(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20221116BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20221116BHJP
F28F 9/02 20060101ALI20221116BHJP
F28F 17/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/02
F28F9/02 301J
F28F17/00 511
(21)【出願番号】P 2021144976
(22)【出願日】2021-09-06
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513007413
【氏名又は名称】ドンファ エンテク シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】DONGHWA ENTEC CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】7,Noksansandan 261-ro Gangseo-gu Busan 46573 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ク、ビョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】コン、テウ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1903663(KR,B1)
【文献】特表2016-503483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/02
F28F 9/02
F28F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース、被加熱流体が出入りするメインポート、加熱流体が出入りするサブポート、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャンネルから構成されるプリント回路基板型熱交換器であって、
前記サブポートは、
前記ケースの一側に形成され、第1流入サブポートと第2流入サブポートに区分された流入サブポートと、
前記ケースの他側に形成され、第1流入サブポートと対向する流出サブポートとから構成され、
前記チャンネルは、
前記メインポートと連通して被加熱流体の通過するメイン流路が形成されたメインプレートと、
前記メインプレートの上下に重畳配置され、入口側は前記第1流入サブポートと連通し、出口側は前記第2流入サブポートと連通し、加熱流体の通過する第1流路が形成された第1プレートと、
前記第1プレートの
前記メインプレートとは反対側に重畳配置され、入口側は前記第2流入サブポートと連通し、出口側は前記流出サブポートと連通する第2流路が形成された第2プレートとから構成されることを特徴とする、アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項2】
前記第2流入サブポートには、
開閉可能なバルブがさらに備えられたことを特徴とする、請求項1に記載のアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項3】
前記ケースの上部と下部には、
前記第2流入サブポート及び前記流出サブポートと連通するジャケットがさらに備えられたことを特徴とする、請求項1に記載のアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項4】
ケース、被加熱流体が出入りするメインポート、加熱流体が出入りするサブポート、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャンネルから構成されるプリント回路基板型熱交換器であって、
前記サブポートは、
前記ケースの一側に形成される第1流入サブポートと、
前記ケースの他側に形成され、前記第1流入サブポートと対向する流出サブポートとから構成され、
前記チャンネルは、
前記メインポートと連通して被加熱流体の通過するメイン流路が形成されたメインプレートと、
前記メインプレートの上下に重畳配置され、入口側は前記第1流入サブポートに備えられた第1流入サブヘッダと連通し、出口側は前記第
1流入サブヘッダと区分形成された第2流入サブヘッダと連通し、加熱流体の通過する第1流路が形成された第1プレートと、
前記第1プレートの
前記メインプレートとは反対側に重畳配置され、入口側は前記第2流入サブヘッダと連通し、出口側は前記流出サブポートと連通する第2流路が形成された第2プレートとから構成されることを特徴とする、アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項5】
前記ケースの上部と下部には、前記第2流入サブヘッダ及び前記流出サブポートと連通するジャケットがさらに備えられたことを特徴とする、請求項4に記載のアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項6】
前記第1流路はジグザグ状に形成されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【請求項7】
