IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社住野事務所の特許一覧

<>
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図1
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図2
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図3
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図4
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図5
  • 特許-移動式篩別車用表示システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】移動式篩別車用表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20221116BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B60P1/04 Z
B62D33/023 Z
B60P1/04 A
B60P1/04 G
B60P1/04 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021063444
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158496
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511266139
【氏名又は名称】株式会社住野事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】堀井 利真
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04552653(US,A)
【文献】中国実用新案第211765136(CN,U)
【文献】特開2005-227270(JP,A)
【文献】実公平06-035788(JP,Y2)
【文献】特開昭63-116948(JP,A)
【文献】特開昭59-195433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
B62D 33/023
B07B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;前記荷台の立上り時の前記ホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩別手段の篩部の篩目を通過しない前記被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;前記荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;前記ホッパー部から前記篩別手段への前記被篩別物の移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;前記ホッパー部のダンプアップ時に前記ゲート部に向かって傾斜する底面部として前記ゲート部及び前記篩別手段に向かって前後に駆動するリニアフィーダーと;前記車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;ホッパー部から投入され前記非通過物保存室の排出口又は前記通過物保存室の排出口から排出される前の被篩別物の前記荷台への積載量を計測する積載量計測手段と;を備えた移動式篩別車の表示システムであって、
前記移動式篩別車の運転キャビン内に設置された表示手段を備え、
前記表示手段が、
前記ホッパー部に被篩別物を積載する工程で前記積載量計測手段によって計測された積載量と、
前記ダンプアップ手段で荷台を立ち上げる工程で選択又は計測された荷台の立上り角度と、
前記荷台が立ち上がった状態での篩別作業工程で選択された前記ゲート部の開度と、
前記荷台が立ち上がった状態での前記傾斜計測手段で計測された荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きと、
を表示するモニター画面と、画面上で各種設定が行える設定画面と、現在発生中の異常が表示される異常画面とを切り替え可能に表示するものであり、
前記設定画面は、設定項目として前記ゲート部の開度と前記リニアフィーダーを駆動させるフィーダモータ周波数と前記篩別手段の篩面を振動させるスクリーンモータ周波数とを含み、前記フィーダモータ周波数と前記スクリーンモータ周波数とは運転中も変更可能であることを特徴とする移動式篩別車用表示システム。
【請求項2】
