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特許7177487表示内容管理装置及び表示内容管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】表示内容管理装置及び表示内容管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20221116BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B3/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019104389
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020196593
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井元 涼大郎
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 洋一
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-214293(JP,A)
【文献】特開2018-177513(JP,A)
【文献】特開2005-225634(JP,A)
【文献】国際公開第99/036341(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご内表示装置に表示させる表示内容を管理する表示内容管理装置において、
前記エレベーターの運行データ、前記エレベーターにおいて発生した故障の内容の情報を含む故障データ、及び、前記エレベーターの保守を行う作業員による作業予定に関する情報である作業予定データを含む前記エレベーターの収集データを解析し、前記解析の結果に基づいて、前記かご内表示装置で表するかご内にいる利用者に向けたメッセージの内容を推薦する表示推薦内容を決定する解析部と、
前記表示推薦内容を、前記エレベーターの管理を行うユーザーが操作する端末装置に送信する通信部と、を備える
表示内容管理装置。
【請求項2】
前記表示推薦内容を含むプッシュ通知を、前記通信部を介して前記端末装置に送信するプッシュ通知制御部をさらに備える、
請求項1に記載の表示内容管理装置。
【請求項3】
前記通信部から前記端末装置にプッシュ通知される内容には、前記表示推薦内容、及び、前記かご内表示装置の表示内容を前記表示推薦内容に変更することにより改善が見込まれる効果に関する記載を含む前記表示推薦内容の推薦理由が含まれる
請求項2に記載の表示内容管理装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記表示推薦内容に基づいて前記かご内表示装置での表示内容が変更される前及び後のそれぞれにおける前記収集データの解析を比較し、前記比較の結果に基づいて前記運行データの改善実績を示す改善実績報告を生成し、
前記通信部は、前記改善実績報告を前記端末装置に送信する
請求項3に記載の表示内容管理装置。
【請求項5】
前記表示推薦内容を見た前記ユーザーにより行われた、前記かご内表示装置に表示させる表示内容の編集及び確認操作、又は、確認操作に基づいて、前記かご内表示装置に表示させる表示内容の変更が確定した場合に、前記確定した内容に前記かご内表示装置の表示内容を変更させるコマンドを、前記通信部を介して前記エレベーターに送信するコマンド制御部をさらに備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の表示内容管理装置。
【請求項6】
エレベーターのかご内表示装置に表示させる表示内容を管理する表示内容管理装置と、前記エレベーターを管理するユーザーにより操作される端末装置と、を備える表示内容管理システムにおいて、
前記表示内容管理装置は、
前記エレベーターの運行データ、前記エレベーターにおいて発生した故障の内容の情報を含む故障データ、及び、前記エレベーターの保守を行う作業員による作業予定に関する情報である作業予定データを含む前記エレベーターの収集データを解析し、前記解析の結果に基づいて、前記かご内表示装置で表するかご内にいる利用者に向けたメッセージの内容を推薦する表示推薦内容を決定する解析部と、
前記表示推薦内容を、前記エレベーターの管理を行うユーザーが操作する端末装置に送信する通信部と、を備え
前記端末装置は、
前記表示推薦内容を表示部に表示させる制御と、前記表示部に表示された前記表示推薦内容に対する、前記ユーザーによる編集及び確認操作、又は、確認操作に基づいて、前記かご内表示装置の表示内容の変更を確定する制御と、を行う制御部を備える
表示内容管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示内容管理装置及び表示内容管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターのかご内には、エレベーターの現在位置等を表示するためのかご内表示装置が備えられている。かご内表示装置は、エレベーターの現在位置のみでなく、天気予報や最新ニュースなどの各種コンテンツを表示するための表示装置として使用されることも多い。かご内表示装置に表示される各種コンテンツには、エレベーターの利用者に向けたメッセージなども含まれる。エレベーターの利用者に向けたメッセージは、例えば、エレベーターの快適な利用や安全運行などを目的として生成される。
【0003】
具体的には、エレベーターの利用者に向けたメッセージとして、エレベーターの次回点検予定日を通知することにより、エレベーター利用者に、エレベーターがその期間利用できないことを周知すること等が行われる。また、例えば、駆け込み乗車の抑制を促すメッセージなどの、エレベーターの使用上の注意事項を表示することにより、エレベーター利用者に、マナー向上を促すこと等も行われる。
【0004】
一般的に、かご内表示装置に表示される各種コンテンツの内容は、エレベーターが稼働している建物の管理者(以下、エレベーター管理者とも称する)が変更することが可能である。具体的には、エレベーターの保守会社に対してエレベーター管理者が電話で連絡して、かご内表示装置における表示内容の変更を依頼したり、エレベーターの保守会社が公開しているウェブサイトを介して、エレベーター管理者が表示内容を変更したりすること等が行われる。
【0005】
