閉鎖工程と
を備えることを特徴とする深絞り包装製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の包装容器用金型を使用して、深絞り包装製品を製造する深絞り包装製品の製造方法であって、
前記包装容器用金型を用いて深絞り包装容器の容器本体を成形する成形工程と、
前記容器本体内に複数枚の収容対象物品を積層状態に収容する収容工程と、
前記容器本体をトップフィルムで閉鎖する閉鎖工程とを備え、
前記収容工程において、前記複数枚の収容対象物品のうちの一部は、前記容器本体の容器段差部に沿って折り曲げるようにして前記容器本体内の下部側に収容する
ことを特徴とする深絞り包装製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容対象物品を収容した状態の容器本体の開口部がトップフィルムで閉塞された深絞り包装製品を製造する際に前記容器本体を成形するための深絞り包装容器用金型、この深絞り包装容器用金型で成形された容器本体を備える深絞り包装容器、深絞り包装製品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の深絞り包装容器を樹脂フィルムから製造する方法は、数多く知られているが、一般的には、深絞り包装容器用金型を用いて製造されることが多い。
【0003】
このような深絞り包装容器用金型を用いる場合には、深絞り包装容器の容器本体の製造から、その容器本体に収容対象物品を収容し、容器本体の開口部をトップフィルムで密閉して閉塞した状態まで連続的に作業が進行する連続包装工程にて深絞り包装製品が製造されることが多い。
【0004】
すなわち、
図10に示すように連続包装工程では、まず、樹脂製のボトムフィルム1が加熱真空成形部2に導入される。
【0005】
この加熱真空成形部2では、ボトムフィルム1が加熱によって柔らかくなった状態で真空引きによって深絞り包装容器用金型3の内部形状に追従するように密着させて、ボトムフィルム1が深絞り包装容器用金型3の形状に成形される。
【0006】
その後、ボトムフィルム1が冷却されて固化することで、上方へ開放された箱状の容器本体4が構成される。
【0007】
この容器本体4に収容対象物品であるガーゼ5を収容した後、その容器本体4とトップフィルム6とがヒートシール成形部7に導入される。
【0008】
なお、トップフィルム6は、例えば複数種の樹脂シートが積層された複合フィルムであるか、または、紙の表面に樹脂がコーティングされたフィルムであり、接着面側の樹脂またはコーティングされた樹脂が加熱されることにより粘着力が生じて圧着される。
【0009】
そして、容器本体4の上側面に設けられたフランジとトップフィルム6とがヒートシール成形部7にて熱圧着されることで、ガーゼ5が容器本体14内に収容された状態で容器本体14の開口部がトップフィルム6で密閉されて閉塞される。
【0010】
その後、カット機8によって熱圧着部分が切断され、個別の深絞り包装製品9が完成する。
【0011】
ここで、深絞り包装製品は、収容対象物品として形状や大きさが異なる複数種の物品が想定されるが、収容対象物品の形状や大きさに合わせてそれぞれ専用の成形金型を用意すると、多くの成形金型が必要になり、特に比較的コストの高い成形金型であれば効率的ではない。
【0012】
そこで、例えば特許文献1には、成形金型の内部に、収容対象物品の大きさや数に応じて区画された入れ子の金型を設置する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般的に、深絞り包装容器に収容対象物品を収容する場合には、容器本体と収容対象物品との間に多少のクリアランスが生じることが多い。
【0015】
また、収容対象物品としては平織りされたガーゼ等が想定されるが、このガーゼは、平織りされたガーゼ本体同士が、ガーゼ経糸によって連なって形成され、ガーゼ本体同士の中間部分でガーゼ経糸を切断されることで、1枚ずつの個別のガーゼとなる。すなわち、ガーゼは、ガーゼ本体の一方向の両端部にガーゼ経糸を有する構成となる。
【0016】
このようなガーゼを深絞り包装容器内に収容すると、ガーゼ経糸側においても容器本体の内壁との間に多少の空間が生じる。
【0017】
