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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】移動式篩別車
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20221116BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B60P1/04 A
B60P1/04 Z
B62D33/023 Z
B60P1/04 G
B60P1/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021063443
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158495
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511266139
【氏名又は名称】株式会社住野事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】堀井 利真
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04552653(US,A)
【文献】中国実用新案第211765136(CN,U)
【文献】特開2005-227270(JP,A)
【文献】実公平06-035788(JP,Y2)
【文献】特開2012-250694(JP,A)
【文献】特開昭63-116948(JP,A)
【文献】特開昭59-195433(JP,A)
【文献】特開2015-229446(JP,A)
【文献】特開2005-35792(JP,A)
【文献】特開昭61-12446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
B62D 33/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;
前記荷台の立上り時の前記ホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;
前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩別手段の篩部の篩目を通過しない前記被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;
前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;を備えた移動式篩別車であって、
前記荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;
前記ホッパー部から前記篩別手段への移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;
前記車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;
前記荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と;を備え、
前記ダンプアップ手段による前記荷台の立上り傾斜角度と、前記ゲート部の開度と、前記荷台の車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを運転キャビン内で視認可能に、前記運転キャビン内の操作盤のモニター部の表示画面として表示する表示手段と、
前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの傾きを予め定められた閾値内に調整するように前記左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを備え
前記ジャッキアップ制御手段は、前記操作盤によって前記左右一対のジャッキアップ手段の張出を、前記左右の傾きについては個別に制御し、前記前後の傾きについては同時に制御するものであることを特徴とする移動式篩別車。
【請求項2】
前記ホッパー部へ投入された前記被篩別物の前記荷台への積載量を計測する積載量計測手段と、
前記積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の移動式篩別車。
【請求項3】
前記荷台に搭載された前記ホッパー部の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の画像を前記運転キャビン内で視認可能なモニター手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式篩別車。
【請求項4】
前記篩別手段が、篩面を振動可能な振動篩別手段であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の移動式篩別車。
【請求項5】
前記篩別手段が、上段から下段に向かって篩目が徐々に小さくなる第1篩面と第2篩面とを備え、
前記通過物保存室は、前記第1篩面を通過し且つ前記第2篩面を通過しない第1通過物が保存される第1通過物保存室と、前記第1通過物保存室の下段で前記第2篩面を通過した第2通過物が保存される第2通過物保存室と、を備え、