例えば、特許文献1には、エレベーターの保守会社から送信されたエレベーターの点検予定日を表示する表示部と、この表示部に表示された点検予定日に対する同意の操作、及び、不同意の操作を行う操作部と、を備えたエレベーターの表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-217991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、かご内表示装置に表示する各種コンテンツの内容の変更及び変更の時期を、エレベーター管理者が任意に選択できる形態も多く採られている。この場合、エレベーター管理者が、かご内表示装置への表示内容が適切であるか否かの判断を行いにくかったり、表示内容を変更すべき時期を失念してしまったりする等の問題が発生する可能性がある。特に、多台数のエレベーターを管理しているビル管理会社等におけるエレベーター管理者は、かご内表示装置に表示するコンテンツの内容の変更管理を十分に行えなくなる場合も多い。エレベーター管理者が変更管理を十分に行えない理由として、かご内表示装置に表示するコンテンツの内容や変更時期などの検討にかかるエレベーター管理者の負担が大きいことが挙げられる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、かご内表示装置に表示されるコンテンツの内容や変更時期を検討することによりエレベーター管理者にかかる負担を、軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明の表示内容管理装置は、エレベーターのかご内表示装置に表示させる表示内容を管理する装置であり、解析部と、通信部とを備える。解析部は、エレベーターの運行データ、エレベーターにおいて発生した故障の内容の情報を含む故障データ、及び、エレベーターの保守を行う作業員による作業予定に関する情報である作業予定データを含むエレベーターの収集データを解析し、解析の結果に基づいて、かご内表示装置で表するかご内にいる利用者に向けたメッセージの内容を推薦する表示推薦内容を決定する。通信部は、表示推薦内容を、エレベーターの管理を行うユーザーが操作する端末装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、かご内表示装置に表示されるコンテンツの内容や変更時期を検討することによりエレベーター管理者にかかる負担を、軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る表示内容管理システムの主な機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示内容管理システムを構成する各装置を計算機Cで構成した場合のハードウェアのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る故障データ記憶部のデータ構造の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る運行データ記憶部のデータ構造の例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る判定値記憶部のデータ構造の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示内容データ記憶部のデータ構造の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示推薦内容の受信通知メッセージの表示例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示内容の変更に伴う改善実績報告の受信通知メッセージの表示例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係るかご内表示装置表示内容変更画面の例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係るかご内表示装置表示内容確定画面の例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る運行データの改善実績レポート表示画面の例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示内容管理システムによる表示内容管理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る表示内容管理システムについて、図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は下記の具体例に限定されない。
【0013】
[表示内容管理システムの構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る表示内容管理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の表示内容管理システム100の主な機能構成を示すブロック図である。
【0014】
表示内容管理システム100は、図1に示すように、エレベーター1、コントロールセンター装置2(表示内容管理装置の一例)、及び、ユーザーにより操作される端末装置3を備える。
【0015】
エレベーター1は、コントロールセンター装置2を管理するエレベーターの保守会社によって、顧客先に納品されたエレベーターである。コントロールセンター装置2は、エレベーターの保守会社によって管理される装置であり、図1に示すエレベーター1を始めとする、各顧客に納品された各エレベーターの保守を行う。本実施形態では、コントロールセンター装置2は、エレベーター1のかご内表示装置13の表示内容の管理(変更)も行う。端末装置3は、例えば、携帯電話端末やスマートフォン、PC(Personal Computer)等で構成される装置であり、エレベーター1の管理者であるユーザーにより操作される。コントロールセンター装置2とエレベーター1、及び、コントロールセンター装置2と端末装置3とは、例えば、公衆IPネットワーク網などの公共ネットワーク4によって接続されている。
【0016】
エレベーター1は、通信部11、制御部12及びかご内表示装置13等を備える。なお、図1では、説明を簡略化するため、エレベーター1のかご内表示装置13の表示内容変更に必要な構成部のみを示す。
【0017】
通信部11は、コントロールセンター装置2との間で行われる通信の制御を行う。例えば、通信部11は、コントロールセンター装置2にエレベーター1の運行データや故障データなどを送信したり、コントロールセンター装置2から送信される遠隔制御コマンド等の受信を行ったりする。
【0018】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、通信部11やかご内表示装置13等のエレベーター1を構成する各部の動作を制御する。
かご内表示装置13は、例えば、液晶パネル等で構成されるインジケーターであり、エレベーター1の乗りかご(図示略)内に設置される。かご内表示装置13には、階床の情報の他、エレベーターの次回点検予定日の通知や、エレベーター1の利用者向けのメッセージなどの各種コンテンツが表示される。
【0019】