前記第2流路は直線状に形成されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器に係り、より詳細には、熱交換に使用される加熱流体の流路を重畳するように構成して、積層された基板のアイシングを防止し、発生したアイシングは容易に除去できるようにする、アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、特定の流体を冷却または加熱することにより相変化を起こすために使用されるものであって、一般的には、温度の異なる複数の流体を重畳するように配置することにより熱交換が行われる方式を採用する。
【0003】
最近では、船舶の燃料としてLNGを用いることにより、液化LNGを気化させるために熱交換装置の利用がさらに重要視されており、併せてその安定的な運用と効率の向上が要求されており、複数の板を積層接合し、一方の板は被加熱流体の通過する流路が形成されるようにし、他方の板は加熱流体の通過する流路が形成されるようにすることにより、伝熱面積を増加させて熱交換が行われるようにするプリント回路基板型熱交換器(Printed circuit heat exchanger、PCHE)が開発された。
【0004】
このようなプリント回路基板型熱交換器の開発により、熱交換器の小型化及び軽量化が実現できるため、空間活用度の増加、運用の容易さ及び熱交換効率の向上を得ることができる。
【0005】
ところが、このようなプリント回路基板型熱交換器の流路は、微細流路として形成されており、閉塞してしまうことがある。詳細には、加熱流体が被加熱流体から伝達された冷却熱によりアイシング(Icing)が発生することが頻繁であった。
【0006】
特に、熱交換器への持続的な加熱流体の供給が行われない場合、例えば、熱交換器の稼働が停止した場合には、アイシングの発生可能性が高くなり、再起動の際に閉塞流路のアイシングの除去までかかる間隙によって熱交換器の稼働効率が低下するという問題点があった。
【0007】
また、このようなアイシングによる流路閉塞は、熱交換器の性能低下だけでなく、アイシングの固着により装備の故障を生じさせるおそれがあり、これは全体システムの停止を引き起こすという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-1903663号公報
【文献】韓国登録特許第10-2073625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたもので、その目的は、プリント回路基板型熱交換器において、加熱流体の回収を介して、積層されたプリント回路基板にアイシングが発生することを防止し、さらに追加された加熱流体供給ラインを介してアイシングを容易に除去することができるようにすることにより、熱交換器の効率の向上及び安定的な運用が行われるようにする、アイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、上述した目的に制限されず、上述していない別の目的は、以降の記載から明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器は、ケース、被加熱流体が出入りするメインポート、加熱流体が出入りするサブポート、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャンネルから構成されるプリント回路基板型熱交換器であって、前記サブポートは、前記ケースの一側に形成され、第1流入サブポートと第2流入サブポートに区分された流入サブポートと、前記ケースの他側に形成され、第1流入サブポートと対向する流出サブポートとから構成され、前記チャンネルは、前記メインポートと連通して被加熱流体の通過するメイン流路が形成されたメインプレートと、前記メインプレートの上下に重畳配置され、入口側は前記第1流入サブポートと連通し、出口側は前記第2流入サブポートと連通し、加熱流体の通過する第1流路が形成された第1プレートと、前記第1プレートの外側に重畳配置され、入口側は前記第2流入サブポートと連通し、出口側は前記流出サブポートと連通する第2流路が形成された第2プレートとから構成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記第2流入サブポートには、開閉可能なバルブがさらに備えられたことを特徴とする。
【0013】
また、前記ケースの上部と下部には、前記第2流入サブポート及び前記流出サブポートと連通するジャケットがさらに備えられたことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器は、ケース、被加熱流体が出入りするメインポート、加熱流体が出入りするサブポート、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャンネルから構成されるプリント回路基板型熱交換器であって、前記サブポートは、前記ケースの一側に形成される第1流入サブポートと、前記ケースの他側に形成され、第1流入サブポートと対向する流出サブポートとから構成され、前記チャンネルは、前記メインポートと連通して被加熱流体の通過するメイン流路が形成されたメインプレートと、前記メインプレートの上下に重畳配置され、入口側は前記第1流入サブポートに備えられた第1流入サブヘッダと連通し、出口側は前記第1流入サブヘッドと区分形成された第2流入サブヘッダと連通し、加熱流体の通過する第1流路が形成された第1プレートと、前記第1プレートの外側に重畳配置され、入口側は前記第2流入サブヘッダと連通し、出口側は前記流出サブポートと連通する第2流路が形成された第2プレートとから構成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記ケースの上部と下部には、前記第2流入サブヘッダ及び前記流出サブポートと連通するジャケットがさらに備えられたことを特徴とする。