ガーゼ経糸側に空間が生じると、連続包装工程において、容器本体とトップフィルムとを接着する際に一時停止した反動やその衝撃で、ガーゼ本体が容器本体内で移動する。
【0018】
そして、ガーゼ本体の移動に伴って、ガーゼ経糸が容器本体からはみ出すように容器本体のフランジ上に配置されてしまい、容器本体とトップフィルムとの間にガーゼ経糸を挟みこんだ状態で接着される可能性がある。
【0019】
このように容器本体とトップフィルムとの間にガーゼ経糸等の収容対象物品の一部を挟みこんだ状態で接着されると、接着不良等の不具合の要因となる。
【0020】
また、特許文献1等のように容器本体内で製品を収容できるスペースが区画されただけでは、連続包装工程中のガーゼ本体の移動が考慮されている訳ではないため、容器本体とトップフィルムとの間に収容対象物品の一部が挟みこまれることを効果的に防止できない。
【0021】
したがって、深絞り包装製品の製造に際して、例えば連続包装工程にて接着不良等の不具合が生じることなく、適切に収容対象物品を包装できる技術が求められていた。
【0022】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、収容対象物品を適切に包装するための容器本体を成形できる深絞り包装容器用金型、収容対象物品を適切に包装できる深絞り包装容器、深絞り包装製品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に記載された深絞り包装容器用金型は、収容対象物品を収容した状態の容器本体がトップフィルムで閉塞された深絞り包装製品を製造する際に前記容器本体を成形するための深絞り包装容器用金型において、前記深絞り包装製品の製造過程における前記容器本体の進行方向の前側に対応する前壁部と、前記進行方向の後側に対応する後壁部と、吸引孔が設けられた底部とを有し、上方へ開放された箱状の金型本体と、前記金型本体内に固定され、前記吸引孔に連通する連通吸引孔を有する金属皿とを備え、前記前壁部および前記後壁部のうちの少なくとも一方は、下部が内側へ突出した金型段差部を有し、前記金型段差部は、前記金属皿の縁部によって構成されているものである。
【0024】
請求項2に記載された深絞り包装容器は、請求項1記載の深絞り包装容器用金型を用いて成形された容器本体を備えるものである。
【0025】
請求項3に記載された深絞り包装製品は、請求項1記載の深絞り包装容器用金型を用いて成形された容器本体と、前記容器本体内に収容された収容対象物品と、前記容器本体を閉鎖したトップフィルムとを具備するものである。
【0026】
請求項4に記載された深絞り包装製品の製造方法は、請求項1記載の包装容器用金型を使用して、深絞り包装製品を製造する深絞り包装製品の製造方法であって、前記包装容器用金型を用いて深絞り包装容器の容器本体を成形する成形工程と、前記容器本体内に収容対象物品を収容する収容工程と、前記容器本体をトップフィルムで閉鎖する閉鎖工程とを備えるものである。
【0027】
請求項5に記載された深絞り包装製品の製造方法は、請求項1記載の包装容器用金型を使用して、深絞り包装製品を製造する深絞り包装製品の製造方法であって、前記包装容器用金型を用いて深絞り包装容器の容器本体を成形する成形工程と、前記容器本体内に複数枚の収容対象物品を積層状態に収容する収容工程と、前記容器本体をトップフィルムで閉鎖する閉鎖工程とを備え、前記収容工程において、前記複数枚の収容対象物品のうちの一部は、前記容器本体の容器段差部に沿って折り曲げるようにして前記容器本体内の下部側に収容するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、深絞り包装容器用金型は、金型段差部を有するため、収容対象物品を適切に包装するための容器本体を成形できる。
【0029】
また、深絞り包装容器は、容器段差部を有するため、収容対象物品を適切に包装できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る深絞り包装容器を用いた深絞り包装製品の構成を示す平面図である。
【
図3】同上深絞り包装製品を製造する際に用いられる深絞り包装容器用金型の構成を示す平面図である。
【