前記荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と、
前記傾斜計測手段で計測された前記荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きに対して、予め定められた閾値内に調整するように前記左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の移動式篩別車用表示システム。
【請求項3】
前記積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式篩別車用表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば公道を走行可能なダンプカー等の車輌シャーシ上に搭載された傾斜可能な荷台に篩別手段を備えた移動式篩別車用表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
公道を走行可能なダンプカー等の車輌シャーシ上に搭載された傾斜可能な荷台に篩別装置を備えたダンプ運搬車が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。このダンプ運搬車は、仕切板により上下方向に区画された上荷室と下荷室とを起伏可能な荷箱に備え、更に、仕切板前部に篩網を備える。
【0003】
この篩網を備えたダンプ運搬車は、粉塵や細粒を含む粒状物を積載して運搬後、荷卸しに際して荷箱を揚立させることによって、積載物中に混在する粉塵や細粒が下流側の篩網上に移動する。この際に、粒径の小さいものが篩網の穴を通過して下荷室に、粒径の大きいものが篩網の穴を通過せず上荷室に移動することにより、篩別けられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平6-35788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このダンプ運搬車は、最上段となる荷箱内に被篩別物を積載させ、荷卸しの際に荷箱を揚立させて下方の篩別装置への移動に伴って篩別けを行うものである。このため、荷箱の揚立角度に応じて移動量が相違するため、被篩別物の種類に応じて揚立角度を調整するに際して、最上段となる荷室から篩網へ移動する被篩別物の移動量を確認しながら調整する必要があった。
【0006】
特に被篩別物については、開けた土地に野積みされている場合が多く、運転キャビン外から確認する必要があった。加えて、荷台をダンプアップする際には、重心が上方に移動するため、シャーシ自体が転倒しやすくなる。また、被篩別物が最上段となる荷箱から全て篩別装置へ移動することの確認についても、外方から確認する必要もあった。しかし、運転キャビン外は、夏は暑く、冬は寒く、風の強い日には細かい被篩別物が外気に舞う過酷な環境であることが多いものであり、外からの確認はできるだけ避けることが望まれている。
【0007】
本発明は、最上段となる荷室のホッパー部から篩別手段へ移動する被篩別物の移動量を外から確認しながら調整する必要が無く、運転キャビン内でホッパー部に積載された被篩別物の篩別作業を把握することができ、篩別作業に伴う移動式篩別車の異常についても把握することができ、その対処についても運転キャビン内で対応することが可能となる移動式篩別車用表示システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明に係る移動式篩別車用表示システムは、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;前記荷台の立上り時の前記ホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩別手段の篩部の篩目を通過しない前記被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;前記荷台の立上り時の前記篩別手段の下位位置に配され、前記篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;前記荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;前記ホッパー部から前記篩別手段への前記被篩別物の移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;前記ホッパー部のダンプアップ時に前記ゲート部に向かって傾斜する底面部として前記ゲート部及び前記篩別手段に向かって前後に駆動するリニアフィーダーと;前記車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;ホッパー部から投入され前記非通過物保存室の排出口又は前記通過物保存室の排出口から排出される前の被篩別物の前記荷台への積載量を計測する積載量計測手段と;を備えた移動式篩別車の表示システムであって、
