IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アークタス サージカル リミテッド・ライアビリティー・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】脊椎湾曲調整システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2019512960
(86)(22)【出願日】2017-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017033592
(87)【国際公開番号】W WO2017201437
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/338,763
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518410984
【氏名又は名称】アークタス サージカル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】バレット、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カダバ、ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】アシュリー、ジョン
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0201973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0045794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0214096(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0324600(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128868(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0283781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0275984(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0179493(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0106185(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253587(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎の治療領域に沿った脊椎湾曲を治療するための脊椎湾曲調整システムであって、
頭蓋-尾方向において、少なくとも3つの隣接する椎体を横切って含む脊椎の治療領域を横切って延びるのに十分な長さの可撓性テザーと、
第1の椎骨および前記可撓性テザーの端部に固定されるように構成された少なくとも1つの第1の骨アンカーと、
回転軸を中心に回転可能なテザーインターフェースと、前記テザーインターフェースに動作可能に連結される回転駆動装置とを備え、前記回転駆動装置により前記テザーインターフェースを動作させることによって前記可撓性テザーの張力を調整するテザー張力ユニットと、
を備え、
前記張力は、前記回転軸に垂直な方向で前記可撓性テザーに加えられ、
前記回転軸に垂直な長手方向軸を有すると共に、前記少なくとも1つの第1の骨アンカーから前記治療領域を横切ってテザー張力ユニットを椎骨に固定するように構成された少なくとも1つの第2の骨アンカーと、
をさらに備え、
前記テザー張力ユニットは、前記可撓性テザーまたは前記少なくとも1つの第1の骨アンカーを外科的に露出させることなく、前記可撓性テザーの張力を調整するように作動可能である、
脊椎湾曲調整システム。
【請求項2】
第3の骨アンカーと、前記可撓性テザーをスライド可能に受容するように構成されたガイド部とを有する少なくとも1つのテザーガイドをさらに備える、
請求項1に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記可撓性テザーが長手方向に沿ってスライド可能な開口を画定するヘッドを備える、
請求項2に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項4】
前記可撓性テザーは、前記可撓性テザーの塑性変形なしに、治療される脊椎の湾曲に一致させるのに十分な可撓性を有する、
請求項1から3のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項5】
前記可撓性テザーは、ポリマーまたは金属で形成されたフラットバンドまたはリボンを備える、
請求項1から4のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項6】
前記回転駆動装置は、ウォーム歯車を備え、
前記可撓性テザーは、ポリマーまたは金属で形成され、前記ウォーム歯車の駆動歯に係合するように構成されたスロットを有するフラットバンドまたはリボンを備える、
請求項1から5のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項7】
前記可撓性テザーは、編組ポリマーまたは金属ケーブルを備える、
請求項1から4のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項8】
前記可撓性テザーは、歯付きストリップを備える、
請求項1から4のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項9】
前記可撓性テザーは、ステンレス鋼、チタン、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリカーボネートポリウレタン、または、低分子量および高分子量ポリエチレンを含む多層ポリマーストランドの1つまたは複合材料で作られている、
請求項1から8のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項10】
前記テザーインターフェースは、スプールを備え、
前記可撓性テザーは、前記スプール上に巻かれ、かつ、巻き戻され得る、
請求項1から6のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項11】
前記回転駆動装置は、ウォーム歯車を備える、
請求項1または4に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項12】
前記テザーインターフェースは、前記回転駆動装置に係合可能であり、前記可撓性テザーを把持するように構成された周辺部を有する回転可能部材を備える、
請求項1から9のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項13】
前記回転可能部材の周辺部は、摩擦係合面を備える、
請求項12に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項14】
前記回転可能部材の周辺部は、歯状面を備える、
請求項12に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項15】
前記第1の骨アンカーは少なくとも2つ存在しており、
前記可撓性テザーは、2つの自由端を有し、前記テザーインターフェースの回転が前記可撓性テザーの終端を反対方向に収縮または伸長するように、前記2つの自由端間の前記テザーインターフェースと係合する、
請求項1から14のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項16】
前記可撓性テザーは、それぞれ、一端において前記テザーインターフェースと係合する、2つの独立したテザー部材を備える、
請求項15に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項17】
前記回転駆動装置は、回転磁気モータを備え、
前記回転磁気モータを駆動させる外部磁石アクチュエータをさらに備える、
請求項1から16のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項18】
前記回転駆動装置は、前記テザーインターフェースを駆動するギアボックスを備える、
請求項1から17のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項19】
前記ギアボックスは、手動で作動可能であり、最小侵襲手術を行うための小さな切開を通してアクセス可能であるように前記テザー張力ユニット上に配置されたツールインターフェースを含み、