前記非通過物保存室の荷台後端面壁の非通過物排出口を開閉する非通過物用煽戸と、前記第2通過物保存室の荷台後端面壁の通過物排出口を開閉する通過物煽戸と、前記第1通過物保存室の底面の一部の端部を前記第2通過物保存室の後端側に開放可能に開閉する仕切り扉と、を備え、
前記運転キャビン内の運転席から操作可能な操作パネルをさらに備え、該操作パネルは、前記非通過物用煽戸と前記通過物煽戸と前記仕切り扉とをそれぞれ開閉可能なスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の移動式篩別車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば公道を走行可能なダンプカー等の車輌シャーシ上に搭載された傾斜可能な荷台に篩別手段を備えた移動式篩別車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公道を走行可能なダンプカー等の車輌シャーシ上に搭載された傾斜可能な荷台に篩別装置を備えたダンプ運搬車が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。このダンプ運搬車は、仕切板により上下方向に区画された上荷室と下荷室とを起伏可能な荷箱に備え、更に、仕切板前部に篩網を備える。
【0003】
この篩網を備えたダンプ運搬車としては、粉塵や細粒等を含む粒状物を積載して運搬後、荷卸しに際して荷箱を揚立させることによって、積載物中に混在する粉塵、細粒が下流側の篩網上に移動する際に、粒径の小さいものが篩網の穴を通過して下荷室に、粒径の大きいものが篩網の穴を通過せず上荷室に移動することにより、篩別けられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平6-35788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このダンプ運搬車としては、最上段となる荷箱内に被篩別物を積載させ、荷卸しの際に荷箱を揚立させて下方の篩別装置への移動に伴って篩別けを行うものであるため、荷箱の揚立角度に応じて移動量が相違するため、被篩別物の種類に応じて揚立角度を調整するに際して、最上段となる荷室から篩網へ移動する被篩別物の移動量を確認しながら調整する必要があった。
【0006】
加えて、荷台をダンプアップする際には、重心が上方に移動するため、シャーシ自体が転倒しやすくなる。また、被篩別物が最上段となる荷箱から全て篩別装置へ移動することの確認についても、外方から確認する必要もあった。
【0007】
本発明は、荷台をダンプアップしても転倒する恐れを無くし、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から篩別装置へ移動する被篩別物の移動を外方から確認する必要が無い移動式篩別車を得ることを目的とし、更に、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から全て篩別装置へ移動することの確認についても、外方から確認する必要も無い移動式篩別車を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明に係る移動式篩別車は、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;
前記荷台の立上り時の前記ホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;
前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩別手段の篩部の篩目を通過しない前記被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;
前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;を備えた移動式篩別車であって、
前記荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;
前記ホッパー部から前記篩別手段への移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;
前記車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;
前記荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と;を備え、
前記ダンプアップ手段による前記荷台の立上り傾斜角度と、前記ゲート部の開度と、前記荷台の車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを運転キャビン内で視認可能に、前記運転キャビン内の操作盤のモニター部の表示画面として表示する表示手段と、
前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの傾きを予め定められた閾値内に調整するように前記左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを備え
前記ジャッキアップ制御手段は、前記操作盤によって前記左右一対のジャッキアップ手段の張出を、前記左右の傾きについては個別に制御し、前記前後の傾きについては同時に制御するものであることを特徴とする
【0009】
請求項2に記載された発明に係る移動式篩別車は、請求項1に記載のホッパー部へ投入された前記被篩別物の前記荷台への積載量を計測する積載量計測手段と、