前記移動式篩別車の運転キャビン内に設置された表示手段を備え、
前記表示手段が、
前記ホッパー部に被篩別物を積載する工程で前記積載量計測手段によって計測された積載量と、
前記ダンプアップ手段で荷台を立ち上げる工程で選択又は計測された荷台の立上り角度と、
前記荷台が立ち上がった状態での篩別作業工程で選択された前記ゲート部の開度と、
前記荷台が立ち上がった状態での前記傾斜計測手段で計測された荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きと、
を表示するモニター画面と、画面上で各種設定が行える設定画面と、現在発生中の異常が表示される異常画面とを切り替え可能に表示するものであり、
前記設定画面は、設定項目として前記ゲート部の開度と前記リニアフィーダーを駆動させるフィーダモータ周波数と前記篩別手段の篩面を振動させるスクリーンモータ周波数とを含み、前記フィーダモータ周波数と前記スクリーンモータ周波数とは運転中も変更可能であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明に係る移動式篩別車用表示システムは、請求項1に記載の荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、前記立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と、
前記傾斜計測手段で計測された前記荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きに対して、予め定められた閾値内に調整するように前記左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを更に備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明に係る移動式篩別車用表示システムは、請求項1又は2に記載の積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、最上段となる荷室のホッパー部から篩別手段へ移動する被篩別物の移動量を外から確認しながら調整する必要が無く、運転キャビン内でホッパー部に積載された被篩別物の篩別作業を把握することができ、篩別作業に伴う移動式篩別車の異常についても把握することができ、その対処についても運転キャビン内で対応することが可能となる移動式篩別車用表示システムを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の移動式篩別車の一実施例の構成を示す左側面図である。
図2図1の荷台のダンプアップ状態を示す左側面図である。
図3】運転席で確認可能な表示手段を備えた操作盤の正面図である。
図4図3の操作盤とは別の操作盤の正面図である。
図5図3の操作盤の表示画面を示すものであり、a図はメニュー画面、b図はモニター画面、c図は設定画面、d図は異常画面のリセット画面、e図は異常履歴を示す画面である。
図6図3の操作盤の別の表示画面を示すものであり、a図はI/Oモニタ画面、b図はデータモニタ画面、c図はシステムパラメータ設定1、d図はシステムパラメータ設定2、e図はシステムパラメータ設定3である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明においては、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持するホッパー部と;荷台の立上り時のホッパー部の下位位置に配された篩別手段と;荷台の立上り時の篩別手段の下位位置に配され、篩別手段の篩部の篩目を通過しない被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室と;荷台の立上り時の篩別手段の下位位置に配され、篩部の篩目を通過した通過物が保存される通過物保存室と;荷台の立上り傾斜動作を行うダンプアップ手段と;ホッパー部から篩別手段への被篩別部の移動量を制限するゲート部の開度動作を行うゲート開閉手段と;車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きとを計測する傾斜計測手段と;ホッパー部から投入され非通過物保存室の排出口又は通過物保存室の排出口から排出される前の被篩別物の荷台への積載量を計測する積載量計測手段と;を備えた移動式篩別車で用いる表示システムである。
【0014】
この表示システムは、移動式篩別車の運転キャビン内に設置された表示手段を備え、更に、この表示手段が、ホッパー部に被篩別物を積載する工程で計測された積載量と、ダンプアップ手段で荷台を立ち上げる工程で選択又は計測された荷台の立上り角度と、荷台が立ち上がった状態での篩別作業工程で選択されたゲート部の開度と、荷台が立ち上がった状態での荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きと、を表示するものである。