ツールをさらに備え、
前記ツールは、前記ツールインターフェースと嵌合するように適合され、最小侵襲手術を行うための小さな切開を通して挿入可能である、
請求項18に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項20】
前記ギアボックスは、300:1から5000:1の間のギア減速を実現する、
請求項18に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項21】
前記回転駆動装置は、前記ギアボックスを介して前記テザーインターフェースと係合する電気モータを備える、
請求項18に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項22】
前記電気モータに電流を供給するための皮下誘導コイルと、
外部誘導コイルアクチュエータと、
をさらに備える、
請求項21に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項23】
前記電気モータに電流を供給するための埋め込み可能な皮下電気リード線をさらに備え、
前記皮下電気リード線は、選択的に外部電源に接続可能である、
請求項21に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項24】
前記回転駆動装置は、前記電気モータを作動させるためのバッテリおよび遠隔作動可能スイッチをさらに含み、
前記遠隔作動可能スイッチを作動させ、それによって前記電気モータの動作を制御するように構成された遠隔無線コントローラをさらに備える、
請求項21に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項25】
前記第1の骨アンカーは、テザー捕捉手段を有するネジを備える、
請求項1から24のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項26】
前記第1の骨アンカーは、テザー捕捉手段を有する縫合糸を備える、
請求項1から24のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項27】
前記第1の骨アンカーは、テザー捕捉手段を有するステープル本体を備える、
請求項1から24のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項28】
前記テザー捕捉手段は、前記可撓性テザーに加えられる張力に応答して前記可撓性テザーを捕捉するように構成されたカムを備える、
請求項25から27のいずれか1項に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項29】
前記テザー捕捉手段は、ねじ駆動クランプを備える、
請求項25から28のいずれか1項に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項30】
前記テザー捕捉手段は、前記ネジに形成された目を含む、
請求項25に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項31】
前記テザー捕捉手段は、前記縫合糸に形成された目を含む、
請求項26に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項32】
前記テザー捕捉手段は、前記ステープル本体に形成された目を含む、
請求項27に記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項33】
可撓性テザーの張力を示す出力を提供するように構成された可撓性テザー張力センサをさらに備える、
請求項1から32のいずれかに記載の脊椎湾曲調整システム。
【請求項34】
前記回転駆動装置および前記可撓性テザー張力センサと通信するコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、張力リミッターを含み、前記可撓性テザーの張力を所定の値に制限するように構成されている、
請求項33に記載の脊椎湾曲調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、癒合不全外科処置を利用して脊椎変形を修正または調整するための整形外科用装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、遠隔制御される内部エンジンまたは他の機械的手段によって侵襲することなく、その張力が調整され得る可撓性テザーを組み込む癒合不全脊椎側弯症構成物に関する。これにより、著しく侵襲して行う外科的介入なしに、脊椎の湾曲への矯正力を容易に維持することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
脊椎側弯症は、通常は胸部領域または胸腰部領域において発生する、脊椎の異常な湾曲を説明するための一般的な用語である。脊椎側弯症は、一般的に、異なる治療群、思春期特発性脊椎側弯症、早期発症脊椎側弯症、および成人(変性)脊椎側弯症に分けられる。
【0003】
思春期特発性脊椎側弯症(AIS)は、典型的には10歳から16歳の子供が罹患し、身体発達に伴って生じる成長スパート中に最も重篤になる。10歳から16歳までの子供の1~2%が脊椎側弯症を患う。1000人の子供のうち、2~5人に、治療を必要とするほど深刻な湾曲が生じる。脊椎側弯症の程度は、典型的には、コブ角(Cobb角)によって表現される。コブ角は、通常、X線画像から決定されるものであり、湾曲部分の頂点の上下に最も傾斜した椎骨を対象とし、上部椎骨の上部および下部椎骨の底部に対してそれぞれ垂直に引かれた交差線の間の角度を測定することで、決定される。特発性という用語は、この湾曲を生じさせている正確な原因が不明であることを意味する。急成長期に脊椎の黄色靭帯がきつすぎて脊椎の対称的な成長が妨げられる場合に、脊椎側弯症が起こると推測している者もいる。例えば、脊椎の前方部分が後方部分よりも速く伸びると、胸椎は、側方に湾曲するまで、しばしば回転を伴ってまっすぐになり始める。より重症の場合、この回転により実際には顕著な変形が生じ、一方の肩部は他方よりも低い状態となる。
【0004】
通常、コブ角が20°以下である患者は治療されることはないが、しばしばX線を用いて追跡調査されることはある。コブ角が40°以上である患者には、通常、癒合手術が奨められる。なお、数多くの理由から、多くの患者がこの脊椎評価を受けていないことに注意する必要がある。多くの学区では、この評価は行われておらず、多くの子どもたちは医師を定期的に訪問していないため、しばしば、湾曲は急速に進行し深刻なものとなる。AISでは、10°未満湾曲している男性と女性の比率は約1対1であるが、30°を超える角度では女性の方が男性よりも多く、女性と男性の比率は、8対1である。癒合手術は、AIS患者または成人の脊椎側弯症患者に対して行われる。典型的な後部癒合手術では、背中の長さに沿って切開し、湾曲部分に沿ってチタンまたはステンレス製の矯正ロッドを配置する。これらのロッドは、典型的には、脊椎をまっすぐにできるように、椎弓根スクリューで椎体に固定される。通常、癒合が望ましい部分では、椎間円板を除去し、骨移植片材料を配置して癒合体を作成する。あるいは、癒合手術が、前方に行われてもよい。接近(アクセス)できるように、側方および前方の切開が行われる。通常、この前方アプローチから脊椎へのアクセスを可能にするために、肺のうちの1つが収縮される。
【0005】
前方処置のあまり侵襲的ではない形態では、単一の長い切開を行う代わりに、患者の片側の肋間のいくつかの間隙(肋骨の間)において、各々が約3~4cmの長さとなるように、約5つの切開を行う。この最小侵襲手術の1つのバージョンでは、ロッドおよび骨ねじが湾曲の前方凸部の椎骨に配置され、湾曲の前方凸部の椎骨に固定される。患者が脊髄成熟に達すると、椎骨の癒合は通常、ロッド自体と合体するので、その後の手術ではロッドおよび関連するハードウェアを取り外すことが困難である。標準のプラクティスでは、このインプラントを一生残すことになる。これらの2つの外科的方法のいずれかを用いることで、癒合後、患者の脊椎は比較的まっすぐになるが、いくつの椎骨が癒合されたかに応じて、屈曲およびねじれの両方において柔軟性の程度にしばしば限界が生じる。これらの癒合患者が成熟するにつれて、癒合部分は隣接する非癒合椎骨に大きな応力を与えることがあり、しばしばこれらの領域に痛みを含む他の問題が生じ、時にはさらなる手術が必要となる。これは、老人の患者の、不具合が起きやすい脊椎の腰部において発生しやすい傾向にある。多くの医師は、現在、癒合の欠点のいくつかを排除する可能性がある、脊椎側弯症の非癒合手術に関心がある。
【0006】