前記積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段とを更に備えたものである。
【0010】
請求項3に記載された発明に係る移動式篩別車は、請求項1又は2に記載の荷台に搭載された前記ホッパー部の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の画像を前記運転キャビン内で視認可能なモニター手段とを更に備えたものである。
【0011】
請求項4に記載された発明に係る移動式篩別車は、請求項1~3の何れか1項に記載の篩別手段が、篩面を振動可能な振動篩別手段であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載された発明に係る移動式篩別車は、請求項1~4の何れか1項に記載の篩別手段が、上段から下段に向かって篩目が徐々に小さくなる第1篩面と第2篩面とを備え、
前記通過物保存室は、前記第1篩面を通過し且つ前記第2篩面を通過しない第1通過物が保存される第1通過物保存室と、前記第1通過物保存室の下段で前記第2篩面を通過した第2通過物が保存される第2通過物保存室と、を備え、
前記非通過物保存室の荷台後端面壁の非通過物排出口を開閉する非通過物用煽戸と、前記第2通過物保存室の荷台後端面壁の通過物排出口を開閉する通過物煽戸と、前記第1通過物保存室の底面の一部の端部を前記第2通過物保存室の後端側に開放可能に開閉する仕切り扉と、を備え、
前記運転キャビン内の運転席から操作可能な操作パネルをさらに備え、該操作パネルは、前記非通過物用煽戸と前記通過物煽戸と前記仕切り扉とをそれぞれ開閉可能なスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、荷台をダンプアップしても転倒する恐れを無くし、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から篩別手段としての篩別装置へ移動する被篩別物の移動を外方から確認する必要が無い移動式篩別車を得ることができる。更に、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から全て篩別装置へ移動することの確認についても、外方から確認する必要も無い移動式篩別車を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の移動式篩別車の一実施例の構成を示す左側面図である。
図2図1の荷台のダンプアップ状態を示す左側面図である。
図3】運転キャビン内で確認可能な表示手段を備えた操作盤の正面図である。
図4図3の操作盤とは別の操作盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;荷台の立上り時のホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;荷台の立上り時の篩別手段の下位位置に配され、篩別手段の篩部の篩目を通過しない被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;荷台の立上り時の篩別手段の下位位置に配され、篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;を備えた移動式篩別車である。
【0016】
また、荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;ホッパー部から篩別手段への被篩別物の移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と;を更に備えるものである。
【0017】
この移動式篩別車において、ダンプアップ手段による荷台の立上り傾斜角度と、ゲート部の開度と、荷台の車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを運転キャビン内で視認可能に表示する表示手段と、立上り時の荷台及び車輌シャーシの傾きを予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを備えるものである。これにより、荷台をダンプアップしても転倒する恐れを無くし、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から篩別装置へ移動する被篩別物の移動を外方から確認する必要が無い。
【0018】
即ち、荷台の立上り時に高位位置となるホッパー部に被篩別物を積載させ、ダンプアップ手段で荷台の立上り傾斜動作を行う。この際、ジャッキアップ制御手段によって立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を個別に制御することにより、荷台をダンプアップしても転倒する恐れが無くなる。
【0019】
更に、荷台の立上り傾斜動作を行った上で、ゲート開閉手段のゲート部の開度を開けることにより、ホッパー部に積載された被篩別物が篩別手段、そして、非通過物保存室及び通過物保存室へ被篩別物が移動する。これにより、表示装置によって、前方に傾いていた荷台及び車輌が後方側に傾くことが確認される。そのため、被篩別物の積載位置から篩別装置へ移動する被篩別物の移動を外方から確認する必要が無い。
【0020】
また、本発明のダンプアップ手段としては、通常のダンプカーのダンプアップ手段と同様に、荷台の立上り傾斜動作を行うものであれば良く、被篩別物から篩別された篩部の篩目を通過しない非通過物や篩目を通過した通過物の排出を考慮して、荷台の運転キャビン側の端部が立上り、荷台の反対の端部側に支点が配置される。特にこの支点は、好ましくは、車輌シャーシの後輪タイヤの近傍に配置される。