【0015】
これにより、立上り時に荷台の最上段となるホッパー部から篩別手段へ移動する被篩別物の移動量を外から確認しながら調整する必要が無く、運転キャビン内で表示手段によってホッパー部に積載された被篩別物の篩別作業を把握することができ、篩別作業に伴う移動式篩別車の異常についても把握することができ、その対処についても運転キャビン内で対応することが可能となる移動式篩別車用表示システムを得ることができる。
【0016】
本発明のジャッキアップ手段としては、荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、立上り時の荷台及び車輌シャーシの傾きを調整するものであれば良い。特に、本発明の移動式篩別車の動作は、荷台のダンプアップ動作のみであるため、クレーンのように車輌シャーシ幅を超える荷重がかかり難い。このため、クレーンのアウトリガーのように車輌シャーシ幅を超える設置幅を必要とするものではなく、左右後輪タイヤの両後端側に配置されるジャッキアップ手段で対応することができる。ジャッキアップ手段が、車輌シャーシ幅を超える設置幅を有することが無いため、素早い篩別作業工程を行うことが可能となる。
【0017】
本発明のホッパー部としては、車輌シャーシ上に傾斜可能な荷台の立上り時の高位位置に配された被篩別物を保持し、ゲート開閉手段によって篩別手段への篩別物の移動量を制限するゲート部の開度動作を行うものであれば良い。尚、ゲート部での被篩別物の留まりを防止するため、ゲート部の底板を前後に移動するリニアフィーダーや上下に振動する振動フィーダーを備えても良い。
【0018】
本発明の表示手段としては、移動式篩別車の運転キャビン内に設置されたものであれば良く、加えて、ホッパー部に被篩別物を積載する工程で計測された積載量と、ダンプアップ手段で荷台を立ち上げる工程で選択又は計測された荷台の立上り角度と、荷台が立ち上がった状態での篩別作業工程で選択されたゲート部の開度と、荷台が立ち上がった状態での荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きと、を表示するものであれば良い。
【0019】
即ち、表示手段としては、運転キャビン内の運転席又は助手席に着席した人物から視認可能なものであれば良く、積載量と、荷台の立上り角度と、ゲート部の開度と、荷台及び車輌シャーシの前後の傾き及び左右の傾きとを表示することにより、運転キャビン内での篩別作業工程を把握できるものであれば良い。
【0020】
本発明の積載量計測手段としては、ホッパー部へ投入された被篩別物の荷台への積載量を計測するものであれば良い。例えば、荷台を支持している支点やダンプアップ用の油圧シリンダーの各々に、重量センサーを備え、これら重量センサーによってホッパー部へ積載させた被篩別物の積載重量の総重量を計測するものであれば良い。また、好ましくは、積載量計測手段によって計測された積載量を車外から認識可能な積載重量表示手段を更に備える。
【0021】
これにより、ホッパー部に被篩別物を積層させるパワーショベル等の重機の操縦者に対して、積載重量表示手段によって現在の積載量を示すことが可能となるため、予め定められた最大積載量を超えて積載させることが無くなるため、速やかな篩別作業工程への移行が行うことができ、更には、本移動式篩別車の転倒防止にも役立つ。
【0022】
また、好ましい態様としては、荷台の支点部分近傍の車輌シャーシを支持する左右後輪タイヤの両後端側に配置され、立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを調整する左右一対のジャッキアップ手段と、表示手段の荷台及び車輌シャーシの進行方向に対する前後の傾き及び左右の傾きに対して、予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を制御するジャッキアップ制御手段とを更に備える。
【0023】
これにより、荷台をダンプアップしても転倒する恐れを無くし、荷台の高位位置となる被篩別物の積載位置から篩別装置へ移動する被篩別物の移動を外方から確認する必要が無い。即ち、荷台の立上り時に高位位置となるホッパー部に被篩別物を積載させ、ダンプアップ手段で荷台の立上り傾斜動作を行う。この際、ジャッキアップ制御手段によって立上り時の荷台及び車輌シャーシの前後左右の傾きを予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を個別に制御することにより、荷台をダンプアップしても転倒する恐れが無くなる。
【0024】