脊椎が特に動的である患者の一群(グループ)は、早期発症脊椎側弯症(EOS)として知られている部分集合である。早期発症脊椎側弯症は、典型的には5歳以前の小児に、そして少女に比べて少年においてより頻繁に生じる。これは10,000人の子供のうち約1~2人でしか発生しないよりまれな状態であるが、重篤になる場合があり、臓器の正常な発達に影響を及ぼすことがある。これらの子供の脊椎は、治療後にまだ大きく成長するため、成長ロッドとして知られている非癒合伸延装置が開発されている。これらの装置は、通常、子供が少なくとも8歳になるまで、場合によっては15歳になるまで、子供の成長に合わせて約6ヶ月ごとに調整される。各調整は、装置の調整可能部分にアクセスするための外科的切開を必要とする。患者は、生後6ヵ月という早い年齢で、装置を受け入れるかもしれないので、この治療には、多数の手術が必要となる。複数の外科手術のために、これらの患者の感染率は高くなる。
【0007】
AIS患者において、20°~40°のコブ角を有する患者のための治療方法論には議論の余地がある。多くの医師は、患者が骨格的に成熟するまで(例えば、16歳まで)、身体の上で、かつ、服の下に、1日18~23時間身に着けなければならないブレース(矯正器)(例えば、ボストンブレース)を処方する。これらの患者はすべて、社会的に要求の厳しい青年期を経験している最中であるので、
大半の上半身を覆うややかさばるブレース(矯正器)を着る、
大きな傷跡を残し動作を制限するかもしれない癒合手術をする、あるいは、
何もせずに、醜くなり、そして、身障者になるリスクを冒す、
のいずれかを選択せざるを得ないことは、かなり深刻な状況である。
ブレース装着に対する患者の遵守については、非常に問題が多いので、患者の身体を感知し、ブレースが装着されている1日あたりの時間量を追跡する特別なブレースが構築されている。患者がブレースをきちんと使用しないこと(使用法を遵守しないこと)と相まって、ブレースは、たとえ適切に使用されていたとしても、脊椎側弯症の治療には全く効果がないというのが、多くの医師の感覚である。これらの医師は、矯正が湾曲(コブ角)の進行を遅くしたり一時停止さえする可能性があることに同意するかもしれないが、治療期間が終了した後すぐに、矯正がもはや着用されなくなると、しばしば脊椎側弯症は、骨格が成熟するまでずっと、急速に進行して、治療開始時よりもさらに深刻なコブ角度になることに留意している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
AIS患者の治療において、外科医は、剛性の成長ロッドを用いた非癒合アプローチにより注目している。ロッドの成長は、青年患者の正常な成長パターンと一致するように構成されており、ロッドの長さは、非侵襲的な方法で外部磁気駆動装置を介して磁気システムによって調整される。現在、剛性ロッドの代わりに可撓性テザーを使用し始めている外科医もいる。この方法では、テザーは、各椎骨上において後方または側方に適用された椎弓根スクリューを使用して、脊椎側弯曲曲線の凸側に適用される。テザーは、術中に湾曲を矯正するように適切に伸張される。患者が成長するにつれて、テザーの張力は外科的アプローチを介して定期的に(通常は6ヶ月ごとに)調整される。この処置では、患者に対して、延長された回復期間を享受させるために再手術が必要となる。したがって、非侵襲的な方法で、身体の外側のテザー形態の張力を調整することができる可撓性テザーを利用する脊椎構成が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本開示は、脊椎の治療領域に沿った脊椎湾曲を治療するための脊椎湾曲調整システムに関する。
このシステムは、頭蓋-尾方向において、少なくとも3つの隣接する椎体を横切って含む脊椎の治療領域を横切って延びるのに十分な長さの可撓性テザーと、
第1の椎骨および前記可撓性テザーの端部に固定されるように構成された少なくとも1つの第1の骨アンカーと、
テザーインターフェースと、前記テザーインターフェースに動作可能に連結される駆動機構とを備え、前記可撓性テザーの張力を調整するテザー張力ユニットと、
前記少なくとも1つの第1の骨アンカーから前記治療領域を横切ってテザー張力ユニットを椎骨に固定するように構成された少なくとも1つの第2の骨アンカーと、
を備え、
前記テザー張力ユニットは、前記可撓性テザーまたは前記少なくとも1つの第1の骨アンカーを外科的に露出させることなく、前記可撓性テザーの張力を調整するように作動可能である。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、脊椎の治療領域に沿った脊椎湾曲を治療するための脊椎湾曲調整システムに関する。
このシステムは、頭蓋-尾方向において、少なくとも3つの隣接する椎体を横切って含む脊椎の治療領域を横切って延びるのに十分な長さの可撓性テザーと、
テザー取り付け手段を含む少なくとも1つの第1の骨アンカーと、
経皮的に作動可能な駆動機構と、
テザー受けスプールを回転させるための前記駆動機構に動作可能に連結され、前記可撓性テザーの張力を調整するテザー受けスプールと、
少なくとも1つの前記第1の骨アンカーから前記治療領域を横切って椎骨に前記回転駆動機構およびテザー受けスプールを固定するように構成された少なくとも1つの第2の骨アンカーと、
前記駆動機構を経皮的に作動させるように構成された経皮アクチュエータと、
を備える。
【0011】
さらに別の実施形態では、本開示は、脊椎の治療領域に沿った異常な脊椎湾曲を治療する方法に関する。
この方法は、脊椎の治療領域への外科的アクセスを提供するステップであって、治療領域は、概ね頭蓋-尾方向において、脊椎に沿って延び、少なくとも3つの隣接する椎骨に及ぶ、ステップと、
前記治療領域の第1の端部で、選択された椎骨上にアンカー素子を固定するステップと、
前記治療領域の第2の端部で、選択された椎骨にテザー張力調整機構を固定するステップと、
前記テンション調整機構と前記アンカー素子との間に可撓性テザーを延在させるステップであって、前記可撓性テザーは、前記アンカー素子に固定され、前記可撓性テザーの張力を調整する前記テザー調整機構と係合する、ステップと、
前記テザー調整機構を操作して、前記可撓性テザーに初期の張力をかけ、前記治療領域にある椎骨の再位置決めを行うステップと、
脊椎の治療領域への外科的アクセスを閉鎖するステップと、
外科的アクセスを閉鎖した後に再開することなく、または、前記可撓性テザーまたはアンカー要素への新たな外科的アクセスを生成することなく、術後に、前記張力調整機構を生体内で操作して、前記可撓性テザーの張力を周期的に調整するステップと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明を例示する目的で、図面は、本発明の1つ以上の実施形態の態様を示している。しかしながら、本発明は、図面に示されている正確な構成および手段に限定されない。
図1図1A図1Dは、テザーが側方に取り付けられた状態における脊椎を後部から見た図である。
図2図2A~2Dは、テザーが後方に取り付けられた状態における脊椎を後部から見た図である。
図3図3は、側方にテザースクリューが取り付けられた状態における椎骨を後部から見た図である。
図4図4は、脊椎湾曲調整システムの例示的な実施形態の図である。
図5図5は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図6図6は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図7図7は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図8図8は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図9図9は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図10図10は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図11図11は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図12図12は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図13図13は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図14図14は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の図である。
図15図15は、脊椎湾曲調整システムを調整するための磁気駆動機構の図である。
図16図16は、脊椎湾曲調整のための治療方法のフローチャート図である。
図17図17は、本開示による脊椎湾曲調整システムのさらなる代替の実施形態の斜視図である。図17Aは、本明細書に記載の実施形態による、テザー張力ユニットを椎骨に固定するために利用されるテザー張力ユニットおよび骨アンカーの斜視図である。