【0021】
本発明のジャッキアップ手段としては、荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、立上り時の荷台及び車輌シャーシの傾きを調整するものであれば良い。特に、本発明の移動式篩別車のジャッキアップ手段は、荷台のダンプアップ動作のみであるため、クレーンのように車輌シャーシ幅を超える荷重がかかり難い。このため、クレーンのアウトリガーのように車輌シャーシ幅を超える設置幅を必要とするものではなく、左右後輪タイヤの両後端側に配置される。これにより、素早い篩別作業工程を行うことが可能となる。
【0022】
本発明のジャッキアップ制御手段としては、立上り時の荷台及び車輌シャーシの左右の傾きを予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を制御するものであれば良い。即ち、本発明の移動式篩別車では、荷台のホッパー部から、篩別手段を経て、非通過物保存室及び通過物保存室へ至る荷台の幅を超えることの無い被篩別物の移動に伴う左右の傾きを調整するものであれば良い。
【0023】
具体的には、左右の傾きについて、例えば、±3°の閾値内を維持するように左右一対の油圧ジャッキの張出圧力を個別に制御する。また、より好ましくは、前後での傾きについても、例えば、±15°の閾値内を維持するように左右一対の油圧ジャッキの張出圧力を同時に制御しても良い。即ち、前後の傾きが大きい場合には、左右の油圧ジャッキの張出圧力を同時に制御することにより、前後での傾きの閾値を保持させても良い。
【0024】
本発明のホッパー部としては、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持し、ゲート開閉手段によって篩別手段への移動量を制限するゲート部の開度動作を行うものであれば良い。尚、ゲート部での被篩別物の留まりを防止するため、ゲート部の底板を前後に移動するリニアフィーダーや上下に振動する振動フィーダーを備えても良い。
【0025】
また、本発明の好ましい態様としては、ホッパー部へ投入された被篩別物の荷台への積載量を計測する積載量計測手段と、積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段とを更に備えるものであれば良い。これにより、ホッパー部に積載させた被篩別物の重量が計測されるため、例えば、本発明の移動式篩別車の側方からパワーショベル等でホッパー部に被篩別物を積載する作業を行う重機の操縦者に積載させた被篩別物の重量が目視で判るため、最大積載量を超えることが無く、転倒防止に役立つ。
【0026】
積載重量表示手段としては、例えば運転キャビンの天井部の上面に立設された表示装置であれば、パワーショベル等を操作する操縦者から視認可能であり、信号機のように最大積載量に近づくほどに緑色、黄色、赤色に変化するようにしても良く、更に、点滅又は点灯状態でより細かに変化するようにしても良い。
【0027】
更に、他の本発明の好ましい態様としては、荷台に搭載されたホッパー部の画像を撮影する撮影手段と、撮影手段の画像を運転キャビン内で視認可能なモニター手段とを更に備える。これにより、例えば、運転キャビン内の運転席でホッパー部の画像を視認可能となるため、作業効率が向上するだけで無く、ゲート部での目詰まり等々の不測の事態にも対応が可能となる。尚、篩別手段による篩別作業については、ホッパー部内の被篩別物が排出された後に、非通過物保存室への非通過物の落下等々の音の有無で作業終了が判る。
【0028】
また、モニター手段としては、新たに運転キャビン内で視認可能な位置に配置することも可能であるが、運転キャビン内に既存のバックモニター、ドライブレコーダー、ドライブナビゲーションシステム等で使用するモニターを利用し、篩別作業時に、ホッパー部の画像を撮影する撮影手段からの信号に切替えることにより、有効利用しても良い。
【0029】
更に、本発明の篩別手段としては、好ましくは、篩面を振動可能な振動篩別手段であり、更に好ましくは、篩別手段としては、上段から下段に向かって篩目が徐々に小さくなる2枚以上の篩面を備えたものであるものが選択される。これにより、篩別作業の効率化が図れ、より高度な篩別作業を行うことができる。
【0030】
この場合には、通過物保存室は、上段の第1篩面の篩目を通過し尚且つその下段の第2篩面の篩目を通過しない通過物を保存する第1通過物保存室と、第2篩面の篩面を通過した通過物を保存する第2通過物保存室とを備え、更に、必要に応じて第3篩面を備えた場合には、これを通過した通過物のために第3通過物保存室を備えれば良い。尚、可能であれば更に篩目の小さい篩面を増やす毎に保存室も増やせば良い。
【0031】
尚、非通過物保存室及び通過物保存室については、荷台から排出するための排出口が形成される。後述される実施例には、排出口は、非通過物保存室から荷台外へ排出する非通過物排出口と、通過物保存室から荷台外へ排出する通過物排出口とを備え、通過物保存室としては、第1通過物保存室と第2通過物保存室とが備わっている。このため、各通過物保存室毎に排出口を別途に設置することも可能であるし、第1通過物保存室の底面の一部の端部が、仕切り扉として第2通過物保存室内の後端側に開放されることで同じ通過物排出口を時間差を持って排出される。
【0032】
