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  • 特許-液面レベル測定装置 図1
  • 特許-液面レベル測定装置 図2
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  • 特許-液面レベル測定装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】液面レベル測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20221116BHJP
【FI】
G01F23/263
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019022118
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128943
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】593137864
【氏名又は名称】株式会社タンジ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(72)【発明者】
【氏名】丹治 與宗治
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058255(JP,A)
【文献】特開2012-132866(JP,A)
【文献】特開平09-021677(JP,A)
【文献】実開昭54-079152(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0094852(KR,A)
【文献】特開2012-122909(JP,A)
【文献】特開昭61-142420(JP,A)
【文献】特開平02-071119(JP,A)
【文献】米国特許第04730489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/24-23/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する管状の第1絶縁体と、
前記第1絶縁体の外周に形成されたらせん状の凹部と、
前記凹部に入れられて第1絶縁体の外周にらせん状に巻きまわされ、第1絶縁体の形状変化に応じて形状が変化し、アース電位になった第1電極と、
前記第1絶縁体の内方に配置され、第1絶縁体の形状変化に応じて形状が変化し、前記第1電極と間隔を有して対になる第2電極と、
前記第2電極に所定電位を印加し、第2電極の電位から第1電極と第2電極の間にある液体の液面レベルに応じた信号を出力する測定回路と、
を備えた液面レベル測定装置。
【請求項2】
前記第1絶縁体および第1電極を一緒に覆う第2絶縁体と、
前記第2絶縁体に混入された導電体粉と、
を備えた請求項1の液面レベル測定装置。
【請求項3】
前記第1絶縁体および第2絶縁体を貫通する穴を備えた請求項2の液面レベル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量を用いて液体の液面レベルを測定する液面レベル測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量を用いた液面レベル測定装置が開発・開示されている。下記の特許文献1の液面レベル測定装置は、ステンレスまたはチタンなどで形成された一対の電極を備える。それらの電極は円筒形と棒状になっている。電極間の液面レベルによって静電容量が変化するため、測定される静電容量によって液面レベルを測定している。
【0003】
たとえば、図4に示すように、自動車の燃料タンク44には、数カ所で曲げられた燃料供給管46とガス抜き管48が繋げられている。燃料供給管46の中に溜まった燃料の液面レベルを測定しようとした場合、燃料供給管46の形状に合わせた電極が必要であるが、特許文献1はそのような曲がった管に対応した電極を有さない。当初から曲げられた電極を製造することが考えられるが、燃料供給管46の曲がり方によっては、電極を燃料供給管46の中に挿入することができない。また、自動車の種類によって燃料供給管46の形状が異なるため、車種ごとに曲げられた電極を製造していては不経済であるため、1つの液面レベル測定装置で種々の車種に対応できる必要がある。曲がった管は燃料供給管46に限定されず、たとえばブルドーザー等の油圧装置の作動油タンクに作動油を注ぐための注入管も曲がった管である。その注入管に入っている作動油の液面レベルを測定するのも燃料供給管46と同様に難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-038699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、種々の形状の容器または管に溜まった液体の液面レベルを測定できる液面レベル測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液面レベル測定装置は、柔軟性を有する管状の第1絶縁体と、前記第1絶縁体の外周にらせん状に巻きまわされ、または直線状になっており、第1絶縁体の形状変化に応じて形状が変化し、アース電位になった第1電極と、前記第1絶縁体の内方に配置され、第1絶縁体の形状変化に応じて形状が変化し、前記第1電極と間隔を有して対になる第2電極と、前記第2電極に所定電位を印加し、第2電極の電位から第1電極と第2電極の間にある液体の液面レベルを求める測定回路とを備える。