図18図18は、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図19図19は、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図20図20は、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図21図21は、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図22図22は、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図23A図23Aは、本開示による代替的な位置決めを示す脊椎湾曲調整システムの実施形態の斜視図である。
図23B図23Bは、図23Aに示す脊椎湾曲調整システムの代替の実施形態の頭側の図である。
図23C図23Cは、本明細書に記載の実施形態による脊椎湾曲調整システムの後方位置決めを示している。
図24図24Aは、脊椎湾曲調整システム用のアンカースクリューの斜視図である。図24Bは、図24Aに示すアンカースクリューの正面図である。図24Cは、図24Bに示すアンカースクリューの詳細図である。
図25図25Aは、脊椎湾曲調整システム用の代替のアンカースクリューの斜視図である。図25Bは、図25Aに示すアンカースクリューの正面図である。図25Cは、図25Bに示すアンカースクリューのA-A線断面図である。図25Dは、アンロック位置にある図25Cに示すアンカースクリューの詳細図である。図25Eは、ロック位置にある図25Cに示すアンカースクリューの詳細図である。
図26図26は、脊椎湾曲調整システムのためのスリップスクリューの斜視図である。
図27図27は、脊椎湾曲調整システムのためのスリップU字くぎ(スリップステープル)の斜視図である。
図28図28は、脊椎湾曲調整システム用の代替のスリップスクリューの斜視図である。
図29図29Aは、別の実施形態として脊椎湾曲調整システムが横方向に取り付けられた状態における脊椎を、後方から見た図である。図29Bは、図29Aに示す脊椎湾曲調整システムの実施形態において脊椎を、側方から見た図である。
図30図30は、脊椎湾曲調整システム用の代替的な張力調整機構の斜視図である。
図31A図31Aは、脊椎湾曲調整システム用の張力調整機構の代替の実施形態の斜視図である。
図31B図31Bは、ハウジングを取り外した状態における図31Aの張力調整機構の斜視図である。
図32A図32Aは、グロボイドウォームおよび平歯車機構の斜視図である。
図32B図32Bは、図32Aに示すグロボイドウォームおよび平歯車機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載された実施形態は、脊椎湾曲調整システム、方法、および関連する装置および器具に関する。一般に、そして以下により詳細に記載されるように、記載されたシステムの実施形態は、可撓性テザーと、テザー張力ユニットと、テザーを治療領域内の複数の椎骨に横切って固定できる可撓性テザー用の骨アンカーとを含む。可撓性テザーの張力は、遠隔装置、または、典型的には約2cm以下の小さいアクセス切開部のみを必要とする細長い器具を用いて、経皮的に調整可能である。
したがって、記載された実施形態により、著しく侵襲的な脊椎外科手術を繰り返し行うことなく、時間が経過した場合であっても、テザー張力および脊椎湾曲を複数回にわたって調整することが可能となる。
【0014】
図1Aは、角度αの所与の角度変形を伴う脊椎を示している。側方アプローチでは、頂点の上下において、湾曲部の凸側の椎骨にスクリューを配置することができる。
可撓性テザーはスクリューに突き通される。このテザーは、治療領域を跨ぎ、器具が取り付けられた椎骨の最上部および最下部に固定されるが、器具が取り付けられた椎骨が中間にある場合、テザーを、ネジ頭に形成されたヒートン部(輪になった部分)の中でスライドさせることができる。器具が取り付けられる椎骨の数は、臨床的に決定されるが、2以上でなければならない。
図1Bは、変形を修正するために、位置(A)および位置(C)においてテザーに加えられる張力を示している。両方の位置で張力を加える必要はない。位置(A)および/または位置(C)での張力により、変形が修正される。
図1Cは、変形を修正するために、位置(B)においてテザーに、同じ大きさで、かつ、反対方向に加えられる張力を示している。
図1Dは、位置(A)、(B)および/または(C)で張力が加えられた後の同じ脊椎を示している。角度の変形が修正されている。
【0015】
図2Aは、角度αの所与の角度変形を伴う脊椎を示している。後方アプローチでは、椎弓根スクリューは、頂点の上下において、湾曲部の凸側の椎骨内に配置することができる。可撓性テザーが椎弓根スクリューに突き通される。このテザーは、器具が取り付けられた最上部の椎骨と最下部の椎骨に固定されるが、器具が取り付けられた椎骨が中間にある場合、テザーを、スクリューヘッド内で再度スライドさせることができる。器具が取り付けられる椎骨の数は臨床的に決定されるが、2以上でなければならない。
図2Bは、変形を修正するために、位置(A)および位置(C)でテザーに加えられる張力を示している。両方の位置で引張力を加える必要はない。位置(A)および/または位置(C)での張力により、変形が修正される。
図2Cは、変形を修正するために、位置(B)でテザーに、同じ大きさで、かつ、反対方向に加えられる張力を示す。
図2Dは、張力が位置(A)、(B)および/または(C)に加えられた後の同じ脊椎を示している。角度の変形が修正されている。
【0016】
図3は、椎骨(V)に埋め込まれたスクリュー90を示す。このスクリューは、テザーが拘束されているがまだスライドし得るように、ネジ頭のヒートン部(輪になった部分)92を通してテザーが通されるように設計されている。また、スクリュー90を用いて、テザーをヒートン部(輪になった部分)に通し、それを捲縮可能なフェルールまたは他のケーブル固定装置を用いた場合のように、テザーをそれ自身に戻して結びつけることによって、テザーの自由端を椎骨に固定してもよい。ネジ頭の外端に、駆動工具用のソケットを設けてもよい。
【0017】
図4は、脊椎湾曲調整システムの一実施形態を概略的に示している。
このシステムは、テザー張力ユニット99を含む。テザー張力ユニット99は、本例では、経皮的に作動可能な駆動機構を含み、当該駆動機構は、ウォーム歯車102およびテザーインターフェース103を駆動するためのギアボックス101を介して作用する内部アクチュエーター100を含む。
ウォーム歯車は、次に、テザーインターフェース103を駆動して、可撓性テザー104に張力をかけたり、張力を緩めたりする。
一例において、内部アクチュエータ100は、遠隔制御可能であって回転可能な磁石を有し、外部駆動機構(例えば、図15参照)によって駆動可能である磁気モータを備えていてもよい。
外部駆動機構は、別の回転可能な磁石と、その磁石の回転を制御するための機構、例えば電動機と制御システムとを備えていてもよい。
ギアボックス101の例示的なギアセットが図32Aおよび32Bに示されている。
一例として、ウォーム歯車102を回転させると、噛み合い平歯車歯との係合により、テザーインターフェース103が回転する。
代替例として、平歯車が回転するとき、テザー104に力を加え、テザー104の張力を増加させる、あるいは、減少させるように、平歯車の歯が、直接、可撓性テザーと係合し、テザーインターフェース103を形成するようにしてもよい。
別の実施形態では、別個のテザー係合部材が平歯車と組み合わされて、例えば、一体的に横並びに配置されるか、あるいは、共通シャフト上に配置されて、テザーインターフェース103を形成する。
そのような別の実施形態において、テザー係合部材は、歯、スパイク、研磨剤または他の高摩擦表面などの可撓性テザーの材料と噛み合うように構成された周縁部を有するホイール、ディスクまたは他の回転可能部材として形成されてもよい。
一例として、テザー104は、編組ポリマーまたは金属から作られたケーブル、バンドまたはリボンとして形成することができる。当該編組ポリマーまたは金属は、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリカーボネートポリウレタン(PCU、例えば、バイオネート(登録商標))、または、低分子量および高分子量ポリエチレンを含む多層ポリマーストランドである。
使用される金属は、ステンレス鋼、チタン、および、それらの合金を中実または編組構成としたものを備えていてもよい。
テザー104は、300Nよりも高い引張強さで設計してもよい。
テザー104が複数の椎骨に取り付けられる場合、テザー104は、本明細書で説明されるような脊椎の変形を矯正するために使用され得る。
テザー104の可撓性は、塑性変形が生じることなく、治療される脊椎の領域の既存の湾曲に適合するために少なくとも十分な程度のものであるべきである。言い換えれば、テザー104の可撓性は、すべての動作モードで回復力を維持するのに十分な程度のものであるべきである。
【0018】