【0016】
また、前記第1流路はジグザグ状に形成されることを特徴とする。
【0017】
また、前記第2流路は直線状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前述した構成による本発明は、次の効果を期待することができる。
【0019】
熱交換器が稼働するとき、加熱流体は1次的に被加熱流体から冷却熱の伝達を受けて冷却されるが、回収される加熱流体によって加熱されることにより、アイシングの発生が防止できる。
【0020】
上述したように、微細流路を閉塞させるか或いは狭くするアイシングの発生が防止されるので、熱交換器の性能の向上と共に安定的な稼働が可能になる。
【0021】
熱交換器が主に使用される船舶などの場合、装備の稼働率を最大限に維持することが最も重要な要素であり、このような稼働率の向上は、その稼働にかかる費用及びエネルギーの消費というロス(loss)を最小化する経済的効果を図ることができる。
【0022】
加熱流体が流入するポートは複数備えて、一方のポートは開閉可能にすることにより、アイシングが既に発生した場合、加熱流体を迅速に供給してアイシングを最大限迅速に除去することができる。
【0023】
一般的に、装備は、持続的に稼働するのではなく、不連続的に稼働と停止が繰り返し行われるものである。装備が停止状態から稼働状態に切り替えられるときに最も大きい負荷が発生するという点を考慮すると、熱交換器の再稼働の際に、アイシングによるディレイは大きな問題になるおそれがある。
【0024】
さらに形成された加熱流体流入ポートは、バルブによって開閉ができるように構成され、再稼働の際に、加熱流体の迅速な追加によって、発生したアイシングを除去することができるため、再稼働ディレイがなくなる。
【0025】
特に、再稼働の際に発生するディレイは、周辺装置に瞬間的な負荷の増加をもたらすもので、その原因であるアイシングの除去が迅速に行われて周辺装置の故障発生可能性を大幅に下げることができるという点で、さらに大きな効果を得ることができる。
【0026】
また、被加熱流体の冷却熱を十分に収容することができるように熱容量の増加のためのジャケットをケースの上部と下部に備えることにより、アイシングの発生防止及び除去がより迅速かつ容易に行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の好適な一実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器の斜視図である。
【
図2】本発明の好適な一実施形態によるケースの全体構成図である。
【
図3】本発明の好適な一実施形態によるジャケットを示す構成図である。
【
図4】本発明の好適な一実施形態によるチャンネルの内部構成図である。
【
図5】本発明の好適な一実施形態によるチャンネルの積層構造を示す構成図である。
【
図6】本発明の好適な他の実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な一実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明の好適な一実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器の斜視図、
図2は本発明の好適な一実施形態によるケースの全体構成図、
図3は本発明の好適な一実施形態によるジャケットを示す構成図、
図4は本発明の好適な一実施形態によるチャンネルの内部構成図、
図5は本発明の好適な一実施形態によるチャンネルの積層構造を示す構成図である。
【0030】
本発明の好適な一実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器は、図示の如く、ケース100、メインポート200、サブポート300及びチャンネル400から構成できる。
【0031】
まず、前記ケース100について考察する。
【0032】
ケース100は、一般的に、他の構成要素が内在しうる外観を提供する構成をいうものであり、本発明では、後述するチャンネル400が内在する空間を提供しながら、被加熱流体と加熱流体が供給されるメインポート200及びサブポート300が一側に取り付けられる役割を果たすものを通称することができる。
【0033】
ケース100は、様々な形態の構成が可能であるが、上述したように、チャンネル400が内在するという点で、チャンネル400の加工上の容易さを考慮して直方体状に構成されることが好ましく、以下では、直方体状を想定して説明する。
【0034】
ケース100の上部と下部には、内部にジグザグ状の流路が形成されたジャケット600が備えられ得るが、これについては後述する。
【0035】
次に、前記メインポート200とサブポート300について説明する。
【0036】