コントロールセンター装置2は、通信部21、データ蓄積部22及び制御部23を備える。
通信部21は、公共ネットワーク4を介して接続されるエレベーター1、端末装置3との間で行われる通信の制御を行う。データ蓄積部22には、故障データ記憶部22a、運行データ記憶部22b、作業予定データ記憶部22c、顧客データテーブル22d、判定値記憶部22e及び表示内容データ記憶部22fが形成される。
【0020】
故障データ記憶部22aには、エレベーター1の故障データが蓄積される。運行データ記憶部22bには、エレベーター1の運行データが蓄積される。作業予定データ記憶部22cには、エレベーターの保守会社の作業員による作業予定に関するデータが格納される。顧客データテーブル22dには、エレベーターの納品先の顧客に関する情報が、エレベーターの識別情報(後述のエレベーター識別ID)と対応付けて格納される。判定値記憶部22eには、エレベーター1の各種異常の検知を行うための閾値としての判定値が格納される。表示内容データ記憶部22fには、エレベーター1のかご内表示装置13に表示させる表示内容のデータが格納される。
【0021】
制御部23は、プッシュ通知制御部23a、解析部23b及びコマンド制御部23cを備える。プッシュ通知制御部23aは、ユーザーが操作する端末装置3に対してプッシュ通知を行う。端末装置3に対して行われるプッシュ通知には、エレベーター1の管理者である顧客に対する、かご内表示装置13への表示推薦内容の通知メッセージや、表示内容の変更に伴う改善実績の報告メッセージなどがある。
【0022】
解析部23bは、通知対象抽出部23b1及び演算部23b2等を備える。演算部23b2は、データ蓄積部22に蓄積された各種データの解析を行う。通知対象抽出部23b1は、演算部23b2による解析結果に基づいて、データ蓄積部22の顧客データ記憶部22dから、プッシュ通知を行う対象となる顧客を抽出するとともに、該顧客に送信する表示推薦内容を決定する。
【0023】
コマンド制御部23cは、エレベーター1のかご内表示装置13に表示するコンテンツの内容を変更するためのコマンド(以下、単に「かご内表示装置13の表示内容変更コマンド」と称する)を生成する。
【0024】
端末装置3は、通信部31、制御部32及び入出力部33を備える。通信部31は、公共ネットワーク4を介して接続されるコントロールセンター装置2との間で行われる通信の制御を行う。制御部32は、例えばCPUで構成され、端末装置3の通信部31及び入出力部33の動作を制御する。例えば、制御部32は、コントロールセンター装置2から、かご内表示装置表示変更コマンドが送信された場合には、そのかご内表示装置表示変更コマンドに基づいて、かご内表示装置13に表示するコンテンツの表示内容を変更する。
【0025】
入出力部33は、ユーザーによる操作が入力される入力部(図示略)、及び液晶ディスプレイ等の表示部(図示略)を備える。端末装置3がスマートフォンや携帯電話端末などで構成される場合には、入力部は、タッチセンサやキー等により構成される。端末装置3がPC等で構成される場合には、入力部は、マウスやキーボード等で構成される。表示部は、液晶パネル等により構成される。
【0026】
入出力部33の出力部の画面には、コントロールセンター装置2からプッシュ通知された、かご内表示装置13への表示推薦内容に関する通知メッセージや、表示内容の変更に伴う改善実績の報告メッセージなどが表示される。
【0027】
ここで、図2を参照して、表示内容管理システム100を構成する各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、表示内容管理システム100を構成する各装置を計算機Cで構成した場合のハードウェアのブロック図である。
【0028】
計算機Cは、バスC4にそれぞれ接続されたCPUC1、ROM(Read Only Memory)C2及びRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、計算機Cは、バスC4にそれぞれ接続された表示部C5、操作部C6、不揮発性ストレージC7及びネットワークインタフェースC8を備える。
【0029】
CPU C1は、計算機Cが備える各種機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードが格納されたROM C2から所定のプログラムコードをRAM C3に読み出して実行する。この際、RAM C3には、CPU C1による演算処理の過程で発生した変数やパラメータなども一時的に書き込まれる。
【0030】
表示部C5は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置で構成され、計算機Cで行われた処理の結果等の情報を表示画面に表示して、ユーザーに報知する。操作部C6は、例えば、キーボード、マウス等の操作装置で構成され、ユーザーが計算機Cに対して所定の操作入力、指示を行うことができる。
【0031】
不揮発性ストレージC7は、例えば、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等の記憶装置で構成される。不揮発性ストレージC7には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機Cを機能させるための各種プログラムが記録される。
【0032】
ネットワークインタフェースC8は、例えば、NIC(Network Interface Card)等で構成される。計算機Cは、ネットワークインタフェースC8の端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを送受信することができる。
【0033】
本実施形態では、エレベーター1内の通信部11はネットワークインタフェースC8に含まれ、制御部12はCPU C1に含まれ、かご内表示装置13は表示部C5に含まれる。そして、CPU C1は、ROM C2に格納されている表に内容変更用のプログラムコードをRAM C3に読み出し、当該プログラムコードを実行することにより、エレベーター1内のかご内表示装置13の表示内容の変更制御を行う。
【0034】
また、コントロールセンター装置2中の通信部21はネットワークインタフェースC8に含まれ、制御部23はCPU C1に含まれ、データ蓄積部22はROM C2に含まれる。そして、CPU C1は、ROM C2に格納されている表に内容変更用のプログラムコードをRAM C3に読み出し、当該プログラムコードを実行することにより、エレベーター1内のかご内表示装置13の表示内容の通知及び変更の制御を行う。
【0035】
さらに、端末装置3内の通信部31は、ネットワークインタフェースC8に含まれ、制御部32はCPU C1に含まれ、入出力部33の入力部は操作部C6に含まれ、入出力部33の出力部は表示部C5に含まれる。そして、CPU C1は、ROM C2に格納されている表示内容変更用のプログラムコードをRAM C3に読み出し、当該プログラムコードを実行することにより、コントロールセンター装置2から送信されたプッシュ通知の内容や表示内容変更用の画面等を、表示部C5に表示する。