本明細書に開示された実施形態は、全体として開示されている内容を考慮する場合、本発明の実施形態の様々な特徴、構成要素およびステップを説明するための例示的な実施形態として開示されていることが理解されるであろう。全ての可能な組み合わせが、図示された実施形態から認識され、理解されるので、本明細書の教示に基づいて当業者によって理解される成分の各組み合わせは明示されていない。
例えば、他に言及がない限り、開示されている内部アクチュエータ、ギアボックスおよび駆動歯車を任意の組み合わせて使用し、本開示の教示に従うテザー張力ユニットを構成してもよいことが理解されるであろう。
同様に、開示されたテザー・インターフェースと可撓性テザーとを互換性を維持しつつ組み合わせたものを、開示された任意のテザー張力ユニットと共に使用してもよい。
したがって、例えば、テザー張力ユニット99は、磁気的に動作する内部アクチュエータ100を使用するものとして上記では説明したが、本開示の範囲内の任意の他の内部アクチュエータを使用してもよいことが理解されるであろう。
【0019】
図5は、張力がテザー張力ユニット109によって制御される可撓性バンドテザーを用いる脊椎湾曲調整システムの別の実施形態を概略的に示している。
この例示的な実施形態では、システムは、外部駆動機構(例えば、図15参照)によって駆動することができる内部アクチュエータとして回転可能な磁石110を含む。
磁石110が回転することで、ギアボックス111が駆動され、次に、ギアボックス111は、ウォーム歯車112を駆動する。そして、ウォーム歯車は、テザー・インターフェースとして作用する。
ウォーム歯車112の歯は、バンドテザー113の斜めのカットと噛み合っている。
ウォーム歯車112が回転することで、バンドテザー113に力を加え、バンドテザー113の張力を増加させたり減少させたりする。
バンドテザー113が複数の椎骨に取り付けられる場合、バンドテザー113は脊椎変形を矯正するために使用され得る。
【0020】
図6は、可撓性テザー張力がテザー張力ユニット119によって制御される脊椎湾曲調整システムのさらなる実施形態を概略的に示している。
このシステムは、外部誘導電流または皮下電力リード(例えば、図10参照)によって駆動することができる内部アクチュエータとしての電気モータ120を含む。
この目的に適した電気モーターは、約1.0~1.2Wの範囲の電力を供給するモーターであり得る。
代替的に、電気モータ120を、本明細書で説明するように、磁気駆動装置または他の内部アクチュエータに置き換えてもよい。
モータ120が回転することにより、ギヤボックス121が駆動され、次に、ギヤボックス121がウォーム歯車122を駆動する。
ウォーム歯車122が回転することにより、テザーインターフェース、この例ではスプール124に取り付けられた、または、スプール124と一体の平歯車123が回転し、それらは一緒に回転する。
スプール124が回転すると、テザー125に張力を加える、または、緩める力がテザー125に加えられる。
テザー125が複数の椎骨に取り付けられているとき、脊椎変形を矯正するために使用することができる。
【0021】
図7は、可撓性テザー張力がテザー張力ユニット129によって制御される脊椎湾曲調整システムの別の実施形態を概略的に示している。
このシステムは、他の実施形態で説明したように内部アクチュエータ130を含む。内部アクチュエータ130は、例えば、外部駆動機構(例えば図15参照)により、あるいは、誘導電流または直接供給される電流(例えば図10参照)により駆動することができる。あるいは、手動で駆動させてもよい。
内部アクチュエータ130が回転することにより、ギアボックス131が駆動され、次に、ギアボックス131が、かさ歯車132を駆動する。
かさ歯車132が回転することにより、この例では、第2かさ歯車133と平歯車134とを備えるテザーインターフェースが回転する。第2かさ歯車133と平歯車134とは、取り付けられるものであってもよいし、一体的に形成されるものであってもよい。
かさ歯車133は、第1かさ歯車132に対して垂直であり、平歯車134は、第2かさ歯車133と一緒に回転するように、第2かさ歯車133に取り付けられている。
平歯車134の歯は、反対方向に連続する2つの可撓性テザー135と噛み合う。
平歯車134が回転すると、平歯車134は、同じ大きさで、かつ、反対方向の力を供給し、テザー135の張力を増加させたり減少させたりする。
テザー135が複数の椎骨に取り付けられている場合、脊椎変形を補正するために使用することができる。
【0022】
図8は、脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の詳細を概略的に示している。
この例では、システムは、内部のアクチュエータとしての回転可能な磁石140を含み、回転可能な磁石140は、外部の駆動機構(例えば、図15参照)によって駆動することができる。
磁石140は、ハウジング141と一緒に回転するように、ハウジング141に取り付けられている。
ハウジングは、2つのテザー142に取り付けられ、ハウジング141が回転すると、2つのテザー142に、同じ大きさで、かつ、反対方向の力を与えて、テザー142の張力を増加させたり減少させたりする。
テザー142が複数の椎骨に取り付けられる場合、脊椎の変形を矯正するために使用され得る。
【0023】
図9は、柔軟性のある張力がテザー張力ユニット149によって制御される脊椎湾曲調整システムの別の例示的な実施形態を概略的に示している。
このシステムは、内部アクチュエータとしての回転可能な磁石150を含む。回転可能な磁石150は、外部の駆動機構によって駆動することができる(例えば、図15参照)。再度言及するが、本明細書に記載されている他のものと同様に、他の開示された内部アクチュエータを磁気駆動体に置き換えてもよい。
磁石150が回転することにより、ギアボックス151が駆動され、次に、ギアボックス151がテザーインターフェース152を駆動する。この場合、テザーインターフェース152は、ネジ付きシリンダまたは他の軸方向に回転可能な部材として形成されている。
テザーインターフェース152が回転すると、(回転軸と一致する平面によって参照される)ネジ溝部分のネジ山が上下に動く。したがって、テザーインターフェイス152のネジ山が可撓性テザー153と噛み合い、回転することで、テザー153に力を加え、テザー153の張力を増加させたり減少させたりする。
テザー153が複数の椎骨に取り付けられている場合、テザー153は、脊椎変形を矯正するために使用することができる。
【0024】
図10は、電子駆動機構が設けられた脊椎湾曲調整システム用のテザー張力ユニットの実施形態を概略的に示している。
ワイヤコイル160は、外部に配置された誘導無線電力伝送装置164から電力を引き出して、その電力を電気モータ161に給電してギアボックス162を駆動する。そして、ギアボックス162を、本明細書に記載の他の実施形態の機構と組み合わせて使用することで、テザーに力を加え、テザーの張力を増加させたり、減少させたりしてもよい。
これに代えて、またはそれに加えて、皮下リード線163を設けてもよく、この皮下リード線は容易にアクセス可能であり、それによって電力を印加することができる。
本発明の実施形態での使用に適した誘導無線電力伝送システムの例は、例えば、米国特許第6,092,531号および米国特許公開第2010/0201315号に開示されている。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
図11は、手で駆動される手動駆動機構を利用する脊椎湾曲調整システムの別の実施形態の詳細を概略的に示している。
この例において、内部アクチュエータは、駆動ユニット171を保持するハウジング170を備える。
駆動ナット171は、小さな切開部を介してアクセスすることができ、内部アクチュエータに係合するように構成された細長い手動工具172で回転させることができる。
駆動ナット171は、テザーの張力を増加させたり、減少させたりするためにテザーに力を加えるための冗長駆動機構を提供するために、本明細書に記載の他の内部アクチュエータと共に使用することができる。
本明細書で使用されるように、手動駆動内部アクチュエータを作動させるための細長い工具のアクセスを可能にする小さな切開部は、一般に、長さ約1~3cm、より典型的には、長さ約2cmの切開部である。
【0026】
図12は、テザー張力センサー180がテザー張力ユニット181に組み込まれて、テザー182に加えられる張力を測定する、脊椎湾曲調整システムのさらなる代替の実施形態を概略的に示している。
センサ180は、本明細書の教示に基づいて当業者によって選択され得るような、単一ローラセンサまたはマルチローラセンサ、あるいは、直接歪みゲージセンサなどの互換性のある張力検知装置を備えていてもよい。
センサ180は、可撓性テザーの張力を直接感知するように構成されてもよく、あるいは、可撓性テザーの張力の指標として、テザー張力ユニット内において、トルクまたは力を感知するように配置されてもよい。
テザー張力調整ユニット181は、本明細書で開示される磁気的、電子的または手動の駆動機構のいずれか、または、本開示の教示に基づいて当業者によって導き出され得る他の適切な機構を備え得る。