ポートは、流体が流入したり流出したりするところをいうものであって、被加熱流体が供給されるメインポート200と、加熱流体が供給されるサブポート300に区分されることができる。
【0037】
メインポート200とサブポート300は、ケース100の一側面に取り付けられ得るが、好ましくは、メインポート200とサブポート300は、ケース100の互いに垂直な面に取り付けられることができる。
【0038】
詳細には、ケース100の4側面のうち、対向している2側面にメインポート200が取り付けられると、これに対して垂直な残りの2側面にサブポート300が取り付けられ、結果的にメインポート200とサブポート300が互いに垂直となるように形成されることができる。
【0039】
メインポート200は、被加熱流体が供給されるところであって、後述するチャンネル400のメインプレート410に直接接続でき、流入する側と流出する側が同じ形状に構成されることができる。
【0040】
メインポート200は、一般的にパイプ形状に構成されているので、被加熱流体が均一に分配されて出入りすることができるように、メインポート200とケース100との間にメインヘッダ210が備えられることができる。
【0041】
サブポート300は、加熱流体が供給されるところであって、上述したようにメインポート200に対して垂直に配置されてケース100に取り付けられ、後述する第1プレート430及び第2プレート450に直接接続されることができる。
【0042】
メインポート200とは異なり、サブポート300は、流入する側は第1流入サブポート310と第2流入サブポート330に複数に区分形成され、流出する側は流出サブポート350に単数形成されることにより、互いに異なる形態であることができる。
【0043】
形態的特性により、第1流入サブポート310と第2流入サブポート330は、ケース100の一側面に共に形成され、流出サブポート350は、ケース100の他側面に形成されるが、第1流入サブポート310と対向するように配置されることができる。
【0044】
第1流入サブポート310は、後述する第1プレート430に直接接続されるが、第1プレート430の入口側に限定接続され、第2流入サブポート330は、第1プレート430の出口側と第2プレート450の入口側に共に接続されることができ、流出サブポート350は、第2プレート450の出口側に接続されることができる。
【0045】
サブポート300にも、ケース100との間にヘッダが備えられることができ、第1流入サブヘッダ311と第2流入サブヘッダ331とは、互いに連通しないように独立して形成され、流出サブヘッダ351は、第1流入サブヘッダ311と同じ形状に対向して形成されることができる。
【0046】
次に、前記チャンネル400について説明する。
【0047】
チャンネル400は、積層されたプリント回路基板で構成され、上述したメインポート200及びサブポート300から出入りする流体の移動経路が形成されたものを指し示すことができる。
【0048】
積層されたプリント回路基板の形態により、チャンネル400内に形成された流路を移動する被加熱流体と流体との間の熱交換が行われることができる。
【0049】
チャンネル400は、メインプレート410、第1プレート430及び第2プレート450に区分形成されて積層された形態であることができる。
【0050】
メインプレート410は、前記メインポート200と連通して被加熱流体が通過するように形成されるところであり、表面に被加熱流体の移動を牽引するメイン流路411が形成されることができる。
【0051】
詳細には、メイン流路411は、メインプレート410の面に微細流路として形成されるが、一般的にエッチング工法によって形成されることができ、後述する第1流路431と第2流路451も、同様の方法で形成されることができる。
【0052】
メイン流路411は、メインポート200と同じ方向に形成され、流入側のメインポート200から流出側のメインポート200へと直線状に構成されることができる。
【0053】
第1プレート430は、加熱流体が通過するように形成されるところであって、メインプレート410の上下に重畳配置されており、被加熱流体と加熱流体との最初の熱交換が行われるようにする役割を果たすことができる。
【0054】
第1プレート430の一面には第1流路431が形成されることができるが、第1流路431の入口側は、前記第1流入サブヘッダ311を介して第1流入サブポート310と連通し、第1流路の出口側は、前記第2流入サブヘッダ331を介して第2流入サブポート330と連通することができる。
【0055】
第1流入サブポート310と第2流入サブポート330がケース100の同じ側に形成された構造を考慮すると、第1流路431の入口側と出口側も同じ側に形成されることができ、詳細には、第1流路431は、ジグザグ状に形成されることができる。
【0056】
このような第1流路431のジグザグ状構造は、上述したメイン流路411との伝熱面積を最大化して熱交換効率を向上させる役割を果たすことができ、第1プレート430は、メインプレート410の上下に重畳配置されるので、メイン流路411を通過する被加熱流体は、上下に位置した第1流路431との熱交換が効果的に行われることができる。
【0057】
前記第1プレート430の外側には、第2プレート450が重畳配置されることができる。
【0058】