具体的には、本発明のジャッキアップ制御手段としては、立上り時の荷台及び車輌シャーシの左右の傾きを予め定められた閾値内に調整するように左右一対のジャッキアップ手段を制御するものであれば良い。即ち、本発明の移動式篩別車では、荷台のホッパー部から、篩別手段を経て、非通過物保存室及び通過物保存室へ至る荷台の幅を超えることの無い被篩別物の移動に伴う左右の傾きを調整するものであれば良い。
【0025】
更に具体的に付言するならは、左右の傾きについて、例えば、±3°の閾値内を維持するように左右一対のジャッキアップ手段としての油圧ジャッキの張出圧力を個別に制御する。また、より好ましくは、前後での傾きについても、例えば、±15°の閾値内を維持するように左右一対の油圧ジャッキの張出圧力を同時に制御しても良い。即ち、前後の傾きが大きい場合には、左右の油圧ジャッキの張出圧力を同時に制御することにより、前後での傾きの閾値を保持させても良い。
【実施例
【0026】
図1は本発明の移動式篩別車の一実施例の構成を示す左側面図である。図2図1の荷台のダンプアップ状態を示す左側面図である。図3は運転キャビン内で確認可能な表示手段を備えた操作盤の正面図である。図4図3の操作盤とは別の操作盤の正面図である。図5図3のモニター盤の表示画面を示すものであり、a図はメニュー画面、b図はモニター画面、c図は設定画面、d図は異常画面のリセット画面、e図は異常履歴を示す画面である。図6図3の操作盤の別の表示画面を示すものであり、a図はI/Oモニタ画面、b図はデータモニタ画面、c図はシステムパラメータ設定1、d図はシステムパラメータ設定2、e図はシステムパラメータ設定3である。
【0027】
図1及び図2に示す通り、本実施例の移動式篩別車10は、運転キャビン11内部の運転席での運転操作によってエンジン等の駆動源(図示せず)によって公道等を走行可能な車輌シャーシ12上にダンプアップ手段としての油圧シリンダー14によって車輌シャーシ12の後端部の支点13を回動中心として傾斜可能な荷台20を備える。この移動式篩別車10は、左右に各々1つの前輪タイヤ15と、車輌シャーシ12の後部側に左右に各々2つの後輪タイヤ16とを備える。後輪タイヤ16の更に後端側であって支点13の略直下には、左右に一対の油圧ジャッキ17が配置されている。
【0028】
荷台20には、ダンプアップ時の高位位置に配置された被篩別物を保持するホッパー部21と、荷台20のダンプアップ時のホッパー部21の下位位置に配された篩別手段としての振動篩別装置31と、荷台20のダンプアップ時の振動篩別装置31の下位位置に被篩別物の篩別されたものを保存する3つの保存室41、42、43とを備える。
【0029】
荷台20のダンプアップ時に高位位置に配置されたホッパー部21には、荷台20のダンプアップ時に最下位位置となる個所に振動篩別装置31へのゲート部22を備える。このゲート部22は、ゲート開閉手段としてのホッパー部21の底面部から上方に油圧駆動によって開閉可能な開閉装置23を備えている。
【0030】
また、ホッパー部21のダンプアップ時にゲート部22に向かって傾斜する底面部は、ゲート部22での被篩別物の留まりを防止するためゲート部22及び振動篩別装置31に向かって前後に駆動するリニアフィーダー24である。これにより、被篩別物が圧力等でゲート部に向けてアーチ状に閉塞してしまうブリッジ等が形成されることを防止し、ゲート部からの被篩別物のスムーズな移送を行うことができる。
【0031】
本実施例の振動篩別装置31は、第1篩面32と第2篩面33とを振動させながら篩別けるものである。第2篩目33の篩目は、第1篩面32の篩目よりも細かいので、第1篩面32の篩目を通過しない非通過物と、第1篩面32の篩目を通過し尚且つ第2篩面33の篩目を通過しない第1通過物と、第2篩面33の篩目を通過した第2通過物とが篩別けられる。
【0032】
3つの保存室41、42、43としては、振動篩別装置31の下位位置で荷台20の上部に振動篩別装置31の篩部の第1篩面32の篩目を通過しない被篩別物の非通過物が保存される非通過物保存室41が配置されている。この非通過物保存室41の荷台20の後端壁面は、非通過物用煽戸47である。この非通過物用煽戸47は、非通過物排出口45を運転キャビン11内の運転席から操作可能な図4の操作盤の「リアゲート上部」スイッチによって開閉可能となっている。
【0033】
非通過物保存室41の下段には、振動篩別装置31の第1篩面32の篩目を通過しその下段の第2篩面33の篩目を通過しない第1通過物が保存される第1通過物保存室42が配置されている。第1通過物保存室42の下段には、振動篩別装置31の第2篩面33の篩目を通過した第2通過物が振動篩別装置31の底板34の端部から保存される第2通過物保存室43が配置されている。
【0034】
この第2通過物保存室43の荷台20の後端壁面は、通過物用煽戸48である。この通過物用煽戸48も、通過物排出口46を運転キャビン11内の運転席から操作可能な図4の操作盤の「リアゲート下部」スイッチによって開閉可能となっている。この通過物用煽戸48が開放されることにより、第2通過物保存室43内の第2通過物が荷台20の外へ排出される。