また、本発明の移動式篩別車については、被篩別物をホッパー部に積載させ、荷台を傾斜させて、ゲート開閉部の開度を調整しつつ、被篩別物を振動篩別手段で非通過物と通過物とに篩別させているが、振動篩別装置の篩別に応じた保存室から独自に排出する機構を備えるならば、被篩別物のホッパー部への搭載毎に荷台をダンプアップせずに、ダンプアップした状態を維持して連続的な篩別作業が可能となる。
【0033】
即ち、篩別手段に篩別する篩面が1つしか無く、この篩面による被篩別物の非通過物と通過物との2種類を篩別させるものであるならば、非通過物は非通過物保存室の非通過物排出口から、通過物は通過物保存室から通過物排出口から排出される。このため、荷台のダンプアップ状態を維持させたまま、ホッパー部にベルトコンベア等で被篩別物を投入しつつゲート部の開度を調整し、篩別手段で通過物と非通過物との篩別を行い各排出口から通過物と非通過物とを連続的に排出し、各々をベルトコンベア等で移動式篩別車から離れた場所に貯留することも可能である。
【0034】
また、後述する実施例に示す通り、篩別手段に篩別する篩面が2つあり、通過物排出口が1つしか無い場合には、通過物排出口の幅方向で相違する通過物を排出させることで連続的な篩別作業が可能となる。例えば、第1篩面を通過し第2篩面を通過しなかった第1通過物が保存される第1通過物保存室内にダンプアップした状態で一方の幅方向に第1通過物を導くガイド片を立設させ、第2篩面を通過した第2通過物が保存される第2通過物保存室内に同じくダンプアップした状態で他方の幅に第2通過物を導くガイド片を立設させることにより、同じ通過物排出口から幅の一方に寄せた第1通過物と、他方に寄せた第2通過物とを各々排出させることが可能となる。
【実施例
【0035】
図1は本発明の移動式篩別車の一実施例の構成を示す左側面図である。図2図1の荷台のダンプアップ状態を示す左側面図である。図3は運転キャビン内で確認可能な表示手段を備えた操作盤の正面図である。図4図3の操作盤とは別の操作盤の正面図である。
【0036】
図1及び図2に示す通り、本実施例の移動式篩別車10は、運転キャビン11内部の運転席での運転操作によってエンジン等の駆動源(図示せず)によって公道等を走行可能な車輌シャーシ12上にダンプアップ手段としての油圧シリンダー14によって車輌シャーシ12の後端部の支点13で傾斜可能な荷台20を備える。この移動式篩別車10は、左右に各々1つの前輪タイヤ15と、車輌シャーシ12の後部側に左右に各々2つの後輪タイヤ16とを備える。後輪タイヤ16の更に後端側であって支点13の略直下には、左右に一対の油圧ジャッキ17が配置されている。
【0037】
荷台20には、ダンプアップ時の高位位置に配置された被篩別物を保持するホッパー部21と、荷台20のダンプアップ時のホッパー部21の下位位置に配された篩別手段としての振動篩別装置31と、荷台20のダンプアップ時の振動篩別装置31の下位位置に被篩別物の篩別されたものを保存する3つの保存室41、42、43とを備える。
【0038】
荷台20のダンプアップ時に高位位置に配置されたホッパー部21には、荷台20のダンプアップ時に最下位位置となる個所に振動篩別装置31へのゲート部22を備える。このゲート部22は、ゲート開閉手段としてのホッパー部21の底面部から上方に油圧駆動によって開閉可能な開閉装置23を備えている。
【0039】
また、ホッパー部21のダンプアップ時にゲート部22に向かって傾斜する底面部は、ゲート部22での被篩別物の留まりを防止するためゲート部22及び振動篩別装置31に向かって前後に駆動するリニアフィーダー24である。これにより、被篩別物が圧力等でゲート部に向けてアーチ状に閉塞してしまうブリッジ等が形成されることを防止し、ゲート部からの被篩別物のスムーズな移送を行うことができる。
【0040】
本実施例の振動篩別装置31は、第1篩面32と第2篩面33とを振動させながら篩別けるものである。第2篩目33の篩目は、第1篩面32の篩目よりも細かいので、第1篩面32の篩目を通過しない非通過物と、第1篩面32の篩目を通過し尚且つ第2篩面33の篩目を通過しない第1通過物と、第2篩面33の篩目を通過した第2通過物とが篩別けられる。
【0041】
3つの保存室41、42、43としては、振動篩別装置31の下位位置で荷台20の上部に振動篩別装置31の篩部の第1篩面32の篩目を通過しない被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室41が配置されている。この非通過物保存室41の荷台20の後端壁面は、非通過物用煽戸47である。この非通過物用煽戸47は、非通過物排出口45を運転キャビン11内の運転席から操作可能な図4の操作パネルの「リアゲート上部」スイッチによって開閉可能となっている。
【0042】
非通過物保存室41の下段には、振動篩別装置31の第1篩面32の篩目を通過しその下段の第2篩面33の篩目を通過しない通過物が保存される第1通過物保存室42が配置されている。第1通過物保存室42の下段には、振動篩別装置31の第2篩面33の篩目を通過した通過物が振動篩別装置31の底板34の端部から保存される第2通過物保存室43が配置されている。
【0043】
この第に通過物保存室43の荷台20の後端壁面は、通過物用煽戸48である。この通過物用煽戸48も、通過物排出口46を運転キャビン11内の運転席から操作可能な図4の操作パネルの「リアゲート下部」スイッチによって開閉可能となっている。この通過物用煽戸48が開放されることにより、第2通過物保存室43内の第2通過物が荷台20の外へ排出される。