【0036】
[故障データ記憶部のデータ構造]
次に、本実施形態のコントロールセンター装置2のデータ蓄積部22内に格納される故障データ記憶部22aのデータ構造について、図3を参照して説明する。図3は、故障データ記憶部22aのデータ構造の例を示す図である。
【0037】
故障データ記憶部22aは、図3に示すように、「エレベーター識別ID」、「故障内容」及び「検出日時」のフィールドを有する。「エレベーター識別ID」フィールドには、各顧客先に納品された各エレベーターをそれぞれに識別する識別子としてのエレベーター識別IDが格納される。「故障内容」フィールドには、エレベーターから送信された故障データに記載された故障内容が格納される。「検出日時」フィールドには、エレベーターにおいて故障が検出された日時の情報が、YYYY/MM/DD hh/mm/ssのフォーマットで格納される。
【0038】
図3に示す例では、エレベーター識別IDが「12345678」であるエレベーターにおいて、2019年3月1日の10時にドア開閉異常が発生し、2019年3月11日の2時に安全装置が動作したことが、故障データ記憶部22aに記録されている。また、同じくエレベーター識別IDが「12345678」であるエレベーターにおいて、2019年3月12日の9時にドア開閉異常が発生し、2019年2月12日の22時15分にドア電源系統異常が発生したことが、故障データ記憶部22aに記録されている。さらに、エレベーター識別IDが「98765432」であるエレベーターにおいて、2019年3月8日の16時30分に安全装置が動作し、2019年3月20日の19時に電源系統異常が発生したことが、故障データ記憶部22aに記録されている。
【0039】
[運行データ記憶部のデータ構造]
次に、本実施形態のコントロールセンター装置2のデータ蓄積部22内に格納される運行データ記憶部22bについて、図4を参照して説明する。図4は、運行データ記憶部22bのデータ構造の例を示す図である。
【0040】
運行データ記憶部22bは、図4に示すように、「エレベーター識別ID」、「走行時間(hour)」、「階床別ドア開閉回数(1階)」及び「階床別ドア開閉回数(2階)」のフィールドを有する。「エレベーター識別ID」フィールドには、エレベーター識別IDが格納される。「走行時間(hour)」フィールドには、エレベーター識別IDにより識別されるエレベーターの走行時間が、時間(hour)単位で格納される。
【0041】
「階床別ドア開閉回数(1階)」フィールドには、エレベーター識別IDにより識別されるエレベーターが建物の1階に停止する際の、エレベーターの乗りかごのドア(又は乗り場のドア)(いずれも図示略)の開閉回数が格納される。「階床別ドア開閉回数(2階)」フィールドには、エレベーター識別IDにより識別されるエレベーターが2階に停止する際の、エレベーターの乗りかごのドア(又は乗り場のドア)の開閉回数が格納される。なお、図4には、「階床別ドア開閉回数」として1階及び2階における開閉回数が格納される例を示すが、本発明はこれに限定されない。「階床別ドア開閉回数」フィールドは、エレベーターが収容された建物の階床の数に応じて増減させることができる。
【0042】
図4に示す例では、エレベーター識別IDが「12345678」であるエレベーターの走行時間は「70時間」であり、1階におけるドアの開閉階数が「300回」であり、2階におけるドアの開閉階数が「20回」であることが、運行データ記憶部22bに記録されている。
【0043】
[判定値記憶部のデータ構造]
次に、本実施形態のコントロールセンター装置2のデータ蓄積部22の判定値記憶部22eのデータ構造について、図5を参照して説明する。図5は、判定値記憶部22eのデータ構造の例を示す図である。
【0044】
判定値記憶部22eは、図5に示すように、「判定項目」、「判定値(回)」、「判定周期(日)」、「定型文」及び「推薦内容」の各フィールドを有する。「判定項目」フィールドには、コントロールセンター装置2の解析部23b(図1参照)によって判定が行われる判定項目が格納される。「判定値(回)」フィールドには、解析部23bによる判定が行われる際に参照される判定値が格納される。「判定周期(日)」フィールドには、判定値として示される事象の発生回数の検出周期が格納される。
【0045】
「定型文」フィールドには、判定項目の内容が、判定値(複数の判定値の場合もある)から外れていた場合に、エレベーターのかご内表示装置13(図1参照)に対して推奨される表示の定型文が格納される。「推薦内容」フィールドには、定型文の変更を推薦する理由を示す文章が格納される。定型文への変更を推薦する理由には、例えば、かご内表示装置13の表示内容を定型文に変更することにより改善が見込まれる効果などが記載される。
【0046】
なお、図5に示す例では、「定型文」とともに「推薦内容」が判定値記憶部22eに格納される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、判定値記憶部22eとは別に、「推薦内容」のみが格納される記憶部を設けるようにしてもよい。
【0047】
図5に示す例では、判定項目「ドア開閉異常多発」の判定値(回)は「2」であり、判定周期(日)は「30」である。この場合、定型文としては「故障の原因となりますので、ドアの隙間にものを挟まないで下さい。」が記録されている。そして、この定型文を推薦する理由としての推薦内容は「いたずらによるエレベーターの停止を防止します。」が記録されている。また、判定項目「エレベーターの混雑多発」の判定値(回)は「3」であり、判定周期(日)は「7」である。この場合、定型文として「3階床以内の移動の際には、階段/エスカレーターのご利用にご協力下さい。」が記録されている。そして、推薦内容としては「近隣階の利用者へ別手段での移動を促し、混雑解消及び高階床利用者の満足度を向上させます。」が記録されている。
【0048】
さらに、判定項目「安全装置動作多発」の判定値(回)は「2」であり、判定周期(日)は「30」である。この場合、定型文として「故障の原因となりますので、運行中のエレベーターを揺らさないで下さい。」が記録されている。そして、推薦内容として「乗車マナーの向上を促し、エレベーターの停止を防止します。」が記録されている。
これらの定型文と推薦内容はすべて判定値記憶部22eに格納されるものであるが、これらの定型文と推薦内容はあくまでも一例であり、判定値記憶部22eに格納される定型文、推薦内容の内容は、図5に示す例に限定されない。
【0049】
[表示内容データ記憶部のデータ構造]