【0035】
一方、第1通過物保存室42内の第1通過物については、第1通過物保存室42の底面の一部の端部が、仕切り扉44として第2通過物保存室43の後端側に開放可能となっている。この仕切り扉44についても、運転席から操作可能な図4の操作盤の「分離ゲート」スイッチによって開閉可能となっている。即ち、第2通過物保存室43内の第2通過物が荷台20の外へ排出された後に、仕切り扉44が開放されることにより、第1通過物が第1通過物保存室42から第2通過保存室43及び通過物用煽戸48を経て、荷台20の外へ排出される。
【0036】
荷台20の支点13には角度センサーが配置されており、ダンプアップ手段としての油圧シリンダー14によってダンプアップされた荷台20の傾斜角度を計測している。また、ゲート部22の開度も開閉装置23で計測されている。これらの計測された値は、表示画面の例として表示された図3の操作盤50のモニター部の表示画面51のように表示される。
【0037】
荷台20のジャッキアップ時の最上位位置及び車輌シャーシの前後端部には水平センサが配置されており、荷台20の車輌シャーシ12の進行方向に対する前後の傾きと左右の傾きが計測される。計測された値は、同じく表示画面の例として表示された図5のb図の操作盤のモニター部の表示画面のように表示される。
【0038】
車輌シャーシ12の後端部の左右一対の油圧ジャッキ17はダンプアップ時にスイッチが入れられ、図1の格納状態から図2の張出状態へと移行される。この張出状態では、モニター操作盤の操作で制御する制御機構の内のジャッキアップ制御手段によって、荷台20の左右の角度及び車輌シャーシの傾きに応じて予め定められた閾値内を維持するように、前記左右一対の油圧ジャッキ17の張出圧力を制御している。
【0039】
具体的には、前述の図5のb図に示された左右の傾きについて、±3°の閾値内を維持するように左右一対の油圧ジャッキ17の張出圧力を個別に制御する。また、前後での傾きが大きい場合には、左右の油圧ジャッキ17の張出圧力を同時に制御することにより閾値を保持する。
【0040】
また、荷台20を支持している支点13及びダンプアップ用の油圧シリンダー14の各々には、重量センサーを備えており、これら重量センサーによってホッパー部20へ積載させた被篩別物の積載重量の総重量を計測することができる。計測された総重量は、同じく表示画面の例として表示された図5のb図の操作盤のモニター部の表示画面として表示される。
【0041】
被篩別物の積載重量の計測は、移動式篩別車の側方からパワーショベル等で荷台20のホッパー部21に被篩別物を積載する作業工程で行われる。このパワーショベル等の重機の操作者がホッパー部21にどの程度積載すれば良いかの指標として積載重量表示手段を備える。即ち、積載重量表示手段としてのシグナルタワー18が運転キャビン11の天井部の上面に左右一対立設されている。
【0042】
このシグナルタワー18は、信号機のように下から緑色ランプ、黄色ランプ、赤色ランプが点灯又は点滅されるようになっている。本実施例では、積載重量に応じて各ランプの何れかが点滅又は点灯されるようになっている。具体的には、積載重量が0~1tでは3ランプは点灯せず、積載重量が1~2tとなった場合に下段の緑色ランプが点滅し、2~3tとなった場合に下段の緑色ランプが点灯し、3~4tで中断の黄色ランプが点滅し、4~5tで中断の黄色ランプが点灯し、5~6tで上段の赤色ランプが点滅し、6tを超えた際には赤色ランプが点灯するようになっている。
【0043】
積載作業を行う重機の操作者はこれらランプの色と点灯状態を見て、赤色の点灯とならないようにすることによって、6.5tの最大積載量を超えないように積載させることが可能となる。また、天井部の上面の左右に配置されているため、移動式篩別車10の両側方からの積載作業でも認識可能となっている。
【0044】
荷台20の運転キャビン11側の上縁部の中央部には、ホッパー部21の内側及び対向面のゲート部22を撮影する撮影手段としての監視カメラ25が設置されている。これにより、監視カメラ25の画像を運転キャビン11内の運転席で視認可能としている。視認するためのモニター手段としては、運転席に既存のドライブナビゲーションシステムのモニター(図示せず)を利用している。
【0045】
この監視カメラ25によって、運転キャビン11内でホッパー部21内の画像を視認可能となるため、作業効率が向上するだけで無く、ゲート部での目詰まり等々の不測の事態にも対応が可能となる。尚、本実施例では、ドライブナビゲーションシステムで使用するモニターを利用したが、他にも既存のバックモニター、ドライブレコーダー等で使用するモニターを利用しても良い。篩別作業時に、モニターへの入力信号を監視カメラ25から信号に切替えれば良い。