【0027】
図13は、可撓性テザー張力がテザー張力ユニット189によって制御される脊椎湾曲調整システムの別の代替の実施形態を概略的に示している。
このシステムは、内部アクチュエータとしての回転可能な磁石190を含み、その磁石190は、外部の駆動機構によって駆動することができる(例えば、図15参照)。
マグネット190が回転することにより、ギアボックス191を駆動し、次に、ギアボックス191は、この例ではウォーム歯車192として形成されたテザーインターフェースを駆動する。
ウォーム歯車192の歯は、バンドテザー193の歯状の切り込みと噛み合う。
ウォーム歯車192が回転することで、バンドテザー193に力を供給し、バンドテザー193の張力を増加させたり減少させたりする。
バンドテザー193が複数の椎骨に取り付けられる場合、それは脊椎変形を補正するために使用され得る。
【0028】
図14は、可撓性テザーの張力がテザー張力ユニット199によって制御される脊椎湾曲調整システムの代替の実施形態を概略的に示している。
この例において、テザー張力ユニット199は、他の場所で説明した回転可能な磁気ドライブ200を含むが、これに代えて、同様に説明した他の内部アクチュエータを使用してもよい。
磁石200が回転することで、ギヤボックス201を駆動し、次に、ギヤボックス201は、かさ歯車202を駆動する。
かさ歯車202は、この例では第2のかさ歯車203と平歯車204とを備えるテザーインターフェースと係合する。
したがって、かさ歯車202が回転することで、第1のかさ歯車202に対して垂直な第2のかさ歯車203が回転する。
平歯車204は、第2のかさ歯車203と一緒に回転するように、第2のかさ歯車203に取り付けられている。
平歯車204の歯は、バンドテザー205の斜めカットと噛み合う。
平歯車204が回転することで、バンドテザー205に力を加え、バンドテザー205の張力を増加させたり減少させたりする。
バンドテザー205が複数の椎骨に取り付けられる場合、それは脊椎変形を矯正するために使用され得る。
【0029】
磁石200とかさ歯車202との間にギアボックス201を使用すると、回転磁石のより低い力を、バンドテザー205に張力をかけて脊椎の変形を矯正するのに必要なより大きな力に変換するのに非常に有利である。
1つの特定の実施形態において、ギアボックス201、かさ歯車202、203、および、平歯車204は、磁石200の1000回転をテザーバンド205の1mmの平行移動に変換する。
脊椎の変形を矯正するのに十分な力を伝達することに加えて、ギアボックス201および関連のかさ歯車202,203および平歯車204は、修正された脊椎が補正に抵抗しようとするときにシステムにかかる力に抵抗するのにも有益である。
ギアボックス201、かさ歯車202,203、および、平歯車204は、テザーバンド205の張力が脊椎湾曲調整システムの回転を逆転することを防止するロックとして働く。
約1000対1の比率で回転磁石の回転を減速するギアボックスは、脊椎からの力に抵抗するのに有益である。
内部アクチュエータのタイプおよびサイズなどのパラメータに応じて、約300:1から約5000:1の範囲の減速比がギアボックスで利用され得る。
【0030】
図15は、本明細書で説明される磁気的に駆動される実施形態と共に利用され得る外部磁気駆動機構300の1つの例示的な実施形態を概略的に示している。
この実施形態では、ハウジング302は、駆動シャフト308を介して駆動磁石304に接続された駆動磁石304およびモータ306を含む。
コントローラ310は、モータ306の動作を制御する。
コントローラ310は、プログラム可能なプロセッサまたは他の制御システムを含んでもよく、精密で事前にプログラムされた制御だけでなく、外科医による内部処置の調整を可能にする。
また、コントローラ310は、例えば、図12に示すセンサ180のような張力センサからテザー張力情報を受信するためのセンサまたは他の無線通信装置を含んでいてもよい。
適切な磁気駆動機構のさらなる詳細は、例えば、米国特許第8,915,915号および第8,439,915号に記載されており、これらの両方は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
図16は、本開示による治療方法400の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
図16に示すように、最初の患者評価402の後、治療すべき椎骨を含む治療すべき領域と、配置すべき椎弓根スクリューの数と位置について決定がなされる(404)。
外科的アクセスが治療領域に生成され、その後、骨アンカー、典型的には椎弓根スクリューまたは他の適切な骨アンカーが、標準的な外科手術手順に従って前のステップで決定されたように配置される(406)。
例示的な骨アンカーが、図3図24Aおよび図25Aに示されている。
骨アンカーの配置が確認された後、最初の評価で決定された治療様式に対応する1つまたは複数のテザーが取り付けられる(408)。
テザーの取り付けは、典型的には、テザーのない端部を治療領域の一端の骨アンカーに取り付けることと、テザー張力ユニットを治療領域の反対側の端部の骨アンカーに取り付けることとを含む。
デュアル作用または対向テザーが、例えば図6図8に示すように使用される場合、テザー張力ユニットは、治療領域の中間範囲の骨アンカーに固定され、テザーは、治療領域の反対の端において骨アンカーに固定される。
テザーの取り付け後、テザーには、初期の張力が付与される(410)。
初期の張力の付与は、適切な機能を確認するために、閉鎖の前に行うようにしてもよい。
システムを設置するための最初の手術から治癒した後、定期的な間隔で、患者はフォローアップ評価(412)で再評価される。
追加の動きの量が決定され、決定された動きに基づいて、対応する追加の、または、再張力が計算される。
再張力付与は、フォローアップ評価に基づいて、設置されたシステムに適した駆動機構を使用して、テザーまたは骨アンカーへの新たな外科的アクセスを作り出すことなく、遠隔作業または手作業により、実施される(414)。
フォローアップ評価と再張力付与は、フォローアップ評価にて治療の完了が示されるまで必要に応じて繰り返し行ってもよい。その後、設置された伸延システムを外科的に取り外す(416)。
【0032】
図17は、脊椎に横方向に取り付けられた別の例示的な脊椎湾曲調整システムを示している。
このシステムは、テザーテンションユニット500と、可撓性テザー504と、テザーインターフェース502(この場合、スプールとして形成されている)と、少なくとも2つの椎体508に取り付けられたテザー骨アンカー506とを備える。
1つのテザー骨アンカー506は、可撓性テザー504の一端で椎体508に取り付けられ、テザー張力ユニット500は、図17Aに示されるように、第2の骨アンカーとともに可撓性テザー504の他端で椎体508に取り付けられる。
可撓性テザー504は、一端がテザースプール502に巻き付けられ、他端はテザーアンカー506に固定される。
可撓性テザー504の張力は、上述したようにテザースプール502を回転させることにより、テザー張力ユニット500によって増減される。
テザー張力ユニット500は、任意の数の位置のいずれの位置にも配置することができ、その機能を発揮する。
テザー張力ユニット500は、図4図14に示す実施形態に記載された様々な素子のいずれかから構成することができる。
【0033】
図17において、テザー張力ユニット500は、脊椎の後部にある棘突起510によって示されるように、テザーインターフェース502に対して後方かつ上方に位置決めされる。
図18において、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502および可撓性テザー504の後方かつ下方に配置されている。
図19において、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502の前方かつ上方に配置されている。
図20において、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502および可撓性テザー504の前方かつ下方に配置される。
図21において、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502および可撓性テザー504の後方かつ側方に配置されている。
図22において、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502および可撓性テザー504の前方かつ側方に配置されている。
図23Aにおいて、テザー張力ユニット500は、テザーインターフェース502および可撓性テザー504の後方かつ中間に配置されている。
中間位置は、椎体508内のテザー張力ユニット500を明示している、椎体508の断面図を示す図23Bにおいてよりよく認識することができる。
テザー張力ユニットは、例えば図17Aに示すように、機構から延びるスクリューまたはステープルによって椎体に取り付けてもよい。