次に、本実施形態のコントロールセンター装置2のデータ蓄積部22内に格納される表示内容データ記憶部22fのデータ構造について、図6を参照して説明する。図6は、表示内容データ記憶部22fのデータ構造の例を示す図である。
【0050】
表示内容データ記憶部22fは、図6に示すように、「エレベーター識別ID」、「表示スケジュール(開始)」、「表示スケジュール(終了)」及び「定型文」の各フィールドを有する。「エレベーター識別ID」フィールドには、エレベーター識別IDが格納される。「表示スケジュール(開始)」フィールドには、エレベーターのかご内表示装置13におけるメッセージの表示を開始する予定日時が、YYYY/MM/DD hh/mm/ssのフォーマットで格納される。「表示スケジュール(終了)」フィールドには、エレベーターのかご内表示装置13におけるメッセージの表示を終了する予定日時が、YYYY/MM/DD hh/mm/ssのフォーマットで格納される。「定型文」フィールドには、エレベーターのかご内表示装置13に表示することが推奨される定型文が格納される。
【0051】
図6に示す例では、エレベーター識別IDが「12345678」であるエレベーターにおいて「故障の原因となりますので、ドアの隙間にものを挟まないで下さい。」というメッセージの表示の開始日時が、2019年4月15日の10時であり、終了日時が同年5月15日の10時であることが表示内容データ記憶部22fに記録されている。
【0052】
[プッシュ通知されたメッセージの表示例]
次に、コントロールセンター装置2からプッシュ通知されたメッセージを端末装置3が受信した場合の、端末装置3の入出力部33の画面における受信通知メッセージの表示例について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、表示推薦内容の受信通知メッセージN1の表示例を示し、図8は、表示内容の変更に伴う改善実績報告の受信通知メッセージN2の表示例を示す。
【0053】
図7に示す表示推薦内容受信通知メッセージN1の上部には、「通知元(XXXサービス)」と記載されている。この欄には、メッセージの通知元の保守会社の名称が記載される。この欄の下方には、「運行データに基づく、かご内表示装置への表示推薦内容を受信しました」のメッセージが表示されている。このメッセージの記載欄には、コントロールセンター装置2からプッシュ通知されたメッセージの概要が記載される。この欄の下方には、「対象ビル名:ABCビル」、「対象号機:2号機」の文字が表示されている。この欄には、表示推薦内容のメッセージが通知された対象のビル名、及び、対象のエレベーターの号機が記載される。
【0054】
端末装置3を操作するユーザーは、この表示推薦内容受信通知メッセージN1を見ることにより、コントロールセンター装置2から、ABCビルの2号機内のかご内表示装置への表示推薦内容が送信されたことを把握することができる。
【0055】
図8に示す改善実績報告受信通知メッセージN2の上部には、「通知元(XXXサービス)」と記載されている。この欄にも、メッセージの通知元の保守会社の名称が記載される。この欄の下方には、「運行データの改善状況に関するレポートが2件あります」のメッセージが表示されている。このメッセージの記載欄には、コントロールセンター装置2からプッシュ通知されたメッセージの概要が記載される。この欄の下方には、「対象ビル名:XYZビル」、「対象号機:1、2号機」の文字が表示されている。この欄には、表示推薦内容のメッセージが通知された対象のビル名、及び対象のエレベーターの号機が記載される。
【0056】
端末装置3を操作するユーザーは、この改善実績報告受信通知メッセージN2を見ることにより、コントロールセンター装置2から、XYZビルの1号機及び2号機内のかご内表示装置への表示内容が変更されたこと、そして運行データの改善状況のレポートが送信されたことを把握することができる。
【0057】
なお、図7に示した表示推薦内容受信通知メッセージN1の内容、及び図8に示した改善実績報告受信通知メッセージN2の内容は一例であり、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0058】
図7に示した表示推薦内容受信通知メッセージN1の表示箇所をクリックする操作や指でタッチする操作がユーザーにより行われた場合、端末装置3の入出力部33の画面には、表示推薦内容を表示するかご内表示装置表示内容変更画面Sc1(図9参照)が表示される。
また、図8に示した改善実績報告受信通知メッセージN2の表示箇所をクリックする操作や指でタッチする操作がユーザーにより行われた場合、端末装置3の入出力部33の画面には、改善実績報告を表示する改善実績レポート表示画面Sc3(図11参照)が表示される。
【0059】
[かご内表示装置表示内容変更画面の例]
次に、コントロールセンター装置2からのプッシュ通知に基づいて端末装置3の入出力部33の画面に表示される、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1の例について、図9を参照して説明する。図9は、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1の例を示す図である。
【0060】
図9に示すように、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1は、解析結果表示部101、表示内容表示部102、推薦内容表示部103、ラジオボタン表示部104及び次へボタン105を含む。
【0061】
解析結果表示部101には、コントロールセンター装置2の解析部23b(図1参照)による、エレベーター1の運行データ、故障データ等の解析結果が表示される。図9に示す例では、解析結果表示部101には、「ビル名」、「検出された内容」、「検出期間」、「検出回数」及び「画面イメージ」の各項目欄が表示されている。「ビル名」の欄には、エレベーター1が収容されている建物の名称が記載され、「検出された内容」の欄には、コントロールセンター装置2の解析部23bによって検出された事象(インシデント)が記載される。「検出期間」の欄には、事象の検出を開始した日時及び終了した日時が記載され、「検出回数」の項目には、事象の検出回数が記載される。「画面イメージ」の欄には、変更前、すなわち、かご内表示装置13において現在表示中の表示内容が示される。
【0062】
図9に示す例では、ABCビルにおいて、2018年10月1日の0時から2018年10月31日の23時59分までの間に検出された、エレベーターの混雑頻発(混雑状態)の回数は、15回であったことが、解析結果表示部101に表示されている。
【0063】
解析結果表示部101の下部には、エレベーター管理者であるユーザーに対するメッセージが表示される。図9に示す例では、「上記状況は、かご内表示装置の表示内容を変更することにより解消される可能性があります。表示内容の変更を行う場合には、ご希望される表示内容を選択して下さい。」というメッセージが表示されている。さらに、「表示内容変更の推薦内容を確認したい場合には、下記のラジオボタンの「推薦内容」を選択して下さい。」というメッセージも表示されている。