【0046】
本実施例の図3の表示手段としての操作盤50の表示画面51は、図5及び図6の各々の表示画面を表示することができる。例えば、篩別作業の運転準備段階として、本実施例の移動式篩別車を被篩別物が貯留された篩別場所まで運転移動して、駐車する。篩別作業を開始する際には、車輌のエンジンを始動し、車輌に搭載された発電機の始動スイッチをオンとする。車輌のPTOを接続した後に、図3の操作盤50の操作電源スイッチをオンとする。
【0047】
操作盤50の表示画面51として、図5のa図のメニュー画面が表示され、画面をタッチして図5のb図のモニター画面に切り替える。重量計のリセットスイッチを入れて、積載重量の重量が0になった事を確認して、積載準備が終了する。荷台20のホッパー部21に被篩別物を積載させる重機の操縦者に連絡を入れて、被篩別物の積載が完了することを待機する。この際には、重機の操縦者は、シグナルタワー18のライトの点滅によって積載する重量が赤色の点灯にならないように注視して行うことで最大積載量を超えることがない。
【0048】
表示画面51を見ながら操作盤50のダンプアップ『上昇』スイッチを押し、予め設定していた希望の角度にダンプアップする。尚、ダンプ角度20°以上で振動篩別装置31のスクリーン、28°以上でリニアフィーダー24のフィーダが自動で起動し、ダンプ角度18°以下でスクリーン、25°以下でフィーダが自動で停止する。個々の設定については予め設定していた荷台の立上り角度、ゲート部22の開度、振動篩別装置31の篩面(スクリーン)の回転速度、リニアフィーダー24の速度で駆動する。尚、作業状況により表示画面51の設定画面(図5のc図)でフィーダの回転速度等を調整する。
【0049】
篩別作業については、荷台20の監視カメラ25の画面を見てホッパー部21内の被篩別物が排出されたことを確認した後に、非通過物保存室への非通過物の落下、通過物保存室への通過物の落下等々の音の有無で篩別作業の終了が判断可能である。その後の荷卸し作業は、図4の操作盤の振動篩別装置31のスクリーン運転のスイッチ及びリニアフィーダのフィーダモータのスイッチを『停止』にする。
【0050】
上段ゲートの荷降ろしについては、図4の操作盤のリアゲート上段スイッチでリアゲートを開いて排出する。この際に、ダンプアップ角度が足りないようであれば、図3の操作盤のダンプアップのスイッチを押し、荷台20を上昇させて排出する。尚、排出を終了したら、ダンプアップ下降スイッで荷台20を初期位置に戻す。また、リアゲート上段スイッチを閉とすることでリアゲートを閉じる。
【0051】
下段ゲートの荷降ろしについても、図4の操作盤のリアゲート下段スイッチをリアゲートを開いて排出する。この際にも、ダンプアップ角度が足りないようであれば、図3の操作盤51のダンプアップのスイッチを押し、荷台20を上昇させて排出する。尚、排出を終了したら、ダンプアップ下降スイッチを荷台20を初期位置に戻す。また、リアゲート下段スイッチを閉とすることでリアゲートを閉じる。
【0052】
中段ゲートの荷降ろしについては、下段ゲート荷降ろしの完了後に実施する。図4の操作盤の分離ゲートスイッチを押して、仕切り扉44を下降位置にして、リアゲート下段スイッチでリアゲートを開いて排出する。この際にも、ダンプアップ角度が足りないようであれば、図3の操作盤のダンプアップのスイッチを押し、荷台20を上昇させて排出する。尚、排出を終了したら、ダンプアップ下降スイッチを荷台20を初期位置に戻す。また、リアゲート下段スイッチを閉とすることでリアゲートを閉じる。更に、分離ゲートスイッチを『上昇』させて、仕切り扉44を上昇位置にする。
【0053】
尚、非常停止時の措置としては、図3の操作盤51の操作電源スイッチを『OFF』にするとスイッチ上部の『操作』ランプが消灯し、全ての動作が停止します。尚、車輌エンジン、PTO、及び、発電機については停止しないため、各キースイッチにて停止する必要がある。
【0054】
図5及び図6の個々の表示画面について、説明する。図5のa図のメニュー画面は、表示された各スイッチを押すと各画面へ切り替わる。尚、右最下段の「システムパラメータ」については、通常は選択できず、管理者パスワードを入力する事で選択可能となる。図5のb図のモニター画面は、本移動式篩別車の装置の状態を表示する。表示項目としては、「ダンプアップ角度」「パワーゲート(登録商標)開度」「フィーダ速度」「車体の傾き(左右方向)」「車体の傾き(前後方向)」「積込重量」「操作電源(入切)」及び「発電機運転状態」が表示されている。
【0055】
図5のc図の設定画面は、この画面上で各種設定が行える。設定項目としては、ゲート部22の「パワーゲート(登録商標)開度(0.0~100.0%)」、リニアフィーダ24の「フィーダモータ周波数(0.0~60.0Hz)」、振動篩別装置31の「スクリーンモータ周波数(50Hz/60Hz切換)」である。パワーゲート(登録商標)開度はパワーゲート(登録商標)スイッチを開にした際に設定した開度となって停止する。「フィーダモータ周波数」及び「スクリーンモータ周波数」については、運転中も変更可能である。