中間の位置では、テザー張力ユニット自体が、椎体に直接取り付けるための、拡張ステープルアームまたは外部ネジ山付きプロファイル501を有することができる。
テザー張力ユニット500は、また、可撓性テザー504(図示せず)の前方かつ中間に配置することができる。
外科医が、異なる位置に機構を配置することを選択する多くの理由がある。その理由として、限定されないが、以下のようなものがある。
a)脊椎湾曲調整システムの上方または下方の隣接する脊椎セグメントの正常な動きを保存すること、
b)敏感な近傍の解剖学的部材の衝突を避けること、または、
c)患者の外見に目に見える変化を生じさせない低プロファイルのインプラントを受け入れることを望むこと。
図17図23Cは、治療領域または治療されている脊椎セグメントの尾側端部に配置されたテザー張力ユニット500を示しているが、テザー張力ユニット500は、前述したように、治療領域の頭側端部または中央部に交互に配置することができる。なお、テザー張力ユニット500は、可撓性テザー504に対して、説明した様々な位置に配置することも可能である。
治療領域の中間またはその付近に配置することによって、図6~8に示すようなデュアルテザー装置を使用してもよい。
【0034】
図18~23Bはまた、椎体508に対して横方向に取り付けられた脊椎湾曲調整システムを示している。
前述したように、脊椎湾曲調整システムは、図23Cに示すように、後側または後側方側から椎体508に取り付けることもできる。
脊椎セグメントに対するテザー張力ユニット500の様々な位置の全て、および、横方向の取り付けを伴う上記の可撓性テザー504に対する様々な位置の全てが、後部又は後側方部の取り付け位置とすることが可能である。
【0035】
図24A図24Bおよび図24Cは、可撓性テザー(図示せず)の一端を椎体(図示せず)に固定するための1つの実現可能なアンカースクリュー600を示している。
アンカースクリュー600は、椎体に取り付けるためのネジ付き本体602を一端に備え、他端に、テザーを固定するためのヘッド604を備える。
ヘッド604は、止めネジ610と締め付けプレート608とを含む。
ヘッド604および締め付けプレート608は、可撓性テザーを挿入することができる開口606を画定する。
テザーが開口606を通って一旦配置されると、締め付けプレート608が、テザーをヘッド604の基部に押し付けてテザーを固定し、テザーのアンカースクリュー600に対する相対運動を防止するまで、止めネジ610を、締め付けプレート608に対して前進させることができる。
ヘッド604は、アンカースクリュー600を椎体内へと前進させるためのネジ駆動装置によって捕捉されるように設計された外形を有することができる。
ヘッド604は、図24A、BおよびCに示すように、実質的に正方形の外形を有するが、六角形、八角形、および星形(これらに限定されない)を含む外形であって、駆動機構による捕捉のために一般的に使用される任意のタイプの外形を有するものであってもよい。
【0036】
図25A図25Eは、ここではテザー720として図示されている可撓性テザーの一端を椎体(図示せず)に固定するためのアンカースクリュー700の代替の実施形態を示している。
アンカースクリュー700は、椎体に取り付けるためのねじ付き本体702を一端に備え、他端に、テザーを固定するためのヘッド704を備える。
ヘッド704は、カム706およびカムピン708を含む。
ヘッド704およびカム706は、可撓性テザーが挿入され得る開口710を画定する。
図25Eに示すように、テザー720が開口710を通って一旦位置決めされると、カム706は、カムピン708の周りを回転して、ヘッド704のベース712に対してテザー720を押しつけて、テザー720を固定し、アンカースクリュー700に対するテザー720の相対移動を防止する。
一般に、カムから遠ざかる方向に向かって、テザーに加えられた張力により、当該カムがさらに強くテザーを締め付ける。しかしながら、カム706は、カム706をベース712に対して付勢するねじりばねのような付勢部材(図示せず)を含んでいてもよい。
付勢されたカム706は、開口710を取り除くが、一方向に向かって、付勢されたカム706をテザー720が越えて前進するのを防止するのに十分な力では付勢されないであろう。
このようにして、アンカースクリュー700により、テザー720は、一方向に前進することができるようになるが、アンカースクリュー700により、テザー720が他方向に移動することが防止される。
【0037】
図26は、スリップスクリュー800として形成された骨アンカーの実施形態を示している。
スリップスクリュー800は、一方の端部にねじ付き本体802を備え、他方の端部にヘッド804を備える。
ヘッド804は、テザー(図示せず)のクリアランスを許容するように構成された開口806を有する。
スリップスクリュー800は、テザーの2つの端部取付点の間でテザーを椎体に対してガイドするために使用される。
【0038】
図27は、スリップステープル820としての骨アンカーの代替の形態を示している。
スリップステープル820は、一端に1つ以上のステープルアーム822a-bを備え、他端にヘッド824を備える。
ヘッド824は、テザー(図示せず)のクリアランスを許容するように構成された開口826を有する。
スリップステープル820は、2つのテザー端部取り付け点の間で椎体に対して、テザーをガイドするためにも使用される。
外科医は、患者の解剖学的サイズおよび骨質に応じて、脊椎湾曲調整システムを患者の椎体に取り付けるためのスクリューまたはステープルを使用することを好む。
ステープル取付方法は、テザーの一端にテザー張力ユニットを取り付け、他端にアンカー機構を取り付けるために使用することもできる。
外科医は、テザーの2つの端部取り付け点の間に位置する椎体にスリップスクリュー800またはスリップステープル820を使用することも好む。また、外科医は、テザーの2つの端部取り付け点の間に位置する、あるいは、1つのアンカーポイントに位置する椎体にアンカースクリュー700を使用することも好む。
スリップスクリュー800またはスリップステープル820が中間位置で使用されるとき、テザーの張力は、2つの端部取り付け点の間で実質的に一定である。
アンカースクリュー700が中間取り付け位置で使用されるとき、テザーの張力は、別個のアンカーセグメントの各々の間で変化する。
【0039】
図28は、スリップスクリュー840の代替の実施形態を示している。
スリップスクリュー840は、一方の端部にねじ付き本体842を備えており、他方の端部にヘッド844を備えている。
ヘッド844は、テザー(図示せず)のクリアランスを許容するように構成された開口846を有する。
ヘッド844はまた、ねじ付き本体842に対して様々な距離に開口846を位置決めするように構成されたスロット848を有する。
テザーをガイドするために開口846の距離が可変であることは、図29A図29Bに示されるように、脊椎後弯を保存するのに有益であり得る。
脊椎湾曲調整システムは、本明細書で説明されるように脊椎のコブ角を低減させるように設計される。
【0040】
図29Aにおいて、システムは、椎体508に取り付けられる。椎体508には、一端にテザー張力ユニット500が取り付けられ、他端にアンカースクリュー800が取り付けられ、中間領域にスリップスクリュー840a-cが取り付けられている。
図29Bは、椎体508に対する脊椎湾曲調整システムの取り付け点が各椎体508のほぼ正中線(破線)上にあるように示されている側面図を示している。
可撓性テザー504はスリップスクリュー840の開口846を通過するが、開口846がネジ付き本体842と直線状に並んでいないので、可撓性テザー504は、椎体508の正中線上にはない。
これにより、可撓性テザー504は、正常な曲線である矢状面における脊椎の弯曲湾曲を誘引し、および/または、維持し、同時に異常な冠状面における脊椎側湾曲を低減させる。
脊椎湾曲調整システムのより中央に位置するスリップスクリュー840は、端部取り付け点により近い位置のスリップスクリュー840よりも正中線からよりオフセットされた開口846を有することができる。
開口846は、図28に示すように調整可能にオフセットすることができ、あるいは、開口846は、ねじ付き本体842から様々な調整不能な固定距離でオフセットすることができる。
開口846は、ネジ付き本体842ではなく、1つ以上のステープルアーム822a-bからオフセットすることもできる。
【0041】
図29Aおよび図29Bには、オプションのテザー止め具850も示されている。
1つ以上のテザー止め具850は、テザー上の選択された位置に配置され、治療領域を横切る他のセグメントに対して、1つの脊椎セグメントの動きを制限するようにしてもよい。
テザー止め具850は、例えば、捲縮可能なビーズまたはフェルール(金環)として形成されてもよく、テザー張力ユニットの設置時に、必要に応じて外科医が、テザーにテザー止め具850を適用してもよい。
【0042】