図4】同上深絞り包装容器用金型を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る深絞り包装容器用金型の構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る深絞り包装容器用金型の構成を示す平面図である。
【
図7】同上第3の実施の形態に係る深絞り包装容器用金型で成形された深絞り包装容器の製品状態を示す平面図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態に係る深絞り包装容器用金型の構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第5の実施の形態に係る深絞り包装容器用金型の構成を示す断面図である。
【
図10】深絞り包装容器製品の連続包装工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について
図1ないし
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図1および
図2において、11は深絞り包装製品であり、この深絞り包装製品11は、例えば従来と同様に
図10に示すような連続包装工程にて移動しながら連続的に製造され、深絞り包装容器12内に収容対象物品としてのガーゼ13が収容された状態で密閉されている。
【0033】
深絞り包装容器12は、上方へ向けて開放されガーゼ13を収容可能な略矩形箱状の容器本体14と、この容器本体14上に接着されるトップフィルム15とを備えている。すなわち、内部にガーゼ13が積層状態で収容された状態の容器本体14の開口部16が、トップフィルム15で密閉して閉塞されることで、深絞り包装製品11が構成される。
【0034】
容器本体14は、連続包装工程中の進行方向の前側に対応した前側部21と、進行方向の後側に対応した後側部22と、進行方向の側方に対応した側方部23と、底部24とを有し、前側部21、後側部22および側方部23の上端部には外側へ突出したフランジ部25が一体に形成されている。
【0035】
また、容器本体14の前側部21の内側面には、上側に対して下側が内側へ向けて突出した段差状の容器段差部26が設けられている。すなわち、前側部21には、下部が内側へ突出した容器段差部26が設けられている。
【0036】
容器本体14内には、底部24から容器段差部26に対応する高さまでは後側部22、容器段差部26および側方部23の内側にガーゼ本体27が配置されるようにガーゼ13が積層され、容器段差部26より上側ではそのままガーゼ本体27同士が平面視で重なるようにガーゼ13が積層される。
【0037】
また、容器本体14内において、容器段差部26に対応する高さまでに配置されたガーゼ13のガーゼ経糸28は、容器段差部26に沿って折り曲げられたような状態となり、そのガーゼ経糸28によってガーゼ本体27と容器段差部26との間のスペースが埋められる。
【0038】
そして、容器本体14内にガーゼ13が収容された状態にて、フランジ部25にトップフィルム15が接着されて密封される。
【0039】
このような深絞り包装製品11を製造する際には、例えば従来同様に
図10で示すような連続包装工程で製造される。
【0040】
ここで、連続包装工程における深絞り包装容器12の成形工程では、
図3および
図4に示す深絞り包装容器用金型31が用いられる。
【0041】
この深絞り包装容器用金型31は、上方へ開放された略矩形箱状の金型本体32を備えている。すなわち、金型本体32は、連続包装工程で製造される深絞り包装容器12の進行方向の前側に対応する前壁部33と、進行方向の後側に対応する後壁部34と、進行方向に対して側方に位置する横壁部35と、底面を構成し複数の吸引孔37が設けられた底部36とを有している。
【0042】
前壁部33には、矩形棒状の金属片38によって構成された金型段差部39が設けられている。
【0043】
金属片38は、底部36における複数の吸引孔37のうちもっとも前壁部33側に位置する吸引孔37を閉塞するように配置され、例えば磁石や両面テープ等の図示しない固定手段で前壁部33に固定されている。
【0044】
金型段差部39は、前壁部33と、この前壁部33に固定された金属片38とによって、上側(前壁部33)に対して下側(金属片38)が内側へ突出した段差状に構成されている。すなわち、前壁部33に、下部が内側へ突出した金型段差部39が設けられている。