【0064】
これらのメッセージの下方には、表示内容表示部102、推薦内容表示部103及びラジオボタン表示部104が表示されている。表示内容表示部102には、コントロールセンター装置2からプッシュ通知によって送信された、表示推薦内容の通知メッセージの内容が表示される。推薦内容表示部103には、表示内容の変更を推薦する理由(推薦内容)が表示される。ラジオボタン表示部104には、「推薦内容」、「メッセージを編集する。(自由記述)」、及び「変更しない。(現状のまま)」の3つの選択肢を有するラジオボタンが表示される。
【0065】
図9に示す例では、表示内容表示部102に、「本時間帯はエレベーターが非常に混雑するため、3階床以内の移動の際には、階段/エスカレーターのご利用にご協力お願いします。」のメッセージとともに、「7:30~9:00」の時間帯が表示されている。つまり、3階床以内の移動の際におけるエレベーター以外の手段による移動を、朝の7時30分から9時までの間において促すメッセージが表示されている。
【0066】
また、図9に示す例では、ラジオボタン表示部104において「推薦内容」の欄にチェックが入っている(選択されている)ため、表示内容表示部102の右隣に配置されている推薦内容表示部103に、表示内容表示部102の内容への変更を推薦する理由が表示されている。具体的には、推薦内容表示部103に、「階段/エスカレーターの利用を促すことにより、エレベーターの混雑緩和を計ります。」のメッセージが表示されている。
【0067】
ラジオボタン表示部104において、「メッセージを編集する。(自由記述)」のボタンを選択することにより、ユーザーは、表示内容表示部102に表示されたメッセージの内容を編集することができる。また、ラジオボタン表示部104において、「変更しない。(現状のまま)」のボタンを選択することにより、ユーザーは、推薦された表示内容に変更せずに、現在表示中の表示内容を維持する旨を、コントロールセンター装置2宛に返信することができる。次へボタン105がユーザーにより押下された場合、画面はかご内表示装置表示内容確定画面に遷移する。
【0068】
[かご内表示装置表示内容確定画面の例]
次に、かご内表示装置表示内容確定画面Sc2の例について、図10を参照して説明する。図10は、かご内表示装置表示内容確定画面Sc2の例を示す図である。
【0069】
図10に示すように、かご内表示装置表示内容確定画面Sc2は、解析結果表示部101、希望表示期間表示部106、表示対象階床選択肢表示部107及び確定ボタン108を備える。
【0070】
解析結果表示部101の表示内容は、図9に示したものと同じであるため、ここではその説明を省略する。希望表示期間表示部106には、かご内表示装置13へのメッセージの表示を行う期間の指定方法として、「表示時間」、「表示期間指定」及び「表示周期」の3種類の方法が表示されている。「表示時間」においては、「hh:mm」のフォーマットでメッセージの表示期間を指定可能であり、「表示期間指定」においては「YYYY/MM/DD」のフォーマットでメッセージの表示期間を指定可能である。「表示周期」においては、曜日によってメッセージの表示期間を指定可能である。
【0071】
表示対象階床選択肢表示部107には、メッセージの表示を行う対象となる階床の選択肢が表示される。図10に示す例では、「1」~「6」、すなわち、1階から6階までが選択肢として表示されている。そして、確定ボタン108がユーザーにより押下されることにより、かご内表示装置表示内容確定画面Sc2において確認又は変更された内容が確定される。
【0072】
[改善実績レポートの表示例]
次に、コントロールセンター装置2からのプッシュ通知に基づいて端末装置3の入出力部33の画面に表示される、運行データの改善実績レポート表示画面の例について、図11を参照して説明する。図11は、改善実績レポート表示画面Sc3の例を示す図である。図11に示す運行データの改善実績レポート表示画面Sc3は、例えば、図8に示した改善実績報告受信通知メッセージN2の表示後に表示される。
【0073】
図11に示すように、運行データの改善実績レポート表示画面Sc3には、「運行データの改善実績レポート」という件名とともに、(1)及び(2)の番号を付与することにより示される2件分の改善実績レポートの内容が示されている。具体的には、「(1)XYZビルの1号機の7:30~9:00における混雑状況の発生回数が、表示内容の変更前と比較して15%低減しました」及び「(2)XYZビルの2号機の7:30~9:00における混雑状況の発生回数が、表示内容の変更前と比較して10%低減しました」のメッセージが表示されている。
【0074】
[表示内容管理システムによる表示内容管理方法]
次に、本実施形態に係る表示内容管理システム100による表示内容管理方法について、図12を参照して説明する。図12は、表示内容管理システム100による表示内容管理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、エレベーター1の制御部12(図1参照)は、エレベーター1内の各種デバイスより、データを収集する(ステップSE1)。ステップSE1において、エレベーター1の制御部12は、定期的に行われる運行データの抽出日時の到来時に、各種デバイスより運行データを収集したり、エレベーター1の故障の検知を知らせる信号を各種デバイスより受信したりした場合に、該信号に基づき示される故障データを収集する。次いで、エレベーター1の通信部11は、制御部12が収集した収集データを、コントロールセンター装置2に送信する(ステップSE2)。
【0076】
次いで、コントロールセンター装置2の通信部21がエレベーター1から送信された収集データを受信するとともに、該収集データを制御部23がデータ蓄積部22に格納する(ステップSC1)。具体的には、制御部23は、収集データに含まれる故障データを故障データ記憶部22aに格納し、運行データを運行データ記憶部22bに格納する。
【0077】
次いで、コントロールセンター装置2の解析部23bの演算部23b2(図1参照)は、ステップSC1で受信した収集データの値と、判定値記憶部22eに格納された判定値とを比較する(ステップSC2)。例えば、演算部23b2は、ステップSC1で受信した収集データに、ドア開閉異常の回数のデータが含まれていた場合、該ドア開閉異常の回数と、判定値記憶部22e内の判定値とを比較する。
【0078】
次いで、コントロールセンター装置2の解析部23bは、ステップSC2で行った比較結果、及び、作業予定データ記憶部22c(図1参照)に格納された作業員による作業予定に基づいて、ステップSC1で受信した収集データの送信元のエレベーター1が、プッシュ通知対象のエレベーター1であるか否かを判定する(ステップSC3)。例えば、ステップSC1で受信した収集データに含まれるドア開閉異常の回数が、判定値を上回っていた場合、解析部23bは、収集データの送信元のエレベーター1は、プッシュ通知対象のエレベーター1であると判定する。