前述したように、2つの端点であるテザー張力ユニット500およびアンカー装置は、ねじ付きロッド、ステープルアームまたは他の一般的な取り付け機構(バンド、拡張可能なロッド、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない)により、椎体に取り付け得る。
アンカー装置とテザー張力ユニットまたはアンカー装置との間の接続は、図25図28に示すように固定的にすることができ、または、その接続によって、ボールソケットタイプの接続による場合のように、関節運動または相対範囲内の運動が可能になる。
【0043】
図30は、テザーインターフェーススプール542および手動内部アクチュエーター544を備える別の代替のテザー張力ユニット540を示している。
手動内部アクチュエータ544が外力によって回転すると(例えば、図11を参照)、手動内部アクチュエータ544は、内部ギアを介してテザーインターフェーススプール542を回転させる(例えば、図4~11を参照)。
手動内部アクチュエータ544のツールインターフェースは、外部六角形形状として示されているが、一般的に使用される任意のドライバ形状を使用することができる。この形状の例として、内部スロット、四角形または星形(その両方が内部あるいは外部等のいずれかであり得る)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
図31Aおよび図32Bは、手動内部アクチュエータ584、テザーインターフェーススプール582、張力緩和装置588、および、ハウジング586を備えるテザー張力ユニット580の別の実施形態を示している。
手動内部アクチュエータ584を外力によって回転させると、手動内部アクチュエータ584は、テザースプール582を直接的にまたは内歯車を介して回転させる。
図31Bでは、ハウジング586は取り外されており、テザースプール582を順方向に回転させて張力を増加させるがテザースプール582が逆方向に回転して張力を緩めることを防止する内部ラチェット592および爪590を示している。
張力緩和装置588は、爪590をラチェット592から離すように持ち上げて作動させて、テザースプール582が逆方向に回転し、テザーの張力を解放させることを可能にする。
このラチェットおよび張力解放機構は、図示の手動駆動機構に限定されるものではなく、前述した磁石駆動の張力調整機構にも含まれるものであってもよい。
同様に、テザースプール582の逆回転を可能にする爪590の作動は、手動作動に限定されず、第2の磁気駆動機構またはソレノイド(これに限定されない)などの電気的に駆動される機構を介して達成することもできる。
【0045】
テザー張力の減少は、このラチェットおよび爪システムに加えて、多くの他の機構によって達成することができる。
スリップクラッチタイプの機構によって十分な張力に達すると、テザー張力を自動的に減少させることができる。
スリップクラッチは、張力を解放して、張力が靱帯または椎間板のような脊椎の素子に損傷を与えるほど大きくならないようにすることができる。
前述したようにセンサーは、テザーのいずれかの端部に配置され、または、テザーの長手方向のいずれかの場所に配置される。そして、当該センサーは、前述したように、爪およびラチェットタイプのテンション解除機構を自動的に開く信号を送信することによって、あるいは、外科医および/または患者に、張力調整機構によって低減されるべき過度の張力が存在することを知らせる信号を外部制御手段に送信することによって、テザー張力を測定し、過剰なテザー張力を防止する。
離れた位置にいる外科医に迅速に通知することができるように、外部コントローラは、コンピュータまたはスマートフォンなどの他のデバイスと無線でペアにすることができる。
内部センサは、埋め込まれたバッテリによって、または外部に配置された誘導源からの誘導によって供給される電力によって給電され得る。
センサは、テザーの張力を直接測定することができ、あるいは、テザーの張力がテザースプールまたはアンカースクリューヘッドに生じさせるたわみを測定することができる。あるいは、センサは、アンカースクリューのねじ付き本体またはステープルアームの曲げモーメントを測定するように配置されうる。
センサは、磁石の回転数のようなテザー張力に直接関係しない異なるパラメータを測定することもできる。
1つの特定の実施形態では、2つのホール効果センサを、駆動磁石のいずれかの側の外部ドライバに配置することができる。
これらのセンサは、駆動磁石からの信号を差し引くことによって埋込磁石の回転を検出することができる。
このようにして、外部コントローラは、内部磁石が所望通りに回転しているというデータを収集することができる。
埋込磁石の回転を測定する1つ以上のホール効果センサを使用することにより、より近位の制御磁石のセンサの測定において、遠位の埋め込み磁石からの弱い信号よりもはるかに高い信号が生成されるので、ノイズを多く含む信号が発生する可能性がある。
2つのホール効果センサを使用して磁石の回転を測定することに加えて、コントローラは、制御磁石を回転させるモータによって引き出される電流の量を測定する電流センサを含むこともできる。
最初に、埋込磁石に磁気的に結合されていない制御磁石が制御モータによって回転されると、特定の量の電流がモータによって引き出される。
制御磁石が埋込磁石と結合すると、制御磁石と結合磁石の両方を回転させるために、制御磁石を回転させるモータの負荷が増加する。
電流センサを有する制御モータによって引き出される電流の測定は、制御磁石と埋込磁石が結合されているかどうかを決定するために使用され得る。
場合によっては、埋込磁石に過剰な負荷がかかるために磁石が失速することがありえる。
電流センサを使用すると、制御磁石と埋込磁石とが結合されているが失速したときに引き出される電流は、依然として増加する。
電流センサと1以上のホール効果センサの組み合わせることは、磁気結合状態や磁気結合失速状態(弱くなっている状態)のような異なる状況に関係なく、内部磁石回転(したがってテザー張力調整)の情報を提供するのに役立つ。
【0046】
図32Aおよび図32Bは、グロボイド形状のウォーム歯車902および嵌合平歯車904からなるギアシステム900を示している。
ウォーム歯車902の輪郭906は、端部が高く、中央部が低くなっている。
このグロボイド形状は、所定の公称直径のウォーム歯車および平歯車に対して、ウォーム歯車から平歯車に大きな力を伝達することを可能にする。
歯車システム900を前述の張力調整機構のいずれかに使用し、磁気(または手動)駆動力をテザーに伝達することができる。
湾曲した脊椎の適切な調整を確実にするためにテザーに張力をかけるのに十分な力を依然として付与しながら、埋め込みを可能な限り小さく保つことが重要であるため、この大きな力の伝達は、埋込張力調整機構において特に重要である。
【0047】
上記は、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明である。なお、本明細書および添付の特許請求の範囲において、「X、YおよびZの少なくとも1つ」および「X、YおよびZの1つ以上」という語句に使用されるような結合語は、特に明記しない限り、結合リスト内の各アイテムが、リスト内の他のすべてのアイテムを除く任意の数、または結合リスト内の任意のまたはすべてのアイテムと組み合わせて任意の数で存在し得ることを意味すると解釈されるべきであり、それぞれは任意の数で存在していてもよい。
この一般的な規則を適用すると、結合リストがX、Y、およびZからなる前述の例における結合句は、それぞれ、以下の場合を含む。
1つ以上のX;
1つ以上のY;
1つ以上のZ;
1つ以上のXと、1つ以上のY;
1つ以上のYと、1つ以上のZ;
1つ以上のZと、1つ以上のX;
1つ以上のXと、1つ以上のYと、1つ以上のZ;
【0048】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および追加を行うことができる。上述した様々な実施形態のそれぞれの特徴は、関連する新しい実施形態において多数の特徴の組み合わせを提供するために、適宜、他の記載された実施形態の特徴と組み合わせることができる。
さらに、前述は多くの別個の実施形態を記載しているが、本明細書に記載されているのは、本発明の原理の適用を単に例示したものに過ぎない。
さらに、本明細書における特定の方法は、特定の順序で実行されるものとして図示および/または説明され得るが、順序は、本開示の態様を達成するために通常の技術の範囲内で広く可変させることができるものである。
したがって、この説明は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
例示的な実施形態は、上に開示され、添付の図面に示されている。当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されたものに様々な変更、省略および追加がなされ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32A
図32B