【0045】
また、金型段差部39は、例えば、内側へ突出した部分である金属片38の高さ寸法Aが、金型本体32の深さ寸法すなわち後壁部34の高さ寸法Bの1/3(A/B=1/3)となるように構成されている。
【0046】
さらに、金型段差部39は、内側へ突出した部分である金属片38の幅寸法、すなわち、前壁部33からの突出長さCが例えば10mmとなるように構成されている。
【0047】
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
【0048】
深絞り包装容器用金型31を用いて深絞り包装容器12を成形する際には、加熱真空成形によって加熱されて柔らかくなった状態の樹脂製のボトムフィルムが、吸引孔37を介した真空引きによって、金型本体32の内部形状に追従するように金型本体32に密着する。
【0049】
ボトムフィルムが金型本体32内に密着した状態で冷却することで、金型本体32の内部形状に対応した形状でボトムフィルムが固化する。すなわち、上方へ開放された箱状で、前壁部33に容器段差部26が設けられた容器本体14が成形される。
【0050】
このように成形された容器本体14が連続包装工程中に所定方向に進行している状態で、その容器本体14内に例えば手作業でガーゼ13を収容する。
【0051】
ガーゼ13を収容した後の容器本体14およびトップフィルム15がヒートシール成形に導入され、一旦停止した状態で、容器本体14のフランジ部25にトップフィルム15が熱圧着されて密封される。
【0052】
また、容器本体14にトップフィルム15が接着されて密封された段階では、複数の深絞り包装製品11同士が熱圧着部分で接続された状態であるため、その熱圧着部分を切断することで、個別の深絞り包装製品11となる。
【0053】
そして、上記深絞り包装容器12によれば、容器本体14の内側面のうちの一面である前側部21に容器段差部26が設けられているため、ガーゼ本体27と容器本体14の前壁部21との間にスペースが生じにくく、また、連続包装工程において容器段差部26が進行方向のいずれかに配置されることで、フランジ部25にトップフィルム15を接着するために容器本体4の進行を一旦停止しても、その停止による反動や衝撃によって容器本体14内でガーゼ本体27が移動しにくい。なお、容器本体14における容器段差部26より上側では、積層されたガーゼ13同士の摩擦抵抗があるため、容器段差部26に対応した高さのガーゼ13と同様に容器本体14内で移動しにくく、製造工程中で容器本体14内におけるガーゼ本体27の移動を効果的に防止できる。したがって、連続包装工程中にガーゼ経糸28が容器本体14外へ露出しにくく、容器本体14とトップフィルム15との接着不良の発生を効果的に防止でき、ガーゼ13を適切に包装できる。
【0054】
また、例えば容器段差部26が設けられていない構成にて、容器本体14の開口面積をガーゼ本体27の面積に対応させるべくできるだけ小さく設定して容器本体14内でガーゼ13の移動を防止する場合には、ガーゼ13を容器本体14内に収容する作業が困難化する。それに対して、下側が突出した容器段差部26が設けられた構成では、容器段差部26が設けられた底部24側の開口面積は狭いが、容器段差部26より上側の開口面積を広く確保できるので、容器本体14内にガーゼ13を物理的に収容しやすいだけでなく、例えば手作業で収容する際の心理的な安心感にもつながり、収容作業の効率を向上できる。
【0055】
上記深絞り包装容器用金型31によれば、金型本体32が金型段差部39を有するため、ガーゼ13を適切に包装するために容器段差部26を有する容器本体14を容易に製造できる。
【0056】
また、金型本体32とは別体の金属片38によって金型段差部39が構成されることにより、従来の凹型の金型に金属片38を固定するだけで、できるだけ費用や手間をかけずに金型段差部39を構成できる。
【0057】
金属片38が磁石や両面テープ等の取外可能な固定手段で容器本体14に固定されることにより、必要に応じて金属片38を取り外したり交換したりできるので、利便性が良好である。
【0058】