【0079】
ステップSC3で、プッシュ通知対象のエレベーターではないと判定された場合(ステップSC3のNO)、処理は終了する。一方、ステップSC3で、プッシュ通知対象のエレベーターであると判定された場合(ステップSC3のYES)、解析部23bの通知対象抽出部23b1は、プッシュ通知を行う対象顧客を抽出するとともに、該対象顧客に送信するプッシュ通知を作成する(ステップSC4)。
【0080】
具体的には、通知対象抽出部23b1は、プッシュ通知対象のエレベーター1のエレベーター識別IDをキーとして顧客データテーブル22dを検索することにより、プッシュ通知の対象となる顧客を抽出する。さらに、通知対象抽出部23b1は、ステップSC3で判定に用いた判定値と対応付けて判定値記憶部22eに格納されている定型文及び推薦内容を用いて、プッシュ通知を生成する。
【0081】
次いで、コントロールセンター装置2のプッシュ通知制御部23aは、通信部21を介して、ステップSC4で生成したプッシュ通知を、端末装置3に送信する(ステップSC5)。
【0082】
次いで、端末装置3の通信部31(図1参照)は、コントロールセンター装置2から送信されたプッシュ通知を受信する(ステップSM1)。次いで、端末装置3の制御部32は、ステップSM1で受信したプッシュ通知に基づいて、入出力部33の表示部に通知内容を表示する(ステップSM2)。具体的には、制御部32は、ステップSM1で受信したプッシュ通知に基づいて、表示推薦内容の通知メッセージの受信通知メッセージN1(図7参照)を表示させ、続いて、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1(図9参照)を表示させる。エレベーター1の管理者であるユーザーは、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1の表示内容表示部102を見ることにより、変更が推奨される表示内容を確認するとともに、推薦内容表示部103を見ることにより、該表示内容を推薦する理由(推薦内容)を確認することができる。
【0083】
次いで、端末装置3の制御部32は、ユーザーによる編集の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップSM3)。例えば、図9に示したかご内表示装置表示内容変更画面Sc1の表示内容表示部102に表示された文章を編集する操作がユーザーによって行われた場合、ステップSM3はYES判定となる。ステップSM3で、編集操作を受け付けたと判定された場合(ステップSM3のYES)、端末装置3の制御部32は、編集操作に基づく編集内容を、かご内表示装置の表示内容に反映させる(ステップSM4)。
【0084】
次いで、端末装置3の制御部32が表示内容の変更を確定するとともに、変更内容が確定したことを、通信部31がコントロールセンター装置2に通知する(ステップSM5)。ステップSM3で、ユーザーによる編集の操作を受け付けていないと判定された場合(ステップSM3のNO)にも、ステップSM5の処理が行われる。
【0085】
なお、本実施形態では、ステップSM1~ステップSM5までの処理をすべて端末装置3が行う例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1やかご内表示装置表示内容確定画面Sc2等を、ダッシュボード等としてウェブ上に公開し、該ダッシュボードの運用を行う装置(クラウド上等に設けられたサーバーなど)が、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1等の表示処理、編集内容の表示内容への反映処理等を行ってもよい。
【0086】
次いで、コントロールセンター装置2の通信部21は、ステップSM5で端末装置3から送信された表示内容の変更が確定通知を受信するとともに、確定された変更内容を、表示内容データ記憶部22fに格納する(ステップSC6)。次いで、コントロールセンター装置2のコマンド制御部23cは、かご内表示装置13の表示内容変更コマンドを生成し、該表示内容変更コマンドを、通信部21を介してエレベーター1に送信する(ステップSC7)。ステップSC7の表示内容変更コマンドの生成及び送信は、表示内容データ記憶部22fに格納された表示スケジュール(開始)の日時の到来時に、コマンド制御部23cの制御に基づいて行われる。
【0087】
次いで、エレベーター1の通信部11は、ステップSC7でコントロールセンター装置2から送信された、かご内表示装置13の表示内容変更コマンドを受信する(ステップSE3)。次いで、エレベーター1の制御部12は、ステップSE3で受信した表示内容変更コマンドに基づいて、かご内表示装置13の表示内容を変更する(ステップSE4)。なお、ここで変更される表示内容は、ステップSM5で端末装置3の制御部32によって確定された変更内容である。次いで、エレベーター1の通信部11は、かご内表示装置13の表示内容の変更が完了したことを示す通知(以下、「表示内容完了通知」と称する)を、コントロールセンター装置2に送信する(ステップSE5)。
【0088】
次いで、コントロールセンター装置2の通信部21は、ステップSE5でエレベーター1から送信された表示内容完了通知を受信する(ステップSC8)。次いで、コントロールセンター装置2の通信部21は、表示内容完了通知を端末装置3に送信する(ステップSC9)。
【0089】
次いで、端末装置3の通信部31は、ステップSC9でコントロールセンター装置2から送信された表示内容完了通知を受信するとともに、通知内容を入出力部33の表示部に表示する(ステップSM6)。ステップSM6の処理が行われることにより、ユーザーは、かご内表示装置表示内容変更画面Sc1を介して編集及び/又は確認した表示内容が、かご内表示装置13における表示内容に反映されたことを、把握(確認)することができる。
【0090】
ステップSE5の処理後、エレベーター1の制御部12は、エレベーター1内の各種デバイスより、データを収集する(ステップSE6)。ステップSE6における、エレベーター1の制御部12によるデータの収集は、ステップSE1におけるそれと同様に行われる。次いで、エレベーター1の通信部11は、制御部12が収集した収集データを、コントロールセンター装置2に送信する(ステップSE7)。
【0091】