【0044】
一方、第1通過物保存室42内の第1通過物については、第1通過物保存室42の底面の一部の端部が、仕切り扉44として第2通過物保存室42の後端側に開放可能となっている。この仕切り扉44についても、運転席から操作可能な図4の操作パネルの「分離ゲート」スイッチによって開閉可能となっている。即ち、第2通過物保存室43内の第2通過物が荷台20の外へ排出された後に、通過物用煽戸48が開放されることにより、第1通過物が第1通過物保存室42から第2通過保存室43及び通過物用煽戸48を経て、荷台20の外へ排出される。
【0045】
荷台20の支点には角度センサーが配置されており、ダンプアップ手段としての油圧シリンダー14によってダンプアップされた荷台20の傾斜角度を計測している。また、ゲート部22の開度も開閉装置23で計測されている。これ計測された値は、表示画面の例として表示された図3の操作盤のモニター部の表示画面のように表示される。
【0046】
荷台20のジャッキアップ時の最上位位置及び車輌シャーシの前後端部には水平センサが配置されており、荷台20の車輌シャーシ12の進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きが計測される。計測された値は、同じく表示画面の例として表示された図3の操作盤のモニター部の表示画面のように表示される。
【0047】
車輌シャーシ12の後端部の左右一対の油圧ジャッキ17はダンプアップ時にスイッチが入れられ、図1の格納状態から図2の張出状態へと移行される。この張出状態では、モニター操作盤を制御する制御機構の内のジャッキアップ制御手段によって、荷台20の左右の角度及び車輌シャーシの傾きに応じて予め定められた閾値内を維持するように、前記左右一対の油圧ジャッキ17の張出圧力を制御している。
【0048】
具体的には、前述の図3示された左右の傾きについて、±3°の閾値内を維持するように左右一対の油圧ジャッキ17の張出圧力を個別に制御する。また、前後での傾きが大きい場合には、左右の油圧ジャッキ17の張出圧力を同時に制御することにより閾値を保持する。
【0049】
また、荷台20を支持している支点13及びダンプアップ用の油圧シリンダー14の各々には、重量センサーを備えており、これら重量センサーによってホッパー部20へ積載させた被篩別物の積載重量の総重量を計測することができる。計測された総重量は、同じく表示画面の例として表示された図3の操作盤のモニター部の表示画面として表示される。
【0050】
被篩別物の積載重量は、移動式篩別車の側方からパワーショベル等で荷台20のホッパー部21に被篩別物を積載する作業が行われる。このパワーショベル等の重機の操縦者がホッパー部21にどの程度積載すれば良いかの指標として積載重量表示手段を備える。即ち、積載重量表示手段としてのシグナルタワー18が運転キャビン11の天井部の上面に左右一対立設されている。
【0051】
このシグナルタワー18は、信号機のように下から緑色ランプ、黄色ランプ、赤色ランプが点灯又は点滅されるようになっている。本実施例では、積載重量に応じて各ランプの何れかが点滅又は点灯されるようになっている。具体的には、積載重量が0~1tでは3ランプは点灯せず、積載重量が1~2tとなった場合に下段の緑色ランプが点滅し、2~3tとなった場合に下段の緑色ランプが点灯し、3~4tで中断の黄色ランプが点滅し、4~5tで中断の黄色ランプが点灯し、5~6tで上段の赤色ランプが点滅し、6tを超えた際には赤色ランプが点灯するようになっている。
【0052】
積載作業を行う重機の操縦者はこれらランプの色と点灯状態を見て、赤色の点灯とならないようにすることによって、6.5tの最大積載量を超えないように積載させることが可能となる。また、天井部の上面の左右に配置されているため、移動式誌悦車10の両側方からの積載作業でも認識可能となっている。
【0053】
荷台20の運転キャビン11側の上縁部の中央部には、ホッパー部21の内側及び対向面のゲート部22を撮影する撮影手段としての監視カメラ25が設置されている。これにより、監視カメラ25の画像を運転キャビン11内の運転席で視認可能としている。視認するためのモニター手段としては、運転席に既存のドライブナビゲーションシステムのモニター(図示せず)を利用している。
【0054】
この監視カメラ25によって、運転キャビン11内でホッパー部21内の画像を視認可能となるため、作業効率が向上するだけで無く、ゲート部での目詰まり等々の不測の事態にも対応が可能となる。尚、本実施例では、ドライブナビゲーションシステムで使用するモニターを利用したが、他にも既存のバックモニター、ドライブレコーダー等で使用するモニターを利用しても良い。篩別作業時に、モニターへの入力信号を監視カメラ25から信号に切替えれば良い。
【符号の説明】
【0055】
10…移動式篩別車、
11…運転キャビン、
12…車輌シャーシ、
13…支点、
14…油圧シリンダー、
15…前輪タイヤ、
16…後輪タイヤ、
17…油圧ジャッキ、
18…シグナルタワー(積載重量表示手段)、
20…荷台、
21…ホッパー部、
22…ゲート部、
23…開閉装置、
24…リニアフィーダー、
25…監視カメラ(撮像手段)、
31…振動篩別装置、
32…第1篩目、
33…第2篩目、
34…底板、
41…非通過物保存室、
42…第1通過物保存室、
43…第2通過物保存室、
44…仕切り扉、
45…非通過物排出口、
46…通過物排出口、
47…非通過物用煽戸、
48…通過物用煽戸、
図1
図2
図3
図4