第2プレート450は、一面に第2流路451が形成されることができるが、第2流路451は、入口側が第2流入サブポート330と連通し、出口側は流出サブポート350と連通することができる。
【0059】
上述したように、第1流路431の出口側と第2流路451の入口側は、共に第2流入サブポート330と連通するように形成されているので、結果的に、第1流路431から流出した加熱流体は、第2流路451の入口に回収される形態になることができる。
【0060】
第2流路451の出口側は、流出サブポート350と連通しているので、第2流路451の入口と出口は、対向する側に形成でき、詳細には、第2流路451は、複数の微細流路が、入口側と出口側に加熱流体が流入する方向に対して垂直に形成されることができる。
【0061】
第2流路451は、被加熱流体と接触して熱交換をする第1流路431とは異なり、第1流路431とのみ接触してアイシングが生じないように熱を伝達する役割を果たす補助的な機能をすることができる。
【0062】
上述した構造に基づいて、メインプレート410、第1プレート430及び第2プレート450が重畳配置された構造を考察すると、メインプレート410が中心となり、メインプレート410の上下に第1プレート430が配置され、第1プレート430の外側に第2プレート450が配置される。
【0063】
したがって、
図5に示すように、前記構造を一つのセットとして仮定すると、各セットは、第2プレート450を共有する形態で配置できる。
【0064】
さらには、前記第2流入サブポート330には、開閉可能なバルブ500がさらに備えられることができ、バルブ500は、自動的に制御されるものでもよく、手動的に制御されるものでもよい。
【0065】
バルブ500の開閉に応じて、第2流入サブポート330を介して加熱流体を流入させるか否かが調節できるが、これは、熱交換器の作動停止時に発生しうるアイシングを除去するために、第2流入サブポート330を介して加熱流体を迅速に供給するためである。
【0066】
詳細には、バルブ500が閉鎖された場合には、加熱流体は、第1プレート430の第1流路431を介して移動した後、第2流入サブポート330を介して回収されて第2プレート450に供給されるが、このような回収経路を通る場合、アイシングの除去は可能であるが、より迅速に行われるのは難しいこともある。
【0067】
バルブ500が開放された場合には、加熱流体は、第1流入サブポート310を介して第1プレート430に流入し、さらに第2流入サブポート330を介して第2プレート450に回収経路ではなく直接的な経路を介して供給されるので、アイシングの除去が非常に迅速に行われることができる。
【0068】
さらに、ケース100の上部と下部には、密閉ボックス型からなるジャケット600がさらに備えられるが、第2流入サブポート330と流出サブポート350と連通するように形成することができる。
【0069】
上述したように、流出サブポート350は、第1流入サブポート310と同一線上に配置されることができ、第1流入サブポート310と第2流入サブポート330は、互いに離隔しているので、ジャケット600が第2流入サブポート330及び流出サブポート350と連通する通路は、同一線上ではなく、離隔する形態で配置されることができる。
【0070】
このような形態により、ジャケット600内の加熱流体の移動が容易に行われるように、ジャケット600には、ジグザグ状の移動経路が形成されるように内部に隔壁610が形成されることができる。
【0071】
ジャケット600は、被加熱流体から伝達される冷却熱がすべて収容されることができるように、加熱流体の総熱容量を高めるための加熱流体の保有量を十分に維持する役割を果たすことができる。
【0072】
上述した構造を全体的に考察すると、ケース100のすべての面には構成要素が備えられることができるので、上下面にはジャケット600が備えられ、4側面のうち、2側面にはサブポート300が備えられ、残りの2側面にはメインポート200が備えられることができる。
【0073】
次に、上述した構成要素に基づいて熱交換器の熱交換方法を説明する。
【0074】
被加熱流体は、ケース100の2側面に備えられたメインポート200を介して流入し、メインポート200と同じ方向の直線状に形成されたメイン流路411を通過して流出するが、メインヘッダ210により均一に流入又は流出することができる。
【0075】
サブポート300は、メインポート200に対して垂直な方向に形成されているが、バルブ500が閉鎖された場合と、バルブが開放された場合に分けて説明する。
【0076】
バルブ500が閉鎖された場合には、第1流入サブポート310を介して流入した加熱流体は、第1プレート430に流入してジグザグ状に形成された第1流路431に沿って移動しながら、メイン流路411を通過する被加熱流体と熱交換をする。
【0077】
第1流路431を通過した加熱流体は、第2流入サブポート330、より具体的には、第2流入サブヘッダ331を介して、第1プレート430の外側に形成された第2プレート450に流入し、流入した方向に対して垂直に形成された第2流路451に沿って移動し、第1プレート430に追加の熱を供給することにより、第1流路431に発生しうるアイシングを防止した後、流出サブポート350を介して流出する。
【0078】
