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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】レンチ構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B25B13/46 Z
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105076
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2022058155
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】109134257
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1317395(CN,A)
【文献】特表2019-529146(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193495(JP,U)
【文献】米国特許第04406183(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチ構造であって、
杆体部材を含み、前記杆体部材の外側表面は、
収容溝と、
前記収容溝内に設けられ、表面に弧面を有し、且つ前記弧面上に設けられた複数のラチェット歯を含む、噛合ブロックと、
一端が前記収容溝に当接しており、他端は前記噛合ブロックに当接している、少なくとも1つの弾性部材と、
前記収容溝に隣接し、前記杆体部材の前記外側表面を取り巻いている、係止部と、を含み、
前記レンチ構造はさらに、前記杆体部材に接続されたスリーブ部材を含み、前記スリーブ部材の内側表面は、
第1ラチェット歯部と、
第2ラチェット歯部と、
前記第1ラチェット歯部と前記第2ラチェット歯部の間に位置する歯無し部と、を含み、
前記スリーブ部材は前記杆体部材に対して第1位置又は第2位置に選択的に移動することができ、前記スリーブ部材が前記第1位置にあるとき、前記係止部は前記第2ラチェット歯部と接続され、前記スリーブ部材が前記第2位置にあるとき、前記係止部は前記歯無し部に隣接し、前記係止部が第2ラチェット歯部との噛み合いから離脱し、前記スリーブ部材が杆体部材に対して回転できるようになるレンチ構造
【請求項2】
前記噛合ブロックの軸方向長さは前記係止部の軸方向長さよりも大きい、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項3】
前記噛合ブロックは2つの凸柱を含み、前記2つの凸柱はそれぞれ前記噛合ブロックの両端に設けられ、前記収容溝の別の2つの内壁に当接している、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項4】
前記杆体部材は被覆部をさらに含み、前記被覆部は前記収容溝に接続され、前記収容溝がコの字型を呈するようにさせる、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項5】
前記噛合ブロックは扇形状である、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項6】
少なくとも1つの設置溝をさらに含み、前記少なくとも1つの設置溝は前記杆体部材の前記収容溝及び前記噛合ブロックの別の表面のうち少なくとも1つに設けられ、前記少なくとも1つの設置溝は前記少なくとも1つの弾性部材を中に設置するのに用いられる、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項7】
前記杆体部材は、
前記杆体部材の前記外側表面に設けられた、第1識別溝と、
前記杆体部材の前記外側表面に設けられ、且つ前記係止部から前記第1識別溝よりもさらに離れている、第2識別溝と、をさらに含む、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項8】
前記スリーブ部材は、前記スリーブ部材の前記内側表面に位置する、少なくとも2つの環状凹部をさらに含み、前記杆体部材は、
前記杆体部材の前記外側表面に設けられた、収容設置溝と、
前記収容設置溝内に収容設置された、位置決め玉と、
前記収容設置溝内に収容設置された、バネと、をさらに含み、前記バネの一端は前記位置決め玉に当接して、前記位置決め玉が前記杆体部材の前記外側表面に伸縮可能に突出するようにさせており、前記位置決め玉は前記環状凹部の1つと選択的に接続することができる、請求項1に記載のレンチ構造
【請求項9】
前記杆体部材の前記外側表面に設けられて、前記スリーブ部材を前記杆体部材に接続するのに用いられる、C形止め輪と、
前記スリーブ部材の前記内側表面に設けられて、前記スリーブ部材の前記内側表面から突起しており、前記杆体部材の前記外側表面に当接している、係合部材と、をさらに含む、請求項1に記載のレンチ構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動状態を変化可能なレンチ構造に関し、特に駆動状態を切り替えることができ、駆動状態を変化可能なレンチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているレンチは、主にラチェット式と固定式の2種類に分けられる。固定式レンチのコンビネーションソケットは、トルク出力が大きいという利点を有し得るが、締結や取り外し作業においては非常に不便である。ラチェット式レンチは、締結や取り外し作業を行う際、単方向に切り替えて回転し得る特性により、操作をより便利にすることができるが、ラチェット式のレンチが出力するトルクは固定式レンチには及ばない。そのため、使用者は作業ニーズに応じて2種類以上のレンチを装備する必要がある。