【0056】
図5のd図の異常画面は、各画面の右最下段の「異常」ボタンをタッチした場合、更には、異常が発生した場合には、異常画面となり、現在発生中の異常が表示される。この場合、異常原因を取り除いた後、ブザー停止、リセットスイッチをタッチする事で異常を解除できる。図5のe図の異常履歴画面は、これまでに発生した異常の履歴が表示される。下段の△/▽スイッチをタッチすると表示画面をスクロールさせて見ることも可能である。
【0057】
図6のa図のI/Oモニタ画面は、図5のa図の「I/Oモニタ」スイッチをタッチすることで、シーケンサの入出力の状態が表示される。1~4ページまであり、入力はONで黄色点灯、出力はONで赤点灯する。図6のb図のデータモニタ画面は、各種数値データの状態が表示される。表示項目としては、「フィーダ1 周波数Hz、電流A」「フィーダ2 周波数Hz、電流A」「スクリーン 周波数Hz、電流A」「パワーゲート(登録商標) 開度%、アナログ入力値」「車体傾斜左右 角度°、アナログ入力値」「車体傾斜前後 角度°、アナログ入力値」「ダンプアップ角 角度°、アナログ入力値」「積載重量 重量t、アナログ入力値」である。
【0058】
図6のc図、d図、e図は、システムパラメータ画面である。図5のa図の「システムパラメータ」スイッチをタッチすることで、表示される。前述の通り、通常は選択できず、管理者パスワードを入力する事で選択可能となる。このシステムパラメータの変更は、装置を熟知した担当者が行う、また、変更後は試運転を行い、変更が正しく反映されているか確認する必要がある。
【0059】
c図に示す通り、システムパラメータ1の設定項目は以下の通りである。尚、( )内は初期値である。即ち、「パワーゲート(登録商標)開度(0.0~100.0%)」「フィーダ運転速度(0.0~60.0Hz)」である。この2つについて、図に表示された数値は設定画面と同じである。「フィーダINV加速時間(5.0sec)」「フイーダINV減速時間(30.0sec)」について、これら2つについては、インバータの基底周波数までの加減速時が設定されている。加減速時に過負荷となる場合には、値を大きくする必要がある。「積込重量上限(6.5t)警報設定用」「ダンプアップ上限角度(45.0°)」である。
【0060】
d図に示す通り、システムパラメータ1の設定項目は以下の通りである。即ち、「車輌左右傾き異常(±3.0°)」「車輌前後傾き異常(±15.0°)」「ダンブアップ角上限異常(50.0°)角度異常インターロック設定用」「スクリーン運転角度(起動20.0° 停止18.0°)」「フィーダ運転角度(起動28.0° 停止28.0°)」尚、スクリーン及びフィーダ運転角度で設定されたダンプアップ角度で起動停止するものである。「スクリーン安定電流値(20.00A)」では、インターロック設定用スクリーン電流の平均値が設定値以下であればフィーダ起動可能となる。
【0061】
e図に示す通り、システムパラメータ1の設定項目は以下の通りである。即ち、「アウトリガーI/L」は、左右ジャッキ張出(圧カスイッチ)が、ONしない状態でダンプ上昇不可となるインターロックである。「角度異常I/L」は車輌傾き異常、またはダンプアップ角上限異常でダンプ上昇不可となるインターロックである。「スクリーンフィーダ起動I/L」はダンプアップ角度にてスクリーンフィーダの起動を有効とするか無効とするかを行うインターロックであり、フィーダ起動には、スクリーン電流安定も含まれる。「フィーダ停止制御」はフィーダインバータの停止方法を選択するものである。
【0062】
以上の通り、本実施例の表示画面としては、本移動式篩別車の装置の状態が表示されるモニター画面(図5のb図)を注視することにより、運転キャビン11内で異常事態に対応することが可能となり、運転キャビン外へ出て行くこと無く、篩別作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
10…移動式篩別車、
11…運転キャビン、
12…車輌シャーシ、
13…支点、
14…油圧シリンダー、
15…前輪タイヤ、
16…後輪タイヤ、
17…油圧ジャッキ、
18…シグナルタワー(積載重量表示手段)、
20…荷台、
21…ホッパー部、
22…ゲート部、
23…開閉装置、
24…リニアフィーダー、
25…監視カメラ(撮像手段)、
31…振動篩別装置、
32…第1篩目、
33…第2篩目、
34…底板、
41…非通過物保存室、
42…第1通過物保存室、
43…第2通過物保存室、
44…仕切り扉、
45…非通過物排出口、
46…通過物排出口、
47…非通過物用煽戸、
48…通過物用煽戸、
50…操作盤、
51…表示画面、
図1
図2
図3
図4
図5
図6