【0007】
第1絶縁体が変形すると、第1電極および第2電極も第1絶縁体に合わせて変形する。測定回路は第2電極に電流を流し、第2電極の電位から第1電極と第2電極の間にある液体の液面レベルを求める。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、第1絶縁体が変形することで第1電極と第2電極が変形される。曲がった容器または管に第1電極と第2電極を挿入することができ、その容器または管に溜まった液体の液面レベルを求めることができる。第1電極と第2電極が種々の形状に曲げられるため、種々の形状の容器または管に溜められた液体の液面レベルを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の液面レベル測定装置の外観を示す図である。
図2】本願のセンサー部の構造を示す断面図である。
図3】本願のヘッド部の構成を示す図である。
図4】自動車に使用される燃料供給管の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液面レベル測定装置について図面を使用して説明する。
【0011】
図1に示す本発明の液面レベル装置10は、液体の中に入れられるセンサー部12および測定回路が収納されたヘッド部14を備える。ヘッド部14を持ちながらセンサー部12を容器または管に入れる。たとえばセンサー部12は、図4に示した燃料供給管46などの曲がった管または容器に入れられる。
【0012】
図2に示すように、センサー部12は、管状の第1絶縁体16、第1絶縁体16の外周に配置された第1電極18、第1絶縁体16の内方に配置された第2電極20を備える。
【0013】
第1絶縁体16は管状になっており、その断面は円、楕円、四角形など限定されない。第1絶縁体16は柔軟性を有した絶縁体であり、第1絶縁体16を曲げて任意形状に変形させることができる。第1絶縁体16の材料としてゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの絶縁体が挙げられる。第1絶縁体16が任意形状の管に入ると、第1絶縁体16はその管の形状に合わせて曲がる。たとえば図4に示す自動車の燃料供給管46に第1絶縁体16を入れることができる。
【0014】
第1電極18は変形可能な線状または帯状の導体である。たとえば、第1電極18と第2電極20でコンデンサを形成できるのであれば、第1電極18の太さは限定されない。第1電極18の材料として銅、アルミニウム、金、銀などの金属が挙げられる。第1電極18は第1絶縁体16の外周に巻きまわされて、らせん状になっている。第1絶縁体16の外周にらせん状の凸部22を形成することで、凸部22の間がらせん状の凹部24になっている。第1絶縁体16が直線状になった状態で、凹部24のピッチは一定である。この凹部24に第1電極18が入れられている。
【0015】
第1絶縁体16は凹部24が形成されていることで、曲げやすくなっている。第1絶縁体16が曲がると、第1電極18も第1絶縁体16に合わせて曲がる。第1電極18はらせん状になっているため、第1電極18は曲がることができる。なお、特許文献1においては対応する電極は円筒状になっているため、曲がることは無かった。第1電極18が曲がる際、第1電極18が凹部24に入れられていることで、第1電極18が第1絶縁体16に合わせて曲がることができ、第1絶縁体16が元の状態(直線状)に戻った時、第1電極18も元の状態に戻ることができる。凹部24に合わせて第1電極18を巻きまわせばよく、製造しやすくなっている。
【0016】
凹部24の幅は第1電極18の断面よりも大きくし、第1電極18が凹部24の中に入れられた状態で第1電極18と凸部22の間に隙間ができるようにする。第1絶縁体16が曲がると第1電極18も曲がるが、凹部24の中で第1電極18が多少移動でき、第1電極18の曲げられた部分に生じるテンションが低く抑えられ、第1電極18の断線を防ぐことができる。
【0017】
第2電極20は第1絶縁体16の内部空間26に配置されている。第2電極20は線状または帯状の導体である。第1電極18と第2電極20は同一材料であってもよい。第1電極18と第2電極20が一対になっており、その2つの電極18、20でコンデンサを形成する。第2電極20は変形可能であり、第1絶縁体16が曲がると第2電極20は第1絶縁体16の内壁30に押されて曲がる。第1絶縁体16があることで第1電極18と第2電極20が接触せず、両電極18、20でコンデンサを形成し続けることができる。図2のように、線状または帯状になった複数の導体28をより合わせたり編んだりして第2電極20にしてもよい。複数の導体28をより合わせたり編んだりすることで第2電極20に復元力が備えられ、第2電極20が曲げられた後、元の状態に戻ることができる。
【0018】