【0003】
従って、固定式レンチとラチェット式レンチの利点を兼ね備えた、駆動状態を変化可能なレンチ構造を開発することは、当業者にとって研究開発に値する目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態に基づき提供される駆動状態を変化可能なレンチ構造は、杆体部材とスリーブ部材を含む。スリーブ部材は杆体部材に接続され、スリーブ部材は杆体部材に対して第1位置と第2位置に選択的に移動することができる。杆体部材の外側表面は、収容溝、噛合ブロック、少なくとも1つの弾性部材及び係止部を含む。噛合ブロックは収容溝内に設けられ、噛合ブロックの表面は弧面を有し、且つ複数のラチェット歯を含み、ラチェット歯は噛合ブロックの弧面上に設けられている。弾性部材は収容溝内に設けられ、弾性部材の一端は収容溝に当接しており、弾性部材の他端は噛合ブロックに当接している。係止部は収容溝に隣接し、杆体部材の外側表面を取り巻いている。スリーブ部材の内側表面は第1ラチェット歯部、第2ラチェット歯部及び歯無し部を含む。歯無し部は第1ラチェット歯部と第2ラチェット歯部の間に位置している。スリーブ部材が第1位置にあるとき、係止部は第2ラチェット歯部と接続され、スリーブ部材が第2位置にあるとき、係止部は歯無し部に隣接している。
【0005】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、噛合ブロックの軸方向長さは係止部の軸方向長さよりも大きくてよい。
【0006】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、噛合ブロックは2つの凸柱を含んでよく、2つの凸柱はそれぞれ噛合ブロックの両端に設けられ、収容溝の別の2つの内壁に当接している。
【0007】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、杆体部材は被覆部をさらに含んでよく、被覆部は収容溝に接続され、収容溝をコの字型にさせている。
【0008】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、噛合ブロックは扇形状でよい。
【0009】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造は、少なくとも1つの設置溝をさらに含んでよく、設置溝は杆体部材の内側表面及び噛合ブロックの別の表面のうち少なくとも1つに設けられ、設置溝は弾性部材を中に設置するのに用いられる。
【0010】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、杆体部材は第1識別溝及び第2識別溝をさらに含んでよい。第1識別溝は杆体部材の外側表面に設けられている。第2識別溝は杆体部材の外側表面に設けられ、且つ係止部から第1識別溝よりもさらに離れている。
【0011】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造において、スリーブ部材は、スリーブ部材の内側表面に位置する少なくとも2つの環状凹部をさらに含んでよい。杆体部材は、収容設置溝、位置決め玉及びバネをさらに含んでよい。収容設置溝は杆体部材の外側表面に設けられている。位置決め玉は収容設置溝内に収容設置されている。バネは収容設置溝内に収容設置されている。バネの一端は位置決め玉に当接して、位置決め玉が杆体部材の外側表面に伸縮可能に突出するようにさせており、位置決め玉は環状凹部の1つと選択的に接続することができる。
【0012】
上述の実施形態に基づく駆動状態を変化可能なレンチ構造は、C形止め輪と係合部材をさらに含んでよく、C形止め輪は杆体部材の外側表面に設けられて、スリーブ部材を杆体部材に接続するのに用いられ、係合部材はスリーブ部材の内側表面に設けられ、スリーブ部材の内側表面から突起しており、係合部材は杆体部材の外側表面に当接している。
【0013】
上述の構造で構成し、且つ杆体部材とスリーブ部材の相対的な位置を制御することで、係止部を第2ラチェット歯部又は歯無し部と選択的に接続させることができ、これにより駆動状態を変化可能なレンチ構造の駆動状態を切り替えて、駆動状態を変化可能なレンチ構造の使用における利便性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の上述及び他の目的、特徴、優位点並びに実施例をより明解にするため、図面について以下の通り説明する。
【0015】
図1】本発明の実施形態における、1つの実施例の駆動状態を変化可能なレンチ構造の概念図である。
図2図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の分解図である。
図3図1の実施例におけるスリーブ部材の断面図である。
図4図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の4-4断面の断面図である。