バルブ500が開放された場合には、加熱流体は、第1流入サブポート310と第2流入サブポート330を介して一時に流入するが、第2プレート450に流入する加熱流体は、バルブ500が閉鎖された場合とは異なり、被加熱流体との熱交換が行われないため、相対的に高い温度を維持しているので、チャンネル400内に形成されたアイシングを迅速に除去することができる。
【0079】
さらに説明すると、熱交換器の日常的な稼働状態では、バルブ500が閉鎖された状態でアイシングが防止できるが、突然のシャットダウン又は稼働停止によりチャンネル400内にアイシングが発生した場合には、バルブ500を一時的に開放してアイシングを除去した後、再びバルブ500を閉鎖して熱交換器の日常的な稼働状態を維持することができる。
【0080】
一方、本発明の好適な他の実施形態によれば、前記第2流入サブポート330及びバルブ500を省略して実施することができる。
【0081】
つまり、先立って説明した本発明の一実施形態と比較して、第2流入サブポート330及びバルブ500の構成のみ欠けているだけであり、残りの構成はすべて同じである。これは、前述したように第2流入サブポート330に備えられたバルブ500が閉鎖される場合と同じ効果を示すものと理解されるべきである。
【0082】
以下、本発明の好適な他の実施形態によるアイシング防止及び除去が容易なプリント回路基板型熱交換器の斜視図を示す
図6と一緒に、
図2乃至
図5を参照して説明する。
【0083】
本発明は、ケース100、被加熱流体が出入りするメインポート200、加熱流体が出入りするサブポート300、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャンネル400から構成され、ここで、前記サブポート300は、前記ケース100の一側に形成される第1流入サブポート310、及び前記ケース100の他側に形成され、第1流入サブポートと対向する流出サブポート350から構成される。
【0084】
ここで、前記チャンネル400は、前記メインポート200と連通して被加熱流体の通過するメイン流路411が形成されたメインプレート410と、前記メインプレートの上下に重畳配置され、入口側は前記第1流入サブポート310に備えられた第1流入サブヘッダ311と連通し、出口側は第1流入サブヘッド311と区分形成された第2流入サブヘッダ331と連通し、加熱流体の通過する第1流路431が形成された第1プレート430と、前記第1プレート430の外側に重畳配置され、入口側は第2流入サブヘッダ331と連通し、出口側は前記流出サブポート350と連通する第2流路451が形成された第2プレート450とから構成される。
【0085】
このような場合、加熱流体は、第1流入サブポート310と第1流入サブヘッダ311を介して第1プレート430に流入して、ジグザグ状に形成された第1流路431に沿って移動しながら、メイン流路411を通過する被加熱流体と熱交換をする。
【0086】
そして、第1プレート430の第1流路431を通過した加熱流体は、前記第2流入サブヘッダ331を介して、前記第1プレート430の外側に形成された第2プレート450に流入し、流入した方向に対して垂直に形成された第2流路451に沿って移動し、第1プレート430に追加の熱を供給することにより、第1流路431に発生しうるアイシングを防止した後、流出サブポート350を介して流出する。
【0087】
一方、前記ケース100の上部と下部には、前記第2流入サブヘッダ331及び前記流出サブポート350と連通するジャケット600がさらに備えられることができ、これについての詳細な説明は、前述と同様である。
【0088】
前述した実施形態は、例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これらから多様に変形した他の実施形態が可能である。
【0089】
したがって、本発明の真正な技術的保護範囲には、下記の請求の範囲に記載された発明の技術思想によって上述の実施形態だけでなく、多様に変形した他の実施形態も含まれるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 ケース
200 メインポート
210 メインヘッダ
300 サブポート
310 第1流入サブポート
311 第1流入サブヘッダ
330 第2流入サブポート
331 第2流入サブヘッダ
350 流出サブポート
351 流出サブヘッダ
400 チャンネル
410 メインプレート
411 メイン流路
430 第1プレート
431 第1流路
450 第2プレート
451 第2流路
500 バルブ
600 ジャケット
610 隔壁
【要約】
【課題】熱交換に使用される加熱流体の流路を重畳するように構成して、積層された基板のアイシングを防止し、発生したアイシングは容易に除去できるようにする、アイシング防止と除去が容易なプリント回路基板型熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明は、ケース、被加熱流体が出入りするメインポート、加熱流体が出入りするサブポート、及び前記ケースに内蔵され、流路が形成された基板積層型チャネルから構成されるプリント回路基板型熱交換器であって、前記サブポートは、前記ケースの一側に形成され、第1流入サブポートと第2流入サブポートに区分形成された流入サブポートと、前記ケースの他側に形成され、第1流入サブポートと対向する流出サブポートとから構成されることを技術的要旨とする。
【選択図】
図1