また、金型本体32とは別体の金属片38にて金型段差部39を構成する場合には、金型本体32の底面において最も前壁部33側に位置する吸引孔37を金属片38によって閉塞することで、容器本体14を成形する際の真空引きによってボトムフィルムが容器本体14と金属片38との隙間に引き込まれることを防止できる。
【0059】
なお、上記第1の実施の形態では、収容対象物品を平織りされたガーゼとしたが、深絞り包装容器12への収容対象物品は、ガーゼ13に限定されず、例えば不織布製品等でもよく、トップフィルム15を接着する際にその一部が挟み込まれてしまう可能性があるものでれば適用可能である。
【0060】
金型本体32の前壁部33に金型段差部39が設けられ、容器本体14の前側部21に容器段差部26が設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、金型段差部39および容器段差部26は、連続包装工程における進行方向の前側および進行方向の後側の少なくとも一方に設けられた構成であればよい。
【0061】
また、金型段差部39は、容器本体14とは別体の金属片38によって形成された構成には限定されず、上側に対して下側が内側へ突出している構成であれば、適宜形成できる。
【0062】
すなわち、例えば
図5に示す第2の実施の形態のように、金型段差部41が金型本体32の内側面に一体に形成された構成等にしてもよい。
【0063】
例えば上記第1の実施の形態では、金型本体32の底部36における吸引孔37と金属片38との位置関係を正確に設定しなければ、容器本体14を成形する際に金型本体32と金属片38との間にボトムフィルムが引き込まれる可能性がある。
【0064】
それに対して、金型段差部39が金型本体32と一体に形成された構成にすることで、容器本体14を成形する際に、ボトムフィルムが金型本体32の内部形状に追従しやすく作業の正確性を向上できる。
【0065】
さらに、例えば
図6に示す第3の実施の形態のように、前壁部33に沿って互いに離間して配置された複数の金型片42によって金型段差部43を構成してもよい。
【0066】
このように金属片42を離間して配置することで、成形された容器本体14では、例えば
図7に示すように、容器段差部44同士が離間しているため、容器本体14にガーゼ13を収容する作業者が容器段差部44を視認しやすく、作業性を向上できる。
【0067】
さらに、例えば
図8に示す第4の実施の形態のように、容器本体14に内装して固定された金属皿45によって金型段差部46を構成してもよい。
【0068】
金属皿45は、金型本体32に固定された状態において吸引孔37に連通する連通吸引孔47が設けられた底部48を有している。また、底部48における進行方向の前側の端部に縁部49が立設されている。
【0069】
そして、金属皿45は、金型本体32の底部36全体を覆うように設置されている。また、設置状態において、縁部49は上端部が略水平に形成されており、この縁部49によって金型段差部46が構成される。
【0070】
このように金型本体32の底部36全体を覆う金属皿45の縁部によって段差部49が構成されることで、容器本体4の成形工程において、金属皿45の連通吸引孔37によってボトムフィルムの吸引経路を規制できるため、より確実に容器本体14を成形できる。
【0071】
また、一般的に、容器本体14に収容するガーゼ13の枚数によって、深さが異なる複数種類の容器本体が用意され、例えば現存製品では深さが異なる5種類の容器本体が存在する。
【0072】
このように深さの異なる複数種類の容器本体を製造する際であっても、例えば金属皿45を用いた構成では、
図9に示すように、金型本体32の深さを比較的深く設計し、金型本体32の底部36と金属皿45との間に、孔51が設けられた複数の金属板52を設置して対応でき、金属板52の枚数や厚みを調整するだけで、効率的に所望の深さの容器本体を製造できる。
【符号の説明】
【0073】
11 深絞り包装製品
12 深絞り包装容器
13 収容対象物品としてのガーゼ
14 容器本体
15 トップフィルム
26 容器段差部
31 深絞り包装容器用金型
32 金型本体
33 前壁部
34 後壁部
36 底部
37 吸引孔
38 金属片
39 金型段差部
41 金型段差部
42 金属片
43 金型段差部
44 容器段差部
45 金属皿
46 金型段差部
47 連通吸引孔
48 底部
49 縁部