図5図1の実施形態における、別の実施例の駆動状態を変化可能なレンチ構造の4-4断面の断面図である。
図6図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の6-6断面の断面図である。
図7図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の6-6断面の別の断面図である。
図8図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の部分透視概略図である。
図9図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造の別の部分透視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の複数の実施例について説明する。明確に説明するため、以下の記述中では多くの実務上の詳細も併せて説明する。なお、それらの実務上の詳細は本発明を限定するものではないことを理解されたい。即ち、本発明の一部の実施例中、それらの実務上の詳細は不要である。また、図面を簡略化するため、公知慣用の構造及び構成要素は、図面中に簡単に概略する方法で示している。また、重複する構成要素は同じ符号で示されている場合がある。
【0017】
図1の本発明の実施形態における、1つの実施例の駆動状態を変化可能なレンチ構造100の概念図を参照されたい。駆動状態を変化可能なレンチ構造100は、締結対象物(図示しない)に接続するのに用いられる。図1中、駆動状態を変化可能なレンチ構造100はエルボレンチであるが、本発明はこれに限定されない。図1から分かるように、駆動状態を変化可能なレンチ構造100は杆体部材110とスリーブ部材120を含み、スリーブ部材120は杆体部材110に接続され、スリーブ部材120は杆体部材110に対して第1位置(図6に示す通り)又は第2位置(図7に示す通り)に選択的に移動することができる。スリーブ部材120と杆体部材110の相対的な位置を変えることにより、駆動状態を変化可能なレンチ構造100に異なった駆動状態を得させており、駆動状態を変化可能なレンチ構造100を固定式レンチとラチェット式レンチとの間で変換させることで、使用者が締結や取り外し作業を行う際の利便性をより高めることができる。
【0018】
図2及び図3を参照して、図2は、図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造100の分解図であり、図3は、図1の実施例におけるスリーブ部材120の断面図である。具体的には、図1中、スリーブ部材120及び杆体部材110はいずれも円形を呈している。スリーブ部材120は収容空間(図示しない)を有しており、杆体部材110の一端はスリーブ部材120に環装され、且つスリーブ部材120の収容空間内に収容設置されており、スリーブ部材120は杆体部材110に対して軸方向X(図6に示す)沿いに移動することができる。
【0019】
図2から分かるように、杆体部材110の外側表面は、収容溝111、噛合ブロック130、少なくとも1つの弾性部材140及び係止部112を含み、図2中、弾性部材140の数は2つであるが、本発明はこれに限定されない。噛合ブロック130及び弾性部材140は収容溝111内に設けられ、弾性部材140の一端は収容溝111に当接しており、弾性部材140の他端は噛合ブロック130に当接している。係止部112は収容溝111に隣接し、杆体部材110の外側表面を取り巻いている。
【0020】
噛合ブロック130は2つの凸柱131を含んでよく、凸柱131はそれぞれ噛合ブロック130の2つの端面133に設置され、凸柱131は収容溝111の内壁1111に当接している。図6に示す通り、内壁1111に当接する凸柱131の一端は円弧形を呈している。これにより、2つの凸柱131を噛合ブロック130の支点として、噛合ブロック130が収容溝111に対してよりスムーズに伸縮できるようにすることができる。又は、噛合ブロック130を軸方向Xに対してある角度で傾斜させて、スリーブ部材120が杆体部材110に対してよりスムーズに移動できるようにすることができる。図2の実施形態中、噛合ブロック130は扇形状でよく、噛合ブロック130は弧面を有し、且つ複数のラチェット歯132を含み、ラチェット歯132は噛合ブロック130の弧面上に設けられている。
【0021】
さらに、図3から分かるように、スリーブ部材120の内側表面は第1ラチェット歯部121、第2ラチェット歯部122及び歯無し部123を含み、歯無し部123は第1ラチェット歯部121と第2ラチェット歯部122の間に位置している。より具体的には、第2ラチェット歯部122の軸方向長さは歯無し部123の軸方向長さに等しくてよく、第1ラチェット歯部121の軸方向長さは第2ラチェット歯部122の軸方向長さ及び歯無し部123の軸方向長さよりも大きくてよい。また、噛合ブロック130の軸方向長さは係止部112の軸方向長さよりも大きくてよく、杆体部材110の噛合ブロック130の軸方向長さは第1ラチェット歯部121の軸方向長さに等しくてよく、係止部112の軸方向長さは第2ラチェット歯部122の軸方向長さ及び歯無し部123の軸方向長さに等しくてよい。これにより、杆体部材110とスリーブ部材120との位置決めをより安定させることができ、駆動状態を変化可能なレンチ構造100の操作をよりスムーズにするのにも役立つ。なお、上述の軸方向長さとは、第1ラチェット歯部121、第2ラチェット歯部122、歯無し部123、噛合ブロック130及び係止部112における、スリーブ部材120の軸方向Xに平行な長さのことをいう。また、スリーブ部材120は装飾溝126をさらに含んでよく、図3中、装飾溝126の数は2つであるが、これに限定されない。装飾溝126は、スリーブ部材120の外側表面を平坦ではないようにさせるためにスリーブ部材120の外側表面に設けられ、これにより、使用者がスリーブ部材120を握った際の手触りの快適さを高め、スリーブ部材120の操作をよりスムーズにさせることができる。