センサー部12を燃料供給管46などの管に挿入すると、管の中に液体があれば、センサー部12(第1絶縁体16)の先端32から液体の中に入っていく。センサー部12、すなわち第1絶縁体16の先端32は開口しており、内部空間26の中に液体が入っていく。液体の液面レベルと同じ位置まで内部空間26の中に液体が入る。第1電極18と第2電極20でコンデンサを形成しているため、液体が入る量によって電極18、20の間の静電容量が変化するため、その静電容量を利用して液面レベルを求めることができる。
【0019】
第1絶縁体16と第2電極20の間にスペーサー(図示せず)を設けて、第1絶縁体16と第2電極20の間隔が常に一定になるようにしてもよい。
【0020】
第1電極18がアース電位であり、第2電極20に所定電位が印加される。各電極18、20の表面はフッ素樹脂などでコーティングし、各電極18、20が液体によって腐食しにくくしてもよい。
【0021】
センサー部12は、第1絶縁体16および第1電極18を一緒に覆う第2絶縁体34を備える。第2絶縁体34は第1絶縁体16と同様の柔軟性を有する絶縁体である。第2絶縁体34があることによって、第1電極18が燃料供給管46に直接接することは無く、第1電極18によって燃料供給管46を傷つけることは無い。
【0022】
第1絶縁体16と第2絶縁体34を貫通する穴(図示せず)を設けてもよい。穴があることで第1絶縁体16の内部空間26が第1絶縁体16および第2絶縁体34の外部と繋がり、第1絶縁体16の先端32から内部空間26に液体が入りやすくなる。穴の数は1つに限定されず、複数設けてもよい。穴の形状も丸、楕円、四角など種々の形状であってもよい。第1絶縁体16と第2絶縁体34の一部または全部を網目状にすることで、第1絶縁体16と第2絶縁体34に穴を形成してもよい。
【0023】
第2絶縁体34に導電体粉が混入されていてもよい。第2絶縁体34の表面が導電体粉を介して第1電極18に接続されることで、第2絶縁体34の表面がアース電位になる。そのため、第2絶縁体34と燃料供給管46がこすれて静電気を生じても、静電気はアースに流される。燃料タンク44と燃料供給管46には引火性液体の燃料が溜められるが、燃料供給管46内で静電気による発火が防止される。
【0024】
測定回路36は、第1電極18と第2電極20の間にある液面の液面レベルを測定する回路である(図3)。測定回路36はヘッド部14を構成する筐体38の中に収納されている。測定回路36の基準電位としてアース電位に接続するのであれば、そのアース電位に第1電極18を接続してもよい。
【0025】
測定回路36は、高周波発振をおこなって第2電極20に電圧を印加し、第2電極20の電位を測定する。電極18、20の間にある液体の液面レベルによって静電容量が異なり、その静電容量によって測定される電位が異なる。そのため、測定回路36は測定された第2電極20の電位に応じた信号を液面レベルとして出力する。たとえば測定回路36の具体例として、従来技術で説明した特許文献1の回路であってもよいが、第2電極20の電位が測定できれば特に限定されない。
【0026】
測定回路36が測定した第2電極20の電位はマイコン40などのコンピュータに入力してもよい。マイコン40は入力された電位に基づいて図1に示す複数の発光ダイオード42を点灯させる。液面レベルに応じて発光する発光ダイオード42の数を変更することで、液面レベルを操作者に示す。発光ダイオード42の代わりに液晶ディスプレイなどの表示装置を使用し、液面レベルを表示してもよい。
【0027】
以上のように、本願の液面レベル測定装置10は、第1電極18と第2電極20が曲がるため、それらの電極18、20を自動車の燃料供給管46や油圧装置の作動油タンクへ作動油を注ぐための注入管のような曲がった管または容器に挿入することができる。電極18、20は自由に曲げられるため、種々の形状の管または容器に電極18、20を挿入することができる。従来、計測できなかった管または容器に入れられた液体の液面レベルを測定することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本願は上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、第1絶縁体16が曲げられるのであれば、凸部22と凹部24は省略し、単なる筒にすることも可能である。第1電極18は第1絶縁体16の長軸に沿った直線状であってもよい。第1絶縁体16の外周に第1電極18が入る凹部を形成し、第1電極18の形状が維持されるようにしてもよい。また、第2電極20は複数の導体28をより合わせたりせず、1本の直線状の導体28をそのまま使用したり、らせん状にして使用することも可能である。
【0029】
検出する液体が引火性液体でなければ、上記のような第2絶縁体34を省略することも可能である。
【0030】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0031】
10:液面レベル測定装置
12:センサー部
14:ヘッド部
16:第1絶縁体
18:第1電極
20:第2電極
22:らせん状の凸部
24:らせん状の凹部
26:第1絶縁体の内部空間
28:導体
30:第1絶縁体の内壁
32:センサー部(第1絶縁体)の先端
34:第2絶縁体
36:測定回路
38:筐体
40:マイコン
42:発光ダイオード
図1
図2
図3
図4