次いで、コントロールセンター装置2の通信部21がエレベーター1から送信された収集データを受信するとともに、該収集データを制御部23がデータ蓄積部22に格納する(ステップSC10)。次いで、コントロールセンター装置2の解析部23bは、運行データの改善実績の解析を行う(ステップSC11)。ステップSC11において、解析部23bは、かご内表示装置13への表示内容の変更前におけるデータ蓄積部22内の各種データの解析結果と、変更後におけるデータ蓄積部22内の各種データの解析結果とを対比することにより、改善実績の解析を行う。
【0092】
次いで、コントロールセンター装置2の制御部23は、ステップSC11で行った解析に基づいて、運行データの改善実績レポートを生成する。そして、コントロールセンター装置2の通信部21は、該改善実績レポートを端末装置3に送信する(ステップSC12)。そして、端末装置3の通信部31は、ステップSC12でコントロールセンター装置2から送信された運行データの改善実績レポートを受信するとともに、入出力部33の画面に表示する(ステップSM7)。
【0093】
ステップSM7の処理が行われることにより、ユーザーは、かご内表示装置13への表示内容の変更を行ったことによって運行データの内容が改善された場合に、その内容を知ることができる。
【0094】
上述のように、本実施形態のエレベーター1の表示内容管理システム100では、表示内容管理装置としてのコントロールセンター装置2の解析部23bが、エレベーター1の運行データを含むエレベーター1の収集データを解析する。そして、解析の結果に基づいて、かご内表示装置13での表示を推薦する表示推薦内容を決定する。そして、通信部31が、表示推薦内容を、エレベーター1の管理を行うユーザーが操作する端末装置3に送信する。
【0095】
したがって、本実施形態では、エレベーター1の管理を行うユーザーは、かご内表示装置13に表示されるコンテンツの内容を検討したり、コンテンツの変更作業を実施することを失念したりすることがなくなる。それゆえ、本実施形態によれば、かご内表示装置に表示されるコンテンツの内容や変更時期を検討することによりエレベーター管理者にかかる負担を軽減することができる。特に、ビル管理会社等の、多台数のエレベーターを管理しているエレベーター管理者においては、かご内表示装置に表示するコンテンツの内容の変更管理を十分に行えていない場合も多いが、本実施形態によれば、このようなユーザーにかかる負担も軽減することができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、エレベーター管理者にかかる負担を軽減できるため、かご内表示装置13に表示するコンテンツの変更が適切に行われるようになる。それゆえ、本実施形態によれば、エレベーター1のかご内表示装置13の有効活用が計られることにより、エレベーター1の管理者の満足度も向上させることができる。
【0097】
また、上述の実施形態では、コントロールセンター装置2は、表示推薦内容を含むプッシュ通知を端末装置3に送信するプッシュ通知制御部23aを備える。したがって、プッシュ通知に基づいて表示推薦内容が端末装置3において自動的に表示されるため、本実施形態によれば、ユーザーがコンテンツの変更作業を実施することを失念してしまうことを防ぐことができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、通信部21から端末装置3にプッシュ通知される内容には、表示推薦内容、及び、かご内表示装置13の表示内容を表示推薦内容に変更することにより改善が見込まれる効果に関する記載を含む表示推薦内容の推薦理由が含まれる。したがって、本実施形態によれば、また、ユーザーは、かご内表示装置13の表示内容を表示推薦内容に変更することにより改善が見込まれる効果を確認した上で、かご内表示装置13の表示内容を表示推薦内容に変更するか否かの判断や、変更が妥当であるか否かの判断などを行うことができる。
【0099】
また、上述の実施形態では、解析部23bは、表示内容推薦に基づいてかご内表示装置13での表示内容が変更される前及び後のそれぞれにおける収集データの解析を比較する。そして、比較の結果に基づいて、エレベーター1の運行データの改善実績示す改善実績報告を生成する。通信部21は、改善実績報告を端末装置に送信する。したがって、本実施形態によれば、ユーザーは、かご内表示装置13の表示内容を表示推薦内容に変更したことにより実際にエレベーター1の運行データが改善されたことを、確認することができる。
【0100】
また、上述の実施形態では、コントロールセンター装置2のコマンド制御部23cは、表示推薦内容を見たユーザーにより行われた、かご内表示装置13に表示させる表示内容の編集及び確認操作、又は、確認操作に基づいて、かご内表示装置13に表示させる表示内容の変更が確定した場合に、コマンド(かご内表示装置13の表示内容変更コマンド)を生成する。このコマンドは、確定した内容にかご内表示装置13の表示内容を変更させるコマンドである。そして、コマンド制御部23cは、該コマンドを、通信部21を介してエレベーター1に送信する。したがって、本実施形態によれば、ユーザーにより行われた、表示内容の編集及び確認操作、又は、確認操作に基づいて、かご内表示装置13の変更内容を変更することができる。
【0101】
[各種変形例及び応用例]
以上、本発明の各種実施形態に係る表示内容管理装置及び表示内容管理システムについて説明したが、本発明は上記各種実施形態に限定されない。本発明の構成は、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の変形例、応用例の構成を取り得る。例えば、次のような各種変形例及び応用例も本発明に含まれる。
【0102】
例えば、上述した実施形態では、コントロールセンター装置2から端末装置3に対して、かご内表示装置13への表示推薦内容の通知メッセージ、及び、表示内容の変更に伴う改善実績の報告メッセージを送信する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。実施が予定される定期点検の日時の情報等を、コントロールセンター装置2から端末装置3に対して送信してもよい。
【0103】
なお、図1中の制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…エレベーター、2…コントロールセンター装置、3…端末装置、11…通信部、12…制御部、13…かご内表示装置、21…通信部、22…データ蓄積部、23…制御部、23a…プッシュ通知制御部、23b…解析部、23b1…通知対象抽出部、23b2…演算部、23c…コマンド制御部、31…通信部、32…制御部、33…入出力部、100…表示内容管理システム、Sc1…かご内表示装置表示内容変更画面、Sc2…かご内表示装置表示内容確定画面、Sc3…改善実績レポート表示画面
図1
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図6
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図9
図10
図11
図12