【0022】
図4及び図5を参照して、図4は、図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造100の4-4断面の断面図であり、図5は、図1の実施形態における別の実施例の駆動状態を変化可能なレンチ構造100の4-4断面の断面図である。スリーブ部材120が杆体部材110と組み合わされて設けられ、且つ第1位置に位置しているとき、噛合ブロック130の弧面上のラチェット歯132は、スリーブ部材120の第1ラチェット歯部121と噛み合うことができる。また、図4に示す通り、杆体部材110は被覆部113をさらに含んでよく、これにより、杆体部材110の収容溝111がコの字型を呈するようにし、噛合ブロック130をより安定して収容溝111内に接続できるようにさせる。また、図5に示す通り、杆体部材110aの収容溝111aはL字型を呈してもよいが、本発明はこれらの開示内容に限定されない。使用ニーズに応じて杆体部材110の収容溝111の形状を設定し、噛合ブロック130と第1ラチェット歯部121との間の接触面積や接触範囲の様々な選択を提供することができる。
【0023】
図6及び図7を参照して、図6は、図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造100の6-6断面の断面図であり、図7は、図1の実施形態における別の実施例の駆動状態を変化可能なレンチ構造100の6-6断面の別の断面図である。また、説明を補助するために、図8及び図9を参照して、図8は、図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造100の部分透視概略図であり、図9は、図1の実施例における駆動状態を変化可能なレンチ構造100の別の部分透視概略図である。具体的には、図6及び図8中、スリーブ部材120は杆体部材110に対して第1位置に位置しており、このとき、駆動状態を変化可能なレンチ構造100は固定式レンチとして使用することができる。図7及び図9中、スリーブ部材120は杆体部材110に対して第2位置に位置しており、このとき、駆動状態を変化可能なレンチ構造100はラチェット式レンチとして使用することができる。
【0024】
図6から分かるように、駆動状態を変化可能なレンチ構造100は、少なくとも1つの設置溝をさらに含んでよく、少なくとも1つの設置溝は杆体部材110の内側表面及び噛合ブロック130の別の表面のうち少なくとも1つに設けられ、少なくとも1つの設置溝は弾性部材140を中に設置するのに用いられる。具体的には、図6の実施形態中、駆動状態を変化可能なレンチ構造100は、第1設置溝114と第2設置溝134を含み、第1設置溝114と第2設置溝134の数はどちらも2つである。第1設置溝114は杆体部材110の内側表面に設けられ、第2設置溝134は噛合ブロック130の1つの面に設けられている。弾性部材140の一端は第1設置溝114に当接しており、弾性部材140の他端は第2設置溝134に当接している。これにより、噛合ブロック130を杆体部材110に伸縮可能に嵌設し、噛合ブロック130がスリーブ部材120を係止して連動せしめるようにさせている。また、第1設置溝114と第2設置溝134を設けることにより、弾性部材140と杆体部材110及び噛合ブロック130との間の接続の安定性をより向上させることができる。
【0025】
さらに、図6に示す通り、スリーブ部材120は少なくとも2つの環状凹部124をさらに含んでよく、環状凹部124はスリーブ部材120の内側表面に位置している。杆体部材110は、収容設置溝118、位置決め玉117及びバネ119をさらに含んでよい。収容設置溝118は杆体部材110の外側表面に設けられ、位置決め玉117及びバネ119は収容設置溝118内に収容設置されている。バネ119の一端は位置決め玉117に当接して、位置決め玉117が杆体部材110の外側表面に伸縮可能に突出するようにさせており、位置決め玉117は環状凹部124の1つと選択的に接続することができる。図6の実施形態中、位置決め玉117の数は1つであり、環状凹部124の数は2つであるが、本発明はこれらの開示内容に限定されない。これにより、杆体部材110とスリーブ部材120との位置決めをより安定させることができ、駆動状態を変化可能なレンチ構造100の操作時における安定性をより向上させることもできる。
【0026】
駆動状態を変化可能なレンチ構造は、C形止め輪150と係合部材125をさらに含んでよく、C形止め輪150は杆体部材110の外側表面に設けられて、スリーブ部材120を杆体部材110に接続するのに用いられ、これにより、スリーブ部材120が杆体部材110から脱落しないようにさせる。係合部材125はスリーブ部材120の内側表面に設けられ、スリーブ部材120の内側表面から突起しており、係合部材125は杆体部材110の外側表面に当接しており、これにより、スリーブ部材120と杆体部材110との接続をより安定させ、駆動状態を変化可能なレンチ構造100の操作時における安定性をより向上させることができる。
【0027】
図6及び図8に示す通り、スリーブ部材120が杆体部材110に対して第1位置に位置するとき、係止部112は第2ラチェット歯部122と接続され、噛合ブロック130が第1ラチェット歯部121と噛み合い、これによりスリーブ部材120が杆体部材110に対して回転できないようにさせている。噛合ブロック130が第1ラチェット歯部121と完全に噛み合うことで、使用者は締結対象物に完全に加力することができる。また、係止部112と噛合ブロック130がそれぞれ第1ラチェット歯部121及び第2ラチェット歯部122と噛み合うことで、使用者が杆体部材110に加力するとき、スリーブ部材120が応力を均一に分散させて、スリーブ部材120と杆体部材110との接続をより安定させることができる。これにより、加力の作用を増加せしめる。
【0028】
図7及び図9に示す通り、使用者が駆動状態を変化可能なレンチ構造100を固定式レンチからラチェット式レンチに切り替えたい場合には、スリーブ部材120を軸方向Xに沿って移動させ、スリーブ部材120を杆体部材110に対して第1位置から第2位置まで移動させ、係止部112を歯無し部123と隣接させる。このとき、係止部112が第2ラチェット歯部122との噛み合いから離脱し、スリーブ部材120が杆体部材110に対して回転できるようにさせる。同時に、噛合ブロック130が第1ラチェット歯部121と接続され、使用者が単方向に沿ってスリーブ部材120を回転せしめると、第1ラチェット歯部121が噛合ブロック130に当接して弾性部材140を押圧し、これにより、スリーブ部材120が杆体部材110に係止されて連動し、スリーブ部材120が杆体部材110に対して単方向で往復運動することができ、駆動状態を変化可能なレンチ構造100を単方向のラチェットレンチとして使用することができる。
【0029】
なお、図2及ぶ図3から分かるように、噛合ブロック130のラチェット歯132の設置方向と第2ラチェット歯部122のラチェット歯(符号なし)の設置方向は、どちらも軸方向Xと同軸である。これにより、噛合ブロック130と第2ラチェット歯部122の接触面積を増やし、噛合ブロック130と第2ラチェット歯部122との間の係止力を高めることができる。駆動状態を変化可能なレンチ構造100の作動時には、係止力の不足が防止され、杆体部材110又はスリーブ部材120が変形するリスクを回避することができ、駆動状態を変化可能なレンチ構造100の耐用年数が増加する。
【0030】
再び図2図6及び図7を参照して、使用者が駆動状態を変化可能なレンチ構造100の駆動状態をよりはっきりと識別できるようにするため、杆体部材110は第1識別溝115と第2識別溝116をさらに含んでよい。第1識別溝115及び第2識別溝116は杆体部材110の外側表面に設けられ、第2識別溝116は係止部112から第1識別溝115よりもさらに離れている。さらに、図6に示す通り、スリーブ部材120が杆体部材110に対して第1位置に位置するとき、第1識別溝115と第2識別溝116はどちらも露出している。図7に示す通り、スリーブ部材120が杆体部材110に対して第2位置に位置するときは、第1識別溝115がスリーブ部材120から被覆を受けて露出せず、第2識別溝116のみが露出している。第1識別溝115が杆体部材110から見えるか否かを識別することにより、駆動状態を変化可能なレンチ構造100の駆動状態を識別することができる。また、第1識別溝115の色と第2識別溝116の色は異なってもよく、これにより、使用者が駆動状態を変化可能なレンチ構造100の駆動状態をより素早く、より直観的に判断することができる。
【0031】
要約すると、簡単な操作によって本発明の駆動状態を変化可能なレンチ構造を固定式レンチとラチェット式レンチとの間で素早く切り替えることで、本発明の駆動状態を変化可能なレンチ構造に大きなトルク出力と単方向のラチェット動作の効果を同時に持たせ、使用者の操作をよりフレキシブル且つ便利にすることができる。
【0032】
本発明を上述の実施形態により開示したが、それらは本発明を限定するものではなく、当業者であれば本発明の精神及び範囲を逸脱することなく各種の変更や修飾を行うことが可能であり、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲が定めるところに準ずるものとする。
【符号の説明】
【0033】
100 駆動状態を変化可能なレンチ構造
110、110a 杆体部材
111、111a 収容溝
1111 内壁
112 係止部
113 被覆部
114 第1設置溝
115 第1識別溝
116 第2識別溝
117 位置決め玉
118 収容設置溝
119 バネ
120 スリーブ部材
121 第1ラチェット歯部
122 第2ラチェット歯部
123 歯無し部
124 環状凹部
125 係合部
126 装飾溝
130 噛合ブロック
131 凸柱
132 ラチェット歯
133 端面
134 第2設置溝
140 弾性部材
150 C形止め輪
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9